JP7063309B2 - 溶融金属の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ノズルの浸漬位置を変更しながら溶融金属を連続鋳造する溶融金属の連続鋳造方法に関する。
溶融金属の連続鋳造では、タンディッシュから鋳型へと溶鋼を注入する際に、溶鋼の酸化防止およびスプラッシュ等の発生抑制のために浸漬ノズルが使用される。浸漬ノズルは、一般的にタンディッシュの底壁に垂直に取り付けられ、浸漬ノズルの先端に設けられた吐出孔が鋳型内の未凝固の溶鋼に完全に浸漬されて使用される。
浸漬ノズルを用いて行われる溶融金属の連続鋳造では、コストダウンのために多連鋳操業が行なわれている。この多連鋳操業が進むにつれて、浸漬ノズル1本あたりの使用時間を延ばし、浸漬ノズルの使用原単位の削減、ノズル交換頻度削減によるロスタイム削減や廃片量削減が試みられてきた。
特許文献1には、耐火物の溶損が激しくなるモールドフラックスと溶融金属との界面の耐用性を向上させるためにジルコニア・黒鉛質耐火物が施工させた浸漬ノズルが開示されている。また、特許文献2には、浸漬ノズルとモールドフラックスとの接触を防止して溶損を軽減させる円柱状の遮蔽部材をモールドフラックスと溶融金属との界面付近に設けた溶損防止装置が開示されている。特許文献2によれば、当該遮蔽部材を用いることで、浸漬ノズル1本あたりの最大鋳造可能量を1500tから3000tに倍増できるとしている。
鋳型内の湯面変動による溶融状態のモールドフラックスの分布や溶融金属からの熱供給分布により、浸漬ノズルに施工された耐火物はモールドフラックスと溶融金属との界面から広がるように溶損する。このため、浸漬ノズルの浸漬位置を変えることで溶損範囲を拡大させ、これにより溶損深さを浅くして浸漬ノズル1本あたりの使用時間を延ばすという操業が行われている。特許文献3、4には、スラグラインが同一箇所とならないように連続鋳造中に浸漬ノズルの浸漬位置を変える浸漬ノズルの浸漬深さ変更方法が開示されている。特許文献3、4によれば、連続鋳造中に浸漬ノズルの浸漬位置を変えることで、浸漬ノズルが同一箇所で溶損することを防ぎ、これにより、浸漬ノズルの長寿命化が図れるとしている。
特開2002-338347号公報 特開平5-318058号公報 特開2012-20293号公報 特開2012-20294号公報
しかしながら、特許文献3、4には、最大浸漬ノズル溶損可能量÷溶損速度から浸漬ノズル使用可能時間を算出し、当該使用可能時間が経過する前に浸漬ノズルの浸漬位置を変えることが開示されているだけであり、浸漬ノズルの長寿命化という観点ではさらなる改善の余地がある。浸漬ノズルのさらなる長寿命化には、浸漬位置を変えて鋳造が実施された後の浸漬ノズルに施工された耐火物の累積溶損形状を予測し、当該累積溶損形状が最適な形状になるように各浸漬位置における浸漬時間を定めることが有効である。本発明は、このような従来技術の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、鋳型内の溶融金属に浸漬させるノズルに施工された耐火物の累積溶損形状を予測し、耐火物の残厚が予め定められた基準値未満にならないように各浸漬位置におけるノズルの浸漬時間を定められる溶融金属の連続鋳造方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1]タンディッシュの底壁面に取り付けられ、周囲に耐火物が施工されたノズルを鋳型内の溶融金属に浸漬させ、前記ノズルの浸漬位置を変更しつつ溶融金属を鋳造する溶融金属の連続鋳造方法であって、前記溶融金属の上面はモールドフラックスで覆われており、各浸漬位置において予測された溶損形状をそれぞれ加算することで累積溶損形状を算出するとともに、前記累積溶損形状における前記耐火物の残厚が、予め定められた基準値未満にならないように前記各浸漬位置における前記ノズルの浸漬時間を定める、溶融金属の連続鋳造方法。
[2]前記溶融金属と前記モールドフラックスとの境界面と溶損面との角度が溶融金属側よりモールドフラックス側の方が大きくなるように前記各浸漬位置の溶損形状を予測する、[1]に記載の溶融金属の連続鋳造方法。
[3]前記ノズルの浸漬時間と、前記ノズルの浸漬位置と、前記鋳型の長辺幅とから前記各浸漬位置の溶損形状を予測する、[1]または[2]に記載の溶融金属の連続鋳造方法。
[4]前記鋳型の長辺幅が長くなるに従って溶損形状における前記溶融金属側の溶損面と前記モールドフラックス側の溶損面との角度が小さくなり、前記鋳型の長辺幅が短くなるに従って前記溶融金属側の溶損面と前記モールドフラックス側の溶損面との角度が大きくなるように各浸漬位置の溶損形状を予測する、[3]に記載の溶融金属の連続鋳造方法。
[5]下記(1)式を用いて、各浸漬位置における溶損形状を予測する、[1]から[4]の何れか1つに記載の溶融金属の連続鋳造方法。
y=T×V×exp{-(x)/A}・・・(1)
上記(1)式において、xは、鋳造開始時の前記溶融金属と前記モールドフラックスとの境界面を原点とし、鉛直上向きを正とする前記ノズルの軸線方向の位置(mm)であり、
yは、位置xにおける前記ノズルの中心方向を正とする前記ノズルの溶損量(mm)であり、Tは、ノズルの浸漬時間(min)であり、Vは、前記溶融金属と前記モールドフラックスとの境界位置における溶損速度(mm/min)であり、Aは下記(2)式および下記(3)式で算出される値である。
A(溶融金属側)=B-C×Ln(D-G)・・・(2)
A(モールドフラックス側)=E-F×Ln(D-G)・・・(3)
B、C、E、F、Gは、鋳造条件ごとに予め定められる定数であり、Dは、鋳型長辺幅(mm)である。
[6]前記ノズルの浸漬位置の変更距離は5mm以上15mm以下である、[1]から[5]の何れか1つに記載の溶融金属の連続鋳造方法。
本発明に係る溶融金属の連続鋳造方法では、鋳型に浸漬させるノズルに施工された耐火物の累積溶損形状を予測しながら各浸漬位置の浸漬時間を定めることができる。これにより、ノズルに施工された耐火物の残厚が予め定められた基準値未満にならないように各溶損位置におけるノズルの浸漬時間を定めることができ、溶融金属の連続鋳造に用いられるノズルのさらなる長寿命化が可能になる。
本実施形態に係る溶融金属の連続鋳造方法が適用できる垂直曲げ型の連続鋳造装置10の鋳型近傍の構成を示す断面模式図である。 浸漬位置を一定にした条件で、1チャージの連続鋳造を行った後のノズル14の溶損形状の一例を示す断面写真である。 図2に示した実績溶損形状と、予測溶損形状とを示すグラフである。 (2)式および(3)式の定数B、Cを算出する方法を説明するグラフである。 各連続鋳造条件で1チャージの連続鋳造を行った後の溶損形状の実績と(1)式を用いて予測された溶損形状とを示したグラフである。 ノズル14の浸漬位置を変更して連続鋳造を行った後におけるノズル耐火物の累積溶損形状の算出方法を説明するグラフである。 連続鋳造計画の一例を示すグラフである。 溶融金属の連続鋳造時に表示部39に表示される画像の一例を示す図である。 厚さ30mmの耐火物が施工されたノズル14の耐火物の残厚が10mm未満にならないように各浸漬位置の浸漬時間を設定した累積溶損形状を示すグラフである。 鋳型の長辺幅を1000mm→900mm→800mmに変更しながら溶融金属を連続鋳造した場合における累積溶損形状を示すグラフである。 鋳型の長辺幅を1000mm→1300mm→1600mmに変更しながら鋳造した場合における累積溶損形状を示すグラフである。 発明例1のAストランドで使用されたノズルにおける実際の溶損ピークの溶損量と、発明例1のAストランドの連続鋳造条件と(1)式とを用いて予測された各溶損位置の溶損形状を加算して算出した累積溶損形状とを示すグラフである。 実際の溶損ピークの溶損量と、溶損ピークの予測量との関係を示すグラフである。 図13に示した結果を、溶損量誤差のヒストグラムで示したグラフである。
以下、本発明を本発明の実施形態を通じて説明する。図1は、本実施形態に係る溶融金属の連続鋳造方法が適用できる垂直曲げ型の連続鋳造装置10の鋳型近傍の構成を示す断面模式図である。連続鋳造装置10は、タンディッシュ12と、ノズル14と、鋳型20と、制御装置30と、タンディッシュ位置決め装置32と、鋳型位置決め装置34と、を有する。鋳型20の下方には、一般的な連続鋳造装置と同様に、フットロール、ガイドロール、ピンチロールおよび二次冷却装置等が設けられるが、図1では、図示を省略している。
タンディッシュ12は、取鍋(不図示)から供給される溶融金属22を収容する。タンディッシュ12の底壁には、底壁面に垂直となるように円筒形状のノズル14が取り付けられている。ノズル14の先端部には、鋳型20の長手方向を向いた一対の吐出孔16が設けられ、ノズル14の周囲には、耐火物から構成されるスラグライン材質部18(以後、「ノズル耐火物」と記載する)が設けられている。
鋳型20内の溶融金属22の上面は、モールドフラックス24に覆われている。当該モールドフラックス24に覆われた溶融金属22にノズル14を浸漬させた状態で、タンディッシュ12に収容された溶融金属22は、吐出孔16を通じて鋳型20内に注入される。鋳型20に注入された溶融金属22は、鋳型20によって冷却され、鋳型20と溶融金属との界面の溶融金属が凝固し、凝固シェルが形成される。
中心部に未凝固の溶融金属22を含む未凝固鋳片は、フットロールやガイドロールによって支持されながら、ピンチロールにより下方に引き抜かれ、鋳型20の下方に設置された二次冷却装置によってさらに冷却されて、未凝固部の溶融金属を含まない鋳片が製造される。
制御装置30は、タンディッシュ位置決め装置32および鋳型位置決め装置34を制御する。制御装置30は、制御部36、格納部37、入力部38および表示部39を備える。制御装置30は、例えば、パソコン等の汎用コンピューターである。制御部36は、例えば、CPU等であって、格納部37に格納されたプログラムやデータを用いてタンディッシュ位置決め装置32および鋳型位置決め装置34の動作を制御する。格納部37は、例えば、更新記録可能なフラッシュメモリ、内蔵あるいはデータ通信端子で接続されたハードディスクやメモリーカード等の情報記録媒体およびその読み書き装置である。格納部37には、本実施形態に係る溶融金属の連続鋳造方法の実施に必要なプログラムや、当該プログラムに使用されるデータ等が予め格納されている。入力部38は、例えば、キーボードやマウスであり、使用者100から連続鋳造条件等の入力を受け付ける。表示部39は、例えば、LCDであり、制御部36によって作成された画像を表示する。
タンディッシュ位置決め装置32は、例えば、ブレーキや油圧シリンダーで構成され、制御部36から制御信号を受けて、タンディッシュ12の上下方向の位置を変更する。タンディッシュ位置決め装置32により、タンディッシュ12の上下方向の位置が変更されることでノズル14の浸漬位置が変更される。ノズル14の浸漬位置の変更は、モールドフラックス24と溶融金属22との境界およびその周辺の溶損範囲が、スラグライン材質部18が設けられた範囲(浸漬量変更可能領域26)内となるように実施される。
鋳型位置決め装置34は、例えば、ブレーキや駆動装置で構成され、制御装置30から制御信号を受けて、鋳型20の長辺幅を変更する。鋳型位置決め装置34は、溶融金属の連続鋳造中および/または連続鋳造後に、鋳型20の長辺幅を変更する。
また、制御部36は、各浸漬位置における溶損形状を予測するとともに、各浸漬位置における溶損形状を加算することで累積溶損形状を算出する。まず、各浸漬位置における溶損形状の予測について説明する。
図2は、浸漬位置を一定にした条件で、1チャージの連続鋳造を行った後のノズル14の溶損形状の一例を示す断面写真である。図2において、破線は溶融金属22とモールドフラックス24との境界面(以後、「境界面」と記載する)の位置を示す。また、図2中、破線の左側が溶融金属22側であり、破線の右側がモールドフラックス24側である。ノズル耐火物の溶損は、施工された耐火物の組成に関わらず、溶融金属22を熱源としてノズル耐火物が溶融状態のモールドフラックス24へ溶解することで生じる。したがって、ノズル14の軸線に平行な面で切断した断面におけるノズル耐火物の溶損形状は、境界面を頂点として溶融金属側およびモールドフラックス側に広がる形状になる。なお、以後の説明において、ノズル耐火物の溶損形状とは、溶損後の耐火物をノズル14の軸線に平行な面で切断した断面における溶損形状を意味する。
また、モールドフラックス24は、湯面変動により大きく上下に揺れる。このため、モールドフラックス側は境界面から溶損が生じない部分までの距離(以後、「溶損幅」と記載する)が長くなる。一方、比重の軽いモールドフラックス24は溶融金属側に入り込みづらく、溶融金属側は湯面変動による上下の揺れが小さくなるので、溶融金属側の溶損幅は短くなる。すなわち、溶損形状における溶融金属22とモールドフラックス24との境界面とモールドフラックス側の溶損面との角度θ1は、当該境界面と溶融金属側の溶損面との角度θ2より大きくなる。このため、溶融金属の連続鋳造方法における各浸漬位置の溶損形状の予測では、溶融金属22とモールドフラックス24との境界面と溶損面との角度が溶融金属側よりモールドフラックス側の方が大きくなるように溶損形状を予測することが好ましい。従来は、溶融金属22とモールドフラックス24との境界面から対称形状として溶損形状が予測されていたので、上述した方法で溶損形状を予測することで、高い精度で溶損形状を予測できる。
また、吐出孔16からの溶鋼流の勢いは距離に比例して減衰するので、鋳型20の長辺幅が短くなると、吐出孔16から注入された溶鋼流の勢いが維持されたまま鋳型20に衝突するので湯面変動が大きくなる。一方、鋳型20の長辺幅が長くなると、勢いが弱まった溶鋼流が鋳型20に衝突するので湯面変動が小さくなる。上述したように、溶損形状における溶損幅はモールドフラックスおよび溶融金属の湯面変動が大きくなると長くなり、湯面変動が小さくなると短くなるので、鋳型20の長辺幅が長くなると溶損幅は短くなり、鋳型20の長辺幅が短くなると溶損幅は長くなる。
すなわち、鋳型20の長辺幅が長くなるに従って溶損形状における溶融金属側の溶損面とモールドフラックス側の溶損面との角度(図2におけるθ1+θ2)が小さくなり、鋳型20の長辺幅が短くなるに従って溶損形状における溶融金属側の溶損面とモールドフラックス側の溶損面との角度が大きくなる。このため、溶融金属の連続鋳造方法における各浸漬位置の溶損形状の予測では、鋳型20の長辺幅が長くなるに従い上記角度(θ1+θ2)を小さくし、鋳型20の長辺幅が短くなるに従い上記角度(θ1+θ2)が大きくなるように溶損形状を予測することが好ましい。これにより、さらに高い精度で溶損形状を予測できる。
図3は、図2に示した実績溶損形状と、予測溶損形状とを示すグラフである。図3において、横軸は、鋳造開始時における溶融金属22とモールドフラックス24との境界面を原点(0)としたノズル耐火物の溶損位置(mm)であり、縦軸は溶損量(mm)である。図3に示した予測溶損形状は、溶損形状における角度θ1がθ2より大きくなること、および、鋳型20の長辺幅が長くなると角度(θ1+θ2)が小さくなり、鋳型20の長辺幅が短くなると角度(θ1+θ2)が大きくなることが反映された下記(1)式を用いて算出した。
y=T×V×exp{-(x)/A}・・・(1)
上記(1)式において、xは、鋳造開始時における溶融金属22とモールドフラックス24との境界面を原点(0)とした鉛直上向きを正とするノズルの軸線方向の位置(mm)であり、yは、位置xにおけるノズルの中心方向を正とする浸漬ノズルの溶損量(mm)であり、Tは、ノズルの浸漬時間(min)であり、Vは、溶融金属とモールドフラックスとの境界位置における溶損速度(mm/min)であり、Aは下記(2)式および下記(3)式で算出される値である。
A(溶融金属側)=B-C×Ln(D-G)・・・(2)
A(モールドフラックス側)=E-F×Ln(D-G)・・・(3)
但し、上記(2)式および(3)式において、B、C、E、F、Gは、連続鋳造条件ごとに予め定められる定数であり、Dは、鋳型長辺幅(mm)である。
上記(2)式の定数B、Cは、以下の手順で算出する。まず、溶融金属22側の実績溶損形状に対して、溶損形状と浸漬時間(T)とから境界面の位置における溶損速度(V)を算出し、上記(1)式でフィッティングを行う。具体的には、溶損量の実績値をLとし、当該Lと予測溶損量との差分をΔLとし、ΔLをLで除したΔL/Lの平均が最も小さくなるフィッティング係数A1を求める。次に、鋳型長辺幅が異なる連続鋳造を複数回実施して実績溶損形状を求め、溶損量の実績値LおよびΔLを用いて同様の操作を行い、異なる鋳型長辺幅における最適なフィッティング係数A2、A3を求める。このA1~A3を、横軸に鋳型長辺幅(mm)をとり、縦軸に最適フィッティング係数をとったグラフにプロットする。
図4は、(2)式の定数B、Cを算出する方法を説明するグラフである。A1~A3をプロットしたグラフが図4(a)であり、このA1~A3のプロットを曲線回帰することで(2)式におけるB、Cを算出できる。(2)式を自然対数の式で表した理由は、湯面の波打ちが鋳型長辺幅に対して非線形の反比例となる関係を示したので、溶損の広がり係数Aも鋳型長辺幅に対して非線形の比例関係であると考えたからである。なお、上記例では、溶融金属側の係数Aを算出する(2)式について説明したが、モールドフラックス側の係数Aである(3)式のE、Fについても図4(b)を用いて、同様に算出できる。また、定数Gは、鋳型長辺幅の最狭幅(図4に示した例では840mm)-ノズル14の吐出孔付近径(図4に示した例では140mm)で算出した値(図4に示した例では700)である。なお、定数B、C、E、F、Gを算出する方法はあくまでも一例であり、他の方法で定数B、C、E、F、Gを算出してもよく、上記算出方法により本発明が限定されるものではない。また、スループット(ノズル吐出量)や鋳型電磁ブレーキの印加強度は湯面変動に影響を及ぼすので、これらの値が変わると溶損の広がりを決める係数Aが変化する。このため、スループットや鋳型電磁ブレーキの印加強度を変数として上記(2)式および上記(3)に含めてもよい。
次に、(1)式を用いて予測したノズル耐火物の溶損形状の妥当性を確認した結果を説明する。図5は、各連続鋳造条件で1チャージの連続鋳造を行った後の溶損形状の実績と(1)式を用いて予測された溶損形状とを示したグラフである。図5(a)~(c)において、横軸は鋳造開始時における溶融金属22とモールドフラックス24との境界面を原点(0)としたノズル耐火物の溶損位置(mm)であり、縦軸は溶損量(mm)である。また、実線は、溶損形状の実績である実績溶損形状を示し、破線は、予測された溶損形状である予測溶損形状を示す。
図5(a)は、鋳型20の長辺幅940mm、ノズル14の浸漬時間を51minとした連続鋳造条件で1チャージの連続鋳造を行った後の実績溶損形状と、予測溶損形状とを示したグラフである。図5(b)は、鋳型長辺幅1130mm、ノズル14の浸漬時間を39minとした連続鋳造条件で1チャージの連続鋳造を行った後の実績溶損形状と、予測溶損形状とを示したグラフである。図5(c)は、鋳型長辺幅1260mm、ノズル14の浸漬時間を45minとした連続鋳造条件で1chの連続鋳造を行った後の実績溶損形状と、予測溶損形状とを示したグラフである。
まず、図5(a)~(c)の実績溶損形状に示されるように、鋳型20の長辺幅が長くなるに従って溶損形状における溶融金属側の溶損面とモールドフラックス側の溶損面との角度が小さくなり、鋳型20の長辺幅が短くなるに従って溶損形状における溶融金属側の溶損面とモールドフラックス側の溶損面との角度が大きくなることがわかる。また、図5(a)~(c)の実績溶損形状および予測溶損形状に示されるように、上記(1)式を用いて予測された予測溶損形状は、種々の長辺幅の鋳型20を用いて連続鋳造が実施された後の実績溶損形状にほぼ一致した。この結果から、(1)式を用いることで、種々の長辺幅の鋳型20を用いて連続鋳造が実施された後のノズル耐火物の溶損形状を高い精度で予測できることが確認された。
次に、浸漬位置を変更して連続鋳造を行った後のノズル耐火物の溶損形状の予測について説明する。本実施形態に係る連続鋳造方法では、ノズル14の各浸漬位置において予測された溶損形状を加算して累積溶損形状を算出する。この累積溶損形状が、ノズル14の浸漬位置を変更して鋳造した後のノズル耐火物の予測溶損形状となる。
図6は、ノズル14の浸漬位置を変更して連続鋳造を行った後におけるノズル耐火物の累積溶損形状の算出方法を説明するグラフである。図6において、横軸は鋳造開始時における溶融金属22とモールドフラックス24との境界面を原点(0)としたノズル14の浸漬位置(mm)であり、また、ノズル耐火物の溶損位置(mm)でもある。縦軸は溶損量(mm)である。
また、図6における曲線40は、浸漬位置が0mmにおいて(1)式を用いて予測された溶損形状を示す。曲線42は、浸漬位置10mmにおける溶損形状を示す。曲線44は浸漬位置20mmにおける溶損形状を示し、曲線46は浸漬位置30mmにおける溶損形状を示し、曲線48は浸漬位置40mmにおける溶損形状を示し、曲線50は浸漬位置50mmにおける溶損形状を示し、曲線52は浸漬位置60mmにおける溶損形状を示す。これらの曲線42~52を加算することで算出された曲線54が累積溶損形状となる。
本実施形態における溶融金属の連続鋳造方法において、制御部36は、上述した方法で累積溶損形状を算出し、当該累積溶損形状におけるノズル耐火物の残厚が、予め定められた基準値未満にならないように各浸漬位置におけるノズル14の浸漬時間を定める。例えば、ノズル耐火物の厚みが30mmであり、ノズル耐火物の残厚の基準値が10mmであり、ノズル14の浸漬位置を0、10、20、30、40、50、60mmに変更する場合には、図6に示した各曲線40~52を加算した曲線54が溶損量20mmを超えないように各浸漬位置における浸漬時間が設定される。このように、各浸漬位置における浸漬時間を設定することで連続鋳造後のノズル耐火物の溶損形状を最適な形状とすることができ、これにより、溶融金属の連続鋳造に用いられるノズル14のさらなる長寿命化が可能になる。
再び、図1を参照し、制御装置30の格納部37には、予め上記(1)式が格納されている。使用者100から連続鋳造条件として、溶損速度、各浸漬位置、定数B~F、鋳型20の長手幅の変更計画およびノズル耐火物の残厚の基準値が入力部38から入力されると、制御部36は、格納部37から上記(1)式を読み出し、当該(1)式と、溶損速度V、定数B~Fおよび耐火物残厚の基準値を用いて、ノズル耐火物の残厚が予め定められた基準値未満にならない累積溶損形状となる各浸漬位置の溶損形状を算出する。制御部36は、各浸漬位置における溶損形状から各浸漬位置における浸漬時間を算出し、当該浸漬時間を用いて連続鋳造計画を作成する。
図7は、連続鋳造計画の一例を示すグラフである。図7において、横軸は時間(min)である。縦軸は浸漬位置(mm)、鋳型長辺幅(mm)である。浸漬位置(mm)は、鋳造開始時におけるノズル14の浸漬位置を0mmとし、浸漬位置が深くなる方向を正とした浸漬位置である。図7に示した例は、制御部36が、浸漬位置0mmの浸漬時間を150min、浸漬位置20mmの浸漬時間を130min、浸漬位置40mmの浸漬時間を110min、浸漬位置60mmの浸漬時間を140minと算出し、鋳型長辺幅を1000mm→900mm→800mmと段階的に変化させる連続鋳造計画である。ノズル14の交換は、各チャージの切り替え時に実施される。このため、ノズル14の交換は、浸漬位置60mmにおける浸漬時間140minを経過する直前のチャージ切り替え時に設定される。図7に示した連続鋳造計画では、ノズル14の交換は、13チャージ終了後に実施される。
制御部36は、連続鋳造計画に基づいてタンディッシュ位置決め装置32を制御して、ノズル14の浸漬位置が所定の位置になるようにタンディッシュ12の位置を変更させる。このようにして、連続鋳造装置10では、制御装置30によりノズル14の浸漬位置が自動で調整される。また、制御部36は、連続鋳造計画に基づいて鋳型位置決め装置34を制御して、鋳型20の長辺幅が所定の幅になるように鋳型の位置を変更させる。このようにして、連続鋳造装置10では、制御装置30により鋳型20の長辺幅が自動で調整される。
次に、溶融金属の連続鋳造時に表示部39に表示される画像について説明する。図8は、溶融金属の連続鋳造時に表示部39に表示される画像の一例を示す図である。図8に示した画像は、ノズル耐火物の施工厚みが30mmであり、ノズル耐火物の残厚の基準値が10mmであり、ノズル14の浸漬位置を0、10、20、30、40、50、60mmに変更して行われる連続鋳造時に表示部39に表示される画像の例である。
また、図8(a)~(d)における横軸は、横軸は鋳造開始時における溶融金属22とモールドフラックス24との境界面を原点(0)としたノズル14の浸漬位置(mm)であり、また、ノズル耐火物の溶損位置(mm)でもある。縦軸は溶損量(mm)である。
図8(a)は、鋳造開始から100min経過後に表示部39に表示される画像例である。図8(a)において、曲線60は、ノズル耐火物の残厚が10mm未満にならないように算出された累積溶損形状である。曲線62は、100min経過後におけるノズル耐火物の予測溶損形状である。
図8(b)は、鋳造開始から200min経過後に表示部39に表示される画像例である。200min経過後では、浸漬位置0mmの溶損がさらに進行し、ノズル耐火物の予測溶損形状である曲線62が大きくなっている。
図8(c)は、鋳造開始から300min経過後に表示部39に表示される画像例である。200min~300minの間に、ノズルの浸漬位置が0mmから10mmに変更される。浸漬位置0mmおよび10mmにおける予測溶損形状が曲線64、曲線66である。曲線62は、これらを加算した累積溶損曲線であり、300min経過後のノズル耐火物の予測溶損形状である。
図8(d)は、鋳造開始から400min経過後に表示部39に表示される画像例を示す。300minから400minの間に、ノズルの浸漬位置が10mmから20mmに変更される。浸漬位置0mm、10mmおよび20mmにおける予測溶損形状が曲線64、曲線66、曲線68である。曲線62は、これらを加算した累積溶損曲線であり、400min経過後のノズル耐火物の予測溶損形状である。
このように、制御部36は、表示部39に耐火物の残厚が10mm未満にならないように算出された累積溶損形状(曲線60)、および、各浸漬位置における溶損形状(曲線64~68)と、これらの溶損形状を加算した累積溶損形状(曲線62)を算出し、表示部39に表示してもよい。これにより、ノズル耐火物の予測溶損形状をリアルタイムに確認しながら溶融金属の連続鋳造を実施できる。さらに、溶融金属の連続鋳造時に何らかの不具合が発生し、所定の浸漬位置における浸漬時間を変更する場合において、表示部39にノズル耐火物の予測溶損形状をリアルタイムに表示することで、使用者100による連続鋳造計画の再設定が容易となる。
次に、ノズル14の浸漬位置の変更距離について説明する。図9は、厚さ30mmの耐火物が施工されたノズル14の耐火物の残厚が10mm未満にならないように各浸漬位置の浸漬時間が設定された累積溶損形状を示すグラフである。図9において、横軸は鋳造開始時における溶融金属22とモールドフラックス24との境界面を原点(0)としたノズルの浸漬位置(mm)であり、また、ノズル耐火物の溶損位置(mm)でもある。縦軸は溶損量(mm)である。各浸漬位置の溶損形状の予測は上記(1)式を用いて行い、累積溶損形状は、耐火物の残厚が10mm未満にならないように設定された浸漬時間後における各浸漬位置の溶損形状をそれぞれ加算して算出した。
図9(a)は、浸漬位置の変更距離を10mmとした場合の累積溶損形状であり、図9(b)は、浸漬位置の変更距離を20mmとした場合の累積溶損形状であり、図9(c)は、浸漬位置の変更距離を30mmとした場合の累積溶損形状である。図9(a)~図9(c)に示すように、浸漬位置の変更距離を10mmにすることで、累積溶損形状におけるピークが平準化され、各浸漬位置における浸漬時間を加算した総浸漬時間は600minとなった。一方、浸漬位置の変更距離を20mm、30mmと長くすることで累積容積形状におけるピークが大きくなり、総浸漬時間は550min、510minと短くなった。また、図9(a)に示すように、浸漬位置の変更距離を10mmとした累積溶損形状にはピークがほとんどなく、このため、浸漬位置の変更距離を10mmより短くしても総浸漬時間にほとんど変化はなかった。
ノズル14の浸漬位置の変更距離は、溶損形状のピークを平準化するという観点ではなるべく短い方が好ましい。しかしながら、ノズル14は、タンディッシュに取り付けられているので、ノズル14の浸漬位置を変更するには、数10tの重量を有するタンディッシュ12の上下方向の位置をブレーキや油圧シリンダーを用いて変更することになる。数10tの重量を有するタンディッシュ12の位置を細かく制御するには、より出力の大きなブレーキや油圧シリンダーが必要になるので、これらの設備コストが上昇する。
このため、ノズル14の浸漬位置の変更距離は10mm程度にすることが好ましい。なお、タンディッシュ12の位置の制御には、±5mm程度の誤差が生じるので、ノズルの浸漬位置の変更距離は、5mm以上15mm以下であることが好ましい。これにより、設備コストの上昇を抑制しつつ、ノズル14の長寿命化が可能になる。
次に、鋳型長辺幅の影響について説明する。上述したように、鋳型の長辺幅が長くなるに従って溶損形状における溶融金属側の溶損面とモールドフラックス側の溶損面との角度が小さくなり、鋳型の長辺幅が短くなるに従って溶融金属側の溶損面とモールドフラックス側の溶損面との角度が大きくなる。図10は、鋳型の長辺幅を1000mm→900mm→800mmに変更しながら溶融金属を連続鋳造した場合における累積溶損形状を示すグラフであり、図11は、鋳型の長辺幅を1000mm→1300mm→1600mmに変更しながら鋳造した場合における累積溶損形状を示すグラフである。図10、図11において、横軸は浸漬位置(mm)であり、縦軸は溶損量(mm)である。これらの累積溶損形状は、いずれも施工厚みが30mmであるノズル耐火物の残厚が10mm未満にならないように各浸漬位置の浸漬時間が設定された累積溶損形状である。
図10、図11に示すように、鋳型20の長辺幅を1000mm→1300mm→1600mmに変更した場合における総浸漬時間が590minであったのに対し、鋳型20の長辺幅を1000mm→900mm→800mmに変更した場合における総浸漬時間は540minであった。この結果から、鋳型長辺幅の溶損形状への影響を考慮しない場合には、溶損が大きくなる条件でノズルの浸漬時間を設定することになるので、ノズルの総浸漬時間を540minより長くできない。これに対し、鋳型長辺幅の溶損形状への影響を考慮する、すなわち、鋳型の長辺幅が長くなるに従って溶損形状における溶融金属側の溶損面とモールドフラックス側の溶損面との角度が小さくなり、鋳型の長辺幅が短くなるに従って溶融金属側の溶損面とモールドフラックス側の溶損面との角度が大きくなるように各浸漬位置の溶損形状を予測することで、図11に示した場合においては、ノズルの総浸漬時間を540minより長い590minに延長できることがわかる。
なお、本実施形態では、制御部36が累積溶損形状を算出し、各浸漬位置における浸漬時間を設定し、連続鋳造計画を作成し、当該連続鋳造計画に基づいてタンディッシュ12の位置および鋳型20の長辺幅を自動で制御する例を示したが、これに限らず、上記の一部または全部を使用者100が実施してもよい。さらに、各浸漬位置における溶損形状を(1)式を用いて算出する例を示したが、これに限らず、浸漬時間を変えたノズル14の実績溶損形状を用いて、各浸漬位置における溶損形状を予測してもよい。
次に、A、Bと称される2ストランドを有するスラブ用の垂直曲げ型連続鋳造装置を用いて連続鋳造を実施した実施例を説明する。本実施例の製造条件を下記表1、2に示し、また、ノズルに施工した耐火物の組成およびモールドフラックスの組成を下記表3に示す。なお、下記表1~3に示した製造条件、耐火物の組成およびモールドフラックスの組成はあくまで一例であり、これらの条件および組成に限定するものではない。
Figure 0007063309000001
Figure 0007063309000002
Figure 0007063309000003
発明例1~5は、浸漬位置を20mm間隔で0mm(鋳造開始)、20mm、40mm、60mmに変更して連続鋳造を行った実施例である。発明例1~5では、下記(1)式を用いて各浸漬位置の溶損形状を予測し、当該溶損形状を加算した累積溶損形状におけるノズル耐火物の残厚が10mm未満にならないように各浸漬位置の浸漬時間を定めた。
y=T×V×exp{-(x)/A}・・・(1)
A(溶融金属側)=469-69×Ln(D-700)
A(モールドフラックス側)=1436-156×Ln(D-700)
比較例1では、累積溶損形状を算出せずに、ノズル耐火物の残厚が10mm未満にならないという条件の下で各浸漬位置における浸漬時間が等しくなるように浸漬時間を設定した。発明例1~5の各浸漬位置における浸漬時間および総浸漬時間および比較例1の各浸漬位置における浸漬時間および総浸漬時間を下記表4に示す。
Figure 0007063309000004
表4に示すように、発明例1~5の総浸漬時間は、いずれも比較例1の総浸漬時間よりも長くなった。この結果から、(1)式を用いて算出した累積溶損形状における耐火物の残厚が10mm未満にならないように各浸漬位置の浸漬時間を設定することで、溶融金属の連続鋳造に用いられるノズルの長寿命化が実現できることが確認された。
図12は、発明例1のAストランドで使用されたノズルにおける実際の溶損ピークの実績量と、発明例1のAストランドの連続鋳造条件と(1)式とを用いて予測された各溶損位置の溶損形状を加算して算出した累積溶損形状とを示すグラフである。図12において、横軸は溶損位置(mm)であり、縦軸は溶損量(mm)である。図12の四角プロットは、各溶損位置における溶損ピークの溶損量である。また、実線は、算出された累積溶損形状を示す曲線である。図12に示すように、溶損ピークの実績量は、(1)式を用いて算出した累積溶損形状を示す曲線上にプロットされた。この結果から、(1)式を用いて予測した溶損形状を加算して算出した累積溶損形状で、ノズル耐火物の実際の溶損形状を高い精度で予測できることがわかる。
図13は、溶損ピークの実績量と、溶損ピークの予測量との関係を示すグラフである。図13における溶損ピークの実績量は、発明例1~5のA、Bストランドにおける各溶損位置(4段)の実際の溶損ピークの溶損量(40点)である。また、溶損ピークの予測量は、発明例1~5のA、Bストランドにおける鋳造条件と(1)式とを用いて算出した累積溶損形状における溶損ピークの予測量(40点)である。図13に示すように予測された溶損量と実測された溶損量はほぼ一致することがわかる。なお、実績量と予測量との誤差の最大値は1.63mmであった。
図14は、図13に示した結果を、溶損量誤差のヒストグラムで示したグラフである。図14において、横軸は溶損量誤差(mm)であり、溶損量誤差とは、溶損量の予測値から溶損量の実績値を減じた値である。また、縦軸は割合(%)である。
図14に示すように、予測された溶損量と実測された溶損量との誤差は±2mmの範囲内に収まっており、誤差の85%は、±1.5mmの範囲内に収まっていた。また、誤差の標準偏差σは0.665mmであり、3σがほぼ2mmとなる。このことから、予測された溶損量と実測された溶損量との誤差が±2mmの範囲内となる確率は99.7%になることがわかる。これらの結果から、(1)式を用いて各浸漬位置における溶損形状を予測し、当該溶損形状を加算して累積溶損形状を算出することで、実際の耐火物の溶損形状を高い精度で予測できることが確認された。
10 連続鋳造装置
12 タンディッシュ
14 ノズル
16 吐出孔
18 スラグライン材質部
20 鋳型
22 溶融金属
24 モールドフラックス
26 浸漬量変更可能領域
30 制御装置
32 タンディッシュ位置決め装置
34 鋳型位置決め装置
36 制御部
37 格納部
38 入力部
39 表示部
40 曲線
42 曲線
44 曲線
46 曲線
48 曲線
50 曲線
52 曲線
60 曲線
62 曲線
64 曲線
66 曲線
68 曲線
100 使用者

Claims (6)

  1. タンディッシュの底壁面に取り付けられ、周囲に耐火物が施工されたノズルを鋳型内の溶融金属に浸漬させ、前記ノズルの浸漬位置を変更しつつ溶融金属を鋳造する溶融金属の連続鋳造方法であって、
    前記溶融金属の上面はモールドフラックスで覆われており、
    各浸漬位置において予測された溶損形状をそれぞれ加算することで累積溶損形状を算出するとともに、前記累積溶損形状における前記耐火物の残厚が、予め定められた基準値未満にならないように前記各浸漬位置における前記ノズルの浸漬時間を定める、溶融金属の連続鋳造方法。
  2. 前記溶融金属と前記モールドフラックスとの境界面と、予測する前記溶損形状の溶損面との角度が溶融金属側よりモールドフラックス側の方が大きくなるように前記各浸漬位置の溶損形状を前記境界面に対して非対称形状に予測する、請求項1に記載の溶融金属の連続鋳造方法。
  3. 前記ノズルの浸漬時間と、前記ノズルの浸漬位置と、前記鋳型の長辺幅とから前記各浸漬位置の溶損形状を予測する、請求項1または請求項2に記載の溶融金属の連続鋳造方法。
  4. 前記鋳型の長辺幅が長くなるに従って、予測する前記溶損形状における前記溶融金属側の溶損面と前記モールドフラックス側の溶損面との角度が小さくなり、前記鋳型の長辺幅が短くなるに従って、予測する前記溶損形状における前記溶融金属側の溶損面と前記モールドフラックス側の溶損面との角度が大きくなるように各浸漬位置の溶損形状を前記鋳型の長辺幅に応じて予測する、請求項3に記載の溶融金属の連続鋳造方法。
  5. 下記(1)式を用いて、各浸漬位置における溶損形状を予測する、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の溶融金属の連続鋳造方法。
    y=T×V×exp{-(x)2/A}・・・(1)
    上記(1)式において、xは、鋳造開始時の前記溶融金属と前記モールドフラックスとの境界面を原点とし、鉛直上向きを正とする前記ノズルの軸線方向の位置(mm)であり、
    yは、位置xにおける前記ノズルの中心方向を正とする前記ノズルの溶損量(mm)であり、
    Tは、ノズルの浸漬時間(min)であり、
    Vは、前記溶融金属と前記モールドフラックスとの境界位置における溶損速度(mm/min)であり、
    Aは下記(2)式および下記(3)式で算出される値である。
    A(溶融金属側)=B-C×Ln(D-G)・・・(2)
    A(モールドフラックス側)=E-F×Ln(D-G)・・・(3)
    B、C、E、F、Gは、鋳造条件ごとに予め定められる定数であり、Dは、鋳型長辺幅(mm)であり、Ln(D-G)は(D-G)の自然対数である。
  6. 前記ノズルの浸漬位置の変更距離は5mm以上15mm以下である、請求項1から請求項5の何れか一項に記載の溶融金属の連続鋳造方法。
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