以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
(実施形態1)
図1~図3を参照して、本発明の実施形態1に係る湿度発生システム500を説明する。図1は、実施形態1に係る湿度発生システム500を示す図である。
図1に示すように、湿度発生システム500は、湿度発生装置100と、ボイラー200と、空気供給装置300とを備える。ボイラー200は、水を加熱して飽和湿り蒸気を生成し、飽和湿り蒸気を湿度発生装置100に供給する。飽和湿り蒸気とは、水分(例えば、微小な水滴)を含む飽和蒸気のことである。飽和蒸気とは、沸点温度(例えば、大気圧において100℃)の水蒸気のことである。沸点温度は水の沸点温度を示す。沸点温度は気圧に応じて変化する。なお、水分を含まない飽和蒸気は、飽和乾き蒸気である。
空気供給装置300は、湿度発生システム500の設置された室内の空気を湿度発生装置100に供給する。空気供給装置300は、例えば、コンプレッサーである。湿度発生装置100は、飽和湿り蒸気から生成した過熱水蒸気と空気とを混合して、目標湿度を有する混合空気を発生する。
本明細書では、特に明示しない限り、混合空気は湿潤空気である。湿潤空気とは、空気と水蒸気とが混合した気体のことである。そして、水蒸気の割合に関係なく、空気と水蒸気とが混合した気体は、湿潤空気である。従って、水蒸気を含む空気に限らず、空気を含む水蒸気もまた、湿潤空気である。また、目標湿度を有する混合空気を発生することは、目標湿度を発生することに相当する。「目標湿度」は、例えば、露点温度、絶対湿度、相対湿度、又は水蒸気モル分率によって表される。
なお、空気供給装置300が供給する空気は、湿潤空気又は乾き空気である。そこで、空気供給装置300が供給する空気を「第1空気AR1」と記載し、湿度発生装置100の発生する混合空気である湿潤空気と区別する。なお、乾き空気とは、水蒸気を含まない空気のことである。
湿度発生装置100は、湿度発生ユニットU1と、校正ユニットU2と、制御ユニットU3とを備える。湿度発生ユニットU1は、過熱水蒸気と第1空気AR1とを混合した混合空気、又は、過熱水蒸気を発生する。過熱水蒸気とは、水の沸点温度よりも高い温度の水蒸気のことである。過熱水蒸気は空気を含まない。
湿度発生ユニットU1は、蒸気流量調節部F1と、蒸気処理部1と、空気流量調節部F2と、空気処理部21と、第1出力切替部31と、第2出力切替部41と、温度調節部51と、チャンバー53と、圧力測定部55と、温度測定部57と、圧力調節部59と、ファン61とを含む。
蒸気流量調節部F1は、ボイラー200の供給した飽和湿り蒸気の流量を調節して、蒸気処理部1に供給する。蒸気流量調節部F1はバルブVB1を含む。蒸気流量調節部F1は、バルブVB1を開く程度又は閉じる程度によって、飽和湿り蒸気の流量を調節する。
蒸気処理部1は、蒸気流量調節部F1を介してボイラー200の供給した飽和湿り蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成し、飽和湿り蒸気に含まれる水分(例えば、微小な水滴)を除去するとともに、過熱水蒸気の流量を測定する。本明細書において、「水分」は、液体である水を示す。
具体的には、蒸気処理部1は、水除去部3と、蒸気流量測定部5とを含む。蒸気流量測定部5は、水除去部3の下流側に配置される。水除去部3は、ボイラー200の供給した飽和湿り蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成し、飽和湿り蒸気に含まれる水分を除去する。水除去部3は、気水分離部7と、加熱部9とを含む。
気水分離部7は、飽和湿り蒸気に含まれる水分を飽和湿り蒸気から分離する。例えば、気水分離部7は、遠心力又は重力を利用して、飽和湿り蒸気から水分を分離する。加熱部9は、気水分離部7による水分の分離後の飽和湿り蒸気を水の沸点温度よりも高い温度(例えば、大気圧において150℃)に加熱して、過熱水蒸気を生成する。従って、飽和湿り蒸気から、気水分離部7によって分離できなかった水分が蒸発する。加熱部9は、例えば、ヒーターである。
実施形態1によれば、水除去部3が気水分離部7だけを有する場合又は水除去部3が加熱部9だけを有する場合と比較して、短時間で飽和湿り蒸気に含まれる水分を除去できる。また、加熱部9による加熱の前に気水分離を行うため、加熱部9に供給する電力を小さくできるとともに、加熱部9の容量(例えば、ヒーター容量)を小さくできる。
また、加熱部9が飽和湿り蒸気を水の沸点温度よりも高い温度に加熱するため、飽和湿り蒸気は過熱水蒸気になる。従って、実施形態1によれば、加熱部9によって容易に過熱水蒸気を生成できる。
なお、バルブVB1に代えて、又は、バルブVB1に加えて、気水分離部7と加熱部9との間にバルブを配置してもよい。そして、バルブを開く程度又は閉じる程度によって、飽和湿り蒸気の流量を調節する。
蒸気流量測定部5は、加熱部9によって生成された過熱水蒸気の流量を測定する。過熱水蒸気は水分を含まないため、蒸気流量測定部5は高精度で流量を測定できる。蒸気流量測定部5は、例えば、体積流量又は質量流量を測定する流量計である。本明細書において、「流量」は、単位時間当たりに移動する物質の量を示す。「物質の量」は、例えば、物質の体積、質量、又はモル量である。「体積流量」は、単位時間当たりに移動する物質の体積を示す。「質量流量」は、単位時間当たりに移動する物質の質量を示す。「モル流量」は、単位時間当たりに移動する物質のモル量を示す。
実施形態1では、蒸気流量測定部5はオリフィス流量計である。従って、蒸気流量測定部5は、比較的小流量の過熱水蒸気の流量を測定できる。具体的には、蒸気流量測定部5は、差圧式流量計であり、オリフィス(不図示)と、圧力測定部11と、温度測定部13と、差圧測定部15とを含む。圧力測定部11は、過熱水蒸気の1次側圧力P1を測定する。圧力測定部11は、例えば、圧力計である。温度測定部13は、オリフィス上流側に取り付けられて、過熱水蒸気の温度T1を測定する。温度測定部13は、例えば、温度センサー(例えば、熱電対)である。差圧測定部15は、オリフィスの絞り部前後の過熱水蒸気の差圧を測定する。差圧測定部15は、例えば、圧力センサーである。
圧力測定部11の測定した1次側圧力P1の値、温度測定部13の測定した温度T1の値、及び差圧測定部15の測定した差圧ΔPの値は、制御ユニットU3に出力される。制御ユニットU3は、1次側圧力P1、温度T1、及び差圧ΔPを使用して、式(1)に基づいて、過熱水蒸気のモル流量nsteam(mol/s)を算出する。
式(1)において、「C」は流量計数、「ε」は過熱水蒸気の膨張補正係数、「A」は絞り部の断面積(m2)、「ΔP」は絞り部前後の差圧(Pa)、「ρsteam」は絞り部上流側測定断面における過熱水蒸気の密度(kg/m3)、「MH2O」は水のモル質量(kg/mol)を示す。ここで、流量係数Cはレイノルズ数がある値以上の範囲では一定である。加えて、膨張補正係数εはΔP/P1の1次式で表され、実験によって求められる。そこで、実施形態1では、流量係数Cと膨張補正係数εとの積を流出係数Ksteamとして、実験によって求めている。密度ρsteamは、温度T1と1次側圧力P1とに基づいて算出される。
空気流量調節部F2は、空気供給装置300の供給した空気である第1空気AR1の流量を調節して、空気処理部21に供給する。空気流量調節部F2はバルブVB2を含む。空気流量調節部F2は、バルブVB2を開く程度又は閉じる程度によって、第1空気AR1の流量を調節する。
空気処理部21は、空気流量調節部F2を介して空気供給装置300の供給した第1空気AR1の流量を測定するとともに、流量の測定された第1空気AR1を加熱する。
具体的には、空気処理部21は、第1流量測定部23と、第1温度制御部25とを含む。第1流量測定部23は、第1温度制御部25の上流側に配置される。第1流量測定部23は、第1空気AR1の流量を測定する。第1流量測定部23は、第1空気AR1の流量の値を制御ユニットU3に出力する。第1流量測定部23は、例えば、体積流量又は質量流量を測定する流量計である。第1流量測定部23は、第1空気AR1の温度を測定する温度センサーのような温度測定部(不図示)と、第1空気AR1の圧力を測定する圧力センサーのような圧力測定部(不図示)とを含む。第1温度制御部25は、第1流量測定部23を通過した第1空気AR1を加熱する。第1温度制御部25は、例えば、ヒーターである。
具体的には、第1温度制御部25は、第1空気AR1を水の沸点温度よりも高い温度(例えば、200℃)に加熱する。従って、実施形態1によれば、蒸気処理部1が生成した過熱水蒸気と第1空気AR1とを混合する際に、過熱水蒸気に含まれる水蒸気が第1空気AR1によって水に戻ることを抑制できる。さらに、第1空気AR1の流量を測定した後に第1空気AR1を加熱するため、第1流量測定部23は、室温の第1空気AR1の流量を測定する。その結果、高温の第1空気AR1を測定する場合と比較して、第1流量測定部23の耐久性を向上できるし、安価な第1流量測定部23を使用できる。
なお、空気処理部21は、蒸気処理部1の生成した過熱水蒸気が所定条件を満足する場合は、第1温度制御部25を有していなくてもよい。所定条件は、過熱水蒸気と第1空気AR1とが混合された後に、結露が発生しないような温度及び流量を過熱水蒸気が有することである。
第1出力切替部31は、蒸気流量測定部5を通過した過熱水蒸気だけを出力するか、又は、蒸気流量測定部5を通過した過熱水蒸気と、第1流量測定部23を通過した第1空気AR1とを混合して、過熱水蒸気と第1空気AR1とが混合した混合空気を出力する。従って、湿度発生装置100の使用目的に合わせて、過熱水蒸気又は混合空気をチャンバー53に供給できる。
具体的には、第1出力切替部31は、蒸気流量測定部5を通過した過熱水蒸気だけを出力するか、又は、蒸気流量測定部5を通過した過熱水蒸気と、第1温度制御部25によって加熱された第1空気AR1とを混合して、過熱水蒸気と第1空気AR1とが混合した混合空気を出力する。
第2出力切替部41は、第1出力切替部31の出力した気体を、チャンバー53に向けて出力するか、又は、校正ユニットU2に向けて出力する。第1出力切替部31の出力した気体は、過熱水蒸気又は混合空気である。
従って、実施形態1によれば、第2出力切替部41が第1出力切替部31の出力した気体をチャンバー53に向けて出力する場合は、湿度発生装置100の使用目的に合わせて、過熱水蒸気又は混合空気をチャンバー53に供給できる。一方、第2出力切替部41が第1出力切替部31の出力した過熱水蒸気を校正ユニットU2に向けて出力する場合は、蒸気流量測定部5を校正できる。
具体的には、湿度発生ユニットU1は、配管PP1と、配管PP2と、配管PP3とをさらに含む。配管PP1は、蒸気流量測定部5から校正ユニットU2まで延びる。配管PP2は、第1温度制御部25から配管PP1まで延びており、配管PP1に接続される。配管PP3は、配管PP1に接続され、配管PP1からチャンバー53まで延びている。第1出力切替部31はバルブ33を含む。バルブ33は配管PP2に設けられる。第2出力切替部41はバルブ43とバルブ45とを含む。バルブ43は配管PP3に設けられ、バルブ45は配管PP1に設けられる。
バルブ33が閉じられると、蒸気流量測定部5を通過した過熱水蒸気だけが配管PP1に供給される。一方、バルブ33が開かれると、蒸気流量測定部5を通過した過熱水蒸気と第1温度制御部25によって加熱された第1空気AR1とが混合され、混合空気が配管PP1に供給される。
過熱水蒸気だけが配管PP1に供給されているときに、バルブ43が開けられ、かつ、バルブ45が閉じられていると、過熱水蒸気だけが、配管PP3に供給されて、チャンバー53に供給される。一方、混合空気が配管PP1に供給されているときに、バルブ43が開けられ、かつ、バルブ45が閉じられていると、混合空気が、配管PP3に供給されて、チャンバー53に供給される。
過熱水蒸気だけが配管PP1に供給されているときに、バルブ43が閉じられ、かつ、バルブ45が開けられると、過熱水蒸気だけが、配管PP1を通って、校正ユニットU2に供給される。
温度調節部51は、第1出力切替部31及び第2出力切替部41の出力した過熱水蒸気又は混合空気を加熱して、過熱水蒸気又は混合空気をチャンバー53に供給する。つまり、温度調節部51は、チャンバー53に収容される過熱水蒸気又は混合空気の温度を調節する。温度調節部51は、チャンバー53の外部に配置されていてもよいし、チャンバー53の内部に配置されていてもよい。温度調節部51は、例えば、ヒーターである。
例えば、温度調節部51は、過熱水蒸気又は混合空気を更に加熱して、更に加熱された過熱水蒸気又は混合空気をチャンバー53に供給する。従って、実施形態1によれば、温度調節部51によって容易に高温の過熱水蒸気又は高温の混合空気を生成できる。
チャンバー53は、第1出力切替部31及び第2出力切替部41の出力した気体を収容する。具体的には、チャンバー53は、第1出力切替部31及び第2出力切替部41の出力した過熱水蒸気又は混合空気を収容する。チャンバー53は、例えば、試験槽である。チャンバー53内で、例えば、湿度計のキャリブレーション、又は、様々な試験(例えば、材料の試験)が行われる。
圧力調節部59は、チャンバー53に収容された過熱水蒸気又は混合空気の圧力を調節する。圧力調節部59は、例えば、バルブを含み、バルブを開く程度又は閉じる程度によって、チャンバー53に収容された過熱水蒸気又は混合空気の圧力を調節する。
圧力測定部55は、チャンバー53内の過熱水蒸気又は混合空気の圧力を測定して、圧力の値を制御ユニットU3に出力する。圧力測定部55は、例えば、圧力計である。温度測定部57は、チャンバー53内の過熱水蒸気又は混合空気の温度を測定して、温度の値を制御ユニットU3に出力する。温度測定部57は、例えば、温度センサーである。ファン61は、過熱水蒸気又は混合空気を吸引して排出する。
制御ユニットU3は、蒸気流量測定部5の測定した過熱水蒸気の流量(以下、「流量FA」と記載する。)と、第1流量測定部23の測定した第1空気AR1の流量(以下、「流量FB」と記載する。)とに基づいて、チャンバー53に供給される混合空気の湿度を算出する。
実施形態1では、制御ユニットU3は、チャンバー53に供給される混合空気の湿度を表す水蒸気モル分率xgen(mol/mol)を、式(2)に基づいて算出する。
式(2)において、「nair」は第1空気AR1のモル流量(mol/s)、「nsteam」は過熱水蒸気のモル流量(mol/s)、「xair」は第1空気AR1の水蒸気モル分率(mol/mol)を示す。第1空気AR1のモル流量nairは、第1流量測定部23によって測定された第1空気AR1の体積流量又は質量流量に基づいて算出される。過熱水蒸気のモル流量nsteamは、蒸気流量測定部5の測定結果に基づいて式(1)に従って算出される。第1空気AR1の水蒸気モル分率xairは、制御ユニットU3によって第1空気AR1の湿度に基づいて算出される。第1空気AR1の湿度は湿度計(不図示)により測定される。
実施形態1によれば、湿度発生装置100は、水蒸気モル分率xgenを有する混合空気をチャンバー53に供給できる。つまり、湿度発生装置100は、水蒸気モル分率xgenで表される目標湿度をチャンバー53内で発生できる。
制御ユニットU3は、湿度発生ユニットU1及び校正ユニットU2を制御する。具体的には、制御ユニットU3は、蒸気流量調節部F1、水除去部3、蒸気流量測定部5、空気流量調節部F2、第1流量測定部23、第1温度制御部25、第1出力切替部31、第2出力切替部41、温度調節部51、圧力調節部59、及びファン61を制御する。
制御ユニットU3は、コンピューターであり、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーと、記憶装置とを含む。記憶装置は、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。記憶装置は、半導体メモリーのような主記憶装置と、半導体メモリー及び/又はハードディスクドライブのような補助記憶装置とを含む。制御ユニットU3のプロセッサーは、制御ユニットU3の記憶装置が記憶しているコンピュータープログラムを実行して、湿度発生ユニットU1及び校正ユニットU2を制御する。
以上、図1を参照して説明したように、実施形態1によれば、湿度発生装置100は、分流法で使用される飽和槽を有することなく、混合空気又は過熱水蒸気を発生している。従って、飽和槽への供給熱量の増大、飽和槽の結露防止用の温度管理のための装置の大型化、及び、飽和槽からの気泡の量の増加に起因する流量の不安定という問題が発生しない。その結果、比較的広い温度帯において比較的高い精度で目標湿度を発生できる。例えば、露点温度25℃(室温相当)以上露点温度95℃以下の温度帯だけでなく、特に高温域側の温度帯、つまり、大気圧において露点温度95℃以上露点温度100℃以下の温度帯においても、比較的高い精度で目標湿度を発生できる。例えば、大気圧よりも高い圧力の環境下では、露点温度100℃よりも高い露点温度の温度帯において、比較的高い精度で目標湿度を発生できる。
また、実施形態1によれば、湿度発生装置100は飽和槽を有していないため、湿度発生装置100を小型化できる。
さらに、実施形態1によれば、蒸気流量調節部F1によって過熱水蒸気の流量を調節するとともに、空気流量調節部F2によって第1空気AR1の流量を調節することによって、チャンバー53に供給する混合空気の湿度を容易に調節できる。つまり、目標湿度を容易に設定できる。
さらに、実施形態1によれば、温度調節部51及び/又は圧力調節部59によって、チャンバー53内の温度及び/又は圧力を調節することで、任意の相対湿度及び/又は露点温度を有する混合空気を生成できる。
さらに、実施形態1によれば、温度調節部51及び/又は圧力調節部59によって、チャンバー53内の温度及び/又は圧力を調節することで、所望の温度及び所望の圧力を有する過熱水蒸気を生成できる。
さらに、実施形態1によれば、比較的高い精度で目標湿度を発生できるため、湿度発生装置100は湿度標準を発生するために好適である。湿度標準とは、湿度測定装置の測定値を確認するための標準となる湿度のことである。従来、湿度調整(水蒸気流量の調整)は経験的な操作で行われていたところ、湿度発生装置100によって湿度標準を整備することで、湿度測定装置の精度(不確かさ)が明確化され得る。加えて、工学的な観点から水の沸点温度以上での湿度の意味が整理され、過熱水蒸気及び高温高湿度の湿潤空気の利用チャート(後述する図2)上で、過熱水蒸気及び湿潤空気の状態を数値化することが可能となる。その結果、種々の利用分野において従来まで経験的に使われてきた、広範囲な温度域及び湿度域の気体の利用技術がさらに高度化されることが期待できる。「種々の利用分野」は、例えば、湿度及び水蒸気の流量に関する計測工学、熱工学、装置工学、及び化学工学の分野、並びに、食品工学、農業工学、材料工学、及び乾燥工学の分野である。さらに、湿度発生装置100は、各種加工装置の省エネルギー化(例えば、水蒸気使用量の低減又は熱回収)に寄与し得る。
次に、図2を参照して、過熱水蒸気及び高温高湿度の湿潤空気を説明する。図2は、過熱水蒸気及び高温高湿度の湿潤空気の利用チャートを示す図である。図2において、横軸は0℃から250℃までの温度Tを示し、縦軸は水蒸気分圧Ps(kPa)を示す。
図2に示すように、利用チャートには、100℃以上の水蒸気のみの状態(大気圧=水蒸気分圧)、つまり、過熱水蒸気の状態が示されている。大気圧の過熱水蒸気(利用チャートの上端)では、露点温度は100℃である。利用チャートは、空気調和の分野で一般的に使用される空気線図に基づいて作成されている。破線で示される枠Gは、一般的な空気線図で示されている領域を示す。利用チャートにおいて、例えば、点Aの湿潤空気の露点温度は温度Cであり、点Aの湿潤空気の湿球温度は温度Bである。また、利用チャートには、気体の称呼例を記載している。破線の枠で囲まれた称呼は俗称を示す。
利用チャートでは、高温になるほど実在可能な湿度(水蒸気分圧)領域が大きく広がっている。湿度発生装置100は、利用チャートに示す広い温度帯において、過熱水蒸気及び湿潤空気を発生できる。
次に、図1及び図3を参照して、校正ユニットU2を説明する。校正ユニットU2は、「校正部」の一例に相当する。図1に示すように、校正ユニットU2は、蒸気流量測定部5を校正するためのユニットである。
図3は、校正ユニットU2を示す図である。図3に示すように、校正ユニットU2は、凝縮部71と、測定部73とを含む。校正ユニットU2は、温度測定部77を含んでいてもよい。
凝縮部71は、湿度発生ユニットU1(具体的には第1出力切替部31及び第2出力切替部41)の出力した過熱水蒸気を凝縮させて、過熱水蒸気を水に戻す。つまり、バルブ33及びバルブ43が閉じられ、バルブ45が開かれているときに、凝縮部71は、過熱水蒸気を凝縮させて、過熱水蒸気を水に戻す。
具体的には、凝縮部71は、冷却水の通る冷却管75を有する熱交換器を含む。そして、凝縮部71は、冷却管75によって過熱水蒸気を冷却し、過熱水蒸気を水に戻す。温度測定部77は、冷却管75の表面の温度を測定して、温度の値を制御ユニットU3に出力する。温度測定部77は、例えば、温度センサーである。
測定部73は、過熱水蒸気の凝縮によって得られた水の重量を測定する。具体的には、測定部73は、収容部81と、重量測定部83とを含む。収容部81は、過熱水蒸気の凝縮によって得られた水を収容する。収容部81は、例えば、容器である。重量測定部83は、収容部81に収容された水の重量を測定する。重量測定部83は、例えば、電子天秤である。重量測定部83は、水の重量の値を所定時間間隔で制御ユニットU3に出力する。
制御ユニットU3は、所定時間間隔で出力される水の重量の値を記憶する。そして、制御ユニットU3は、記憶した水の重量の値に基づいて、単位時間当たりの水の重量の変化量を算出する。単位時間あたりの水の重量の変化量は、過熱水蒸気の質量流量M1を示す。
そして、制御ユニットU3は、過熱水蒸気の質量流量M1に基づいて、蒸気流量測定部5を校正する。従って、実施形態1によれば、比較的高い温度において比較的高い目標湿度を発生する場合でも、蒸気流量測定部5の精度が、比較的長期間の使用によって低下することを抑制できる。つまり、比較的長期間にわたって湿度発生装置100(湿度発生ユニットU1)の信頼性を維持できる。
特に、高温の過熱水蒸気の流量を測定する蒸気流量測定部5の精度は、第1空気AR1の流量を測定する第1流量測定部23と比較して、長期間の使用によって低下し易い。従って、蒸気流量測定部5を校正することは、湿度発生装置100の信頼性を維持するために特に有効である。
具体的には、制御ユニットU3は、過熱水蒸気の質量流量M1と式(1)とに基づいて、蒸気流量測定部5を校正する。
すなわち、制御ユニットU3は、過熱水蒸気の質量流量M1を過熱水蒸気のモル流量に変換する。過熱水蒸気のモル流量は、式(1)のモル流量nsteamに相当する。そして、制御ユニットU3は、式(1)に基づいて、モル流量nsteamと断面積Aと差圧ΔPと密度ρsteamとモル質量MH2Oとに基づいて、流出係数Ksteamを算出する。
制御ユニットU3は、温度T1を一定にしてΔP/P1を所定間隔で変化させたときのΔP/P1の異なる値ごとに、流出係数Ksteamを算出する。そして、制御ユニットU3は、流出係数KsteamをΔP/P1の1次関数として表す。例えば、Ksteam=-Q1×(ΔP/P1)+Q2、である。「Q1」及び「Q2」は定数である。
実施形態1によれば、過熱水蒸気の質量流量M1に基づいて流出係数Ksteamを決定することで、蒸気流量測定部5を精度良く校正できる。
(実施形態2)
図1及び図4を参照して、本発明の実施形態2に係る湿度発生システム500を説明する。実施形態2に係る湿度発生システム500が、蒸気流量測定部5の校正に加えて湿度の校正のための校正ユニットU2Aを備えている点で、実施形態2は実施形態1と主に異なる。以下、実施形態2が実施形態1と異なる点を主に説明する。
図4は、実施形態2に係る湿度発生システム500の湿度発生装置100を示す図である。図4に示すように、実施形態2に係る湿度発生装置100は、実施形態1に係る校正ユニットU2に代えて、校正ユニットU2Aを備える。校正ユニットU2Aは、「校正部」の一例に相当する。校正ユニットU2Aは、蒸気流量測定部5を校正するためのユニットである。
校正ユニットU2Aは、実施形態1に係る校正ユニットU2の構成に加えて、抽出部85と、第2流量測定部87と、ファン89とをさらに含む。凝縮部71は、実施形態1に係る凝縮部71の構成に加えて、気水分離部79をさらに含む。
蒸気流量測定部5を校正する際の凝縮部71、測定部73、及び制御ユニットU3の動作は、実施形態1と同様である。
湿度を校正する際は、校正ユニットU2Aは、次のように動作する。すなわち、図1及び図4に示すように、凝縮部71は、湿度発生ユニットU1(具体的には第1出力切替部31及び第2出力切替部41)の出力した混合空気に含まれる水蒸気を凝縮させて、水蒸気を水に戻す。つまり、バルブ33が開かれ、バルブ43が閉じられ、バルブ45が開かれているときに、凝縮部71は、混合空気に含まれる水蒸気を凝縮させて、水蒸気を水に戻す。
気水分離部79は、混合空気に含まれる水分を混合空気から分離する。例えば、気水分離部79は、遠心力又は重力を利用して、混合空気から水分を分離する。
測定部73は、水蒸気の凝縮によって得られた水の重量と、混合空気から分離された水分の重量とを測定する。
具体的には、測定部73の収容部81は、水蒸気の凝縮によって得られた水と混合空気から分離された水分とを収容する。重量測定部83は、収容部81に収容された水及び水分の重量を測定する。以下、収容部81に収容された水及び水分を「水W」と記載する。重量測定部83は、水Wの重量の値を所定時間間隔で制御ユニットU3に出力する。
制御ユニットU3は、所定時間間隔で出力される水Wの重量の値を記憶する。そして、制御ユニットU3は、記憶した水Wの重量の値に基づいて、単位時間当たりの水Wの重量の変化量を算出する。単位時間あたりの水Wの重量の変化量は、混合空気に含まれる水蒸気の質量流量(以下、「質量流量FL1」と記載する。)を示す。
抽出部85は、第2空気(以下、「第2空気AR2」と記載する。)を凝縮部71から抽出する。第2空気AR2は、水蒸気の凝縮後かつ水分の分離後の混合空気である。具体的には、抽出部85は、バルブ91を含み、バルブ91を開くことによって、第2空気AR2を凝縮部71から抽出する。温度測定部77は、冷却管75の表面の温度を測定して、温度の値を制御ユニットU3に出力する。なお、冷却管75の表面の温度は、第2空気AR2の温度と略等しいと考えることもできる。従って、制御ユニットU3は、冷却管75の表面の温度を、第2空気AR2の温度として処理する。
第2流量測定部87は、第2空気AR2の流量(以下、「流量FL2」と記載する。)を測定する。第2流量測定部87は、第2空気AR2の流量FL2の値を制御ユニットU3に出力する。第2流量測定部87は、例えば、体積流量又は質量流量を測定する流量計である。ファン89は、第2空気AR2を吸引して排出する。
制御ユニットU3は、混合空気に含まれる水蒸気の質量流量FL1と第2空気AR2の流量FL2とに基づいて、凝縮部71に供給された混合空気の湿度HM1を算出する。
実施形態2では、制御ユニットU3は、混合空気の湿度HM1を表す水蒸気モル分率ygen(mol/mol)を式(3)に基づいて算出する。
式(3)において、「FL1」は、混合空気に含まれる水蒸気の質量流量を示す。「FL2」は、第2空気AR2の質量流量を示す。「MWH2O」は水の分子量(=18)を示す。「MWair」は空気の分子量(=28)を示す。「xFL2」は、第2空気AR2の水蒸気モル分率(mol/mol)を示す。実施形態2では、「xFL2」は、第2空気AR2が飽和空気であると仮定して、第2空気AR2の温度から推算される。
一方、制御ユニットU3は、蒸気流量測定部5の測定した過熱水蒸気の流量FAと第1流量測定部23の測定した第1空気AR1の流量FBとに基づいて、チャンバー53に供給する混合空気の湿度HM2を算出する。実施形態2では、実施形態1と同様にして、制御ユニットU3は、チャンバー53に供給する混合空気の湿度HM2を表す水蒸気モル分率xgenを、式(2)に基づいて算出する。
制御ユニットU3は、湿度HM2を湿度HM1によって校正する。従って、実施形態2によれば、湿度HM2の校正を実行しない場合と比較して、チャンバー53内において高い精度で目標湿度を発生できる。その他、実施形態2では、実施形態1と同様の効果を有する。
(実施形態3)
図1及び図5を参照して、本発明の実施形態3に係る湿度発生システム500を説明する。実施形態3に係る湿度発生システム500が、校正ユニットU2Bにおいて第2空気AR2を加熱する点で、実施形態3は実施形態2と主に異なる。以下、実施形態3が実施形態2と異なる点を主に説明する。
図5は、実施形態3に係る湿度発生システム500の湿度発生装置100を示す図である。図5に示すように、実施形態3に係る湿度発生装置100は、実施形態2に係る校正ユニットU2Aに代えて、校正ユニットU2Bを備える。校正ユニットU2Bは、「校正部」の一例に相当する。
校正ユニットU2Bは、実施形態2に係る校正ユニットU2Aの構成に加えて、第2温度制御部93と、湿度測定部95と、温度測定部97とをさらに含む。第2温度制御部93は第2空気AR2を加熱する。具体的には、第2温度制御部93は、第2空気AR2を、第2空気AR2の湿度が所定値になる温度まで加熱する。第2空気AR2を加熱する際に、第2空気AR2に含まれている気水分離部79によって分離できなかった水分が蒸発する。第2温度制御部93は、例えば、ヒーターである。
例えば、第2温度制御部93は、第2空気AR2を、第2空気AR2の相対湿度が所定値になる温度まで加熱する。例えば、「所定値」は、20%以上80%以下の値であり、「所定値になる温度」は、25℃以上65℃以下の温度である。
湿度測定部95は、第2温度制御部93によって加熱された第2空気AR2の湿度を測定する。実施形態3では、湿度測定部95は第2空気AR2の相対湿度を測定する。湿度測定部95は、第2空気AR2の湿度の値を制御ユニットU3に出力する。湿度測定部95は、例えば、湿度センサーである。
温度測定部97は、第2温度制御部93によって加熱された第2空気AR2の温度を測定する。温度測定部97は、第2空気AR2の温度の値を制御ユニットU3に出力する。温度測定部97は、例えば、温度センサーである。なお、第2空気AR2の湿度と温度との測定の順番は、特に限定されない。
第2流量測定部87は、第2温度制御部93によって加熱された第2空気AR2の流量(以下、「流量FL3」と記載する。)を測定する。第2流量測定部87は、第2空気AR2の流量FL3の値を制御ユニットU3に出力する。第2流量測定部87は、例えば、体積流量又は質量流量を測定する流量計である。ファン89は、第2空気AR2を吸引して排出する。
制御ユニットU3は、第2空気AR2の温度と湿度とに基づいて、第2空気AR2の水蒸気分圧を算出する。そして、制御ユニットU3は、第2空気AR2の水蒸気分圧と温度と圧力(例えば、大気圧)と第2空気AR2の流量FL3とに基づいて、第2空気AR2に含まれる水蒸気の流量(以下、「流量FL4」と記載する。)を算出する。また、制御ユニットU3は、流量FL3から流量FL4を減算して、水蒸気を除いた第2空気AR2の流量(以下、「流量FL5」と記載する。)を算出する。
そして、制御ユニットU3は、第2空気AR2に含まれる水蒸気の流量FL4と、混合空気に含まれる水蒸気の質量流量FL1とに基づいて、凝縮部71に供給された混合空気に含まれる水蒸気の合計流量FLSを算出する。さらに、制御ユニットU3は、混合空気に含まれる水蒸気の合計流量FLSと、水蒸気を除いた第2空気AR2の流量FL5とに基づいて、凝縮部71に供給された混合空気の湿度HM3を算出する。
実施形態3では、制御ユニットU3は、混合空気の湿度HM3を表す水蒸気モル分率ygen(mol/mol)を式(4)に基づいて算出する。
式(4)において、「FLS」は、混合空気に含まれる水蒸気の合計流量を示し、質量流量によって表される。「FL5」は、水蒸気を除いた第2空気AR2の質量流量を示す。「MWH2O」は水の分子量(=18)を示す。「MWair」は空気の分子量(=28)を示す。「xFL5」は、水蒸気を除いた第2空気AR2の水蒸気モル分率(mol/mol)を示す。実施形態3では、「xFL5」は、第2空気AR2の温度と湿度と圧力とに基づいて算出される。具体的には、「xFL5」は、温度測定部97の測定した第2空気AR2の温度と、湿度測定部95の測定した第2空気AR2の湿度と、第2空気AR2の圧力(例えば、大気圧)とに基づいて算出される。
一方、図1及び図5に示すように、制御ユニットU3は、蒸気流量測定部5の測定した過熱水蒸気の流量FAと第1流量測定部23の測定した第1空気AR1の流量FBとに基づいて、チャンバー53に供給する混合空気の湿度HM2を算出する。実施形態3では、実施形態2と同様にして、制御ユニットU3は、チャンバー53に供給する混合空気の湿度HM2を表す水蒸気モル分率xgenを、式(2)に基づいて算出する。
そして、制御ユニットU3は、湿度HM2を湿度HM3によって校正する。従って、実施形態3によれば、湿度HM2の校正を実行しない場合と比較して、チャンバー53内において高い精度で目標湿度を発生できる。その他、実施形態3では、実施形態2と同様の効果を有する。
特に、第2空気AR2の湿度を測定して、第2空気AR2に含まれる水蒸気の流量を算出しているため、実施形態2と比較して、凝縮部71に供給される混合空気の湿度HM3をさらに精度良く算出できる。その結果、さらに精度良く湿度HM2を校正できる。また、第2空気AR2に含まれる水分を蒸発させた後に、第2空気AR2の流量を測定している。従って、水分がゼロか、又は、水分をほとんど含まない第2空気AR2の流量FL3を測定できる。その結果、水分を蒸発させない場合と比較して、混合空気の湿度HM3をさらに精度良く算出できる。
(実施形態4)
図6を参照して、本発明の実施形態4に係る湿度発生システム500を説明する。実施形態4に係る湿度発生システム500が、第1流量測定部23及び第1温度制御部25に加えて加熱部63及び流量測定部65を備える点で、実施形態4は実施形態1と異なる。以下、実施形態4が実施形態1と異なる点を主に説明する。
図6は、実施形態4に係る湿度発生システム500を示す図である。図6に示すように、湿度発生システム500の湿度発生装置100は、実施形態1に係る湿度発生ユニットU1に代えて、湿度発生ユニットU1Aを備える。湿度発生ユニットU1Aは、実施形態1に係る湿度発生ユニットU1の構成に加えて、加熱部63と、流量測定部65とをさらに含む。
加熱部63及び流量測定部65は、第2出力切替部41と温度調節部51との間に配置される。加熱部63は、流量測定部65の上流側に配置される。加熱部63は、第1出力切替部31及び第2出力切替部41の出力した過熱水蒸気又は混合空気を加熱する。流量測定部65は、加熱部63によって加熱された過熱水蒸気又は混合空気の流量を測定する。流量測定部65は、過熱水蒸気又は混合空気の流量の値を制御ユニットU3に出力する。流量測定部65は、例えば、体積流量又は質量流量を測定する流量計である。流量測定部65によって流量の測定された過熱水蒸気又は混合空気は、チャンバー53に向けて出力される。
制御ユニットU3は、流量測定部65の測定した混合空気の流量(以下、「流量FC」と記載する。)と第1流量測定部23の測定した第1空気AR1の流量FBとに基づいて、チャンバー53に供給する混合空気の湿度HM4を算出する。
実施形態4では、制御ユニットU3は、混合空気の湿度HM4を表す水蒸気モル分率xgen(mol/mol)を式(5)に基づいて算出する。
式(5)において、「nFC」は、混合空気のモル流量(mol/s)を示す。「nFC」は、流量測定部65によって測定された混合空気の体積流量又は質量流量に基づいて算出される。「xair」は、第1空気AR1の水蒸気モル分率(mol/mol)を示す。「xair」は、制御ユニットU3によって第1空気AR1の湿度に基づいて算出される。第1空気AR1の湿度は湿度計(不図示)により測定される。「nair」は、第1空気AR1のモル流量(mol/s)を示す。「nair」は、第1流量測定部23によって測定された第1空気AR1の体積流量又は質量流量に基づいて算出される。
又は、制御ユニットU3は、実施形態1と同様にして、蒸気流量測定部5の測定した過熱水蒸気の流量FAと第1流量測定部23の測定した第1空気AR1の流量FBとに基づいて、チャンバー53に供給する混合空気の湿度HM2を算出する。
以上、図6を参照して説明したように、実施形態4によれば、ユーザーは、チャンバー53に供給する混合空気の湿度を、流量測定部65の測定した流量FCに基づいて算出するか、又は、蒸気流量測定部5の測定した流量FAに基づいて算出するかを選択できる。従って、流量測定部65及び蒸気流量測定部5の特性並びに流量の大小に応じて、過熱水蒸気の流量又は混合空気の流量を適切に測定できる。
例えば、流量測定部65と蒸気流量測定部5とで、流量の測定レンジを異ならせることで、過熱水蒸気の流量に応じて、精度良く過熱水蒸気の流量又は混合空気の流量を測定できる。例えば、蒸気流量測定部5の測定レンジが、流量測定部65の測定レンジよりも小さい。つまり、蒸気流量測定部5が比較的小流量の測定レンジを有し、流量測定部65が蒸気流量測定部5よりも大流量の測定レンジを有する。この場合、過熱水蒸気の流量が比較的小さい場合は、制御ユニットU3は、蒸気流量測定部5の測定結果に基づいて、混合空気の湿度HM2を算出する。一方、過熱水蒸気の流量が比較的大きい場合は、制御ユニットU3は、流量測定部65の測定結果に基づいて、混合空気の湿度HM4を算出する。
その他、実施形態4では、実施形態1と同様の効果を有する。また、図4及び図5を参照して説明した実施形態2及び実施形態3において、湿度発生装置100は、湿度発生ユニットU1に代えて、実施形態4に係る湿度発生ユニットU1Aを備えてもよい。この場合は、湿度HM4が、湿度HM1又は湿度HM3によって校正される。
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態及び実施例について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態及び実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記に示す(1)~(6))。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(1)図3~図6を参照して説明した実施形態1~実施形態4において、蒸気流量測定部5を校正する際に、測定部73は、過熱水蒸気の凝縮によって得られた水の体積を測定してもよい。この場合、例えば、測定部73は、ストップウォッチのような時間測定部84を含む。また、収容部81は、例えば、メスシリンダーである。そして、作業者は、ストップウォッチで測定された一定時間ごとに、メスシリンダーに収容された水の体積をメスシリンダーの目盛から読み取り、水の体積の値を制御ユニットU3に入力する。
制御ユニットU3は、一定時間ごとに入力される水の体積の値を記憶する。そして、制御ユニットU3は、記憶した水の体積の値に基づいて、単位時間当たりの水の体積の変化量を算出する。単位時間あたりの水の体積の変化量は、凝縮部71に供給された過熱水蒸気の体積流量を示す。そして、制御ユニットU3は、過熱水蒸気の体積流量に基づいて、蒸気流量測定部5を校正する。
(2)図4及び図5を参照して説明した実施形態2及び実施形態3において、湿度を校正する際に、測定部73は、水蒸気の凝縮によって得られた水と混合空気から分離された水分との体積を測定してもよい。この場合、例えば、測定部73は、ストップウォッチのような時間測定部84を含む。また、収容部81は、例えば、メスシリンダーである。そして、作業者は、ストップウォッチで測定された一定時間ごとに、メスシリンダーに収容された水及び水分(以下、「水W」と記載する。)の体積をメスシリンダーの目盛から読み取り、水Wの体積の値を制御ユニットU3に入力する。
制御ユニットU3は、一定時間ごとに入力される水Wの体積の値を記憶する。そして、制御ユニットU3は、記憶した水の体積の値に基づいて、単位時間当たりの水の体積の変化量を算出する。単位時間あたりの水の体積の変化量は、凝縮部71に供給された混合空気に含まれる水蒸気の体積流量を示す。
そして、実施形態2においては、制御ユニットU3は、混合空気に含まれる水蒸気の体積流量と第2空気AR2の流量FL2とに基づいて、凝縮部71に供給された混合空気の湿度を算出する。また、実施形態3においては、制御ユニットU3は、第2空気AR2に含まれる水蒸気の流量FL4と、混合空気に含まれる水蒸気の体積流量とに基づいて、凝縮部71に供給された混合空気に含まれる水蒸気の合計流量を算出する。そして、制御ユニットU3は、混合空気に含まれる水蒸気の合計流量と、水蒸気を除いた第2空気AR2の流量FL5とに基づいて、凝縮部71に供給された混合空気の湿度を算出する。
(3)図3~図6を参照して説明した実施形態1~実施形態4において、測定部73は、ストップウォッチのような時間測定部84を含んでいてもよい。この場合、作業者が、ストップウォッチで測定された一定時間ごとに、重量測定部83の表示する水の重量の値を制御ユニットU3に入力する。制御ユニットU3は、一定時間ごとに入力される水の重量の値を記憶する。そして、制御ユニットU3は、記憶した水の重量の値に基づいて、単位時間当たりの水の重量の変化量を算出する。
(4)図1~図6を参照して説明した実施形態1~実施形態4において、校正ユニットU2、校正ユニットU2A、又は、校正ユニットU2Bを、チャンバー53の下流に配置してもよい。そして、チャンバー53から、過熱水蒸気又は混合空気を、校正ユニットU2、校正ユニットU2A、又は、校正ユニットU2Bに供給してもよい。例えば、校正ユニットU2、校正ユニットU2A、又は、校正ユニットU2Bを、ファン61の下流に配置する。そして、ファン61が、チャンバー53に収容された過熱水蒸気又は混合空気を、校正ユニットU2、校正ユニットU2A、又は、校正ユニットU2Bに供給する。
(5)図1~図6を参照して説明した実施形態1~実施形態4において、第1温度制御部25は、第1空気AR1を冷却してもよい。この場合、第1温度制御部25は冷却装置である。第1出力切替部31は、冷却された第1空気AR1と過熱水蒸気とを混合することで、飽和湿り蒸気又は水滴入り空気を出力できる。水滴入り空気は、例えば、微小な水滴のような霧を含む空気(霧入り空気)である。また、温度調節部51は、過熱水蒸気又は混合空気を冷却して、飽和湿り蒸気又は水滴入り空気をチャンバー53に供給してもよい。この場合、温度調節部51は冷却装置である。
(6)図1及び図6を参照して説明した実施形態1~実施形態4において、空気供給装置300は、湿度発生システム500の設置された室内の空気を除湿し、除湿した空気を第1空気AR1として湿度発生装置100に供給してもよい。その結果、湿度発生装置100が発生可能な目標湿度の最低値を下げることができる。この場合、空気供給装置300は除湿装置を含む。