JP7046379B2 - 量子アニーリング計算のための処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、量子アニーリング計算に関し、より具体的には、離散最適化問題を解くために量子アニーリング計算を行うための処理方法に関する。
離散最適化問題を、量子効果を利用して解く量子計算機として、量子アニーリング計算機が知られている。量子アニーリング計算機は、オペレーションリサーチ等に頻出する、評価関数を最小化(最適化に相当)する離散変数の組み合わせを求める問題(以下、「離散最適化問題」呼ぶ)を解くための計算機である。
離散変数を物理状態に、およびその離散変数に対する評価関数の値がその状態のエネルギーとなる物理系を構成する。すなわち、エネルギーは状態の関数である。これにより、何らかの方法でその物理系をエネルギーが最も低い状態にすることができれば、その状態を測定することにより最適解が得られる。物理系をエネルギーが最も低い状態にするメカニズムとして、量子力学的効果を用いた量子アニーリングが知られている。量子アニーリングは、量子力学的効果を使わないものと比較して効率よく問題を解く場合があることが知られている。
量子アニーリングでは、系に作用する外場(ポテンシャル)を制御することにより、エネルギーと状態の対応を時間的に徐々に変化させる。初期のポテンシャルは、自明な最低エネルギー状態を持つものが選ばれる。ポテンシャルを変化させ、最終的に実際に最適解を調べたい評価関数に対応したエネルギーと状態の関係が達成されるよう設計されている。系の初期状態を初期ポテンシャルで決定される最低エネルギー状態に準備し、ポテンシャルを十分ゆっくり変化させると、状態は各瞬間各瞬間のポテンシャルで決定される最低エネルギー状態をたどることが量子力学の結果として知られている。こうして、最終的に調べたい評価関数を最小化する状態を得ることができる。
ポテンシャルの時間変化がゆっくりであれば、状態は最低エネルギー状態をたどることは、量子力学における断熱定理として一般的に知られており、この計算手法は断熱量子計算という呼び名でも知られている。一例として、特許文献1は、複数の超伝導キュビットを具備する量子システムを使用した断熱量子計算のための方法を開示する。断熱量子計算では、計算の過程に現れる状態に量子力学的な状態(通常の古典物理学では表現できない状態)が出現する。このため、この計算方法は古典物理学を実装原理とする通常のコンピュータよりも効率よく問題を解ける場合がある。
特表2009-524857号公報
特許文献1等の従来の量子アニーリング計算では、断熱定理が成立するように、ポテンシャルの時間変化をゆっくりとしたものにしなければならない。このため、計算をその制限を超えて加速させることができない。特に、問題の規模が大きい場合、問題の大きさに対して計算時間の期待値が指数関数的に大きくなってしまうという問題(ボトルネック)がある。
本発明は、物理状態を最低エネルギー状態に導くメカニズムとして、従来の断熱定理を用いた方法とは異なる方法を提案し、上述したボトルネック問題を回避できるようにすることを目的とする。
本発明は離散最適化問題を解くために量子アニーリング計算を行うための処理方法を提供する。その処理方法の概要は、
(i)問題の解が最低エネルギー状態になるようにエネルギー関数(問題ハミルトニアンH)を構成し、
(ii)同じ量子状態を持つ2つの物理システム間で、一方を低エネルギー状態へ、もう一方を高エネルギー状態へ遷移させる方法を繰り返して複数のシステム間に適用して、
(iii)状態が問題の解である最低エネルギー状態を求めることを含む。
より具体的には、本発明の処理方法は、その一実施態様として、
(a)同一の量子状態を持つ2つの物理系(u,d)間において、一方のエネルギー状態を低エネルギー状態にし、他方のエネルギー状態を高エネルギー状態に遷移させる操作を準備するステップと、
(b)複数の物理系間において、ステップ0から順次ステップを遷移させながら各ステップでの複数の物理系の各々の状態値を所定の規則下で設定し、同一の状態値を持つ物理系のペアを同一の状態値が無くなるステップに至るまで集めて集合を得るステップと、
(c)(b)の集合中の全ての物理系のペアに対して(a)の2つの物理系(u,d)を対応させながら(a)の操作を適用して、複数の物理系中の最小のエネルギー状態を持つ物理系を求めるステップと、を含む。
本発明の方法を一例として探索空間2nの探索問題に適用した場合、計算ステップ数はnに対して高々多項式的(2次(n2))な増加に抑えられ、従来の量子アニーリング計算やゲート式の量子計算を適用した場合に計算ステップ数がnに対して指数関数的(2n/2)に増加するのに比べて、計算ステップ数を大幅に削減することができる。また、本発明の方法を用いた場合、計算ステップ数と必要な量子ビット数は、nに対して高々多項式的なサイズ(2次(n2))で問題を解くことができる。その結果、問題のサイズに従う計算時間の増加を抑制することができる。
本発明の処理方法の概要を示す図である。 本発明の処理方法の一実施態様のフローを示す図である。 本発明の処理方法の一実施態様のエネルギー状態を遷移させる操作(図2のステップS10)の概念図である。 図3の概念図の略式図である。 本発明の処理方法の一実施態様の集合を得るステップS20及び複数の物理系中の最小のエネルギー状態を持つ物理系を求めるステップS30を説明するための図である。 本発明の処理方法の一実施態様を実施した場合(図5)のエネルギーの期待値の時間発展を示す図である。 本発明の処理方法をジョセフソン接合を用いた超伝導回路(CJJ-rf-SQUID)に適用する実装例(構成例)を示す図である。 図7の実施例の制御シーケンスを示す図である。 非線形方程式による探索問題の正解確率P(t)の時間的挙動のn依存性を示す図である。 正解確率P(t)がP(t)≧0.9となる時間t*のn依存性を示す図である。 Ω(step)が空集合になるstepから1を引いたstep*および量子操作の数C(m)のm依存性を示す図である。
図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の処理方法の概要を示す図である。その処理方法の概要は、最初に、問題の解が最低エネルギー状態になるようにエネルギー関数(問題ハミルトニアンH)を構成する(S1)。次に、同じ量子状態を持つ2つの物理システム間で、一方を低エネルギー状態へ、もう一方を高エネルギー状態へ遷移させる方法を繰り返して複数のシステム間に適用する(S2)。その結果、状態が問題の解である最低エネルギー状態が求められる(S3)。
図2は、本発明の処理方法の一実施態様のフローを示す図である。ステップS10として、同一の量子状態を持つ2つの物理系(u,d)間において、一方のエネルギー状態を低エネルギー状態にし、他方のエネルギー状態を高エネルギー状態に遷移させる操作を準備する。ステップS20として、複数の物理系間において、ステップ0から順次ステップを遷移させながら各ステップでの複数の物理系の各々の状態値を所定の規則下で設定し、同一の状態値を持つ物理系のペアを同一の状態値が無くなるステップに至るまで集めて集合を得る。言い換えると、ステップS20では、ステップS10の操作を複数の物理システムのうちの2つの物理系に適用する順序を示す、複数の物理系間のネットワーク構造(後述する図5参照)を構築する。ステップS30として、その集合中の全ての物理系のペアに対して、2つの物理系(u,d)を対応させながらステップS10のエネルギー状態を遷移させる操作を適用して、複数の物理系中の最小のエネルギー状態を持つ物理系を求める。言い換えれば、ステップS30では、ステップS20のネットワーク構造に示された順序に従って複数の物理系に対してステップS10を適用して、複数の物理系中の最小のエネルギー状態を持つ物理系を求める。
図3を参照しながら、図2のステップS10のエネルギー状態を遷移させる操作について詳細に説明する。図3は、本発明の処理方法の一実施態様のエネルギー状態に遷移させる操作(図2のステップS10)の概念図である。最初に、二つの物理系(u,d)に下記(1)で示す同じ量子状態を初期状態として準備する。
Figure 0007046379000001
この時点で、uとdは下記(2)で示す同じエネルギーの期待値を持っている。
Figure 0007046379000002
後のため、(1)の量子状態におけるエネルギーの分散を下記の式(3)で与えておく。
Figure 0007046379000003
<第1の操作>として、uの量子状態を下記(4)で示すハミルトニアンを用いて時間τ(>0)の間時間発展させる。図3の符号1のブロックはこの第1の操作を示している。
Figure 0007046379000004
<第2の操作>として、uとdの間で量子スワッピング操作を時間Δt(>0)の間実行する。図3の符号2のブロックはこの第2の操作を示している。
<第3の操作>として、uの量子状態を反転した下記(5)で示すハミルトニアンを用いて時間τ(>0)の間時間発展させる。図3の符号3のブロックはこの第3の操作を示している。
Figure 0007046379000005
第1~第3の一連の操作後のuとdの量子状態は、操作によって規定される量子力学的時間発展の結果、τとΔtの一次までの近似の範囲で、uの量子状態は下記の式(6)で表すことができ、dの量子状態は下記の式(7)で表すことができる。
Figure 0007046379000006
Figure 0007046379000007
ここで、下記の非線形方程式(8)の解(9)を考えると、
Figure 0007046379000008
Figure 0007046379000009
τとΔtの一次までの近似の範囲で、下記の式(10)、(11)が成立していることがわかる。
Figure 0007046379000010
Figure 0007046379000011
上記の(9)で与えられる状態における下記(12)のエネルギーの期待値は、tについて単調減少である。
Figure 0007046379000012
第1~第3の操作後の状態におけるエネルギーの期待値は、uについては下記の式(13)となり、初期状態における期待値よりもΔEτΔtだけ高くなる。
Figure 0007046379000013
一方dについては下記の式(14)となり、初期状態における期待値よりもΔEτΔtだけ低いものとなる。
Figure 0007046379000014
以上から、第1から第3までの一連の操作により、uはエネルギーの高い状態に、dはエネルギーの低い状態に遷移していることがわかる。
次に、図4~図6を参照しながら図2のステップS20、S30について詳細に説明する。言い換えれば、図2のステップS10の方法を複数の物理系間に適用することにより離散最適化問題を解くための量子計算機を構成するための処理方法を説明する。図4は、図3の概念図の略式図である。図4において、黒丸4と白丸5が、図3の第1の操作1~第3の操作3に対応する略式記述である。図5は、本発明の処理方法の一実施態様の集合を得るための即ち複数の物理系間のネットワーク構造を構築するステップS20及び複数の物理系中の最小のエネルギー状態を持つ物理系を求めるステップS30を説明するために用いる図である。図5は、図4の略式記述(黒丸4と白丸5)を用いて複数の物理系の状態を表示している。図6は、図5に示したネットワーク構造中の全ての物理系のペアに対して、2つの物理系(u,d)を対応させてステップS10の操作を適用し、複数の物理系中の最小のエネルギー状態を持つ物理系を求めた場合(図5)のエネルギーの期待値の時間発展を示す図である。
mを整数として、2m個の物理系を考える。これらの複数の物理系の間のネットワーク構造を以下の手順で構築する。図5ではm=4(物理系1~物理系8)の場合を示している。
(1) 0から始まる非負の整数stepを導入する。図5と図6では、step=0を初期状態とし、stepが順次1増える状態遷移を示している。
(2) j番目の物理系に以下の規則で決まる整数sj(step)を導入する。
(2-1) sj(0)はすべての物理系jについて0とする。
(2-2) j<j’であるすべての物理系jと物理系j’について、sj(step)=sj'(step)であれば物理系jと物理系j’をペアにする。図5では、黒丸と白丸を縦方向で結ぶが1つの線が1つのペアを示している。例えば、step=2の物理系1と3ではs1(2)=s3(2)=-1となり物理系1と3はペアとなる。同様に、step=7のシステム4と7ではs4(7)=s7(7)=+2となり物理系4と7はペアとなる。一度ペアとなった物理系jと物理系j’をのぞいて、可能な限りこのようなペアを集める。
(2-3) 上記で構成した物理系のペアを要素とする集合をΩ(step)とする。
(2-4) Ω(step)の中に現れる物理系jと物理系j’について、sj(step+1)とsj'(step+1)を下記の式(15)、(16)のように定義をする。
Figure 0007046379000015
Figure 0007046379000016
図5では、例えば、step=5の物理系3と6のペアにおいて、s3(6)=s3(5)-1=-1、s6(6)=s6(5)+1=0とする。他のペアも同様である。
(2-5) Ω(step)の中に現れないjについて下記の式(17)の定義をする。
Figure 0007046379000017
図5では、例えば、物理系1のstep=4からstep=7において、s1(7)=s1(6)=s1(5)=s1(4) s1(3)=-3とする。他も同様である。
(2-6) step+1をstepとして上記の(2-2)に戻り、Ω(step)が空集合となるまでこれを繰り返す。
(2-7) Ω(step)が空集合になるstepから1を引いたものをstep*と定義する。図5では、Ω(step)が空集合になるstep=12(終状態)から1を引いたstep=11がstep*となる。このとき下記(18)を複数の物理系間のネットワーク構造と呼ぶ。このネットワーク構造(18)は、最小固有状態を求めたいハミルトニアンHとは独立に決定できることが特徴である。
Figure 0007046379000018
また、このネットワークの構成法より各jにおけるsj(step*)の値は下記の式(19)で求めることができる。
Figure 0007046379000019
図5では、例えば、物理系4において、s4(step*)=s4(11)=j-m-1=4-4-1=-1となり、物理系8において、s8(step*)=s8(11)=j-m=8-4=+4となる。
上記のネットワーク構造と、図2のステップS10のエネルギー状態を遷移させる操作(同じ量子状態を持つ2つの物理システム間でのエネルギー交換方法)を用いて、量子状態を次のように時間発展させる。
(1) 2m個の物理系に同じ量子状態を初期状態として準備する。
(2) step=0とする。
(3) 集合Ω(step)に含まれる全ての物理系のペア[j,j’](j<j’であることに注意)に対し、物理系jを図2のステップS10(図3)における物理系u、物理系j’を物理系dにそれぞれ対応させ、ステップS10のエネルギー状態を遷移させる操作を適用する。
(4) step+1を新たにstepとして(3)に戻り、step=step*に到達するまで繰り返す。
このとき、上記の式(10)と(11)が繰り返し適用され、各物理系jにおける各stepの状態は、式(8)の解(9)を使って、τとΔtの一次までの近似の範囲で下記の(20)で表される。
Figure 0007046379000020
このときのエネルギー期待値を厳密に計算した結果が、図6のエネルギーの期待値の時間発展を示す図である。図6において、破線7で囲まれる1つの領域がエネルギーの期待値を表し、白黒の濃淡がエネルギーの期待値の大小を表し、色が濃くなる程エネルギーの期待値が小さくなることを示している。図6は図5のm=4の物理系(システム)に対応しているので、物理系8のstep=11においてエネルギーの期待値が最小となっていることがわかる。
step=step*では、式(19と式(20)および式(12)がtについて単調減少であることより、各物理系jにおける状態でのエネルギーの期待値はjについて単調減少となる。その中でも特に、j=2mの物理系(図5の例では物理系8)では、下記(21)の最もエネルギーの期待値の低い状態が上記した一連の操作によって規定される量子力学的時間発展の結果、実現する。
Figure 0007046379000021
[実施例1]
実施例1として、図2のステップS10の方法(操作)をジョセフソン接合を用いた超伝導回路(「CJJ-rf-SQUID」、Physical Review B 80,052506,2009)に適用した場合の実装例を以下に示す。図7は、その実装例(構成例)を示す図である。図7では、二つの量子ビット1,2の例を示している。物理系u,dにおいて、量子ビット1,2を構成する超伝導ループ10は、2つのジョセフソン接合(×)を含むミニループ11を含む。超伝導ループ10の各々は、同様な超伝導ループ同士が相互インダクタンスを介して磁気的に接合する。なお、以下の説明では、より一般的に二つの量子ビットi,jを想定した場合について説明する。
CJJ-rf-SQUID系では、二つの量子ビットi,jの間に下記の式(22)の形の相互作用を形成することができる。
Figure 0007046379000022
ただし、式(22)中の下記(23)の各係数は整数の値を取る時間の関数である。図8は、図7の実施例の制御シーケンス、すなわち、下記(23)の各係数の値(-1,0,+1)の時間遷移を示す図である。
Figure 0007046379000023
さらに、下記(24)の各係数は、量子ビットiのパウリ行列とする。
Figure 0007046379000024
上記の式(22)の相互作用が実現された量子ビットの集合を考える。これらの量子ビットの集合を2つに分けて、1つを物理u、残りを物理dに対応させる。このとき、物理系uに属する量子ビットiのラベルを(i,u)とし、同様に物理系dに属する量子ビットiのラベルを(i,d)とする。すなわち、これらの量子ビット間の相互作用は下記の式(25)のように表される。
Figure 0007046379000025
このとき、量子アニーリング計算の場合と同様に、t<0において数(25)の相互作用において、下記の式(26)を導入し、かつ、他の係数を0に設定して初期状態(図8のt<0の範囲)を用意する。
Figure 0007046379000026
上記した第1の操作に対応して、式(25)中の物理系uを構成する量子ビット間の相互作用を用いて、量子アニーリング計算の場合と同様に、式(4)のハミルトニアンを下記の式(27)のように実現する。
Figure 0007046379000027
すなわち、下記の式(28)及び(29)を時間τの間設定する(図8の時間τの間)ことで、第1の操作が完了する。
Figure 0007046379000028
Figure 0007046379000029
上記した第2の操作に対応して、スワッピングの操作を行う。スワッピングは式(25)中の物理系uと物理系dを構成する量子ビット間に、下記の式(30)の相互作用を構成し、時間Δtの間設定することで第2の操作が完了する。
Figure 0007046379000030
しかし、式(30)の相互作用は式(25)の形をした相互作用では直接実現することができない。そこで、下記の式(31)~(34)
Figure 0007046379000031
Figure 0007046379000032
Figure 0007046379000033
Figure 0007046379000034
に着目すると、式(6)や式(7)を成立させるΔtの1次までの範囲では、下記の(1)~(3)の操作を順に行うことで、間接的に第2の操作を実装することができる。
(1)式(32)の操作:
式(25)において、下記の式(35)として、残りの係数は全て0を時間Δtの間設定する(図8の最初のΔtの間)。これにより式(31)の操作が完了する。
Figure 0007046379000035
(2)式(33)の操作:
式(25)において、下記の式(36)として、残りの係数は全て0を時間π/2の間設定する(図8の最初のπ/2の間)。その後、式(35)として残りの係数は全て0を時間Δtの間設定する(図8の2番目のΔtの間)。
Figure 0007046379000036
さらに、下記の式(37)として、残りの係数は全て0を時間π/2の間設定する(図8の2番目のπ/2の間)。これにより式(33)の操作が完了する。
Figure 0007046379000037
(3)式(34)の操作:
式(25)において、下記の式(38)として、残りの係数は全て0を時間π/2の間設定する(図8の3番目のπ/2の間)。
Figure 0007046379000038
その後、式(36)として残りの係数を全て0に設定し時間π/2を経過させ(図8の4番目のπ/2の間)、続いて式(35)として残りの係数は全て0を時間Δtの間設定する(図8の3番目のΔtの間)。さらに、式(37)として、残りの係数を全て0として時間π/2を経過後(図8の5番目のπ/2の間)、さらに下記の式(39)として、残りの係数の全て0を時間π/2の間設定する(図8の最後のπ/2の間)。
Figure 0007046379000039
これにより式(34)の操作が完了する。以上の一連の(1),(2)及び(3)の操作より、第2の操作が完了する。
上記した第3の操作に対応して、式(25)中の物理系uを構成する量子ビット間の相互作用を用いて、式(5)の相互作用を時間間隔τの間設定する。これは式(27)を反転させたものであるから、式(28)に対応して下記の式(40)を設定すればよい。これにより、第3の操作が完了する。
Figure 0007046379000040
以上により、実装されるCJJ-rf-SQUIDによる図2のステップS10の方法(操作)を2m個の物理系に繰り返して適用して量子計算に利用するには、図4~図6を参照しながら上述した一連の処理を用いることにより利用(実装)することができる。
[実施例2]
次に、実施例2として、計算ステップ数および必要な量子ビット数の評価を行うために、本発明を探索空間2nの探索問題に適用した場合について説明する。最初に、探索問題に対応する下記の式(41)のハミルトニアンを式(8)の非線形方程式に適用する。
Figure 0007046379000041
時刻tにおける下記の式(42)の正解確率を計算すると解析解が存在して下記の式(43)が得られる。図9は、式(43)のP(t)をプロットして得られた、非線形方程式による探索問題の正解確率P(t)の時間的挙動のn依存性を示す図である。
Figure 0007046379000042
Figure 0007046379000043
ここで、解空間の大きさが下記の(44)であって、初期の正解確率が下記の式(45)となる場合を考える。
Figure 0007046379000044
Figure 0007046379000045
このとき、下記の式(46)を満たす時刻tをt*と定義すると、t*は下記の式(47)として得られる。図10は、式(47)のt*をプロットしたもので、グラフAは正解確率P(t)≧0.9となる時間t*のn依存性を示す。
Figure 0007046379000046
Figure 0007046379000047
ここで本発明によって得られる状態が式(21)であることより、式(47)のt*に対応するmをm*とすれば、下記の式(48)が得られる。
Figure 0007046379000048
step*とmの関係はハミルトニアン(H)の詳細によらず、下記の式(49)であることに注目すると、m*で決まるstep*は下記の式(50)となり、nの2次(n2)であることがわかる。
Figure 0007046379000049
Figure 0007046379000050
また、式(43)の問題を表現するのに必要な1システムあたりの量子ビット数はn個であるから、2m*システム全体では下記の式(51)となる。
Figure 0007046379000051
さらに、与えられたmに対し必要な量子操作の数C(m)は下記の式(52)であることから、上記の探索問題に適用した場合には下記の式(53)となる。図11は、式(50)をプロットして得られるstep*及び式(53)をプロットして得られる量子操作の数C(m)のm依存性を示す図である。
Figure 0007046379000052
Figure 0007046379000053
上記した探索空間2nの探索問題に従来の量子アニーリング計算、およびゲート式の量子計算探索問題に適用した場合、(量子を使わない計算に比べて小さくはなるものの)その計算ステップ数は2n/2となり、nに対して指数関数的に振る舞うことが知られている。一方、本発明による計算ステップ数(step*)は、上述したように、nに対して高々多項式的(例えばn2)に抑えられる。同様に、計算に必要な量子ビットの数は、従来の計算手法がnに比例する程度だったのに対し、本発明ではn2に比例することになるが、計算ステップ数と必要な量子操作数(C(m))がnに対して高々多項式的なサイズ(例えばn3)で問題を解くことができる。
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明をした。しかし、本発明はこれらの実施形態に限られるものではない。さらに、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様で実施できるものである。
1:第1の操作
2:第2の操作
3:第3の操作
4、5:第1~第3の操作の略式記述
7:エネルギーの期待値
10:超伝導ループ
11:2つのジョセフソン接合を含むミニループ

Claims (5)

  1. 離散最適化問題を解くために量子アニーリング計算を行うための処理方法であって、
    (a)同一の量子状態を持つ2つの物理系(u,d)間において、一方のエネルギー状態を低エネルギー状態にし、他方のエネルギー状態を高エネルギー状態に遷移させる操作を準備するステップと、
    (b)ステップ(a)の操作を複数の物理システムのうちの2つの物理系に適用する順序を示す、複数の物理系間のネットワーク構造を構築するステップと、
    (c)前記ステップ(b)の前記ネットワーク構造に示された前記順序に従って前記複数の物理系に対して前記ステップ(a)の操作を適用して、前記複数の物理系中の最小のエネルギー状態を持つ物理系を求めるステップと、を含む処理方法。
  2. 記ステップ(a)は、
    (a1)前記2つの物理系(u,d)に初期状態として同一の量子状態を与えるステップと、
    (a2)物理系uの量子状態をハミルトニアン(H)を用いて時間τ(>0)の間時間発展させるステップと、
    (a3)物理系uと物理系dの間で量子スワッピング操作を時間Δt(>0)の間行うステップと、
    (a4)物理系uの量子状態を反転したハミルトニアン(-H)を用いて時間τ(>0)の間時間発展させるステップと、を含む請求項1に記載の処理方法。
  3. 記ステップ(b)は、
    (b1)2m個(mは正の整数)の物理系において、j番目(jは2m-1以下の正の整数)の物理系jの状態値を j(step)とし、全ての物理系jについて j(0)=0にするステップと、
    (b2)j<j’(j,j’は2m以下の正の整数)である全ての物理系jと物理系j’から j(step)= j'(step)となる物理系jと物理系j’のペアを選択するステップと、
    (b3)複数の前記物理系jと物理系j’のペアを集めて集合Ω(step)とするステップと、
    (b4)前記集合Ω(step)に含まれる前記物理系jと物理系j’について、 j(step+1)= j(step)-1、 j'(step+1)= j'(step)+1とするステップと、
    (b5)前記集合Ω(step)に含まれない前記物理系jについて、 j(step+1)= j(step)とし、step+1をstepとするステップと、
    (b6)ステップ(b2)からステップ(b5)までを前記集合Ω(step)が空集合になるまで繰り返すステップと、
    (b7)集合Ω(step)が空集合になるstepから1減算したstepをstep*とするステップと、を含んで前記ネットワーク構造を制定する請求項1または2に記載の処理方法。
  4. 前記ステップ(c)は、
    (c1)2m個の物理系に初期状態として同じ量子状態を与えるステップと、
    (c2)step=0とするステップと、
    (c3)前記集合Ω(step)中の全ての前記物理系のペアj,j’に対して、前記物理系jを前記物理系uに対応させ、前記物理系j’を前記物理系dに対応させながら前記ステップ(a1)~(a4)を含む操作を適用するステップと、を含む請求項3に記載の処理方法。
  5. 各物理系jにおける状態値 j(step*)は、
    j(step*)=j-m-1 (j=1,2,・・・,m) または
    j(step*)=j-m (j=m+1,m+2,・・・,2m)
    で与えられる、請求項3に記載の処理方法。
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