JP7065017B2 - 水槽試験装置、水槽試験システム、および水槽試験方法 - Google Patents

水槽試験装置、水槽試験システム、および水槽試験方法 Download PDF

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Description

本発明は、船舶や洋上構造物等の試験対象物の性能を試験するための水槽試験装置、水槽試験システム、および水槽試験方法に関する。
船舶や洋上構造物等の建造においては、設計がある程度進行すると、設計通りに実機を建造した場合、設計時に想定した速度や姿勢を維持して航行できるか否か等を確認するために、実機を建造する前に試験水槽で水槽試験を行うのが一般的である。また、より良い性能を発揮する船体の形状や付加物を求めて、水槽試験を行う場合もある。
この水槽試験には多様な種類の試験があるが、そのうちの曳航試験は、例えば、幅十数m、深さ数m、長さ100m~250m程度の水槽に、実機を所定のサイズに縮尺した模型船を浮かべ、この模型船を水槽試験装置に取り付けて、さらに、水槽を跨いで水槽の両側のレール上を移動する曳引台車に、この水槽試験装置を搭載して試験している。
この曳航試験では、模型船を、水槽試験装置の支持装置や計測機器を介して水槽試験装置に連結し、曳引台車を移動させることで模型船を曳航して、また、必要に応じて、水槽に設けられた造波装置で水面に波を発生させて、模型船の航走時の抵抗や船体運動等を計測している。
従来の水槽試験装置のうち、波浪中試験に対応する装置では、例えば、曳引台車と水槽試験装置の支持装置の一部であるヒーブロッド、又は模型船とヒーブロッドを連結する連結部にバネ等の弾性体を用いている(非特許文献1)。これは、以下の理由による。
まず、水槽試験によっては、模型船の曳航方向の位置変動を容認する試験を行う要請がある。一方、曳引台車は水槽を跨いでいるため、トラス等の補強構造を備えた大型の重量物となり、水槽の幅によっては、数10トンに達する。このような重量物は、模型船の相対位置の変化に応じて、曳引台車の速度や加速度を調整して、相対位置を調整するのは難しい。そこで、連結部でバネ等による弾性支持をすることで、模型船と曳引台車との相対位置の変動を、バネの変位等で対応させることができる。
図5の比較例の模式的な図で示す、非特許文献1記載の構造の水槽試験装置100を備える水槽試験システム200を例に、曳引台車とヒーブロッド107の連結部にバネ109を用いた構造を説明する。
図5の水槽試験システム200では、曳引台車101および水槽試験装置100を備える。
曳引台車101は、水槽102を跨いで設けられ、水槽102に沿って移動する。
水槽試験装置100は、曳引台車101に搭載され、模型船104を直接曳航する装置である。
水槽試験装置100は、第1副台車105、第2副台車106、および支持装置として、ヒーブロッド107、バネ109、台車側連結部121、模型船側連結部123を備える。
第1副台車105は、曳引台車101上に設けられた台車であり、曳引台車101の走行方向A1、A2に曳引台車101上を移動する。第2副台車106は、第1副台車105上に設けられた台車であり、曳引台車101の走行方向A1、A2に垂直となる左右方向B1、B2に第1副台車105上を移動する。
台車側連結部121はヒーブロッド107と曳引台車101を連結する部材であり、バネ109、Surgeスライダ111a、Swayスライダ111b、Heaveスライダ111cを備える。Surgeスライダ111aは曳引台車101上のレールとその上を動く第1副台車105の車輪である。Swayスライダ111bは第1副台車105上のレールとその上を動く第2副台車106の車輪である。Heaveスライダ111cは、第2副台車106に設けられ、ヒーブロッド107の鉛直方向の移動を許容する軸受等のスライダである。
バネ109は第1副台車105を曳引台車101に連結している。ヒーブロッド107は曳引台車101の走行方向A1、A2に伸縮するバネ109を介して曳引台車101に連結される。
模型船側連結部123は、ヒーブロッド107を模型船104と連結する部材であり、図5では模型船104の重心Gに配置される。模型船側連結部123は、Yawピン111d、Pitchピン111e、Rollピン111fを含むユニバーサルジョイント等で構成される3方向回転を許容する構造を備えている。
図5に示す構成では、模型船104は、曳引台車101で曳航される際に最大6自由度を有する状態で移動および船体運動をする。必要に応じて、Surgeスライダ111a、Swayスライダ111b、Heaveスライダ111c、Yawピン111d、Pitchピン111e、Rollピン111fの一部を拘束することで、自由度を6未満に下げて、例えば、YawとSwayを固定した4自由度で水槽試験を行うこともできる。
しかしながら、非特許文献1に記載のような、バネを支持装置に使用して、模型船を曳引台車に連結する水槽試験装置には、以下の問題がある。
まず、バネは伸縮するため、バネによる曳航力を補助したり、模型船の変位を適切な範囲に収めたりするために、カウンターウェイトを滑車・ワイヤを介して模型船又は第1副台車に接続する必要がある。そのため、水槽試験装置の構造が複雑になる上に、カウンターウェイトの慣性、滑車の回転時の摩擦、バネやワイヤの一時的なたわみなどが試験結果の誤差要因となるという問題がある。
次に、支持装置にバネを使用していることにより、模型船を連結した水槽試験装置の系は、バネ定数Kを有する「バネ-質量系」となり、固有振動数を有する系となってしまう。そのため、支持系および計測系への共振現象や振動の悪影響を防止する場合や、実船の特性の正確な再現のために曳航力の動特性を変更する場合に、バネ定数の調整や、カウンターウェイトの増減が必要となり、試験条件に合わせるためのバネやカウンターウェイトの設定や、これらの設定に応じるためのバネ交換等に時間と労力を要するという問題がある。
さらに、模型船に加える曳航力を変化させる試験を行う場合、バネではバネの変位に略比例した力を、模型船の曳航力とするか、曳航力の一部に加えることしかできない。そのため、模型船に付与すべき曳航力が変位の2次以上の高次関数で表される場合や変位の微分値や積分値などに比例する値で表される場合は、このような関係の曳航力を模型船に付与できず、実船の動特性を正確に再現したり、模型船の航走開始などで生じる過渡的な振動を抑制させたりする上で障害となるという問題がある。
池田他、「船舶海洋工学シリーズ 5 船体運動 耐航性能 初級編」、青山堂書店、2013、p243-253
本発明の目的は、従来よりも構造が簡易で、試験条件の設定が容易であり、かつ試験対象物に付与される曳航力が試験対象物の変位の任意の関数で表される場合でも、当該関数に基づく曳航力を試験対象物に付与できる、水槽試験装置、水槽試験システム、および水槽試験方法の提供である。
本発明の水槽試験装置は、試験水槽で試験対象物の試験をするために、前記試験対象物を曳航又は支持する水槽試験装置であって、前記試験対象物に曳航力若しくは支持力を付与する装置として、又は、前記試験対象物の曳航力若しくは支持力を測定する装置として、又は、前記試験対象物の位置を測定する装置として、可動部と固定部を有するリニアモータを設けると共に、前記可動部の移動方向が、前記試験対象物へ付与する曳航力若しくは支持力の付与方向又は前記試験対象物の位置の変位の測定方向である設定方向になるように、前記固定部を設けていることを特徴とする。
この構成によれば、測定される側の模型船や洋上構造物模型などの試験対象物に対して、曳航力の付与、又は、曳航力の測定、又は、位置の測定のための装置として、水槽試験装置がリニアモータを備える。そのため、バネとカウンターウェイトを使用する「バネ-質量系」の曳航装置や測定装置等とは異なり、水槽試験装置の構造が単純になり、また、カウンターウェイトの慣性、滑車の回転時の摩擦、バネやワイヤの一時的なたわみなどの試験結果の誤差要因を排除できる。
さらに、リニアモータは、駆動の際に可動部に印加する電流・電圧を制御することで、可動部で発生する力を制御でき、逆に、リニアモータの制御で発生させている電流・電圧から可動部で発生する力を測定でき、試験対象物が受ける抵抗等を容易に測定できる。そのため、当該抵抗等を検出するためのロードセルとしての機能をリニアモータに持たせることも可能である。
また、この系は、固有振動数を持っていない系となるので、支持系および計測系への共振現象や振動の悪影響を回避することができる。そして、実船の特性の正確な再現のために曳航力の動特性を変更する場合における、バネ定数の調整や、カウンターウェイトの増減が不要となり、試験条件に合わせるためのバネやカウンターウェイトの設定や、これらの設定に応じるためのバネ交換等に要する時間と労力も無くすことができる。
また、リニアモータは、試験対象物の変位を入力して、この変位に対するリニアモータへの電流・電圧を算出して、リニアモータに印加することで、変位とリニアモータで発生する力の関係を比較的自由に制御できるので、試験対象物に付与すべき曳航力が変位の2次以上の高次関数で表される場合や変位の微分値や積分値などに比例する値で表される場合においても、このような関係の曳航力を試験対象物に付与でき、実船の動特性を正確に再現したり、模型船の航走開始などで生じる過渡的な振動を抑制したりできるようになる。
よって、本発明の水槽試験装置は、従来よりも構造が簡易であり、試験条件の設定が容易であり、試験対象物に付与される曳航力が試験対象物の変位の任意の関数で表される場合でも、当該関数に基づく曳航力を試験対象物に付与できる。
本発明では、前記試験対象物を曳航又は支持し、且つ、前記設定方向に移動可能な支持移動体に前記リニアモータの前記可動部を固定し、前記支持移動体を移動可能に保持する支持構造体に前記リニアモータの前記固定部を固定しているのが好ましい。
この構成によれば、試験装置の他の構成に内包される(保持される)側であり内包する側よりも寸法の小さい支持移動体側に、比較的小さい可動部を設け、内包する(保持する)側であり、内包される側よりも寸法の大きい支持構造体に比較的大きい固定部を設けている。そのため、設置スペースに限りがある水槽試験装置にも本発明を適用しやすい。
また、この構成では従来技術における支持移動体側の構造に可動部を設けるだけであるので、従来技術の支持移動体をそのまま利用することができる。この場合、試験対象物側にリニアモータを設ける必要がないので、リニアモータを使用することによる試験対象物への影響はない。また、リニアモータの寸法、形状によって試験対象物の寸法・形状が制約を受けることがない。
あるいは前記試験対象物を曳航又は支持し、且つ、前記設定方向に移動可能な支持移動体に前記リニアモータの前記固定部を固定し、前記支持移動体を移動可能に保持する支持構造体に前記リニアモータの前記可動部を固定してもよい。
支持移動体側に固定部を支持構造体側に可動部を設けることで、内包される側に、比較的大きい固定部を設け、内包する側に比較的小さい可動部を設けているため、試験対象物側へのリニアモータを使用することによる影響はやや大きくなる。
この構成によれば、支持構造体に固定部を設けるスペースが無い等の理由で、支持構造体側に固定部を設けることが難しい事情がある場合に、対応することができる。
前記試験対象物に前記リニアモータの前記可動部を固定し、前記試験対象物を移動可能に保持する支持構造体に前記リニアモータの前記固定部を固定してもよい。
この構成によれば、試験対象物の移動方向がリニアモータの可動部の移動方向に限定されるため、その方向に試験対象物を移動可能に保持する移動支持体が不要になり、装置の構成を減らすことができる。
あるいは、前記試験対象物に前記リニアモータの前記固定部を固定し、前記試験対象物を移動可能に保持する支持構造体に前記リニアモータの前記可動部を固定してもよい。
この構成も、支持構造体に固定部を設けるスペースが無い等の理由で、支持構造体側に固定部を設けることが難しい事情がある場合に、対応することができる。
本発明では、前記試験対象物をヒーブロッドで支持し、このヒーブロッドを上下方向に移動可能となるように前記支持移動体に取り付けるのが好ましい。
この構成によれば、試験対象物がヒーブロッドで支持されているため、試験対象物の上下運動を許容した試験ができる。
本発明では、前記支持移動体は、前記支持構造体上に設けられて前記試験対象物の曳航方向又は曳航方向に直交する方向に移動する第1副台車と、前記第1副台車上に設けられて前記ヒーブロッドを保持し、前記第1副台車の移動方向に直交する方向に移動する第2副台車と、を備え、前記リニアモータは2組設けられ、一方の前記リニアモータの前記設定方向を前記第1副台車の移動方向とし、他方のリニアモータの前記設定方向を前記第2副台車の移動方向にしてもよい。
この構成では、リニアモータが試験対象物の曳航方向および曳航方向に直交する水平方向に駆動力を印加する。
そのため造波抵抗が曳航方向に対して斜めに試験対象物に加えられる場合でも、造波抵抗に対応した試験対象物の移動をリニアモータで制御できる。
本発明では、複数組の前記リニアモータを前記可動部の移動方向が平行になるように配置してもよい。
この構成によれば、可動部の移動方向が平行になるようにリニアモータが複数組設けられるため、リニアモータが1組の場合と比べて可動子の数が増える。
そのため、増えた可動子の数に対応してリニアモータの駆動による推力を大きくできる。
また、複数組のリニアモータのうち、1組のリニアモータが故障した場合でも、他のリニアモータが駆動できれば試験を行える。そのため、1組のリニアモータのみを設ける場合と比べて水槽試験システムの冗長性をより向上させられる。
本発明では、前記リニアモータにおいて、前記固定部に前記可動部が複数配置されていてもよい。
この構成によれば、1つの固定部に2つ以上の可動部を設けているため、リニアモータが試験対象物に加える曳航力を、1つの可動部を設けた場合と比べて大きくすることができ、試験対象物に加えられる曳航力の範囲を、より広くできる。
また、この構成によれば、試験対象物が小型の場合や平水中抵抗試験を行う場合のように、2つの可動部で発生させるような駆動力が必要ない場合、1つの可動部のみを駆動させることもできる。そのため、試験条件に応じて電力の消費を抑えつつ、適切な曳航力を試験対象物に付与できる。
本発明では、前記リニアモータの前記可動部の前記固定部における位置を検出する位置検出手段と、前記リニアモータの前記可動部の駆動力又は位置を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記位置検出手段で測定した前記可動部の位置情報に基づき、前記固定部に対して前記可動部が相対的に停止する制御を行うように構成されていてもよい。
この構成によれば、制御部は、固定部に対して可動部を相対的に停止させる制御を行うため、曳引台車に搭載された水槽試験装置と試験対象物の可動部の移動方向における速度が等しくなる。
そのため、曳引台車の速度を遅くしなくても、曳引台車に搭載され、曳引台車と共に移動する水槽試験装置に対して試験対象物が大きく遅れたり、大きく進んだりするのを防ぐことができる。したがって、曳引台車と試験対象物が同じ速度で航走する試験も行える。さらに、曳引台車の移動方向に直交する左右方向の移動を拘束した試験もできる。
本発明では、前記支持構造体に対する前記試験対象物の相対変位を測定する変位測定手段と、前記リニアモータの前記可動部の駆動力又は位置を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記変位測定手段が測定した前記試験対象物の変位情報に基づいて、前記可動部で発生する駆動力を変更する制御を行うように構成されていてもよい。
この構成によれば、制御部が、試験対象物の変位に応じて可動部で発生させる駆動力を変更するため、可動部に印加する電流、電圧を制御することで、可動部に印加できる最大電流、最大電圧の範囲内で、可動部で発生させる駆動力を任意の値に変更できる。
そのため、試験対象物の変位と試験対象物に付与される曳航力が任意の関数で表される場合でも、当該関数に基づく曳航力を試験対象物に付与できる。
本発明では、前記制御部は、前記試験対象物に装備されることが想定される推進器又は舵の流体力特性に関する情報を有し、前記情報と前記試験対象物の変位情報から、前記推進器又は舵が発生させると想定される力を逐次算出し、算出した前記力を発生させるように前記リニアモータを制御するように構成されてもよい。
この構成によれば、試験対象物に装備されることが想定される推進器又は舵の流体力特性に関する情報に基づきリニアモータを逐次制御するため、試験対象物に推進器や舵を取り付けなくても、推進器や舵を取り付けた場合と同様の条件下で試験が行える。
本発明では、前記リニアモータの前記可動部の駆動力又は位置を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記可動部で発生する駆動力を予め設定される大きさの駆動力にする制御を行うように構成されていてもよい。
この構成によれば、制御部は、可動部で発生させる駆動力を予め設定される大きさの駆動力に制御するため、試験対象物が受ける抵抗等によらず、試験対象物に加える曳航力を予め設定される大きさの駆動力に維持できる。
そのため、他の試験条件に左右されずに模型船に加えられる曳航力を保持できる。
本発明では、前記リニアモータの前記可動部の駆動力又は位置を制御する制御部を備え、前記制御部は、PID制御を用いて制御を行うように構成されていてもよい。
この構成によれば、制御部が、可動部で発生させる駆動力をPID制御で制御するため、可動部に付与される駆動力を、より精密に制御できる。その結果、オンオフ制御等と比べて、制御対象の駆動力や試験対象物の位置等が目標値に対してオーバーシュートとアンダーシュートを繰り返す所謂ハンチングが起こり難くすることができる。
本発明の水槽試験システムは、上記の水槽試験装置と、前記試験水槽と、この水槽試験装置を搭載して、前記試験水槽の上を移動する曳引台車を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、上記の水槽試験装置と同様な、構造の簡易化、試験条件の設定の容易化、試験対象物の変位を変数とする任意関数に基づく曳航力の試験対象物への付与が可能となるなどの効果を発揮することができる。
本発明の水槽試験方法は、試験対象物を曳航又は支持して、試験水槽で前記試験対象物の試験をする水槽試験方法であって、可動部と固定部を有するリニアモータを用いて、前記可動部の移動方向が、前記試験対象物へ付与する曳航力の付与方向又は前記試験対象物の位置の変位の測定方向である設定方向になるように、前記固定部を設けて、前記試験対象物に曳航力を付与するか、又は、前記試験対象物の曳航力を測定するか、又は、前記試験対象物の位置を測定するかすることを特徴とする方法である。
この水槽試験方法によれば、水槽試験装置の構造が単純になり、バネを使用したときに発生する試験結果の誤差要因を排除できる。可動部で発生する力を容易に測定できるので、試験対象物が受ける抵抗等を容易に測定できる。そのため、当該抵抗等を検出するためのロードセルとしての機能をリニアモータに持たせることも可能である。また、支持系および計測系への共振現象や振動の悪影響を回避することができる。そして、実船の特性の正確な再現のために曳航力の動特性を変更する場合における時間と労力を減少できる。
また、試験対象物の変位とリニアモータで発生する力の関係を比較的自由に制御できるので、実船の動特性を正確に再現したり、模型船の航走開始などで生じる過渡的な振動を抑制したりできるようになる。
本発明によれば、従来よりも構造が簡易で、試験条件の設定が容易であり、かつ試験対象物に付与される曳航力が試験対象物の変位の任意の関数で表される場合でも、当該関数に基づく曳航力を試験対象物に付与できる、水槽試験装置、水槽試験システム、および水槽試験方法を提供できる。
本発明の実施形態に係る水槽試験装置および水槽試験システムの構成を模式的に示す斜視図である。 図1の変形例を示す側面図である。 図1の変形例を示す図である。 図1の変形例を示す図である。 従来技術に係る水槽試験装置および水槽試験システムの構成を模式的に示す斜視図である。
以下、図面に基づき本発明に好適な実施形態を詳細に説明する。
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る水槽試験装置を備えた水槽試験システムの構成について、説明する。なお、ここでは、試験対象物を船舶の模型船とし、水槽試験装置を曳引台車の走行方向に移動可能な第1副台車と、この走行方向に垂直な左右方向に移動可能な第2副台車を備えた構造体として説明するが、試験対象物が模型船以外の洋上構造物の模型等であってもよく、また、水槽試験装置も、ここで示す構成の物でなくてもよく、水槽試験装置を使用する試験方法も曳航試験に限定されず、自航試験や係留試験などの他の試験方法であってもよい。
また、曳引台車、第1副台車、第2副台車は一般的に骨組み構造物と板材とからなるが、ここでは、図面の複雑化を回避するために、板状部材等で代用して図示している。
なお図1では、試験水槽である水槽2に浮かぶ、試験対象物としての模型船4を曳航し、模型船4が水や波から受ける抵抗や、曳航の際の模型船4の揺れを測定する水槽試験装置5が例示されている。
図1に示すように、水槽試験システム1は、水槽2、曳引台車3および水槽試験装置5を備える。水槽2は、注水された平面視長方形の試験水槽である。
曳引台車3は、水槽試験装置5を搭載してこれを支持する支持構造体である。曳引台車3は1対の橋脚13a、床部13b、および水槽試験装置5を搭載するための一組のレール19を備える。
図1では、曳引台車3は、水槽試験装置5および模型船4を一定の設定方向(図1のA1、A2の向き)に移動させる台車であり、水槽2の長辺の間を跨いで設けられた移動式の橋型の構造物である。ただし、曳引台車3は水槽2の短辺の間を跨いで設けてもよい。
曳引台車3は、模型船4が配置される水槽2の上方を移動することで、ヒーブロッド7等の支持部材を介して模型船4を曳航する。
橋脚13aは曳引台車3を支持する部材であり、水槽2の長辺に沿って、水槽2の外周に立設された骨組構造(図では図示の簡略化のために板状で図示)を有する。橋脚13aの底面には図示しない車輪が設けられる。図示しない車輪は、水槽2の長辺に沿って水槽2の外側に設けられた一対のレール17上に配置されている。
図示しない電源から電力の供給を受けて、曳引台車3に設けられた電動機によって、この車輪は回転する。
曳引台車3はレール17上の車輪が回転することで、水槽2の上方を図1のA1、A2の向きに移動する。
なお、通常は、曳引台車3の床部13bの上に、曳引台車3の移動を制御するための機器を備えた運転室(又は運転台)や計測機器やデータ処理機器を設置又は配置する計測室(計測台)等が設けられているが、図1~図4では図示を省略している。
床部13bは、一対の橋脚13aを連結する骨組み構造物に板材を張った構造体であり、水槽試験装置5が搭載される部分である。床部13bは、水槽2の上方に配置されており、平面視で中央に、後述するヒーブロッド7等の支持部材や計測用部材等を通すための、通常、平面視で矩形の開口部13cが設けられている。開口部13cは、ヒーブロッド7の、図1のA1、A2の向きの移動を許容する範囲に応じて具体的な寸法・形状が規定される。
レール19は、第1副台車15が曳引台車3上を移動する際に移動方向を規制するガイドである。図1では、レール19は、曳引台車3の移動方向(A1、A2の向き)に沿って、床部13bの上面に、開口部13cを挟んだ位置で固定される。なお、第1副台車15の移動をガイドする部材は図1のようなレール構造には限定されない。例えば棒状のガイドの4面にローラを設けた構造でもよい。
図1の水槽試験装置5は、模型船4を曳航又は支持し、模型船4が水や波から受ける抵抗や、曳航時の模型船4の姿勢を測定する装置である。
水槽試験装置5は、第1副台車15、第2副台車29、ヒーブロッド7、リニアモータ9、および模型船側連結部11を備える。曳引台車3を構成に含めてもよい。
第1副台車15はヒーブロッド7を上下方向に移動可能に保持する支持移動体の1つである。第1副台車15は、曳引台車3の移動速度と模型船4の移動速度との差が生じた場合に、曳引台車3の移動方向に沿って曳引台車3上を移動することで、模型船4の動きにヒーブロッド7を追従させる。
第1副台車15は底面に図示しない車輪が設けられている。第1副台車15は、開口部15aおよびレール15bを備える。開口部15aは、ヒーブロッド7を通すための開口であり、曳引台車3の移動方向に直交する方向(左右方向:図1のB1、B2の向き)に沿って延びる長方形の孔である。開口部15aは、第2副台車29の、図1のB1、B2の向きの移動を許容する範囲に応じて寸法・形状が規定される。
第1副台車15は、レール19上に配置されている当該車輪が回転することで、レール19上を移動して、曳引台車3の移動方向(A1、A2の向き)に移動する。
レール15bは、曳引台車3の左右方向(図1のB1、B2の向き)に沿って1組が、第1副台車15上に設けられており、開口部15aを挟んで対向する。
レール15bは、第2副台車29が第1副台車15上を移動する際に、移動方向を規制するガイドの役割をする。
第2副台車29は、ヒーブロッド7を直接保持する支持移動体の1つであり、第1副台車15の上面に配置される。第2副台車29は、底面に図示しない車輪が設けられており、当該車輪の移動はレール15bに規制される。第2副台車29は、図1のB1、B2の向きにレール15b上を移動可能である。
図1では、左右方向に移動する第2副台車29は、曳引台車3の移動方向(走行方向)に移動する第1副台車15上に設けられているが、左右方向に移動する第2副台車29を曳引台車3に設け、第2副台車29上に、曳引台車3の走行方向に移動する第1副台車15を設けてもよい。この場合の第2副台車29は、支持移動体となる第1副台車15を移動可能に保持する。また、第1副台車15を曳引台車3の左右方向に移動する構造とし、第2副台車29を曳引台車3の走行方向に移動する構成としてもよい。
ヒーブロッド7は、曳引台車3からの力を、模型船4に伝達して模型船4を曳航する支持部材である。ヒーブロッド7を設けることで、模型船4の上下運動を許容した試験ができる。図1のヒーブロッド7は、円柱状の外形を有する柱であるが、外形は角柱でもよい。ヒーブロッド7は、軸方向が鉛直方向に、第2副台車29の軸受7aに保持される。ヒーブロッド7の一端(ここでは下端)は模型船側連結部11に連結される。
軸受7aは図1では第2副台車29の重心近傍に設けられている。模型船4のヒーブ運動(上下動)を許容する場合は、軸受7aは、ヒーブロッド7の外周と接触してこれを支持する筒状の部材である。ヒーブロッド7の外形が角柱の場合、軸受7aは角柱の4面を支持するローラを備える。軸受7aは、軸方向が鉛直方向を向いて第2副台車29を貫通して設けられる。
これにより、ヒーブロッド7と軸受7aは、第2副台車29に対してヒーブロッド7を上下方向に移動可能に保持するスライド機構となる。なお、模型船4のヒーブ運動を固定する場合は、軸受7aがヒーブロッド7を拘束することで、第2副台車29にヒーブロッド7を固定してもよい。
リニアモータ9は、図1に示すように、シャフト(固定部)21、可動子(可動部)23、電源制御部(制御部)25を備える。このシャフト21の延びる方向に対して、可動子23は、電源制御部(制御部)25の制御で印加される電圧・電流により、駆動力を発生したり、移動したりする。
図1のリニアモータ9は、模型船4に曳航力又は支持力を付与することも、模型船4の曳航力又は支持力を測定することも、模型船4の位置を測定することもできる装置である。
つまり、リニアモータ9は、模型船4に曳航力又は支持力を付与する装置、模型船4の曳航力又は支持力を測定する装置、又は模型船4の位置を測定する装置のいずれかの装置として使用できる。
シャフト21は、棒状の形状(丸棒)を有し、軸方向が模型船4へリニアモータ9が付与する曳航力の付与方向又は模型船4の位置の変位の測定方向(図1ではいずれもA1、A2の向き)に平行に、曳引台車3に保持される。
図1ではシャフト21は、曳引台車3に設けられた支持柱27に両端が固定されることで、曳引台車3に保持される。シャフト21には図示しない永久磁石が内設される。シャフト21の軸方向が曳引台車3の移動方向(図1のA1、A2の向き)になるように、水平にシャフト21を曳引台車3に固定する。
シャフト21は、リニアモータ9の駆動する向きを規定するガイドとなる固定部であり、かつ、内設された永久磁石で可動子23に駆動力を付与する部材である。
これにより、可動子23が曳引台車3の移動方向にのみ移動するようになる。よって、可動子23で発生する駆動力を無駄なく、曳引台車3の移動方向のみで模型船4に伝達できる。
可動子23は、シャフト21の軸方向に沿って移動する可動部である。可動子23は、シャフト21に挿通された部分の内周にコイル等の図示しない電磁石が設けられている。この電磁石が磁化することで、電磁石とシャフト21の永久磁石との間で反発力又は吸引力が生じる。この反発力又は吸引力を駆動力として、シャフト21の軸方向に沿って可動子23が、シャフト21に対して移動する。
可動子23は、図1では第1副台車15に固定され、かつ、シャフト21に挿通されている。この構成では、ヒーブロッド7が上下動をしても、可動子23はこれらの運動に追従しない。
そのため、ヒーブロッド7のセッティングや位置の調整の際に可動子23に邪魔されることが無く、試験条件の設定が容易である点で有利である。
電源制御部25は、可動子23に配置された、図示しない電磁石に電力を供給して磁化させることで、シャフト21の軸方向に駆動する駆動力を発生させ、可動子23の位置を制御する制御部である。図1の電源制御部25は、可動子23の図示しない電磁石と有線で電気的に接続されている。
電源制御部25は、可動子23に印加できる最大電流、最大電圧の範囲内で電力を調整できる装置であれば、特に構造は限定されない。例えば図1の電源制御部25は制御部と電源を兼ねているが、制御部と電源を別の装置にしてもよい。
図1のリニアモータ9は、シャフト21に永久磁石を内設した、いわゆる同期型モータであるが、リニアモータ9の構造はこの構造に限定されない。例えばリニアモータ9は、シャフト21に電磁石を設けた同期型モータでもよいし、誘導型モータでもよい。
なお、リニアモータ9における可動子23の位置を検出する必要がある場合、位置検出部としてエンコーダ等の位置センサを設けて可動子23の位置を検出してもよい。可動子23を構成するコイルの誘起電圧等を利用して位置センサなしで可動子の位置を検出してもよい。
図1では電源制御部25を第1副台車15に設けて、可動子23の駆動時に、電源制御部25と可動子23が一体となって移動する構造としている。この構造は、可動子23の駆動時に、電源制御部25と可動子23を接続する配線が、両者に対して動かない点で有利である。ただし、電源制御部25は、必ずしも第1副台車15に設ける必要はない。電源制御部25は、曳引台車3に設けてもよいし、曳引台車3から離れた場所に設けてもよい。電源制御部25と可動子23は、有線ではなく無線で接続してもよい。
なお、リニアモータ9は固有振動数を有する系ではないので、支持系および計測系への共振現象や振動の悪影響を回避することができる。さらに実船の特性の正確な再現のために曳航力の動特性を変更する場合における、バネ定数の調整や、カウンターウェイトの増減が不要となる。よって、試験条件に合わせるためのバネやカウンターウェイトの設定や、これらの設定に応じるためのバネ交換等に要する時間と労力も無くすことができる。なお、リニアモータ9やバネ-質量系以外で曳航力を付与する機構としては回転式モータも考えられる。ただしリニアモータ9は、回転式モータと比べて機構が単純であること、および物理的に回転運動を並進運動に変換するときの短周期振動の発生やバックラッシが生じない点で有利である。
また、可動子23としては、シャフト21が挿通できる形状で、かつ図示しない電磁石を磁化させることでシャフト21に沿って駆動および移動できるものであれば、印加する電流、電圧等の仕様が異なる複数の種類の可動子23から適宜選択可能である。
また、リニアモータ9は、シャフト21、可動子23および電源制御部25の3つがあれば動作する。そのため、リニアモータ9が動作不良を起こした場合は、このうち一つを交換すれば不良が解消する場合が多いため、修理も容易である。
模型船側連結部11は、模型船4とヒーブロッド7の下端を連結する部材であり、好ましくは模型船4の重心に設けられる。
模型船側連結部11は、水槽試験時に模型船4に求められる自由度に応じて、模型船4を所望の自由度でヒーブロッド7と連結する公知のリンク機構にできる。
例えば水槽試験時に、波に対する模型船4のヨーイング(船首揺れ:鉛直方向を軸とする揺れ)、ピッチング(縦揺れ)、ローリング(横揺れ)を許容する試験をする場合、模型船側連結部11は、図4のYawピン111d、Pitchピン111e、Rollピン111fに相当する回転機構を備える構造が必要である。
模型船側連結部11は、自由度を変更する構造を備えてもよい。具体的には、模型船側連結部11が図4のYawピン111d、Pitchピン111e、Rollピン111fに相当する回転機構を備える場合、これらの一部又は全部を拘束する部材を設けてもよい。
なお、サージング(前後揺れ)は可動子23と第1副台車15の移動により、スウェイング(左右揺れ)は、第2副台車29の移動により許容され、ヒービング(上下揺れ)はヒーブロッド7の移動によって許容される。逆にこれらの動きを固定すれば、これらの自由度が制限されることになる。
なお、図1の水槽試験装置5は、曳引台車3にシャフト21を固定し、第1副台車15に可動子23を固定している。そのため、模型船側連結部11にリニアモータ9の構成部品を設ける必要はない。
よって、リニアモータ9を使用することによる模型船4への影響がないため、模型船4の設計変更は不要である。また、模型船側連結部11にリニアモータ9を設ける必要がないので、リニアモータ9の寸法、形状に模型船4の寸法・形状が制約を受けない。
ただし、水槽試験装置5の構成は図1に示す構成に限定されない。
例えば、図1ではヒーブロッド7を介して第2副台車29と模型船4を連結しているが、試験の種類によっては、ヒーブロッド7が必須ではない、具体的には平水中抵抗試験ではヒーブロッド7が必須でない場合がある。この場合は、例えば、図2に示すように、第2副台車29と模型船4を、両端がヒンジ10a、10bで回動可能に構成された棒部材10で連結し、リニアモータ9を介して第2副台車29と模型船4を連結してもよい。
また、第1副台車15にシャフト21を固定し、曳引台車3に可動子23を固定してもよい。
この構成は、曳引台車3の床部13bに支持柱27を設置するスペースが無い場合等、曳引台車3にシャフト21を固定するのが難しい事情がある場合に有利である。
また、リニアモータ9の構成部品の一部を模型船4に設けてもよい。
例えば、模型船4に可動子23を固定し、曳引台車3にシャフト21を固定してもよい。
この構造では、模型船4の移動方向がリニアモータ9の可動子23の移動方向に限定されるため、その方向に模型船4を移動可能に保持する第1副台車15が不要になり、装置の構成を減らすことができる。
あるいは、模型船4にリニアモータ9のシャフト21を固定し、曳引台車3にリニアモータ9の可動子23を固定してもよい。
この構成も、曳引台車3側にシャフト21を設けるスペースが無い等の理由で、曳引台車3側にシャフト21を設けることが難しい事情がある場合に、対応することができる。
第2副台車29は必須ではない。模型船4がスウェイングを固定する試験を行う場合、具体的には模型船4の図1のB1、B2の向きの移動を拘束して試験を行う場合、ヒーブロッド7を第1副台車15に保持させてもよい。
また、図1では曳引台車3と第1副台車15のみをリニアモータ9で連結し、曳航方向(A1、A2の向き)に駆動力を加える構成としているが、駆動力を加える方向は曳航方向に限定されない。例えばリニアモータ9を2組設け、一方で曳引台車3と第1副台車15を曳航方向に駆動力を加えるように連結し、他方で第1副台車15と第2副台車29を曳航方向に直交する方向(B1、B2の向き)に駆動力を加えるように連結してもよい。この構造により、曳引台車3の走行方向(曳航方向)に直交する水平方向の模型船4の移動もリニアモータ9で制御できる。そのため造波抵抗が曳航方向に対して斜めに模型船4に加えられる場合でも、造波抵抗に対応した模型船4の移動をリニアモータ9で制御できる。
また、図1ではリニアモータ9の駆動方向は水平方向であるが、ヒーブロッド7にリニアモータ9を取り付ける等して、ヒーブ方向に駆動力を付与できる構成としてもよい。この構成ではリニアモータ9を用いてヒーブロッド7の重量を打ち消す制御が行える点で有利である。
図1では曳引台車3と模型船4は、リニアモータ9、第1副台車15、第2副台車29、ヒーブロッド7、および模型船側連結部11を介して連結されているが、さらに模型船4を直接、把持して曳引台車3に模型船4を固定する機構を設けてもよい。
例えば、曳引台車3の駆動を開始した直後のように、曳引台車3の駆動力を直接模型船4に伝達したい場合は、曳引台車3に模型船4を固定する必要がある。そこで、曳引台車3と模型船4を把持するクランプ機構を設けてもよい。具体的には、曳引台車3にヒーブロッド7とは別の柱を固定し、この柱の下端にクランプを設けた機構が挙げられる。このクランプ機構は、クランプで模型船4側の固定部材を挟むことで、模型船4を直接、把持して曳引台車3に模型船4を固定できる。この際、模型船4を曳引台車3と直結して曳航するにはクランプの把持力が不足する場合、リニアモータ9も駆動させることで、曳航力を補うこともできる。
水槽試験装置5は、必要に応じて、曳航時の模型船4の姿勢を検出するレーザ変位計やエンコーダ等の検出装置を備えてもよい。この構成では、検出装置が検出した模型船4の姿勢を基に、模型船4が所望の姿勢になるように電源制御部25がリニアモータ9の駆動力を制御するフィードバック制御を行うことで、模型船4が試験中に転覆したり、意図しない姿勢のままで試験が続行されたりするのを防止できる。
なお、リニアモータ9は、電源制御部25による制御で、可動子23に印加する電流・電圧から、可動子23で発生する力を計算できる。当該力を計算できれば、曳航時に、模型船4の曳航方向における模型船4の相対移動を制限するための力、言い換えれば、模型船4を曳航するために必要な力を算出することで、水や波により模型船4が受ける抵抗を当該力から計算できる。よって、水槽試験装置5が曳航時に模型船4が水や波から受ける抵抗を測定する場合でも、ロードセル等の荷重測定センサとしての機能をリニアモータ9に持たせることも可能である。
このように、水槽試験装置5は図5の比較例に示すバネを用いた従来例と比較すると、ロードセルの設置や、その設定が必須ではない。そのため、従来よりも構造が簡易であり、試験条件の設定が容易である点でも、水槽試験装置5は有利である。
以上が水槽試験装置5を備える水槽試験システム1の構成の説明である。
次に、水槽試験装置5を用いた水槽試験の一例である曳航試験の概要について、説明する。
先ず、水槽試験装置5を曳引台車3に取り付ける。また、模型船4の錘を試験状態に合わせて調整する。そして、水槽2に浮んでいる模型船4を、模型船側連結部11を介してヒーブロッド7と連結する。
次に、図示しない電源から曳引台車3の車輪に電力を供給して、曳引台車3を図1のA1の向きに移動させる。この移動開始時には図示しないクランプ機構で模型船4を把持して固定し、曳引台車3および模型船4の加速時の力が支持装置や計測装置に加わらない状態で、曳引台車3の移動を開始する。曳引台車3の移動速度が試験速度に到達して、当該速度が安定してからクランプ機構を外し、曳引台車3で模型船4を曳航する。
曳引台車3の移動により、リニアモータ9、第1副台車15、第2副台車29、ヒーブロッド7、および模型船側連結部11を介して、曳引台車3の駆動力が模型船4に伝達される。駆動力が伝達された模型船4は、水槽2の水上をA1の向きに航行する。
さらに、必要に応じて、水槽2の端部に設けた図示しない造波装置等で水槽2の水面に波を発生させる。模型船4は水槽2に水の抵抗、および造波装置で発生させた波の抵抗を受けながら水槽2の水上をA1の向きに航行する。
この際、水と波の抵抗により、模型船4の航行速度と曳引台車3の移動速度との間に差が生じる場合がある。この場合、第1副台車15が曳引台車3上を、曳引台車3に対して図1のA1又はA2の向きに移動することで、この速度差に起因する変位を許容する。また、水面に発生した波の向きが模型船4の移動方向に対して斜めである場合は、造波抵抗のB1、B2方向の成分に相当する力を模型船4が受ける。この場合は第2副台車29が第1副台車15上を、曳引台車3に対して図1のB1又はB2の向きに移動することで、B1、B2の向きの変位を許容する。
さらに、電源制御部25が可動子23に印加する電力を制御することで、可動子23で図1のA1の向きに発生させる駆動力の大きさを制御する。なお、模型船4が受ける抵抗と可動子23で発生する曳航力とが完全に釣り合っていると、模型船4と曳引台車3の速度は同じとなり、相対位置の変化がない。しかしながら、実際には、抵抗と曳航力を完全に一致させることは難しいので、これらの差によって発生する速度差に起因する変位量は、可動子23がシャフト21に対して移動することで吸収される。
言い換えれば、曳引台車3がリニアモータ9を介して模型船4を曳航することで、ヒーブロッド7に加えられる曳航力の変動をリニアモータ9の可動子23の位置変位が吸収する。また、可動子23で発生する駆動力の制御次第では、模型船4の平均速度を曳引台車3の速度と等しくしながら、リニアモータ9自体の駆動力で模型船4を曳航できる。
そして、予め設定された距離を曳引台車3が走行すると、クランプ機構により模型船4を把持して固定状態とし、曳引台車3を減速させて移動を停止する。そして、曳引台車3を後退させて試験開始位置に戻り、再度、曳引台車3を走行させて、それぞれの試験条件で試験を行い、すべての試験項目が終わるまで、試験条件に応じた曳引台車3の走行とリニアモータ9の駆動を繰り返す。なお、必要に応じて、試験途中あるいは一日の試験終了時に、模型船4と曳引台車3の接続を解除することもある。
具体的に電源制御部25が、どのような駆動力を可動子23に付与する制御を行うかは、試験の種類や試験の目的によって異なるが、以下の例が挙げられる。
まず、シャフト21に対して可動子23が相対的に停止する条件で、電源制御部25が、可動子23で発生する駆動力を制御する位置維持制御が挙げられる。
この場合、リニアモータ9は、シャフト21に対する可動子23のシャフト21の軸方向の位置を検出するリニアエンコーダ等の図示しない位置検出手段、又は、曳引台車3に対する模型船4の相対的位置を検出するレーザ変位計等の位置検出手段を備える。
電源制御部25は、当該位置検出手段が検出した可動子23の位置情報に基づき、シャフト21に対して可動子23が相対的に停止するように、可動子23に電力を供給する制御を行う。
当該制御を行うと、可動子23が発生可能な駆動力の範囲内で、可動子23の移動方向における、曳引台車3の速度(通常は一定速度)と模型船4の移動速度(平均速度)が等しくなる。
そのため、曳引台車3を模型船4に固定したり、曳引台車3の速度を遅くしたりしなくても、模型船4が曳引台車3に対して、大きく遅れたり、大きく進んだりするのを、防ぐことができる。
次に、電源制御部25が、曳引台車3に対する模型船4の任意の方向の相対変位(例えば曳引台車3の移動方向の変位)に応じて、予め設定される駆動力(変位の関数となっている駆動力)を発生させるように可動子23に印加される電力を変更する駆動力変更制御が挙げられる。
この場合も、リニアモータ9は、曳引台車3に対する模型船4の相対変位を検出するレーザ変位計等の変位測定手段を備える。
電源制御部25は、変位測定手段が測定した模型船4の情報に基づいて、可動子23で発生する駆動力を変更する駆動力変更制御を行う。
具体的に駆動力をどのように変更するかは、可動子23に印加できる最大電流、最大電圧の範囲内、言い換えれば、可動子23が発生可能な最大駆動力の範囲内で任意に設定できる。
これは、リニアモータ9では、予め、可動子23に印加する電流・電圧と可動子23で発生する力の関係を実験や計算などにより求めておくことで、リニアモータ9で発生する力を比較的自由に制御できるためである。そのため、曳引台車3に対する模型船4の変位に対する可動子23で発生する力に対応した電流・電圧を算出し、この算出した電流・電圧を可動子23に印加することで、模型船4の変位と可動子23で発生する力の関係を比較的自由に制御できる。
例えば、模型船4の変位と模型船4に付与される曳航力が任意の関数で表される場合、当該関数に基づき、可動子23で発生する駆動力を変更できる。この関数が一次関数の場合、図4のバネを用いた構造と同様に、曳引台車3に対する模型船4の変位に比例する駆動力を可動子23に付与できる。
当該制御を行うと、曳引台車3に対する模型船4の変位と模型船4に付与される曳航力が任意の関数で表される場合も、当該関数に基づく曳航力を模型船4に付与できる。
そのため、変位に比例する曳航力しか模型船4に付与できないバネと異なり、可動子23で発生する駆動力を任意の値に変更できる。
さらに、この制御を行う場合、電源制御部25が、模型船4に装備されることが想定される推進器又は舵の流体力特性に関する情報を有していてもよい。この場合、当該情報と模型船4の変位情報から、推進器又は舵が発生させると想定される力を逐次算出し、算出した力を発生させるようにリニアモータ8を電源制御部25が制御する。
この構成では、模型船4に装備されることが想定される推進器又は舵の流体力特性に関する情報に基づきリニアモータ8を電源制御部25が逐次制御するため、模型船4に推進器や舵を取り付けなくても、取り付けた場合と同様の条件下で試験が行える。
次に、電源制御部25が、可動子23で発生させる駆動力を、予め設定される値にする駆動力一定制御が挙げられる。
この場合、電源制御部25は、可動子23で発生させる駆動力を、可動子23に印加できる最大電流、最大電圧の範囲内で、例えばA1の向きに一定の大きさの値とする。
当該制御を行うと、電源制御部25は、可動子23で発生させる駆動力を予め設定される一定の値に制御するため、模型船4が受ける水や波の抵抗によらず、模型船4に加えられる曳航力をあらかじめ設定された駆動力に維持できる。
そのため、他の試験条件に左右されずに、模型船4に加えられる曳航力を保持できる。例えば、この一定の値を、同じ条件下で走行した曳航試験で得られた平均曳航力とすると、一定馬力で航行したときの各種の運動量を測定できる。この場合でも、可動子23の位置を検出する位置検出手段、又は、模型船4の曳引台車3に対する相対位置を検出する位置検出手段を備えることで、サージング運動量を測定できる。なお、他の運動量の測定はそれぞれの運動を測定する測定手段で測定する必要がある。
いずれの制御を行う場合でも、電源制御部25は、フィードバック制御でもフィードフォワード制御を用いて制御してもよいが、フィードバック制御のPID制御を用いて可動子23に付与される駆動力を制御することが好ましい。
周知技術のPID制御を用いて可動子23に付与される駆動力を制御することで、オンオフ制御等と比べて、確立された制御方法で容易に制御でき、PID制御の各定数を調整することで、駆動力が目標値からオーバーシュートとアンダーシュートを繰り返す所謂ハンチングを容易に回避できる。
以上が水槽試験装置5を用いた水槽試験の一例である曳航試験の概要についての説明である。
そして、本発明の実施形態に係る水槽試験方法は、模型船4を曳航又は支持して、水槽2で模型船4の試験をする水槽試験方法である。この水槽試験法において、可動子23とシャフト21を有するリニアモータ9を用いて、可動子23の移動方向(A1、A2の向き)が、模型船4へ付与する曳航力の付与方向又は模型船4の位置の変位の測定方向である設定方向(A1,A2)になるように、シャフト21を設けて、模型船4に駆動力を付与するか、又は、模型船4の駆動力を測定するか、又は、模型船4の位置を測定するかのいずれかを行う。
この水槽試験方法によれば、水槽試験装置5の構造が単純になり、バネを使用したときに発生する試験結果の誤差要因を排除できる。可動子23で発生する力を容易に測定できるので、模型船4が受ける抵抗等を容易に測定できる。そのため、当該抵抗等を検出するためのロードセルの設置や、その設定が必須ではない。また、支持系および計測系への共振現象や振動の悪影響を回避することができる。そして、実船の特性の正確な再現のために曳航力の動特性を変更する場合における時間と労力を減少できる。
また、模型船4の変位とリニアモータ9で発生する力の関係を比較的自由に制御できるので、実船の動特性を正確に再現したり、模型船4の航走開始などで生じる過渡的な振動を抑制したりできるようになる。
このように、本実施形態によれば、水槽試験システム1の水槽試験装置5は、リニアモータ9を有する。
そのため、バネとカウンターウェイトを使用する「バネ-質量系」の曳航装置や測定装置等とは異なり、水槽試験装置5の構造が単純になる。また、水槽試験装置5は、カウンターウェイトの慣性、滑車の回転時の摩擦、バネやワイヤの一時的なたわみなどの試験結果の誤差要因を排除できる。
さらに、リニアモータ9は、制御時に可動子23で発生する力から、模型船4が受ける抵抗等を容易に測定できる。そのため、当該抵抗等を検出するロードセルとしての機能をリニアモータ9に持たせることも可能である。
また、水槽試験装置5は、固有振動数を持たない系であるため、支持系および計測系への共振現象や振動の悪影響を回避できる。
よって、水槽試験装置5は、従来よりも構造が簡易であり、試験条件の設定が容易である。
また、リニアモータ9は、模型船4に付与すべき曳航力が変位の2次以上の高次関数で表される場合や、変位の微分値や積分値等に比例する値で表される場合でも、当該関係を満たす曳航力を模型船4に付与できる。
そのため、水槽試験装置5は、実船の動特性を正確に再現したり、模型船4の航走開始などで生じる過渡的な振動を抑制したりできる。
次に、第2の実施形態について、図3を参照して説明する。
第2の実施形態は、第1の実施形態において、シャフト21と可動子23を複数組設けたものである。
なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の機能を果たす要素については同一の番号を付し、説明を省略する。
図3に示すように、第2の実施形態に係る水槽試験システム1aの水槽試験装置5aは、シャフト21と可動子23を複数組、ここでは2組有する。
2組のシャフト21と可動子23は、平面視でヒーブロッド7を挟んで、ヒーブロッド7の両側に互いに平行に設けられる。なお2組のシャフト21と可動子23の位置は、可動子23の移動方向が互いに平行であれば必ずしも平面視でヒーブロッド7を挟んだ位置である必要はない。例えばヒーブロッド7に対してA1、A2方向から見て片側に複数組のシャフト21と可動子23を設けてもよい。
このように、水槽試験システム1aは、シャフト21と可動子23が2組以上設けられてもよい。
この構成によれば、リニアモータが1組の場合と比べて可動子23の数が増えるため、増えた可動子23の数に対応してリニアモータ8の駆動による推力を大きくできる。
また、複数組のリニアモータ8のうち、1組のリニアモータ8が故障した場合でも、他のリニアモータ8が駆動できれば試験を行える。そのため、1組のリニアモータ8のみを設ける場合と比べて水槽試験システム1aの冗長性をより向上させられる。
次に、第3の実施形態について、図4を参照して説明する。
第3の実施形態は、第1の実施形態において、1本のシャフト21に可動子23を複数配置したものである。
なお、第3の実施形態において、第1の実施形態と同様の機能を果たす要素については同一の番号を付し、説明を省略する。
図4に示すように、第3の実施形態に係る水槽試験システム1bの水槽試験装置5bは、1本のシャフト21に2つの可動子23が設けられている。よって、1本のシャフト21が2つの可動子23を挿通している。
このように、1本のシャフト21に設けられる可動子23の数は2つ以上でもよい。
この構成によれば、リニアモータ9が模型船4に加える曳航力を、2つの可動子23の駆動力を足した値にできるため、1本のシャフト21に1つの可動子23を設けた場合と比べて、リニアモータ9が模型船4に加える曳航力を、大きくできる。
よって、水槽試験装置5bは、模型船4に加えられる曳航力の範囲を、1本のシャフト21に1つの可動子23を設けた場合と比べて、より広くできる。
また、この構成では、模型船4が小型の場合や平水中抵抗試験を行う場合のように、2つの可動子23を合わせた駆動力が必要ない場合、1つの可動子23のみを駆動できる。
そのため、試験条件に応じて電力の消費を抑えつつ、適切な曳航力を模型船4に付与できる。
なお、1つのシャフト21に3つ以上の可動子23を設けてもよい。ただし、可動子23の数が増えるほど、リニアモータ9の慣性質量が大きくなり、模型船4の加速度を変化させるために必要なリニアモータ9の駆動力が大きくなる。
よって、1つのシャフト21に設ける可動子23の数は、リニアモータ9が模型船4に加える曳航力の範囲と、模型船4の移動に必要な加速度の範囲を基に、適宜設定する必要がある。
1 水槽試験システム
1a 水槽試験システム
1b 水槽試験システム
2 水槽
3 曳引台車
4 模型船
5 水槽試験装置
5a 水槽試験装置
5b 水槽試験装置
7 ヒーブロッド
7a 軸受
9 リニアモータ
10 棒部材
10a ヒンジ
10b ヒンジ
11 模型船側連結部
13a 橋脚
13b 床部
13c 開口部
15 第1副台車
15a 開口部
15b レール
17 レール
19 レール
21 シャフト
23 可動子
25 電源制御部
27 支持柱
29 第2副台車
100 水槽試験装置
101 曳引台車
102 水槽
104 模型船
105 第1副台車
106 第2副台車
107 ヒーブロッド
109 バネ
111a Surgeスライダ
111b Swayスライダ
111c Heaveスライダ
111d Yawピン
111e Pitchピン
111f Rollピン
121 台車側連結部
123 模型船側連結部
200 水槽試験システム

Claims (14)

  1. 試験水槽で試験対象物の試験をするために、前記試験対象物を曳航又は支持する水槽試験装置であって、
    前記試験対象物に曳航力若しくは支持力を付与する装置として、又は、前記試験対象物の曳航力若しくは支持力を測定する装置として、又は、前記試験対象物の位置を測定する装置として、可動部と固定部を有するリニアモータを設けると共に、
    前記可動部の移動方向が、前記試験対象物へ付与する曳航力若しくは支持力の付与方向又は前記試験対象物の位置の変位の測定方向である設定方向になるように、前記固定部を設けていることを特徴とする、水槽試験装置。
  2. 前記試験対象物を曳航又は支持し、且つ、前記設定方向に移動可能な支持移動体に前記リニアモータの前記可動部を固定し、前記支持移動体を移動可能に保持する支持構造体に前記リニアモータの前記固定部を固定しているか、あるいは、
    前記試験対象物を曳航又は支持し、且つ、前記設定方向に移動可能な支持移動体に前記リニアモータの前記固定部を固定し、前記支持移動体を移動可能に保持する支持構造体に前記リニアモータの前記可動部を固定していることを特徴とする、請求項1に記載の水槽試験装置。
  3. 前記試験対象物に前記リニアモータの前記可動部を固定し、前記試験対象物を移動可能に保持する支持構造体に前記リニアモータの前記固定部を固定しているか、あるいは、
    前記試験対象物に前記リニアモータの前記固定部を固定し、前記試験対象物を移動可能に保持する支持構造体に前記リニアモータの前記可動部を固定していることを特徴とする、請求項1に記載の水槽試験装置。
  4. 前記試験対象物をヒーブロッドで支持し、このヒーブロッドを上下方向に移動可能となるように前記支持移動体に取り付けたことを特徴とする、請求項2に記載の水槽試験装置。
  5. 前記支持移動体は、前記支持構造体上に設けられて前記試験対象物の曳航方向又は曳航方向に直交する方向に移動する第1副台車と、前記第1副台車上に設けられて前記ヒーブロッドを保持し、前記第1副台車の移動方向と直交する方向に移動する第2副台車と、
    を備え、
    前記リニアモータは2組設けられ、一方の前記リニアモータの前記設定方向を前記第1副台車の移動方向とし、他方の前記リニアモータの前記設定方向を前記第2副台車の移動方向にしたことを特徴とする、請求項4に記載の水槽試験装置。
  6. 複数組の前記リニアモータを前記可動部の移動方向が平行になるように設けたことを特徴とする、請求項4又は5に記載の水槽試験装置。
  7. 前記リニアモータにおいて、前記固定部に前記可動部が複数配置されていることを特徴とする、請求項2~6のいずれか一項に記載の水槽試験装置。
  8. 前記リニアモータの前記可動部の前記固定部における位置を検出する位置検出手段と、前記リニアモータの前記可動部の駆動力又は位置を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記位置検出手段で測定した前記可動部の位置情報に基づき、前記固定部に対して前記可動部が相対的に停止する制御を行うように構成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の水槽試験装置。
  9. 前記支持構造体に対する前記試験対象物の相対変位を測定する変位測定手段と、前記リニアモータの前記可動部の駆動力又は位置を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記変位測定手段が測定した前記試験対象物の変位情報に基づいて、前記可動部で発生する駆動力を変更する制御を行うように構成されていることを特徴とする請求項2~7のいずれか一項に記載の水槽試験装置。
  10. 前記制御部は、前記試験対象物に装備されることが想定される推進器又は舵の流体力特性に関する情報を有し、前記情報と前記試験対象物の変位情報から、前記推進器又は舵が発生させると想定される力を逐次算出し、算出した前記力を発生させるように前記リニアモータを制御するように構成されていることを特徴とする請求項9に記載の水槽試験装置。
  11. 前記リニアモータの前記可動部の駆動力又は位置を制御する制御部を備え、
    前記制御部は、前記可動部で発生する駆動力を予め設定される大きさの駆動力にする制御を行うように構成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の水槽試験装置。
  12. 前記リニアモータの前記可動部の駆動力又は位置を制御する制御部を備え、
    前記制御部は、PID制御を用いて制御を行うように構成されていることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の水槽試験装置。
  13. 請求項1~12のいずれか一項に記載の水槽試験装置と、前記試験水槽と、この水槽試験装置を搭載して、前記試験水槽の上を移動する曳引台車を備えていることを特徴とする、水槽試験システム。
  14. 試験対象物を曳航又は支持して、試験水槽で前記試験対象物の試験をする水槽試験方法であって、
    可動部と固定部を有するリニアモータを用いて、前記可動部の移動方向が、前記試験対象物へ付与する曳航力の付与方向又は前記試験対象物の位置の変位の測定方向である設定方向になるように、前記固定部を設けて、前記試験対象物に曳航力を付与するか、又は、前記試験対象物の曳航力を測定するか、又は、前記試験対象物の位置を測定するかすることを特徴とする、水槽試験方法。
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