JP7071596B2 - ジアステレオ異性的に濃縮されたpctaから誘導されたガドリニウム及びキレート配位子の錯体並びに調製及び精製プロセス - Google Patents

ジアステレオ異性的に濃縮されたpctaから誘導されたガドリニウム及びキレート配位子の錯体並びに調製及び精製プロセス Download PDF

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Description

本発明は、ガドリニウムの錯体及びPCTA系のキレート配位子の錯体を調製及び精製するための新規なプロセスに関し、これにより、医用画像の分野、特に磁気共鳴画像での、造影剤としての用途に最も特に有利な物理化学的特性を有する前述の錯体の立体異性体を優先的に得ることが可能になる。又、本発明は、ジアステレオ異性的に濃縮された錯体(diastereoisomerically enriched complex)それ自体、前述の錯体を含む組成物、及び又、前述の錯体の脱錯体化によって対応するキレート配位子を調製するためのプロセス、並びに配位子自体に関する。
例えば、米国特許第4647447号明細書に記載されている、ランタニド(常磁性金属)、特にガドリニウム(Gd)のキレートに基づく多くの造影剤が知られている。これらの製品は、GBCA(ガドリニウム系の造影剤)という用語で照合される場合が多い。いくつかの製品が販売されており、その中には、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸)に基づくメグルミンガドテレート、DO3A-ブトロールに基づくガドブトロール、HPDO3Aに基づくガドテリドールなどの環状型キレート、及び特にDTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)又はDTPA-BMA(ガドジアミド配位子)に基づく直鎖型キレートがある。
その一部は開発中である、他の製品は、新しい世代のGBCAを表している。それらは本質的に、欧州特許第1931673号明細書に記載されているように、ビシクロポリアザマクロシクロカルボン酸(欧州特許第0438206号明細書)又はPCTA誘導体(即ち、最小の(a minima)3,6,9,15-テトラアザビシクロ[9,3,1]ペンタデカ-1(15),11,13-トリエン-3,6,9-三酢酸の化学構造を含む誘導体)などの環状型キレートの錯体である。
欧州特許第1931673号明細書に記載されているPCTA系のキレート配位子の錯体は、化学的に比較的容易に合成できるという利点と、更に、現在市場に出回っている、他のGBCAよりも優れた緩和性(水で11~12mM-1.s-1までであり得る緩和性r)を有するという利点があり、この緩和性は、これらの製品の効率に対応し、従ってこれらのコントラスト力(contrasting power)に対応する。
体内では、ランタニド、特にガドリニウムのキレート(又は錯体)は、化学平衡状態にあり(その熱力学的定数Kthermによって特徴付けられる)、前述のランタニドの望ましくない放出につながる可能性がある(以下の式1を参照):
Figure 0007071596000001
キレート又は配位子(Ch)とランタニド(L)の間の錯体化化学平衡により、錯体Ch-Lが得られる。
2006年以降、NSF(腎性全身性線維症又は線維性皮膚障害)として知られる病状は、少なくとも部分的に遊離ガドリニウムの体内への放出に関連している。この病気は、特定のカテゴリーの患者向けに販売されているガドリニウム系の造影剤に関して保健当局に注意を喚起している。
従って、患者の耐性という複雑な問題を完全に安全な方法で解決し、投与後の望ましくないランタニド放出のリスクを制限又は排除するための戦略が実施された。造影剤の投与は、診断検査中であろうと、用量の調整及び治療処置の有効性のモニタリングのためであろうと、多くの場合繰り返されるため、この問題を解決することは更に困難である。
加えて、2014年以降、ガドリニウム系の製品、より特には直鎖型ガドリニウムキレートを繰り返し投与した後のガドリニウムの脳沈着の可能性について言及されてきているが、このような沈着は、ドタレム(Dotarem)(登録商標)などの、ガドリニウム環状型キレートでほとんど報告されていないか、まったく報告されていない。その結果、様々な国が、直鎖型キレートの大部分を市場から撤退させる、又は、安定性が不十分であると考えられるため、使用の適応を大幅に制限することを決定してきた。
従って、ランタニドが体内に放出されるリスクを制限するための第1の戦略は、可能な限り高い熱力学的及び/又は速度論的安定性によって区別される錯体を選択することにある。この理由は、錯体が安定しているほど、経時的に放出されるランタニドの量が制限されるためである。
ランタニド(特にガドリニウム)のキレートの耐性を改善するための他の手法は、従来技術に記載されている。30年以上前の米国特許第5876695号明細書は、例えば、ランタニドキレートに加えて浸出されたランタニド(Gd3+金属イオン)を錯体化することにより、ランタニドの望ましくない生体内放出を防ぐことを目的としている、更なる錯体化剤を含む配合物を報告している。更なるキレート剤は、その遊離形態、又は典型的にはカルシウム、ナトリウム、亜鉛又はマグネシウムの弱い錯体の形態のいずれかで配合物に導入され得る。それはおそらく活性錯体の構成配位子とは異なるかもしれないが、それにもかかわらず、活性錯体と更なるキレートとのトランス連結反応(trans-ligation reaction)を防ぐために、放出されたランタニドとそれが形成する錯体が活性錯体よりも安定性が低いことが重量であり、これは、特に、前述の更なる配位子を完全に消費する効果があり、次いで浸出されたランタニドをもはやトラップすることができないであろう。トランス連結反応による更なるキレート剤の消費のこのリスクは、例えば、カルシウム錯体の形態よりも遊離の形態で加えられる場合、より顕著である。
従って、上記の2つの戦略では、活性錯体が可能な限り安定していることが重要である。
しかしながら、欧州特許第1931673号明細書に記載されているピクレンタイプの構造を含むPCTA系のキレート配位子の錯体は、良好な速度論的安定性を有しながら、一般的に他のサイクレン系の環状型化合物の錯体よりも低い熱力学的定数を有する。
これは特に、以下に示す式(II)の錯体の場合である:
Figure 0007071596000002
具体的には、特に国際公開第2014/174120号パンフレットに記載されているように、安定度定数としても知られる式(II)の錯体の形成のための反応に対応する熱力学的平衡定数は、1014.9(即ち、log(Ktherm)=14.9)である。比較のために、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸(DOTA-Gd)のガドリニウム錯体の安定度定数は、1025.6(即ち、log(Ktherm)=25.6)である。
しかしながら、式(II)の錯体は、特に、側鎖がグラフトされている環状型化合物の窒素原子に対して、錯体の前述の側鎖のα位に位置する3つの不斉炭素原子が存在するため、いくつかの立体異性体に対応することに留意されたい。これらの3つの不斉炭素は、上記の式(II)にてアスタリスク()で印されている。
従って、欧州特許第1931673号明細書に記載されているように式(II)の錯体の合成は、立体異性体の混合物の生成をもたらす。
式(II)の錯体の側鎖のアミノプロパンジオール基も又、不斉炭素を含む。従って、式(II)の錯体は、合計6つの不斉炭素を含み、従って64の配置的に立体異性体の形態で存在する。しかしながら、以降の説明では、所与の側鎖について考慮される立体異性の唯一の源は、便宜上、上記の式(II)にてアスタリスク()で印されたカルボン酸基を支えている不斉炭素に対応するものである。
これらの3つの不斉炭素のそれぞれは、R又はSの絶対配置であり得るので、式(II)の錯体は、以下でII-RRR、II-SSS、II-RRS、II-SSR、II-RSS、II-SRR、II-RSR及びII-SRSと呼ばれる立体異性体の8つのファミリーの形態で存在する。より正確には、立体化学の通常の命名法によれば、式(II)の錯体は、ジアステレオ異性体の8つのファミリーの形態で存在する。
「ファミリー」という用語の使用は、前述のように、特にアミノプロパンジオール基内に不斉炭素が存在するために、これらのファミリーのそれぞれが、いくつかの立体異性体を照合するという点で正当化される。
それにもかかわらず、以降の説明では、所与のアミノプロパンジオール基の不斉炭素に関連する立体異性は考慮されないので、異性体、立体異性体又はジアステレオ異性体II-RRR、II-SSS、II-RRS、II-SSR、II-RSS、II-SRR、II-RSR及びII-SRSという用語は、それぞれが立体異性体のファミリーに対応することを述べることなく、区別なく使用される。
本発明者らは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及び超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)により、以降の説明ではiso1、iso2、iso3、及びiso4と呼ばれる、クロマトグラムでの保持時間によって特徴付けられる4つの異なる溶出ピークに対応する、従来技術のプロセスに従って得られた式(II)の錯体の異性体の4つの未分解の(unresolved)ピーク又は群を分離及び同定することに成功した。欧州特許第1931673号明細書に記載されているプロセスを実行することにより、得られた混合物中の群iso1、iso2、iso3、及びiso4のそれぞれの含有量は、以下の通り、20%、20%、40%、及び20%である。
次いで、本発明者らは、異性体のこれらの様々な群が異なる物理化学的特性を有することを発見し、以下に示す式(II-RRR)と(II-SSS)の異性体II-RRRとII-SSSの混合物を含むiso4として知られる異性体の群が、医用画像の造影剤として最も有利であると判明していることを決定した。
Figure 0007071596000003
従って、驚くべきことに、iso4は、式(II)の錯体が欧州特許第1931673号明細書に記載されているプロセスを実行することによって得られる形態のジアステレオ異性体の混合物よりも著しく優れた熱力学的安定性によって識別される。具体的には、その平衡熱力学的定数Ktherm iso4は、1018.7(即ち、log(Ktherm iso4)=18.7)に等しく、この値は、Pierrard et al.,Contrast Media Mol.Imaging,2008,3,243-252及びMoreau et al.,Dalton Trans.,2007,1611-1620での方法を実行することによって決定されている。
更に、iso4は、本発明者らによって単離された4つの群の中で最良の速度論的慣性(kinetic inertia)(速度論的安定性としても知られる)を有する異性体の群である。具体的には、本発明者らは、37℃での酸性水溶液(pH=1.2)におけるそれらの脱錯体化速度論を研究することにより、異性体の4つの群の速度論的慣性を評価した。異性体の各群について決定された半減期値(T1/2)は、以下の表1に示されており、半減期は、以下の脱錯体化反応(式2)に従い、最初に存在する錯体の量の50%が解離するまでの時間に相当する。
Figure 0007071596000004
Figure 0007071596000005
比較のために、環状型ガドリニウム錯体であるガドブトロール又はガドテレートは、同じ条件下でそれぞれ18時間及び4日の速度論的慣性を有するが、ガドジアミド又はガドペンテテートなどの直鎖型ガドリニウム錯体は、瞬時に解離する。
加えて、iso4は、特にiso3よりも化学的に安定している。この理由は、式(II)の錯体のアミド官能基が加水分解されやすいことである。アミド官能基の加水分解反応(式3)により、3-アミノ-1,2-プロパンジオールが放出されることによってなされる、二重に結合した不純物の形成が生じる。本発明者らは、pH13の水溶液中での式(II)の錯体の加水分解反応の速度論を研究し、iso4のアミド官能基が、iso3のアミド官能基よりも加水分解に対してより安定であることを認めた。
Figure 0007071596000006
異性体の様々な群の緩和性、即ち造影剤としての効率に関して、行われた測定は、群iso1、iso2、及びiso4において比較的同等のコントラスト力、及びiso3において効率が低減したことを実証している(表2を参照)。
Figure 0007071596000007
本発明者らは、式(II)の錯体を調製及び精製するための新規なプロセスの開発に成功し、特に有利な物理化学的特性を有する、前述の錯体のジアステレオ異性体II-RRR及びII-SSSを優先的に得ることを可能にした。本発明によるプロセスは、最も安定性の低い立体異性体を最も安定性の高い立体異性体に変換することによる異性体濃縮の工程を含み、これは、驚くべきことに、最終の錯体ではなく六酸中間錯体で行われるが、式(II)の錯体の最も安定な異性体を得ることを非常に優勢的に可能にする。
目的のジアステレオ異性体を優勢的に得ることを可能にするプロセスの実施は、立体異性体の混合物を調製し、次いでその後、通常の技術に従ってジアステレオ異性体を分離し、従って当技術分野で周知である任意の分離技術を使用して目的の異性体を単離することを試みることからなる代替法と比較した場合、紛れもなく有利である。具体的には、ジアステレオ異性体を工業規模で分離する工程を伴わないプロセスを実行することがより簡易であるということに加えて、分離することがないことは、最終的に廃棄されるであろう望ましくないジアステレオ異性体の生成を可能な限り制限することによって、第1にかなりの時間を節約し、第2にプロセスの全体的な収率を改善することを可能にする。更に、通常の分離技術は、一般的に、溶媒の大量の使用を伴うが、これは、経済的コスト以上に、環境上の理由から望ましくない。更に、国際がん研究機関によってヒト(群1)に対して発がん性があると分類されているシリカへの職業上の曝露に固有の健康リスクを考えると、シリカでのクロマトグラフィーは特に避ける必要がある。
前に示したように、本発明者らによって開発された式(II)の錯体を調製するためのプロセスは、下記の式(I)の中間六酸ガドリニウム錯体の異性体濃縮の工程に基づく:
Figure 0007071596000008
式(I)の錯体は、側鎖がグラフトされている環状型化合物の窒素原子に対して、錯体の前述の側鎖のα位置に位置する3つの非対称炭素原子の存在のために、いくつかの立体異性体に対応する。これらの3つの不斉炭素は、上記の式(I)にてアスタリスク(*)で印されている。
カルボキシレート官能性を有する3つの不斉炭素のそれぞれが、R又はSの絶対配置であり得るので、式(I)の錯体は、以下でI-RRR、I-SSS、I-RRS、I-SSR、I-RSS、I-SRR、I-RSR及びI-SRSと呼ばれる8つの立体異性体の形態で存在する。より正確には、立体化学の通常の命名法によれば、式(I)の錯体は、相互のジアステレオ異性体である4つの対のエナンチオマーの形態で存在する。
本発明者らは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及び超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)により、以降の説明ではisoA、isoB、isoC、及びisoDと呼ばれる、クロマトグラムでの保持時間によって特徴付けられる4つの異なる溶出ピークに対応する、欧州特許第1931673号明細書に記載のプロセスに従って得られた式(I)の錯体の異性体の4つの未分解のピーク又は群を分離及び同定することに成功した。
IsoDは、水から結晶化する。X線回折分析により、本発明者らは、異性体のこの群の結晶構造を決定することができ、従って、それが、以下の式(I)、式(I-RRR)及び(I-SSS)の錯体のジアステレオ異性体I-RRR及びI-SSSを含むことを発見することができた。
Figure 0007071596000009
式(I)の錯体のジアステレオ異性体I-RRRとI-SSSは互いにエナンチオマーであることに留意されたい。
本発明のプロセスの異性体濃縮工程は、isoDにおいて式(I)の中間六酸ガドリニウム錯体を濃縮することを目的としている。
式(II)の錯体の合成は、特に、式(I)の中間六酸錯体のカルボン酸官能基のアミド官能基への変換を伴う。このアミド化反応は、式(I)の錯体の3つの不斉炭素原子の絶対配置を変更しない。
従って、前に得られたisoDにおいて濃縮された式(I)の六酸錯体に対してアミド化反応を行うと、iso4において濃縮された式(II)の錯体を得ることが可能になる。
更に、本発明者らによって開発された精製プロセスは、上記の式(II)の錯体を調製するプロセスに従って行われる場合、最適化されている異性体プロファイルを有する式(II)の錯体を得ることを可能にするが、又、著しく改善された不純物プロファイルを得ることを可能にする。
その結果、安定性が改善されたこのジアステレオ異性的に濃縮され精製された錯体は、国際公開第2014/174120号パンフレットでその使用が推奨されたDOTAのカルシウム錯体の代わりに、遊離DOTAなどの遊離環状型配位子で配合されることができる。遊離DOTAの使用は、国際公開第2014/174120号パンフレットに記載されている配合物を合成するためのプロセスの工程、即ちCaClの添加を排除することを可能にするという意味で、産業の観点から特に利点がある。
式(II)の錯体
従って、本発明は、第1に式(II):
Figure 0007071596000010
の錯体であって、式:
Figure 0007071596000011
の異性体II-RRRとII-SSSの混合物を含む少なくとも80%のジアステレオ異性体過剰(diastereoisomeric excess)から構成される、錯体に関する。
本発明の文脈において、「ジアステレオ異性体過剰」という用語は、式(II)の錯体に関して、前述の錯体は、優勢的に、ジアステレオ異性体II-RRR、II-SSS、II-RRS、II-SSR、II-RSS、II-SRR、II-RSR及びII-SRSから選択される異性体又は異性体の群の形態で存在することを示すことを意図している。前述のジアステレオ異性体過剰は、パーセントとして表され、式(II)の錯体の総量に対する優勢的な異性体又は異性体の群によって表される量に対応する。異性体は、定義上、同じモル質量を有するので、このパーセントは、モルベース又は質量ベースのいずれかであり得ることが理解される。
特定の一実施形態では、本発明による式(II)の錯体は、少なくとも85%、特に少なくとも90%、特に少なくとも92%、好ましくは少なくとも94%、有利には少なくとも97%、より有利には少なくとも99%の、異性体II-RRRとII-SSSの混合物を含むジアステレオ異性体過剰を有する。
好ましくは、前述のジアステレオ異性体過剰は、少なくとも70%、特に少なくとも80%、有利には少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の異性体II-RRRとII-SSSの混合物から構成される。
有利には、前述のジアステレオ異性体過剰は、異性体II-RRRとII-SSSの混合物からなる。
又、「異性体II-RRRとII-SSSの混合物」という用語は、ひいては、II-RRR又はII-SSSのいずれかである異性体の1つのみが存在する場合を網羅する。しかしながら、「異性体II-RRRとII-SSSの混合物」という用語は、異性体II-RRRとII-SSSのそれぞれが可変であるがゼロ以外の量で存在する全ての場合を優先的に示す。
好ましい実施形態では、異性体II-RRRとII-SSSは、65/35~35/65、特に60/40~40/60、特に55/45~45/55の比で前述の混合物中に存在する。有利には、異性体II-RRRとII-SSSは、50/50の比で混合物中に存在する。
より具体的には、前に定義されたジアステレオ異性体過剰は、UHPLCプロットのピーク4(即ち、iso4に対応する溶出順で異性体の4番目の未分解のピーク)に対応し、6.0~6.6分、典型的には約6.3分の保持時間が特徴であり、前述のプロットは、以下に記載されるUHPLC法を使用して得られる。
本発明の目的のために、「UHPLCプロット」という用語は、所与の組成及び所与の溶離液の流量に対する時間の関数としての固定相における化合物の(この場合は化合物の異性体の)混合物の通過及び分離後に検出器によって測定された濃度のプロファイルを意味する。UHPLCプロットは、分析された化合物又は化合物の混合物に特徴的な様々なピーク又は未分解のピークから構成されている。
UHPLC法:
-Waters Cortecs(登録商標)UPLC T3 150×2.1mm-1.6μmカラム。
これは、優先的に非常に硬い、コアから構成された球状粒子を備えた逆相UPLCカラムであり、三官能性C18(オクタデシル)グラフトでの多孔質シリカに囲まれたシリカからなり、そのシラノールはキャッピング剤で処理されている(末端キャップされている)。又、長さ150mm、内径2.1mm、粒子サイズ1.6μm、空隙率120Å、及び炭素含有量4.7%が特徴である。
使用する固定相は、水性移動相と互換性があることが優先される。
-分析条件:
Figure 0007071596000012
-移動相グラジエント(%体積/体積):
Figure 0007071596000013
式(II)の錯体を含む組成物
本発明は、第2に、
-異性体II-RRRとII-SSSの混合物を含む少なくとも80%のジアステレオ異性体過剰から構成される式(II)の錯体と、
-遊離環状型配位子とを含む組成物に関する。
本記載では、「環状型配位子」又は「環状型キレート」という用語を区別せずに使用することができる。
本発明の文脈において、「環状型化合物」という用語は、それらが炭素原子であろうとヘテロ原子であろうと、典型的には少なくとも9つの原子を含む環を示し、「環状型配位子」又は「環状型キレート」という用語は、多座、少なくとも二座の配位子である。
本発明の目的のために、「遊離環状型配位子」という用語は、遊離形態の、即ち、特にランタニド及びアクチニドを含む金属と、又はカルシウム又はマグネシウムなどのアルカリ土類金属カチオンと錯体を形成していない環状型配位子を意味する。特に、遊離環状型配位子は、ガドリニウムとの錯体の形態ではなく、米国特許第5876695号明細書に記載されているように、典型的にはカルシウム、ナトリウム、亜鉛又はマグネシウムの弱い錯体の形態で組成物に導入されておらず、しかしながら、組成物中の微量の前述のカチオンの存在、及び従って対応する錯体の存在は除外されない。
前述のように、欧州特許第1931673号明細書で推奨されているような前述の環状型配位子の弱い錯体ではなく、遊離環状型配位子との式(II)の錯体の配合は、本発明による式(II)のジアステレオ異性的に濃縮された錯体の安定性の改善によって可能になる。
好ましい実施形態では、本発明の組成物中に存在する式(II)の錯体は、少なくとも85%、特に少なくとも90%、特に少なくとも92%、より特には少なくとも94%、好ましくは少なくとも97%、有利には少なくとも99%の、異性体II-RRRとII-SSSの混合物を含むジアステレオ異性体過剰を有する。
好ましくは、前述のジアステレオ異性体過剰は、少なくとも70%、特に少なくとも80%、有利には少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の異性体II-RRRとII-SSSの混合物から構成される。
有利には、前述のジアステレオ異性体過剰は、異性体II-RRRとII-SSSの混合物からなる。
又、「異性体II-RRRとII-SSSの混合物」という用語は、ひいては、II-RRR又はII-SSSのいずれかである異性体の1つのみが存在する場合を網羅する。しかしながら、「異性体II-RRRとII-SSSの混合物」という用語は、異性体II-RRRとII-SSSのそれぞれが可変であるがゼロ以外の量で存在する全ての場合を優先的に示す。
好ましい実施形態では、異性体II-RRRとII-SSSは、65/35~35/65、とりわけ60/40~40/60、特に55/45~45/55の比で前述の混合物中に存在する。有利には、異性体II-RRRとII-SSSは、50/50の比で混合物中に存在する。
有利な一実施形態では、本発明による組成物は、1ppm(質量/体積)未満、好ましくは0.5ppm(質量/体積)未満の遊離ガドリニウムの濃度を有する。
本記載では、特に明記しない限り、「Gd」、「ガドリニウム」及び「Gd3+」という用語は、Gd3+イオンを示すために区別なく使用される。ひいては、これは又、塩化ガドリニウム(GdCl)又は酸化ガドリニウム(Gd)などの遊離ガドリニウムの供給源であり得る。
本発明において、「遊離Gd」という用語は、錯体形成のために好ましくは利用可能である、錯体化されていない形態のガドリニウムを示す。これは典型的には、水に溶解したGd3+イオンである。ひいては、これは又、塩化ガドリニウム(GdCl)又は酸化ガドリニウム(Gd)などの遊離ガドリニウムの供給源であり得る。
遊離形態のガドリニウムは、典型的には、比色分析、一般的にはキシレノールオレンジ又はアルセナゾ(III)によって測定される。金属イオン(ガドリニウムなど)がない場合、これらの指示薬は、特定の色を有する:酸性pHでは、キシレノールオレンジは黄色であるが、アルセナゾはピンクである。ガドリニウムの存在下で、それらの色は紫に変わる。
溶液の色の変化を視覚的に決定することにより、溶液中のガドリニウムの有無を確認することができる。
更に、例えば「弱い」ガドリニウムキレートとしてEDTAを使用して、逆滴定によって溶液中にある遊離ガドリニウムを定量的に測定することが可能である。このようなアッセイでは、紫色が得られるまで着色指示薬を加える。次いで、ガドリニウム配位子であるEDTAを混合物に滴下する。EDTAは着色指示薬よりも強力な錯体化剤であるため、ガドリニウムは、配位子を変化させ、着色指示薬を残してEDTAと優先的に錯体化させる。従って、着色指示薬は、その錯体化されていない形態を徐々に取り戻す。
加えられたEDTAの量が遊離Gdの初期量と等しい場合、着色指示薬は、完全にその遊離型であり、溶液は、黄色に「変わる」。加えられたEDTAの量がわかっているので、これにより、分析する溶液中の遊離Gdの初期量を知ることができる。
これらの方法は当業者に周知であり、特にBargeら(Contrast Media and Molecular Imaging 1,2006,184-188)に記載されている。
従って、これらの比色法は、通常、pHが4~8の溶液で実行される。この理由は、これらのpHの範囲外では、色の変化の変更(又は抑制)によって測定の精度が影響を受ける可能性があるためである。
従って、必要に応じて、分析する試料のpHを4~8に調整する。特に、試料のpHが酸性であり、特に4未満である場合、pHは、塩基を加えることによって有利に調整され、次いで、遊離Gdの測定は、調整されたpHで試料に対して行われる。
従って、本発明による組成物は、経時的に安定性を有する、即ち、特に遊離常磁性金属の含有量に関して、少なくとも3年、優先的には少なくとも4年、又はより優先的には少なくとも5年の期間に渡り、その組成物は、遊離ガドリニウムの濃度に関して仕様に従って維持される(特に、遊離Gdのその濃度は、1ppm(質量/体積)未満のままである)。ICHのガイドラインによると、40℃で6ヶ月の間のこの安定性を観測することは、25℃での3年間の安定性の良好な指標と見なされる。
特定の一実施形態では、本発明による組成物は、0.01~1.5モルL-1、優先的には0.2~0.7モルL-1、より優先的には0.3~0.6モルL-1の上記の式(II)の錯体の濃度を有する。
式(II)の錯体は、当業者に知られている方法を介して分析される。特に、鉱化作用と組成物中に存在する総ガドリニウムの分析の後に、原子発光分析(ICP-AES又はICP原子発光分光法としても知られている)によって分析することができる。
式(II)の錯体の含有量は、同時に十分な粘度を有しながら、この組成物が最適なコントラスト力を有することを可能にする。具体的には、上記の式(II)の錯体が0.01モルL-1未満では、コントラスト生成物としての性能品質は、不十分であり、1.5モルL-1を超える濃度では、この組成物の粘度は、取り扱いを簡易にするには高くなりすぎる。
特定の一実施形態では、本発明による組成物は、0.002~0.4モル/モル%、特に0.01~0.3モル/モル%、好ましくは0.02~0.2モル/モル%、より優先的には0.05~0.15モル/モル%の式(II)の錯体に対する遊離環状型配位子を含む。
有利には、環状型配位子は、DOTA、NOTA、DO3A、BT-DO3A、HP-DO3A、PCTA、DOTA-GA及びこれらの誘導体から構成される群から選択される。
好ましくは、環状型配位子は、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)である。
組成物中の遊離DOTAの濃度は、典型的には、銅を用いた逆滴定によって、例えば、銅イオンの供給源として硫酸銅を使用して測定される。
当業者に周知であるこの方法では、既知の初期濃度Qの硫酸銅を含む溶液が優先的に使用され、この濃度は、溶液中の遊離配位子の量よりも大きい。この硫酸銅溶液に、決定される量Qの遊離DOTAを含む分析対象の溶液を加える。DOTAは、非常に良好な銅錯体化剤であり:従って、DOTA-銅錯体の形成が観察される。
次いで、溶液中に遊離したままの銅の逆滴定が、電位差測定によって有利に実行される。これを行うために、例えば、EDTAを混合物に滴下する。DOTAはEDTAよりも強力な錯体化剤であるため、EDTAは、DOTA-銅を脱錯体化することなく、溶液中の遊離の銅を錯体化する。加えられたEDTAの量Qが溶液中の遊離の銅の量と等しい場合、溶液の電位の急激な低下が観察される。
銅の初期量Qと加えられたEDTAの量Qがわかっているので、これら2つの値Q-Qの差により、分析する溶液中の遊離DOTAの量Qが得られる。
或いは、HPLC法、特にHILIC LC-UV法を使用することができる。
これらの測定方法(特に電位差測定法)は、pHが4から8であることが有利な溶液で実行される。従って、必要に応じて、分析する試料のpHを4から8に調整する。特に、試料のpHが酸性であり、特に4未満である場合、pHは、メグルミンなどの塩基を加えることによって有利に調整され、次いで、遊離DOTAの測定は、調整されたpHで試料に対して行われる。
好ましくは、本発明で、特に上記で指定された比率は、組成物の滅菌前の比率である。
有利には、組成物のpHは、4.5~8.5、好ましくは5~8、有利には6~8、特に6.5~8である。これらのpH範囲は、特に、特定の不純物の出現を制限し、常磁性金属イオンMの錯体形成を促進することを可能にする。
特に、本発明による組成物は、緩衝され得る、即ち、それは又、pH範囲5~8で確立された通常の緩衝液、優先的には、乳酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、アスコルビン酸塩、炭酸塩、トリス(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、HEPES(2-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジン]エタンスルホン酸)及びMES(2-モルホリノエタンスルホン酸)緩衝液及びこれらの混合物の中から選択される緩衝液、優先的には、トリス、乳酸塩、酒石酸塩、炭酸塩及びMES緩衝液及びこれらの混合物から選択される緩衝液を含み得る。有利には、本発明による組成物は、トリス緩衝液を含む。
本発明の主題である組成物は、優先的には無菌である。
式(II)の錯体を調製するためのプロセス
本発明は又、以下の連続する工程を含む、式(II)の錯体を調製するためのプロセスに関する:
a)以下の式(III):
Figure 0007071596000014
の六酸をガドリニウムを用いて錯体化して、前に定義された式(I)の六酸ガドリニウム錯体を得る工程、
b)式(I)の六酸ガドリニウム錯体をpH2から4の水溶液中で加熱することによって異性化して、式(I)の前述の六酸ガドリニウム錯体の異性体I-RRRとI-SSSの混合物を含む少なくとも80%のジアステレオ異性体過剰から構成されるジアステレオ異性的に濃縮された錯体を得る工程、
c)工程b)で得られたジアステレオ異性的に濃縮された錯体から開始して、3-アミノ-1,2-プロパンジオールとの反応によって、式(II)の錯体を形成する工程。
本明細書では、特に明記しない限り、「Gd」、「ガドリニウム」及び「Gd3+」という用語は、Gd3+イオンを示すために区別なく使用される。ひいては、これは又、塩化ガドリニウム(GdCl)又は酸化ガドリニウム(Gd)などの遊離ガドリニウムの供給源であり得る。
本発明において、「遊離Gd」という用語は、好ましくは錯体形成のために利用可能である、錯体化されていない形態のガドリニウムを示す。これは典型的には、水に溶解したGd3+イオンである。ひいては又、塩化ガドリニウム(GdCl)又は酸化ガドリニウムなどの遊離ガドリニウムの供給源であり得る。
・工程a)
この工程の過程で、式(III)の六酸とガドリニウムとの錯体化反応が起こり、これにより、前に定義された式(I)の六酸ガドリニウム錯体を得ることが可能になる。
特定の実施形態によれば、工程a)は、水中での式(III)の六酸と遊離Gdの供給源との反応を含む。
好ましい実施形態では、遊離Gdの供給源は、GdCl又はGd、好ましくはGdである。
好ましくは、工程a)で使用される試薬、即ち、ガドリニウムの供給源(典型的には酸化ガドリニウム)、式(III)の六酸及び水は、特に金属不純物に関して、可能な限り純粋である。
従って、ガドリニウムの供給源は、有利には、好ましくは99.99%を超える純度、更により好ましくは99.999%を超える純度の酸化ガドリニウムである。
プロセスで使用される水は、好ましくは50ppm未満のカルシウム、より好ましくは20ppm未満、最も好ましくは15ppm未満のカルシウムを含む。一般的に、このプロセスで使用される水は、脱イオン水、注入用水(注入グレードの水)、又は精製水である。
有利には、この工程a)で使用される試薬(式(III)の六酸及びガドリニウム)の量は、この工程の間で起こる錯体化反応の平衡式によって決定されるように、化学量論的比率に対応する、又はそれに近い。
「化学量論的比率に近い」という用語は、試薬が導入されるモル比率と化学量論的比率の差が、15%未満、特に10%未満、好ましくは8%未満であることを意味する。
ガドリニウムは、化学量論的比率に対してわずかに過剰に導入されることができる。式(III)の六酸として導入される材料の量に対するガドリニウムとして導入される材料の量の比は、1より大きいが、典型的には1.15未満、特に1.10未満、有利には1.08未満である。言い換えれば、導入されるガドリニウムの量は、これ自体が1当量に相当する、導入される式(III)の六酸の量に対して、1当量(当量)より多いが、典型的には、1.15当量未満、特に1.10当量未満、有利には1.08当量未満である。遊離ガドリニウムの供給源がGdである好ましい実施形態では、導入されるGdの量は、導入される式(III)の六酸の量(1当量)に対して、典型的には0.5当量を超えるが、0.575当量未満、特に0.55当量未満、有利には0.54当量未満である。
特定の実施形態によれば、工程a)は、以下の連続する工程を含む:
a1)式(III)の六酸の水溶液の調製、及び
a2)工程a1)で得られた水溶液への遊離ガドリニウムの供給源の添加。
この実施形態では、工程a1)で調製された水溶液中の式(III)の六酸の含有量は、水溶液の総重量に対して、典型的には10%~60%、特に15%~45%、好ましくは20%~35%、有利には25%~35重量%、更により有利には25重量%~30重量%である。
優先的に、工程a)及びb)は、ワンポット(one-pot)実施形態に従って、即ち、同じ反応器内で、単離又は精製の中間工程なしで実行される。
従って、この好ましい実施形態では、工程a)で形成された式(I)の六酸ガドリニウム錯体は、単離又は精製されることなく、工程a)に使用されるものと同じ反応器内で異性化工程b)に直接供される。
・工程b)
工程a)において式(III)の六酸とガドリニウムとの錯体化反応によって形成された式(I)の六酸ガドリニウム錯体は、最初にジアステレオ異性体の混合物の形態で得られる。
工程b)は、異性体I-RRR及びI-SSSにおけるジアステレオ異性体の混合物を濃縮して、少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%、特に少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%、有利には少なくとも98%、より有利には少なくとも99%の、異性体I-RRRとI-SSSの混合物を含むジアステレオ異性体過剰から構成される式(I)のジアステレオ異性的に濃縮された六酸ガドリニウム錯体を得ることを目的としている。
本発明の文脈において、「ジアステレオ異性体過剰」という用語は、式(I)の六酸ガドリニウム錯体に関して、前述の錯体が、優勢的に、ジアステレオ異性体I-RRR、I-SSS、I-RRS、I-SSR、I-RSS、I-SRR、I-RSR及びI-SRSから選択された異性体又は異性体の群の形態で存在することを示すことを意図している。前述のジアステレオ異性体過剰は、パーセントとして表され、式(I)の六酸ガドリニウム錯体の総量に対する優勢的な異性体又は異性体の群によって表される量に対応する。異性体は、定義上、同じモル質量を有するので、このパーセントは、モルベース又は質量ベースのいずれかであり得ることが理解される。
好ましくは、前述のジアステレオ異性体過剰は、少なくとも70%、特に少なくとも80%、有利には少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の異性体I-RRRとI-SSSの混合物から構成される。
有利には、前述のジアステレオ異性体過剰は、異性体I-RRRとI-SSSの混合物からなる。
本発明者らは、実際、工程a)の終わりに得られた式(I)の六酸ガドリニウム錯体の溶液のpH及び温度などの要因が、式(I)の錯体の様々な異性体がジアステレオ異性体の混合物中に存在する比に影響を与えることを発見した。経時的に、混合物は、驚くべきことに、最も熱力学的に安定であるが、又最も化学的に安定である異性体、この場合は異性体I-RRR及びI-SSSを含む異性体の群に濃縮されるようになる傾向がある。
又、「異性体I-RRRとI-SSSの混合物」という用語は、ひいては、I-RRR又はI-SSSのいずれかである異性体の1つのみが存在する場合を網羅する。
しかしながら、好ましい実施形態では、異性体I-RRR及びI-SSSは、65/35~35/65、とりわけ60/40~40/60、特に55/45~45/55の比で前述の混合物中に存在する。有利には、異性体I-RRR/I-SSSの混合物は、ラセミ(50/50)混合物である。
水溶液中での式(I)の六酸ガドリニウム錯体の異性化の工程b)は、典型的には、2~4、特に2~3、有利には2.2~2.8のpHで実施される。
pHは、酸、好ましくは、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸又はリン酸などの無機酸、例えば、塩酸で、優先的に調整される。
ガドリニウムキレートは、酸性媒体において低い速度論的慣性が特徴であることが当技術分野で知られていることから、このようなpH条件下で、混合物、特に異性体、この場合は異性体I-RRRとI-SSSの混合物の濃縮が起こることは全く驚くべきことである。具体的には、媒体中のHイオンの濃度が高いほど、プロトンが、配位子のドナー原子の1つに移動する可能性が高くなり、こうして錯体の解離が引き起こされる。その結果、当業者は、式(I)の六酸ガドリニウム錯体を2~4のpHの水溶液に入れると、I-RRR及びI-SSSへのその異性化ではなく、前述の錯体の解離をもたらすと予想したであろう。
式(III)の六酸の錯体化について欧州特許第1931673号明細書によって推奨されるpHの範囲、即ち5.0~6.5は、その異性体I-RRR及びI-SSSに濃縮された式(I)の錯体を得ることができないことに留意されたい。
工程b)は、典型的には、80℃~130℃、特に90℃~125℃、好ましくは98℃~122℃、有利には100℃~120℃の温度で、典型的には10時間~72時間、特に10時間~60時間、有利には12時間~48時間、実施される。
全ての予想に反して、上記のpH条件と組み合わせると、ガドリニウムキレートの不安定性に有利に働くはずのこうした温度条件は、その脱錯体化又は任意の他の不純物の形成をもたらさず、I-RRR及びI-SSSへのその異性化をもたらす。
特定の一実施形態では、工程b)の水溶液は、酢酸を含む。次いで、工程b)は、100℃~120℃、特に110℃~118℃の温度で、典型的には12時間~48時間、とりわけ20時間~30時間、特に24時間~26時間、有利に実行される。
酢酸は、好ましくは、酢酸含有量が、工程a)で使用される式(III)の六酸の質量に対して、25質量%~75質量%、特に40質量%~50質量%である量で、工程a)で得られた式(I)の六酸ガドリニウム錯体の溶液を加熱する前に、加えられる。
水溶液が有利には100℃~120℃、典型的には110℃~118℃の温度に加熱されるとき、一定体積の溶液を維持するために、水が蒸発するにつれて酢酸が徐々に加えられる。
好ましい実施形態によれば、工程b)の終わりに、ジアステレオ異性的に濃縮された錯体は、結晶化によって、好ましくはシーディングによる結晶化によって単離される。
この実施形態では、工程b)は、以下の連続する工程を含む:
b1)式(I)の六酸ガドリニウム錯体をpH2~4にて水溶液中で加熱することによって異性化して、式(I)の前述の六酸ガドリニウム錯体の異性体I-RRRと異性体I-SSSの混合物を含む少なくとも80%のジアステレオ異性体過剰から構成されるジアステレオ異性的に濃縮された錯体を得る工程、並びに
b2)前述のジアステレオ異性的に濃縮された錯体を結晶化、好ましくはシーディングにより結晶化することによって単離する工程。
結晶化工程b2)は、第1に、結晶の形態でより高純度の脱色生成物を得るために、前の工程から生じる可能性がある、水溶液中に存在する任意の不純物を除去することを目的としており、第2に、工程b1)の終わりに得られたものよりも高い、前述の錯体の異性体I-RRRとI-SSSの混合物を含むジアステレオ異性体過剰を得るために、式(I)の六酸ガドリニウム錯体のジアステレオ異性体濃縮を継続することを目的としている。具体的には、式(I)の六酸錯体の異性体I-RRR及びI-SSSは、水から結晶化する。他方、前述の異性体に濃縮されていない式(I)の六酸ガドリニウム錯体は、結晶化しない。
工程b)の過程で錯体が濃縮されるようになる傾向がある(及び、全ての予想に反して、それが実行される条件に照らして)、異性体I-RRR及びI-SSSは、水から結晶化する錯体の唯一の異性体であるということは、まったく予想外の結果である。従って、異性化及び結晶化は、異性体I-RRR及びI-SSSの濃縮に相乗的に寄与し、その結果、本発明によるプロセスの全体的な効率に寄与する。
更に、式(I)の六酸ガドリニウム錯体の目的の異性体の水からの結晶化は、前述の錯体の三ナトリウム塩のエタノールからの沈殿の工程を伴う、欧州特許第1931673号明細書の実施例7に記載されるように溶媒の添加を回避することを可能にすることに留意されたい。
工程b2)は、10℃~70℃、とりわけ30℃~65℃、特に35℃~60℃の温度で有利に実施される。
一変形形態によれば、上記の範囲内にあるように水溶液の温度を下げた後、結晶化プロセスは、シーディングによって誘導される。「プライミングによる結晶化」としても知られる「シーディングによる結晶化」は、「シード」又は「プライマー」として知られる既知の量の結晶の結晶化が行われる反応器(結晶化容器としても知られる)への導入を含む。これにより、結晶化時間を短縮することができる。シーディングによる結晶化は、当業者に周知である。本発明によるプロセスにおいて、プライマーを用いたシーディング、本例では、温度が事前に下げられたジアステレオ異性的に濃縮された錯体の水溶液に加えられた式(I)のジアステレオ異性的に濃縮された六酸ガドリニウム錯体の結晶は、核形成を得ることを可能にし、こうして結晶化を開始することを可能にする。シーディングによる結晶化の持続時間は、有利には2時間~20時間、好ましくは6時間~18時間、典型的には16時間である。
次いで、式(I)のジアステレオ異性的に濃縮された六酸ガドリニウム錯体の結晶は、当業者に周知の任意の技術によって、典型的には濾過及び乾燥によって単離される。
有利には、工程b2)の終わりに単離された式(I)のジアステレオ異性的に濃縮された六酸ガドリニウム錯体の純度は、95%より大きく、特に98%より大きく、有利には99%より大きく、前述の純度は、工程b2)の終わりに得られた総質量に対する式(I)の錯体の質量パーセントとして表される。
特定の実施形態では、結晶化によって単離された工程b)からのジアステレオ異性的に濃縮された錯体は、再結晶化によって再び精製され、ジアステレオ異性体に濃縮され精製された錯体が得られる。
この実施形態では、工程b)は、前述の連続する工程b1)及びb2)に加えて、式(I)の単離されたジアステレオ異性的に濃縮された六酸ガドリニウム錯体の再結晶化による精製の工程b3)を含む。
再結晶化工程b3)は、結晶化工程b2)と同様に、第1に、より高純度の生成物を得ることを目的としており、第2に、工程b2)の終わりに得られたものよりも高い前述の錯体の異性体I-RRRとI-SSSの混合物を含むジアステレオ異性体過剰を得るために、式(I)の六酸ガドリニウム錯体のジアステレオ異性体濃縮を継続することを目的としている。
工程b3)は、典型的には、以下の連続するサブ工程を含む:
・工程b2)で単離された式(I)のジアステレオ異性的に濃縮された六酸ガドリニウム錯体の水溶性溶液での懸濁、好ましくは水での懸濁、
・有利には80℃~120℃の温度、例えば100℃に加熱することによる前述の錯体の溶解、
・好ましくは、有利には10℃~90℃、とりわけ20℃~87℃、特に55℃~85℃の温度で、典型的には2時間~20時間、とりわけ6時間~18時間、シーディングによる再結晶化、並びに、
・例えば、濾過及び乾燥による、式(I)のジアステレオ異性的に濃縮され精製された六酸ガドリニウム錯体の結晶の単離。
工程b3)の終わりに単離された式(I)の精製されたジアステレオ異性的に濃縮された六酸ガドリニウム錯体の純度は、典型的には98%を超え、特に99%を超え、有利には99.5%を超え、前述の純度は、工程b2)の終わりに得られた総質量に対する式(I)の錯体の質量パーセントとして表される。
別の実施形態では、工程b)からのジアステレオ異性的に濃縮された錯体は、ジアステレオ異性体I-RRR及びI-SSS以外の式(I)の錯体のジアステレオ異性体の選択的脱錯体化によって、即ちジアステレオ異性体I-RSS、I-SRR、I-RSR、I-SRS、I-RRS及びI-SSRの選択的脱錯体化によって更に濃縮される。
この実施形態では、工程b)は、前述の連続する工程b1)及びb2)に加えて、ジアステレオ異性体I-RRR及びI-SSS以外の式(I)の錯体のジアステレオ異性体の選択的脱錯体化の工程b4)を含む。この変形形態では、工程b)は又、前述の工程b3)を含み得、前述の工程b3)は、工程b2)とb4)の間、又はb4)の後に実行される。
工程b2)の終わりに又は工程b3)の終わりに得られたものよりも高い前述の錯体の異性体I-RRR及びI-SSSの混合物を含むジアステレオ異性体過剰を得るために、前述の工程が工程b4)の前に実行される場合、選択的脱錯体化工程b4)は、式(I)の六酸ガドリニウム錯体のジアステレオ異性体濃縮を継続することを目的としている。
工程b4)は、典型的には、以下の連続するサブ工程を含む:
・工程b2)又は工程b3)で単離された式(I)のジアステレオ異性的に濃縮された六酸ガドリニウム錯体の水中での懸濁、
・塩基、例えば水酸化ナトリウムの添加、
・有利には、30℃~60℃の温度、特に35℃~55℃、例えば40℃に、典型的には2時間~20時間、特に10時間~18時間、加熱すること、
・有利には10℃~30℃の温度、例えば30℃に冷却すること、
・例えば、濾過及び乾燥による、式(I)のジアステレオ異性体的に濃縮され精製された六酸ガドリニウム錯体の単離。
工程b4)は、異性体I-RRR及びI-SSSが塩基性媒体中で最も安定しているということによって可能になる。このような塩基性条件は、水酸化ガドリニウムの形成を促進し、その結果、最も安定性の低い異性体の脱錯体化を促進する。従って、驚くべきことに、異性体I-RRR及びI-SSSは、異性化工程b1)を可能にする酸性媒体、及び選択的脱錯体化工程b4)を可能にする塩基性媒体の両方においてより安定であることに留意されたい。
好ましい実施形態では、上記の変形形態のいずれか1つによる工程b)の終わりに得られたジアステレオ異性的に濃縮された錯体は、少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%、特に少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%、有利には少なくとも98%、より有利には少なくとも99%の、異性体I-RRRとI-SSSの混合物を含むジアステレオ異性体過剰を有する。
好ましくは、前述のジアステレオ異性体過剰は、少なくとも70%、特に少なくとも80%、有利には少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の異性体I-RRRとI-SSSの混合物から構成される。
有利には、前述のジアステレオ異性体過剰は、異性体I-RRRとI-SSSの混合物からなる。
又、「異性体I-RRRとI-SSSの混合物」という用語は、ひいては、I-RRR又はI-SSSのいずれかである異性体の1つのみが存在する場合を網羅する。しかしながら、「異性体I-RRRとI-SSSの混合物」という用語は、異性体I-RRRとI-SSSのそれぞれが可変であるがゼロ以外の量で存在する全ての場合を優先的に示す。
好ましい実施形態では、異性体I-RRRとI-SSSは、65/35~35/65、とりわけ60/40~40/60、特に55/45~45/55の比で前述の混合物中に存在する。有利には、異性体I-RRR/I-SSSの混合物は、ラセミ(50/50)混合物である。
・工程c)
工程c)は、その前駆体、工程b)で得られた式(I)のジアステレオ異性的に濃縮された六酸ガドリニウム錯体から式(II)の錯体を形成することを目的としている。
この工程の間、側鎖がグラフトされる環状型化合物の窒素原子に対して、錯体の前述の側鎖のγ位置に位置する炭素原子によって支えられる、式(I)の六酸錯体の3つのカルボン酸官能基は、3-アミノ-1,2-プロパンジオールとのアミド化反応を介して、ラセミ又は鏡像異性的に純粋な形態、好ましくはラセミ形態で、アミド官能基に変換される。
このアミド化反応は、側鎖がグラフトされている環状型化合物の窒素原子に対して、前述の側鎖のα位置に位置する3つの非対称炭素原子の絶対配置を変更しない。結果として、工程c)は、少なくとも80%である、工程b)の終わりに得られた式(I)のジアステレオ異性的に濃縮された六酸ガドリニウム錯体が得られる異性体I-RRRとI-SSSの混合物を含むジアステレオ異性体過剰と同一である異性体II-RRRとII-SSSの混合物を含むジアステレオ異性体過剰を有する式(II)の錯体を得ることを可能にする。
好ましい実施形態では、工程c)の終わりに得られた式(II)の錯体は、少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%、特に少なくとも92%、好ましくは少なくとも94%、有利には少なくとも97%、より有利には少なくとも99%の、異性体II-RRRとII-SSSの混合物を含むジアステレオ異性体過剰を有する。
好ましくは、前述のジアステレオ異性体過剰は、少なくとも70%、特に少なくとも80%、有利には少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の異性体II-RRRとII-SSSの混合物から構成される。
有利には、前述のジアステレオ異性体過剰は、異性体II-RRRとII-SSSの混合物からなる。
又、「異性体II-RRRとII-SSSの混合物」という用語は、ひいては、II-RRR又はII-SSSのいずれかである異性体の1つのみが存在する場合を網羅する。しかしながら、「異性体II-RRRとII-SSSの混合物」という用語は、異性体II-RRRとII-SSSのそれぞれが可変であるがゼロ以外の量で存在する全ての場合を優先的に示す。
好ましい実施形態では、異性体II-RRRとII-SSSは、65/35~35/65、とりわけ60/40~40/60、特に55/45~45/55の比で前述の混合物中に存在する。有利には、異性体II-RRRとII-SSSは、50/50の比で混合物中に存在する。
アミド化反応は、当業者に周知の任意の方法に従って、特にカルボン酸官能基を活性化するための試薬の存在下で、及び/又は酸触媒作用によって実施することができる。
これは、特に、欧州特許第1931673号明細書、特にこの特許の段落[0027]に記載されている方法に従って実施することができる。
特定の一実施形態では、工程c)は、カルボニル基の炭素原子が、カルボン酸官能基のカルボニル基の炭素原子よりも求電子性であるように、カルボニル(C=O)基を含む誘導された官能基の形態で、側鎖がグラフトされている環状型化合物の窒素原子に対して、錯体の前述の側鎖のγ位に位置する炭素原子によって支えられる式(I)の六酸錯体のカルボン酸(-COOH)官能基の活性化を含む。従って、この特定の実施形態によれば、前述のカルボン酸官能基は、特に、エステル、塩化アシル又は酸無水物官能基の形態で、又はアミド結合をもたらすことができる任意の活性化形態で活性化され得る。アミド結合をもたらすことができる活性化形態は、当業者に周知であり、例えば、ペプチド結合を形成するためのペプチド化学で知られている一連の方法によって得ることができる。このような方法の例は、出版物、Synthesis of peptides and peptidomimetics volume E22a,pages 425-588,Houben-Weyl et al.,Goodman Editor,Thieme-Stuttgart-New York(2004)に記載されており、これらの例の中で、特に、アジド(アシルアジド)を介した、例えば、ジフェニルホスホリルアジド(一般に略称DPPAと呼ばれる)などの試薬の作用を介したカルボン酸の活性化の方法、カルボジイミドの単独又は触媒(例えば、N-ヒドロキシスクシンイミド及びその誘導体)の存在下での使用、カルボニルジイミダゾール(1,1’-カルボニルジイミダゾール、CDI)の使用、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(一般に略語BOPと呼ばれる)などのホスホニウム塩、又は2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(一般に略語HBTUと呼ばれる)などのウロニウムの使用を挙げることができる。
好ましくは、工程c)は、エステル、塩化アシル又は酸無水物官能基の形態で上記のカルボン酸(-COOH)官能基の活性化を含む。
この実施形態は、欧州特許第1931673号明細書に記載されているように、EDCI/HOBTなどのカップリング剤を使用するカルボン酸官能基の活性化によるペプチドカップリングよりも好ましい。具体的には、このようなカップリングは、1当量の1-エチル-3-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]尿素の形成をもたらし、これは、特にシリカでのクロマトグラフィー又は溶媒を加えることによる液/液抽出によって除去されなければならない。このような更なる工程によって引き起こされるプロセスの複雑さの増加とは別に、前述のように、このような精製方法の使用は望ましくない。更に、HOBTは爆発性の生成物であるため、HOBTの使用自体に問題がある。
本発明の目的のために、「エステル官能基」という用語は、-C(O)O-基を示すことを意図している。それは、特に、Rが(C~C)アルキル基に対応する基-C(O)O-Rであり得る。
本発明の目的のために、「(C~C)アルキル基」という用語は、1~6、好ましくは1~4の炭素原子を含む直鎖又は分岐の飽和炭化水素系の鎖を意味する。言及され得る例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル及びヘキシル基を含む。
本発明の目的のために、「酸塩化物官能基」としても知られる「塩化アシル官能基」という用語は、-CO-Cl基を示すことを意図している。
本発明の目的のために、「酸無水物官能基」という用語は、-CO-O-CO-基を示すことを意図している。それは、特に、Rが(C~C)アルキル基に対応する基-CO-O-CO-Rであり得る。
カルボン酸官能基を、エステル、塩化アシル又は酸無水物官能基に変換するための反応は、当業者に周知であり、当業者は、当業者が精通している任意の通常の方法に従ってそれらを実施することができる。
次いで、式(II)の錯体は、ラセミ又は鏡像異性的に純粋な形態の、好ましくはラセミ形態の、3-アミノ-1,2-プロパンジオールとの反応により、エステル、塩化アシル又は酸無水物官能基、特にエステル又は酸無水物、好ましくはエステルの形態で活性化されたカルボン酸官能基のアミノリシスによって得られる。
優先的には、カルボン酸官能基を活性化する工程及びアミノリシスの工程は、ワンポット実施形態に従って、即ち、同じ反応器内で、並びに、エステル、塩化アシル又は酸無水物官能基、特にエステル又は酸無水物、好ましくはエステルの形態で活性化されたカルボン酸官能基を含む中間体の単離又は精製の中間工程なしで実施される。
特定の実施形態によれば、工程c)は、以下の連続する工程を含む:
c1)式(VII)の活性化された錯体の形成
Figure 0007071596000015
(式中、Yは、塩素原子、基-OR又は-O-C(O)-Rを表し、好ましくは、Yは、基-OR又は-O-C(O)-Rを表し、R及びRは、互いに独立して、(C~C)アルキル基に対応する)、並びに
c2)式(VII)の活性化された錯体の3-アミノ-1,2-プロパンジオールとのアミノリシス。
当業者に明確に明らかであるように、式(VII)の活性化された錯体の形成のための反応は、側鎖がグラフトされている環状型化合物の窒素原子に対して、前述の側鎖のα位に位置する3つの非対称炭素原子の絶対配置を変更しない。結果として、工程c1)は、少なくとも80%である、工程b)の終わりに得られた式(I)のジアステレオ異性的に濃縮された六酸ガドリニウム錯体が得られる異性体I-RRRとI-SSSの混合物を含むジアステレオ異性体過剰と同一である、以下で表される式(VII-RRR)と(VII-SSS)の異性体VII-RRRとVII-SSSの混合物を含むジアステレオ異性体過剰を有する式(VII)の活性化された錯体を得ることを可能にする。
Figure 0007071596000016
Yが塩素原子を表す場合、工程c1)は、典型的には、工程b)で得られた式(I)のジアステレオ異性的に濃縮された六酸ガドリニウム錯体と塩化チオニル(SOCl)との反応によって行われる。
Yが-O-C(O)-CH基を表す場合、工程c1)は、典型的には、工程b)で得られた式(I)のジアステレオ異性的に濃縮された六酸ガドリニウム錯体と塩化アセチルとの反応によって行われる。
有利な実施形態では、工程c)は、エステル官能基の形態での上記のカルボン酸(-COOH)官能基の活性化を含む。
この実施形態によれば、工程c)は、より特には、以下の連続する工程を含み得る:
c1)式(VIII)のトリエステルの形成
Figure 0007071596000017
(式中、Rは、(C~C)アルキル基を表す)、及び
c2)式(VIII)のトリエステルの3-アミノ-1,2-プロパンジオールとのアミノリシス。
工程c1)は、典型的には、塩酸などの酸の存在下で、溶媒及び試薬の両方として作用する式ROHのアルコールにて実施される。
又、工程c2)は、典型的には、塩酸などの酸の存在下で、式ROHのアルコールにて実施される。
最初の段階では、式(I)の六酸ガドリニウム錯体とアルコールROHを反応器に入れる。次いで、反応媒体を、10℃未満、特に5℃未満、典型的には0℃の温度まで冷却し、次いでアルコールROHの酸性溶液、典型的にはROHにおける塩酸を徐々に加える。反応媒体は、室温で(即ち、20~25℃の温度で)、典型的には5時間より長い時間、好ましくは10時間~20時間、攪拌され続けられる。工程c2)の前に、反応媒体を10℃未満、特に0℃~5℃の温度に冷却する。
従って、工程c1)及びc2)は、ワンポット実施形態に従って容易に実行することができる。有利には、式(VII)のトリエステルは、工程c1)とc2)の間で分離されない。
しかしながら、アミノリシス反応を促進するために、工程c2)において、式ROHのアルコールは、好ましくは、真空蒸留によって除去される。
本発明の目的のために、「真空蒸留」という用語は、10~500ミリバール、とりわけ10~350ミリバール、好ましくは10~150ミリバール、特に50~100ミリバールの圧力で行われる混合物の蒸留を意味する。
同様に、アミノリシス反応を促進するために、工程c2)において、3-アミノ-1,2-プロパンジオールが大過剰に導入される。典型的には、導入される3-アミノ-1,2-プロパンジオールの材料量は、それ自体が1相当に相当する、工程c)で最初に導入された式(I)のジアステレオ異性的に濃縮された六酸ガドリニウム錯体の材料量と比較して、4当量より多く、特に7当量より多く、有利には10当量より多い。
驚くべきことに、ガドリニウム錯体の速度論的不安定性を増加させるはずの工程c1)及びc2)で典型的に使用される酸性条件にもかかわらず、式(VIII)のトリエステルの脱錯体化又は異性化は観察されない。所望のトリアミドは、非常に良好な変換度で得られ、環状型化合物の窒素原子に対して、側鎖のα位置に位置する3つの不斉炭素原子の絶対配置が保持されている。
更に、一般的に、エステルとアミンの直接反応によるアミド化反応は、文献に非常に慎重に記載されていることに留意されたい(この主題については、K.C.Nadimpally et al.,Tetrahedron Letters,2011,52,2579-2582を参照)。
好ましい実施形態では、工程c)は、以下の連続する工程を含む:
c1)特に、塩酸などの酸の存在下でメタノールでの反応による、式(IV)
Figure 0007071596000018
のメチルトリエステルの形成、及び
c2)特に、塩酸などの酸の存在下でメタノールでの式(IV)のメチルトリエステルの3-アミノ-1,2-プロパンジオールとのアミノリシス、
有利には、式(IV)のメチルトリエステルは、工程c1)とc2)の間で単離されない。
好ましい実施形態では、工程c2)において、典型的には55℃を超える温度、特に60℃~65℃に達するまで、メタノールが真空蒸留によって除去され、反応媒体は、室温に冷却して水で希釈する前に、典型的には5時間より長い時間、特に10時間~20時間真空でこの温度に維持される。
本発明は、プロセスの各工程に関連して、上記の特定の、有利な又は好ましい実施形態の全ての組み合わせを包含する。
式(III)の六酸の調製
本発明による式(II)の錯体を調製するためのプロセスの工程a)に関与する式(III)の六酸は、既知の任意の方法により、特に欧州特許第1931673号明細書に記載されている方法により調製することができる。
しかしながら、好ましい実施形態によれば、式(III)の六酸は、式(V):
Figure 0007071596000019
のピクレンの式ROOC-CHG-(CH-COOR(IX)
(式中、
-R及びRは、互いに独立して、(C~C)アルキル基、特に、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル又はヘキシル基などの(C~C)アルキル基を表し、
-Gは、トシレート又はトリフラート基などの脱離基、或いはハロゲン原子、好ましくは臭素原子を表す)の化合物とのアルキル化によって得られ、
式(X)
Figure 0007071596000020
のヘキサエステルを得、
続いて加水分解工程が行われ、式(III)の前述の六酸が得られる。
好ましい実施形態では、RとRは同一である。
有利な実施形態によれば、式(III)の六酸は、式(V):
Figure 0007071596000021
のピクレンの2-ブロモグルタル酸ジブチルとのアルキル化によって得られ、
式(VI):
Figure 0007071596000022
のブチルヘキサエステルを得、
続いて加水分解工程が行われ、式(III)の前述の六酸が得られる。
使用された2-ブロモグルタル酸ジブチルは、ラセミ又は鏡像異性的に純粋な形態であり、好ましくはラセミ形態である。
欧州特許第1931673号明細書に記載されている2-ブロモグルタル酸エチルの使用と比較して、2-ブロモグルタル酸ジブチルの使用は特に有利である。具体的には、市販の2-ブロモグルタル酸ジエチルは、比較的不安定な化合物であり、経時的に温度の影響下で分解する。より正確には、このエステルは、加水分解されて又は環化して、こうしてその臭素原子を失うようになる傾向がある。市販の2-ブロモグルタル酸ジエチルを精製し、又は純度を向上させてそれを得るための新しい合成経路を開発し、こうしてその分解を防ぐ試みは成功しなかった。
アルキル化反応は、典型的には、極性溶媒中で、好ましくは水中で、特に脱イオン水中で、有利には炭酸カリウム又は炭酸ナトリウムなどの塩基の存在下で行われる。
明らかな理由から、欧州特許第1931673号明細書に記載されているアセトニトリルよりも、特に水の使用が好ましい。
反応は、40℃~80℃、典型的には50℃~70℃、特に55℃~60℃の温度で、5時間~20時間、特に8時間~15時間、有利に実施される。
加水分解工程は、酸又は塩基、有利には水酸化ナトリウムなどの塩基の存在下で有利に実施される。加水分解溶媒は、水、エタノールなどのアルコール、又は水/アルコール混合物であり得る。この工程は、40℃~80℃、典型的には40℃~70℃、特に50℃~60℃の温度で、典型的には10時間~30時間、特に15時間~25時間、有利に実行される。
式(II)の錯体を精製するためのプロセス
本発明は更に、
以下の式(II):
Figure 0007071596000023
の錯体であって、式:
Figure 0007071596000024
の異性体II-RRRとII-SSSの混合物を含む少なくとも80%のジアステレオ異性体過剰を有する、錯体を精製するためのプロセスに関し、
このプロセスは、
1)以下の2つの工程の組合せ:
1b)イオン交換樹脂の通過、及び
1c)前述の錯体の限外濾過と、
2)固体形態のこうして得られた精製された錯体の単離と、を含む。
有利には、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%、特に少なくとも95%、より特には少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%、有利には少なくとも99%の、異性体II-RRRとII-SSSの混合物を含むジアステレオ異性体過剰を有する式(II)の前述の錯体は、前述の調製プロセスに従って前に得られた。
好ましい実施形態では、精製プロセスが実施されるジアステレオ異性的に濃縮された錯体は、少なくとも85%、とりわけ少なくとも90%、特に少なくとも92%、好ましくは少なくとも94%、有利には少なくとも97%、より有利には少なくとも99%の、異性体II-RRRとII-SSSの混合物を含むジアステレオ異性体過剰を有する。
好ましくは、前述のジアステレオ異性体過剰は、少なくとも70%、特に少なくとも80%、有利には少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の異性体II-RRRとII-SSSの混合物から構成される。
有利には、前述のジアステレオ異性体過剰は、異性体II-RRRとII-SSSの混合物からなる。
又、「異性体II-RRRとII-SSSの混合物」という用語は、ひいては、II-RRR又はII-SSSのいずれかである異性体の1つのみが存在する場合を網羅する。しかしながら、「異性体II-RRRとII-SSSの混合物」という用語は、異性体II-RRRとII-SSSのそれぞれが可変であるがゼロ以外の量で存在する全ての場合を優先的に示す。
好ましい実施形態では、異性体II-RRRとII-SSSは、65/35~35/65、とりわけ60/40~40/60、特に55/45~45/55の比で前述の混合物中に存在する。有利には、異性体II-RRRとII-SSSは、50/50の比で混合物中に存在する。
・工程1b)及び1c)の組み合わせ
工程1b)及び1c)は、その生成プロセスにおいて存在する可能性のある不純物を除去することにより、式(II)の錯体を精製することを目的としている。
前述の不純物は、特に、3-アミノ-1,2-プロパンジオール及び/又は二重に結合した不純物を含み得る。
具体的には、3-アミノ-1,2-プロパンジオールは、典型的には、式(II)の錯体が式(I)の錯体と3-アミノ-1,2-プロパンジオールで始まるアミド化によって得られる場合、式(II)の錯体を調製するためのプロセスの実施中に得られる最終生成物中に存在し得る。これは特に、本発明による式(II)の錯体を調製するためのプロセスの場合である。前に詳述したように、アミド化反応は、側鎖がグラフトされる環状型化合物の窒素原子に対して、式(I)の錯体の前述の側鎖のγ位置に位置する炭素原子によって支えられる3つのカルボン酸官能基の活性化、その後の3-アミノ-1,2-プロパンジオールとの反応による活性化されたカルボン酸官能基のアミノリシスを含み得る。次いで、3つの活性化されたカルボン酸官能基のアミド官能基への良好な変換を確証するために、3-アミノ-1,2-プロパンジオールは、過剰で有利に使用される。
「二重に結合した不純物」という用語は、以下に表される式(II-dc-a)、(II-dc-b)、(II-dc-c)の錯体、又はこれらの混合物を示すことを意図している。
Figure 0007071596000025
二重に結合した不純物は、特に、式(II)の錯体のアミド官能基の加水分解反応から生じる可能性がある。それは又、式(II)の錯体を調製するためのプロセスがこのような工程を伴う場合、式(I)の錯体のカルボン酸官能基の不完全な活性化(3つの官能基のうちの2つの活性化)又は活性化されたカルボン酸官能基の不完全なアミノリシス(3つの官能基のうちの2つのアミノリシス)から生じ得る。これは特に、本発明による式(II)の錯体を調製するためのプロセスの場合である。
・工程1b)は、イオン交換樹脂を介した前述のように式(II)のジアステレオ異性的に濃縮された錯体の通過に対応する。
本発明の目的のために、「イオン交換樹脂」という用語は、一般的に、正に帯電した官能基(アニオン樹脂)又は負に帯電した官能基(カチオン樹脂)がグラフトされるポリマーマトリックスから構成されるビーズの形態である固体材料を意味し、これは、それぞれ、吸着によってアニオン又はカチオンをトラップすることを可能にする。樹脂へのアニオン又はカチオンの吸着は、樹脂の電気的中性を確保するために最初に存在する官能基の対イオンと、トラップされることが意図されるアニオン又はカチオンとの間のイオン交換を介して進行する。
工程1b)は、式(II)のジアステレオ異性的に濃縮された錯体の水溶液を強いアニオン樹脂と接触させることを伴う。使用する水は、精製水が好ましい。
前述の強いアニオン樹脂は、典型的には、交換官能基として、アンモニウム基(N(RR’R’’)、この場合、R、R’及びR’’は、同一又は異なる(C~C)アルキル基である)を含む。特に、有利にはHOの形態で、Dow Chemicalによって販売される樹脂Amberlite(登録商標)FPA900を挙げることができる。
強いアニオン樹脂を通過させることにより、二重に結合した不純物を少なくとも部分的に除去することが可能になる。
工程1b)は又、式(II)のジアステレオ異性的に濃縮された錯体の水溶液を弱いカチオン樹脂と接触させることを伴い得る。使用する水は、精製水が好ましい。
前述の弱いカチオン樹脂は、典型的には、交換官能基として、カルボン酸基(CO )を含む。特に、有利にはHの形態で、Dow Chemicalによって販売される樹脂IMAC(登録商標)HP336を挙げることができる。
弱いカチオン樹脂を通過させることにより、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、及び可能性のあるGd3+残基を少なくとも部分的に除去することができる。
イオン交換樹脂を通過させる工程1b)は、本発明による式(II)のジアステレオ異性的に濃縮された錯体の改善された安定性によって可能になり、その結果、その完全性がこの工程中に保持されることに留意されたい。
・工程1c)は、前述のように式(II)のジアステレオ異性的に濃縮された錯体の限外濾過に対応する。
本発明において、「限外濾過」という用語は、メソポーラス半透膜を介して濾過する方法を意味し、その細孔は、一般に、典型的には1~10バールの圧力勾配、及び任意選択で濃度勾配などの力の影響下で、1~100nm、特に2~50nm、とりわけ10~50nm(メソポア)の直径を有する。従って、それは、細孔のサイズよりも大きいサイズの溶液又は懸濁液中の粒子が膜によって保持され、それらを含んだ液体混合物から分離される膜分離のプロセスである。
本発明による精製プロセスの文脈において、限外濾過は、エンドトキシンを除去するために特に有利である。
有利には、工程1c)で使用される限外濾過膜は、100kD未満、特に50kD未満、特に25kD未満、典型的には10kDのカットオフ閾値を有する。
好ましくは、工程1c)において、膜間圧は、1~5バール、特に2.25~3.25バールである。
・特定の一実施形態では、工程1b)及び1c)は又、ナノ濾過工程1a)と組み合わされる。
本発明において、「ナノ濾過」という用語は、多孔性半透膜を介して濾過する方法を意味し、その細孔は、一般に、典型的には1~50バールの圧力勾配、及び任意選択で濃度勾配などの力の影響下で、0.1~100nm、特に0.1~20nm、とりわけ1~10nmの直径を有する。従って、それは、細孔のサイズよりも大きいサイズの溶液又は懸濁液中の粒子が膜によって保持され、それらを含んだ液体混合物から分離される膜分離のプロセスである。
ナノ濾過工程1a)は、過剰の3-アミノ-1,2-プロパンジオール(任意選択で、塩、特に塩酸塩の形態で、又は誘導体、とりわけアセトアミド誘導体の形態で)及び鉱物塩の大部分を除去することを可能にする。
この特定の実施形態では、ナノ濾過工程は、前述の調製プロセスに従って得られる式(II)の精製してないジアステレオ異性的に濃縮された錯体において直接実施することができる。特に、溶媒を加えることによって前に調製された式(II)のジアステレオ異性的に濃縮された錯体を沈殿させる必要は必ずしもない。
有利には、工程1a)で使用されるナノ濾過膜は、1kD未満、とりわけ500ダルトン未満、特に300ダルトン未満、典型的には200ダルトンのカットオフ閾値を有する。
好ましくは、工程1a)において、膜間圧は、10~40バール、特に2~30バールである。
特に、工程1a)で限外濾過にかけられた式(II)の錯体の溶液の温度は、20~40℃、特に25~35℃である。
この特定の実施形態の1つの代替では、工程1b)は、式(II)のジアステレオ異性的に濃縮された錯体の水溶液を弱いカチオン樹脂と接触させることを伴わない。
特定の一実施形態では、工程1a)(それが存在する場合)、1b及び1cがこの順序で実行される。この有利な実施形態は、特に、使用される樹脂の量を最小化することを可能にし、従って工業的製造コストを最小化することを可能にする。
・工程2)
工程2)は、工程1b)及び1c)の組み合わせの結果として得られ、又、任意選択で工程1a)と組み合わされた式(II)の精製された錯体を固体形態で単離することを目的としている。
固体形態での単離のこの工程は、当業者に周知の任意の方法に従って、特に噴霧化、沈殿、凍結乾燥又は遠心分離によって、有利には噴霧化によって実施することができる。
好ましい実施形態では、工程2)は噴霧化を含む。
具体的には、噴霧化による式(II)の精製された錯体の固体形態での単離は、特に沈殿溶媒の使用を省くことを可能にする。
その場合、噴霧器の空気注入口温度は、典型的には150℃~180℃、特に160℃~175℃、有利には165℃~170℃である。排出口温度自体は、典型的には90℃~120℃、好ましくは105℃~110℃である。
有利には、工程2)の終わりに単離された異性体II-RRRとII-SSSの混合物においてジアステレオ異性的に濃縮された式(II)の精製された錯体の純度は、95%より大きく、特に97%より大きく、優先的には97.5%より大きく、より優先的には98%より大きく、有利には99%より大きく、前述の純度は、工程2)の終わりに得られる総質量に対する式(II)の錯体の質量パーセントとして表される。
又、本発明は、本発明の精製プロセスに従って得ることができる式(II)のジアステレオ異性的に濃縮され精製された錯体に関する。
好ましくは、前述の本発明による組成物に含まれる式(II)の錯体は、本発明の精製プロセスに従って得ることができる式(II)のジアステレオ異性的に濃縮され精製された錯体である。
以下に示す実施例は、本発明の非限定的な例示として表される。
UHPLCによる式(II)の錯体の異性体iso1、iso2、iso3、及びiso4の群の分離
ポンプシステム、インジェクター、クロマトグラフィーカラム、UV検出器、及びデータステーションから構成されるUHPLC機が使用される。使用されるクロマトグラフィーカラムは、UHPLC150×2.1mm-1.6μmカラム(Waters Cortecs(登録商標)UPLC T3カラム)である。
-移動相:
経路A:100%のアセトニトリル及び経路B:0.0005%の体積/体積のHSO(96%)の水溶液
-試験溶液の調製:
精製水における2mg/mLの式(II)の錯体の溶液
-分析条件:
Figure 0007071596000026
-グラジエント:
Figure 0007071596000027
4つの主要なピークが得られる。UHPLCプロットのピーク4、即ちiso4は、6.3分の保持時間に対応する。
式(VI)のブチルヘキサエステルの調製
184kg(570モル)の2-ブロモグルタル酸ジブチル及び89kg(644モル)の炭酸カリウムを反応器内で混合し、55~60℃に加熱する。24kgの水における29.4kg(143モル)のピクレンの水溶液を、前の調製物に加える。反応混合物を55~60℃に維持し、次いで約10時間還流する。反応後、媒体を冷却し、155kgのトルエンで希釈し、次いで300リットルの水で洗浄する。ブチルヘキサエステルを、175kg(1340モル)のリン酸(75%)で水相に抽出する。次いで、150kgのトルエンで3回洗浄する。ブチルヘキサエステルを、145kgのトルエンと165kgの水で希釈することにより、トルエン相に再抽出し、続いて30%水酸化ナトリウム(質量/質量)で塩基性化してpH5~5.5にする。下の水相を除去する。ブチルヘキサエステルは、真空下、60℃で濃縮し乾燥することにより、約85%の収率で得られる。
式(III)の六酸の調製
113kg(121モル)のブチルヘキサエステルを、8kgのエタノールと共に反応器に入れる。媒体を55±5℃にし、次いで161kg(1207.5モル)の30%水酸化ナトリウム(質量/質量)を3時間かけて加える。反応混合物をこの温度で約20時間維持する。次いで、ブタノールを、反応媒体のデカンテーションによって除去する。ナトリウム塩の形態で得られた式(III)の六酸を水で希釈して、約10%(質量/質量)の水溶液を得る。この溶液を酸性カチオン樹脂で処理する。水溶液中の式(III)の六酸を、約90%の収率及び95%の純度で得る。
式(I)の六酸ガドリニウム錯体の調製
・実験プロトコル
・錯体化及び異性化
-酢酸なし
式(III)の六酸の28重量%の水溶液418kg(式(III)の純粋な六酸117kg/196モル)を反応器に入れる。塩酸を加えることにより溶液のpHを2.7に調整し、次いで37kg(103.2モル)の酸化ガドリニウムを加える。反応媒体を100~102℃で48時間加熱して、式(III)の六酸の予想される異性体分布を達成する。
-酢酸あり
酸化ガドリニウム(0.525モル当量)を、28.1質量%の式(III)の六酸の溶液にて懸濁する。
99~100%の酢酸(50質量%/式(III)の純粋な六酸)を室温で媒体に注ぐ。
媒体を加熱して還流し、続いて水を除去しながら媒体に酢酸を徐々に再度満たすことにより質量で113℃まで蒸留する。113℃の温度に達したら、開始体積に達するのに十分な量の酢酸を加える。
媒体を一晩113℃に維持する。
・結晶化、再結晶化
-結晶化
溶液における式(I)の六酸ガドリニウム錯体を40℃に冷却し、プライマーを加え、試薬を少なくとも2時間接触させたままにする。次いで、生成物を40℃で濾過することにより単離し、浸透水で洗浄する。
-再結晶化
前に得られた式(I)の六酸ガドリニウム錯体(固形分約72%)180kgを、390kgの水に懸濁する。媒体を100℃に加熱して生成物を溶解し、次いで80℃に冷却して少量のプライマーを加えることによりプライミングする。室温まで冷却した後、式(I)の六酸ガドリニウム錯体を濾過及び乾燥により単離する。
・選択的脱錯体化
乾燥生成物を、20℃で浸透水とともに反応器に入れる。加えられる水の質量は、式(I)の六酸ガドリニウム錯体の理論質量の2倍に等しい。30.5%の水酸化ナトリウム(質量/質量)(6.5当量)を20℃で媒体に注ぐ。NaOHの添加の終わりに、媒体を50℃で16時間接触させたままにする。媒体を25℃に冷却し、生成物をClarcelのベッドにて濾過する。
・ジアステレオ異性体I-RRRとI-SSSの混合物の含有量
以下の表3に示されているように、ジアステレオ異性体の混合物中に式(I)の錯体の様々な異性体が存在する比は、錯体化及び異性化工程が実行される条件に依存する。
Figure 0007071596000028
再結晶化及び選択的脱錯体化の更なる工程により、混合物I-RRRとI-SSSのジアステレオ異性体過剰を増加させることが可能である(表4を参照)。
Figure 0007071596000029
式(II)の錯体の調製
式(I)の六酸錯体90kg(119モル)及びメタノール650kgを反応器に入れる。混合物を約0℃に冷却し、次いで塩酸のメタノール溶液(メタノールにおける8.25%のHCl)111kg(252モル)を、温度を0℃に維持しながら注ぐ。反応媒体を室温にし、次いで撹拌を16時間続ける。0~5℃に冷却した後、120kg(1319モル)の3-アミノ-1,2-プロパンジオールを加える。次いで、反応媒体を、真空下でメタノールを蒸留除去しながら、60~65℃の温度に達するまで加熱する。濃縮物をこの温度で真空下で16時間維持する。接触の終わりに、室温に冷却しながら、媒体を607kgの水で希釈する。式(II)の精製してない錯体の溶液を、20%塩酸(質量/質量)で中和する。こうして978.6kgの溶液が得られ、濃度は10.3%であり、これは101kgの材料に相当する。得られた収率は86.5%であり、式(II)の錯体の純度は、92.3%(HPLCs/s)である。二重に結合した不純物の量は、6.4%(HPLCs/s)である。
式(II)の錯体の精製
・ナノ濾過
使用されるナノ濾過膜のカットオフ閾値は、200ダルトンである(Koch Membran SystemSR3D)。この処理は以下の方法で実行される。
式(II)の精製してない錯体の溶液を30℃に加熱する。ナノフィルターは、前述の溶液で満たされている。ポンプのスイッチを最初に低速で入れてシステムをパージし、次いでナノフィルターのポンプの速度を徐々に上げて目的の再循環速度(2.5×40インチの膜の場合は1.0m/時間)にする。次いで、システムを30℃で少なくとも2時間完全に再循環させて、分極層を確立する。次いで、1000μS未満の保持液の導電率が得られるまで純水を加えることによって体積を一定に保ちながら、媒体を、30℃、2.5バールで透析濾過に通す。透析濾過の最後に、媒体を濃縮して約40%(質量/質量)の濃度を得る。
・樹脂での処理
ナノ濾過から得られた式(II)の錯体の溶液を、撹拌しながら精製水で希釈して、15%溶液(質量/質量)を得る。この溶液は、OH型の50リットルの強いアニオン樹脂(FPA900)にて、次いでH型の50リットルの弱いカチオン樹脂(HP336)にて、平均溶出流量2V/V/H(1時間当たりの樹脂の体積当たり2体積の溶液)で連続的に溶出される。次いで、屈折率が1.3335未満になるまで、樹脂を約450リットルの精製水で濯ぐ。
次いで、式(II)の錯体の溶液を、20ミリバールの真空下で50~60℃に加熱することによって濃縮して、35%(質量/質量)の濃度に到達させる。
・限外濾過
限外濾過膜は、UF 10KD Koch Spiral膜である。
限外濾過器には、40℃に加熱された35%の式(II)の錯体の前述の溶液が供給される。限外濾過は、2.5~3バールの膜間圧で3m/時間の流量で適用される。25%(質量/質量)の式(II)の錯体の最終希釈に達するまで、システムを13リットルの非発熱性の精製水で数回濯ぐ。
・噴霧化
式(II)の錯体は、25%に濃縮された式(II)の錯体の前述の溶液の噴霧化によって粉末形態で得られる。
噴霧化は、以下の方法で実行される。
噴霧器は、注入口温度を165℃~170℃に設定し、排出口温度が105~110℃になるように供給速度を調整することにより、非発熱性の純水で平衡化される。
次いで、式(II)の錯体の濃縮溶液を加え、上記のパラメーターを保持するように流量を調整する。
これらの操作条件は、噴霧チャンバー内及び噴霧器排出口での粉末の良好な挙動を確証しながら、噴霧全体を通して維持される。特に、生成物の付着がないことを確証する必要がある。
噴霧器に溶液を供給した最後に、式(II)のこの錯体の容器、及び噴霧器は、粉末の最大量の回収が得られるまで、非発熱性の純水で濯がれる。
式(II)の99.6%の純粋な錯体が得られる。
この純度は、逆相液体クロマトグラフィーによって決定された。
本発明による組成物及びその検討結果
・本発明による製造プロセスの実施例
本発明による組成物を製造するためのプロセスは、以下の工程に従って実行される:
a)式(II)の錯体485.1g(即ち、0.5M)を水(qs1リットル)に溶解し、タンクを39~48℃の温度に加熱し、この錯体が水に完全に溶解するまで溶液を激しく攪拌する。次いで、溶液を約30℃に冷却する。
b)0.404g(即ち、工程aで加えられた錯体の比率に対して0.2モル/モル%)のDOTA(Simafex、France)を、10%質量/体積のDOTAの溶液を介して、工程a)で得られた溶液に撹拌しながら加える。
c)工程b)で得られた溶液にトロメタモール(トリス)を攪拌しながら加える。次いで、撹拌しながら塩酸溶液を加えることにより、pHを7.2~7.7の値に調整する。
d)目標濃度(0.5モル/L)は、1.198~1.219g/mLの密度値が得られるまで、2工程で注入用の水を加えることによって得られる。
次いで、液体組成物をポリエーテルスルホン膜で濾過し、最終容器に入れ、最終的に121℃で15分間滅菌する。
・本発明による組成物の実施例
以下の配合は、上記のプロセスによって得られる。
Figure 0007071596000030
・実施された配合試験
0~100mMの様々な濃度のトロメタモールを試験した。これらの試験の結果は、10mM(0.12%重量/体積)の含有量が、分解不純物の形成を制限しながら、配合物のpH安定性を確証するのに十分であることを示した。
0~2.5mMの様々な濃度のDOTAを試験した。これらの試験の結果は、0.04%質量/体積又は0.2モル/モル%に対応する1mMの含有量により、プロセス中及び生成物の寿命中に遊離Gdの放出がないことを確証できることを示した。
本発明による組成物の加速条件下での安定性の検討
前述の実施例の配合物は、その製造直後(T)、及びその製造後6ヶ月間(T+6ヶ月)40℃で貯蔵した後に分析される。
で:
-クロマトグラフィーによって評価された純度:99.6%
-Gd-DOTAの濃度:0.007%(質量/体積)
-Gdの濃度:0.0001%未満(質量/体積)
-pH:7.5
T+6ヶ月で:
-クロマトグラフィーによって評価された純度:97.2%
-Gd-DOTAの濃度:0.014%(質量/体積)-0.25mM
-Gdの濃度:0.0001%未満(質量/体積)
-pH:7.5
逆相液体クロマトグラフィー
これらの結果は、この配合物が経時的に良好な安定性を有することを実証している。
・比較用の安定性の検討
以下の組成物の安定性を経時的に評価した。「最適化されていないAP」という用語は、有効成分、即ち、欧州特許第1931673号明細書に記載されているプロセスに従って得られた式(II)の錯体を示す。「最適化されているAP」という用語は、本発明によるプロセスを介して得られた式(II)のジアステレオ異性的に濃縮され精製された錯体を示す。
Figure 0007071596000031
上で報告された結果は、遊離DOTAでの最適化されていないAPの配合は可能ではないことを示している。この理由は、キレート化賦形剤が、式(II)の錯体とDOTAのトランス連結反応によって完全に消費され、その結果、浸出したGd3+をトラップする役割をもはや果たすことができないためである。
他方、本発明によるプロセスを介して得られた式(II)のジアステレオ異性的に濃縮され精製された錯体は、遊離DOTAで配合され得る。具体的には、40℃、6ヶ月で組成物中に遊離Gdが存在しないことが観察され、これは、配合物のpH、及び緩衝種が存在するかどうかに関係なく当てはまる。加えて、キレート化賦形剤の消費量は、0.08モル/モル%を超えないため、非常に低い。

Claims (14)

  1. 以下の式(II):
    Figure 0007071596000032
    の錯体であって、式:
    Figure 0007071596000033
    の異性体II-RRRとII-SSSの混合物を含む少なくとも80%のジアステレオ異性体過剰から構成される錯体を、精製するためのプロセスであって、
    1)以下の2つの工程の組み合わせ:
    1b)イオン交換樹脂の通過、及び
    1c)前記錯体の限外濾過と、
    2)こうして得られた固体形態の前記精製された錯体の単離と、
    を含む、プロセス。
  2. 精製プロセスに供される式(II)の錯体が、異性体II-RRRとII-SSSの混合物を含む少なくとも90%のジアステレオ異性体過剰を有する錯体である、
    請求項1に記載のプロセス。
  3. 精製プロセスに供される式(II)の錯体が、異性体II-RRRとII-SSSの混合物を含む少なくとも94%のジアステレオ異性体過剰を有する錯体である、
    請求項1又は2に記載のプロセス。
  4. 工程1b)が、式(II)の錯体の水溶液をアニオン樹脂と接触させることを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のプロセス。
  5. 工程1b)が、さらに、式(II)の錯体の水溶液をカチオン樹脂と接触させることを含む、
    請求項4に記載のプロセス。
  6. 工程1b)及び1c)が、ナノ濾過工程1a)と組み合わされる、請求項1~5のいずれかに記載のプロセス。
  7. 前記工程1a)(それが存在する場合)、1b)及び1c)がこの順序で実行されることを特徴とする、請求項5又は6に記載のプロセス。
  8. 工程2)は、噴霧化を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のプロセス。
  9. 前記精製プロセスが行われる異性体II-RRRとII-SSSの混合物を含む少なくとも80%のジアステレオ異性体過剰から構成される式(II)の前記錯体は、以下の連続した工程:
    a)ガドリニウムを用いて以下の式(III):
    Figure 0007071596000034
    の六酸を錯体化して、以下の式(I):
    Figure 0007071596000035
    の六酸ガドリニウム錯体を得る工程、
    b)式(I)の前記六酸ガドリニウム錯体をpH2~4の水溶液中で加熱することにより異性化して、式(I)の前記六酸ガドリニウム錯体の異性体I-RRRとI-SSS:
    Figure 0007071596000036
    の混合物を含む少なくとも80%のジアステレオ異性体過剰から構成されるジアステレオ異性的に濃縮された錯体を得る工程、並びに
    c)3-アミノ-1,2-プロパンジオールとの反応によって、工程b)で得られた前記ジアステレオ異性的に濃縮された錯体から開始して、式(II)の前記錯体を形成する工程、を介して前に得られたものである、請求項1~8のいずれか1項に記載のプロセス。
  10. 工程b)の終わりに、前記ジアステレオ異性的に濃縮された錯体は、結晶化によって単離され、そして再結晶化によって精製される、請求項9に記載のプロセス。
  11. 工程c)が、以下の連続する工程:
    c1)酸の存在下で式ROHのアルコール中での反応によって、Rが、(C~C)アルキル基を表す、式(VIII)、
    Figure 0007071596000037
    のトリエステルを形成する工程、及び
    c2)3-アミノ-1,2-プロパンジオールと式(VIII)の前記トリエステルをアミノリシスする工程
    を含み、
    式(VIII)の前記トリエステルは、工程c1)とc2)の間で単離されない、
    請求項9又は10に記載のプロセス。
  12. 工程c)が、以下の連続する工程:
    c1)酸の存在下でメタノール中での反応によって、式(IV)、
    Figure 0007071596000038
    のメチルトリエステルを形成する工程、及び
    c2)メタノール中での、3-アミノ-1,2-プロパンジオールと式(IV)の前記メチルトリエステルをアミノリシスする工程
    を含み、
    ここで、前記メタノールは、55℃を超える温度に達するまで、真空蒸留によって除去され、反応媒体は、室温に冷却して水で希釈する前に、5時間より長い時間、真空でこの温度に維持される、
    請求項9~11のいずれか1項に記載のプロセス。
  13. 式(III)の六酸は、式(V):
    Figure 0007071596000039
    のピクレンの2-ブロモグルタル酸ジブチルとのアルキル化によって、
    式(VI):
    Figure 0007071596000040
    のブチルヘキサエステルを得、続いて加水分解工程を行って得たものである、
    請求項9~12のいずれか1項に記載のプロセス。
  14. ナノ濾過工程1a)を含み、当該工程が、工程c)の最後に得られる式(II)の錯体に対して直接実施される、請求項9~13のいずれか1項に記載のプロセス。
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