JP7068209B2 - 系統安定化装置 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、系統安定化装置に関する。
電力系統の安定化を目的とした系統安定化装置では、系統において事故が発生した場合に備えて、事故が発生する前の電力の状態に基づいて事故が発生した場合における過渡安定度計算を繰り返し実行し、事故に応じて遮断(以下、電制とも称する)の対象とする発電機(以下、電制機とも称する)を選択する方法が行われている。しかしながら、過渡安定度計算の周期よりも短い周期で電力の状態が変化し得る再生可能エネルギーなどに対応することが困難となる場合があった。
また、発電と送電を分離して運用する発送電分離を背景として、電制機の選択に際して、電制発電機の選択の理由が系統の運用者から発電事業者に定量的に示され、その公平性が担保される必要が生じている。
特開2018-85834号公報 特許第4480647号公報
本発明が解決しようとする課題は、過渡安定度計算の周期よりも短い周期で電力の状態が変化した場合であっても、その変化に応じた電制機を高速、且つ定量的に選択することができる系統安定化装置を提供することである。
実施形態の系統安定化装置は、取得部と、系統モデル作成部と、計算部と、第1選択部と、確率モデル作成部と、第2選択部とを持つ。取得部は、電力系統から系統情報を取得する。系統モデル作成部は、前記取得部により取得された第1時点の前記系統情報に基づいて系統モデルを作成する。計算部は、前記第1時点における前記電力系統を流れる潮流値に基づき、前記電力系統に想定事故が生じた場合における系統解析シミュレーション計算を、前記系統モデルを用いて行う。第1選択部は、前記計算部により求められた計算結果に基づいて、前記想定事故ごとに電制を行った場合における前記電力系統の安定化度合いを判定し、判定した前記安定化度合いに応じて、前記第1時点の状況で前記想定事故が発生した場合において電制の対象とする第1電制機を選択する。モデル作成部は、前記計算部、及び前記第1選択部による処理の過程で用いられた変数から生成した、入力と出力とが対応付けられたデータセットに基づいて、前記第1時点と異なる第2時点における前記電力系統の安定化度合いを示す確率を導出する確率モデルを作成する。第2選択部は、前記確率モデルを用いて導出された確率に基づいて、前記第2時点の状況で前記想定事故が発生した場合において電制の対象とする第2電制機を選択する。
第1の実施形態の系統安定化装置10が適用される系統安定化システムSの構成を示すブロック図。 第1の実施形態の系統安定化装置10における全体の動作の流れを示すフローチャート。 第1の実施形態の系統安定化装置10における電制機を選択する動作の流れを示すフローチャート。 第1の実施形態の確率モデル処理部20における安定化可能確率を導出する動作の流れを示すフローチャート。 第1の実施形態の確率モデル処理部20における安定化効果小確率を導出する動作の流れを示すフローチャート。 第1の実施形態の脱調確率モデル処理部30における脱調確率を導出する動作の流れを示すフローチャート。 第1の実施形態の安定化可能確率モデルM1の作成に用いられるデータセットの構成の例を示す図。 第1の実施形態の確率モデル処理部20におけるモデルの作成に用いられるニューラルネットワークの構成の例を示す図。 第1の実施形態の安定化可能確率モデルM1に入力される入力データの例を示す図。 第1の実施形態の安定化可能確率モデルM1から出力される確率の例を示す図。 第1の実施形態の安定化効果小確率モデルM2の作成に用いられるデータセットの構成の例を示す図。 第1の実施形態の安定化効果小確率モデルM2に入力される入力データの例を示す図。 第1の実施形態の安定化効果小確率モデルM2から出力される確率の例を示す図。 第1の実施形態の脱調確率モデルM3の作成に用いられるデータセットの構成の例を示す図。 第1の実施形態の脱調確率モデルM3に入力される入力データの例を示す図。 第1の実施形態の脱調確率モデルM3から出力される確率の例を示す図。 第2の実施形態の系統安定化装置10Aが適用される系統安定化システムSの構成を示すブロック図。 第2の実施形態の系統安定化装置10Aにおける全体の動作の流れを示すフローチャート。 第2の実施形態の簡易確率モデルM4の作成に用いられるデータセットの構成の例を示す図。 第2の実施形態の確率モデル処理部20Aにおける簡易確率を導出する動作の流れを示すフローチャート。 第2の実施形態の簡易確率モデルM4に入力される入力データの例を示す図。 第2の実施形態の簡易確率モデルM4から出力される確率の例を示す図。
以下、実施形態の系統安定化装置を、図面を参照して説明する。以下の説明において、複数の同じ構成要素について、符号の末尾に「1」、「2」等の数値を、「-」(ハイフン)を介して付すことにより区別する。複数の同じ構成を互いに区別しない場合には、符号の末尾に「1」、「2」等の数値を「-」(ハイフン)を介して付すことを省略する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態の系統安定化装置10が適用される系統安定化システムSの構成を示すブロック図である。系統安定化システムSは、例えば、電力系統9と、電制端末4(電制端末4-1~4-4)と、伝送系8と、系統安定化装置10とを備える。
電力系統9は、発電機1(発電機1-1~1-5)と、変圧器2(変圧器2-1~2-5)と、遮断器3(遮断器3-1~3-5)と、母線5(母線5-1~5-8)と、通信端末6(通信端末6-1~6-5)と、送電線7(送電線7-1~7-6)とを備える。
発電機1は、太陽光、風力等の再生可能エネルギー(以下、単に「再エネ」とも称する)による電源、火力機、原子力機、水力機等の同期機等、電力を発電する機器を示す。変圧器2は、発電機1により発電される電力の電圧を所定電圧に変圧する。例えば、変圧器2-1は、発電機1-1により発電される電力の電圧を所定電圧に変圧する。遮断器3は、発電機1により発電される電力の需要家への供給を遮断する。例えば、遮断器3-1は、発電機1-1により発電される電力の電圧を所定電圧に変圧する。
通信端末6は、発電機1から母線5を介して需要家に供給される電力に関する情報(以下、系統情報と称する)を計測する。例えば、通信端末6-1は、発電機1-1から母線5-2を介して需要家に供給される電力に関する系統情報を計測する。
系統情報は、電力系統9の各構成要素(発電機1、変圧器2、遮断器3、母線5、通信端末6、及び送電線7)の接続状態および電力の需給状態に関する情報である。系統情報は、例えば、電力系統9における各母線5の電圧や位相角、送電線7の有効電力潮流や無効電力潮流、発電機1の起動・停止情報、などの情報を含む。
電制端末4は、系統安定化装置10からの制御信号に応じて、遮断器3を制御し、発電機1からの電力の供給の遮断を制御する。例えば、電制端末4-1は、系統安定化装置10からの制御信号に応じて、遮断器3-1を制御し、発電機1-1からの電力の供給の遮断を制御する。
伝送系8は、専用通信回線やインターネット等の通信ネットワークにより構成され、通信端末6と系統安定化装置10との間で、系統情報等の各種情報を伝送する。
系統安定化装置10は、通信端末6から、系統情報を取得し、取得した系統情報に基づいて、系統情報に示される状況で想定事故が発生した場合において電力系統9が不安定となった場合に、電力系統9を安定化させるために電制する電制機を選択する。ここで、電制機は、電力系統9に設けられた発電機1であって、電力系統9の安定化のために遮断される対象となる発電機1である。
系統安定化装置10は、系統情報収集部11と、系統モデル作成部12と、基本系統記憶部13と、過渡安定度計算部14と、電制機選択部15と、電制機決定部16と、確率モデル処理部20と、脱調確率モデル処理部30とを備える。ここで、系統情報収集部11は「取得部」の一例である。過渡安定度計算部14は「計算部」の一例である。電制機選択部15は「第1選択部」の一例である。
系統情報収集部11は、伝送系8を介して、通信端末6から、予め設定された周期毎(例えば、1分毎)に、系統情報を取得する。系統情報収集部11は、取得した系統情報を、系統モデル作成部12に出力する。
系統モデル作成部12は、系統情報収集部11により取得される系統情報、及び基本系統記憶部13に記憶される構成情報に基づいて、電力系統9の電力の潮流状態を表すシミュレーションモデル(以下、系統モデルと称する)を作成する。基本系統記憶部13は、構成情報を記憶する。
構成情報は、電力系統9の各構成要素の構成に関する情報である。構成情報は、例えば、電力系統9が有する送電線7のインピーダンスやインダクタンス、母線5と送電線7の相互接続情報、電力系統9の各構成要素の規模や台数、配置等を示す情報である。
過渡安定度計算部14は、系統モデル作成部12により生成された系統モデルを用いて、系統解析シミュレーション計算を行う。過渡安定度計算部14は、系統情報収集部11により取得される系統情報を用いた潮流計算を行い、系統に流れる潮流(電力)値を算出する。ここで算出される潮流値は、系統情報収集部11により取得された系統情報に示されるある時点(以下、第1時点と称する)における電力系統9の潮流を示す値である。
過渡安定度計算部14は、この潮流値を基に、系統モデルを用いて、事故発生、事故除去、制御対象とする発電機を遮断した後の系統の動きについて、過渡安定度計算によるシミュレーションを行う。過渡安定度計算部14は、電制機を変化させながら、系統が安定となる結果を得るまで繰り返し過渡安定度計算を行う。過渡安定度計算部14は、計算結果を、確率モデル処理部20に記憶する。
電制機選択部15は、過渡安定度計算部14により計算されたシミュレーションの結果を基に、想定事故ごとに電制機を選択する。電制機選択部15は、選択の結果を電制機決定部16に出力する。
ここで、電制機選択部15により選択される電制機は、第1時点における電力系統9の潮流の状態において、想定事故が発生した場合に、電制を行うと安定となる発電機1である。つまり、電制機選択部15により選択される電制機は、「第1電制機」の一例である。
第1時点における電力系統9の潮流の状態が、次に系統情報が取得される時点(例えば、1分後)まで維持された場合、その間の任意の時点(以下、第2時点と称する)に事故が発生しても、その事故に対応する想定事故を判定することにより、予め選択しておいた電制機を電制することにより、電力系統9の安定化を図ることができる。
しかしながら、第1時点における電力系統9の潮流の状態が、第2時点で急激に変化した状態で事故が発生すると、状況が変わっているために予め選択しておいた電制機を電制しても電力系統9が安定化するとは限らない。特に、発電機1が再エネである場合、太陽光や風力等の変化により発電の状態が急激に変化する場合があり得る。この場合、第2時点における電力系統9の潮流が急激に変化し予め選択しておいた電制機を電制しても安定化できない可能性があった。
この対策として、本実施形態では、第2時点において、事故や潮流の急変により電力系統9が不安定となった場合、確率モデルを用いて電力系統9を安定化させる電制機を選択する。確率モデルは、第2時点の状況において電制が行われた場合における、電力系統9の安定化の指標を示す確率を導出するモデルである。ここで、第2時点の状況にある電力系統9を安定化させるために選択される電制機は、「第2電制機」の一例である。
確率モデル処理部20は、過渡安定度計算部14による計算の結果などを用いて確率モデルを作成し、作成した確率モデルを用いて電制対象装置を選択する。確率モデル処理部20は、選択した第2時点における電制対象装置を電制機決定部16に出力する。
確率モデル処理部20は、電制機選択結果記憶部21と、安定化可能確率モデル作成部22と、安定化可能確率演算部23と、安定化効果小電制機記憶部24と、安定化効果小確率モデル作成部25と、安定化効果小確率演算部26と、電制機選択部(確率)27と、脱調確率モデル処理部30とを備える。脱調確率モデル処理部30は、脱調発電機記憶部31と、脱調確率モデル作成部32と、脱調確率提示部33と備える。ここで、安定化可能確率モデル作成部22は、「確率モデル作成部」の一例である。安定化効果小確率モデル作成部25は、「確率モデル作成部」の一例である。電制機選択部(確率)27は「第2選択部」の一例である。脱調確率モデル作成部32は、「確率モデル作成部」の一例である。
確率モデル処理部20の各機能部(電制機選択結果記憶部21と、安定化可能確率モデル作成部22と、安定化可能確率演算部23と、安定化効果小電制機記憶部24と、安定化効果小確率モデル作成部25と、安定化効果小確率演算部26と、電制機選択部(確率)27と、脱調確率モデル処理部30)が行う処理については、後で詳しく説明する。
電制機決定部16は、電制機選択部15による選択の結果、及び確率モデル処理部20による選択の結果を用いて、第2時点の状況を安定化させる電制対象装置を決定する。電制機決定部16は、決定した電制対象装置を電制(遮断)する指令を電制端末4に出力する。
ここで、第1の実施形態の系統安定化装置10が行う処理について、図2~図16を用いて説明する。まず、図2~図6を用いて、系統安定化装置10が行う処理の流れを説明する。図2は、第1の実施形態の系統安定化装置10における全体の動作の流れを示すフローチャートである。図3は図2のステップS1に示す処理、図4は図2のステップS3に示す処理、図5は図2のステップS4に示す処理、図6は図2のステップS9に示す処理、の詳細な流れを示している。
まず、図2に示すフローチャートに沿って全体の流れを説明する。図2に示すフローチャートの各処理は、所定の周期(例えば、1分周期)で処理が繰り返し行われる。
ステップS1において、詳細計算による電制機の選択が行われる。詳細計算は、過渡安定度計算部14及び電制機選択部15が行う処理である。ここで選択される電制機は、第1時点の電力系統9に、想定事故が発生した場合に電力系統9を安定化させるための電制機(第1電制機)である。ステップS1において行われる処理の詳細については、図3等を用いて後で説明する。
ステップS2において、計算結果の保存が行われる。計算結果は、第1電制機を選択する処理に用いられた変数などの計算の結果である。計算結果は、電制機選択結果記憶部21、安定化効果小電制機記憶部24、及び脱調発電機記憶部31にそれぞれ記憶される。
ステップS3において、安定化可能確率の処理が行われる。安定化可能確率の処理は、安定化可能確率を導出するモデル(安定化可能確率モデルM1)を作成すると共に、作成したモデルを用いて、安定化可能確率を導出する処理である。安定化可能確率は、任意の時点の電力系統9において、電制機選択部15により選択された電制機に電制が行われた場合における、電力系統9が安定化する確率である。ここで、安定化可能確率は、「安定化度合い」の一例である。ステップS3において行われる処理の詳細については、図4等を用いて後で説明する。
ステップS4において、安定化効果小確率の処理が行われる。安定化効果小確率の処理は、安定化効果小確率を導出するモデル(安定化効果小確率モデルM2)を作成すると共に、作成したモデルを用いて、安定化効果小確率を導出する処理である。安定化効果小確率は、任意の時点の電力系統9において、電制機選択部15により選択された電制機、及び安定化効果が小さい電制機の各々に電制が行われた場合における、電力系統9の安定化効果の度合いが所定の閾値より小さい確率である。ここで、安定化効果小確率は、「安定化度合い」の一例である。ステップS4において行われる処理の詳細については、図5等を用いて後で説明する。
ここで、安定化効果は、ある発電機を電制機に追加した場合における、臨界故障除去時間(CCT(critical clearing time))や、発電機における動揺の改善の度合いによって判断する。具体的には、ある発電機を電制機に追加した場合に、CCTが増加する幅(大きさ)が、所定の閾値より小さい発電機を安定化効果の小さい発電機とする。ここでの所定の閾値は、例えば、50Hz系統に設置された3サイクル遮断器の遮断スピードに相当する時間(例えば、0.06[s])などに基づいて規定される値である。また、ある発電機を電制機に追加した場合に、発電機における動揺の振幅が低下する幅(大きさ)が所定の閾値より小さい発電機を、安定化効果の小さい発電機とする。ここでの所定の閾値は、例えば、ある発電機を電制機に追加する前における動揺の振幅に対する、追加後の動揺の振幅が低下した割合(例えば、5[%])により規定される値である。
ステップS5において、確率値による電制機の選択が行われる。確率値は、ステップS3、及びS4において導出された安定化可能確率、及び安定化効果小確率である。電制機選択部(確率)27は、安定化可能確率、及び安定化効果小確率に基づいて、第2時点の状況にある電力系統9を安定化させるための電制機を選択する。
ステップS6において、電制機の決定が行われる。電制機決定部16は、ステップS1、S6に示す処理によりそれぞれ選択された電制機を用いて、電力系統9に電制すべき電制機を決定する。
ステップS7において、系統事故が発生したか否かが判定される。電制機決定部16は、系統情報等に基づいて、電力系統9の系統構成が変化したと判定される場合、或いは、電力系統9を流れる潮流値が大きく変化したと判定される場合に、系統事故が発生したと判定する。
ステップS8において、系統事故が発生したと判定された場合、電制機決定部16は、決定した電制機を電制(遮断)する指令を電制端末4に出力し、電制を実施する。
ステップS9において、脱調確率の処理が行われる。脱調確率の処理は、脱調確率を導出するモデル(脱調確率モデルM3)を作成すると共に、作成したモデルを用いて、脱調確率を導出する処理である。脱調確率は、任意の時点の電力系統9において、電力系統9に設けられた発電機1が脱調する確率である。脱調は、電力系統9に設けられた発電機1のうち、一部の発電機1から発電される電力の位相や周波数が変化し、他の発電機1との間で同期が保てなくなる現象である。ここで、脱調確率は、「安定化度合い」の一例である。ステップS4において行われる処理の詳細については、図6等を用いて後で説明する。
ここで、図3を用いて、図2のステップS1に示す処理の詳細な流れを説明する。
ステップS11において、系統情報収集部11は、系統情報を取得する。
ステップS12において、系統モデル作成部12は、系統モデルを作成する。系統モデル作成部12は、例えば、系統情報収集部11により取得された系統情報と、基本系統記憶部13に記憶された構成情報とを統合して系統断面を作成し、作成した系統断面における系統モデルを作成する。
ステップS13において、過渡安定度計算部14は、系統モデル作成部12により作成された系統モデルを用いて、複数の想定事故に対応する事故条件により過渡安定度計算を行う。
ステップS14において、電制機選択部15は、過渡安定度計算部14による計算の結果を基に、過渡安定度を維持することが可能か否かを判定する。電制機選択部15は、例えば、計算の結果に不安定な事故条件が存在すると判定した場合、過渡安定度を維持することが可能でないと判定する。
ステップS15において、電制機選択部15は、過渡安定度を維持することが可能でないと判定する場合、電制機を選択する。過渡安定度計算部14は、電制機選択部15により選択された電制機を電制した場合の過渡安定度計算を再度実行し、電力系統9が過渡安定度を維持することが可能と判定されるまで、ステップS13~S15に示す処理を繰り返し実行する。
ここで、図4を用いて、図2のステップS3に示す処理(安定化可能確率の処理)の詳細な流れを説明する。
ステップS31において、安定化可能確率モデル作成部22は、電制機選択結果記憶部21に記憶された情報を用いて安定化可能確率を導出するモデル(安定化可能確率モデルM1)を作成する。
電制機選択結果記憶部21には、電制機の選択の結果(電制機選択結果)に関する情報が記憶される。電制機選択結果に関する情報には、系統情報収集部11により取得された系統情報、過渡安定度計算部14による計算において想定された事故に関する情報(事故情報)、及び電制機選択部15による選択の結果を示す情報(選択情報)が含まれる(図7参照)。
安定化可能確率モデル作成部22は、電制機選択結果記憶部21に記憶された電制機選択結果に関する情報に基づくデータセットD1を用いて、安定化可能確率モデルM1を作成する。データセットD1は、電制機選択結果に関する情報のうち、系統情報及び事故情報を入力、選択情報を出力として対応付けた情報である。
安定化可能確率モデル作成部22は、例えば、ニューラルネットワーク(図8参照)、又はベイズの定理を用いて安定化可能確率モデルM1を作成する。なお、安定化可能確率モデル作成部22は、ニューラルネットワーク、及びベイズの定理とは異なる他の方法を用いて安定化可能確率モデルM1を作成するようにしてもよい。
ここで、安定化可能確率モデル作成部22が、ニューラルネットワークを用いて安定化可能確率モデルM1を作成する方法について説明する。安定化可能確率モデル作成部22は、以下の式(1)で示されるSoftmax関数を活性化関数としたモデルに、データセットD1の内容を学習させる。
Figure 0007068209000001
ここで、Softmax関数の定義域は、0<y<1であり、その総和は1となり、確率に近い性質を持つ。Softmax関数を用いることにより、学習済みの安定化可能確率モデルM1は、任意の入力(任意の時点における系統情報及び事故情報)に対する出力(電制機選択部15により選択された電制機に電制が行われた場合における、電力系統9が安定化する度合い)を確率(安定化可能確率)として導出することができる。
また、安定化可能確率モデル作成部22が、ベイズの定理を用いて安定化可能確率モデルM1を作成する方法について説明する。ベイズの定理を用いることで観測事象(データセットD1)から、推定したい事象(任意の時点において電制機選択部15により選択された電制機に電制が行われた場合における、電力系統9が安定化する度合い)を、確率により推測することができる。
安定化可能確率モデル作成部22は、以下の式(2)により表されるベイズの定理を用いてモデルを作成する。
Figure 0007068209000002
安定化可能確率モデル作成部22は、式(2)を用いて、入力(任意の時点における系統情報、及び事故情報)として、x1、x2、x3、…、xnが与えられたときに出力がCiとなる確率(事後確率、式(2)における左辺)を求める。なお、ベイズの定理を用いて行う事後確率の計算には積分計算を伴い、計算負荷が増大する課題がある。しかしながら、各確率変数が独立であることを仮定して計算を簡略化するナイーブベイズを用いることで計算負荷の増大を抑制することが可能である。
ステップS32において、系統情報、及び事故情報が取得される。この処理は、任意の時点(例えば、第2時点)において行われる。系統情報、及び事故情報は、系統安定化装置10が備える何れの機能部により取得されてもよい。例えば、系統情報収集部11、又は安定化可能確率演算部23により、通信端末6から伝送系8を介して系統情報が取得される。また、系統情報に基づいて、例えば過渡安定度計算部14により事故情報が取得される。
ステップS33において、安定化可能確率演算部23は、安定化可能確率モデルM1に第2時点における系統情報、及び事故情報を入力することにより、安定化可能確率を導出(算出)する。安定化可能確率モデルM1はステップS31に示す処理において作成されたモデルである。第2時点における系統情報、及び事故情報は、ステップS32に示す処理において取得された情報である。安定化可能確率は、第2時点の電力系統9に、電制機選択部15により(第1時点において)選択された電制機に電制が行われた場合に電力系統9が安定化する確率である。
ここで、図5を用いて、図2のステップS4に示す処理(安定化効果小確率の処理)の詳細な流れを説明する。
ステップS41において、安定化効果小確率モデル作成部25は、安定化効果小電制機記憶部24に記憶された情報を用いて安定化効果小確率を導出するモデル(安定化効果小確率モデルM2)を作成する。
安定化効果小電制機記憶部24には、安定化効果が小さい電制機(安定化効果小電制機)に関する情報が記憶される。安定化効果小電制機に関する情報には、系統情報収集部11により取得された系統情報、過渡安定度計算部14による計算において想定された事故に関する情報(事故情報)、及び過渡安定度計算部14による計算において安定化効果が小さいと判定された電制機を示す情報(安定化効果小電制機情報)が含まれる(図11参照)。
安定化効果小確率モデル作成部25は、安定化効果小電制機記憶部24に記憶された安定化効果小電制機に関する情報に基づくデータセットD2を用いて、安定化効果小確率モデルM2を作成する。データセットD2は、安定化効果小電制機に関する情報のうち、系統情報及び事故情報を入力、選択情報を出力として対応付けた情報である。
安定化効果小確率モデル作成部25は、例えば、ニューラルネットワーク(図8参照)、又はベイズの定理を用いて安定化効果小確率モデルM2を作成する。安定化効果小確率モデル作成部25が安定化効果小確率モデルM2を作成する方法は、既に説明した安定化可能確率モデル作成部22が安定化可能確率モデルM1を作成する方法と同様であるため、その説明を省略する。
ステップS42において、任意の時点(例えば、第2時点)における、系統情報、及び事故情報が取得される。このステップS42に示す処理は、上述したステップS32に示す処理と同等であるため、その説明を省略する。
ステップS43において、安定化効果小確率演算部26は、安定化効果小確率モデルM2に第2時点における系統情報、及び事故情報を入力することにより、安定化効果小確率を導出(算出)する。安定化効果小確率モデルM2はステップS41に示す処理において作成されたモデルである。第2時点における系統情報、及び事故情報は、ステップS42に示す処理において取得された情報である。安定化効果小確率は、第2時点の電力系統9に、電制機選択部15により(第1時点において)選択された電制機、及び安定化効果小電制機の各々に電制が行われた場合における電力系統9の安定化効果が所定の閾値より小さくなる確率である。
ここで、上記のステップS41に示す処理において安定化効果小電制機記憶部24に記憶される安定化効果が所定の閾値より小さい電制機に関する情報について補足する。
安定化効果が所定の閾値より小さい電制機は、複数存在する可能性がある。例えば図1に示す、発電機1-1~1-5の5つの発電機のうち、発電機1-1、発電機1-2における安定化効果が所定より小さい場合を考える。この場合、ニューラルネットワークを用いる方法において、安定化可能確率モデルM1を作成する際の正解ラベルを[1-1、1-2、1-3、1-4、1-5]=[0.5、0.5、0.0、0.0、0.0]などとして発電機1-1、発電機1-2のラベルの合計が1.0となるようにする。正解ラベルの左辺は発電機1を一意に区別する識別子(この例では、符号)である。正解ラベルの右辺は、左辺の識別子に対応する発電機1の正解ラベルである。
なお、安定化効果が所定の閾値より小さい電制機について、安定化効果の度合い(CCTの増加の幅や、発電機における動揺振幅の低下幅の大きさ)に応じて、正解ラベルに重みづけをしてもよい。例えば、発電機1-1の安定化効果が特に低い場合、上述した正解ラベルを[1-1、1-2、1-3、1-4、1-5]=[0.9、0.1、0.0、0.0、0.0]等として重みづけをしてもよい。
ここで、図6を用いて、図2のステップS9に示す処理(脱調確率の処理)の詳細な流れを説明する。
ステップS91において、脱調確率モデル作成部32は、脱調発電機記憶部31に記憶された情報を用いて脱調確率を導出するモデル(脱調確率モデルM3)を作成する。
脱調発電機記憶部31には、脱調する発電機(脱調発電機)に関する情報が記憶される。脱調発電機に関する情報には、系統情報収集部11により取得された系統情報、過渡安定度計算部14による計算において想定された事故に関する情報(事故情報)、及び想定事故において電制が行われなかった場合に最初に脱調する発電機を示す情報(脱調発電機情報)が含まれる(図14参照)。
脱調確率モデル作成部32は、脱調発電機記憶部31に記憶された脱調発電機に関する情報に基づくデータセットD3を用いて、脱調確率モデルM3を作成する。データセットD3は、安定化効果小電制機に関する情報のうち、系統情報及び事故情報を入力、脱調発電機情報を出力として対応付けた情報である。
脱調確率モデル作成部32は、例えば、ニューラルネットワーク(図8参照)、又はベイズの定理を用いて脱調確率モデルM3を作成する。脱調確率モデル作成部32が脱調確率モデルM3を作成する方法は、既に説明した安定化可能確率モデル作成部22が安定化可能確率モデルM1を作成する方法と同様であるため、その説明を省略する。
ステップS92において、任意の時点(例えば、第2時点)における、系統情報、及び事故情報が取得される。このステップS92に示す処理は、上述したステップS32に示す処理と同等であるため、その説明を省略する。
ステップS93において、脱調確率提示部33は、脱調確率モデルM3に第2時点における系統情報、及び事故情報を入力することにより、脱調確率を導出(算出)する。脱調確率モデルM3はステップS91に示す処理において作成されたモデルである。第2時点における系統情報、及び事故情報は、ステップS92に示す処理において取得された情報である。脱調確率は、第2時点の電力系統9に電制が行われない場合に、発電機1が脱調する確率である。また、脱調確率提示部33は、導出した脱調確率を、図示しない系統安定化装置10の表示部に表示する。
脱調確率を表示することにより、様々な事故点、事故様相に対して、発電機の脱調が発生するリスクをリアルタイムで系統運用者に提示することができる。系統運用者は発電機出力の調整、調相設備を用いた電圧調整等の系統制御を実施する際に、本情報を参考にすることができる。
なお、上記では、モデル(安定化可能確率モデルM1、安定化効果小確率モデルM2、及び脱調確率モデルM3)が作成されることを前提として説明した。しかしながら、モデルは、常に作成される必要はない。例えば、電力系統9における系統の構成が大きく変化した場合、電力系統9を流れる潮流値が大きく変化した場合にのみ作成されるようにしてもよい。
例えば、ステップS32で取得された系統情報に基づいて安定化可能確率モデルM1を作成するか否かが判定され、判定結果に応じてステップS31、及びS33に示す処理を行うようにしてもよい。また、ステップS42で取得された系統情報に基づいて安定化効果小確率モデルM2を作成するか否かが判定され、判定結果に応じてステップS41、及びS43に示す処理を行うようにしてもよい。また、ステップS92で取得された系統情報に基づいて脱調確率モデルM3を作成するか否かが判定され、判定結果に応じてステップS91、及びS93に示す処理を行うようにしてもよい。
図7は、第1の実施形態の安定化可能確率モデルM1の作成に用いられるデータセットD1の構成の例を示す図である。データセットD1は電制機選択結果記憶部21に記憶される電制機選択結果に関する情報により構成される。
データセットD1は、入力1、入力2、及び出力の各要素を備える。入力1は、事故前の系統状態を示す情報であり、例えば第1時点における系統情報に基づいて計算された発電機の有効電力P、及び位相δ、電圧V等の情報である。入力2は、事故に関する情報であり、例えば、過渡安定度計算部14により設定された想定事故の事故点や事故様相を示す情報である。出力は、電制機選択部15により選択された電力系統9を安定化できる電制機の組合せである。なお、電制機の組合せには、一つの電制機も含まれる。
この例では、事故前のある時点において送電線7-1~7-3の有効電力が、それぞれ0.829[pu]、0.451[pu]、0.123[pu]であることが示されているまた、この時点の母線5-1~5-3の位相が、それぞれ45[deg.]、22[deg.]、77[deg.]であることが示されている。また、この時点の母線5-1に印加された電圧は1.02[pu]であることが示されている。また、想定事故の事故点は送電線7-7であり、事故様相は3LGであることが示されている。この想定事故において、電力系統9を安定化するために発電機1-2、及び1-5を電制することが選択されたことが示されている。
図8は、第1の実施形態の確率モデル処理部20におけるモデルの作成に用いられるニューラルネットワークの構成の例を示す図である。一般に、ニューラルネットワークは、入力層、隠れ層(中間層)、出力層の3つの階層により構成される。図8は、中間層が1層の単純な線形結合モデルである。
本実施形態では、中間層と出力層との間に、式(1)に示されるSoftmax関数が用いられ、出力層の各ユニットの値が確率により示される確率モデルとなる。
図8に示すモデルでは、入力層は3つのユニットからなり、それぞれに系統情報等が入力される。中間層はバイアス成分が「b1」であるユニットと、バイアス成分が「b2」であるユニットの二つのユニットからなる。出力層は、2つのユニットからなり、それぞれに最初に脱調する発電機等が出力される。入力層の各ユニットと、中間層の各ユニットとの間には結合係数(重み)Wが設定される。
例えば、入力層のユニットと、中間層のバイアス成分が「b1」であるユニットとの間の結合係数が「W1、1」である場合、その入力層のユニットに入力された値は、結合係数w1、1が乗算されてバイアス成分が「b1」である中間層のユニットに入力され、バイアス成分b1が加算されてSoftmax関数に入力される。
例えば、入力[x1、x2、x3]に対する正解がy1である場合を考える。この場合、学習の段階において、図8のモデルの入力[x1、x2、x3]を与えた場合の正解ラベルを[y1、y2]=[1、0]に設定してモデルを学習させる。このような学習を繰り返し実行することにより、モデルは、重みW、及びバイアスbを学習する。一度学習すれば、出力は重みW、及びバイアスbによる積和の計算と、Softmax関数の出力値計算の組合せによって算出でき、過渡安定度計算を繰り返す必要がないために、過渡安定度計算による処理に比べて短い時間で確率を導出することができる。
図9は、第1の実施形態の安定化可能確率モデルM1に入力される入力データの例を示す図である。この入力データは、安定化可能確率演算部23が安定化可能確率を導出する際に、安定化可能確率モデルM1への入力に用いられるデータである。
図9の例における入力データは、入力1、及び入力2の各要素を備える。入力1は、事故前の系統状態を示す情報であり、例えば第2時点における系統情報に基づいて計算された発電機の有効電力P、及び位相δ、電圧V等の情報である。入力2は、事故に関する情報であり、例えば、想定事故の事故点や事故様相を示す情報である。
この例では、事故前のある時点において送電線7-1~7-3の有効電力が、それぞれ0.768[pu]、0.398[pu]、0.133[pu]であることが示されているまた、この時点の母線5-1~5-3の位相が、それぞれ43[deg.]、23[deg.]、80[deg.]であることが示されている。また、この時点の母線5-1に印加された電圧は1.01[pu]であることが示されている。また、想定事故の事故点は送電線7-7であり、事故様相は3LGであることが示されている。
図10は、第1の実施形態の安定化可能確率モデルM1から出力される確率の例を示す図である。この出力データは、安定化可能確率演算部23が安定化可能確率を導出する際に、図9に示す入力データを安定化可能確率モデルM1に入力した際に出力されるデータである。
図10の例における出力データは、出力の要素として、各制御組み合わせで安定化できる確率の項目を備える。各制御組み合わせは、電制機としての発電機1の組合せである。この例では、発電機1-1と1-5の組合せで電制が実施された場合、電力系統9を安定化することができる確率は2[%]である。また、発電機1-2と1-3の組合せでの場合は1[%]、発電機1-2と1-4の組合せの場合は30[%]、発電機1-2と1-5の組合せの場合は50[%]、発電機1-3と1-4の組合せの場合は3[%]である。
図11は、第1の実施形態の安定化効果小確率モデルM2の作成に用いられるデータセットD2の構成の例を示す図である。データセットD2は安定化効果小電制機記憶部24に記憶される安定化効果小電制機に関する情報により構成される。
データセットD2は、入力1、入力2、及び出力の各要素を備える。入力1は、事故前の系統状態を示す情報であり、例えば第1時点における系統情報に基づいて計算された発電機の有効電力P、及び位相δ、電圧V等の情報である。入力2は、事故に関する情報であり、例えば、過渡安定度計算部14により設定された想定事故の事故点や事故様相を示す情報である。出力は、過渡安定度計算部14による過渡安定度計算により安定化効果が所定の閾値よりも小さいと判定された電制機である。
この例では、事故前のある時点において送電線7-1~7-3の有効電力が、それぞれ0.345[pu]、0.992[pu]、0.214[pu]であることが示されているまた、この時点の母線5-1~5-3の位相が、それぞれ23[deg.]、33[deg.]、52[deg.]であることが示されている。また、この時点の母線5-1に印加された電圧は0.99[pu]であることが示されている。また、想定事故の事故点は送電線7-6であり、事故様相は3LGであることが示されている。この想定事故において、発電機1-2の安定化効果が所定の閾値よりも小さいことが示されている。
図12は、第1の実施形態の安定化効果小確率モデルM2に入力される入力データの例を示す図である。この入力データは、安定化効果小確率演算部26が安定化効果小確率を導出する際に、安定化効果小確率モデルM2への入力に用いられるデータである。
図12の例における入力データは、入力1、及び入力2の各要素を備える。入力1は、事故前の系統状態を示す情報であり、例えば第2時点における系統情報に基づいて計算された発電機の有効電力P、及び位相δ、電圧V等の情報である。入力2は、事故に関する情報であり、例えば、想定事故の事故点や事故様相を示す情報である。
この例では、事故前のある時点において送電線7-1~7-3の有効電力が、それぞれ0.367[pu]、0.982[pu]、0.234[pu]であることが示されているまた、この時点の母線5-1~5-3の位相が、それぞれ25[deg.]、35[deg.]、58[deg.]であることが示されている。また、この時点の母線5-1に印加された電圧は0.98[pu]であることが示されている。また、想定事故の事故点は送電線7-5であり、事故様相は3LGであることが示されている。
図13は、第1の実施形態の安定化効果小確率モデルM2から出力される確率の例を示す図である。この出力データは、安定化効果小確率演算部26が安定化効果小確率を導出する際に、図12に示す入力データを安定化効果小確率モデルM2に入力した際に出力されるデータである。
図13の例における出力データは、出力の要素として、安定化効果が所定より小さい確率の項目を備える。この例では、入力された状況に対して発電機1-1を電制することによる安定化効果が所定の閾値より小さくなる確率は30[%]である。また、発電機1-2の場合は40[%]、発電機1-3の場合は20[%]、発電機1-4の場合は5[%]、発電機1-5場合は5[%]である。
図14は、第1の実施形態の脱調確率モデルM3の作成に用いられるデータセットD3の構成の例を示す図である。データセットD3は脱調発電機記憶部31に記憶される脱調発電機に関する情報により構成される。
データセットD3は、入力1、入力2、及び出力の各要素を備える。入力1は、事故前の系統状態を示す情報であり、例えば第1時点における系統情報に基づいて計算された発電機の有効電力P、及び位相δ、電圧V等の情報である。入力2は、事故に関する情報であり、例えば、過渡安定度計算部14により設定された想定事故の事故点や事故様相を示す情報である。出力は、過渡安定度計算部14による過渡安定度計算により想定事故において電制が行われない場合に最初に脱調する発電機である。
この例では、事故前のある時点において送電線7-1~7-3の有効電力が、それぞれ0.345[pu]、0.992[pu]、0.214[pu]であることが示されているまた、この時点の母線5-1~5-3の位相が、それぞれ23[deg.]、33[deg.]、52[deg.]であることが示されている。また、この時点の母線5-1に印加された電圧は0.99[pu]であることが示されている。また、想定事故の事故点は送電線7-6であり、事故様相は3LGであることが示されている。この想定事故において、最初に発電機1-4が脱調することが示されている。
図15は、第1の実施形態の脱調確率モデルM3に入力される入力データの例を示す図である。この入力データは、脱調確率提示部33が脱調確率を導出する際に、脱調確率モデルM3への入力に用いられるデータである。
図15の例における入力データは、入力1、及び入力2の各要素を備える。入力1は、事故前の系統状態を示す情報であり、例えば第2時点における系統情報に基づいて計算された発電機の有効電力P、及び位相δ、電圧V等の情報である。入力2は、事故に関する情報であり、例えば、想定事故の事故点や事故様相を示す情報である。
この例では、事故前のある時点において送電線7-1~7-3の有効電力が、それぞれ0.367[pu]、0.982[pu]、0.234[pu]であることが示されているまた、この時点の母線5-1~5-3の位相が、それぞれ25[deg.]、35[deg.]、58[deg.]であることが示されている。また、この時点の母線5-1に印加された電圧は0.98[pu]であることが示されている。また、想定事故の事故点は送電線7-5であり、事故様相は3LGであることが示されている。
図16は、第1の実施形態の脱調確率モデルM3から出力される確率の例を示す図である。この出力データは、脱調確率提示部33が脱調確率を導出する際に、図15に示す入力データを脱調確率モデルM3に入力した際に出力されるデータである。
図16の例における出力データは、出力の要素として、各発電機が脱調する確率の項目を備える。この例では、入力された状況に対して発電機1-1が脱調する確率は3[%]である。また、発電機1-2の場合は5[%]、発電機1-3の場合は2[%]、発電機1-4の場合は45[%]、発電機1-5場合は40[%]である。また、脱調する発電機1がない場合の確率は5[%]である。
ここで、上記ステップS5において、電制機選択部(確率)27が電制機を選択する場合の具体例を説明する。電制機選択部(確率)27は、例えば、安定化可能確率により確率が求められた電制機の組合せから、安定化効果が所定の閾値より小さい確率がある閾値以上の電制機を含む組み合わせを除外する。次に、電制機選択部(確率)27は、当該除外の後で残った電制機の組合せの各々のうち、安定化可能確率がある閾値以上の組合せを抽出する。そして、電制機選択部(確率)27は、抽出した組み合わせから公平性を考慮してランダムに電制機の組合せを選択する。
なお、電制機選択部(確率)27が電制機を選択する方法は上記に限定されない。例えば、電制機選択部(確率)27は、各電制機の組合せに対する安定化可能確率が最も高い組合せを単純に採用しても良いし、各電制機の組合せに対する安定化可能確率がある閾値以上の組合せから公平性を考慮してランダムに選択しても良い。また、電制機選択部(確率)27は、安定化効果が所定より小さい確率がある閾値以上の電制機を含む組合せを除外したうえで、各電制機の組合せから公平性を考慮してランダムに選択しても良い。
また、上記ステップS6において、電制機決定部16が、事故が発生した時に、電制を実施すべき電制機の組合せを決定する方法について具体例を説明する。
電制機決定部16は、例えば、電制機選択部15で決定された電制機の組合せ、及び電制機選択部(確率)27で決定された電制機の組合せのうち、トータルの電制量が大きい組合せとする。電制量は、電制が実施されることにより電力系統9を流れる潮流から除かれる電力量である。また、電制機決定部16は、通常は電制機選択部15により決定された電制機の組合せを用いるが、再エネ変動等に起因して電力系統9の潮流分布が急変した場合に電制機選択部(確率)27により決定された電制機の組合せを用いるようにしてもよい。
以上説明したように、第1の実施形態の系統安定化装置10は、系統情報収集部11(取得部)と、系統モデル作成部12(作成部)と、過渡安定度計算部14(計算部)と、電制機選択部15(第1選択部)と、モデル作成部と、電制機選択部(確率)27(第2選択部)とを備える。モデル作成部は、少なくとも、安定化可能確率モデル作成部22、安定化効果小確率モデル作成部25、又は後述する簡易確率モデル作成部42のいずれかである。モデル作成部は、系統情報収集部11、系統モデル作成部12、過渡安定度計算部14、及び電制機選択部15による処理の過程で用いられた変数から生成した、入力と出力とが対応付けられたデータセットDに基づいて、第1時点と異なる第2時点における電力系統9の安定化の指標を示す確率を導出するモデルを作成する。電制機選択部(確率)27は、モデル作成部により作成されたモデルを用いて導出された確率に基づいて、電力系統9を安定化させるために電制の対象とする第2電制機を選択する。
これにより、第1の実施形態の系統安定化装置10は、作成したモデルを用いて、過渡安定度計算に用いた変数との関係を基に確率を導出することができ、過渡安定度計算を繰り返すよりも高速に確率を求めることが可能である。また、作成したモデルが確率を出力する構成であるため、電力系統に関する知識が無い発電事業者に対しても直観的に電制機選択の妥当性を示すことができる。さらに、同じような確率が得られた場合に、複数発電機を電制の候補として、電制の機会が公平となるように電制機を選択することができる。
また、第1の実施形態の系統安定化装置10では、モデル作成部として安定化可能確率モデル作成部22を有してもよいため、潮流の状態が変化した場合であっても安定化可能確率(電制機選択部15により選択された組合せによる電制を実行した場合に電力系統9を安定化することが可能である確率)に基づいて、電力系統9を安定させるための電制機を適切に選択することができる。
また、第1の実施形態の系統安定化装置10では、モデル作成部として安定化効果小確率モデル作成部25を有してもよいため、潮流の状態が変化した場合であっても安定化効果小確率(追加の電制を行った場合に安定化効果が所定より小さくなる確率)に基づいて、安定化の見込みが少ない発電機を電制機から除外するなどして。電力系統9を安定させるための追加の電制機を適切に選択することができる。なお、追加の電制機は、電制機選択部15により選択された組合せに追加して電制を行う発電機である。
また、第1の実施形態の系統安定化装置10では、電制機選択部(確率)27は、安定化可能確率と、安定化効果小確率との双方に基づいて、電制機を選択するようにしてもよい。これにより、第1の実施形態の系統安定化装置10では、電制機選択部15により選択された電制機の組合せから、安定化効果が所定より小さくなる確率が高い発電機1を除外するなどして、より電力系統9を安定させることができる電制機を選択することができる。
また、第1の実施形態の系統安定化装置10では、電制機選択部(確率)27は、安定化可能確率に基づいて決定した電制機、安定化効果小確率に基づいて決定した電制機、又は安定化可能確率と安定化効果小確率との双方に基づいて決定した電制機の何れかを、電力系統9の電力潮流の変化量に応じて選択するようにしてもよい。これにより、第1の実施形態の系統安定化装置10では、電力潮流の変化に応じてより適切に電力系統9を安定させることができる電制機を選択することができる。
また、第1の実施形態の系統安定化装置10は、脱調確率モデル作成部32を有していてもよい。これにより、第1の実施形態の系統安定化装置10では、様々な事故点、事故様相に対して、発電機1の脱調が発生するリスクをリアルタイムで系統運用者に提示することができる。系統運用者は発電機出力の調整、調相設備を用いた電圧調整等の系統制御を実施する際に、本情報を参考にすることができる。
また、第1の実施形態の系統安定化装置10では、ニューラルネットワーク、又はベイズの定理を用いた確率モデルを用いてもよい。このため、第1の実施形態の系統安定化装置10では、確率モデルに学習を実行して学習済みモデルを作成すれば、確率の導出に係る計算は、単純な乗算や加算、確率への変換の組合せとなるため、処理負荷がほとんどなく、過渡安定度の計算を繰り返し行うよりも高速に確率を導出でき、より確からしい電制機を高速に選択することが可能である。
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。本実施形態では、簡易的なモデルを用いる点において上述した実施形態と相違する。簡易的なモデルとは、モデルに学習させるデータセットDの数を限定したモデルである。以下の説明では、上述した実施形態と相違する構成についてのみ説明し、上述した実施形態と同等の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。ただし、本実施形態における電制端末4については、同じ符号を付しているが、その構成は上述した第1の実施形態と相違する。
図17は、第2の実施形態の系統安定化装置10Aが適用される系統安定化システムSの構成を示すブロック図である。本実施形態では、電制端末4は、通信端末6と通信可能に接続される。例えば、電制端末4-2は、通信端末6-2と通信可能に接続される。
本実施形態、電制端末4と、系統安定化装置10Aとを備える。電制端末4は、バックアップ演算機能を備える。バックアップ演算とは、系統安定化装置10(10A)が何らかの理由により発電機1を電制(遮断)する指令を電制端末4に出力できない場合に、電制端末4自らが状況を判断して電制を行う機能である。
従来の電制端末4は、電制信号受信部423を備える。電制信号受信部423は、電制(遮断)する指令を示す電制信号を受信する機能部である。
本実施形態における電制端末4は、簡易確率モデル記憶部421と、バックアップ演算部422と、電制信号受信部423とを備える。簡易確率モデル記憶部421は、後述する簡易確率モデル作成部42により作成された簡易確率モデルを記憶する。バックアップ演算部422は、簡易確率モデル記憶部421に記憶された簡易確率モデルを用いてバックアップ演算を行う。
系統安定化装置10Aは、確率モデル処理部20Aを備える。確率モデル処理部20Aは、簡易確率モデル処理部40を備える。簡易確率モデル処理部40は、使用変数選択部41と、簡易確率モデル作成部42を備える。
使用変数選択部41は、モデルに学習させるデータセットD10をデータセットD1から抜粋して選択する。簡易確率モデル作成部42は、使用変数選択部41により選択されたデータセットD10を用いて、簡易確率モデルM4を作成する。簡易確率モデルM4は、例えば、安定化可能確率を導出するモデルである。
図18は、第2の実施形態の系統安定化装置10Aにおける全体の動作の流れを示すフローチャートである。図18に示す処理のうち、ステップS101、S102、S106、及びS107に示す処理は、図2に示すステップS1、S2、S7、及びS8に示す処理と同様であるため、その説明を省略する。
ステップS103において、使用変数選択部41は、電制機選択結果記憶部21が有するデータセットD1を取得し、事故前の系統状態に関する入力の一部を抜粋し、データセットD10を生成する。使用変数選択部41は、例えば、電制端末4ごとにデータセットD10を生成する。具体的に、使用変数選択部41は、電制端末4-2について、電制端末4-2が通信端末6-2から収集することのできる系統情報をデータセットD1から抜粋する。電力系統9が図1に示す構成である場合、電制端末4-2が通信端末6-2から収集することのできる系統情報は、例えば、母線5-6の電圧や位相角、送電線7-4、7-5、7-7の有効電力潮流である。
ステップS104において、簡易確率モデル作成部42は、使用変数選択部41により抜粋されたデータセットD10を用いて簡易確率モデルM4を生成する。なお、簡易確率モデル作成部42は、常に簡易確率モデルを作成する必要はない。簡易確率モデル作成部42は、例えば、電力系統9における系統の構成が大きく変化した場合に簡易確率モデルM4を作成するようにしてもよい。簡易確率モデル作成部42は、ニューラルネットワーク、又はベイズの定理を用いて確率モデルを作成する。簡易確率モデル作成部42は、ニューラルネットワーク、又はベイズの定理とは異なる、その他の確率モデル算出方法を用いて簡易確率モデルM4を作成してもよいのは勿論である。
ステップS105において、確率モデル処理部20Aは、簡易確率モデル作成部42により作成された簡易確率モデルM4の情報を、その簡易確率モデルM4に対応する電制端末4に送信する。簡易確率モデルM4の情報は、例えば、ニューラルネットワークによるモデルであれば、入力層、中間層、出力層のユニット数、ユニット間の重みW、バイアスbを示す情報である。
図19は、第2の実施形態の簡易確率モデルM4の作成に用いられるデータセットD10の構成の例を示す図である。
データセットD10は、入力1、入力2、及び出力の各要素を備える。入力1は、事故前の系統状態を示す情報であり、例えば第1時点における系統情報に基づいて計算された発電機の有効電力P、及び位相δ、電圧V等の情報である。入力2は、事故に関する情報であり、例えば、過渡安定度計算部14により設定された想定事故の事故点や事故様相を示す情報である。出力は、電力系統9を安定化できる電制機の組合せである。
ここで、データセットD10に含まれる情報は、電制端末4に応じて限定される。例えば、電制端末4-2のデータセットD10では、電制端末4-2が通信端末6-2から収集することのできる箇所に限定される。具体的には、母線5-6、送電線7-4、7-5、及び7-7に関する情報に限定される。
この例では、事故前のある時点において送電線7-4、7-5、7-7の有効電力が、それぞれ0.453[pu]、0.332[pu]、0.837[pu]であることが示されているまた、この時点の母線5-6の位相が、41[deg.]であることが示されている。また、この時点の母線5-6に印加された電圧は0.99[pu]であることが示されている。また、想定事故の事故点は送電線7-7であり、事故様相は3LGであることが示されている。この想定事故において、電力系統9を安定化することができる電制機の組合せは発電機1-2、及び1-5であことが示されている。
図20は、第2の実施形態の電制端末4が行う動作の流れを示すフローチャートである。ここでは、電制端末4-2が行う処理を例示して説明する。
ステップS201において、電制端末4-2は、系統安定化装置10Aから送信された簡易確率モデルM4を、簡易確率モデル記憶部421に記憶させる。
ステップS202において、バックアップ演算部422は、通信端末6-2から系統情報を取得する。通信端末6-2から取得する系統情報は、通信端末6-2が接続する母線5-6から取得可能な情報であり、例えば、母線5-6の電圧や位相角、送電線7-4、7-5、7-7の有効電力潮流などの情報である。バックアップ演算部422は、簡易確率モデルM4に、通信端末6-2から取得した系統情報に基づく入力データを入力させることにより、各電制機の組合せに対して安定化可能である確率を算出する。
ステップS203において、バックアップ演算部422は、通信端末6-2等から系統に事故が発生したことを示す信号を受信した場合、ステップS204に進み、事故が発生していない場合には処理を終了する。
ステップS204において、電制信号受信部423が系統安定化装置10の電制機決定部16から電制信号を受信した場合、ステップS205において遮断器3-2を開状態(遮断した状態)にする指令を示す信号を送信する。
ステップS206において、バックアップ演算部422は、系統事故が発生したが、系統安定化装置の故障等により、電制信号を受信できないと判定する場合、簡易確率モデルM4を用いて選択した電制機に、電制端末4-2が電制可能な発電機1がある場合にはその発電機1に電制を行う指令を示す信号を送信する。例えば、バックアップ演算部422は、後述する図22の例で、1-2+1-5の確率が最も高いため、発電機1-2を電制端末4-2から電制する電制対象とする。
図21は、第2の実施形態の904に入力される入力データの例を示す図である。この入力データは、バックアップ演算部422が安定化可能確率を導出する際に、簡易確率モデルM4への入力に用いられるデータである。
図21の例における入力データは、入力1、及び入力2の各要素を備える。入力1は、事故前の系統状態を示す情報であり、例えば第2時点における系統情報に基づいて計算された発電機の有効電力P、及び位相δ、電圧V等の情報である。入力2は、事故に関する情報であり、例えば、想定事故の事故点や事故様相を示す情報である。
この例では、事故前のある時点において送電線7-4、7-5、7-7の有効電力が、それぞれ0.367[pu]、0.332[pu]、0.837[pu]であることが示されているまた、この時点の母線5-6の位相が、41[deg.]であることが示されている。また、この時点の母線5-6に印加された電圧は0.98[pu]であることが示されている。また、想定事故の事故点は送電線7-7であり、事故様相は3LGであることが示されている。
図22は、第2の実施形態の904から出力される確率の例を示す図である。この出力データは、バックアップ演算部422が安定化可能確率を導出する際に、図21に示す入力データを簡易確率モデルM4に入力した際に出力されるデータである。
図22の例における出力データは、出力の要素として、各制御組み合わせで安定化できる確率の項目を備える。この例では、入力された状況に対して発電機1-1及び1-5の組合せで電制を行うことにより電力系統9が安定する確率は2[%]である。また、発電機1-2及び1-3の場合は1[%]、発電機1-2及び1-4の場合は32[%]、発電機1-2、及び1-5の場合は44[%]、発電機1-3、1-4場合は3[%]である。
以上説明したように、第2の実施形態の系統安定化装置10は、簡易確率モデル処理部40を備える。簡易確率モデル処理部40は、使用変数選択部41によりデータセットD1から抜粋したデータセットD10を用いて、簡易確率モデル作成部42により簡易確率モデルM4を作成する。これにより、第2の実施形態の系統安定化装置10は、作成した簡易確率モデルM4を電制端末4に記憶させるなどすれば、系統安定化装置10Aが故障して電制の指令が送信されない場合でも、過去の過渡安定度計算結果を蓄積したデータベースに基づき生成したモデルを用いて電制機を選択できる。このため、過剰制御を防止することができる。また、系統運用者は確率値を根拠に、発電事業者に対して電制機選択理由の妥当性を明示することができる。また、簡易確率モデルM4の作成に用いるデータセットD10の数を、上述した安定化可能確率モデルM1等の作成に用いるデータセットD1の数よりも少なくすることでモデルの作成(学習)に要する時間を短縮させることが可能である。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、系統安定化装置10が、系統情報などの変数から生成した、入力と出力とが対応付けられたデータセットDに基づいて、第1時点と異なる第2時点における電力系統9の安定化の指標を示す確率を導出するモデルを作成する。これにより、系統安定化装置10は、作成したモデルを用いて、過渡安定度計算に用いた変数との関係を基に確率を導出することができ、過渡安定度計算を繰り返すよりも高速に確率を求めることが可能である。また、作成したモデルが確率を出力する構成であるため、電力系統に関する知識が無い発電事業者に対しても直観的に電制機選択の妥当性を示すことができる。さらに、同じような確率が得られた場合に、複数発電機を電制の候補として、電制の機会が公平となるように電制機を選択することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。例えば第1実施形態の系統安定化装置10に第2実施形態で示したバックアップ演算機能を追加しても良いし、第1実施形態の各機能の一部のみ実装した系統安定化装置10が適用されてもよい。また、上述の実施形態で、確率モデルの入力を事故前の系統状態としたが、事故中および事故後における過渡安定度計算によるシミュレーションで算出した系統状態や、実系統で計測した系統状態を入力としても良い。
1…発電機、2…変圧器、3…遮断器、4…電制端末、5…母線、6…通信端末、7…送電線、8…伝送系、9…電力系統、10…系統安定化装置、11…系統情報収集部(取得部)、12…系統モデル作成部、13…基本系統記憶部、14…過渡安定度計算部(計算部)、15…電制機選択部(第1選択部)、20…確率モデル処理部、21…電制機選択結果記憶部、22…安定化可能確率モデル作成部(確率モデル作成部)、23…安定化可能確率演算部、24…安定化効果小電制機記憶部、25…安定化効果小確率モデル作成部(確率モデル作成部)、26…安定化効果小確率演算部、27…電制機選択部(確率)(第2選択部)、30…脱調確率モデル処理部、31…脱調発電機記憶部、32…脱調確率モデル作成部(確率モデル作成部)、33…脱調確率提示部、40…簡易確率モデル処理部、41…使用変数選択部、42…簡易確率モデル作成部(確率モデル作成部)、421…簡易確率モデル記憶部、422…バックアップ演算部、423…電制信号受信部

Claims (8)

  1. 電力系統から系統情報を取得する取得部と、
    前記取得部により取得された第1時点の前記系統情報に基づいて系統モデルを作成する系統モデル作成部と、
    前記電力系統を流れる潮流値に基づき、前記電力系統に想定事故が生じた場合における系統解析シミュレーション計算を、前記系統モデルを用いて行う計算部と、
    前記計算部により求められた計算結果に基づいて、前記想定事故ごとに電制を行った場合における前記電力系統の安定化度合いを判定し、判定した前記安定化度合いに応じて、前記第1時点の状況で前記想定事故が発生した場合において電制の対象とする第1電制機を選択する第1選択部と、
    前記計算部、及び前記第1選択部による処理の過程で用いられた変数から生成した、入力と出力とが対応付けられたデータセットに基づいて、前記第1時点と異なる第2時点における前記電力系統の安定化度合いを示す確率を導出する確率モデルを作成する確率モデル作成部と、
    前記確率モデルを用いて導出された確率に基づいて、前記第時点の状況で前記想定事故が発生した場合において電制の対象とする第2電制機を選択する第2選択部と、
    を備える系統安定化装置。
  2. 前記確率モデルは、前記第2時点の状況の前記電力系統において前記第1電制機に電制が行われた場合における、前記電力系統が安定化する安定化可能確率を出力する安定化可能確率モデルであり、
    前記確率モデル作成部は、
    前記系統情報、及び前記想定事故に関する事故情報を入力とし、当該入力に対応する前記第1電制機に関する情報を出力とするデータセットを用いて、前記安定化可能確率モデルを作成する、
    請求項1に記載の系統安定化装置。
  3. 前記確率モデルは、前記第2時点の前記電力系統に、前記第1電制機、及び前記安定化度合いが所定の閾値より小さい電制機である安定化効果小電制機の各々に電制が行われた場合における、前記電力系統の前記安定化度合いが所定の閾値より小さい安定化効果小確率を出力する安定化効果小確率モデルであり、
    前記確率モデル作成部は、
    前記系統情報、及び前記想定事故に関する事故情報を入力とし、当該入力に対応する前記安定化効果小電制機に関する情報を出力とするデータセットを用いて、前記安定化効果小確率モデルを作成する、
    請求項1に記載の系統安定化装置。
  4. 前記確率モデルは、前記第2時点の前記電力系統に、前記第1電制機、及び前記安定化度合いが所定の閾値より小さい電制機である安定化効果小電制機の各々に電制が行われた場合における、前記電力系統の前記安定化度合いが所定の閾値より小さい安定化効果小確率を出力する安定化効果小確率モデルを含み、
    前記確率モデル作成部は、
    前記系統情報、及び前記想定事故に関する事故情報を入力とし、当該入力に対応する前記安定化効果小電制機に関する情報を出力とするデータセットを用いて、前記安定化効果小確率モデルを作成し、
    前記第2選択部は、前記安定化可能確率と、前記安定化効果小確率との双方に基づいて、前記電力系統を安定化させるために電制の対象とする第2電制機を選択する、
    請求項2に記載の系統安定化装置。
  5. 前記確率モデルは、前記第2時点の前記電力系統に、前記第1電制機、及び前記安定化度合いが所定の閾値より小さい電制機である安定化効果小電制機の各々に電制が行われた場合における、前記電力系統の前記安定化度合いが所定の閾値より小さい安定化効果小確率を出力する安定化効果小確率モデルを含み、
    前記確率モデル作成部は、
    前記系統情報、及び前記想定事故に関する事故情報を入力とし、当該入力に対応する前記安定化効果小電制機に関する情報を出力とするデータセットを用いて、前記安定化効果小確率モデルを作成し、
    前記第2選択部は、前記安定化可能確率に基づいて決定した前記第2電制機、前記安定化効果小確率に基づいて決定した前記第2電制機、又は前記安定化可能確率と前記安定化効果小確率との双方に基づいて決定した前記第2電制機の何れかを、前記第2時点の前記電力系統の電力潮流の変化量に応じて選択する、
    請求項2に記載の系統安定化装置。
  6. 前記確率モデルは、前記第2時点の前記電力系統において前記第1電制機に電制が行われた場合における、前記電力系統が安定化する安定化可能確率を出力する簡易確率モデルであり、
    前記確率モデル作成部は、前記系統情報、及び前記想定事故に関する事故情報の一部を入力とし、当該一部の入力に対応する前記第1電制機を出力とするデータセットを用いて、前記簡易確率モデルを作成する、
    請求項1から請求項5の何れか一項に記載の系統安定化装置。
  7. 電力系統から系統情報を取得する取得部と、
    前記取得部により取得された第1時点の前記系統情報に基づいて系統モデルを作成する系統モデル作成部と、
    前記電力系統を流れる潮流値に基づき、前記電力系統に想定事故が生じた場合における系統解析シミュレーション計算を、前記系統モデルを用いて行う計算部と、
    前記計算部による処理の過程で用いられた変数に基づいて、前記第1時点と異なる第2時点における前記電力系統の安定化度合いを示す確率を導出する確率モデルを作成する確率モデル作成部と、
    を備え、
    前記確率モデルは、前記第2時点の状況の前記電力系統において電制が行われない場合に発電機が脱調する脱調確率を出力する脱調確率モデルであり、
    前記確率モデル作成部は、前記系統情報、及び前記想定事故に関する事故情報を入力とし、前記第1時点の状況において前記想定事故が生じた場合に電制が行われない条件において最初に脱調する発電機に関する情報を出力とするデータセットを用いて、前記脱調確率モデルを作成する、
    系統安定化装置。
  8. 前記確率モデル作成部は、ニューラルネットワーク、又はベイズの定理を用いて前記確率モデルを作成する、
    請求項1から請求項7の何れか一項に記載の系統安定化装置。
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