JP7050465B2 - 全固体二次電池用固体電解質、全固体二次電池、および固体電解質の製造方法 - Google Patents
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Description
Li7-xPS6-xBrx (1.2<x<1.75) (1)
Argyrodite型結晶構造を有し、CuKα線を用いたX線回折測定によって得られるX線回折スペクトルが、少なくとも2θ=29.65±0.50°の位置にピークを有し、2θ=29.65°±0.50°のピーク強度をIAとし、2θ=33.65°±0.50°のピーク強度をIBとした場合に、IB/IAの値が0.5未満であることを特徴とする、全固体二次電池用固体電解質が提供される。
まず、本実施形態に係る固体電解質の構成について説明する。本実施形態に係る固体電解質は、以下の組成式(1)で示される組成を有する。
Li7-xPS6-xBrx (1.2<x<1.75) (1)
つぎに、図2に基づいて、本実施形態に係る全固体二次電池1の構成について説明する。
正極層10は、正極集電体11及び正極活物質層12を含む。正極集電体11としては、例えば、インジウム(In)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、ステンレス鋼、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、リチウム(Li)またはこれらの合金からなる板状体または箔状体等が挙げられる。正極集電体11は省略されても良い。
負極層20は、負極集電体21と、負極活物質層22とを備える。負極集電体21としては、例えば、インジウム(In)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、ステンレス鋼、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、リチウム(Li)またはこれらの合金からなる板状体または箔状体等が挙げられる。負極集電体21は省略されても良い。
固体電解質層30は、正極層10および負極層20の間に形成され、固体電解質を含む。固体電解質層30は、さらにバインダ等を含んでいても良い。固体電解質層30に含まれる固体電解質は、本実施形態に係る固体電解質であることが好ましい。固体電解質層30に含まれる固体電解質は、本実施形態に係る固体電解質と他の固体電解質との混合物であってもよい。
つぎに、全固体二次電池1の製造方法について説明する。全固体二次電池1は、正極層10、負極層20、および固体電解質層30を以下に説明する方法で作製した後に、これらを積層することで作製される。
本実施形態に係る固体電解質は、以下の製造方法により作製される。まず、メカニカルミリング処理によりLi2S、P2S5、およびLiBrを上述した組成式(1)に相当する混合比で混合する。これにより、ガラス体を得る。ここで、メカニカルミリング処理は、遊星型ボールミルを用いて、50~600回転/分、0.1~50時間、1~100kWh/原料混合物1kgの条件下で行われることが好ましい。これにより、固体電解質をより容易かつ確実に作製することができる。
正極層10は、公知の製造方法により作製される。例えば、正極活物質層12を構成する材料(正極活物質、固体電解質、バインダ等)を非極性溶媒に添加することで、スラリー(slurry)(スラリーはペースト(paste)であってもよい。他のスラリーも同様である。)を作製する。ついで、得られたスラリーを正極集電体11上に塗布し、乾燥する。ついで、得られた積層体を圧延することで、正極層10を作製する。正極活物質層12を構成する材料の混合物をペレット(pellet)状に圧密化成形するか、あるいはシート状に引き伸ばすことで正極層10を作製してもよい。これらの方法により正極層10を作製する場合、正極集電体11は省略されても良い。
まず、負極活物質層22を構成する材料(負極活物質、固体電解質、バインダ等)を非極性溶媒に添加することで、スラリーを作製する。ついで、得られたスラリーを負極集電体21上に塗布し、乾燥する。ついで、得られた積層体を圧延することで、負極層20を作製する。負極活物質層22を構成する材料の混合物をペレット(pellet)状に圧密化成形するか、あるいはシート状に引き伸ばすことで負極層20を作製してもよい。これらの方法により負極層20を作製する場合、負極集電体21は省略されても良い。
固体電解質を、例えば、ブラスト(blast)法、エアロゾルデポジション(aerosol deposition)法、コールドスプレー(cold spray)法、スパッタ法、CVD法、溶射法等の公知の成膜法を用いて成膜することにより、固体電解質層30を作製することができる。なお、固体電解質層30は、固体電解質単体を加圧することにより作製されてもよい。また、固体電解質層30は、固体電解質と、溶媒、バインダまたは支持体とを混合し、加圧することにより固体電解質層30を作製してもよい。ここで、バインダまたは支持体は、固体電解質層30の強度を補強したり、固体電解質300の短絡を防止したりする目的で添加されるものである。
上記の方法で作製した正極層10、負極層20、および固体電解質層30を、正極層10と負極層20とで固体電解質層30を挟持するように積層し、圧延することにより、本実施形態に係る全固体二次電池1を作製することができる。
(1-1.固体電解質の作製)
まず、試薬Li2S、P2S5、LiBrを目的組成であるLi5.75PS4.75Br1.25が得られるように秤量した。ついで、これらの原料を遊星型ボールミルにて20時間混合するメカニカルミリング処理を行った。メカニカルミリング処理は、380rpmの回転速度、室温、アルゴン雰囲気内で行った。
得られた固体電解質のイオン伝導度を以下の方法で測定した。固体電解質をプレス(圧力400MPa/cm2)することでペレットを作製した。ついで、ペレットの両面にIn箔(厚さ500μm)を貼り付けることでイオン伝導度測定用ペレットを作製し、室温において交流インピーダンス測定装置を用い、室温(27℃)におけるイオン伝導度を測定した。27℃におけるイオン伝導度は1.8×10-3S/cmを示した。また、温度を27℃、および40℃、50℃、60℃、70℃、80℃に変えながらイオン伝導度測定を行い、得られた結果から活性化エネルギーを算出した。この結果、活性化エネルギーは、26.4kJ/molであった。
熱処理の温度を350℃とした他は実施例1と同様の処理を行うことで、固体電解質を作製した。固体電解質のX線回折測定を行うことで、固体電解質が目的となるArgyrodite型結晶構造を有していることを確認した。X線回折スペクトルを図1に示す。実施例2のX線回折スペクトルは、上述した位置にピークを有していることがわかる。また、実施例1と同様の方法でIB/IAの値を測定したところ、IB/IAの値は、0.08であった。また、実施例1と同様の方法によりイオン伝導度を測定した。室温でのイオン伝導度は3.1×10-3S/cmであった。また、実施例1と同様の方法により活性化エネルギーを算出したところ、活性化エネルギーは、25.2kJ/molであった。
目的の組成をLi5.50PS4.50Br1.50とした他は実施例1と同様の処理を行うことで、固体電解質を作製した。固体電解質のX線回折測定を行うことで、固体電解質が目的となるArgyrodite型結晶構造を有していることを確認した。X線回折スペクトルを図1に示す。実施例3のX線回折スペクトルは、上述した位置にピークを有していることがわかる。また、実施例1と同様の方法でIB/IAの値を測定したところ、IB/IAの値は、0.08であった。また、実施例1と同様の方法によりイオン伝導度を測定した。室温でのイオン伝導度は5.5×10-3S/cmであった。また、実施例1と同様の方法により活性化エネルギーを算出したところ、活性化エネルギーは、28.4kJ/molであった。
熱処理の温度を350℃とした他は実施例3と同様の処理を行うことで、固体電解質を作製した。固体電解質のX線回折測定を行うことで、固体電解質が目的となるArgyrodite型結晶構造を有していることを確認した。X線回折スペクトルを図1に示す。実施例4のX線回折スペクトルは、上述した位置にピークを有していることがわかる。また、実施例1と同様の方法でIB/IAの値を測定したところ、IB/IAの値は、0.09であった。また、実施例1と同様の方法によりイオン伝導度を測定した。室温でのイオン伝導度は3.6×10-3S/cmであった。また、実施例1と同様の方法により活性化エネルギーを算出したところ、活性化エネルギーは、28.4kJ/molであった。
熱処理の温度を250℃とした他は実施例3と同様の処理を行うことで、固体電解質を作製した。固体電解質のX線回折測定を行うことで、固体電解質が目的となるArgyrodite型結晶構造を有していることを確認した。X線回折スペクトルを図1に示す。実施例5のX線回折スペクトルは、上述した位置にピークを有していることがわかる。また、実施例1と同様の方法でIB/IAの値を測定したところ、IB/IAの値は、0.43であった。また、実施例1と同様の方法によりイオン伝導度を測定した。室温でのイオン伝導度は2.3×10-3S/cmであった。また、実施例1と同様の方法により活性化エネルギーを算出したところ、活性化エネルギーは、28.8kJ/molであった。
目的の組成をLi5.77PS4.77Br1.23とした他は実施例1と同様の処理を行うことで、固体電解質を作製した。固体電解質のX線回折測定を行うことで、固体電解質が目的となるArgyrodite型結晶構造を有していることを確認した。X線回折スペクトルを図1に示す。実施例6のX線回折スペクトルは、上述した位置にピークを有していることがわかる。また、実施例1と同様の方法でIB/IAの値を測定したところ、IB/IAの値は、0.07であった。また、実施例1と同様の方法によりイオン伝導度を測定した。室温でのイオン伝導度は1.7×10-3S/cmであった。また、実施例1と同様の方法により活性化エネルギーを算出したところ、活性化エネルギーは、27.1kJ/molであった。
熱処理の温度を350℃とした他は実施例6と同様の処理を行うことで、固体電解質を作製した。固体電解質のX線回折測定を行うことで、固体電解質が目的となるArgyrodite型結晶構造を有していることを確認した。X線回折スペクトルを図1に示す。実施例7のX線回折スペクトルは、上述した位置にピークを有していることがわかる。また、実施例1と同様の方法でIB/IAの値を測定したところ、IB/IAの値は、0.05であった。また、実施例1と同様の方法によりイオン伝導度を測定した。室温でのイオン伝導度は1.6×10-3S/cmであった。また、実施例1と同様の方法により活性化エネルギーを算出したところ、活性化エネルギーは、26.0kJ/molであった。
目的の組成をLi6.00PS5.00Br1.00とし、熱処理温度を550℃とした他は実施例1と同様の処理を行うことで、固体電解質を作製した。固体電解質のX線回折測定を行うことで、固体電解質が目的となるArgyrodite型結晶構造を有していることを確認した。X線回折スペクトルを図3に示す。比較例1のX線回折スペクトルは、上述した位置にピークを有していることがわかる。また、実施例1と同様の方法でIB/IAの値を測定したところ、IB/IAの値は、0.04であった。また、実施例1と同様の方法によりイオン伝導度を測定した。室温でのイオン伝導度は5.7×10-4S/cmであった。また、実施例1と同様の方法により活性化エネルギーを算出したところ、活性化エネルギーは、35.4kJ/molであった。
熱処理の温度を450℃とした他は比較例1と同様の処理を行うことで、固体電解質を作製した。固体電解質のX線回折測定を行うことで、固体電解質が目的となるArgyrodite型結晶構造を有していることを確認した。X線回折スペクトルを図3に示す。比較例2のX線回折スペクトルは、上述した位置にピークを有していることがわかる。また、実施例1と同様の方法でIB/IAの値を測定したところ、IB/IAの値は、0.03であった。また、実施例1と同様の方法によりイオン伝導度を測定した。室温でのイオン伝導度は1.7×10-3S/cmであった。また、実施例1と同様の方法により活性化エネルギーを算出したところ、活性化エネルギーは、31.2kJ/molであった。
熱処理の温度を350℃とした他は比較例1と同様の処理を行うことで、固体電解質を作製した。固体電解質のX線回折測定を行うことで、固体電解質が目的となるArgyrodite型結晶構造を有していることを確認した。X線回折スペクトルを図3に示す。比較例3のX線回折スペクトルは、上述した位置にピークを有していることがわかる。また、実施例1と同様の方法でIB/IAの値を測定したところ、IB/IAの値は、0.02であった。また、実施例1と同様の方法によりイオン伝導度を測定した。室温でのイオン伝導度は1.0×10-3S/cmであった。また、実施例1と同様の方法により活性化エネルギーを算出したところ、活性化エネルギーは、31.1kJ/molであった。
目的の組成をLi6.25PS5.25Br0.75とし、熱処理温度を350℃とした他は実施例1と同様の処理を行うことで、固体電解質を作製した。固体電解質のX線回折測定を行うことで、固体電解質が目的となるArgyrodite型結晶構造を有していることを確認した。X線回折スペクトルを図3に示す。比較例4のX線回折スペクトルは、上述した位置にピークを有していることがわかる。また、実施例1と同様の方法でIB/IAの値を測定したところ、IB/IAの値は、0.00であった。また、実施例1と同様の方法によりイオン伝導度を測定した。室温でのイオン伝導度は1.9×10-3S/cmであった。また、実施例1と同様の方法により活性化エネルギーを算出したところ、活性化エネルギーは、31.7kJ/molであった。
熱処理の温度を250℃とした他は比較例1と同様の処理を行うことで、固体電解質を作製した。固体電解質のX線回折測定を行うことで、固体電解質が目的となるArgyrodite型結晶構造を有していることを確認した。X線回折スペクトルを図3に示す。比較例5のX線回折スペクトルは、上述した位置にピークを有していることがわかる。また、実施例1と同様の方法でIB/IAの値を測定したところ、IB/IAの値は、0.00であった。また、実施例1と同様の方法によりイオン伝導度を測定した。室温でのイオン伝導度は1.8×10-3S/cmであった。また、実施例1と同様の方法により活性化エネルギーを算出したところ、活性化エネルギーは、30.8kJ/molであった。
目的の組成をLi6.50PS5.50Br0.50とし、熱処理温度を550℃とした他は実施例1と同様の処理を行うことで、固体電解質を作製した。固体電解質のX線回折測定を行うことで、固体電解質が目的となるArgyrodite型結晶構造を有していることを確認した。X線回折スペクトルを図3に示す。比較例6のX線回折スペクトルは、上述した位置にピークを有していることがわかる。また、実施例1と同様の方法でIB/IAの値を測定したところ、IB/IAの値は、0.00であった。また、実施例1と同様の方法によりイオン伝導度を測定した。室温でのイオン伝導度は1.3×10-3S/cmであった。また、実施例1と同様の方法により活性化エネルギーを算出したところ、活性化エネルギーは、39.5kJ/molであった。
熱処理の温度を450℃とした他は比較例6と同様の処理を行うことで、固体電解質を作製した。固体電解質のX線回折測定を行うことで、固体電解質が目的となるArgyrodite型結晶構造を有していることを確認した。X線回折スペクトルを図3に示す。比較例7のX線回折スペクトルは、上述した位置にピークを有していることがわかる。また、実施例1と同様の方法でIB/IAの値を測定したところ、IB/IAの値は、0.00であった。また、実施例1と同様の方法によりイオン伝導度を測定した。室温でのイオン伝導度は1.2×10-3S/cmであった。また、実施例1と同様の方法により活性化エネルギーを算出したところ、活性化エネルギーは、39.8kJ/molであった。
目的の組成をLi6.75PS5.75Br0.25とし、熱処理温度を550℃とした他は実施例1と同様の処理を行うことで、固体電解質を作製した。固体電解質のX線回折測定を行うことで、固体電解質が目的となるArgyrodite型結晶構造を有していることを確認した。X線回折スペクトルを図3に示す。比較例8のX線回折スペクトルは、上述した位置にピークを有していることがわかる。また、実施例1と同様の方法でIB/IAの値を測定したところ、IB/IAの値は、0.00であった。また、実施例1と同様の方法によりイオン伝導度を測定した。室温でのイオン伝導度は6.8×10-4S/cmであった。また、実施例1と同様の方法により活性化エネルギーを算出したところ、活性化エネルギーは、44.7kJ/molであった。
熱処理の温度を450℃とした他は比較例8と同様の処理を行うことで、固体電解質を作製した。固体電解質のX線回折測定を行うことで、固体電解質が目的となるArgyrodite型結晶構造を有していることを確認した。X線回折スペクトルを図3に示す。比較例9のX線回折スペクトルは、上述した位置にピークを有していることがわかる。また、実施例1と同様の方法でIB/IAの値を測定したところ、IB/IAの値は、0.00であった。また、実施例1と同様の方法によりイオン伝導度を測定した。室温でのイオン伝導度は7.9×10-4S/cmであった。また、実施例1と同様の方法により活性化エネルギーを算出したところ、活性化エネルギーは、41.1kJ/molであった。
目的の組成をLi5.25PS4.25Br1.75とした他は実施例1と同様の処理を行うことで、固体電解質を作製した。固体電解質のX線回折測定を行うことで、固体電解質が目的となるArgyrodite型結晶構造を有していることを確認した。X線回折スペクトルを図3に示す。比較例10のX線回折スペクトルは、上述した位置にピークを有していることがわかる。また、実施例1と同様の方法でIB/IAの値を測定したところ、IB/IAの値は、0.29であった。また、実施例1と同様の方法によりイオン伝導度を測定した。室温でのイオン伝導度は7.9×10-4S/cmであった。また、実施例1と同様の方法により活性化エネルギーを算出したところ、活性化エネルギーは、41.1kJ/molであった。
熱処理の温度を350℃とした他は比較例10と同様の処理を行うことで、固体電解質を作製した。固体電解質のX線回折測定を行うことで、固体電解質が目的となるArgyrodite型結晶構造を有していることを確認した。X線回折スペクトルを図3に示す。比較例11のX線回折スペクトルは、上述した位置にピークを有していることがわかる。また、実施例1と同様の方法でIB/IAの値を測定したところ、IB/IAの値は、0.66であった。また、実施例1と同様の方法によりイオン伝導度を測定した。室温でのイオン伝導度は7.1×10-4S/cmであった。また、実施例1と同様の方法により活性化エネルギーを算出したところ、活性化エネルギーは、44.6kJ/molであった。
熱処理の温度を250℃とした他は比較例10と同様の処理を行うことで、固体電解質を作製した。固体電解質のX線回折測定を行うことで、固体電解質が目的となるArgyrodite型結晶構造を有していることを確認した。X線回折スペクトルを図3に示す。比較例12のX線回折スペクトルは、上述した位置にピークを有していることがわかる。また、実施例1と同様の方法でIB/IAの値を測定したところ、IB/IAの値は、2.81であった。また、実施例1と同様の方法によりイオン伝導度を測定した。室温でのイオン伝導度は5.2×10-4S/cmであった。また、実施例1と同様の方法により活性化エネルギーを算出したところ、活性化エネルギーは、50.1kJ/molであった。
試薬Li2S、P2S5、LiClを目的組成であるLi5.75PS4.75Cl1.25が得られるように秤量したこと、熱処理温度を550℃とした他は実施例1と同様の処理を行うことで、固体電解質を作製した。固体電解質のX線回折測定を行うことで、固体電解質が目的となるArgyrodite型結晶構造を有していることを確認した。X線回折スペクトルを図3に示す。比較例13のX線回折スペクトルは、上述した位置にピークを有していることがわかる。また、実施例1と同様の方法でIB/IAの値を測定したところ、IB/IAの値は、0.00であった。また、実施例1と同様の方法によりイオン伝導度を測定した。室温でのイオン伝導度は2.3×10-3S/cmであった。また、実施例1と同様の方法により活性化エネルギーを算出したところ、活性化エネルギーは、37.0kJ/molであった。
試薬Li2S、P2S5、Na2S、LiClを目的組成である(Li5.69Na0.06)PS4.75Cl1.25が得られるように秤量したこと、熱処理温度を550℃とした他は実施例1と同様の処理を行うことで、固体電解質を作製した。固体電解質のX線回折測定を行うことで、固体電解質が目的となるArgyrodite型結晶構造を有していることを確認した。X線回折スペクトルを図3に示す。比較例14のX線回折スペクトルは、上述した位置にピークを有していることがわかる。また、実施例1と同様の方法でIB/IAの値を測定したところ、IB/IAの値は、0.00であった。また、実施例1と同様の方法によりイオン伝導度を測定した。室温でのイオン伝導度は5.1×10-3S/cmであった。また、実施例1と同様の方法により活性化エネルギーを算出したところ、活性化エネルギーは、34.0kJ/molであった。
実施例および比較例を対比すると、本実施形態に係る固体電解質の要件を満たす実施例では、固体電解質のイオン伝導度が高く、かつ活性化エネルギーが低くなる(いずれも30kJ/mol未満)ことが明らかになった。一方で、比較例では、本実施形態に係る固体電解質の要件を満たさない。これらの比較例では、イオン伝導度がある程度高くなったものの、活性化エネルギーが高くなった(いずれも30kJ/mol超)。したがって、実施例に係る固体電解質は、いずれも広い温度範囲で高い特性を発揮することが期待できる。
10 正極層
11 正極集電体
12 正極活物質層
20 負極層
21 負極集電体
22 負極活物質層
30 固体電解質層
Claims (5)
- 以下の組成式(1)で示される組成を有し、
Li7-xPS6-xBrx (1.2<x<1.75) (1)
Argyrodite型結晶構造を有し、
CuKα線を用いたX線回折測定によって得られるX線回折スペクトルが、少なくとも2θ=29.65°±0.50°の位置にピークを有し、
前記2θ=29.65°±0.50°のピーク強度をIAとし、2θ=28.0°±0.5°のピーク強度をIBとした場合に、IB/IAの値が0.5未満であることを特徴とする、全固体二次電池用固体電解質。 - 前記X線回折スペクトルが、2θ=25.16°±0.50°、29.65°±0.50°、30.94°±0.50°、44.36°±0.50°、47.22°±0.50°、51.75°±0.50°の位置にピークを有することを特徴とする、請求項1記載の全固体二次電池用固体電解質。
- 請求項1または2記載の全固体二次電池用固体電解質を含むことを特徴とする、全固体二次電池。
- 請求項1または2記載の全固体二次電池用固体電解質を製造する固体電解質の製造方法であって、
メカニカルミリング処理によりLi2S、P2S5、およびLiBrを前記組成式(1)に相当する混合比で混合することで、ガラス体を得る工程と、
前記ガラス体を当該ガラス体のガラス転移点以上の温度で熱処理することで固体電解質を得る工程と、を含むことを特徴とする、固体電解質の製造方法。 - 前記メカニカルミリング処理が、遊星型ボールミルを用いて、50~600回転/分、0.1~50時間、1~100kWh/原料混合物1kgの条件下で行われることを特徴とする、請求項4記載の固体電解質の製造方法。
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