JP7057940B2 - 樹脂又は樹脂複合材料加熱装置及び方法 - Google Patents
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Description
この賦形成形方法の予備加熱では、近赤外線放射装置が放射する近赤外線で、予備加熱型内の熱盤上に配置された積層成形材を加熱し、遠赤外線温度センサで積層成形材の温度を検知し、近赤外線の強度を調整して、所定の温度に積層成形材を昇温させる。
又、遠赤外線温度センサで検知した積層成形材の温度に基づいてヒータ出力の強度を調整し、所定の温度に積層成形材を昇温させるため、高出力ハロゲンヒータのように加熱速度が速い場合に、温度が行き過ぎて所定の温度に制御できない可能性があるし、近赤外線放射装置からの迷光で遠赤外線温度センサの誤差が生じ、制御に影響が出る可能性がある。
又、本発明の別の主な目的は、比較的に短時間の加熱であっても正確に加熱が制御される樹脂又は樹脂複合材料の加熱装置,加熱方法を提供することである。
請求項2に記載の発明は、上記発明において、前記赤外線ヒータの発熱温度は、1600℃を超えて1650℃以下であることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、上記発明において、前記加熱対象支持手段は、カーボン製であることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、上記発明において、前記加熱対象支持手段は、前記加熱対象について、搬入する搬入位置から、前記赤外線が照射される加熱位置を経て、搬出する搬出位置まで搬送する搬出位置まで移動可能であることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、上記発明において、更に、前記赤外線を前記加熱対象の側に反射する反射手段を備えていることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、上記発明において、更に、前記赤外線ヒータの出力を調節する制御手段を備えており、前記制御手段は、前記赤外線ヒータにおける出力の最大出力に対する割合と、その割合に係る出力を継続する時間とが対応付けられたヒータ段階出力設定パターンテーブルに基づいて、前記赤外線ヒータの出力を調節することを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、発熱温度が1450℃以上1650℃以下である赤外線ヒータから放射された赤外線を、加熱対象である樹脂及び樹脂複合材料の少なくとも一方に照射する樹脂又は樹脂複合材料加熱方法において、前記赤外線ヒータの出力を、前記加熱対象の加熱開始時のものに対して、加熱開始後所定時間の経過により低下させることを特徴とするものである。
又、本発明の別の主な効果は、比較的に短時間の加熱であっても正確に加熱が制御される樹脂又は樹脂複合材料の加熱装置,加熱方法が提供されることである。
尚、当該形態は、下記の例及び変更例に限定されない。
加熱装置1は、炭素繊維束に樹脂(ポリカーボネート,PC)が付着された板状の成形原反材又はこれが複数積層された板状の積層成形材(以下まとめて成形材Wとする)を、成形して炭素繊維強化樹脂即ちCarbon Fiber Reinforced Plastics(CFRP)成形品とする前に、予熱するものである。成形材Wは、樹脂に炭素繊維束が複合された樹脂複合材料である。尚、強化に係る繊維は、炭素繊維に限られず、ガラス繊維(Glassfiber)を始めとする他の強化繊維が用いられても良い(FRP)。又、樹脂複合材料における樹脂は、ポリアミド、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂であっても良く(Fiber Reinforced Thermoplastics,FRTP)、強化繊維が入ってなくても良い。更に、加熱対象としての成形材Wは、予備成形される等、板状でなくても良く、加熱装置1による加熱は、予備加熱後の成形材Wの成形時、あるいは成形される成形材Wがプリプレグ(繊維に樹脂を含浸させシート状若しくは板状としたもの)等の中間素材である場合の成形時等、他の段階においてなされても良い。加熱対象は、繊維束を複合させた樹脂複合材料以外の樹脂複合材料であっても良いし、樹脂単独(複数種類の樹脂の組合せを含む)であっても良いし、樹脂及び樹脂複合材料の組合せであっても良い。加熱対象が樹脂単独である場合においても、樹脂の種類はどのようなものでも良い。加熱対象である樹脂及び樹脂複合材料の少なくとも一方は、成形されないものであっても良い。
上ハウジング4は、下方に開口した箱状であり、上ヒータ部12を保持している。上ハウジング4は、設置面又は下ハウジング2に至る図示されない脚を介して、下ハウジング2と所定の間隔を有する状態で、下ハウジング2の上方に設置される。尚、下ハウジング2と上ハウジング4とが分かれておらず、一体のハウジングとされていても良い。
下ハウジング2内の下面の上方と上ハウジング4内の上面の下方とには、それぞれ板状の断熱材18が設けられている。尚、断熱材18は、少なくとも一方が省略されても良いし、下ハウジング2の外面を始めとする他の部分に配置されても良い。
ステージ移動部8は、それぞれ前後方向に延びるように下ハウジング2の外側に設けられた左右一対のレール30と、ステージ6の支持部22に連結された図示されないアームと、を有する。各支持部22は、対応するレール30上を走行可能に、レール30に載せられている。アームは、ステージ6を、支持部22を介して前後に移動させる。ステージ6は、加熱位置より後方に出た位置(加熱前成形材搬入位置)から、加熱位置を経て、加熱位置より前方に出た位置(加熱後成形材搬出位置)まで移動可能である。尚、レール30は、1本あるいは3本以上とされたり、省略されたり、他の位置に配置されたりしても良い。又、アームに代えて、あるいはアームと共に、ボールネジ及びチェーンの少なくとも一方が設けられても良い。
下赤外線ヒータユニット40は、左右に延びる下赤外線ヒータ44が複数本並べられて形成される。尚、下赤外線ヒータ44は、前後に延びていても良く、下赤外線ヒータ44の本数は、図示のものより増減することができる。
カーボンヒータは、ハロゲンランプが用いられるハロゲンヒータに比べ、多くのエネルギーが中赤外線領域に放射されるという特性を有する。
又、ハロゲンヒータは、ハロゲンガスを封入した石英管内に線状のタングステンが渡されたもので、赤外線が石英管の全周にわたり均等に放射される。これに対し、面状のカーボンヒータは、不活性ガスを封入した石英管内に面状の炭素繊維が渡されたもので、赤外線は炭素繊維における一対の平面からその平面に垂直な方向を中心に放射され、その垂直な方向から30°程度以上倒れた方向には殆ど直接的に放射されない。各下赤外線ヒータ44は、面状の炭素繊維が水平になる姿勢で設けられ、赤外線が上下を中心に放射される。
図4には、カーボンヒータあるいはハロゲンヒータにおける所定の発熱温度毎の放射線波長(μm,横軸)と分光エネルギー密度に相当する相対分光放射発散度(×103/m2・μm,縦軸)との関係が示される。
ハロゲンヒータ(タングステン)に係る2300℃では、エネルギー密度のピークが波長1.1μm程度に位置しており、ハロゲンヒータ(タングステン)に係る2000℃では、エネルギー密度のピークが波長1.3μm程度に位置している。
これに対し、カーボンヒータ(カーボン)に係る1650℃では、エネルギー密度のピークが波長1.5μm程度(より詳しくは1.51μm)に位置している。又、図示されない1450℃の分光エネルギー密度(相対分光放射発散度)の分布は、1650℃と1250℃とのちょうど中央を辿るようなものとなり、エネルギー密度のピークが波長1.7μm程度に位置している。
更に、カーボンヒータ(カーボン)に係る1250℃では、エネルギー密度のピークが波長1.9μm程度に位置しており、カーボンヒータ(カーボン)に係る1050℃では、エネルギー密度のピークが波長2.2μm程度に位置している。
よって、各下赤外線ヒータ44は、近赤外線(波長0.8μm以上1.5μm未満)より波長の長い中赤外線(波長1.5μm以上)を最も多く放射し、1.5μm以上1.7μm以下の波長領域内でエネルギー密度のピークを有している。
尚、各下赤外線ヒータ44は、発熱温度が1450℃以上1650℃以下であれば、ハロゲンヒータを始めとする他の発熱体に係るヒータであっても良い。
PCは、2μm以下の波長領域では、1.51μm以上1.79μm以下の領域において吸収率の比較的に大きな吸収帯が存在している(図5中の点線の矩形で囲まれた部分)。波長1.51μm付近には、上述の通り、1450℃以上1650℃以下(特に1650℃)の発熱温度に係る発熱体のエネルギー密度のピークを持つ領域が位置しており、PCの当該吸収帯に係る波長と、各下赤外線ヒータ44のエネルギー密度分布の当該領域とが、合っている。より詳細には、当該吸収帯における吸収率のピークは1.67μmにおいて存在し、1.67μmにエネルギー密度のピークを有する発熱体の発熱温度は、1450℃である。又、波長が短いほどエネルギーが大きくなり、エネルギー密度のピークが1.67μmより短ければエネルギーが大きくなるところ、PCの吸収率との兼ね合いをみながら当該吸収帯内で波長を可及的に短くすれば効率的に加熱可能であり、かような波長(1.51μm)に係る発熱体の発熱温度は、1650℃である。
かようなPCの吸収帯に合わせたエネルギー密度分布のピークを持つ領域を有する下赤外線ヒータ44(カーボンヒータ)により、図6に示されるように、PCを含む成形材Wが効率良く加熱される。即ち、PC含有成形材W(所定の大きさのサンプル)の所定温度(300℃)に達するまでの加熱時間は、フィラメント温度(発熱温度)が1650℃である場合が最も短く(28秒)、他のフィラメント温度(1050℃,1250℃,2000℃,2300℃)の場合の半分程度あるいはそれより短くなっている。
尚、ポリアミド及びポリプロピレン等の他の樹脂においても、PCと同様に、2μm以下の波長領域では、1.5μm付近に吸収率の比較的に大きな吸収帯が位置している。又、2μmを超える領域にエネルギー密度のピークを持つ領域が位置し、且つ樹脂を十分に加熱可能なエネルギー密度の絶対値を有する現実的な発熱体は、現時点で存在しない。更に、図5の0.5μm未満の波長領域における吸収率分布(90%程度から0%に急降下する部分)は、測定誤差が現れたものである。
上赤外線ヒータユニット60は、下赤外線ヒータ44と同様に形成され配置される上赤外線ヒータ64を含む。尚、各上赤外線ヒータ64は、各下赤外線ヒータ44と異なる向きで配置されても良く、例えば上赤外線ヒータ64が前後方向を向くように配置され、下赤外線ヒータ44が左右方向を向くように配置されても良い。
上反射ユニット62は、下反射管46と同様に形成され配置される、反射手段の別の一つとしての上反射管66を含む。尚、各上反射管66は、各下反射管46と異なる向きで配置されても良い。
又、上ヒータ部12(上赤外線ヒータユニット60)及び下ヒータ部10(下赤外線ヒータユニット40)は、これらのうちの一方が省略されても良いし、互いに構成が異なるものとされても良い。更に、成形材Wの左右に赤外線ヒータが配置されても良く、この場合であっても、赤外線ヒータが互いに対向するように配置され、成形材Wを挟んで両側に配置されるため、成形材Wがより均一に加熱される。
記憶手段は、各種の情報を記憶可能であり、次に示されるヒータ段階出力設定パターンテーブルが記憶されている。ヒータ段階出力設定パターンテーブルは、ナンバー(段階数)と、上赤外線ヒータユニット60における出力の最大出力に対する割合(上ヒータ出力,%)と、下赤外線ヒータユニット40における同様の割合(下ヒータ出力,%)と、これらの出力割合の組合せを継続する時間(秒)とが対応付けられたものである。ナンバーは、自然数で、次のものでは2段階存在する。又、次のヒータ段階出力設定パターンテーブルは、上ヒータ出力と下ヒータ出力とが各段階数において揃っている。
入力手段は、ユーザの入力を受け付ける。
尚、制御手段は、コンピュータに代えて、あるいはコンピュータと共に設置される制御盤等であっても良い。又、制御手段は、複数の部材ないし部分に分散して設けられていても良い。更に、入力手段が省略されても良いし、各種の情報を表示可能な表示手段が追加されても良い。加えて、ヒータ段階出力設定パターンテーブルは、3段階以上のものであっても良いし、少なくとも一部の段階数において上ヒータ出力と下ヒータ出力とが相違するものであっても良い。
ユーザによる制御手段への入力手段を介した予熱処理開始の入力に基づき、加熱装置1の動作が開始される。
ユーザあるいはロボットハンドにより、加熱前成形材搬入位置にあるステージ6に成形材Wが搬入されると、制御手段は、ステージ移動部8に移動指令を出し、ステージ6を移動させて、成形材Wを加熱位置に搬送させる(ステップS1)。
下赤外線ヒータユニット40及び上赤外線ヒータユニット60の駆動により、成形材Wの加熱(成形前の予熱)がなされる。
成形材W(PC)の軟化には、成形材Wの温度で280℃以上が必要である。成形材Wの加熱は、成形材W外部からの赤外線照射により行われるため、内部温度が表面温度に遅れて上昇する。成形材Wの速い加熱と内部温度の必要温度以上への到達の観点からは、ヒータ出力が大きいほど好ましい。他方、ヒータ出力が大き過ぎたり、表面温度が上がり過ぎたりすると、成形材Wの表面に焦げが発生し、表面温度のみが高く内部温度が低いと成形材Wの内部にボイド(空隙)が発生してしまう。
そこで、図8(a)のように、成形材Wの表面温度が必要な温度に達する経過時間又はその経過時間に隣接する時間後、ヒータ出力を低下させれば、成形材Wの表面温度を必要な温度に維持しつつ(表面温度の必要な温度からの上昇を適切な度合以下に抑制しつつ)、成形材Wの内部温度を必要な温度に到達させることができる。即ち、かようなヒータ出力の低下により、成形材Wの内部への熱の浸透が、成形材W表面の過熱を防止した状態で図られる。よって、成形材W表面の焦げ及び内部のボイドの発生が防止される(ヒータ出力100%で8秒間加熱した後ヒータ出力30%で4秒間加熱したサンプルの断面顕微鏡写真に係る図9参照)。
これに対し、図8(b)のように、ヒータ出力の低下の段階がないと、成形材Wの表面温度は上昇し続け、成形材Wの内部温度が必要な温度に達する頃には、内部温度よりかなり高くなっている。よって、成形材W表面の焦げ及び内部のボイドの発生の可能性が、比較的に増す(ヒータ出力100%で8秒間加熱したサンプルの断面顕微鏡写真に係る図10参照)。尚、図10において、成形材Wの断面上辺(表面の繊維クリンプ部)の矢印部分(4箇所)には温度の不均一による凹みが発生しており、成形材Wの断面内部の黒色部分にボイドが発生している。
図11に示されるように、成形材Wの更に別の各サンプルに対して、15%,20%,25%,30%のヒータ出力を最初から維持してそれぞれ加熱が行われるようにして、それぞれのサンプルの温度変化が測定される。
15%,20%のヒータ出力では、1000秒を超えてもサンプル温度が必要な温度である280℃に到達せず、15%,20%のヒータ出力は、表面温度の維持及び内部温度の上昇の観点において不足している。
25%のヒータ出力では、400秒程度でサンプル温度が必要な温度に達し、25%のヒータ出力は、表面温度の維持及び内部温度の上昇の観点に照らし不足はない。
30%のヒータ出力では、200秒程度でサンプル温度が必要な温度に達し、30%のヒータ出力は、表面温度の維持及び内部温度の上昇の観点に照らし不足はなく、又25%のヒータ出力に比べてより短時間で内部温度の上昇が図られる。
同様にして、図11にはないものの、40%のヒータ出力の場合が測定され、23秒程度でサンプル温度が必要な温度に達した。かような40%のヒータ出力は、内部温度の上昇の観点からは十分であるが、成形材Wにおける焦げ及びボイドの発生の可能性が比較的に高くなる。
加熱装置1におけるヒータ出力の低下の段階でのヒータ出力は、表面温度の維持及び内部温度の上昇の観点並びに焦げ及びボイドの防止の観点に照らし、好ましくは25%以上35%以下であり、より好ましくは30%である。
尚、他の樹脂の場合及び他の種類の赤外線ヒータの場合であっても、必要温度及びその温度への到達温度の値が変化するだけであり、上述の動作ないし制御は妥当する。又、ヒータ出力の低下の段階は、複数に分けられても良く、例えば35%(2秒)及び25%(2秒)とされても良いし、25%(1秒)及び35%(3秒)とされても良いし、35%(2秒)、30%(1秒)及び25%(2秒)とされても良い。
加熱後成形材搬出位置に搬送された成形材Wは、ユーザあるいはロボットハンドにより搬出され、予熱後の成形に供される。
制御手段は、次の成形材Wの加熱があることを、ユーザの入力あるいはセンサにより把握すると、ステージ移動部8に移動指令を出し、ステージ6を加熱前成形材搬入位置に戻す。
即ち、加熱装置1は、発熱温度が1450℃以上1650℃以下である下赤外線ヒータ44及び上赤外線ヒータ64と、加熱対象である成形材Wを、下赤外線ヒータ44及び上赤外線ヒータ64からの赤外線が照射される位置において支持するステージ6と、を備えている。よって、成形材W(吸収率のピーク1.51μm程度)に対する吸収が良好な赤外線(エネルギー密度のピーク1.51μm程度)が用いられ、成形材Wの加熱が均一に行われる加熱装置1が提供される。
又、下赤外線ヒータ44及び上赤外線ヒータ64は、カーボン製のフィラメントを有するカーボンヒータを含んでいる。よって、成形材Wに対する吸収が良好な赤外線が、より簡単に発生可能である。又、赤外線が、成形材W側により効率良く放射される。
更に、下赤外線ヒータ44及び上赤外線ヒータ64は、成形材Wの上下に設けられている。よって、成形材Wが、より均一に加熱される。
又、ステージ6は、成形材Wについて、加熱前成形材搬入位置から、赤外線が照射される加熱位置を経て、加熱後成形材搬出位置まで移動可能である。よって、成形材Wの加熱が、繰り返しの容易な状態で、短時間で行われる。
更に、加熱装置1は、赤外線を成形材Wの側に反射する下反射管46及び上反射管66を備えている。よって、成形材Wの加熱が、下赤外線ヒータ44あるいは上赤外線ヒータ64の増設によらず、より効率良く行われる。
よって、加熱時間が短くても、成形材W表面の焦げ及び内部のボイドの防止等が図れるような適切な制御が行える。
即ち、従来のように、遠赤外線温度センサで検知した積層成形材の温度に基づいて近赤外線の強度を調整すると、12秒間程度の加熱時間及び成形材Wの必要な温度(280℃程度)への昇温に対応する程度の加熱速度では、積層成形材の温度を処理して近赤外線の強度を切り替えるための十分な時間がない。又、近赤外線放射装置からの迷光で遠赤外線温度センサの誤差が生じ、制御に影響が出る可能性がある。
これに対し、加熱装置1では、ヒータ段階出力設定パターンテーブルに基づいて、予め定められた各段階の順で下赤外線ヒータ44及び上赤外線ヒータ64の出力が切り替えられるため、かような加熱速度であっても、下赤外線ヒータ44及び上赤外線ヒータ64の出力が素早く適切に切り替えられ、又センサが用いられないのでセンサに起因する誤差が生じない。よって、成形材W表面の焦げ及び内部のボイドの防止等が図れるような適切な制御が行える。
即ち、加熱方法では、発熱温度が1450℃以上1650℃以下である下赤外線ヒータ44及び上赤外線ヒータ64から放射された赤外線を、加熱対象である成形材Wに照射する。よって、成形材W(吸収率のピーク1.51μm程度)に対する吸収が良好な赤外線(エネルギー密度のピーク1.51μm程度)が用いられ、成形材Wの加熱が均一に行われる加熱方法が提供される。
更に、加熱方法では、下赤外線ヒータ44及び上赤外線ヒータ64の出力を、成形材Wの加熱開始時のもの(100%)に対して(ステップS2)、加熱開始後所定時間(8秒)の経過により低下させる(30%,出力低下ステップS3)。よって、成形材Wの表面温度の過上昇を抑制しながら、成形材W内部への伝熱による内部温度の上昇を図ることができ、成形材Wを均一に加熱して、表面の焦げ及び内部のボイドの防止等が図れるような適切な制御を行うことができる。
Claims (7)
- 発熱温度が1450℃以上1650℃以下である赤外線ヒータと、
加熱対象である樹脂及び樹脂複合材料の少なくとも一方を、前記赤外線ヒータからの赤外線が照射される位置において支持する加熱対象支持手段と、
を備えており、
前記赤外線ヒータは、前記加熱対象の上下において、それぞれ面状の炭素繊維製のフィラメントを有するカーボンヒータを含む状態で設けられており、
前記加熱対象支持手段は、前記加熱対象を載置可能な枠状であり、前記加熱対象を上下の前記赤外線ヒータからの赤外線が照射されるように支持し、
前記カーボンヒータは、面状の前記フィラメントにおいて赤外線が上下を中心に放射される姿勢で設けられる
ことを特徴とする樹脂又は樹脂複合材料加熱装置。 - 前記赤外線ヒータの発熱温度は、1600℃を超えて1650℃以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の樹脂又は樹脂複合材料加熱装置。 - 前記加熱対象支持手段は、カーボン製である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の樹脂又は樹脂複合材料加熱装置。 - 前記加熱対象支持手段は、前記加熱対象について、搬入する搬入位置から、前記赤外線が照射される加熱位置を経て、搬出する搬出位置まで搬送する搬出位置まで移動可能である
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の樹脂又は樹脂複合材料加熱装置。 - 更に、前記赤外線を前記加熱対象の側に反射する反射手段を備えている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の樹脂又は樹脂複合材料加熱装置。 - 更に、前記赤外線ヒータの出力を調節する制御手段を備えており、
前記制御手段は、前記赤外線ヒータにおける出力の最大出力に対する割合と、その割合に係る出力を継続する時間とが対応付けられたヒータ段階出力設定パターンテーブルに基づいて、前記赤外線ヒータの出力を調節する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記載の樹脂又は樹脂複合材料加熱装置。 - 発熱温度が1450℃以上1650℃以下である赤外線ヒータから放射された赤外線を、加熱対象である樹脂及び樹脂複合材料の少なくとも一方に照射する樹脂又は樹脂複合材料加熱方法において、
前記赤外線ヒータの出力を、前記加熱対象の加熱開始時のものに対して、加熱開始後所定時間の経過により低下させる
ことを特徴とする樹脂又は樹脂複合材料加熱方法。
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