JP7054989B2 - 監視装置 - Google Patents
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Description
しかし、このような多くの従来技術では、対象物と背景とに輝度差が存在しない場合には、対象物を精度よく認識できないという問題があった。また、カメラ画像から得られる2次元データでは対象物の距離に関する情報は得られないため、例えば、3次元座標上をZ軸方向に対象物が移動した場合、当該対象物が静止していると認識され、発報対象とされないという問題があった。
そこで、例えば、特許文献1に開示された監視装置では、3次元レーザスキャナの測定結果から、監視領域までの距離情報を取得し、現距離データと比較距離データとの差分値を算出して、当該差分値から変化領域を抽出し、抽出した変化領域に基づき発報対象であるか否かの認識処理を行うようにしている。
しかしながら、上述した特許文献1に記載された技術では、視野に映る対象物、すなわち、3次元レーザスキャナで測定する範囲で検出される対象物は、そのままでは通常の、2次元データとして画像が得られるカメラと同様に、遠方の物は小さく、近方の物は大きく測定されるため、遠方のものほど変化領域として抽出されにくく、その結果、発報対象の対象物が発見されにくいという課題があった。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る監視装置100の構成を示すブロック図である。
監視装置100は、3次元レーザスキャナ10、現データ演算部20、現データ蓄積部21、比較データ演算部30、比較データ蓄積部31、変化領域抽出部40、認識処理部50、報知処理部60、床識別部70、および、遠近補正部80で構成されている。遠近補正部80は、傾斜補正部801、復元部802、および、補正部803を備える。
なお、図1において、監視装置100外に3次元レーザスキャナ10のスキャン範囲を示す背景200、当該背景200の前に立つ対象物201、監視装置100の上位にある装置であり、ブザー等の発報処理を行うPC300を記載している。なお、ここでは、監視装置100の上位にある装置は、一例としてPC300としているが、監視装置100の上位にある装置は、これに限らず、例えば、音声出力装置等、監視装置100における報知処理に基づき、発報処理を行うことができるものであればよい。監視装置100における報知処理の詳細は後述する。
ここで、図2は、3次元レーザスキャナ10の構成を示す図である。図2に示すように、3次元レーザスキャナ10は、レーザ発光ユニット11、回転ミラーを用いた分散機構13およびレーザ受光ユニット16を内蔵し、背景200で示した範囲をスキャンして距離データおよび強度データを取得する。レーザ発光ユニット11は、レーザ光パルス12を照射する。
分散機構13は、レーザ発光ユニット11から発光されたレーザ光パルス12を広角範囲に分散させる機構である。図2の例では、回転ミラーを用いた分散機構13を示している。当該回転ミラーを用いた分散機構13の詳細については後述する。分散機構13により分散された分散レーザ光パルス14は、背景200あるいは対象物(図2においては不図示)に照射および反射されレーザ反射光15を形成する。図2の例では、分散レーザ光パルス14が背景200のX方向およびY方向へ順次分散照射される様子を示している。具体的には、背景200のX方向に6ポイント、背景200のY方向に2ポイント、合計12ポイントに分散照射されている。
なお、図2では、回転ミラーを用いた分散機構13としたが、その他の分散機構を適用してもよい。例えば、モータレスでミラーをスキャンするスキャンレス光学系としてもよい。
レーザ受光ユニット16で算出された、照射位置全てに関しての距離データおよび強度データを、点群データ17という。
レーザ受光ユニット16による点群データ17の床識別部70、現データ演算部20、比較データ演算部30への出力は、フレーム単位に行われる。レーザ受光ユニット16は、背景200全体を1回スキャンして得られた点群データ17、すなわち、図2の例でいうと、背景200のX方向に6ポイント、Y方向に2ポイントの合計12ポイントに対して1回のスキャンで得られた点群データ17を、1フレーム分の点群データ17として床識別部70、現データ演算部20、比較データ演算部30へ出力する。
X;水平方向座標
Y;垂直方向座標
Z;距離データ
図2の例では、水平方向座標Xは6ポイント、垂直方向座標Yは2ポイントとなる。また、距離データZは、Z軸方向の奥行き情報であり、以下、Z軸情報という。
3次元情報には、Z軸情報が含まれているため、対象物が3次元座標上のZ軸方向へ移動した場合、すなわち、3次元レーザスキャナ10に向かって直進した場合においても、Z軸方向の移動量を用いて差分を得ることができる。
比較データ演算部30は、3次元レーザスキャナ10から出力される点群データ17中の距離データを取得し、比較データに変換して比較データ蓄積部31に蓄積させる。比較データへの変換処理は、例えば、取得した距離データから遡って過去50フレーム分の距離データから平均距離データを得て比較データとする、あるいは入力された距離データの直前のフレームの距離データを得て比較データとする等によって行えばよい。なお、比較データ演算部30は、3次元レーザスキャナ10から取得した距離データをデータ蓄積部(図示省略)に蓄積させておき、当該蓄積させておいた距離データに基づき、過去に遡った距離データを取得するようにすればよい。比較データ演算部30は、比較データとしての距離データを、各グリッドを示す情報と紐付けて、比較データ蓄積部31に蓄積させる。
なお、この実施の形態1において、現データを現距離データ、比較データを比較距離データともいうものとする。
床識別部70は、識別結果の情報を識別情報として遠近補正部80に出力する。識別情報は、具体的には、3次元レーザスキャナ10の視野における各グリッドに、床なのかそれ以外なのかが紐付けられた情報である。
遠近補正部80は、傾斜補正部801と、復元部802と、補正部803とを備える。
傾斜補正部801は、床識別部70から取得した識別情報を用いて、現データ蓄積部21に蓄積されている現データに基づくグリッドと、比較データ蓄積部31に蓄積されている比較データに基づくグリッドに対し、それぞれ、床識別部70が「床」と識別したグリッドのみを対象に、「傾斜補正」を行う。また、傾斜補正部801は、「傾斜補正」を行った結果空きとなったグリッド位置に対して、ブランクグリッドによって当該空きを埋める「穴埋め」処理を行う。
復元部802は、傾斜補正部801が「傾斜補正」および「穴埋め」を行った現データおよび比較データそれぞれに基づくグリッドについて、床識別部70から取得した識別情報を用いて、床識別部70が「床以外」と識別したグリッドを、「床」を基準に復元する「復元処理」を行う。
補正部803は、復元部802が「復元処理」を行った現データおよび比較データそれぞれに基づくグリッドについて、補正倍率を用いて、対象物201に相当するグリッドを遠近補正する「補正処理」を行う。
遠近補正部80の補正部803は、遠近補正を行った後のグリッドに基づく補正後の現データおよび比較データを、それぞれ、遠近補正後現データ、遠近補正後比較データとして、変化領域抽出部40に出力する。
報知処理部60は、認識処理部50から出力された報知指示情報に基づいて報知処理を行う。報知処理としては、上位にあるPC300などの装置に特定の信号を送信する処理、あるいは装置にブザーを鳴らさせるなどの処理などが挙げられる。
図4は、実施の形態1に係る監視装置100の動作を示すフローチャートである。
なお、ここでは、説明の簡潔化のため、3次元レーザスキャナ10の解像度が8×4画素である場合を例に説明を行う。
まず、3次元レーザスキャナ10は背景200、すなわち、監視領域の範囲をスキャンし(ステップST401)、点群データ17、すなわち、距離データおよび強度データを取得する(ステップST402)。具体的には、背景200の範囲を3次元レーザスキャナ10の解像度である8×4に分割してスキャンする。距離データは一般にデジタルデータであり、ここでは8×4画素の1画素あたり8ビットの多値データとする。
3次元レーザスキャナ10は、取得した点群データを、床識別部70、現データ演算部20および比較データ演算部30に出力する。
現データ演算部20は、ステップST402で取得された8×4画素の点群データ17中の距離データを現データとして現データ蓄積部21に蓄積させる(ステップST403)。
比較データ演算部30は、過去にステップT402で取得されて不図示のデータ蓄積部に蓄積された8×4画素の点群データ17中の距離データを比較データに変換し、比較データ蓄積部31に蓄積させる(ステップST404)。
図5において、1つのキューブが、レーザ照射1ポイントの測定点を示すものとして、空間のサイズを8×4×4個のキューブとする。1つのキューブがレーザ照射1ポイントの測定点を示し、当該測定点をここではグリッドという。
図6Aは、3次元レーザスキャナ10と対象A601,対象B602を横から見た位置関係を示すモデルである。また、図6Bは、図上、左側が、8×4×4個のグリッドが密着したモデル、図上、右側が、図上左側に示す、8×4×4個のグリッドが密着したモデルを、横に4つにスライスして全グリッドが見えるようにしたモデルである。また、図6Cは、3次元レーザスキャナ10の視野を仮想的なイメージに組み上げたイメージモデルである。
そこで、床識別部70が、上述のように、ステップST405において、3次元レーザスキャナ10から出力される点群データ17を取得し、予めオペレータ等により設定されていた属性情報に基づき、当該点群データ17の各点に対応する各グリッドが、「床」なのか「床以外」なのかを識別する。
床識別部70は、識別結果の情報を、識別情報として、遠近補正部80に出力する。識別情報は、具体的には、3次元レーザスキャナ10の視野における各グリッドに、「床」なのか「床以外」なのかが紐付けられた情報である。
ここで、図7~図10は、実施の形態1において、遠近補正部80が行う遠近補正処理の一例の流れを説明する図である。なお、図7~図10において、図6A~図6Cで示した対象A601,対象B602等の対象物201、床603、グリッド等のモデルを例に遠近補正処理の流れを説明するものとし、図6A~図6Cで示したものと同じモデルについては、同じ符号を付している。
図7~図9は、それぞれ、傾斜補正部801による「傾斜補正処理」、復元部802による「復元処理」、補正部803による「補正処理」を説明するための図であり、図10は、遠近補正部80による遠近補正結果の一例を、3次元レーザスキャナ10の視野の仮想的なイメージとして示したイメージモデルである。
まず、傾斜補正部801は、床識別部70から取得した識別情報を用いて、図7に示すように、現データ蓄積部21に蓄積されている現データに基づくグリッドと、比較データ蓄積部31に蓄積されている比較データに基づくグリッドに対し、それぞれ、床識別部70が「床」と識別したグリッドのみを対象に、「傾斜補正」を行う。すなわち、遠近補正部80は、床識別部70が「床」と識別したグリッド(図7の603)が、最も手前の「床」の位置と同じ水平位置に並ぶように、上下方向にグリッドをシフトさせる。
矢印605で示す最奥の横列にあるグリッドについて、「傾斜補正」後は、下方に2グリッドシフトしたため、矢印606で示すように、当該2グリッド分、上方に空きができる。
そこで、傾斜補正部801は、矢印607に示すように、空きとなったグリッド位置に対して、ブランクグリッド604によって当該空きを埋める「穴埋め」処理を行う。
傾斜補正部801は、以上の「傾斜補正」および「穴埋め」の動作を、最も手前の「床」よりも奥に位置する全ての「床」に対して行う。
遠近補正の際に用いられる補正倍率は、遠方の対象物201ほど大きく設定される。
例えば、3次元レーザスキャナ10の上下画角がα°とすると、am先での高さ方向視野は、a×tanα(m)となる。
また、bm先(b>aとする)での高さ方向視野は、b×tanα(m)となる。
よって、bm先では、視野が、am先での視野と比べてb×tanα/a×tanα=b/a倍になる。すなわち、bm先に存在する対象物201は、am先に存在する対象物201に比べて、a/bに小さく見える。
したがって、例えば、a=2(m)、b=10(m)とすると、10m先の対象物201は、b/a=10/2=5倍に拡大すれば、2m先の対象と同じ高さになる。
以上に基づき、遠近補正の際の補正倍率は、例えば、基準とする距離a(m)に対してb(m)先の対象物201の補正をする場合は、b/a倍等とすることが望ましい。
なお、図9は、一例として、対象B602を遠近補正した例を示しており、補正倍率を3倍としている。
図9に示すように、補正部803は、対象B602のグリッドを縦方向に3倍化し、対象B602の高さを補正する。
これにより、対象A601の大きさと対象B602の大きさとが対等に近づき、この後の認識処理部50による認識処理の精度が向上する。認識処理部50による認識処理については後述する。
図10では、図6Cで示したイメージモデルと比べ、傾斜補正により床603が視線上に水平に近く補正され視認されにくくなるとともに、遠近補正によって対象A601と対象B602の高さがほぼ同じ高さに補正されている。
そして、遠近補正部80は、遠近補正を行った後のグリッドに基づく補正後の現データを遠近補正後現データ、遠近補正を行った後のグリッドに基づく補正後の比較データを遠近補正後比較データとして、それぞれ、変化領域抽出部40に出力する。
なお、遠近補正部80は、上述したような遠近補正を、例えば、現データ蓄積部21に蓄積された最新の現データに基づくグリッドと、比較データ蓄積部31に蓄積された最新の比較データに基づくグリッドを対象に行うようにする。
また、遠近補正部80は、遠近補正後現データ、遠近補正後比較データを、それぞれ、現データ、比較データとは別に蓄積させるのではなく、現データ、比較データを、それぞれ、遠近補正後現データ、遠近補正後比較データに書き換えるようにしてもよい。その場合は、遠近補正部80は、例えば、補正済みフラグを付与し、遠近補正済みのデータであるかどうかが判別できるようにして、現データ蓄積部21あるいは比較データ蓄積部31に蓄積させるようにする。
変化領域抽出部40は、遠近補正部80から出力された遠近補正後現データと、遠近補正後比較データとを取得し、遠近補正後現データと遠近補正後比較データとを画素単位で比較して差分値を算出する(ステップST407)。当該ステップST407の処理では、遠近補正後現データおよび遠近補正後比較データは、距離データで構成されているため、変化領域抽出部40が算出する差分値は「距離の差」を示している。例えば、遠近補正後現データに背景200および対象物201が含まれ、遠近補正後比較データに背景200のみが含まれている場合、得られる差分値は「比較データの背景と現データの対象物との間の距離」を示している。
一方、差分値が閾値未満である場合(ステップST408の“NO”の場合)、当該画素領域は変化領域でないと判断し(ステップST410)、ステップST411の処理に進む。その後、変化領域抽出部40は、8×4画素全てについて処理を行ったか否か判定を行う(ステップST411)。8×4画素全てについて処理を行っていない場合(ステップST411の“NO”の場合)、ステップST407の処理に戻り、上述した処理を繰り返す。
一方、照合条件を満たさない場合(ステップST412の“NO”の場合)、変化領域が報知対象でないと判断し(ステップST414)、ステップST401の処理に戻る。
図11は、実施の形態1に係る監視装置100の認識処理部50による判定処理を示すフローチャートである。
認識処理部50は、変化領域が監視範囲内に存在するか否か判定を行う(ステップST1101)。なお、ここで、監視範囲とは、監視領域、すなわち、3次元レーザスキャナ10の測定範囲内の範囲であって、例えば、監視の必要上、対象物201を検知した場合に報知が求められる範囲のことをいい、当該監視範囲は予め設定されているものとする。
変化領域が監視範囲内に存在する場合(ステップST1101の“YES”の場合)、認識処理部50は、さらに、変化領域が所定の面積を有しているか否か判定を行う(ステップST1102)。ここでいう変化領域とは、図4のステップST409で変化領域として抽出された画素のうち、互いに隣接あるいは近接する複数の画素の集合からなる領域のことをいう。
変化領域が所定の面積を有している場合(ステップST1102の“YES”の場合)、認識処理部50は、さらに、変化領域が所定の縦横寸法を有しているか否か判定を行う(ステップST1103)。所定の縦横寸法を有している場合(ステップST1103の“YES”の場合)、認識処理部50は、さらに、変化領域が所定の移動速度を有しているか否か判定を行う(ステップST1104)。所定の移動速度を有している場合(ステップST1104の“YES”の場合)、図4のステップST413に進み、変化領域が報知対象であると認識される。
報知処理部60は、ステップST413において認識処理部50から出力された報知指示情報に基づき、認識された報知対象について報知処理を行い(ステップST415)、ステップST401の処理に戻る。
この発明の実施の形態1において、現データ演算部20と、比較データ演算部30と、変化領域抽出部40と、認識処理部50と、報知処理部60と、床識別部70と、遠近補正部80の各機能は、処理回路1201により実現される。すなわち、監視装置100は、3次元レーザスキャナ10から取得した点群データに基づき、報知対象となる変化を検出した場合に報知処理を行うための処理回路1201を備える。
処理回路1201は、図12Aに示すように専用のハードウェアであっても、図12Bに示すようにメモリ1205に格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)1205であってもよい。
現データ蓄積部21と比較データ蓄積部31は、例えば、HDD1202を使用する。なお、これは一例にすぎず、現データ蓄積部21と比較データ蓄積部31は、DVD、メモリ1205等によって構成されるものであってもよい。
また、監視装置100は、3次元レーザスキャナ10、あるいは、上位にあるPC300等の装置との通信を行う入力インタフェース装置1203、出力インタフェース装置1204を有する。
実施の形態1では、オペレータが、予め、3次元レーザスキャナ10の視野をスキャンして得られた点群データ17の各点に対応する各グリッドについて、「床」に相当するか「床以外」に相当するかの属性情報を設定しておき、床識別部70は、当該各グリッドに対して設定された属性情報をもとに、「床」と「床以外」を識別するようにしていた。
この実施の形態2では、オペレータ等は、予め、3次元レーザスキャナ10の視野をスキャンして得られた点群データ17の各点に対応する各グリッドの中から、「床」に相当するグリッドを少なくとも2つ設定し、床識別部70は、当該グリッドの情報をもとに、「床」と「床以外」を識別する実施の形態について説明する。
また、この実施の形態2に係る監視装置100のハードウェア構成は、実施の形態1において図12A,図12Bを用いて説明した構成と同様であるため、重複した説明を省略する。
また、この実施の形態2に係る監視装置100の動作については、実施の形態1において図4を用いて説明した動作のうち、床識別部70の具体的な動作(図4のステップST405)が異なるのみである。したがって、実施の形態1とは異なる床識別部70の動作についてのみ説明し、その他の、実施の形態1と同様の動作については重複した説明を省略する。
図13Aは、3次元レーザスキャナ10と対象A601,対象B602を横から見た位置関係を示すモデルである。また、図13Bは、図上、左側が、8×4×4個のグリッドが密着したモデル、図上、右側が、図上左側に示す、8×4×4個のグリッドが密着したモデルを、横に4つにスライスして全グリッドが見えるようにしたモデルである。また、図13Cは、3次元レーザスキャナ10の視野を仮想的なイメージに組み上げたイメージモデルである。
なお、ここでは、ある測定点の3次元レーザスキャナ10からの距離とは、当該測定点を通り、X軸と平行な直線状で、3次元レーザスキャナ10との距離が最短となる点について、3次元レーザスキャナ10が検出する距離のことをいうものとする。
同様に、第2の線609の位置が、3次元レーザスキャナ10から「距離10m」の位置であった場合、当該第2の線609の位置で、3次元レーザスキャナ10からの距離が10mであると検出される物体は、「床」ということになる。そして、第2の線609の位置で、3次元レーザスキャナ10からの距離が10m未満であると検出された物体は、「床以外」の対象物201であるということになる。
例えば、第1の線608および第2の線609において、それぞれ、3次元レーザスキャナ10からの距離が2m、10mとなる場合に「床位置」であるなら、第1の線608と第2の線609との中間の位置となる第3の線610においては、
(2+10)÷2=6
という比例計算で、3次元レーザスキャナ10からの距離が6mであれば「床位置」と判断できる。
同様にして、上記比例計算を用いれば、第1の線608と第2の線609との中間の位置以外の全ての場所において、「床位置」と判断できる、3次元レーザスキャナ10からの距離が算出可能である。
具体的には、オペレータ等は、予め、3次元レーザスキャナ10の視野内で、「床」に相当する任意の2点を設定し、床座標2点情報として記憶させておく。なお、床座標2点情報を記憶させておく場所は、床識別部70が参照可能な場所であればよい。
上述のとおり、第1の線608、第2の線609までの3次元レーザスキャナ10からの距離が分かれば、床識別部70は、3次元レーザスキャナ10の視野において設定可能な、X軸と平行な全ての線について、それらの線が床603上にある場合に3次元レーザスキャナ10からの距離がどの値となればよいかを算出できる。
したがって、全ての線について、上述の、第1の線608、第2の線609を利用して行った処理を行えば、図13Bに示すように、3次元レーザスキャナ10から取得した点群データ17の各点に対応する全てのグリッドについて、「床」と「床以外」とを識別することができる。
なお、図13Bにおいて、床603,対象A601,対象B602以外は、3次元レーザスキャナ10において距離が得られなかったブランクグリッド604である。
床識別部70は、識別結果の情報を、識別情報として、遠近補正部80に出力する。識別情報は、具体的には、3次元レーザスキャナ10の視野における各グリッドに、床なのかそれ以外なのかが紐付けられた情報である。
具体的には、オペレータ等は、第1の線608、第2の線609を決め、当該第1の線608、第2の線609に対応するグリッドと、当該グリッドの3次元レーザスキャナ10からの距離とを対応付けて記憶させておくようにしてもよい。「床」に相当する第1の線608、第2の線609までの、3次元レーザスキャナ10からの距離は、例えば、監視装置100設置時に測定し、当該測定結果を設定するようにすればよい。
この場合、床識別部70は、予め記憶されている、第1の線608、第2の線609、当該第1の線608、第2の線609に対応するグリッド、当該グリッドの3次元レーザスキャナ10からの距離の情報を用いて、3次元レーザスキャナ10の視野における全てのグリッドにおいて「床」か「床以外」かを識別する。
実施の形態2では、オペレータ等は、予め、床座標2点情報とは、「床位置」を示す2床座標2点情報を設定しておき、床識別部70は、当該座標2点情報をもとに、「床」と「床以外」を識別するようにした。
この実施の形態3では、床識別部70は、さらに、3次元レーザスキャナ10の視野における床の位置を嵩上げした仮想床を設定する実施の形態について説明する。
また、この実施の形態3に係る監視装置100のハードウェア構成は、実施の形態1において図12A,図12Bを用いて説明した構成と同様であるため、重複した説明を省略する。
また、この実施の形態3に係る監視装置100の動作については、実施の形態1において図4を用いて説明した動作のうち、床識別部70の具体的な動作(図4のステップST405)が異なるのみである。したがって、実施の形態1とは異なる床識別部70の動作についてのみ説明し、その他の、実施の形態1と同様の動作については重複した説明を省略する。
床識別部70は、当該床座標2点2距離情報を用いて、点群データ17における「床」と「床以外」を識別する。
図14Aは、3次元レーザスキャナ10と対象A601,対象B602を横から見た位置関係を示し、3次元レーザスキャナ10の視野を横切る2本の線が設定されている状態をあらわすモデルである。また、図14Bは、図14Aの状態から、床を嵩上げした状態をあらわすモデルである。
当該第1の線608および第2の線609は、実施の形態2において図13Cで示したのと同様、3次元レーザスキャナ10の視野内において、当該視野を横切る2本の線として識別できる。
この実施の形態3では、さらに、床座標2点2位置情報として、第1の線608および第2の線609の位置において、仮想的に床603を嵩上げできるように予めオペレータ等が設定した、当該床嵩上げ後の床に対する3次元レーザスキャナ10からの距離が記憶されている。当該床嵩上げ後の床面に対する3次元レーザスキャナ10からの距離を、ここでは、宣言距離というものとする。また、床嵩上げ後の床を、「仮想床」(図14Bの611)というものとする。
図14A,図14Bでは、例えば、第1の線608、第2の線609までの、実際の3次元レーザスキャナ10からの距離は、それぞれ、2m、10mであるのに対して、第1の線608、第2の線609の位置における宣言距離には、それぞれ、1m、5mが設定されたものとしている。
当該宣言距離を設定することで、例えば、第1の線608の位置において、3次元レーザスキャナ10からの距離が2mである床603を嵩上げして「仮想床」とすることができる。
同様に、例えば、第2の線609の位置で、3次元レーザスキャナ10からの距離が5mを超えた距離の物体があったとすると、当該物体も、「仮想床」のさらに下に位置するものということになり、床603上の物体としては認識されなくなる。
具体的には、オペレータ等は、予め、3次元レーザスキャナ10の視野をスキャンして得られる点群データ17の各点に対応する各グリッドの中から、「床」に相当する任意の2点と、当該2点それぞれの位置における床嵩上げに用いる距離の情報、すなわち宣言情報とを設定し、床座標2点2位置情報として記憶させておく。なお、床座標2点情報を記憶させておく場所は、床識別部70が参照可能な場所であればよい。
オペレータ等は、宣言距離を、例えば、監視装置100設置時に3次元レーザスキャナ10で測定された床603まで距離等を参考にして、仮想床611が所望の嵩上げ高さになるよう、適宜設定するようにすればよい。
第1の線608、第2の線609の線までの3次元レーザスキャナ10からの距離が分かれば、実施の形態2で説明したとおり、床識別部70は、3次元レーザスキャナ10の視野において設定可能なX軸と平行な全ての線について、それらの線が床603上にある場合に3次元レーザスキャナ10からの距離がどの値となればよいかを算出することができ、さらに、全てのグリッドを「床」と「床以外」として識別することができる。
具体的には、床識別部70は、図14Bに示すように、床603が嵩上げされた仮想床611を設定する。
例えば、3次元レーザスキャナ10から見た第1の線608の俯角が45°であるものとすると、実際の床603と仮想床611との距離は、以下のとおり、0.7mとなる。
2×sin45°-1×sin45°
≒0.7(m)
ここでは、実際の床603を「真の床」というものとすると、「仮想床」は、「真の床」より、0.7m高い位置に設定される。
同じく、0.7mの高さ未満の「真の床」上に存在する、例えばゴミ612のような物体は、仮想床611の下となり、存在しない物体となる。
このように、ゴミのような、余分なノイズ的成分の物体は、3次元レーザスキャナの視野においては存在しないものとみなされ、例えば、対象A601,対象B602等、本来の対象物201の検知精度が向上する。
Claims (4)
- 監視領域を測定した3次元レーザスキャナの測定結果から、前記監視領域に存在する物体までの距離データを取得し、現距離データとグリッドを示す情報とを紐付ける現データ演算部と、
前記測定結果から過去の前記距離データを取得し、比較距離データに変換してグリッドを示す情報と紐付ける比較データ演算部と、
前記現距離データおよび前記比較距離データについて、前記距離データが示す物体が、床か床以外かを識別する床識別部と、
遠近補正を行う遠近補正部と、
前記遠近補正部が遠近補正を行った遠近補正後現距離データと遠近補正後比較距離データとの差分値を算出し、当該差分値が閾値以上である領域を変化領域として抽出する変化領域抽出部と、
前記3次元レーザスキャナから見た前記監視領域のうちの前記変化領域の面積に基づいて報知対象を認識する認識処理部
とを備え、
前記遠近補正部は、
前記現距離データに紐付けられたグリッドと前記比較距離データに紐付けられたグリッドに対し、それぞれ、前記床と識別された物体を示す距離データに紐付けられたグリッドを対象に、前記床が水平になるように前記グリッドを上下方向にシフトさせて傾斜補正を行う傾斜補正部と、
前記傾斜補正部が傾斜補正を行った後の現距離データのグリッドおよび比較距離データのグリッドについて、前記床と識別された物体を示す距離データのグリッドを基準として、前記床以外と識別された物体を示す距離データのグリッドを復元させる復元部と、
前記復元部が前記床以外と識別された物体の距離データのグリッドを復元させた現距離データのグリッドおよび比較距離データのグリッドについて、補正倍率を用いて遠近補正する補正部とを備え、
前記補正倍率は、前記3次元レーザスキャナからの、基準となる距離と、前記補正倍率を用いて遠近補正される物体までの距離に応じて設定される、
ものであることを特徴とする監視装置。 - 前記床識別部は、
前記3次元レーザスキャナの測定結果の距離データごとに、床であるか床以外であるかが紐付けられた情報に基づき、床か床以外かを識別する
ことを特徴とする請求項1記載の監視装置。 - 前記床識別部は、
前記3次元レーザスキャナの測定結果の距離データのうち、前記床に相当するものとして指定された複数の点に基づき設定される、前記監視領域を横切る第1の線および第2の線の情報と、前記測定結果から特定される当該第1の線および第2の線上の測定点までの距離の情報とに基づき、前記床と床以外を識別する
ことを特徴とする請求項1記載の監視装置。 - 監視領域を測定した3次元レーザスキャナの測定結果から、前記監視領域に存在する物体までの距離データを取得し、現距離データとグリッドを示す情報とを紐付ける現データ演算部と、
前記測定結果から過去の前記距離データを取得し、比較距離データに変換してグリッドを示す情報と紐付ける比較データ演算部と、
前記現距離データおよび前記比較距離データについて、前記距離データが示す物体が、床を仮想的に嵩上げした仮想床か仮想床以外かを識別する床識別部と、
遠近補正を行う遠近補正部と、
前記遠近補正部が遠近補正を行った遠近補正後現距離データと遠近補正後比較距離データとの差分値を算出し、当該差分値が閾値以上である領域を変化領域として抽出する変化領域抽出部と、
前記3次元レーザスキャナから見た前記監視領域のうちの前記変化領域の面積に基づいて報知対象を認識する認識処理部
とを備え、
前記床識別部は、
前記3次元レーザスキャナの測定結果の距離データのうち、前記床に相当するものとして指定された複数の点に基づき設定される、前記監視領域を横切る第1の線および第2の線の情報と、
前記測定結果から特定される当該第1の線および第2の線上の測定点までの距離の情報と、
に基づき、前記距離データが示す物体が、床か床以外かを識別し、
さらに、前記床に相当する複数の点に対して設定された、前記床を嵩上げした仮想床を示す距離の情報、に基づき、前記床を仮想的に嵩上げして、前記距離データが示す物体が、仮想床か仮想床以外かを識別し、
前記遠近補正部は、
前記現距離データに紐付けられたグリッドと前記比較距離データに紐付けられたグリッドに対し、それぞれ、前記仮想床と識別された物体を示す距離データに紐付けられたグリッドを対象に、前記仮想床が水平になるように前記グリッドを上下方向にシフトさせて傾斜補正を行う傾斜補正部と、
前記傾斜補正部が傾斜補正を行った後の現距離データのグリッドおよび比較距離データのグリッドについて、前記仮想床と識別された物体を示す距離データのグリッドを基準として、前記仮想床以外と識別された物体を示す距離データのグリッドを復元させる復元部と、
前記復元部が前記仮想床以外と識別された物体の距離データのグリッドを復元させた現距離データのグリッドおよび比較距離データのグリッドについて、補正倍率を用いて遠近補正する補正部とを備え、
前記補正倍率は、前記3次元レーザスキャナからの、基準となる距離と、前記補正倍率を用いて遠近補正される物体までの距離に応じて設定される、
ものであることを特徴とする監視装置。
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