JP7071568B1 - 推論装置および推論プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】サーバ室における空調機設定温度とガラリ開閉状態との適切な組み合わせ関係を提示する装置を提供する。【解決手段】サーバ室冷却管理装置100は、サーバ室に配置された複数の温度センサの各温度を温度推論モデル31用いて推論する。温度推論モデル31は入力として、開閉可能なガラリの各ガラリ識別子に対して、開と閉との一方が設定されたガラリ開閉候補情報と、複数の空気調和機の各空調機識別子に対して、空気調和機の稼働条件が設定された空調機設定候補情報と、複数の温度センサの各センサ識別子に対して計測温度が設定された温度センサ情報と、各空調機識別子に対して、空気調和機の消費電力が設定された空調機消費電力情報とを入力し、一つのガラリ開閉候補と一つの空調機設定候補とからなる組について、複数の組の各組ごとに複数の温度センサの各温度を推論する。【選択図】図4

Description

本開示は、サーバ室に設置されている情報処理装置を、あらかじめ定められた規定の範囲内の温度において冷却するためのサーバ室冷却管理装置に関する。
サーバ室では、ラックに積載された情報処理装置が多数稼働している。情報処理装置は稼働により熱を発するため、正常動作させるためには空気調和機によりサーバ室を冷却して、情報処理装置を冷却する必要がある。そのためにはサーバ室を一定温度以下に保つ必要がある。空気調和機による情報処理装置の冷却には、大量の電力を消費するため、効果的な情報処理装置の冷却が課題となっている。サーバ室に設置された情報処理装置を冷却する技術については、例えば、特許文献1がある。
特許文献1は、空気調和機の設定と併せて、情報処理装置で稼働する仮想マシンの配置を制御することによって、空気調和機と情報処理装置とを合わせた消費電力を抑制するための技術である。この技術は、仮想マシンを管理運営する事業者にとっては有用であるが、ハウジングサービスを専業とする事業者は、仮想マシンの制御をすることができないため、利用することができない技術である。また、サーバ室の冷却には、空気調和機の温度、風向き、風力といった設定と同じくらい、空気調和機からの冷却風をいかにラックに届けるかが重要となる。冷却風が届かなければ、ラックの周りには熱だまりが発生し、適切に情報処理装置を冷却することができないからである。空気調和機からの冷却風は、サーバ室の床下をとおり、サーバ室の床面に設けられた複数の通風口から噴き出し、ラックの下部および前面側から、ラックに積載された情報処理装置に届けられる。サーバ室のラックは、同一方向を向いて一列に並べて配置される。効果的な空調を行うため、ラックの前面となる側の通風口は開放され、ラックの背面となる側の通風口は閉口される。ラックの前面となる側は、冷却風が噴き出す通路でもあるため、コールドアイルとも呼ばれる。サーバ室の床面に設けられる通風口は、蛇腹状の開口部を持つガラリと呼ばれる床パネルによって実現される。ガラリは、開口部のない床パネルと交換可能なものや、開閉式のものがあり、グレーチングパネルとも呼ばれる。ラックに積載される情報処理装置を効果的に冷却するためには、複数の開閉可能な通風口の開閉状態が重要となる。通風口の開閉操作は、これまで経験によって行われており、ラックに積載される情報処理装置の稼働状況や冷却風の流れに影響する空気調和機の設定を考慮した、通風口の開閉操作は行われていない。また、通風口の開閉に関する技術はシステム化されておらず、これまで開示されていない。
特開2012-149839号公報
本開示は、サーバ室における空気調和機の消費電力Pの低減を可能とする空気調和機の設定と、ガラリの開閉状態との推奨する組み合わせを提示する装置の提供を目的とする。
本開示に係る推論装置は、
部屋の床に開閉の可能な状態で配置される複数の通風口の各通風口を識別する通風口識別子のそれぞれに対して、開と閉とのいずれかの状態が設定された通風口設定レコードの集合である通風口設定レコード群と、
前記部屋に配置されて、前記床の下に冷気を送り込み、開状態の前記通風口を介して前記冷気を前記床の下から前記部屋の内部に送出させる複数の空気調和機の各空気調和機を識別する空気調和機識別子のそれぞれに対して、前記空気調和機の稼働条件が設定された稼働条件設定レコードの集合である稼働条件設定レコード群と、
前記部屋に配置された複数の温度センサの各温度センサを識別するセンサ識別子のそれぞれに対して、前記温度センサの計測温度が設定された計測温度設定レコードと、
前記空気調和機識別子のそれぞれに対して、前記空気調和機の消費電力が設定された消費電力設定レコードと、
を含む入力情報を入力として取得するデータ取得部と、
前記通風口設定レコード群の一つの通風口設定レコードと前記稼働条件設定レコード群の一つの稼働条件設定レコードから決まる複数の組の各組によって定まる前記複数の通風口の開閉状態と前記複数の空気調和機の前記稼働条件とのもとにおける前記複数の温度センサの各温度センサの温度であって、指定された時点から設定時間の経過後の各温度センサの温度である推論温度を前記組ごとに推論するための学習済みモデルである温度推論モデルを用いて、前記データ取得部で取得した前記入力情報から、前記組ごとの各温度センサの推論温度を出力する推論部と、
を備える。
前記データ取得部は、
前記複数の組の各組によって定まる前記複数の通風口の開閉状態と前記複数の空気調和機の前記稼働条件とのもとにおける前記複数の空気調和機の各空気調和機の消費電力であって、設定時間の経過後の各空気調和機の消費電力である推論消費電力を前記組ごとに推論するための学習済みモデルである消費電力推論モデルへの入力として、
一つの前記通風口設定レコードと一つの前記稼働条件設定レコードとの一組と、
前記計測温度設定レコードと、
前記消費電力設定レコードと、
を一セットとして、複数のセットを取得し、
前記推論部は、
前記消費電力推論モデルを用いて、前記データ取得部の取得した複数のセットの各セットに対して、各空気調和機の推論消費電力を出力する。
前記推論装置は、さらに、
前記推論部が出力した前記推論温度のなかに、要求された温度範囲に属していない前記推論温度が存在するかどうかを判断し、判断結果と前記組とを対応付ける推論温度判定部を備える。
前記推論温度判定部は、
要求された前記温度範囲をセンサ対応範囲情報として前記温度センサごとに保有しており、前記温度センサごとに保有する前記センサ対応範囲情報を用いて、前記推論部が出力した前記推論温度のなかに、要求された温度範囲に属していない前記推論温度が存在するかどうかを判断する。
前記推論装置は、さらに、
前記推論温度判定部が対応付けた前記判断結果と前記組との対応関係に基づいて、前記複数の組の中から推奨するべき組を抽出する推奨結果提示部を備える。
前記データ取得部の取得する入力情報は、さらに、
前記部屋に配置されて情報処理装置が積載可能であり、前記情報処理装置が積載されている場合には前記情報処理装置に電力を供給する複数のラックのそれぞれを識別するラック識別子のそれぞれに対して、ラックが電力供給状態にあるかどうかを示す稼働状況と、前記稼働状況が電力供給状態である場合にはラックの消費電力と、ラックの設置場所とを含むラック契約情報を含む。
本開示に係る推論プログラムは、
コンピュータに、
部屋の床に開閉の可能な状態で配置される複数の通風口の各通風口を識別する通風口識別子のそれぞれに対して、開と閉とのいずれかの状態が設定された通風口設定レコードの集合である通風口設定レコード群と、
前記部屋に配置されて、前記床の下に冷気を送り込み、開状態の前記通風口を介して前記冷気を前記床の下から前記部屋の内部に送出させる複数の空気調和機の各空気調和機を識別する空気調和機識別子のそれぞれに対して、前記空気調和機の稼働条件が設定された稼働条件設定レコードの集合である稼働条件設定レコード群と、
前記部屋に配置された複数の温度センサの各温度センサを識別するセンサ識別子のそれぞれに対して、前記温度センサの計測温度が設定された計測温度設定レコードと、
前記空気調和機識別子のそれぞれに対して、前記空気調和機の消費電力が設定された消費電力設定レコードと、
を含む入力情報を入力として取得するデータ取得処理と、
前記通風口設定レコード群の一つの通風口設定レコードと前記稼働条件設定レコード群の一つの稼働条件設定レコードから決まる複数の組の各組によって定まる前記複数の通風口の開閉状態と前記複数の空気調和機の前記稼働条件とのもとにおける前記複数の温度センサの各温度センサの温度であって、指定された時点から設定時間の経過後の各温度センサの温度である推論温度を前記組ごとに推論するための学習済みモデルである温度推論モデルを用いて、前記データ取得処理で取得した前記入力情報から、前記組ごとの各温度センサの推論温度を出力する推論処理と、
を実行させる。
前記データ取得部は、さらに
前記部屋に配置されて情報処理装置が積載可能であり、前記情報処理装置が積載されている場合に前記情報処理装置に電力を供給する複数のラックのそれぞれを識別するラック識別子のそれぞれに対して、電力供給状態にあるかどうかを示す稼働状況が設定されたラック契約設定レコードの集合であるラック契約設定レコード群を含む入力情報を入力として取得し、
前記推論部は、
前記通風口設定レコード群の一つの通風口設定レコードと、前記稼働条件設定レコード群の一つの稼働条件設定レコードと、前記ラック契約設定レコード群の一つのラック契約設定レコードとから決まる複数の組の各組によって定まる前記複数の通風口の開閉状態と前記複数の空気調和機の前記稼働条件と前記複数のラックの稼働状況とのもとにおける前記複数の温度センサの各温度センサの温度であって、指定された時点から設定時間の経過後の各温度センサの温度である推論温度を前記組ごとに推論するための学習済みモデルである温度推論モデルを用いて、前記データ取得部で取得した前記入力情報から、前記組ごとの各温度センサの推論温度を出力する。
前記データ取得部は、
前記複数の組の各組によって定まる前記複数の通風口の開閉状態と前記複数の空気調和機の前記稼働条件と前記複数のラックの稼働状況とのもとにおける前記複数の空気調和機の各空気調和機の消費電力であって、設定時間の経過後の各空気調和機の消費電力である推論消費電力を前記組ごとに推論するための学習済みモデルである消費電力推論モデルへの入力として、一つの前記通風口設定レコードと一つの前記稼働条件設定レコードと一つの前記ラック契約設定レコードとの一組と、前記計測温度設定レコードと、前記消費電力設定レコードと、を一セットとして、複数のセットを取得し、
前記推論部は、
前記消費電力推論モデルを用いて、前記データ取得部の取得した複数のセットの各セットに対して、各空気調和機の推論消費電力を出力する。
前記推論装置は、さらに、
前記推論部が出力した前記推論温度のなかに、要求された温度範囲に属していない前記推論温度が存在するかどうかを判断し、判断結果と前記組とを対応付ける推論温度判定部を備える。
前記推論装置は、さらに、
前記推論温度判定部が対応付けた前記判断結果と前記組との対応関係に基づいて、前記複数の組の中から推奨するべき組を抽出する推奨結果提示部を備える。
本開示により、サーバ室における空気調和機による冷房温度設定と複数のガラリの開閉状態との適切な組み合わせ関係を提示できる。また、本開示により、サーバ室における空気調和機の消費電力の低減を可能とする空気調和機の設定と、ガラリの開閉状態との推奨する組み合わせを提示できる。
実施の形態1の図で、サーバ室冷却管理装置100が冷却管理するサーバ室10を示す図。 実施の形態1の図で、ラック300と、温度センサ500と、ガラリ800との対応を示す図。 実施の形態1の図で、サーバ室冷却管理装置100のネットワーク構成を示す図。 実施の形態1の図で、サーバ室冷却管理装置100のハードウェア構成を示す図。 実施の形態1の図で、サーバ室冷却管理装置100の全体動作を示すフローチャート。 実施の形態1の図で、空調機設定温度情報21A、ガラリ開閉情報22Aおよびラック契約情報23Aを示す図。 実施の形態1の図で、ガラリ開閉マスタ情報41Aを示す図。 実施の形態1の図で、ラック契約マスタ情報42Aを示す図。 実施の形態1の図で、温度センサ情報24Aおよび空調機消費電力情報25Aを示す図。 実施の形態1の図で、空調機設定候補情報26Aを示す図。 実施の形態1の図で、ガラリ開閉候補情報27Aを示す図。 実施の形態1の図で、温度推論モデル31および消費電力推論モデル32を用いる推論処理を示す図。 実施の形態1の図で、サーバ室冷却管理装置100による学習処理を示す図。 実施の形態1の図で、学習処理のフローチャート。 実施の形態1の図で、推論部15によって出力される推論結果情報33Aを示す図。 実施の形態1の図で、推論消費電力Pと各空気調和機200の推論消費電力の合計が登録された状態の推論結果情報33Aを示す図。 実施の形態2の図で、サーバ室冷却管理装置100のハードウェア構成を示す図。 実施の形態2の図で、サーバ室冷却管理装置100の全体動作を示すフローチャート。 実施の形態2の図で、ラック設置候補情報28Aを示す図。 実施の形態2の図で、温度推論モデル31および消費電力推論モデル32を用いる推論処理を示す図。 実施の形態2の図で、サーバ室冷却管理装置100による学習処理を示す図。 実施の形態2の図で、推論部15によって出力される推論結果情報33Aを示す図。 実施の形態2の図で、推論消費電力Pと各空気調和機200の推論消費電力の合計が登録された状態の推論結果情報33Aを示す図。
実施の形態の説明および図面において、同じ要素および対応する要素には同じ符号を付している。同じ符号が付された要素の説明は、適宜に省略または簡略化する。以下の実施の形態では、「部」を、「回路」、「工程」、「手順」、「処理」または「サーキットリー」に適宜読み替えてもよい。
以下の実施の形態では空気調和機が登場する。空気調和機自体は、空気調和機と表記する。また空気調和機に関する用語、例えば空気調和機の設定温度のような場合は、空調機の表記を用いて、空調機設定温度のように表記する。
実施の形態1.
図1から図16を参照して、実施の形態1のサーバ室冷却管理装置100を説明する。サーバ室冷却管理装置100は推論装置である。またサーバ室冷却管理装置100は学習装置でもある。実施の形態1のサーバ室冷却管理装置100は、空気調和機の消費電力を抑える空気調和機の設定とガラリの開閉状態との推奨する組み合わせを提示する。
***構成の説明***
図1は、実施の形態におけるサーバ室冷却管理装置100が冷却管理するサーバ室10の概要を示す。図1において黒矢印は温風を示し、白矢印は冷風を示す。サーバ室10には、情報処理装置を冷却するために設けられた1台以上の空気調和機200、情報処理装置を積載するために設けられたラック300が設置されている。空気調和機200は少なくとも1台が設置される。以下の実施の形態では、m台の複数の空気調和機200が設置されるとする。mは2以上の整数である。ラック300の前面には、ラック300の温度を計測する温度センサ500がラック300毎に設置されている。ラック300が設置されるサーバ室10の床面はフリーアクセスで構成され、床面には開閉可能な通風口が設けられた複数のガラリ800が配置されている。
図2は、ラック300と、温度センサ500と、ガラリ800の対応を示している。実施の形態1および実施の形態2では、ラック300と温度センサ500とガラリ800とは、一対一対応していることを想定している。つまり、図1のラック300a、300b等を基準にとれば、図2のように、一つのラック300aに一つの温度センサ500aと一つのガラリ800aとが対応し、一つのラック300bに一つの温度センサ500bと一つのガラリ800bとが対応している。他のラック300、温度センサ500およびガラリ800についても同様である。
なお、この「実施の形態1および実施の形態2では、ラック300と温度センサ500とガラリ800とは、一対一対応していること」は、説明をわかり易くするための一つの例である。ラック300と温度センサ500とガラリ800とが、一対一対応していることは必須ではない。
図3は、サーバ室冷却管理装置100の接続するネットワークを示す。サーバ室冷却管理装置100と、複数の空気調和機200と、複数のラック300とは、電源線700を介して電源装置900と接続され、電源装置900から電力が供給される。また、サーバ室冷却管理装置100と、複数の空気調和機200と、複数の温度センサ500と、電源装置900とは、ネットワーク600を介して接続される。ネットワーク600は有線であっても無線であってもよく、その他の信号線で接続されてもよい。
電源装置900は、空気調和機200に供給する電力を計測して空気調和機200の消費電力を取得することができる。また、電源装置900によっては、ラック300の消費電力をラック300から取得することもできる。
温度センサ500は、通常、各ラック300の前面(吸気側)に設置され、ラック300の前面の温度をラック300の温度として計測する。サーバ室10に設置されるラック300については、情報処理装置が正常動作するように温度管理を行う必要があり、ラック300には温度センサ500が設置される。
サーバ室冷却管理装置100は、電源装置900を介して各空気調和機200の消費電力を収集する。また、各温度センサ500から、ラック300の計測温度を収集することができる。サーバ室冷却管理装置100は、ネットワーク600を経由して、各空気調和機200の設定を取得することができる。また、サーバ室冷却管理装置100は、空気調和機200を制御することで、空気調和機200の設定を変更することもできる。
図4は、サーバ室冷却管理装置100のハードウェア構成図を示す。サーバ室冷却管理装置100は、コンピュータである。サーバ室冷却管理装置100は、プロセッサ110を備える。サーバ室冷却管理装置100は、プロセッサ110の他に、主記憶装置120、補助記憶装置130、入力IF140、出力IF150および通信IF160といった、他のハードウェアを備える。入力IF140、出力IF150および通信IF160におけるIFはインタフェースを意味する。プロセッサ110は、信号線170を介して、他のハードウェアと接続され、他のハードウェアを制御する。
サーバ室冷却管理装置100は、機能要素として、情報収集部11、候補作成部12、データ取得部13、学習部14、推論部15、推論温度判定部16、推論結果保管部17、推奨結果提示部18、および空調機設定指示部19を備えている。また、サーバ室冷却管理装置100は、記憶部として、空調機設定温度情報記憶部21、ガラリ開閉情報記憶部22、ラック契約情報記憶部23、温度センサ情報記憶部24、空調機消費電力情報記憶部25、空調機設定候補情報記憶部26、ガラリ開閉候補情報記憶部27、過去データ記憶部30、温度推論モデル31、消費電力推論モデル32、推論結果情報記憶部33、ガラリ開閉マスタ記憶部41、およびラック契約マスタ記憶部42を備えている。
情報収集部11、候補作成部12、データ取得部13、学習部14、推論部15、推論温度判定部16、推論結果保管部17、推奨結果提示部18、および空調機設定指示部19の機能は、サーバ室冷却管理プログラム101により実現される。サーバ室冷却管理プログラム101は推論プログラムである。
プロセッサ110は、サーバ室冷却管理プログラム101を実行する装置である。サーバ室冷却管理プログラム101は、情報収集部11、候補作成部12、データ取得部13、学習部14、推論部15、推論温度判定部16、推論結果保管部17、推奨結果提示部18、および空調機設定指示部19の機能を実現するプログラムである。プロセッサ110は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ110の具体例は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
主記憶装置120の具体例は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)である。主記憶装置120は、プロセッサ110の演算結果を保持する。
補助記憶装置130は、データを不揮発的に保管する記憶装置である。補助記憶装置130の具体例は、HDD(Hard Disk Drive)である。また、補助記憶装置130は、SD(登録商標)(Secure Digital)メモリカード、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVD(Digital Versatile Disk)といった可搬記録媒体であってもよい。補助記憶装置130は、空調機設定温度情報記憶部21、ガラリ開閉情報記憶部22、ラック契約情報記憶部23、温度センサ情報記憶部24、空調機消費電力情報記憶部25、空調機設定候補情報記憶部26、ガラリ開閉候補情報記憶部27、過去データ記憶部30、温度推論モデル31、消費電力推論モデル32、推論結果情報記憶部33、ガラリ開閉マスタ記憶部41、およびラック契約マスタ記憶部42を実現する。補助記憶装置130は、サーバ室冷却管理プログラム101を格納している。
入力IF140は、各装置からデータが入力されるポートである。出力IF150は、各種機器が接続され、各種機器にプロセッサ110によりデータが出力されるポートである。通信IF160は、プロセッサが他の装置と通信するための通信ポートである。
サーバ室冷却管理プログラム101は、情報収集部11、候補作成部12、データ取得部13、学習部14、推論部15、推論温度判定部16、推論結果保管部17、推奨結果提示部18、および空調機設定指示部19の「部」を「処理」、「手順」あるいは「工程」に読み替えた各処理、各手順あるいは各工程をコンピュータに実行させるプログラムである。
また、サーバ室冷却管理方法は、コンピュータであるサーバ室冷却管理装置100がサーバ室冷却管理プログラム101を実行することにより行われる方法である。サーバ室冷却管理プログラム101は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されて提供されてもよいし、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
***動作の説明***
図5は、サーバ室冷却管理装置100による推論処理の全体フローを示す。図5を使用してサーバ室冷却管理装置100の推論処理のフローを説明する。
<ステップS101:情報収集>
<取得その1:空調機設定温度情報の取得>
図6は、空調機設定温度情報21A、ガラリ開閉情報22Aおよびラック契約情報23Aを示す。情報収集部11は、サーバ室10に設置されているm台の空気調和機200の各空気調和機200から、現在の設定温度をネットワーク600経由で収集する。図6の上段は、情報収集部11が、各空気調和機200から収集した設定温度を、空調機設定温度情報21Aとして空調機設定温度情報記憶部21に保存した状態を示す。空調機設定温度情報21Aは、空調機設定温度情報Aあるいは単にAと表記する場合がある。図6に示すように、空調機設定温度情報Aは、m台の空気調和機200に設定中の設定温度を示す。空調機設定温度情報Aは、現在のリアルタイムの設定温度である。図6では、m台の空気調和機200を示すA1からAmのm台の空気調和機200の設定温度を示している。図6では各空気調和機200に設定温度が対応付けられているが、情報収集部11は、設定温度に加えて、空気調和機200の稼働有無、風量設定、風向設定等を各空気調和機200から収集し、各空気調和機200に対応付けてもよい。
<取得その2:ガラリ開閉情報22Aの取得>
情報収集部11は、サーバ室10の床に設置されているガラリの現在の開閉状態を、ガラリ開閉マスタ記憶部41から収集する。情報収集部11は、収集したガラリの開閉状態を、ガラリ開閉情報22Aとしてガラリ開閉情報記憶部22に保管する。ガラリ開閉情報22Aは、ガラリ開閉情報Gあるいは単にGと表記する場合がある。図6の中段に示すように、ガラリ開閉情報Gは、n個のガラリ800の現在の開閉状態を示す。ガラリ開閉情報Gは、現在のリアルタイムの開閉状態である。図6では、n個のガラリ800を示すG1からGnのn個のガラリ800の現在の開閉状態を示している。
<ガラリ開閉マスタ情報41A>
図7は、ガラリ開閉マスタ情報41Aを示す。ここでガラリ開閉マスタ情報41Aについて、図7で説明する。最も左の列はガラリの番号である。ガラリの番号の右の列は、ガラリの設置場所を示す。設置場所の右の列は、ガラリの開閉状態を示す。ガラリ開閉マスタ情報41Aとガラリ開閉情報Gとは対応付いている。ガラリ開閉マスタ情報41Aは、サーバ室10の床に設置されるガラリ800の現在の開閉状態を管理する情報である。「ガラリの番号」は、ガラリ800を一意に識別する情報である。「設置場所」は、サーバ室10におけるガラリ800の設置場所を示す情報である。サーバ室10に設置されるガラリ800の設置場所は、行と列を使って表すことができるが、これ以外の表記方法であってもよい。開閉状態は、ガラリ800の開状態か閉状態かを示す。「開」は開口状態、「閉」は閉状態を示す。ガラリ開閉マスタ情報41Aは、「ガラリの番号、設置場所、開閉状態」とは異なる別の情報をさらに付加的に保持してもよい。情報収集部11は、ガラリ開閉マスタ記憶部41から収集したガラリの「開閉状態」を、ガラリ開閉情報記憶部22に「開閉状態」として保管する。
<取得その3:ラック契約情報の取得>
情報収集部11は、ラック契約情報23Aをラック契約マスタ記憶部42から収集する。情報収集部11は、収集したラック契約情報23Aを、ラック契約情報記憶部23に保管する。図6の下段は、ラック契約情報23Aを示す。
データ取得部13の取得する入力情報には、ラック契約情報23Aが含まれる。
ラック契約情報23Aは、サーバ室10に配置されて情報処理装置が積載可能であり、情報処理装置が積載されている場合にはこの情報処理装置に電力を供給する複数のラックのそれぞれを識別するR1からRnとして示すラック識別子のそれぞれに対して、ラックが電力供給状態にあるかどうかを示す稼働状況と、稼働状況が電力供給状態である場合にはラックの消費電力と、ラックの設置場所とを含むラック契約情報を含む。
ラック契約情報23Aは、ラック契約情報Rあるいは単にRと表記する場合がある。図6の下段に示すように、ラック契約情報R、n個のラック300の現在の稼働状況、消費電力および設置場所を示す。ラック契約情報Rは、現在のリアルタイムの契約状況である。図6では、n個のラック300を示すR1からRnのn個のラック300の現在の契約状況を示している。「稼働状況」は、そのラック300が稼働しているか、稼働していないかを示す。ラック300が稼働中とは、そのラック300にサーバのような情報処理装置が配置されており、ラック300からその情報処理装置に電力が供給されていることを示す。停止中とは、ラック300による電力供給がないことを示す。「消費電力」は、ラック300が稼働する際のラックの消費電力を示す。「設置場所」は、サーバ室10でのラック300の設置場所を示す。
<ラック契約マスタ情報42A>
図8は、ラック契約マスタ情報42Aを示す。図8でラック契約マスタ情報42Aを説明する。ラック契約マスタ情報42Aは、ラック300に関する情報を管理する。ラック契約マスタ情報42Aは、項目、すなわち列として、ラックの番号、顧客名称、稼働状況、契約電源容量、設置場所、温度センサの番号、ガラリの番号を示す情報を持つ。
(1)ラックの番号は、サーバ室10に設置されるラック300を一意に識別する番号である。
(2)顧客名称は、ラック300を契約している顧客の名称である。
(3)稼働状況は、ラック300の稼働状況を示す。「-」は、対象のラック300は、顧客との契約が未契約で、ラックが運用されていない状態を示す。なお、ラック300の設置場所に、ラック300自体が存在しないケースも未契約「-」に含まれる。
(4)契約電源容量は、ラック300を契約する顧客が実際にラック300を契約する際に、ラック300に積載する情報処理装置で使用するために契約する電源容量の最大値である。
(5)設置場所は、サーバ室10におけるラック300の設置場所を示す。
(6)温度センサの番号は、ラック300に届けられる空気調和機200の冷却風の温度を計測するために、ラック300の前面に取り付けられる温度センサ500を一意に特定する番号である。
(7)ガラリの番号は、ラック300の前面に位置するガラリを一意に特定するための番号である。
ラック契約マスタ情報42Aは、「ラックの番号、顧客名称、稼働状況、契約電源容量、設置場所、温度センサの番号、ガラリの番号」以外の情報をさらに保持してもよい。
情報収集部11は、ラック契約マスタ記憶部42から収集したラック契約の情報から契約電源容量を収集する。契約電源容量は、使用量とは異なるため、情報収集部11は、収集した契約電源容量に所定の割合を乗じた値を算出し、ラック契約情報23Aの消費電力として保管する。なお、情報収集部11が電源装置900からラック300の消費電力を収集できる環境においては、情報収集部11の収集したラック300の消費電力を、ラック契約マスタ記憶部42の契約電源容量に基づいて算出する代わりに、保管してもよい。また、ラック300に積載された情報処理装置400自身が、ラック300の消費電力測定機能を有する場合は、この消費電力測定機能によって測定されたラック300の消費電力を情報収集部11で収集し、ラック契約情報23Aの消費電力として保管するようにしてもよい。
電源装置900からラック300の消費電力を収集する方法も、ラック300の消費電力測定機能を使用する方法ともに、実測値を収集できるため有用であるが、収集するための設備またはソフトウェアが別途必要となる。後述する機械学習においては、ラック300の消費電力については実測値までは必要としない。このため、ラック契約情報を利用してラック300の消費電力を算出する方法であれば新たな設備あるいはソフトウェアの導入が不要であるから、ラック契約情報を利用してラック300の消費電力を算出する方法が好ましい。
また、情報収集部11は、ラック契約マスタ記憶部42から収集したラック300の設置場所を、ラック契約情報23Aの設置場所として保管する。情報収集部11は、ラック契約マスタ記憶部42から収集した稼働状況を、ラック契約情報23Aの稼働状況として保管する。
<取得その4:温度センサの計測温度の収集>
図9は、温度センサ情報24Aおよび空調機消費電力情報25Aを示す。情報収集部11は、サーバ室10に設置されているn個の温度センサ500の計測温度をネットワーク600経由で収集する。図2で述べたように、ラック300と温度センサ500とガラリ800とは、一対一対応していることを想定している。つまり、一つのラック300aを基準にとれば、図2のように、一つのラック300aに一つの温度センサ500aと一つのガラリ800aとが対応し、一つのラック300bに一つの温度センサ500bと一つのガラリ800bとが対応している。他のラック300、温度センサ500およびガラリ800についても同様である。温度センサ500は、対応するラック300の前面に設置される。情報収集部11の収集した各温度センサ500の計測温度は、温度センサ情報記憶部24に保管される。温度センサ情報24Aは、温度センサ500の計測温度を含む情報である。図9の上側は、温度センサ情報24Aを示す。温度センサ情報24Aは、温度センサ情報Sあるいは単にSと表記する場合がある。図9に示すように、温度センサ情報Sは、n個の温度センサ500の計測した各温度を示す。温度センサ情報Sは、現在のリアルタイムの計測温度である。図9では、n個のラック300のそれぞれに対応する、S1からSnのn個の温度センサ500の計測温度を示している。
<取得その5:空気調和機の消費電力の収集>
図9の下側は、空調機消費電力情報25Aを示す。空調機消費電力情報25Aは、空調機消費電力情報Pあるいは単にPと表記する場合がある。図9に示すように、空調機消費電力情報Pは、m台の空気調和機200の現在におけるリアルタイムでの消費電力を示す。図9では、A1からAmのm台の空気調和機200の消費電力を示している。情報収集部11は、サーバ室10に設置されているm台の空気調和機200の消費電力を、電源装置900からネットワーク600経由で収集する。情報収集部11は、収集した消費電力を、空調機消費電力情報Pとして空調機消費電力情報記憶部25に保管する。情報収集部11が電源装置900から空気調和機200の消費電力を収集できない環境においては、情報収集部11に、室温、外気温、空気調和機200の設定温度、風量、その他空調機特性から空気調和機の消費電力を推論する機能を新たに設け、情報収集部11は、新たに設けられた機能によって推論された空気調和機の消費電力を、電源装置900から収集する消費電力の代わりに空調機消費電力情報記憶部25に保管にしてもよい。
<ステップS102:候補作成>
候補作成部12は、空調機設定温度情報記憶部21に保管された空調機設定温度情報Aから、空調機設定候補情報26Aを作成し、空調機設定候補情報記憶部26に保管する。
図10は、空調機設定候補情報26Aを示す。図10を参照して空調機設定候補情報26Aの作成方法を説明する。空調機設定候補情報26Aは、空調機設定候補情報Aあるいは単にAと表記する場合がある。Aにおいて、図10で説明するように、i=A000,A001・・・A00m、A011,A012・・・A01m、に対応する。また、添え字iは、図10に示すようにA000を0に対応させ、A01mを2mに対応させれば、i=0~2m、と表記することも可能である。
具体的に記載すれば、
i=0=A000=(20℃,21℃,20℃・・・21℃)=A
i=1=A001=(19℃,21℃,20℃・・・21℃)、
i=2=A002=(20℃,20℃,20℃・・・21℃)、
・・・
である。
候補作成部12は、空調機設定温度情報記憶部21に保管された空調機設定温度情報A(図6)を取得する。候補作成部12は、取得した空調機設定温度情報Aを、現在の各空気調和機200の温度設定としてA000の行に保管する(図10)。次に、候補作成部12は、A000に保管した空調機設定温度情報Aをもとに、1台目の空気調和機200であるA1の設定温度20度のみを1度減算した候補を作成し、A001の行に保管する。次に、候補作成部12は、A000をもとに、2台目の空気調和機200であるA2の温度設定21度のみを1度減算した候補を作成し、A002の行に保管する。これを繰り返すことで、候補作成部12は、A000をもとに、m台目の空気調和機200であるAmの設定温度21度のみを1度減算した候補を作成し、A00mの行に保管する。同様に、候補作成部12は、A000をもとに、1台目の空気調和機200であるA1の設定温度20度のみを1度加算した候補を作成し、A011の行に保管する。次に、候補作成部12は、A000をもとに、2台目の空気調和機200であるA2の設定温度21度のみを1度加算した候補を作成し、A012の行に保管する。これを繰り返すことで、候補作成部12は、A000をもとに、m台目の空気調和機200であるAmの設定温度21度のみを1度加算した候補を作成し、A01mの行に保管する。これは、候補作成部12による空調機設定候補情報A(i=0~2m)の作成方法の一例である。複数台の空気調和機200の設定温度を同時に変更することで、空調機設定候補情報Aを作成するようにしてもよい。また、図10の空調機設定候補情報の例では、空気調和機200の設定温度を1度加算または減算することで、空調機設定候補情報26Aを作成したが、加算または減算する温度は、1度以外の温度であってもよい。
候補作成部12は、ガラリ開閉情報記憶部22に保管されたガラリ開閉情報G(図6-1)から、ガラリ開閉候補情報27Aを作成し、ガラリ開閉候補情報記憶部27に保管する。
ガラリ開閉候補情報27Aの具体的な作成方法を図11で説明する。
図11は、ガラリ開閉候補情報27Aを示す。ガラリ開閉候補情報27Aは、ガラリ開閉候補情報Gあるいは単にGと表記する場合がある。Gにおいて、図11で説明するように、j=G000,G001,G002・・・G00nに対応する。また、添え字jは、図11に示すようにG000を0に対応させ、G00nをnに対応させれば、j=0~n、と表記することも可能である。
具体的に記載すれば、
j=0=G000=(開,開,開・・・開)=G
j=1=G001=(閉,開,開・・・開)、
j=2=G002=(開,閉,開・・・開)、
・・・
である。
図11では、ガラリ開閉候補情報G(j=0~n)を示している。候補作成部12は、ガラリ開閉情報記憶部22に保管されたガラリ開閉情報G(図6)を取得する。候補作成部12は、取得したガラリ開閉情報Gを、現在の設定としてガラリ候補No.が「G000」の行に保管する。次に、候補作成部12は、G000をもとに、G000の1個目のガラリであるG1の開閉状態のみを入れ替えた候補を作成し、G001の行に保管する。次に、候補作成部12は、G000をもとに、G000の2個目のガラリであるG2の開閉状態のみを入れ替えた候補を作成し、G002の行に保管する。これを繰り返し、候補作成部12は、G000をもとに、G000のn個目のガラリであるGnの開閉状態のみを入れ替えた候補を作成し、G00nの行に保管する。これらは、ガラリ開閉候補情報Gの作成方法の一例である。候補作成部12は、複数個のガラリの開閉状態を同時に入れ替えることで、ガラリ開閉候補情報27Aを作成するようにしてもよい。
<ステップS103:データ取得>
データ取得部13は、通風口設定レコード群であるガラリ開閉候補情報27A(図11)と、稼働条件設定レコード群である空調機設定候補情報26A(図10)と、計測温度設定レコードS0である温度センサ情報24A(図9)と、消費電力設定レコードである空調機消費電力情報25A(図9)とを取得する。通風口設定レコード群Gであるガラリ開閉候補情報27Aは、図11に示すように、部屋であるサーバ室の床に開閉の可能な状態で配置される複数の通風口であるガラリの各ガラリを識別する通風口識別子であるG1からGnのそれぞれに対して、開と閉とのいずれかの状態が設定された通風口設定レコードの集合である。図11の各行がレコードである。稼働条件設定レコード群である空調機設定候補情報26Aは、図11に示すように、部屋であるサーバ室10に配置されて、床の下に冷気を送り込み、開状態のガラリを介して冷気を床の下から部屋の内部に送出させる複数の空気調和機の各空気調和機を識別する空気調和機識別子であるA1からAmのそれぞれに対して、空気調和機の稼働条件として温度が設定された稼働条件設定レコードの集合である。図10の各行がレコードである。計測温度設定レコードである温度センサ情報24Aは、図9に示すように、部屋であるサーバ室10に配置された複数の温度センサの各温度センサを識別するセンサ識別子であるS1からSnのそれぞれに対して、温度センサの計測温度が設定されている。消費電力設定レコードは、図9に示すように、空気調和機識別子であるA1からAmのそれぞれに対して、空気調和機の消費電力が設定されている。以下に具体的に説明する。
各温度センサ500の推論温度Tを出力するため、データ取得部13は、以下の(1)から(5)を取得する。
(1)図10に示す、空調機設定候補情報A(i=0~2m)、
(2)図11に示す、ガラリ開閉候補情報G(j=0~n)、
(3)図6に示す、ラック契約情報R
(4)図9に示す、温度センサ情報S
(5)図9に示す、空調機消費電力情報P
(1)データ取得部13は、候補作成部12で作成された空調機設定候補情報A(i=0~2m)を空調機設定候補情報記憶部26から取得する。
(2)データ取得部13は、候補作成部12で作成されたガラリ開閉候補情報G(j=0~n)をガラリ開閉候補情報記憶部27から取得する。
(3)データ取得部13は、ラック契約情報記憶部23に保管されたラック契約情報Rを取得する。
(4)データ取得部13は、各温度センサ500の温度センサ情報Sを、温度センサ情報記憶部24から取得する。
(5)データ取得部13は、各空気調和機200の空調機消費電力情報が登録されている空調機消費電力情報Pを、空調機消費電力情報記憶部25から取得する。
<ステップS104>
データ取得部13は、取得した空調機設定候補情報A(i=0~2m)の中から、i=0に対応する1件目の候補A000を、温度推論の入力として選択する。データ取得部13は、空調機設定候補情報A(i=0~2m)におけるAを順番に選択しながら、ステップS104からステップS111までの処理を繰り返し行う。データ取得部13は以下のようである。
データ取得部13は、
i=0に固定して、jを0~nに動かす。
i=1に固定して、jを0~nに動かす。
・・・
i=2mに固定して、jを0~nに動かす。よってステップS106からステップS109では、あるAと、あるGとの組、[A,G]について、指定された時点t0から設定時間△t経過後の、各温度センサ500の推論温度Tを推論している。
<ステップS105>
データ取得部103は、ステップS104で述べたように、取得したガラリ開閉候補情報G(j=0~n)の中から、1件目の候補を後述する温度推論の入力情報として選択する。
<ステップS106:推論>
推論部15は、通風口設定レコード群であるガラリ開閉候補情報27Aの一つの通風口設定レコードと、稼働条件設定レコード群である空調機設定候補情報26Aの一つの稼働条件設定レコードとから決まる複数の組の各組[A,G]によって定まる複数の通風口の開閉状態と複数の空気調和機の稼働条件とのもとにおける複数の温度センサの各温度センサの温度であって、指定された時点から設定時間△tの経過後の各温度センサの温度である推論温度を組ごとに推論するための学習済みモデルである温度推論モデルを用いて、データ取得部で取得した入力情報から、組ごとの各温度センサの推論温度を出力する。以下に具体的に説明する。
推論部15は、
(1)空調機設定候補情報A(i=0~2m)、
(2)ガラリ開閉候補情報G(j=0~n)、
(3)ラック契約情報R
(4)温度センサ情報S
(5)空調機消費電力情報P
を入力とする、温度推論モデル31を使用して、指定された時点t0から設定時間△tの経過後の各温度センサ500の推論温度Tを推論する。温度推論モデル31は、学習部14によって生成された学習済モデルである。
<温度推論の説明>
学習済モデルである温度推論モデル31を使った推論処理について説明する。推論処理は推論部15が行う。
図12は、温度推論モデル31および消費電力推論モデル32を用いる推論処理を示す。図12の上側は、推論部15が温度推論モデル31を用いて実施する推論処理の構成図である。ステップS103で述べたように、データ取得部13が以下の(1)から(5)を、推論部15の入力として取得する。推論部15には、データ取得部13の取得した以下の(1)から(5)が入力される。
(1)空調機設定候補情報A(i=0~2m)、
(2)ガラリ開閉候補情報G(j=0~n)、
(3)ラック契約情報R
(4)温度センサ情報S
(5)空調機消費電力情報P
これらの入力から、推論部15は、指定された時点t0から設定時間△tの経過後の、各温度センサ500の推論温度Tを出力する。
推論温度Tは以下のように、n個の要素からなる集合である。T1からTnのn個の要素は、n個の温度センサ500のそれぞれの推論温度である。つまり推論温度Tは個々の温度センサ500の推論温度を要素とする集合である。
推論温度T=(T1,T2,T3・・・Tn)。
さらに推論部15による推理処理を説明する。推論部15は、(2m+1)×(n+1)の数の組[A,G]ごとに、指定された時点t0から設定時間△tの経過後の、n個の温度センサ500の各温度センサ500の、上記に示す推論温度Tを推論する。繰り返しになるが、S1からSnのn個の要素からなる推論温度Tは、一組の[Ai,Gj]ごとに生成される。
<温度推論モデル31の生成>
ここで、学習済モデルである温度推論モデル31を生成する学習処理を説明する。
図13は、サーバ室冷却管理装置100による学習処理を示す。図13の上側は、機械学習における温度推論モデル31を生成する学習処理の構成図である。機械学習における学習処理では、データ取得部13、学習部14を使用する。また、機械学習における学習処理の入力は、過去に蓄積された情報である。学習部14が、温度推論モデル31を作成する。データ取得部13は、以下の(1)から(6)を取得する。データ取得部13は、(1)から(6)を取得すると、(1)から(6)を学習部14へ入力する。学習部14は(1)から(6)の入力を用いて、温度推論モデル31を生成する。学習部14は、温度推論モデル31の生成において、
(1)空調機設定温度情報A(tk)、
(2)ガラリ開閉情報G(tk)、
(3)ラック契約情報R(tk)、
(4)温度センサ情報S(tk)、
(5)空調機消費電力情報P(tk)と、
(6)過去の時点tkから時間△t経過後の温度センサ情報S(tk+△t)、を学習用データとして使用する。「tk+△t」も過去の時点である。(1)から(6)は過去の時点tkに実績データである。時点tkとは、例えば、タイムスタンプのような日時情報である。(1)から(6)は、日時情報で互いに関連付いている。
<学習処理のフロー>
図14は、学習処理のフローチャートである。図14を使用して学習処理における温度推論モデル31の生成フローを説明する。
<ステップS301>
学習モデルとして温度推論モデル31を生成するため、データ取得部13は過去データ記憶部30に蓄積された、上記述べた(1)~(6)のデータを取得する。
(1)空調機設定温度情報A(tk)は、情報収集部11によって収集され、過去データ記憶部30に記憶された過去の時点tkにおける空調機設定温度情報である。
空調機設定温度情報A(tk)のデータ形式は、図6の空調機設定温度情報Aと同じある。
(2)ガラリ開閉情報G(tk)は、情報収集部11によって収集され、過去データ記憶部30に記憶された過去時点tkにおけるガラリ開閉情報である。
ガラリ開閉情報G(tk)のデータ形式は、図6のガラリ開閉情報Gと同じある。
(3)ラック契約情報R(tk)は、情報収集部11によって収集され、過去データ記憶部30に記憶された過去時点tkにおけるラック契約情報である。
ラック契約情報R(tk)のデータ形式は、図6のラック契約情報Rと同じある。
(4)温度センサ情報S(tk)は、情報収集部11によって収集され、過去データ記憶部3に記憶された過去時点tkにおける温度センサ情報である。
温度センサ情報S(tk)のデータ形式は、図9の温度センサ情報Sと同じある。
(5)空調機消費電力情報P(tk)は、情報収集部11によって収集され、過去データ記憶部30に記憶された過去時点tkにおける空調機消費電力情報である。
空調機消費電力情報P(tk)のデータ形式は、図9の空調機消費電力情報Pと同じある。
(6)設定時間△t経過後の温度センサ情報S(tk+△t)は、情報収集部11によって収集され、過去データ記憶部30に記憶された過去時点tkから設定時間△t経過後における温度センサ情報である。
温度センサ情報S(tk+△t)のデータ形式は、図9の温度センサ情報Sと同じある。
空調機設定温度情報A(t1)、ガラリ開閉情報G(t1)、ラック契約情報R(t1)、温度センサ情報S(t1)、空調機消費電力情報P(t1)、過去の同一時点t1で収集され他データである。なお、「同一時点」とは完全同一の時刻t1を意味するのでない。同一時点t1は、機械学習に不都合のない範囲で、同一時点とみなされる。また、設定時間△t経過後の温度センサ情報S(t1+△t)は、空調機設定温度情報A(t1)、ガラリ開閉情報G(t1)、ラック契約情報R(t1)、温度センサ情報S(t1)、空調機消費電力情報P(t1)が収集された時点t1から設定時間△t経過後に収集された情報である。これらの空調機設定温度情報A(t1)、ガラリ開閉情報G(t1)、ラック契約情報R(t1)、温度センサ情報S(t1)、空調機消費電力情報P(t1)、温度センサ情報S(t1+△t)は、互いに関連付けられ一組の情報として蓄積されている。
<N組の過去データの取得>
上記のように、データ取得部13は、過去の時点t1を基準とする、A(t1)、G(t1)、R(t1)、S(t1)、P(t1)、S(t1+△t)からなる、「一組の情報」を過去データ記憶部30から取得する。上記の時点t1は具体例である。データ取得部13は、機械学習によって温度推論モデル31を生成するために、[A(tk)、G(tk)、R(tk)、S(tk)、P(tk)、S(tk+△t)]、ここでk=1~N、となるN組の情報を、過去データ記憶部30から取得する。
<ステップS302>
学習部14は、データ取得部13によって取得された、[A(tk)、G(tk)、R(tk)、S(tk)、P(tk)、S(tk+△t)](k=1~N)のN組の情報から、機械学習によって温度推論モデル31を生成する。データ取得部13は、上記のN組の情報を取得するため、過去データ記憶部30に蓄積された学習データの取得を繰り返えす。学習部14は、データ取得部13によって取得された情報を入力とする学習により、温度推論モデル31を生成する学習を行う。
<ステップS303>
学習部14は、学習によって学習済モデルである温度推論モデル31を生成して保管する。
機械学習においては、過去データ記憶部30から十分な情報が取得できる必要がある。取得するデータが不足する場合、(1)空調機設定温度情報A(tk)、(2)ガラリ開閉情報G(tk)、(3)ラック契約情報R(tk)、(4)温度センサ情報S(tk)、(5)空調機消費電力情報P(tk)、(6)温度センサ情報S(tk+△t)との相関をモデル化し、あらかじめ学習用データを補強することが可能である。
学習部14が用いる学習アルゴリズムは教師あり学習、教師なし学習、強化学習等の公知のアルゴリズムを用いることができる。一例として、ニューラルネットワークを適用した場合について説明する。学習部14は、例えば、ニューラルネットワークモデルに従って、いわゆる教師あり学習により、任意に指定した時点から設定時間後の温度センサ500の計測温度を学習する。ここで、教師あり学習とは、入力と結果(ラベル)のデータの組を学習部に与えることで、それらの学習用データにある特徴を学習し、入力から結果を推論する手法をいう。
ニューラルネットワークは、複数のニューロンからなる入力層、複数のニューロンからなる中間層(隠れ層)、および複数のニューロンからなる出力層で構成される。中間層は、1層、または2層以上でもよい。
ニューラルネットワークは、「空調機設定温度情報A(tk)、ガラリ開閉情報G(tk)、ラック契約情報R(tk)、温度センサ情報S(tk)、および空調機消費電力情報P(tk)」と、「過去時点tkから設定時間△t経過後の温度センサ500の温度センサ情報S(tk+△t)」とを関連づけた学習用データに基づいて、いわゆる教師あり学習により、任意に指定した時点t0から設定時間△t経過後の各温度センサ500の推論温度Tの出力を学習する。
すなわち、ニューラルネットワークは、入力層に空調機設定温度情報A(tk)、ガラリ開閉情報G(tk)、ラック契約情報R(tk)、温度センサ情報S(tk)、空調機消費電力情報P(tk)を入力して出力層から出力された結果が、時点tkから設定時間△t経過後の温度センサ500の温度センサ情報S(tk+△t)に近づくように、温度推論モデル31を調整する。
学習部14は、以上のような学習を実行することで学習済モデルである温度推論モデル31を生成し、出力する。出力された学習済モデルは、温度推論モデル31として保管される。
なお、本実施の形態1では、学習部14が用いる学習アルゴリズムに教師あり学習を適用した場合について説明したが、これに限られるものではない。学習アルゴリズムについては、教師あり学習以外にも、強化学習、教師なし学習、または半教師あり学習等を適用することも可能である。
また、学習部14に用いられる学習アルゴリズムとしては、特徴量そのものの抽出を学習する、深層学習(Deep Learning)を用いることもでき、他の公知の方法、例えば遺伝的プログラミング、機能論理プログラミング、サポートベクターマシンなどに従って機械学習を実行してもよい。
<ステップS107:推論温度の判定>
推論温度判定部16は、推論部15が各[A,G]の組ごとに推論した温度センサ500の推論温度Tが、あらかじめ定められた規定範囲に収まっているかどうかを判定する。
上記のように、推論温度T=(T1,T2,T3・・・Tn)である。ラック300に積載された情報処理装置は稼働により熱を発するため、正常動作させるために空気調和機200により冷却を行い、すべてのラック300に取り付けられた温度センサ500の温度をあらかじめ定められた規定の範囲内の温度に保つ必要がある。ラック300の温度は、ラック300に取り付けられた温度センサ500によって測定され、管理を行うために温度センサ500の計測温度にはあらかじめ定められた規定の範囲内の温度が定められている。温度センサ500に設定される規定の範囲の温度は、例えば、20度以上30度以下のように設定される。
あらかじめ定められる規定の範囲内の温度は、すべての温度センサ500で同じ値とすることもできるが、冷却対象となる情報処理装置がすべて停止状態であるラックや、未契約で稼働していないラックについては冷却不要であるため、ラックの温度を計測する温度センサ500によっては、あらかじめ異なる規定の範囲内の温度を設定するようにしてもよい。
すなわち、推論温度判定部16は、要求された温度範囲をセンサ対応範囲情報として温度センサごとに保有しており、温度センサごとに保有するセンサ対応範囲情報を用いて、推論部15が出力した各温度センサの推論温度のなかに、要求された温度範囲に属していない推論温度が存在するかどうかを判断する構成でもよい。
推論温度判定部16は、ラック契約情報からラック300の稼働状況を取得する。取得した稼働状況から、ラック300の稼働状況が「停止中」または「-」となっている未使用のラック300を特定する。未使用であると特定されたラック300の温度を計測する温度センサ500を特定する。特定された温度センサ500の推論温度を判定する場合、推論温度判定部16は、緩和した規定の範囲内の温度を使用するようにしてもよい。例えば、現在停止中のラック300や、未契約のラック300については、冷却は不要であるため、温度センサ500のあらかじめ定められた規定の範囲内の温度を緩和することが可能である。例えば、20度以上35度以下のように設定される。
すべての温度センサ500の推論温度T1~Tnが規定範囲である20度以上30度以下である場合、推論温度判定部16は、特定の組[A,G]に対して推論された推論温度Tを適切と判定する。一方、温度センサ500の推論温度T1~Tnのいずれか一つが、規定範囲である20度以上30度以下を満たさない場合、推論温度判定部16は、特定の組[A,G]に対して推論された推論温度Tを不適切と判定する。
<ステップS108>
推論装置であるサーバ室冷却管理装置100は、推論温度判定部16を備えている。推論温度判定部16は、推論部15が出力した推論温度のなかに、要求された温度範囲に属していない推論温度が存在するかどうかを判断し、判断結果と組[A,G]とを対応付ける。
判定した結果が規定範囲内である場合は、処理はステップS109に移動する。判定した結果が規定範囲内でない場合は、処理はステップS104に移動し、新たな組[A,G]が選択される。
<ステップS109>
推論結果保管部17は、推論部15が推論した推論温度Tと判定結果とを、推論結果情報記憶部33に保管する。この場合、判定結果は適切を示す「範囲内」である。
図15は、推論部15によって出力される推論結果情報33Aを示す。図15を参照して推論結果情報33Aを説明する。推論結果情報33Aは、推論部15の推論結果が登録されている。推論結果情報33Aは、項目、つまり、列として、組[A,G]を示す組番号、空調機設定候補の番号、ガラリ開閉候補の番号、各温度センサ500の推論温度T、推論温度Tの判定結果、後述する各空気調和機200の推論消費電力P、推論消費電力の合計を示す情報を持つ。なお、図15では、説明のため、推論温度Tと推論消費電力Pとを上下2段に分けて記載している。
(1)組番号は、組[A,G]についての推論結果情報を一意に識別する番号である。
(2)空調機設定候補の番号は、ステップS104で設定された空調機設定候補の番号である。
(3)ガラリ開閉候補の番号は、ステップS105で設定されたガラリ設定候補の番号である。
(4)推論温度Tは、ステップS106で推論された推論温度Tである。
(5)判定結果は、ステップS108の判定結果である。
(6)推論消費電力Pは、後述するステップS115で推論される各空気調和機200の推論消費電力を要素とする集合である。
(7)推論消費電力(合計)は、後述する推論結果保管部17によって算出された各空気調和機200の推論消費電力の合計値を示す。
推論結果保管部17は、推論結果情報33Aを推論結果情報記憶部33に保管する。
<ステップS110>
未処理のガラリ開閉候補(G)がある間、ステップS105~ステップS110までのデータの処理が繰り返される。
<ステップS111>
未処理の空調機設定候補(A)がある間、ステップS104~ステップS111までの処理が繰り返される。
<ステップS112:消費電力推論のデータ取得>
データ取得部13は、複数の組[A,G]の各組によって定まる複数の通風口の開閉状態と複数の空気調和機の稼働条件とのもとにおける複数の空気調和機の各空気調和機の消費電力であって、設定時間の経過後の各空気調和機の消費電力である推論消費電力を組ごとに推論するための学習済みモデルである消費電力推論モデル32への入力として、一つの通風口設定レコードと一つの稼働条件設定レコードとの一組と、計測温度設定レコードと、記消費電力設定レコードと、を一セットとして、複数のセットを取得する。以下に具体的に説明する。
データ取得部13は、ステップS111までの処理で保管されたすべての組[A,G]についての推論温度Tおよび判定結果を取得する。すべての組[A,G]についての推論温度Tおよび判定結果を「推論結果情報」と呼ぶ。なお、ステップS107で推論温度判定部16による判定を行わず、すべての推論温度をステップS109で推論結果情報記憶部33に保管し、後述するステップS115の処理の前で、推論された任意に指定した時点から設定時間後の温度センサ500の計測温度が規定値の範囲内であるデータのみステップS115以降の後続処理を行うようにするように構成してもよい。
データ取得部13は、ラック契約情報R(図6)をラック契約情報記憶部23から取得する。データ取得部13は、各温度センサ500の温度センサ情報S(図9)を温度センサ情報記憶部24から取得する。データ取得部13は、空気調和機200の空調機消費電力情報P(図9)を空調機消費電力情報記憶部25から取得する。
なお、ステップS108の推論温度判定部16による判定の結果、推論温度が規定値の範囲内の情報が1件もない場合は、任意に指定した時点から設定時間後の温度センサ500の計測温度が規定値の範囲外となる可能性がある。この場合は、温度センサ500の測定温度が、あらかじめ定められた規定の範囲内の温度にならない可能性があるとして、警報情報を管理者に通知するようにしてもよい。
<ステップS113:組[A,G]の取得>
データ取得部13は、ステップS112で取得した「推論結果情報」の中から1件目の候補として、一組の[A,G]を、後述する消費電力の推論のための入力として選択する。
データ取得部13は、選択した[A,G]におけるAの示す候補を、空調機設定候補情報A(図10)から取得する。同様に、データ取得部13は、選択した[A,G]におけるGの示す候補を、空調機設定候補情報Aおよびガラリ開閉候補情報G(図11)から取得する。データ取得部13は、空調機設定候補とガラリ開閉候補とを、空調機設定候補情報Aおよびガラリ開閉候補情報Gから順番に選択しながら、ステップS113からステップS116までの処理を繰り返し行う。
<ステップS114:消費電力の推論>
推論部15は、消費電力推論モデル32を用いて、データ取得部13の取得した複数のセット[A,G]の各セットに対して、各空気調和機の推論消費電力を出力する。以下に具体的に説明する。
推論部15は、
(1)空調機設定候補A
(2)ガラリ開閉候補情報G
(3)ラック契約情報R
(4)温度センサ情報S
(5)空調機消費電力情報P
に基づいて、学習部14によって生成された消費電力推論モデル32を使用して、指定時点t0から設定時間△tの経過後の空気調和機200の推論消費電力Pを推論する。
<消費電力推論モデル32を用いた消費電力の推論処理>
消費電力推論モデル32を使った各空気調和機200の消費電力の推論処理を説明する。図12の下側は、推論部15が消費電力推論モデル32を用いて実施する、各空気調和機の消費電力の推論処理の構成図である。消費電力の推論処理では、データ取得部13、推論部15、および学習済モデルとして消費電力推論モデル32を使用する。データ取得部13が取得して、推論部15に入力される入力は以下の(1)から(5)である。ここで(1)A,(2)Gは、図15の推論結果情報33Aでの判定結果が「範囲内」(適正)である組番号における組[A,G]のAとGである。
(1)候補A
(2)候補G
(3)ラック契約情報R(図6下側)、
(4)温度センサ情報S(図9上側)、
(5)空調機消費電力情報P((図9下側))、
が、入力として入力される。これらの入力から、推論部15は、指定された時点t0から設定時間△t経過後の空気調和機200の推論消費電力Pを出力する。図15で説明したように、推論消費電力Pは、例えば、n個の要素を持つ推論温度T(図15)の各要素が範囲内である組[A,G]について推論される。なお、消費電力推論モデル32への入力は(1)および(2)以外は温度推論モデル31への入力と同じである。
<消費電力推論モデル32の生成の説明>
ここで、学習済モデルである消費電力推論モデル32の生成を説明する。図13の下側は、機械学習に消費電力推論モデル32の生成を示す学習処理の構成図である。機械学習における消費電力推論モデル32の学習処理では、データ取得部13、学習部14、および学習済モデルを使用する。また、機械学習における学習処理で使用する入力は、過去に蓄積された任意時点tkにおける以下の(1)から(6)の情報あるは、(6)以外は、温度推論モデル31を生成する学習処理の入力と同一である。
(1)空調機設定温度情報A(tk)、
(2)ガラリ開閉情報G(tk)、
(3)ラック契約情報R(tk)、
(4)温度センサ情報S(tk)、
(5)空調機消費電力情報P(tk)と、
(6)過去の時点tkから時間△tk経過後の空調機消費電力情報P(tk+△t)、
を学習用データとして使用する。kはk=1~Nである。(1)から(6)は、tkである日時情報で互いに関連付いている。
<ステップS301:データ取得>
図14のフローを参照して消費電力推論モデル32の生成における学習処理を説明する。学習モデルである消費電力推論モデル32を生成するため、データ取得部13は、過去データ記憶部30に蓄積された以下の情報を取得する。
(1)空調機設定温度情報A(tk)、
(2)ガラリ開閉情報G(tk)、
(3)ラック契約情報R(tk)、
(4)温度センサ情報S(tk)、
(5)空調機消費電力情報P(tk)と、
(6)空調機消費電力情報P(tk+△t)。
上記の(1)から(5)は、温度推論モデル31を生成する際の、学習部14への入力と同じである。よって説明は省略する。「(6)空調機消費電力情報P(tk+△t)」は、情報収集部11によって収集され、過去データ記憶部30に記憶された過去時点tkから設定時間△t経過後における各空気調和機200の消費電力を要素とする集合形式のデータである。空調機消費電力情報P(tk+△t)のデータ形式は、図9の空調機消費電力情報Pと同じある。
(6)空調機消費電力情報P(tk+△t)は、(1)空調機設定温度情報A(tk)、(2)ガラリ開閉情報G(tk)、(3)ラック契約情報R(tk)、(4)温度センサ情報S(tk)、(5)空調機消費電力情報P(tk)が収集された時点tkから設定時間△t経過後に収集された情報である。(1)から(5)の情報は互いにtkで関連付けられ、一つのtkによって一組の情報として蓄積されている。
k=1~Nであれば、
「A(t1)、G(t1)、R(t1)、S(t1)、P(t1)、P(t1+△t)」から
「A(tN)、G(tN)、R(tN)、S(tN)、P(tN)、P(tN+△t)」のN組の情報が蓄積される。
<ステップS302:学習処理>
学習部14は、データ取得部13によって取得された、「A(t1)、G(t1)、R(t1)、S(t1)、P(t1)、P(t1+△t)」から「A(tN)、G(tN)、R(tN)、S(tN)、P(tN)、P(tN+△t)」のN組の学習用データに基づいて、指定時点tから設定時間△t経過後の空気調和機200の推論消費電力P(図16)を推論する消費電力推論モデル32を生成する。データ取得部13は、過去データ記憶部30に蓄積された学習用データの取得を繰り返えすことで「A(t1)、G(t1)、R(t1)、S(t1)、P(t1)、P(t1+△t)」から「A(tN)、G(tN)、R(tN)、S(tN)、P(tN)、P(tN+△t)」のN組を取得する。学習部14は、データ取得部13によって取得されたN組の入力情報を用いた学習により、推論消費電力Pを出力する学習を行う。
<ステップS303:消費電力推論モデル32の記憶>
学習部14は、生成された消費電力推論モデル32を保管する。
学習部14が用いる学習アルゴリズムは教師あり学習、教師なし学習、強化学習等の公知のアルゴリズムを用いることができる。一例として、ニューラルネットワークを適用した場合について説明する。学習部14は、例えば、ニューラルネットワークモデルに従って、いわゆる教師あり学習により、任意に指定した時点から設定時間後の温度センサ500の計測温度を学習する。ここで、教師あり学習とは、入力と結果(ラベル)のデータの組を学習部に与えることで、それらの学習用データにある特徴を学習し、入力から結果を推論する手法をいう。
ニューラルネットワークは、複数のニューロンからなる入力層、複数のニューロンからなる中間層(隠れ層)、および複数のニューロンからなる出力層で構成される。中間層は、1層、または2層以上でもよい。
ニューラルネットワークは、「A(t1)、G(t1)、R(t1)、S(t1)、P(t1)、P(t1+△t)」から「A(tN)、G(tN)、R(tN)、S(tN)、P(tN)、P(tN+△t)」の学習用データに基づいて、いわゆる教師あり学習により、任意に指定した時点tから設定時間△t経過後の空気調和機200の空調機消費電力情報P(図16)の出力を学習する。
すなわち、ニューラルネットワークは、入力層に「A(tk)、G(tk)、R(tk)、S(tk)、P(tk)」を入力して出力層から出力された結果が、P(tk+△t)に近づくように消費電力推論モデル32を調整することで学習する。
学習部14は、以上のような学習を実行することで学習済モデルを生成し、出力する。出力された学習済モデルは、消費電力推論モデル32として保管される。
なお、実施の形態1では、学習部14が用いる学習アルゴリズムに教師あり学習を適用した場合について説明したが、これに限られるものではない。学習アルゴリズムについては、教師あり学習以外にも、強化学習、教師なし学習、または半教師あり学習等を適用することも可能である。
また、学習部14に用いられる学習アルゴリズムとしては、特徴量そのものの抽出を学習する、深層学習(Deep Learning)を用いることもでき、他の公知の方法、例えば遺伝的プログラミング、機能論理プログラミング、サポートベクターマシンなどに従って機械学習を実行してもよい。
<ステップS115:推論結果の保管>
図4のフローチャートの説明に戻る。推論結果保管部17は、推論部15が推論した推論消費電力Pと各空気調和機200の推論消費電力の合計とを、推論結果情報記憶部33に推論結果情報33A(図16)として保管する。
図16は、推論消費電力Pと各空気調和機200の推論消費電力の合計が登録された状態の推論結果情報33Aである。図16を説明する。推論結果保管部17は、推論部15で入力とした[A、G]に対応する、推論結果情報33Aにおけるもっとも左列の組番号を検索する。図16に示すように、推論結果保管部17は、検索でヒットした組番号の行に、m個の空気調和機200の各推論消費電力を保管する。推論結果保管部17は、保管した各推論消費電力の合計値を算出し、算出した合計値を推論消費電力(合計)のセルに保管する。
<ステップS116>
未処理の推論結果情報がある間、ステップS113~ステップS116までのデータの処理を繰り返す。ここでいう「推論結果情報」とは、図15の下側の組番号のそれぞれの行をいう。
<ステップS117:推奨結果を提示>
推論装置であるサーバ室冷却管理装置100は、推奨結果提示部18を備えている推奨結果提示部18は、推論温度判定部16が対応付けた判断結果と組との対応関係に基づいて、複数の組[A,G]の中から推奨するべき組を抽出する。以下に具体的に説明する。
推奨結果提示部18は、推論温度判定部16によって、温度センサ500の計測温度があらかじめ定められた規定の範囲内の温度であると判定された組[A,G]、つまり、図16の推論結果情報33Aに登録されている組[A,G]の行のうち、推論部15が推論した空気調和機200の推論消費電力(合計)が最も少ない組[A,G]を、推奨結果として提示する。具体的には、図16の推論結果情報33Aにおいて、推奨結果提示部18は、推論温度の判定結果が、「範囲内」となっている行を取得する。次に、推奨結果提示部18は、取得された行の中から、推論消費電力(合計)が最も少ない行を検索する。この検索によって、図16において、例えば推論消費電力が「9,000W」と最も少ない、組番号102の[A,G](i=A002,j=G002)がヒットする。この例の場合、推奨結果提示部18は、組番号102の[A,G](i=A002,j=G002)の行を推奨結果として提示する。図10の空調機設定候補情報Aによれば、候補A002は、2番目のA2の空気調和機200の温度設定を21度から20度に変更した内容である。図11のガラリ開閉候補情報Gによれば、G002は、2番目のガラリを閉じることが推奨結果であることがわかる。
また、推奨結果提示部18は、推論温度判定部16によって、温度センサ500の計測温度があらかじめ定められた規定の範囲内の温度であると判定された空調機設定候補Aiとガラリ開閉候補Gとの組[A,G]のうち、ガラリ開閉候補Gが、任意に指定した時点におけるガラリの開閉状態と同じであり、推論部15が推論した空気調和機200の消費電力の総和が最も少ない空調機設定候補Aと、ガラリ開閉候補Gとの組合せを、ガラリの開閉状態を変更しない推奨結果として併せて提示するようにしてもよい。
また、推奨結果提示部18は、得られた推奨結果を、電子メール等の一般的な通信手段を利用することで、提示してもよい。また、推奨結果提示部18は、現在の空調機設定温度情報Aおよびガラリ開閉情報Gと比較することで、現在の空調機設定温度情報Aおよびガラリ開閉情報Gと推奨結果が異なる場合にのみ提示するようにしてもよい。
<ステップS118:空調機設定を指示>
空調機設定指示部19は、推奨結果提示部18で提示された、空調機設定温度情報とガラリ開閉情報との組合せを推奨結果として管理者に通知するようにしてもよい。また、推奨結果提示部18で提示された空調機設定候補Aが、任意に指定した時点における空気調和機200の空調機設定温度情報と異なる場合、空調機設定指示部19は、推奨結果提示部18で提示された空調機設定候補Aを空気調和機200に通知し、空気調和機200の設定変更を指示するようにしてもよい。
***実施の形態1の効果***
サーバ室冷却管理装置100によれば、温度センサ500の計測温度があらかじめ定められた規定の範囲内の温度の条件下において、空気調和機200の消費電力を抑える好ましい空調機設定温度情報、ガラリ開閉状態情報を提示することができる。
未稼働(未設置)ラック300を考慮した、消費電力を抑える好ましい空調機設定、ガラリ開閉情報を提示することができる。
ハウジングサービス事業者にとっては、ラック300内の情報処理装置はユーザ管理のため、CPU負荷等の発熱(消費電力)に相関のあるデータを取得できない場合があるが、代替としてラック契約情報を用いることで、任意に指定した時点から設定時間後の温度センサ500の計測温度、任意に指定した時点から設定時間の空気調和機200の消費電力の推論精度を上げることができる。
推論の都度、好ましい空調機設定を該当する空気調和機200に指示することを繰り返すことで、サーバ室10の空調を常に好ましい設定状態に保つことが可能となる。
実施の形態1においては、ラック契約情報は必須の情報ではない。また、ラック契約情報のうち、いずれか一つまたは複数のみを使用する構成とすることも可能である。
なお、図12、図13に示すように、実施の形態1では、学習および推論において、入力にラック契約情報23A(R)を使用している。しかし、ラック契約情報23A(R)の入力は必須ではなくオプションである。なお、推論結果の精度を高める観点からは、ラック契約情報23A(R)を入力することが好ましい。
実施の形態2.
図17から図23を参照して、実施の形態2を説明する。情報処理装置400を新たにラック300に積載し稼働する場合においては、稼働する情報処理装置400が増加するため空気調和機200の消費電力を抑えるラック300の設置場所が重要となる。そこで、実施の形態2のサーバ室冷却管理装置100は、情報処理装置400を新たにラック300に積載し稼働する場合において、情報処理装置400を積載するラック300の設置場所と消費電力を抑えた空気調和機200の設定とガラリの開閉状態との推奨する組み合わせを提示する。実施の形態2では、実施の形態1と異なる箇所について、図面を参照しながら説明する。
***構成の説明***
図17は、実施の形態2におけるサーバ室冷却管理装置100のハードウェア構成図を示す。
実施の形態2のサーバ室冷却管理装置100は、機能要素として、情報収集部11、候補作成部12、データ取得部13、学習部14、推論部15、推論温度判定部16、推論結果保管部17、推奨結果提示部18、および空調機設定指示部19を備えている。また、サーバ室冷却管理装置100は、記憶部として、空調機設定温度情報記憶部21、ガラリ開閉情報記憶部22、ラック契約情報記憶部23、温度センサ情報記憶部24、空調機消費電力情報記憶部25、空調機設定候補情報記憶部26、ガラリ開閉候補情報記憶部27、ラック設置候補情報記憶部28、過去データ記憶部30、温度推論モデル31、消費電力推論モデル32、推論結果情報記憶部33、ガラリ開閉マスタ記憶部41、およびラック契約マスタ記憶部42を備えている。
実施の形態2のサーバ室冷却管理装置100は、実施の形態1のサーバ室冷却管理装置100に対して、ラック設置候補情報記憶部28を備えている点が実施の形態1と異なる。それ以外の点については、同じである。
***動作の説明***
図18は、実施の形態2におけるサーバ室冷却管理装置100による推論処理の全体フローを示す。図18を使用してサーバ室冷却管理装置100の推論処理のフローを説明する。
<ステップS201:情報収集>
S101と同じであるであるため、省略する。
<ステップS202:候補作成>
実施の形態2の候補作成部12は、ラック設置候補R(s=1~p)を使用する点が、実施の形態1と異なる。候補作成部12は、空調機設定候補Aと、ガラリ開閉候補Gと、ラック設置候補Rとを、それぞれ複数個事前に作成する。
候補作成部12は、空調機設定温度情報記憶部21に保管された空調機設定温度情報A(図6)から、空調機設定候補情報26Aを作成し、空調機設定候補情報記憶部26に保管する。具体的な作成方法は、S101と同じであるであるため、省略する。
候補作成部12は、ガラリ開閉情報記憶部22に保管されたガラリ開閉情報G(図6中段)から、ガラリ開閉候補情報27Aを作成し、ガラリ開閉候補情報記憶部27に保管する。具体的な作成方法は、S101と同じであるであるため、省略する。
候補作成部12は、ラック契約情報記憶部23に保管されたラック契約情報R(図19上段)から、ラック設置候補情報28Aを作成し、ラック設置候補情報記憶部28に保管する。ラック設置候補情報28Aの具体的な作成方法を図19で説明する。
図19上段は、ラック契約情報23Bを示す。図19下段は、ラック設置候補情報28Aを示す。ラック設置候補情報28Aは、ラック設置候補情報Rsあるいは単にRと表記する場合がある。Rにおいて、図19下段で説明するように、s=R001,R002・・・R00pに対応する。また、添え字sは、図19に示すようにR001を1に対応させ、R00pをpに対応させれば、s=1~p、と表記することも可能である。図19下段の例は、消費電力が3,000Wであるラックを新たに設置する場合について示す。
図19では、ラック設置候補情報R(s=1~p)を示している。候補作成部12は、ラック契約情報記憶部23に保管されたラック契約情報R(図19上段)からRを取得する。Rをもとに、Rの稼働状況が未使用(-)である1個目のラックであるR1の稼働状況を未使用(-)から「稼働中」に入れ替え、R1の消費電力を「3,000W」に設定した候補を作成し、R001の行に保管する。次に、候補作成部12は、Rをもとに、Rの未使用(-)である2個目のラックであるR3の稼働状況を未使用(-)から「稼働中」に入れ替え、R3の消費電力を「3,000W」に設定した候補を作成し、R002の行に保管する。これを繰り返し、候補作成部12は、R0の未使用(-)であるp個目のラックであるR(1≦p≦n)の稼働状況を未使用(-)から「稼働中」に入れ替え、Rnの消費電力を「3,000W」に設定した候補を作成し、R00pの行に保管する。これは、ラック設置候補情報の作成方法の一例である。これ以外の方法であっても構わない。
ラック契約情報Rの稼働状況、消費電力、設置場所のうち、Rの稼働状況を具体的に記載すれば、
s=0=R000=(-,稼働中,-・・・-)=R
s=1=R001=(稼働中,稼働中,-・・・-)、
s=2=R002=(-,稼働中,稼働中・・・-)、
・・・
である。
<ステップS203>
データ取得部13は、通風口設定レコード群であるガラリ開閉候補情報27A(図11)と、稼働条件設定レコード群である空調機設定候補情報26A(図10)と、計測温度設定レコードS0である温度センサ情報24A(図9)と、消費電力設定レコードである空調機消費電力情報25A(図9)とラック設置候補情報28A(図19)を取得する。
ラック設置候補情報28A(図19)を取得する点が実施の形態1と異なる。通風口設定レコード群Gであるガラリ開閉候補情報27Aは、図11に示すように、部屋であるサーバ室の床に開閉の可能な状態で配置される複数の通風口であるガラリの各ガラリを識別する通風口識別子であるG1からGnのそれぞれに対して、開と閉とのいずれかの状態が設定された通風口設定レコードの集合である。図11の各行がレコードである。
稼働条件設定レコード群である空調機設定候補情報26Aは、図11に示すように、部屋であるサーバ室10に配置されて、床の下に冷気を送り込み、開状態のガラリを介して冷気を床の下から部屋の内部に送出させる複数の空気調和機の各空気調和機を識別する空気調和機識別子であるA1からAmのそれぞれに対して、空気調和機の稼働条件として温度が設定された稼働条件設定レコードの集合である。
ラック契約設定レコード群Rであるラック設置候補情報28Aは、図19に示すように、部屋であるサーバ室に配置され、情報処理装置が積載された複数のラックを識別するラック識別子であるR1からRnのそれぞれに対して、稼働中、停止中、-とのいずれかの状態が設定され、新たなラックを設置するための利用状況を判断するための情報であるラックの稼働状況が設定されたラック契約設定レコードの集合である。このように、ラック契約設定レコードは、部屋であるサーバ室10に配置されて情報処理装置が積載可能であり、情報処理装置が積載されている場合に情報処理装置に電力を供給する複数のラックのそれぞれを識別するラック識別子のそれぞれに対して、電力供給状態にあるかどうかを示す稼働状況が設定されている。
以下に具体的に説明する。
各温度センサ500の推論温度Tを出力するため、データ取得部13は、以下の(1)から(5)を取得する。
(1)図10に示す、空調機設定候補情報A(i=0~2m)、
(2)図11に示す、ガラリ開閉候補情報G(j=0~n)、
(3)図19に示す、ラック設置候補情報R(s=1~p)、
(4)図9に示す、温度センサ情報S
(5)図9に示す、空調機消費電力情報P
(1)(2)(4)(5)は、実施の形態1と同じであるため、省略する。
(3)データ取得部13は、候補作成部12で作成されたラック設置候補情報R(s=1~n)をラック設置候補記憶部28から取得する。
<ステップS204>
データ取得部13は、取得した空調機設定候補情報A(i=0~2m)の中から、i=0に対応する1件目の候補A000を、温度推論の入力として選択する。データ取得部13は、空調機設定候補情報A(i=0~2m)におけるAを順番に選択しながら、ステップS204からステップS210までの処理を繰り返し行う。
<ステップS205>
候補作成部12で作成されたラック設置候補情報Rを、ラック設置候補情報記憶部28から取得する点が実施の形態1と異なる。
データ取得部13は、取得したラック設置候補情報R(s=1~p)(図19)の中からs=0に対応する1件目の候補R001を、温度推論の入力として選択する。データ取得部13は、ラック設置候補情報R(s=1~p)におけるRを順番に選択しながら、ステップS205からステップS211までの処理を繰り返し行う。データ取得部13は以下のようである。
データ取得部13は、
i=0、s=1に固定して、jを0~nに動かす。
i=0、s=2に固定して、jを0~nに動かす。
・・・
i=1、s=1に固定して、jを0~nに動かす。
i=1、s=2に固定して、jを0~nに動かす。
・・・
i=2m、s=pに固定して、jを0~nに動かす。
よってステップS207からステップS210では、あるAと、あるRと、あるGとの組、[A,G,R]について、指定された時点t0から設定時間△t経過後の、各温度センサ500の推論温度Tを推論している。
<ステップS206>
S105と同じであるであるため、省略する。
<ステップS207:推論>
推論部15は、通風口設定レコード群であるガラリ開閉候補情報27Aの一つの通風口設定レコードと、
稼働条件設定レコード群である空調機設定候補情報26Aの一つの稼働条件設定レコードと、
ラック契約設定レコード群であるラック設置候補情報28Aの一つのラック契約設定レコードと、
から決まる複数の組の各組[A,G,R]によって定まる
複数の通風口の開閉状態と
複数の空気調和機の稼働条件と
複数のラックの稼働状況と
のもとにおける複数の温度センサの各温度センサの温度であって、指定された時点から設定時間△tの経過後の各温度センサの温度である推論温度を組ごとに推論するための学習済みモデルである温度推論モデルを用いて、データ取得部で取得した入力情報から、組ごとの各温度センサの推論温度を出力する。以下に具体的に説明する。
推論部15は、
(1)空調機設定候補情報A(i=0~2m)、
(2)ガラリ開閉候補情報G(j=0~n)、
(3)ラック契約情報R(s=1~p)、
(4)温度センサ情報S
(5)空調機消費電力情報P
を入力とする、温度推論モデル31を使用して、指定された時点t0から設定時間△tの経過後の各温度センサ500の推論温度Tを推論する。温度推論モデル31は、学習部14によって生成された学習済モデルである。
<温度推論の説明>
学習済モデルである温度推論モデル31を使った推論処理について説明する。推論処理は推論部15が行う。
実施の形態2における温度推論は、入力としてラック設置候補情報R(s=1~p)を利用する点が実施の形態1における温度推論と異なる。残りの点については、同じであるため、省略する。
さらに推論部15による推理処理を説明する。推論部15は、(2m+1)×p×(n+1)の数の組[A,G,R]ごとに、指定された時点t0から設定時間△tの経過後の、n個の温度センサ500の、上記に示す推論温度Tを推論する。繰り返しになるが、S1からSnのn個の要素からなる推論温度Tは、一組の[A,G,R]ごとに生成される。
<温度推論モデル31の生成>
ここで、学習済モデルである温度推論モデル31を生成する学習処理は実施の形態1と同じであるため省略する。
<学習処理のフロー>
学習処理のフローS301~S303は、実施の形態1と同じであるため省略する。
<ステップS208:推論温度の判定>
推論温度判定部16は、推論部15が各[A,G,R]の組ごとに推論した温度センサ500の推論温度Tが、あらかじめ定められた規定範囲に収まっているかどうかを判定する。
推論温度の判定処理は、実施の形態1と同じであるため省略する。
<ステップS209>
推論装置であるサーバ室冷却管理装置100は、推論温度判定部16を備えている。推論温度判定部16は、推論部15が出力した推論温度のなかに、要求された温度範囲に属していない推論温度が存在するかどうかを判断し、判断結果と組[A,G,R]とを対応付ける。
判定した結果が規定範囲内である場合は、処理はステップS210に移動する。判定した結果が規定範囲内でない場合は、処理はステップS204に移動し、新たな組[A,G,R]が選択される。
<ステップS210>
推論結果保管部17は、推論部15が推論した推論温度Tと判定結果とを、推論結果情報記憶部33に保管する。この場合、判定結果は適切を示す「範囲内」である。
図22は、推論部15によって出力される推論結果情報33Aを示す。図22を参照して推論結果情報33Aを説明する。推論結果情報33Aは、推論部15の推論結果が登録されている。推論結果情報33Aは、項目、つまり、列として、組[A,G,R]を示す組番号、空調機設定候補の番号、ラック設置候補の番号、ガラリ開閉候補の番号、各温度センサ500の推論温度T、推論温度Tの判定結果、後述する各空気調和機200の推論消費電力P、推論消費電力の合計を示す情報を持つ。なお、図22では、説明のため、推論温度Tと推論消費電力Pとを上下2段に分けて記載している。
(1)組番号は、組[A,G,R]についての推論結果情報を一意に識別する番号である。
(2)空調機設定候補の番号は、ステップS204で設定された空調機設定候補の番号である。
(3)ラック設置候補の番号は、ステップS205で設定されたラック設置候補の番号である。
(4)ガラリ開閉候補の番号は、ステップS206で設定されたガラリ設定候補の番号である。
(5)推論温度Tは、ステップS207で推論された推論温度Tである。
(6)判定結果は、ステップS208の判定結果である。
(7)推論消費電力Pは、後述するステップS216で推論される各空気調和機200の推論消費電力を要素とする集合である。
(8)推論消費電力(合計)は、後述する推論結果保管部17によって算出された各空気調和機200の推論消費電力の合計値を示す。
推論結果保管部17は、推論結果情報33Aを推論結果情報記憶部33に保管する。
実施形態1と同じである。
<ステップS211>
未処理のガラリ開閉候補(G)がある間、ステップS206~ステップS211までのデータの処理が繰り返される。
<ステップS212>
未処理のラック設置候補(R)がある間、ステップS205~ステップS212までの処理が繰り返される。
<ステップS213>
未処理の空調機設定候補(A)がある間、ステップS204~ステップS213までの処理が繰り返される。
<ステップS214:消費電力推論のデータ取得>
データ取得部13は、複数の組[A,G,R]の各組によって定まる複数の通風口の開閉状態と複数の空気調和機の稼働条件と複数のラックの稼働状況とのもとにおける複数の空気調和機の各空気調和機の消費電力であって、設定時間の経過後の各空気調和機の消費電力である推論消費電力を組ごとに推論するための学習済みモデルである消費電力推論モデル32への入力として、一つの通風口設定レコードと一つの稼働条件設定レコードと一つのラック契約設定レコードとの一組と、計測温度設定レコードと、記消費電力設定レコードと、を一セットとして、複数のセットを取得する。以下に具体的に説明する。
データ取得部13は、ステップS111までの処理で保管されたすべての組[A,G,R]についての推論温度Tおよび判定結果を取得する。すべての組[A,G,R]についての推論温度Tおよび判定結果を「推論結果情報」と呼ぶ。なお、ステップS208で推論温度判定部16による判定を行わず、すべての推論温度をステップS210で推論結果情報記憶部33に保管し、後述するステップS217の処理の前で、推論された任意に指定した時点から設定時間後の温度センサ500の計測温度が規定値の範囲内であるデータのみステップS217以降の後続処理を行うようにするように構成してもよい。
データ取得部13は、各温度センサ500の温度センサ情報S(図9)を温度センサ情報記憶部24から取得する。データ取得部13は、空気調和機200の空調機消費電力情報P(図9)を空調機消費電力情報記憶部25から取得する。
なお、ステップS209の推論温度判定部16による判定の結果、推論温度が規定値の範囲内の情報が1件もない場合は、任意に指定した時点から設定時間後の温度センサ500の計測温度が規定値の範囲外となる可能性がある。この場合は、温度センサ500の測定温度が、あらかじめ定められた規定の範囲内の温度にならない可能性があるとして、警報情報を管理者に通知するようにしてもよい。
<ステップS215:組[A,G,R]の取得>
データ取得部13は、ステップS214で取得した「推論結果情報」の中から1件目の候補として、一組の[A,G,R]を、後述する消費電力の推論のための入力として選択する。データ取得部13は、選択した[A,G,R]におけるAの示す候補を、空調機設定候補情報A(図10)から取得する。同様に、データ取得部13は、選択した[A,G,R]におけるRの示す候補を、ラック設置候補情報R(図19)から取得する。同様に、データ取得部13は、選択した[A,G,R]におけるGの示す候補を、ガラリ開閉候補情報G(図11)から取得する。データ取得部13は、空調機設定候補とラック設置候補とガラリ開閉候補とを、空調機設定候補情報A、ラック設置候補情報Rおよびガラリ開閉候補情報Gから順番に選択しながら、ステップS215からステップS218までの処理を繰り返し行う。
<ステップS216:消費電力の推論>
推論部15は、消費電力推論モデル32を用いて、データ取得部13の取得した複数のセット[A,G,R]の各セットに対して、各空気調和機の推論消費電力を出力する。以下に具体的に説明する。
推論部15は、
(1)空調機設定候補A
(2)ガラリ開閉候補情報G
(3)ラック契約情報R
(4)温度センサ情報S
(5)空調機消費電力情報P
に基づいて、学習部14によって生成された消費電力推論モデル32を使用して、指定時点t0から設定時間△tの経過後の空気調和機200の推論消費電力Pを推論する。
<消費電力推論モデル32を用いた消費電力の推論処理>
消費電力推論モデル32を使った各空気調和機200の消費電力の推論処理を説明する。図20の下側は、推論部15が消費電力推論モデル32を用いて実施する、各空気調和機の消費電力の推論処理の構成図である。消費電力の推論処理では、データ取得部13、推論部15、および学習済モデルとして消費電力推論モデル32を使用する。データ取得部13が取得して、推論部15に入力される入力は以下の(1)から(5)である。ここで(1)A,(2)Gは、図15の推論結果情報33Aでの判定結果が「範囲内」(適正)である組番号における組[A,G,R]のAとGとRである。
(1)候補A
(2)候補G
(3)候補R
(4)温度センサ情報S(図9上側)、
(5)空調機消費電力情報P((図9下側))、
が、入力として入力される。これらの入力から、推論部15は、指定された時点t0から設定時間△t経過後の空気調和機200の推論消費電力Pを出力する。図15で説明したように、推論消費電力Pは、例えば、n個の要素を持つ推論温度T(図15)の各要素が範囲内である組[A,G,R]について推論される。なお、消費電力推論モデル32への入力は(1)、(2)および(3)以外は温度推論モデル31への入力と同じである。
<消費電力推論モデル32の生成の説明>
ここで、学習済モデルである消費電力推論モデル32の生成を説明する。図21の下側は、機械学習に消費電力推論モデル32の生成を示す学習処理の構成図である。機械学習における消費電力推論モデル32の学習処理では、データ取得部13、学習部14、および学習済モデルを使用する。また、機械学習における学習処理で使用する入力は、過去に蓄積された任意時点tkにおける以下の(1)から(6)の情報である。(6)以外は、温度推論モデル31を生成する学習処理の入力と同一である。
(1)空調機設定温度情報A(tk)、
(2)ガラリ開閉情報G(tk)、
(3)ラック契約情報R(tk)、
(4)温度センサ情報S(tk)、
(5)空調機消費電力情報P(tk)と、
(6)過去の時点tkから時間△tk経過後の空調機消費電力情報P(tk+△t)、
を学習用データとして使用する。kはk=1~Nである。(1)から(6)は、tkである日時情報で互いに関連付いている。
消費電力推論モデル32の生成における学習処理は実施の形態1におけるS301~S303と同じであるため省略する。
<ステップS217:推論結果の保管>
図18のフローチャートの説明に戻る。推論結果保管部17は、推論部15が推論した推論消費電力Pと各空気調和機200の推論消費電力の合計とを、推論結果情報記憶部33に推論結果情報33A(図23)として保管する。
図23は、推論消費電力Pと各空気調和機200の推論消費電力の合計が登録された状態の推論結果情報33Aである。図23を説明する。推論結果保管部17は、推論部15で入力とした[A,G,R]に対応する、推論結果情報33Aにおけるもっとも左列の組番号を検索する。図23に示すように、推論結果保管部17は、検索でヒットした組番号の行に、m個の空気調和機200の各推論消費電力を保管する。推論結果保管部17は、保管した各推論消費電力の合計値を算出し、算出した合計値を推論消費電力(合計)のセルに保管する。
<ステップS218>
未処理の推論結果情報がある間、ステップS216、ステップS217のデータの処理を繰り返す。ここでいう「推論結果情報」とは、図22の下側の組番号のそれぞれの行をいう。
<ステップS219:推奨結果を提示>
推論装置であるサーバ室冷却管理装置100は、推奨結果提示部18を備えている推奨結果提示部18は、推論温度判定部16が対応付けた判断結果と組との対応関係に基づいて、複数の組[A,G,R]の中から推奨するべき組を抽出する。以下に具体的に説明する。
推奨結果提示部18は、推論温度判定部16によって、温度センサ500の計測温度があらかじめ定められた規定の範囲内の温度であると判定された組[A,G,R]、つまり、図23の推論結果情報33Aに登録されている組[A,G,R]の行のうち、推論部15が推論した空気調和機200の推論消費電力(合計)が最も少ない組[A,G,R]を、推奨結果として提示する。具体的には、図23の推論結果情報33Aにおいて、推奨結果提示部18は、推論温度の判定結果が、「範囲内」となっている行を取得する。次に、推奨結果提示部18は、取得された行の中から、推論消費電力(合計)が最も少ない行を検索する。この検索によって、図23において、例えば推論消費電力が「9,000W」と最も少ない、組番号102の[A,G,R](i=A002,s=R002,j=G002)がヒットする。この例の場合、推奨結果提示部18は、組番号102の[A,G,R](i=A002,s=R002,j=G002)の行を推奨結果として提示する。図10の空調機設定候補情報Aによれば、候補A002は、2番目のA2の空気調和機200の温度設定を21度から20度に変更した内容である。図19のラック設置候補情報Rによれば、候補R002は、3番目のR3のラック情報処理装置を新たにラック300に積載し稼働する内容である。図11のガラリ開閉候補情報Gによれば、G002は、2番目のガラリを閉じることが推奨結果であることがわかる。
***実施の形態2の効果***
新たなラック300を設置する際に、新たなラック300の設置場所、ガラリ開閉情報、および空調機設定からなる好ましい設置場所候補を提示することができる。
推論消費電力、A 空調機設定候補情報、G ガラリ開閉候補情報、R ラック設置候補情報、10 サーバ室、11 情報収集部、12 候補作成部、13 データ取得部、14 学習部、15 推論部、16 推論温度判定部、17 推論結果保管部、18 推奨結果提示部、19 空調機設定指示部、21 空調機設定温度情報記憶部、22 ガラリ開閉情報記憶部、23 ラック契約情報記憶部、24 温度センサ情報記憶部、25 空調機消費電力情報記憶部、26 空調機設定候補情報記憶部、27 ガラリ開閉候補情報記憶部、30 過去データ記憶部、31 温度推論モデル、32 消費電力推論モデル、33 推論結果情報記憶部、41 ガラリ開閉マスタ記憶部、42 ラック契約マスタ記憶部、21A 空調機設定温度情報、22A ガラリ開閉情報、23A ラック契約情報、24A 温度センサ情報、25A 空調機消費電力情報、26A 空調機設定候補情報、27A ガラリ開閉候補情報、28A ラック設置候補情報、33A 推論結果情報、41A ガラリ開閉マスタ情報、42A ラック契約マスタ情報、100 サーバ室冷却管理装置、101 サーバ室冷却管理プログラム、110 プロセッサ、120 主記憶装置、130 補助記憶装置、140 入力IF、150 出力IF、160 通信IF、170 信号線、200 空気調和機、300 ラック、400 情報処理装置、500 温度センサ、600 ネットワーク、800 ガラリ、900 電源装置。

Claims (11)

  1. 部屋の床に開閉の可能な状態で配置される複数の通風口の各通風口を識別する通風口識別子のそれぞれに対して、開と閉とのいずれかの状態が設定された通風口設定レコードの集合である通風口設定レコード群と、
    前記部屋に配置されて、前記床の下に冷気を送り込み、開状態の前記通風口を介して前記冷気を前記床の下から前記部屋の内部に送出させる複数の空気調和機の各空気調和機を識別する空気調和機識別子のそれぞれに対して、前記空気調和機の稼働条件が設定された稼働条件設定レコードの集合である稼働条件設定レコード群と、
    前記部屋に配置された複数の温度センサの各温度センサを識別するセンサ識別子のそれぞれに対して、前記温度センサの計測温度が設定された計測温度設定レコードと、
    前記空気調和機識別子のそれぞれに対して、前記空気調和機の消費電力が設定された消費電力設定レコードと、
    を含む入力情報を入力として取得するデータ取得部と、
    前記通風口設定レコード群の一つの通風口設定レコードと前記稼働条件設定レコード群の一つの稼働条件設定レコードから決まる複数の組の各組によって定まる前記複数の通風口の開閉状態と前記複数の空気調和機の前記稼働条件とのもとにおける前記複数の温度センサの各温度センサの温度であって、指定された時点から設定時間の経過後の各温度センサの温度である推論温度を前記組ごとに推論するための学習済みモデルである温度推論モデルを用いて、前記データ取得部で取得した前記入力情報から、前記組ごとの各温度センサの推論温度を出力する推論部と、
    を備える推論装置。
  2. 前記データ取得部は、
    前記複数の組の各組によって定まる前記複数の通風口の開閉状態と前記複数の空気調和機の前記稼働条件とのもとにおける前記複数の空気調和機の各空気調和機の消費電力であって、設定時間の経過後の各空気調和機の消費電力である推論消費電力を前記組ごとに推論するための学習済みモデルである消費電力推論モデルへの入力として、
    一つの前記通風口設定レコードと一つの前記稼働条件設定レコードとの一組と、
    前記計測温度設定レコードと、
    前記消費電力設定レコードと、
    を一セットとして、複数のセットを取得し、
    前記推論部は、
    前記消費電力推論モデルを用いて、前記データ取得部の取得した複数のセットの各セットに対して、各空気調和機の推論消費電力を出力する請求項1に記載の推論装置。
  3. 前記推論装置は、さらに、
    前記推論部が出力した前記推論温度のなかに、要求された温度範囲に属していない前記推論温度が存在するかどうかを判断し、判断結果と前記組とを対応付ける推論温度判定部を備える請求項1または請求項2に記載の推論装置。
  4. 前記推論温度判定部は、
    要求された前記温度範囲をセンサ対応範囲情報として前記温度センサごとに保有しており、前記温度センサごとに保有する前記センサ対応範囲情報を用いて、前記推論部が出力した前記推論温度のなかに、要求された温度範囲に属していない前記推論温度が存在するかどうかを判断する請求項3に記載の推論装置。
  5. 前記推論装置は、さらに、
    前記推論温度判定部が対応付けた前記判断結果と前記組との対応関係に基づいて、前記複数の組の中から推奨するべき組を抽出する推奨結果提示部を備える請求項3または請求項4に記載の推論装置。
  6. 前記データ取得部の取得する入力情報は、さらに、
    前記部屋に配置されて情報処理装置が積載可能であり、前記情報処理装置が積載されている場合には前記情報処理装置に電力を供給する複数のラックのそれぞれを識別するラック識別子のそれぞれに対して、ラックが電力供給状態にあるかどうかを示す稼働状況と、前記稼働状況が電力供給状態である場合にはラックの消費電力と、ラックの設置場所とを含むラック契約情報を含む請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の推論装置。
  7. コンピュータに、
    部屋の床に開閉の可能な状態で配置される複数の通風口の各通風口を識別する通風口識別子のそれぞれに対して、開と閉とのいずれかの状態が設定された通風口設定レコードの集合である通風口設定レコード群と、
    前記部屋に配置されて、前記床の下に冷気を送り込み、開状態の前記通風口を介して前記冷気を前記床の下から前記部屋の内部に送出させる複数の空気調和機の各空気調和機を識別する空気調和機識別子のそれぞれに対して、前記空気調和機の稼働条件が設定された稼働条件設定レコードの集合である稼働条件設定レコード群と、
    前記部屋に配置された複数の温度センサの各温度センサを識別するセンサ識別子のそれぞれに対して、前記温度センサの計測温度が設定された計測温度設定レコードと、
    前記空気調和機識別子のそれぞれに対して、前記空気調和機の消費電力が設定された消費電力設定レコードと、
    を含む入力情報を入力として取得するデータ取得処理と、
    前記通風口設定レコード群の一つの通風口設定レコードと前記稼働条件設定レコード群の一つの稼働条件設定レコードから決まる複数の組の各組によって定まる前記複数の通風口の開閉状態と前記複数の空気調和機の前記稼働条件とのもとにおける前記複数の温度センサの各温度センサの温度であって、指定された時点から設定時間の経過後の各温度センサの温度である推論温度を前記組ごとに推論するための学習済みモデルである温度推論モデルを用いて、前記データ取得処理で取得した前記入力情報から、前記組ごとの各温度センサの推論温度を出力する推論処理と、
    を実行させる推論プログラム。
  8. 前記データ取得部は、さらに
    前記部屋に配置されて情報処理装置が積載可能であり、前記情報処理装置が積載されている場合に前記情報処理装置に電力を供給する複数のラックのそれぞれを識別するラック識別子のそれぞれに対して、電力供給状態にあるかどうかを示す稼働状況が設定されたラック契約設定レコードの集合であるラック契約設定レコード群を含む入力情報を入力として取得し、
    前記推論部は、
    前記通風口設定レコード群の一つの通風口設定レコードと、前記稼働条件設定レコード群の一つの稼働条件設定レコードと、前記ラック契約設定レコード群の一つのラック契約設定レコードとから決まる複数の組の各組によって定まる前記複数の通風口の開閉状態と前記複数の空気調和機の前記稼働条件と前記複数のラックの稼働状況とのもとにおける前記複数の温度センサの各温度センサの温度であって、指定された時点から設定時間の経過後の各温度センサの温度である推論温度を前記組ごとに推論するための学習済みモデルである温度推論モデルを用いて、前記データ取得部で取得した前記入力情報から、前記組ごとの各温度センサの推論温度を出力する請求項1に記載の推論装置。
  9. 前記データ取得部は、
    前記複数の組の各組によって定まる前記複数の通風口の開閉状態と前記複数の空気調和機の前記稼働条件と前記複数のラックの稼働状況とのもとにおける前記複数の空気調和機の各空気調和機の消費電力であって、設定時間の経過後の各空気調和機の消費電力である推論消費電力を前記組ごとに推論するための学習済みモデルである消費電力推論モデルへの入力として、一つの前記通風口設定レコードと一つの前記稼働条件設定レコードと一つの前記ラック契約設定レコードとの一組と、前記計測温度設定レコードと、前記消費電力設定レコードと、を一セットとして、複数のセットを取得し、
    前記推論部は、
    前記消費電力推論モデルを用いて、前記データ取得部の取得した複数のセットの各セットに対して、各空気調和機の推論消費電力を出力する請求項8に記載の推論装置。
  10. 前記推論装置は、さらに、
    前記推論部が出力した前記推論温度のなかに、要求された温度範囲に属していない前記推論温度が存在するかどうかを判断し、判断結果と前記組とを対応付ける推論温度判定部を備える請求項8または請求項9に記載の推論装置。
  11. 前記推論装置は、さらに、
    前記推論温度判定部が対応付けた前記判断結果と前記組との対応関係に基づいて、前記複数の組の中から推奨するべき組を抽出する推奨結果提示部を備える請求項10に記載の推論装置。
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