JP7068824B2 - 変形可能なピストンワッシャー - Google Patents

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Description

本発明は、薬剤送達装置及びかかる装置のための構成要素に関する。
糖尿病を患う人々は、多くの場合、自身に日常的にインシュリンを注射する必要がある。過去30年以上にわたり、自己投与処置を容易にするために、数多くの異なるペン注射システムが開発されてきた。ペン注射器は、典型的には、注射される液剤を内包するカートリッジを備える。このカートリッジには、注射ペンから、取り付けられた注射針を通じてユーザの体内へと液剤を移行させるために、前方へと動くピストンが設けられる。
商業的に成功している注射ペンの一例(Novo Nordisk A/SによるFlexpen(登録商標))が、US 6,235,004で開示されている。例えば図15から図17に図示しているカートリッジ(89)は、吐出される液剤を内包する。カートリッジ(89)は、近位端部においてゴム製ピストンによって閉鎖され、このゴム製ピストンが、ピストンロッド(7)によってカートリッジ(89)内部で前方へと動かされる。ピストンロッド(7)からゴム製ピストンへと力を移転し、分散させるために、ピストンロッド(7)とゴム製ピストンとの間にピストンワッシャー又はピストンロッドフット(9)が設けられる。ピストンワッシャーはカートリッジ内部よりも直径が著しく小さく、ピストンはカートリッジ内部で摺動する。
ユーザが充填済みの薬剤量を使用すると廃棄される、充填済みの注射ペンに関しては、ユーザがピストンロッドをその初期位置に戻す可能性がない。この投薬機構は一般的に、ピストンロッドが遠位方向にのみ動きうるように構築される。注射ペンが、充填済みの薬剤量が排出されるまでのみ使用されるよう、設計されるからである。更に、これらの注射ペンは、ユーザがピストンロッドとの接触を物理的に得られないように密封される。かかる注射ペンにおいては、ピストンワッシャーは通常、ゴム製ピストンとピストンロッドとの間に、この2つの構成要素のいずれにも取り付けられることなく、緩い状態で置かれる。これが注射ペンを組み立てる最も容易な方法だからである。
多くの製薬会社が、液剤は冷蔵庫又は他の冷蔵設備内に保管されるべきだと勧告している。しかし、液剤は概括的に寒気に対して敏感である。したがって、液剤は常に0℃を上回る温度で保管されるべきである。液剤は、多くの場合、ガラス製カートリッジに内包されている。かかるガラス製カートリッジが寒気に曝露された場合、液剤が損なわれる可能性があるだけでなく、更にこの液体の体積が膨張する。膨張により生じる圧力の増大は、膨張に対して他の可能性が提供されなければ、ガラス製カートリッジの破砕を引き起こしうる。
WO 2007/068061(Safety Medical Products Limited)は液剤ための容器を開示しており、この容器においては、薬剤が寒気に曝露されるとキャップが軸方向に動きうる。
充填済みの注射ペンでは、ピストンロッドが存在するために、弾性ピストンが近位方向へと自由に動くことができない。しかし、ピストンワッシャーの径方向寸法がピストンの近位(又は後方)表面領域よりも小さければ、ピストンの外周部が、近位方向に動き、それにより、ピストンワッシャーの周囲を変形させることが可能になる。このことは、カートリッジ壁における亀裂形成のリスクを低減するが、カートリッジ壁とピストンワッシャーとの間の距離が狭すぎる場合、その間にゴムが挟まる(wedging)リスクをもたらす。したがって、従来型のピストンワッシャーは、ピストンが詰まることを防止するのに十分なほど小さな直径を有する。
用量送達の精度を最大化するために、ペン注射器の多くの製造者は、用量投与が終了してから少なくとも6秒間注射針が皮膚内に留まることを勧告している。このことはとりわけ、ピストンに、弛緩してその通常の非緊張状態に復元するという、注射針を通じて少量の薬剤の追加吐出を必然的にもたらすプロセスのための、時間を与えるためである。しかし、注射の完遂のための少なくとも6秒間の追加時間は、ユーザの視点からは不満なものであり、したがって、投薬システムにおける蓄積フレキシビリティ(accumulated flexibility)を最小化することが望ましい。直径が小さいピストンワッシャーは、この最小化に良い面で寄与するものではない。
ピストンロッドからの圧力がピストンの近位表面全体に均等に分散され、特にそれと共に、カートリッジ壁に可能な限り近く印加されれば、用量吐出中のカートリッジ壁とピストンとの間の摩擦により、注射用量の最大精度が得られる。しかし、ピストンワッシャーの直径が大きいことは、ピストンロッドからの力をピストンの外周に分散させるために必要とされるが、それと共に、寒気に曝露された時にピストンの外周部が近位方向へと動くことを妨げ、それにより、ガラスが破損するリスクが増大する。
WO 2013/034467 (Novo Nordisk A/S)は、中心部と外側部であって、一定の閾値限度を上回る力が外側部に印加されると互いから分離するよう構築されている、中心部と外側部とを備えるピストンワッシャーを有する、薬剤送達装置を開示している。それにより、通常の用量投与中に、ピストンロッドからの力が、近位ピストン表面全体にわたって分散され、ピストンの変形量、ひいてはそれに続くピストンの弛緩のための時間を低減しうる。その一方で、薬剤送達装置が寒気に曝露されることによる、ピストンからの近位方向に向いた過度の圧力は、上記2つのピストンワッシャー部分の分離を引き起こし、それにより、亀裂形成のリスクが低減すると共に、装置及び/又はカートリッジの内容物が損なわれうるという明らかな表示が提供される。
たとえ寒気への曝露によって液剤が損なわれなくとも、送達装置が損なわれるか、若しくは損なわれたと認知されれば、薬剤量全体が無駄になり、カートリッジを別の送達装置に移すこともできない。WO 2013/034467に提示されている手法は、従来技術を凌駕する明白な利点を提供するが、ピストンワッシャーの外周部が中心部から分離し、したがって、それ自体が薬剤送達装置内で支持されない要素となるという事実は、たとえ装置の核心的機能が損なわれておらず、実際には装置が完全に機能していても、ユーザを混乱させ、ユーザを、装置が機能不全に陥っているという結論に導く可能性がありうる。
少なくとも1つの従来技術の欠点をなくすか又は軽減すること、或いは、従来技術の手法の有用な代替例を提供することが、本発明の一目的である。
詳細には、薬剤送達装置用のピストンワッシャーであって、用量投与に続くピストンの弛緩時間の低減を可能にすると共に、例えば、装置の機能不全を引き起こすこと、又は引き起こしたと思われることなく、リザーバ内の薬剤の膨張を許容する、ピストンワッシャーを提供することが、本発明の一目的である。
薬剤送達装置用の寒気インジケータとして使用されうるピストンワッシャーを提供することが、本発明の更なる目的である。
製造が安価であり、それにより、薬剤送達装置の製造コストが若干増すだけでピストンワッシャーを組み込める、かかるピストンワッシャーを提供することが、本発明のまた更なる目的である。
現在市販されている注射装置と比較して弛緩時間が短くなると共に、注射装置が寒気に曝露された後にも問題なく機能する用量送達機構を有する、注射装置を提供することも、本発明の一目的である。
本発明の開示では、上記の一又は複数の目的に向けての、及び/又は、下記の記述から明らかになる目的に向けての、態様及び実施形態について説明する。
本発明の原理を具現化するピストンワッシャーは、中心軸の周囲に配置された中心部と、外周部とを備えており、かつ、外周部と中心部とが物理的に接続されて第1相対軸方向位置をとっている第1状態から、外周部と中心部とが物理的に接続されて第2相対軸方向位置をとっている第2状態へと、制御可能に移行することが可能である。このことが、薬剤送達装置であって、薬剤容器内のピストンと同じ又は実質的に同じ直径のピストンワッシャーを有し、それにより、ピストンワッシャーへのピストンロッドからの圧力が、ピストンの近位表面の全体又は実質的に全体にわたって分散され、用量投与に続くピストンの弛緩時間を低減しうる、そしてそれと同時に、中心部に対する外周部の変位によってピストンワッシャーが変形可能であり、容器壁の破壊を引き起こさない(ピストンの外周の変形を伴う)薬剤物質の体積膨張を可能にする、薬剤送達装置の製造を、可能にする。第1状態から第2状態への移行中に、外周部は、中心部に対して恒久的に軸方向に変位し、移行についての持続的な視覚表示を提供しうる。
したがって、本発明の一態様において、薬剤送達装置用のピストンワッシャーが提供され、このピストンワッシャーは、例えば、長手方向軸の周囲に少なくとも実質的に軸対称に配置された中心部と、外周部と、中心部と外周部とを接続する軸方向に変形可能な構造体であって、例えば、外周部に作用する第1合力と中心部に作用する第2合力との差異が閾値レベルを超えることに応じて、ピストンワッシャーの他のどの領域よりも前に、恒久的に変形するよう事前構成され(すなわち特別に設計され)ている、軸方向に変形可能な構造体とを、備える。ゆえに、軸方向に変形可能な構造体は、弱い領域を構成し、かつ、外周部と中心部との、制御された相対軸方向変位をもたらす。軸方向に変形可能な構造体は、塑性変形を発現させるよう構成されうる。
更に、ピストンワッシャーは、第1合力と第2合力との差異が閾値レベルを超えることに応じて、軸方向に変形可能な構造体が変形することによって、外周部と中心部とが物理的に接続されて、長手方向軸に沿って第1相対位置をとっている第1状態から、外周部と中心部とが物理的に接続されて、長手方向軸に沿って第2相対位置をとっている第2状態へと、移行するよう構成される。第1状態から第2状態への移行の後に、第1合力と第2合力との差異が閾値レベル以下に降下した場合、外周部は中心部に対して恒久的に軸方向に変位している。
換言すると、ピストンワッシャーが第1状態から第2状態へと移行している間、中心部と外周部とは物理的に接続したままである。それにより、使用時には、薬剤送達装置内でいつでも自由に動き回り、装置の用量精度に関する懸念を引き起こす可能性がある、ピストンワッシャーの分離部分がなくなる。中心部に対する外周部の恒久的な軸方向変形により、ユーザは、当該時点でのピストンワッシャーの状態を視認することにより、ピストンが過渡的に変形したか否か、またそれにより、薬剤送達装置が寒気に曝露されたか否かについての、表示を得ることが可能になる。
中心部は、薬剤送達装置内でのピストンロッドとの当接又は係合に適合した近位表面と、中心ピストン部との当接に適合した遠位表面とを備えうる。外周部は、中心部の周囲に同心円状に配置された環状部材であって、外周ピストン部との当接に適合した遠位表面を備える環状部材を備えうる。詳細には、中心部は、ディスク構成などの、円形又は実質的に円形の構成を有してよく、外周部は、円形又は実質的に円形の輪状構成を有しうる。このことが、ピストンロッド、ピストン、及び容器壁からの負荷の軸対称分散と組み合わされて、ピストンワッシャーの少なくとも実質的に軸対称な変形を確実にする、構造における対称性をもたらす。環状部材が一体型でありうるか、又は区分け型でありうること、すなわち、環状部材は、単一部品として形成される必要はなく、周方向に離間した複数の湾曲部品を含みうることに、留意されたい。これらの湾曲部品は、分離したものでありうるか、又は相互接続されうる。
ピストンワッシャーは、全体横断寸法(すなわち、長手方向軸に直角な寸法)を有してよく、中心部は、全体横断寸法の少なくとも50%である、中心横断寸法を有しうる。このことにより、例えば薬剤の凍結によって、ピストンワッシャーが恒久的に変形されても、薬剤が解凍した時にはピストンワッシャーとピストンとの間に十分に大きな接触領域が存在することが確実になり、この接触領域に、薬剤投与の精度を落とすことなく、ピストンロッドからの力が分散されうる。
理想的には、中心部が、全体横断寸法の少なくとも50%であり、かつ最大で80%である、中心横断寸法を有することにより、ピストン挟まりのリスクも低減する。
本発明の一部の実施形態では、軸方向変形可能な構造体が、中心部と外周部との間に配置された、入れ子式チューブを備える。第1チューブセグメントの内側部分が中心部の径方向外向き表面に軸方向に定置される一方、第2チューブセグメントの外側部分は、外周部の径方向内向き表面に軸方向に定置される。これら2つのチューブセグメントの相対軸方向運動に対する抵抗は、外周部に作用する第1合力と中心部に作用する第2合力との差異が閾値レベルを超えた時にだけ相対軸方向運動が発生するように、選ばれる。
本発明の特定の実施形態では、中心部と外周部とは径方向に分離しており、軸方向変形可能な構造体が、中心部と外周部とを接続する、径方向に延在する変形ゾーンを構成する。例えば、軸方向変形可能な構造体は、複数の径方向ブリッジであって、各々が、外周部の径方向内向き表面に接続されている第1端部と、中心部の径方向外向き表面に接続されている第2端部とを備える、径方向ブリッジを備えうる。
複数の径方向ブリッジは、軸対称構造を維持するよう、中心部の周縁に沿って均等に分布しうる。径方向ブリッジの具体的な数、並びにそれら各々の形状は、外周部に作用する第1合力と中心部に作用する第2合力との差異が閾値レベルを超えた時にだけ外周部と中心部との恒久的な相対軸方向変位が発生するように、選ばれうる。
別の例としては、軸方向変形可能な構造体は、中心部と外周部とを接続する取り巻き(round-going)カラーを備えうる。このカラーは、外周部に作用する第1合力と中心部に作用する第2合力との差異が閾値レベルを超えると、中心部及び外周部のどの領域よりも前に変形するよう、構築されうる。
軸方向変形可能な構造体は、例えば、ポリプロピレン又はポリエチレンで作られうるか、或いは、ポリプロピレン又はポリエチレンを少なくとも実質的に含みうる。詳細には、この構成材料は、SABIC(登録商標)PP58MNK10などのPPブロックコポリマーでありうる。
本発明の特定の実施形態では、中心部、外周部、及び軸方向変形可能な構造体が、同じ材料のものであり、ゆえに、完全内包型の(fully contained)単一構成要素手法を提供する。本書で開示されている単一構成要素のピストンワッシャーは、低コストで製造されうる。
中心部と外周部はそれぞれ、軸方向変形可能な構造体内で又は軸方向変形可能な構造体においてのみ材料変形が発生すること、或いは、軸方向変形可能な構造体内で軸方向変形可能な構造体において少なくとも最初に材料変形が発生することを確実にするために、軸方向変形可能な構造体を上回る厚さを有しうる。代替的又は追加的には、軸方向変形可能な構造体は、中心部及び外周部を下回る耐力強度を有しうる。
外周部は第1縁部を備えてよく、中心部は、第1縁部とは視覚的に異なって見える第2縁部を備えうる。例えば、第1縁部は第1の色又は色調を有してよく、第2縁部は、第1の色又は色調とは異なる第2の色又は色調を有しうる。このことが、外周部と中心部との恒久的な相対変位の視覚的な証明を強化することになる。第1縁部は、外周部の径方向外向き表面の一部分又は全体であってよく、第2縁部は、中心部の径方向外向き表面の一部分又は全体でありうる。
外周部の径方向外向き表面は、2つ以上の径方向外向き突起を備えうる。ゆえに、これらの突起が内部薬剤リザーバ壁に対する接触界面として作用しうる一方、外周部の径方向外向き表面は、リザーバ壁から若干の距離を置いて分離している。突起は、薬剤リザーバにおけるピストンワッシャーの軸対称な支持を提供するよう、外周部の周縁に沿って等間隔で分布しうる。
外周部のセグメントは、例えば、容器内部の横断寸法を下回る寸法の開口端部を有する内包容器内での容器ピストンワッシャーの初期配置と関連して、ピストンワッシャーの若干の弾性変形を可能にするよう、可撓性(例えば径方向に偏向可能)でありうる。
第1合力は、例えば、外周部の外面と薬剤容器の壁との間の摩擦力、ピストン外周の近位変位による押圧力、並びに、中心部及びピストンロッドからの力の一部を外周部に移転させるよう作用する軸方向変形可能な構造体の、材料特性及び/又は構成からの寄与により、生成されうる。第2合力は、例えば、リザーバの内容物からの圧力を受けるピストンロッド及びピストンからの寄与により、生成されうる。通常の環境のもとでは、例えば投与中に、第1合力と第2合力との差異が閾値レベルを超えることはなく、ピストンワッシャーは、いかなる恒久的変形も起こさない。しかし、寒気への曝露などの極端な条件のもとでは、リザーバ内の膨張する薬剤物質からの力が、第1合力と第2合力との差異を増大させ、最終的には差異が閾値レベルを超過させることになる。
本発明の別の態様では、上記で説明したピストンワッシャーを備える薬剤送達装置(例えばペン注射器などの注射装置)が提供される。
例えば、長手方向軸に沿って延在するハウジングと、近位端部と遠位端部との間に延在するピストンロッドを備える用量吐出機構と、遠位端部に当接している中心部、外周部、及び、中心部と外周部とを接続する軸方向変形可能な構造体を備えるピストンワッシャーとを備える、注射装置が提供されうる。軸方向に変形可能な構造体は、外周部に対する近位方向に向いた力が閾値レベルを超えることに応じて恒久的変形を起こすよう、事前構成される。ピストンロッドは、ハウジングに対する(ピストンロッドの)近位運動が妨げられている制限状態と、ハウジングに対する(ピストンロッドの)近位運動が可能である自由状態との間で、変化するよう構成される。ピストンワッシャーは、ピストンロッドが制限状態にある時に、外周部に対する近位方向に向いた力が過渡的に閾値レベルを超えることに応じて、軸方向変形可能な構造体の変形により、中心部と外周部とが物理的に接続されて第1相対軸方向位置をとっている第1状態から、中心部と外周部とが物理的に接続されて第2相対軸方向位置をとっている第2状態へと、恒久的に移行するよう構成される。
詳細には、外周部は、外周部に対する近位方向に向いた力が過渡的に閾値レベルを越えることに応じて、中心部に対する恒久的な近位変位を起こすよう、構成されうる。
外周部と中心部とは複数のブリッジ型構造体によって接続されてよく、恒久的な近位変位は、このブリッジ型構造体の塑性変形によって実現しうる。
別の例としては、a)ハウジングと、b)ハウジングに接続された薬剤容器であって、長手方向軸に沿って延在する円筒形の容器壁、穿孔可能隔壁、及び、近位端表面と遠位端表面とを有する軸方向に摺動可能なピストン、によって画定されたチャンバを備える、薬剤容器と、c)ハウジング対する単方向の遠位運動向けに構成されたピストンロッド、及び、ピストンロッドに当接している中心部と、例えば円筒形の容器壁に少なくとも部分的に接触している外縁部と、中心部と外縁部とを接続している軸方向変形可能な構造体とを備えるピストンワッシャー、を備える用量吐出機構とを備える、注射装置が提供されうる。ピストンワッシャーはピストンの近位端表面に当接するよう配置され、軸方向変形可能な構造体は、ピストンの遠位端表面に対する近位方向に向いた力が閾値レベルを超えることに応じて恒久的変形を起こすよう、事前構成される。ピストンワッシャーは、ピストンの遠位端表面に対する近位方向に向いた力が過渡的に閾値レベルを超えることに応じて、軸方向変形可能な構造体の変形により、中心部と外周部とが物理的に接続されて第1相対軸方向位置をとっている第1状態から、中心部と外周部とが物理的に接続されて第2相対軸方向位置をとっている第2状態へと、恒久的に移行するよう構成される。
これは、チャンバ内の物質が凍結し、体積膨張を起こす状況に相当しうる。膨張する物質からの、ピストンに対する近位方向に向いた力は、ハウジングに対する近位運動が妨げられているピストンロッドによって抵抗を受ける。ゆえに、ピストンとピストンロッドとの間に位置している中心部もハウジングに対する近位運動が妨げられ、ピストンの外周が外周部に、中心部に対して近位方向に力を加えるように、チャンバの膨張は、容器壁の付近で発生するままにされる。
チャンバ内の物質がある時点で解凍され、それにより収縮すると、ピストンの弾性特性により、ピストンはその元々の形状に復元することが可能であるが、ピストンワッシャーは恒久的に変形し、ゆえに、その初期形状に復元することはない。物質が凍結している時間は短いことも長いこともあるが、本文脈においては、その時間が有限である限り、閾値レベルを超える力は過渡的である。
閾値レベルは、例えば、ピストンワッシャーの材料及び/又は設計を選ぶことによって、製造者に事前決定されうる。しかし、正確な閾値レベルは、それが、用量吐出中のピストンロッドの少なくとも通常の遠位方向運動が中心部に対する外周部の恒久変位を引き起こさないが、凍結による薬剤物質の膨張はかかる恒久変位を引き起こすことを確実にする、閾値レベル間の範囲内にある限り、製造にとって既知である必要はないことに、留意されたい。この2つの要件を満たす閾値レベルは、実験によって特定されうる。
カートリッジ搭載型の薬剤送達装置向けに使用可能な弾性ピストンは、典型的には、大バッチで大量生産され、保管場所を最小化するために端と端が接した状態で(end-to-end)保管される。保管中に個々のピストンが近隣のピストンにくっつくことによって、使用に供される際に取り扱いが困難になるリスクを低減するために、一部の製造者は、全てのピストンを、近位ピストン端部が一又は複数の突出形状を有するように成型することを選んでおり、それにより、2つのピストン端部間の接触面が著しく小さくなる。しかし、このことにより、弛緩を完遂する時間の低減を求めることに関しては、不都合が起こる。従来型のピストンワッシャーは、薬剤吐出時に、かかる突出形状及び/又は近位ピストン端部と遠位のピストンワッシャー端部との間に取り込まれた空気を弾性的に包含し、それにより、投薬システムのフレキシビリティが増すからである。
ゆえに、本発明の更なる一態様では、例えば注射装置などの薬剤送達装置であって、薬剤リザーバから一定量の薬剤を吐出するために薬剤リザーバ内で動くよう構成された、ピストンと、ピストンを動かすためのピストンロッドと、ピストンロッドとピストンとの間に配置されたピストンワッシャーとを備え、ピストンが、第1の硬度を有する第1材料を含み、ピストンワッシャーが第2の硬度を有する第2材料を含み、第1材料と第2材料とは接触して配置されるか、又は接触状態になるように配置され、第1の硬度は第2の硬度を上回る、薬剤送達装置が提供される。
第2材料が第1材料よりも柔らかければ、ピストンとピストンワッシャーとが押し付け合わされた時に、これら2つの間の界面において、ピストンワッシャーがピストンよりも多く変形することになる。
加えて、第2材料が、例えば50%を上回る大きな圧力歪みを有していれば、ピストン及びピストンワッシャーを備えるシステムの弾性回復は著しく低くなり、結果として、リザーバからの薬剤用量の吐出に続く弛緩時間が低減する。[55%,75%]の範囲内圧力歪みを有する材料は、この文脈において特に魅力的と思われる。例示的な一材料は、Melitekが製造するMeliflex R22069CなどのTPE化合物である。
本発明のまた更なる一態様では、例えば注射装置などの薬剤送達装置であって、薬剤リザーバから一定量の薬剤吐出するために薬剤リザーバ内で動くよう構成された、ピストンと、ピストンを動かすためのピストンロッドと、ピストンロッドとピストンとの間に配置されたピストンワッシャーとを備え、ピストンが第1の硬度及び第1の圧力歪みを有する第1材料を含み、ピストンワッシャーが第2の硬度及び第2の圧力歪みを有する第2材料を含み、第1材料と第2材料とは当接接触して配置されるか、又は当接接触状態になるように配置され、第1の硬度は第2の硬度を上回り、かつ、第2の圧力歪みは第1の圧力歪みを上回る、薬剤送達装置が提供される。
第2の圧力歪みが第1の圧力歪みを上回るという事実は、第1の硬度が第2の硬度を上回ることと相まって、ピストンワッシャーが、総変形の大部分を許容するだけでなく、ピストンを上回って歪み、ピストンが使用中にその元々の形状を維持する程度を強化する、構造をもたらす。充填済みの注射装置において、例えば、ピストンワッシャーは、装置の組み立て中にピストンと当接するようにされることがあり、これら2つの間の接続には、例えば薬剤リザーバ内に過剰圧力が提供されることによって、圧力がかかり、装置が最初に使用される前に、突出ピストン形状の跡がピストンワッシャー上に定着するのに十分な時間が付与されうる。
本発明の特定の実施形態では、例えば注射装置などの薬剤送達装置であって、a)リザーバ本体、b)リザーバ本体の第1部分を閉鎖している貫通可能隔壁、及び、c)リザーバ本体の、例えば反対側の、第2部分を閉鎖しているピストン、によって画定されたチャンバを有する、薬剤リザーバと、貫通可能隔壁に向かってピストンを動かすためのピストンロッドと、ピストンロッドとピストンとの間に配置されたピストンワッシャーとを備える、薬剤送達装置が提供される。ピストンワッシャーは、中心軸の周囲に配置された中心部と、外周部と、中心部と外周部とを接続する軸方向変形可能な構造体とを備える。軸方向変形可能な構造体は、外周部に作用する第1合力と中心部に作用する第2合力との差異が閾値レベルを超えることに応じて恒久的変形を起こすよう、事前構成される。ピストンワッシャーは、第1合力と第2合力との差異が過渡的に閾値レベルを超えることに応じて、軸方向変形可能な構造体の変形により、中心部と外周部とが物理的に接続されて第1相対軸方向位置をとっている第1状態から、中心部と外周部とが物理的に接続されて第2相対軸方向位置をとっている第2状態へと、恒久的に移行するよう構成される。ピストンの近位端部は第1の硬度及び第1の圧力歪みを有する第1材料を含み、ピストンワッシャーの遠位端部は第2の硬度及び第2の圧力歪みを有する第2材料を含む。第1材料と第2材料とは、当接して、又は当接状態になるように、配置される。更に、第1の硬度は第2の硬度を上回り、第2の圧力歪みは、第1の圧力歪みを上回り、かつ/又は、少なくとも50%(例えば[55%,75%]の範囲内など)である。本書において、「遠位(distal)」及び「近位(proximal)」という用語は、薬剤送達装置における位置、又は薬剤送達装置に沿った方向を示しており、「遠位」が薬剤出口端部を表し、「近位」は薬剤出口端部と反対側の端部を表す。
本明細書では、一定の態様又は一定の実施形態(例えば「一態様」「第1態様」「一実施形態」「例示的な一実施形態」等)への言及は、それぞれの態様又は実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つのこの態様又は実施形態に含まれること、又はかかる態様又は実施形態に内在することを表すが、必ずしも、本発明の全ての態様又は実施形態に含まれ/内在することを表すわけではない。しかし、本発明に関連して説明されている様々な特徴、構造及び/又は特性の任意の組合せは、本書に明示的に記載されない限り、又は、文脈によって明確に否定されない限り、本発明によって包含されることを強調する。
本文における、あらゆる例又は例示的な文言(例えば「など(such as)」等)の使用は、本発明を明白にすることを意図しているにすぎず、特許請求されない限り、本発明の範囲に限定を課するものではない。更に、本明細書中のいかなる文言又は言い回しも、特許請求されない要素のいずれかが本発明の実践に不可欠であることを示していると、解釈すべきではない。
下記で、図面を参照しつつ本発明について更に説明する。
恒久的変形前の、本発明の一実施形態によるピストンワッシャーの図を示す。 恒久的変形後のピストンワッシャーの図を示す。 ピストンワッシャーの恒久的変形前の、ピストンロッドと薬剤カートリッジ内のピストンとの間のピストンワッシャーの長手方向断面図である。 図3の薬剤カートリッジの近位領域の近接図である。 ピストンワッシャーの変形後の、凍結条件における薬剤カートリッジの近位領域を示す。 薬剤の解凍後の薬剤カートリッジの近位領域を示す。 一部の薬剤送達装置で使用される種類のピストンの斜視図である。 従来技術のピストンワッシャーを示す。 使用時の、図8のピストンワッシャーの長手方向断面図である。 使用前の、本発明の別の実施形態によるピストンワッシャーの図を示す。 図7のピストンに長時間接触した後の、図10のピストンワッシャーを示す。 使用中のピストンワッシャーの長手方向断面図である。 ピストンワッシャーの第1部分の斜視図である。 ピストンワッシャーの第2部分の斜視図である。
図面では、同様の構造体は主に同様の参照番号により特定される。
下記で「上向き(upper)」及び「下向き(lower)」などの相対表現が使用される場合、これらは付随する図に言及するものであり、必ずしも実際の使用状況に言及するわけではない。示されている図は概略表現であり、そのため、種々の構造体の構成、並びにそれらの相対寸法は、例示目的の役割を果たすことを意図するだけのものである。
図1aと図1bはそれぞれ、恒久的変形前の初期状態における、本発明の例示的な一実施形態によるピストンワッシャー1の斜視図と断面図である。ピストンワッシャー1は、中心部2と、4つのブリッジ8によって接続された外側部3とを備え、ブリッジ8の各々は、中心部2の外面23と外側部3の内面34との間に径方向に延在する。中心部2は、使用中にピストン(図示せず)に当接するよう適合した遠位表面21と、近位表面22とを有する。近位表面22は、中心凹部5を備え、かつ、使用中にピストンロッド(図示せず)に当接するよう適合した凹型表面4を有する。外側部3は、使用中にピストンに当接するよう適合した遠位表面31と、近位表面32とを有する。外側部3は外周外面33を更に有し、この外周外面33に沿って、4つの突起9(3つだけが視認可能)が分布している。ピストンワッシャー1が薬剤カートリッジ内に配置されると、外面33全体ではなく、突起9だけが、内部カートリッジ壁と接触する。突起9は、外面33に沿って等間隔で分布しており、ピストンワッシャー1の安定的なセンタリング位置付けをもたらす。外面33は、突起9の各対の間に可撓ゾーンを備え、ピストンワッシャー1の容易な載置を可能にすると共に、薬剤カートリッジ内に、ピストンワッシャー1の最大径寸法よりも直径が若干小さい近位端部を有する。
図2a及び図2bには、恒久的変形が発生した後の例示的な一状態におけるピストンワッシャー1を示している。中心部2に対する外側部3の近位変位において、ブリッジ8が塑性変形を起こしており、その結果、遠位表面31が遠位表面21よりも近位に位置付けられることになる。
図3は、概して円筒形の壁11を有し、かつ、穿孔可能ゴム製隔壁12によって遠位端部が閉鎖されている、薬剤カートリッジ10の長手方向断面図である。穿孔可能ゴム製隔壁12の反対側には、摺動可能な密封ピストン15(図4参照)が配置されており、ピストン15は、隔壁12及び壁11と共に、薬剤物質(視認不可)を内包する閉鎖チャンバ14を画定する。カートリッジ10は、薬剤送達装置(図示せず)の一部を形成しており、いかなる薬剤吐出もまだ行われていない、使用前状態で図示されている。
図4は、図3のエリアQによって範囲が定められた、カートリッジ10の近位領域の近接図であり、ピストン15とピストンロッド20との間の、壁11の近位端部に配置されたピストンワッシャー1を示している。ピストンワッシャー1が、ピストン15の近位表面の実質的に全体にわたってピストン15に接触し、それにより、用量投与中のピストンロッド20からの遠位方向に向いた力が、ピストン15の外周部15A(図5参照)にも分散されることが可能になることに、留意されたい。
図5は、カートリッジ10が、例えば寒気に曝露された場合に、何が起こるかを示している。この場合、ピストンロッド20が薬剤送達装置内の送達機構によって支持されており、ゆえに、近位方向に移動不可であるとすると、チャンバ14内の薬剤膨張による、ピストン15に対する近位方向に向いた力が、ブリッジを変形させ、かつ、外側部3を近位方向へと軸方向に変位させることにより、ピストン15の外周部15Aが、それに応じて、中心部2の周囲を取り巻くように変形する(crawl up)ことが可能になる。この力が一定の閾値を超えると、ブリッジ8は、屈曲し始めて、薬剤のための恒久空間を作り、かつ、必要とされるチャンバ14の容積拡大を提供する。ゆえに、カートリッジ壁11の割れが回避される。
図6は、チャンバ14内の薬剤が解凍された後のカートリッジ10を示している。外側部3は、ブリッジ8の塑性変形により中心部2に対して恒久的に変位しており、遠位表面31とピストン15との間に空隙25が残る。薬剤の使用可能性にかかわらず、薬剤送達装置は、以前と同様に、薬剤の用量を投与するためにまだ使用可能である。しかし、外側部3によるピストンの支持がなくなるため、投薬を完遂するための時間は増大している可能性がある。
中心部2に対する外側部3の軸方向変位は、薬剤が寒気に曝露された可能性があるという視覚表示を提供する。ゆえに、顧客苦情の審査人(examiner)は、薬剤凍結が苦情の理由でありうるか否かを検証することが可能である。外面23は、例えば異なる色を有することによって、外面33とは視覚的に異なって見えるよう構成されてよく、したがって、外側部3と中心部2との相対変位がより一層明らかに識別可能になる。
図7は、ピストン15の斜視図である。ピストン15は、ゴムなどの弾性材料で作られ、かつ、近位端面16と遠位端面17との間に概して円筒形に延在する。ピストン15が保管中に別のピストンにくっつく可能性を低減するために、途切れた十字を形成する、近位端面16上の4つの短い畝状部18が提供される。
図8は、従来技術においてピストン15と共に使用されている、ピストンワッシャー101の一例である。ピストンワッシャー101は、中心押圧面121と、外周押圧面131と、これら2つの間の、畝状部18を概して非圧縮様態で収容するための輪形状の溝(furrow)108とを有する。
図9は、カートリッジ10の概して円筒形の壁内におけるピストン15とピストンワッシャー101との設置の一例の、長手方向断面図である。ピストンワッシャー101は、ピストンロッド20とピストン15の近位端面との間に配置される。中心押圧面121の構成、及び、溝108の容積が畝状部18の合計体積よりもずっと大きいという事実により、ピストンワッシャー101の遠位端面とピストン15の近位端面との間に空気溜まり185、190が作り出される。カートリッジ10内でのピストン15の遠位移動中に、ピストンワッシャー101に作用するプランジャからの力がこれらの空気溜まり185、190内に取り込まれた空気を圧縮することに加えて、畝状部18の若干の圧縮も発生しうる。このことで、全体として、用量吐出終了時の投薬システムの弛緩時間が増大しうる。
図10は、本発明の別の実施形態によるピストンワッシャー51の図を示している。図10aは、使用前のピストンワッシャー51の斜視遠位図であり、平らな遠位端面61及び角度がついた縁部62を示している。図10bは、ピストンワッシャー51が、剛性コア体70と、その遠位端部に内部保持リング63によって取り付けられた界面体60とを備える、二部品構成要素であることが視認できる、断面斜視図である。剛性コア体70は、ピストンロッドとの係合のために近位方向に延在する一対の指部74を備える。
図11は、ピストン15に長時間当接した後のピストンワッシャー51を示している。界面体60は、ピストン15の近位端面よりも軟らかく、かつ、ピストン15よりも大きな圧力歪みを有する、材料で作られる。この結果、ピストンワッシャー51とピストン15とが互いに向かって押し付けられると、畝状部18が遠位端面61内に押し込まれることになる。それにより、実際には、畝状部18自体の変形は回避される。この特定の実施形態では、界面体は約60%の圧力歪みを有するTPEであり、例えば4時間の接触時間の後にピストンワッシャー51とピストン15とが分離すると、遠位端面61にへこみ68が恒久的に残る。
図12では、ピストンワッシャー51がピストンロッド80に取り付けられており、界面体はピストン15と当接するようにされている。視認できるように、遠位端面61がピストン15の近位端面に完全に合っているため、空気溜まりは創出されていない。更に、畝状部18が変形しないことから、カートリッジ10からの用量吐出中に、ピストンロッド80、ピストンワッシャー51、及びピストン15を備えるシステム全体が、曲がらない(stiff)一構造として作用する。それにより、ピストン15の弾性回復が最小化されるため、弛緩時間は著しく低減する。
図13は、一対の指部74以外では図1に示すピストンワッシャー1の構成に非常に類似した構成を有する、剛性コア体70の近位斜視図である。剛性コア体70は、ピストンロッドとの当接に適合している中心部72と、複数の径方向ブリッジ78によって中心部72から径方向に離間した外周部73とを備える。複数の径方向ブリッジ78は、変形ゾーンとして作用し、上述のように、使用中にカートリッジ10内で薬剤が凍結した場合には剛性コア体70の他のどの部分よりも前に恒久的変形を起こすよう、事前構成されている。
図14は、界面体60の近位斜視図である。内部保持リング63は、複数の径方向ブリッジ78を通すための複数の径方向開口65を有し、ピストンワッシャー51の2つの部品間の密な係合を確実にすることがわかる。縁部62は、カートリッジ10の内部壁に当たって密封するよう適合していることも、していないこともある。

Claims (10)

  1. 薬剤送達装置用のピストンワッシャー(1、51)であって、
    中心軸の周囲に配置された中心部(2、72)と、
    外周部(3、73)と、
    前記中心部(2、72)と前記外周部(3、73)とを接続する軸方向変形可能な構造体(8、78)であって、前記外周部(3、73)に作用する第1合力と前記中心部(2、72)に作用する第2合力との差異が閾値レベルを超えることに応じて恒久的変形を起こすよう事前構成されている、軸方向変形可能な構造体(8、78)とを備え、
    前記ピストンワッシャー(1、51)が、前記第1合力と前記第2合力との前記差異が過渡的に前記閾値レベルを超えることに応じて、前記軸方向変形可能な構造体(8、78)の変形により、前記中心部(2、72)と前記外周部(3、73)とが物理的に接続されて第1相対軸方向位置をとっている第1状態から、前記中心部(2、72)と前記外周部(3、73)とが物理的に接続されて第2相対軸方向位置をとっている第2状態へと、恒久的に移行するよう構成され、
    前記中心部(2、72)、前記外周部(3、73)、及び前記軸方向変形可能な構造体(8、78)が同じ材料のものであるため、単一構成要素のピストンワッシャーとなっている、ピストンワッシャー。
  2. 前記軸方向変形可能な構造体(8、78)が塑性変形を発現させるように、前記軸方向変形可能な構造体(8、78)が前記中心部(2、72)および前記外周部(3、73)を下回る厚さまたは耐力強度を有するように構成される、請求項1に記載のピストンワッシャー。
  3. 前記中心部(2、72)が、ピストンロッドと当接するように構成された近位表面(4)と、ピストンと当接するように構成された遠位表面(21、61)とを備える、請求項1又は2に記載のピストンワッシャー。
  4. 前記中心部(2、72)と前記外周部(3、73)とが径方向に分離しており、前記軸方向変形可能な構造体(8、78)が、前記第1合力と前記第2合力との前記差異が前記閾値レベルを超えると前記中心部(2、72)及び前記外周部(3、73)のどの領域よりも前に変形するよう構成されている、径方向に延在する変形ゾーンを構成する、請求項1から3のいずれか一項に記載のピストンワッシャー。
  5. 前記軸方向変形可能な構造体(8、78)が、複数の径方向ブリッジであって、各々が、前記外周部(3、73)の径方向内向き表面(34)に接続されている第1端部と、前記中心部(2、72)の径方向外向き表面(23)に接続されている第2端部とを備える、複数の径方向ブリッジを備える、請求項4に記載のピストンワッシャー。
  6. 前記複数の径方向ブリッジが、前記中心部(2、72)の周縁に沿って均等に分布している、請求項5に記載のピストンワッシャー。
  7. 前記軸方向変形可能な構造体(8、78)が、PPブロックコポリマーで作られる、請求項1から6のいずれか一項に記載のピストンワッシャー。
  8. 記外周部(3)の少なくとも2つの径方向外向き表面部分が、径方向外向き突起(9)を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のピストンワッシャー。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載のピストンワッシャー(1、51)を備える、薬剤送達装置。
  10. リザーバ本体(11)、
    前記リザーバ本体(11)の第1部分を閉鎖している貫通可能隔壁(12)、及び、
    前記リザーバ本体(11)の第2部分を閉鎖しているピストン(15)、によって画定されたチャンバ(14)を備える、薬剤リザーバ(10)と、
    前記貫通可能隔壁(12)に向かって前記ピストン(15)を動かすためのピストンロッド(20、80)とを更に備え、
    前記中心部(2、72)の少なくとも一部分が、前記ピストンロッド(20)と前記ピストン(15)との間に配置される、請求項9に記載の薬剤送達装置。
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