(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る吸収性物品は、前後方向と、前記前後方向に直交する幅方向と、前記前後方向及び前記幅方向に直交する厚さ方向と、吸収材料を含む吸収コアと、前記吸収コアよりも肌面側に配置され、かつ前記厚さ方向において前記吸収コアと重なる吸収領域を有するトップシートと、着用者の健康状態を検査するための検査部材と、を備える。前記検査部材は、前記着用者の排泄物を接触させる接触部と、前記着用者の健康状態を表示する表示部と、を有する。前記表示部は、前記接触部に接触した前記排泄物に含まれる検出対象に基づいて呈色する指示薬を含む。前記接触部の少なくとも一部は、前記吸収領域に排泄された排泄物が到達する範囲に配置されている。前記表示部の少なくとも一部は、前記吸収コアと前記厚さ方向において重ならない。
本態様によれば、接触部の少なくとも一部は、排泄物が到達する範囲に配置されているため、排泄物を接触部に接触させることができる。これにより、表示部に含まれる指示薬が呈色可能となり、表示部が健康状態を表示することができる。また、表示部の少なくとも一部を吸収コアと重ならないことで、着用者は、表示部の少なくとも一部を吸収コアに遮られずに、表示部を視認し易くなる。さらに、大部分の排泄物は吸収コアに吸収されるため、表示部の少なくとも一部を吸収コアと重ならないことで、表示部の少なくとも一部が排泄物に接触し難くなる。これにより、表示部の少なくとも一部が排泄物に覆われ難くなり、着用者は、排泄物の影響を受けずに表示部を視認し易くなる。以上により、着用者が表示部を視認し易くなるため、着用者が正確な健康状態を把握し易くすることができる。
好ましい一態様によれば、前記接触部の少なくとも一部は、前記吸収コアと接触する。排泄物は、吸収コアに排泄されるため、接触部の少なくとも一部が吸収コアと接触することで、より多くの排泄物を接触部に接触させることができる。これにより、指示薬が多くの検出対象に基づいて呈色可能となり、検査精度を向上できる。
好ましい一態様によれば、前記接触部の少なくとも一部は、前記厚さ方向において前記吸収コアと重なる。排泄物は、吸収コアに排泄されるため、接触部の少なくとも一部が吸収コアと重なることで、より多くの排泄物を接触部に接触させることができる。これにより、指示薬が多くの検出対象に基づいて呈色可能となり、検査精度を向上できる。
好ましい一態様によれば、前記吸収性物品は、前記排泄物を前記接触部の少なくとも一部へ誘導する誘導部を有する。排泄物は、誘導部により、接触部の少なくとも一部へ誘導されるため、より多くの排泄物を接触部に接触させることができる。これにより、指示薬が多くの検出対象に基づいて呈色可能となり、検査精度を向上できる。
好ましい一態様によれば、前記吸収性物品は、前記吸収コアを有する本体部と、前記本体部から前記幅方向の外側に延出し、着用物品に装着された状態において前記着用物品の非肌面側に固定される一対のウイングと、を有する。前記表示部の少なくとも一部は、前記厚さ方向において前記一対のウイングの一方に配置されている。ウイングは、着用物品(例えば、下着)に装着された状態において着用物品の非肌面側に固定されるため、肌面側から排泄される排泄物は、ウイングに付着し難い。これにより、表示部の少なくとも一部が排泄物に覆われ難くなり、着用者は、排泄物の影響を受けずに表示部を視認し易くなる。また、ウイングは、着用物品の非肌面側に固定されるため、着用者が吸収性物品を着用した際に、厚さ方向において表示部の少なくとも一部と着用者の肌との間には着用物品が存在する。このため、吸収性物品の着用時において、表示部の少なくとも一部が、着用者の肌に触れ難くなる。表示部に含まれる指示薬が肌にダメージを与え得るものであっても、着用者の安全性を高めることができる。
好ましい一態様によれば、前記厚さ方向の平面視において、前記表示部の少なくとも一部は、前記吸収コアの前記前後方向の外端縁から延出している。排泄物は、吸収性物品の前後方向の端部側よりも中央側に排泄され易いため、吸収コアの前後方向の外端縁を超えて拡散し難い。表示部の少なくとも一部は、吸収コアの前後方向の外端縁から延出しているため、排泄物に覆われ難く、着用者は、排泄物の影響を受けずに表示部を視認し易くなる。
好ましい一態様によれば、前記吸収性物品は、前記検査部材以外の部材により構成される吸収性物品本体を有する。前記厚さ方向の平面視において、前記表示部の少なくとも一部は、前記吸収性物品本体の外端縁から延出している。吸収性物品本体の外端縁から表示部の少なくとも一部が延出しているため、表示部の少なくとも一部は、排泄物が拡散できない位置に配置されている。これにより、表示部の少なくとも一部が排泄物に覆われることを抑制できる。また、吸収性物品本体の外端縁から表示部の少なくとも一部が延出しているため、着用者は、表示部を直接視認することができる。従って、着用者が正確な健康状態を把握し易くすることができる。
好ましい一態様によれば、前記吸収性物品は、前記検出対象が互いに異なる複数の検査部材を有する。前記複数の検査部材それぞれが有する前記表示部は、前記厚さ方向において互いに異なる位置に配置されている。検出対象が互いに異なる複数の検査部材を備えるため、1つの吸収性物品で健康状態を示す複数の項目を確認することができる。複数の検査部材それぞれが有する表示部が厚さ方向において互いに異なる位置に配置されているため、着用者が、各表示部を視認し易くなり、一部の表示部を見落とすことを抑制できる。
好ましい一態様によれば、前記検査部材は、前記トップシートよりも非肌面側に配置されている。検査部材がトップシートよりも非肌面側に配置されているため、検査部材が着用者の肌に直接触れることを抑制できる。これにより、着用者の肌に検査部材が直接当たることによる着用時の違和感を抑制できる。さらに、指示薬が肌へ刺激を与え得るものであっても、着用者の肌に指示薬が触れ難くなり、着用者の安全性を高めることができる。
好ましい一態様によれば、前記接触部は、前記吸収コアよりも非肌面側に配置されている。前記吸収コアは、前記厚さ方向において前記吸収コアを貫通する開孔を有する。前記接触部は、前記厚さ方向において前記開孔と重ならない。排泄物は、吸収コアの吸収部材を構成する繊維の隙間を通り抜けるよりも、開孔を通ることで、接触部が配置されている吸収コアの非肌面側へ到達し易くなる。このため、接触部へ到達するまでの時間を短縮でき、多くの排泄物が接触部へ到達可能となる。これにより、検査精度を向上できる。また、接触部が指示薬を含んでいる場合、接触部に到達した排泄物に指示薬が溶解することがある。しかしながら、接触部が厚さ方向において開孔と重ならないため、排泄物が開孔を通じて吸収コアの非肌面側へ到達し難くなる。このため、指示薬が肌へ刺激を与え得るものであっても、指示薬を含む排泄物がトップシートの非肌面側にまで到達し難くなり、着用者の安全性を高めることができる。
(2)吸収性物品の概略構成
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品の概略ついて説明する。吸収性物品は、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド、糞便パッドのような吸収性物品であってよい。吸収性物品は、下着のような着用物品の内側に取り付けられて使用される物品であってよい。本実施の形態の吸収性物品1は、生理用ナプキンである。
なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
図1は、第1実施形態に係る吸収性物品を肌面側から見た平面図である。図2は、実施形態に係る吸収性物品の断面図である。具体的には、図2Aは、図1に示すA-A線に沿った断面図である。図2Bは、着用物品(下着)に装着された状態における吸収性物品の断面図である。図3は、実施形態に係る吸収性物品を説明するための図である。具体的には、図3Aは、吸収性物品を着用物品から取り外す一例(その1)を示す断面図である。図3Bは、吸収性物品を着用物品から取り外す一例(その2)を示す断面図である。
なお、「肌面側」は、着用中(使用中)に着用者の肌に面する側に相当する。「非肌面側」は、着用中(使用中)に着用者の肌とは反対に向けられる側に相当する。
図1及び図2に示すように、吸収性物品1は、前後方向L及び幅方向Wを有する。前後方向Lは、着用者の前側(腹側)から後側(背側)に延びる方向、又は着用者の後側から前側に延びる方向である。幅方向Wは、前後方向Lと直交する方向である。吸収性物品は、肌面側T1と非肌面側T2に延びる厚さ方向Tを有する。
なお、本明細書において、外側縁は、幅方向における外側端であり、内側縁は、幅方向における内側端である。
吸収性物品1は、中央域S3、前側域S1及び後側域S2を有する。中央域S3は、着用者の排泄口(例えば膣口)に当接する排泄口当接部を有する領域である。吸収性物品が着用物品(例えば、下着)に装着されたときに、中央域S3は、着用物品の股下部に位置する。つまり、中央域は、着用者の股下、すなわち着用者の両足の間に配置される領域である。図1における実施の形態では、中央域S3は、吸収性物品1を着用物品へ留めるウイング14が設けられる領域である。前側域S1は、中央域S3よりも前側に位置する。後側域S2は、中央域S3よりも後側に位置する。
図1及び図2に示すように、吸収性物品1は、検査部材60以外の部材により構成される吸収性物品本体10と、検査部材60と、を備えてよい。吸収性物品本体10は、検査部材60を備えていない生理用ナプキンなどの一般的な吸収性物品に対応してよい。すなわち、吸収性物品本体10は、検査部材60を備えていない吸収性物品1に対応してよい。
吸収性物品本体10は、本体部12と一対のウイング14とにより構成されてよい。本体部12は、吸収コア20を有する。本体部12は、ウイング14よりも幅方向Wにおいて内側の部分である。一対のウイング14は、本体部12から幅方向Wの外側に延出し、着用物品に装着された状態において着用物品の非肌面側T2に固定される。本体部12とウイング14との境界は、前後方向Lに延びる折り目FLである。
吸収性物品1は、吸収コア20、トップシート30、検査部材60を備える。また、吸収性物品1は、バックシート40、サイドシート50、粘着部70を備えてよい。
吸収コア20は、液体を吸収する吸収材料を含む。吸収材料は、例えば、親水性繊維、パルプ及び高吸水性高分子(SAP)から形成できる。吸収コア20は、コアラップ(図示せず)によって包まれていてよい。コアラップは、少なくとも吸収コア20よりも肌対向面側で吸収コア20を覆っていればよい。具体的一例として、コアラップは、吸収コア20よりも肌面側に配置されるシートと、吸収コア20よりも非肌面側に配置されるシートと、を有していてよい。吸収コア20は、コアラップによって覆われていなくてもよい。
吸収コア20は、少なくとも中央域S3に配置されている。吸収体コアは、中央域S3から前側域S1まで延びていてもよい。吸収体コアは、中央域S3から後側域S2まで延びていてもよい。
トップシート30は、吸収コア20よりも肌面側に配置される。トップシート30は、厚さ方向Tにおいて吸収コアと重なる吸収領域ARを有する。
トップシート30は、液透過性を有する。トップシート30は、不織布、織布、有孔プラスチックシート、メッシュシート等、液体を透過する構造を有する任意のシート状の材料から構成されてよい。織布や不織布の素材としては、天然繊維、化学繊維のいずれも使用できる。
バックシート40は、液不透過性を有する。バックシート40は、ポリエチレンシート、ポリプロピレン等を主体としたラミネート不織布、通気性の樹脂フィルム、スパンボンド、又はスパンレース等の不織布に通気性の樹脂フィルムが接合されたシートなどの材料から構成されてよい。
サイドシート50は、トップシート30の外側縁を覆ってよい。サイドシート50は、幅方向Wにおけるトップシート30の外側縁を覆い、トップシート30よりも幅方向Wの外側へ延びてよい。なお、吸収性物品1はサイドシート50を有さなくてもよい。
サイドシート50は、トップシート30と同様の材料から構成することができる。ただし、トップシート30に付着した体液が、サイドシート50を乗り越えて、幅方向Wにおいて吸収性物品1の外側へ漏れ出すことを防止するためには、サイドシート50は、疎水性又は撥水性を有してよい。サイドシート50は、幅方向Wにおける吸収コア20の外側縁、後述するウイング14及び後述するフラップ部80に配置されてよい。
検査部材60は、着用者の健康状態を検査するための部材である。検査部材60は、着用者の健康状態(を示す色)を指示薬により表示する。本実施の形態では、健康状態を検査するために、例えば、イムノクロマト法、又は試験紙法を用いることができる。
イムノクロマト法は、抗体を含む標識粒子が敷き詰められた部材(例えば、セルロース膜)上に、排泄物(例えば、血液など)を滴下することで行われる。排泄物中に、検出対象(具体的には、検出対象となる対象成分(例えば、抗原))が含まれている場合、当該検出対象と抗体とが抗原抗体反応を起こして複合体を形成する。形成された複合体は、毛細管現象によって膜上を移動する。複合体の移動先には、別種の抗体(指示薬)が線状に配置されている。複合体が、別種の抗体と結合して呈色する。呈色(色の変化)の有無により着用者の健康状態が示される。着用者は、呈色の有無を目視により判定することで健康状態を確認することができる。
試験紙法は、検査部材60に含まれる指示薬が、排泄物に含まれる検出対象と反応することにより呈色する。呈色(指示薬の色の変化)の有無により着用者の健康状態が示される。着用者は、指示薬による呈色(指示薬の色の変化)を目視により判定することで健康状態を確認することができる。
排泄物は、例えば、血液、尿、大便、汗、おりものなどが挙げられる。健康状態を示す項目は、例えば、体調関連(pH、鉄欠乏性貧血、腎機能、心筋梗塞、炎症・感染症、栄養状態評価など)、妊娠関連(生理周期予測、排卵予測など)、精神関連(鬱傾向、薬物など)が挙げられる。検出対象は、例えば、尿中老廃物(尿比重)、白血球、水素イオン(pH)、蛋白質、ブドウ糖、ケトン体、ウロビリノーゲン、ビリルビン、尿潜血、亜硝酸塩、ステロイド、ペプチド、芳香族化合物、FSH(卵胞刺激ホルモン)、BUN(Urea nitorogen)、AlB(Albumin)、LPS(リポ多糖)、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)、LH(黄体刺激ホルモン)、U-ALB、CRP(C-リアクディブ・プロテイン)、ミオグロビン、CK-MB、トロポニンI、トロポニンT、ヘモグロビン、ストレップA、HBs抗体、HIV抗体、TP抗体、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、DNA、O-157、コカイン、マリファナ、モルヒネなどが一例として挙げられる。
検査部材60は、接触部62と表示部64とを有する。接触部62は、排泄物を接触させる部分である。表示部64は、着用者の健康状態(を示す色)を表示する部分である。表示部64は、接触部62に接触した排泄物に含まれる検出対象に基づいて呈色する指示薬を含む。指示薬は、検出対象又は検出対象を由来とするもの(例えば、複合体)と反応することにより呈色する化学物質(無機物、有機物)である。
例えば、イムノクロマト法では、接触部62は、抗体を含む標識粒子が配置されている領域へ排泄物(検査対象)を誘導する部分である。接触部62は、標識粒子が配置されている領域を含んでよい。排泄物が接触部62に触れることで、排泄物に含まれる検出対象(抗原)と抗体とが抗原抗体反応を起こして複合体を形成する。表示部64は、複合体と結合して呈色する指示薬(別種の抗体)が配置されている領域(検出ライン)を含む。従って、イムノクロマト法が用いられる場合、接触部62と表示部64とは異なる位置に配置されている。従って、この場合、接触部62と表示部64とは異なるものである。
なお、検査部材60は、検査が適切である場合に、検出対象となる目的の抗原の有無にかかわらず呈色する領域であるコントロールラインを含んでよい。コントロールラインは、検出ライン(表示部64)よりも接触部62から離れて配置されている。
一方、試験紙法では、接触部62は、指示薬が配置されている領域を少なくとも含む。接触部62に含まれる指示薬が検出対象と反応して呈色するため、接触部62と表示部64とが同じ位置に配置されている。従って、この場合、接触部62と表示部64とは、同一のものである。
以上のように、イムノクロマト法が用いられる場合、接触部62は、標識粒子を含み、表示部64は、着用者の健康状態を表示するための指示薬を含む。試験紙法が用いられる場合、接触部62、すなわち、表示部64は、着用者の健康状態を表示するための指示薬を含む。
なお、接触部62は、排泄物(検出対象)を表示部64へ誘導させるためにのみ設けられている場合、指示薬を含まなくてよい。
検査部材60は、指示薬を保持又は含有できる部材であればよい。検査部材60は、例えば、紙、不織布、織布などのいずれかの材料により構成できる。検査部材60の剛性は、吸収性物品1に使用される部材の剛性以下であってよい。これにより、吸収性物品1が検査部材60を備えていても、着用者の肌触りの悪化を抑制し易くなる。図1等に示すように、検査部材60は、例えば、直線状の板状であってよい。
図2Aに示すように、接触部62の少なくとも一部は、吸収領域ARに排泄された排泄物が到達する範囲である到達範囲に配置されている。これにより、着用者から排泄された排泄物を接触部62に接触させることができる。従って、表示部64に含まれる指示薬が呈色可能となり、表示部64が健康状態を表示することができる。
接触部62の少なくとも一部は、吸収コアと接触してよい。排泄物は、吸収コア20に排泄されるため、より多くの排泄物を接触部62に接触させることができる。これにより、指示薬が多くの検出対象に基づいて呈色可能となり、検査精度を向上できる。図2Aでは、接触部62の一部が吸収コア20に接触している。
また、接触部62の少なくとも一部は、厚さ方向Tにおいて吸収コア20と重なってよい。排泄物は、吸収コア20に排泄されるため、より多くの排泄物を接触部に接触させることができる。これにより、指示薬が多くの検出対象に基づいて呈色可能となり、検査精度を向上できる。図2Aでは、接触部62の一部が厚さ方向Tにおいて吸収コア20と重なっている。接触部62の残りは、厚さ方向において吸収コア20と重なっていない。
到達範囲は、排泄物が液体である場合、排泄物の拡散範囲であってよい。到達範囲は、排泄物が固体/半固体である場合、着用中に排泄物が広がる範囲であってよい。前後方向L及び幅方向Wに沿った方向である水平方向(すなわち、厚さ方向Tの平面視)において、到達範囲の最大範囲は、一般的な使用の場合には、吸収領域ARに排泄された排泄物が拡散可能であるトップシート30に直接的又は間接的に接触する各液透過性シートの少なくともいずれかと重なる領域である。なお、トップシート30に「間接的に」接触する液透過性シートは、他の液透過性シートを介してトップシート30と接触していることを意味する。トップシート30に排泄された排泄物が他の液透過性シート介して、当該液透過性シートにまで拡散可能である。一方で、厚さ方向T(すなわち、吸収性物品1の断面)において、到達範囲の最大範囲は、トップシート30の肌面側T1の表面からバックシート40の肌面側T1の表面までの範囲である。
接触部62の少なくとも一部は、到達範囲の最大範囲内に配置されていればよい。接触部62の少なくとも一部は、排泄物を接触部62へ容易に到達するように、厚さ方向Tにおいて、トップシート30と重なる位置に配置されたり、吸収コア20に重なる位置に配置されたり、股下域S3に配置されたり、着用者の排泄口に当接する排泄口当接部の範囲に配置されてよい。
表示部64の少なくとも一部は、吸収コア20と厚さ方向Tにおいて重ならない。これにより、着用者は、表示部64の少なくとも一部を吸収コア20に遮られずに、表示部64を視認し易くなる。さらに、大部分の排泄物は吸収コア20に吸収されるため、表示部64の少なくとも一部が吸収コア20と重ならないことで、表示部64の少なくとも一部が排泄物に接触し難くなる。これにより、表示部64の少なくとも一部が排泄物に覆われ難くなり、着用者は、排泄物の影響を受けずに表示部64を視認し易くなる。以上により、着用者が表示部64を視認し易くなるため、着用者が正確な健康状態を把握し易くすることができる。図2Aでは、表示部64の全てが吸収コア20と厚さ方向Tにおいて重なっていない。
なお、試験紙法が用いられた検査部材60を吸収性物品1が備える場合には、検査部材60のうち指示薬を含む領域の一部が到達範囲に配置されている。指示薬を含む残りの領域である表示部64が吸収コア20と厚さ方向Tにおいて重ならない。到達範囲に配置されている領域から排泄物が浸透して、表示部64が呈色可能である。なお、到達範囲に配置されている領域は、接触部62であると同時に表示部64でもあるため、呈色可能である。従って、この場合には、表示部64の一部が厚さ方向において吸収コア20と重なっている。
一方、イムノクロマト法が用いられた検査部材60を吸収性物品1が備える場合には、抗体を含む標識粒子が配置されている領域へ排泄物(検査対象)を誘導する部分(接触部62の少なくとも一部)が到達範囲に配置されている。検出対象由来の複合体と結合して呈色する別種の抗体(指示薬)が配置されている領域である検出ライン(表示部64)が吸収コア20と厚さ方向Tにおいて重ならない。
図2Aに示すように、検査部材60は、サイドシート50に形成された露出開口52に挿入されていてもよい。これにより、表示部64の少なくとも一部が露出していてもよい。具体的には、表示部64は、サイドシート50よりも非肌面側T2に位置する非露出部642とサイドシート50よりも肌面側T1に位置する露出部644とを有してよい。非露出部642は、サイドシート50を介して間接的に視認できてよい。露出部644は、直接的に視認できる。
イムノクロマト法が用いられた検査部材60において、露出部644は、表示部64の少なくとも一部である検出ラインを有してよい。これにより、着用者は、表示部64を直接視認できるため、健康状態を手軽に確認することができる。また、露出部644は、検出ラインを含まずに、コントロールラインを有してよい。これにより、着用者は、露出部644を視認することで、検査が適切に行われたことを手軽に確認することができる。
なお、ウイング14にトップシート30が配置されていた場合、「サイドシート50」が「トップシート30」に置き換えられてもよい。
表示部64の少なくとも一部は、厚さ方向Tにおいて一対のウイング14の一方に配置されてよい。図2Bに示すように、ウイング14は、着用物品100(例えば、下着)に装着された状態において着用物品100の非肌面側T2に固定されるため、肌面側T1から排泄される排泄物は、ウイング14に付着し難い。これにより、表示部64の少なくとも一部が排泄物に覆われ難くなり、着用者は、排泄物の影響を受けずに表示部64を視認し易くなる。
また、ウイング14は、着用物品100の非肌面側T2に固定されるため、着用者が吸収性物品1を着用した際に、厚さ方向Tにおいて表示部64の少なくとも一部と着用者の肌との間には着用物品100が存在する。このため、吸収性物品1の着用時において、表示部64の少なくとも一部が、着用者の肌に触れ難くなる。表示部64に含まれる指示薬が肌にダメージを与え得るものであっても、着用者の安全性を高めることができる。
検査部材60は、吸収コア20、トップシート30、バックシート40、サイドシート50の少なくともいずれかに固定(接合)されてよい。検査部材60は、例えば、吸収性物品1の資材どうしを接合するための接着剤(例えば、ホットメルト型接着剤(HMA))により固定されてよい。検査部材60は、接触部62及び表示部64の少なくとも一方が固定されてよい。検査部材60は、接触部62の少なくとも一部が固定されてよく、表示部64の少なくとも一部が固定されてよい。検査部材60は、接触部62と表示部64と以外の部分が固定されてよい。例えば、検査部材60は、接触部62及び表示部64以外の部分の少なくとも一部により構成される固定部を有してよい。固定部上に塗布された接着剤により、固定されてよい。検査部材60を固定することにより、接触部62が到達範囲の外側へ移動することを抑制できる。
粘着部70は、吸収性物品1を着用物品100に止めるための粘着剤が設けられた領域である。粘着部70は、バックシート40の非肌面側T2上に配置され、かつ着用物品(例えば、下着)100に吸収性物品1を固定するためのものである。
粘着部70は、中央粘着部72とサイド粘着部74とを有してよい。図2Aに示すように、中央粘着部72は、本体部12におけるバックシート40の非肌面側T2上に配置される。中央粘着部72は、本体部12を着用物品100に止める粘着剤を有する。サイド粘着部74は、ウイング14におけるバックシート40の非肌面側T2上に配置される。サイド粘着部74は、ウイング14を着用物品100に止める粘着剤を有する。
着用者は、図3A及び図3Bに示すように、ウイング14を着用物品100から外すことにより、着用物品100を脚にかけた状態で、表示部64を視認可能であってよい。これにより、着用者は、手軽に健康状態を確認することができる。
サイド粘着部74の接着強度は、検査部材60を固定する接着剤の接合強度よりも小さくてよい。これにより、着用者が、表示部64の露出部644を把持して、図3Aに示すように、当該露出部644を引っ張ることにより、バックシート40を着用物品100から外せてもよい。着用者は、ウイング14を着用物品100から手軽に外すことができる。
サイド粘着部74の接着強度は、サイドシート50を固定する接着剤の接合強度よりも大きくてよい。これにより、着用者が、表示部64の露出部644を把持して、図3Bに示すように、当該露出部644を引っ張ることにより、トップシート30及び検査部材60をバックシート40から外せてもよい。これにより、着用者は、露出部644だけでなく、非露出部642も直接視認可能となるため、健康状態を手軽に確認することができる。
(3)変更例
次に、実施形態に係る吸収性物品1の各変更例について、図4から図8を用いて説明する。図4は、実施形態に係る各変更例を説明するための図である。具体的には、図4Aは、実施形態に係る変更例(その1)を説明するための断面図である。図4Bは、実施形態に係る変更例(その2)を説明するための図である。図4Cは、実施形態に係る変更例(その3)を説明するための図である。図5は、実施形態に係る各変更例を説明するための断面図である。具体的には、図5Aは、実施形態に係る変更例(その4)を説明するための断面図である。図5Bは、実施形態に係る変更例(その5)を説明するための断面図である。図6は、実施形態に係る変更例を説明するための図である。具体的には、図6Aは、実施形態に係る変更例(その6)を説明するための断面図である。図6Bは、図6Aに示すB-B線に沿った拡大断面図である。図7は、実施形態に係る各変更例を説明するための図である。具体的には、図7Aは、実施形態に係る変更例(その7)における吸収性物品1を肌面側から見た平面図である。図7Bは、実施形態に係る変更例(その8)における吸収性物品1を肌面側から見た平面図である。図7Cは、実施形態に係る変更例(その9)における吸収性物品1を肌面側から見た平面図である。図7Dは、実施形態に係る変更例(その10)における吸収性物品1を肌面側から見た平面図である。図8は、実施形態に係る各変更例を説明するための図である。具体的には、図8Aは、実施形態に係る変更例(その11)における吸収性物品1を肌面側から見た平面図である。図8Bは、実施形態に係る変更例(その12)における吸収性物品1を肌面側から見た平面図である。
なお、上述の実施形態と同様の部分は説明を省略する。
図4Aに示すように、接触部62は、吸収コア20よりも肌面側T1に配置されてもよい。従って、接触部62は、吸収コア20の肌面側T1の表面と接触してもよい。接触部62は、吸収コア20とトップシート30との間に配置されてよい。これにより、吸収コア20に遮られずに、排泄物が容易に接触部62へ接触し易くなる。
図4Bに示すように、接触部62は、厚さ方向Tにおいて吸収コア20の間に配置されてよい。接触部62は、吸収コア20の幅方向Wの側面から挿入されることにより、吸収コア20の間に配置されてよい。吸収コア20は、吸収コア20の側面に接触部62(検査部材60)を挿入するための開口が設けられてよい。或いは、接触部62は、厚さ方向Tに重ねられている2つの吸収コア20の間に挟まれることにより、吸収コア20の間に配置されてよい。吸収コア20が吸収した排泄物が吸収コア20内を拡散することにより、排泄物が容易に接触部62へ接触し易くなる。
図4Cに示すように、接触部62は、吸収コア20の側面に接触してもよい。接触部62は、接触部62は、吸収コア20の幅方向Wの側面にまで拡散した排泄物と接触してもよい。これにより、排泄物が容易に接触部62へ接触し易くなる。なお、図4Cに示すように、接触部62は、排泄物の到達範囲に配置されていれば、接触部62は、厚さ方向Tにおいて吸収コア20と重ならなくもよい。
図5Aに示すように、吸収性物品1は、排泄物を接触部62の少なくとも一部へ誘導する誘導部22を有してよい。誘導部22は、周囲よりも液体(排泄物)を引き込み易い領域であってよい。排泄物は、誘導部22により、接触部62の少なくとも一部へ誘導されるため、より多くの排泄物を接触部62に接触させることができる。これにより、指示薬が多くの検出対象に基づいて呈色可能となり、検査精度を向上できる。
具体的には、吸収コア20には、誘導部22として低目付部221を有してよい。低目付部221の吸収材料の目付は、周囲の吸収材料の目付よりも低い。従って、低目付部221では、周囲よりも排泄物が拡散しやすい。低目付部221は、厚さ方向において吸収コア20の肌面から非肌面側まで延びてよい。低目付部221の目付は、0より大きい値であってよい。或いは、低目付部221の目付は、0であってよい。すなわち、低目付部221は、厚さ方向Tにおいて吸収コア20を貫通する開孔であってよい。吸収コア20は、厚さ方向において吸収コア20を貫通する開孔を有してよい。
図5Aに示すように、吸収コア20よりも非肌面側T2に配置されている接触部62の少なくとも一部は、厚さ方向Tにおいて低目付部221(例えば、開孔)と重なってよい。これにより、開孔を通じて排泄物が接触部62へより到達し易くなる。指示薬が多くの検出対象に基づいて呈色可能となり、検査精度を向上できる。
図5Bに示すように、吸収コア20よりも非肌面側T2に配置されている接触部62は、厚さ方向Tにおいて低目付部221(例えば、開孔)と重ならなくてよい。従って、厚さ方向Tの平面視において、接触部62は、開孔から離れた位置に配置されてよい。排泄物は、吸収コア20の吸収部材を構成する繊維の隙間を通り抜けるよりも、開孔を通ることで、接触部62が配置されている吸収コア20の非肌面側T2へ到達し易くなる。非肌面側T2へ到達した排泄物は、拡散により接触部62にまで到達することができる。このため、接触部62へ到達するまでの時間を短縮でき、多くの排泄物が接触部62へ到達可能となる。これにより、検査精度を向上できる。また、接触部62が指示薬を含んでいる場合、接触部62に到達した排泄物に指示薬が溶解することがある。しかしながら、接触部62が厚さ方向Tにおいて開孔と重ならないため、排泄物が開孔を通じて吸収コア20の非肌面側T2へ到達し難くなる。このため、指示薬が肌へ刺激を与え得るものであっても、指示薬を含む排泄物がトップシート30の非肌面側T2にまで到達し難くなり、着用者の安全性を高めることができる。
図6A及び図6Bに示すように、トップシート30は、断面が波状になるように曲げられることによって形成された、並列に配置されている複数の突状部32と、隣接する突状部の間に配置されている(複数の)底部34とを有してもよい。底部34は、厚さ方向Tにおいて吸収コア20と重なる領域から、厚さ方向Tにおいて接触部62と重なる領域まで延びてよい。吸収領域ARに排泄された排泄物Eは、突状部32に排泄された場合であっても、底部34へ流れ落ちる。このため、排泄物Eが、底部34に集まり、底部34を経路として、厚さ方向Tにおいて接触部62と重なる位置にまで到達し易くなる。このように、接触部62が、吸収コア20と接触していない場合であっても、誘導部22としての底部34により排泄物Eが接触部62へ誘導されることにより、接触部62の少なくとも一部が、排泄物Eの到達範囲へ配置されてよい。従って、図6Bに示すように、接触部62は、吸収コア20から離れて配置されていてもよい。
図7Aに示すように、厚さ方向Tの平面視において、表示部64の少なくとも一部は、吸収コア20の前後方向Lの外端縁から延出してよい。従って、表示部64の少なくとも一部は、フラップ部80に配置されてよい。フラップ80部は、吸収コア20の外端縁から吸収性物品1の外側縁までの部分である。フラップ80部は、前側域S1におけるフラップ部である前側フラップ部81と、後側域S2におけるフラップ部である後側フラップ部82と、を有してよい。
排泄物は、吸収性物品1の前後方向Lの端部側よりも中央側に排泄され易いため、吸収コア20の前後方向Lの外端縁を超えて拡散し難い。表示部64の少なくとも一部は、吸収コア20の前後方向Lの外端縁から延出しているため、排泄物に覆われ難く、着用者は、排泄物の影響を受けずに表示部64を視認し易くなる。
図7Aに示すように、表示部64の少なくとも一部は、前側域S1において、吸収コア20の前後方向Lの外端縁から延出してよい。従って、表示部64の少なくとも一部は、前側フラップ部81に配置されてよい。吸収性物品1を膝付近にまで下げた状態において、前側フラップ部81は、視認し易い位置にある。このため、着用者は、吸収性物品1を身体から完全に離さなくても、表示部64を簡単に視認することが可能である。
また、前側域S1には、後側域S2と比較して、尿が到達し易いため、図7Aに示すように、尿に含まれる対象成分を検出対象とする検査部材60を少なくとも前側域S1に配置して、接触部62の少なくとも一部を前側域S1に配置することができる。これにより、より多くの排泄物を接触部62に接触させることができる。指示薬が多くの検出対象に基づいて呈色可能となり、検査精度を向上できる。
図7Bに示すように、後側域S2には、前側域S1と比較して、大便が到達し易いため、図7Bに示すように、大便に含まれる対象成分を検出対象とする検査部材60を少なくとも後側域S2に配置して、接触部62の少なくとも一部を後側域S2に配置することができる。これにより、より多くの排泄物を接触部62に接触させることができる。指示薬が多くの検出対象に基づいて呈色可能となり、検査精度を向上できる。
図7A及び図7Bに示すように、検査部材60は、トップシート30よりも非肌面側T2に配置されてよい。検査部材60が着用者の肌に直接触れることを抑制できる。これにより、着用者の肌に検査部材60が直接当たることによる着用時の違和感を抑制できる。さらに、指示薬が肌へ刺激を与え得るものであっても、着用者の肌に指示薬が触れ難くなり、着用者の安全性を高めることができる。
なお、トップシート30は、透明性を有してよい。これにより、着用者は、トップシート30を介して検査部材60の呈色を視認可能であってよい。また、着用者は、上述のように、トップシート30(及び/又はサイドシート50)をバックシート40から剥離することによって、検査部材60の呈色を視認可能であってよい。
トップシート30の透明性は、不透明度(OP)により特定できる。トップシート30は、0%の不透明度を有する場合、完全に透明である。一方、トップシート30は、100%の不透明度を有する場合、透明性を有さない、すなわち、トップシート30は、光を通さない。従って、トップシート30の不透明度は、100%未満である。表示部64の色をより正確に視認するために、トップシート30の不透明度は、50%以下であってよい。トップシート30の不透明度は、表示部64の色をさらに正確に視認するために、8.5%以下であってよい。
なお、不透明度を決定するためには、分光比色計(dispersion colorimeter)を使用してもよい。例えば、分光比色計(dispersion colorimeter)は、ビックガードナー社(BYK-Gardner GmbH)(ドイツ、ゲレツリート(Geretsried))から商標名「ビックガードナーカラーガイド(BYK-Gardner Color-Guide)45/0」(カタログ番号6800)の下で入手できる。光源「A」を用いて2°(度)の視角で測定を実施できる。この分光比色計(dispersion colorimeter)は、発光体A用の光源(即ち、約3000Kの相関色温度を有する白熱灯に近いもの)、平らなテーブル、白色標準プレート、標準黒色プレート、マルチセル型光検出器ダイオードアレイを備える光検出器、及びコンピュータを備える。白色及び黒色標準プレートは、同社からそれぞれカタログ番号6811及び6810の下で入手できる。
測定する際、白色標準プレートを平らなテーブル上に配置する。サンプル材料を平らな状態で白色標準プレートに載せる。入射角が45°の光源でサンプル材料を照射する。サンプル材料から反射した反射光を光検出器により0°の受光角で受光する。反射光の反射率(Yw)を光検出器によって検出する。同様に、黒色標準プレートを平らなテーブル上に配置した後、サンプル材料を平らな状態で黒色標準プレート上に置く。入射角が45°の光源でサンプル材料を照射する。サンプル材料から反射した反射光を光検出器により0°の受光角で受光する。反射光の反射率(Yb)を光検出器によって検出する。
不透明度(OP)を次式により求めることができる。
OP(%)=(Yb/Yw)×100
このプロセスを1つのサンプルシート材料につき少なくとも5回繰り返し、測定した不透明度(OP)の平均値を計算し、比色計で記録する。測定した不透明度の平均値は、シート材料の不透明度と呼ばれる。
なお、トップシート30は、不織布(例えば、SMS(スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド))の表面の一部の所定領域に亘って、加熱しながら、厚さ方向Tにトップシート30を圧縮する熱圧縮処理が施されてよい。これにより、トップシート30には、高密度部が形成されてよい。高密度部を形成する圧縮処理は、トップシート30(不織布)にカレンダー処理やエンボス処理等の公知の加圧加工を施すことによって行われる。高密度部では、不織布表面の繊維が押し固められることによって、高密度部が形成されていない領域と比較して、表面の微細な凹凸が減少し、平滑な状態となっている。このような熱圧縮処理により、トップシート30は、透明性を有してもよい。
なお、トップシート30を例に挙げて説明したが、厚さ方向Tにおいて、表示部64がサイドシート50に重なる場合には、トップシート30と同様に、サイドシート50が透明性を有してよい。
図7Cに示すように、厚さ方向Tの平面視において、表示部64の少なくとも一部は、吸収性物品本体10の外端縁10eから延出してもよい。この場合、吸収性物品本体10の外端縁10eから延出している部分が露出部644に対応する。吸収性物品本体10の外端縁10eから表示部64の少なくとも一部が延出しているため、表示部64の少なくとも一部は、排泄物が拡散できない位置に配置されている。これにより、表示部64の少なくとも一部が排泄物に覆われることを抑制できる。また、吸収性物品本体10の外端縁10eから表示部64の少なくとも一部が延出しているため、着用者は、表示部64を直接視認することができる。従って、着用者が正確な健康状態を把握し易くすることができる。
図7Cに示すように、前側域S1において、表示部64の少なくとも一部は、吸収性物品本体10の外端縁10eから延出してよい。吸収性物品1を膝付近にまで下げた状態において、着用者は、表示部64(露出部644)を視認することができる。着用者は、呈色の有無を容易に確認することができる。また、表示部64の少なくとも一部が吸収性物品本体10内に配置されていないため、排泄物に接触し難くなる。これにより、表示部の少なくとも一部が排泄物に覆われ難くなり、着用者は、排泄物の影響を受けずに表示部を視認し易くなる。
図7Dに示すように、中央域S3において、表示部64の少なくとも一部は、吸収性物品本体10の外端縁10eから延出してよい。表示部64の少なくとも一部は、ウイング14の外側縁から延出してよい。ウイング14は、着用物品100の非肌面側T2に固定されるため、肌面側から排泄される排泄物は、ウイング14に付着し難い。これにより、表示部64の少なくとも一部が排泄物に覆われ難くなり、着用者は、排泄物の影響を受けずに表示部を視認し易くなる。さらに、ウイング14は、着用物品100の非肌面側T2に固定されるため、露出部644が存在しても、露出部644が着用者の肌に触れ難くなる。露出部644に含まれる指示薬が肌にダメージを与え得るものであっても、着用者の安全性を高めることができる。
なお、前側域S1又は中央域S3だけでなく、後側域S2において、表示部64の少なくとも一部は、吸収性物品本体10の外端縁10eから延出してよい。
図8Aに示すように、吸収性物品1は、検出対象が互いに異なる複数の検査部材60有してよい。複数の検査部材60それぞれが有する表示部64は、厚さ方向Tにおいて互いに異なる位置に配置されてよい。検出対象が互いに異なる複数の検査部材60を備えるため、1つの吸収性物品1で健康状態を示す複数の項目を確認することができる。複数の検査部材60それぞれが有する表示部64が厚さ方向Tにおいて互いに異なる位置に配置されているため、着用者が、各表示部64を視認し易くなり、一部の表示部64を見落とすことを抑制できる。
例えば、複数の検査部材60は、第1検査部材60Aと、第2検査部材60Bとを有してよい。第1検査部材60Aの表示部64Aは、一方のウイング14Aに配置されてよく、第2検査部材60Bの表示部64Bは、他方のウイング14Bに配置されてよい。
図8Bに示すように、第1検査部材60Aの表示部64Aは、前側域S1に配置されてよい。従って、表示部64Aの少なくとも一部は、前側フラップ部81に配置されてよい。また、第2検査部材60Bの表示部64Bは、後側域S2に配置されてよい。従って、表示部64Bの少なくとも一部は、後側フラップ部82に配置されてよい。第1検査部材60Aは、尿に含まれる対象成分を検出対象とする検査部材60であってよい。第2検査部材60Bは、大便に含まれる対象成分を検出対象とする検査部材60であってよい。このように、検出対象を含む排泄物が排泄されやすい領域へ、当該検出対象に基づいて呈色する指示薬を含む検出部材を配置することで、複数の健康状態が表示される場合であっても、着用者は、健康状態を把握し易くなる。
(4)その他実施形態
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
上述の実施形態において、バックシート40は、透明性を有してもよい。バックシート40は、上述のトップシート30と同様の透明性を有してよい。これにより、着用者は、バックシート40側からバックシート40を介して検査部材60の呈色を視認可能であってよい。
上述の実施形態において、表示部64が露出しており、接触部62が露出していなかったが、これに限られない。接触部62が露出してもよい。接触部62と表示部64とが異なる場合(例えば、イムノクロマト法を用いた検査部材60)において、吸収領域ARにおいて、接触部62の少なくとも一部がトップシート30よりも肌面側T1に配置されてもよい。イムノクロマト法を用いた検査部材60では、接触部62は、指示薬を含まない。このため、接触部62が着用者の肌に触れたとしても、着用者の肌にダメージを与える虞がない。さらに、接触部62へ排泄物Eを直接接触可能であるため、指示薬が多くの検出対象に基づいて呈色可能となり、検査精度を向上できる。また、表示部64の少なくとも一部は、トップシート30(及び/又はサイドシート50)よりも非肌面側T2に配置されてもよい。これにより、表示部64に含まれる指示薬が肌に直接触れることを抑制できるため、着用者の安全性を高めることができる。
一方、接触部62と表示部64とが同じである場合(例えば、試験紙法を用いた検査部材60)において、上述したように、検査部材60がトップシート30よりも非肌面側T2に配置されてよい。これにより、指示薬が肌へ刺激を与え得るものであっても、着用者の肌に指示薬が触れ難くなり、着用者の安全性を高めることができる。
上述の実施形態では、検査部材60は、直線状の板状であった。本実施形態では、検査部材60は、例えば、1以上の折り目を有してよい。従って、検査部材60は、例えば、2つ折り又は3つ折りの形状であってよい。検査部材60は、Z型に折り畳まれた部材により構成されてよい。これにより、検査部材60をコンパクトな状態で、吸収性物品1の内部へ配置することができる。検査部材60の面積が小さくなるため、検査部材60による着用者の肌触りの悪化を抑制し易くすることができる。
また、検査部材60は、接触部62の少なくとも一部が検査部材60以外の他の部材に当接する(すなわち、接触部62の少なくとも一部が他の部材と対向する)ように折られた状態で、配置されてよい。これにより、検査部材60が折られていても、接触部62に排泄物を到達し易くすることができる。
また、検査部材60は、表示部64の少なくとも一部が検査部材60以外の他の部材に当接する(すなわち、表示部64の少なくとも一部が他の部材と対向する)ように折られた状態で、配置されてよい。これにより、検査部材60が折られていても、着用者は、表示部64を視認し易くすることができる。
なお、着用者は、表示部64の呈色を示す呈色情報(画像情報及び/又は映像情報)をネットワーク(管理サーバ)へ送ることで、検査情報を取得してもよい。例えば、着用者は、露出した表示部64を、例えば、着用者(ユーザ)が所有する通信装置に内蔵されたカメラにより撮影することで呈色情報を取得してもよい。着用者は、呈色情報を通信装置を介して管理サーバへ送ることができる。着用者は、呈色情報と共に着用者の情報を示すユーザ情報を送ってもよい。ユーザ情報は、例えば、ユーザの識別子、通信装置の識別子、排泄物の種類を示す情報、吸収性物品1(検査部材60)の種類を示す情報、検出対象を特定する情報などの少なくともいずれかである。
また、着用者は、検査部材60を含む吸収性物品1又は検査部材60そのものを、指示薬による呈色反応を検知可能である収容装置へ収容してよい。収容装置は、呈色反応を検知するために、可視光を表示部64へ照射してよい。収容装置は、可視光と異なる特殊な波長を有する特殊光(例えば、可視光よりも短い波長を有する紫外線)を照射することで指示薬による呈色を確認できる検査部材60に対して、当該特殊な波長を有する光を表示部64へ照射してよい。収容装置は、収容装置内において、可視光又は特殊光を照射しながら撮影することで呈色情報を取得してもよい。このように、収容装置内で、光を照射しながら表示部64を撮影することで、周囲の環境の影響を受けずに、正確に呈色を確認することができる。
収容装置は、表示部64を撮影することにより取得した呈色情報をネットワーク(管理サーバ)へ送ってもよい。この場合、収容装置は、ユーザ情報として、収容装置の識別子を含めてもよい。また、収容装置は、取得した呈色情報を着用者が所有する通信装置へ送ってもよい。着用者は、表示部64を通信装置へ表示することによって、呈色の有無を判定してもよい。これにより、着用者は、より正確に健康状態を確認できる。なお、着用者は、上述と同様に、収容装置から取得した呈色情報を通信装置を介してネットワークへ送ってもよい。
管理サーバは、呈色情報(及びユーザ情報)に基づいて、着用者(ユーザ)の健康状態を判定することができる。管理サーバは、判定結果を示す情報を呈色情報の送信元である通信装置へ送信してもよい。管理サーバは、判定結果を示す判定情報と共に、判定結果に基づくアドバイスを示すアドバイス情報を当該通信装置へ送信してもよい。管理サーバは、収容装置から呈色情報を受け取った場合であっても、収容装置の識別子と関連付けられている通信装置の識別子(ユーザの識別子)に基づいて、関連付けられている通信装置(すなわち、ユーザが所有する通信装置)へ判定情報(及びアドバイス情報)を送信してもよい。
通信装置は、通信装置により受信した判定情報に基づいて、判定結果を表示してよい。これにより、着用者は、表示された判定結果によって健康状態を把握することができる。着用者は、着用者自身の判定によるものではなく、客観的な判定結果を取得できる。また、通信装置は、アドバイス情報を受信した場合には、アドバイスを表示してよい。これにより、着用者は、アドバイスを把握することができる。
通信装置は、上述した各種の処理を実行するためのプログラムを有する。通信装置は、プログラムを記憶するメモリ及びメモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサを有する。プログラムは、ネットワーク(例えば、管理サーバ)から取得可能であってよい。
上述の実施の形態では、吸収性物品1は、生理用ナプキンであったが、これに限られない。吸収性物品1は、例えば、テープ型又はパンツ型の使い捨ておむつであってよい。
上述の実施形態において、中央域S3は、着用者の脚回りに配置される脚回り開口部が設けられた領域であってよい。脚回り開口部は、幅方向の内側に向かうにつれ、吸収性物品の外側縁から幅方向の内側に凹む部分である。或いは、吸収性物品1が、吸収コアを含む場合、中央域S3は、幅方向の内側に向かうにつれ、吸収コアの外側縁から幅方向の内側に凹む部分が設けられる領域であってよい。或いは、中央域S3は、周囲の吸収コアよりも厚い領域である中高部が配置されている領域であってよい。或いは、吸収性物品1は、例えば、吸収性物品1を前後方向Lに3等分に分けるように、前側域S1、後側域S2、中央域S3を有してよい。
上述において説明した各実施形態及び各変更例は、適宜組み合わされてよいことは勿論である。