JP7081687B2 - 丸鋼材のマーキング検出装置及び検出方法及び鋼材の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に示す丸鋼材の表面疵手入れ装置は、回転している丸鋼材の軸線方向に沿い往復移動自在で、丸鋼材と接触して表面疵を検出する表面疵検査装置と、検出された表面疵の位置にマーキング液を噴射して印を付けるマーキング装置と、マーキングされた表面疵を手入れする作業デッキとを備えている。
この特許文献1に示す丸鋼材の表面疵手入れ装置によれば、検出された表面疵の位置をマーキングするようにしたので、作業者の研削位置判断を正確にし、研削作業を迅速に行うことができる。
即ち、特許文献1に示す丸鋼材の表面疵手入れ装置の場合、検出された表面疵の位置に塗布されたマーキングを作業者が目視により見つけ、その箇所を研削するようにしている。
ここで、丸鋼材の表面疵の位置に塗布されるマーキングは、マーキング液の吹付け具合によりその大きさや形が変わることがあり、作業者が目視で見つけにくい場合がある。従って、作業者の目視によってマーキングを見つける方法では、マーキングを見逃すリスクが大きく、研削能率が低いという問題があった。さらに、この問題は、マーキングを作業者の目視によって見つける方法を、一連の鋼材の製造プロセスの中の一工程として組み込んでいる鋼材の製造方法においては、製造能率が低いという問題に繋がっていた。
マーキング検出装置1において、図1及び図2に示すように、台座部11上に立設された複数の支持脚12に複数の第1支持部材13が支持脚12に対して直交するように取り付けられている。そして、これら第1支持部材13には、第2支持部材14が第1支持部材13に直交するように取り付けられている。また、複数の支持脚12の第1支持部材13を取り付けた部分より上方の位置には、複数の第3支持部材15が支持脚12に直交するように取り付けられている。また、これら第3支持部材15には、第4支持部材16が第3支持部材15に直交するように取り付けられている。
そして、各撮像装置3は、ラインセンサカメラで構成され、図2に示すようにラインセンサカメラの撮像ラインが延びる方向と丸鋼材Sの軸方向とが一致し、且つ図1に示すようにラインセンサカメラの光軸L3と丸鋼材Sの最上位置Pに接する接線TLとの成す角度δが90度となるように設置される。この光軸L3と接線TLとのなす角度δは90度に限ることなく、鋭角側が30度以上の範囲であれば好適である。
各撮像装置3を構成するラインセンサカメラの選定に際しては、被写界深度を計算し、被写体である最大径の丸鋼材S1の表面の最上位置P1と最小径の丸鋼材S2の表面の最上位置P2の場合でもピントが合うレンズを有するカメラを選定する。本実施形態の場合、被写界深度を771mmとし、最大径の丸鋼材S1の径がΦ450mm、最小径の丸鋼材S2の径がΦ80mmのいずれ場合でもピントが合うレンズを選定している。
各撮像装置3は、図示しない電源及び撮像周期等を制御するカメラ制御装置4に接続されている。
各照明装置5は、前述した第2支持部材14の先端に回転可能に取り付けられている。
この各照明装置5は、丸鋼材Sの表面、特に撮像される最上位置Pの近傍を連続的に点灯する2列のバー照明で構成されている。照明の色は白色に近似した色である。そして、図1に示すように、照明装置5の光軸L5と垂直線VLとのなす角度θは、最小径の丸鋼材S2の最上位置P2の近傍から最大径の丸鋼材S1の最上位置P1の近傍に至るまですべての場合に照射できるように、調節可能となっている。照明装置5は、最大径の丸鋼材S1の全長及び最小径の丸鋼材S2の全長を照明できるように、丸鋼材Sの軸方向に沿って複数設置されている。各照明装置5には、図示しない照明電源及び照明の輝度等を制御する照明制御装置6に接続されている。
このコンピュータシステム7は、画像処理部8及びマーキング抽出部9の各機能をコンピュータソフトウェア上でプログラムを実行することで実現するための演算処理機能を有するコンピュータシステムである。そして、このコンピュータシステムは、ROM,RAM,CPU等を備えて構成され、ROM等に予め記憶された各種専用のプログラムを実行することにより、前述した各機能をソフトウェア上で実現する。
画像処理部8、マーキング抽出部9及び表示装置10の各機能は、次の丸鋼材Sのマーキング検出装置1を用いたマーキング検出方法の説明にて詳細に説明する。
先ず、図4に示すステップS1で、丸鋼材Sの軸方向に沿って配置された複数個の撮像装置3を構成するラインセンサカメラの各々が、ターニングローラ2上を周方向に回転する丸鋼材Sの表面の周方向の最上位置(特定位置)Pを測定対象であるマーキングMの寸法よりも小さい分解能で所定周期で撮像する(撮像ステップ)。つまり、各撮像装置3が、周方向に回転する丸鋼材Sの表面の最上位置Pの位置を前述の分解能で所定周期で丸鋼材Sの一周分撮像する。本実施形態の場合、マーキングMの寸法は、直径約4mmの円形であり、ラインセンサカメラの分解能、即ち1ラインの各画素n(図3参照)の周方向の幅Rは、最大径の丸鋼材S1を撮像するときの各画素nの周方向の幅R(Φmax)で630μm/pix、最小径の丸鋼材S2を撮像するときの各画素nの周方向の幅R(Φmin)で889μm/pixとなっている。また、ラインセンサカメラで撮像する周期は、本実施形態の場合、丸鋼材Sの回転速度が1500mm/sであり、丸鋼材Sの周方向の前面を隙間なく撮像できるように、1/2381sとなっている。
この画像処理ステップについて詳しく述べると、図5に示すように、ステップS21において、画像処理部8は、先ず、各撮像装置3を構成するラインセンサカメラからの原画像(複数の最上位置Pの画像)を取り込む。
次いで、ステップS22において、画像処理部8は、取りこんだ原画像(複数の最上位置Pの画像)を丸鋼材Sの周方向に繋ぎ合わせる。原画像を丸鋼材Sの周方向に繋ぎ合わせた後の画像の一例が、図7の上段に示されている。原画像を丸鋼材Sの周方向に繋ぎ合わせた画像ではマーキングMが検出しづらいため、後に2値化処理を行う。
次いで、ステップS24において、画像処理部8は、ノイズを除去した繋ぎ合わせ原画像に2値化処理を行う。
更に、ステップS25において、画像処理部8は、2値化処理後の画像に対しマーキング以外のノイズ除去処理を行う。ノイズ除去後の画像の一例が、図7の中段に示されている。
そして、画像処理ステップの後、ステップS3において、コンピュータシステム7のマーキング抽出部9が、画像処理ステップで画像処理された画像からマーキングMを抽出する(マーキング抽出ステップ)。
このマーキング抽出ステップについて詳しく述べると、図6に示すように、先ず、マーキング抽出部9は、ステップS31において、画像処理部8から2値化画像を取り込む。
ステップS33では、マーキング抽出部9は、当該領域aをマーキングMと判定し、ステップS35で、マーキング抽出部9は、マーキングMの周方向位置x及び長手方向位置y(図7における下段参照)を特定する。
ここで、マーキング抽出部9は、当該領域aをマーキングMと判定した際に、図7における下段に示すように、マーキングMの周囲に、マーキングMの箇所を指摘する印18を付ける。
図7における下段には、マーキング抽出結果の一例が示されており、マーキングM、当該マーキングMの箇所を指摘する印18、及びマーキングMの周方向位置x及び長手方向位置yが抽出される。図7における下段には、特定のマーキングMの周方向位置がx1、長手方向位置がy1で示されている。
最後に、ステップS4において、表示装置10は、コンピュータシステム7のマーキング抽出部9から出力されたマーキング抽出結果、即ち、マーキングM、当該マーキングMの箇所を指摘する印18、及びマーキングMの周方向位置x及び長手方向位置yを表示する。
また、マーキング抽出部9で抽出されたマーキング検出結果を、後工程に設けられる表面疵研削装置に転送し、表面疵研削装置にて自動でマーキング箇所を研削するようにしてもよい。
表面のマーキング箇所を研削した後の丸鋼材Sは、さらなる後工程(表面疵研削以降の工程)へ送られて、そこで処理されて製品である鋼材とされる。
ここで、さらなる後工程とは、欠陥部が表面研削された丸鋼材を処理対象とした、その後の処理工程の全般のことである。すなわち、丸鋼材Sが丸棒鋼のような条鋼製品や製品鋼管である場合には、欠陥研削後に行われる精整工程、出荷工程等である。丸鋼材Sが圧延用素材である場合には、圧延工程やその後に行われる精整工程、出荷工程等である。
なお、丸ビレットのような丸鋼材を素材として、丸棒鋼のような条鋼製品を製造する場合において、本発明に係るマーキングの検出方法は、素材についてのマーキング検出、条鋼製品のマーキング検出のいずれにも適用できる。つまり、鋼材の製造方法に、本発明に係るマーキング検出方法を適用する場合は、素材、製品のいずれもが丸棒鋼である場合は、素材についてのマーキング検出にのみ、本発明の検出方法を用いてもよいし、製品についてのマーキング検出についてのみ本発明の検出方法を用いてもよいし、素材のマーキング検出と製品のマーキング検出との両方に本発明のマーキング検出方法を用いてもよい。
また、撮像装置3は、ラインセンサカメラであるので、撮像対象である丸鋼材Sの表面に塗布されたマーキングMの形状を適切に検出することができる。
また、丸鋼材Sの回転角度を検出する回転角度検出装置としてのターニングローラ2の回転数を検出するパルスジェネレータ17を備えているので、ターニングローラ2の回転数とターニングローラの直径とから丸鋼材Sの周方向における撮像開始点から当該マーキングMまでの周方向の長さを算出し、マーキングMの周方向位置xを特定することができる。
例えば、本実施形態において、マーキングMの寸法は直径約4mmの円形としてあり、撮像装置3を構成するラインセンサカメラの分解能は、最大径の丸鋼材S1を撮像するときで630μm/pix、最小径の丸鋼材S2を撮像するときで889μm/pixとしてあるが、マーキングMの寸法は直径4mm以外でもよい。また、撮像装置3を構成するラインセンサカメラの分解能は、マーキングMの寸法よりも小さければ、いかなる大きさであってもよい。
また、撮像装置3を構成するラインセンサカメラの撮像周期は、丸鋼材Sの周方向の表面を隙間なく撮像できる周期であれば1/2381sに限らない。
また、マーキングが塗布される丸鋼材Sの大きさは、最大径でΦ450mm、最小径でΦ80mmとしてあるが、任意に変更することができる。
また、マーキング装置で丸鋼材Sの表面疵の位置に塗布するマーキングの色は、照明装置5による照明の色(白色に近似した色)と異なる色としてあるが、同一色であってもよい。
また、撮像装置3は複数設置されているが、単一の撮像装置3で丸鋼材Sの全長の表面を撮像できるものであれば1台であってもよい。
2 ターニングローラ
3 撮像装置
4 カメラ制御装置
5 照明装置
6 照明制御装置
7 コンピュータシステム
8 画像処理部
9 マーキング抽出部
10 表示装置
11 台座部
12 支持脚
13 第1支持部材
14 第2支持部材
15 第3支持部材
16 第4支持部材
17 パルスジェネレータ(回転角度検出装置)
P 最上位置(特定位置)
S 丸鋼材
Claims (7)
- 丸鋼材の表面疵の位置に塗布されたマーキングを検出する丸鋼材のマーキング検出装置であって、
周方向に回転する前記丸鋼材の表面の周方向の特定位置を測定対象であるマーキングの寸法よりも小さい分解能で所定周期で撮像する撮像装置と、該撮像装置で撮像された前記特定位置の画像を周方向に繋ぎ合せて得られた画像を処理する画像処理部と、該画像処理部で画像処理された画像からマーキングを抽出し、前記マーキングの周方向位置及び長手方向位置を特定するマーキング抽出部とを備えていることを特徴とする丸鋼材のマーキング検出装置。 - 前記撮像装置が、ラインセンサカメラであることを特徴とする請求項1に記載の丸鋼材のマーキング検出装置。
- 前記丸鋼材の回転角度を検出する回転角度検出装置を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の丸鋼材のマーキング検出装置。
- 前記撮像装置は、該撮像装置と撮像される前記丸鋼材の表面上の位置とを結ぶ線と、表面上の前記位置における前記丸鋼材の表面とのなす角の鋭角側が30度以上90度以下になるように設置されることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の丸鋼材のマーキング検出装置。
- 丸鋼材の表面疵の位置に塗布されたマーキングを検出する丸鋼材のマーキング検出方法であって、
周方向に回転する前記丸鋼材の表面の周方向の特定位置を測定対象であるマーキングの寸法よりも小さい分解能で所定周期で撮像する撮像ステップと、該撮像ステップで撮像された前記特定位置の画像を周方向に繋ぎ合せて得られた画像を処理する画像処理ステップと、該画像処理ステップで画像処理された画像からマーキングを抽出し、前記マーキングの周方向位置及び長手方向位置を特定するマーキング抽出ステップとを含むことを特徴とする丸鋼材のマーキング検出方法。 - 前記撮像ステップでは、撮像装置と撮像される前記丸鋼材の表面上の位置とを結ぶ線と、表面上の前記位置における前記丸鋼材の表面とのなす角の鋭角側が30度以上90度以下になるように設置された前記撮像装置により前記特定位置を撮像することを特徴とする請求項5に記載の鋼材のマーキング検出方法。
- 丸鋼材の欠陥部を探傷し、探傷により発見した所定深さ以上の欠陥部がある箇所にマーキングを塗布し、その後に塗布されたマーキングを検出し、検出されたマーキングの部分を表面研削した後に、後工程で処理を行う鋼材の製造方法であって、
前記マーキングの検出は、請求項5又は6に記載の丸鋼材のマーキング検出方法により行うことを特徴とする、鋼材の製造方法。
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