JP7085057B2 - 精錬装置及び方法 - Google Patents
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Description
とりべ炉(LF)精錬工程の末期には、溶鋼に弱いバブリング(「清浄バブリング」とも呼ぶ。)を行って溶鋼に混入された介在物を浮上させて分離する。弱いバブリングに用いられるアルゴンガスの流量の範囲は、溶鋼の鋼種及びとりべ炉(LF)精錬設備の構造的な特性に合うように適正な基準が存在し、操業者の主観的な判断に従い、適正な基準内においてアルゴンガスの流量がきめ細かく調節される。
溶鋼にガスをバブリングするに当たって、溶鋼の全体を満遍なく攪拌するためには、ある程度の裸湯の発生は避けられない。
また、耐熱性プラグが閉塞されれば、溶鋼に注入されるアルゴンガスの流量が必要以上に少なくなる虞があり、裸湯が適正な大きさよりも小さくなる虞がある。この場合、介在物が浮上して分離されないという不都合がある。
本発明の背景となる技術は、下記の特許文献に掲載されている。
前記精錬装置は、前記カバー部を貫通するように取り付けられる電極棒をさらに備え、前記カバー部は、中心部に前記電極棒が位置し、周縁部に前記貫通孔が位置し、前記カメラ部は、斜めに傾くように配設されることがよい。
前記カメラ部は、前記湯面を撮影して湯面画像を生成するカメラと、前記カメラが収められるハウジングと、前記ハウジングと前記カメラとの間にパージガスを注入するパージ流路と、前記ハウジングの内部に冷媒を循環させる冷却流路と、を備えることが好ましい。
前記制御部は、前記湯面への前記配設高さを導出する導出器と、前記配設高さ、前記配設角度、前記画角及び前記解像度を用いて、前記カメラの撮影領域のピクセルサイズを算出する第1の算出器と、前記湯面画像に含まれている裸湯領域のピクセル数を分析する分析器と、前記ピクセル数及び前記ピクセルサイズを用いて、裸湯の大きさを計算する第2の算出器と、を備えることがよい。
前記制御部は、前記裸湯の大きさに応じて、前記ノズル部に供給されるガスの流量を調節する流量制御器をさらに備えることが好ましい。
前記湯面画像を生成する過程は、前記カメラが上下方向に対して斜めに傾くようにして、前記カメラが斜めに傾いた状態で前記湯面を撮影して湯面画像を生成する過程を含むことが好ましい。
前記裸湯の大きさを算出する過程は、前記湯面への前記配設高さを導出する過程と、前記配設高さ、前記配設角度、前記画角及び前記解像度を用いて、前記カメラの撮影領域のピクセルサイズを算出する過程と、前記湯面画像に含まれている裸湯領域のピクセル数を分析する過程と、前記ピクセル数及び前記ピクセルサイズを用いて、裸湯の大きさを計算する過程と、を含むことがよい。
前記第2の高さを求める過程は、既知の溶融物の量と湯面の高さ情報を用いて、溶融物の量と湯面の高さとの間の比例関係を確立し、前記比例関係を用いて、前記容器部内の溶融物の量に対する湯面の高さを推定して第2の高さを求める過程を含むことができる。
前記ピクセル数を分析する過程は、前記湯面画像を明るい部分と暗い部分とに二進化処理して、明るい部分と暗い部分との間の境界に閉曲線を描く過程と、前記閉曲線内のピクセル数を数える過程と、を含むことが好ましい。
前記裸湯の大きさを計算する過程は、前記ピクセル数と前記ピクセルサイズとを乗算して裸湯の大きさを算出する過程と、前記裸湯の大きさと同じ大きさを有する円形状に前記裸湯の形状を切り換える過程と、前記円形状に切り換えられた裸湯の形状の直径を求めて裸湯の変換大きさを求める過程と、を含むことが好ましい。
前記精錬方法は、前記裸湯の大きさを算出する過程後に、前記裸湯の大きさを用いて前記ガスの流量を調節する過程をさらに含むことがよい。
すなわち、裸湯の大きさの算出にカメラの配設情報と画角及び解像度を用いることにより、一台のカメラで取得した一枚の単視点の湯面画像のみをもって裸湯の大きさを正確に算出することができる。したがって、裸湯の大きさの算出のために複数台のカメラを用いる必要がないので、裸湯の大きさの算出のためのカメラの台数を一台に減らすことができる。このため、装置の構造を単純化させることができ、その分のコストを節減することができ、溶鋼のスプラッシュなどの劣悪な工程環境によるカメラの損傷の可能性を最小化させることができる。
また、正確な値として算出された裸湯の大きさに基づいて、溶鋼に注入されるアルゴンガスの流量を適切に調節することができる。したがって、溶鋼の清浄バブリングを行う間に、裸湯の大きさを最適な大きさに制御することができ、その結果、精錬工程の効率を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態に係る精錬装置について説明する。以下では、精錬装置としてとりべ炉(LF)精錬装置を例示する。いうまでもなく、精錬装置は、各種の処理物の処理工程を行う多種多様な処理装置にも適用可能である。
また、本発明の実施形態に係る精錬装置は、容器部10の開かれた上部を覆うように取り付けられ、一方の側に貫通孔22が形成され、他方の側に投入口21が形成されるカバー部20と、カバー部20を貫通するように取り付けられる電極棒30と、貫通孔22を覆えるようにカバー部20に取り付けられ、互いに積層され、それぞれ水平に移動可能なゲート部62、63と、投入口21の上側に配設される投入部40と、投入口21と投入部40との間に配置され、水平に移動可能な開閉部61と、貫通孔22の上側に配置されるサンプリング部50と、をさらに備えることができる。
容器部10は、とりべ(Ladle)を備えることができる。とりべは、底面板及び側壁を備える。底面板は、水平方向に延び、所定の面積を有している。底面板は、例えば、円板状であってもよい。側壁は、底面板の周りに沿って延び、上側に所定の高さだけ突き出ることがよい。側壁は、例えば、中空の円筒状であってもよい。
ノズル部11は、多孔質の耐熱性プラグ(「ポーラスプラグ」とも称する。)を備える。ノズル部11は、溶融物Mにガスgを吹き込むことがよい。ノズル部11の本数は、一本または複数本であることができる。ノズル部11は、容器部10の底面板を貫通するように配設されることがよい。
ノズル部11は、ガスg、例えば、アルゴン(Ar)ガスを溶融物Mに相対的に強く吹き込みながらバブリングすることができる。ガスgの強いバブリングにより溶融物Mが満遍なく攪拌されることが可能になり、溶融物Mの温度が下がる。また、ノズル部11は、ガスgを溶融物Mに相対的に弱く吹き込んでバブリングしてもよい。ガスgの弱いバブリングにより溶融物M中の介在物が浮上して分離することが可能になる。
一方、溶融物Mを全体的に円滑に攪拌するためには、裸湯Nの発生が不可避である。もし、裸湯Nが生じない程度にガスgの吹き込み量を減らせば、容器部10の内部に溶融物Mの渋滞領域が生じる。
基準の大きさは、溶融物Mと、ガスg及びスラグSの物性をもって理論的に定めてもよく、とりべ炉(LF)精錬工程の縮小模型実験を通じて実験的に定めてもよい。あるいは、基準の大きさは、以前のとりべ炉(LF)精錬工程において取得した裸湯の大きさ情報と溶鋼サンプリング実績などを取りまとめた結果から経験的に導出してもよい。
いうまでもなく、基準の大きさを定める方式は様々であってよい。基準の大きさは、制御部に予め入力されてもよい。基準の大きさを正常大きさと称することもある。
カバー部20は、容器部10の上側に配設されることがよい。カバー部20は、クレーン(図示せず)に支持されてもよく、あるいは、その他の各種の昇降手段(図示せず)に支持されてもよい。カバー部20は、クレーンもしくは各種の昇降手段により上下方向に高さが調節される。このとき、各種の昇降手段は、油圧シリンダーや空圧シリンダーなど様々であってもよい。
投入口21と貫通孔22は、カバー部20の周縁部の両側にそれぞれ形成され、水平方向に互いに離れていることがよい。このとき、貫通孔22は、カバー部20の周縁部の一方の側を上下方向に貫通するように形成される。また、投入口21は、カバー部20の周縁部の他方の側を上下方向に貫通するように形成される。
電極棒30は、電源供給器(図示せず)に接続され、例えば、3相電流を供給される。電極棒30は、アーク(arc)を生成してもよい。このとき、アーク熱により溶融物Mが昇温される。溶融物Mが昇温される間に、容器部10とカバー部20との間にスプラッシュ(splash)s’が生じてもよい。このとき、スプラッシュs’は、カバー部20により外部への流出が極力抑えられたり防がれたりすることがよい。また、高温のアーク熱もまたカバー部20により外部への放射が遮断されることがよい。
開閉部61は、投入口21を開閉可能なようにカバー部20に配設される。開閉部61は、油圧シリンダー、空圧シリンダーもしくはリニアモーターなどの駆動器(図示せず)に接続されることがよい。開閉部61は、駆動器により水平方向に動くことができる。このような動きにより投入口21の開閉が可能である。
サンプリング部50の下降の際に、下ゲート部62と上ゲート部63が両方とも水平方向に動いて貫通孔22の開閉を調節しすることがよい。また、カメラ部70の作動の際に、下ゲート部62のみを動かして貫通孔22の外側に移動させ、上ゲート部63に形成された開口64を介してカメラ部70が溶融物Mと向かい合ってもよい。このとき、開口64の内径は、貫通孔22の内径よりも小さくてもよい。
ノズル部11を用いて、溶融物Mにガスgを吹き込んてバブリングする最中に、ノズル部11にひび割れが生じたり、ノズル部11が閉塞されたりすることがある。このため、ガスgが溶融物Mに過剰に多く吹き込まれたり、過剰に少なく吹き込まれたりする虞がある。
ここで、ガスgが溶融物Mに過剰に多く吹き込まれるということは、例えば、溶融物Mの全体の領域に吹き込まれるガスgの流量が過剰に多くなる、あるいは、ひび割れと隣り合う溶融物Mの所定の領域にガスgが偏って吹き込まれることを意味する。
したがって、溶融物Mにガスgを吹き込む間に、介在物の発生を減らしながら、溶融物Mの均一な攪拌のために、裸湯Nの大きさが基準の大きさを保つかどうかを確認する必要がある。また、裸湯Nの大きさが基準の大きさから外れると、裸湯Nの大きさが基準の大きさになるようにノズル部11に供給されるガスgの流量を調節する必要がある。
本発明の実施形態においては、カメラ部70を用いて溶融物Mの湯面画像を取得してもよい。また、制御部(図示せず)を用いて裸湯の大きさを正確に算出することができ、ガスgの流量を調節することができ、裸湯の大きさを適正な大きさに保つことができる。
例えば、溶融物Mの湯面画像から裸湯の大きさを正確に算出するために、できる限り、湯面の中心部を垂直に見下ろす位置にカメラ部70を配置し、カメラ部70を用いて湯面画像を撮影し、撮影された湯面画像を分析して裸湯の大きさを算出してもよい。
しかしながら、溶融物Mの精錬工程、例えば、とりべ炉(LF)精錬工程のために電極棒30を湯面の中心部に置かなければならない。したがって、湯面の中心部を垂直に見下ろす位置(湯面の中心部の直ぐ上部)においてカメラ部70を用いて湯面を撮影することが困難である。
しかしながら、カバー部20に電極棒30、開閉部61及びゲート部62、63がそれぞれ配設され、かつ、カバー部20の上側に投入部40及びサンプリング部50が配設される。すなわち、電極棒30、開閉部61及びゲート部62、63とカメラ部70の間の干渉を防ぐことを考慮すれば、カメラ部70の配設位置は制限的である。このように、カバー部20の構造的な特性によりカバー部20にカメラ部70の配設のための余裕空間を設けにくい。したがって、カバー部20に複数のカメラ部70を配設しにくい。このことから、湯面の周縁部を見下ろす複数の位置においてそれぞれ異なる視点から湯面を撮影することが困難である。
したがって、本発明の実施形態においては、カメラ部70の配設とメンテナンスが行われやすいように、一つのカメラ部70が上ゲート部63の上部に斜めに傾くように配設されることがよい。また、溶融物Mへのカメラ部70の露出を極力抑えるように、カメラ部70の形状は、丸棒状であることがよい。
カメラ部70は、容器部10の上側に配設されることがよい。このとき、一つのカメラ部70が貫通孔22の上部に位置することがよい。カメラ部70は、後述する中心軸L2が上下方向の軸L1から所定の角度θをもって斜めに傾くように配設されることがよい。すなわち、カメラ部70は、湯面に対して斜めに配設され、湯面の中心部の上側ではなく、周縁部の上側に位置することがよい。カメラ部70は、ピン状であってもよい。カメラ部70は、溶融物Mの湯面を撮影し、湯面画像を生成する。
カメラ部70と貫通孔22との間に上ゲート部63及び下ゲート部62が配置されてもよい。上ゲート部63と下ゲート部62は、互いに積層されてもよく、それぞれ水平移動してもよい。
貫通孔22は、サンプリング部50の通過のための所定の大きさに形成されるが、この大きさは、カメラ部70にとって必要以上に大きい。このため、上ゲート部63に貫通孔22よりも小さな大きさの開口64を設け、開口64を介して湯面にカメラ部70を露出させることにより、カメラ部70が溶融物Mの高温に露出される面積をかなり減らすことができる。
下ゲート部62が水平方向に移動して貫通孔22を開くと、カメラ部70が溶融物Mの湯面を撮影してもよい。より具体的に、カメラ部70は、上ゲート部63に形成された開口64と開口64の下側に位置する貫通孔22を介して溶融物Mの湯面画像を円滑に撮影してもよい。
カメラ部70は、湯面画像を生成するカメラ72と、カメラ72が収められるハウジング71と、ハウジング71とカメラ72との間にパージガスを注入するパージ流路74及びハウジング71の内部に冷媒を循環させる冷却流路73を備えていてもよい。カメラ72は、ピン状であってもよく、カメラ72の中心軸L2が上下方向の軸L1に対して所定の角度θにて斜めに傾いてもよい。すなわち、カメラ72は、上下方向(「鉛直方向」とも称する。)に対して斜めに配設されていることがよい。ハウジング71は、中空状の丸棒状であってもよく、内部にカメラ72が挿入される。冷却流路73は、冷媒供給源(図示せず)に連結され、冷媒として、例えば、水を供給されてもよい。
このために、パージ流路74が突出部を貫通するように形成されることがよい。また、パージ流路74の端部(出口)が突出部の内周面に位置することがよい。パージ流路74は、パージガス供給源(図示せず)に連結され、パージガスを供給することがよい。パージガスは、例えば、アルゴンガス、窒素ガス及び空気のうちから選ばれる少なくとも一種以上のガスであってもよい。
湯面画像が一台のカメラ72により撮影されるという点で、湯面画像を1チャンネル単視点の湯面画像と称することができる。
図1から図6に基づいて、本発明の実施形態に係る制御部について説明する。
カメラ部70の配設情報を、簡単にカメラの配設情報もしくは配設情報と称する。配設情報は、具体的に、カメラ72の配設高さ及び配設角度を含んでもよい。カメラ部70の性能情報を、簡単にカメラ性能情報もしくは性能情報と称する。性能情報は、具体的に、カメラ72の画角及び解像度を含んでもよい。カメラ72の配設高さを、簡単に配設高さと称し、カメラ72の配設角度を、簡単に配設角度と称する。また、カメラ72の画角を、簡単に画角と称し、カメラ72の解像度を、簡単に解像度と称する。
画角は、カメラ72が撮影可能な被写体の範囲を光学系、例えば、レンズを基準点として角度で表わしたものである。解像度とは、撮影された画像を構成するピクセルの数を意味する。ピクセルとは、撮影された画像を構成する最小単位の画素を意味する。
制御部が湯面画像から裸湯の大きさを正確に算出するためには、裸湯領域のピクセル数を分析し、ピクセル数に応じた裸湯Nの大きさを計算しなければならない。このとき、ピクセル数に応じた裸湯の大きさを計算するためには、撮影領域のピクセルサイズが必要である。また、撮影領域のピクセルサイズを計算するためには、溶融物Mの湯面への配設高さが必要である。
図3を参照すると、湯面への配設高さHは、容器部10の上端部からカメラ72までの高さである第1の高さHaと、容器部10の上端部から湯面までの高さである第2の高さHbと、を含む。第1の高さHaは、容器部10及びカバー部20の形状と、配設構造及びカメラ部70の配設位置から計算もしくは測定される。第1の高さHaは、導出器に予め入力されてもよい。
既知の溶融物Mの重量と湯面の高さ情報は、表1の通りである。
[数1]
Hbt=[(Hb2-Hb1)÷(w1-w2)]×(w1-wt)+Hb1
ここで、w1とは、予め与えられた溶融物の重量の最初の値を意味し、w2とは、予め与えられた溶融物の重量の二番目の値を意味し、Hb1とは、予め与えられた湯面の高さの最初の値を意味し、Hb2とは、予め与えられた湯面の高さの二番目の値を意味する。wtとは、容器部10に収められた溶融物Mの重量を意味する。Hbtは、容器部10に収められた溶融物Mに対する第2の高さ値である。
ここで、上述した数値は、導出器の説明のための一つの例示にすぎない。
いうまでもなく、容器部10の内部空間の形状及び大きさと溶融物Mの体積を用いて第2の高さHbを求めてもよい。
図5を参照すると、第1の算出器は、配設高さHと、配設角度と、画角及び解像度を用いて、カメラ72の撮影領域のピクセルサイズを算出してもよい。このとき、数式2と数式3が用いられてもよい。一方、上述した配設角度とは、上下方向に対するカメラ72の中心軸L2の勾配(傾斜)を意味する。
予め入力された解像度が640×480ピクセルであり、配設角度θ1が15°であり、画角θ1が55°であり、カメラ部70がカメラ部70の撮影領域の横辺と縦辺のうち横辺に対して斜めに傾くように配設されることを基準として、第1の算出器において撮影領域のピクセルサイズを算出する方式について具体的に説明する。以下において、説明のしやすさのために、カメラ部70の撮影領域を、簡単に撮影領域と称する。このとき、撮影領域の横辺は、x軸方向に延びた辺であってもよく、撮影領域の縦辺は、Y軸方向に延びた辺であってもよい。
[数2-1]
X1=tan((0.5×θ2)-θ1)×H
[数2-2]
X2=tan((0.5×θ2)+θ1)×H
[数2-3]
X=X1+X2
[数2-4]
Y=2×tan(0.5×θ2)×H
第1の線分X1の長さは、数式2-1を用いて求めてもよい。第1の斜辺L3と第1の垂線L1Xとの夾角を求め、タンジェントの定義を用いて、数式2-1のように第1の線分X1の長さを計算してもよい。このとき、第1の斜辺L3は、カメラ部70が配設された個所P1と撮影領域の横辺Xの一方の終端とをつないだ線分である。
数式2-3を用いて、第1の線分X1と第2の線分X2を合算して撮影領域の横辺Xの長さを計算する。溶融物Mの重量が320トンであり、配設高さHが1,992mmであり、解像度が640×480ピクセルであり、配設角度θ1が15°であり、画角θ1が55°であるとき、撮影領域の横辺Xの長さを計算して、2,267mmの値を得た。このとき、計算の際に小数点以下を四捨五入した。
第3の斜辺L5は、撮影領域の縦辺Yの一方の終端とカメラ部70が配設された個所P1とをつないだ線分であり、第4の斜辺L6は、撮影領域の縦辺Yの他方の終端とカメラ部70が配設された個所P1とをつないだ線分である。一方、第3の斜辺L5と第4の斜辺L6は、第2の垂線L1Yに対して対称をなしてもよい。
すなわち、カメラ部70は、溶融物Mの湯面と同じ高さの所定の平面上において斜めに傾いた方向、例えば、x軸方向に2,267mmの大きさ、斜めに傾いていない方向、例えば、y軸方向に2,074mmの大きさに相当する撮影領域を撮影して湯面画像を生成してもよい。
[数3-1]
dX=X÷横解像度
[数3-2]
dY=Y÷縦解像度
[数3-3]
dA=dX×dY
ここで、横解像度は640ピクセルであり、縦解像度は480ピクセルである。Xは撮影領域の横辺の長さであって、その値は2,267mmである。また、Yは撮影領域の縦辺の長さであって、その値は2,074mmである。いうまでもなく、このような数値は、第1の算出器において撮影領域のピクセルサイズを算出する方式について具体的に説明するための一つの例示である。ここで、ピクセルサイズは、1ピクセルサイズである。
このように、第1の算出器は、配設角度、画角及び配設高さが既知であれば、撮影領域の横辺の長さと縦辺の長さを求めることができ、撮影領域の横辺の長さと縦辺の長さを求めた後、解像度を用いて撮影領域のピクセルサイズを求めることができる。
例えば、横解像度を480ピクセルとし、縦解像度を640ピクセルとして、撮影領域の横辺のピクセルの長さを求め、撮影領域の縦辺のピクセルの長さを求め、撮影領域のピクセルサイズ(dA)を計算すれば、その結果が15.2928mm2と同様に計算されることができる。すなわち、上述した一連の計算を介して撮影領域のピクセルサイズ(dA)を同様に求めることができる。
図6を参照すると、分析器は、湯面画像に含まれている裸湯領域のピクセル数を分析してもよい。具体的に、分析器は、湯面画像の解像度に応じた明るさを用いて、裸湯領域のピクセル数を分析する。分析器は、撮影された湯面画像を入力される。このとき、湯面画像には、裸湯NとスラグSがそれぞれ所定の領域をなしている。分析器は、予め入力された基準明るさを用いて裸湯領域とスラグ領域を仕分けする。分析器は、湯面画像を二進化処理し、二進化処理された湯面画像のピクセルのうち、基準明るさよりも明るいピクセルを裸湯領域のピクセルとして仕分けし、基準明るさよりも暗いピクセルをスラグ領域のピクセルとして仕分けする。分析器は、裸湯領域のピクセルとスラグ領域のピクセルとの間の境界に閉曲線を描いた後、閉曲線内のピクセル数を数えて数えられたピクセル数を裸湯領域のピクセル数として導出してもよい。ここで、閉曲線が複数本であれば、それぞれの閉曲線別にピクセル数を導出した後、最も大きな値を裸湯領域のピクセル数として選択してもよい。
第2の算出器は、裸湯領域のピクセル数と算出された撮影領域のピクセルサイズを用いて、裸湯の大きさを計算してもよい。例えば、第2の算出器は、分析器において導出したピクセル数を第2の算出器において算出したピクセルサイズに乗算して裸湯の大きさを計算してもよい。
これに対し、流量制御器は、裸湯の大きさを変換して変換大きさを求め、変換大きさを予め入力された基準変換大きさと対比して、対比結果に基づいて、ノズル部11に供給されるガスgの流量を調節してもよい。
Deq=sqrt(裸湯の大きさ×4/π)
ここで、sqrtとは、ルート、Deqは変換大きさを意味する。変換大きさ(Deq)は、長さの次元を有する値であってもよい。これに対し、裸湯の大きさは、広さの次元を有する値であってもよい。
変換大きさ(Deq)は、裸湯の大きさ(面積)と同じ大きさ(面積)の円を想定し、当該円の直径を求めて、求めた直径を変換大きさ(Deq)と定めたものである。流量制御器は、数式4を用いて、変換大きさ(Deq)を求めてもよい。すなわち、2次元値を有する裸湯の大きさを1次元値を有する変換大きさに変換して次元を低めてもよい。
湯面に形成される裸湯の形状は、例えば、直方形や円形といったような一定した形状ではなく、図6に示すように、不規則的な形状を有する。基準の大きさが湯面の実際の形状を反映し難いため、基準の大きさを定めるとき、湯面形状を円形と仮定すれば、基準の大きさを容易に定めることができる。ここで、基準の大きさと同じ面積を有する円形と仮定した湯面形状の直径を基準変換大きさとする。したがって、流量制御器は、変換大きさを用いてより手軽に制御可能である。
本発明の実施形態に係る精錬方法は、溶融物Mが入れられた容器部10を設ける過程と、溶融物Mにガスgを吹き込みながらバブリングする過程と、カメラ72で溶融物Mの湯面を撮影して湯面画像を生成する過程と、湯面画像と、カメラ72の配設情報及びカメラ72の性能情報を用いて湯面中の裸湯の大きさを算出する過程と、を含む。
さらに、本発明の実施形態に係る精錬方法は、裸湯の大きさを算出する過程の後に、裸湯の大きさを用いてガスの流量を調節する過程をさらに含むことができる。
まず、溶融物Mが入れられた容器部10を設ける。例えば、溶融物Mは、とりべ炉(LF)精錬工程を行うために用意された溶鋼である。すなわち、転炉精錬工程において生産された溶鋼を容器部10に出鋼する。次いで、容器部10を搬送して、カバー部20の下に位置させる。そして、カバー部20を下降させて容器部10の開かれた上部にカバー部20を取り付ける。
次いで、電極棒30を下降させてスラグSに浸漬し、電極棒30を用いて溶融物Mの上部にアークを生じさせる。この過程を介して溶融物Mの温度を昇温させる(図2参照)。溶融物Mの昇温が終わると、電極棒30を上昇させる。
一方、カメラ72で湯面を撮影して湯面画像を生成する過程の最中に、カメラが収められたハウジング71の内部に冷媒を循環させ、ハウジング71とカメラ72との間にパージガスを注入する。このため、カメラ72が湯面を撮影する間にカメラ72が高温の熱気と飛散物から保護されることが可能になる。
すなわち、制御部の導出器を用いて湯面への配設高さを導出し、制御部の第1の算出器を用いて、かつ、配設高さと、配設角度と、画角及び解像度を用いて、撮影領域のピクセルサイズを算出する。次いで、制御部の分析器を用いて、湯面画像に含まれている裸湯領域のピクセル数を分析する。次いで、制御部の第2の算出器を用いて、かつ、ピクセル数及びピクセルサイズを用いて裸湯の大きさを計算する。湯面への配設高さを導出する過程と、ピクセルサイズを算出する過程と、ピクセル数を分析する過程及び裸湯の大きさを計算する過程の詳細については、上述した精錬装置の制御部について説明しながら詳しく説明したため、以下では簡略に説明する。
ここで、第2の高さHbを求める過程は、次の通りである。既知の溶融物の量と湯面の高さ情報を用いて、溶融物の量と湯面の高さとの間の比例関係を上述した数式1のように確立し、数式1を用いて、容器部内の溶融物の量に対する湯面の高さを推定して推定された高さを第2の高さとして求めてもよい。
ピクセル数を分析する過程は、次の通りである。湯面画像を明るい部分と暗い部分とに二進化処理して、明るい部分と暗い部分との間の境界に閉曲線を描く。次いで、閉曲線内のピクセル数を数えてピクセル数として導出してもよい。このとき、閉曲線が複数本であれば、各閉曲線別にピクセル数を数えて最も大きな値を選択してピクセル数として導出してもよい。
次いで、制御部の流量制御器を用いて、裸湯の大きさに応じてガスの流量を調節する。すなわち、流量制御器は、裸湯の大きさを予め入力された基準の大きさと対比し、裸湯の大きさが基準の大きさに含まれれば、ガスの流量を保つ。あるいは、流量制御器は、裸湯の大きさが基準の大きさよりも小さければ、ノズル部11に供給されるガスの流量を増加させる。あるいは、流量制御器は、裸湯の大きさが基準の大きさよりも大きければ、ノズル部11に供給されるガスの流量を減少させる。
流量制御器が変換大きさを用いて、ガスの流量を制御する過程の詳細については、上述した精錬装置の制御部について説明しながら詳しく説明したため、ここでは説明を省略する。
ガスgの弱いバブリングが終わると、ノズル部11へのガスgの供給を中断し、カバー部20を上昇させた後、後続工程に容器部10を搬送する。後続工程は、例えば、真空脱ガス工程もしくは連続鋳造工程であってもよい。
2 第2の方向
3 第3の方向
10 容器部
11 ノズル部
20 カバー部
21 投入口
22 貫通孔
30 電極棒
40 投入部
41 ホッパー
42 投入管
50 サンプリング部
61 開閉部
62 下ゲート部
63 上ゲート部
64 開口
70 カメラ部
71 ハウジング
72 (湯面画像を生成する)カメラ
73 冷却流路
74 パージ流路
C 投入物
g ガス
H 湯面への配設高さ
Ha 第1の高さ(容器部の上端部からカメラまでの高さ)
Hb 第2の高さ(容器部の上端部から湯面までの高さ)
L1 上下方向の軸
L2 中心軸
LF とりべ炉
M 溶融物
N 裸湯
S スラグ
s’ スプラッシュ(splash)
θ L1からの角度
Claims (18)
- 上部が開かれ、内部に溶融物を精錬可能な空間が形成される容器部と、
ガスを吹き込めるように形成され、前記容器部に配設されるノズル部と、
前記容器部の上側に配設され、前記溶融物の湯面を撮影するカメラ部と、
前記カメラ部から取得した湯面画像と、前記カメラ部の配設情報及び前記カメラ部の性能情報を用いて、前記湯面中の裸湯の大きさを算出する制御部と、
を備え、
前記配設情報は、前記カメラ部のカメラの配設高さ及び配設角度であり、
前記性能情報は、前記カメラ部のカメラの画角及び解像度であり、
前記制御部は、
前記配設高さ、配設角度、画角及び解像度を用いて、前記カメラ部の撮影領域のピクセルサイズを算出する第1の算出器と、
前記湯面画像に含まれている裸湯領域のピクセル数を分析する分析器と、
前記ピクセル数及びピクセルサイズを用いて、2次元値の裸湯の大きさを計算する第2の算出器と、
前記2次元値の裸湯の大きさを1次元値の変換大きさに変換し、前記変換大きさに応じて、前記ノズル部に供給されるガスの流量を調節する流量制御器と、
を備えることを特徴とする精錬装置。 - 前記容器部の開かれた上部を覆うように取り付けられるカバー部をさらに備え、
前記カバー部は、一方の側に貫通孔が形成され、
一台の前記カメラ部が前記貫通孔の上側に位置することを特徴とする請求項1に記載の精錬装置。 - 前記カバー部を貫通するように取り付けられる電極棒をさらに備え、
前記カバー部は、中心部に前記電極棒が位置し、周縁部に前記貫通孔が位置し、
前記カメラ部は、斜めに傾くように配設されることを特徴とする請求項2に記載の精錬装置。 - 前記貫通孔と前記カメラ部との間に配置され、互いに積層され、それぞれ水平に移動可能なゲート部をさらに備え、
前記ゲート部のうちのいずれか一つは、前記貫通孔よりも小さな開口が形成され、
前記カメラ部は、前記開口の上側に位置し、前記開口が形成されたゲート部の上部に固定されることを特徴とする請求項3に記載の精錬装置。 - 前記カメラ部は、
前記湯面を撮影して湯面画像を生成するカメラと、
前記カメラが収められるハウジングと、
前記ハウジングと前記カメラとの間にパージガスを注入するパージ流路と、
前記ハウジングの内部に冷媒を循環させる冷却流路と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の精錬装置。 - 前記湯面画像は、単視点の湯面画像であることを特徴とする請求項1に記載の精錬装置。
- 前記制御部は、
前記湯面への前記配設高さを導出する導出器を備えることを特徴とする請求項6に記載の精錬装置。 - 溶融物が入れられた容器部を設ける過程と、
前記溶融物にガスを吹き込みながらバブリングする過程と、
カメラで前記溶融物の湯面を撮影して湯面画像を生成する過程と、
前記湯面画像と、前記カメラの配設情報及び前記カメラの性能情報を用いて、前記湯面中の裸湯の大きさを算出する過程と、
を含み、
前記配設情報は、前記カメラの配設高さ及び配設角度であり、
前記性能情報は、前記カメラの画角及び解像度であり、
前記裸湯の大きさを算出する過程は、
前記カメラの配設高さ、配設角度、画角及び解像度を用いて、前記カメラの撮影領域のピクセルサイズを算出する過程と、
前記湯面画像に含まれている裸湯領域のピクセル数を分析する過程と、
前記ピクセル数及び前記ピクセルサイズを用いて、2次元値の裸湯の大きさを計算し、前記2次元値の裸湯の大きさを1次元値の変換大きさに変換する過程と、
を含み、
前記2次元値の裸湯の大きさを1次元値の変換大きさに変換する過程後に、
前記変換大きさに応じて、前記容器部に配設されるノズル部に供給されるガスの流量を調節する過程を含むことを特徴とする精錬方法。 - 前記湯面画像を生成する過程は、
一台の前記カメラで前記湯面を撮影して、前記湯面の単視点の湯面画像を生成する過程であることを特徴とする請求項8に記載の精錬方法。 - 前記湯面画像を生成する過程は、
前記カメラが上下方向に対して斜めに傾くようにして、前記カメラが斜めに傾いた状態で前記湯面を撮影して湯面画像を生成する過程を含むことを特徴とする請求項9に記載の精錬方法。 - 前記湯面画像を生成する過程の最中に、
前記カメラが収められたハウジングの内部に冷媒を循環させる過程と、
前記ハウジングと前記カメラとの間にパージガスを注入する過程と、
をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の精錬方法。 - 前記裸湯の大きさを算出する過程は、
前記湯面への前記配設高さを導出する過程と、を含むことを特徴とする請求項10に記載の精錬方法。 - 前記配設高さを導出する過程は、
前記カメラの配設位置を用いて、前記カメラから前記容器部の上端部までの第1の高さを求める過程と、
前記容器部内の溶融物の量を用いて、前記容器部の上端部から前記湯面までの第2の高さを求める過程と、
前記第1の高さ及び前記第2の高さを合算して、前記配設高さを算出する過程と、
を含むことを特徴とする請求項12に記載の精錬方法。 - 前記第2の高さを求める過程は、
既知の溶融物の量と湯面の高さ情報を用いて、溶融物の量と湯面の高さとの間の比例関係を確立し、前記比例関係を用いて、前記容器部内の溶融物の量に対する湯面の高さを推定して第2の高さを求める過程を含むことを特徴とする請求項13に記載の精錬方法。 - 前記ピクセルサイズを算出する過程は、
前記配設高さ、前記配設角度及び前記画角を用いて、前記撮影領域の斜めに傾いた方向の第1の長さを求める過程と、
前記配設高さ及び前記画角を用いて、前記撮影領域の斜めに傾いていない方向の第2の長さを求める過程と、
前記第1の長さと前記第2の長さを用いて、前記撮影領域の大きさを求める過程と、
前記撮影領域の大きさと前記解像度を用いて、前記ピクセルサイズを求める過程と、
を含むことを特徴とする請求項12に記載の精錬方法。 - 前記ピクセル数を分析する過程は、
前記湯面画像を明るい部分と暗い部分とに2値化処理して、明るい部分と暗い部分との間の境界に閉曲線を描く過程と、
前記閉曲線内のピクセル数を数える過程と、
を含むことを特徴とする請求項12に記載の精錬方法。 - 前記閉曲線が複数本であれば、各閉曲線別にピクセル数を数えて最も大きな値を選択することを特徴とする請求項16に記載の精錬方法。
- 前記裸湯の大きさを計算する過程は、
前記2次元値の裸湯の大きさを計算し、前記2次元値の裸湯の大きさを1次元値の変換大きさに変換する過程と、
前記ピクセル数と前記ピクセルサイズとを乗算して裸湯の大きさを算出する過程と、
前記裸湯の大きさと同じ大きさを有する円形状に前記裸湯の形状を切り換える過程と、
前記円形状に切り換えられた裸湯の形状の直径を求めて裸湯の前記変換大きさを求める過程と、
を含むことを特徴とする請求項17に記載の精錬方法。
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