JP7057076B2 - 植物体の生産方法 - Google Patents

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Description

本発明は、植物体の生産方法に関する。
一般的に、イチゴ等の品種において、ウイルスフリーの苗等を育成する有効な方法としては以下の方法が知られている。まず、優良な個体から採取した茎頂細胞等を無菌状態にて培養し、カルスと呼ばれる無分化の細胞の塊を形成する。続いて、そのカルスに所定の濃度に調整した植物ホルモンを加えることで不定芽等を発生させ、それを用いて植物体を再生する。このような技術として、例えば特許文献1に記載の技術が挙げられる。
ところで、特許文献2には、マイクロビーズゲルの製造方法が開示されており、マイクロビーズゲルに細胞を封入してもよいことが記載されている。また、特許文献3には、炭素ナノ材料を含有する三次元細胞培養担体を用いた三次元細胞培養方法が開示されている。
特開2017-55670号公報(2017年3月23日公開) 特開2009-207963号公報(2009年9月17日公開) 特開2005-130759号公報(2005年5月26日公開)
しかしながら、上述のような従来技術は、任意の三次元形状の植物体を形成するという観点からは改善の余地があった。例えば、特許文献1に記載の技術では、成長した際の植物体の形状については植物任せであり、制御することはできない。また、特許文献2及び3に記載の技術は、既に分化した細胞を用いることを意図している。
本発明の一態様は、これらの問題点に鑑みてなされたものであり、任意の三次元形状の植物体を形成する方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明者が鋭意研究を行った結果、分化能を有する植物細胞を用いて三次元形状体を形成することによって、任意の三次元形状の植物体が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は以下の態様を含む。
<1>分化能を有する植物細胞を含んだ三次元形状体を形成する造形工程を備える、植物体の生産方法。
<2>前記分化能を有する植物細胞が、カルスから得られた脱分化細胞である、<1>に記載の植物体の生産方法。
<3>前記造形工程において、前記分化能を有する植物細胞を含むゲルビーズを、目的とする植物体の概形に等しい形状に配置する、<1>または<2>に記載の植物体の生産方法。
<4>前記三次元形状体が、前記分化能を有する植物細胞を含むゲルビーズと、前記分化能を有する植物細胞を含まないゲルビーズとから形成される、<3>に記載の植物体の生産方法。
<5>前記分化能を有する植物細胞が、複数種類の植物に由来するものである、<1>~<4>のいずれか1つに記載の植物体の生産方法。
<6>前記造形工程の前、前記造形工程の後、または前記造形工程と同時に、植物細胞の組織化を促進する成分を含んだ組織化促進剤を、前記分化能を有する植物細胞に添加する組織化促進工程を備える、<1>~<5>のいずれか1つに記載の植物体の生産方法。
<7>前記組織化促進工程において、前記三次元形状体の複数の箇所に、それぞれ異なる組織化促進剤を添加する、<6>に記載の植物体の生産方法。
<8>前記造形工程及び前記組織化促進工程の後に、培養工程を備える、<6>または<7>に記載の植物体の生産方法。
<9>前記培養工程において、前記三次元形状体を他の植物体と結合するように培養する、<8>に記載の植物体の生産方法。
<10>前記培養方法において、前記三次元形状体の茎に相当する部分の長さ方向を重力方向と平行に保持する、<8>または<9>に記載の植物体の生産方法。
<11>前記造形工程において、ディッピング方式、インクジェット方式またはディスペンサ方式によって、前記三次元形状体を形成する、<1>~<10>のいずれか1つに記載の植物体の生産方法。
<12>前記組織化促進工程において、ディッピング方式、インクジェット方式またはディスペンサ方式によって、前記組織化促進剤を前記三次元形状体または前記分化能を有する植物細胞に添加する、<6>~<10>のいずれか1つに記載の植物体の生産方法。
<13>階調制御可能な方式によって前記組織化促進剤を前記三次元形状体に添加する、<12>に記載の植物体の生産方法。
<14>前記三次元形状体は、葉及び茎の少なくともいずれか一方の配置が制御されたものである、<1>~<13>のいずれか1つに記載の植物体の生産方法。
<15>前記三次元形状体は、表面で開口する中空部及び溝部の少なくともいずれか一方を備える、<1>~<14>のいずれか1つに記載の植物体の生産方法。
本発明の一態様によれば、任意の三次元形状を有する植物体を形成する方法を提供できるという効果を奏する。
本発明の一実施形態における植物体の形状を表す模式図である。 本発明の一実施形態における造形工程の概要を表す模式図である。 本発明の一実施形態におけるゲルビーズを表す模式図である。 本発明の一実施形態におけるゲルビーズの配置を表す模式図である。 図4とは別の実施形態におけるゲルビーズの配置を表す模式図である。 本発明の一実施形態における中空部を備える三次元形状体を表す模式図である。 本発明の一実施形態における中空部の配置を決定するためのモデルを表す模式図である。 図6とは別の実施形態における中空部を備える三次元形状体を表す模式図である。 本発明の一実施形態における溝部を備える三次元形状体を表す模式図である。 本発明の一実施形態における組織化促進工程の概要を表す模式図である。 本発明の一実施形態における階調制御の概要を表す模式図である。 本発明の一実施形態において造形工程と組織化促進工程とを同時に行う場合であって、液滴を空中で衝突させて混合する場合を説明した模式図である。 本発明の一実施形態において造形工程と組織化促進工程とを同時に行う場合であって、異なる組成の組織化促進剤を用いる場合を説明した模式図である。 本発明の一実施形態における培養工程の概要を表す模式図である。 実施例1で使用される基板の作製方法の概要を表す模式図である。 実施例1で使用される基板を表す模式図である。 実施例3における造形工程の概要を表す模式図である。 実施例3における培養工程の概要を表す模式図である。
以下、本発明の実施の形態の一例について詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されない。尚、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。また、説明の便宜上、同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本発明の一実施形態に係る植物体の生産方法は、分化能を有する植物細胞を含んだ三次元形状体を形成する造形工程を備える。当該植物体の生産方法によれば、この造形工程によって形成された三次元形状体から植物体を得るため、任意の三次元形状の植物体を得ることができる。詳細については、以下に説明する。
〔1.造形工程〕
造形工程は、分化能を有する植物細胞を含んだ三次元形状体を形成する工程である。本工程では、植物体を任意の形状に形成することができるとともに植物細胞を任意の組織に分化させることができるため、高い自由度にて植物体を設計することができる。
<1-1.植物細胞>
造形工程では、少なくとも分化能を有する植物細胞を用いる。分化能を有する植物細胞としては、脱分化細胞が挙げられる。脱分化細胞としては、植物組織から採取した細胞からカルスを得て、このカルスから得られた細胞等が挙げられる。そのような植物組織としては、根、茎、葉、花弁、種子、胚、胚珠、子房、葯、花粉及び成長点(茎頂分裂組織及び根端分裂組織)等が挙げられる。特に茎頂分裂組織の細胞(茎頂細胞)は、ウイルスフリーとなるので好ましい。
カルスは、上記植物組織を摘出し、栄養を含む培地で培養して形成することができる。例えば、植物ホルモンであるオーキシンとサイトカイニンとを、ほぼ同程度の濃度にて添加することでカルスの誘導が可能である。上記培地は、液体培地であってもよく、一般的に用いられる植物培養用の培地であればよい。そのような培地としては、例えばMS培地及びLS培地が挙げられる。
次いで、形成したカルスに対して酵素を用いて、細胞を単離するか、または細胞の塊であるスフェロイドの状態まで細分化することが好ましい。この場合、三次元形状体を形成することがより容易である。上記酵素としては、セルラーゼ及びペクチナーゼ等が挙げられる。これらの酵素の水溶液をカルスに接触させることが好ましい。
尚、カルスを経由した分化能を有する細胞を用いて三次元形状体を形成する以外にも、植物組織から取り出した細胞をそのまま用いて三次元形状体を形成してもよい。但し、この場合には、植物組織から取り出した細胞を用いて三次元形状体を形成した後に、少なくとも一部の細胞は脱分化させる必要がある。
さらには、分化能を有する植物細胞と、特定の組織に分化した植物細胞との両方を用いて三次元形状体を形成してもよい。この特定の組織に分化した植物細胞とは、植物組織から取り出した植物細胞、および、分化能を有する植物細胞に対して組織化促進工程を施すことにより分化させた植物細胞等を指す。
上記植物細胞は、種子植物、シダ植物及びコケ植物のいずれの植物の細胞であってもよい。種子植物は、被子植物であってもよく、裸子植物であってもよい。被子植物は、単子葉植物であってもよく、双子葉植物であってもよい。また、上記植物は草本であっても木本であってもよい。
単子葉植物としては、ラン科(シュンラン、コチョウラン及びバニラ等)、イネ科(イネ、コムギ、オオムギ、ライ麦、トウモロコシ、キビ、アワ及びサトウキビ等)、カヤツリグサ科(パピルス等)、サトイモ科(サトイモ等)、オモダカ科(クワイ等)、ユリ科(チューリップ、タマネギ、ネギ、ニンニク、ニラ及びアスパラガス等)、ヤマノイモ科(ヤマノイモ等)及びショウガ科(ミョウガ及びショウガ等)等が挙げられる。尚、タマネギ、ネギ、ニンニク及びニラはヒガンバナ科、アスパラガスはキジカクシ科に分類される場合もある。
双子葉植物としては、キク科(ヒマワリ、レタス、ゴボウ、シュンギク及びフキ等)、マメ科(ダイズ、エンドウ、アズキ、ソラマメ及びラッカセイ等)、アカネ科(コーヒー等)、シソ科(シソ、エゴマ及びハッカ等)、トウダイグサ科(ポインセチア及びキャッサバ等)、アオイ科(ワタ属及びオクラ等)、セリ科(ニンジン、パセリ及びセロリ等)、アブラナ科(ダイコン、アブラナ、ハクサイ、カブ、カラシナ、カリフラワー、キャベツ、ブロッコリー、ワサビ及びハツカダイコン等)、バラ科(イチゴ、リンゴ、ナシ、サクラ、ウメ及びモモ等)、ナス科(ナス、トマト、トウガラシ、タバコ、ピーマン及びジャガイモ等)、アカザ科(ホウレンソウ等)、スイレン科(スイレン及びジュンサイ等)、ハス科(ハス等)、ミカン科(ミカン及びレモン等)、ウコギ科(ウド及びタラノキ等)、ヒルガオ科(サツマイモ等)、ウリ科(スイカ、メロン、キュウリ、ニガウリ、カボチャ及びヘチマ等)、ブドウ科(ブドウ等)、ゴマ科(ゴマ等)、ナデシコ科(カスミソウ及びカーネーション等)、スミレ科(パンジー等)、サクラソウ科(シクラメン等)及びキンポウゲ科(クレマチス属等)等が挙げられる。尚、ホウレンソウはヒユ科に分類される場合もある。
分化能を有する植物細胞が、複数種類の植物に由来するものであってもよい。これにより、複数種類の植物の特性を併せ持つ植物体を生産することができる。例えば、環境ストレスへの耐性向上、病害虫被害の回避、品質向上、収穫量増加または成長促進等の効果が考えられる。
また、接ぎ木による作業負担を軽減することも可能である。例えば、穂木及び台木の準備が不要である。また、穂木と台木との接合部から水及び雑菌が入らないように管理することも不要である。尚、穂木及び台木のうち、一方を通常の方法で栽培した植物体とし、もう一方を上記三次元形状体によって補ってもよい。
さらに、特定の器官のみを他の植物種の細胞から形成することが可能であるため、既存の接ぎ木に比べて、高い自由度にて植物体を設計することができる。例えば、大きい葉を有する植物の細胞を用いれば、光合成がしやすくなって成長を促進させること、または少ない枚数の葉で光合成を行うことができる。強く広がる根を有する植物の細胞を用いれば、養分を吸収しやすくなり、成長が促進される、または糖度もしくは栄養価が高まる。本来水耕栽培に適さない植物に対して、水耕栽培に適した植物の細胞を用いて根を形成することもできる。また、寒さもしくは暑さ、または病害虫に強い植物の細胞を用いることもできる。
例えば、本発明の一実施形態によれば、茎及び葉の部分はスイカの細胞で形成し、茎の一部及び根はカボチャの細胞で形成することも可能である。これにより、スイカの穂木にカボチャの台木を接ぎ木することと同等の効果を得ることができる。
<1-2.三次元形状体>
本明細書において「三次元形状体」とは、複数の細胞を積層して形成された構造体であり、目的とする植物体の概形に等しい形状に形成された構造体を意図している。ここで、目的とする植物体は、根、茎及び葉を備えた植物体全体であってもよく、一部の器官であってもよい。例えば、本発明の一実施形態に係る植物体の生産方法によれば、根を除去した植物体において、根に相当する領域に三次元形状体を形成し、根へと分化させることもできる。
本明細書において「目的とする植物体の概形に等しい形状」とは、器官の位置、方向、大きさ及び/または数等が、生産したい植物体とほぼ同じである形状を意図している。尚、本明細書においては、後述のように中空部及び溝部の少なくともいずれか一方を備える三次元形状体も、「目的とする植物体の概形に等しい形状」に包含され得る。
三次元形状体の形状は、対象とする植物種が通常の生産方法によって生産された場合または自然条件によって生育した場合の形状であってもよく、そのような形状とは異なる形状であってもよい。以下では、「対象とする植物種が通常の生産方法によって生産された場合または自然条件によって生育した場合の形状」を単に「通常の形状」と称する。
例えば、通常の形状に比べて、葉が大きい、葉の数が多い、または葉の配置が異なる三次元形状体により、光合成を効率的に行う植物体を得ることができる。また、通常の形状に比べて、根が太い、根が長い、根の数が多い、または茎が太い三次元形状体により、水分または養分の吸収力が高い植物体を得ることができる。このような三次元形状体により、植物体の成長促進または高付加価値化が可能である。
また、三次元形状体は、葉及び茎の少なくともいずれか一方の配置が制御されたものであってもよい。例えば、三次元形状体において、葉または茎の方向を1方向または2方向に限定してもよい。例えば、葉または茎の配置を直線状またはL字状にしてもよい。あるいは、三次元形状体において、葉の数が多い領域と葉の数が少ない領域を設けてもよい。また、葉の代わりに、根の方向、配置及び/または数を制御してもよい。このような三次元形状体を用いれば、植物体の株間を狭めて密植することができる。図1は、本発明の一実施形態における植物体の形状を表す模式図である。図1の(a)は、葉が放射状に展開された通常の植物体を表す。図1の(b)は、葉の方向が2方向に限定された植物体(葉が直線状に配置された植物体)を表す。図1の(a)に示される植物体に比べて、図1の(b)に示される植物体は、株間を狭めて密植することができる。
また、植物工場等においては、葉の方向または配置を限定することによって、光源の配置を最適化することもできる。つまり、特定の方向または位置にのみ光源を配置すればよいので、初期投資及び光熱動力費の削減が可能である。また、多段で植物を栽培する場合を想定して、三次元形状体の丈を低くしてもよい。
尚、葉、茎または根の方向、配置または数を制御する場合、光合成または養分吸収の能力が低下しないようにすることが好ましい。例えば、葉の数を減らす代わりに葉の表面積を大きくすること、または葉のつく方向を限定する代わりに葉の数を増やすことが好ましい。
さらに、花が形成される位置を制御してもよい。例えば、葉、茎または枝の方向または配置を制御することにより、花が形成される位置を制御することができる。具体的には、茎の先端付近(将来、花芽が形成されると推測される位置)には葉を形成しないことが挙げられる。例えば、茎の先端から、通常の形状における葉の長さ以上、好ましくは通常の形状における葉の長さの2倍の長さ以上の位置には葉を形成しないことが挙げられる。これにより果実が形成される位置も制御することができる。
近年、農業従事者の負担軽減及び農作業の効率化のために様々な農作業の自動化が推進されている。ここで、例えば最も自動化が困難な作業の一つに収穫作業がある。収穫作業を自動化するためには、ステレオカメラ等を用いて収穫対象物を検出する検出作業とマニュピレータ等を用いて収穫対象物を収穫する収穫作業とが必要である。いずれの作業においても課題になるのが、収穫対象物が葉または他の収穫対象物の陰になり検出できない、または収穫できないことである。つまり、検出作業においては、収穫対象物が葉または他の収穫対象物の陰になると、収穫対象物として画像認識で判別できないことがある。また、収穫対象物が認識できたとしても、収穫作業ができないことがある。例えば、収穫対象物が葉または他の収穫対象物の陰になっていることにより、他の部分にダメージを与えることなくマニュピレータで収穫対象物にアクセスすることが難しい場合がある。つまり、植物体の形状を植物自体の成長に委ねることが、収穫作業の自動化の推進を阻害し得る。
本発明の一実施形態に係る植物体の生産方法によれば、葉及び実の配置を植物の成長に委ねる場合に比べて、育成時または収穫時の作業性を向上する形状を有する苗を提供することが可能である。すなわち、自動化に適した形状を有する苗を提供することが可能である。例えば、葉、茎または枝の方向または配置が均一に制御された三次元形状体を形成すれば、果実が形成される位置を一定とすることも可能である。例えば、葉が多い領域と果実が形成される領域とが平面方向または高さ方向に隔離された三次元形状体を形成してもよい。例えば、図1の(c)は、葉が多い領域αと果実が形成される領域βとが隔離された植物体を示している。これにより、果実の画像認識及びマニピュレータによる果実へのアクセスが容易になる。
以上のように本発明の一実施形態に係る植物体の生産方法によれば、ユーザーの要望に沿った形状に苗をカスタマイズすることも可能である。また、本発明の一実施形態に係る植物体の生産方法は、食糧生産に限らず、観賞用または贈答用の植物においても利用できる。
<1-3.三次元形状体の形成方法>
三次元形状体の形成方法は、特に限定されず、分化能を有する植物細胞等を所望の形状に配置及び積層すればよい。植物細胞は、マニュピレータ等を用いて配置及び積層されてもよい。または、植物細胞を分散させた分散液に、基板を浸漬して、所望の形状を形成してもよい。あるいは、当該分散液を基板等に塗布もしくは滴下して所望の形状を形成してもよい。本明細書においては、このような分散液を「インク」とも称する。例えば、単離した細胞もしくはスフェロイド、またはその混合物を液体に分散させたインクを用いることが好ましい。当該液体としては、水が挙げられる。インクの調製に水を用いる場合、純水を用いてもよく、各種成分を溶解させた水溶液を用いてもよい。
造形工程において、ディッピング方式、インクジェット方式またはディスペンサ方式によって、三次元形状体を形成することが好ましい。これにより、上述のインクを用いて容易に三次元形状体を形成することができる。
ディッピング方式には、植物細胞を配置するためのパターンが予め形成された基板が用いられ得る。ディッピング方式としては、上記基板を、水槽等に満たした上記インクに浸漬して、引き上げる方法が挙げられる。基板としては、フォトリソグラフィー法等によって、植物細胞を配置したい領域と配置したくない領域のパターンが形成された基板が挙げられる。上記基板においては、必要に応じて大気圧プラズマ等を用いて表面改質を施してもよい。これにより、植物細胞を配置したい領域は親水性に、植物細胞を配置したくない領域は撥水性にすることもできる。その基板をインクにディッピングすることで、親水性領域によって形成された任意のパターン上にのみ植物細胞を配置することができる。
また、インクジェット方式またはディスペンサ方式を用いて、基板に対してインクを滴下することによっても、インクを所望の形状に配置することが可能である。図2は、本発明の一実施形態における造形工程の概要を表す模式図である。図2では、一例としてインクジェット方式を用いている。インクジェットヘッド1は、植物細胞を含むインクを充填したタンク2と接続されている。インクジェットヘッド1は、インクジェットヘッド移動機構3によって移動させることができる。インクジェットヘッド1を移動させながら液滴4(植物細胞を含むインク)を吐出する。これにより、インクに含まれる植物細胞が積層された三次元形状体5を形成することができる。
インクジェット方式またはディスペンサ方式を用いる場合、重力方向に垂直な方向に植物細胞の配置を進めることが好ましい。すなわち、将来的に茎が伸長する方向(植物成長方向)が重力方向に垂直となるように、三次元形状体を形成することが好ましい。例えば、図2のように、液滴4の滴下によって、重力方向に垂直な方向へ第一の層6を形成する。尚、図2において、重力方向は液滴4が滴下される方向である。そして、三次元形状体5に厚みを持たせるために、第一の層6上に第二の層7、第三の層8等の複数の層を順に形成することが好ましい。これにより、初めから重力方向と平行に植物細胞を積み上げる方法に比べて、簡便に三次元形状体を形成することができる。それゆえ、効率よく且つ歩留まりよく三次元形状体を形成することができる。
また、上述のように親水性領域及び撥水性領域のパターンを用いなくてもよい。例えば、高粘度に調整したインクを滴下することでパターンを形成してもよい。
インクジェット方式またはディスペンサ方式における、インクを吐出するためのノズル径は、インクに含まれる植物細胞の大きさに応じて適宜決定されるが、例えば、20μm以上であってもよい。植物細胞の大きさは約10μm程度であるため、ノズル径が20μm以上であれば、ノズルが詰まるリスクを低減できる。吐出される植物細胞は、単離された細胞であってもよく、スフェロイドであってもよい。
ピコリットル~ナノリットル単位のインクを吐出できるという観点からは、インクジェット方式が好ましい。インクジェット方式としては、ピエゾ方式を用いることが好ましい。ピエゾ方式では、電圧を加えて圧電素子を変形させる。これにより生じた圧力によって、インクを吐出する。ピエゾ方式であれば、インクを加熱するサーマル方式に比べて、植物細胞に与える影響が少ない。また、吐出されるインクの液滴サイズを、電気パルス信号によって均一に制御できるという観点からも、ピエゾ方式が好ましい。
また、ディスペンサ方式として、例えばジェットディスペンサ方式を用いてもよい。ジェットディスペンサ方式も、インクジェット方式と同様に非接触であることから、繊細な細胞を用いた造形に適している。また、ジェットディスペンサ方式は、インクジェット方式と同様に比較的微量の液滴を安定して吐出できるという観点からも好ましい。
インクを用いる場合は、マグネチックスターラーまたはバブリング等によって水槽またはタンク内のインクを撹拌することが好ましい。これにより、インク内で細胞が均一に分散した状態を保つことができる。また、インクによって形成された三次元形状体を扱う空間には囲いを設け、加湿機等により内部の湿度を70%以上に保つことが望ましい。これにより、インクが乾燥することを防ぐことができる。
特定の組織に分化した植物細胞を併用して三次元形状体を形成する場合、特定の組織に分化した植物細胞は、その組織に該当する部位に配置する(つまり、葉に分化した細胞は葉を形成する部位に、根に分化した細胞は根を形成する部分に配置する)。さらに、特定の組織に分化した植物細胞の周囲には、分化能を有する植物細胞を配置することが好ましい。このように配置することにより、培養工程において、特定の組織に分化した植物細胞と、その周囲にあり、細胞分裂により増殖する分化能を有する植物細胞とが連結しやすくなる。また連結後に、特定の組織に分化した植物細胞から、周囲の分化能を有する植物細胞に対して、その組織への分化を促す信号伝達を行うことができる。
<1-4.ゲルビーズ>
造形工程において、植物細胞はゲルビーズに包まれていることが好ましい。すなわち、造形工程において、植物細胞を含むゲルビーズを、目的とする植物体の概形に等しい形状に配置することが好ましい。このゲルビーズを積層させて容易に三次元形状体を形成することができる。ゲルビーズは、アルギン酸のアルカリ土類金属塩(例えば、アルギン酸カルシウムまたはアルギン酸バリウム等)を含むことが好ましい。
ゲルビーズの形成方法は限定されないが、例えば、分化能を有する植物細胞とアルギン酸塩とを含むインクを、アルカリ土類金属塩の水溶液に滴下する方法が挙げられる。具体例を以下に説明する。まず、分化能を有する植物細胞とアルギン酸ナトリウムとを含むインクを調製する。このインクを、別に用意した塩化カルシウム水溶液を充填した水槽内に滴下する。滴下されたインク内に含まれるアルギン酸ナトリウムは、水槽内の塩化カルシウムと反応することで、アルギン酸カルシウムのゲル被膜を形成する。ここで、塩化カルシウム水溶液の代わりに塩化バリウム水溶液を用いた場合は、アルギン酸バリウムのゲル被膜が形成される。これにより、滴下したインクの表面がゲル化され、内部に植物細胞と溶液とを含んだゲルビーズが形成される。図3は、本発明の一実施形態におけるゲルビーズを表す模式図である。ゲルビーズ9において、インク成分10(植物細胞を含み得る)がゲル被膜11によって包まれている。このゲルビーズ9を積層することにより、三次元形状体を形成することができる。
インクを滴下する手段としては、少量の液滴を滴下できるインクジェット法またはジェットディスペンサ法等が好ましい。これにより、形成するゲルビーズの大きさを可能な限り小さくすることができる。
上記インクにおけるアルギン酸塩の濃度は、0.5~1.5重量%であることが好ましい。また、インクを滴下する水溶液におけるアルカリ土類金属イオンの濃度は、30~180mMであることが好ましく、45~90mMであることがより好ましい。
また、造形工程において、分化能を有する植物細胞を含まないゲルビーズを用いてもよい。すなわち、三次元形状体は、分化能を有する植物細胞を含むゲルビーズと、分化能を有する植物細胞を含まないゲルビーズとから形成されることが好ましい。分化能を有する植物細胞を含まないゲルビーズは、上述の分化能を有する植物細胞を含むゲルビーズと同様に形成することができる。図4は、本発明の一実施形態におけるゲルビーズの配置を表す模式図である。図4に示すように、植物細胞を含まないゲルビーズ12によって、植物体と等しい形状に配置された植物細胞を含むゲルビーズ13を支えることができる。すなわち、植物細胞を含まないゲルビーズ12をサポート材として用いることができる。
また、分化能を有する植物細胞を含まないゲルビーズとして、特定の組織に分化した植物細胞を含むゲルビーズを用いてもよい。図5は、図4とは別の実施形態におけるゲルビーズの配置を表す模式図である。例えば、図5の(a)のように、特定の組織に分化した植物細胞を含むゲルビーズ71の周囲に、分化能を有する植物細胞を含むゲルビーズ72を配置してもよい。この図5の(a)に示したゲルビーズの配置を最小単位として、図5の(b)に示すようにゲルビーズを配置してもよい。これにより、上述のように植物細胞同士の連結が促進されるとともに、分化した植物細胞からの信号伝達が可能となる。尚、図5の(b)に示す配置では、中空部62が設けられている。この中空部62については、後述する。
ゲルビーズは、その目的である三次元形状体としての構造を保持する機能等が不要となった段階で除去することが好ましい。上述のようにゲルビーズがアルギン酸のアルカリ土類金属塩から形成される場合、アルカリ土類金属イオンを捕捉するキレート剤を用いることで、ゲルビーズを除去することができる。
<1-5.中空部及び溝部の少なくともいずれか一方を備える三次元形状体>
三次元形状体は、表面で開口する中空部及び溝部の少なくともいずれか一方を備えていてもよい。後述の培養工程において三次元形状体の内部に対して酸素及び培養液が十分に供給されないと、内部の細胞が死んでしまうおそれがある。特に、三次元形状体が大きい場合(例えば、茎もしくは根に相当する部分の直径が大きい場合、または葉に相当する部分の厚みが大きい場合)、このようなおそれがある。三次元形状体が中空部または溝部を備えていれば、中空部または溝部を介して三次元形状体の内部に酸素及び培養液を供給することができる。例えば、茎に相当する部分の直径が数百μm以上である場合、中空部または溝部を設けることが好ましい。中空部の直径は、中空部を通過する分子の大きさ及び中空部における流路抵抗を鑑み、約100μm以上であることが好ましい。
以下では、茎に相当する部分(以下では単に茎部分と称する)に中空部を設ける例を説明する。図6は、本発明の一実施形態における中空部を備える三次元形状体を表す模式図である。以下では、直径が1000μmである茎部分60を、植物細胞を含んだ直径30μmのゲルビーズ61を積層することによって形成する場合を想定する。図6の(a)は茎部分60の外観を示した図である。図6の(b)は図6の(a)のA-A’における断面図である。茎部分60には、外部と連通した中空部62が設けられている。中空部62はゲルビーズ61によって囲まれるように形成されている。茎部分60の上下にも三次元形状体を形成する場合は、中空部62を塞がないようにする。
図7は、本発明の一実施形態における中空部の配置を決定するためのモデルを表す模式図である。図7は、図6の(b)に示された断面図を想定している。まず、図7の(a)のように三次元形状体の断面が、円63の細密充填にて形成されるようにモデルを作成する。円63の直径は、植物細胞を含んだゲルビーズ61の直径に等しい。円63の半径を考慮して、直径が約100μmである最小繰り返し単位64(以下、ユニット64と称する)を決定する。図7の(b)はユニットを表す。円63の直径を30μmとした場合、ユニット64は、細密充填した7個の円63から構成される。中空部も、円63と直径が等しい円65から構成されたユニット66を用いて設定する。図7の(c)は、図7の(a)を、ユニット66の周囲をユニット64が取り囲むように区分した図である。ユニット64はゲルビーズ61を配置する領域とし、ユニット66はゲルビーズ61を配置しない領域とする。
図7の(c)に示したような配置を図6の(a)のZ軸方向へ積層することによって、中空部62を備えた茎部分60を形成することができる。この場合、いずれのゲルビーズ61も、茎部分60の表面から50μm以内に位置するため、酸素及び培養液が十分に供給される。尚、ユニット66には初めからゲルビーズを配置しないことが好ましい。すなわち、ユニット66にサポート材としてのゲルビーズを配置して後から除去する構成ではないことが好ましい。ただし、中空部以外には、サポート材としてのゲルビーズを配置してもよい。また、ゲルビーズの積層には、上述のようにインクジェット方式またはジェットディスペンサ方式を用いることが好ましい。
中空部の構成は、上述のような茎部分の上下(Z軸方向)に連通する流路に限定されない。例えば、図8は、図6とは別の実施形態における中空部を備える三次元形状体を表す模式図である。図8の(a)の茎部分67は、茎の長さ方向に垂直な中空部68を備えている。尚、図8の(a)は、Z軸方向に平行な断面図である。また、図8の(b)の茎部分69は、多方向に連通した中空部70を備え、スポンジ状(多孔質体)となっている。
図9は、本発明の一実施形態における溝部を備える三次元形状体を表す模式図である。例えば、図9の(a)のように、茎部分73の表面に溝部74を設けてもよい。さらには図9の(b)に示す茎部分75のように、中空部62及び溝部74の両方を有していてもよい。図9では、Z軸方向(重力方向かつ三次元形状体の長さ方向)に延びる溝部が例示されているが、溝部が延びる方向は特に限定されない。尚、図9に示す場合であれば、重力方向と平行に植物細胞を積層しながら、三次元形状体の長さ方向に平行に延びる溝部を容易に形成することができる。
これらの中空部及び溝部の少なくともいずれか一方を有する三次元形状体も、ゲルビーズを用いて形成することができる。
〔2.組織化促進工程〕
本発明の一実施形態に係る植物体の生産方法は、造形工程の前、造形工程の後、または造形工程と同時に、植物細胞の組織化を促進する成分を含んだ組織化促進剤を、分化能を有する植物細胞に添加する組織化促進工程を備えることが好ましい。これにより、植物細胞の分化を促進することができる。例えば、造形工程で用いられる分化能を有する植物細胞が単一の種類の細胞であっても、これらの細胞を様々な器官へ分化させることができる。また、三次元形状体から植物体を得るための期間を短縮できる。
<2-1.組織化促進剤>
組織化促進剤は、植物細胞の組織化を促進する成分を含んでいる。組織化促進剤は、固体、液体及び気体のいずれであっても構わないが、扱いやすさの観点からは液体であることが好ましい。
植物細胞の組織化を促進する成分としては、葉または根への分化に適した成長制御因子が挙げられ、例えば植物ホルモンが挙げられる。植物ホルモンとしては、オーキシン及びサイトカイニンが挙げられる。以下に植物ホルモンの例を挙げるが、いずれの植物ホルモンが適しているかは植物細胞の種類による。
オーキシンとしては、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、ナフタレン酢酸、インドール酪酸、インドール酢酸、インドールプロピオン酸、クロロフェノキシ酢酸、ナフトキシ酢酸、フェニル酢酸、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸、パラクロロフェノキシ酢酸、2-メチル-4-クロロフェノキシ酢酸、4-フルオロフェノキシ酢酸、2-メトキシ-3,6-ジクロロ安息香酸、2-フェニル酸、ピクロラム及びピコリン酸等が挙げられる。なかでも、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、ナフタレン酢酸、インドール酪酸またはインドール酢酸が好ましく、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸またはナフタレン酢酸がより好ましく、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸がさらに好ましい。
サイトカイニンとしては、ベンジルアデニン、カイネチン、ゼアチン、ベンジルアミノプリン、イソペンチニルアミノプリン、チジアズロン(TDZ)、イソペンテニルアデニン、ゼアチンリポシド及びジヒドロゼアチン等が挙げられる。なかでも、ベンジルアデニン、カイネチン、チジアズロンまたはゼアチンが好ましく、ベンジルアデニン、カイネチンまたはチジアズロンがより好ましく、チジアズロンがさらに好ましい。
組織化促進剤を液体として用いる場合の溶媒としては、例えば、水が挙げられる。水は、植物細胞への影響が少ないこと及び取扱いが容易であること等から好ましい。なお、本明細書において、組織化促進剤を含む液体も、植物細胞の分散液と同様にインクと称される場合がある。
<2-2.組織化促進剤の添加方法>
組織化促進剤の添加方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法が挙げられる。造形工程の前に組織化促進工程を行う場合、予め植物細胞へ組織化促進剤を添加したうえで、三次元形状体を形成する方法が挙げられる。造形工程の後に組織化促進工程を行う場合、三次元形状体を組織化促進剤に浸漬する方法、または三次元形状体へ組織化促進剤を塗布もしくは滴下する方法等が挙げられる。造形工程と同時に組織化促進工程を行う場合、組織化促進剤を添加しながら植物細胞を所望の形状に配置する方法が挙げられる。
組織化促進剤は、組織化したい組織に適した植物ホルモン環境となるように添加する。すなわち、組織化促進工程において、前記三次元形状体の複数の箇所に、それぞれ異なる組織化促進剤を添加することが好ましい。例えば、茎または葉にしたい部位にはサイトカイニンの濃度が高くなるように、根にしたい部位にはオーキシンの濃度が高くなるように組織化促進剤を添加することが好ましい。例えば、添加する組織化促進剤におけるサイトカイニン/オーキシンの重量比が、葉にしたい部位では2~3、茎にしたい部位では1~2、根にしたい部位では0.5~1であることが好ましい。
植物ホルモン環境の調整は、組織化促進剤の添加量を三次元形状体の部位に応じて変えることによって可能である。または、植物ホルモンの組成が異なる複数の組織化促進剤を予め用意し、これらを三次元形状体の部位毎に選択して添加することによっても可能である。すなわち、組織化促進工程において、三次元形状体の複数の箇所にそれぞれ、植物ホルモンの組成が異なる組織化促進剤を添加することができる。ここで「植物ホルモンの組成が異なる」とは、各組織化促進剤がそれぞれ単一の植物ホルモンを含み、それらの濃度が異なることに加えて、各組織化促進剤が複数種類の植物ホルモンを含み、それらの濃度が異なることも包含する意味である。さらに、「植物ホルモンの組成が異なる」とは、各組織化促進剤に含まれる植物ホルモンの種類が異なることも包含する意味である。
組織化促進工程において、ディッピング方式、インクジェット方式またはディスペンサ方式によって、組織化促進剤を三次元形状体または分化能を有する植物細胞に添加することが好ましい。これにより、三次元形状体または分化能を有する植物細胞へ容易に組織化促進剤を添加することができる。尚、この場合は、組織化促進剤を液体として用いることが想定される。
ディッピング方式としては、組織化促進剤を満たした水槽へ、三次元形状体または分化能を有する植物細胞を浸漬する方法が挙げられる。尚、分化能を有する植物細胞を、組織化促進剤を満たした水槽へ浸漬する場合には、予め分化させたい組織に応じた組成の組織化促進剤を複数用意し、分化能を有する植物細胞をそれぞれに浸漬することが好ましい。インクジェット方式及びディスペンサ方式としては、三次元形状体または分化能を有する植物細胞へ組織化促進剤を滴下する方法が挙げられる。滴下する量が安定しており、且つ任意の量に調整することが容易であるという観点からは、インクジェット方式またはディスペンサ方式がより好ましい。インクジェット方式としては、ピエゾ方式が好ましい。ピエゾ方式であれば、サーマル方式と比べて、吐出量が安定しているため細やかな濃度調整が容易である。ディスペンサ方式としては、ジェットディスペンサ方式を用いることができる。
図10は、本発明の一実施形態における組織化促進工程の概要を表す模式図である。図10では、一例としてインクジェット方式を用いている。インクジェットヘッド14は、組織化促進剤を含むインクを充填したタンク15と接続されている。インクジェットヘッド14は、インクジェットヘッド移動機構16によって移動させることができる。これによりインクジェットヘッド14を移動させながら液滴17(組織化促進剤を含むインク)を吐出し、三次元形状体5に組織化促進剤を添加することができる。
インクジェット方式またはディスペンサ方式を用いる場合、重力方向に垂直な方向へ三次元形状体を配置したうえで、重力方向に垂直な方向へ濃度勾配が形成されるように組織化促進剤を添加することが好ましい。すなわち、図10に示すように、将来的に茎が伸長する方向(植物成長方向)が重力方向に垂直となるように三次元形状体5を配置し、この植物成長方向と平行に組織化促進剤の濃度勾配を形成することが好ましい。これにより、効率よく且つ歩留まりよく分化を促進することができる。例えば、茎または葉にしたい部位にはサイトカイニンの濃度が高くなるように、根にしたい部位にはオーキシンの濃度が高くなるように濃度勾配を形成することが好ましい。
組織化促進工程においては、階調制御可能な方式によって前記組織化促進剤を前記三次元形状体に添加することが好ましい。例えば、組織化促進工程においては、インクジェット方式によって階調制御を行うことが好ましい。インクジェットプリンタ等の分野において、階調制御とは、ほぼ同一描画位置に対して、非常に短時間のうちに複数滴の同一インクを連続的に滴下させることにより、色の濃淡を表現することを指す。階調制御は、高周波数で駆動電圧を連続的に印可することにより、行うことができる。本発明の一実施形態では、インクジェット方式による階調制御を利用し、添加する組織化促進剤の量または濃度を調整することができる。この添加する組織化促進剤の量または濃度により、分化する組織を調整することができる。また、ピコリットルオーダーの連続的な濃度分布を作ることができるため、分化を細やかに制御することができる。
階調制御に優れた方式としては、ピエゾ方式が挙げられ、中でもシェアモード型が最も優れている。シェアモード型は、駆動電圧の印可により、圧電素子で形成したインク室間の壁面を「く」の字型に変形させてインクを吐出する。それゆえ、インクを吐出するための変形量が小さい。そのため、シェアモード型では、高周波数で駆動電圧を連続的に印可することが可能である。入力する波形を最適化することにより、シェアモード型インクジェットヘッドは8階調程度の制御が可能であることが知られている。上記インクとして、組織化促進剤を含むインクを用いることができる。
階調制御は、ある一つのノズルから吐出された1滴もしくは複数滴のインクと、それとは別のヘッドのある一つのノズルから吐出された1滴もしくは複数滴のインクとを空中で衝突させて一つの液滴とすることによっても行うことができる。図11は、本発明の一実施形態における階調制御の概要を表す模式図である。図11の(a)では、ある一つのノズルから吐出された1階調の液滴18と、それとは別の一つのノズルから吐出された1階調の液滴19とが、混合されて液滴20が得られる。図11の(b)では、ある一つのノズルから吐出された1階調の液滴18と、それとは別の一つのノズルから吐出された2階調の液滴21とが、混合されて液滴22が得られる。このようにして、組織化促進剤の濃度が異なる液滴20及び液滴22が得られる。
但し、シェアモード型といえども、階調を増やすほどインクジェットヘッドのノズル孔におけるメニスカスが不安定になり、吐出量または着弾位置の精度が低下することがある。このため、飛翔する複数の液滴同士を空中で衝突させて混合する用途においては、階調を3階調程度までに制御することが好ましい。
また、造形工程と同時に組織化促進工程を行う場合、植物細胞を含む液滴と、組織化促進剤を含む液滴とを、それぞれ別のノズルから吐出し、これらの液滴を空中で衝突させて混合することにより、一つの液滴とする方法を用いてもよい。以下では、植物細胞を含むインクをインクAと称し、植物細胞を含まず組織化促進剤を含むインクをインクBと称する。
インクAは少なくとも植物細胞を含んでいればよいが、植物細胞以外にサイトカイニン及びオーキシンの少なくともいずれか一方を含んでいてもよい。インクBは、インクAがサイトカイニンを含んでいるときにはオーキシンを含んだ水溶液とし、インクAがオーキシンを含んでいるときにはサイトカイニンを含んだ水溶液とすることが好ましい。インクAがサイトカイニン及びオーキシンの両方を含んでいる場合には、インクBもその両方含むか、いずれか一方かを含んでいることが好ましい。
インクAに対してインクBを混合することにより、植物細胞が組織化するための最適な植物ホルモン環境を構築することができる。つまり茎または葉にしたい部位ではサイトカイニンの濃度が高い環境を構築し、根にしたい部位ではオーキシンの濃度が高い環境を構築することができる。
混合後にそれぞれの部位に最適な植物ホルモン環境を構築する方法としては、インクA及びインクBの濃度を固定して、これらを混合する量の比率を、添加する三次元形状体の部位によって変える方法が挙げられる。また、予めインクAまたはインクBを複数の濃度で用意しておき、滴下する部位によって所定の濃度のインクを混合する方法も挙げられる。
造形工程と同時に組織化促進工程を行う方法の一例について、図12を参照して説明する。図12は、本発明の一実施形態において造形工程と組織化促進工程とを同時に行う場合であって、液滴を空中で衝突させて混合する場合を説明した模式図である。インクAを吐出するインクジェットヘッド23とインクBを吐出するインクジェットヘッド24を用意する。インクジェットヘッド23には、インクAが充填されたタンク25が接続され、インクジェットヘッド24には、インクBが充填されたタンク26が接続されている。インクジェットヘッド23及びインクジェットヘッド24の吐出タイミングを制御することで、吐出されたインクAの液滴27とインクBの液滴28とを空中で衝突させて一つの液滴29とすることができる。例えば、インクジェットヘッド23及びインクジェットヘッド24を対向させて配置し、予め液滴の飛翔速度を合わせた条件で、吐出のための波形信号を同期させれば、液滴27と液滴28とを空中で衝突させて混合することが可能である。ここで、インクジェットヘッド23及び24は階調制御が可能であるため、例えばインクジェットヘッド23から1階調で吐出した液滴と、インクジェットヘッド24から2階調で吐出した液滴を衝突させることも可能である。尚、さらにインクジェットヘッド23及びインクジェットヘッド24の周囲に囲いを設ける等により、飛翔している液滴が風等の外乱の影響を防ぐことが望ましい。
ここで、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸塩をインクAまたはインクBに含有させてもよい。また、液滴29が、水槽31内に充填された塩化カルシウム水溶液32中に滴下されるようにインクジェットヘッド23及びインクジェットヘッド24を配置してもよい。この場合、液滴29が塩化カルシウム水溶液32中に落下すると、液滴29内のアルギン酸成分と水槽31内のカルシウム成分が反応して、液滴29と塩化カルシウム水溶液32との界面で瞬時にゲルが形成される。これにより、インクAの成分とインクBの成分とを内包したゲルビーズ30が形成される。
このような吐出を繰り返しながらZ軸ステージ33及びX-Y平面ステージ34を移動させることによりゲルビーズ30を連結及び積層させて三次元形状体を形成することができる。
尚、高精度で積層を行うためには、造形開始時点(液滴29を滴下する時点)では塩化カルシウム水溶液32の水面近くにZ軸ステージ33を配置させておくことが好ましい。そして、ゲルビーズ30を積層する時点でゲルビーズ30の直径分の距離だけZ軸ステージ33を下方向(Z軸下向き)に移動させることが望ましい。
このように空中でインクAとインクBとを衝突させて混合する方法は、装置構成を簡便にするという観点から好ましいが、組織化促進剤の添加方法はこれに限定されるものではない。例えば、植物細胞と、異なる組成の組織化促進剤とを含む複数のインクを予め用意しておき、これらをそれぞれ別の吐出手段から吐出し、混合することなく三次元形状体を形成してもよい。図13は、本発明の一実施形態において造形工程と組織化促進工程とを同時に行う場合であって、異なる組成の組織化促進剤を用いる場合を説明した模式図である。図13は、植物細胞と、異なる組成の組織化促進剤とを含むインクC、インクD及びインクEを用いる場合を想定している。インクCを吐出するインクジェットヘッド35、インクDを吐出するインクジェットヘッド36及びインクEを吐出するインクジェットヘッド37を用意する。インクジェットヘッド35には、インクCが充填されたタンク38が接続されている。インクジェットヘッド36には、インクDが充填されたタンク39が接続されている。インクジェットヘッド37には、インクEが充填されたタンク40が接続されている。インクジェットヘッド35、インクジェットヘッド36及びインクジェットヘッド37は、インクジェットヘッド移動機構41によって移動させることができる。インクジェットヘッド35からインクCの液滴42を吐出した後、インクジェットヘッド移動機構41によって各インクジェットヘッドの位置を移動させる。そして、インクジェットヘッド36からインクDの液滴43を吐出し、液滴43を液滴42上に積層させる。同様に、各インクジェットヘッドの位置を移動させた後、インクジェットヘッド37からインクEの液滴44を吐出し、液滴44を液滴43上に積層させる。この場合、空中での混合が不要であるため、プロセスが安定する。また、この複数のインクそれぞれにアルギン酸塩を含有させておき、塩化カルシウム水溶液中に滴下すれば、ゲルビーズを得ることができる。
〔3.培養工程〕
前記造形工程の後に、前記三次元形状体を培養して目的とする植物体に育成する培養工程を備えることが好ましい。尚、培養工程は、前記造形工程及び前記組織化促進工程の後に行われることがより好ましい。これにより、三次元形状体の分化を、より促進することができる。
造形工程によって形成した三次元形状体を、例えば、培養器または培養液に入れ、植物体へと育成することができる。培養工程は、通気培養などによって行われてもよい。
培養工程において、三次元形状体を他の植物体と結合するように培養してもよい。上述の造形工程においては、葉、茎及び根等の全ての器官を含む植物体が形成されるように三次元形状体を形成してもよいが、全ての器官を造形工程において形成する必要はない。予め一部の器官が欠損した植物体に対して、その一部の器官になり得る三次元形状体が結合するように培養することもできる。例えば、根が欠損した植物体に対して、三次元形状体を結合し、この三次元形状体を根へと分化させることもできる。例えば、後述の実施例では根を切除したイチゴ苗に対して、イチゴの細胞を含んだインクを用いて三次元形状体を形成した。
尚、三次元形状体を他の植物体と結合するように培養する場合、三次元形状体と他の植物体とは、同種であってもよく、別種であってもよい。例えば、根の部分を切除したスイカに対して、この根の部分をカボチャの細胞を用いて形成してもよい。これにより、スイカの茎に連結したカボチャの根を形成することも可能である。これにより、スイカの穂木にカボチャの台木を接ぎ木した場合と同様の植物体を形成することが可能である。また、水耕栽培に適さない植物の根の部分のみ、水耕栽培に適した植物体の細胞を用いて形成することもできる。これにより、通常、水耕栽培に適さない植物を、水耕栽培することも可能になる。
培養方法においては、三次元形状体の茎に相当する部分の長さ方向を重力方向と平行に保持することが好ましい。尚、本明細書において「茎に相当する部分の長さ方向」とは、植物体において茎が伸長する方向を意図している。すなわち、茎が伸長する方向が重力方向上向きになり、根が伸長する方向が重力方向下向きになるように三次元形状体を保持して培養することが好ましい。このように植物が自然界で生育している状態と同じ重力環境にて三次元形状体を培養することにより、意図しない方向への植物体の成長を防ぐことができる。葉または根等である三次元形状体を、茎を有する他の植物体に接続する場合は、この茎を有する他の植物体の茎が伸長する方向を重力方向と平行になるように保持することが好ましい。
図14は、本発明の一実施形態における培養工程の概要を表す模式図である。図14では、培養器45内にて、将来的に茎が伸長する方向(植物成長方向)が重力方向と平行になるように三次元形状体5を保持している。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
<インク調製>
まず、造形工程で使用する細胞を以下のように準備した。イチゴ(品種「とちおとめ」)の葉片を採取し、エタノール及び次亜塩素酸ナトリウムを用いた一般的な方法によって殺菌処理及び滅菌処理を行った。また、MS培地の無機塩組成を3倍に希釈した1/3MS培地を調製した。この1/3MS培地に対して30g/Lのショ糖、1.0mg/LのTDZ及び0.1mg/Lの2,4-Dを添加した培地を用いて、上記葉片からカルス誘導を行った。得られたカルスは、セルラーゼ水溶液を用いて細胞毎に単離した。
単離した細胞を、TDZの濃度が1.0mg/Lとなるように調整した水溶液に分散させて、インクA-1を得た。また、2,4-D水溶液を3種類用意した。2,4-Dの濃度が0.2mg/Lの水溶液をインクB-1、0.4mg/Lの水溶液をインクB-2、0.6mg/Lの水溶液をインクB-3とした。
<造形工程で使用する基板の作製>
続いて、造形工程で使用する、パターンが形成された基板を以下のように準備した。図15は、実施例1で使用される基板の作製方法の概要を表す模式図である。まず、図15の(a)及び(b)に示すように、ガラス基板46に対して、スリットコーターを用いてポジ型フォトレジスト47を塗布した。図15の(c)に示すように、このポジ型フォトレジスト47に対して、細胞を配置したいパターンが開口したメタルマスク48を用いてマスキングしたうえで、露光用照射光49を照射した。これにより、図15の(d)に示すように、フォトレジスト層50を形成した。その後、図15の(d)及び(e)に示すように、エッチング液(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド溶液)を用いて露光部分51を除去した。その後、このパターンを形成したガラス基板46に、図15の(f)に示すように、アッシング装置を用いてプラズマ52を処理することで親水化処理を行った。これにより、図15の(g)に示すように、親水化された領域53を有するガラス基板46を得た。尚、プラズマ処理の条件は、水に対する接触角が、細胞を配置する領域(フォトレジスト層50の除去部分)では10°以下、細胞を配置したくない領域(フォトレジスト層50の残存部分)では60°以上となるように調整した。
<造形工程>
上述のように得られたパターン形成済みの基板を、インクA-1を充填した水槽内にディッピングして取り出した。図16は、実施例1で使用される基板を表す模式図である。このディッピングにより、図16に示すように、所定のパターン上にのみインク54(インクA-1)を配置した。
<組織化促進工程>
続いて、組織化促進工程として、基板に配置されたインクA-1の上に、ディスペンサを用いてインクB-1、インクB-2及びインクB-3を滴下してインクA-1を被覆した。このとき、培養後に植物体の根になる部分にはインクB-1を、茎になる部分にはインクB-2を、葉になる部分にはインクB-3をそれぞれ滴下した。この滴下するインクB-1、インクB-2及びB-3の合計量は、パターン上に残存しているインクA-1を被覆するために、インクA-1の倍の量となるように滴下した。尚、滴下後のインクB-1、インクB-2及びインクB-3については、基板上で互いに交じり合うことがないよう粘度調整することにより、流動性を抑えた。
<培養工程>
続いて、培養工程として、組織化促進工程で作製したサンプルを、ショ糖等を含んだ培養液に入れ、通気培養を行った。通気培養は、光強度40μmol・m-2・sec-1、16時間日長、25℃で管理しながら45日間行った。
〔実施例2〕
<インク調製>
実施例1と同様に細胞を単離した。単離した細胞を、アルギン酸ナトリウムの濃度が1重量%、TDZの濃度が2.4mg/Lとなるように調整した水溶液に分散させてインクA-2とした。また2,4-Dの濃度が1.0mg/Lである水溶液をインクB-4として作製した。
<装置構成>
本実施例では、図12に示した装置構成と同様の装置構成を用いた。インクA-2を吐出するインクジェットヘッドと、インクB-4を吐出するインクジェットヘッドとをそれぞれ用意し、鉛直方向に対して約-30~30°の傾きで対向させて配置した。これにより、インクA-2の液滴とインクB-4の液滴とを衝突させて1つの液滴を形成した。2つのインクジェットヘッドとしては、階調制御が可能なピエゾ式のシェアモード型インクジェットヘッドを用いた。
また、2つのインクジェットヘッドの下方には2重量%塩化カルシウム水溶液を充填した水槽を配置した。さらに水槽内にはZ軸ステージを、水槽の下にはX-Y平面ステージを設けた。
<造形工程及び組織化促進工程>
実施例2では、上記装置を用いて造形工程と組織化促進工程とを同時に行った。尚、実施例2ではインクジェットヘッドのインク吐出量を1滴あたり約7pLに設定しており、2階調の場合の吐出量は約14pL、3階調の場合の吐出量は約20pLとした。実施例2では、インクA-2を吐出するインクジェットヘッドは全て1階調、インクB-4を吐出するインクジェットヘッドは1~3階調の吐出とした。従って、2つのインクジェットヘッドから吐出された液滴を混合した液滴は14~27pLとなり、この液滴から形成されるゲルビーズの直径は30~40μmとなった。培養後の植物体として葉となる部分にはインクB-4を1階調、茎となる部分にはインクB-4を2階調、根となる部分にはインクB-4を3階調吐出した。このようにして作製したゲルビーズ内に含有されているTDZと2,4-Dとの重量比は下表のとおりである。
Figure 0007057076000001
ゲルビーズを形成しながらX―Y平面ステージとZ軸ステージとを移動させることで、ゲルビーズを15~16段積層した。最終的に造形した三次元形状体の大きさはおよそ長さ10cm、幅1cm、厚み0.5cmであった。ここで、長さはX軸方向の長さ、幅はY軸方向の長さ、厚みはZ軸方向の長さを表す。
<培養工程>
続いて、培養工程として、この三次元形状体を、ショ糖等を含んだ培養液に入れ、通気培養を行った。通気培養は、光強度40μmol・m-2・sec-1、16時間日長、25℃で管理しながら45日間、行った。
さらに同方法で新たに三次元形状体のサンプルを作製し、培養後の植物体として根となる部分が下、葉となる部分が上となるように維持して培養工程を同様に行った。
〔実施例3〕
実施例2と同様にまず、採取した細胞を培養してインクA-3及びインクB-5を作製した。また、図12と同じ構成の装置を使用した。図17は、実施例3における造形工程の概要を表す模式図である。本実施例では、図17に示すように、塩化カルシウム水溶液32を充填した水槽31内に根を切除したイチゴ苗55(全長約7cm)を入れて固定し、その切除した部分に連続するようにゲルビーズ56を形成し、三次元形状体を作製した。尚、図17の(a)はZ軸方向から見た図であり、図17の(b)はY軸方向から見た図である。このときインクジェットヘッド23の1滴あたりの吐出量は約7pLで1階調とし、インクジェットヘッド24の1滴あたりの吐出量は約7pLで3階調とすることで約20pLとした。
図18は、実施例3における培養工程の概要を表す模式図である。上述のように作製した三次元形状体を含む植物体を、図18に示すように、クランプ57を用いて、培養後に根となる部分が重力方向下側となるように配置した。尚、ゲルビーズ56から形成された三次元形状体のみが、容器58に充填した培養液59内に入るように保持して培養を行った。これは、培養の際のコンタミネーションを防ぐ目的と、分化の際の重力から受ける影響とを考慮したものである。その後、実施例2の培養工程と同じ条件で15日間培養した。
〔実施例4〕
実施例1と同様に細胞を単離した。単離した分化能を有する植物細胞を4グループに分け、そのうち3グループに対して葉、茎または根への分化に適した配合の組織化促進剤(下記表2参照)およびショ糖等をそれぞれ加え、インクC-1、C-2及びC-3を作製した。単離した分化能を有する植物細胞のうちの残りの細胞については、アルギン酸ナトリウム1重量%の水溶液に分散させてインクD-4とした。
Figure 0007057076000002
次に、インクC-1、C-2及びC-3を3日間通気培養した後、それぞれにアルギン酸ナトリウムが1重量%となるように加えてインクD-1、D-2及びD-3を作製した。また、植物細胞を含有していないサポート材用のインクD-5としてアルギン酸ナトリウム1重量%水溶液を用意した。
インクジェットヘッド5つを用い、インクD-1~D-5を2重量%塩化カルシウム水溶液中に滴下した。インク吐出量は1滴あたり約7pLとした。このとき形成されるゲルビーズの直径は約20μmであった。
葉を形成する部分にはインクD-1及びD-4を、茎を形成する部分にはインクD-2及びD-4を、根を形成する分部にはインクD-3及びD-4を、サポート材が必要な部分にはインクD-5を滴下した。インクD-4は、インクD-1、D-2またはD-3を滴下して形成したゲルビーズの周囲を取り囲むように滴下しゲルビーズを形成した。このように配置することにより、培養工程において、組織化促進工程前の分化能を有する植物細胞(インクD-4)は分裂して増殖し、隣接するゲルビーズ内の植物細胞同士を連結させる役割を果たす。一方、組織化促進工程後の分化した植物細胞(インクD-1、D-2及びD-3)は、周囲の分化能を有する植物細胞と連結した際に、分化能を有する植物細胞に対して、各組織への分化を誘導する信号を伝達する役割を果たす。
ゲルビーズを形成しながらX-Y平面ステージとZステージとを移動させることで、ゲルビーズを15~16段積層し、三次元形状体を得た。最終的に造形した三次元形状体の大きさはおよそ長さ5cm、幅1cm、厚み0.3cmであった。ここでの長さはX軸方向の長さ、幅はY軸方向の長さ、厚みはZ軸方向の長さを表す。
次いで、実施例2と同様に培養工程を行った。尚、本実施例では分化能を有する植物細胞のみを材料として用いたが、植物組織から取り出した分化した植物細胞を用いてもよい。このような植物組織から取り出した分化した植物細胞を単離及び分散させてインクD-1(葉)、D-2(茎)およびD-3(根)を作製して同じ処理をしても同様の効果が得られる。
本発明の一態様は、例えば、育成または栽培に適した形状を持った植物体の生産に利用することができる。
1、14 インクジェットヘッド
2、15 タンク
3、16 インクジェットヘッド移動機構
4、17 液滴
5 三次元形状体
9 ゲルビーズ
10 インク成分
11 ゲル被膜
12 植物細胞を含まないゲルビーズ
13 植物細胞を含むゲルビーズ

Claims (13)

  1. 分化能を有する植物細胞を含むゲルビーズを含んだ、表面で開口する中空部及び溝部の少なくともいずれか一方を備える三次元形状体を形成する造形工程と、
    前記造形工程の前、前記造形工程の後、または前記造形工程と同時に、植物細胞の組織化を促進する成分を含んだ組織化促進剤を、前記分化能を有する植物細胞に添加する組織化促進工程と、
    前記造形工程の後に、前記三次元形状体が備える中空部及び溝部の少なくともいずれか一方に酸素及び培養液を供給しつつ前記三次元形状体を培養する培養工程と、を備える、植物体の生産方法。
  2. 前記分化能を有する植物細胞が、カルスから得られた脱分化細胞である、請求項1に記載の植物体の生産方法。
  3. 前記造形工程において、前記分化能を有する植物細胞を含むゲルビーズを、目的とする植物体の概形に等しい形状に配置する、請求項1または2に記載の植物体の生産方法。
  4. 前記三次元形状体が、前記分化能を有する植物細胞を含むゲルビーズと、前記分化能を有する植物細胞を含まないゲルビーズとから形成される、請求項3に記載の植物体の生産方法。
  5. 前記分化能を有する植物細胞が、複数種類の植物に由来するものである、請求項1~4のいずれか1項に記載の植物体の生産方法。
  6. 前記組織化促進工程において、前記三次元形状体の複数の箇所に、それぞれ異なる組織化促進剤を添加する、請求項1~5のいずれか1項に記載の植物体の生産方法。
  7. 前記造形工程及び前記組織化促進工程の後に、前記培養工程を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の植物体の生産方法。
  8. 前記培養工程において、前記三次元形状体を他の植物体と結合するように培養する、請求項1~7のいずれか1項に記載の植物体の生産方法。
  9. 前記培養工程において、前記三次元形状体の茎に相当する部分の長さ方向を重力方向と平行に保持する、請求項1~8のいずれか1項に記載の植物体の生産方法。
  10. 前記造形工程において、ディッピング方式、インクジェット方式またはディスペンサ方式によって、前記三次元形状体を形成する、請求項1~のいずれか1項に記載の植物体の生産方法。
  11. 前記組織化促進工程において、ディッピング方式、インクジェット方式またはディスペンサ方式によって、前記組織化促進剤を前記三次元形状体または前記分化能を有する植物細胞に添加する、請求項~10のいずれか1項に記載の植物体の生産方法。
  12. 階調制御可能な方式によって前記組織化促進剤を前記三次元形状体に添加する、請求項11に記載の植物体の生産方法。
  13. 前記三次元形状体は、葉及び茎の少なくともいずれか一方の配置が制御されたものである、請求項1~12のいずれか1項に記載の植物体の生産方法。
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