本明細書に記載された実施例は、本発明が属する技術分野で当業者に、本発明の思想を明確に説明するためのものであるので、本発明が、本明細書に記載された実施例によって限定されるものではなく、本発明の範囲は、本発明の思想を外れない修正または変形例を含むものであると解釈されなければならない。
本明細書で使用される用語は、本発明での機能を考慮し、可能な限り、現在汎用されている一般的な用語を選択したが、それは、本発明が属する技術分野で当業者の意図、慣例または新たい技術の出現などによっても異なる。ただし、それと異なり、特定の用語を任意の意味で定義して使用する場合には、その用語の意味について、別途に記載する。従って、本明細書で使用される用語は、単純な用語の名称ではなく、その用語が有した実質的な意味と、本明細書の全般にわたる内容とを基に解釈されなければならない。
本明細書に添付された図面は、本発明について容易に説明するためのものであり、図面に図示された形状は、本発明の理解の一助とするために、必要によって誇張されて表示されたものでもあるので、本発明は、図面によって限定されるものではない。
本明細書において、本発明に係わる公知の構成または機能に係わる具体的な説明が、本発明の要旨を不明確にすると判断される場合、それらについての詳細な説明は、必要によって省略する。
本発明の一実施例によれば、前記サンプルがターゲット物質を含むか否かということを検査するための試薬が、非活性状態で保存された保存媒体を準備する段階、複数の微細空洞を形成する網構造体、及び前記微細空洞に保存され、前記試薬に活性条件を付与するベース物質を含むパッチを、前記保存媒体の一側に準備する段階、前記保存媒体を、前記パッチの前記保存媒体側一面に接触させることにより、前記保存媒体に保存された試薬の一部を前記パッチに伝達する段階、前記パッチが、前記伝達された試薬をベース物質を利用し、活性状態で収容する段階、及び前記試薬が、前記サンプルが位置した反応領域に提供されるように、前記パッチを前記サンプルに接触させる段階を含むサンプル検査方法が提供されてもよい。
前述の実施例による検査方法は、前記試薬を、前記サンプルが位置した反応領域に提供する段階をさらに含んでもよい。このとき、前記試薬を提供する段階は、前記パッチを前記サンプルに接触させる段階後にも遂行される。
前記パッチが、前記試薬を活性状態で収容する段階は、前記サンプルに接触したパッチが、前記試薬を活性状態で保存することを特徴とする。前記パッチを前記サンプルに接触させる段階は、前記試薬を活性状態で収容している前記パッチを前記サンプルに接触させることを特徴とする。
前記パッチを前記サンプルに接触させることは、前記パッチの、前記パッチと前記保存媒体とが接触する一面と異なる他面を前記サンプルに接触させることを含んでもよい。
前記保存媒体には、前記試薬が凍結乾燥されてもいる。
前記試薬を活性化させることは、前記試薬を、前記ベース溶液に接触させ、前記試薬を液化させることを含んでもよい。前記試薬の活性状態は、前記試薬に含まれた微細粒子が移動性を有する状態でもある。前記試薬に活性条件を付与することは、前記試薬を、前記ベース溶液に接触させ、前記試薬に含まれた微細粒子に移動性を付与することを含んでもよい。前記試薬に活性条件を付与することは、前記試薬が、前記ターゲット物質の検査を行うためのpH条件を付与することでもある。
前記試薬は、ターゲットタンパク質を検出するための抗体を含み、前記抗体は、前記保存媒体に固相でも保存される。
前記試薬を前記パッチに伝達することは、前記パッチに含まれたベース物質に前記試薬を伝達することを含んでもよい。
前記パッチを前記サンプルに接触させることは、前記パッチがサンプル接触保存媒体を介して、前記サンプルと間接的に接触することを含んでもよい。
前記サンプルは、ターゲット疾病診断のための生体サンプルでもある。
本発明の他の一実施例によれば、サンプルがターゲット物質を含むか否かということを検査するための試薬が、非活性状態で保存された保存媒体を準備する段階、複数の微細空洞を形成する網構造体、及び前記微細空洞に保存され、前記試薬に活性条件を付与するベース物質を含むパッチを、前記保存媒体の一側に準備する段階、前記保存媒体を、前記パッチの前記保存媒体側一面に接触させることにより、前記試薬を活性化させる段階、並びに前記試薬が、前記サンプルが位置した反応領域に提供されるように、前記保存媒体の前記サンプル側に位置する他面を、前記サンプルに接触させる段階を含む検査方法が提供されてもよい。
前記検査方法は、前記試薬を、前記サンプルが位置した反応領域に提供する段階をさらに含み、前記試薬を提供する段階は、サンプルに接触したパッチに前記試薬を前記パッチに伝達することを含んでもよい。前記試薬は、活性化された状態で、前記反応領域に提供されることを特徴とする。このとき、前記試薬を、前記反応領域に提供することは、前記ベース物質によって活性化された試薬を、前記反応領域に提供することを含んでもよい。
前記試薬を活性化させる段階は、前記他面がサンプルに接触している前記保存媒体に保存された試薬を活性化させることを含んでもよい。
前記パッチの一面を、前記保存媒体に接触させれば、前記パッチに含まれ、前記パッチの一面を介して、前記保存媒体に伝達されるベース溶液が、前記活性化された試薬が、前記サンプルに提供されるように誘導することができる。
前記サンプルが位置した反応領域に前記試薬を提供する段階は、前記保存媒体の一面が前記パッチと接触することにより、前記ベース物質が前記保存媒体に移動し、前記試薬の提供を誘導することを含んでもよい。
前記保存媒体を前記サンプルに接触させることは、前記一面が前記パッチと接触している前記保存媒体を、前記サンプルに接触させることを含んでもよい。
前記試薬は、ターゲットタンパク質を検出するための抗体を含んでもよい。
前記保存媒体には、前記試薬が凍結乾燥されてもいる。
本発明のさらに他の一実施例によれば、パッチ及び保存媒体を利用し、サンプルを検査する方法として、物質を保存するパッチに保存媒体を接触させることにより、前記保存媒体に保存された物質を前記パッチに伝達し、前記パッチが、前記パッチに伝達された物質に活性条件を提供し、前記物質を反応領域に提供することにより、対象サンプルを検査する方法が提供されてもよい。前記サンプル検査方法は、試薬を活性化させるベース物質、及び前記ベース物質が保存される複数の微細空洞を形成する網構造体を含み、外部領域から物質を吸収したり、外部領域に物質を提供したりすることができるパッチを準備する段階、前記サンプルがターゲット物質を含むか否かということを検査するための試薬が非活性状態で保存された保存媒体を準備する段階、前記試薬が、前記パッチに伝達されるように、前記パッチを前記保存媒体に接触させる段階、前記パッチが前記ベース物質を利用し、前記試薬を活性状態で収容する段階、及び前記試薬が、前記サンプルが位置した前記反応領域に提供されるように、前記パッチを前記サンプルに接触させる段階を含んでもよい。
前記検査方法は、前記パッチが、前記試薬を前記反応領域に提供する段階をさらに含み、前記試薬を反応領域に提供する段階は、前記ベース物質を利用し、活性状態で収容した前記試薬を前記反応領域に提供することを含んでもよい。
前記パッチが、前記試薬を活性状態で収容する段階は、前記パッチが前記ベース物質を利用し、前記試薬に流動性を付与することを含んでもよい。
前記保存媒体は、凍結乾燥された前記試薬を保存することができる。前記試薬は、ターゲットタンパク質を検出するための抗体を含んでもよい。
本発明のさらに他の一実施例によれば、サンプル検査のためのゲル状のパッチが開示される。前記パッチは、サンプルにターゲット物質が含まれているか否かということを判断するための試薬に活性条件を付与するベース物質、前記ベース物質が保存される複数の微細空洞を形成する網構造体、及び前記試薬が非活性状態で保存された保存媒体に接触させる媒体接触面を含み、前記パッチは、前記保存媒体から前記試薬を獲得し、前記ベース物質を利用し、前記試薬を活性状態で収容するサンプル検査用パッチでもある。
前記パッチは、前記サンプルに接触して前記サンプルが位置した反応領域に前記試薬を提供するサンプル接触面をさらに含んでもよい。
前記媒体接触面と前記サンプル接触面は、同一面にも具現される。前記媒体接触面と前記サンプル接触面は、互いに対向しても配置される。前記パッチが前記サンプルと接触することは、前記保存媒体を挟んで間接的に接触することを含んでもよい。
前記パッチは、前記保存媒体と接触することにより、前記媒体接触面を介して、前記保存媒体に前記ベース物質を提供し、前記保存媒体は、前記サンプルと接触することにより、前記ベース物質によって活性化された前記試薬を、前記サンプルが位置した反応領域に提供することができる。
前記パッチが前記試薬を活性状態で収容することは、前記パッチが、前記ベース物質と接触し、前記試薬に移動性を付与することを含んでもよい。
本発明のさらに他の一実施例によれば、サンプル検査のための保存媒体において、前記検査は前記保存媒体及びパッチを利用して遂行されて、前記パッチは、ベース物質、及び前記ベース物質を保存する複数の微細空洞を形成する網構造体を含む保存媒体なの提供されることができる。前記保存媒体は、前記サンプルがターゲット物質を含むか否かということを検査するための試薬を保存して、前記保存媒体は、前記試薬を非活性状態で保存する保存面、及び前記試薬が活性化になるように前記パッチに接触させるパッチ接触面を含むが、前記パッチは、前記保存媒体と接触すれば前記ベース物質を利用し、前記試薬を活性化させ、前記活性化された試薬を、前記検査対象サンプルが位置した反応領域に提供することができる。
前記保存媒体は、凍結乾燥された前記試薬を保存することができる。前記試薬は、前記パッチ接触面を介して、前記ベース物質と接触し、前記ベース物質によって流動性を獲得することができる。
前記保存媒体は、前記サンプルと接触するサンプル接触面をさらに含み、前記パッチが、前記活性化された試薬を前記反応領域に提供することは、前記保存媒体の前記サンプル接触面を介して、前記試薬を前記反応領域に提供することができる。
本発明のさらに他の一実施例によれば、サンプルを検査する検査モジュールが提供されてもよい。前記検査モジュールは、前記サンプルがターゲット物質を含むか否かということを検査するための試薬が非活性状態で保存された保存媒体、複数の微細空洞を形成する網構造体、及び前記微細空洞に保存され、前記試薬に活性条件を付与するベース物質を含み、前記保存媒体と接触し、前記試薬を活性状態で収容するパッチ、並びに前記サンプルが位置され、前記活性状態の試薬が提供される反応領域を含むプレートが収納されるプレート収納部を含んでもよい。
前記パッチは、前記サンプルと接触し、前記活性状態の試薬を前記反応領域に提供することができる。前記パッチは、前記保存媒体と接触した状態で、前記サンプルと接触し、前記試薬を前記反応領域に提供することができる。前記パッチは、前記サンプルと接触した状態で、前記保存媒体と接触し、前記試薬を活性状態で収容し、前記試薬を、前記反応領域に提供することができる。前記パッチは、前記保存媒体と接触し、前記試薬を活性化させ、前記活性化された試薬の前記プレートへの移動を誘導することができる。
前記保存媒体は、前記パッチと接触し、前記試薬が活性化されれば、前記サンプルと接触し、前記活性化された試薬を前記反応領域に提供することができる。前記保存媒体は、前記サンプルと接触した状態で、前記パッチと接触することができる。
前記試薬の活性状態は、前記試薬に含まれた微細粒子が移動性を有する状態でもある。前記試薬は、ターゲットタンパク質を検出するための抗体を含んでもよい。前記サンプルは、ターゲット疾病診断のための生体サンプルでもある。
本発明のさらに他の一実施例によれば、サンプルを検査する検査モジュールにおいて、前記サンプルがターゲット物質を含むか否かということを検査するための試薬を獲得する第1主面、及び前記サンプルと接触し、前記サンプルに前記試薬を提供する第2主面を有し、ゲル状で提供されるパッチ、前記試薬を非活性化状態で保存し、前記パッチの前記第1主面側に配置される保存媒体、並びに前記検査対象サンプルが位置する反応領域を含み、前記パッチと接触し、前記サンプルを前記検査に提供し、前記パッチの前記第2主面側に配置されるプレートを収納するプレート収納部を含むが、前記保存媒体は、前記パッチ側に移動し、前記試薬を前記パッチに伝達し、前記パッチは、前記試薬を獲得して活性化させ、前記パッチは、前記プレート側に移動し、前記活性化された試薬を前記反応領域に提供する検査モジュールが提供されてもよい。
前記保存媒体は、前記パッチに対し、第1方向に所定間隔離隔されて配置され、前記保存媒体は、前記パッチに対し、第1方向と反対になる第2方向に移動し、前記パッチに前記試薬を伝達することができる。
前記検査モジュールは、前記サンプルを検査するための検査キットにも設けられる。
本明細書においては、パッチ及び保存媒体を含む検査モジュールについて開示する。前記検査モジュールは、物質保存を行うことができる。前記検査モジュールは、物質反応を補助することができる。前記検査モジュールは、生体試薬の診断を行うことができる。
前記保存媒体は、伝達物質を保存することができる。前記保存媒体は、前記伝達物質を前記パッチに伝達することができる。前記保存媒体は、前記伝達物質の保管性を向上させることができる。前記保存媒体は、前記パッチと接触することができる。前記伝達物質は、前記保存媒体において、非活性状態でも保存される。
前記パッチは、前記保存媒体と接触することができる。前記パッチと前記保存媒体とが接触すれば、前記伝達物質は、前記パッチにも伝達される。前記パッチは、前記保存媒体から前記伝達物質を吸収することができる。前記伝達物質は、前記パッチに活性状態でも収容される。前記パッチは、前記反応物質を保存することができる。前記反応物質は、前記伝達物質と反応することができる。前記パッチは、前記伝達物質に活性条件を付与することができる。前記パッチは、活性物質を保存することができる。前記活性物質は、前記伝達物質に活性条件を付与することができる。
前記検査モジュールは、反応領域をさらに含んでもよい。前記反応領域は、プレートに位置することができる。前記検査モジュールは、前記反応領域を含むプレートを収納するプレート収納部を含んでもよい。
前記パッチは、前記反応領域と接触することができる。前記パッチは、前記反応領域に、反応物質または伝達物質を提供することができる。前記パッチは、前記反応領域に、前記反応物質または前記伝達物質を伝達することができる。前記パッチは、前記反応領域に、活性状態の伝達物質を提供することができる。
前記保存媒体は、前記反応領域と接触することができる。前記保存媒体は、前記反応領域に位置した検体と接触することができる。前記保存媒体は、前記反応領域に前記伝達物質を伝達することができる。前記保存媒体は、パッチと接触することによって活性化された伝達物質を、前記反応領域に提供することができる。
前記反応領域は、前記パッチと接触することができる。前記反応領域には、診断対象になる検体が位置することができる。該診断対象検体は、組織切片、血液、細胞液、小便などの生体サンプルでもある。
前述のように、前記保存媒体を利用して反応物質をパッチに伝達する場合、前記反応物質の品質管理がさらに容易にもなる。さらに具体的には、前記反応物質を、前記パッチに保存するとき、前記反応物質が前記パッチ内で変質する問題が生じうる。そのとき、前記反応物質を前記保存媒体に保存し、前記反応物質を利用するとき、前記保存媒体から前記パッチに伝達することにより、前記反応物質の変質を最小化させることができる。前記保存媒体は、前記反応物質が冷凍及び/または乾燥された状態で保存することができる。
図35は、本発明の一実施例による検査モジュールを図示したものである。図35を参照すれば、本発明の一実施例による検査モジュールは、保存媒体ME、パッチPA及びプレートPLを含んでもよい。前記検査モジュールは、前記保存媒体に保存された反応物質SBを利用し、前記プレートPLに位置した検体SAの診断を行うことができる。
本発明の一実施例による検査モジュールは、保存媒体MEを含み、前記保存媒体MEは、物質SBを保管することができる。前記保存媒体MEは、前記物質SBを非活性状態で保存または保管することができる。前記保存媒体MEは、パッチPAの上部に位置することができる。前記保存媒体MEは、パッチPAの上面に接触し、前記パッチに前記物質SBを伝達することができる。前記検査モジュールは、前記保存媒体MEを収納するための保存媒体収納部を含んでもよい。
本発明の一実施例による検査モジュールは、パッチPAを含み、前記パッチPAは、前記物質SBを活性状態で収容することができる。前記パッチは、前記活性状態の物質SBが検体SAを検査するように検体SAと接触し、検体SAが位置した反応領域に、前記活性状態の物質SBを提供することができる。
本発明の一実施例による検査モジュールは、プレートPLを含み、前記プレートは、前記検査対象検体SAが位置する反応領域を含んでもよい。前記検査モジュールは、前記プレートPLが収納されるプレート収納部を含んでもよい。
本明細書で開示する検査モジュールは、前述のところに限定されるものではなく、前記検査モジュール、及び前記モジュールを構成する各構成要素に係わる具体的な事項は、以下でさらに詳細に説明する。
1.パッチ
1.1.パッチの意義
本出願においては、液状物質を取り扱う(manage)ためのパッチについて開示する。
前記液状物質は、流動(flow)する物質であり、液体状態にある物質を意味する。
前記液状物質は、流動性(liquidity)を有する単一成分の物質でもある。または、前記液状物質は、複数成分の物質を含む混合物でもある。
前記液状物質が単一成分の物質であるとき、前記液状物質は、単一元素によって構成された物質であるか、あるいは複数の化学元素を含む化合物でもある。
前記液状物質が混合物であるとき、前記複数成分の物質のうち一部は、溶媒として機能し、他の一部は、溶質として機能することができる。すなわち、前記混合物は、溶液でもある。
一方、前記混合物を構成する複数成分の物質は、均一に分布することができる。あるいは、前記複数成分の物質を含む混合物は、均一に混合した混合物でもある。
前記複数成分の物質は、溶媒と、前記溶媒に溶解されずに均一に分布する物質と、を含んでもよい。
一方、前記複数成分の物質のうち一部は、不均一に分布することができる。前記不均一に分布する物質は、前記溶媒に不均一に分布する粒子成分(particle component)を含む場合も可能である。このとき、前記不均一に分布する粒子成分は、固体相(solid phase)でもある。
例えば、前記パッチを利用して扱うことができる物質は、1)単一成分の液体、2)溶液、または3)コロイド状態でもあり、場合によっては、4)固体粒子が他の液状物質内に不均一に分布されている状態でもある。
以下では、本出願によるパッチについてさらに詳細に説明する。
1.2.パッチの一般的な性格
1.2.1.構成
図1及び図2は、本出願によるパッチの一例を図示した図面である。
以下では、図1及び図2を参照し、本出願によるパッチについて説明する。
図1を参照すれば、本出願によるパッチPAは、網構造体NSと液状物質とを含んでもよい。
ここで、該液状物質は、ベース物質BSと添加物質ASとに分けても考慮される。
また、前記パッチPAは、ゲル状(gel type)でもある。前記パッチPAは、コロイド分子が結合し、網組織が形成されたゲル状の構造体にも具現される。
本出願によるパッチPAは、前記液状物質SBを扱うための構造として、三次元の網構造体NSを含んでもよい。網構造体NSは、連続的に分布する固体構造でもある。前記網構造体NSは、多数の微細スレッド(thread)が絡み合ったメッシュ状の網構造を有することができる。しかし、前記網構造体NSは、多数の微細スレッドが絡み合ったメッシュ状形態に限定されるものではなく、多数の微細構造が連結されて形成された任意の三次元マトリックス形態にも具現される。例えば、網構造体NSは、微細空洞(micro-cavity)を多数含む骨格体でもある。言い換えれば、前記網構造体NSは、多数の微細空洞MCを形成することができる。
図2は、本出願の一実施例によるパッチの構造を図示する。図2を参照すれば、前記パッチPAの網構造体は、海綿構造SSを有することができる。そのとき、前記海綿構造SSの網構造体は、多数の微細孔MHを含んでもよい。以下では、前記微細孔と微細空洞MCは、互いに混用されても使用され、取り立てての言及がない限り、微細空洞MCは、微細孔MHの概念を含むものであると定義する。
併せて、網構造体NSは、規則的であったり不規則的であったりするパターンを有することができる。
さらに、網構造体NSは、規則的なパターンを有する領域と、不規則的なパターンを有する領域と、をいずれも含んでもよい。
前記網構造体NSの稠密度(density)は、所定範囲内の値を有することができる。望ましくは、前記パッチPAに捕獲された液状物質SBの形態が、前記パッチPAに対応する形態に維持される限度内において、前記所定範囲が決定される。前記稠密度は、前記網構造体NSの微細程度、あるいは前記パッチにおいて、前記網構造体NSが占める質量比、体積比などによっても定義される。
本出願によるパッチは、三次元の網構造を有することにより、前記液状物質SBを扱うことができる。
本出願によるパッチPAは、液状物質SBを含み、前記パッチPAに含まれた液状物質SBは、前記パッチPAの前記網構造体NSの形態により、前記液状物質SBの流動性が制限される。
前記液状物質SBは、前記網構造体NS内で自由に流動することができる。言い換えれば、前記液状物質SBは、前記網構造体NSが形成する多数の微細空洞に位置する。互いに隣接する微細空洞間において、前記液状物質SBの交流が生じうる。そのとき、前記液状物質SBは、前記網組織を形成するフレーム構造体に浸透されている形態で存在することができる。そのような場合、前記フレーム構造体に、前記液状物質SBが侵透することができるナノサイズの孔(pore)が形成されていてもよい。
さらに、前記パッチPAに捕獲される液状物質SBの分子量、あるいは粒子サイズに依存し、前記網構造のフレーム構造体への前記液状物質SBの投入いかんが決定される。相対的に分子量が大きい物質が、前記微細空洞に捕獲され、相対的に分子量が小さい物質が、前記微細空洞及び/または前記網構造体NSの前記フレーム構造体に投入されても捕獲される。
本明細書においては、「捕獲(capture)」されたという用語を、前記液状物質SBが前記網構造体NSが形成する多数の微細空洞及び/または前記ナノサイズの孔に位置した状態を意味するものであると定義することができる。また、前記液状物質SBが、前記パッチPAに捕獲された状態は、前述のように、前記液状物質SBは、前記微細空洞及び/または前記ナノサイズの孔間で流動することができる状態を含むものであると定義する。
前記液状物質SBは、下記のように、ベース物質BSと添加物質ASとに分けても考慮される。
前記ベース物質BSは、流動性を有する液状物質SBでもある。
前記添加物質ASは、前記ベース物質BSに混合されて流動性を有する物質でもある。言い換えれば、前記ベース物質BSは、溶媒でもある。前記添加物質ASは、前記溶媒に溶解される溶質、あるいは前記溶媒に溶けない粒子でもある。
前記ベース物質BSは、前記網構造体NSが形成するマトリックス内部で流動することができる物質でもある。一方、ベース物質BSは、網構造体NSに均一に分布することができ、網構造体NSの一部領域に限って分布することもできる。前記ベース物質BSは、単一成分を有する液体でもある。
前記添加物質ASは、ベース物質BSと混合されるが、あるいはベース物質BSに溶ける物質でもある。例えば、添加物質ASは、ベース物質BSを溶媒にし、溶質として機能することができる。前記添加物質ASは、ベース物質BSに均一にも分布される。
前記添加物質ASは、前記ベース物質BSに溶けない微小粒子でもある。
例えば、添加物質ASは、コロイド分子、微生物などの微小粒子を含んでもよい。
前記添加物質ASは、網構造体NSが形成する微細空洞より大きい粒子を含んでもよい。もし前記微細空洞の大きさが、前記添加物質ASに含まれた粒子サイズよりさらに小さい場合、前記添加物質ASの流動性は、制限される。
また、一実施例によれば、添加物質ASは、前記パッチPAに選択的に含まれる成分を含んでもよい。
一方、前記添加物質ASは、前述のベース物質BSとの関係で、必ずしも量的に劣勢であるか、あるいは機能的に劣位にある物質を意味するものではない。
以下において、前記パッチPAに捕獲された前記液状物質SBの特性は、前記パッチPAの特性とも見なされる。すなわち、前記パッチPAの特性(characteristics)は、前記パッチPAに捕獲された物質の特性に依存する。
1.2.2.特性(characteristic)
本出願によるパッチPAは、前述のように、網構造体NSを含んでもよい。前記パッチPAは、前記網構造体NSにより、前記液状物質SBを扱うことができる。前記パッチPAは、前記パッチPA内に捕獲されている液状物質SBが、その固有の特性を少なくとも一部維持させる。
一例として、前記液状物質SBが分布する前記パッチPAの領域において物質拡散が起きり、表面張力などの力が作用する。
前記パッチPAは、物質の熱運動、密度または濃度差により、対象物質を拡散させる液体環境を提供することができる。一般的に、「拡散」というのは、濃度差によって物質をなしている粒子が、濃度が高い側から濃度が低い側に広がっていくことを意味するものである。そのような拡散現象は、基本的に、分子運動(気体内や液体内での併進運動、固体内での振動運動など)によって生じる結果的な現象とも理解される。本出願において、「拡散」というのは、濃度あるいは密度の差により、粒子が濃度が高いところから濃度が低いところに広がっていく現象を言うことに加え、濃度が互いに均一な状態でも発生する分子の不規則運動による粒子の移動現象までも言う。また、粒子の「不規則運動」という表現も、特別な言及がない限り、「拡散」と同一の意味で使用する。前述の拡散する対象物質は、前記液状物質SBに溶解される溶質でもあり、前記溶質は、固体、液体あるいは気体の状態でも提供される。
さらに詳細には、前記パッチPAによって捕獲される液状物質SBのうち、不均一に分布する物質は、前記パッチPAによって提供される空間で拡散する。言い換えれば、添加物質ASは、前記パッチPAによって定義される空間で拡散することができる。
前記パッチPAが扱う液状物質SBにおいて、不均一に分布する物質、または前記添加物質ASは、前記パッチPAの前記網構造体NSによって提供される微細空洞内で拡散することができる。また、前記不均一に分布する物質、または前記添加物質ASが拡散することができる領域は、前記パッチPAと異なる物質が接触したり、連結されたりすることによっても変更される。
また、前述の不均一に分布する物質、または前記添加物質ASが、前記パッチPA内、または前記パッチPAと連結された外部領域内で拡散した結果、前記物質または前記添加物質ASの濃度が均一になった後にも、前記物質または前記添加物質ASは、前記パッチPAの内部、及び/または前記パッチPAと連結された外部領域内において、分子の不規則運動によって絶えず移動することができる。
前記パッチPAは、親水性または疎水性の性質を帯びるようにも具現される。言い換えれば、前記パッチPAの前記網構造体NSは、親水性または疎水性の性質を有することができる。
前記網構造体NSと前記液状物質SBの性質とが類似している場合、前記網構造体NSは、前記液状物質SBをさらに効果的に扱うことができる。
前記ベース物質BSの性質は、極性を帯びる親水性であるか、あるいは極性を帯びない疎水性の物質でもある。また、前記添加物質ASの性質は、親水性でもあり、疎水性でもある。
前記液状物質SBの性質は、前記ベース物質BS及び/または前記添加物質ASと係わる。例えば、前記ベース物質BSと前記添加物質ASとがいずれも親水性である場合、前記液状物質SBは、親水性でもあり、前記ベース物質BSと前記添加物質ASといずれも疎水性である場合、前記液状物質SBは、疎水性でもある。前記ベース物質BSと前記添加物質ASとの極性が互いに異なる場合、前記液状物質SBは、親水性でもあり、疎水性でもある。
前記網構造体NSの極性と、前記液状物質SBの極性とがいずれも親水性であるか、あるいは疎水性である場合、前記網構造体NSと前記液状物質SBとの間には、引力が作用することができる。前記網構造体NSと前記液状物質SBとの極性が互いに反対である場合、例えば、前記網構造体NSの極性が疎水性であり、前記液状物質SBが親水性を帯びている場合、前記網構造体NSと前記液状物質SBとの間には、斥力が作用することができる。
前述の性質に基づいて、前記パッチPAは、単独、複数、あるいは他の媒体(medium)と共に、目的とする反応を誘導するためにも利用される。
以下では、前記パッチPAの機能的な側面について記述する。
ただし、以下では、説明の便宜のために、前記パッチPAは、親水性の溶液が含まれるゲル状であると仮定する。言い換えれば、前記パッチPAの網構造体NSは、特別な言及がない場合、親水性の性質を有すると仮定して説明する。
しかし、本出願の権利範囲は、親水性の性質を有するゲル状のパッチPAに限定して解釈されるものではなく、疎水性の性質を帯びる溶液を含むゲル状のパッチPA以外にも、溶媒が除去されたゲル状のパッチPA、及び本出願による機能を具現することができるものであるならば、ゾル状のパッチPAにまで権利範囲が及ぶということは言うまでもない。
2.パッチの機能
本出願によるパッチは、前述の特性に起因し、いくつかの有用な機能を有することができる。言い換えれば、前記パッチは、液状物質SBを占有することにより、前記液状物質SBの挙動に関与することができる。
それにより、以下においては、前記パッチPAとの関係において、前記物質の挙動様態により、前記パッチPAが形成する所定の領域において、前記物質の状態が定義されるリザーバ機能、及び前記パッチPAの外部領域を含み、前記物質の状態が定義されるチャネリング機能に分けて説明する。
2.1.リザーバ(reservoir)
2.1.1.意義
本出願によるパッチPAは、前述のように、前記液状物質SBを捕獲することができる。言い換えれば、前記パッチPAは、リザーバの機能を遂行することができる。
前記パッチPAは、前記網構造体NSを介して、前記網構造体NSに形成される多数の微細空洞に、液状物質SBを捕獲(capture)することができる。前記液状物質SBは、前記パッチPAの三次元網構造体NSによって形成される微細空洞の少なくとも一部を占有するか、あるいは前記網構造体NSに形成されたナノサイズの孔(pore)などに侵透することができる。
前記パッチPAに位置した液状物質SBは、前記複数の微細空洞に分布するとしても、液体の性質を失わない。すなわち、液状物質SBは、パッチPAでも流動性を有し、前記パッチPAに分布された液状物質SBにおいては、物質の拡散が起きり、前記物質に適切な溶質が溶解される。
以下、パッチPAのリザーバ機能についてさらに詳細に記述する。
2.1.2.保存(contain)
本出願においてパッチPAは、前述の特性により、対象物質を捕獲することができる。前記パッチPAは、外部環境の変化に対し、一定範囲内で抵抗性を有することができる。それを介して、前記パッチPAは、前記物質を捕獲された状態で維持することができる。前記捕獲の対象になる液状物質SBは、前記三次元の網構造体NSを占有することができる。
以下、前述のようなパッチPAの機能を、便宜上保存とする。
ただし、前記パッチPAが前記液状物質を保存するということの意味は、前記網構造によって形成される空間に、前記液状物質が保存されること、及び/または前記網構造体NSを構成するフレーム構造体に、前記液状物質が保存されることをいずれもまとめるものであると定義する。
前記パッチPAは、液状物質SBを保存することができる。例えば、前記パッチPAの網構造体NSと、前記液状物質SBとの関係によって作用する引力により、前記パッチPAは、液状物質SBを保存することができる。前記液状物質SBは、一定強度以上の引力で、前記網構造体NSと結合しても保存される。
前記パッチPAに保存される液状物質SBの性質は、前記パッチPAの性質によっても区分される。さらに詳細には、前記パッチPAが親水性の性質を帯びる場合、一般的に極性を有する親水性の液状物質SBと結合し、前記親水性の液状物質SBを、前記三次元微細空洞に保存することができる。あるいは、前記パッチPAが疎水性の性質を帯びる場合、疎水性の液状物質SBを、前記三次元網構造体NSの微細空洞に保存することができる。
また、前記パッチPAに保存される物質の量は、前記パッチPAの体積に、一定比率比例する。言い換えれば、すなわち、前記パッチPAに保存される物質の量は、前記パッチPAの形態に寄与する支持体として、三次元の網構造体NSの量に一定比率比例する。ただし、保存することができる前記物質の量と、前記パッチPAの体積との関係は、一定比例定数を有するものではなく、前記網構造の設計あるいは製造方式により、保存することができる前記物質の量と、前記パッチPAの体積との関係は、異なる。
前記パッチPAに保存された物質の量は、経時的に蒸発、脱落などによって減少する。また、前記パッチPAに物質を追加して投入し、前記パッチPAに保存された物質の含有量を増加または維持させることができる。例えば、前記パッチPAには、水分の蒸発を抑制するための水分保存剤などが添加されている。
前記パッチPAは、前記液状物質SBの保管に容易な形態にも具現される。それは、前記物質が、湿度、光量、温度など環境の影響を受ける場合、前記物質の変性を最小化させるために、前記パッチPAが具現されるということを意味する。
例えば、前記パッチPAがバクテリアのような外部要因によって変性されることを防止するために、前記パッチPAは、バクテリア抑制剤などによっても処理される。
一方、前記パッチPAには、複数の成分を有する液状物質SBが保存されることができる。そのとき、複数成分の物質は、基準時点移転に前記パッチPAに一緒に位置するか、あるいは一次に投入される物質が前記パッチPAにまず保存されて一定時間去る以後に前記パッチPAに二次物質が保存されることも可能である。例えばパッチPAに二つの成分の液状物質SBが保存される場合、前記パッチPAの製造の時二つの成分が前記パッチPAに保存されるとか、前記パッチPAの製造の時には、1成分だけが、前記パッチPAに保存され、追って残り一つが保存されるか、あるいは前記パッチPAの作製後、2つの成分が順に保存されるのである。
また、前記パッチPA内に保存されている物質は、前述のように、基本的に流動性を示すことができ、また前記パッチPA内において、分子運動による不規則運動ないし拡散運動を行うことができる。
本出願によるパッチPAは、前述のように、抗体AB、基質SU、洗浄溶液、その他免疫診断に必要なベース物質BS、または添加物質ASを保存してもいる。前述の物質、特に、添加物質ASは、別途の媒体(medium)に保管されていて、診断遂行時、前記パッチPAに吸収されて保存されている。前記パッチPAは、抗体AB、基質SUなどの物質を別途の媒体から吸収して保存してもいる。前記添加物質ASは、前記パッチPAに、あらかじめ保存されてもいる。
それは、特に抗体ABを保存するパッチPAにおいて有用に適用される。前述のように、別途の媒体に、前記抗体ABを保管する場合、抗体ABの保管性が顕著に向上し、診断遂行時に利用される抗体ABの品質がある程度レベル以上保証される。
本出願によるパッチPAは、プレートPLに塗布された抗体ABを吸収して保存してもいる。前記プレートPLに塗布された抗体ABを吸収することは、前記パッチPAが前記プレートPLと接触することによって形成される水膜WFに前記抗体ABが捕獲され、前記パッチPAが前記プレートPLから分離されることにより、前記水膜WFが前記パッチPAに付いて移動することによっても遂行される。
本出願によるパッチPAは、抗体ABが塗布されたプレートから抗体ABを吸収し、前記吸収した抗体ABを、検体SAが塗布されたプレートPLに伝達することができる。それは、前記パッチPAの上面に、前記抗体ABが塗布されたプレートPLを接触させた状態で、前記パッチPAの下面を、前記検体SAが塗布されたプレートPLに接触させることによっても遂行される。
前述の別途の媒体については、以下の保存媒体パートでさらに詳細に説明する。
2.1.3.反応空間(space)の提供
図3及び図4は、本出願によるパッチの機能のうち一例として、反応空間を提供することについて図示した図面である。
図3及び図4に図示されているように、本出願によるパッチPAは、空間を提供する機能を遂行することができる。言い換えれば、前記パッチPAは、前記網構造体NSによって形成された空間、及び/または前記網構造体NSを構成する空間を介して、前記液状物質SBが移動することができる空間を提供することができる。
前記パッチPAは、粒子の拡散、及び/または粒子の不規則運動以外の活動(以下、拡散以外の活動とする)のための空間を提供することができる。拡散以外の活動とは、化学的な反応を意味するが、それに限定されるものでははなく、物理的な状態変化をも意味する。さらに詳細には、拡散以外の活動とは、前記活動前後、前記物質の化学的組成が変化する化学反応、前記物質に含まれた成分間の特異的結合反応、前記物質に含まれて不均一に分布する溶質または粒子の均一化、前記物質に含まれた一部成分の凝集、または前記物質一部の生物学的な活動を含んでもよい。
一方、前記活動に複数の物質が関与する場合、該複数の物質は、基準時点以前、前記パッチPAに共に位置することができる。前記複数の物質は、順に投入される。
前記パッチPAの環境条件を変更することにより、前記パッチPAの前記拡散以外の活動のための空間を提供する機能の効率を向上させることができる。例えば、前記パッチPAの温度条件を変化させたり、電気的な条件を付加させたりし、前記活動を促進させたり、活動の開始を誘導したすることができる。
図3及び図4によれば、前記パッチPAに位置した第1物質SB1及び第2物質SB2は、前記パッチPA内部で反応し、第3物質SB3に変形されるか、あるいは前記第3物質SB3を生成することができる。
2.2.Channel(チャネル)
2.2.1.意義
前記パッチPAと外部領域との間において、物質移動が生じうる。また、前記パッチPAから前記パッチPAの外部領域に物質が移動されるか、あるいは前記外部領域から前記パッチPAにも物質が移動される。
前記パッチPAは、物質移動経路を形成するか、あるいは物質移動に関与することができる。さらに詳細には、パッチPAは、前記パッチPAに捕獲された液状物質SBの移動に関与するか、あるいは前記パッチPAに捕獲された液状物質SBを介して、外部物質移動に関与することができる。前記パッチPAから、前記ベース物質BSまたは前記添加物質ASが抜け出るか、あるいは外部領域から、前記パッチPAに外部物質が流入される。
前記パッチPAは、物質移動通路の機能を提供することができる。すなわち、前記パッチPAは、物質移動に関与し、物質移動のチャネル機能を提供することができる。前記パッチPAは、前記液状物質SBが有する固有性質に起因し、物質移動の通路(channel)を提供することができる。
前記パッチPAは、前記外部領域と連結されているか否かということにより、前記外部領域との間において、前記液状物質SBの移動が可能な状態、または前記外部領域との間において、前記液状物質SBの移動が不可能な状態を有することができる。また、前記パッチPAと前記外部領域とのチャネリング(channeling)が開始されれば、前記パッチPAは、独特な機能を有することができる。
以下では、前記物質移動が可能な状態と、前記物質移動が不可能な状態とについて、まず説明し、前記パッチPAが独特な機能を遂行するにおいて、前記パッチPAと前記外部領域との連結いかんと連繋させて詳細に記述する。
基本的には、前記パッチPAと前記外部領域との間で、前記液状物質SBの移動が発生する基本的な理由は、物質の不規則運動及び/または拡散に起因する。ただし、前記パッチPAと前記外部領域との間において、物質移動を制御するために、外部環境要因を制御すること(例えば、温度条件の制御、電気的条件の制御など)が可能であるということは、すでに説明した。
2.2.2.移動可能な状態(movablestate)
前記物質が移動可能な状態においては、前記パッチPAに捕獲された液状物質SB、及び/または前記外部領域に位置した物質との間の流動が生じうる。前記物質が移動可能な状態においては、前記パッチPAに捕獲された液状物質SB、及び前記外部領域との間において、物質移動(move)が生じうる。
例えば、前記物質が移動可能な状態においては、前記液状物質SBまたは前記液状物質SBの一部成分が、前記外部領域に拡散するか、あるいは不規則運動によって移動することができる。または、前記物質が移動可能な状態においては、前記外部領域に位置した外部物質、または前記外部物質の一部成分が、前記パッチPAの液状物質SBに拡散するか、あるいは不規則運動によって移動することができる。
前記物質が移動可能な状態は、接触を介しても誘発される。前記接触とは、前記パッチPAに捕獲された前記液状物質SBが、前記外部領域と連結されることを意味する。前記接触とは、前記液状物質SBの流動領域が、前記外部領域と少なくとも一部重畳されることを意味する。前記接触とは、前記外部物質が、前記パッチPAの少なくとも一部と連結されることを意味する。前記物質が移動可能な状態は、前記捕獲された液状物質SBが、流動可能な範囲が拡張されるとも理解される。言い換えれば、前記物質が移動可能な状態では、前記液状が、物質の流動可能な範囲が、前記捕獲された液状物質SBの前記外部領域の少なくとも一部を含むようにも拡張される。例えば、前記液状物質SBが、前記外部領域と接触された場合、前記捕獲された液状物質SBが流動可能な範囲は、前記接触された外部領域の少なくとも一部を含むようにも拡張される。さらに詳細には、前記外部領域が外部プレートである場合、前記液状物質SBが流動可能な領域が、前記外部プレートの前記液状物質SBと接触する領域を含むようにも拡張される。
2.2.3.移動不可能な状態(immovablestate)
前記物質が移動不可能な状態においては、前記パッチPAに捕獲された液状物質SB、及び前記外部領域間において、物質移動(move)が発生しない。ただし、前記パッチPAに捕獲された液状物質SB、及び前記外部領域に位置した外部物質それぞれにおいては、物質移動が生じうるということは言うまでもない。
前記物質が移動不可能な状態は、前記接触が解除される状態でもある。言い換えれば、前記パッチPAが、前記外部領域の接触が解除された状態においては、前記パッチPAに残存する液状物質SBと、前記外部領域または前記外部物質とにおいては、物質移動が可能ではなくなる。
さらに具体的には、前記接触が解除された状態は、前記パッチPAに捕獲された前記液状物質SBが、前記外部領域と連結されていない状態を意味する。前記接触が解除された状態は、前記液状物質SBが、前記外部領域に位置した外部物質と連結されていない状態を意味する。例えば、前記物質移動が不可能な状態は、前記パッチPAと外部領域とが分離されることによっても誘発される。
本明細書で定義された「移動可能な状態」は、「移動不可能な状態」と区別される意味を有するが、時間の流れ、環境の変化などにより、状態間の転移が生じうる。言い換えれば、前記パッチPAが移動可能な状態であって、移動不可能な状態になり、移動不可能な状態であって、移動可能な状態になることができ、前記パッチPAが移動可能な状態であって、移動不可能な状態になった後、さらに移動可能な状態になることも可能である。
2.2.4.機能の区分
2.2.4.1伝達
本出願において、パッチPAは、前述の特性に起因し、前記パッチPAに占有された液状物質SBのうち少なくとも一部を目的とする外部領域に伝達することができる。前記物質の伝達は、一定条件が満足されることにより、前記パッチPAに捕獲された液状の物質SBの一部が、前記パッチPAから分離される(separate)ことを意味する。前記液状物質SBが一部分離されることは、一部物質が、前記パッチPAの影響が及ぶ領域から抽出されるか(extracted)、放射されるか(emitted)あるいは解放される(released)ことを意味する。それは、前述のパッチPAのチャネル機能の下位概念として、前記パッチPAに位置した物質の前記パッチPA外部への伝達(delivery)を定義したものであるとも理解される。
前述の目的とする外部領域は、他のパッチPA、乾燥された領域、または液体領域でもある。
前記伝達が発生するための前記一定条件は、温度変化、圧力変化、電気的特性変化、物理的状態変化のような環境条件としても決定される。例えば、前記パッチPAが、前記パッチPAの網構造体NSより、前記液状物質SBとの結合力が強い物体と接触した場合、前記液状物質SBは、前記接触した物体と化学的に結合することができ、結果として、前記液状物質SBの少なくとも一部が前記物体に伝達される。
以下、前述のようなパッチPAの機能を、便宜上伝達とする。
前記伝達は、前記パッチPAと前記外部領域との間において、前記液状物質SBが移動可能な(movable)状態、及び前記パッチPAと前記外部領域との間において、前記液状物質SBが移動不可能な状態を経て(via/through)生じうる。
さらに具体的に説明すれば、前記液状物質SBが、前述の移動可能な状態になれば、前記パッチPAと前記外部領域との間で拡散することができ、または不規則運動により、前記外部領域に移動することができる。言い換えれば、前記液状物質SBに含まれたベース溶液及び/または添加物質ASは、前記パッチPAから前記外部領域に移動することができる。前記液状物質SBが前記移動不可能な状態においては、前記パッチPAと前記外部領域との間で移動が不可能になる。言い換えれば、前記液状物質SBの拡散及び/または不規則運動により、前記パッチPAから前記外部領域に移動された物質のうち一部は、前記移動可能状態から、前記移動不可能な状態への転換により、再び前記パッチPAに移動することができなくなる。それにより、前記液状物質SBのうち一部は、前記外部領域に一部伝達される。
前記伝達は、前記液状物質SBと前記網構造体NSとの引力と、前記液状物質SBと、前記外部領域または前記外部物質との引力との差によってもなされる。前記引力は、極性の類似性、または特異的結合関係に起因する。
さらに具体的には、前記液状物質SBが親水性であり、前記パッチPAの網構造体NSに比べ、前記外部領域または前記外部物質がさらに親水性が強い場合、前記移動可能な状態、及び前記移動不可能な状態を経て、前記パッチPAに捕獲されていた液状物質SBの少なくとも一部は、前記外部領域に伝達される。
前記液状物質SBの伝達は、選択的にも遂行される。例えば、前記液状物質SBに含まれた一部成分と、前記外部物質との間に特異的結合関係が存在する場合、前記物質が移動可能な状態、及び前記物質移動が不可能な状態を経て、前記一部成分の選択的伝達が生じる。
さらに具体的には、前記パッチPAが、平板形態の外部プレートPLに物質を伝達する場合を想定すれば、前記パッチPAに捕獲された液状物質SBのうち一部(例えば、溶質の一部)と特異的に結合する物質が、前記外部プレートPLに塗布されている。そのとき、前記パッチPAは、前記移動可能状態、及び前記移動不可能状態を経て、前記外部プレートPLに塗布された物質と特異的に結合する溶質の一部を、前記パッチPAから前記プレートPLに選択的に伝達することができる。
以下、前記物質が移動される他の領域のいくつかの例示により、前記パッチPAの機能としての伝達について説明する。ただし、具体的な説明において、前記液状物質SBの「放出」、及び前記液状物質SBの「伝達」の概念が混用される。
ここでは、前記パッチPAから、別途の外部プレートPLに液状物質SBが伝達される場合について説明する。例えば、前記パッチPAから、スライドガラスのようなプレートPLに物質が移動される場合を考慮することができる。
前記パッチPAと前記プレートPLとが接触することにより、前記パッチPAに捕獲されていた前記液状物質SBは、少なくとも一部が前記プレートPLに拡散して移動するか、あるいは不規則運動によって移動することができる。前記パッチPAと前記プレートPLとの接触が分離されれば、前記パッチPAから前記プレートPLに移動された一部物質(すなわち、前記液状物質SBのうち一部)が、前記パッチPAにさらに移動することができなくなる。その結果、前記パッチPAから前記プレートPLに、前記一部物質が伝達される。そのとき、前記伝達する一部物質は、前記添加物質ASでもある。前述の接触と分離とにより、前記パッチPA内の物質が「伝達」されるためには、前記物質と前記プレートPLとの間に作用する引力、及び/または結合力が存在しなければならず、その引力及び/または結合力が、前記物質と前記パッチPAとの間で作用する引力よりさらに大きくなければならない。従って、前述の「伝達条件」が満足されない場合、前記パッチPA及び前記プレートPLとの間での物質伝達は、発生しない。
また、前記パッチPAに、温度または電気的な条件を提供し、物質伝達を制御することができる。
前記パッチPAから前記プレートPLへの物質移動は、前記パッチPAと前記プレートPLとの接触面積に依存する。例えば、前記パッチPAと前記プレートPLとが接触する面積により、前記パッチPAと前記プレートPLとの物質移動効率が増減される。
前記パッチPAが複数の成分を含む場合、一部成分だけが、選択的に前記外部プレートPLに移動される。さらに詳細には、前記外部プレートPLには、前記複数成分のうち一部成分と特異的に結合する物質が固定されている。そのとき、前記外部プレートPLに固定された物質は、液体状態あるいは固体状態でもあり、前記別途の領域に固定されている。その場合、前記パッチPAと、前記別途の領域との接触などにより、前記複数成分のうち一部物質が、前記プレートPLに移動して特異的結合を形成し、前記パッチPAが前記プレートPLから分離される場合、一部成分だけが前記プレートPLに選択的に放出される。
図5ないし図7は、本出願によるパッチPAの機能のうち、物質伝達の一例として、前記パッチPAから外部プレートPLへの物質伝達を図示する。図5ないし図7によれば、前記パッチPAは、外部プレートPLと接触することにより、前記パッチPAに保存された物質の一部を、前記プレートPLに伝達することができる。そのとき、前記物質を伝達することは、前記プレートと接触することにより、前記物質移動が可能になる。そのとき、前記プレートと前記パッチPAとが接触する接触面近辺に、水膜WFが形成され、前記形成された水膜WFを介して、前記物質移動が可能になる。
ここでは、前記パッチPAから流動性を有する物質SLに、前記液状物質SBが伝達される場合について説明する。ここで、流動性を有する物質SLというのは、別途の保存空間に込められていたり、流れていたりする状態の液状物質でもある。
前記パッチPAと、前記流動性のある物質とが接触(例えば、溶液にパッチPAを投入する)することにより、前記パッチPAに捕獲されていた液状物質SBは、少なくとも一部前記流動性を有する物質SLに拡散されて移動するか、あるいは不規則運動によって移動することができる。前記パッチPAと、前記流動性のある物質とが分離されれば、前記パッチPAから、前記流動性がある物質に移動された前記液状物質SBのうち一部が、前記パッチPAに再び移動することができなくなることにより、前記パッチPAにあった一部物質が、前記流動性がある物質に伝達される。
前記パッチPAと、前記流動性を有する物質SLとの物質移動は、前記パッチPAと、前記流動性を有する物質SLとの接触面積に依存する。例えば、前記パッチPAと、前記流動性を有する物質SLとが接触する面積(例えば、前記パッチPAが溶液などに投入される深さ)により、前記パッチPAと、前記流動性を有する物質SLとの物質移動効率が増減される。
また、前記パッチPAと、前記流動性を有する物質SLとの物質移動は、前記パッチPAと、前記流動性がある物質との物理的な分離を介しても制御される。
前記液状物質SBにおいて、前記添加物質ASの分布濃度が、前記流動性がある物質での前記添加物質ASの分布濃度と異なり、前記パッチPAから前記流動性がある物質に前記添加物質ASが伝達される。
ただし、前記パッチPAが、前記流動性を有する物質SLに、前記液状物質SBを伝達するのにおいて、前記パッチPAと、前記流動性を有する物質SLとの物理的分離が必須的なものではない。例えば、前記パッチPAから前記流動性を有する液体への物質移動の原因になる力(driving force/causal force)が基準値以下に小さくなるか、あるいはなくなる場合、物質移動が中断される。
前記パッチPAと、前記流動性を有する物質SLとの間での「伝達」において、前述の前記パッチPAと、前記流動性を有する物質SLとの間での「伝達条件」は、要求されない。それは、流動性を有する物質SLにすでに移動した物質は、前記流動性を有する物質SL内への拡散及び/または不規則運動によって移動しており、前記移動により、前記移動した物質と、前記パッチPAとの距離が一定距離以上遠くなれば、前記物質は、前記流動性を有する物質SLに伝達されたと理解することができる。それは、プレートPLの場合、前記接触によって拡張される移動可能な範囲が、非常に制限的な範囲であるために、前記プレートPLに移動した物質と、前記パッチPAとの間での引力が有意に作用するが、前記流動性を有する物質と、前記パッチPAとの関係においては、前記パッチPAと前記プレートPLとの接触によって拡張される移動可能な範囲が、相対的にはるかに広い範囲であるために、前記流動性を有する物質SLに移動した物質と、前記パッチPAとの引力が無意味になるからである。
図8ないし図10は、本出願によるパッチPAの機能のうち物質伝達の一例として、前記パッチPAから、流動性がある物質への物質伝達を図示する。図8ないし図10によれば、前記パッチPAは、外部の流動性がある物質に、前記パッチPAに保存された物質の一部を伝達することができる。前記保存された物質の一部を伝達することは、前記パッチPAが、前記流動性がある物質に投入されたり接触したりし、前記パッチPAに捕獲された液状物質SBと、前記流動性のある物質とが互いに物質移動が可能な状態を有するようになることによってもなされる。
ここでは、前記パッチPAから他のパッチPAに物質が移動する場合を想定する。前記パッチPAと前記他のパッチPAとが接触する接触領域においては、前記パッチPAに提供された前記液状物質SBが、少なくとも一部前記他のパッチPAに移動することができる。
前記接触領域においては、前記それぞれのパッチPAに提供された液状物質SBが、互いに異なるパッチPA(the other patch)に拡散されて移動することができる。そのとき、前記物質移動により、前記それぞれのパッチPAに提供された液状物質SBの濃度が異なる。本実施例においても、前述のように、前記パッチPAと他のパッチPAは、分離され、そのとき、前記パッチPAの液状物質SBのうち一部が他のパッチPAに伝達される。
前記パッチPAと他のパッチPAとの物質移動は、物理的な状態変化を含む環境条件の変化によっても遂行される。
前記パッチPAと、前記他のパッチPA(another patch)との間の物質移動は、前記パッチPAと、前記他のパッチPAとの接触面積に依存する。例えば、前記パッチPAと、前記他のパッチPAとが接触する面積により、前記パッチPAと、前記他のパッチPAとの間の物質移動効率が増減される。
図11ないし13は、本出願によるパッチPAの機能のうち物質伝達の一例として、前記パッチPA1から他のパッチPA2への物質伝達を図示する。図11ないし図13によれば、前記パッチPA1は、他のパッチPA2に、前記パッチPA1に保存された物質の一部を伝達することができる。前記物質の一部を伝達することは、前記パッチPA1が前記他のパッチPA2と接触し、前記パッチPA1に捕獲された液状物質SBと、前記他のパッチPA2に捕獲された物質とが互いに交流が可能な状態を有することによってもなされる。
2.2.4.2.吸収
説明に先立ち、本出願によるパッチPAの機能のうち「吸収」は、前述の「伝達」と、一部実施例において類似しても取り扱われる。例えば、物質の濃度差に起因した物質移動を想定する場合、前記液状物質SBの濃度、特に前記添加物質ASの濃度を異にし、移動される物質移動方向を制御することができるという点において、共通する側面を有することができる。また、前記パッチPAの物理的接触の分離を介した物質移動制御、及び選択的吸収などにおいても、同様に共通し、それは、本出願が属する分野の当業者に明確に理解されるであろう。
本出願によるパッチPAは、前述の特性により、外部物質を捕獲することができる。前記パッチPAは、前記パッチPAによって定義される領域の外部に存在する外部物質を、前記パッチPAの影響が作用する領域に引き入れる(pull)ことができる。引き入れられた前記外部物質は、前記パッチPAの前記液状物質SBと共に捕獲される。前記外部物質を引き入れるということは、前記パッチPAにすでに捕獲された液状物質SBと、前記外部物質との引力に起因する。あるいは、前記外部物質を引き入れるということは、前記網構造体NSの前記液状物質SBに占有されていない領域と、前記外部物質との引力に起因する。前記外部物質の引き入れは、前記表面張力の力に起因する。
以下、前述のようなパッチPAの機能を、便宜上吸収とする。前記吸収は、前述のパッチPAのチャネル機能の下位概念であり、外部物質の前記パッチPAへの移動を定義したとも理解される。
前記吸収は、前記パッチPAが前記物質移動が可能な状態、及び物質移動が不可能な状態を経て(via/through)生じうる。
前記パッチPAが吸収することができる物質は、液体状態あるいは固体状態でもある。例えば、前記パッチPAが、固体状態の物質が含まれた外部物質と接触する場合、前記パッチPAに位置する液状物質SBと、前記外部物質に含まれた固体状態の物質との引力により、前記物質の吸収が行われる。他の例として、前記パッチPAが液状の外部物質と接触する場合、前記パッチPAに位置する液状物質SBと、液状の外部物質との結合によってもなされる。
前記パッチPAに吸収された前記外部物質は、前記パッチPAをなす網構造体NSの微細空洞を介して、前記パッチPAの内部に移動するか、あるいは前記パッチPAの表面に分布することができる。前記外部物質の分布位置は、前記外部物質の分子量あるいは粒子サイズからも決定される。
前記吸収が行われる間、前記パッチPAの形状が変形される。例えば、前記パッチPAの体積、色相などが変化する。一方、前記パッチPAに吸収が行われる間、前記パッチPAの吸収環境に、温度変化、物理的状態変更などの外部条件を付加し、前記パッチPAの吸収を活性化させたり、遅延させたりすることができる。
以下、吸収が起こる場合、前記パッチPAに吸収される物質を提供する外部領域のいくつかの例示により、前記パッチPAの機能としての吸収について説明する。
以下においては、前記パッチPAが別途の外部プレートPLから外部物質を吸収する場合を想定する。ここで、別途の外部基板は、前記外部物質を吸収しないものの、前記外部物質が位置することができるプレートPLなどを例示することができる。
前記外部プレートPLには、物質が塗布されている。特に、前記プレートPLには、粉末形態で物質が塗布されてもいる。前記プレートPLに塗布されている物質は、単一成分や複数成分の混合物でもある。
前記プレートPLは、平板形態を有することができる。また、前記プレートPLは、前記物質保存性向上などのために形態が変形される。例えば、ウェル(well)を形成して保存性を向上させたり、陰刻または陽刻でプレートPLの表面を変形するか、あるいはパターニングされたプレートPLを利用し、前記パッチPAとの接触性を向上させることもできる。
本出願によるパッチPAが前記プレートPLから物質を吸収することは、前記プレートPLと前記パッチPAとの接触にもよる。そのとき、前記プレートPLと前記パッチPAとの接触面近辺の接触領域においては、前記パッチPAに捕獲された液状物質SB、及び/または前記プレートPLに塗布された物質による水膜WFが形成される。前記接触領域に、水膜(aquaplane)WFが形成されれば、前記プレートPLに塗布されていた物質が前記水膜WFにも捕獲される。前記水膜WFに捕獲された物質は、前記パッチPA内に自由に流動することができる。
前記パッチPAが、前記プレートPLと一定距離以上離隔されて分離された場合、前記水膜WFが前記パッチPAに付いて移動することにより、前記プレートPLに塗布されていた物質が前記パッチPAに吸収される。前記プレートPLに塗布されていた物質は、前記パッチPAが、前記プレートPLと一定距離以上離隔されることにより、前記パッチPAにも吸収される。前記パッチPAと前記プレートPLとが離隔されて分離されれば、前記プレートPLに提供された液状物質SBは、前記パッチPAに移動されないか、あるいは微々たるほどの量だけが前記パッチPAに吸収される。
前記プレートPLに塗布されている物質の全部または一部は、前記パッチPAに捕獲されている物質の全部または一部と特異的に反応することができる。それと係わり、前記パッチPAが前記別途のプレートPLから物質を吸収することは、選択的に行われる。特に、前記パッチPAに捕獲されている物質の一部に対し、前記プレートPLより前記パッチPAがさらに強い引力を有する場合にそうである。
一例として、前記プレートPLに一部物質が固定されてもいる。言い換えれば、前記プレートPLに一部物質が固定されており、一部物質が固定されなかいか、あるいは流動性を有しても塗布される。そのとき、前記パッチPAとプレートPLとが接触及び分離されれば、前記プレートPLに塗布された物質のうち、固定された一部物質を除いた物質だけが、選択的に前記パッチPAにも吸収される。それと異なり、固定いかんに係わりなく、前記プレートPLに位置した物質と、前記パッチPAに捕獲された物質との極性に起因し、選択的吸収が起こることも可能である。
他の一例として、前記パッチPAに捕獲された前記液状物質SBが、前記プレートPLに塗布された物質の少なくとも一部と特異的に結合する場合、前記パッチPAが、前記プレートPLに塗布されている物質と接触していて分離される場合、前記プレートPLに塗布された物質のうち、前記特異的に結合する少なくとも一部だけが、前記パッチPAにも吸収される。
さらに他の一例として、前記プレートPLに塗布された物質のうち一部は、前記プレートPLにあらかじめ固定された物質と特異的に反応することができる。そのような場合、前記プレートPLに塗布された物質のうち、前記プレートPLにあらかじめ固定された物質と特異的に反応する物質を除いた残りだけがを前記パッチPAに吸収される。
図14ないし図16は、本出願によるパッチPAの機能のうち物質の吸収の一例として、前記パッチPAが外部プレートPLから物質を吸収するところを図示する。図14ないし図16によれば、前記パッチPAは、外部プレートPLから、前記外部プレートPLに位置した物質の一部を吸収することができる。前記物質を吸収することは、前記パッチPAが、前記外部プレートPLに接触することにより、前記外部プレートPLと前記パッチPAとの接触領域近辺に水膜WFが形成され、前記水膜WFを介して、前記物質が前記パッチPAに移動可能になることによってもなされる。
ここでは、流動性を有する物質SLから、前記パッチPAに物質が吸収される場合を想定する。流動性を有する物質SLというのは、別途の保存空間に込められているか、あるいは流れる状態の液状の外部物質でもある。さらに詳細には、前記流動性を有する物質SLと、前記パッチPAに捕獲された液状物質SBとが相互流動することができる環境を有することにより、前記流動性を有する物質SLの一部または全部が、前記パッチPAに吸収される。そのとき、前記相互流動することができる環境は、前記パッチPAが、前記流動性を有する物質SLと少なくとも一部接触することによっても形成される。
前記パッチPAが、前記流動性を有する物質SLと接触されることにより、前記パッチPAは、前記流動性を有する物質SLと、物質移動の可能な状態にもなる。前記パッチPAが前記流動性を有する物質SLから分離されれば、前記流動性を有する物質SLの少なくとも一部は、前記パッチPAにも吸収される。
前記流動性を有する物質SLから前記パッチPAに物質が吸収されることは、前記パッチPAに捕獲された物質と、前記流動性を有する物質SLとの濃度差に依存する。言い換えれば、前記流動性を有する物質SLが、所定の添加物質ASに対して有する濃度より、前記パッチPAに捕獲された前記液状物質SBが、前記所定の添加物質ASに対して有する濃度が低い場合、前記パッチPAに前記所定の添加物質ASが吸収される。
一方、流動性を有する物質SLから前記パッチPAに物質が吸収される場合、前述のように、接触された状態での濃度差に依存する以外にも、電気的な要因を付加したり、物理的条件を変更したりし、前記パッチPAの吸収を制御することができる。さらに、前記パッチPAに捕獲された物質と、吸収対象になる物質とが直接接触されず、媒介体を介して間接的に接触され、物質の吸収が行われもする。
図17ないし図19は、本出願によるパッチPAの機能のうち、物質吸収の一例として、前記パッチPAが流動性を有する物質SLから物質を吸収するところを図示する。図17ないし図19によれば、前記パッチPAは、前記流動性を有する物質SL一部を吸収することができる。前記物質を吸収することは、前記パッチPAが、前記流動性を有する物質SLに投入されるか、あるいは前記流動性を有する物質SLと接触することにより、前記パッチPAに捕獲された液状物質SBと、前記流動性を有する物質SLとが互いに移動可能になることによってもなされる。
ここでは、前記パッチPAが他のパッチPAから外部物質を吸収する場合を想定する。
前記パッチPAが前記他のパッチPAから外部物質を吸収することは、前記吸収される外部物質、及び前記パッチPAにすでに捕獲された物質、並びに前記吸収される外部物質、及び前記パッチPAに吸収されていない前記外部物質との結合力差によってもなされる。例えば、前記吸収される物質が親水性を帯び、前記パッチPAが親水性を帯び、前記吸収される物質と前記パッチPAとの引力が、前述の他のパッチPAと、前記吸収される物質との引力に比べて強い場合(すなわち、前記パッチPAが前記他のパッチPAに比べ、強い親水性の性質を有する場合)、前記パッチPAと前記他のパッチPAとが接触された後で分離されるとき、前記外部物質は、前記パッチPAに少なくとも一部吸収される。
図20ないし図22は、本出願によるパッチPAの機能のうち、物質吸収の一例として、前記パッチPA3が他のパッチPA4から物質を吸収するところを図示する。図20ないし図22によれば、前記パッチPA3は、前記他のパッチPA4に位置していた物質を一部吸収することができる。前記物質を吸収することは、前記パッチPA3が、他のパッチPA4と接触することにより、前記パッチPA3に捕獲された液状物質SBと、前記他のパッチPA4に捕獲された液状物質SBとが互いに交流することができるようになることによってもなされる。
一方、パッチPAを構成する三次元網構造体NSのフレーム構造体の前記パッチPA全体体積に対する比率により、前記パッチPAの前記吸収される外部物質に対する結合力が変化することができる。例えば、前記フレーム構造体が、前記パッチPA全体に占める体積の比率が上昇することにより、前記構造体に捕獲される物質の量が減る。その場合、前記パッチPAに捕獲された物質と、前記ターゲット物質との接触面積が縮小されるというような理由で、前記パッチPAと前記ターゲット物質との結合力が低減される。
それと係わり、前記パッチPAの作製段階において、網構造体NSをなす材料の比率を調節し、前記パッチPAの極性を制御することができる。例えば、アガロースを利用して作製されたパッチPAの場合、前記アガロースの濃度を制御し、前記吸収の程度を調節することができる。
前記別途の領域が、前記パッチPAから提供される物質に対して、前記パッチPAに比べて弱い結合力を有し、前記パッチPAと前記他のパッチPAとが接触されていて分離される場合、前記吸収される外部物質は、前記パッチPAと共に、前記他のパッチPAから分離される。
2.2.4.3.環境の提供
本出願によるパッチPAは、前述の特性により、目的とする領域の環境条件を調節する機能を遂行することができる。前記パッチPAは、目的とする領域に、前記パッチPAに起因する環境を提供することができる。
前記パッチPAに起因する環境条件は、前記パッチPAに捕獲された液状物質SBに依存する。前記パッチPAは、前記パッチPAに収容された物質の特性から、あるいは前記パッチPAに収容された物質の特性に対応するように、外部領域に位置した物質に、目的とする環境を造成することができる。
前記環境を調節することは、目的とする領域の環境条件を変更するとも理解される。前述の目的とする領域の環境条件を変更することは、前記パッチPAの影響が及ぶ領域が、前記目的とする領域の少なくとも一部を含むように拡張される形態、または前記パッチPAの環境を、前述の目的とする領域と共有する形態にも具現される。
以下、前述のようなパッチPAの機能を、便宜上環境の提供とする。
パッチPAによる前記環境の提供は、前記パッチPAが前記環境を提供しようとする外部領域と物質移動が可能な状態によっても遂行される。前記パッチPAによる前記環境の提供は、接触によっても行われる。例えば、前記パッチPAが目的とする領域(例えば、外部物質、プレートPLなど)と接触すれば、前記パッチPAにより、前記目的とする領域に特定環境を提供することができる。
前記パッチPAは、適切なpH、浸透圧、湿度、濃度、温度などの環境を提供し、ターゲット領域TAの環境を調節することができる。例えば、前記パッチPAは、ターゲット領域TAまたはターゲット物質に流動性(liquidity)を付与することができる。そのような流動性の付与は、前記パッチPAに捕獲された物質の一部移動によって生じうる。前記パッチPAに捕獲された液状物質SBないしベース物質BSを介して、前記ターゲット領域TAに湿潤(wetting/moist)環境を提供することができる。
前記パッチPAによって提供される環境要因は、目的によって一定にも維持される。例えば、前記パッチPAは、前述の目的とする領域に恒常性を提供することができる。他の例として、環境の提供結果、前述の目的とする領域の環境条件が、前記パッチPAに捕獲された物質にも適応される。
前記パッチPAによる環境の提供は、前記パッチPAに含まれている液状物質SBが拡散される結果でもある。すなわち、前記パッチPAと、前述の目的とする領域とが接触すれば、接触によって形成される接触領域を介して、物質移動が可能にもなる。それと係わり、前記物質の拡散方向により、浸透圧による環境変化、イオン濃度による環境変化、湿潤環境の提供、及びPHの変化などが具現される。
図23ないし図25は、本出願によるパッチPAの機能のうち、環境提供の一例として、前記パッチPAが外部プレートPLに所定の環境を提供するところを図示する。図23ないし図25によれば、前記パッチPAは、第4物質SB4及び第5物質SB5が位置した外部プレートPLに、所定の環境を提供することができる。例えば、前記パッチPAは、前記プレートPLに、前記第4物質SB4及び前記第5物質SB5が反応し、第6物質SB6を形成するための所定の環境を提供することができる。前記環境を提供することは、前記パッチPAが、前記プレートPLと接触することにより、接触領域近辺に水膜WFが形成され、前記形成された水膜WFに、前記第4物質SB4及び第5物質SB5が捕獲されることによってもなされる。
3.パッチの適用
本出願によるパッチPAは、前述のパッチPAの機能を適切に適用し、多様な機能を遂行するようにも具現される。
以下では、いくつかの実施例を開示することにより、本出願の技術的思想について説明する。ただし、本出願によって開示されるパッチPAの機能が適用されたり応用されたりする技術的範囲は、当業者の容易導出範囲内において、拡張されて解釈されなければならならず、本明細書に記載している実施例によって限定され、本出願の権利範囲が解釈されるものではない。
3.1.In-patch
前記パッチPAは、物質反応領域を提供することができる。言い換えれば、パッチPAの影響が及ぶ空間領域の少なくとも一部において、物質反応が生じうる。そのとき、該物質反応は、前記パッチPAに捕獲されている液状物質SB間の反応、及び/または捕獲されている液状物質SBと、前記パッチPAの外部から提供される物質との反応でもある。物質反応領域を提供することは、物質反応を活性化ないし促進することでもある。
そのとき、前記パッチPAに捕獲されている液状物質SBというのは、前記パッチPAの作製当時に投入された物質、前記パッチPAに、作製後に投入され、前記パッチPAが保存している物質、及び一時的に前記パッチPAに捕獲された物質のうち少なくともいずれか一つを含んでもよい。言い換えれば、前記パッチPAでの反応が活性化される時点において、前記パッチPAに捕獲されている物質であるならば、いかなる形態で前記パッチPAに捕獲されているかということは問わず、前記パッチPAで反応することができる。さらに、前記パッチPAの作製後に投入される物質が反応開始子と作用することも可能である。
前記パッチPAに捕獲されている液状物質SBが係わる反応の反応領域の提供は、前述の2.1.3.(すなわち、反応空間の提供)目次の実施例的下位概念でもある。または、前述の2.1.3目次及び2.2.4.2(すなわち、吸収)目次の結合された機能を遂行するマルチ概念でもある。また、それらに限定されるものではなく、2以上の機能が併合された形態にも具現される。
3.1.1.第1実施例
以下では、前記パッチPAの吸収機能、及び反応空間の提供機能(以下、提供機能とする)が、1つのパッチPAによって遂行されると想定して説明する。このとき、前述の吸収機能、及び前述の提供機能は、同時に遂行される機能でもあり、互いに別個の時点に遂行される機能でもあり、互いに順次に遂行され、1つのさらに他の機能を遂行することもできる。一方、前記パッチPAが、前述の吸収及び提供機能だけではなく、追加して他の機能をさらに含むことも、本実施例に含まれるものであると見ることができる。
前記パッチPAは、前述のように、物質を捕獲する機能を遂行することができ、前記物質は、捕獲されている場合にも、流動性があり得る。前記液状物質SBの一部成分の分布が不均一であるならば、前記不均一な成分は、拡散することができる。前記液状物質SBの成分が均一に分布する場合にも、前記液状物質SBは、粒子の不規則運動により、ある程度レベルの移動性がある状態でもある。そのとき、前記パッチPA内部においては、物質間の反応、例えば、物質間の特異的結合などが起こることができる。
例えば、前記パッチPAにおいては、捕獲されている物質間の反応以外にも、前記パッチPAに新たに捕獲された流動性がある物質、及び前記パッチPAに捕獲されていた物質が互いに特異的結合を行う形態の反応も可能である。
前記流動性がある物質と、前記捕獲されていた物質との反応は、前記流動性のある物質が提供されていた任意の空間と分離されて遂行されることも可能である。例えば、前記パッチPAが任意の空間から、前記流動性がある物質を吸収してから、前記パッチPAが前記任意の空間から分離され、前記吸収された物質と、前記パッチPAに捕獲されていた物質との反応が、前記パッチPAで生じる。
また、前記パッチPAは、流動性がある物質に対して、吸収機能を遂行することにより、捕獲されている物質反応を起こさせる。言い換えれば、前記パッチPAの前記流動性がある物質吸収をトリガにし、前記吸収された物質と、前記パッチPAに捕獲されていた物質との反応が起こる。前記反応は、前記パッチPAによって定義される空間内部でも遂行される。
また、前記パッチPA内部で起こる反応により、前記パッチPAに捕獲された液状物質SBの組成が変更される。それは、特に、前記パッチPA内部に捕獲されている物質が化合物である場合、反応前後において、化学的組成が変更されもする。あるいは、物質の前記パッチPAでの位置による組成分布が変更されもする。それは、拡散によったり、他の物質に対して特異的引力を有する粒子によったりするものであるとも例示される。
前記パッチPA内部の反応により、前記液状物質SBの組成が変更されれば、前記パッチPAと、前記パッチPA外部の物質(接触された物質がある場合、当該接触された物質)との濃度差により、前記パッチPAに一部物質が吸収されるか、あるいは前記パッチPAから前記外部の物質に前記物質が放出される。
3.1.2.第2実施例
以下では、前記パッチPAの保存機能、及び物質反応空間を提供する機能が少、なくとも一定時間、共に遂行される実施例について説明する。さらに詳細には、前記パッチPAに保存された液状物質SBの少なくとも一部が反応するための空間を提供する機能を遂行することができる。
前記パッチPAは、物質を保存することができ、保存された物質反応空間を提供することができる。そのとき、前記パッチPAによって提供される反応空間は、前記パッチPAの前記網構造体NSが形成する前記微細空洞、あるいは前記パッチPAの表面領域でもある。特に、前記パッチPAに保存された物質、及び前記パッチPAの表面に塗布された物質が反応する場合、前記反応空間は、前記パッチPAの表面領域でもある。
前記パッチPAによって提供される反応空間は、特定の環境条件を提供する役割を行うことができる。パッチPAは、前記パッチPAに位置した液状物質SBでの反応が進められる間、前記反応の環境条件を調節することができる。例えば、パッチPAは、緩衝溶液の機能を遂行することができる。
前記パッチPAは、網構造を介して、物質を保存することにより、別途の保存容器を必要としない。また、前記パッチPAの反応空間が、前記パッチPAの表面である場合、前記パッチPAの表面を介して、容易に観察される。そのために、前記パッチPAの形態は、観察が容易な形態にも変形設計される。
前記パッチPAに保存された液状物質SBは、変性されるか、あるいは他種の物質と反応することができる。前記パッチPAに保存された液状物質SBは、経時的にも組成が変更される。
一方、前記反応は、化学式が変更される化学的反応や、物理的状態変化あるいは生物学的反応を意味する。そのとき、前記パッチPAに保存された液状物質SBは、単一成分の物質や、複数の成分を含む混合物でもある。
3.2.Channeling
以下では、物質移動経路を提供する機能を遂行するパッチPAについて説明する。さらに具体的には、前記パッチPAは、前述のように、流動性がある物質などを捕獲することができ、吸収することができ、放出することができ、かつ/または保存することができる。前述のパッチPAの機能それぞれ、あるいは組み合わせとして、物質移動経路を提供する機能を遂行するパッチPAの多様な実施例を具現することができる。ただし、さらに具体的な理解のために、いくつかの実施例を開示する。
3.2.1.第3実施例
前記パッチPAは、前述のパッチPAの機能のうち、2.2.4.1(すなわち、伝達に係わる目次)及び2.2.4.2(すなわち、吸収に係わる目次)を遂行するようにも具現される。そのとき、前記吸収機能、及び前記伝達機能は、共に提供され、順次にも提供される。
前記パッチPAは、前記吸収及び前記伝達の機能を共に遂行し、物質移動経路を提供することができる。特に、外部物質を吸収して外部領域に伝達することにより、前記外部物質移動経路を提供することができる。
前記パッチPAが外部物質移動経路を提供することは、前記外部物質を吸収し、前記外部物質を放出することによっても遂行される。さらに詳細には、前記パッチPAは、外部物質と接触し、前記外部物質を吸収し、前記外部領域と接触し、前記外部領域に前記外部物質を伝達することができる。そのとき、前記パッチPAが前記外部物質を捕獲し、前記外部領域に伝達することは、前述の吸収及び伝達と類似した過程によっても進められる。
前記パッチPAに吸収されて伝達する外部物質は、液体状や固体状でもある。
それを介して、前記パッチPAは、外部物質から、一部物質が前記他の外部物質に伝達される。前記パッチPAと、外部物質及び他の外部物質は、同時に接触している。前記パッチPAと、前記外部物質及び他の外部物質は、互いに異なる時点において、前記パッチPAに接触される。
前記パッチPAと、前記外部物質及び他の外部物質とが互いに異なる時点にも接触される。前記各外部物質が互いに異なる時点に接触される場合、前記パッチPAと前記外部物質とが先に接触され、前記外部物質と前記パッチPAとが分離された後、前記パッチPAと、前記他の外部物質とが接触されることができる。そのとき、前記パッチPAは、前記外部物質から捕獲された物質を一時的に保存してもいる。
前記パッチPAは、物質移動経路を提供すると共に、時間の遅延をさらに提供することができる。また、前記パッチPAは、他の外部物質への物質の伝達量及び伝達速度を適切に調節する機能を遂行することができる。
一方、そのような一連の過程は、前記パッチPAを基準にして一方向にも進められる。具体的な例示として、前記パッチPAの一面を介して、物質吸収が行われ、前記パッチPAの内部空間において、環境を提供することができ、前記一側面と対面する他の面を介しても物質が放出される。
3.2.2.第4実施例
前記パッチPAは、前述のパッチPAの機能において、物質を吸収して放出すると共に、物質反応空間を提供することができる。そのとき、前記物質の吸収、放出、及び反応空間の提供は、同時にあるいは順次にも遂行される。
一実施例によれば、前記パッチPAは、外部物質を吸収及び放出する過程を遂行するにおいて、前記吸収された外部物質に、少なくとも一部時間の間、反応空間を提供することができる。前記パッチPAは、前記吸収された外部物質を含む前記パッチPAに捕獲された液状物質SBに、少なくとも一部時間の間、特定環境を提供することができる。
前記パッチPAに捕獲されていた液状物質SBと、前記パッチPAに捕獲された外部物質は、前記パッチPA内部において反応することができる。前記パッチPAに吸収された外部物質は、前記パッチPAが提供する環境の影響を受ける。前記パッチPAから放出される物質は、前記反応を介して生成された物質を少なくとも一部含んでもよい。前記外部物質は、前記パッチPAから組成、特性などが変更されて放出される。
前記吸収された物質は、前記パッチPAからも放出される。前記外部物質が前記パッチPAに吸収され、前記パッチPAから放出されることは、前記パッチPAを通過するとも理解される。前記パッチPAを通過した前記外部物質は、前記パッチPA内部での反応、あるいは前記パッチPAが提供する環境の影響で同一性を喪失してしまう。
前述の外部物質吸収、物質反応及び物質伝達の過程は、一方向にも進められる。言い換えれば、前記パッチPAの一位置においては、物質吸収が行われ、他の一位置においては、環境提供が行われ、さらに他の一位置においては、物質の放出が行われる。
図26ないし図28は、本出願によるパッチPAの一実施例として、2つのプレートPL間において、物質移動経路を提供するところを図示する。図26ないし図28によれば、前記パッチPAは、第7物質SB7が塗布されたプレートPL1と、第8物質SB8が塗布されたプレートPL2との間において、物質移動経路を提供することができる。具体的な例として、前記第7物質SB7が前記第8物質と結合性を有し、前記第8物質は、プレートPL2に固定されている場合、前記パッチPAが、前記プレートPL1,PL2と接触することにより、前記第7物質SB7が、前記パッチPAを介して移動し、前記第8物質SB8と結合することができる。前記第7物質SB7及び前記第8物質SB8が前記パッチPAと連結されることは、前記パッチPAが、各プレートPL1,PL2と接触することによって形成される水膜WFにもよる。
図29及び図30は、本出願によるパッチPAの一実施例として、2つのパッチ間において、物質移動経路を提供するところを図示する。図29及び図30によれば、前記移動経路を提供するパッチPA6は、移動対象物質を保存するパッチPA5、及び移動対象物質を伝達受けるパッチPA7と接触してもいる。前記移動経路を提供するパッチPA6が、移動対象物質を保存するパッチPA5、及び移動対象物質を伝達受けるパッチPA7と接触することにより、前記移動対象物質が、前記移動対象物質を伝達されるパッチPA7にも移動される。各パッチ間においての物質移動は、各パッチ間の接触領域近辺に形成される水膜WFを介しても行われる。
図31及び図32は、本出願によるパッチの一実施例として、2つのパッチ間において、物質移動経路を提供するところを図示する。図29及び図30によれば、前記移動経路を提供するパッチPA9は、第9物質SB9を保存するパッチPA8、及び物質を伝達されるパッチPA10と接触してもいる。前記移動経路を提供するパッチPA9が、第9物質SB9を保存するパッチPA8と接触することにより、前記第9物質SB9を吸収することができる。前記吸収された第9物質SB9は、前記移動経路を提供するパッチPA9に保存されていた第10物質SB10と反応し、第11物質を形成することができる。前記第11物質SB11は、前記移動経路を提供するパッチPA9から、前記物質を伝達されるパッチPA10に伝達することができる。各パッチPA間から物質が移動することは、各パッチPA間の接触領域近辺に形成される水膜WFを介しても行われる。
3.3.Multi patch
パッチPAは、単独で使用されるだけではなく、複数のパッチPAが共に使用される。そのとき、複数のパッチPAが共に使用されるということは、同時に使用される場合だけではなく、順次に使用される場合も含む。
前記複数のパッチPAが同時に使用される場合、それぞれのパッチPAは、互いに異なる機能を遂行することができる。前記複数のパッチPAのそれぞれのパッチPAは、同一物質を保存することができるが、互いに異なる物質を保存することもできる。
前記複数のパッチPAが同時に使用される場合、各パッチPAは、互いに接触されず、パッチPA間の物質移動は、起こらないか、あるいは各パッチPAに保存された物質の相互交流が可能な状態で、目的とする機能を遂行することも可能である。
共に使用される複数のパッチPAは、互いに類似した形状、あるいは同一規格にも作製されるが、互いに異なる形状を有する複数のパッチPAの場合にも、共に使用される。また、複数のパッチPAを構成する各パッチPAは、網構造体NSの稠密度が互いに異なるか、あるいは網構造体NSをなす成分が異なるようにも作製される。
3.3.1.複数パッチの接触
複数のパッチPAを利用する場合、1つのターゲット領域TAに複数のパッチPAが接触することができる。前記複数のパッチPAは、1つのターゲット領域TAに接触して目的とする機能を遂行することができる。
前述の複数のパッチPAは、ターゲット領域TAが複数である場合、互いに異なるターゲット領域TAにも接触される。前記複数のパッチPAは、ターゲット領域TAが複数である場合、それぞれ対応するターゲット領域TAに接触し、目的とする機能を遂行することができる。
前記複数のパッチPAは、前記ターゲット領域TAに塗布されている物質と接触される。そのとき、ターゲット領域TAに塗布された物質は、固定されているか、あるいは流動性を有することができる。
前述の目的とする機能は、物質伝達あるいは吸収機能でもある。ただし、必ずしも各パッチPAが同一物質を伝達するか、あるいは同一物質を吸収しなければならないものではなく、各パッチPAが、互いに異なる物質をターゲット領域TAに伝達するか、あるいはターゲット領域TAに位置した物質から、互いに異なる成分を吸収することができる。
前述の目的とする機能は、前記複数のパッチPAを構成する各パッチPAごとに、互いに異なりもする。例えば、1つのパッチPAは、ターゲット領域TAに物質を伝達する機能を遂行し、他のパッチPAは、ターゲット領域TAから物質を吸収する機能を遂行することも可能である。
前記複数のパッチPAは、互いに異なる物質を含み、前記互いに異なる物質は、1つのターゲット領域TAに伝達し、目的とする反応を誘導するためにも利用される。前述の目的とする反応が起こるために、複数成分の物質が要求される場合、複数のパッチPAに、前記複数成分の物質をそれぞれ保存し、ターゲット領域TAに伝達することができる。そのような複数のパッチPAの利用は、反応に必要な物質が、単一パッチPAに保存されるというような理由で混合する場合、目的とする反応に必要な物質の性質が喪失されたり変質したりする場合、特に有用である。
一実施例によれば、複数のパッチPAが互いに異なる成分の物質を含み、前記互いに異なる成分の物質は、それぞれ異なる特異的結合関係を有する場合、前述の互いに異なる成分の物質を、前記ターゲット領域TAに伝達することができる。前述の複数のパッチPAは、前記互いに異なる成分の物質を伝達することにより、前記ターゲット領域TAに塗布された物質から、複数の特異的結合を検出するためにも利用される。
他の実施例によれば、複数のパッチPAが、互いに同一成分の物質を含むが、各パッチPAは、前記同一成分の物質に対して、異なる濃度を有することができる。前述の互いに同一成分の物質を含む複数のパッチPAは、ターゲット領域TAに接触され、前記複数のパッチPAに含まれた物質の濃度による影響を判断するためにも利用される。
一方、前述のように、複数のパッチPAを利用する場合、パッチPAのまとまりを、さらに効率的な形態に変形させて利用することができる。言い換えれば、使用される複数のパッチPAの構成を、実施時ごとに異にして利用することができる。すなわち、複数のパッチPAを、カートリッジ形態に作製して利用することができる。そのとき、利用される各パッチPAの形態を適切に規格化して作製することもできる。
前記カートリッジ形態の複数のパッチPAは、複数種類の物質をそれぞれ保存するパッチPAを作製し、必要により、取捨選択して利用する場合に適する。
特に、複数種類の物質を利用し、ターゲット領域TAから各物質の特異的反応を検出する場合、検出を実施するたびに、検出する特異的反応の組み合わせを異ならせて構成して実施することができる。
図33は、本出願によるパッチPAの一実施例として、複数のパッチPAが共に使用されるところを図示する。図33によれば、本出願の一実施例による複数のパッチPAは、プレートPLに位置するターゲット領域TAに同時に接触される。前記複数のパッチPAを構成する各パッチPAは、規格化された形態を有することができる。前記複数のパッチPAは、第1パッチ及び第2パッチを含み、第1パッチに保存された物質は、第2パッチに保存された物質と異なりもする。
図34は、複数のパッチPAが共に使用され、前記プレートPLは、複数のターゲット領域TAを含むことを図示する。図34によれば、本出願の一実施例による複数のパッチPAは、プレートPLに位置する複数のターゲット領域TAに同時に接触される。前記複数のパッチPAは、第1パッチPA及び第2パッチPAを含み、前記複数のターゲット領域TAは、第1ターゲット領域及び第2ターゲット領域を含み、前記第1パッチは、前記第1ターゲット領域に接触され、前記第2パッチは、第2ターゲット領域に接触される。
3.3.2.第5実施例
前記複数のパッチPAは、複数の機能を遂行することができる。前述のように、それぞれのパッチPAが複数の機能を同時に遂行することができることは、それぞれのパッチPAが、互いに異なる機能を同時に遂行することもできるということは言うまでもない。ただし、前述の場合に限定せず、各機能が複数のパッチPAで組み合わされて遂行されることも可能である。
まず、それぞれのパッチPAが、複数の機能を同時に遂行する場合であり、それぞれのパッチPAが、物質の保存及び放出をいずれも行うことができる。一例として、それぞれのパッチPAが互いに異なる物質を保存し、ターゲット領域TAに、それぞれの保存された物質を放出することができる。その場合、それぞれの保存された物質は、同時にあるいは順にも放出される。
次に、それぞれのパッチPAが互いに異なる機能を同時に遂行する場合として、それぞれのパッチPAが、物質の保存及び放出を分けて遂行することもできる。その場合、それぞれのパッチPAらのうち一部だけがターゲット領域TAと接触し、前記ターゲット領域TAに物質を放出することができる。
3.3.3.第6実施例
複数のパッチPAが利用される場合、前述のように、複数のパッチPAは、複数の機能を遂行することができる。まず、それぞれのパッチPAが、同時に物質保存、放出及び吸収を同時に行うことができる。あるいは、それぞれのパッチPAが、物質の保存、放出及び吸収を分けて遂行することも可能である。しかし、それらに限定されるものではなく、各機能が複数のパッチPAで組み合わされて遂行されることも可能である。
一例として、複数のパッチPAのうち少なくとも一部は、物質を保存し、保存された物質をターゲット領域TAに放出することができる。そのとき、複数のパッチPAにおいて、他の少なくとも一部は、前記ターゲット領域TAから物質を吸収することができる。前記複数のパッチPAのうち一部は、前記ターゲット領域TAに位置した物質と特異的に結合する物質を放出することができる。そのとき、前記ターゲット領域TAに位置した物質のうち、前記特異的結合を形成しない物質を、他のパッチPAを利用して吸収することにより、特異的結合の検出を行うことができる。
3.3.4.第7実施例
複数のパッチPAが利用される場合、それぞれのパッチPAが同時に物質の保存、放出、及び環境提供を同時に行うことができる。あるいは、それぞれのパッチPAが物質の保存、放出、及び環境提供を分けて遂行することができる。ただし、それに限定されるものではなく、各機能が複数のパッチPAで組み合わされて遂行されることも可能である。
一例として、複数のパッチPAにおいて、1つのパッチPAは、保存された物質をターゲット領域TAに放出することができる。そのとき、他のパッチPAは、前記ターゲット領域TAに環境を提供することができる。ここで、該環境を提供することは、前記他のパッチPAに保存された物質の環境条件を、前記ターゲット領域TAに伝達する形態によっても具現される。さらに詳細には、1つのパッチPAにより、ターゲット領域TAに反応物質が提供され、前記他のパッチPAは、前記ターゲット領域TAに接触し、緩衝環境を提供することができる。
他の例として、複数のパッチPAは、互いに接触されている。そのとき、少なくとも1つのパッチPAは、物質を保存し、環境を提供する他のパッチPAに、保存された物質を放出することができる。本実施例において、環境を提供するパッチPAは、物質を放出し、互いに接触しない少なくとも1つのパッチPAとそれぞれ接触し、それぞれのパッチPAから物質を吸収することができる。
4.保存媒体
4.1.保存媒体の意義
本発明の一実施例によれば、保存媒体は、試薬を保存することができる。前記試薬は、検体の診断にも利用される。
前記保存媒体は、前記試薬をパッチに伝達することができる。前記保存媒体は、パッチと接触し、前記パッチに前記試薬を伝達することができる。前記保存媒体は、前記試薬を反応領域に伝達することができる。前記保存媒体は、前記反応領域と接触し、前記試薬を反応領域に伝達することができる。
前記試薬を別途の保存媒体に保存し、前記試薬の変質を緩和することができる。前記保存媒体を利用し、前記試薬を保存すれば、前記試薬の変質が遅延される。さらに具体的には、前記パッチを利用して反応を行う場合、該試薬が、前記パッチに保存され、長期間保管されながら変質が起こる。変質された前記試薬は、目的とする反応に利用され難い。前記保存媒体は、前記試薬の保管性を向上させることができる。前記保存媒体を利用し、前記試薬を保存すれば、変質されやすい物質を、さらに容易に保管することができる。前記保存媒体を利用し、前記試薬を保存すれば、前記試薬の保管期間を延長させ、保管される間の品質変化を最小化させることができる。
以下では、前記保存媒体、前記保存媒体を利用した検査方法、及び前記保存媒体を利用した検査モジュールなどについて説明する。
4.2.保存媒体の機能
本出願による保存媒体は、試薬ないし物質(以下、「物質」とする)の取り扱いのためにも利用される。前記保存媒体は、前記物質の保存、保管及び伝達などのためにも利用される。しかし、それらに限定されるものではなく、前記保存媒体は、物質の取り扱いのための多様な用途にも利用される。
以下では、前記保存媒体の機能について説明する。
4.2.1.保存
本出願で開示する保存媒体は、物質を保存するためにも利用される。前記保存媒体は、前記物質を保存することができる。前記保存媒体は、前記物質の品質変化を緩和することができる。前記保存媒体は、前記物質の変質を遅延させることができる。前記保存媒体は、前記物質の変質を予防することができる。
本明細書において、前記保存媒体が物質を「保存」することは、前述のパッチの「保存」機能とは別個にも理解される。前記保存媒体が物質を保存することと、前記パッチが物質を保存することは、同一ではなく、独立した機能とも理解される。前記保存媒体と前記パッチは、類似のメカニズムで物質を保存することができる。本明細書において、前記保存媒体が前記物質を「保存」することは、前記保存媒体が前記物質を収容または含有することなどをまとめたものであると理解される。
前記保存媒体は、前記物質を保存状態で保存することができる。前記保存状態は、前記物質が高濃度に備えられた状態でもある。例えば、前記保存状態は、前記物質が凝固された状態、前記物質が乾燥された状態、前記物質が凍結乾燥された状態、物質が前記保存媒体にコーティングされた状態、前記物質が前記保存媒体に印刷された状態などでもある。また、前記保存状態は、前記物質の非活性状態でもある。
該非活性状態と係わり、保存媒体の保管機能と係わって後述する。
前記保存媒体は、物質を固相で保存することができる。前記保存媒体は、液状物質を保存し、前記物質が乾燥された状態で保存することができる。前記保存媒体は、冷凍された物質を保存することができる。前記保存媒体は、凍結乾燥された物質を保存することができる。
前記保存媒体には、前記物質を固定して保存することができる。前記物質は、前記保存媒体の一面にもコーティングされる。前記物質は、前記媒体の一面にも印刷される。前記物質が固定された状態は、前記物質が前記保存媒体と結合し、容易に分離されない状態を意味する。
前記保存媒体は、前記物質を吸収して保存することができる。前記保存媒体は、前記物質を液状物質状態で吸収して保存することができる。前記物質は、前記物質を溶質にする溶液状態で、前記保存媒体に吸収され、前記溶液の溶媒が乾燥された状態で、前記保存媒体にも保存される。前記保存媒体は、前記物質を液状物質状態で吸収し、乾燥された状態で保存することができる。前記物質は、前記保存媒体に吸収され、冷凍されても保存される。前記物質は、前記保存媒体に吸収され、凍結乾燥されても保存される。前記物質は、支持物質と共に乾燥され、前記保存媒体を形成することができる。
前記物質は、前記保存媒体に吸収されても固定される。前記物質が固定された状態は、前記物質が前記保存媒体の骨格構造に結合し、容易に分離されない状態を意味する。前記物質は、前記保存媒体に静電気的引力によって結合されている。
図36は、本明細書で開示する発明の一実施例による保存媒体MEを図示したものである。図36を参照すれば、前記保存媒体MEは、前記物質SBを吸収して保存することができる。前記保存媒体MEは、前記物質SBを吸い付いて保存することができる。前記保存媒体MEは、モセ官歴を発生させる微細構造を含んでもよい。前記物質SBは、前記保存媒体MEを構成する纎維組織が形成する微細空洞に保存されることができる。
前記保存媒体は、前記物質を、前記物質が一面に塗布された状態で保存することができる。前記保存媒体は、前記物質が液状に塗布された一面を有することができる。前記物質は、前記物質を溶質にする溶液状態で、前記保存媒体の一面にも塗布される。前記物質は、前記溶液の溶媒が乾燥された状態でも保存される。前記保存媒体は、前記物質が液状に塗布されて乾燥された一面を有することができる。前記保存媒体は、前記物質が乾燥された粉末状態に塗布された一面を有することができる。前記保存媒体は、前記物質が凍結乾燥された状態に塗布された一面を有することができる。前記保存媒体は、前記物質が塗布されて凍結された一面を有することができる。
前記物質は、前記保存媒体に塗布されても固定される。前記物質が固定された状態は、前記物質が前記保存媒体の表面に結合し、容易に分離されない状態を意味する。
図37は、本明細書で開示する発明の一実施例による保存媒体MEを図示したものである。図37を参照すれば、前記保存媒体MEは、前記物質SBが塗布された一面を有することができる。前記物質SBは、前記保存媒体MEの主面にも塗布される。前記物質は、前記保存媒体MEの一面にもコーティングされる。前記物質SBは、前記保存媒体MEの一面に凍結乾燥状態でも固定される。ただし、それらに限定されるものはなく、前記物質SBは、前記保存媒体MEの複数面または表面全体に塗布されても保存される。
本出願の保存媒体に前記物質を保存することにより、前記物質を保存するための空間を効率的に運用することができる。前記物質は、前記パッチに保存されたり、別途の保存容器に入れられたりして、反応に利用されるまで保管されるが、反応に要求される物質の量に比べ、保存空間を多く占めることにより、空間使用効率が落ちてしまう。また、前記物質を運ぶ場合には、物質の流出が生じうる。本出願による保存媒体を利用し、前記物質を保存する場合、物質保存密度が向上し、さらに効率的な保存空間の管理が可能になる。また、前記保存媒体を利用し、前記物質を保存すれば、物質を安全であって便利に保存することができる。
前記保存媒体は、多様な物質を保存することができる。前記保存媒体に保存される物質は、親水性物質または疎水性物質でもある。前記物質は、脂溶性または水溶性でもある。
前記保存媒体は、染色試薬を保存することができる。前記保存媒体は、エオシンを保存することができる。前記保存媒体は、メチレンブルーを保存することができる。前記保存媒体は、蛍光染色物質を保存することができる。前記保存媒体は、DAPI試薬を保存することができる。
前記保存媒体は、栄養物質を保存することができる。前記保存媒体は、組織ないし細胞を培養するための栄養物質を保存することができる。
前記保存媒体は、生体物質を保存することができる。前記物質は、抗体または抗原でもある。前記物質は、核酸でもある。前記保存媒体は、遺伝物質を保存することができる。前記微細粒子は、ターゲット遺伝子配列を検出するためのプローブでもある。該微細粒子は、酵素でもある。前記微細粒子は、助酵素でもある。前記保存媒体は、疾病の診断に利用される物質を保存することができる。
前記保存媒体は、微細粒子を保存することができる。前記微細粒子は、マイクロ粒子またはナノ粒子でもある。前記微細粒子は、マグネチックビードでもある。前記微細粒子は、伝達物質を保存及び/または運搬するナノカプセルでもある。前記微細粒子は、水溶性または脂溶性の溶液に溶解されない粒子でもある。前記微細粒子は、場合により、分子単位の物質を称する。
4.2.2.保管
本出願で開示する保存媒体は、前記物質を保管することができる。前記保存媒体は、前記物質の変質を防止することができる。前記保存媒体は、前記物質の品質変化が最小化されるように保管することができる。前記保存媒体は、前記物質保存期間を延長させることができる。前記保存媒体は、前記物質保存期間が延長されるように前記物質を保管することができる。前記保存媒体は、前記物質が目的とする反応に利用されることができる保管期間を延ばすことができる。前記保存媒体は、前記物質が前記保存媒体に保存された時から前記物質が目的とする反応に利用される時点まで、前記物質の品質を適切に維持しながら保管することができる。
本出願の保存媒体は、前記物質が目的とする反応にも利用される状態を維持することができる。前記保存媒体は、前記物質の品質低下を緩和することができる。前記保存媒体は、前記物質の品質低下を遅延させることができる。前記保存媒体は、前記物質が前記反応に利用される状態を有する期間を延長させることができる。
以下において、前記保存媒体が物質を「保管」するということは、前記物質の品質変化を遅延させること以外に、前述の保存媒体の機能をまとめる意味であるとも解釈される。前記保存媒体が前記物質を「保管」することは、前記保存媒体が前記物質を「保存」することにより、前記物質が「保管」されるのである。
前記保存媒体は、前記物質を非活性状態で保管することができる。前記非活性状態は、前記物質反応性が低下された状態でもある。前記非活性状態は、前記物質の変質速度が低下された状態でもある。前記非活性状態は、前記物質の機能が弱化された状態でもある。前記非活性状態は、前記物質の流動性が低下された状態でもある。前記非活性状態は、前記物質移動性が低下された状態でもある。前記非活性状態は、前記物質が目的とする反応を行うことができない状態でもある。
例えば、前記非活性状態は、前記物質が乾燥された状態でもある。前記非活性状態は、前記物質がエアドライまたは凍結乾燥された状態でもある。前記非活性状態は、前記物質の活性温度より低温である状態でもある。前記非活性状態は、前記物質が冷凍された状態でもある。前記非活性状態は、外部との接触が遮断された状態でもある。前記非活性状態は、前記物質がコーティングされた状態でもある。
前記保存媒体は、前記保存媒体内に前記物質を保管することができる。前記保存媒体は、前記保存媒体を形成する骨格構造体に、前記物質を保管することができる。前記保存媒体は、前記保存媒体の骨格構造体に前記物質を固定させ、前記物質を保管することができる。図36を参照すれば、前記物質は、前記保存媒体に染み込んでも保管される。
前記保存媒体は、前記保存媒体の表面に、前記物質を保管することができる。前記保存媒体は、前記保存媒体の一面に、前記物質を固定させて保管することができる。前記保存媒体は、前記物質を、前記保存媒体の一面に吸着させて保管することができる。図37を参照すれば、前記物質は、前記保存媒体の表面に塗布されても保管される。
前記保存媒体は、多様な物質を保管することができる。前記保存媒体は、前記パッチに、長期保管が不利な物質を保管することができる。例えば、前記保存媒体に保管される物質は、生体試薬を診断するための蛍光標識物質でもある。前記保存媒体に保管される物質は、生体試薬を診断するための抗体でもある。前記保存媒体に保管される物質は、生体試薬を診断するための基質でもある。前記保存媒体に保管される物質は、生体試薬を診断するためのプローブでもある。
本発明の一例によれば、前記保存媒体は、親水性物質を保管することができる。前記保存媒体は、水溶液に溶解される物質を保管することができる。例えば、前記保存媒体は、pH調節のための化合物を保管することができる。他の例によれば、前記保存媒体は、疎水性物質を保管することもできる。前記保存媒体は、脂溶液にも溶解される物質を保管することができる。
前記保存媒体は、検体を診断するための物質を保管することができる。前記保存媒体は、検体にターゲット物質が含まれているか否かということを判断するための試薬を保管することができる。前記物質は、生体試薬を診断するための物質でもある。前記物質は、検体に含まれたターゲット物質を検出するための物質でもある。前記物質は、反応速度を速めるための触媒でもある
前記物質は、検体にターゲット物質が含まれているか否かということを判断するための試薬でもある。前記物質は、ターゲット物質を検出するための標識物質でもある。前記物質は、染色標識物質、蛍光標識物質、磁性標識物質、電気化学的標識物質などでもある。
前記物質は、ターゲットタンパク質を検出するための抗体でもある。前記物質は、標識物質を検出するための基質でもある。
前記物質は、標識物質を保管することができる。前記保存媒体は、染色試薬を保管することができる。前記保存媒体は、生体物質を保管することができる。前記物質は、抗体または抗原でもある。前記物質は、基質でもある。前記物質は、核酸でもある。前記保存媒体は、遺伝物質を保管することができる。前記物質は、ターゲット遺伝子配列を検出するためのプローブを含んでもよい。前記物質は、酵素を含んでもよい。前記物質は、助酵素を含んでもよい。前記保存媒体は、生物学的物質を保管することができる。前記保存媒体は、疾病の診断に利用される物質を保管することができる。
前記保存媒体は、微細粒子を保管することができる。前記微細粒子は、マイクロ粒子またはナノ粒子でもある。前記微細粒子は、マグネチックビードでもある。前記微細粒子は、伝達物質を保存及び/または運搬するナノカプセルでもある。前記微細粒子は、水溶性または脂溶性の溶液に溶解されない粒子でもある。前記微細粒子は、場合により、分子単位の物質を称する。
前記保存媒体は、前記物質の保管効率を向上させるために、別途の物質をさらに含んでもよい。前記保存媒体は、品質維持の対象になる保存物質、及び前記保存物質の品質維持のための添加物質をさらに含んでもよい。
本出願で開示する保存媒体によって保存、保管または伝達される物質は、前述の例示に限定されるものではない。前記保存媒体によって取り扱われる物質には、本明細書で言及される多様な物質が該当する。ただし、それらに限定されるものではなく、前記保存媒体は、保管性の向上が要求される多様な物質の保存及び/または伝達のためにも利用される。
前記保存媒体は、複数種類の物質を保管することができる。該複数種類の物質は、混合されても保管される。該複数種類の物質は、分離されても保管される。前記保存媒体は、互いに反応する第1物質及び第2物質を保管することができる。そのとき、前述の第1物質及び第2物質は、非活性状態で、前記保存媒体にも保管される。
図38は、本明細書で開示する発明の一実施例による保存媒体MEを図示したものである。図38を参照すれば、前記物質SBは、前記保存媒体MEの領域により、異なって保管されている。例えば、前記保存媒体MEの第1領域には、第1物質SBaが塗布されている。前記保存媒体MEの第2領域には、第2物質SBbが塗布されている。例えば、前記保存媒体MEの第1領域には、第1物質SBaが吸収されている。前記保存媒体MEの第2領域には、第2物質SBbが吸収されている。図38を参照すれば、前記第1物質SBa及び第2物質SBbは、分離されて保存されることにより、前記保存媒体MEにおいては、前記第1物質SBaと第2物質SBbとの反応が発生しない。ユーザは、前記第1物質SBa及び前記第2物質SBbの反応時期を適切に決定することができる。
4.2.3.伝達
本出願の保存媒体は、前記物質伝達のためにも利用される。前記保存媒体は、物質を伝達することができる。前記保存媒体は、物質を保存及び/または保管し、前記物質を外部に伝達することができる。前記保存媒体は、本出願で開示するパッチに、前記物質を伝達することができる。前記保存媒体は、前記パッチと接触し、前記パッチに物質を伝達することができる。
本明細書において、前記保存媒体が物質を「伝達」することは、前述のパッチの「伝達」機能とは別個に理解される。前記保存媒体が物質を伝達することと、前記パッチが物質を伝達することは、同一ではなく、独立した機能とも理解される。前記保存媒体と前記パッチは、類似したメカニズムによって物質を伝達することができる。前記保存媒体が物質を伝達することは、前記保存媒体が前記物質を提供することを含むとも理解される。
前記保存媒体は、前記物質をターゲット領域に伝達することができる。前記保存媒体は、前記物質を放出することができる。前記保存媒体は、前記物質を外部領域に提供することができる。前記保存媒体は、前記物質が外部領域に移動することができる環境を提供することができる。
前記保存媒体は、物質が外部から提供される溶媒によって溶解されることにより、前記物質を外部領域に伝達するか、あるいは前記物質を放出することができる。前記保存媒体は、前記物質の活性温度を提供することにより、前記物質が液化されて外部領域に提供されるようにする。前記物質が他の領域に移動することができる環境を提供することは、前記物質が解凍されるようにする環境を提供することでもある。
前記保存媒体がターゲット領域に物質を伝達することは、前記保存媒体が前記パッチと接触していて、所定時間が経過した後、前記ターゲット領域から分離されたとき、前記保存媒体が保存していた物質が、少なくとも一部前記ターゲット領域に移動することを意味する。
以下においては、前記保存媒体がターゲット領域に物質伝達を行うことについて、前記ターゲット領域のいくつかの例を挙げて説明する。
4.2.3.1.パッチへの伝達
前記保存媒体は、前記物質を本出願で開示するパッチにも伝達される。前記保存媒体は、前記パッチと接触し、前記パッチに前記物質を伝達することができる。前記保存媒体は、前記パッチと接触し、前記物質が前記パッチに含まれたベース物質と接触するようにする。前記保存媒体は、前記パッチと接触し、前記物質が前記パッチに含まれたベース物質に溶解されるようにする。前記物質が前記パッチに伝達されることは、前記物質が前記パッチに拡散することでもある。
本出願のパッチは、物質を保存する保存媒体とも共に利用される。前記パッチは、物質を保存する保存媒体から物質を吸収することができる。前記パッチは、前記保存媒体から物質を吸収して保存することができる。前記パッチは、前記保存媒体から吸収した物質を保存して伝達することができる。前記パッチは、前記媒体から吸収した物質を他のパッチに伝達することができる。前記パッチは、前記媒体から吸収した物質を反応領域に伝達することができる。前記パッチは、前記保存媒体から伝達された物質反応空間を提供することができる。前記パッチは、前記媒体から吸収した物質の反応空間を提供し、前記反応に生成された物質を外部に伝達することができる。
前記保存媒体は、親水性物質を親水性パッチにも伝達することができる。前記保存媒体は、疎水性物質を疎水性パッチに伝達することができる。前記保存媒体が、前記物質を親水性または疎水性パッチに伝達することは、前記物質が、前述の疎水性または親水性のパッチに含まれた親水性のベース物質または疎水性のベース物質に拡散されるようにすることでもある。
図39は、本発明の一実施例によるパッチPA及び保存媒体MEを図示したものである。図39を参照すれば、前記保存媒体MEは、前記パッチPAの一面に接触し、前記物質を伝達することができる。前記保存媒体MEは、前記パッチPAと接触する一面に前記物質を保管していて、前記パッチPAと接触する面を介して、前記パッチPAに前記物質を伝達することができる。
図39においては、前記保存媒体MEが前記パッチPAの上面に接触する場合について図示したが、前記保存媒体MEは、前記パッチPAの下面または側面に接触し、前記パッチPAに物質を伝達することもできる。また、前記保存媒体MEは、前記パッチPAの複数面に接触し、前記物質を前記パッチに伝達することもできる。
前記物質伝達効率を高めるために、前記パッチと前記保存媒体との接触面をさらに広く具現することができる。前記パッチと前記保存媒体との接触面を、前記パッチの高さに比べて広く具現することができる。前記保存媒体は、前記パッチと接触し、前記パッチにも吸収される。前記保存媒体は、水溶性または脂溶性の骨格物質を有することができる。
前記保存媒体は、第1物質及び第2物質を共に保存することができる。第1物質及び第2物質は、混合された状態で、前記保存媒体にも保存される。前記第1物質及び前記第2物質は、互いに混合されず、前記保存媒体に保存される。前記第1物質及び前記第2物質が混合され、目的としない化学的または生物学的な反応が生じうる場合、前記保存媒体は、前記第1物質及び第2物質を分離して保存することができる。前記保存媒体は、前記第1物質及び第2物質を分離して保存することにより、意図されていない反応による物質の変質を防止することができる。
図40は、本発明の一実施例によるパッチPA及び保存媒体MEを図示したものである。図40は、本発明の一実施例として、図38で説明したように、前記第1物質SBa及び第2物質SBbが分離された状態で保存された保存媒体MEを利用し、前記パッチPAに、前記第1物質SBa及び第2物質SBbを伝達するところを図示したものである。図40を参照すれば、前記保存媒体MEは、第1物質SBaを保存する第1領域及び第2物質SBbを保存する第2領域を含んでもよい。
図40を参照すれば、前記第1領域及び第2領域が前記パッチに接触するように、前記保存媒体を、前記パッチPAに接触させることができる。前記保存媒体MEは、前記第1領域及び第2領域が前記パッチPAに接触すれば、前記第1物質SBa及び前記第2物質SBbを、前記パッチPAに伝達することができる。前記第1物質SBa及び第2物質SBbは、前記パッチPAに伝達され、化学的ないし生物学的な反応を行うことができる。
前記第1領域は、前記パッチPAに接触し、前記第2領域は、前記パッチPAに接触しないように、前記保存媒体MEを、前記パッチPAに接触させることができる。前記第1領域が前記パッチPAに接触し、前記第1物質SBaが前記パッチPAに伝達され、前記第2物質SBbは、伝達されないように、前記保存媒体MEを、前記パッチPAに接触させることができる。前記第1領域及び第2領域を、前記パッチPAに順に接触させることにより、前記第1物質SBa及び第2物質SBbが、順に前記パッチPAに伝達される。
一方、図40においては、第1領域及び第2領域のみを含む保存媒体MEについて図示したが、前記保存媒体MEは、複数の領域を含み、各領域別に異なる物質を含むようにも具現される。
図41及び図42は、本発明の一実施例によるパッチPA、保存媒体ME及びプレートPLを利用したサンプル検査方法を図示したものである。
図41を参照すれば、前記パッチPAに伝達するための物質SBを保存する保存媒体MEは、一面が前記パッチPA側を向くようにも配置される。前記保存媒体MEは、前記パッチPAの上部にも配置される。図41を参照すれば、前記パッチPAは、上面が前記保存媒体MEに向かい、下面がサンプルSAを向くようにも配置される。図41を参照すれば、プレートPLは、前記パッチPAの下面を向き、サンプルSAが位置する反応領域を含んでもよい。
図42を参照すれば、前記保存媒体MEの下面は、前記パッチPAと接触することができる。前記保存媒体の下面が前記パッチPAと接触すれば、前記保存媒体は、前記パッチPAに物質を伝達することができる。図42を参照すれば、前記パッチPAは、前記サンプルSAと接触することができる。前記パッチPAが前記サンプルSAと接触するということは、前記パッチPAが位置した反応領域に水膜WFが形成されるに十分なほと近接することを意味する。前記パッチは、前記保存媒体MEから獲得した物質SBを、前記サンプルSAが位置した反応領域に提供することができる。図42を参照すれば、前記パッチPAは、前記水膜WFを介して、前記反応領域に、前記保存媒体MEから獲得した物質SBを伝達することができる。
前記パッチPAは、保存媒体MEと接触した状態で、前記反応領域と接触することができる。前記パッチPAは、上面が保存媒体MEと接触し、前記保存媒体MEから物質SBを吸収し、前記保存媒体MEと分離される。前記パッチPAは、前記保存媒体MEと分離された後、下面が前記サンプルSAと接触し、前記物質SBを、前記反応領域に提供することができる。
前記保存媒体MEは、互いに反応する第1物質及び第2物質を保管することができる。前記第1物質及び第2物質は、非活性状態で、前記保存媒体MEにも保管される。前記第1物質及び第2物質は、前記パッチPAにも伝達される。前記第1物質及び第2物質は、前記パッチPA内で反応することができる。
図43及び図44は、本発明の一実施例によるパッチPA、保存媒体ME及びプレートPLを利用したサンプル検査方法を図示したものである。
図43を参照すれば、前記保存媒体は、第1物質を保存してもいる。前記第1物質は、非活性状態でもある。前記パッチは、第2物質を保存してもいる。前記パッチは、前記第1物質に活性条件を付与する第2物質を保存してもいる。前記パッチは、前記第1物質と反応する第2物質を保存してもいる。
図44を参照すれば、前記保存媒体は、前記パッチの上面に接触し、前記パッチに前記第1物質を伝達することができる。前記パッチは、前記サンプルと接触し、前記サンプルが位置した反応領域に、前記第1物質及び/または第2物質を提供することができる。図44においては、前記第1物質及び/または第2物質が、前記反応領域に提供される場合について図示したが、本発明による実施例は、それに限定されるものではない。前記パッチは、前記第2物質によって活性化された第1物質を、前記反応領域に提供することができる。前記パッチは、前記第1物質と前記第2物質とが反応して生成された反応物を、前記反応領域に提供することもできる。
第1物質及び第2物質を利用し、サンプルを検査しようとする場合、図43及び図44に図示するように、前記第1物質及び第2物質を、それぞれパッチ及び保存媒体に分けて保存することができる。前述の第1物質及び第2物質を分けて保存すれば、前述の第1物質及び第2物質が共に長期保存されることにより、前述の第1物質及び第2物質が反応し、前述の第1物質及び第2物質を、前記サンプル検査に利用することができなくなる問題点が解決される。そのとき、さらに保管が困難である物質を、前記保存媒体に保管することができる。
4.2.3.2.反応領域への伝達
前記保存媒体は、前記物質を反応領域に提供することができる。前記反応領域は、プレートに位置することができる。前記反応領域には、診断対象検体が位置することができる。前記保存媒体が前記物質を反応領域に提供することは、前記保存媒体が前記反応領域に接触することにより、前記物質が前記反応領域に移動可能にする。
前記保存媒体は、本出願で開示するパッチと共に、前記物質を、前記反応領域に伝達することができる。前記保存媒体は、前記パッチに前記物質を伝達し、前記パッチが、前記反応領域に位置した検体と接触し、前記反応領域に前記物質が提供されるようにする。
前記保存媒体は、前記物質を反応領域に伝達することができる。前記保存媒体は、前記反応領域と接触し、前記物質を、前記反応領域に伝達することができる。前記反応領域は、プレートに位置することができる。前記反応領域には、前記物質と反応する反応物質が塗布されている。前記反応領域には、前記物質を利用して検査するための検体が位置している。
前記保存媒体は、前記パッチと接触することにより、前記伝達物質を、前記反応領域に伝達することができる。前記保存媒体は、前記保存媒体に保存された物質を活性化させるために、前記パッチと接触し、前記活性化された物質を、前記反応領域に伝達することができる。前記保存媒体は、前記パッチ及び前記反応領域と接触し、前記パッチからベース物質を獲得し、前記反応領域に前記物質を提供することができる。例えば、前記保存媒体は、一面が前記パッチと接触し、前記パッチからベースリキッドを吸収し、前記ベースリキッドによって活性化された前記物質を、前記反応領域に提供することができる。
図45及び図46は、本発明の一実施例によるパッチPA、保存媒体ME及びプレートPLを利用したサンプル検査方法を図示したものである。
図45を参照すれば、前記パッチPAは、保存媒体MEの上部にも配置される。前記保存媒体MEは、上面がパッチPA側を向くようにも配置される。前記保存媒体MEは、下面がプレートPL側を向くようにも配置される。前記保存媒体MEは、前記プレートPLに位置したサンプルを検査するための検査試薬SBを保存することができる。前記保存媒体は、前記試薬SBを吸収して保存することができる。前記プレートPLは、サンプルが位置した反応領域を含んでもよい。
図46を参照すれば、前記パッチPAは、前記保存媒体MEの上面に接触することができる。前記保存媒体MEは、上面を、前記パッチPAと接触することができる。前記保存媒体MEは、下面をサンプルSAと接触することができる。前記保存媒体MEは、下面が前記サンプルSAと接触した状態で、上面が前記パッチPAと接触することができる。前記保存媒体MEは、上面が前記パッチPAと接触した状態で、下面が前記サンプルSAと接触することができる。前記保存媒体MEに保存された試薬SBは、前記保存媒体MEが前記パッチPAと接触すれば、活性条件を獲得することができる。前記試薬SBは、前記保存媒体MEが前記パッチPAと接触すれば、前記パッチPAに保存されたベース物質にも収容される。前記保存媒体MEの下面が前記サンプルSAと接触し、前記保存媒体MEの上面が前記パッチPAと接触すれば、前記パッチPAに保存されたベース物質が前記保存媒体MEに移動することができる。前記パッチPAに保存されたベース物質が前記反応領域に移動することができる。前記ベース物質は、前記反応領域に水膜WFを形成することができる。前記試薬SBは、前記保存媒体MEが前記サンプルSAと接触すれば、前記水膜WFを介して、前記反応領域にも提供される。
図47ないし図49は、本発明の一実施例によるパッチPA、保存媒体ME及びプレートPLを利用したサンプル検査方法を図示したものである。
図47を参照すれば、前記パッチPAは、保存媒体MEの上部にも配置される。
前記パッチPAは、保存媒体MEから一方向、例えば、垂直方向に所定間隔離隔された位置に準備される。
前記保存媒体MEは、上面がパッチPA側を向くようにも配置される。前記保存媒体MEは、前記プレートPLに位置したサンプルを検査するための検査試薬SBを保存することができる。前記試薬SBは、前記保存媒体MEに吸収されるか、あるいは塗布されても保存される。前記保存媒体MEは、プレートPLと同一平面にも配置される。図47においては、前記保存媒体MEが前記試薬SBを吸収して保存している場合を図示したが、前記保存媒体MEは、前記試薬SBが塗布され、乾燥状態で保存された一面を有することもできる。
前記プレートPLは、サンプルが位置した反応領域を含んでもよい。前記プレートPLは、前記保存媒体MEと同一平面にも配置される。前記プレートPLは、前記保存媒体MEから一方向、例えば、水平方向に、所定間隔離隔されても配置される。
図48を参照すれば、前記パッチPAは、前記保存媒体MEと接触し、前記保存媒体MEに保存された試薬SBを吸収することができる。前記パッチPAが前記保存媒体MEと接触すれば、前記パッチPAと前記保存媒体MEとの接触領域に、水膜WFが形成される。前記試薬SBは、前記水膜WFを介して、前記保存媒体MEから前記パッチPAに伝達される。
前記パッチPAは、前記保存媒体MEから分離される。前記パッチPAは、前記保存媒体MEから分離されれば、前記試薬SBを活性状態で収容することができる。前記パッチPAは、前記試薬SBに反応空間を提供することができる。
図49を参照すれば、前記パッチPAは、プレートPLと接触することができる。前記パッチPAは、サンプルSAと接触することができる。前記パッチPAは、前記プレートPLと接触し、前記サンプルSAが位置する反応領域に前記試薬SBを提供することができる。前記パッチPAが前記プレートPLと接触すれば、接触領域に水膜WFが形成される。前記試薬SBは、前記水膜WFを介して、前記反応領域にも提供される。
図47ないし図49のように、パッチPAの一面を、保存媒体ME及びサンプルSAと順次に接触させることにより、前記サンプルSAの検査を行う場合、前記保存媒体MEに保存された試薬SBの伝達速度が向上する。
さらに具体的には、前記パッチPAが前記保存媒体MEと接触すれば、前記パッチPAは、前記接触面を介して、前記試薬SBを吸収することができる。そのとき、前記試薬SBは、前記接触面から前記パッチPAの内部に拡散される。前記パッチPAが前記保存媒体MEと接触した接触面を介して、前記サンプルSAと接触すれば、前記試薬SBが前記パッチPAの内部に押しなべて拡散される前でも、前記サンプルSAに前記試薬SBを提供することができる。
ここでは、図41ないし図49と係わり、保存媒体を利用した物質伝達方法の実施例として説明したが、前述の物質伝達方法の実施例は、後述する検査モジュールまたは検査装置によっても具現されるということは、自明である。
本出願で開示するパッチは、前記保存媒体から物質を吸収して保存することができる。前記パッチが、前記保存媒体から前記物質を吸収することは、前記パッチが、前記保存媒体に接触することにより、前記物質が前記保存媒体から前記パッチに拡散されることによるものでもある。前記パッチが、前記保存媒体から前記物質を吸収することは、前記パッチが、前記保存媒体と接触し、前記保存媒体に所定の圧力が印加されることにより、前記保存媒体から放出された前記物質を、前記パッチが吸収することでもある。前記パッチが、前記保存媒体から前記物質を吸収することは、前記パッチが、前記保存媒体と接触し、前記保存媒体と前記パッチとに電場が印加されることにより、前記物質が前記保存媒体から前記パッチに移動することにより、前記パッチが、前記物質を吸収することでもある。
4.2.3.3.物質の活性化
前記保存媒体は、前記物質を非活性状態で保存することができる。前記物質は、外部に移動して活性化される。前記物質は、前記保存媒体においても活性化される。前記物質は、外部物質の流入によっても活性化される。前記物質は、活性条件が整えられることによっても活性化される。以下では、前記保存媒体に保管または保存された物質の活性について説明する。
前記保存媒体は、前記物質に活性条件が付与されるように、前記物質を外部に伝達することができる。前記保存媒体は、前記物質をパッチに伝達し、前記物質を活性化させる。言い換えれば、パッチは、前記物質に活性条件を付与することができる。前記パッチは、前記物質を獲得し、前記物質を活性状態で収容することができる。前記パッチが、前記物質に活性条件を付与することは、前記パッチに保存されたベース物質を利用し、前記物質を活性化させることでもある。
前記物質の活性条件は、前記物質が目的とする反応を行うことができる状態になる条件を意味する。前記物質の活性条件は、前記物質が反応を行うことができるpH条件でもある。前記物質の活性条件は、前記物質が反応を行うことができる温度条件でもある。前記物質の活性条件は、前記物質が反応を行うことができる相(phase)条件でもある。例えば、前記物質は、固相(solid phase)として非活性状態で保存され、液状(liquid phase)として活性状態でも収容される。
前述の目的とする反応は、検査を行うための反応でもある。前述の目的とする反応は、検体を利用して診断を行うための反応でもある。前述の目的とする反応は、前記検体がターゲット物質を含むか否かということを検査するための反応でもある。前述の目的とする反応は、前記検体がターゲットタンパク質を含むか否かということを検査するための反応でもある。前述の目的とする反応は、前記検体を利用し、被検者がターゲット疾病に感染されているか否かということを検査するための反応でもある。
前記物質は、前記パッチに活性状態でも収容される。前記物質は、前記パッチに保存された物質によっても活性化される。前記パッチに保存された物質は、前記保存媒体から伝達された物質に、活性条件を付与することができる。前記パッチに保存されたベース物質は、前記保存媒体から伝達された物質に、活性条件を付与することができる。前記パッチに保存された添加物質は、前記保存媒体から伝達された物質に活性条件を付与することができる。例えば、前記物質は、前記パッチの微細空洞に保存されたベース物質に、活性状態でも収容され、前記活性状態は、流動性を有する状態でもある。
4.3.保存媒体の形態及び構造
ここでは、本出願による保存媒体の形態、構造などについて説明する。
本出願で開示する保存媒体は、板状でも提供される。例えば、前記保存媒体は、シート形態でも提供される。前記保存媒体は、フィルム形態でも提供される。前記保存媒体は、プレート形態でも提供される。前記保存媒体は、平板形態でも提供される。
本出願で開示する保存媒体は、支持構造体を含んでもよい。前記保存媒体は、前記支持構造体を利用し、物質を保存または保管することができる。前記保存媒体は、纎維構造体を含んでもよい。前記保存媒体は、水溶性骨格物質を含んでもよい。前記保存媒体は、脂溶性骨格物質を含んでもよい。前記保存媒体は、纎維構造体を含むシート形態でも提供される。
前記保存媒体は、纎維構造体を含んでもよい。前記保存媒体は、微細纎維が絡まって形成された構造の構造体を有することができる。前記纎維構造体は、フィブリル構造を有することができる。前記纎維組織は、セルロース組織でもある。前記保存媒体は、紙でもある。前記保存媒体は、ニトロセルロース(nitrocellurose)メンブレンでもある。前記纎維構造体は、自然由来のものでもあり、合成素材でもある。
前記保存媒体は、少なくとも1つの機能面を含んでもよい。前記機能面は、塗布面、吸収面、接触面、伝達面などでもある。
前記保存媒体は、一面に物質が塗布される。前記物質が塗布された保存媒体の一面は、塗布面でもある。前記保存媒体は、物質を保存する保存面としての塗布面を有することができる。前記塗布面には、前記物質が固定されて準備される。前記塗布面には、前記物質がコーティングされる。前記塗布面には、前記物質がエアドライ(airdry)されてもいる。前記塗布面には、前記物質が凍結乾燥される。前記塗布面には、凍結乾燥された物質が塗布される。前記塗布面は、前記纎維構造を含んでもよい。前記保存媒体は、プレート形態で提供され、前記塗布面を含んでもよい。
前記保存媒体は、一面を介して物質を吸収することができる。前記物質を吸収する保存媒体の一面は、吸収面でもある。前記保存媒体は、物質を保存する保存面としての吸収面を有することができる。前記保存媒体は、前記物質を吸収する吸収面を含んでもよい。前記吸収面は、物質を吸収して保存することができる。前記吸収面は、物質と接触して物質を吸収し、乾燥された物質を保存することができる。前記吸収面は、物質を吸着させて保存することができる。前記吸収面は、前記纎維構造を含んでもよい。前記保存媒体は、シート形態で提供され、前記吸収面を含んでもよい。
前記保存媒体は、一面を介して、ターゲット領域に接触することができる。前記保存媒体は、接触面を含んでもよい。前記保存媒体は、前記接触面を介して、ターゲット領域と接触することができる。前記保存媒体は、接触面を介して、ターゲット領域に、前記保存媒体に保存された試薬を提供することができる。前記保存媒体は、一面を介して、物質を伝達することができる。前記保存媒体は、前記接触面を介して、物質をターゲット領域に伝達することができる。前記接触面は、前記纎維構造を含んでもよい。
前記保存媒体に含まれる面は、必ずしも別途に存在するものではなく、1つの面が2以上の機能面に該当する。例えば、前記物質が塗布された塗布面は、前記ターゲット領域に接触する。前記物質を吸収する吸収面は、前記ターゲット領域と接触する接触面でもある。前記接触面は、前記塗布面と同一機能面でもある。前記保存媒体が透過性を有さない場合、前記塗布面は、前記接触面と同一機能面にも具現される。前記吸収面は、前記接触面と同一機能面でもある。前記保存媒体は、物質を吸収して保存し、前記物質をターゲット領域に伝達する一面を有することができる。
また、前記保存媒体は、前記機能面を複数個含んでもよい。例えば、前記保存媒体は、複数の接触面を含んでもよい。前記保存媒体は、複数の塗布面を含んでもよい。前記保存媒体は、複数の吸収面を含んでもよい。
前記保存媒体は、1回用にも作製される。前記保存媒体は、セルロースを利用しても作製される。前記保存媒体は、再使用可能にも作製される。前記保存媒体は、高分子を利用しても作製される。
前記保存媒体は、前記物質をターゲット領域に伝達した後、形態が維持される。前記保存媒体は、前記物質をターゲット領域に伝達した後、形態が変形される。前記保存媒体は、前記ターゲット領域と接触すれば、形態が変形される。
前記保存媒体は、前記パッチと接触し、前記パッチにも吸収される。前記保存媒体は、前記パッチと接触しても溶解される。前記保存媒体は、前記パッチと接触しても分解される。前記保存媒体は、水溶性の支持構造体を有することができる。
4.4.保存媒体の利用
以下では、本出願で開示するパッチ及び保存媒体を利用し、物質を保存及び伝達する方法について説明する。
4.4.1.複数媒体の利用
本出願で開示する保存媒体は、複数個設けられる。本発明の一実施例によれば、複数の前記保存媒体を利用し、物質をターゲット領域に伝達することができる。そのとき、前記複数の保存媒体は、互いに異なる物質を保存してもいる。前記複数の保存媒体は、同一物質を保存してもいる。
前記複数の保存媒体は、物質の戦略的な伝達のためにも利用される。例えば、前記複数の保存媒体は、複数種類の物質を順次に伝達するためにも利用される。前記複数の保存媒体は、前記複数種類の物質を1つのターゲット領域に伝達するためにも利用される。前記複数の保存媒体は、複数種類の物質反応性を考慮し、ターゲット領域において、目的とする反応を順次に発生させるためにも利用される。前記複数の保存媒体は、一種類の物質の量を徐々に増やしながら伝達するためにも利用される。
以下では、前記保存媒体を複数個使用する場合について説明する。
前記複数の保存媒体が物質を伝達するターゲット領域は、本出願で開示するパッチでもある。第1物質を保存する第1保存媒体、及び第2物質を保存する第2保存媒体は、前記パッチに物質を伝達することができる。前記パッチは、第1保存媒体から第1物質を吸収し、第2保存媒体から第2物質を吸収することができる。前記パッチは、第1保存媒体から吸収した第1物質、及び第2保存媒体から吸収した第2物質を保存することができる。
前記複数の保存媒体は、前記パッチにおいて、目的とする反応が行われるように、前記パッチに物質を伝達することができる。前記パッチには、前記媒体から吸収した物質と反応する反応物質があらかじめ保存されてもいる。前記パッチが、前記保存媒体から物質を獲得すれば、前記あらかじめ保存された反応物質と、前記保存媒体から獲得した物質は、前記パッチで反応することができる。前記パッチは、前記反応によって生成された生成物を外部に伝達することができる。
前記複数の保存媒体は、前記パッチに物質を順次に伝達することができる。例えば、前記第1物質が、前記第1保存媒体から前記パッチに一部伝達されれば、前記第2物質が、前記第2保存媒体から前記パッチにも伝達される。前記第2物質を保存する第2保存媒体は、前記第1物質を保存する第1保存媒体が、前記パッチに接触し、所定時間が経過した後、前記パッチから分離されれば、前記パッチに接触し、前記第2物質を伝達することができる。
図50は、本出願で開示する保存媒体を複数個利用して物質伝達を行う一例を簡略に図示したものである。図50を参照すれば、前記複数の保存媒体を利用し、前記プレートに位置したサンプルを検査することができる。図50を参照すれば、第1保存媒体ME1及び第2保存媒体ME2を利用し、本出願で開示するパッチPAに物質を伝達することができる。
前記第1保存媒体ME1及び第2保存媒体ME2は、互いに反応する第1物質及び第2物質をそれぞれ保管することができる。前記第1物質は、非活性状態で第1保存媒体ME1にも保管される。前記第2物質は、非活性状態で、前記第2保存媒体ME2にも保管される。前記第1保存媒体ME1及び前記第2保存媒体ME2が、前記パッチPAと接触することにより、前述の第1物質及び第2物質は、前記パッチPAに伝達される。前述の第1物質及び第2物質は、前記パッチPA内においても活性化される。前述の第1物質及び第2物質は、前記パッチPA内で反応することができる。前記第1保存媒体ME1及び前記第2保存媒体ME2は、前記パッチPAと順に接触することができる。
図50においては、第1保存媒体ME1及び第2保存媒体ME2、がパッチPAの上面に接触して物質を伝達する場合を図示したが、本発明が、それに限定されるものではない。例えば、前記第1保存媒体ME1及び第2保存媒体ME2は、前記パッチPAの下面に接触することもできる。前記第1保存媒体ME1及び第2保存媒体ME2は、前記パッチPAの下面に接触し、前記プレートに位置したサンプルと接触し、前記サンプルが位置した反応領域に物質を提供することもできる。
また、図50においては、第1保存媒体ME1及び第2保存媒体ME2が、前記パッチPAの同一面に接触して物質を伝達する場合について図示したが、本発明は、それに限定されるものではない。本発明によれば、前記第1保存媒体ME1及び第2保存媒体ME2は、前記パッチPAの互いに異なる面に接触して物質を伝達することもできる。例えば、前記第1保存媒体ME1は、前記パッチPAの上面に接触し、前記第2保存媒体ME2は、前記パッチPAの側面に接触して物質を伝達することができる。
4.4.2.複数パッチの利用
本発明の一実施例によれば、本出願で開示する保存媒体は、複数のパッチに物質を伝達することができる。複数のパッチは、前記保存媒体から物質を吸収することができる。
前記保存媒体は、複数のパッチに物質を伝達することができる。前記保存媒体は、複数のパッチと接触し、前記複数のパッチに物質を伝達することができる。前記保存媒体は、前記複数のパッチと同時に接触することができる。前記保存媒体は、前記複数のパッチと順に接触することができる。
図51及び図52は、本出願で開示するパッチPAを複数個利用して物質伝達を行う一例を簡略に図示したものである。図51及び図52を参照すれば、前記複数のパッチPA及び保存媒体を利用し、プレートに位置したサンプルを検査することができる。図51及び図52を参照すれば、前記保存媒体MEは、第1パッチPA1及び第2パッチPA2に物質を伝達することができる。前記保存媒体MEが、前記第1パッチPA1及び第2パッチPA2と接触すれば、前記保存媒体MEに保存された物質が活性化される。前記保存媒体MEは、前記物質を非活性状態で保存し、前記第1パッチPA1及び第2パッチPA2に、前記物質を伝達することができる。図51を参照すれば、前記保存媒体MEは、第1パッチPA1及び第2パッチPA2と接触する1対の接触面を有することができる。図52を参照すれば、前記保存媒体MEは、第1パッチPA1及び第2パッチPA2と接触する1つの接触面を有することができる。
以下では、本出願で開示する保存媒体及び/またはパッチが複数個利用される場合について説明する。
図53は、本出願で開示する保存媒体及びパッチを複数個利用して物質伝達を行う一例を簡略に図示したものである。図53を参照すれば、前記複数のパッチ、及び複数の保存媒体を利用し、前記プレートに位置したサンプルを検査することができる。
図53を参照すれば、前記第1保存媒体ME1は、前記第1パッチPA1に、第1物質を伝達することができる。前記第1パッチPA1は、前記第2保存媒体ME2と接触し、前記第2保存媒体ME2に、前記第1物質を提供することができる。前記第2保存媒体ME2は、前記第1パッチPA1及び第2パッチPA2と接触し、前記第2パッチPA2に第2物質を提供することができる。前記第2パッチPA2は、前記プレートPLに位置したサンプルと接触し、第2物質を提供することができる。前記第2パッチPA2は、前記サンプルが位置した反応領域に第1物質を提供することができる。前記第2パッチPA2は、前記反応領域に、前述の第1物質及び第2物質の反応によって生成された生成物を提供することができる。
図53においては、前記第1保存媒体ME1、前記第1パッチPA1、前記第2保存媒体ME2及び前記第2パッチPA2が接触している状態のみを図示したが、前記第1保存媒体ME1、前記第1パッチPA1、前記第2保存媒体ME2及び前記第2パッチPA2は、順に接触される。例えば、前記第1保存媒体ME1が前記第1パッチPA1に接触すれば、前記第1パッチPA1が前記第2保存媒体ME2に接触することができる。前記第1パッチPA1が前記第2保存媒体ME2に接触すれば、前記第2保存媒体ME2が前記第2パッチPA2に接触することができる。
図53においては、前記保存媒体が前記パッチに物質を伝達する場合のみを図示したが、本発明の内容は、それに限定されるものではない。前記第1保存媒体ME1または第2保存媒体ME2は、前記プレートPLに位置したサンプルと接触し、前記サンプルが位置した反応領域に物質を提供することもできる。
4.4.3.実施例
前述の保存媒体及びパッチを利用し、サンプル検査を行うことができる。前述の保存媒体及びパッチを利用し、サンプルの診断を行うことができる。前述の保存媒体及びパッチを利用し、ターゲット疾病の診断を行うことができる。
本発明の一実施例によれば、前記保存媒体を利用し、サンプル検査に必要な物質を前記パッチに伝達し、前記パッチを前記サンプルに接触させることにより、前記サンプル検査を行うことができる。
図54は、本発明の一実施例によるサンプル検査方法について説明するためのフローチャートである。図54を参照すれば、本発明の一実施例による検査方法は、保存媒体を準備する段階(S100)、パッチを準備する段階(S200)、試薬をパッチに伝達する段階(S300)、試薬を活性状態で収容する段階(S400)、及びパッチをサンプルに接触させる段階(S500)を含んでもよい。
前記保存媒体を準備する段階(S100)は、前記サンプルがターゲット物質を含むか否かということを検査するための試薬が、非活性状態で保存された保存媒体を準備することを含んでもよい。前記保存媒体は、エアドライされた前記試薬を保存してもいる。前記保存媒体は、凍結乾燥された前記試薬を保存してもいる。前記保存媒体は、前記試薬がコーティングされて保存された一面を含んでもよい。前記保存媒体は、前記試薬を、前記サンプルがターゲット物質を含むか否かということを検査することができない状態で保存してもいる。
前記パッチを準備する段階(S200)は、複数の微細空洞を形成する網構造体、及び前記微細空洞に保存され、前記試薬に活性条件を付与するベース物質を含むパッチを、前記保存媒体の一側に準備することを含んでもよい。前記ベース物質は、前記試薬と極性が類似している。前記ベース物質は、水溶液でもある。
前記試薬をパッチに伝達する段階(S300)は、前記保存媒体を、前記パッチの前記保存媒体側一面に接触させることにより、前記保存媒体に保存された試薬の一部を、前記パッチに伝達することを含んでもよい。前記試薬は、前記パッチに含まれたベース物質に拡散される。前記試薬は、前記ベース物質に捕獲され、前記パッチに移動することができる。
前記試薬を活性状態で収容する段階(S400)は、前記パッチが、前記伝達された試薬を、ベース物質を利用し、活性状態で収容することを含んでもよい。前記パッチは、前記試薬を、前記サンプルが前記ターゲット物質を含むか否かということを検査することができる状態で収容することができる。前記パッチは、前記試薬を溶解された状態で収容することができる。前記パッチは、前記ベース物質に溶解された前記試薬を収容することができる。前記パッチは、前記ベース物質に分散された前記試薬を収容することができる。
前記パッチをサンプルに接触させる段階(S500)は、前記試薬が、前記サンプルが位置した反応領域に提供されるように、前記パッチを前記サンプルに接触させることを含んでもよい。前記パッチは、前記ベース物質が、前記サンプルが位置する反応領域に水膜を形成するように、前記サンプルに接触することができる。前記パッチは、前記ベース物質に分散された前記試薬を、前記ベース物質と共に、前記反応領域に提供することができる。前記パッチは、前記ベース物質に溶解された前記試薬を、前記反応領域に提供することができる。
図55は、本発明の一実施例によるサンプル検査方法について説明するためのフローチャートである。図55を参照すれば、本発明の一実施例による検査方法は、図51で説明する検査方法において、試薬を反応領域に提供する段階(S600)をさらに含んでもよい。
前記試薬を反応領域に提供する段階(S600)は、前記試薬を、前記サンプルが位置した反応領域に提供するものでもある。そのとき、前記試薬を反応領域に提供する段階は、前記パッチを前記サンプルに接触させる段階(S500)後にも遂行される。前記パッチは、前記試薬を伝達され、前記サンプルに接触し、前記試薬を反応領域に提供することができる。前記パッチは、前記サンプルに接触した後、前記保存媒体と接触し、前記保存媒体から試薬を獲得し、前記試薬を前記反応領域に提供することもできる。
前記検査方法は、前記パッチを前記サンプルに接触させた後、前記パッチに前記保存媒体を接触させることにより、前記試薬が、前記保存媒体から、前記パッチを介して移動し、前記反応領域に前記試薬を提供することを含んでもよい。
本発明の他の一実施例によれば、サンプルを検査するための物質を保存する保存媒体を、前記サンプルに接触させ、前記パッチを前記保存媒体に接触させることにより、前記サンプル検査を行うことができる。
本発明の他の一実施例による検査方法は、保存媒体を準備する段階、パッチを準備する段階、試薬を活性化させる段階、及び保存媒体をサンプルに接触させる段階を含んでもよい。
前記保存媒体を準備する段階、及び前記パッチを準備する段階は、前述の実施例と類似しても適用される。
前記試薬を活性化させる段階は、前記保存媒体を、前記パッチの前記保存媒体側一面に接触させることにより、前記試薬を活性化させることを含んでもよい。前記試薬を活性化させることは、前記試薬に移動性を有させることを含んでもよい。前記試薬を活性化させることは、前記試薬が、前記ターゲット物質を検査することができる環境を提供することを含んでもよい。前記試薬を活性化させることは、前記試薬が、前記パッチのベース物質に捕獲されて分散されるようにすることを含んでもよい。
前記保存媒体をサンプルに接触させる段階は、前記試薬が、前記サンプルが位置した反応領域に提供されるように、前記保存媒体の前記サンプル側に位置する他面を、前記サンプルに接触させることを含んでもよい。
本実施例による検査方法は、試薬を、前記サンプルが位置した反応領域に提供する段階をさらに含み、前記試薬は、活性化された状態で、前記反応領域にも提供される。前記試薬を前記反応領域に提供することは、前記ベース物質によって活性化された試薬を、前記反応領域に提供することを含んでもよい。言い換えれば、前記保存媒体は、一面が前記パッチと接触した状態で、他面を前記サンプルと接触させ、前記パッチによって活性化された試薬を、前記反応領域に提供することができる。
前記試薬を活性化させる段階は、前記他面がサンプルに接触している前記保存媒体に保存された試薬を活性化させることを含んでもよい。言い換えれば、前記検査方法は、前記保存媒体の一面を前記サンプルに接触させた後、前記保存媒体の他面に前記パッチを接触させることにより、前記試薬が前記サンプルに提供される。
本発明のさらに他の一実施例によれば、サンプルを検査するためのゲル状のパッチを準備し、前記パッチを保存媒体に接触させ、前記パッチを前記サンプルに接触させることにより、前記サンプルを検査することができる。前記検査方法は、パッチを準備する段階、保存媒体を準備する段階、前記試薬が、前記パッチに伝達されるように、パッチを保存媒体に接触させる段階、パッチが、前記ベース物質を利用し、試薬を活性状態で収容する段階、及び前記試薬が、前記サンプルが位置した前記反応領域に提供されるように、パッチをサンプルに接触させる段階を含んでもよい。
本実施例による検査方法は、パッチ及び保存媒体を利用し、サンプルを検査する方法であり、物質を保存するパッチに保存媒体を接触させることにより、前記保存媒体に保存された物質を前記パッチに伝達し、前記パッチが、前記パッチに伝達された物質に活性条件を提供し、前記物質を反応領域に提供することにより、対象サンプルを検査することを含んでもよい。
前記パッチを準備する段階は、試薬を活性化させるベース物質、及び前記ベース物質が保存される複数の微細空洞を形成する網構造体を含み、外部領域から物質を吸収したり、外部領域に物質を提供したりすることができるパッチを準備することを含んでもよい。
本実施例による検査方法は、前記パッチが、前記試薬を前記反応領域に提供する段階をさらに含み、前記試薬を反応領域に提供する段階は、前記ベース物質を利用し、活性状態で収容した前記試薬を、前記反応領域に提供することを含んでもよい。言い換えれば、前記検査方法は、パッチに、前記保存媒体に保存されていた試薬を保存した後、前記試薬を、前記サンプルに伝達することができる。
4.5.検査モジュール
4.5.1.検査モジュールの構成
本出願で開示するパッチ及び保存媒体を利用し、サンプル検査を行うための検査モジュールが開示される。前記検査モジュールは、前記保存媒体、前記パッチ及び前記反応領域が互いに連結され、物質移動が可能になるようにも具現される。
前記検査モジュールは、サンプルの診断を行うことができる。前記サンプルは、ターゲット疾病診断のための生体サンプルでもある。前記検査モジュールは、前記サンプルの免疫学的、血液学的、遺伝学的または組織学的な診断を行うことができる。
図56は、本発明の一実施例による検査モジュールを図示したものである。図56を参照すれば、本発明の一実施例による検査モジュールは、保存媒体100、パッチ200及びプレート収納部300を含んでもよい。
前記保存媒体100は、前記検査モジュールから脱着される。前記保存媒体100は、前記検査モジュールの外部にも設けられる。前記保存媒体100は、1回用にも設けられる。
前記保存媒体100は、前記サンプルがターゲット物質を含むか否かということを検査するための試薬を保存することができる。保存媒体100には、前記サンプルがターゲット物質を含むか否かということを検査するための試薬が非活性状態でも保存される。前記保存媒体100は、前記試薬を非活性状態で保存する保存面、及び前記試薬が活性化されるように、前記パッチに接触させるパッチ接触面を含んでもよい。そのとき、前記パッチは、前記保存媒体と接触すれば、前記ベース物質を利用し、前記試薬を活性化させ、前記活性化された試薬を、前記検査対象サンプルが位置した反応領域に提供することができる。
前記保存媒体100は、凍結乾燥された前記試薬を保存することができる。
前記保存媒体100は、前記パッチと接触し、前記試薬が活性化されれば、前記サンプルと接触し、前記活性化された試薬を前記反応領域に提供することができる。前記保存媒体100は、前記サンプルと接触した状態で、前記パッチ200と接触することができる。
前記保存媒体100は、前記サンプルと接触するサンプル接触面をさらに含んでもよい。そのとき、前記パッチが、前記活性化された試薬を前記反応領域に提供することは、前記保存媒体の前記サンプル接触面を介して、前記活性化された試薬を、前記反応領域に提供することを含んでもよい。
前記パッチ200は、前記検査モジュールからも脱着される。前記パッチ200は、前記検査モジュールの外部にも設けられる。前記パッチ200は、1回用にも設けられる。
前記パッチ200は、サンプル検査のためのゲル状のパッチとしても提供される。パッチ200は、前記サンプルと接触し、前記活性状態の試薬を前記反応領域に提供することができる。前記パッチ200は、サンプルに、ターゲット物質が含まれているか否かということを判断するための試薬に、活性条件を付与するベース物質、前記ベース物質が保存される複数の微細空洞を形成する網構造体、及び前記試薬が非活性状態で保存された保存媒体に接触する媒体接触面を含んでもよい。前記パッチは、前記保存媒体から前記試薬を獲得し、前記ベース物質を利用し、前記試薬を活性状態で収容することができる。
前記パッチ200は、前記保存媒体100と接触した状態でサンプルと接触し、前記試薬を前記反応領域に提供することができる。前記パッチ200は、前記サンプルと接触した状態で、前記保存媒体と接触し、前記試薬を活性状態で収容し、前記試薬を、前記反応領域に提供することができる。前記パッチ200は、前記保存媒体と接触し、前記試薬を活性化させ、前記活性化された試薬の前記プレートへの移動を誘導することができる。
前記パッチ200は、前記サンプルに接触し、前記サンプルが位置した反応領域に、前記試薬を提供するサンプル接触面をさらに含んでもよい。前記媒体接触面と前記サンプル接触面は、互いに対向しても配置される。前記媒体接触面と前記サンプル接触面は、同一面でもある。
前記プレート収納部300は、プレートを収納することができる。前記プレート収納部300は、1回用プレートを収納することができる。前記プレートは、前記検査モジュールの外部にも設けられる。前記プレートは、前記検査モジュールからも脱着される。
パッチ200は、複数の微細空洞を形成する網構造体、及び前記微細空洞に保存され、前記試薬に活性条件を付与するベース物質を含み、前記保存媒体と接触し、前記試薬を活性状態で収容することができる。
プレート収納部300は、前記サンプルが位置し、前記活性状態の試薬が提供される反応領域を含むプレートを収納することができる。
図56においては、検査モジュールが保存媒体100、パッチ200及びプレート収納部300を含む場合について説明したが、本発明は、それに限定されるものではない。前記検査モジュールは、保存媒体100の代わりに、保存媒体収納部を含んでもよい。前記検査モジュールは、プレート収納部300の代わりに、サンプルが位置するプレートを含んでもよい。
4.5.2.検査モジュールの動作
本明細書で開示する検査モジュールは、サンプル検査動作を遂行することができる。以下では、前述の保存媒体100、パッチ200及びプレート収納部300を含む検査モジュールの検査動作について説明する。
前記保存媒体100は、前記試薬を非活性化状態で保存し、前記パッチの前記第1主面側にも配置される。前記保存媒体100は、前記パッチに対して、上方離隔されても配置される。前記保存媒体100は、前記パッチ側に下方移動することができる。前記保存媒体100は、保存媒体収納部に収納され、前記保存媒体収納部の下方移動により、前記パッチ側に下方移動することができる。
前記パッチ200は、前記サンプルがターゲット物質を含むか否かということを検査するための試薬を獲得する第1主面、及び前記サンプルと接触し、前記サンプルに前記試薬を提供する第2主面を有することができる。前記パッチ200は、前記保存媒体から所定間隔下方離隔されても配置される。前記パッチ200は、前記第1主面が前記試薬を獲得するように、前記保存媒体100側に上方移動することができる。
前記パッチ200は、前記プレート収納部から所定間隔上方離隔されても配置される。前記パッチ200は、前記プレート収納部300側に下方移動することができる。前記パッチ200は、前記第2主面が前記試薬を、前記プレート収納部300に収納されたプレートに提供するために、前記プレート側に移動することができる。
一方、前記パッチ200が前記サンプルと接触することは、前記保存媒体100を介して接触することでもある。そのとき、前記パッチ200は、前記保存媒体100から所定間隔上方離隔されても配置される。前記パッチ200は、前記保存媒体100に接触するように、下方移動することができる。前記パッチ200は、前記保存媒体100に接触し、前記試薬を活性化させることができる、前記試薬を活性化させることができる。前記パッチは、前記保存媒体100と共に、前記サンプル及び/またはプレート側に下方移動することができる。あるいは、前記パッチ200は、前記サンプルと接触している前記保存媒体100側に下方移動することができる。
4.5.3.実施例1-Immunoassay
本発明の一実施例によれば、保存媒体及びパッチを利用し、サンプルの免疫学的検査を行うことができる。
図58及び図59は、前記保存媒体及びパッチを利用し、前記サンプルを検査するためのモジュールのいくつかの実施例を図示したものである。前記検査モジュールは、抗体を保存する保存媒体、パッチ、及びサンプルが位置したプレートを含んでもよい。前記保存媒体に保存された抗体は、非活性状態でもある。
図58を参照すれば、前記検査モジュールは、抗体が一面に保存された保存媒体、パッチ、及びプレートを含んでもよい。前記保存媒体は、前記パッチ側一面に抗体を保存することができる。前記保存媒体は、下面に抗体を保存することができる。前記保存媒体は、凍結乾燥された抗体が保存された一面を有することができる。
図59を参照すれば、前記検査モジュールは、抗体が吸収されて保存された保存媒体、パッチ、及びプレートを含んでもよい。前記保存媒体は、前記保存媒体に吸収されて凍結乾燥された抗体を保存することができる。
図60ないし図62は、本明細書で開示する検査モジュールを利用し、サンプルの免疫学的検査を行う方法について図示したものである。図60ないし図62を参照すれば、前記保存媒体及びパッチを利用し、前記サンプルに含まれたターゲットタンパク質を検出することができる。前記保存媒体及びパッチを利用し、前記サンプルを、抗原・抗体反応を利用して検査することができる。
図60ないし図62を参照すれば、前記検査モジュールは、前記サンプルの免疫学的検査として、酵素免疫定量測定法(ELISA:enzyme linked immunosorbent assay)を利用し、サンプルを検査することができる。前記検査モジュールは、直接ELISAを利用し、前記ターゲットタンパク質を検出することができる。前記直接法は、抗原がプレートPLに固定され、抗原と反応する抗体にじかに酵素を結合させ、抗原の量を検出する直接的方式のELISAであるとも理解される。
図60を参照すれば、前記検査モジュールは、前記保存媒体を、前記パッチに接触させることにより、前記抗体を前記パッチに伝達することができる。前記検査モジュールは、図58及び図59で図示したような保存媒体を、前記パッチに接触させることにより、前記抗体を前記パッチに伝達することができる。
図61を参照すれば、前記パッチは、前記抗体を活性状態で収容することができる。前記パッチは、前記保存媒体と接触し、前記抗体を獲得し、前記抗体を活性化させることができる。前記パッチは、活性化された抗体AB’を保存することができる。前記パッチは、ベース物質を含み、前記ベース物質を利用し、前記抗体を活性状態で収容することができる。前記パッチは、前記ベース物質を含み、前記ベース物質を利用し、前記抗体を捕獲することにより、前記抗体を活性化させる。
前記抗体は、前記パッチに移動して活性化される。前記抗体は、前記パッチに保存されたベース溶液と接触しても活性化される。前記抗体は、前記パッチにおいて、流動性を有することができる。前記抗体は、前記パッチに保存されたベース溶液内において、移動性を有することができる。
図62を参照すれば、前記検査モジュールは、前記パッチを前記サンプルと接触させ、前記サンプルが位置する反応領域に前記抗体を提供することができる。前記パッチは、前記サンプルと接触し、前記サンプルが位置する反応領域に水膜WFを形成することができる。前記パッチは、前記サンプルが位置する反応領域に、活性状態の抗体AB’を提供することができる。前記パッチは、ベース溶液を保存し、前記サンプルと接触し、前記反応領域に、前記ベース溶液の水膜WFを形成することができる。
前記パッチが、前記反応領域に前記抗体を提供すれば、前記抗体は、前記サンプルに接触することができる。前記抗体は、前記サンプルに含まれたターゲットタンパク質と特異的結合を形成することができる。前記ターゲットタンパク質と特異的結合を形成した抗体を検出することにより、前記サンプルを検査することができる。
図示されていないが、前記パッチは、前記サンプルからも分離される。前記パッチが、前記サンプルから分離されれば、前記水膜を介して、前記反応領域に提供された抗体のう、ち前記サンプルに含まれたターゲットタンパク質と結合していない抗体は、前記パッチにも吸収される。前記パッチが、前記サンプルから分離されれば、前記ターゲットタンパク質と結合していない抗体は、前記反応領域からも除去される。そのとき、前記パッチと共に反応領域から除去されず、前記反応領域に残留する前記抗体を検出し、前記サンプルの診断を行うことができる。
図60ないし図62においては、前記保存媒体が前記パッチと接触し、前記パッチを前記サンプルと接触させる検査モジュールの実施例について説明したが、本発明による検査方法は、それに限定されるものではない。前記検査モジュールは、前記保存媒体が前記パッチから分離された状態で、前記パッチを前記サンプルと接触させる。前記検査モジュールは、前記パッチが前記サンプルと接触した状態で、前記保存媒体を前記パッチに接触させる。
図66ないし図66は、間接法を利用し、前記サンプルに含まれたターゲットタンパク質を検出することにより、前記サンプルを検査する方法を図示したものである。前記間接法は、ELISAの遂行方法のうち一つであり、抗原がプレートに固定され、抗原と反応する一次抗体、及び一次抗体と結合して酵素が結合されている二次抗体を利用し、抗原量を検出する間接的方式のELISAであるとも理解される。
前述の一次抗体と二次抗体は、共に長期間保管される場合、非特異的結合を形成することにより、前述の一次抗体と二次抗体を利用したターゲットタンパク質の検出が困難になる。それに比べ、図60ないし図63で図示する実施例のように、一次抗体と二次抗体とを分けて保存する場合、前述の第1抗体と第2抗体とが前記パッチに共に位置する時点から、前記サンプルに提供される時点までの時間間隔が最小化される。言い換えれば、前記第1抗体と前記第2抗体とが前記パッチに共に位置することにより、前述の非特異的結合が発生する危険性が低減される。
図63ないし図66を参照すれば、前記検査モジュールは、本明細書で開示するパッチ及び保存媒体を利用し、前記サンプルに含まれたターゲットタンパク質を検出することができる。前記検査モジュールは、第1抗体AB1及び第2抗体AB2を利用し、前記ターゲットタンパク質を検出することができる。
前述の第1抗体AB1及び第2抗体AB2は、それぞれ一次抗体及び二次抗体でもある。前述の第1抗体AB1及び第2抗体AB2は、それぞれ二次抗体及び一次抗体でもある。前記第1抗体AB1は、標識物質(例えば、蛍光標識物質)が付着した二次抗体でもある。
図63は、前記検査モジュール及び検査対象サンプルを図示したものである。図63を参照すれば、前記検査モジュールは、第1抗体AB1が保存された保存媒体ME、第2抗体AB2が保存されたパッチPA、及び検査対象サンプルSAが位置したプレートPLを含んでもよい。
前記保存媒体は、前記第1抗体AB1を非活性状態で保存することができる。前記保存媒体は、前記第1抗体AB1を凍結乾燥状態で保存することができる。
前記パッチは、前記第2抗体AB2を活性状態で保存することができる。前記パッチは、ベース物質を含み、前記第2抗体AB2を、前記ベース物質に分散させた状態で保存することができる。
図64は、前記検査モジュールが前記保存媒体を、前記パッチに接触させることを図示したものである。前記検査モジュールは、前記保存媒体を、前記パッチに接触させることにより、前記第1抗体AB1を前記パッチに伝達することができる。前記第1抗体AB1は、前記パッチにも活性状態で収容される。前記第1抗体AB1は、前記パッチのベース溶液によっても活性化される。前記第1抗体AB1は、前記パッチ内において、移動性を有することができる。
図65は、前記検査モジュールが、前記パッチを、前記サンプルに接近させることを図示したものである。図62は、前記検査モジュールが、前記第1抗体AB1及び第2抗体AB2が、前記サンプルに含まれたターゲットタンパク質と結合するように、前記パッチを、前記サンプルに接近させるところを図示したものである。
図65を参照すれば、前記検査モジュールは、前述の第1抗体AB1及び第2抗体AB2が活性状態で保存されたパッチを、前記サンプル側に移動させることができる。前記検査モジュールは、前記パッチが、前記サンプルに接触することにより、前記パッチに含まれたベース物質が、前記サンプルが位置した反応領域に水膜を形成する。前述の第1抗体AB1及び第2抗体AB2は、前記ベース物質で分散され、移動性を有することができる。前述の第1抗体AB1及び第2抗体AB2は、前記サンプルにも提供される。前述の第1抗体AB1及び第2抗体AB2は、前記サンプルに接近することができる。
図66は、前記検査モジュールが、前記パッチ及び保存媒体を、前記反応領域から分離させるところを図示したものである。図66を参照すれば、検査モジュールが、前記パッチを、前記反応領域から分離させることにより、前述の第1抗体AB1及び第2抗体AB2において、前記ターゲットタンパク質と結合しない抗体は、前記パッチと共に前記反応領域から分離させることができる。前記反応領域に提供された抗体のうち、前記ターゲットタンパク質と特異的に結合した一次抗体(例えば、第2抗体AB2)、及び前記ターゲットタンパク質と結合した一次抗体に特異的に結合した二次抗体(例えば、第1抗体AB1)は、前記パッチと共に反応領域から分離しない。前記特異的に結合した抗体は、前記反応領域に残ることができる。前述の特異的に結合した抗体を検出し、前記サンプルを検査することができる。前記反応領域から、前記特異的に結合した抗体を検出することにより、前記サンプルが前記ターゲットタンパク質を含むか否かということを検査し、前記サンプルを診断することができる。
本発明の他の一実施例によれば、第1抗体を保存する第1保存媒体、及び第2抗体を保存する第2保存媒体を別途に設け、前記第1保存媒体及び第2保存媒体を利用し、前記パッチに、前記第1抗体及び第2抗体を伝達することができる。前記パッチを利用し、サンプルに含まれた抗原タンパク質を、間接ELISA方式で検出することができる。本実施例によれば、前記第1抗体及び第2抗体が、いずれも非活性状態で保存媒体で保管されることにより、抗体の変性が防止される。また、前述の第1抗体及び第2抗体を区分して保存することにより、前述の第1抗体と第2抗体との非特異的結合を防止することができる。
前述の実施例においては、サンプルを免疫学的に診断する方法について敍述したが、前記保存媒体とパッチとを利用した検査方法は、多様な方式によっても遂行される。
前記検査モジュールは、前記保存媒体と前記パッチとを利用し、血液学的方式により、前記サンプルを検査することができる。前記保存媒体とパッチは、血液染色用試薬を利用し、前記サンプルを検査することができる。前記保存媒体は、前記血液染色用試薬を保存することができる。前記保存媒体は、前記パッチと共に、前記サンプルに前記染色用試薬を提供することができる。
前記検査モジュールは、前記保存媒体と前記パッチとを利用し、組織学的方式により、前記サンプルを検査することができる。前記検査モジュールは、組織サンプルを検査することができる。前記検査モジュールは、前記組織サンプルに含まれたターゲットタンパク質を検出し、前記組織サンプルを検査することができる。前記検査モジュールは、前記組織サンプルの形態を検査するために、前記組織サンプルを染色することができる。
前記検査モジュールは、サンプルに含まれた特定遺伝子配列を増幅するためにも利用される。前記検査モジュールは、前記サンプルに含まれた特定遺伝子配列の増幅に利用される試薬を、前記保存媒体及びパッチを利用し、前記サンプルに伝達することができる。
4.5.4.実施例2-sequentialdelivery
本発明の一実施例によれば、保存媒体収納部を移動させ、パッチに物質を伝達する検査モジュールが提供される。本発明の一実施例によれば、複数の保存媒体が、順にパッチに物質を伝達する検査モジュールが提供される。
図67及び図68は、1つのパッチPA、に第1物質及び第2物質を順に伝達する検査モジュールのいくつかの実施例について簡略に図示したものである。
図68及び図68を参照すれば、本発明の一実施例による検査モジュールは、パッチPA、第1保存媒体ME1及び第2保存媒体ME2を利用し、サンプル検査を行うことができる。前述の第1保存媒体ME1及び第2保存媒体ME2は、それぞれ第1物質及び第2物質を保存することができる。前記検査モジュールは、保存媒体収納部MSに、前述の第1保存媒体ME1及び第2保存媒体ME2を収納することができる。前記検査モジュールは、前記パッチPAを、前記第1保存媒体ME1に接触させ、前記パッチPAに前記第1物質を伝達することができる。前記検査モジュールは、前記パッチPAを、前記第2保存媒体ME2に接触させ、前記パッチPAに前記第2物質を伝達することができる。
図67を参照すれば、前記検査モジュールは、前記パッチPAを、前記第1保存媒体ME1に接触させた後、前記パッチPAを、前記第1保存媒体ME1から分離させ、前記パッチPAを、前記第2保存媒体ME2に接触させることができる。前記検査モジュールは、前記パッチPAを、前記第1保存媒体ME1と前記第2保存媒体ME2とが配列された第1方向(例えば、水平方向)に移動させることにより、前記パッチPAに、前述の第1物質及び第2物質を順に伝達することができる。前記検査モジュールは、前記パッチPAを、第1保存媒体ME1が位置した第1位置から、前記第2保存媒体ME2が位置した第2位置に移動させることができる。前記検査モジュールが、前記パッチPAを、前記一方向に移動させることは、前記パッチPAを、前記保存媒体収納部MSに対して相対移動させるものでもある。前記検査モジュールが、前記パッチPAを移動させることは、前記パッチPAと前記保存媒体との離隔距離を増減させるために、前記パッチPAを垂直方向に移動させることを含んでもよい。
一方、前述のところでは、前記検査モジュールが、前記パッチPAを、前記第1保存媒体ME1及び前記第2保存媒体ME2に接触させる場合について説明したが、本発明による検査モジュールは、それに限定されるものではない。
例えば、前記検査モジュールは、図47ないし図49と係わって説明した実施例のように、前記パッチPAが、保存媒体及びサンプルに順次に接触するように動作することもできる。さらに具体的には、本発明の一実施例による検査モジュールは、図67において図示する第2保存媒体ME2の位置に、サンプルが位置する反応領域が来るようにも具現される。前記検査モジュールは、前記パッチPAの一面を、保存媒体に所定時間接触しさせて試薬を吸収することができる。前記検査モジュールは、前記パッチPAを、前記保存媒体から分離させ、前記パッチの一面を検査対象サンプルに接触させることができる。言い換えれば、前記検査モジュールは、前記パッチPAを利用し、前記試薬を保存媒体から獲得して反応領域に提供することができる。
図68を参照すれば、前記検査モジュールは、前記保存媒体収納部MSを第1方向に移動させることができる。前記検査モジュールは、前記保存媒体収納部MSを、前述の第1保存媒体ME1及び第2保存媒体ME2が配列された反対方向である第1方向(例えば、水平方向)に移動させることにより、前述の第1保存媒体ME1及び第2保存媒体ME2が順に前記パッチPAと接触するようにする。前記検査モジュールは、前記保存媒体収納部MSを、第1方向、及び第1方向に直交する第2方向(例えば、垂直方向)に移動させることにより、前記パッチPAに、前述の第1物質及び第2物質を伝達することができる。前記検査モジュールは、前記保存媒体収納部MSを第1方向に移動させることにより、前記パッチPAに、前述の第1物質及び第2物質を伝達することができる。前記検査モジュールが、前記保存媒体収納部MSを第1方向に移動させることは、前記保存媒体収納部MSを、前記パッチPAに対して相対移動させるものでもある。
図68及び図68においては、保存媒体収納部MSが、第1保存媒体ME1及び第2保存媒体ME2を含む場合について図示したが、前記保存媒体収納部MSが1つの保存媒体のみを含む場合にも、前述のパッチPAまたは保存媒体収納部MSの移動が類似して適用される。前記検査モジュールは、前記保存媒体が、前記パッチPAと接触しないように、前記保存媒体収納部MSを配置する第1モード、及び前記保存媒体が、前記パッチPAと接触するように、前記保存媒体収納部MSを配置する第2モードを含んでもよい。前記検査モジュールは、前記保存媒体収納部MSを、前記第1モードから第2モードに変更することにより、前記パッチPAに前記物質を伝達することができる。
4.6.検査装置
本明細書において開示する検査モジュールは、検査装置の一部としても提供される。以下では、本明細書で開示する検査モジュールを含む検査装置について説明する。
図57は、本発明の一実施例による検査装置10を図示したものである。図54を参照すれば、本発明の一実施例による検査装置10は、検査モジュール1000、駆動部2000及び検出部3000を含んでもよい。図57で開始する検査装置に含まれる検査モジュールは、図53と係わって説明した検査モジュールと類似しても理解される。前記検査装置10は、前記プレート収納部300に収納されるプレートPLに位置するサンプルを検査することができる。
前記駆動部2000は、前記検査モジュールを駆動することができる。前記駆動部2000は、前記検査モジュールに含まれる保存媒体100、パッチ200及びプレート収納部300を駆動することができる。前記駆動部2000は、前記保存媒体100が前記パッチ200に接触するように、前記保存媒体100を駆動することができる。前記駆動部2000は、前記パッチ200が、前記プレートPLに位置したサンプルに接触するように、前記パッチ200を駆動することができる。前記駆動部2000は、前記パッチ200及び/または保存媒体100を、前記サンプルから分離させることができる。
前記検出部3000は、前記サンプル検査のための反応を検出することができる。前記検出部3000は、前記プレートPLで行われる反応を検出することができる。前記検出部3000は、前記パッチ200で行われる反応を検出することができる。
前記検出部3000は、照度計(luminometer)、CMOS(complementary metal-oxide semiconductor)カメラまたはCCD(charge coupled device)カメラを具備し、前記反応領域で発生する発光を測定することができる。前記検出部3000は、前述の反応領域での発光を測定し、前記反応を検出することができる。
前記検出部3000は、フィルタが付着した蛍光測定器(fluorometer)を含んでもよい。前記検出部3000は、前記サンプルが位置した反応領域の蛍光を測定することにより、前記サンプル検査のための反応を検出することができる。
前記検出部3000は、電気化学センサを含んでもよい。前記検出部3000は、前記サンプル検査のための反応による電気化学的変化を検出することができる。
前記検出部3000は、分光計(spectrophotometer)を具備し、前記反応領域の発色を定量することができる。前記検出部3000は、前記反応領域を比色することにより、前記反応を検出することができる。前記検出部3000は、吸光度を測定することにより、前記反応を検出することができる。
前記検出部3000は、撮像モジュールを含んでもよい。前記検出部3000は、前記サンプル検査のための反応を光学的に検出することができる。前記検出部3000は、撮像モジュールを具備し、前記反応領域を撮像することができる。前記検出部3000は、前記撮像されたイメージを利用し、前記サンプルを検査することができる。
前記検査装置は、診断キットの形態でも提供される。
4.7.実験例
ここでは、本明細書で開示するパッチ及び保存媒体を利用し、サンプルを検査するいくつかの実施例について説明する。以下では、本明細書で開示するパッチを利用し、サンプルを検査する実施例として、比較例1について説明し、本明細書で開示するパッチ及び保存媒体を利用し、サンプルを検査する実施例として実験例1ないし5について説明する。
以下で説明する実施例においては、血液サンプルに対して、抗原・抗体反応を利用するか、あるいは血液成分を選別的に染色する試薬を利用し、サンプルを検査する場合などについて説明する。しかし、本発明で説明する検査方法は、それらに限定されるものではないということは、自明である。
4.7.1.比較例1
本発明の一実施例によれば、パッチを利用してプレートに固定されたサンプルがターゲットタンパク質を含むか否かということを検査することができる。
前記パッチは、アガロースゲルパッチでもある。前記パッチは、PBSバッファ溶液を保存することができる。前記パッチは、ターゲットタンパク質と特異的に結合する抗体を保存することができる。前記抗体は、ターゲット細胞(例えば、免疫細胞)の表面タンパク質を検出するための抗体でもある。前記抗体は、CD4を検出するための抗体でもある。前記抗体は、蛍光標識された抗体でもある。
前述の実施例において、前記パッチを利用し、前記サンプルを検査することは、前記血液サンプルが固定されたプレートに前記パッチを接触させ、前記パッチを、前記プレートから分離させることを含んでもよい。前記サンプルを検査することは、前記パッチが分離されたプレートから前記抗体を検出することを含んでもよい。
図69は、前述の実施例を参照し、プレートに固定された血液サンプルを検査する場合であり、第1比較例による実験結果を図示したものである。
図69の(a)は、血液サンプルを光学顕微鏡を利用して撮像したイメージを図示したものである。図69の(b)は、図69の(a)の点線中の領域を、図面として図示したものである。図69の(a)及び(b)を参照すれば、前記血液サンプルは、赤血球及び白血球を含むということを確認することができる。
第1比較例によれば、2%アガロース溶液を利用して作製されたパッチを利用し、前記血液サンプルを検査することができる。前記パッチは、PBSバッファ及びCD4抗体を含んでもよい。第1比較例によれば、前記パッチは、前記2%アガロース溶液、前記PBSバッファ及びCD4抗体を含むように作製されても準備される。第1比較例によれば、前記CD4抗体は、FITC(fluorescein isothiocyanate)標識される。第1比較例によれば、前記血液サンプルは、メタノールを利用し、前記プレートに固定されても設けられる。
第1比較例によれば、前記血液サンプルが固定されたプレートに、前記パッチを一定時間接触させていて、分離させることができる。前記パッチは、前記プレートに、約15分間接触することができる。前記パッチは、前記プレートと接触し、15分後、前記プレートから分離される。
図69の(c)は、図69の(a)で図示されているところと同一の血液サンプルを、蛍光イメージを利用して撮像したイメージを図示したものである。図69の(d)は、図69の(c)の点線内の領域を図面として図示したものである。図69の(c)及び(d)を参照すれば、さらにに具体的には、図69の(c)及び(d)は、血液サンプルに、前記パッチを接触させていて分離させた後、前記プレートを蛍光顕微鏡で観察したイメージを図示したものである。図66の(c)及び(d)を参照すれば、前記血液サンプルに含まれた白血球が選別的に検出されるところを確認することができる。すなわち、比較例1によれば、血液サンプルに含まれた白血球のうち、CD4タンパク質を含む白血球が選別的に検出される。図69の(c)及び(d)を参照すれば、前記白血球の表面に分布されたCD4タンパク質に結合した前記抗体のFITCを検出することにより、前記サンプルに含まれた白血球を検出することができる。
比較例1のように、パッチを利用し、サンプルを検査する場合、従来方式により、サンプルに含まれた抗原を検出するところに比べ、手続きがはるかに簡素化され、所要時間が節約される。具体的には、比較例1のように、パッチを利用し、サンプルに含まれたターゲットタンパク質を検出する場合、サンプルを洗浄するか、あるいは乾燥させる過程なしにも、抗体の特異的結合反応が十分に誘導されるということを観察することができる。また、前述の過程なしに、前記サンプルにパッチを接触させていて分離させる過程のみを遂行することにより、通常の検査時間より短時間(例えば、15分以内)内に、抗体の反応結果を獲得することができる。
4.7.2.実験例1
本発明の一実施例によれば、抗体を保存するパッチを利用し、プレートに固定されたサンプルがターゲットタンパク質を含むか否かということを検査することができる。そのとき、前記パッチは、前記抗体が保存されていない状態でも準備される。
前記パッチは、前記抗体を含むリキッドに接触させ、前記抗体を吸収及び保存することができる。前記パッチは、前記抗体を含むリキッドが塗布されたプレートに接触し、前記抗体を吸収及び保存することができる。前記パッチは、図47ないし図49と係わって説明した本発明の一実施例のように、プレートに塗布された試薬(すなわち、抗体を含むリキッド)と接触し、前記抗体を吸収することができる。前記抗体は、酵素が付着してもいる。
本実施例によれば、前記抗体に付着した酵素に対する基質を保存するパッチを利用し、前記サンプルを検査することができる。
本実施例によれば、前記サンプルを検査することは、前記サンプルに、前記抗体を保存するパッチを接触させていて分離させることを含んでもよい。前記サンプルを検査することは、前記サンプルに、前記基質を保存するパッチを接触させていて分離させることを含んでもよい。前記サンプルを検査することは、前記パッチの前記リキッドと接触し、抗体を吸収した一面を前記サンプルに接触させていて分離させることを含んでもよい。前記サンプルを検査することは、前記基質が、前記酵素と反応して生成される生成物による発色を観察することを含んでもよい。
図70の(a)は、前述の実施例を参照し、プレートに固定された血液サンプルを検査する場合であり、第1実験例による実験結果を図示したものである。さらに詳細には、図70の(a)は、HRPが結合されたCD4抗体を保存する第1パッチ、及び3,3-ジアミノベンジジン(DAB)溶液を保存する第2パッチを利用し、Tリンパ球を検出する場合、光学顕微鏡を利用して観察した血液サンプルのイメージを図示したものである。図70の(b)は、図70の(a)の点線内の部分を図面として図示したものである。
第1実験例によれば、図70の(a)及び(b)で図示されているように、血液サンプルに含まれた白血球のうち、CD4+である白血球を選別的に検出することができる。第1実験例によれば、HRPが結合されたCD4抗体を保存する第1パッチを、前記サンプルに接触させていて分離させ、3,3-ジアミノベンジジン(DAB)溶液を保存する第2パッチを利用し、前記サンプルにDAB基質を伝達することにより、前記サンプルに含まれたTリンパ球を検出することができる。
第1実験例によれば、前記血液を検査することは、前記第1パッチ及び第2パッチを準備し、前記第1パッチを、前記プレートに接触させていて分離させた後、前記第2パッチを、前記プレートに接触させていて分離させて行われる。
第1実験例によれば、前記血液を検査することは、2%アガロース溶液及びPBS溶液を含むヒドロゲルパッチを準備することを含んでもよい。前記ヒドロゲルパッチは、Triton X-100をさらに含んでもよい。
前記血液を検査することは、前記ヒドロゲルパッチの一面を、HRPが結合されたCD4抗体を含むPBS溶液に接触させ、前記抗体を保存する第1パッチを準備することを含んでもよい。そのとき、第1実験例書、前記パッチの一面は、前記抗体を吸収するために、前記抗体を含む溶液に10分余り接触される。前記第1パッチは、前記プレートと接触し、前記サンプルに前記抗体を提供することができる。前記第1パッチは、前記プレートからも分離される。
一方、前記血液を検査することは、前記ヒドロゲルパッチの一面を、HRPが結合されたCD4抗体を含むPBS溶液が塗布されて乾燥されたプレートに接触させることにより、前記抗体を保存する第1パッチを準備することを含んでもよい。言い換えれば、前記第1パッチは、図47と係わって説明した本発明の一実施例と類似しも設けられる。
前記HRPに係わる発色基質(chromogenicsubstrate)であるDABを保存する第2パッチが準備される。前記第2パッチは、DAB溶液に、前述のヒドロゲルパッチを接触させ、前記パッチに、前記DAB溶液を保存することによっても作製される。前記第2パッチは、DAB溶液が塗布されて乾燥されたプレートに、前述のヒドロゲルパッチを接触させ、前記パッチに、前記DAB溶液を保存することによっても作製される。そのとき、第1実験例において、前記パッチの一面は、前記DABを吸収するために、前記DABに1分余り接触する。前記第2パッチは、前記プレートと接触(例えば、10分間)し、前記サンプルに前記基質を提供することができる。
実験例1によれば、前記DABは、前記サンプルに提供されることにより、前記抗体に付着した酵素と反応し、生成物を生成することができる。実験例1によれば、前記生成物によって発色されたターゲットリンパ球を観察することにより、前記サンプル検査を行うことができる。
実験例1のように、ヒドロゲルパッチの一面を介して抗体などを吸収し、前記一面をサンプルに接触させることができる。前記パッチは、サンプルに、前記抗体などを提供することができる。実験例1のように、前記パッチが、前記抗体などを吸収した一面を前記サンプルに接触させ、前記抗体などを提供することにより、前記サンプル検査に必要となる反応時間が短縮される。
実験例1のようにサンプル検査を行うことにより、サンプルの前処理過程(例えば、ブロッキング過程)及び/または洗浄過程が省略される。その場合にも、背景(background)信号なしに、ターゲットを検出するための信号が適切に獲得されるということが確認された。
実験例1のようにサンプル検査を行う場合、パッチをサンプルに接触させていて分離させることにより、ターゲットと結合していない抗体は、パッチと共にサンプルから分離されるので、洗浄などの付随手続きなしに、サンプル検査を行うことができる。
4.7.3.実験例2
本発明の一実施例によれば、前述のパッチ及び保存媒体を利用し、血液サンプルを検査することができる。そのとき、前記パッチは、前記抗体が保存されない状態で用意することができる。前記パッチは、前記抗体を保存する保存媒体に接触し、前記抗体を吸収することができる。前記抗体は、酵素が付着してもいる。
図71は、前述の実施例を参照し、プレートに固定された血液サンプルを検査する場合であり、第2実験例による実験結果を図示したものである。さらに詳細には、図71の(a)は、パッチに保存媒体を接触させ、血液サンプルにパッチを接触し、DAB溶液を、前記サンプルに塗布した後、光学顕微鏡を利用し、撮像前記サンプルのイメージを図示したものである。図71の(b)は、図71の(a)の点線内の部分を図面として図示したものである。第2実験例によれば、図71の(a)及び(b)で図示されているように、血液サンプルに含まれた白血球のうち、ターゲットタンパク質を含む白血球が選別的に検出される。
第2実験例によれば、前記保存媒体は、血液サンプルに含まれたターゲットタンパク質を検出するための抗体を、エアドライ(air dry)された状態で保存することができる。
第2実験例によれば、前記サンプルに前記パッチの一面を接触させ、前記パッチの他の一面に前記保存媒体を接触させることにより、前記パッチを媒介に、前記サンプルに前記抗体を提供することができる。さらに具体的には、第2実験例によれば、前記血液を検査することは、ヒドロゲルパッチの下面を血液サンプルに接触させ、前記パッチの上面を抗体を保存する保存媒体に接触し、前記パッチ及び保存媒体を、前記サンプルから分離させた後、前記サンプルにDAB溶液を塗布することによっても遂行される。
前記パッチは、前記サンプルと接触させた後、前記保存媒体と接触させるか、あるいは前記保存媒体と接触させた後、前記サンプルと接触させることができる。
第2実験例によれば、前記パッチは、2%アガロース溶液を含んだPBS溶液を利用しても作製される。前記パッチは、Triton X-100を含んでもよい。
第2実験例によれば、前記保存媒体は、ニトロセルロース(NC:nitrocellulose)メンブレンでもある。前記保存媒体は、HRPが付着したCD4抗体を、エアドライされた状態で保存することができる。一例として、前記保存媒体は、CD4抗体の溶液(1:100~1:1,000)の一定量(例えば、50~100μl)を乾燥状態で保存することができる。
前記保存媒体は、前記抗体を表面に保存することができる。前記保存媒体は、前記抗体を吸収し、乾燥状態で保存することができる。
第2実験例によれば、前記保存媒体は、前記パッチの上面に接触し、前記CD4抗体を前記パッチに伝達することができる。前記パッチは、前記保存媒体及びサンプルと接触した状態で、一定時間維持される。例えば、前記パッチは、前記保存媒体及びサンプルと、37℃で10分間接触することができる。
第2実験例によれば、前記保存媒体及び前記パッチを、前記サンプルから分離させた後、前記サンプルにDAB溶液処理した後、前記サンプルを観察することにより、前記サンプルを検査することができる。
第2実験例のように、前記保存媒体に抗体を保存し、前記パッチを媒介にし、前記サンプルに抗体を提供することにより、前記サンプルに含まれたターゲットタンパク質を検出するための反応所要時間が短縮されるということが確認された。また、第2実験例のように、前記抗体をエアドライされた状態で保存することにより、前記抗体の変質を最小化させ、流通期間を延長させることができる。また、第2実験例のように、前記保存媒体に抗体を保存し、前記パッチを媒介にし、前記サンプルに抗体を提供することにより、洗浄、ブロッキングなどの処理なしにも、ターゲットタンパク質の検出結果が容易に獲得されるということが確認された。
4.7.4.実験例3
本発明の一実施例によれば、前述のパッチ及び保存媒体を利用し、血液サンプルを検査することができる。そのとき、前記パッチは、前記抗体が保存されていない状態でも準備される。前記パッチは、前記抗体を保存する保存媒体に接触し、前記抗体を吸収することができる。前記抗体は、蛍光標識物質が付着してもいる。
図72は、前述の実施例を参照し、プレートに固定された血液サンプルを検査する場合であり、第3実験例による実験結果を図示したものである。図72の(a)は、前記蛍光標識された抗体を検出するために、第1蛍光フィルタを利用して撮像した前記血液サンプルの第1蛍光イメージを図示したものである。さらに具体的には、図72の(a)は、第3実験例により、第1蛍光(例えば、Alexa Fluor 594)及び第2蛍光(例えば、DAPI)で処理された蛍光サンプルを、第1蛍光を検出するための蛍光フィルタを利用して撮像したイメージを図示したものである。図72の(d)は、図72の(a)の点線内の部分を図面として図示したものである。
図72の(b)は、前記蛍光標識された抗体を検出するために、第2蛍光フィルタを利用して撮像した前記血液サンプルの第2蛍光イメージを図示したものである。さらに具体的には、図72の(b)は、第3実験例により、第1蛍光(例えば、Alexa Fluor 594)及び第2蛍光(例えば、DAPI)で処理された蛍光サンプルを、第2蛍光を検出するための蛍光フィルタを利用して撮像したイメージを図示したものである。図72の(e)は、図72の(b)の点線内の部分を図面として図示したものである。
図72の(c)は、光学顕微鏡を利用して撮像した前記血液サンプルのイメージを図示したものである。図72の(f)は、前記図72の(c)の点線内の部分を図面として図示したものである。
図72の(a)ないし(f)を参照すれば、実験例3による場合、血液サンプルに含まれた白血球が選別的に検出されるところを確認することができる。実験例3による場合、血液サンプルに含まれた白血球の核が選別的に検出されるところを確認することができる。
前記第3実験例による実験過程は、前述の第2実験例とほとんど類似して具現される。
第3実験例によれば、前記保存媒体は、CD3を検出するためのCD3抗体を保存することができる。前記保存媒体は、CD3タンパク質を含む白血球を検出するためのCD3抗体を保存することができる。さらに具体的には、前記保存媒体は、CD3抗体溶液(1:100~1:1,000)を一定量(50~100μl)吸収し、前記抗体を乾燥状態で保存することができる。前記抗体には、蛍光物質が標識されている。前記蛍光物質は、Alexa Flour 594でもある。前記蛍光物質は、4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)でもある。
第3実験例においても、第2実験例と類似して、前記保存媒体を、前記パッチの一面に接触させ、前記パッチの他の一面を前記サンプルに接触させることにより、前記抗体を利用し、前記サンプルを検査することができる。
第3実験例のように、蛍光標識された抗体を別途の保存媒体に保管する場合、前記抗体を、前記パッチに共に保存して保管または運搬する場合に比べ、前記抗体の品質低下が緩和され、前記蛍光の変質が防止されるところが確認された。
4.7.5.実験例4
本発明の一実施例によれば、前述のパッチ及び蛍光試薬を保存する保存媒体を利用し、血液サンプルを検査することができる。そのとき、前記パッチは、前記蛍光試薬が保存されていない状態でも準備される。前記パッチは、前記蛍光試薬を保存する保存媒体に接触し、前記蛍光試薬を吸収することができる。前記蛍光試薬は、DNAを染色する蛍光試薬でもある。
図73は、前述の実施例を参照し、プレートに固定された血液サンプルを検査する場合であり、第4実験例による実験結果を図示したものである。さらに具体的には、図73は、血液サンプルに含まれた遺伝物質を検出するための第4実験例による実験結果を図示したものである。
第4実験例によれば、前記保存媒体は、DAPI試薬を保存することができる。前記保存媒体は、DAPIを含んだPBS溶液を一定量(50~100μl)吸収し、前記DAPI試薬を乾燥状態で保存することができる。
第4実験例によれば、前記血液サンプルを検査することは、前記DAPI試薬を保存する保存媒体を、前記パッチの一面に接触させ、前記パッチの他の一面を前記サンプルに接触させていて分離することによっても遂行される。前記DAPI試薬を保存する保存媒体を、前記パッチの一面に接触させれば、前記DAPI試薬は、前記パッチにも伝達される。前記DAPI試薬を保存するパッチは、前記サンプルと接触し、前記サンプルでDAPI試薬を提供することができる。前記DAPI試薬を保存するパッチを、前記サンプルから分離すれば、前記サンプルに含まれたDNAと結合していない試薬は、前記パッチと共に分離される。
第4実験例によれば、前記DAPI試薬を保存するパッチを、前記サンプルから分離させた後、前記サンプルが位置するプレートの蛍光を検出することにより、前記サンプルを検査することができる。
第4実験例のように、前記保存媒体を利用し、蛍光試薬を保存及び運搬していて、前記パッチを媒介に、前記蛍光試薬をサンプルに伝達することにより、蛍光試薬の品質下落を防止することができ、流通期間を延長させることができる。
図73の(a)は、第4実験例により、前記血液サンプルに含まれた遺伝物質を検出するために、蛍光フィルタを利用して撮像した前記血液サンプルの蛍光イメージを図示したものである。さらに具体的には、図73の(a)は、前述のDAPI試薬を保存する保存媒体、及びヒドロゲルパッチを利用して蛍光処理した血液サンプルの蛍光イメージを撮像したものである。図73の(a)は、前記パッチの下面を前記サンプルに接触させ、前記パッチの上面を、前記保存媒体と接触させた状態で、常温で3ないし5分間培養し、前記パッチを、前記サンプルから分離させた後で撮像した前記サンプルの蛍光イメージを図示したものである。図73の(c)は、図73の(a)の点線内の部分を図面として図示したものである。
図73の(b)は、第4実験例による実験結果を確認するために、光学顕微鏡を利用して撮像した前記血液サンプルのイメージを図示したものである。さらに具体的には、図73の(b)は、前述のDAPI試薬を保存する保存媒体、及びヒドロゲルパッチを利用して蛍光処理した血液サンプルの明視野(bright field)イメージを撮像したものである。図73の(d)は、図73の(b)の点線内の部分を図面として図示したものである。
図73の(a)ないし(d)を参照すれば、本発明による実験例4により、前記血液サンプルに含まれた白血球の核が検出されるところを確認することができる。
4.7.6.実験例5
本発明の一実施例によれば、前述のパッチ及び蛍光染色物質を保存する保存媒体を利用し、血液サンプルを検査することができる。そのとき、前記パッチは、染色物質が保存されていない状態でも準備される。前記パッチは、前記蛍光試薬を保存する保存媒体に接触し、前記蛍光物質を吸収することができる。
図74は、前述の実施例を参照し、プレートに固定された血液サンプルを検査する場合であり、第5実験例による実験結果を図示したものである。前記第5実験例による実験過程は、前述の第2実験例とほとんど類似しても具現される。ただし、第5実験例において、前記パッチが、前記保存媒体から吸収するものは、DAPI染色試薬でもある。また、第5実験例によれば、前記血液サンプルにカラー染色をまず行った後、蛍光染色を行うことができる。
図74の(a)は、実験例5によって獲得された血液サンプルを、蛍光フィルタを利用して撮像したイメージを図示したものである。さらに具体的には、図74の(a)は、第5実験例により、前記血液サンプルに含まれたターゲットタンパク質を検出するために、蛍光フィルタを利用して撮像したイメージを図示したものである。図74の(c)は、図74の(a)の点線内の部分を図面として図示したものである。
図74の(b)は、実験例5によって獲得された血液サンプルを、光学顕微鏡を利用して撮像したイメージを図示したものである。図74の(d)は、実験例5によって獲得された血液サンプルを、蛍光フィルタを利用して撮像したイメージを図示したものである。
図74の(a)ないし(d)を参照すれば、本発明の実験例5により、血液サンプルに含まれたDNAが選別的に検出されるところを確認することができる。
第5実験例によれば、本明細書で開示するパッチ及び保存媒体を利用し、血液サンプルにカラー染色をまず行った後、蛍光染色を行い、1つのプレートにおいて、カラー染色結果と蛍光染色結果とを同時に観察することができた。
4.7.7.検討
前述の第1比較例と、第1ないし第5実験例とを介して、本明細書で開示するパッチ及び/または保存媒体を利用し、サンプル検査が可能であるということが確認された。言い換えれば、本明細書で開示するパッチ及び/または保存媒体を利用し、一般的な染色、蛍光染色、抗原・抗体反応などを利用したサンプル検査が可能であるということが確認された。
また、前述の比較例と実験例とを比較したとき、実験例の場合、染色試薬または抗体を保存媒体に保管することにより、比較例の場合に比べ、試薬などの保管性が向上し、品質維持期間が延長される効果があるということが確認された。また、実験例の場合、比較例の場合に比べ、検査遂行に必要となる時間も延長されないか、あるいはさらに短縮されるということが確認された。
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野で当業者であるならば、本発明の本質的な特性から外れない範囲において、多様な修正及び変形が可能であろう。従って、以上で説明した本発明の実施例は、互いに別個に、あるいは組み合わされて具現されることも可能である。従って、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想は、一実施例により、本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものであると解釈されなければならないのである。
[発明の実施のための形態]
前述のように、前記発明の実施のための最善の形態として、関連事項を記述した。