JP7075353B2 - 1,3,7-オクタトリエンとイソプレンの共重合体およびその水素化物、並びに該共重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
1,3,7-オクタトリエンの転化率が高い場合には、共重合体と原料の分離回収が簡便になる。さらに、未反応1,3,7-オクタトリエンが水素化されて単価の安いオクタンに変換される懸念がないために、分離工程を経ずにそのまま水素化反応等を施すことができる点で工業的に好ましい。そのため、短い重合時間で高い原料転化率を達成することも本発明の課題の1つである。
そして、本発明者らは、純度98.0%超であり、且つ過酸化物およびその分解物の合計含有量が0.30mmol/kg以下の1,3,7-オクタトリエンを用いることにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
[1]1,3,7-オクタトリエンに由来する構造単位とイソプレンに由来する構造単位とを含有する共重合体であって、分子量分布(Mw/Mn)が1.44未満である共重合体。
[2]1,3,7-オクタトリエンに由来する構造単位とイソプレンに由来する構造単位とを含有する共重合体であって、分子量分布(Mw/Mn)が下記数式(i)から求められる値より小さい共重合体。
[3]1,3,7-オクタトリエンに由来する構造単位とイソプレンに由来する構造単位とを含有する共重合体であって、1,3,7-オクタトリエンに由来する構造単位およびイソプレンに由来する構造単位の総量に対する1,3,7-オクタトリエンに由来する構造単位の含有率が21.0モル%超であり、且つ、分子量分布(Mw/Mn)が2.06未満である共重合体。
[4]重量平均分子量(Mw)が5,000~500,000である、上記[1]~[3]のいずれかの共重合体。
[5]重量平均分子量(Mw)が20,000~500,000である、上記[1]~[4]のいずれかの共重合体。
[6]重量平均分子量(Mw)が50,000~500,000である、上記[1]~[5]のいずれかの共重合体。
[7]重量平均分子量(Mw)が210,000~500,000である、上記[1]~[6]のいずれかの共重合体。
[8]分子末端にリビングアニオン活性種を有さない、上記[1]~[7]のいずれかの共重合体。
[9]分子末端にリビングアニオン活性種を有する、上記[1]~[7]のいずれかの共重合体。
[10]1,3,7-オクタトリエンに由来する構造単位とイソプレンに由来する構造単位とを含有する共重合体であって、分子末端にリビングアニオン活性種を有し、分子量分布(Mw/Mn)が2.50以下である共重合体。
[11]重量平均分子量(Mw)が5,000~500,000である、上記[10]の共重合体。
[12]さらに炭素数6以上の共役ジエン化合物に由来する構造単位を含有する、上記[1]~[11]のいずれかの共重合体。
[13]前記炭素数6以上の共役ジエン化合物が、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、4,5-ジエチル-1,3-ブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、2-ヘキシル-1,3-ブタジエン、2-ベンジル-1,3-ブタジエン、2-p-トルイル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ペンタジエン、2,3-ジエチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、2,3-ジメチル-1,3-ヘキサジエン、2,3-ジエチル-1,3-ヘプタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエン、2,3-ジメチル-1,3-オクタジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、1,3-シクロヘキサジエンおよびミルセンからなる群から選択される少なくとも1つである、上記[12]の共重合体。
[14]上記[1]~[8]および[10]~[13]のいずれかの共重合体の水素化物。
[15]ガスクロマトグラフィーによって求めた純度が98.0%超の1,3,7-オクタトリエンと、イソプレンとをアニオン重合に付す工程を有する、1,3,7-オクタトリエンに由来する構造単位とイソプレンに由来する構造単位とを含有する共重合体の製造方法であって、
前記1,3,7-オクタトリエン中に含まれ得る不純物に過酸化物およびその分解物からなる群から選択される少なくとも1種が含まれ、1,3,7-オクタトリエン中の前記過酸化物およびその分解物の合計含有量が0.30mmol/kg以下であり、
前記共重合体が下記条件I~IIIの内の少なくとも1つを満たす、共重合体の製造方法。
条件I:分子量分布(Mw/Mn)が1.44未満である。
条件II:分子量分布(Mw/Mn)が下記数式(i)から求められる値より小さい。
条件III:1,3,7-オクタトリエンに由来する構造単位およびイソプレンに由来する構造単位の総量に対する1,3,7-オクタトリエンに由来する構造単位の含有率が21.0モル%超であり、且つ、分子量分布(Mw/Mn)が2.06未満である。
[16]前記1,3,7-オクタトリエンのガスクロマトグラフィーによって求めた純度が98.5%以上である、上記[15]の共重合体の製造方法。
[17]前記アニオン重合をルイス塩基の存在下に実施する、上記[15]または[16]のいずれかの共重合体の製造方法。
[18]前記ルイス塩基と、前記アニオン重合に用いる重合開始剤とのモル比(ルイス塩基/重合開始剤)が0.01~1,000である、上記[17]の共重合体の製造方法。
[19]前記ルイス塩基が、分子内にエーテル結合および第三級アミノ基からなる群から選択される少なくとも1つを有する化合物である、上記[17]または[18]の共重合体の製造方法。
[20]前記ルイス塩基が、非共有電子対を有する原子1つを有する化合物である、上記[17]~[19]のいずれかの共重合体の製造方法。
[21]ルイス塩基が、非共有電子対を有する原子2つ以上を有する化合物である、上記[17]~[19]のいずれかの共重合体の製造方法。
[22]前記ルイス塩基が多座配位性を有する、上記[21]の共重合体の製造方法。
[23]アニオン重合終了後の反応液の固形分濃度が10~80質量%である、上記[15]~[22]のいずれかの共重合体の製造方法。
[24]-50~200℃でアニオン重合を実施する、上記[15]~[23]のいずれかの共重合体の製造方法。
[25]アニオン重合終了後の、ガスクロマトグラフィーによって求めた1,3,7-オクタトリエンの転化率が80.0%以上である、上記[15]~[24]のいずれかの共重合体の製造方法。
[26]アニオン重合終了後の、ガスクロマトグラフィーによって求めた1,3,7-オクタトリエンの転化率が88.0%以上である、上記[15]~[25]のいずれかの共重合体の製造方法。
さらに、本発明により、1,3,7-オクタトリエンとイソプレンの共重合体の製造において、短い重合時間で高い原料転化率を達成することができる。
本発明は、
(I)1,3,7-オクタトリエンに由来する構造単位とイソプレンに由来する構造単位とを含有する共重合体であって、分子量分布(Mw/Mn)が1.44未満である共重合体[以下、共重合体(I)と称することがある。]、
(II)1,3,7-オクタトリエンに由来する構造単位とイソプレンに由来する構造単位とを含有する共重合体であって、分子量分布(Mw/Mn)が下記数式(i)から求められる値より小さい共重合体[以下、共重合体(II)と称することがある。]、
以下、これらの共重合体(I)~(III)を「本発明の共重合体」と総称することがある。
1,3,7-オクタトリエンの純度は、98.5%以上であることが好ましく、98.8%以上であることがより好ましく、99.0%以上であることがさらに好ましい。ここで、本発明において、1,3,7-オクタトリエンの純度は、ガスクロマトグラフィーによる分析によって、全オクタトリエンに帰属できるピーク面積の総和を算出し、これらのピーク面積総和に対する1,3,7-オクタトリエンのピーク面積の百分率であり、よりには実施例に記載の方法によって求めたものである。ここで、全オクタトリエンとは、1,3,7-オクタトリエンと、1,3,6-オクタトリエン、2,4,6-オクタトリエンおよび1,4,6-オクタトリエン等の二重結合異性体との全てを意味する。
本発明の共重合体は、1,3,7-オクタトリエンに由来する構造単位とイソプレンに由来する構造単位とを含有していればよく、さらにその他の共役ジエン化合物に由来する構造単位を含有していてもよい。また、本発明の共重合体は、1,3,7-オクタトリエンに由来する構造単位とイソプレンに由来する構造単位のみから形成される共重合体であってもよい。本発明の共重合体がその他の共役ジエン化合物に由来する構造単位を含有している場合、その含有量は、1,3,7-オクタトリエンに由来する構造単位とイソプレンに由来する構造単位とその他の共役ジエン化合物に由来する構造単位との総量中、50モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であってもよいし、20モル%以下であってもよいし、10モル%以下であってもよいし、5モル%以下であってもよい。
前記その他の共役ジエン化合物としては、炭素数6以上の共役ジエン化合物が好ましく、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、4,5-ジエチル-1,3-ブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、2-ヘキシル-1,3-ブタジエン、2-ベンジル-1,3-ブタジエン、2-p-トルイル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ペンタジエン、2,3-ジエチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、2,3-ジメチル-1,3-ヘキサジエン、2,3-ジエチル-1,3-ヘプタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエン、2,3-ジメチル-1,3-オクタジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、1,3-シクロヘキサジエンおよびミルセン(7-メチル-3-メチレンオクタ-1,6-ジエン)からなる群から選択される少なくとも1つであることがより好ましい。
アニオン重合性化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
カップリング剤としては、例えばジクロロメタン、ジブロモメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン、ジブロモベンゼン、安息香酸フェニル等が挙げられる。
本発明の共重合体において、1,3,7-オクタトリエンの代表的な結合様式としては、1,2-結合、3,4-結合、1,4-結合および4,1-結合があり、各結合様式の結合順序および含有割合に特に制限はない。なお、本発明において、1,4-結合と4,1-結合は同一とみなす。
1,3,7-オクタトリエンの結合様式について、全結合様式に対する1,2-結合の含有割合は、35~65モル%であることが好ましく、40~60モル%であることがより好ましく、40~50モル%であることがさらに好ましい。全結合様式に対する1,4-結合の含有割合は、20~65モル%であることが好ましく、40~60モル%であることがより好ましく、45~60モル%であることがさらに好ましい。全結合様式に対する3,4-結合の含有割合は、前記1,2-結合の含有割合と前記1,4-結合の含有割合を考慮して、その残部となる。つまり、全結合様式に対する3,4-結合の含有割合は、「100-(1,2-結合の含有割合+1,4-結合の含有割合)」から求められる。
イソプレンの結合様式について、全結合様式に対する1,4-結合の含有割合は、5~95モル%であることが好ましく、10~90モル%であることがより好ましい。全結合様式に対する3,4-結合の含有割合は、5~95モル%であることが好ましく、5~85モル%であることがより好ましい。全結合様式に対する1,2-結合の含有割合は、前記1,4-結合の含有割合と前記3,4-結合の含有割合を考慮して、その残部となる。
前記各結合様式の割合は、13C-NMR測定によって求められる。具体的には、実施例に記載の方法に従って求めることができる。
本発明の共重合体において、1,3,7-オクタトリエンに由来する構造単位とイソプレンに由来する構造単位との結合形態、さらには、その他の共役ジエン化合物に由来する構造単位を含有する場合にはそれらの結合形態は、特に制限されるものではないが、ランダム、完全交互、グラジエント、ブロック、テーパー、およびこれらの組み合わせが挙げられ、製造容易性の観点から、ランダムであることが好ましい。
前記共重合体(II)において、前記数式(i)は次のように求められたものである。前記非特許文献2のTable 1中のEntry 4とEntry 6の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を用いて、横軸を重量平均分子量(Mw)、そして縦軸を分子量分布(Mw/Mn)とし、2点を通る直線を表す式を求め、当該直線の傾きと、重量平均分子量(Mw)が0のときの切片の値とを足したものを数式(i)とした。当該文献のデータは、いずれも当該直線上か、それより上に分布するものであるため、当該直線の下方は非特許文献2には開示されていない範囲である。
前記数式(i)中の重量平均分子量(Mw)の範囲に特に制限はないが、1,000~300,000であることが好ましく、5,000~300,000であることがより好ましく、10,000~300,000であることがさらに好ましく、40,000~300,000であることが特に好ましく、40,000~250,000であることが最も好ましい。
前記共重合体(III)において、分子量分布(Mw/Mn)は、1.98以下であることが好ましく、1.90以下であることがより好ましく、1.80以下であることがより好ましく、1.70以下であることがさらに好ましく、1.50以下であることが特に好ましく、1.40以下であることが最も好ましい。該分子量分布(Mw/Mn)の下限に特に制限はないが、通常、1.05以上となることが多い。
本発明の共重合体を後述するアニオン重合によって製造する際、重合反応後に末端停止剤を反応させる前の段階では、分子末端にリビングアニオン活性種を有する共重合体(リビングアニオン共重合体と称することがある。)であり、本発明は、当該共重合体も提供する。特に、分子末端にリビングアニオン活性種を有する共重合体について、分子量分布(Mw/Mn)が2.50以下であるものを提供することができる。該分子量分布(Mw/Mn)は、2.00以下であることが好ましく、1.50以下であることがより好ましく、1.40以下であることがさらに好ましく、1.15以下であることが特に好ましい。
本発明の共重合体は、耐熱性および耐候性の観点から、前記共重合体の水素化物(一般的には、水素添加物とも称される。)であってもよい。本発明の共重合体が水素化物である場合、水素化率に特に制限はないが、共重合体において、炭素-炭素二重結合の80モル%以上が水素化(水添とも称される。)されていることが好ましく、85モル%以上が水素化されていることがより好ましく、90モル%以上が水素化されていることがさらに好ましく、93モル%以上が水素化されていることが特に好ましく、95モル%以上が水素化されていることが最も好ましい。なお、該値を水素化率(水添率)と称することがある。水素化率の上限値に特に制限はないが、99モル%以下であってもよい。
水素化率は、炭素-炭素二重結合の含有量を水素化後の1H-NMR測定によって求められる。より具体的には、実施例に記載の方法に従って求めることができる。
本発明の共重合体の製造方法は、ガスクロマトグラフィーによって求めた純度が98.0%超の1,3,7-オクタトリエンと、イソプレンとをアニオン重合に付す工程を有する、1,3,7-オクタトリエンに由来する構造単位とイソプレンに由来する構造単位とを含有する共重合体(つまり前記の本発明の共重合体)の製造方法であって、
前記1,3,7-オクタトリエン中に含まれ得る不純物に過酸化物およびその分解物が含まれ、1,3,7-オクタトリエン中の前記過酸化物およびその分解物の合計含有量が0.30mmol/kg以下であり、
前記共重合体が下記条件I~IIIの内の少なくとも1つを満たす、共重合体の製造方法である。
条件I:分子量分布(Mw/Mn)が1.44未満である。
条件II:分子量分布(Mw/Mn)が前記数式(i)から求められる値より小さい。
条件III:1,3,7-オクタトリエンに由来する構造単位およびイソプレンに由来する構造単位の総量に対する1,3,7-オクタトリエンに由来する構造単位の含有率が21.0モル%超であり、且つ、分子量分布(Mw/Mn)が2.06未満である。
例えば、1,3,7-オクタトリエンとイソプレンと、必要に応じて使用する前記共役ジエン化合物(以下、重合反応させる原料を、原料モノマーと称することがある。)との混合物に対して、アニオン重合開始剤を供給することによって重合反応させ、反応系内でリビングアニオン活性種を有する共重合体を形成する。次いで、重合停止剤を添加することによって、ランダム共重合体を製造できる。
また、いずれか1種の原料モノマーに対してアニオン重合開始剤を供給した後に、残りの原料モノマーを添加することによってリビングアニオン活性種を有する共重合体を形成した後に、重合停止剤を添加することによって、ブロック共重合体を製造できる。
所望に応じて、ルイス塩基および溶媒を使用してもよい。
1,3,7-オクタトリエン、イソプレン、アニオン重合開始剤およびルイス塩基等は、それぞれ溶媒で希釈して使用してもよいし、溶媒で希釈せずにそのまま使用してもよい。
同時に、イソプレンおよび前記共役ジエン化合物も純度の高いものを使用することが好ましいが、イソプレンおよび前記共役ジエン化合物に関しては、通常のイソプレンまたは前記共役ジエン化合物の重合の際に使用するイソプレンまたは前記共役ジエン化合物の純度以上であれば十分である。一般的には、イソプレンおよび前記共役ジエン化合物の純度は、ガスクロマトグラフィーによって求めた純度が99%以上であるものが好ましく、加えて、該イソプレンおよび該共役ジエン化合物としては、いずれも、アセチレン等のアルキン、エチレン等のアルケン、並びにカルボニル基およびヒドロキシル基等の官能基を有する炭化水素化合物を実質的に含有しないものを使用することがより好ましい。
本発明の共重合体の製造方法はアニオン重合を利用するため、アニオン重合開始剤を使用する。該アニオン重合開始剤は、アニオン重合を開始できる化合物であればその種類に制限はない。
アニオン重合開始剤としては、芳香族ビニル化合物および共役ジエン化合物のアニオン重合において一般的に使用される有機アルカリ金属化合物を使用できる。該有機アルカリ金属化合物としては、例えばメチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、イソブチルリチウム、ペンチルリチウム、ヘキシルリチウム、ブタジエニリルリチウム、シクロヘキシルリチウム、フェニルリチウム、ベンジルリチウム、p-トルイルリチウム、スチリルリチウム、トリメチルシリルリチウム、1,4-ジリチオブタン、1,5-ジリチオペンタン、1,6-ジリチオヘキサン、1,10-ジリチオデカン、1,1-ジリチオジフェニレン、ジリチオポリブタジエン、ジリチオポリイソプレン、1,4-ジリチオベンゼン、1,2-ジリチオ-1,2-ジフェニルエタン、1,4-ジリチオ-2-エチルシクロヘキサン、1,3,5-トリリチオベンゼン、1,3,5-トリリチオ-2,4,6-トリエチルベンゼン等の有機リチウム化合物;メチルナトリウム、エチルナトリウム、n-プロピルナトリウム、イソプロピルナトリウム、n-ブチルナトリウム、sec-ブチルナトリウム、tert-ブチルナトリウム、イソブチルナトリウム、フェニルナトリウム、ナトリウムナフタレン、シクロペンタジエニルナトリウム等の有機ナトリウム化合物などが挙げられる。中でも、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウムが好ましい。有機アルカリ金属化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の共重合体の製造方法では、重合反応を制御する観点、特に、短時間で1,3,7-オクタトリエンの高い転化率を得るという観点から、ルイス塩基を使用してもよく、また、使用することが好ましい。該ルイス塩基としては、アニオン重合開始剤および成長末端アニオンと実質的に反応しない有機化合物であれば、その種類に特に制限はない。
ルイス塩基を使用する場合、ルイス塩基と、アニオン重合に用いる重合開始剤(アニオン重合開始剤)とのモル比(ルイス塩基/重合開始剤)は、0.01~1,000であることが好ましく、0.01~400であることがより好ましく、0.1~50であることがさらに好ましく、0.1~20であることが特に好ましい。この範囲であると、短時間で1,3,7-オクタトリエンの高い転化率を達成し易い。
ルイス塩基としては、単座配位性を有するものであってもよいし、多座配位性を有するものであってもよい。また、ルイス塩基は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ルイス塩基(i)の中でも、ルイス塩基(i-1)の具体例としては、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオクチルエーテル、エチルフェニルエーテル、ジフェニルエーテル等の非環状モノエーテル;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の、好ましくは合計炭素数2~40(より好ましくは合計炭素数2~20)の環状モノエーテル;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリsec-ブチルアミン、トリtert-ブチルアミン、トリtert-ヘキシルアミン、トリtert-オクチルアミン、トリtert-デシルアミン、トリtert-ドデシルアミン、トリtert-テトラデシルアミン、トリtert-ヘキサデシルアミン、トリtert-オクタデシルアミン、トリtert-テトラコサニルアミン、トリtert-オクタコサニルアミン、1-メチル-1-アミノ-シクロヘキサン、トリペンチルアミン、トリイソペンチルアミン、トリネオペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、N,N-ジメチルエチルアミン、N,N-ジメチルプロピルアミン、N,N-ジメチルイソプロピルアミン、N,N-ジメチルブチルアミン、N,N-ジメチルイソブチルアミン、N,N-ジメチルsec-ブチルアミン、N,N-ジメチルtert-ブチルアミン、N,N-ジメチルペンチルアミン、N,N-ジメチルイソペンチルアミン、N,N-ジメチルネオペンチルアミン、N,N-ジメチルヘキシルアミン、N,N-ジメチルヘプチルアミン、N,N-ジメチルオクチルアミン、N,N-ジメチルノニルアミン、N,N-ジメチルデシルアミン、N,N-ジメチルウンデシルアミン、N,N-ジメチルドデシルアミン、N,N-ジメチルフェニルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジエチルモノメチルアミン、N,N-ジプロピルモノメチルアミン、N,N-ジイソプロピルモノメチルアミン、N,N-ジブチルモノメチルアミン、N,N-ジイソブチルモノメチルアミン、N,N-ジsec-ブチルモノメチルアミン、N,N-ジtert-ブチルモノメチルアミン、N,N-ジペンチルモノメチルアミン、N,N-ジイソペンチルモノメチルアミン、N,N-ジネオペンチルモノメチルアミン、N,N-ジヘキシルモノメチルアミン、N,N-ジヘプチルモノメチルアミン、N,N-ジオクチルモノメチルアミン、N,N-ジノニルモノメチルアミン、N,N-ジデシルモノメチルアミン、N,N-ジウンデシルモノメチルアミン、N,N-ジドデシルモノメチルアミン、N,N-ジフェニルモノメチルアミン、N,N-ジベンジルモノメチルアミン、N,N-ジプロピルモノメチルアミン、N,N-ジイソプロピルモノエチルアミン、N,N-ジブチルモノエチルアミン、N,N-ジイソブチルモノエチルアミン、N,N-ジsec-ブチルモノエチルアミン、N,N-ジtert-ブチルモノエチルアミン、N,N-ジペンチルモノエチルアミン、N,N-ジイソペンチルモノエチルアミン、N,N-ジネオペンチルモノエチルアミン、N,N-ジヘキシルモノエチルアミン、N,N-ジヘプチルモノエチルアミン、N,N-ジオクチルモノエチルアミン、N,N-ジノニルモノエチルアミン、N,N-ジデシルモノエチルアミン、N,N-ジウンデシルモノエチルアミン、N,N-ジドデシルモノエチルアミン、N,N-ジフェニルモノエチルアミン、N,N-ジベンジルモノエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、N-エチルピペラジン、N-メチル-N-エチルアニリン、N-メチルモルホリン等の、好ましくは合計炭素数3~60(より好ましくは合計炭素数3~15)の第三級モノアミンなどが挙げられる。
ルイス塩基(i-1)としては、重合反応を制御する観点、特に、短時間で1,3,7-オクタトリエンの高い転化率を得るという観点から、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルエチルアミンが好ましい。
ルイス塩基(i-1)を使用する場合、ルイス塩基(i-1)中の非共有電子対を有する原子と、前記アニオン重合に用いる重合開始剤の金属原子とのモル比(非共有電子対を有する原子/重合開始剤の金属原子)が0.01~1,000であることが好ましく、0.1~500であることがより好ましく、2~300であることがさらに好ましく、2~100であることが特に好ましく、2~50であることが最も好ましい。この範囲であると、短時間で1,3,7-オクタトリエンの高い転化率を達成し易い。
ルイス塩基(i-2)としては、重合反応を制御する観点、特に、短時間で1,3,7-オクタトリエンの高い転化率を得るという観点から、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、1,2-ジイソプロポキシエタン、2,2-ジ(テトラヒドロフリル)プロパン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラエチルエチレンジアミンが好ましい。
一方、ルイス塩基(i-2)が多座配位性(2座配位性)を有するルイス塩基の場合、ルイス塩基(i-2)中の非共有電子対を有する原子と、前記アニオン重合に用いる重合開始剤の金属原子とのモル比(非共有電子対を有する原子/重合開始剤の金属原子)が0.01~50であることが好ましく、0.1~10であることがより好ましく、0.1~5であることがさらに好ましく、0.3~4であることが特に好ましい。この範囲であると、短時間で1,3,7-オクタトリエンの高い転化率を達成し易い。
なお、単座配位性と多座配位性(2座配位性)を併せ持つルイス塩基の場合、単座配位性の非共有電子対を有する原子と、多座配位性(2座配位性)を有する非共有電子対を有する2つ以上の原子の組み合わせそれぞれに着目し、上記記載を参照してルイス塩基の使用量を決定することが好ましい。
本発明の共重合体の製造方法は、溶媒の不存在下でも実施できるが、効率的に重合熱を除去する目的で、溶媒の存在下で実施することが好ましい。
溶媒としては、アニオン重合開始剤および成長末端アニオンと実質的に反応しない溶媒であれば特にその種類に制限はないが、重合時間および転化率を前記ルイス塩基によって精度良く制御する観点からは、炭化水素系溶媒が好ましい。
炭化水素系溶媒としては、例えばイソペンタン(27.9℃;1atmでの沸点であり、以下、同様である。)、ペンタン(36.1℃)、シクロペンタン(49.3℃)、ヘキサン(68.7℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、イソヘプタン(90℃)、イソオクタン(99℃)、2,2,4-トリメチルペンタン(99℃)、メチルシクロヘキサン(101.1℃)、シクロヘプタン(118.1℃)、オクタン(125.7℃)、エチルシクロヘキサン(132℃)、メチルシクロヘプタン(135.8℃)、ノナン(150.8℃)、デカン(174.1℃)等の飽和脂肪族炭化水素;ベンゼン(80.1℃)、トルエン(110.6℃)、エチルベンゼン(136.2℃)、p-キシレン(138.4℃)、m-キシレン(139.1℃)、o-キシレン(144.4℃)、プロピルベンゼン(159.2℃)、ブチルベンゼン(183.4℃)等の芳香族炭化水素が挙げられる。
原料モノマーの1つである1,3,7-オクタトリエン(沸点125.5℃)よりも低い沸点の溶媒を使用すると、溶媒の還流凝縮冷却によって効率的に重合熱を除去でき、好ましい。この観点から、溶媒としては、イソペンタン(27.9℃)、ペンタン(36.1℃)、シクロペンタン(49.3℃)、ヘキサン(68.7℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、イソヘプタン(90℃)、イソオクタン(99℃)、2,2,4-トリメチルペンタン(99℃)、メチルシクロヘキサン(101.1℃)、シクロヘプタン(118.1℃)、ベンゼン(80.1℃)、トルエン(110.6℃)が好ましい。同様の観点から、中でも、シクロヘキサン、n-ヘキサンがより好ましい。
溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、溶媒の除去工程を簡潔にするという観点から、アニオン重合終了後の反応液の固形分濃度が35~80質量%となるように調整することも可能であり、50~70質量%となるように調整することも可能である。
反応器の形式に特段の制限はなく、完全混合型反応器、管型反応器、およびこれらを2基以上直列または並列に接続した反応装置を使用できる。高い溶液粘度で狭い分子量分布(Mw/Mn)の共重合体を製造する観点から、完全混合型反応器を用いることが好適である。反応器の攪拌翼に特に制限はないが、マックスブレンド翼、フルゾーン翼、パドル翼、プロペラ翼、タービン翼、ファンタービン翼、ファウドラー翼、ブルーマージン翼等が挙げられ、これらのいずれかを2つ以上組み合わせたものでもよい。得られる重合体溶液の粘度が高い場合は、分子量分布(Mw/Mn)を狭くすることおよびジャケット除熱を促進する観点から、マックスブレンド翼、フルゾーン翼を用いることが好ましい。
攪拌方法としては、上部攪拌であってもよいし、下部攪拌であってもよい。
重合方法に特に制限はなく、回分式、半回分式、連続式のいずれで実施してもよい。完全混合型反応器は、反応器内部の溶液の加熱冷却を目的として外部にジャケットを有していてもよく、その構造には特に制限なく、公知の方式のものが使用できる。また、所望に応じて冷却伝熱を増加させる目的で、反応器内部に冷却バッフルまたは冷却コイル等を付設してもよい。さらに、気相部分に直接式または間接式に還流凝縮器を付設してもよい。重合熱の除去量を制御する観点から、不活性ガスを用いて反応器を加圧してもよいし、大気圧以下になるように減圧してもよい。反応器の内圧を大気圧以下にする場合には、不活性ガスを排気するためのポンプを、還流凝縮器を介して設置していてもよい。還流凝縮器の構造に特に制限はないが、多管式還流凝縮器を使用することが好ましい。還流凝縮器は直列または並列で複数の還流凝縮器を連結していてもよく、各々の還流凝縮器に異なる冷媒を通じてもよい。還流凝縮器に通じる冷媒の温度は、還流する溶媒が凍結しない温度から反応液温度までの範囲であれば特に制限はないが、好ましくは-20~50℃、より好ましくは5~30℃であれば、大型冷凍機を必要とせず、経済的である。
重合温度に特に制限はないが、薬品の凝固点を超える温度以上、且つ薬品が熱分解しない温度以下の範囲で実施することが好ましい。好ましくは-50~200℃、より好ましくは-20~120℃、さらに好ましくは15~100℃であれば、重合時間の短縮と1,3,7-オクタトリエンの高転化率を維持したままで、成長末端アニオンの部分的熱劣化に起因する低分子量重合体の生成を抑制してなる力学物性に優れた共重合体を製造できる。
成長末端アニオンと反応して重合反応を阻害するような物質、例えば酸素と水を含有する大気の混入が抑制される限りにおいて、本発明の重合は好適に実施できる。
重合温度以下の沸点を有する溶媒を使用する場合には、不活性ガスによって圧力を制御して溶媒蒸気の発生量を制御することで温度を制御してもよく、重合温度を超える沸点を有する溶媒を使用する場合には排気ポンプを用いて反応系内を減圧し、溶媒の蒸気の発生量を制御することで温度を制御してもよい。
重合圧力に特に制限はないが、0.01~10MPaG、より好ましくは0.1~1MPaGであれば、不活性ガスの使用量低減のみならず、高い耐圧の反応器および不活性ガスを系外に排気するポンプが不要となることから経済的有利に重合できる。
重合時間に特に制限はないが、好ましくは0.1~24時間、より好ましくは0.5~12時間であれば、成長末端アニオンの部分的熱劣化に起因する低分子量重合体の生成を抑制し、力学物性に優れた共重合体を製造し易い。
本発明の共重合体の製造方法では、反応系へ重合停止剤を添加することによって重合反応を停止することが好ましい。重合停止剤としては、例えば、水素分子;酸素分子;水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘプタノール、シクロヘキサノール、フェノール、ベンジルアルコール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、カテコール等のアルコール;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、塩化ブチル、臭化ブチル、ヨウ化ブチル、塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル、弗化トリメチルシリル、塩化トリメチルシリル、臭化トリメチルシリル、ヨウ化トリメチルシリル、弗化トリエチルシリル、塩化トリエチルシリル、臭化トリエチルシリル、ヨウ化トリエチルシリル、弗化トリブチルシリル、塩化トリブチルシリル、臭化トリブチルシリル、ヨウ化トリブチルシリル、弗化トリフェニルシリル、塩化トリフェニルシリル、臭化トリフェニルシリル、ヨウ化トリフェニルシリル等のハロゲン化合物;2-ヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロペンタノン、2-ヘキサノン、2-ペンタノン、シクロヘキサノン、3-ペンタノン、アセトフェノン、2-ブタノン、アセトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド等のエポキシ化合物;メチルジクロロシラン、エチルジクロロシラン、プロピルジクロロシラン、ブチルジクロロシラン、ペンチルジクロロシラン、ヘキシルジクロロシラン、ヘプチルジクロロシラン、オクチルジクロロシラン、ノニルジクロロシラン、デシルジクロロシラン、フェニルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、ジエチルクロロシラン、ジプロピルクロロシラン、ジブチルクロロシラン、ジペンチルクロロシラン、ジヘキシルクロロシラン、ジヘプチルクロロシラン、ジオクチルクロロシラン、ジノニルクロロシラン、ジデシルクロロシラン、メチルプロピルクロロシラン、メチルヘキシルクロロシラン、メチルフェニルクロロシラン、ジフェニルクロロシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、ジメチルフェノキシシラン、ジメチルベンジルオキシシラン、ジエチルメトキシシラン、ジエチルエトキシシラン、ジエチルプロポキシシラン、ジエチルブトキシシラン、ジエチルフェノキシシラン、ジエチルベンジルオキシシラン、ジプロピルメトキシシラン、ジプロピルエトキシシラン、ジプロピルプロポキシシラン、ジプロピルブトキシシラン、ジプロピルフェノキシシラン、ジプロピルベンジルオキシシラン、ジブチルメトキシシラン、ジブチルエトキシシラン、ジブチルプロポキシシラン、ジブチルブトキシシラン、ジブチルフェノキシシラン、ジブチルベンジルオキシシラン、ジフェニルメトキシシラン、ジフェニルエトキシシラン、ジフェニルプロポキシシラン、ジフェニルブトキシシラン、ジフェニルフェノキシシラン、ジフェニルベンジルオキシシラン、ジメチルシラン、ジエチルシラン、ジプロピルシラン、ジブチルシラン、ジフェニルシラン、ジフェニルメチルシラン、ジフェニルエチルシラン、ジフェニルプロピルシラン、ジフェニルブチルシラン、トリメチルシラン、トリエチルシラン、トリプロピルシラン、トリブチルシラン、トリフェニルシラン、メチルシラン、エチルシラン、プロピルシラン、ブチルシラン、フェニルシラン、メチルジアセトキシシラン、ポリメチルヒドロシロキサン、ポリエチルヒドロシロキサン、ポリプロピルヒドロシロキサン、ポリブチルヒドロシロキサン、ポリペンチルヒドロシロキサン、ポリヘキシルヒドロシロキサン、ポリヘプチルヒドロシロキサン、ポリオクチルヒドロシロキサン、ポリノニルヒドロシロキサン、ポリデシルヒドロシロキサン、ポリフェニルヒドロシロキサン、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、メチルヒドロシクロシロキサン、エチルヒドロシクロシロキサン、プロピルヒドロシクロシロキサン、ブチルヒドロシクロシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン、1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、1,1,3,3-テトラエチルジシラザン、1,1,3,3-テトラプロピルジシラザン、1,1,3,3-テトラブチルジシラザン、1,1,3,3-テトラフェニルジシラザン等のシリルヒドリド化合物などが挙げられる。
重合停止剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合停止剤は、重合反応に使用できる溶媒で希釈して用いてもよい。重合停止剤の使用量に特に制限はないが、成長末端アニオンに対して重合停止剤が余剰量とならないようにすることが溶媒回収再使用の観点から好ましく、且つ、共重合体を水素化する場合には水素化触媒の使用量を低減できる点でも好ましい。
共重合体の耐熱性、耐酸化性、耐候性、耐オゾン性等の観点から、共重合体が有する炭素-炭素二重結合の少なくとも一部または全部を水素化してもよい。通常、前記共重合体の製造方法において重合停止することによって得られる重合体溶液または必要に応じて前記溶媒で希釈した重合体溶液に、水素化触媒を添加して水素と作用させることで共重合体の水素化物を製造できる。
水素化触媒としては、例えば、ラネーニッケル;Pt、Pd、Ru、Rh、Ni等の金属をカーボン、アルミナ、珪藻土等の単体に担持させた不均一系触媒;遷移金属化合物とアルキルアルミニウム化合物、アルキルリチウム化合物等との組み合わせからなるチーグラー型触媒;メタロセン系触媒等が挙げられる。
水素化反応に要する時間は条件によって適宜選択できるが、共重合体の水素化物を工業的有利に生産する観点から、触媒との共存開始から10分~24時間の範囲であることが好ましい。
水素化反応を終了した後の反応混合液は、必要に応じて前記溶媒で希釈するかまたは濃縮してから、塩基性水溶液または酸性水溶液で洗浄し、水素化触媒を除去することができる。
1,3,7-オクタトリエンの製造方法としては、ガスクロマトグラフィーによって求めた1,3,7-オクタトリエンの純度が98.0%を超える製造方法を選択するか、または純度98.0%以下の1,3,7-オクタトリエンであれば、精製することによって、98.0%を超える純度の1,3,7-オクタトリエンを取得する必要がある。
例えば、特公昭46-24003号公報に記載の、パラジウム触媒によってブタジエンを二量化する方法、および特開昭47-17703号公報に記載の、1-アセトキシ-2,7-オクタジエンの脱アセチル化反応等が利用できる。
なお、1,3,7-オクタトリエンの製造に際して、二重結合の位置の異なる1,3,6-オクタトリエンまたは2,4,6-オクタトリエン等が副生することが知られている。これらの副生成物の沸点が1,3,7-オクタトリエンの沸点と近いことに起因して、副生成物の1,3,7-オクタトリエンからの蒸留分離が困難であるため、副生成物の少ない1,3,7-オクタトリエンの製造方法を採用することが好ましい。
また、1,3,7-オクタトリエン中の過酸化物およびその分解物の合計含有量が0.30mmol/kgを超えた場合は、過酸化物およびその分解物の含有量を低減してから1,3,7-オクタトリエンを使用する必要がある。過酸化物およびその分解物の含有量を低減する方法に特に制限はないが、例えば、アルミナ処理;酸化防止剤としての機能を有する、1,3,7-オクタトリエンよりも沸点の高い化合物(例えば、4-tert-ブチルカテコール、2,4-ジ-tert-ブチルフェノール、トリフェニルホスフィン等)を1,3,7-オクタトリエンと混合してから蒸留処理する方法などが挙げられる。中でも、アルミナ処理を利用するのが好ましい。
なお、1,3,7-オクタトリエンの製造は、特に断りがなくとも、窒素およびアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で実施した。
薬液はいずれも、特に断りの無い限りは、溶存ガスを不活性ガス置換し、且つ酸化防止剤および水を除去したものを使用した。
1,3,7-オクタトリエンの製造原料である2,7-オクタジエン-1-オールは、株式会社クラレ製の純度99.54%の2,7-オクタジエン-1-オールを使用した。該純度は、下記測定方法に従って求めた。
2,7-オクタジエン-1-オールの純度を下記測定条件のガスクロマトグラフィーによる分析によって求めた。具体的には、「保持時間5~20分に検出されるピーク面積の総和」に対する「保持時間約17.6分の観測できる1本の2,7-オクタジエン-1-オールに帰属できるピーク面積」の百分率を求め、これを2,7-オクタジエン-1-オールの純度とした。2,7-オクタジエン-1-オールの純度は99.54%であった。
<ガスクロマトグラフィー測定条件>
装置:株式会社島津製作所製「GC-2010Plus」
カラム:Restek Corporation製「Rxi-5ms」(内径0.25mm、長さ30m、膜厚1μm)
キャリアガス:ヘリウム(113.7kPaG)を流量1.37mL/分で流通させた。
サンプル注入量:薬液0.1μLをスプリット比100/1で注入した。
検出器:FID
検出器温度:280℃
気化室温度:280℃
昇温条件:70℃で12分保持した後、20℃/分で280℃まで昇温した後、5分保時した。
(2,7-オクタジエン-1-オールのアセチル化反応)
温度計、窒素導入口、容量2Lの滴下ロートおよび攪拌機を備えた容量10Lのフラスコを準備した。内部を窒素で置換し、2,7-オクタジエン-1-オール1500.8g(11.892mol)、トリエチルアミン1806.3g(17.851mol)、4-ジメチルアミノピリジン72.60g(0.594mol)を順次仕込んだ後に、140rpmで撹拌しながらドライアイスアセトン浴を用いて液温が-40℃になるまで冷却して混合液を得た。一方で、滴下ロートに無水酢酸1821.5g(17.842mol)を仕込み、前記混合液の液温が-50~-30℃を維持するように1時間かけて無水酢酸を滴下した。
滴下終了後、1時間反応を続け、蒸留水700.0gを加えて反応を停止した。有機相を回収して5%塩酸1Lで2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液1Lで2回、蒸留水1Lで1回、飽和塩化ナトリウム水溶液1Lで1回、順次洗浄した。こうして得られた有機相に無水硫酸ナトリウム170gを加えて脱水した後、無水硫酸ナトリウムを濾去して有機相を回収した。
回収した有機相について、前記2,7-オクタジエン-1-オールの純度分析と同じ条件でガスクロマトグラフィーによって分析し、1-アセトキシ-2,7-オクタジエンの純度を算出した。「保持時間5~20分に検出されるピーク面積の総和」に対する「保持時間約19.2分と約19.3分の観測できる2本のピーク面積の総和」の百分率、つまり1-アセトキシ-2,7-オクタジエンの純度は99.51%であった。当該純度の1-アセトキシ-2,7-オクタジエンを1851.1g(収率92.5%)取得した。
リービッヒ冷却器を介して受器と接続したクライゼン管蒸留ヘッド、攪拌機および温度計を備えた3L減圧蒸留装置の内部を窒素で置換し、上記方法で得た1-アセトキシ-2,7-オクタジエン1205.7g(7.167mol)、酢酸パラジウム26.7g(0.119mol)、トリフェニルホスフィン124.8g(0.4758mol)を仕込んだ。200rpmで攪拌しながら減圧一定装置を用いて内圧を1.52~1.35kPaAに制御し、液温が90℃になるように加熱しながら8.0g/分で留出させた。留出初期の41.4gを除去した後、その後留出した799.7gを回収した。
回収留分を0.2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液500mLで3回、蒸留水500mLで1回、飽和塩化ナトリウム水溶液500mLで1回、順次洗浄した。有機相に無水硫酸ナトリウム50gを加えて乾燥した後、無水硫酸ナトリウムを濾去して有機層を回収した。
回収した有機相について、前記2,7-オクタジエン-1-オールの純度分析と同じ条件でガスクロマトグラフィーにより分析したところ、1,3,7-オクタトリエン46.9%と1-アセトキシ-2,7-オクタジエン23.7%と3-アセトキシ-1,7-オクタジエン29.4%からなる混合物であった。有機層637.0gをマクマホンパッキンで充填してなる内径25.4mmで高さ240mmの蒸留装置に仕込んだ。22.1~13.0kPaAの条件下、79.1~60.3℃において還流比が2となるように留分を回収した。
回収した有機相について、前記2,7-オクタジエン-1-オールの純度分析と同じ条件でガスクロマトグラフィーにより分析し、1,3,7-オクタトリエンの純度を算出した。「全オクタトリエンに帰属できる、保持時間5~20分に検出されるピーク面積の総和」に対する「1,3,7-オクタトリエンに帰属できる、保持時間8.7分と9.0分の付近に観測できる2本のピーク面積の和」の百分率を下記数式1に従って計算したところ、99.3%であった。ここで、全オクタトリエンとは、1,3,7-オクタトリエンと、1,3,6-オクタトリエン、2,4,6-オクタトリエンおよび1,4,6-オクタトリエン等の二重結合異性体との全てを意味する。
(過酸化物およびその分解物の合計含有量の測定方法)
ガス供給口および凝縮器を備えた100mLの三つ口フラスコを窒素置換した後に、上記方法で得た1,3,7-オクタトリエン5.00gを精秤し、イソプロピルアルコール20.0g、蒸留水5.0gおよび酢酸2.0gと、さらに蒸留水1.5gに溶解したヨウ化カリウム1.6gとを添加した後、95℃のオイルバスを用いて5分間加熱攪拌した。
三つ口フラスコをオイルバスから取り出した後、イソプロピルアルコール6.0gおよび蒸留水1.5gの混合溶媒で凝縮器内部を洗浄し、洗浄液を三つ口フラスコ内の溶液と混合した。室温まで放冷後、三つ口フラスコへ0.005mmol/mLのチオ硫酸ナトリウム水溶液を滴下して、黄色から無色に退色する容量から下記数式2を用いて過酸化物およびその分解物の合計含有量を算出した。1,3,7-オクタトリエン中の過酸化物およびその分解物の合計含有量は、0.015mmol/kg未満であった。
製造例1で取得した1,3,7-オクタトリエンをガラスフラスコに移送し、空気雰囲気下、室温(20~25℃)で100時間、遮光せずに静置した。得られた1,3,7-オクタトリエンの純度並びに過酸化物およびその分解物の合計含有量について表1に示す。
製造例1で取得した1,3,7-オクタトリエンをガラスフラスコに移送し、空気雰囲気下、室温(20~25℃)で200時間、遮光せずに静置した。得られた1,3,7-オクタトリエンの純度並びに過酸化物およびその分解物の合計含有量について表1に示す。
製造例1において、1,3,7-オクタトリエンの純度が表1に記載の通りとなるように反応系からの1,3,7-オクタトリエンの留出速度を5.0g/分としたこと以外は同様にして操作を行った。取得した1,3,7-オクタトリエンをガラスフラスコに移送し、空気雰囲気下、室温(20~25℃)で90時間、遮光せずに静置した。得られた1,3,7-オクタトリエンの純度並びに過酸化物およびその分解物の合計含有量について表1に示す。
製造例1において、1,3,7-オクタトリエンの純度が表1に記載の通りとなるように反応系からの1,3,7-オクタトリエンの留出速度を4.0g/分としたこと以外は同様にして操作を行った。取得した1,3,7-オクタトリエンをガラスフラスコに移送し、空気雰囲気下、室温(20~25℃)で120時間、遮光せずに静置した。得られた1,3,7-オクタトリエンの純度並びに過酸化物およびその分解物の合計含有量について表1に示す。
製造例1で取得した1,3,7-オクタトリエンをガラスフラスコに移送し、空気雰囲気下、2,000時間冷蔵保存した。得られた1,3,7-オクタトリエンの純度並びに過酸化物およびその分解物の合計含有量について表1に示す。
また、各例において使用する試薬は、以下のものを用いた。
イソプレンは、和光純薬工業株式会社製のイソプレン(安定剤含有)からモレキュラーシーブス3Aおよび中性活性アルミナを用いて水分および安定剤を除去し、さらにアルゴンガスでバブリングして溶存ガスを置換してから使用した。
シクロヘキサンは、和光純薬工業株式会社製のシクロヘキサン(安定剤不含)からモレキュラーシーブス3Aを用いて水分を除去し、さらにアルゴンガスでバブリングして溶存ガスを置換してから使用した。
sec-ブチルリチウムは、アジアリチウム株式会社製のsec-ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液に、上記シクロヘキサンを用いて1.26mmol/gの濃度に調製したものを使用した。
テトラヒドロフラン(安定剤不含)、ジエチルエーテル(安定剤含有)、トリエチルアミン、1,2-ジエトキシエタン(DEE)およびN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)は和光純薬工業株式会社製のものを、2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン(DTHFP)は東京化成工業株式会社製のものを、いずれも中性活性アルミナを用いて水分および安定剤を除去し、さらにアルゴンガスでバブリングして溶存ガスを置換してから使用した。
ポリスチレンは、和光純薬工業株式会社製の標準ポリスチレン(重量平均分子量(Mw)=1,300、分子量分布(Mw/Mn)=1.06)を使用した。
重合反応終了後に得た重合停止液5.00gに対してエチレングリコールジメチルエーテル1.00gを加え、この混合液を以下の測定条件でガスクロマトグラフィーにより分析した。
なお、「重合反応の開始0時間における1,3,7-オクタトリエンとエチレングリコールジメチルエーテルの相対面積比」と「重合反応終了後の未反応1,3,7-オクタトリエンとエチレングリコールジメチルエーテルの相対面積比」から、下記数式3に基づいて1,3,7-オクタトリエンの転化率(%)を算出した。
また、「重合反応の開始0時間としての反応前のイソプレンとエチレングリコールジメチルエーテルの相対面積比」と「反応後の未反応イソプレンとエチレングリコールジメチルエーテルの相対面積比」から下記数式4に基づいてイソプレンの転化率(%)を算出した。
<ガスクロマトグラフィー測定条件>
装置:株式会社島津製作所製「GC-14B」
カラム:Restek Corporation製「Rxi-5ms」(内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm)
キャリアガス:ヘリウム(140.0kPaG)を流量1.50mL/分で流通させた。
サンプル注入量:薬液0.1μLをスプリット比50/1で注入した。
検出器:FID
検出器温度:280℃
気化室温度:280℃
昇温条件:40℃で10分保持した後、20℃/分で250℃まで昇温した後、5分保持した。
得られた共重合体0.10gにテトラヒドロフラン60.0gを加えて均一な溶液を調製し、この溶液を以下の測定条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析し、標準ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を求め、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
<ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定条件>
装置:東ソー株式会社製「HLC-8320GPC EcoSEC」
カラム:東ソー株式会社製「TSKgel SuperMultipore HZ-M」(内径4.6mm、長さ150mm)を2本直列に接続して使用した。
溶離液:テトラヒドロフランを流量0.35mL/分で流通させた。
サンプル注入量:10μL
検出器:RI
検出器温度:40℃
得られた共重合体150mgに重クロロホルム1.00gを加えて均一な溶液を調製し、この溶液を以下の測定条件で13C-NMR測定に供した。
<13C-NMR測定条件>
装置:日本電子株式会社製「JNM-LA500」
基準物質:テトラメチルシラン
測定温度:25℃
積算回数:15,000回
また、イソプレンの「1,2-結合の炭素原子1つに帰属できるピーク」をδ140.5~141.0ppmに、「1,4-結合の炭素原子1つに帰属できるピーク」をδ122.0~126.9ppm、「3,4-結合の炭素原子1つに帰属できるピーク」をδ110.2~112.2ppmに観測した。
共重合体に含まれる1,3,7-オクタトリエンに由来する1,2-結合、1,4-結合および3,4-結合の割合、並びにイソプレンに由来する1,2-結合、1,4-結合および3,4-結合の割合は、それぞれ下記数式6~8から求めた。
温度計、電気ヒーター、電磁誘導攪拌装置、薬液仕込み口、およびサンプリング口を備えた容量1LのSUS316(登録商標)製オートクレーブの内部をアルゴンで置換した後にシクロヘキサン232.0gを仕込んだ。続いて、アルゴンで内圧を0.1MPaGにした後、250rpmで攪拌しながら30分かけて50℃に昇温した。アルゴン気流下でテトラヒドロフラン(THF)0.278g(3.85mmol)を仕込み、続いてsec-ブチルリチウムを1.260mmol/g含有するシクロヘキサン溶液0.611g(sec-ブチルリチウムとして0.77mmol)を仕込んだ後に、アルゴンで内圧を0.3MPaGにした。
一方、製造例1で得た1,3,7-オクタトリエン86.22g(0.797mol)およびイソプレン69.07g(1.014mol)を混合してから、sec-ブチルリチウムが内在するオートクレーブへ1時間かけて供給した。仕込み開始の時点を重合反応の開始0時間として、液温が50℃となるように制御しながら6.5時間反応させた。
その後、エタノールを2.50mmol/g含有するシクロヘキサン溶液を0.32g(エタノールとして0.80mmol)を加えて重合反応を停止した。
次いで、得られた重合停止液全量を1Lのナスフラスコに移し、ロータリーエバポレーターを用いて100kPaA下で40℃に加熱しながら溶媒の殆どを留去した。さらに、減圧乾燥器に前記ナスフラスコを移し、0.1kPaA下で25℃に加熱しながら12時間乾燥させ、液状の共重合体153.1gを取得した。各試薬の使用量、反応条件および反応成績を表2に示す。
実施例1において、各試薬およびその使用量並びに反応条件を表2に記載の通りに変更したこと以外は同様にして重合反応を行ない、共重合体を得た。重合時間は表2に記載の通りであった。各試薬の使用量、反応条件および反応成績を表2に示す。
実施例1において、製造例1で得た1,3,7-オクタトリエンの代わりに製造例2で得た1,3,7-オクタトリエンを使用し、さらに各試薬およびその使用量並びに反応条件を表3に記載の通りに変更したこと以外は同様にして重合反応を行ない、共重合体を得た。重合時間は表3に記載の通りであった。各試薬の使用量、反応条件および反応成績を表3に示す。
実施例1において、製造例1で得た1,3,7-オクタトリエンの代わりに製造例3で得た1,3,7-オクタトリエンを使用し、さらに各試薬およびその使用量並びに反応条件を表3に記載の通りに変更したこと以外は同様にして重合反応を行ない、共重合体を得た。重合時間は表3に記載の通りであった。各試薬の使用量、反応条件および反応成績を表3に示す。
実施例2において、テトラヒドロフラン(THF)の使用量を0.689g(9.55mmol)から27.542g(382mmol)へ変更したこと以外は同様にして重合反応を行ない、共重合体を得た。重合時間は表3に記載の通りであった。各試薬の使用量、反応条件および反応成績を表3に示す。
実施例12において、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)の使用量を0.182g(1.57mmol)から0.728g(6.26mmol)へ変更したこと以外は同様にして重合反応を行ない、共重合体を得た。重合時間は表3に記載の通りであった。各試薬の使用量、反応条件および反応成績を表3に示す。
実施例2において、重合温度および重合時間を表3に記載の通りに変更したこと以外は同様にして重合反応を行ない、共重合体を得た。重合時間は表3に記載の通りであった。各試薬の使用量、反応条件および反応成績を表3に示す。
実施例1において、各試薬の使用量を表3に記載の通りに変更することによってアニオン重合終了後の反応液の固形分濃度をそれぞれ20質量%、61質量%としたこと以外は同様にして重合反応を行い、共重合体を得た。重合時間はそれぞれ1時間、2時間であった。各試薬の使用量、反応条件および反応成績を表3に示す。
実施例1において、各試薬の使用量を表3に記載の通りに変更することによってアニオン重合終了後の反応液の固形分濃度が30質量%としたこと以外は同様にして5時間反応させ、分子末端にリビングアニオン活性種を有する共重合体を得た。各試薬の使用量、反応条件および反応成績を表3に示す。
実施例24(1)で得たリビングアニオン活性種を有する共重合体を含むオートクレーブに製造例1で得た1,3,7-オクタトリエン52.45g(0.485mol)およびイソプレン41.99g(0.616mol)を加え、6時間反応させて共重合体を得た。各試薬の使用量、反応条件および反応成績を表3に示す。
実施例17において、製造例1で得た1,3,7-オクタトリエンの代わりに製造例4で得た1,3,7-オクタトリエンを使用したこと以外は同様にして重合反応を行ない、共重合体を得た。重合時間は表3に記載の通りであった。各試薬の使用量、反応条件および反応成績を表3に示す。
実施例17において、製造例1で得た1,3,7-オクタトリエンの代わりに製造例5で得た1,3,7-オクタトリエンを使用したこと以外は同様にして重合反応を行ない、共重合体を得た。重合時間は表3に記載の通りであった。各試薬の使用量、反応条件および反応成績を表3に示す。
実施例17において、製造例1で得た1,3,7-オクタトリエンの代わりに製造例6で得た1,3,7-オクタトリエンを使用したこと以外は同様にして重合反応を行ない、共重合体を得た。重合時間は表3に記載の通りであった。各試薬の使用量、反応条件および反応成績を表3に示す。
THF:テトラヒドロフラン
Et2O:ジエチルエーテル
NEt3:トリエチルアミン
TMEDA:N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン
DEE:1,2-ジエトキシエタン
DTHFP:2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン
実施例2、3、5~11、13~17、20、22および23で得た共重合体は、分子量分布(Mw/Mn)が1.44未満である。
実施例1~11、13~17、20、22、23、24(1)および24(2)で得た共重合体は、分子量分布(Mw/Mn)が前記数式(i)から求められる値より小さい共重合体である。
実施例1~6、10~23、24(1)および24(2)で得た共重合体は、1,3,7-オクタトリエンに由来する構造単位およびイソプレンに由来する構造単位の総量に対する1,3,7-オクタトリエンに由来する構造単位の含有率が21.0モル%超であり、且つ、分子量分布(Mw/Mn)が2.06未満の共重合体である。
また、ルイス塩基を使用した実施例1~14、17~23、24(1)および24(2)の結果と、ルイス塩基を使用しなかった実施例15~16の結果から、ルイス塩基を使用した場合に高転化率を達成できる傾向にあり、特に、短時間で高転化率を達成し易いことがわかる。
さらに、実施例22および23が示す様に、アニオン重合終了後の固形分濃度が20質量%または61質量%となるように調整して重合反応を行なっても、分子量分布(Mw/Mn)が狭い1,3,7-オクタトリエンの共重合体を得ることができた。
(水素化重合体の前駆体としての共重合体の製造)
実施例1と同様の操作によって1,3,7-オクタトリエンとイソプレンからなる共重合体を含むシクロヘキサン溶液を取得した。
窒素置換してなる1Lの三ツ口フラスコにビス(2-エチルヘキサン酸)ニッケル(II)の2-エチルヘキサン酸溶液(和光純薬工業株式会社製)25.1g(ニッケル原子を53.5mmol含有する)をシクロヘキサン284.4gに溶解した後、トリイソブチルアルミニウム(日本アルキルアルミニウム株式会社製)31.8g(160.3mmol)を10分かけて加え、30分攪拌することによって、水素化触媒を調製し、下記水素化反応に用いた。
前記共重合体を製造したオートクレーブを25℃に冷却したのちに重合体溶液290gを抜き取り、続いて、シクロヘキサンを290g導入した。オートクレーブ内部を水素ガスによって置換し、さらに水素ガスで0.2MPaGまで加圧し、次いで液温が75℃になるように加温した。その後、前記水素化触媒0.49g(共重合体に対するニッケル金属として114.55質量ppm相当)を加え、続いて水素ガスを用いて内圧を0.98MPaGにして2時間反応させた。
その後、2時間ごとに前記水素化触媒0.49g(共重合体に対するニッケル金属として114.55質量ppm相当)を3回加えた。水素化触媒の使用量は、ニッケル金属換算で、共重合体に対して合計458.2質量ppmであり、水素化反応の時間は、最初の水素化触媒を導入してから8時間であった。
下記条件における1H-NMR測定の結果、オクタトリエンを構成単位とする結合様式として、「1,2-結合の水素原子4つと1,4-結合の水素原子4つと3,4-結合の水素原子4つに帰属できるピーク」をδ4.8~5.5ppmに、「3,4-結合の水素原子1つに帰属できるピーク」をδ5.5~5.7ppmに、「1,2-結合の水素原子1つと1,4-結合の水素原子1つと3,4-結合の水素原子1つに帰属できるピーク」をδ5.7~5.9ppmに観測した。イソプレンを構成単位とする結合様式として、「3,4-結合の水素原子2つに帰属できるピーク」をδ4.6~4.8ppmに、「1,4-結合の水素原子1つに帰属できるピーク」をδ5.1~5.3ppmに、「1,2-結合の水素原子1つに帰属できるピーク」をδ5.7~6.0ppmに観測した。また、「ポリスチレンの芳香環の水素原子5つに帰属できるピーク」をδ6.2~7.5ppmに観測した。
水素化前の共重合体におけるスチレン総モル数に対する水素化されていない1,3,7-オクタトリエンとイソプレンの二重結合モル数と、水素化処理後の共重合体におけるスチレン総モル数に対する水素化されていない1,3,7-オクタトリエンとイソプレンの二重結合モル数から、1,3,7-オクタトリエンおよびイソプレンに由来する二重結合で水素化されたものの割合としての水素化率を98.6%と算出した。
<1H-NMR測定条件>
装置:日本電子株式会社製「JNM-LA500」
基準物質:テトラメチルシラン
測定温度:25℃
積算回数:254回
Claims (12)
- ガスクロマトグラフィーによって求めた純度が98.0%超の1,3,7-オクタトリエンと、イソプレンとをアニオン重合に付す工程を有する、1,3,7-オクタトリエンに由来する構造単位とイソプレンに由来する構造単位とを含有する共重合体の製造方法であって、
前記1,3,7-オクタトリエン中に含まれ得る不純物に過酸化物およびその分解物からなる群から選択される少なくとも1種が含まれ、1,3,7-オクタトリエン中の前記過酸化物およびその分解物の合計含有量が0.30mmol/kg以下であり、
前記共重合体が下記条件I~IIIの内の少なくとも1つを満たす、共重合体の製造方法。
条件I:分子量分布(Mw/Mn)が1.44未満である。
条件II:分子量分布(Mw/Mn)が下記数式(i)から求められる値より小さい。
条件III:1,3,7-オクタトリエンに由来する構造単位およびイソプレンに由来する構造単位の総量に対する1,3,7-オクタトリエンに由来する構造単位の含有率が21.0モル%超であり、且つ、分子量分布(Mw/Mn)が2.06未満である。 - 前記1,3,7-オクタトリエンのガスクロマトグラフィーによって求めた純度が98.5%以上である、請求項1に記載の共重合体の製造方法。
- 前記アニオン重合をルイス塩基の存在下に実施する、請求項1または2のいずれか1項に記載の共重合体の製造方法。
- 前記ルイス塩基と、前記アニオン重合に用いる重合開始剤とのモル比(ルイス塩基/重合開始剤)が0.01~1,000である、請求項3に記載の共重合体の製造方法。
- 前記ルイス塩基が、分子内にエーテル結合および第三級アミノ基からなる群から選択される少なくとも1つを有する化合物である、請求項3または4に記載の共重合体の製造方法。
- 前記ルイス塩基が、非共有電子対を有する原子1つを有する化合物である、請求項3~5のいずれか1項に記載の共重合体の製造方法。
- 前記ルイス塩基が、非共有電子対を有する原子2つ以上を有する化合物である、請求項3~5のいずれか1項に記載の共重合体の製造方法。
- 前記ルイス塩基が多座配位性を有する、請求項7に記載の共重合体の製造方法。
- アニオン重合終了後の反応液の固形分濃度が10~80質量%である、請求項1~8のいずれか1項に記載の共重合体の製造方法。
- -50~200℃でアニオン重合を実施する、請求項1~9のいずれか1項に記載の共重合体の製造方法。
- アニオン重合終了後の、ガスクロマトグラフィーによって求めた1,3,7-オクタトリエンの転化率が80.0%以上である、請求項1~10のいずれか1項に記載の共重合体の製造方法。
- アニオン重合終了後の、ガスクロマトグラフィーによって求めた1,3,7-オクタトリエンの転化率が88.0%以上である、請求項1~11のいずれか1項に記載の共重合体の製造方法。
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