[0020]理解を容易にするため、図面に対して共通な同一の要素を指示するのに、できるだけ、同じ参照番号を使用している。ある実施形態に開示される要素は、特に指示なく、他の実施形態にも便利に利用されるものとする。ここで参照する図面は、特に指示のない限り、正しいスケールで描かれたものではないと理解されたい。また、図面は、表示及び説明を明瞭化するために、しばしば簡単化され且つ細部及び成分が省略される。図面及び討議は、以下の原理を説明するのに役立ち、同じ呼称で同じ要素を示す。
[0021]以下の詳細な説明は、性質上、単なる例示に過ぎず、本発明、又は本発明の適用及び使用を限定するものではない。更に、前記技術分野、背景、簡単な概要又は以下の詳細な説明に表現され又は暗示された理論によって縛られることはない。
[0022]本発明の技術の種々の実施形態は、有用性を改善するための入力装置及び方法を提供する。
[0023]一体型ディスプレイ(容量性感知領域を与えるのに加えて画像を出力するディスプレイ)における容量性感知は、容量性感知性能の低下(例えば、低い信号対雑音比又はSNR)或いは表示性能の低下(例えば、センサ電極付近の目に見えるアーティファクト)を引き起こすルーティング及び信号安定化を含む多数の課題がある。例えば、一体型ディスプレイにおけるピクセルの選択及び更新は、入力オブジェクトの影響を受ける電荷結合の正確な測定を電気的に妨げることがある。その1つの解決策は、表示更新の安定化時間とタッチ感知更新の安定化時間が重畳しないようにすることである。そのようにすることで、容量性タッチ感知の電気的変調(又はインピーダンスの変化)が、特にパイプライン型表示更新において、(例えば、ソースドライバがゲートライン選択によりピクセルに結合される間に)表示ピクセルの電圧又は電流に影響を及ぼすことを防止する。しかしながら、同時の容量性感知及び表示更新を許すことで、著しく改善された性能を与え及び/又はパネル要件を緩和することができる。これらの改善は、容量性感知及び表示更新の両方を遂行できる著しい時間延長によるものである。同時の表示更新及び容量性感知は、容量性感知信号及び表示信号の適当な更新周波数、位相及び/又は位置を選択することにより達成することができる。
[0024]一実施形態において、一体型ディスプレイを伴う入力装置は、ディスプレイ電極に表示信号を駆動するのと並列にセンサ電極にキャパシタンス感知信号(例えば、絶対的キャパシタンス感知及び/又はトランスキャパシタンス感知を遂行するのに使用される信号)を駆動する。2つの信号間の干渉を軽減するため、入力装置は、キャパシタンス感知信号の周波数を、表示更新を遂行するときに使用されるラインレート、即ちピクセルの行を更新するために一体型ディスプレイにより使用される時間周期に同期させる。1つの例において、キャパシタンス感知サイクルは、2つの半サイクルを各々含む複数の感知サイクルを含む。半サイクルの時間周期は、ラインレートと同期される。
[0025]更に、一実施形態において、入力装置は、キャパシタンス感知信号を、表示信号
における周期的ノイズ事象、例えば、電圧遷移、電荷共有(charge share)事象、等と位相整列させる。1つの例において、入力装置は、容量性感知信号に関連したリセット周期を、表示信号に生じる周期的ノイズ事象と整列させる。このように、センサ電極においてノイズ事象により発生されるいかなるノイズも無視される。キャパシタンス感知信号と表示信号を同期させ且つ位相整列させることにより、入力装置は、キャパシタンス感知信号がサンプリングされてフィルタリングされるとき、ノイズ事象がキャパシタンスの変化(一体型ディスプレイに接近した入力オブジェクトにより生じると誤解されることのある)を示すのを防止する。
[0026]別の実施形態において、入力装置は、現在アクティブなディスプレイ電極から空間的に分離されたセンサ電極上でキャパシタンス感知を遂行する。表示を更新するとき、入力装置は、各ゲートラインをアクチベートすることにより各行を通して連続的にラスタ化する。ゲートラインの信号とセンサ電極の容量性感知信号との間の干渉を回避するために、入力装置は、装置が現在ピクセルを更新しているアクティブなゲートラインから空間的に分離されたセンサ電極上で容量性感知を遂行する。更に、入力装置は、上述したように、表示信号に対してキャパシタンス感知信号を同期させ且つ位相整列させることで、センサ電極と他のディスプレイ電極(例えば、ソースラインのようなアクティブなゲートライン又はVcom電極とは異なるディスプレイ電極)との間の干渉を軽減することができる。
[0027]他の実施形態は、一般的に、同期型表示更新及び容量性感知のために容量性感知信号及び表示信号を周波数シフトする方法、入力装置及び処理システムを包含する。入力装置は、表示更新のために少なくとも1つのディスプレイ電極に表示信号を駆動する。また、入力装置は、第1の周波数を有する第1の容量性感知信号を少なくとも1つのセンサ電極へ駆動し、その第1の周波数は、表示信号に同期される。また、入力装置は、第2の周波数を有する第2の容量性感知信号を少なくとも1つのセンサ電極へ駆動し、第1及び第2の周波数は、異なるものである。表示信号のタイミングは、第2の容量性感知信号との同期を維持するために調整され、そして容量性感知信号及び表示信号の各々は、少なくともある時間周期に対して並列に駆動される。
[0028]容量性感知性能を改善するため、入力装置は、容量性感知信号の位相及び周波数を表示信号と同期させて、ソースラインとセンサ電極との間のノイズを軽減させる。干渉するノイズソースを回避するために、入力装置は、容量性感知信号の周波数を調整する。入力装置は、それに対応して、表示信号のタイミングを調整して同期を維持し、それにより、容量性感知性能に対する利益を維持する。
[0029]図1は、ここに提示する一実施形態による例示的な入力装置100のブロック図である。種々の実施形態において、入力装置100は、感知装置を備え、そしてディスプレイ装置(図示せず)を任意に備えている。他の実施形態では、入力装置100は、容量性感知装置のような一体型感知装置を有するディスプレイ装置を備えている。入力装置100は、電子システム150へ入力を与えるように構成される。本書で使用する「電子システム」(又は「電子デバイス」)という語は、情報を電子的に処理できるシステムを広く指す。電子システムの幾つかの非限定例は、全てのサイズ及び形状のパーソナルコンピュータ、例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、タブレット、ウェブブラウザ、e-ブックリーダー、及びパーソナルデジタルアシスタント(PDA)を含む。付加的な例示的電子システムは、複合入力装置、例えば、入力装置100及び個別のジョイスティック又はキースイッチを含む物理的キーボードを含む。更に別の例示的電子システムは、周辺装置、例えば、データ入力装置(リモートコントロール及びマウスを含む)及びデータ出力装置(ディスプレイスクリーン及びプリンタを含む)を含む。他の例は、リモートターミナル、キオスク、及びビデオゲーム機(例えば、ビデオゲームコンソール、ポータブルゲーム装置、等)を含む。他の例は、通信装置(スマートホンのような携帯電話機例示的を含む)、及びメディア装置(レコーダー、エディタ、プレーヤ、例えば、テレビジョン、セットトップボックス、音楽プレーヤ、デジタルフォトフレーム、及びデジタルカメラを含む)を含む。更に、電子システムは、入力装置に対してホストでもスレーブでもよい。
[0030]入力装置100は、電子システム150の物理的部分として具現化されてもよいし又は電子システム150とは物理的に個別であってもよい。必要に応じて、入力装置100は、次のもの、即ちバス、ネットワーク、及び他のワイヤード又はワイヤレス相互接続、のうちの1つ以上を使用して、電子システム150の各部分と通信することができる。例えば、I2C、SPI、SP/2、ユニバーサルシリアルバス(USB)、ブルーツース、RF、及びIRDAが含まれる。
[0031]図1において、入力装置100は、感知領域120内の1つ以上の入力オブジェクト140により与えられる入力を感知するように構成された近接センサ装置(「タッチパッド」又は「タッチセンサ装置」とも称される)として示されている。例示的な入力オブジェクトは、図1に示すように、指及びスタイラスを含む。
[0032]感知領域120は、入力装置100がユーザ入力(例えば、1つ以上の入力オブジェクト140により与えられるユーザ入力)を検出できるところの、入力装置100の上、その後方、その周囲、その中及び/又はその付近のスペースを包囲する。特定の感知領域のサイズ、形状及び位置は、実施形態ごとに広範に変化し得る。ある実施形態では、感知領域120は、信号対雑音比が充分に正確なオブジェクト検出を妨げるまで入力装置100の表面から1つ以上の方向にスペースへと延びる。この感知領域120が特定の方向に延びる距離は、種々の実施形態において、ほぼ1mm未満、数mm、数cm、又はそれ以上であり、そして使用する感知技術の形式及び望ましい精度と共に著しく変化する。従って、ある実施形態では、入力装置100の表面との非接触、入力装置100の入力表面(例えば、タッチ表面)との接触、ある量の力又は圧力を加えて結合された入力装置100の入力表面との接触、及び/又はその組み合わせを含む入力が感知される。種々の実施形態では、入力表面は、センサ電極が存在するケーシングの表面、センサ電極又はケーシングの上に施されるフェースシート、等により形成される。ある実施形態では、感知領域120は、入力装置100の入力面に投影されたときに長方形である。
[0033]入力装置100は、センサコンポーネントと感知技術を組み合わせて使用して、感知領域120におけるユーザ入力を検出する。入力装置100は、ユーザ入力を検出するための1つ以上の感知素子121を含む。多数の非限定例として、入力装置100は、容量性、弾力性、抵抗性、誘導性、磁気、音響性、超音波、及び/又は光学的技術を使用する。
[0034]ある具現化は、一次元、二次元、三次元、又はそれより高次元のスペースに及ぶ画像を与えるように構成される。また、ある具現化は、特定軸又は平面に沿って入力の投影を与えるように構成される。
[0035]入力装置100のある抵抗性具現化では、柔軟で導電性の第1層は、1つ以上のスペーサ素子により導電性の第2層から分離される。動作中に、これら層を横切って1つ以上の電圧勾配が生成される。柔軟な第1層を押すと、層間に電気的接触を生じるに充分なほどそれが撓み、層間の接触点(1つ又は複数)を反映する電圧出力が生じる。これら電圧出力は、位置情報を決定するのに使用される。
[0036]入力装置100のある誘導性具現化では、1つ以上の感知素子121が共振コイル又は一対のコイルにより誘起されたループ電流を検出する。次いで、電流の大きさ、位相及び周波数のある組み合わせを使用して、位置情報を決定する。
[0037]入力装置100のある容量性具現化では、電圧又は電流が加えられて電界を生成する。近傍の入力オブジェクトは、電界を変化させ、そして電圧、電流、等の変化として検出される容量性結合の検出可能な変化を生じさせる。
[0038]ある容量性具現化は、容量性感知素子121のアレイ、或いは他の規則的又は不規則パターンを使用して、電界を生成する。ある容量性具現化では、個別感知素子121が一緒にオーミック結合されて、より大きなセンサ電極を形成する。ある容量性具現化では、均一な抵抗性である抵抗性シートが使用される。図示されていないが、感知素子121は、1つ以上のセンサ又は他の電極を含む容量性感知ピクセルである。
[0039]ある容量性具現化は、センサ電極と入力オブジェクトとの間の容量性結合の変化に基づく「自己キャパシタンス」(又は「絶対的キャパシタンス」)感知方法を使用する。種々の実施形態において、センサ電極付近の入力オブジェクトは、センサ電極付近の電界を変更し、測定される容量性結合を変化させる。1つの具現化において、絶対的キャパシタンス感知方法は、基準電圧(例えば、システム接地)に対してセンサ電極を変調し、そしてセンサ電極と入力オブジェクトとの間の容量性結合を検出することにより、機能する。
[0040]ある容量性具現化では、センサ電極間の容量性結合の変化に基づく「相互キャパシタンス」(又は「トランスキャパシタンス」)感知方法が使用される。容量性結合の変化は、2つの異なる感知素子121のセンサ電極間に生じるか、又は同じ感知素子121の2つの異なるセンサ電極間に生じる。種々の実施形態において、センサ電極付近の入力オブジェクトは、センサ電極間の電界を変更して、測定される容量性結合を変化させる。ある具現化では、トランスキャパシタンス感知方法は、1つ以上の送信センサ電極(「送信器電極」とも称される)と1つ以上の受信センサ電極(「受信器電極」とも称される)との間の容量性結合を検出することにより、機能する。送信センサ電極は、基準電圧(例えば、システム接地)に対して変調されて、送信信号を送信する。受信センサ電極は、基準電圧に対して実質的に一定に保持されて、結果信号の受信を容易にする。この結果信号は、1つ以上の送信信号、及び/又は1つ以上の環境干渉源(例えば、他の電磁信号)に対応する作用(1つ又は複数)を含む。センサ電極は、専用の送信器電極又は受信器電極であるか、或いは送信及び受信の両方を行うように構成される。
[0041]図1において、処理システム110は、入力装置100の一部分として示されている。処理システム110は、入力装置100のハードウェアを動作して、感知領域120における入力を検出するように構成される。処理システム110は、1つ以上の集積回路(IC)及び/又は他の回路コンポーネントの全部又は部分を含む。例えば、相互キャパシタンスセンサ装置の処理システムは、送信センサ電極で信号を送信するように構成された送信回路、及び/又は受信センサ電極で信号を受信するように構成された受信回路を含む。また、ある実施形態では、処理システム110は、ファームウェアコード、ソフトウェアコード、等の電子的に読み取り可能なインストラクションも含む。ある実施形態では、処理システム110を構成するコンポーネントは、例えば、入力装置100の感知素子121の付近に一緒に配置される。他の実施形態では、処理システム110のコンポーネントは、入力装置100の感知素子に接近した1つ以上のコンポーネント及びどこかにある1つ以上のコンポーネントと物理的に個別である。例えば、入力装置100は、デスクトップコンピュータに結合された周辺装置であり、そして処理システム110は、デスクトップコンピュータの中央処理ユニット、及び中央処理ユニットとは個別の1つ以上のIC(おそらく関連ファームウェアを伴う)において実行するように構成されたソフトウェアを含む。別の例として、入力装置100は、電話と物理的に一体化され、そして処理システム110は、電話のメインプロセッサの一部分である回路及びファームウェアを含む。また、ある実施形態では、処理システム110は、入力装置100の具現化に専用のものである。他の実施形態では、処理システム110は、ディスプレイスクリーンを動作し、触覚アクチュエータを駆動し、等の他の機能も遂行する。
[0042]処理システム110は、処理システム110の異なる機能を取り扱うモジュールのセットとして具現化される。各モジュールは、処理システム110の一部分、ファームウェア、ソフトウェア、又はその組み合わせである回路を含む。種々の実施形態では、モジュールの異なる組み合わせが使用される。例示的モジュールは、センサ電極及びディスプレイスクリーンのようなハードウェアを動作するハードウェア動作モジュール、センサ信号及び位置情報のようなデータを処理するデータ処理モジュール、及び情報をレポートするレポートモジュールを含む。更に別の例示的モジュールは、入力を検出するために感知素子(1つ又は複数)を動作するように構成されたセンサ動作モジュール、モード切り換えジェスチャーのようなジェスチャーを識別するよう構成された識別モジュール、及び動作モードを切り換えるモード切り換えモジュールを含む。
[0043]ある実施形態では、処理システム110は、感知領域120におけるユーザ入力(又はユーザ入力の欠如)に直接的に応答して、1つ以上のアクションを生じさせる。例示的アクションは、動作モードの切り換え、並びにGUIアクション、例えば、カーソル移動、選択、メニューナビゲーション、及び他の機能を含む。ある実施形態では、処理システム110は、入力(又は入力の欠如)に関する情報を電子システムのある部分(例えば、処理システム110とは個別の電子システムの中央処理システムが存在する場合は、そのような個別の中央処理システム)に与える。ある実施形態では、電子システムのある部分は、処理システム110から受け取った情報を処理してユーザ入力に作用させ、例えば、モード切り換えアクション及びGUIアクションを含む全範囲のアクションを容易にする。
[0044]例えば、ある実施形態では、処理システム110は、入力装置100の感知素子(1つ又は複数)を動作し、感知領域120の入力(又は入力の欠如)を表す電気信号を発生する。処理システム110は、電気信号に対して適当な量の処理を遂行して、電子システムに送られる情報を発生する。例えば、処理システム110は、センサ電極から得られたアナログ電気信号をデジタル化する。別の例として、処理システム110は、フィルタリング、又は他の信号コンディショニングを遂行する。更に別の例として、処理システム110は、基線を引き算するか又は考慮に入れて、情報が電気的信号と基線との間の差を反映するようにする。更に別の例として、処理システム110は、位置情報を決定し、入力をコマンドとして認識し、手書きを認識し、等を行う。
[0045]ここで使用する「位置情報」とは、絶対的位置、相対的位置、速度、加速度及び他の形式の空間的情報を広く包含する。例示的な「ゼロ次元」位置情報は、近/遠、又は接触/非接触情報を含む。例示的な「一次元」位置情報は、軸に沿った位置を含む。例示的な「二次元」位置情報は、平面内の動きを含む。例示的な「三次元」位置情報は、空間における瞬時又は平均速度を含む。更に別の例では、空間的情報の他の表現が含まれる。例えば、時間に伴う位置、動き、又は瞬時速度を追跡する履歴データを含めて、1つ以上の形式の位置情報に関する履歴データも決定され及び/又は記憶される。
[0046]ある実施形態では、入力装置100は、処理システム110又は他の処理システムにより動作される付加的な入力コンポーネントで具現化される。これらの付加的な入力コンポーネントは、感知領域120の入力に対する冗長機能又は他の機能を与える。図1は、入力装置100を使用してアイテムの選択を容易にするのに使用されるボタン130を感知領域120の付近に示している。他の形式の付加的な入力コンポーネントは、スライダー、ボール、ホイール、スイッチ、等を含む。逆に、ある実施形態では、入力装置100は、他の入力コンポーネントを伴わずに具現化される。
[0047]ある実施形態では、入力装置100は、タッチスクリーンインターフェイスを備え、そして感知領域120は、ディスプレイ装置101のディスプレイスクリーンのアクティブなエリアの少なくとも一部分に重畳する。例えば、入力装置100は、ディスプレイスクリーンに重畳する実質的に透明なセンサ電極を備え、そして関連電子システムのためのタッチスクリーンインターフェイスを形成する。ディスプレイスクリーンは、ユーザに視覚インターフェイスを表示できる任意の形式の動的ディスプレイであり、任意の形式の発光ダイオード(LED)、有機LED(OLED)、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマ、エレクトロルミネセンス(EL)、エレクトロウェッティング、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)又は他の表示技術を含む。入力装置100及びディスプレイ装置101は、物理的素子を共有する。例えば、ある実施形態では、表示及び感知のために幾つかの同じ電気的コンポーネントが使用される。別の例として、ディスプレイ装置101は、処理システム110により部分的に又は完全に動作される。
[0048]本発明の技術の多数の実施形態を、完全に機能する装置に関して説明するが、本発明技術のメカニズムは、種々の形態でプログラム製品(例えば、ソフトウェア)として配布できることを理解されたい。例えば、本発明技術のメカニズムは、電子プロセッサにより読み取り可能な情報保持媒体(例えば、処理システム110により読み取り可能な非一時的コンピュータ読み取り可能な及び/又は記録/書き込み可能な情報保持媒体)におけるソフトウェアプログラムとして具現化され且つ配布される。更に、本発明技術の実施形態は、配布を実施するのに使用される媒体の特定形式に関わらず、等しく適用される。非一時的な電子的に読み取り可能な媒体は、例えば、種々のディスク、メモリスティック、メモリカード、メモリモジュール、等を含む。電子的に読み取り可能な媒体は、フラッシュ、光学的、磁気的、ホログラフィー、又は他の記憶技術に基づくものである。
[0049]図2Aは、ある実施形態によりパターンに関連した感知領域120において感知するように構成された感知素子の例示的パターンの一部分を示す。図示及び説明を明瞭にするため、図2Aは、単純な長方形のパターンで感知素子を示し、種々のコンポーネントは示していない。感知素子のこのパターンは、第1の複数のセンサ電極160(160-1、160-2、160-3、・・・160-n)と、これら複数の送信器電極160上に配置された第2の複数のセンサ電極170(170-1、170-2、170-3、・・・170-n)とを含む。ある実施形態では、感知素子のこのパターンは、複数の送信器電極160(160-1、160-2、160-3、・・・160-n)と、これら複数の送信器電極160上に配置された複数の受信器電極170(170-1、170-2、170-3、・・・170-n)とを含む。別の実施形態では、第1の複数のセンサ電極は、送信及び受信を行うように構成され、そして第2の複数のセンサ電極も、送信及び受信を行うように構成される。
[0050]送信器電極160及び受信器電極170は、典型的に互いにオーミック分離される。即ち、1つ以上の絶縁材が送信器電極160及び受信器電極170を分離し、そしてそれらが互いに電気的に短絡するのを防止する。ある実施形態では、送信器電極160及び受信器電極170は、交差エリアにおいてそれらの間に配置される絶縁材により分離され、そのような構造では、送信器電極160及び/又は受信器電極170は、同じ電極の異なる部分を接続するジャンパーで形成される。ある実施形態では、送信器電極160及び受信器電極170は、1つ以上の絶縁材料層で分離される。そのような実施形態では、送信器電極及び受信器電極は、共通基板の個別層に配置される。他の幾つかの実施形態では、送信器電極160及び受信器電極170は、1つ以上の基板により分離され、例えば、それらは、同じ基板の互いに反対側に配置されるか、又は異なる基板に配置されて一緒にラミネートされる。
[0051]送信器電極160と受信器電極170との間の局部的容量性結合のエリアは、「容量性ピクセル」と称される。送信器電極160と受信器電極170との間の容量性結合は、送信器電極160及び受信器電極170に関連した感知領域における入力オブジェクトの接近性及び動きと共に変化する。
[0052]ある実施形態では、センサパターンは、それらの容量性結合を決定するために「スキャン」される。即ち、送信器電極160が駆動されて、送信信号を送信する。送信器は、一度に1つの送信器電極が送信を行うか、又は複数の送信器電極が同時に送信を行うように動作される。複数の送信器電極が同時に送信を行う場合には、複数の送信器電極が同じ送信信号を送信して、実際上大きな送信器電極を効果的に形成するか、或いはまた、それらの複数の送信器電極が異なる送信信号を送信してもよい。例えば、受信器電極170の結果信号に対する合成作用を独立して決定できる1つ以上のコードスキームに基づいて複数の送信器電極が異なる送信信号を送信してもよい。
[0053]受信センサ電極170は、単独で又は複数で動作されて、結果信号を取得する。結果信号は、容量性ピクセルにおける容量性結合の測定値を決定するのに使用される。
[0054]容量性ピクセルからの1組の測定値は、ピクセルにおける容量性結合を表す「容量性画像」(「容量性フレーム」ともいう)を形成する。複数の時間周期にわたって複数の容量性画像が取得され、そしてそれらの間の差を使用して、感知領域における入力に関する情報を導出する。例えば、次々の時間周期にわたって取得した次々の容量性画像を使用して、感知領域に入る、感知領域を出る及び感知領域内にある1つ以上の入力オブジェクトの動きを追跡することができる。
[0055]センサ装置の基線キャパシタンスは、感知領域に入力オブジェクトがないことに関連した容量性画像である。基線キャパシタンスは、環境及び動作条件と共に変化し、そして種々の方法で推定される。例えば、ある実施形態では、入力オブジェクトが感知領域にないと決定されるときに「基線画像」を取り上げて、それらの基線画像を基線キャパシタンスの推定値として使用する。
[0056]容量性画像は、より効率的な処理のためにセンサ装置の基線キャパシタンスに対して調整することができる。ある実施形態では、容量性ピクセルにおける容量性結合の測定値を「基線処理」して、「基線処理された容量性画像」を発生することにより、これが遂行される。即ち、ある実施形態では、容量性画像を形成する測定値が、それらピクセルに関連した「基線画像」の適当な「基線値」と比較され、そしてその基線画像からの変化が決定される。
[0057]あるタッチスクリーン実施形態では、送信器電極160は、ディスプレイスクリーンの表示を更新するのに使用される1つ以上の共通電極(例えば、“Vcom”電極又はソースドライバ電極)を含む。これら共通電極は、適当なディスプレイスクリーン基板に配置される。例えば、共通電極は、あるディスプレイスクリーン(例えば、インプレーンスイッチング(IPS)又はプレーン対ラインスイッチング(PLS))のTFTガラス、あるディスプレイスクリーン(例えば、パターン化垂直整列(PVA)又はマルチドメイン垂直整列(MVA))のカラーフィルタガラスの底面、等に配置される。そのような実施形態では、共通電極は、複数の機能を果たすので、「コンビネーション電極」とも称される。種々の実施形態において、各送信器電極160は、1つ以上のコンビネーション電極を含む。他の実施形態では、少なくとも2つの送信器電極160が少なくとも1つのコンビネーション電極を共有する。更に、ある実施形態では、送信器電極160及び受信器電極170の両方がディスプレイスクリーン基板のディスプレイスタック内に配置される。それに加えて、ディスプレイスタックにおける送信器電極160及び/又は受信器電極の少なくとも一方がコンビネーション電極を含んでもよい。しかしながら、他の実施形態では、送信器電極160のみ又は受信器電極170のみ(両方ではない)がディスプレイスタック内に配置され、そして他方のセンサ電極はディスプレイスタックの外部にある(例えば、カラーフィルタガラスの反対側に配置される)。
[0058]種々のタッチスクリーン実施形態では、「容量性フレームレート」(次々の容量性画像が取得されるレート)は、「表示フレームレート」(即ち、同じ画像を再表示するためにスクリーンをリフレッシュすることを含めて、表示画像が更新されるレート)と同じでもよいし又は異なるものでもよい。2つのレートが異なるある実施形態では、次々の容量性画像が異なる表示更新レートで取得され、そして異なる表示更新状態は、取得した容量性画像に影響を及ぼし得る。即ち、表示更新は、特に、基線容量性画像に影響を及ぼす。種々の実施形態において、表示更新の作用は、キャパシタンスの変化によるものであるか、又はキャパシタンスの変化が測定される間の注入電荷の変化によるものである。従って、表示更新が第1状態にあるときに第1の容量性画像が取得され、そして表示更新が第2状態にあるときに第2の容量性画像が取得される場合には、第1及び第2の容量性画像の相違は、表示更新状態に関連したバックグランド容量性画像の差によるもので、感知領域の変化によるものではない。これは、おそらく、容量性感知及び表示更新電極が互いに接近している場合か、又はそれらが共有される(例えば、コンビネーション電極)ときである。種々の実施形態において、容量性フレームレートは、表示フレームレートの整数倍である。例えば、60ヘルツ(Hz)の表示フレームレートでは、容量性フレームレートは、120Hz、180Hz、240Hz、等のいずれか1つである。しかしながら、他の表示フレームレート及び容量性フレームレートも考えられる。他の実施形態では、容量性フレームレートは、表示フレームレートの分数倍である。例えば、60Hzの表示フレームレートでは、容量性フレームレートは、90Hzである。しかしながら、他の表示フレームレート及び容量性フレームレートも考えられる。更に別の実施形態では、容量性フレームレートは、表示フレームレートの分数倍でも整数倍でもよい。例えば、48Hzの表示フレームレートでは、容量性フレームレートは、100Hzである。しかしながら、他の表示フレームレート及び容量性フレームレートも考えられる。
[0059]説明の便宜上、特定の表示更新状態の間に取り出される容量性画像は、特定のフレーム形式であると考えられる。即ち、特定のフレーム形式は、特定の容量性感知シーケンスと特定の表示シーケンスとのマッピングに関連している。従って、第1の表示更新状態の間に得られる第1の容量性画像は、第1のフレーム形式であると考えられ、第2の表示更新状態の間に得られる第2の容量性画像は、第2のフレーム形式であると考えられ、第1の表示更新状態の間に得られる第3の容量性画像は、第3のフレーム形式であると考えられ、等々である。表示更新状態及び容量性画像取得の関係が周期的である場合には、取得される容量性画像がフレーム形式を通して循環し、次いで、繰り返される。ある実施形態では、表示更新状態ごとに“n”個の容量性画像がある。
[0060]図2Bは、ある実施形態によりパターンに関連した感知領域120において感知するように構成された容量性感知ピクセル205(ここでは、容量性ピクセル又は感知ピクセルとも称される)の例示的パターンの一部分を示す。各容量性感知ピクセル205は、上述した感知素子を1つ以上含む。図示及び説明を明瞭にするため、図2Bは、容量性感知ピクセル205の領域を単純な長方形のパターンで表し、容量性感知ピクセル205内の種々の他のコンポーネントは示さない。ある実施形態では、容量性感知ピクセル205は、局部的キャパシタンス(容量性結合)のエリアである。容量性感知ピクセル205は、第1の動作モード(即ち、絶対的感知)では個々のセンサ電極と接地点との間に形成され、そして第2の動作モード(即ち、トランスキャパシタンス感知)では送信及び受信器電極として使用されるセンサ電極のグループ間に形成される。容量性結合は、容量性感知ピクセル205に関連した感知領域120における入力オブジェクトの接近性及び動きと共に変化し、従って、入力装置の感知領域120における入力オブジェクトの存在の指示子として使用される。
[0061]例示的パターンは、X列、Y行に配置された容量性感知ピクセル205x、y(総体的にピクセル205と称される)のアレイを含み、ここで、X及びYは、正の整数であるが、X及びYの一方はゼロでもよい。感知ピクセル205のパターンは、極アレイ、繰り返しパターン、非繰り返しパターン、非均一アレイ、単一の行又は列、或いは他の適当な配列のような他の構成を有する複数の感知ピクセル205を含むことが意図される。更に、以下に詳細に述べるように、感知ピクセル205におけるセンサ電極は、円形、長方形、ダイアモンド、星形、方形、非凸状、凸状、非凹状、凹状、等の任意の形状である。ここに示すように、感知ピクセル205は、処理システム110に結合され、そして感知領域120における入力オブジェクトの存在(又はその欠落)を決定するのに使用される。1つ以上の実施形態において、各センサ電極205は、1つ以上のソースラインに重畳する。各ソースラインは、センサ電極に容量性結合され、そしてソースラインの電圧が変化したときに、センサ電極に電荷が注入される。この注入された電荷は、測定されるキャパシタンス変化にエラーを引き起こすことがある。1つ以上の実施形態において、センサ電極に結合された各ソースラインにより注入される電荷を差し引くことができる。更に、他の実施形態では、センサ電極に結合された各ソースラインにより注入される平均電荷量を差し引くことができる。更に別の実施形態では、基準電極が、センサ電極205のうちの少なくとも1つのセンサ電極と共にソースラインの共通セットに重畳するように配置される。ソースラインから受け取られ且つ基準電極に注入された電荷に対応する結果信号が、各対応するセンサ電極の結果信号から差し引かれる。
[0062]第1の動作モードにおいて、容量性感知ピクセル205内の少なくとも1つのセンサ電極は、絶対的感知技術を経て入力オブジェクトの存在を検出するのに使用される。処理システム110のセンサモジュール204は、各ピクセル205のセンサ電極を変調信号で駆動し、そしてその変調信号に基づいてセンサ電極と入力オブジェクト(例えば、自由スペース又はアース接地点)との間のキャパシタンスを測定するように構成され、これは、処理システム110又は他のプロセッサにより入力オブジェクトの位置を決定するのに使用される。種々の実施形態において、センサ電極のこれらの変調は、入力装置のシステム接地点に対してセンサ電極の電圧を変更することで達成され、システム接地点は、アース接地点に別々に結合される。
[0063]容量性ピクセル205の種々の電極は、典型的に、他の容量性ピクセル205の電極からオーミック分離される。更に、ピクセル205が複数の電極を含む場合には、それらの電極が互いにオーミック分離される。即ち、1つ以上の絶縁体がセンサ電極を分離し、そしてそれらが互いに電気的に短絡するのを防止する。更に、ある実施形態では、容量性ピクセル205のセンサ電極は、容量性ピクセル205間のグリッド電極(図示せず)からオーミック絶縁される。1つの例において、グリッド電極は、1つ以上の容量性ピクセル205を取り巻く。グリッド電極は、シールドとして使用されるか、又はピクセル205のセンサ電極で容量性感知を遂行するときに使用するためのガード信号を送るのに使用される。それとは別に又はそれに加えて、グリッド電極は、容量性感知を遂行するときにセンサ電極として使用される。更に、グリッド電極は、容量性ピクセル205のセンサ電極と同一平面であるが、これは、要求されない。例えば、グリッド電極は、センサ電極とは異なる基板に配置されるか、又はセンサ電極と同じ基板の異なる側に配置される。種々の実施形態において、ディスプレイ装置の電源又はディスプレイ装置の関連電源は、与えられる基準電圧(1つ又は複数)が変調されるように、システム接地点に対して変調される。
[0064]第2の動作モードにおいて、容量性ピクセル205のセンサ電極は、トランスキャパシタンス感知技術を経て入力オブジェクトの存在を検出するのに使用される。即ち、処理システム110は、ピクセル205の少なくとも1つのセンサ電極を送信信号で駆動し、そしてピクセル205の1つ以上の他のセンサ電極を使用して結果信号を受信し、該結果信号は、送信信号に対応する作用を含む。結果信号は、処理システム110又は他のプロセッサにより入力オブジェクトの位置を決定するのに使用される。
[0065]入力装置100は、上述したモードのいずれか1つで動作するように構成される。また、入力装置100は、上述したモードのいずれか2つ以上の間を切り換えるようにも構成される。
[0066]ある実施形態では、容量性ピクセル205は、それら容量性結合を決定するために「スキャン」される。即ち、一実施形態では、1つ以上のセンサ電極が駆動されて、送信信号を送信する。送信器は、一度に1つの送信器電極が送信を行うか、又は複数の送信器電極が同時に送信を行うように動作される。複数の送信器電極が同時に送信を行う場合には、複数の送信器電極が同じ送信信号を送信して、実際上大きな送信器電極を効果的に形成する。或いはまた、それらの複数の送信器電極が異なる送信信号を送信してもよい。例えば、受信器電極の結果信号に対する合成作用を独立して決定できる1つ以上のコードスキームに基づいて複数の送信器電極が異なる送信信号を送信してもよい。
[0067]受信センサ電極として構成されたセンサ電極は、単独で又は複数で動作されて、結果信号を取得する。結果信号は、容量性ピクセル205における容量性結合の測定値を決定するのに使用される。
[0068]他の実施形態では、ピクセル205を「スキャニング」してそれら容量性結合を決定することは、変調信号で駆動し、そして1つ以上のセンサ電極の絶対的キャパシタンスを測定することを含む。別の実施形態では、変調信号が複数の容量性ピクセル205のセンサ電極で同時に駆動されるようにセンサ電極が動作される。そのような実施形態では、1つ以上ピクセル205の各々から絶対的容量性測定値が同時に得られる。一実施形態では、入力装置100は、複数の容量性ピクセル205のセンサ電極を同時に駆動し、そして同じ感知サイクル内に各ピクセル205の絶対的容量性測定を行う。種々の実施形態において、処理システム110は、センサ電極の一部分を選択的に駆動しそしてそれで受信を行うように構成される。例えば、センサ電極は、これに限定されないが、ホストプロセッサで実行されるアプリケーション、入力装置の状態、感知装置の動作モード及び入力装置の決定された位置に基づいて選択される。種々の実施形態において、全てのセンサ電極205が同時に変調され、且つグリッド電極がシステム接地点に対してガード電極として動作するように変調される一方、選択されたセンサ電極は、マルチプレクサで受信され且つそれを経て測定されて、感知領域120の選択された領域が一度に感知されるようにする。一実施形態では、選択された領域は、表示更新のために駆動されるゲートラインから離れて位置されるように選択される。1つ以上の実施形態において、スキャニングが行われる間に、センサ電極は変調されず、干渉の測定値を得るために受信される。
[0069]容量性ピクセル205からの1組の測定値は、上述したように、ピクセル205における容量性結合を表す容量性画像(「容量性フレーム」とも称される)を形成する。複数の時間周期にわたって複数の容量性画像が取得され、そしてそれらの間の差を使用して、感知領域における入力に関する情報を導出する。例えば、次々の時間周期にわたって取得した次々の容量性画像を使用して、感知領域に入る、感知領域を出る及び感知領域内にある1つ以上の入力オブジェクトの動き(1つ又は複数)を追跡することができる。
[0070]ある実施形態では、容量性ピクセル205の1つ以上のセンサ電極は、ディスプレイスクリーンの表示を更新するのに使用される1つ以上のディスプレイ電極を含む。1つ以上の実施形態において、ディスプレイ電極は、Vcom電極(共通電極)の1つ以上のセグメント、ソース駆動ライン、ゲートライン、アノード電極又はカソード電極、或いは他の表示素子を含む。これらディスプレイ電極は、適当なディスプレイスクリーン基板に配置される。例えば、電極は、あるディスプレイスクリーン(例えば、インプレーンスイッチング(IPS)、又はプレーン対ラインスイッチング(PLS)有機発光ダイオード(OLED))における透明基板(ガラス基板、TFTガラス、又は他の透明材料)、あるディスプレイスクリーン(例えば、パターン化垂直整列(PVA)又はマルチドメイン垂直整列(MVA))のカラーフィルタガラスの底面、放射層(OLED)の上、等に配置される。そのような実施形態では、センサ及びディスプレイ電極の両方として使用される電極は、複数の機能を果たすので「コンビネーション電極」とも称される。一実施形態において、容量性ピクセル205における全てのセンサ電極は、ディスプレイスクリーン基板のディスプレイスタックに配置される。更に、ディスプレイスタックにおける少なくとも1つのセンサ電極は、コンビネーション電極である。しかしながら、他の実施形態では、容量性ピクセル205におけるセンサ電極の一部分だけがディスプレイスタック内に配置され、一方、他のセンサ電極は、ディスプレイスタックの外部にある(例えば、カラーフィルタガラスの反対側に配置される)。
[0071]図2Bを参照し続けると、感知電極に結合される処理システム110は、センサモジュール204と、任意であるが、ディスプレイドライバモジュール208とを備えている。一実施形態において、センサモジュールは、入力感知が望まれる期間中に感知電極に送信信号又は変調信号を駆動しそして結果信号を受信するように構成された回路を含む。ある実施形態では、センサモジュール204は、入力感知が望まれる期間中に感知電極に送信信号を駆動するように構成された回路を含む送信器モジュールを含む。送信信号は、一般的に、変調され、そして入力感知に割り当てられた期間にわたり1つ以上のバースト(感知サイクル)を含む。送信信号は、感知領域における入力オブジェクトのより頑健な位置情報を得るために変化される振幅、周波数及び電圧を有する。送信器は、変調電源ドメインに結合されて、ディスプレイ電極がシステム接地点に対して変調されるようにする。更に、種々の実施形態において、送信器は、ソースドライバから分離されるか又はそれと共に含まれる。絶対的容量性感知に使用される変調信号は、トランスキャパシタンス感知に使用される送信信号と同じでもよいし、異なってもよい。センサモジュール204は、容量性ピクセル205における1つ以上のセンサ電極に選択的に結合される。例えば、センサモジュール204は、センサ電極の選択された部分に結合され、そして絶対的又はトランスキャパシタンス感知モードで動作する。別の例では、センサモジュール204は、絶対的感知モードで動作するときには、トランスキャパシタンス感知モードで動作するときとは異なるセンサ電極に結合される。
[0072]種々の実施形態において、センサモジュール204は、入力感知が望まれる期間中に送信信号に対応する作用を含む結果信号を感知電極で受信するように構成された回路を含む受信器モジュールを含む。1つ以上の実施形態において、受信器モジュールは、ピクセル205の1つにおける第1のセンサ電極に変調信号を駆動し、そして変調信号に対応する結果信号を受信して、センサ電極の絶対的キャパシタンスの変化を決定する。受信器モジュールは、感知領域120における入力オブジェクトの位置を決定するか、又は結果信号を表す情報を含む信号を別のモジュール又はプロセッサ、例えば、電子デバイスの決定モジュール又はプロセッサ(即ち、ホストプロセッサ、又は一体型センサプロセッサを伴うタイミングコントローラ)に与えて、感知領域120における入力オブジェクトの位置を決定する。1つ以上の実施形態において、受信器モジュールは、複数の受信器を備え、各受信器は、アナログフロントエンド(AFE)である。更に、受信器モジュールの少なくとも一部分がソースドライバ内に配置されてもよい。
[0073]1つ以上の実施形態において、容量性感知(又は入力感知)及び表示更新は、少なくとも部分的に重畳する期間中に行われる。例えば、コンビネーション電極が表示更新のために駆動されるとき、そのコンビネーション電極は、容量性感知のために駆動されてもよい。又は、容量性感知と表示更新を重畳させることは、ディスプレイ装置の基準電圧(1つ又は複数)を変調し、及び/又はセンサ電極が容量性感知のために構成されたときと少なくとも部分的に重畳する期間内に表示のために少なくとも1つのディスプレイ電極を変調することを含む。別の実施形態では、容量性感知及び表示更新は、非表示更新期間とも称される非重畳期間中に行われる。種々の実施形態において、非表示更新期間は、表示フレームの2本の表示ラインに対する表示ライン期間と期間との間に生じ、そして少なくとも、表示更新期間と同程度の時間長さである。これらの実施形態では、非表示更新期間は、長い水平ブランキング期間、長いh-ブランキング期間又は分散型ブランキング期間とも称される。他の実施形態では、非表示更新期間は、水平ブランキング期間及び垂直ブランキング期間を含む。処理システム110は、1つ以上の異なる非表示更新時間の間又はそれらを組み合わせた時間の間に容量性感知のためにセンサ電極を駆動するように構成される。非表示更新期間は、タッチ感知以外の感知に使用される(例えば、干渉測定、アクティブな変調入力)。種々の実施形態において、非表示更新期間は、入力感知のためにラインレートが変化する間に一定の表示フレームレートを維持するのに使用され、表示更新も入力感知も著しく影響を受けないようにする(即ち、一定の入力感知レポートレート、表示リフレッシュレート、等を維持する)。
[0074]ディスプレイドライバモジュール208は、非感知(例えば、表示更新)期間中にディスプレイ装置の表示に表示画像更新情報を与えるように構成された回路を含む。ディスプレイドライバモジュール208は、センサモジュール204と共に含まれてもよいし、又はそれとは個別であってもよい。一実施形態では、処理システムは、ディスプレイドライバモジュール208及びセンサモジュール204の少なくとも一部分(即ち、送信器モジュール及び/又は受信器モジュール)を含む第1の一体型コントローラを備えている。別の実施形態では、処理システムは、ディスプレイドライバ208を含む第1の一体型コントローラと、センサモジュール204を含む第2の一体型コントローラとを備えている。更に別の実施形態では、処理システムは、ディスプレイドライバモジュール208及び送信器モジュール又は受信器モジュールの一方を含む第1の一体型コントローラと、送信器モジュール及び受信器モジュールの他方を含む第2の一体型コントローラとを備えている。
[0075]図3は、ここに述べる一実施形態によるディスプレイ装置300の概略ブロック図である。より詳細には、図3のディスプレイ装置300は、入力装置と一体化され、そして処理システム110及びディスプレイスクリーン320を備えている。処理システム110は、ディスプレイスクリーン320の1つ以上のソースライン307(列ラインとも称される)に各々関連した1つ以上のソースドライバ305を備えている。一実施形態では、処理システム110及びディスプレイスクリーン320は、個別のコンポーネントである。例えば、処理システム110は、1つ以上の送信ラインを経てディスプレイスクリーン320に通信可能に結合されたASICである。しかしながら、一実施形態では、処理システム110がディスプレイスクリーン320に一体化されて、単一コンポーネントを形成する。種々の実施形態において、処理システム110は、更に、タイミングコントローラ(Tcon)及び電力管理集積回路(PMIC)の1つ以上を備えている。タイミングコントローラは、第1の集積回路内に配置され、そしてソースドライバは、第2の集積回路内に配置される。更に、種々の実施形態において、タイミングコントローラは、送信器モジュール又は受信器モジュールの少なくとも一部分を含むソースドライバから、処理されたデータ、部分的に処理されたデータ又は未処理のデータの少なくとも1つを受信するように構成される。タイミングコントローラは、データを処理して、位置情報、ジェスチャー情報、及び/又は干渉情報を決定するように構成される。タイミングコントローラは、ソースドライバ305及び行選択ロジック315に制御信号を通信するように構成され、その制御信号は、ホストプロセッサからの表示データに基づく。タイミングコントローラは、位置情報を含むセンサデータをホストプロセッサに報告する。1つ以上の実施形態において、タイミングコントローラは、位置情報に基づいて低電力モードに入るか又はそのモードから出るようにホストプロセッサに信号するように構成される。種々の実施形態において、タイミングコントローラは、ホストが低電力状態にある間に表示を更新するように構成される。タイミングコントローラは、容量性感知のタイミング及び表示ラインレートのタイミングの一方を制御する。更に、タイミングコントローラは、容量性感知機能、例えば、トランスキャパシタンス感知のためのセンサ電極の動作、絶対的容量性感知のためのセンサ電極の動作、及び/又はトランスキャパシタンス感知及び絶対的容量性感知のために動作するセンサ電極と、トランスキャパシタンス感知及び絶対的容量性感知のためにセンサ電極をいつ動作するかとの選択、を制御するように構成される。更に、タイミングコントローラは、非表示更新時間を開始するように構成される。1つ以上の実施形態において、電力管理集積回路は、電力信号及び調整された電圧をソースドライバ及び行選択ロジック(即ち、ゲート選択ロジック)に与える。電力管理集積回路は、共通電圧及びガンマ電圧を発生する。
[0076]ソースドライバ305は、入力電圧信号を受け取り、これは、増幅されてソースライン307へ送信される。ディスプレイスクリーン320は、各ゲートライン317(「行」又は「ライン」とも称される)を経て行選択ロジック315に結合された1つ以上のピクセル310を含む。ピクセル310は、(前記容量性ピクセルとは対照的に)ディスプレイスクリーン320上に画像を表示するのに使用される。ピクセル310は、発光ダイオード(LED)、有機LED(OLED)、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマ、エレクトロルミネセンス(EL)、又は画像を表示するための他の表示技術において使用される。
[0077]特定のピクセル310を更新するために、行選択ロジック315は、ゲートライン317の1つをアクチベートする。一実施形態において、各ピクセル310は、ソースライン307の電圧でピクセル310により放射されるカラーを切り換えられるようにするスイッチング素子を含む。例えば、ピクセル310Dを更新するために、行選択ロジック315は、ゲートライン317Aを使用して、スイッチング素子を制御し、ソースドライバ305Bにより発生される電圧でピクセル310Dに関連した電圧を切り換えるようにする。行選択ロジック315をソースドライバ305により送信される電圧で整合することにより、処理システム110及びディスプレイスクリーン320は、ピクセル310を各電圧にセットする。
[0078]一実施形態において、上述したように、処理システム110及びディスプレイスクリーン320は、ユーザ入力をサポートするためのタッチ感知回路及びロジックを含む。明瞭化のため、以下の実施形態ではタッチ感知機能について述べない。しかしながら、これらの機能は、明確に意図される。即ち、ここに述べるディスプレイ回路及び機能は、タッチ感知を経てユーザ入力を可能にする付加的な回路と結合される。
[0079]図4は、ここに述べる一実施形態によりディスプレイ装置のソースライン425を更新するためのシステム400を示す。より詳細には、システム400は、ディスプレイスクリーン320の複数のソースライン425に結合されたソースドライバ305(即ち、図3に示すソースドライバの1つ)を備えている。ここに示すように、各ソースドライバ305は、各サブピクセル420に各々関連した3つのソースライン425に結合される。この実施形態では、ピクセル310は、ピクセル310に関連したカラーを発生するように結合される3つのサブピクセル420に分割され、例えば、サブピクセル420Aは、赤のサブピクセルであり、サブピクセル420Bは、緑のサブピクセルであり、そしてサブピクセル420Cは、青のサブピクセルである。従って、ピクセル310の電圧、ひいては、カラーをセットするとき、ソースドライバ305は、サブピクセル420ごとに1つの、3つの個別の駆動位相を使用する。異なるサブピクセルソースライン425間を選択するために、ディスプレイスクリーン320は、マルチプレクサ(mux)415を備えている。サブピクセル選択信号に基づき、mux415は、ソースドライバ305により送信される電圧が任意の所与の時間に3つのソースライン425の1つだけに到達するのを許す。従って、各ソースドライバ305は、1本のワイヤのみを使用して、3つの独特の電圧を各サブピクセルソースライン425に送信する。更に、各ピクセルは、液晶ピクセルを表すキャパシタを含んで示されているが、上述したように、ディスプレイスクリーンは、この形式に限定されない。1つ以上の実施形態において、行選択ロジックは、「パイプライン」を使用して更新するための表示ラインを選択するように構成される。これらの実施形態では、一度に複数の表示ラインが重畳形態で駆動される。表示ラインが「ターンオン」電圧に到達すると、表示ラインが更新される。
[0080]図4は、3つのソースラインに選択的に結合される1つのソースドライバを示しているが、本開示は、これに限定されない。むしろ、ここに述べる実施形態は、ソースドライバを使用して任意の数のソースラインを駆動するディスプレイ装置に使用することができる。更に、図4は、1つの選択信号を使用してソースライン425をソースドライバ305に結合することを示しているが、他の実施形態では、3つの異なる制御信号を使用してサブピクセル420へのアクセスを許すのが好ましい。以下に詳細に述べるように、3つの異なる制御信号を使用してソースライン425を互いに相互接続することができる(例えば、ソースライン425A~Cは、蓄積電荷を放電するために相互接続される)。更に、図4に示す実施形態では、Vcom電極は、ソースライン425に垂直であるとして示されている。種々の実施形態において、Vcom電極は、セグメント化され、各セグメントは、ソースライン424と実質的に平行に配置される。更に、1つのセグメントがサブピクセル420の各々に対応してもよいし、又は各セグメントが各サブピクセル420A、420B及び420Cに対応してもよい。Vcom電極セグメントは、マルチプレクサ415に結合されそしてそれを使用して選択的に駆動されるが、種々の実施形態において、第2のマルチプレクサが使用されてもよい。1つ以上の実施形態において、センサモジュール204の少なくとも一部分(即ち、受信器モジュール、送信器モジュール、等の一部分)がマルチプレクサ415と共に配置されてもよい。種々の実施形態において、マルチプレクサ415は、個別のコンポーネントとして又はソースドライバ305の一部分として、ディスプレイ装置の基板上に配置される。
[0081]図5の(A)~(D)は、ここに述べる実施形態によるディスプレイ装置のための反転スキームを示す。より詳細には、図5の(A)~(D)は、ディスプレイスクリーンの異なるピクセル(又はサブピクセル)に指定される極性を示す。一実施形態において、ディスプレイスクリーンは、反転スキームを使用して、2つの表示フレームにまたがり実質的にゼロの正味電圧を印加することができる(データ/カラーが同じままであると仮定すれば)。
[0082]図5の(A)のチャート505は、個々のボックスで表された各ピクセル又はサブピクセルにまたがる電圧の極性を示す。明瞭化のため、「ピクセル」という語は、一般的に、図5の(A)~(D)では、複数のサブピクセルを含むピクセル及びピクセル内の個々のサブピクセル(例えば、赤、青又は緑のサブピクセル)の両方を表わすのに使用される。例えば、チャート505のピクセルは、第1列が赤のサブピクセルを含み、第2列が緑のサブピクセルを含み、そして第3列が青のサブピクセルを含み、それらが同じソースドライバに選択的に結合されることを示す。更に、図5の(A)~(D)に示す全ての反転スキームでは、各ボックスが単一のピクセル及びそれに対応するサブピクセル(もしあれば)を表すことが等しく考えられる。このシナリオでは、チャート505の最も左上のボックスは、正の電圧極性を有し、これは、このピクセルの全てのサブピクセルが同じ正の極性を有することを意味する。他方、負の極性をもつボックスは、対応する全てのサブピクセルが負の極性の電圧を有することを意味する。これは、ピクセルを作り上げるサブピクセルのグループが一緒に反転されるピクセル反転と称される。
[0083]一実施形態において、ピクセルにセットされる電圧は、-5ないし5Vの範囲である。ピクセルが正の電圧にセットされるか負の電圧にセットされるかに関わらず同じカラーが生じる(例えば、ピクセルが-3Vにセットされても又は3Vにセットされてもカラーは同じである)ので、ディスプレイスクリーンは、表示されるカラーに影響せずに使用電圧の極性を切り換えることができる。多くの実施形態では、ピクセルの強度(即ち、グレーレベル)は、ソースライン及び/又はVcom電極に印加される電圧変調のRMS振幅により決定される。チャート505及び510は、行の隣接ピクセルごとに極性が切り換わるドット又はピクセル反転を示す。しかしながら、チャート510に示すように、その後の表示フレームが受け取られるときには、ディスプレイスクリーンが更新されるので、各ピクセルの極性がスワップされる。極性をスワップすることにより、ディスプレイスクリーンは、画像の質、ディスプレイの寿命を改善し、及び/又は容量性感知のような入力装置の他のシステムに影響し得るノイズを減少することができる。
[0084]図5の(B)のチャート515及び520は、行又はライン反転を示す。ここでは、ある行のピクセルは、電圧極性が、その隣の行又は隣接行のピクセルの電圧極性とは逆である。従って、入力装置が行を通してスキャンするときに、ソースドライバは、その前のライン(又は行)更新とは逆の極性でピクセルに電圧を駆動する。チャート520に示すようにその後のフレームを受け取った後に、ディスプレイスクリーンの各ピクセルの極性が切り換えられる。従って、逆の電圧極性を伴うピクセルを有する隣接行におけるピクセルのパターンが維持される。
[0085]図5の(C)のチャート525及び530は、列反転を示す。ここでは、ある列のピクセルは、電圧極性が、その隣の列又は隣接列のピクセルの電圧極性とは逆である。この場合に、ディスプレイ装置があるフレームのピクセルを更新するために行を通してスキャンするときに、ソースドライバは、その後のライン更新とライン更新との間に極性を切り換える必要がない。しかしながら、チャート525及び530のボックスが、同じソースドライバに選択的に結合されるサブピクセルの3つの列を示す場合には、ソースドライバは、同じ行の3つのサブピクセルを更新するときに極性を切り換える。それにも関わらず、同じ列のピクセルの電圧極性は、変化しない。
[0086]チャート530は、その後の表示フレームを受信した後のピクセルの極性を示す。前記と同様に、各ピクセルの電圧極性が反転され、それにより、ある列の各ピクセルがその隣接列(1つ又は複数)のピクセルとは逆の電圧極性を有するというパターンを維持する。
[0087]図5の(D)のチャート535及び540は、フレーム反転を示す。ここでは、ディスプレイスクリーンにおける全てのピクセルの電圧極性が所与のフレームに対して同じである。即ち、各ピクセルの電圧は異なるが、同じ極性を有する(例えば、電圧は、Vcomに対して全て正である)。チャート540は、各ピクセルの電圧極性が反転されたその後の表示フレームを示す。列反転と同様に、フレーム反転は、ソースドライバが行を通してスキャンするときに極性を切り換える必要がない。
[0088]図6A~6Bは、ここに述べる実施形態により容量性感知を表示更新と同期させるためのタイミングチャート600及び650である。より詳細には、図6Aは、ゲートライン1~5で駆動される信号、ソースドライバA及びB、センサ電極の容量性感知信号、及び容量性感知信号に基づく復調信号を示すタイミングチャート600を含む。容量性感知信号は、絶対的容量性感知及び/又はトランスキャパシタンス感知を遂行するのに使用される信号である。センサ電極は、共通電圧(例えば、Vcom電圧又は他の一定電圧)に対して実質的に固定でもよいし、又は共通電圧に対して変調されてもよい。一実施形態において、ゲートライン1~5は、ディスプレイスクリーンに順次に配置され、ゲートライン1は、ソースドライバA及びBが第1行のピクセルの電圧を変化させるのを許し、ゲートライン2は、ソースドライバA及びBが第1行に隣接する第2行のピクセルの電圧を変化させるのを許し、ゲートライン3は、ソースドライバA及びBが第2行に隣接する第3行のピクセルの電圧を変化させるのを許し、等々となる。更に、図6A及び6Bにおいて、ソースドライバA及びBが、ディスプレイスクリーンの隣接列のピクセル(又はサブピクセル)の電圧をセットすると仮定する。
[0089]図6A及び6Bにおいて、ゲートライン1~5は、パイプライン型ゲートラインとして示されている(例えば、複数のゲートラインが同時に選択される)。あるディスプレイスクリーンでは、ゲートラインに結合されたトランジスタは、ターンオフするよりターンオンする方が、時間がかかる。換言すれば、トランジスタがソースドライバの出力をピクセルに電気的に接続する(ソースドライバがピクセルにまたがる電圧をセットできるように)方が、ソースドライバをピクセルから電気的に切断するより時間がかかる。その結果、ゲートラインは、あるゲートラインがアクチベートされる期間が、別のゲートラインがアクチベートされる期間と少なくとも部分的に重畳するようにパイプライン化される。ゲートラインをより早目にアクチベートすることにより、信号が安定化する時間が与えられ、それに対応する行が更新されるときに、ピクセルにまたがって正しい電圧がセットされる。しかしながら、ゲートラインをより早目にアクチベートする結果として、ソースドライバA及びBが両方の行のピクセルにまたがる電圧を変化させることがある。例えば、時間Aに、ゲートライン1及び2の両方がアクティブであり、従って、ソースドライバA及びBは、両方の行の対応ピクセルの電圧に影響を及ぼすが、ソースドライバによって駆動される電圧は、ゲートライン1に対応する行にのみ意図される。しかしながら、時間Bに、ゲートライン1がターンオフする一方、ゲートライン2は依然アクティブであり、ソースドライバA及びBの出力は、ゲートライン2に対応する行に対する望ましい電圧に変化している。従って、ゲートライン1及び2が時間Aに重畳するときに生じる望ましからぬ電圧の変化は、時間Bにおいて、ゲートライン1がデアクチベートされるときに修正され、正しい電圧がソースドライバA及びBにより出力される。図6A及び6Bにはゲートパイプラインが示されているが、ここに述べる実施形態は、ゲートラインが非重畳である入力装置に適用されてもよい。
[0090]1つ以上の実施形態において、非表示更新期間中に容量性感知が行われる。図6Aを参照すれば、非表示更新期間は、ゲートライン3が選択されるときとゲートライン4が選択されるときとの間に生じる。従って、ゲートライン3が選択された後であって且つゲートライン4が選択されるまで表示更新は休止となる。一実施形態では、非表示更新期間の後に、ゲートライン3が選択されて駆動された後に、ゲートライン4を選択して駆動する。別の実施形態では、非表示更新期間の後に、ゲートライン4が適当な「ターンオン」電圧に到達するのを許すために付加的な期間中表示が遅延される。1つ以上の実施形態において、可変のゲート選択時間により生じる表示アーティファクトを回避するために、種々のゲート信号が短縮又は延長されるか、ゲート電圧の揺動が上昇又は下降されるか、或いはゲート選択シーケンスが再生される。一度に1つのゲートラインが選択される実施形態では、表示アーティファクトを回避するためにゲートのターンオン時間が一定に維持される。
[0091]一般的に、タイミングチャート600は、4つの連続するライン更新中に同じ2つの列におけるピクセルの更新を示す。ピクセルの電圧は、受信したデータフレーム内に含まれるデータに基づき同じでも異なってもよい。例えば、時間Aにおいて、ソースドライバA及びBにより印加される電圧は、振幅が等しく、極性が逆である。電圧の極性は、ピクセルの輝度に影響を及ぼさず(例えば、輝度は、振幅又は電力により影響を受け)、従って、時間Aに更新される2つのピクセルにまたがる電圧は、同じカラーを表す。更に、タイミングチャート600及び650は、上述した反転スキームの1つを使用することを示す。より詳細には、タイミングチャート600及び650は、ソースドライバA及びBがその後の行を更新するたびにそれらが異なる電圧極性を出力する反転スキームを示し、これは、ドット反転、ピクセル反転、及びライン反転の特徴である。更に、タイミングチャート600及び650は、ドット反転及びピクセル反転で行われるように、同じ行及び隣接列のピクセル間の電圧極性が互いに逆の極性を有することを示すが、これは、必要なことではない。例えば、ドット又はピクセル反転に代ってライン反転スキームが使用される場合には、ソースドライバA及びBの出力極性は、ライン又は行の更新中同じであり(即ち、VSHAREの同じ側にあり)、そして両方とも、その後のライン更新中に逆の極性に切り換わる。更に、タイミングチャート600及び650は、ソースドライバがその後のライン更新ごとに極性を切り換えない他の反転スキーム(例えば、列反転又はフレーム反転)の使用を示していないが、容量性感知信号及び表示信号の位相及び周波数を同期させてここに述べるように同時の容量性感知及び表示更新を達成する能力を、これらの反転スキームに適用することもできる。
[0092]ライン更新とライン更新との間にソースドライバA及びBの出力極性を切り換えるとき、一実施形態では、入力装置は、ライン更新に対するソースドライバの駆動と駆動との間の電荷共有期間を使用して、電力を保存することができる。例えば、ドット反転スキームを示した図5の(A)を参照すれば、各行は、逆の極性に荷電されたサブピクセルを有する。特定の行に偶数のピクセルがあると仮定すれば、入力装置は、各行に正極性及び負極性の等しい数の電圧を有する。更に、ソースドライバは、その後の各ライン更新中に逆極性の電圧を駆動する。即ち、ソースドライバは、各ライン更新中に正極性から負極性へピクセルを駆動しなければならない(又はその逆のことも言える)。更に、ソースドライバ増幅器は、以前のライン更新からソースラインに蓄積された電荷潜像を取り扱う必要がある。電力を保存するために、入力装置は、タイミングチャート600に示された電荷共有期間を使用する。この期間中に、ソースドライバA及びBに結合されたソースラインは、共通ノードに接続され、それにより、各ソースラインが電荷を共有するのを許す。各ピクセル/ソースラインの電圧の振幅値に基づいて、ソースラインの電圧は、ディスプレイの接地点(例えば、Vcom)にほぼ等しいVSHAREとなる。このVSHAREは、システム接地とは異なる。というのは、ピクセル電圧の振幅は、データフレームが各ピクセルに指定するカラーに依存するからである。例えば、時間Aに、ソースドライバA及びBは、同じ振幅であるが極性の異なる電圧をそれらの各サブピクセルに出力するが、時間Cに、ソースドライバAは、低振幅電圧(例えば、暗いピクセル)を出力し、一方、ソースドライバBは、最大電圧(例えば、明るいピクセル)を出力する。ある行のピクセル(サブピクセルRGB、RGBW、RGBY、等で構成される)は、種々の異なるカラーを有するので、ソースラインにおける合計正電荷は、合計負電荷よりも多い(又はその逆のことも言える)。それでも、この変化(典型的に均一な又はゆっくり変化する輝度勾配に対する)は、通常僅かであり、そして負及び正に荷電されるソースラインは、典型的にほぼVcomであるVSHAREに等しくなる。それとは別に又はそれに加えて、ソースライン及びVSHARE電圧は、一部の時間中(例えば、容量性測定の始め又は終わりに)Vcom電圧に接続されるか、又は基準電圧に対してゆっくり変化する高度にフィルタリングされた電圧に接続される(例えば、大きなキャパシタに結合される)。電荷共有事象の後に、ソースラインは、入力装置がそのようにするために電力を消費することなく、Vcomに復帰する。更に、一実施形態では、VSHAREは、ゲート容量性結合からの電荷の差し引きを補償する量だけVcomからオフセットされる。
[0093]電荷共有が完了すると、入力装置は、ソースドライバA及びBに通電し、アクチベートされた行のピクセルへ望ましい電圧を駆動する。従って、ソースドライバA及びBは、逆の極性をもつ電圧からではなく、VSHAREの値から望ましい電圧へソースラインを駆動するだけでよい。しかしながら、他の実施形態では、電荷共有を使用しなくてもよい。例えば、ソースラインの全てのピクセルが各ライン更新中に同じ極性に駆動されるライン反転では、ライン更新とライン更新との間の電荷共有を使用しなくてもよい。
[0094]ディスプレイのピクセルを更新するのに加えて、タイミングチャート600及び650は、入力装置のセンサ電極へ容量性感知信号を駆動することを示す。例えば、容量性感知信号は、上述したように、絶対的容量性感知を遂行するのに使用される変調信号であるか、又はトランスキャパシタンス感知を遂行するのに使用される送信信号である。方形波が示されているが、容量性感知に適したいかなる波形が使用されてもよい(例えば、正弦波、台形波、三角波、及び同様の波形)。1つ以上の実施形態において、送信電圧の振幅は、感知サイクルによって変化してもよい。更に、ある実施形態では、復調波形は、ソースドライバ変調からの受信ノイズに対する容量性感知信号波形の結果比を最適にするように変更される。
[0095]容量性感知及び表示更新を同時に遂行するときには、表示信号が容量性感知信号と干渉し又はそれにノイズを挿入し、そしてその逆のことも言える。例えば、ディスプレイ電極(例えば、ゲートライン、ソースライン、Vcom電極)は、入力装置において容量性感知電極(例えば、センサ電極)に接近して、それらの電極が容量性結合される。例えば、ゲートライン1~5で駆動される信号及びソースドライバA及びBの出力は、容量性感知信号にノイズを挿入する(その逆のことも言える)。アクティブなゲートラインとアクティブなセンサ電極との間のノイズを減少するために、ある実施形態では、表示更新及び容量性感知がディスプレイスクリーンにおいて空間的に分離される。即ち、入力装置がディスプレイの第1部分においてピクセルを更新する間に、装置は、ディスプレイの第2部分において容量性感知を同時に遂行し、ここで、第2部分のセンサ電極は、第1部分のディスプレイ電極において駆動される表示信号により実質的な影響を受けない。また、空間的にセグメント化された電極は、同時の容量性感知及び表示更新により生じる表示アーティファクトも減少する。この空間的分離は、図7及び図8において詳細に説明する。
[0096]しかしながら、入力装置は、空間的分離を使用することでソースドライバにより生じるノイズを完全に回避することは不可能である。というのは、多くの実施形態では、行を更新するときに全てのソースドライバ(及びソースライン)が同時に使用されるからである。即ち、各ソースドライバは、ディスプレイスクリーン全体に延びるソースラインへ変調電圧を一定に駆動する。対照的に、入力装置は、他のゲートラインが未使用である(例えば、低い電圧のままである)間にライン更新を遂行するとき一度に1つ又は少数のゲートラインだけをアクチベートする(例えば、電圧上昇する)。
[0097]ソースラインとセンサ電極との間のノイズを軽減するため、入力装置は、容量性感知信号の位相及び周波数を表示信号と同期させる。タイミングチャート600は、表示更新を遂行するときに使用されるラインレートを示し、これは、表示の単一行を更新する(即ち、ライン更新の)ために入力装置により使用される時間を表わす。1つ以上の実施形態において、ライン更新ごとに少なくとも1つの感知サイクルが生じる。ラインレートは、ライン周期の逆数に等しい。例えば、10マイクロ秒(μs)のライン周期では、ラインレートは、100キロヘルツ(kHz)と計算される。ラインレートにより定義される時間周期内で、入力装置は、電荷共有を遂行し、そしてソースドライバは、ピクセルにまたがる望ましい電圧を駆動する。この時間周期の終わりに、ゲートラインがデアクチベートされ、そして入力装置は、その後の行におけるピクセルの更新を開始する。次に容量性感知信号に話を向けると、この信号は、2つの半サイクル(例えば、HIGH部分及びLOW部分)に各々分割される複数の感知サイクルを含む。ここに示すように、半サイクルのレートは、ラインレートのほぼ2倍の速さである。換言すれば、各ライン周期中に、容量性感知信号は、1つの完全感知サイクルを遂行する。しかしながら、他の実施形態では、半サイクルの時間周期は、ライン周期の倍数であり、例えば、半サイクルの時間周期は、ライン周期より2倍、3倍、4倍、5倍、等も短い。別の実施形態では、ライン周期は、半サイクルの時間周期より長い。例えば、ラインレートは、半サイクルレートより、2倍、4倍、8倍、又は16倍も速い。しかしながら、ある入力装置では、ライン更新より短い半サイクル時間周期(例えば、ラインレートより速い半サイクルレート)を使用するのが好ましい。というのは、これは、入力装置がより多数の感知サイクルを遂行し且つ付加的なサンプルを収集するのを許し、容量性感知性能を改善できるからである。また、ライン当りの半サイクルの数は、偶数であり、及び/又は容量性測定をフィルタリングするラインの数は、偶数であり、容量性感知信号に対するソースドライバ変調ノイズのフィルタ処理の影響(例えば、表示画像)を減少する。
[0098]ラインレートが半サイクルレートより高速であるか又はゆっくりであるかに関わらず、表示更新に関連した周波数は、容量性感知信号の周波数と同期することができる。以下に詳細に述べるように、入力装置が容量性感知信号の周波数を変化させる場合、入力装置は、表示更新の周波数も更新し(例えば、ラインレートを変化させ)、ラインレートと半サイクルの時間周期との間の位相関係が維持されるようにする。
[0099]表示及び容量性感知信号の周波数を同期させるのに加えて、それらの信号は位相整列される。ここに示すように、LOW半サイクルからHIGH半サイクルへの遷移は、電荷共有事象の間にソースドライバA及びBがディスプレイのその後の行の更新と更新との間に切り換わるときに生じる。従って、ソースドライバA及びBが電荷共有を遂行するとき、センサ電極に結合された容量性感知モジュール(例えば、AFE)は、復調信号で示された受信器のリセットを遂行する(即ち、AFE入力電圧)。より詳細には、復調信号は、3つの異なる期間、正の積分期間、リセット期間及び負の積分期間に分割される。図示されたように、容量性感知モジュールは、HIGH半サイクルの一部分中に検出される電荷を積分するための正の積分、及びLOW半サイクルの一部分中に検出される電荷を積分するための負の積分を遂行する。リセット期間は、積分期間と積分期間との間に容量性感知モジュールのアナログ回路をリセットするのに使用される。容量性感知モジュールは、積分期間中に得られた複数の異なるサンプル(例えば、偶数のサイクル、及び/又は偶数のラインにわたる多数のサイクル)を処理し且つフィルタリングして、入力装置への入力オブジェクトの接近を指示するキャパシタンスの変化を検出する(即ち、キャパシタンス変化の測定を遂行する)。ソースラインからのノイズがフィルタリングされたサンプルに影響するのを防止し又は軽減するために、復調信号のリセット期間は、常に、共通のノイズ源であるゲート遷移及び/又は電荷共有事象の間に生じる。好都合なことに、リセット期間の位相を電荷共有事象と整列させることにより、ソースラインは固定となり(即ち、異なる電圧へアクティブに駆動されず)、そしてゲートラインは変化しない。
[0100]しかしながら、電荷事象がリセット期間内に入るように容量性感知信号がソースドライバの出力と位相整列されることは、最も重要な事柄ではない。むしろ、電荷共有事象(又は周期的ノイズ事象)が復調信号の同じ期間内に一貫して入ることが、ノイズ事象の影響を軽減することである。例えば、電荷事象が正又は負の積分期間内に入るように信号を位相整列することが等しく許される。従って、入力装置は、表示信号から生じる周期的ノイズ事象(例えば、電荷共有事象又はゲートライン遷移)が容量性感知サンプルに同様に影響を及ぼすことを保証する。実質的に対称的で且つ逆の電荷共有事象が常に正の積分期間内に生じる場合には、サンプルが処理され且つフィルタリングされるときに、電荷共有事象は、フィルタリングされた測定値が等しく影響を受けるので、キャパシタンスの変化を指示しない。対照的に、電荷共有事象が、第1の感知サイクルのリセット期間中に生じるが、第2の感知サイクルの負の積分期間中に生じる場合には、第1の感知サイクルのセンサ電極に結合される電圧の変化により生じる電荷が失われ、最終的に、問題が持続する場合は、感知モジュールがキャパシタンスの変化を誤って検出するようにさせ、即ち共通の測定内のその後の感知サイクルに信号が非同期のままとなるか又はバランスされない。従って、1つの極性の変化が1つの感知サイクルに失われる場合には、同じ極性の変化が逆の位相復調において失われるか、又は逆の極性の変化がその後のラインの復調の同じ位相において失われる。
[0101]1つ以上の実施形態において、測定ごとに偶数のラインが駆動され、及び/又は測定ごとに偶数の感知サイクルが駆動される。種々の実施形態において、前記方法は、(例えば、非表示更新期間中に)表示バッファを使用して容量性測定期間中に一定の表示ラインレートを維持するように使用される。
[0102]更に、タイミングチャート600に示すように表示及び容量性信号を位相整列することは、容量性感知に使用されるセンサ電極にゲートラインの遷移で発生するノイズも軽減する。図示されたように、ゲート遷移(例えば、OFFからONへ又はONからOFFへ)は、リセット期間中にこのノイズ事象によりセンサ電極に導入される電荷が無視されるときに生じ、それにより、容量性感知に対するゲートライン遷移の影響を軽減する。他の実施形態では、これらのノイズ事象は、上述したように同じ積分期間に遷移が生じる場合、例えば、正及び負の遷移が常に正の積分周期に生じる場合に、打ち消すことができる。種々の実施形態において、ゲート遷移が受信器のリセット時間より長くかかる場合でも、全注入電荷の差は減少され、実質的に一定となる。周期的な遷移は、正の積分期間に同様に影響を及ぼすので、サンプルが結合され且つフィルタリングされるときに、ノイズ事象によりセンサ電極に生じる電荷は、キャパシタンスの変化を指示しない。
[0103]別の実施形態では、各感知サイクルの同じ期間に周期的ノイズ事象が生じるように位相及び周波数を同期させるのではなく、ある感知サイクルではノイズ事象が正の積分期間に生じるが、その後の感知サイクルではノイズ事象が負の積分期間に生じる。この実質的に対称的なパターンが続く場合には、正及び負の積分中にノイズ事象によってどんな電荷が導入されても、両積分期間からのサンプルがフィルタにより平均化されて測定値を生じるときに補償される。
[0104]別の実施形態では、表示及び容量性信号は、ノイズ事象のアップ及びダウン遷移が同じ半サイクルに生じるように同期される。例えば、半サイクルの期間がライン更新の期間より2倍長い場合には、容量性感知信号は、2つの連続する電荷共有事象が両方とも1つの極性の積分期間中に生じるように位相整列される。更に、別の実施形態では、表示及び容量性感知信号は、ノイズ事象のアップ遷移(例えば、低電圧から高電圧へ)が全て正の積分器寒中に生じそしてダウン遷移(例えば、高電圧から低電圧へ)が全て負の積分期間中に生じるように同期され且つ位相整列される。前記と同様に、サンプルがフィルタリングされると、電荷の貢献が実質的にバランスされ、そしてノイズ事象は、キャパシタンス変化を指示せず、従って、入力オブジェクトの接近として解釈されない。
[0105]更に、容量性感知に使用されるセンサ電極が偶数のソースラインにわたって延びる電極レイアウトでは、各ソースラインの極性が、ドット、ピクセル及びライン反転中に生じる隣接ソースラインの極性とは逆であるときにソースラインに発生するノイズ事象の付加的な打消しが生じる。2つの隣接するソースラインが異なる電圧振幅を有する(即ち、ピクセルが異なるカラーにセットされる)場合でも、極性が逆であるために、隣接ソースラインの1つにおけるノイズ事象は、他のソースラインにおける同じノイズ事象とは逆の方向(低電圧から高電圧へ又はそれとは逆)となる。容量性感知信号が表示ラインレートと同期されるので、ノイズ事象は、容量性感知信号のサンプルに同様に影響を及ぼし、従って、キャパシタンスの変化を指示しない。
[0106]図6Bは、図6Aと同様であるが、容量性感知信号の半サイクルの期間がライン更新の期間の4分の1の短さである。換言すれば、半サイクルレートは、ラインレートより4倍も高速である。タイミングチャート650では、ライン更新ごとに、入力装置は、2つの感知サイクルを遂行する。容量性感知信号の周波数が表示信号のラインレートに同期されるのに加えて、容量性感知信号は、リセット期間が電荷共有事象と少なくとも部分的に重畳するようにソース信号と位相整列される。しかしながら、タイミングチャート600とは異なり、リセット期間は、ゲートライン遷移と重畳しない。それでも、負の積分期間に逆のゲートライン遷移が生じるので(後続の表示フレームを除いてその後の負の積分期間に同じ局部的遷移が生じなくても)、負の積分期間中に得られる充分なサンプルが結合され且つフィルタリングされる限り(例えば、5つ以上の感知サイクルサンプル)、ゲートライン遷移中にセンサ電極に導入される電荷が処理システムによりキャパシタンスの変化として誤解されることはない。ある実施形態では、ゲートライン遷移又はソースドライバ遷移のいずれかの時間が食い違わされるが、位相及び周波数の選択によるフィルタリングされた容量性測定の間に注入電荷の実質的な打消しが依然許される。
[0107]上述したように、タイミングチャート650に示された容量性感知信号及び表示信号(例えば、ゲートライン及びソースライン)の間の周波数同期及び位相整列は、ディスプレイ電極によりセンサ電極に導入される周期的ノイズ事象を補償する一例に過ぎない。容量性感知信号の周波数は、前記インターバルで増加又は減少され、及び/又は感知信号は、異なる仕方で位相整列される。容量性感知信号を与えるのに使用されるセンサ電極は、1つ以上のディスプレイ電極を含み、即ちセンサ電極は、容量性感知及び表示更新の両方に使用されるコンビネーション電極である。しかしながら、ある実施形態において、コンビネーション電極が容量性信号を送信又は受信するためのセンサ電極として使用されるときは、コンビネーション電極は、更新されるピクセル又は表示ラインに対してディスプレイ電極(例えば、ソースライン、ゲートライン、又はVcom)として同時に直接的に使用されることはない。
[0108]図7は、ここに述べる一実施形態によりアクティブなゲートラインから容量性感知を空間的に分離することを示すチャート700である。一般的に、チャート700は、入力装置において容量性感知及び表示更新を同時に遂行する一例を示す。一実施形態において、図6A~6Bで述べた容量性感知信号は、入力装置の少なくとも1つのセンサ電極へ駆動され、一方、表示信号は、装置のディスプレイ電極へ駆動される(例えば、ゲートライン、ソースライン、Vcom電極、等)。
[0109]チャート700のx軸は、時間を示し、一方、そのy軸は、ディスプレイスクリーンの業を示す。更に、チャート700は、単一の表示フレームに基づいて表示におけるラインのピクセルを順次に更新することを示す。従って、この実施形態では、入力装置が受信フレームに基づき表示における各ピクセルを更新するのに約16.6msを要する。図示されたように、入力装置は、行を通して順次にラスタ化する(例えば、最も上の行から最も下の行へ)。行を更新するために、図3において上述したように、入力装置は、ゲートラインをアクチベートし、ソースドライバが対応行の各ピクセルへ希望の電圧を駆動できるようにする。ゲートドライバ及びソースドライバは、各ライン(又は行)更新の間に各ピクセルへ正しい電圧が駆動されるように、同期される。
[0110]一実施形態において、ゲートラインは、容量性感知を遂行するのに使用される1つ以上のセンサ電極に容量性結合される。例えば、ゲートラインは、画像を表示すると共に容量性感知領域を与えるのに使用される一体型のディスプレイスクリーンにおいて1つ以上のセンサ電極に接近して配置される。或いはまた、ゲートラインそれ自体は、表示更新及び容量性感知の両方に使用されるコンビネーション電極の一部分でもよい。いずれの場合にも、ゲートラインへ表示信号を駆動すると、センサ電極へ駆動される容量性感知信号に悪影響が及ぶ。例えば、ゲートラインがアクチベート又はデアクチベートされるときのゲートライン遷移は、容量性結合されたセンサ電極に電荷を注入して、容量性感知モジュールが誤った結果を出力することがある。
[0111]ゲートラインの表示信号が容量性感知に影響を及ぼすのを防止するために、チャート700は、現在アクティブなゲートラインから空間的に分離された行において容量性感知を遂行することを示す。例えば、0ms又はその直後に、ディスプレイスクリーンの頂部の行は、アクティブであるが、容量性感知信号は、ディスプレイスクリーンの底部に接近した行において駆動される。一実施形態では、センサ電極は、ディスプレイ装置においてゲートラインに平行である(又はゲートラインそれ自体でもよい)。ゲートラインが表示更新に使用される間に、現在アクティブなゲートラインから物理的に分離されたセンサ電極は、容量性感知信号で駆動される。例えば、負のオフレベルと、更に負の電圧との間であるが、他の電圧遷移も考えられる。入力装置がゲートラインを通して順次に進行して表示を更新するときに、入力装置は、同じ行のセンサ電極を異なる時間に使用して容量性感知を同時に遂行する。一実施形態において、入力装置は、現在アクティブなゲートラインに重畳しないか又はより一般的にはアクティブなゲートラインに関連したピクセルに重畳しないセンサ電極(1つ又は複数)のみにおいて容量性感知を遂行する。例えば、入力装置は、アクティブな行から既定の距離にあるセンサ電極において容量性感知が行われ、例えば、現在アクティブな行から少なくとも5行離れたセンサ電極のみにおいて容量性感知が遂行されることを保証する。
[0112]一実施形態において、ゲートラインは、行を確立するように左から右へ延びる水平線として構成され、一方、ソースラインは、スクリーンの底部から頂部へ延びる垂直列として構成される。しかしながら、センサ電極は、図2A及び2Bに示した例の種々の形状及びパターンのいずれかをとる。更に、センサ電極は、1つ以上のディスプレイ電極を含むコンビネーション電極である。
[0113]チャート700は、各表示フレーム更新中に容量性感知が各行において2回遂行されることを示しているが、これは、一例に過ぎない。更に、図示されていないが、容量性感知は、入力装置が表示を現在更新していないときにも行われる。例えば、あるディスプレイ装置は、表示更新が休止である表示フレームに水平又は垂直ブランキング期間を含む(即ち、ゲートライン、ソースライン、等において表示信号は駆動されない)。これらの期間中に(例えば、表示の第1表示ラインを更新する前に、又は表示の最後の表示ラインを更新した後に)、入力装置は、感知が行われる表示ラインの更新を回避するためにセンサ電極への容量性感知信号の駆動を続ける。
[0114]他の実施形態において、感知電極及び表示更新電極は、変調電圧で同時に駆動され、表示更新及び容量性感知の両方が同じ表示ライン上で行われるようにする。例えば、チャート700に示す空間的分離技術は、図6A及び6Bで述べた周波数同期及び位相整列技術の1つと結合される。即ち、入力装置は、これらの技術を組み合わせて遂行して、ディスプレイ電極により生じる周期的ノイズ事象がセンサ電極に及ぼす影響を軽減する。例えば、チャート700に示す技術は、ゲートラインからのノイズがセンサ電極に影響を及ぼすのを防止する上で有効であるが、ソースラインは、全て、各ライン更新中に同時にオンであり、従って、ソースラインからのノイズを空間的に回避することは不可能である(そのような干渉を回避するために幾つかのソースライン更新を食い違わせることはできるが)。換言すれば、どのセンサ電極が選択されようと、センサ電極は、ソースラインに接近し、従って、電荷共有事象又は他の電圧遷移のような接近したソースライン上のノイズ事象により影響を受ける。従って、入力装置は、ゲートラインにより生じるノイズを回避するために空間的分離を遂行し、そしてソースラインにより生じるノイズ事象を軽減するために周波数同期及び位相整列も遂行する。加えて、図6A及び6Bにおいて述べたように、周波数同期及び位相整列を遂行することは、センサ電極におけるゲートラインからのノイズも更に軽減することができる。
[0115]図8の(A)~(D)は、ここに述べる一実施形態によりアクティブなゲートラインから空間的に分離された表示の部分における容量性感知の遂行を示している。図8の(A)~(D)は、表示更新及び容量性感知に使用されるディスプレイスクリーン800の異なる領域を示している。簡単化されたディスプレイスクリーン800は、該スクリーン800における行を画成する4つのゲートライン(G1、G2、G3及びG4)を含む。図8の(A)~(D)の各々は、ゲートラインの1つがアクティブである1つのライン更新を示している。図8の(A)に示すように、G1は、HIGH(即ち、アクティブ)であり、これは、ソースドライバ及びソースライン(図示せず)が、G1によりアクチベートされた行のピクセルにまたがる電圧を更新できるようにする。入力装置は、容量性感知を行ってはならない場所を示す領域810を画成する。領域810は、ゲートライン810(及びその周囲領域)のみを含むものとして示されているが、付加的な分離バッファを与えるために複数のゲートラインを含んでもよく、及び/又は複数のゲートラインは、「高」に駆動されてもよい(例えば、重畳型ゲート駆動)。
[0116]一実施形態において、入力装置は、領域810内のセンサ電極に生じる感知信号の受信を回避する。むしろ、入力装置は、1つ以上のセンサ電極(例えば、図2Aに示すようにゲートラインに平行なセンサ電極又は図2Bに示すように容量性感知ピクセルとして配置された1つ以上のブロック電極)を含む領域815において容量性感知を遂行する。従って、領域815のセンサ電極は、アクティブなゲートラインG1から物理的に分離される。アクティブなゲートラインをセンサ電極から分離するのに加えて、入力装置は、上述したように、容量性感知信号の周波数をラインレートと同期させ、且つ表示信号及び感知信号を位相整列させる。一実施形態において、全パネルは、ガード手段として動作するように駆動され、一方、センサ電極の少なくとも一部分は、入力感知のために駆動される。
[0117]図8の(B)は、今度はG2がアクティブでありそしてG1がインアクティブであるその後のライン更新を示す。もちろん、ゲートラインのパイプライン化が使用される場合には、G2は、図8の(A)に示すライン更新の間にアクチベートされており、図8の(B)に示すライン更新を遂行するときには信号が安定化している。ここで、入力装置は、容量性感知を行ってはならない領域825をG2の周りに画成する。従って、入力装置は、領域830内のセンサ電極において容量性感知信号を駆動することを選択する。図8の(C)及び(D)も、入力装置が容量性感知を遂行してはならない除外領域845及び860を画成するその後のライン更新を各々示す。更に、図8の(A)~(D)において容量性感知が遂行される領域815、830、840及び855は、除外領域810、825、845及び860と同じ面積を有するものとして示されているが、これは、必要なことではない。実際に、領域815、830、840及び855は、各表示フレームの間に複数の容量性フレームが決定される場合には、領域810、825、845及び860より広くなる。更に、領域815、830、840及び855は、隣接するものとして示されているが、実際には、除外領域815、830、840及び855の上下にあるディスプレイスクリーンの領域を含む。即ち、ライン更新の間に、入力装置は、現在アクティブなゲートラインの上下にあるセンサ電極において容量性感知を遂行する。
[0118]図9は、ここに述べる一実施形態により容量性感知及び表示更新を並列に遂行するための方法900を示す。ブロック905において、入力装置は、容量性感知(例えば、絶対的キャパシタンス感知又はトランスキャパシタンス感知)を遂行するのに使用される容量性感知信号の周波数を、一体型表示を更新するために入力装置により使用されるラインレートに同期させる。
[0119]一実施形態において、容量性感知信号は、2つの半サイクルを各々含む複数の感知サイクルを備えている。半サイクルは、表示更新時に使用されるラインレートに同期される。例えば、半サイクルの期間は、ライン更新を遂行するのに使用される期間の整数倍である。例えば、半サイクルの期間は、ライン更新の期間の4倍の長さであり、又はその逆のことも言える。
[0120]ブロック910において、入力装置は、容量性感知信号を、表示信号により発生される1つ以上の周期的ノイズ事象に対して位相整列する。図6A及び6Bに示した例では、容量性感知信号は、電荷共有事象、ソースラインイネーブル及び/又はゲートライン駆動が復調信号のリセット期間と整列するように、ソースドライバ出力と整列される。特に、ノイズ事象(例えば、電荷共有事象、ソースラインイネーブル及び/又はゲートライン駆動)が一貫してリセット期間内に入るので、この事象からのノイズは、サンプリングされた復調信号に記録されない。そのような実施形態では、リセット期間の始めと終わりは、安定した電圧にある。それでも、他の位相整列が考えられ、ノイズ事象が容量性感知に影響を及ぼすのを軽減し又は防止する。一例において、ノイズは、ノイズ事象が一貫して復調信号の同じ期間内に入る限り軽減される。種々の実施形態において、フィルタリングされた測定値におけるライン(及び復調サイクル)の数にわたる平均であるノイズも、フィルタリングされた測定値に影響を及ぼすことはない。例えば、電荷事象及び/又はソース出力イネーブルが常に正又は負のいずれかの積分期間内に入るように信号を位相整列することも等しく許される。
[0121]別の実施形態では、周期的ノイズ事象が各感知サイクルの同じ期間に生じるように位相及び周波数を同期するのではなく、1つの感知サイクルではノイズ事象が正の積分期間に生じるが、その後の感知サイクルではノイズ事象が負の積分期間に生じる。別の実施形態では、表示及び容量性信号は、ノイズ事象のアップ及びダウン遷移(例えば、正及び負の極性のオフセット)が同じ半サイクルに生じるように同期される。更に、別の実施形態では、表示及び容量性感知信号は、ノイズ事象の同じ数のアップ遷移(例えば、低い電圧から高い電圧への)が全て正の積分期間に生じ且つ同じ数のダウン遷移(例えば、高い電圧から低い電圧)が正の積分期間に生じる(そして負の積分期間についてはその逆のことも言える)ように、同期され且つ位相整列される。前記と同様に、サンプルがフィルタリングされると、ノイズ事象からの電荷の貢献がキャパシタンスの変化を示さず、従って、入力オブジェクトの接近として解釈されない。多くの実施形態では、種々の復調波形が使用され(例えば、正弦波、シンク又はマッチングフィルタ)、方形波復調に制限されない。
[0122]ブロック915において、入力装置は、表示更新に使用されるアクティブなゲートラインから空間的に分離されたキャパシタンス感知を遂行するために表示の一部分を識別する。例えば、キャパシタンス感知信号を送るために選択されたセンサ電極は、図7及び図8で述べたアクティブなゲートラインを取り巻く領域の外側に配置される。
[0123]ブロック920において、入力装置は、少なくとも1つのディスプレイ電極へ表示信号を駆動するのと並列に少なくとも1つのセンサ電極へキャパシタンス感知信号を駆動する。即ち、入力装置が容量性感知及び表示更新を同時に遂行するときに少なくともある期間が存在する。しかしながら、入力装置が常にこれら2つのタスクを同時に遂行することは要求されない。表示ブランキング時間中又はノイズ測定時間中のように、入力装置がタスクの一方を実行するがその他方を実行しない時間がある。
[0124]図10は、ここに述べる実施形態による容量性感知を表示更新と同期させるためのタイミングチャート1000である。より詳細には、タイミングチャート1000は、ゲートライン1~4へ駆動される信号、「高速」受信感知信号、「低速」受信感知信号、及び容量性感知信号に基づく復調信号を含む。
[0125]一般的に、タイミングチャート600及び650に関して上述した同じ原理及び技術が図10にも適用される。例えば、ゲートライン1~4は、ディスプレイスクリーンに順次に配列され、そして表示ピクセルの行に対応する。図示されたように、ゲートライン104は、パイプライン型のゲートラインである。ここには示されていないが、ソースドライバは、容量性感知と同時に、及び/又は容量性感知が行われない期間中には、上述した説明と一貫して、ピクセルを更新する信号を駆動する。
[0126]一実施形態では、入力装置は、第1周波数を有する容量性感知信号を使用して、容量性感知を遂行する。もちろん、容量性感知信号は、絶対的容量性感知又はトランスキャパシタンス感知を遂行するように選択され、そして方形波又は他の適当な波形である。図示されたように、復調信号は、正の積分、負の積分、及びリセットのための期間を含む。
[0127]種々の干渉源が受信容量性感知信号に電荷を導入し、容量性感知性能に影響を及ぼし得る。多数の実施形態において、入力装置は、干渉の存在を検出しそして容量性感知信号を調整して干渉の影響を減少するように構成される。干渉の存在を検出することは、直接的に遂行されるか(例えば、種々の周波数において感知)又は間接的に遂行される(例えば、SNR値又はビットエラー率を使用して容量性感知システムの性能を測定)。図11を参照して以下に詳細に述べるように、容量性感知信号の周波数は、容量性感知信号に対するノイズの影響を減少するように選択的に調整される。これは、実質的な干渉が現れる周波数を回避することを含む。
[0128]容量性感知信号の周波数を第1の周波数から切り換えるための1つの考えられる解決策は、信号及びそれに対応する復調信号のタイミングを単純にスケーリングすることである。信号をスケーリングすると、一般的に、信号の全ての部分又は成分に同様の影響を及ぼす(即ち、各部分を同じパーセンテージだけ増加又は減少することにより)。しかしながら、そのような解決策は、容量性感知を遂行するために入力装置が容量性感知信号及び/又は復調信号に対して要求するタイミングの事柄を見落とすことがある。
[0129]いずれにせよ、多くの実施形態では、容量性感知信号の周波数を変更しながら、容量性感知信号及び/又は復調信号の部分を独立して調整することが許される。例えば、復調信号の電荷積分期間は、非測定期間が固定されたままである間に変更されるか、又はその逆であるか、或いは異なる期間が異なる仕方(即ち、同じ量又はパーセンテージではない)で変更されてもよい。1つ以上の実施形態において、非測定期間の1つ以上の特徴が復調周波数の変更と同時に変更されてもよい。容量性感知システムと表示更新システムとの間で周波数及び/又は位相の同期を維持するために、容量性感知信号の変化に応答して表示更新の周波数も調整される。例えば、表示更新又はゲートラインアクチベーション時間に対するラインレート/期間は、更新された容量性感知信号の周波数と同時に変更される。
[0130]タイミングチャート1000において、復調信号(高速)は、第1周波数を有する容量性感知信号に対応し、そして復調信号(低速)は、第2の調整された周波数を有する容量性感知信号に対応する。この例では、復調信号(高速)は、各々1.5マイクロ秒(μs)のリセット期間と、各々3μsの正及び負の積分期間とを含むと仮定する。従って、感知サイクル(高速)(ここでは1つのライン周期に対応する)は、2つのリセット期間及び2つの積分期間を有し、合計9μsである。従って、容量性感知信号(及びラインレート)の第1周波数は、約111.1kHzである。この例における種々の時間は、理解を容易にするために選択されたが、他の時間(及び周波数)が選択されて、同等の結果を生じてもよい。例えば、第1周波数は、第2周波数より相対的に低くてもよい。
[0131]更に、干渉源が、第1周波数の付近、又は第1周波数の高調波のような他の敏感な周波数の付近に干渉を発生して、容量性感知システムの性能を低下させると仮定する。入力装置は、例えば、干渉信号を測定しそして干渉をスレッシュホールド値と比較することにより、干渉を回避するために第1周波数から離れるように容量性感知信号の周波数をシフトすべきかどうか決定する。1つ以上の実施形態において、容量性感知(例えば、トランスキャパシタンス感知及び/又は絶対的容量性感知)が遂行されない間に干渉値を測定してもよいし、又は干渉測定を、あるフィルタ長さにわたる信号測定と位相ずれしてもよい。
[0132]入力装置は、干渉の影響を回避するために容量性感知信号の周波数を変更する。この例では、復調信号(低速)に対応して、入力装置は、干渉を回避するため容量性感知信号の周波数を下げる。もちろん、入力装置は、それに加えて又はそれとは別に、干渉源を回避するために容量性感知信号の周波数を上げてもよい。更に、復調信号(低速)は、正及び負の積分期間を各々3μsに保持しながら、各々2μsの長いリセット期間を含むと仮定する。従って、感知サイクル(低速)及びそれに対応するライン周期は、10μsに上げられる。従って、第2の周波数(及びラインレート)は、約100kHzである。
[0133]この例において、復調信号のある部分が調整され(即ち、リセット期間が延長され)、そして復調信号の他の部分は、容量性感知信号の周波数を調整する際に、同じままとされる(即ち、積分期間)。そのような解決策は、容量性感知信号及び/又は復調信号を発生するために入力装置により使用されるタイミング要件を反映する。それらのタイミング要件は、容量性感知のための最低要件を反映し(例えば、時間が短いと、受信及び復調時に区別可能な信号を発生しない)、又は容量性感知性能を最適化するためのパラメータである(例えば、感知性能の希望のレベルと、他のタスクを遂行するための入力装置の能力とのバランスを取るために最小時間が選択される)。例えば、入力装置は、受信信号が安定するに充分な時間を許すためにセンサ電極へ容量性感知信号を駆動するための最小量の時間を各感知サイクル(又は半サイクル)中に要求する。上述した例では、正及び負の積分期間として選択された3μsは、最小の安定化時間を反映する。そのような最小の安定化時間は、受信信号が、少なくとも安定した電圧の希望の一部分又はパーセンテージに到達するのを保証するために選択される。例えば、最小の安定化時間は、受信した容量性感知信号がその最終的な安定値の99%に到達する時間を表す。ある場合には、希望の一部分又はパーセンテージは、センサ電極の特性(例えば、RC時定数)を使用し、且つ容量性感知信号の特性(例えば、振幅)とは独立して、決定される。ある実施形態では、希望の一部分又はパーセンテージは、位相エラーが希望の範囲内となるよう選択される。
[0134]入力装置が容量性感知信号の周波数を変更するときに、入力装置は、表示更新の周波数を更新して(例えば、ラインレートを変更して)、信号間の同期を維持し、そして図6A~6Bで述べた干渉打消し利益の効果を取り入れることもできる。換言すれば、表示ラインレートと感知サイクル(又は半サイクル)の期間との間の関係を維持することができる。
[0135]タイミングチャート1000において、ゲートライン1~4のゲートライン遷移(即ち、信号の上昇縁及び下降縁)は、第1の容量性感知信号(比較的高速の周波数を有する)に対して種々の時間A1、B1、C1、D1に発生する。図示されたように、前記説明によれば、ゲートライン遷移は、復調信号のリセット期間中に発生し、ゲートライン遷移によりセンサ電極に導入される電荷が無視されるようにする。それ故、容量性感知に対するゲートライン遷移の影響が軽減される。もちろん、ゲートライン遷移は、リセット期間以外の他の時間に生じ、そしてゲートライン遷移の予想可能な又は一貫した発生は、入力装置が容量性感知性能に対するそれらの影響を軽減できるようにする。
[0136]容量性感知信号の周波数を変更するとき同期を維持するために、表示更新の周波数(ラインレートに対応する)も同様に変更される。この例では、感知サイクルの期間は、9μsから10μsへ増加し、11%の増加となる。従って、ライン更新期間(ラインレートに対応する)も、同期を維持するために比例的に増加しなければならない。この例では、ライン更新期間は、同じ10μsまで増加する。ゲートライン遷移が生じる時間は、ライン更新期間への変更のために調整することができ、この例では、遷移は、長いライン更新期間のために遅延し得る。一実施形態では、ゲートラインのターンオン時間が遅延し得る。別の実施形態では、ゲートラインのターンオフ時間も、そのゲートラインに対するターンオン時間遅延と同じ量又は異なる量で遅延し得る。タイミングチャート1000において、ゲートライン1~4に対する種々のゲートライン遷移は、比較的低い周波数を有する第2の容量性感知信号に対して時間A2、B2、C2、D2に示されている。ゲートラインの駆動を何回も繰り返すことを示しているタイミングチャート1000は、次々のゲートライン遷移に対する遅延の量が時間と共に増加し続けることを示し、これは、新規なより長いライン更新期間をセットすることと一貫している。例えば、A1~A2間の遅延は、B1~B2間の遅延より短く、これは、C1~C2より短く、等々となる。
[0137]ある実施形態では、容量性感知信号の周波数は、表示更新に使用されるラインレートとは異なるが、2つの信号間の同期を依然許す。上述したように、半サイクルを感知する期間は、ラインレートの期間の倍数である(例えば、2x、3x、4x、8x、1/2、1/4、1/8、等)。信号が位相整列される場合には、復調信号のリセット期間が電荷共有期間と少なくとも部分的に重畳して、ある程度の干渉軽減を与える。しかしながら、選択される倍数に基づき、リセット期間は、全てのゲートライン遷移(又はその少なくとも一部分)と重畳せず、これは、容量性感知システムへの干渉を追加する。しかしながら、ゲートライン遷移が容量性感知信号の一部分(例えば、負の積分期間)の間に一貫して発生し、そして多数の感知サイクルにわたって対応する部分の間に充分な数のサンプルが得られる場合には、前記のように処理され且つフィルタリングされて、ゲートライン遷移により導入された電荷を予想することができ、電荷がユーザ入力に関連したキャパシタンス変化として誤解されることはない。
[0138]表示更新と容量性感知との間の同期を維持するために、ソースドライバのタイミングが適宜に調整される。また、表示更新期間のタイミングを調整するため、入力装置は、表示更新期間の1つ以上の部分を調整する。表示更新期間の調整可能な部分は、電荷共有期間の長さ(タイミングチャート600及び650に示された)、及びソースドライバがピクセルにまたがる希望の電圧を駆動する時間を含む。例えば、入力装置は、容量性感知信号がタイミングチャート1000等において第1の高速周波数から第2の低速周波数へと切り換えられるときに電荷共有期間を延長する。
[0139]図11は、ここに開示する一実施形態による容量性感知のための干渉感受性を示すグラフ1100である。上述したように表示信号を駆動することにより導入されるノイズを越えて、他の干渉源が容量性感知信号と干渉して、感知性能を低下させることもある。
[0140]幾つかの例示的干渉源は、バッテリ充電器のノイズ、LEDバックライト、外部蛍光灯、可変電圧電源、アクティブに変調される入力装置(例えば、アクティブペン)、ブーストコンバーター、及びタッチセンサに対して変調された入力、の1つ以上を含む。
[0141]干渉は、周波数スペクトル全体にわたって生じ、そして周波数スペクトル全体にわたって多数の個別の位置にピークを含む。これは、高調波(即ち、基本周波数の整数倍)に加えて、干渉の基本周波数を含む。干渉源(1つ又は複数)によって導入される干渉周波数の影響を回避するために、入力装置は、干渉周波数とフィルタリングされた感知帯域幅との間の著しい重畳を減少又は排除するように容量性感知信号の周波数を選択(又は変更)する。
[0142]グラフ1100において、干渉に対する第1の容量性感知信号の感受性は、プロット1110により表される。第1の容量性感知信号は、約67.5kHzの周波数で動作し、そして関連プロット1110は、第1の容量性感知信号が、その周波数付近の干渉からの干渉に対して比較的敏感であること(即ち、感受性の局部的ピーク)を示している。また、プロット1110は、約135kHz(2x67.5kHz)、202.5kHz(3x)、270kHz(4x)、等において局部的ピークが生じるので、第1の容量性感知信号が動作周波数の高調波における干渉に対して敏感であることも示している。
[0143]また、グラフ1100には、前記干渉源のいずれかである例示的干渉源の周波数応答も示されている。干渉源は、約110kHzの基本周波数において干渉を導入し(局部ピーク11050で表された)、そしてその高調波は、約220kHz(局部ピーク11051)、330kHz(局部ピーク11052)、等において付加的な干渉を導入する。干渉源により導入される干渉を回避するために、入力装置は、干渉源の周波数応答における局部ピーク(約270kHzにおけるプロット1120)と重畳しない容量性感知信号の周波数を選択する。
[0144]動作中、入力装置は、第1周波数及び/又は第2周波数において測定された干渉に基づき容量性感知信号の周波数をシフトする。例えば、入力装置は、検出された干渉を1つ以上のスレッシュホールドと比較し、そして干渉がスレッシュホールドの1つを満足し又はそれを越えたとき、第1周波数から第2周波数へ(又は第2周波数から第1周波数へ戻るように)切り換えを行う。一実施形態において、受信器電極は、非表示期間(例えば、フレーム内ブランキング期間)の少なくとも一部分の間に生じる干渉信号を受信するように構成される。非表示期間の間に、表示信号をディスプレイ電極へ駆動することにより生じる干渉は最小とされ、干渉源により生じる干渉が分離されるようにする。
[0145]入力装置は、容量性感知信号をある周波数から第1周波数の倍数(例えば、2x、3x、4x、8x、1/2、1/4、1/8、等)へシフトさせる。グラフ1100において、プロット1120は、周波数が第1の容量性感知信号の約4xである(約270kHzの)第2の容量性感知信号の感受性を示す。プロット1120は、グラフ1100に示された周波数範囲にわたりプロット1110より感受性のピークが少ない(即ち、約4:1の比)。これは、感知信号が高い周波数で動作されたときに、低い周波数の干渉の影響を実質的に受けないこと及び周波数スペクトル全体にわたって感受性ピークが少ないことを含めて、容量性感知が一般的にあまり敏感でないことを示唆する。
[0146]ある場合に容量性感知信号の周波数の倍数を使用する間には、常にそのようにはならない。例えば、第1の容量性感知信号の周波数が、プロット1120で示された約270kHzである場合には、周波数をより低い倍数(プロット1110のような)に減少すると、実際上、感受性が増加する。更に、倍数を使用して容量性感知信号の周波数を上昇させると、高調波に対する全ての感受性が排除されず、単に高調波のある部分だけとなる。従って、特定周波数において容量性感知信号に影響する干渉源は、シフトされた容量性感知信号に影響を及ぼし続ける(倍周波数において)。
[0147]この点に関して、容量性感知信号の周波数をシフトするための図10に示す技術は、特に好都合である。容量性感知信号の成分(1つ又は複数)のタイミングを調整することにより、感知サイクルの長さが増加又は減少され、容量性感知信号の周波数を、第1の周波数から、干渉に対して感受性の低い第2の周波数へ効果的にシフトする。そのような周波数シフトは、干渉源の高調波が完全に回避されるので、特定の干渉源に対する容量性感知信号の感受性を効果的に排除する。そして上述したように、容量性感知信号の成分を調整することによる周波数シフトは、容量性感知のタイミングの事柄や要件を依然満足することも保証する。
[0148]図12は、一実施形態による表示フレームのためのタイミングチャートである。このタイミングチャートは、表示フレーム1200、1240、1280に使用される異なる期間を示す。一般的に、タイミングチャートのエリアは、表示を更新するのに必要な時間量を表す。表示フレーム1200、1240、1280の各々に含まれたインターバル及びタイミングは変化し得るが、表示フレームのエリアが同じであると仮定する。例えば、60Hzフレームレートを維持することで、16.67ミリ秒(ms)のフレーム時間となる。タイミングチャート1200、1240、1280は、一般的に、希望のフレームレートを維持する間に容量性感知信号との同期を維持するために表示信号のタイミングに対してなされる変更を示す。
[0149]表示ライン更新期間1215(a~c)は、入力装置100のような入力装置のディスプレイスクリーンの単一表示ライン1205を更新するのに使用される。表示ライン更新期間1215は、更に、ピクセル更新期間1210へと分割され、そしてバッファ期間は、水平ブランキング期間1220又は「h-ブランク」とも称される。この及び他のバッファ期間中に、ディスプレイドライバは、一般的に、表示ピクセルを更新しない。むしろ、ディスプレイドライバは、バッファ期間を使用して、次の表示ラインを更新するためのデータを検索し、信号の安定化を許し、干渉信号(上述した)を受信し、ゲート選択を変更し、等々を行う。種々の実施形態において、ピクセル更新期間1210は、ライン更新期間が変更される間に表示アーティファクトを減少するために実質的に一定に保持される。
[0150]ある実施形態では、表示フレーム1200、1240、1280は、種々の付加的なバッファ期間を含む。例えば、表示フレーム1200、1240、1280は、あるフレームの最後の表示ライン更新期間と次のフレームの最初の表示ライン更新期間との間に一般的に生じる垂直ブランキング期間1225(又は「v-ブランク」)を含む。また、表示フレーム1240、1280は、フレーム内ブランキング期間1250(又は「長い水平ブランキング」、「長いh-ブランク」、「分散型ブランキング」、等)も含む。
[0151]図12のタイミングチャートは、一般的に、表示更新情報を示すが、容量性感知は、表示更新と同時に行われる。フレーム内ブランキング期間1250は、結合容量性感知又は干渉感知及び表示更新期間1260によって分離され、その間に多数の表示ライン1205が更新される。上述したように、容量性感知信号及び表示更新信号は、容量性感知性能を改善するために同期される。もちろん、容量性感知は、表示更新が行われなくても、種々のバッファ期間中にも行われる。
[0152]バッファ期間の長さ及びタイミングは、性能及び/又は計算要件に基づいて選択される。上述したように、表示更新期間及びレートは、干渉源を回避するために容量性感知レートと共に変更される。しかしながら、表示データは、依然、(表示ライン更新レートが変化する間に)一定のレートで、又は少なくとも表示更新レートとは異なるレートで入力装置に供給される。正確な表示のために全ての表示データを保存するため、バッファは、データが入力装置に供給されるレートと、データが表示されるレートとの間(又は各々ホストピクセルレートと表示ピクセルレートとの間)に最大の差をサポートするのに適したサイズでなければならない。容量性感知信号の周波数が変更されるとき表示更新期間が11%増加される先の例を使用すると、バッファのサイズは、少なくとも、全表示フレームのデータの11%となる。
[0153]一実施形態において、v-ブランク期間1225の時間は、表示フレームごとに一度、バッファから表示データが検索されるのに適したサイズとされる。種々の実施形態において、これは、ラインレート1215aの変更を許す。しかしながら、バッファに対して比較的多量のメモリが必要となる。
[0154]別の実施形態では、フレーム内ブランキング期間1250は、バッファからデータを検索するのに使用される。このケースでは、バッファサイズは、著しく小さい。例えば、表示フレームごとに16のフレーム内ブランキング期間が含まれる。各フレーム内ブランキング期間の間にバッファデータが検索される場合には、バッファサイズは、最大ピクセルレート差の1/16程度の小さなものとして選択される(例えば、1パーセントより小さいが、他のパーセンテージも使用できる)。もちろん、バッファデータが検索されるときに他の数のブランキング期間及び回数が選択されてもよい。別の例では、表示フレーム当たり、フレーム内ブランキング期間の数より少ない回数で、バッファからデータが検索されてもよい。
[0155]フレーム内ブランキング期間を追加するか又はそれらのサイズを変更することにより、表示フレーム更新時間の設定量(即ち、表示フレーム1200、1240、1280の固定エリアで表わされた)を維持するために他の調整が必要とされる。表示フレーム1280では、表示フレーム1240のフレーム内ブランキング期間1250より大きなフレーム内ブランキング期間1290が選択される。表示更新時間の合計量を維持するために、他のバッファ期間のサイズが適当に調整される(例えば、1215bを1215cに切り換えるのを許すために)。図示されたように、h-ブランク期間1295及びv-ブランク期間1297は、より大きなフレーム内ブランキング期間1290を補償するために表示フレーム1240における対応部分より小さい。もちろん、種々のバッファ期間が異なる仕方で調整されてもよく、即ちあるバッファ期間を短縮する一方、別の期間を同じままにするか又は延長してもよい。
[0156]ある実施形態において、フレーム内ブランキング期間の位置は、異なる表示フレーム間でディザされる。フレーム内ブランキング期間が表示更新期間の固定時間に生じるときには、それに対応して、表示更新は、複数のフレームにわたりディスプレイスクリーン上の同じ空間的位置(例えば、同じ表示ライン)において休止する。その休止位置付近にピクセルを表示することで生じる問題は、複数のフレームにわたって伝播する(例えば、目に見える表示アーティファクト)。ブランキング期間をディザすることにより、あるフレームに表示エラーが生じても、そのエラーは、見る者にとってあまり影響がないか、又はその後のフレームの表示データが駆動されるときに迅速に修正することができる。
[0157]図13は、一実施形態による同期型表示更新及び容量性感知のための周波数シフト方法である。方法900は、一般的に、上述した入力装置及び処理システムを使用して遂行されることが意図される。入力装置及び処理システムの機能の前記説明は、以下に述べる方法の比較的簡単な説明を補足することが意図される。
[0158]方法1300は、ブロック1305で始まり、表示更新のための表示信号が複数のディスプレイ電極の少なくとも1つへ駆動される。
[0159]ブロック1315において、複数のセンサ電極の少なくとも1つへ第1の容量性感知信号が駆動される。第1の容量性感知信号は、表示信号と同期された第1の周波数を有する。第1の容量性感知信号及び表示信号は、少なくともある期間中、並列に駆動される。
[0160]ブロック1325において、第2の容量性感知信号が少なくとも1つのセンサ電極へ駆動される。第2の容量性感知信号は、第1の周波数とは異なる第2の周波数を有し、第2の周波数は、干渉源を回避し、それにより、容量性感知性能を改善するように選択される。また、第2の周波数は、第1の周波数より高くても低くてもよい。第2の容量性感知信号及び表示信号も、少なくともある時間中、並列に駆動される。
[0161]ブロック1335において、表示信号のタイミングは、第2の周波数との同期を維持するように調整される。タイミングの調整は、表示のためにゲートラインの遷移時間を調整し、そして電荷共有時間のような表示更新期間の1つ以上の部分を調整することを含む。方法1300は、ブロック1335の完了後に終了となる。
付加的な例示的実施形態
[0162]上述した種々の実施形態を越えて、付加的な例示的な実施形態は、ここに述べる技術により、入力装置の有用性を改善するのに有益である。
[0163]ある実施例において、複数のディスプレイ電極と、複数のセンサ電極と、前記複数のディスプレイ電極及び複数のセンサ電極に結合された処理システムとを備えた第1の入力装置が開示される。処理システムは、表示を更新するため前記複数のディスプレイ電極の少なくとも1つへ表示信号を駆動し、第1の周波数を有する第1の容量性感知信号を前記複数のセンサ電極の少なくとも1つへ駆動し、前記第1の周波数は、前記表示信号と同期され、及び第2の周波数を有する第2の容量性感知信号を前記少なくとも1つのセンサ電極へ駆動するように構成され、前記第1及び第2の周波数は異なるものであり、前記表示信号のタイミングは、前記第2周波数との同期を維持するように調整され、そして各容量性感知信号及び表示信号は、少なくともある期間中、並列に駆動される。
[0164]別の実施例において、前記第1の入力装置は、第2の容量性感知信号の位相との同期を維持するために表示信号のタイミングを更に調整するように適応され、第2の容量性感知信号の位相は、第1の容量性感知信号の位相とは異なる。
[0165]別の実施例において、前記第1の入力装置は、容量性感知信号の周波数が2つの半サイクルより成る感知サイクルを画成するように適応され、その半サイクルの時間幅は表示信号と同期される。
[0166]別の実施例において、前記第1の入力装置は、処理装置が、容量性感知期間の長さ、及びホストピクセルレートと表示更新レートとの差、に基づくサイズの表示ラインバッファを更に備えるように適応される。
[0167]別の実施例において、前記第1の入力装置は、複数のセンサ電極の少なくとも1つが複数のディスプレイ電極の少なくとも1つを含むように適応される。
[0168]別の実施例において、表示を更新するために複数のディスプレイ電極の少なくとも1つへ表示信号を駆動するように構成されたディスプレイモジュールと、感知モジュールとを備えた第1の処理システムが開示される。感知モジュールは、第1の周波数を有する第1の容量性感知信号を複数のセンサ電極の少なくとも1つへ駆動するように構成され、第1の周波数は、表示信号と同期され、第2の周波数を有する第2の容量性感知信号を少なくとも1つのセンサ電極へ駆動し、第1及び第2の周波数は異なるものであり、表示信号のタイミングは、第2周波数との同期を維持するように調整され、そして容量性感知信号及び表示信号は、少なくともある期間中、並列に駆動される。
[0169]別の実施例において、第1の処理システムは、容量性感知信号の周波数が2つの半サイクルより成る感知サイクルを画成するように適応され、その半サイクルの時間幅は表示信号と同期される。
[0170]別の実施例において、第1の処理システムは、容量性感知期間の長さ、及びホストピクセルレートと表示更新レートとの差、に基づくサイズの表示ラインバッファを更に備える。
[0171]別の実施例において、第1の処理システムは、複数のセンサ電極の少なくとも1つが複数のディスプレイ電極の少なくとも1つを含むように適応される。
[0172]別の実施例において、表示を更新するため複数のディスプレイ電極の少なくとも1つへ表示信号を駆動し、第1の周波数を有する第1の容量性感知信号を複数のセンサ電極の少なくとも1つへ駆動し、第1の周波数は、表示信号と同期され、及び第2の周波数を有する第2の容量性感知信号を少なくとも1つのセンサ電極へ駆動する、ことを含む第1の方法が開示される。第1及び第2の周波数は異なるものであり、表示信号のタイミングは、第2周波数との同期を維持するように調整され、そして各容量性感知信号及び表示信号は、少なくともある期間中、並列に駆動される。
[0173]別の実施例において、前記第1の方法は、容量性感知信号の周波数が2つの半サイクルより成る感知サイクルを画成するように適応され、その半サイクルの時間幅は表示信号と同期される。
[0174]別の実施例において、前記第1の方法は、表示信号のタイミングが表示ピクセルの行をアクチベートするのに使用されるゲートラインのラインレートを含むように適応される。
[0175]別の実施例において、第1及び第2の周波数間の差は、アクチベートされた行におけるサブピクセルの表示更新と表示更新との間の時間量を変更することから生じる。
[0176]別の実施例において、表示信号のタイミングの調整は、ゲートラインのターンオン時間を遅延することを含む。
[0177]別の実施例において、前記第1の方法は、容量性感知期間の長さ、及びホストピクセルレートと表示更新レートとの差、に基づくサイズの表示ラインバッファを含むように適応される。
[0178]別の実施例において、前記第1の方法は、複数のセンサ電極の少なくとも1つが複数のディスプレイ電極の少なくとも1つを含むように適応される。
結論
[0179]本技術の種々の実施形態は、有用性を改善するための入力装置及び方法を提供する。
[0180]ある実施形態において、一体型ディスプレイを伴う入力装置は、ディスプレイ電極へ表示信号を駆動するのと並列にセンサ電極へ容量性感知信号を駆動する。2つの信号間の干渉を軽減するために、入力装置は、キャパシタンス感知信号の周波数を、表示更新を遂行するときに使用されるラインレート、即ちピクセルの行を更新するため一体型ディスプレイにより使用される時間周期に同期させる。更に、一実施形態において、入力装置は、キャパシタンス感知信号を、表示信号における周期的ノイズ事象、例えば、電圧遷移、電荷共有事象、等と位相整列させる。キャパシタンス感知信号と表示信号を同期させ且つ位相整列させることにより、入力装置は、キャパシタンス感知信号がサンプリングされてフィルタリングされるとき、ノイズ事象がキャパシタンスの変化(一体型ディスプレイに接近した入力オブジェクトにより生じると誤解されることのある)を示すことを防止する。
[0181]別の実施形態において、入力装置は、現在アクティブなディスプレイ電極から空間的に分離されたセンサ電極上でキャパシタンス感知を遂行する。表示を更新するとき、入力装置は、各ゲートラインをアクチベートすることにより各行を通して連続的にラスタ化する。ゲートラインの信号とセンサ電極の容量性感知信号との間の干渉を回避するために、入力装置は、装置が現在ピクセルを更新しているアクティブなゲートラインから空間的に分離されたセンサ電極上で容量性感知を遂行する。
[0182]入力装置は、容量性感知信号の位相及び周波数を表示信号と同期させて、ソースラインとセンサ電極との間の干渉を軽減させ、それにより、容量性感知性能を改善することができる。干渉源を回避するために、入力装置は、容量性感知信号の周波数を調整し、そしてそれに対応して、表示信号を調整して、同期を維持し、それにより、性能の利益を維持することができる。
[0183]ここに述べる実施形態及び実施例は、本発明技術及びその特定の用途に基づいて実施形態を最良に説明するために提示されたものであり、従って、当業者であれば、発明をなしそして利用することができよう。しかしながら、当業者であれば、以上の説明及び実施例は、例示のためのもので、単なる例に過ぎないことが認識されよう。以上の説明は、余すところのないものではなく、また、本発明を、ここに示す正確な形態に限定するものでもない。
[0184]以上のことから、本開示の範囲は、特許請求の範囲によって決定される。