JP7090233B2 - 可視光通信システム - Google Patents
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Description
近年、可視光通信なる通信方式が提案されている。この可視光通信は、発光素子から出力する可視光を変調(即ち、強度変調)することにより、可視光に所望の情報を付与して出力し、受光素子で受光した可視光を復調して前記所望の情報を読み出すことにより、所望のデータを送受信する通信方式である。可視光通信は、信号出力装置として特別な装置を用意しなくても、照明器具、誘導灯、交通信号機等の身近な発光装置を利用して情報伝送を行うことができることから、光の直進性による制約がない環境(即ち、発光側と受光側との間に障害物がない環境)で、従来の無線通信方式を代替する、或いは、従来の無線通信方式と競合する通信技術として期待されている。なお、可視光通信で使用される発光素子としては、LED(発光ダイオード)や有機EL等の高速点滅可能な半導体素子が一般的である。また、可視光通信の受光素子としては、フォトダイオードが一般的であるが、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の固体撮像素子の使用も提案されている。なお、受光素子として固体撮像素子を使用した可視光通信は、イメージセンサ通信とも呼ばれている。
ここで、可視光通信に関する発明として、特許文献1に記載の表示装置及びプログラムが提案されている。この発明は、可視光による情報送信を好適に行なえるようにすることを目的とし、携帯端末において、制御部が、他の携帯端末へ送信すべき情報であるタグIDを可視光通信に用いるマーカーに変換するようにしている。更に、制御部及びドライバが、変換されたマーカーを表示部に表示させる制御を行うようにしている。また、制御部及びドライバが、表示部に表示されるマーカーの表示態様を調整する制御を行うようにしている。
本発明は、図1~図3に示す実施の形態1の可視光通信システムとして具体化することができる。以下、この可視光通信システムの全体構成について、まず、図1を参照して概略的に説明する。本実施の形態の可視光通信システムは、図1に示すように、発光側装置(発光部)10と、受光側装置(受光部)50とから構成されている。発光側装置10は、発光素子からなる光源11と、発光部側制御ユニット20と、入力装置25とを備えている。一方、受光側装置50は、カメラモジュール60と、受光部側制御ユニット90と、出力装置93とを備えている。カメラモジュール60は、筐体61と、筐体61の前面開口部に装着した絞り部62と、絞り部62と同軸状に配設したレンズ63と、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)70と、受光素子としてのCMOSイメージセンサ80とを備える構成である。
本実施の形態の可視光システムの各部の詳細について説明する前に、本発明に係る可視光通信システムの骨子となる構成について概略的に説明する。まず、本実施の形態を含む本発明に係る可視光通信システムは、後述するように、CMOSイメージセンサ80からなる撮像素子の1回分の走査時間(動画の場合、1フレーム分の走査時間)内に、(点滅駆動手段から出力される)所定の点滅周期による点滅光が光源11からCMOSイメージセンサ80に入力されると、CMOSイメージセンサ80には、光源11からの1つの点滅光に対応して1対の明暗線(1本の明線と1本の暗線との対)が撮像されるという本発明者らの新規な知見に基づき完成されたものである。例えば、CMOSイメージセンサ80の1回分の走査時間内に、光源11から10個の点滅光が出力されてCMOSイメージセンサ80に入力されると、CMOSイメージセンサ80には、対応する10対の明暗線が点滅光の周期(即ち、点滅間隔)に相当する間隔を置いて連続的に平行に配置された状態で撮像され、ストライプ状のパターン(縞模様)の撮像イメージがCMOSイメージセンサ80から出力される。本発明に係る可視光通信システムは、かかる本発明者らの新規な知見に係る現象を前提として創作されたものであり、このようなCMOSイメージセンサ80に撮像された明暗線のパターンを、コンピュータ装置を制御するための(例えば、コンピュータ装置に所定のイベント等の処理を実行させるための)制御用データ又は制御符号(制御コード)として使用する。
次に、前記点滅光セット及び明暗線セットの具体例について説明する。例えば、本実施の形態の可視光通信システムでは、図2に示すように、発光部側制御ユニット20の制御により、光源11から、前記点滅光セットとして、合計6つの連続する点滅光(即ち、連続する6つのオン時間及びオフ時間の対)から構成する。この場合、図2中の光源11からの点滅光のタイミングチャート(図2中の左下側)に示すように、6つの点滅光を光源11から順次出力すると共に、6つの点滅光の消灯部分(オフ部分)L1,L2,L3,L4,L5,L6の消灯間隔(オフ時間間隔)を、所定の時間間隔(時間幅)W1,W2,W3,W4,W5,W6に設定する。この場合、例えば、6つの点滅光の消灯部分L1,L2,L3,L4,L5,L6の消灯間隔W1,W2,W3,W4,W5,W6として、最大の時間間隔(最大間隔)、最小の時間間隔(最小間隔)、及び、それらの中間的な時間間隔(中間間隔)の3つの相対的な間隔を設定し、これら最大間隔、中間間隔及び最小間隔のいずれかを前記6つの点滅光の消灯部分L1,L2,L3,L4,L5,L6の消灯間隔W1,W2,W3,W4,W5,W6として割り当てることができる。具体的には、6つの点滅光の最初の2つの消灯部分L1,L2(開始部)の消灯間隔W1,W2をいずれも中間間隔の対として同一間隔とすると共に、次の2つの消灯部分(データ部の最初の2つの消灯部分)L3,L4を最小間隔及び最大間隔の対として異なる間隔とし、更に、次の2つの消灯部分(データ部の最後の2つの消灯部分)L5,L6を最小間隔及び最大間隔の対として異なる間隔とすることができる。
ここで、本実施の形態を含む本発明の可視光通信システムでは、CMOSイメージセンサ80では、前記明暗線セットによるパターンを取得するためには、1フレーム分の走査時間内に、最低でも前記点滅光セットの点滅光の数以上の点滅光が入力されて撮像される必要がある。即ち、上記のとおり、CMOSイメージセンサ80による1フレーム分の走査時間(即ち、1フレーム分の撮像時間)内に、例えば6個の点滅光を1セットとするデータセットである点滅光セットが、少なくとも1セットは(点滅光セット内のどの点滅光も欠けることなく)全て含まれるようにする必要がある(即ち、CMOSイメージセンサ80により全て撮像されるようにする必要がある)。こうすると、CMOSイメージセンサ80には、光源11からの1つの点滅光に対応して1対の明暗線(1本の明線と1本の暗線との対)が撮像される。即ち、1セットの点滅光セットを構成する6個の点滅光については、6対の明暗線が点滅光の周期(即ち、点滅間隔)に相当する間隔を置いて連続的に平行に配置された状態で撮像され、ストライプ状のパターン(縞模様)の撮像イメージがCMOSイメージセンサ80から出力される。
次に、本実施の形態の発光側装置(発光部10)について詳細に説明すると、前記光源11の発光素子としては、発光ダイオード(LED)を好適に使用することができるが、後述するような点滅動作が可能な限りにおいて、有機EL等の他の光源を使用することもできる。また、LEDとしては、白色LED等の特定色の可視光LEDを使用することができるが、赤色、緑色及び青色の三原色を発光自在なフルカラーLEDを使用することもできる。また、光源は、LED等の発光素子を1個のみ配設した構成とすることもできるが、後述するような所定の発光パターン(点滅パターン)での発光駆動が可能な限りにおいて、複数個の発光素子を集合的に配置した構成(例えば、複数個のLEDを集合配置したLEDモジュールの構成)とすることもでき、或いは、LEDチップを基板上に複数又は多数実装したチップLEDモジュールを使用することもできる。更には、後述するような所定の発光パターン(点滅パターン)での発光駆動が可能な限りにおいて、一般的な照明器具を光源として使用することもできる。
前記発光部側制御ユニット20は、光源11を所定の態様で発光するように(即ち、上記のような点滅光セットを出力するための所定の点滅パターンで発光するように)制御する発光制御手段を構成する。詳細には、発光部側制御ユニット20は、点滅駆動手段を構成する点滅駆動回路21、点滅周期調整手段22、点滅セット設定手段23、変調回路24、及び、発光駆動回路25を備える構成とすることができる。発光部側制御ユニット20は、本実施の形態の発光側装置の特徴的な構成であるが、ハードウエア資源による構成としての各種のマイコン(マイクロコンピュータ)に対して、後述するような所定の機能を当該マイコンに実現させる(各種プログラム等の)ソフトウエア資源による構成を組み合わせて構成することができる。
点滅駆動手段としての点滅駆動回路21は、光源11を所定の点滅周期で連続的に点滅駆動する点滅駆動機能を実現するものである。典型的には、点滅駆動回路21からなる点滅駆動手段は、連続する所定幅のパルスにより光源11の発光素子(典型的にはLED)をパルス駆動するパルス駆動機能を実現するものであり、パルス発振器から出力するパルスの幅を任意に増減調節して、パルスを一定周期で連続的に出力すると共に、PWM制御によりデューティー比(1周期に対するパルスのオン時間の比)を制御して出力するPWM駆動回路より構成することができる。ここで、点滅駆動回路21は、一例として、1周期2000マイクロ秒(T=2000μs/周期)のパルスを出力するよう構成することができ、この場合、所定の点滅周波数(500Hz)でLED等の発光素子を連続的に点滅駆動するものである。即ち、本実施の形態では、点滅駆動回路21からなる点滅駆動手段は、PWM駆動回路等の点滅駆動回路からなるハードウエア資源による構成として実現することができ、パルスを、一定周期で(即ち、一定間隔で)、かつ、一定のデューティー比で連続的に(即ち、回路の駆動開始時から回路の駆動停止時まで連続して)出力する機能を実現するものである。
ここで、上記のように、本実施の形態を含む本発明の可視光通信システムでは、CMOSイメージセンサ80の1回分の走査時間(動画の場合、1フレーム分の走査時間)内に、前記点滅光セットの全ての点滅光が必ずCMOSイメージセンサ80内に入力されて撮像されるよう(即ち、前記明暗線セットの全ての明暗線が撮像されるように)、前記光源11からの点滅光の周期が設定されている必要がある。即ち、発光部側制御ユニット20において、点滅駆動回路21による点滅光の周期が、CMOSイメージセンサ80の1回分の走査時間内に前記点滅光セットの全ての点滅光が包含される周期となる必要がある(即ち、全点滅光の個数分の時間間隔が、前記1回分の走査時間内となる必要がある)。この場合、発光部側制御ユニット20の点滅駆動回路21による点滅光の周期の初期設定値において、全点滅光の個数分の時間間隔が前記1回分の走査時間内となるような周期である場合、発光部側制御ユニット20による点滅光の周期の調整は不要である。しかし、発光部側制御ユニット20の点滅駆動回路21による点滅光の周期の初期設定値において、全点滅光の個数分の時間間隔が前記1回分の走査時間を超えるような周期である場合、発光部側制御ユニット20による点滅光の周期の調整が必要となる。
また、上記のように、本実施の形態を含む本発明の可視光通信システムでは、CMOSイメージセンサ80に(所定複数の明暗線からなると共に、各明暗線の幅が所定幅となる)明暗線セットからなるパターンを撮像するために、光源11から対応する点滅光セットの点滅光を出力する(即ち、明暗線セットと同一数の点滅光からなり、かつ、各点滅光の暗線の幅を各明暗線の所定幅と対応させた点滅光を出力する)必要がある。そこで、本実施の形態では、発光部側制御ユニット20は、かかる点滅光セットの設定のために、点滅光セット設定手段23を設けている。詳細には、点滅光設定手段23により点滅光セットを設定していない状態では、点滅駆動回路21から出力される信号(パルス)は、一定周期であり、点滅周期調整手段22による周期調整を受けた後でも、やはり、点滅駆動回路21は、調整後の一定周期の信号を出力している。そこで、点滅光セット設定手段23は、前記点滅駆動回路21から出力される信号を、1周期単位及びパルス単位で変調することにより、点滅駆動回路21からの信号が前記点滅光セットの信号となるように変調する機能を実現するものであり、上記のソフトウエア資源による構成として実現されている。
変調回路24は、点滅駆動回路21からの信号を入力すると共に、前記点滅光セット設定手段23からの制御信号を受けて、点滅駆動回路21から一定周期で連続して出力される信号を、6個単位で1セットとして、各セットの各信号の周期を前記各点滅光の周期と一致する周期に変調し、その変調後の信号を出力するものであり、ハードウエア資源による構成として実現されている。例えば、変調回路24は、ある点滅光セットの6つの点滅光の最初の2つの消灯部分L1,L2(開始部)の消灯間隔W1,W2がいずれも中間間隔の対として同一間隔に設定されると共に、次の2つの消灯部分(データ部の最初の2つの消灯部分)L3,L4が最小間隔及び最大間隔の対として異なる間隔に設定され、更に、次の2つの消灯部分(データ部の最後の2つの消灯部分)L5,L6が最小間隔及び最大間隔の対として異なる間隔に設定されている場合、点滅駆動回路21からの信号をそのような消灯部分L1~L6の間隔W1~W6とそれぞれ一致するように変調して出力する。
発光駆動回路25は、変調回路24からの信号を入力し、その信号にしたがって光源11を発光駆動するものであり、上記ハードウエア資源により構成されている。詳細には、発光駆動回路25は、変調回路24から前記点滅光セットに対応する信号(6個単位で1セットとされ、各セットの各信号の周期が前記各点滅光の周期と一致する周期に変調された変調後の信号)を受けて、その変調後の信号を増幅等した駆動信号を光源11に出力する。これにより、光源は、発光駆動回路25からの駆動信号にしたがって点滅発光し、例えば、上記のように、6個の点滅光を1セットとした点滅光セットであって、最初の2つの消灯部分L1,L2(開始部)の消灯間隔W1,W2がいずれも中間間隔の対として同一間隔に設定されると共に、次の2つの消灯部分(データ部の最初の2つの消灯部分)L3,L4が最小間隔及び最大間隔の対として異なる間隔に設定され、更に、次の2つの消灯部分(データ部の最後の2つの消灯部分)L5,L6が最小間隔及び最大間隔の対として異なる間隔に設定されている点滅光セットを出力する。
入力装置26は、前記点滅周期調整手段22及び前記点滅光セット調整手段24への入力インターフェースを提供するものであり、上記ハードウエア資源による構成として実現されている。詳細には、入力装置は、点滅周期調整手段22に対して、前記点滅周期を調整して調整後の点滅周期を設定するための入力機能を提供すると共に、点滅光セット調整手段24に対して、所望の各種の点滅光セットを設定するための入力機能を提供する。
次に、本実施の形態の受光側装置(受光部50)について詳細に説明する。まず、前記カメラモジュール60自体は、公知の構成であり、上記のとおり、筐体61の前面開口部に絞り部62を装着し、絞り部62と同軸状にレンズ63を配設している。そして、絞り部62を介してレンズ63から受光されたイメージが、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)70の制御により、CMOSイメージセンサ80により撮像されて出力される。なお、図3に示すように、DSP70は、メモリコントロールユニット(MCU)、クロック発生手段、RGB補完処理手段、色再現調整手段、ノイズ除去手段、ホワイトバランス手段、γ補正手段、スケーラ手段、色差信号生成手段、輪郭補正手段、出力インターフェース等の公知の構成を備えている。また、CMOSイメージセンサ80自体も、公知の構成であり、駆動回路によりフォトダイオードアレイを駆動して撮像動作を行い、その撮像データ(アナログデータ)をA-Dコンバータによりデジタルデータへと変換して出力するモノであり、CDS(相関二重サンプリング)によるノイズ低減機能を備えたものもある。
上記のように、CMOSイメージセンサ80には、光源11からの所定の点滅光セットの点滅光が、上記所定の固有の周期で連続的に入力され、それらの点滅光に対応する周期の明暗線が、ストライプ状のパターンとなる撮像イメージとして記録される。具体的には、図5に示す点滅光セットを入力した場合、CMOSイメージセンサ80には、その点滅光セットに対応して、図6に示すような明暗線セットが撮像される。即ち、図5に示すように、点滅光セットが、6つの点滅光の消灯部分L1,L2,L3,L4,L5,L6について、それぞれ、固有の(一定幅ではない)消灯間隔W1,W2,W3,W4,W5,W6を有する場合、CMOSイメージセンサ80には、これに対応して、6対の明暗線から明暗線セットが撮像される。このとき、この撮像パターンである明暗線セットの暗線S1,S2,S3,S4,S5,S6は、それぞれ、点滅光セットの消灯部分L1,L2,L3,L4,L5,L6に相当し、かつ、各暗線S1,S2,S3,S4,S5,S6の幅W1,W2,W3,W4,W5,W6は、各点滅光の消灯間隔W1,W2,W3,W4,W5,W6に相当する値となり、固有の(一定幅ではない)値となる。
ここで、例えば、光源11から、6個の点滅光からなる点滅光セットを連続的に出力して、その点滅光をCMOSイメージセンサ80により1フレーム分撮像した場合、CMOSイメージセンサ80のフレームの走査開始タイミングと光源11からの点滅光セットの開始位置とが同期して一致している場合は、図6及び図7(a)に示すように、フレームの読取り方向(走査方向)における始端から明暗線セットの1本目の暗線が順番に連続して撮像されることになる。そして、例えば、CMOSイメージセンサ80の1フレーム内に12対の明暗線(即ち、12本の暗線)が撮像される場合は、1フレーム内に2セット分の明暗線セットが完全な態様で(即ち、各明暗線セットが6対の明暗線を含む態様で)撮像されることになる。一方、CMOSイメージセンサ80のフレームの走査開始タイミングと光源11からの点滅光セットの開始位置とが同期していない場合は、図7(b)及び図7(c)に示すように、明暗線セットの1本目の暗線が、フレームの読取り方向における途中位置から順番に連続して撮像されることになる。そして、例えば、CMOSイメージセンサ80の1フレーム内に12対の明暗線が撮像される場合は、1フレーム内に2セット分の明暗線セットは完全な態様で撮像されず、1セット分の明暗線セットのみが完全な態様で撮像されることになる。いずれにしても、明暗線セットの1本目の暗線が、フレームの読取り方向におけるどの位置から開始しても、少なくとも、1セット分の明暗線セットが完全な態様で撮像されることになる。
また、図8に示すように、6個の点滅光からなる点滅光セットを連続的に出力する場合において、CMOSイメージセンサ80の1フレーム内に11対の明暗線(即ち、11本の暗線)が撮像されるようにした場合、かかる11対の明暗線は、前記フレーム内最低明暗線数となるため、上記のとおり、CMOSイメージセンサ80における点滅光の入力タイミングと走査タイミングとの時間的ずれに関係なく、少なくとも1組の点滅光セットの全ての点滅光をCMOSイメージセンサに撮像して、1組の明暗線セットを完全な態様で撮像することができる。例えば、光源11から、6個の点滅光からなる点滅光セットを連続的に出力して、その点滅光をCMOSイメージセンサ80により1フレーム分撮像した場合、CMOSイメージセンサ80のフレームの走査開始タイミングと光源11からの点滅光セットの開始位置とが同期して一致している場合は、図8及び図9(a)に示すように、フレームの読取り方向(走査方向)における始端から明暗線セットの1本目の暗線が順番に連続して撮像されることになる。この場合、1フレーム内に1セット分の明暗線セットが完全な態様で撮像されることになる。一方、CMOSイメージセンサ80のフレームの走査開始タイミングと光源11からの点滅光セットの開始位置とが同期していない場合は、図9(b)及び図9(c)に示すように、明暗線セットの1本目の暗線が、フレームの読取り方向における途中位置から順番に連続して撮像されることになる。そして、この場合も、1セット分の明暗線セットが完全な態様で撮像されることになる。いずれにしても、明暗線セットの1本目の暗線が、フレームの読取り方向におけるどの位置から開始しても、少なくとも、1セット分の明暗線セットが完全な態様で撮像されることになる。
ここで、本実施の形態を含む本発明の可視光通信システムでは、CMOSイメージセンサ80には、光源11自体のイメージやその周囲の風景等のイメージが撮像されるのではなく、上記のとおり、入力された点滅光の点滅周期に対応する明暗線からなるストライプ状のパターン(即ち、所定の点滅光セットを入力した場合は所定の明暗線セットからなるパターン)のみが撮像される。これは、CMOSイメージセンサの動作機序(特に、蓄積した電化を順次走査方向に走査して読み出すという機序)に起因するものと予想される。即ち、例えば、CMOSイメージセンサと共に固体撮像素子の典型例となるCCDイメージセンサでは、グローバル露光と呼ばれる動作方式を採用し、同一期間中に各画素のフォトダイオードに入射した光(撮影イメージを反映した光)を、信号電荷として各画素のフォトダイオードに同時に蓄積し、全ての画素の電荷を同時に垂直CCDに読み出している。そのため、CCDイメージセンサは、電子シャッターと組み合わせることで、高速に移動する物体(即ち、高速動体)もその瞬間を止めて撮像することができ、撮像イメージに歪みが生じることはない。即ち、CCDイメージセンサの場合、全ての画素の信号電化の蓄積動作は同一期間に行われるため、いわゆる蓄積の同時性が維持される。
ここで、CMOSイメージセンサ80に撮像された明暗線セットを所定の制御用データ又は制御符号として利用する場合の具体例について説明する。まず、この場合、1個の点滅光がCMOSイメージセンサ80で占める画素数について算出し、その画素数に基づき、点滅光の周期(特に、消灯部分の消灯間隔の値)を設定する。詳細には、まず、点滅光セットについて、例えば、光源11としてLEDを使用し、(必要に応じて点滅周期調整手段22により周期を調整した)点滅駆動回路21によって、2000マイクロ秒で1周期となる波長の点滅光又はパルス光を光源11から出力する場合において、デューティー比を50とすると、各パルス光のオン時間間隔は1000マイクロ秒となり、オフ時間間隔は1000マイクロ秒となる。そして、この周期の点滅光を光源11から出力した場合において、CMOSイメージセンサ80に11対の明暗線が撮像される場合、CMOSイメージセンサの解像度に基づき、1対の明暗線が占める画素数を算出できる。即ち、この場合において、例えば、CMOSイメージセンサの走査方向の画素数が1080ピクセルである場合、1フレームの撮像イメージにおいて1対の明暗線が占める走査方向の画素数(ピクセル数)は、1080/11=約98(1対の明暗線当たり約98ピクセル)となる。即ち、2000マイクロ秒/周期の点滅光は、CMOSイメージセンサ80において約98ピクセル分の幅を有することになり、その暗線部分は、約49ピクセル(約98/2=約49)分の幅を有することになる。
この場合について更に詳細に説明すると、まず、6個の点滅光の消灯部分L1~L6について、以下のように消灯間隔W1~W6を前記調整単位で増減調整することができる。
消灯部分L1(プリコード)の間隔W1:0(ゼロ調整、即ち、増減なし)
消灯部分L2(プリコード)の間隔W2:0(ゼロ調整、即ち、増減なし)
消灯部分L3(コード)の間隔W3:-100(100マイクロ秒減少)
消灯部分L4(コード)の間隔W4:100(100マイクロ秒増加)
消灯部分L5(コード)の間隔W5:-400(400マイクロ秒減少)
消灯部分L6(コード)の間隔W6:400(400マイクロ秒増加)
また、6個の点滅光の消灯部分L1~L6について、以下のように消灯間隔W1~W6を前記調整単位で増減調整することもできる。
消灯部分L1(プリコード)の間隔W1:0(ゼロ調整、即ち、増減なし)
消灯部分L2(プリコード)の間隔W2:0(ゼロ調整、即ち、増減なし)
消灯部分L3(コード)の間隔W3:-400(400マイクロ秒減少)
消灯部分L4(コード)の間隔W4:400(400マイクロ秒増加)
消灯部分L5(コード)の間隔W5:-200(200マイクロ秒減少)
消灯部分L6(コード)の間隔W6:200(200マイクロ秒増加)
また、6個の点滅光の消灯部分L1~L6について、以下のように消灯間隔W1~W6を前記調整単位で増減調整することもできる。
消灯部分L1(プリコード)の間隔W1:0(ゼロ調整、即ち、増減なし)
消灯部分L2(プリコード)の間隔W2:0(ゼロ調整、即ち、増減なし)
消灯部分L3(コード)の間隔W3:400(400マイクロ秒増加)
消灯部分L4(コード)の間隔W4:-400(400マイクロ秒減少)
消灯部分L5(コード)の間隔W5:200(200マイクロ秒増加)
消灯部分L6(コード)の間隔W6:-200(200マイクロ秒減少)
次に、受光部側制御ユニット90は、上記のように所定の明暗線セットからなる撮像イメージを出力するCMOSイメージセンサ80に接続され、CMOSイメージセンサ80の出力を受けて所定の制御動作を行うものであり、本実施の形態の受光側装置の特徴的な構成である。受光部側制御ユニット90は、ハードウエア資源による構成としての各種のマイコン(マイクロコンピュータ)に対して、後述するような所定の機能を当該マイコンに実現させる(各種プログラム等の)ソフトウエア資源による構成を組み合わせて構成することができる。詳細には、受光部側制御ユニット90は、パターン認識手段91、マッチング手段92、及び、指令手段93を備える構成とすることができる。
パターン認識手段91は、CMOSイメージセンサ80の出力した撮像イメージを入力して、その撮像イメージのパターンを認識するものであり、例えば、上記ソフトウエア資源による構成として実現することができる。即ち、パターン認識手段91は、CMOSイメージセンサ80の出力した明暗線セットのパターンにおいて走査方向(読取り方向)に連続する各明暗線(制御符号として暗線を使用した場合は各暗線)と、各明暗線の幅(制御符号として暗線を使用した場合は暗線の幅)とを認識し、その認識結果に応じた制御信号を出力する。例えば、上記制御符号の具体例1(図10参照)のように制御符号を校正した場合、パターン認識手段91は、まず、プリコードとしての暗線S1,S2を、その幅W1,W2により認識し(即ち、暗線S1,S2の幅W1,W2が基準値と同一値であることを認識し)、これに続くコードである一対の暗線S3,S4及び一対の暗線S5,S6を認識する。このとき、パターン認識手段91は、一対の暗線S3,S4の幅W3,W4の基準値からの増減幅、及び、一対の暗線S5,S6の幅W5,W6の基準値からの増減幅を認識し、それらの増減幅をID情報として利用する。具体的には、前記制御符号の具体例1では、パターン認識手段91は、図10に示すように、暗線S1~S6の幅W1~W6の基準値からの増減幅が、「0_0_-100_100_-400_400」からなる配列であると認識し、この配列(特に、コード部分の配列である「-100_100_-400_400」)を一意のコード情報又は識別子(即ち、ID)として、対応する信号を出力する。
マッチング手段92は、パターン認識手段91からの信号を入力し、パターン認識手段91の認識結果を、所定の処理とマッチングするものであり、例えば、上記ソフトウエア資源による構成として実現することができる。詳細には、前記明暗線セットのパターンに応じた特定の処理をコンピュータ装置に実行させるための特定の指令情報が、異なる明暗線セットごとに対応付けて用意されている(例えば、データベースに格納されている)。よって、マッチング手段92は、パターン認識手段91から入力された(明暗線セットの制御符号の内容に対応する)一意のコード情報を表す信号に基づき、CMOSイメージセンサ80に撮像された明暗線セットのパターンを、特定の指令情報とマッチングし、そのマッチング情報に対応する信号を出力する。
指令手段93は、マッチング手段92からの信号を入力し、その信号に対応する指令情報を出力するものであり、例えば、上記ソフトウエア資源による構成として実現することができる。例えば、指令手段93は、マッチング手段92からのマッチング情報に基づき、コンピュータ装置に特定の処理を実行させるための指令情報を出力することができ、この指令情報に応答して、コンピュータ装置が、例えば、その出力装置94に、所定の情報(映像、画像、音声等)を出力するよう構成することができる。
本実施の形態の可視光通信システムは、例えば、以下のようにして使用することができる。即ち、図4に示すように、まず、カメラ装置(例えば、情報端末装置100のカメラモジュール60)をオンする一方で、光源11から所定の点滅光セットからなる点滅光を出力し、この点滅光をカメラモジュール60のレンズ63を介して撮影し、CMOSイメージセンサ80の1フレームに撮像する。このときの撮像は、静止画により行ってもよく、動画により行ってもよい。動画による撮像とすると、制御符号の情報量を多く確保することができる。いずれにしても、1フレーム内に少なくとも1つの明暗線セットが過不足なく撮像されればよい。そして、CMOSイメージセンサ80の撮像パターンをパターン認識手段91により認識してID等の制御符号に変換し、マッチング手段92によりその認識結果に応じたマッチング情報を出力して、指令手段93によりそのマッチング情報に対応する指令をコンピュータ装置に出力する。なお、パターン認識手段91により認識した明暗線セットの撮像パターンは、情報端末装置100のディスプレイ110等にそのまま表示してもよいが、表示しないよう構成することもできる(即ち、プログラムの仕様により任意の設定とすることができる)。
上記実施の形態を含む本発明の可視光通信装置によれば、光源11の明るさ(即ち、輝度)の変化によってもCMOSイメージセンサ80における撮像イメージのパターン(明暗線の周期や幅)は影響されず、光源11からの点滅光セットに常に対応する明暗線セットを得ることができるため、安定した動作が可能となる。また、光源11からの距離に関係なく(即ち、光源11からカメラモジュール60等のカメラ装置までの距離が遠くても近くても)、撮影によりCMOSイメージセンサ80に撮像される明暗線セットの明暗線の幅は変わることがなく、常に、点滅光セットの点滅間隔に対応する幅となる。即ち、明暗線の(幅調製される)暗線の幅は、点滅光の消灯部分の時間間隔にのみ依存して決定される。更に、カメラモジュール60等のカメラ装置を光源11に対して傾斜させて撮影しても、CMOSイメージセンサに撮像される明暗線セットの明暗線が傾斜することはなく、常に、走査方向に直交する直線状となる。よって、このような場合に対処するための補正機能が不要となり、カメラ装置をどの角度として撮影しても所期の良好な結果を得ることができる。また、光源11は、点滅光を出力するが、この点滅動作は(上記のように、周期2000マイクロ秒等の)高速点滅動作となるため、通常の点灯状態と同様に視認され、点滅光にIDが含まれているにもかかわらず、人には認識できないものとなっている。また、従来の可視光通信は、「0」及び「1」のビット情報からなるタイムラインの信号を読み取るが、本発明は、撮像イメージをストライプ状の縞模様としてID化すると共に、CMOSイメージセンサの1フレームを撮像する間に一つのIDが含まれる構成であるため、非常に高速動作が可能となる。なお、この動作速度は、使用するカメラ装置やスマートフォン等に実装したカメラモジュールのCMOSイメージセンサの性能に応じた1秒間のフレーム数に依存し、CMOSイメージセンサの精度やリフレッシュレートに依存する。
上記実施の形態を含む本発明の可視光通信装置によれば、明暗線セットからなる撮像パターンの制御符号は、IDとして使用することができるが、制御符号をコード化して文字データとしたり、制御符号をURLを表す情報として使用することもでき、或いは、エラー訂正のための符号として使用することもできる。URLとして実現する場合、そのURLを送信して対応するウエブページを取得する等の処理をコンピュータ装置に実行させることもできる。なお、制御符号をID化する場合は、明暗線セットは、上記のようにCMOSイメージセンサ80の1フレーム内に収まる情報量ですむが、文字コード化する場合、2~3フレーム分の情報量が必要となる。また、URL化する場合も、同様に、2~3フレーム分の情報量が必要となる。
[別例1(RGB出力による情報量増大)]
上記実施の形態の可視光通信システムで説明した構成以外に、本発明の可視光通信システムは、各部の構成を変更して実施することもできる。例えば、上記実施の形態では、光源11から白色光等の同一色又は単色の点滅光を出力し、この点滅光からなる点滅光セットの各消灯部分の消灯間隔を増減調整することで、CMOSイメージセンサ80に撮像する明暗線セットの各暗線の幅を増減調整して符号化している。即ち、明暗線セットをモノクロ情報として撮像している。しかし、光源11からRGB(赤、緑、青)の3原色の光からなる点滅光を選択的に出力し、この3原色の点滅光からなる点滅光セットの各消灯部分の消灯間隔を増減調整することで、CMOSイメージセンサ80に撮像する明暗線セットの各暗線の幅を増減調整して符号化することもできる。この場合、明暗線セットの明線の色を認識することにより、明暗線セットによる符号化の際の情報量を、モノクロ情報として撮像する場合の情報量の3乗の情報量を確保することができる。更に、RGBの3原色以外の色を使用して、色数を増やすことも可能である。ただし、色数を増やすと、それに応じてエラーが増加するので、エラーが増加しないよう、色数を所定数以下に抑える必要がある。また、CMOSイメージセンサの1フレーム分のスペースの制約もあるため、色数を大きく増加することは好ましくない。
また、上記実施の形態では、明暗線セットの最初の2本の暗線を同一幅の暗線としてプリコードとして使用しているが、プリコードとしては、他の本数及び/又は幅(例えば、異なる幅)の暗線を使用することもできる。また、上記実施の形態では、明暗線セットは、6本の暗線からなる構成としているが、これを他の本数からなる構成とすることもできる。更に、明暗線セットの明線の幅を認識して符号化する構成としたり、明暗線セットの明線の幅及び暗線の幅を共に認識して符号化する構成とすることも理論上は可能である。
また、上記実施の形態を含む本発明の可視光通信装置において、左右一対の光源を用意すると共に、左側の光源からの点滅光セットを音声出力用とし、右側の光源からの点滅光セットを映像(動画)出力用とすることもできる。
まず、本発明の可視光通信システムの全体構成において、前記受光素子としての撮像素子としてCMOSイメージセンサを使用する場合、CMOSイメージセンサとしては、直線状の構成のものに加え、直線状でない構成のもの(例えば、曲線状の構成のもの等、非直線形状の構成のもの)も理論上は製作可能であり、将来的に開発されるこのようなCMOSイメージセンサも含め、任意のCMOSイメージセンサを使用することもできる。
また、上記実施の形態を含む本発明の可視光通信システムの全体構成においては、前記受光素子としての撮像素子(イメージセンサ)としては、CMOSイメージセンサを典型的な撮像素子として使用しているが、CMOSイメージセンサ以外にも、CMOSイメージセンサと同等の撮像動作を行うイメージセンサを使用することもできる。即ち、本発明の受光素子は、CCDイメージセンサのように同時にイメージを取得する撮像方式(グローバル露光方式又は同時撮像方式)ではなく、CMOSイメージセンサのようにずれたタイミングでイメージを取得する撮像方式(ライン露光方式又は順次撮像方式)と同等の撮像方式による撮像を行うものであれば、将来的に開発されるイメージセンサも含め、任意のイメージセンサを使用することができる。即ち、本発明の受光側装置に必要な本質的性質は、「同時にイメージを取得するものではない(ずれたタイミングで取得する)」構造であることであり、このような構造を備える限り、任意の構成を採用することができる。
上記実施の形態では、変調手段は、電気回路によるハードウエア構成からなる変調回路により実現され、光源に供給する発光駆動用の電力を制御する構成とされているが、光源から前記点滅光セットを出力できる限りにおいて、電力での変調以外の構成も採用することができ、例えば、液晶シャッターによる構成等、任意の構成を採用することができる。
可視光通信システムに具体化される本発明の本質的特徴は、大きく、以下の二点にある。即ち、(1)使用する撮像素子の「非同時のイメージ取得」という特性を用いることで、フレームレートを上回る転送レートを出す仕組み、及び、(2)この撮像素子に載せるコード及びデコード手法又は符号化・復号化手法(なお、今回の実装に係るコード・デコード手法はごく一例を示すにすぎない)。例えば、本発明の可視光通信システムは、光源の明るさの変化にできるだけ追従する工夫も盛り込んでいる(以下、この工夫に係る機能実現手段を「明度変化追従手段」という)。更には、本発明の可視光通信システムは、「ゆっくり明滅する光源」にも安定してデータを載せられる(任意に、即時に、データが得られる)工夫をしている(以下、この工夫に係る機能実現手段を「低速点滅光源用データ安定化手段」という)。また、本発明の可視光通信システムは、光源にフルカラーLEDを使用する場合は、フルカラーLEDの各色のLEDを個別に駆動することで(同期しつつも独立した情報を載せることで)、単位時間あたりに送信できる容量を増やせるという大変重要な性質を備えている(以下、この性質を達成するための機能実現手段を「データ送信容量増大手段」という)。
上記実施の形態を含む本発明の可視光通信システムでは、CMOSイメージセンサ等の撮像素子は、光源からの点滅光セットを経時的に入力し、(CMOSイメージセンサ等のローリングシャッター機能又はそれに相当する機能を利用して)一定時間間隔ごとに入力データとしての点滅光セットの各点滅光を撮像する構成であるが、この入力データの撮像のための時間間隔は、一定時間間隔でなくともよい。例えば、その時間間隔が既知であればその非一定の時間間隔を既知の情報に基づいて調整することで(或いは、未知であっても、事前校正することで)、本発明の可視光通信システムを構成することができる。また、この時間間隔が仮にランダムであったとしても、その揺らぎが一定範囲以内であれば、その揺らぎ範囲を考慮した制御を行うことで、本発明の可視光通信システムを構成することができる。即ち、撮像素子の撮像動作における前記時間間隔の要件としては、時間がずれていること(また、更には、ある時間間隔以下であること)だけが必要である。即ち、本発明の可視光通信システムは、入力データの撮像のための時間間隔が非一定である一方で既知の場合においてその非一定の時間間隔を既知の情報(即ち、既知の非一定時間間隔)に基づいて調整するための機能実現手段(以下、「非一定時間間隔調整手段」という)、入力データの撮像のための時間間隔が非一定である一方で既知の場合においてその非一定の時間間隔が未知の場合においてその非一定の時間間隔を事前校正するための機能実現手段(以下、「非一定時間間隔事前校正手段」という)、及び、入力データの撮像のための時間間隔が仮にランダムである一方でその揺らぎが一定範囲以内である場合においてその揺らぎ範囲を考慮した制御を実行するための機能実現手段(以下、「揺らぎ範囲に基づく非一定時間間隔制御手段」という)を設けることで、入力データの撮像のための時間間隔が非一定又はランダムである場合においても、上記と同様に所定の点滅光セットに応じた所定の明暗線セットを復元可能である。
上記実施の形態を含む本発明の可視光通信システムでは、CMOSイメージセンサ等の撮像素子は、光源からの点滅光セットを経時的に入力し、(CMOSイメージセンサ等のローリングシャッター機能又はそれに相当する機能を利用して)所定の方向(又は一定方向)に入力データとしての点滅光セットの各点滅光を撮像する構成であるが、この入力データの撮像のための方向は、一定方向でなくともよい。例えば、その方向が一定でなくても、その撮像順序が既知であればその非一定の方向を既知の情報に基づいて調整することで(或いは、未知であっても、事前校正することで)本発明の可視光通信システムを構成することができる。即ち、本発明の可視光通信システムは、入力データの撮像方向又は撮像順序が非一定方向である一方で既知の場合においてその非一定方向を既知の撮像順序に基づいて調整するための機能実現手段(以下、「非一定撮像順序調整手段」という)、入力データの撮像方向が非一定である一方で未知の場合においてその非一定の時間間隔を事前校正するための機能実現手段(以下、「非一定撮像順序事前校正手段」という)を設けることで、入力データの撮像順序が非一定又はランダムである場合においても、上記と同様に所定の点滅光セットに応じた所定の明暗線セットを復元可能である。
上記実施の形態を含む本発明の可視光通信システムでは、CMOSイメージセンサ等の撮像素子は、光源からの点滅光セットを経時的に入力し、(CMOSイメージセンサ等のローリングシャッター機能又はそれに相当する機能を利用して)所定の方向(又は一定方向、或いは、上記のような非一定の方向)に入力データとしての点滅光セットの各点滅光の位置をずらして(位置をシフトして)撮像する構成であるが、この入力データの撮像のための位置のシフトは、下記のように、一定の条件を満たせば、必ずしも必要ではない。即ち、上記実施の形態を含む本発明の可視光通信システムでは、撮像素子は、1フレーム分の走査時間内に1セット分の点滅光セットの点滅光を撮像している。これにより、この可視光通信システムは、1フレーム分の走査時間内で一つの点滅光セット(即ち、一つのコード情報)を処理することができ、(従来のように一つのコード情報を処理するために多数のフレームを必要とする場合と比較して)情報処理を大幅に高速化することができる。しかし、本発明の可視光通信システムは、撮像素子における1フレーム分の走査時間を分割して(例えば、1フレーム分の1/5に分割して)撮像し、その分割した時間範囲内で1セットの点滅光セットを撮像するように構成する動作方式を採用することもできる。即ち、この動作方式は、撮像素子のフレームを走査方向に分割して使用する動作方式と考えることもできる。こうすると、1フレームを更に複数に分割した短い走査時間内で一つの点滅光セットを処理することができ、情報処理を更に大幅に高速化することができる。更には、この動作方式を更に押し進めて、撮像素子の一素子だけを超高速で動作する光センサとして使用することも理論上は可能であり、この場合、「位置をずらして」撮影することを必要とせず、本発明の可視光通信システムを構成することができる。即ち、この場合、撮像素子の特定のアドレスの単一のフォトダイオードのみにより、光源からの点滅光セットを受光して、その受光した点滅光のタイミングに基づいて(即ち、点滅光の点滅間隔に基づいて)所定のパターン(即ち、点滅間隔のパターン)を読取り、点滅光セットのコード情報(符号化データ)を読解することも可能である。
上記実施の形態では、光源として、能動的に発光するLED等の能動的光源を使用したが、本発明の可視光通信システムは、他の光源からの光を反射して前記点滅光セットを出力するように構成することもでき、本発明の可視光システムにおける「光源」には、このような受動的光源も含む。また、本発明の可視光通信システムは、上記実施の形態では、発光側制御手段により、光源自体の発光動作を制御して、光源から直接的に所定の点滅光セットを出力する構成の機能実現手段(以下、「直接的点滅光出力手段」という)を採用しているが、光源からの発光を点滅光ではなく連続光とする一方で、光源と受光側装置との間に、前記光源からの連続光を所定の点滅光セットに変換して間接的に出力する構成の機能実現手段(以下、「間接的点滅光出力手段」という)を採用してもよい。例えば、このような間接的点滅光出力手段としては、光源からの連続光を機械式シャッター構造等によってオンオフ動作(開閉動作)するシャッター装置がある。また、このような間接的点滅光出力手段は、光源と受光側装置との間に配設して光源から直接入射する連続光(即ち、直接光)をオンオフ動作するよう構成してもよいが、光源からの連続光を一旦反射手段により反射した反射光を間接的点滅光出力手段によりオンオフ動作するよう構成してもよい。この場合、間接的点滅光出力手段は反射手段と受光側装置との間に配設する。なお、上記の場合、本発明の可視光通信システムにおいて、間接的点滅光出力手段や反射手段は、発光側装置に含まれる。
本発明の可視光通信システムは、上記実施の形態のように、発光側装置からの符号化データを受光側装置により復号化し、その復号化データに基づき、所定の処理をコンピュータ装置に実行させるための指令を出力するように構成する以外にも、出力側にコンピュータ装置を使用しない場合(即ち、出力側のコンピュータ装置に何らかの処理を指令する指令信号を出力しない場合)にも適用できる。例えば、本発明の可視光通信システムは、復号化データを指令信号として出力するのではなく、データとして表示したり、データとして活用するだけのアプリケーションにも適用することができる。また、本発明の可視光通信システムは、コンピュータ装置で利用する識別子や一意の情報(ID、パスワード、アカウント情報等)を表現するよう符号化データ及び複合化データを構成し、コンピュータ装置で利用する識別子や一意の情報を出力する構成として具体化することもできる。
本発明の可視光通信システムでは、撮影のシャッタースピードが落ちると、明線が「太くなる」現象が生じるとの知見を本発明者らは得ている。即ち、この現象により、光源からの点滅光におけるオン時間間隔とオフ時間間隔とが同一である場合でも、撮像素子に撮像される明線の幅が異なることがあるとの知見を、本発明者らは得ている。したがって、本発明の可視光通信システムを実現するための(所定のプログラムの)アルゴリズムでは、この現象を軽減するための手段(工夫)が施されている(以下、この工夫に係る機能実現手段を「低シャッタースピード用コード化手段」という)。
本発明の実施の形態1では、(CMOSイメージセンサ等の)受光イメージを一定時間ごとに一定方向に位置をずらしながら走査して撮像するタイプの撮像素子を使用することを想定して、撮像素子は、従来のパソコン用ディスプレイにおける走査方式であるプログレッシブ方式(ノンインターレース方式)と同様に、撮像素子の各露光ラインを一定方向に順次走査して撮像する構成となっている。したがって、この場合、発光側装置からの所定の点滅光セットに応じて撮像素子が撮像するのは、上記実施の形態1で述べたような明暗線セットのパターンとなる。なお、上記の場合における撮像素子の「露光ライン」とは、例えば、撮像素子の水平方向に隣接配置されて左右方向に延びる1列の画素ブロック(以下、「水平列ライン」という)の各々により構成され、或いは、撮像素子の垂直方向に隣接配置されて上下方向に延びる1列の画素ブロック(以下、「垂直列ライン」という)の各々により構成される。そして、この場合、撮像素子は、露光ラインの延びる方向と直交する方向、即ち、水平列ラインの場合は撮像素子の垂直方向となる上下方向(例えば、上端から下端に向かう方向)、垂直列ラインの場合は撮像素子の水平方向となる左右方向(例えば、左端から右端に向かう方向)に位置をずらしながら走査して、点滅光セットの点滅光を経時的に順次撮像することになる。具体的には、この場合、例えば、上記のように、撮像素子において垂直列ラインの画素ブロックを左右方向に(即ち、最も左端の垂直列ラインから右端の垂直列ラインに向かって、又は、最も右端の垂直列ラインから左端の垂直列ラインに向かって)位置をずらしながら走査して撮像する場合、点滅光セットのパターンに応じて、撮像素子の垂直方向に延びる明暗線からなる明暗線セットのパターンが撮像されることになる。
本発明の可視光通信システムは、撮像素子としてCMOSイメージセンサを使用する以外にも、発光側装置からの所定の点滅光セットの点滅光を、その点滅光の順序に応じた所定の順序で、経時的に撮像位置をずらしながら撮像する(即ち、画素ライン単位、画素単位又は画素ブロック単位で位置をずらしながら撮像する)ことにより、点滅光セットの符号化データに対応する完全な複合化データを正確に復元することができる限りにおいて、任意の撮像素子を使用することができる。例えば、CCDイメージセンサであっても、オンオフリレーにより、点滅光セットの点滅光を、その点滅光の順序に応じた所定の順序で、経時的に撮像位置をずらしながら撮像することも可能である。
本発明の可視光通信システムは、前記発光制御手段により生成する点滅光セットは、得るべき符号化データに応じて、点滅光セットを構成する点滅光の点滅間隔が非均一となることもあるが、符号化データにより表現する情報の種類が少なく、情報間の区別のための符号化データの種類が少なくなるような場合は、均一な点滅間隔の点滅光により点滅光セットを生成することも可能である。即ち、本発明の可視光通信システムは、前記発光制御手段により生成する点滅光セットの点滅光の点滅間隔が特定のパターンとなる限りにおいて、点滅光の点滅間隔を任意の間隔とすることができる。また、本発明の可視光通信システムは、前記発光制御手段により生成する点滅光セットは、所定の周期で点滅する所定の複数の点滅光により構成する以外に、所定の点滅タイミングで点滅する所定の複数の点滅光により構成することもできる。即ち、点滅光セットにより所定のパターンの点滅光を表現できる限りにおいて、点滅光セットの点滅光の点滅間隔は、周期性を有するもの以外に、任意の点滅タイミングとなる点滅間隔とすることもできる。
本発明の可視光通信システムは、実施の形態1では、一つの点滅光セットの時間間隔が、撮像素子の1回の走査時間間隔(及び、シャッタースピード)よりも短い時間間隔となるよう、発光制御手段により点滅光セットを生成し、これにより、点滅光セットのパターンに応じた明暗部のパターンを撮像素子に撮像して生成し、その結果、撮像素子の1フレームに相当する時間間隔内に所定の情報を表現する符号化データを包含させることで、撮像素子のフレームレートを超える高速な情報処理を可能としている。換言すれば、本発明の可視光通信システムは、撮像素子の1フレーム内で所定の情報処理を完結することができるが、表現すべき情報量が増大した場合、撮像素子の複数フレーム(2フレーム以上)にわたって1つの点滅光セットのパターンが撮像されるよう、発光制御手段により点滅光を発光制御すると共に、これにより撮像素子の複数フレームにわたって撮像された明暗部のパターンに基づき、点滅光セットのパターンが表現する符号化データに対応する複合化データを復元するよう、受光制御手段によって撮像素子による撮像データを処理することも可能である。
本発明の可視光通信システムは、上記のとおり、少なくとも1セットの点滅光セットの点滅光を、撮像素子の画素ライン単位や画素ブロック単位で一定方向又は任意の方向又はランダムに位置をずらしながら走査して撮像するため、各点滅光セットの時間間隔は、上記のとおり、撮像素子の1回分の走査時間以下の時間間隔となり、撮像素子のシャッタースピード以下の時間間隔となる。例えば、撮像素子のシャッタースピードが1/30秒の場合は、各点滅光セットの時間間隔は、1/30秒以下となり、撮像素子のシャッタースピードが1/60秒の場合は、各点滅光セットの時間間隔は、1/60秒以下となる。また、本発明の可視光通信システムは、上記のとおり、撮像素子における点滅光の入力タイミングと走査タイミングとの時間的ずれに関係なく、少なくとも1組の点滅光セットの全ての点滅光を撮像素子により完全に撮像できるよう、撮像素子の1回の走査時間内に撮像される点滅光セットの点滅光の数である1走査時間内点滅光数が、少なくとも、1組の点滅光セットの点滅光の総数の2倍より1少ない数となるよう、発光側制御手段による点滅光セットの点滅制御を行うことで、前記1組の点滅光セットの点滅光に対応して撮像素子の1操作時間内に撮像素子により撮像される明暗部の数である1走査時間内明暗部数が、少なくとも、1組の明暗部セットの明暗部の総数の2倍より1少ない数となるようにすることが好ましい。なお、この場合のシャッタリングは、撮像のラインごとに行われる。この場合、シャッターの開始時間が、フレームレートをライン数で割っただけずれているものと予想される。この場合、シャッターが閉じるタイミングについては、それぞれスタートからの経過時間(開放時間)で閉じられることとなる。(「開放時間」は、一フレーム内では、通常、同じ時間と思われる。)開放時間が、「ずれ」の時間より遅い場合は、線が太く写る。短い場合は、露出が抑えられるだけと考えられる。(被写体の動きが激しい場合は別であり、ラインごとの像が、とぎれとぎれになることがある。)
本発明の可視光通信システムは、実施の形態1では、1セットの点滅光セットの全体を1フレーム内に撮像することで、情報処理の高速化を図っているが、1セットの点滅光セットの符号長が1フレームを超えるような情報の場合、図12に示すような処理が可能である。具体的には、例えば、1セットの点滅光セットの符号長が1.5フレームに相当する長さとなる情報の場合、このままこの点滅光セットを撮像素子により撮像すると、この点滅光セットの点滅光は、2フレームにわたって撮像されることになる。このとき、フレーム間のタイミングで点滅光セットの点滅光が撮像素子に入射することがあるが、この場合、フレーム間の時間間隔を正確に予測して補完を行うことは容易でない。したがって、本実施例の可視光通信システムは、図12に示すように、例えば、1セットの点滅光セットの符号長が1フレームを越える長さで2フレーム未満の長さとなる情報の場合、撮像素子の連続する3フレームを使用してその撮像を行うよう、発光制御手段による制御を行う構成としている。例えば、1セットの点滅光セットの符号長が1.5フレームに相当する長さとなる情報の場合、撮像素子の連続する3フレームを使用してイメージを撮像素子に撮像させるよう、発光制御手段は、撮像素子のフレームレート(及び/またはシャッタースピード)に応じて、点滅光セットの符号長のうち、前半2/3の長さの符号部分の点滅光を1番目のフレームF1の時間間隔の範囲内で出力し(例えば、フレームF1の走査開始と同期して前半2/3の点滅光の最初の点滅光を出力すると共に、フレームF1の走査終了直前に前半2/3の点滅光の最後の点滅光を出力し)、次に、2番目のフレームF2に対応する時間間隔を置いて(即ち、2番目のフレームF2の時間間隔内では、残りの1/3の点滅光を出力せずに消灯動作を維持して待機し)、残りの後半1/3の長さの符号部分の点滅光を3番目のフレームF3の時間間隔の範囲内で出力する(例えば、フレームF3の走査開始と同期して後半1/3の点滅光の最初の点滅光を出力する)。こうすると、点滅光セットの符号長のうち、前半2/3の長さの符号部分の点滅光が3フレーム中の1番目のフレームF1に撮像され、次の2番目のフレームF2は点滅光は撮像されることなく空白フレームとなり、後半1/3の長さの符号部分の点滅光が3番目のフレームF3に撮像される。したがって、1セットの点滅光セットの撮像に撮像素子の3フレームを必要とし、上記実施の形態1のように撮像素子の1フレーム内に1セットの点滅光セットを撮像する場合と比較すると、情報処理速度は低下する(情報処理時間が3倍になる)が、それでも、フレームレートが30fpsの場合でも、1単位の点滅光セットの符号データの撮像時間は1/10秒となり、従来の可視光通信装置と比較して大幅に高速な情報処理が可能となる。また、複数フレームに渡る信号を載せる場合は、一連の情報のスタート、一連の情報のエンド、個別のデータの区切り(ダブったり抜けたりしないため)のマーカーが必要である。
本発明の可視光通信システムは、実施の形態1のように、点滅光セットのパターンに対応して撮像素子に明暗線セットのパターンを撮像する場合において、明暗線セットの明線の幅及び暗線の幅は、点滅光の点灯時間(オン時間)及び消灯時間(オフ時間)に対応する幅、即ち、同一又は比例する幅となるが、明線の場合、撮像素子の走査特性に依存して、撮像素子においてより高い明度の光を撮像した部分(即ち、輝度の大きい部分)において、明線の幅方向端縁が外方に膨出する傾向にあることを本発明者らは実験結果により確認している。例えば、図13に示すように、光源からの点滅光の強度が撮像素子の(露光ラインの長さ方向中央部で大きくなり、撮像素子の垂直方向中央部の輝度が他の部分より大きくなるような場合、明線の長さ方向中央部の両端縁が外方に張り出すように撮像される傾向にある。この場合、明線の幅及び暗線の幅の比率が、実際の点滅光の点灯間隔及び消灯間隔の比率と異なる比率になる(例えば、実際は6:4の比率が7:3として撮像される)可能性がある。
本発明の可視光通信システムは、発光性制御手段により、例えば、図15に示すような発光制御処理を行う。詳細には、図15に示すように、STEP1で、撮像素子の垂直方向(縦方向)の画素における輝度の平均化を行う(即ち、露光ラインの上の画素を縦方向に全て同じ平均輝度にする)。詳細には、STEP1では、露光ラインの長さ方向(上下方向)に沿って、中心付近の所定画素数文(例えば、50px分)の輝度を取得して、これらの輝度値に基づき1つの平均値を算出する。ここで、露光ラインの画素数が縦方向に768pxであるとすると、768個の全ての画素の輝度を取得して、それらの輝度の合計値に基づき(合計値/768)1つの平均値を算出することもできるが、処理量軽減等の観点から、また、撮像素子においては中心部では光強度が大きくなる傾向にあることから、中心部の所定画素数文の輝度を取得して、平均値を算出するようにしている。なお、撮像素子の特性として、露光ラインの長さ方向(縦方向)において入射光の輝度に差が生じることから、STEP1のように、縦方向においても輝度差を平均化する処理を実行するようにしている。
本発明の可視光通信システムは、図18に示す実施の形態2の発光部としての発光装置として具体化することができる。詳細には、発光装置200は、シート状又はカード状の基体201の内部に、(上記発光制御手段に相当する)マイコンチップ202と、電源203と、光源としてのLED204とを実装し、マイコンチップ202からの発光制御によりLED204を上記した所定の態様で点滅発光制御する。また、LED204の表面側には拡散層がLED204を覆うように設けられ、LED204からの点滅光を拡散して放射するようになっている。
本発明の可視光通信システムは、図19に示す実施の形態3の発光部としての発光装置として具体化することができる。詳細には、発光装置300は、通常の電球と同様の構成のソケット部301、電球部302及び発光部303を備え、電球部302及び発光部303の内部に、基板304を配設すると共に、基板304に、光源としてのLED305と、(上記発光制御手段に相当する)マイコンチップ306とを実装し、マイコンチップ306からの発光制御によりLED305を上記した所定の態様で点滅発光制御する。
本発明の可視光通信システムは、図20に示す実施の形態4の発光部としての発光装置として具体化することができる。詳細には、発光装置400は、通常のプロジェクタと同様の構成の基体401及びレンズ402を備え、基体401の内部に、(上記発光制御手段に相当する)マイコンチップ(図示略)を実装し、マイコンチップからの発光制御によりプロジェクタに内装した光源からの光を、上記した所定の態様で点滅発光制御する。また、発光装置400は、基体401の所定位置にスロット403を設け、所定形状(例えば、コイン型又はメダル型)の識別子提供装置410をスロット403に挿入することにより、識別子提供装置410に固有の識別子411を認識して、識別子411に応じた発光制御態様でレンズ402から前記点滅光セットに対応する点滅光を出力するようになっている。
本発明の可視光通信システムは、図21に示す実施の形態5の発光部としての発光装置として具体化することができる。詳細には、発光装置500は、コイン型の基体501の内部に、(上記発光制御手段に相当する)マイコンチップ502と、電源503と、光源としてのLED504とを実装し、マイコンチップ502からの発光制御によりLED504を上記した所定の態様で点滅発光制御する。また、マイコンチップ502の記憶部に、所定の通貨情報を格納しており、前記点滅光は、この通貨情報に対応したコード情報を提供するような点滅光セットとして出力される。
本発明の可視光通信システムは、図22に示す実施の形態6の発光部としての発光装置として具体化することができる。詳細には、発光装置600は、把持部601及び鍵部602を備え、把持部601の内部に、電源603と、(上記発光制御手段に相当する)マイコンチップ604とを実装すると共に、鍵部602の先端にLED606を実装し、マイコンチップ603からの発光制御によりLED606を、上記した所定の態様で点滅発光制御する。また、タブレットやスマートフォン等の携帯端末装置620のカメラレンズ部分に対応する位置には(3Dプリンタ等で製作した)嵌合部610が装着され、嵌合部610の鍵孔611に、発光装置600の鍵部602の先端を差し込んで嵌合することで、タブレット620がLED606からの点滅光パターンを認識して、その点滅光パターンに応じた動作を行うようになっている。
本発明の可視光通信システムは、図23に示す実施の形態7の発光部としての発光装置として具体化することができる。詳細には、発光装置700は、球状の基部701を備え、基部701の内部に、電源702と、(上記発光制御手段に相当する)マイコンチップ703と、LED705とを実装し、マイコンチップ703からの発光制御によりLED705を、上記した所定の態様で点滅発光制御する。また、基部701の内部には、図示はしないが、近距離無線通信装置が内蔵されている。更に、任意の位置に隠蔽状態で配置した発光装置700を、タブレットやスマートフォン等の携帯端末装置710が、そのGPS機能や近距離無線通信技術を使用して探索し、所定のアプリによりディスプレイ711に表示した探索画面720の探索領域721上に、探索した発光装置700の位置722を表示する。そして、探索された発光装置700のLED705から、その発光装置700に固有のパターンの点滅光セットを出力することで、携帯端末装置701がその点滅光セットに対応するコードを取得し、そのコードに応じた動作を実行する。
11:光源
20:発光部側制御ユニット(発光部側制御手段)
50:受光部(受光側装置)
60:カメラモジュール
80:CMOSイメージセンサ(撮像素子)
90:受光部側制御ユニット(受光部側制御手段)
Claims (17)
- 発光側装置と受光側装置とからなる可視光通信システムであって、
前記発光側装置は、
発光素子からなる光源と、
前記光源からの光を直接的にまたは間接的に所定の態様で出力するように制御する発光側制御手段とを備え、
前記受光側装置は、
前記光源の光を受光して、その受光イメージを経時的に位置をずらしながら異なる画素に露光して撮像し、その撮像データを出力する撮像素子と、
前記撮像素子からの撮像データを入力し、前記撮像データに基づき所定の制御を行う受光側制御手段とを備え、
前記発光側制御手段は、
前記光源からの光を直接的に又は間接的に使用して、所定の複数個の点滅光を出力すると共に、前記複数個の点滅光の点滅間隔を、それぞれ、固有の点滅間隔とすることで、前記複数個の点滅光を符号化してその符号化データを出力し、
前記受光側制御手段は、
前記光源からの前記複数個の点滅光を前記撮像素子に入力して、前記撮像素子により、前記複数の点滅光のそれぞれの固有の点滅間隔に対応するパターンを撮像し、そのパターンを出力して、そのパターンに基づき、前記点滅光からの符号化データを復号化し、
前記発光側制御手段は、更に、前記撮像素子の解像度に応じて、前記点滅光の各点灯時間及び各消灯時間が、前記撮像素子の複数画素にわたる露光時間以上の時間となるよう、前記点滅光の点滅間隔を設定して、前記点滅間隔の点滅光により所定の点滅光セットを構成し、
前記受光側制御手段では、所定の複数対数だけ連続する明暗線の集合により、1組の明暗線のセットである明暗線セットを構成し、この明暗線セットを前記受光側制御手段の前記パターンの撮像データとして使用して、一つの明暗線セットにおいて連続する明暗線の明線の幅及び/又は暗線の幅の相互の関係により、前記符号化データに対応する一意の情報を表現することを特徴とする可視光通信システム。 - 前記受光側制御手段は、
前記光源からの光を直接的に又は間接的に使用して前記複数個の点滅光を前記撮像素子に入力して、前記撮像素子により、前記複数の点滅光のそれぞれの固有の点滅間隔に対応するパターンを撮像し、そのパターンを出力して、そのパターンに基づき、前記点滅光からの符号化データを復号化して復号化データを出力し、
前記発光側制御手段では、前記明暗線セットの明暗線の数と同一の複数だけ連続する点滅光の集合により、前記点滅光の1組のセットである点滅光セットを構成し、前記点滅光セットを構成する各点滅光の点灯間隔及び消灯間隔の時間間隔のうち、少なくともいずれか一方の時間間隔を所定時間間隔に設定し、一つの点滅光セットにおいて連続する点滅光の時間間隔の相互の関係が、前記明暗線の幅の相互の関係と一致するようにしていることを特徴とする請求項1記載の可視光通信システム。 - 前記発光側制御手段は、
前記光源からの光を直接的に又は間接的に使用して、前記撮像素子の1フレーム分の走査時間内に、前記撮像素子の露光ラインの複数本に相当する所定の複数個の点滅光を出力すると共に、前記複数個の点滅光の点滅間隔を、それぞれ、固有の点滅間隔とすることで、前記複数個の点滅光を符号化してその符号化データを出力し、
前記受光側制御手段は、
前記複数個の点滅光を前記撮像素子に入力して、前記撮像素子により、前記複数個の点滅光と同一数の明暗線からなると共に、前記複数の点滅光のそれぞれの固有の点滅間隔に対応する幅をそれぞれ有する明暗線パターンを撮像し、その明暗線パターンを出力して、その明暗線パターンに基づき、前記点滅光からの符号化データを復号化して復号化データを出力し、
前記発光側制御手段では、前記点滅光の点灯部分の点灯間隔又は消灯部分の消灯間隔として、複数の相対的な間隔を設定することで、前記点滅光セットを構成し、
前記受光側制御手段では、前記明線の幅又は暗線の幅を、前記点滅光セットの点滅光の点灯部分の点灯間隔又は消灯部分の消灯間隔に対応する複数の相対的な間隔に設定することで、前記明暗線セットを構成することを特徴とする請求項1記載の可視光通信システム。 - 前記発光側制御手段は、
前記光源を所定の点滅タイミングで連続的に点滅駆動する点滅駆動手段と、
前記撮像素子の1フレーム分の走査時間内に、所定の点滅周期の点滅光が2以上の所定の複数からなるフレーム内点滅数以上包含されるように、前記点滅光の所定の点滅タイミングを設定する点滅タイミング設定手段と、
前記点滅光において、前記フレーム内点滅数の範囲内で、所定の複数だけ連続する一連の点滅光の集合を、前記点滅光の複数個と同一数である前記点滅光セットとして設定すると共に、前記点滅光セットの各々の点滅光について、そのオン時間とオフ時間のうちの少なくともいずれか一方を、前記点滅光の所定の点滅タイミングにおける初期設定値を基準として増減調整した所定の時間間隔である駆動用設定値に設定することで、前記点滅光セットの各々の点滅光の点滅間隔を駆動用点滅間隔へと設定する点滅光セット設定手段と、
前記点滅駆動手段による前記光源の点滅駆動を制御して、前記点滅光セットの各々の点滅光の点滅間隔が前記駆動用点滅間隔となるように変調する変調手段とを備え、
前記変調手段により変調した点滅光により前記光源を発光駆動することを特徴とする請求項2記載の可視光通信システム。 - 前記受光側装置は、
前記光源からの前記駆動用点滅間隔で点滅する点滅光を前記撮像素子により撮像することで、前記撮像素子の前記固有の特性を利用して、前記撮像素子による撮像イメージとして、前記点滅光セットの各点滅光のオン時間部分を直線状の明線とすると共にオフ時間部分を直線状の暗線とし、前記点滅光セットの点滅数に対応する数の前記明線及び前記暗線が交互に連続的に繰り返すストライプ状のパターンとなる縞模様イメージを撮像し、かつ、前記縞模様イメージにおける前記明線の各々の幅が、当該明線の元となる点滅光のオン時間部分に対する前記駆動用設定値に対応する幅となると共に、前記縞模様イメージにおける前記暗線の各々の幅が、当該暗線の元となる点滅光のオフ時間部分に対する前記駆動用設定値に対応する幅となるようにして、その縞模様イメージを前記点滅光セットのパターンデータとして前記撮像素子から出力し、
前記受光側制御手段は、前記撮像素子からの前記縞模様イメージからなる点滅光セットのパターンデータを入力し、そのパターンデータに基づき、コンピュータ装置に対応する所定の処理を実行させる指令を出力することを特徴とする請求項4記載の可視光通信装置。 - 前記受光側装置の撮像素子は、前記光源の光を受光して、ライン露光により、その受光イメージを一定時間ごとに所定の方向に位置をずらしながら走査して撮像し、その撮像データを出力するCMOSイメージセンサであり、
前記発光側制御手段は、
前記光源を所定の点滅周期で連続的に点滅駆動する点滅駆動手段と、
前記CMOSイメージセンサの1フレーム分の走査時間内に、所定の点滅周期の点滅光が2以上の所定の複数からなるフレーム内点滅数以上包含されるように、前記点滅光の所定の点滅周期を設定する点滅周期設定手段と、
前記点滅光において、前記フレーム内点滅数の範囲内で、所定の複数だけ連続する一連の点滅光の集合を、前記点滅光の複数個と同一数である点滅光セットとして設定すると共に、前記点滅光セットの各々の点滅光について、そのオン時間とオフ時間のうちの少なくともいずれか一方を、前記点滅光の所定の点滅タイミングにおける初期設定値を基準として増減調整した所定の時間間隔である駆動用設定値に設定することで、前記点滅光セットの各々の点滅光の点滅間隔を駆動用点滅間隔へと設定する点滅光セット設定手段と、
前記点滅駆動手段による前記光源の点滅駆動用の電力を、前記点滅光セットの各々の点滅光の点滅間隔が前記駆動用点滅間隔となるように変調する変調手段と、
前記変調手段からの点滅駆動用の電力を前記光源に供給して前記光源を発光駆動する発光駆動手段とを備えることを特徴とする請求項2記載の可視光通信システム。 - 前記受光側装置は、
前記光源からの前記駆動用点滅間隔で点滅する点滅光を前記CMOSイメージセンサにより撮像することで、前記CMOSイメージセンサのライン露光による固有の特性を利用して、前記CMOSイメージセンサによる撮像イメージとして、前記点滅光セットの各点滅光のオン時間部分を直線状の明線とすると共にオフ時間部分を直線状の暗線とし、前記点滅光セットの点滅数に対応する数の前記明線及び前記暗線が交互に連続的に繰り返すストライプ状のパターンとなる縞模様イメージを撮像し、かつ、前記縞模様イメージにおける前記明線の各々の幅が、当該明線の元となる点滅光のオン時間部分に対する前記駆動用設定値に対応する幅となると共に、前記縞模様イメージにおける前記暗線の各々の幅が、当該暗線の元となる点滅光のオフ時間部分に対する前記駆動用設定値に対応する幅となるようにして、その縞模様イメージを前記点滅光セットのパターンデータとして前記CMOSイメージセンサから出力し、
前記受光側制御手段は、前記CMOSイメージセンサからの前記縞模様イメージからなる点滅光セットのパターンデータを入力し、そのパターンデータに基づき、コンピュータ装置に対応する所定の処理を実行させる指令を出力することを特徴とする請求項6記載の可視光通信装置。 - 前記発光側制御手段により前記点滅光の点灯部分の点灯間隔又は消灯部分の消灯間隔を所定の調整単位で増減調整することで、前記撮像素子に撮像される前記明暗線セットの明線の幅又は暗線の幅を調整し、その調整幅の値をID化することで、制御用データ又は制御符号として使用することを特徴とする請求項1記載の可視光通信装置。
- 前記明暗線セットの明線の幅又は暗線の幅は、基準値である所定数の連続する複数ピクセル分の寸法を1単位として、複数単位分の幅に設定されることを特徴とする請求項1記載の可視光通信装置。
- 前記受光側制御手段は、更に、パターン認識手段を備え、
前記パターン認識手段は、前記撮像素子の出力した前記撮像データを入力し、その撮像データのパターンを認識するものであり、前記撮像素子の出力した前記明暗線セットのパターンにおいて、走査方向に連続する各明暗線と、各明暗線の幅とを認識し、その認識結果に応じた制御信号を出力することを特徴とする請求項1記載の可視光通信装置。 - 前記受光側制御手段は、更に、パターン認識手段及びマッチング手段を備え、
前記マッチング手段は、前記パターン認識手段からの信号を入力し、前記パターン認識手段の認識結果を所定の処理とマッチングするものであり、
前記明暗線セットのパターンに応じた特定の処理をコンピュータ装置に実行させるための特定の指令情報が、異なる明暗線セットごとに対応付けてデータベースに格納され、前記マッチング手段は、前記パターン認識手段から入力された信号であって、前記明暗線セットの制御符号の内容に対応する一意のコード情報を表す信号に基づき、前記撮像素子に撮像された明暗線セットのパターンを、特定の指令情報とマッチングし、そのマッチング情報に対応する信号を出力することを特徴とする請求項1記載の可視光通信装置。 - 前記明暗線セットの暗線の幅を認識して符号化することを特徴とする請求項1記載の可視光通信装置。
- 前記明暗線セットの明線の幅を認識して符号化することを特徴とする請求項1記載の可視光通信装置。
- 前記明暗線セットの明線の幅及び暗線の幅を共に認識して符号化することを特徴とする請求項1記載の可視光通信装置。
- 前記明暗線セットを構成する明暗線のうち、最初の明暗線を、前記明暗線セットの開始位置を認識するための開始位置認識用明暗線として設定し、残りの明暗線を、制御用データ又は制御符号となるデータ部として設定することを特徴とする請求項1記載の可視光通信装置。
- 前記発光側制御手段では、前記点滅光セットは、前記点滅光の点灯部分又は消灯部分について、それぞれ、固有の一定幅ではない点灯間隔又は消灯間隔を有し、
前記受光側装置では、前記撮像素子には、前記明暗線セットとして、前記点滅光セットの一定幅ではない点灯間隔又は消灯間隔に対応して、固有の一定幅ではない明線又は暗線からなる明暗線セットが撮像されることを特徴とする請求項1記載の可視光通信装置。 - 前記撮像素子には、入力された前記点滅光セットの点滅光に対応する明暗線からなる明暗線セットのパターンのみが撮像されることを特徴とする請求項1記載の可視光通信装置。
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