JP7084553B2 - 無線機、通信システム及び通信方法 - Google Patents
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Description
無線アクセスシステムの一つとして固定無線アクセス(FWA:Fixed Wireless Access)システムがある。FWAは見通し通信を前提とする場合がほとんどであり、見通し外通信を前提とした移動体通信であるMWA(Mobile Wireless Access)とは異なる。
また、NWA(Nomadic Wireless Access)は、非定住型ではあるができるだけ見通し通信となるエリアが広範囲になるよう設置されるため、無線通信を行っている短期的にはFWAと無線環境が類似する場合が多い。
このようなシステムには、電気通信事業者側の基地局と複数の利用者側の加入者局とを結ぶ1対多方向型(P-MP;Point to MultiPoint)と、電気通信事業者側と利用者側とを1対1で結ぶ対向型(P-P;Point to Point)とがある。
FWAシステムにおいて、更なる高速伝送、長距離化を図る技術として、複数のアンテナを用いて送受信するビームフォーミング(BF:Beam Forming)技術が知られている。
送信BFでは複数のアンテナから放射する送信信号の位相を制御して空間合成することにより、ある場所では各アンテナから放射された電波の位相が同相に近くなって電力を強め合い、またある場所では各アンテナから放射された電波が電力を打ち消しあう。その結果、電力を強め合う場所では合成利得を得ることができるため、電波伝搬損失を補償し、長距離伝送が可能となる。
あるいは、受信機での所望信号電力対雑音電力比(C/N比:Carrier to Noise Ratio)が大きくなるため、直交振幅変調の多値数を大きくして高速伝送が可能となる。
ビームフォーミングを用いる無線機の送信ブロックについて図5を用いて説明する。図5は、デジタルビームフォーミングを用いる送信ブロックの概略構成図である。ここでは、アンテナ数が4の場合を例として説明する。また、図5では、ビームフォーミングに関係する機能ブロックを中心に記載しており、一般的に無線機に設けられている他の機能ブロックの図示は省略している。
OFDM変調部201は、送信データをOFDM変調する。
GI付加部203は、OFDM変調された信号にCP(Cyclic Prefix:サイクリックプレフィクス)を付加する。
CPの付加としては、OFDMシンボルの後方の一定部分をコピーしてOFDMシンボルの先頭より前に付加する方法がある。付加する量は、OFDMシンボル長の1/4や1/8など、考慮するマルチパスの遅延時間によってシステムごとに設計される。
D/A変換部204は、位相差を与えられた信号をアナログ信号に変換する。
送信アナログ部205は、周波数変換部、アナログフィルタ、電力増幅器等を備え、各D/A変換部204から出力された信号毎にアナログ信号処理を行う。
アンテナ制御部206は、アンテナ207の制御を行う。
アンテナ207は、複数設けられ、電波を放射する。
送信データは、OFDM変調部201でOFDM変調され、GI付加部203でCPを付加される。
CPが付加された信号は、デジタル移相器208で4つの信号に位相差を与えられて、送信機能部200のD/A変換部204でD/A変換されて、送信アナログ部205で周波数変換及び増幅が行われ、アンテナ制御部206を介して送信アンテナ207から放射される。
アナログビームフォーミングを用いる無線機の送信ブロックについて図6を用いて説明する。図6は、アナログビームフォーミング技術を用いる送信ブロックの概略構成図である。送信機能部200の後段にアナログ移相器209を備える。
アナログ移相器209はビームフォーミング部210の構成要素であり、アナログ信号の位相回転を行う。図5と異なるのは、アナログ部でビームフォーミングを行うことである。
アンテナ指向性の例について、図7を用いて説明する。図7は、アンテナ指向性の例を示す模式説明図である。図7(b)~(d)はビームフォーミング(BF)による狭小ビームを形成した場合の送信アンテナの指向性であり、図(e)は後述するCDD(Cyclic Delay Diversity)を行った場合の送信アンテナの指向性を示している。
ここでは、アンテナはマイクロ波帯やミリ波帯において多く採用されているパッチアンテナ等の平面アンテナを例とした。複数のアンテナから成るサブアレイを単位として配列した場合も同様である。
図7(b)は、4素子でビームフォーミングを行った場合であり、1素子と比較して指向性は鋭くなり、正面方向の合成電力は大きくなる。
図7(c)は16素子でビームフォーミングを行った場合であり、さらに指向性は鋭くなり、正面方向の合成電力は大きくなる。
図7(d)は16素子であるが、デジタル移相器208によって、図7(c)とは各アンテナの送信信号の位相が異なるよう位相回転が施され、正面よりも左側に指向性が向くように制御されている。
P-MP(Point to Multipoint)通信の場合は同様に、指向性を鋭くすることによって、異なる方向の複数の局に対して同じ周波数で同時に複数のビームを送信することができる。
MWAでは無線機が移動するため、指向性を鋭くするほどビーム追従が困難になるが、FWAやNWAでは基本的に無線機は移動しないためBF技術との相性が良い。
また、複数のアンテナを備えて空間ダイバーシティを行うと受信性能が良くなることも知られている。伝搬環境の変化に応じて、これらの受信技術の内で最適な方法を選択して行うアルゴリズムについても種々の研究や実用化が行われている。
ここで、送信ダイバーシティ技術の一つである循環遅延ダイバーシティ(CDD;Cyclic Delay Diversity)について簡単に説明する。尚、CDDは、巡回シフトダイバーシティ(CSD;Cyclic Shift Diversity)とも称され、ここでは、循環遅延ダイバーシティ(CDD)は、巡回シフトダイバーシティ(CSD)と同義であるものとして記載する。
CDDは、複数のアンテナからの送信信号に対して、同一のデータ信号に異なる巡回遅延量を付与して送信するものである。
CDDを用いる無線機の送信ブロックについて図8を用いて説明する。図8は、CDDを用いる送信ブロックの概略構成図である。ここでは、アンテナ数が4の場合を例として説明する。また、図8では、CDDに関係する機能ブロックを中心に記載しており、一般的に無線機に設けられている他の機能ブロックの図示は省略している。
図5,6と同様の構成部分については説明を省略する。
巡回シフト部202によって、各アンテナ207から送信されるOFDMシンボルに異なる巡回シフト量が与えられることにより、送信ダイバーシティ効果が得られるものである。具体的には、アンテナ間の距離を無線周波数の波長より十分大きく配置すると、受信側ではそれぞれの受信信号の相関が小さくなるためマルチパスフェージングに対してダイバーシティ効果を得ることができるものである。
送信データは、OFDM変調部201でOFDM変調され、4つに分岐されて、巡回シフト部202で互いに異なる巡回シフト量でシフトされる。巡回シフトされた信号は、GI付加部203でCPを付加される。
CPが付加された信号は、送信機能部200のD/A変換部204でD/A変換されて、送信アナログ部205で周波数変換及び増幅が行われ、アンテナ制御部206を介して送信アンテナ207から放射される。
CDDを用いて送信する場合のアンテナ指向性について図7(e)を用いて説明する。
上述したように、CDDを用いて送信する場合、それぞれのアンテナから送信する信号を異なる巡回シフト量で巡回シフトするが、これは、同じ信号を複数のアンテナから送信すると、意図しないBFが行われてダイバーシティ効果が得られなくなるためである。
CDDもビームフォーミングの一種であるが、以降では狭小ビームを形成することをBFと称するものとし、CDDと区別する。
無線機の受信ブロック(受信機構、受信部)について図9を用いて説明する。図9は、無線機の受信ブロックの概略構成図である。送信ブロックと同様、アンテナ数が4の場合を例として説明する。
アンテナ207は、無線信号を受信する。
アンテナ制御部206は、各アンテナ207を制御し、受信信号を対応する受信アナログ部301に出力する。
受信アナログ部301は、LNA(Low Noise Amplifier)、アナログフィルタ、周波数変換部を含み、受信した信号のアナログ処理を行う。
A/D変換部302は、受信アナログ部301から出力された信号をデジタル信号に変換する。
そして、各種のMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)処理が行われて、OFDM復調される。OFDM変調の前に直交振幅変調等が施されている場合には、その復調も行われる。
送信ビームフォーミングを行う場合、アンテナ数(又はアンテナサブアレイ数、あるいはアンテナ素子数)を多くしてビーム指向性を鋭くするほど、高速伝送及び長距離伝送の性能が増大する。
しかしながら、見通し内に遮蔽物が出現した場合には、直接波が受信機に到達しなくなってしまう。
指向性が鋭いほど遮蔽物の影響を受けやすく、通信が断絶してしまう場合があり、断絶時間が長いと重大な通信障害となってしまう。
尚、P-P通信を行う無線通信装置の従来技術としては、特開2013-172377号公報「無線通信装置、無線通信方法、及び無線通信システム」(特許文献1)がある。
また、複数の送信アンテナを備えた基地局に関する従来技術としては、特開2015-126271号公報「基地局」(特許文献2)がある。
特許文献2には、伝搬路の実効的な状態を推定し、伝搬路の通信品質を推定し、推定結果に基づいて送信ダイバーシチ、送信ビームフォーミング、Closed-Loop MIMO、Open-Loop MIMOのいずれかの送信モードを決定する基地局が記載されている。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る無線機(本無線機)は、複数のアンテナと、アンテナに対応して設けられ、アンテナ毎の送信信号に巡回シフトを与える複数の巡回シフト部と、各巡回シフト部における送信信号のシフト量を制御する巡回シフト制御部と、各アンテナからの受信信号について相関係数を算出する相関演算部とを備え、相関演算部が各アンテナからの受信信号について相関係数を算出し、巡回シフト制御部が、相関係数に基づいて直接波の有無を検出し、直接波がある場合には巡回シフト部に対して各アンテナの送信信号に共通のシフト量を与えて、ビームフォーミングにより狭小ビームを形成して送信させ、直接波がない場合には巡回シフト部に対して異なるシフト量を与えて巡回シフトダイバーシティを行わせるものであり、見通し上に遮蔽物がない場合には高速伝送及び長距離伝送を可能とし、遮蔽物が出現した場合には、マルチパスによるダイバーシティ効果で通信の断絶を防ぎ、信頼性を向上させることができるものである。
本無線機の構成について説明する前に、動作の概要について図1を用いて説明する。図1は、本無線機の動作概要を示す模式説明図である。
図1は、FWAにおける通信を模式的に表したものであり、右側のアンテナを備えた無線機401と、左側のアンテナを備えた無線402とがP-P通信を行う状態を示しており、ここでは無線機401から無線機402に向けて送信する場合を示している。無線機401が本無線機である。
図1(b)は、見通し内に遮蔽物403が出現した場合(見通し外通信)であり、狭小ビームは遮蔽物403に阻まれて無線機402に到達せず、通信が断絶してしまう。
このようにして本無線機の動作が行われる。
次に、本無線機の構成について図2を用いて説明する。図2は、本無線機の構成ブロック図である。尚、従来と同様の構成部分については同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
図2に示すように、本無線機は、従来と同様の構成部分として、OFDM変調部201と、巡回シフト部202と、GI付加部203と、ビームフォーミング部211と、送信機能部200と、アンテナ制御部206と、アンテナ207と、受信機能部300とを備え、本無線機の特徴部分として、相関演算部501と、巡回シフト制御部502とを備えている。
相関演算部501と巡回シフト制御部502とを合わせた構成が、請求項に記載した直接波検出部に相当している。
尚、ここでは、アンテナ207としてアンテナを4つ備えた場合を例として説明する。また、AGC(Automatic Gain Control:自動利得制御)、AFC(Automatic Frequency Control:自動周波数制御)等の機能ブロックを挿入してもよい。
そして、本無線機の特徴として、ビームフォーミング部211は、後述する巡回シフト制御部502からの指示に従ってビームフォーミングを行う。この動作については後述する。
アンテナ制御部206は、アンテナ毎に送受信を切り替える制御を行うものであり、TDD(Time Division Duplex:時分割複信)システムの場合にはTDDスイッチ等で送受信を切り替え、FDD(Frequency Division Duplex:周波数分割複信)システムの場合には、デュプレクサを備えて送信用と受信用の周波数を切り替える。
同様に、受信機能部300には、受信アナログ部と、A/D変換部が4つずつ設けられている。
相関演算部501は、複数のアンテナ207で受信された信号間の相関を求めるものである。
具体的には、アンテナ207で受信された受信信号は、受信機能部300にて受信処理を施され、A/D変換されて相関演算部501に入力され、相関演算部501で、各アンテナ間の受信信号の相関係数を算出する。
相関係数の算出は、受信信号の時間相関を求める方法や、参照信号(既知信号)を用いて伝達関数を求める方法等、様々な方法があり、いずれの方法でもよい。
FWAシステムにおいて、見通し通信となる場合には、直接波の電力が支配的となって、自由空間伝搬に近くなり、各アンテ207ナの受信信号間の相関係数は大きくなる。
一方、見通し外通信の場合には、反射波等のマルチパス通信となり、アンテナ207間の距離を無線周波数の波長より十分大きく配置すると、各アンテナ207の受信信号の相関係数は小さくなる。
具体的には、巡回シフト制御部502は、入力された相関係数を予め設定された閾値と比較して、しきい値以上であれば直接波ありと判定して、各アンテナ207に対応する巡回シフト部202に同一の巡回シフト量を設定すると共に、ビームフォーミング部211に対して、各アンテナの送信信号に位相差を与えて狭小ビームを生成する(BFの処理を施す)よう指示する。これにより、送信ブロックからの送信では狭小ビームで送信される。
本無線機における動作について図2を用いて簡単に説明する。
本無線機では、受信信号に基づく動作が特徴となっているため、受信ブロックの動作から説明する。
アンテナ207で受信された信号は、受信機能部300でダウンコンバートされ、A/D変換されて2つに分岐され、分岐された一方は、図示しない復調部に入力されて通常の復調が行われ、受信データを得る。
そして、巡回シフト制御部502において相関係数が閾値と比較されて、閾値以上の場合には、巡回シフト制御部502は、各アンテナ207に対応する巡回シフト部202に、同一の巡回シフト量を設定し、ビームフォーミング部211にBF動作を行わせる。
また、相関係数が閾値未満であれば、巡回シフト制御部502は、各アンテナ207に対応する巡回シフト部202に、それぞれ異なる巡回シフト量を設定し、ビームフォーミング部211にBFを行わないよう指示する。
各アンテナ207に対応する巡回シフト部202において、同一の巡回シフト量で送信信号をシフトさせた場合には、送信時に、アンテナ207においてBFが行われ、高速伝送が可能となる。
一方、各巡回シフト部202において、それぞれ異なる巡回シフト量で送信信号をシフトさせた場合は、CDDとなり、空間ダイバーシティの効果を得ることができる。
このようにして、本無線機における動作が行われるものである。
ここで、本無線機におけるBF又はCDDの送信モードの選択について説明する。無線機Aと無線機Bとが対向してP-P通信を行うものとする。
無線機Aと無線機Bは、いずれも本無線機であり、それぞれ独立して、送信モードをBF又はCDDのいずれかに切り替える。次の(1)~(4)の状態について説明する。
(2)無線機Aの送信モードがBFで、遮蔽物がある場合、無線機Bにおける受信信号の相関は小さいので、無線機BはCDDを選択する。
(3)無線機Aの送信モードがCDDで、遮蔽物がない場合、無線機Bにおける受信信号電力は(1)より小さいものの、受信信号の相関は大きいので、無線機BはBFを選択する。
(4)無線機Aの送信モードがCDDで、遮蔽物がある場合、無線機Bにおける受信信号の相関は小さいので、無線機BはCDDを選択する。
無線機Bが送信側、無線機Aが受信側になる場合も同様であり、無線機Aが受信信号の相関係数に基づいて自装置での送信モードをBF又はCDDに切り替える。
(2)は、遮蔽物が出現した場合の移行状態で、やがて(4)の状態となる。
(3)は、遮蔽物が消滅した場合の移行状態で、やがて(1)の状態となる。
本無線機の巡回シフト制御部502における処理について図3を用いて説明する。図3は、巡回シフト制御部における処理を示すフローチャートである。
図3に示すように、巡回シフト制御部502は、相関演算部501から相関係数が入力されると(S11)、当該相関係数が予め設定された閾値以上かどうかを判断する(S12)。
相関係数の値に応じたシフト量は、予め巡回シフト制御部502に設定されている。
このようにして巡回シフト制御部502における処理が行われる。
本無線機及び本通信方法によれば、無線信号を送受信する複数のアンテナ207と、各アンテナ207に対応して設けられ、アンテナ207毎の送信信号に巡回シフトを与える複数の巡回シフト部202と、各巡回シフト部202における送信信号のシフト量を制御する巡回シフト制御部502と、各アンテナ207からの受信信号について相関係数を算出する相関演算部501とを備え、相関演算部501が各アンテナ207からの受信信号について相関係数を算出し、巡回シフト制御部502が、当該相関係数と閾値とを比較して、相関係数が閾値以上であれば、直接波があるものと判定して巡回シフト部202に対して共通のシフト量を与え、ビームフォーミングで狭小ビームを形成して送信させ、相関係数が閾値未満であれば、直接波がないものと判定して巡回シフト部202に対して異なるシフト量を与えて、巡回シフトダイバーシティを行わせるようにしているので、見通し上に遮蔽物がない場合には高速伝送及び長距離伝送を可能とし、遮蔽物が出現した場合には、マルチパスによるダイバーシティ効果で通信の断絶を防ぎ、信頼性を向上させることができる効果がある。
本通信システムの応用例について説明する。
上述した通信システムでは、各無線機がそれぞれ相関係数を算出して、直接波の有無を検出し、BFかCDDかを判断していたが、例えば主局と従局のように、一方の無線機が無線リンクを制御する場合には、主局のみがその動作を行うようにしてもよい。
そして、それと共に、決定した送信モードを従局に指示する。送信方法の指示は、制御情報等に含めて送信する。
次に、本発明の別の実施の形態に係る無線機(別の無線機)について図4を用いて説明する。図4は、別の無線機のアンテナ指向性を示す説明図である。
別の無線機は、送信ダイバーシティ効果を得ながらBFを行うものであり、基本的な構成は上述した本無線機と同様であるが、アンテナの構成が異なっている。
ここでは、4個の平面アンテナから成るグループを4つ備えているものとする。
別の無線機の特徴として、巡回シフト部202は、各グループに対応して設けられ、巡回シフト制御部502から設定された巡回シフト量を、当該グループ内の全てのアンテナの送信信号に与える。つまり、同一グループ内のアンテナからの送信信号は同一の巡回シフト量となる。
また、別の無線機では、ビームフォーミング部211は、同一グループ内では常にBFを行う。
それに加えて、巡回シフト部502が直接波ありと判定した場合には、ビームフォーミング部211は、グループ間でもBFを行うよう、位相差を与える。
この場合には、16アンテナ全てが同一の巡回シフト量となり、更にグループ間でもBFが行われるため、例えば、図7(c)のような鋭い指向性が得られ、高速伝送が可能となる。
この場合、別の無線機のアンテナ指向性は、図4に示すように、図7(c)と図7(e)の中間の特性となる4ビームが生成されて、ダイバーシティ効果が得られ、遮蔽物が出現した場合でも、通信の切断を防ぐことができるものである。
別の無線機によれば、複数のアンテナから成るグループを複数備え、グループ毎に対応してグループ内のアンテナの送信信号に同一の巡回シフト量を与える巡回シフト部202と、グループ内でBFを行うビームフォーミング部が設けられ、巡回シフト制御部502が、直接波ありと判定した場合には、全ての巡回シフト部202に同一の巡回シフト量を与えると共にビームフォーミング部に対してグループ間でもBFを行うよう制御し、直接波なしと判定した場合には、全ての巡回シフト部202に異なる巡回シフト量を与えると共に、ビームフォーミング部に対してグループ間のBFを行わないよう制御するようにしているので、見通し上に遮蔽物がない場合の指向性を鋭くして一層高速伝送及び長距離伝送を可能とすると共に、遮蔽物がある場合でもグループ間ではダイバーシティ効果が得られるため、通信の断絶を防ぎ、信頼性を向上させることができる効果がある。
Claims (5)
- 固定無線アクセスシステムで用いられ、複数のアンテナを備え、OFDM変調方式で送受信を行う無線機であって、
前記複数のアンテナでの受信信号に基づいて直接波の有無を検出する直接波検出部と、
前記複数のアンテナに対応して設けられ、前記アンテナからの送信信号を特定のシフト量でシフトさせる複数の巡回シフト部と、
前記アンテナからの送信信号に位相回転を施して狭小ビームを生成するビームフォーミング部とを備え、
前記直接波検出部が、直接波を検出した場合には、前記複数の巡回シフト部と前記ビームフォーミング部とを制御して狭小ビームを生成させ、直接波を検出しない場合には、前記巡回シフト部と前記ビームフォーミング部とを制御して、狭小ビームを生成させずに巡回シフトダイバーシティを行わせることを特徴とする無線機。 - 直接波検出部は、複数のアンテナでの受信信号の相関係数を算出する相関演算部と、前記相関係数の値に基づいて直接波の有無を判定し、直接波を検出した場合には、複数の巡回シフト部に同一のシフト量を設定し、直接波を検出しない場合には、前記複数の巡回シフト部に異なるシフト量を設定する巡回シフト制御部とを有することを特徴とする請求項1記載の無線機。
- 巡回シフト制御部が、相関係数の値が予め設定された閾値以上の場合は、直接波を検出したと判定し、前記相関係数の値が前記閾値より小さい場合は、直接波を検出しないと判定することを特徴とする請求項2記載の無線機。
- 請求項1乃至3のいずれか記載の第1の無線機と、複数のアンテナを備えた第2の無線機を備えた固定無線アクセスシステムであって、
前記第1の無線機が、受信信号に基づいて、ビームフォーミングを行うビームフォーミングの送信モード又は巡回シフトダイバーシティを行う巡回シフトダイバーシティの送信モードのいずれかの送信モードで送信を行うと、当該送信モードを指示する情報を、前記第2の無線機に送信し、
前記第2の無線機が、前記第1の無線機から受信した前記ビームフォーミング又は前記巡回シフトダイバーシティのいずれかの送信モードを指示する情報に基づいてビームフォーミング又は巡回シフトダイバーシティを行って送信することを特徴とする通信システム。 - OFDM変調方式で送受信を行う固定無線アクセスシステムで用いられる通信方法であって、
複数のアンテナを備える無線機が、前記複数のアンテナでの受信信号に基づいて直接波の有無を検出し、直接波を検出した場合には、ビームフォーミングを行って狭小ビームを生成して送信し、直接波を検出しない場合には、巡回シフトダイバーシティを行って送信することを特徴とする通信方法。
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