JP7072778B2 - イミダゾール誘導体の製造方法 - Google Patents

イミダゾール誘導体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7072778B2
JP7072778B2 JP2018127895A JP2018127895A JP7072778B2 JP 7072778 B2 JP7072778 B2 JP 7072778B2 JP 2018127895 A JP2018127895 A JP 2018127895A JP 2018127895 A JP2018127895 A JP 2018127895A JP 7072778 B2 JP7072778 B2 JP 7072778B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
imidazole derivative
lignin
acetic acid
producing
containing material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018127895A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020007244A (ja
Inventor
隆司 渡辺
正治 中村
光 高谷
勝弘 磯崎
ピンチェラ フランチェスカ
健治 福田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyoto University
Taiyo Nippon Sanso Corp
Original Assignee
Kyoto University
Taiyo Nippon Sanso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyoto University, Taiyo Nippon Sanso Corp filed Critical Kyoto University
Priority to JP2018127895A priority Critical patent/JP7072778B2/ja
Publication of JP2020007244A publication Critical patent/JP2020007244A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7072778B2 publication Critical patent/JP7072778B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Plural Heterocyclic Compounds (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

本発明は、イミダゾール誘導体の製造方法に関する。
現在、木材等に含まれるリグニンは、パルプの精製過程で得られ、パルプ精製の際に必要な熱源として燃焼利用されている。しかし、リグニンを分解するとフェノール誘導体が得られることから、リグニンを燃焼利用するのではなく、リグニンから得られたフェノール誘導体を医薬品等の原料、中間体等として用いることが検討されている。
例えば、特許文献1には、バイオマス由来の有機化合物の製造方法として、リグニンからバニリン等の誘導体を取り出す方法が開示されている。
また、非特許文献1には、マイクロ波を用いたリグニン誘導体の合成法として、精製されたジケトン化合物、アルデヒド化合物、及び酢酸アンモニウムを酢酸の存在下で反応させるイミダゾール誘導体の合成方法が開示されている。
特表2014-533326号公報
S.E.Wolkenberg et al. Org. Lett. 2004, 6, 1453-1456
しかしながら、特許文献1に開示されたバイオマス由来の有機化合物の製造方法では、フェノールに炭素数1~2個の簡単な修飾器(メトキシ基等)が付加した化合物は製造できるが、複雑な置換基を有する化合物を製造し、これを抽出できないという課題があった。
一方、非特許文献1に開示されたイミダゾール誘導体の合成方法では、市販試薬レベルにまで精製された原料が必要であるという課題があった。また、非特許文献1に開示されたイミダゾール誘導体の合成方法は、リグニンの分解反応においては分解効率及び生成物の選択性の向上のために酢酸-水混合溶媒を溶媒として用いるのに対して、イミダゾール環化反応においてはアルデヒドとアンモニウム塩とによるイミン形成を鍵として進行するため、加水分解による逆反応を促進する水を反応溶媒として用いることができず、酢酸を溶媒として用いる必要があった。すなわち、非特許文献1に開示されたイミダゾール誘導体の合成方法では、リグニンの分解反応と、イミダゾール環化反応とを別々に行う必要があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高価な原料を用いることなく、簡便な方法によって特定のイミダゾール誘導体を得ることが可能なイミダゾール誘導体の製造方法を提供することを課題とする。
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1] リグニン含有材料、アルデヒド類、及びアンモニウム塩を含む酢酸水溶液にマイクロ波を照射する、イミダゾール誘導体の製造方法。
[2] 前記酢酸水溶液が、鉄系触媒を含む、[1]に記載のイミダゾール誘導体の製造方法。
[3] リグニン含有材料を含む酢酸水溶液にマイクロ波を照射した後、前記酢酸水溶液にアルデヒド類及びアンモニウム塩を添加して、再度マイクロ波を照射する、イミダゾール誘導体の製造方法。
[4] 前記リグニン含有材料及び鉄系触媒を含む酢酸水溶液にマイクロ波を照射する、[3]に記載のイミダゾール誘導体の製造方法。
[5] 前記アンモニウム塩として、酢酸アンモニウムを用いる、[1]乃至[4]のいずれか一項に記載のイミダゾール誘導体の製造方法。
[6] 前記リグニン含有材料として、広葉樹、針葉樹、及び草本のうち、いずれか1種以上を用いる、[1]乃至[5]のいずれか一項に記載のイミダゾール誘導体の製造方法。
本発明のイミダゾール誘導体の製造方法は、高価な原料を用いることなく、簡便な方法によって特定のイミダゾール誘導体を得ることができる。
実施例1で得られた生成物のGC-MSクロマトグラフの結果を示すグラフである。 実施例1で得られた生成物のマススペクトルの結果を示すグラフである。 実施例2で得られた、分解反応後の溶液のGC-MSクロマトグラフの結果を示すグラフである。 実施例3で得られた、分解反応後の溶液のGC-MSクロマトグラフの結果を示すグラフである。 実施例3で得られた、分解反応後の溶液のマススペクトルの結果を示すグラフである。 実施例4で得られた、分解反応後の溶液のGC-MSクロマトグラフの結果を示すグラフである。 実施例4で得られた、分解反応後の溶液のマススペクトルの結果を示すグラフである。 実施例5で得られた、分解反応後の溶液のGC-MSクロマトグラフの結果を示すグラフである。 実施例5で得られた、分解反応後の溶液のマススペクトルの結果を示すグラフである。 実施例6で得られた、分解反応後の溶液のGC-MSクロマトグラフの結果を示すグラフである。 実施例6で得られた、分解反応後の溶液のマススペクトルの結果を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態であるイミダゾール誘導体の製造方法について詳細に説明する。なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
<第1の実施形態>
本発明を適用した第1実施形態のイミダゾール誘導体の製造方法は、リグニン含有材料、アルデヒド類、及びアンモニウム塩を含む酢酸水溶液にマイクロ波を照射する。これにより、酢酸水溶液を加熱してリグニンを分解するとともに、イミダゾール誘導体を生成することができる。以下、各原料、及び生成するイミダゾール誘導体について説明する。
原料となるリグニン含有材料としては、特に限定されるものではなく、リグニンを含有する公知の材料、すなわち、広葉樹(ユーカリなど)、針葉樹(スギなど)、草本(稲、藁、竹など)を使用することができる。例えば、リグニン含有材料として広葉樹を用いた場合には、シリンギル核を含むイミダゾール誘導体が得られる。また、リグニン含有原料として針葉樹を用いた場合には、グアイアシル核を含むイミダゾール誘導体が得られる。また、リグニン含有材料として草本を用いた場合には、p-ヒドロキシフェニル核を含むイミダゾール誘導体が得られる。
リグニン含有材料が水分を含有する場合は、酢酸水溶液中に添加する前に、乾燥処理を施してもよい。乾燥処理としては、例えば、室温~100℃に加熱したオーブンで1~18時間乾燥した後、さらに真空デシケータ内で5時間~5日間、好ましくは5時間~3日間、より好ましくは5時間~24時間乾燥させることにより行ってもよい。
アルデヒド類は、イミダゾール基質(第1の基質)として用いる。イミダゾール基質として適用可能なアルデヒド類としては、下記の表1及び表2中の「Substrate1」に記載した、No.1~31のアルデヒド類が挙げられる。アルデヒド類は、目的とするイミダゾール誘導体の構造に応じて、適宜選択することができる。
Figure 0007072778000001
Figure 0007072778000002
アンモニウム塩は、イミダゾール基質(第2の基質)として用いる。イミダゾール基質として適用可能なアンモニウム塩としては、特に限定されるものではなく、例えば、NHX(Xは、各種カルボキシレート、ハロゲン原子等)や、有機酸(ギ酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸等)及び無機酸(塩酸、硝酸、硫酸当)とアンモニア(NH)との反応によって得られるアンモニウム塩が挙げられる。これらのアンモニウム塩の中でも、取り扱い易さ及び経済性の観点から、酢酸アンモニウムを用いることが好ましい。
酢酸水溶液は、マイクロ波を照射してリグニンを分解するとともに、イミダゾール誘導体を生成する際の溶媒である。酢酸水溶液としては、体積比で水:酢酸=1:0.5~1:100の範囲のものを用いることが好ましい。
酢酸水溶液中のリグニン含有材料の濃度、すなわち、溶媒に対するリグニン含有材料の添加量としては、特に限定されるものではないが、例えば、1~50質量%の範囲とすることが好ましく、5~30質量%の範囲とすることがより好ましく、5~15質量%の範囲とすることがさらに好ましい。上述の好ましい範囲とすることにより、流動性がありマイクロ波を均一に照射することができるとの効果が得られる。
酢酸水溶液中へのアルデヒド類(第1の基質)の添加量としては、特に限定されるものではないが、例えば、300mgリグニンに対してアルデヒド類が100~1500mgの範囲とすることが好ましく、800~1200mgの範囲とすることがより好ましい。
酢酸水溶液中へのアンモニウム塩(第2の基質)の添加量としては、特に限定されるものではないが、例えば、300mgリグニンに対してアンモニウム塩が100~1500mgの範囲とすることが好ましく、1000~1500mgの範囲とすることがより好ましい。
溶媒である酢酸水溶液中には、鉄系触媒が含まれることが好ましい。酢酸水溶液中に鉄イオンを発生させるために酢酸水溶液中に添加する鉄系触媒としては、2価又は3価の鉄イオンが発生させられるものであれば特に限定されない。鉄系触媒としては、具体的には、酸化鉄(II)(以下、「FeO」と記載することがある)、及び酸化鉄(III)(以下、「Fe」と記載することがある)を使用することができる。酢酸水溶液中に含まれる鉄イオンは、リグニン含有材料に対して、0.1~5質量%であることが好ましい。酢酸水溶液中に鉄イオンが含まれることにより、リグニンの分解促進と特定の構造を有するイミダゾール誘導体を選択的に得る触媒効果が得られる。
なお、溶媒である酢酸水溶液中には、本発明の効果を奏する範囲において他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、例えば、トルエンスルホン酸等の酸触媒(但し、鉄系触媒を除く)が挙げられる。
本実施形態のイミダゾール誘導体の製造方法では、酢酸水溶液にマイクロ波を照射することにより、溶液を昇温する。マイクロ波を用いることで、ヒーターを用いて昇温した場合に比べ、短時間で昇温することができる。また、溶液を昇温することで、リグニンの分解反応を促進させ、イミダゾール誘導体を選択的に生成することができる。
なお、マイクロ波とは、波長1mから100μm、周波数300MHzから3THzの電波(電磁波)を指す。また、マイクロ波の照射は、マイクロ波反応装置(例えば、Biotage社製、Initiator+、等)により行うことができる。
リグニンを分解反応させる際の、溶液の温度としては、具体的には、120~220℃が好ましく、140~200℃がより好ましい。温度が120℃以上であることで、リグニンの分解反応を促進させることができる。一方、温度が220℃以下であることで、リグニンを分解して生成したイミダゾール誘導体が、さらに分解することを防止することができる。また、反応時間としては、具体的には、1~150分間が好ましく、15~60分間がより好ましく、30~60分間が特に好ましい。
例えば、溶液を200℃、30分間の条件で分解反応を行う場合、マイクロ波の照射を開始して目的温度の200℃に到達した後、その温度を30分間維持すればよい。
以上説明したように、本実施形態のイミダゾール誘導体の製造方法によれば、リグニン含有材料、アルデヒド類、及びアンモニウム塩を含む酢酸水溶液にマイクロ波を照射することにより、酢酸水溶液を短時間で加熱してリグニンを分解するとともに、イミダゾール誘導体を生成することができる。したがって、高価な原料を用いることなく安価なリグニン含有材料を用い、溶媒を変更することなくリグニンの分解とイミダゾール誘導体の生成を同時に行うという簡便な方法によって、特定のイミダゾール誘導体を得ることができる。
なお、本実施形態のイミダゾール誘導体の製造方法によって得られるイミダゾール誘導体の構造を、下記の構造式(A)に示す。生成物となるイミダゾール誘導体は、溶媒中に構造式(A)に示すような平衡混合物として存在する。
Figure 0007072778000003
ここで、上記構造式(A)中に示す置換基Rは、下記の構造式(B)に示すように、2,6-ジメトキシフェノール、2-メトキシフェノール及びp-ヒドロキシフェノールのうち、いずれかである。
Figure 0007072778000004
上述したように、広葉樹由来のリグニン含有材料を用いた場合、構造式(A)中に示す置換基Rが2,6-ジメトキシフェノールのイミダゾール誘導体が得られる。また、針葉樹由来のリグニン含有原料を用いた場合には、構造式(A)中に示す置換基Rが2-メトキシフェノールのイミダゾール誘導体が得られる。また、草本由来のリグニン含有材料を用いた場合には、構造式(A)中に示す置換基Rがp-ヒドロキシフェノールのイミダゾール誘導体が得られる。
また、上記構造式(A)中に示す置換基Rは、上記の表1及び表2中の「Substrate1」に記載した、No.1~31のアルデヒド類に対応する「R」に記載したNo.1~31の欄の構造となる。
すなわち、本実施形態のイミダゾール誘導体の製造方法によれば、溶媒として用いる酢酸水溶液中に添加するリグニン含有材料と、イミダゾール基質となるアルデヒド類とを適宜選択することにより、種々な構造のイミダゾール誘導体を簡易に合成することが可能となる。
<第2の実施形態>
本発明を適用した第2実施形態のイミダゾール誘導体の製造方法は、リグニン含有材料を含む酢酸水溶液にマイクロ波を照射した後、前記酢酸水溶液にアルデヒド類及びアンモニウム塩を添加して、再度マイクロ波を照射する。これにより、酢酸水溶液を加熱してリグニンを分解するとともに、イミダゾール誘導体を生成することができる。
すなわち、上述した第1実施形態が1度のマイクロ波の照射でイミダゾール誘導体を生成する方法であるのに対して、本実施形態のイミダゾール誘導体の製造方法は、2段階のマイクロ波の照射により、イミダゾール誘導体を生成する方法である。
リグニン含有材料、酢酸水溶液、アルデヒド類、アンモニウム塩、及び鉄系触媒としては、上述した材料と同様のものを使用することができる。
なお、上述した2段階のマイクロ波の照射により、リグニン含有材料の分解反応、及びイミダゾール誘導体の生成反応(環化反応)する場合は、各反応の時間を、10~180分間とするのが好ましく15~90分間とするのがより好ましく、30~60分間とするのが特に好ましい。また、反応の際の溶液の温度としては、具体的には、100~220℃が好ましく、140~180℃がより好ましい。温度が100℃以上であることで、リグニンの分解反応を促進させることができる。一方、温度が220℃以下であることで、リグニンを分解して生成したイミダゾール誘導体が、さらに分解することを防止することができる。生成反応を2段階に分けることで、より効率良く選択的にイミダゾール誘導体を生成することができる。
以上、この発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上述した第1及び第2の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
以下、本発明の効果を実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(リグニン含有材料の準備)
リグニン含有材料として、ユーカリ由来ソーダ蒸解リグニンを使用した。リグニン含有材料は、収量把握等を目的として乾燥処理を施したものを用いた。乾燥処理としては、具体的には、50℃に加熱したオーブンで乾燥した後、真空デシケータ内で一晩乾燥させた。
(反応液の調製)
溶媒として、純水と酢酸とを用意し、体積比で純水:酢酸=2:1となるように、酢酸水溶液15mLを調製した。次に、30mLガラス製の専用バイアルに溶媒を加え、トルエンスルホン酸0.7g、酸化鉄(III)0.06g、上記リグニン含有材料300mgを添加した。
次いで、溶媒中に、イミダゾール誘導体の第1の基質(Substrate1)としてベンズアルデヒド400mgを、第2の基質(Substrate2)として酢酸アンモニウム1500mgをそれぞれ添加した。
(分解・合成反応)
次に、キャップを用いて30mLガラス製の専用バイアルを密封した。次いで、マイクロ波反応装置(Biotage社製、Initiator+、以下同じ)を用いてマイクロ波を照射し、200℃で15分間の分解反応を行い、放冷した。
(精製・分析)
分解反応後の溶液をろ過し、酢酸エチルに溶解させた後、炭酸ナトリウム水溶液、及び炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、エバポレータで濃縮して生成物を得た。
得られた生成物をGC-MS(島津製作所社製、QP-2010、以下同じ)で分析し、含有する成分の定性、定量分析を行った。ここで、図1は、実施例1で得られた生成物のGC-MSクロマトグラフの結果を示す。また、図2は、実施例1で得られた生成物のマススペクトルの結果を示す。なお、図中、「Imidazole-S」とは、上述した構造式(A)に示すイミダゾール誘導体の置換基Rが「2,6-ジメトキシフェノール」であるものを示しており、「Imidazole-G」とは、置換基Rが「2-メトキシフェノール」であるものを示す。また、内部標準物質(IS)は、ドコサンを示す。
得られた生成物と、化学的に合成したイミダゾール誘導体とのマススペクトルを比較し、置換基Rは、表1中に示すNo.1の化合物であることを確認した。すなわち、実施例1では、リグニン含有材料に対して1質量%のイミダゾール誘導体を生成できた。
<実施例2>
実施例1において、イミダゾール誘導体の第1の基質(Substrate1)としてベンズアルデヒド400mgを、第2の基質(Substrate2)として酢酸アンモニウム1500mgを酢酸溶液中に添加する前に、マイクロ波反応装置でマイクロ波を照射し、200℃で15分間の分解反応を行った。放冷後、ベンズアルデヒド400mg、酢酸アンモニウム1500mgを添加し、再度分解反応を行った。それ以外は、実施例1と同様にして分解反応を行ない、生成物を得た。
ここで、図3は、分解反応後の溶液のGC-MSクロマトグラフの結果を示す。実施例1に比べて、イミダゾール誘導体の生成量が増加していることが判明した。すなわち、実施例2では、分解したリグニン含有材料に対して3質量%のイミダゾール誘導体を生成することができた。
<実施例3>
イミダゾール誘導体の第1の基質(Substrate1)としてベンズアルデヒドの代わりに2-Thiophenecarboxaldehydeを用いた以外は、実施例2と同様にして分解反応を行った。
ここで、図4は、分解反応後の溶液のGC-MSクロマトグラフの結果を示す。また、図5は、分解反応後の溶液のGC-MSクロマトグラフの結果を示す。図4と図1とを比較すると、図4中には、実施例1とは異なる位置に生成物のピークが確認された。また、図5に示すマススペクトルの結果、表1中のNo.12の化合物が得られていることが確認された。すなわち、実施例3では、イミダゾール誘導体の第1の基質(Substrate1)を変化させることによって、同じリグニン含有材料から異なるイミダゾール誘導体を得ることができた。
<実施例4>
イミダゾール誘導体の第1の基質(Substrate1)としてベンズアルデヒドの代わりにp-クロロベンズアルデヒドを用いた以外は、実施例2と同様にして分解反応を行った。
ここで、図6は、分解反応後の溶液のGC-MSクロマトグラフの結果を示す。また、図7は、分解反応後の溶液のGC-MSクロマトグラフの結果を示す。図6と図1とを比較すると、図6中には、実施例1とは異なる位置に生成物のピークが確認された。また、図7に示すマススペクトルの結果、表2中のNo.20の化合物が得られていることが確認された。すなわち、実施例4では、イミダゾール誘導体の第1の基質(Substrate1)を変化させることによって、同じリグニン含有材料から異なるイミダゾール誘導体を得ることができた。
<実施例5>
イミダゾール誘導体の第1の基質(Substrate1)としてベンズアルデヒドの代わりにCyclohexanecarboxaldehydeを用いた以外は、実施例2と同様にして分解反応を行った。
ここで、図8は、分解反応後の溶液のGC-MSクロマトグラフの結果を示す。また、図9は、分解反応後の溶液のGC-MSクロマトグラフの結果を示す。図8と図1とを比較すると、図8中には、実施例1とは異なる位置に生成物のピークが確認された。また、図9に示すマススペクトルの結果、表2中のNo.30の化合物が得られていることが確認された。すなわち、実施例5では、イミダゾール誘導体の第1の基質(Substrate1)を変化させることによって、同じリグニン含有材料から異なるイミダゾール誘導体を得ることができた。
<実施例6>
イミダゾール誘導体の第2の基質(Substrate2)として酢酸アンモニウムの代わりにクエン酸アンモニウムを用いた以外は、実施例2と同様にして分解反応を行った。
ここで、図10は、分解反応後の溶液のGC-MSクロマトグラフの結果を示す。また、図11は、分解反応後の溶液のGC-MSクロマトグラフの結果を示す。図10と図1とを比較すると、図10中には、実施例1と同じ位置に生成物のピークが確認された。また、図11に示すマススペクトルの結果、表1中のNo.1の化合物が得られていることが確認された。すなわち、実施例6では、イミダゾール誘導体の第2の基質(Substrate1)を変化させることによって、同じリグニン含有材料から同じイミダゾール誘導体を得ることができた。
<実施例7>
イミダゾール誘導体の第1の基質(Substrate1)としてベンズアルデヒドの代わりにp-Nitrobenzaldehydeを用いた以外は、実施例2と同様にして分解反応を行った。
(生成物の確認)
実施例7以降の実施例では、得られた生成物の確認を、化学的に合成した標品とのTLC分析を行って確認した。具体的には、分解反応後のろ液を1μL程度分取し、100倍に希釈した液(a液)、および標品1mg程度を100μLに希釈した液(b液)を調製し、幅2.5cm×長さ5cm程度のTLCプレートの下部にa液1μL、a液とb液それぞれ1μL、b液1μLをそれぞれ滴下した後、体積容量比でヘキサン:酢酸エチル=1:3の混合溶液で展開した。風乾後、UVライトを照射し、b液のスポットと同一の位置にa液のスポットがあることを確認した。これにより、リグニン含有材料から、表2中のNo.19のイミダゾール誘導体が得られたことを確認した。
<実施例8>
イミダゾール誘導体の第1の基質(Substrate1)としてベンズアルデヒドの代わりにp-Hydrobenzaodehydeを用いた以外は、実施例2と同様にして分解反応を行った。
実施例7と同様の方法により、リグニン含有材料から表1中のNo.6のイミダゾール誘導体が得られたことを確認した。
<実施例9>
イミダゾール誘導体の第1の基質(Substrate1)としてベンズアルデヒドの代わりに4-Pyridinecarboxaldehydeを用いた以外は、実施例2と同様にして分解反応を行った。
実施例7と同様の方法により、リグニン含有材料から表2中のNo.23のイミダゾール誘導体が得られたことを確認した。
本発明のイミダゾール誘導体の製造方法は、リグニン含有材料から、医薬品等の原料、中間体等の有用成分であるイミダゾール誘導体を得る方法として利用可能性を有する。

Claims (5)

  1. リグニン含有材料、アルデヒド類、及びアンモニウム塩を含む酢酸水溶液にマイクロ波を照射する、イミダゾール誘導体の製造方法であって、
    前記リグニン含有材料として、広葉樹、針葉樹、及び草本のうち、いずれか1種以上を用い、
    前記アルデヒド類として、以下の表1及び表2中の「Substrate1」に記載した、No.1~31のアルデヒド類を用いて、
    溶媒中に以下の構造式(A)に示すような平衡混合物として存在するイミダゾール誘導体を得る、イミダゾール誘導体の製造方法。
    Figure 0007072778000005
    Figure 0007072778000006
    Figure 0007072778000007
    ここで、上記構造式(A)中に示す置換基R は、以下の構造式(B)に示すように、2,6-ジメトキシフェノール、2-メトキシフェノール及びp-ヒドロキシフェノールのうち、いずれかであり、置換基R は、上記表1及び表2中の「R 」の欄に記載された構造である。
    Figure 0007072778000008
  2. 前記酢酸水溶液が、鉄系触媒を含む、請求項1に記載のイミダゾール誘導体の製造方法。
  3. リグニン含有材料を含む酢酸水溶液にマイクロ波を照射した後、前記酢酸水溶液にアルデヒド類及びアンモニウム塩を添加して、再度マイクロ波を照射する、イミダゾール誘導体の製造方法であって、
    前記リグニン含有材料として、広葉樹、針葉樹、及び草本のうち、いずれか1種以上を用い、
    前記アルデヒド類として、以下の表3及び表4中の「Substrate1」に記載した、No.1~31のアルデヒド類を用いて、
    溶媒中に以下の構造式(A)に示すような平衡混合物として存在するイミダゾール誘導体を得る、イミダゾール誘導体の製造方法。
    Figure 0007072778000009
    Figure 0007072778000010
    Figure 0007072778000011
    ここで、上記構造式(A)中に示す置換基R は、以下の構造式(B)に示すように、2,6-ジメトキシフェノール、2-メトキシフェノール及びp-ヒドロキシフェノールのうち、いずれかであり、置換基R は、上記表3及び表4中の「R 」の欄に記載された構造である。
    Figure 0007072778000012
  4. 前記リグニン含有材料及び鉄系触媒を含む酢酸水溶液にマイクロ波を照射する、請求項3に記載のイミダゾール誘導体の製造方法。
  5. 前記アンモニウム塩として、酢酸アンモニウムを用いる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のイミダゾール誘導体の製造方法。
JP2018127895A 2018-07-04 2018-07-04 イミダゾール誘導体の製造方法 Active JP7072778B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018127895A JP7072778B2 (ja) 2018-07-04 2018-07-04 イミダゾール誘導体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018127895A JP7072778B2 (ja) 2018-07-04 2018-07-04 イミダゾール誘導体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020007244A JP2020007244A (ja) 2020-01-16
JP7072778B2 true JP7072778B2 (ja) 2022-05-23

Family

ID=69150671

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018127895A Active JP7072778B2 (ja) 2018-07-04 2018-07-04 イミダゾール誘導体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7072778B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014533326A (ja) 2011-08-11 2014-12-11 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 水性リグニン溶液又は懸濁液を電気化学的に酸化することによるバニリンの製造方法
JP2017145243A (ja) 2016-02-15 2017-08-24 国立大学法人京都大学 フェノール誘導体の製造方法
JP2017145244A (ja) 2016-02-15 2017-08-24 国立大学法人京都大学 フェノール誘導体の製造方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3411997A1 (de) * 1984-03-31 1985-10-17 Boehringer Mannheim Gmbh, 6800 Mannheim Neue redox-indikatoren

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014533326A (ja) 2011-08-11 2014-12-11 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 水性リグニン溶液又は懸濁液を電気化学的に酸化することによるバニリンの製造方法
JP2017145243A (ja) 2016-02-15 2017-08-24 国立大学法人京都大学 フェノール誘導体の製造方法
JP2017145244A (ja) 2016-02-15 2017-08-24 国立大学法人京都大学 フェノール誘導体の製造方法

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Kaiho, Atsushi; Kogo, Makiko; Sakai, Ryo; Saito, Kaori; Watanabe, Takashi,In situ trapping of enol intermediates with alcohol during acid-catalyzed de-polymerization of lignin in a nonpolar solvent,Green Chemistry ,2015年,17(5),,2780-2783
Rahimi, Alireza; Ulbrich, Arne; Coon, Joshua J.; Stahl, Shannon S.,Formic-acid-induced depolymerization of oxidized lignin to aromatics,Nature (London, United Kingdom) ,2014年,515(7526),,249-252
Wolkenberg, Scott E. 他,Efficient synthesis of imidazoles from aldehydes and 1,2-diketones using microwave irradiation,Organic Letters,2004年,6(9),,1453-1456

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020007244A (ja) 2020-01-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Mizoguchi et al. Synthesis of multiply substituted 1, 6-dihydropyridines through Cu (I)-catalyzed 6-endo cyclization
Fiorito et al. Microwave-assisted synthesis of coumarin-3-carboxylic acids under ytterbium triflate catalysis
Sanz et al. Selective deoxygenation of sulfoxides to sulfides with phosphites catalyzed by dichlorodioxomolybdenum (VI)
Bartoli et al. Reaction of dicarbonates with carboxylic acids catalyzed by weak Lewis acids: general method for the synthesis of anhydrides and esters
Hari et al. Efficient one-pot synthesis of spirooxindole derivatives by ethylenediamine diacetate catalyzed reactions in water
Maki et al. Protonation of homoenolate equivalents generated by N-heterocyclic carbenes
Katla et al. Recyclable [Ce (l-Pro) 2] 2 (oxa) used as heterogeneous catalyst: one-pot synthesis of 2, 3-dihydroquinazolin-4 (1H)-ones in ethanol
JP7072778B2 (ja) イミダゾール誘導体の製造方法
Kumar et al. Perchloric acid adsorbed on silica gel (HClO4-SiO2) as an inexpensive, extremely efficient, and reusable dual catalyst system for acetal/ketal formation and their deprotection to aldehydes/ketones
Sarmah et al. Aqueous extracts of biomass ash as an alternative class of Green Solvents for organic transformations: A review update
Sivamurugan et al. Rapid and cleaner synthesis of 1, 4‐dihydropyridines in aqueous medium
Politanskaya et al. p-Toluenesulfonic acid induced conversion of fluorinated trimethylsilylethynylanilines into aminoacetophenones: versatile precursors for the synthesis of benzoazaheterocycles
Zhang et al. Selective oxidation of benzylic alcohols and TBDMS ethers to carbonyl compounds with CrO3-H5IO6
JP6544595B2 (ja) フェノール誘導体の製造方法
Rajabi et al. Efficient Co (ii) heterogeneously catalysed synthesis of α-aminonitriles at room temperature via Strecker-type reactions
CN111978164B (zh) 一种可见光催化氧化木质素制备芳香醛的方法
Rahimi et al. An efficient ultrasound-promoted method for the synthesis of bis (indole) derivatives
Weixler et al. [2+ 2] Photocycloaddition Studies on Complex Tetronic Acid Esters Related to the Synthesis of Cembranoid Diterpenes
Mirza-Aghayan et al. Microwave-assisted synthesis of the tetradentate Schiff-bases under solvent-free and catalyst-free condition
Domb et al. Secondary-sphere modification in proline catalysis: old friend, new connection
Kraft et al. Photoinduced diradical formation and decay in uncomplexed and metal-bound benzotriazine systems: mechanistic implications to chemically and biologically relevant photochemistry
Hataminejad et al. Design and exploration of caffeine-based Brönsted acidic ionic liquid (CaffBAIL) for the synthesis of DHPMs, xanthenediones, and acridinediones
Azeredo et al. Solvent-Free Asymmetric Alkoxy-Selenylation of Styrenes Using I2/DMSO Catalytic System
Otter et al. Preparation and photochemistry of cobalt (iii) amino and amino acidato complexes containing tripodal polypyridine ligands
Alcaide et al. Acid‐Catalyzed Synthesis of α, β‐Disubstituted Conjugated Enones by a Meyer–Schuster‐Type Rearrangement in Allenols

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180810

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20201106

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210119

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211021

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211102

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211222

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220405

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220422

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7072778

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150