JP7061868B2 - 樹木径測定装置及び測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、樹木の直径を測定する測定装置に関し、特に測定するに際して、簡便な操作で正確な測定を可能とする樹木径測定装置及び樹木径測定方法に関する。
樹木径測定装置には、樹木を挟むことで樹木径を測定する装置が提案されている。この種の樹木径測定装置は、例えば特許文献1乃至特許文献3の樹木径測定器に示されるように、一対の挟み体で樹木を挟むように配置し、挟み体同士の距離を測定することで樹木の直径を測定する。
また、特許文献4の三次元測定対象物の形態調査方法には、樹木に対してレーザ光を照射し、レーザ光による多数の反射点の各点を三次元座標化された点として取得し、これらをコンピュータ上で解析することで、樹木の形態調査を行う方法が開示されている。
特公平7-72688号公報 特開平2-78901号公報 特開2010-243383号公報 特開2014-232111号公報
特許文献1乃至特許文献3に記載の樹木径測定器によれば、一対の挟み体で樹木を一本一本挟み込む必要があるため、測定作業が煩雑になるという問題点があった。
特許文献4に記載の三次元測定対象物の形態調査方法によれば、樹木から取得した三次元座標化された点に関して解析するので、処理が複雑になり大掛かりな装置になるという問題点があった。
本発明は上記実情に鑑みて提案されたもので、樹木に対してレーザ照射を行って樹木の直径を測定するに際し、簡便な操作且つ簡単な構成で直径を正確に測定することができる樹木径測定装置及び樹木径測定方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため請求項1の発明は、樹木の直径を測定する樹木径測定装置において、
装置本体から伸長し前記樹木に先端部が当接可能な棒状部と、
前記樹木に対してレーザ光を照射するレーザ照射部と、
前記樹木から反射するレーザ光を受光するレーザ受光部と、
前記レーザ照射部を首振り動作させる駆動部と、
前記駆動部の首振り動作を開始させるスイッチ部と、
前記樹木の両端に対するレーザの首振り動作からの反射光の有無を元に計測する角度と、前記棒状部を前記樹木に当接させて得られる最短距離とにより、前記樹木の直径を算出する解析部と、を備えたことを特徴としている。
請求項2の発明は、樹木の直径を測定する樹木径測定装置において、
前記樹木に対してレーザ光を照射するレーザ照射部と、前記樹木との最短距離を計測するためのレーザ光を照射する補正用レーザ照射部と、前記樹木から反射するレーザ光を受光するレーザ受光部とを有するレーザ測距部と、
前記レーザ照射部を首振り動作させる駆動部と、
前記駆動部の首振り動作を開始させるスイッチ部と、
前記樹木の両端に対するレーザの首振り動作からの反射光の有無を元に計測する角度と前記最短距離により、前記樹木の直径を算出する解析部と、を備えたことを特徴としている。
請求項3の発明は、樹木の直径を測定する樹木測定装置において、
前記駆動部はモータで構成されるとともに、前記スイッチ部はトリガスイッチで構成され、スイッチのオンで前記モータに通電し自動的に前記首振り動作を行うことを特徴としている。
請求項4の発明は、請求項3の樹木測定装置において、
前記スイッチ部は、引き金状のスイッチで構成されることを特徴としている。
請求項5の発明は、請求項1又は請求項2に記載の樹木径測定装置において、
前記首振り動作は、前記レーザ光の照射先が樹木中心から外側端に動作し始め、前記外側端から反対側の外側端に動作して元の位置に戻る動作であることを特徴としている。
請求項6の発明は、請求項1又は請求項2に記載の樹木径測定装置において、
前記首振り動作は、前記レーザ光の照射先が樹木の一方の外側端の外側から始まり、他方の外側端で終了することを特徴としている。
請求項7の発明は、請求項1又は請求項2に記載の樹木径測定装置において、
前記解析部は、樹木種類に応じた角度と前記樹木径測定装置との最短距離に対応する直径のテーブルを備え、選択された樹木種類により前記テーブルを参照して直径を補正することを特徴としている。
請求項8の樹木径測定方法は、樹木径測定装置を用いて樹木の直径を測定する方法であって、
前記樹木の両端に対して前記樹木径測定装置に設けたレーザを首振り動作させながら照射し反射光の有無により首振り角度を取得する角度取得手順と、
前記樹木と前記樹木径測定装置との最短距離を測定する最短距離測定手順と、
前記首振り角度及び前記最短距離から前記樹木の直径を算出する直径算出手順と、
を含むことを特徴としている。
請求項9の発明は、請求項8の樹木径測定方法において、
前記最短距離の測定は、前記樹木に対して前記樹木径測定装置に設けた補正用レーザを照射し、その反射光を受光することで得ることを特徴としている。
請求項10の発明は、請求項8の樹木径測定方法において、
前記各手順は自動的に複数回行われ、複数回計測後に算出した直径の平均値を取得することを特徴としている。
請求項11の発明は、請求項8の樹木径測定方法において、
前記各手順は異なる三つの方向から行われ、複数回計測後に算出した直径の平均値を取得することを特徴としている。
請求項1(樹木径測定装置)によれば、測距用レーザを樹木に照射し、首振り動作による樹木からの反射光で計測した角度と、棒状部を樹木に当接することで得られる樹木との最短距離を基に樹木の直径を算出することができる。
請求項2によれば、棒状部に代えて補正用レーザ照射部を設け、樹木へのレーザ光の照射で樹木との最短距離を得ることができる。また、最短距離を測定するために、装置を樹木に接触させる必要がないので、樹木から離れた位置から樹木径を測定することができる。
請求項3によれば、スイッチのオンで自動的に首振り動作を往復運動で行うことが可能となるので、装置自体の首振り動作を行わせることなく、樹木の中心に装置を向けた状態を維持するだけで、レーザ光の照射方向を自動的に変化させることができる。
このため、手の動きに連動してレーザ光の首振り動作を行う場合に比較して、手ぶれの影響を受けることが少なくなり、より正確な直径を測定することができる。
請求項4によれば、引き金状のスイッチでトリガ操作による首振り動作を行わせることができる。
請求項5によれば、樹木中心から外側端に照射先が移動するように首振り動作させることで、樹木の外側端を確実に検知することができる。
また、樹木の直径に対応する首振り角を往復動作により2回測定できるので、その平均を採ることで正確な樹木径を算出することができる。
請求項6によれば、樹木の一方の一端側から他方の一端側まで照射先が移動するように首振り動作させることで、最小の首振り角度で樹木の径を検出することができる。
請求項7によれば、テーブルを使用することで樹木種類に応じて直径を補正することができる。
請求項8(樹木径測定方法)によれば、測距用レーザを樹木に照射し、首振り動作による樹木からの反射光で計測した角度と、樹木との最短距離を基に樹木の直径を算出することができる。
請求項9によれば、補正用レーザの樹木への照射で樹木との最短距離を得ることができる。
請求項10によれば、複数回計測後に算出した直径の平均値を取得することで、測定精度を向上させることができる。
請求項11によれば、異なる三つの方向から計測された直径の平均値を取得することで、円形でない樹木の大きさに対して、実際の樹木に近い大きさを把握することができる。
樹木径測定装置の外観を示すもので、(a)は側面説明図、(b)は平面説明図である。 図1の樹木径測定装置の構成を示すブロック図である。 図1の樹木径測定装置を使用して樹木の直径を測定する場合(レーザ測距部10の中心線X上に樹木の中心が位置している)の測定手順を説明するためのモデル図である。 樹木径測定装置の他の例の外観を示すもので、(a)は側面説明図、(b)は平面説明図である。 図4の樹木径測定装置の構成を示すブロック図である。 図4の樹木径測定装置を使用して樹木の直径を測定する場合(レーザ測距部10の中心線X上に樹木の中心が位置している)の測定手順を説明するためのモデル図である。 図4の樹木径測定装置を使用して樹木の直径を測定する場合(レーザ測距部10の中心線X上から樹木の中心がずれている)の測定手順を説明するためのモデル図である。
以下、本発明に係る樹木径測定装置の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、全体がピストル型形状で形成された樹木径測定装置の外観構成を示すもので、図2は、樹木径測定装置の機能ブロック図に示すものである。樹木径測定装置は、図1に示すように、測定装置が内在された本体部1と、本体部1から延長される取手部2と、測定装置のスイッチとなる引き金部(スイッチ部を構成するピストル型レバー)3と、本体部1から前方方向に伸長し、樹木に先端部4aが当接可能な棒状部4と、から構成されている。取手部2を設けたことにより、片手で樹木測定装置を持って引き金部(ピストル型レバー)3を操作できるようになっている。また、取手部2の内部には、後述する電動モータ駆動用の電池が収納されるようになっている。
棒状部4は、平らな先端部4aを有する円柱状又は方柱状等の形状で構成され、先端部4aを樹木に当接させることで、樹木と測定装置との距離を一定にするバーの役割を有している。また、棒状部4の長さは18~22cm、好ましくは20cmであり、70cm程度までの直径を有する樹木径を測定することができる。なお、棒状部4の長さを18~22cm、とすることで、30cmや40cmとするより測定精度が高まることを実測により確認した。
また、樹木径測定装置は、図2の機能ブロック図に示すように、レーザ測距部10と、角度検出部21と、解析部22と、操作部23と、表示部24を備えて構成されている。
レーザ測距部10は、樹木に対してレーザ光を照射する測距用レーザ照射部11と、前記樹木から反射するレーザ光を受光するレーザ受光部13を備えている。
測距用レーザ照射部11は、発光部と受光部が一体となって構成され、それぞれ発光部から樹木に対して照射されたレーザ光の対象物(樹木)からの反射光をレーザ 受光部13が検出する。
測距用レーザ照射部11は、樹木の幅方向にレーザ光を照射させるための首振り機構(駆動部)を備えて構成されている。首振り機構(駆動部)は、駆動源を電動モータとし、レーザ光の照射方向が120度程度の範囲で首振り動作が可能に構成されている。測距用レーザ照射部11から照射されたレーザ光は、樹木で反射しその反射光をレーザ受光部13で受光する。
測距用レーザ照射部11では、樹木からの反射光を受光することで、照射方向に対応する首振り角度を検出可能としている。
角度検出部21は、測距用レーザ照射部11によるレーザ光の照射角度を検出する。樹木の表面が極端に滑らかでない限り、樹木端でのレーザ光照射による乱反射で何らかの反射光を受けることができるため、樹木の左右の外周付近からの反射光を受光すること(反射光の有無)で、樹木の両端位置に対応する首振り角度が検出可能となる。
すなわち、図3に示すように、角度検出部21による計測は、測距用レーザ照射部11の中心線Xの位置から、先ず左方向に振ってセンターに対する樹木端部の首振り角度θ1を検出し、次に右方向に振って中央に対する樹木端部の首振り角度(θ1+θ2)を検出し、センターに戻るように動作する。測距用レーザ照射部11から照射されるレーザ光の反射光の値が一定範囲を超えた場合に樹木の外周を越えたと判断し、その時の角度(θ1)及び角度(θ1+θ2)を記録する。
首振り動作は、樹木中心から外側端に照射先を動かすので、樹木の外側端を確実に検出することできる。また、前記外側端から反対側の外側端に動かすことで、反対側の外側端を確実に検出することできる。
また、樹木の直径に対応する首振り角を往復動作により2回測定できるので、その平均を採ることで正確な樹木径を算出することができる。
測定値(角度や距離)は、内蔵フラッシュROM及びSDカードに記録されるように構成されている。
また、この樹木径測定装置によれば、図3に示すように、樹木Wの側面に棒状部4の先端を接触させ、この状態を維持することにより樹木Wに対するレーザ測距部10の位置を固定し、予め求めた長さMを測距用レーザ照射部11と樹木Wと間の最短距離とすることができる。
解析部22では、レーザ測距部11及び角度検出部21で取得したデータ(θ1,θ2)、予め設定されている長さM(樹木との最短距離M)から樹木の直径を算出する計算が行われる。
例えば、計算を簡単にするため、θ1=θ2とし、最短距離Mとして、樹木の直径を算出する場合、樹木が真円であると仮定した時の半径をrとすると、
(式1)
sinθ1=r/(M+r)
r=Msinθ1/(1-sinθ1)
となる。
そして、直径は、補正係数kとした場合、2krとなる。
補正係数kは、樹木の種類(松、杉、檜等)によって表面の状態(つるつる、皮がはげやすい、凸凹が多いなど)が異なるため、樹木の種類により0.7~1.0の範囲で予め設定された定数である。テーブルの補正係数kは、複数種類の樹木に関して、測定した角度と樹木径測定装置との最短距離に対応する直径について、予め多数の実測データを収集しておき、例えば実測データの平均値より導き出した値である。
操作部23は、樹木の直径を算出するために必要なデータを入力するための設定ボタンとして、本体部1の裏面側に装備されている。設定項目としては、使用履歴を記憶するために入力するユーザーID、補正係数を選択するために入力する樹木種類等がある。
表示部24は、入力された設定項目、過去の算出データ、測定時刻等が表示されるように、本体部1の裏面側に配置された液晶画面により構成されている。
続いて、上述した樹木径測定装置を使用して樹木の測定を行う手順について説明する。
樹木の正面に立ち、樹木径測定装置の取手部2を片手で持ち、棒状部4の先端部4aを樹木に当接させた状態で、樹木の中心(中心線X)にレーザ測距部10を向けて、引き金部(ピストル型レバー)3を引く。引き金部3の引きがトリガとなって、レーザ測距部10の測距用レーザ照射部11による首振り動作が開始される。すなわち、ピストルの引き金のように、引き金部3の留め具が外れる位置を超えた時点で電動モータによる所定の首振り動作が自動的に行われる。
そのため、樹木の中心(中心線X)に沿って棒状部4の先端部4aを樹木に当接させ、この状態を維持するだけで、測距用レーザ照射部11によるレーザ光の照射方向を自動的に変化させることができる。このため、手の動きに連動してレーザ照射光の首振り動作を行う場合に比較して、手ぶれの影響を受けることが少なくなり、より正確な直径を測定することができる。
なお、図1の例では、トリガスイッチを引き金部3で形成したが、図1における取手部2の前側位置に点線で示したようなボタン部25を形成し、ボタン部25の押下をトリガとして首振り動作が自動的に行われるようにしても良い。
すなわち、この測距用レーザ照射部11による首振り動作により、先ず、図3における中心線Xから左側方向にレーザ光の照射を振り、反射光の値が一定範囲を超えた場合に樹木の外周を越えたと判断し、その時の角度(θ1)を検出し、樹木端で首振り動作を止める(動作31)。
続いて、樹木端から右側方向にレーザ光の照射を振り、反射光の値が一定範囲を超えた場合に樹木の外周を越えたと判断し、その時の角度(θ1+θ2)を検出し、樹木端で首振り動作を止める(動作32)。
再び、樹木端から左側方向にレーザ光の照射を振り、中央位置で静止させる(動作33)。
また、上述の例では、首振り動作(樹木径に対応する首振角を2回検出)は、樹木中心から外側端に照射先が移動し始めるように往復運動するようにしたが、樹木の一方の端部からの往復運動による首振り動作(樹木径に対応する首振角を2回検出)で樹木径を算出するようにしてもよい。
更に、首振り動作は、レーザ光の照射先が樹木の一方の外側端の外側から始まり、他方の外側端で終了する一方向の首振り動作(樹木径に対応する首振角を1回検出)であってもよい。この場合、一方向のみの首振り動作となるので、最小の首振り角度で樹木の径を検出することができる。
上述したレーザ測距部10のように樹木径計測時にレーザ光を使用すると、表皮の剥がれ等により誤差が生じるが、樹木の種類によって最適な数値となるように補正を行うことで、正確な直径を算出することが可能となる。
上述した樹木径測定装置における直径算出の各手順は自動的に複数回行われ、複数回計測後に算出した直径の平均値を取得するようにしてもよい。その結果、より正確な直径を算出することができる。
この樹木径測定装置によれば、図3に示すように、樹木Wと棒状部4の先端とを接触させることにより、レーザ測距部10と樹木Wの位置を固定させて、予め求めた長さMを測距用レーザ照射部11と樹木Wと間の距離とすることができるので、首振り動作による角度のみ測定すれば樹木径を算出できるため、簡単な構成で樹木径を測定する装置とすることができる。
図4及び図5は、樹木径測定装置の他の実施形態を示すもので、図1及び図2と同じ構成を採用する部分については同一符号を付している。
図4の樹木径測定装置では、樹木との距離を測定するための棒状部4を省略するとともに、レーザ測距部10内に樹木との最短距離を計測するためのレーザ光を照射する補正用レーザ照射部12を設けている。
レーザ測距部10は、樹木に対してレーザ光を照射する測距用レーザ照射部11と、前記樹木との最短距離を計測するためのレーザ光を照射する補正用レーザ照射部12と、前記樹木から反射するレーザ光を受光するレーザ受光部13を備えている。
測距用レーザ照射部11及び補正用レーザ照射部12は、発光部と受光部が一体となって構成され、それぞれ発光部から樹木に対して照射されたレーザ光の対象物(樹木)からの反射光をレーザ受光部13が検出する。
すなわち、測距用レーザ照射部11では、樹木からの反射光を受光することで、照射方向に対応する首振り角度を検出可能とするとともに、反射光の受光による時間差で樹木との間で変化する距離を検出可能になっている。樹木との距離は、首振り動作中に随時検出され、最短距離L(首を振った結果の最短距離)が検出される。
補正用レーザ照射部12は、樹木と樹木径測定装置との最短距離Aを計測するためのもので、正面方向に照射したレーザ光の反射光をレーザ受光部13で受光するように構成されている。
補正用レーザ照射部12では、測距用レーザ照射部11と同様に、反射光の受光による時間差で樹木との間の一定の距離(最短距離A)を検出する。
この樹木径測定装置の場合、図6に示すように、樹木の正面から離れた位置で樹木径測定装置の取手部2を片手で持ち、樹木の中心(中心線X)にレーザ測距部10を向けて、引き金部(ピストル型レバー)3を引く。そして、測距用レーザ照射部11による首振り動作により、図3と同様に、動作31、動作32、動作33が行われ、θ1及びθ2が検出される。測距用レーザ照射部11の首振り動作を行っている際には、常時、樹木との距離(最短距離Lが含まれる)が検出される。
また、引き金部(ピストル型レバー)3がスイッチとなって、レーザ測距部10の補正用レーザ照射部12による樹木との最短距離Aの測距が行われる。
図6に示すように、測距用レーザ照射部11が首振り動作を行った結果検出された距離で最短の距離(最短距離L)が補正用レーザ照射部12による最短距離Aと数値が一致していれば、レーザ測距部10の中心線X上に樹木Wの中心が位置していると判断し、樹木Wの中心が中心線Xからずれていれば、樹木の直径を算出するに際しての補正が行われる。
解析部22では、レーザ測距部10及び角度検出部21で取得したデータ(θ1,θ2,最短距離L)、補正用レーザ測距部で取得したデータ(最短距離A)、から樹木の直径を算出する計算が行われる。
図6に示すように、最短距離Aと最短距離Lが一致し、θ1とθ2とが同じ角度であれば、樹木の直径2rは上述した(式1)で算出することができる。
また、図6では、樹木の正面にレーザ測距部10が位置し、レーザ測距部10の中心線X上に樹木の中心が位置している場合(最短距離Lと最短距離Aが一致)について説明したが、中心線Xから樹木の中心位置がずれている場合の計測について、図7を参照しながら説明する。
この場合、測距用レーザ照射部11による首振り動作により、先ず、図7における中心線Xから左側方向にレーザ光の照射を振り、反射光の値が一定範囲を超えた場合に樹木の外周を越えたと判断し、その時の角度(θ1+θ3)を検出し、樹木端で首振り動作を止める(動作31)。
続いて、樹木端から右側方向にレーザ光の照射を振り、反射光の値が一定範囲を超えた場合に樹木の外周を越えたと判断し、その時の角度(θ1+θ2+θ3)を検出し、樹木端で首振り動作を止める(動作32)。
再び、樹木端から左側方向にレーザ光の照射を振り、中央位置で静止させる(動作33)。
また、首振り動作を行っている際には、常時、樹木との距離(最短距離Lが含まれる)が検出される。
中心線Xから樹木Wの中心位置がずれている場合、レーザ光の反射光によりθ1を直接求めることができないが、最短距離Lを検出した首振り角度θ3は検出できるので、角度(θ1+θ3)から角度θ3を減じることでθ1を算出する。
θ1が算出できれば、上述した(式1)により樹木の直径2rが算出でき、必要に応じて補正係数kを乗じた2krが算出できる。
上述した樹木径測定装置における直径算出の各手順は自動的に複数回行われ、複数回計測後に算出した直径の平均値を取得するようにしてもよい。その結果、より正確な直径を算出することができる。
また、上述した測定例では、一方向からのレーザ光の照射で直径を算出するようにしたが、異なる3方向から計測し記憶された値の平均値を直径とすることで、樹木が真円でない場合においても、実際の樹木の断面積に近い直径を算出することができる。この場合の3方向は、ユーザーが位置を決定し、その位置から樹木径を測定する。
上述した各樹木径測定装置によれば、測距用レーザ照射部11からのレーザ光を樹木Wに照射し、首振り動作による樹木Wからの反射光で計測した角度と、樹木Wとの最短距離(棒状部4を設けることで予め設定した値M、又は、補正用レーザ照射部12で得られる樹木との最短距離A)を基に樹木Wの直径を算出することができるので、簡便な操作且つ簡単な構成で直径を正確に測定することができる。
また、引き金部(ピストル型レバー)3がトリガスイッチとなって測距用レーザ照射部11の首振り動作が行われるので、装置自体の首振り動作を行わせることなく、樹木の中心(中心線X)に測距用レーザ照射部11を向けた状態を維持するだけで、測距用レーザ照射部11によるレーザ光の照射方向を自動的に変化させることができる。このため、手の動きに連動してレーザ照射光の首振り動作を行う場合に比較して、手ぶれの影響を受けることが少なくなり、より正確な直径を測定することができる。
1…本体部、 2…取手部、 3…引き金部(スイッチ部を構成するピストル型レバー)、 4…棒状部、 4a…先端部、 10…レーザ測距部、 11…測距用レーザ照射部(測距用レーザ)、 12…補正用レーザ照射部(補正用レーザ)、 13…レーザ受光部、 21…角度検出部、 22…解析部、 23…操作部、 24…表示部、 25…ボタン部(スイッチ部)、 W…樹木。

Claims (11)

  1. 樹木の直径を測定する装置において、
    装置本体から伸長し前記樹木に先端部が当接可能な棒状部と、
    前記樹木に対してレーザ光を照射するレーザ照射部と、
    前記樹木から反射するレーザ光を受光するレーザ受光部と、
    前記レーザ照射部を首振り動作させる駆動部と、
    前記駆動部の首振り動作を開始させるスイッチ部と、
    前記樹木の両端に対するレーザの首振り動作からの反射光の有無を元に計測する角度と、前記棒状部を前記樹木に当接させて得られる最短距離とにより、前記樹木の直径を算出する解析部と、
    を備えることを特徴とする樹木径測定装置。
  2. 樹木の直径を測定する装置において、
    前記樹木に対してレーザ光を照射するレーザ照射部と、前記樹木との最短距離を計測するためのレーザ光を照射する補正用レーザ照射部と、前記樹木から反射するレーザ光を受光するレーザ受光部とを有するレーザ測距部と、
    前記レーザ照射部を首振り動作させる駆動部と、
    前記駆動部の首振り動作を開始させるスイッチ部と、
    前記樹木の両端に対するレーザの首振り動作からの反射光の有無を元に計測する角度と前記最短距離により、前記樹木の直径を算出する解析部と、
    を備えることを特徴とする樹木径測定装置。
  3. 前記駆動部はモータで構成されるとともに、前記スイッチ部はトリガスイッチで構成され、スイッチのオンで前記モータに通電し自動的に前記首振り動作を行う請求項1又は請求項2に記載の樹木測定装置。
  4. 前記スイッチ部は、引き金状のスイッチで構成される請求項3に記載の樹木径測定装置。
  5. 前記首振り動作は、前記レーザ光の照射先が樹木中心から外側端に動作し始め、前記外側端から反対側の外側端に動作して元の位置に戻る動作である請求項1又は請求項2に記載の樹木径測定装置。
  6. 前記首振り動作は、前記レーザ光の照射先が樹木の一方の外側端の外側から始まり、他方の外側端で終了する請求項1又は請求項2に記載の樹木径測定装置。
  7. 前記解析部は、樹木種類に応じた角度と前記樹木径測定装置との最短距離に対応する直径のテーブルを備え、選択された樹木種類により前記テーブルを参照して直径を補正する請求項1又は請求項2に記載の樹木径測定装置。
  8. 樹木径測定装置を用いて樹木の直径を測定する方法であって、
    前記樹木の両端に対して前記樹木径測定装置に設けたレーザを首振り動作させながら照射し反射光の有無により首振り角度を取得する角度取得手順と、
    前記樹木と前記樹木径測定装置との最短距離を測定する最短距離測定手順と、
    前記首振り角度及び前記最短距離から前記樹木の直径を算出する直径算出手順と、
    を含むことを特徴とする樹木径測定方法。
  9. 前記最短距離の測定は、前記樹木に対して前記樹木径測定装置に設けた補正用レーザを照射し、その反射光を受光することで得る請求項8に記載の樹木径測定方法。
  10. 前記各手順は自動的に複数回行われ、複数回計測後に算出した直径の平均値を取得する請求項8に記載の樹木径測定方法。
  11. 前記各手順は異なる三つの方向から行われ、複数回計測後に算出した直径の平均値を取得する請求項8に記載の樹木径測定方法。
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