JP7041918B2 - 曲げ性能が高いジオポリマー硬化体及びその製造方法 - Google Patents

曲げ性能が高いジオポリマー硬化体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、曲げ性能が高いジオポリマー硬化体を得るための原料組成物、及びその原料組成物を硬化して得られるジオポリマー硬化体、並びにその製造方法に関する。
ジオポリマーは、シリカ成分やアルミナ成分等を含有する活性フィラーが、アルカリ活性剤等と反応して得られる無機ポリマーであることが知られている。ジオポリマーの原料組成物を用いて得られる硬化体は、製造時におけるCO排出量が、セメント系材料の場合と比較して、非常に少ないという利点がある。また、ジオポリマーの原料組成物を用いて得られる硬化体は、産業副産物を有効利用する技術としても注目されている。
活性フィラーには、フライアッシュ、高炉スラグ、下水焼却汚泥、カオリン等があり、これらを原料としたジオポリマー組成物に関する技術が種々提案されている。例えば、特許文献1には、少なくともフライアッシュを含む活性フィラーと、水酸化ナトリウム、珪酸ナトリウム等のアルカリ活性剤と、骨材とを原料としたジオポリマー組成物が開示されている。
一方、天然骨材の枯渇に伴って、砕砂と砕石の生産量が増えている。工程上、砕石・砕砂の乾式製造過程で副産物として砕石粉(集塵機で捕集される集塵粉・エアセパレーターで分級される微粒紛)が排出される。または単粒度砕石や砕砂を湿式で製造する際に分級工程から脱水ケーキが発生する。現在、砕石粉及び脱水ケーキは、全国で年間3000万トン以上(中国地域では200万トン程度)発生している(非特許文献3を参照)。しかし、現在、砕石微粉末のほとんどは砕石場で埋め戻されている。砕砂と砕石の生産量の増加と共に砕石場では砕石微粉末が増加しており、今後も増加傾向が続くと見込まれるが、有効な利用方法が確立されていない。砕石粉の処理の問題は、現在、砕石砕砂製造業界の大きな問題となってきている。したがって、付加価値の高い砕石微粉末の有効な利用方法が求められている。
このような理由もあり、例えば非特許文献1には、アルカリ-シリカ反応性の堆積岩粉末と、メタカオリンと、アルカリ活性剤とを反応させるジオポリマー硬化体の製造方法が提案されている。その際、堆積岩粉末/メタカオリンの質量比が30/70以上となるように混合することも開示されている。
また、非特許文献2には、石粉とフライアッシュとアルカリ活性剤とを反応させるジオポリマー硬化体の製造方法が提案されている。その際、石粉/フライアッシュの質量比が22/78以下となるように混合することが開示されている。
特開2008-239446号公報
Mukund Lahoti, et al, "Use of alkali-silica reactive sedimentary rock powder as a resource to produce high strength geopolymer binder", Construction and Building Materials, 155(2017), pp.381-388 Radhakrishna, A. Shashishankar, and B.C. Udayashankar, "Analysis and assessment strength development in Class F fly ash based compressed geopolymer blocks", The Indian Concrete Journal, August 2008, pp.31-37 中国経済産業局「岩石資源及び副産物を利用した新規事業・リサイクル促進のための市場及び事業環境調査」平成19年3月発行
非特許文献2に記載されたジオポリマー硬化体の製造方法では、石粉/フライアッシュの質量比が22/78以下であるため、石粉の使用量が少なく、産業副産物を有効利用する技術としては、不十分であった。
また、非特許文献1に記載されたジオポリマー硬化体の製造方法では、堆積岩粉末/メタカオリンの質量比が30/70以上であるため、堆積岩粉末の使用量が多いものの、得られる硬化体の曲げ強度が高いとは言えず、また活性フィラーとして使用しているメタカオリンの原料であるカオリン資源は日本にほとんどない(図2、比較例5-1~5-5参照)。
従って、本発明の目的は、産業副産物である砕石粉を有効利用でき、得られるジオポリマー硬化体の曲げ強度等の性能が優れる、ジオポリマー硬化体の原料組成物、及びその原料組成物を硬化して得られるジオポリマー硬化体、並びにその製造方法を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、石粉/高炉スラグ粉の質量比が30/70~70/30である原料組成物を使用することにより、得られるジオポリマー硬化体の曲げ強度が十分高くなることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明のジオポリマー硬化体の原料組成物は、石粉、高炉スラグ粉、及びアルカリ活性剤を含有し、前記石粉/高炉スラグ粉の質量比が30/70~70/30であることを特徴とする。
本発明のジオポリマー硬化体の原料組成物によると、石粉を高炉スラグ粉と併用するため、他の活性フィラーとの併用に比べて、ジオポリマー硬化体の曲げ強度が大きく改善される。このため、石粉/高炉スラグ粉の質量比が30/70~70/30で高い曲げ強度を有するジオポリマー硬化体が得られ、産業副産物である砕石粉を有効利用できるようになる。
石粉を高炉スラグ粉と併用することで曲げ強度が大きく改善される理由の詳細は不明であるが、一応、次のように考えられる。高炉スラグ粉は、高温履歴と冷却により非結晶質相の割合が高く、アルカリ活性剤との反応性に優れ、またCaO成分の含有量が高いため、得られるジオポリマー硬化体の圧縮強度が高い。しかし、縮重合反応によるジオポリマーの硬化過程では、脱水が発生し、収縮を生じるため、微細なひび割れが生じる。ひび割れは一旦発生すると、曲げ強度は大きく低下する。
一方、石粉を添加すると、一部が硬化反応に寄与すると共に、石粉粒子はジオポリマーの骨材の役目を果たして乾燥収縮を抑え、なおかつ隙間に充填する。その結果、石粉を高炉スラグ粉と併用することで圧縮強度が高いと共に曲げ強度が大きく改善されると考えられる。
上記において、前記の石粉が、比表面積が3000cm/g以上であり、珪酸質岩石又は石灰石の粉砕物であることが好ましい。また、JIS A 5041:2009「コンクリート用砕石粉」に規定する砕石粉であることが好ましい。このような石粉は、特にジオポリマーの曲げ強度が十分高い硬化体が得られ易くなる。
また、前記高炉スラグ粉は比表面積が2000cm/g以上であることが好ましい。このような微粉末は、特にジオポリマーの生成反応に対する活性が高く、強度発現性が良い硬化体が得られ易くなる。
本発明では、細骨材を更に含有することが好ましい。細骨材を更に含有することで、細骨材を含有しない場合と比較して、寸法安定性が良好になり、収縮によるひび割れ等による強度低下の問題もより生じにくくなる。
また、本発明のジオポリマー硬化体は、上記のいずれかに記載のジオポリマー硬化体の原料組成物が硬化してなることを特徴とする。本発明のジオポリマー硬化体によると、産業副産物である砕石粉を有効利用でき、曲げ強度が十分高い硬化体となる。実用性のあるジオポリマー硬化体として7MPa以上の曲げ強度をもつのが好ましい。
一方、本発明のジオポリマー硬化体の製造方法は、石粉、高炉スラグ粉、及びアルカリ活性剤を含有し、前記石粉/高炉スラグ粉の質量比が30/70~70/30である原料組成物を混練する混練工程と、混練後の原料組成物を形成する成形工程と、成形後の原料組成物を硬化させる硬化工程と、を含むことを特徴とする。本発明のジオポリマー硬化体の製造方法によると、産業副産物である砕石粉を有効利用でき、得られるジオポリマー硬化体の曲げ強度が十分高い、ジオポリマー硬化体を得ることができる。
上記において、前記石粉が、比表面積が3000cm/g以上であり、珪酸質岩石又は石灰石の粉砕物であることが好ましい。このような石粉は、特にジオポリマーの曲げ強度が十分高い硬化体が得られ易くなる。
また、前記硬化工程が、40~100℃の高温養生工程を含むことが好ましい。このような高温養生工程を経ることで、曲げ強度がより高いジオポリマー硬化体を、高い生産性で得ることができる。
また、前記の高温養生工程がオートクレーブを用いて行なわれることが好ましい。オートクレーブを用いて行なうことで、温・湿条件および雰囲気条件などの制御が適切に行なえるため、要求される物性を有するジオポリマー硬化体を、より高い生産性で得ることができる。
実施例1-1~2-3、及び比較例1-1~4-5における、高炉スラグ粉(BFS)の含有量とジオポリマー硬化体の曲げ強度との関係を示すグラフ。 実施例1-1~2-3、及び比較例1-1~6-5における、砕石粉の含有量とジオポリマー硬化体の曲げ強度との関係を示すグラフ。 実施例2-1~3-3、及び比較例2-1~7-1における、高炉スラグ粉(BFS)の含有量とジオポリマー硬化体の圧縮強度との関係を示すグラフ。 実施例2-1~4-3、及び比較例2-1~8-1における、高炉スラグ粉(BFS)の含有量とジオポリマー硬化体の圧縮強度との関係を示すグラフ。 実施例2-1~6-3、及び比較例2-1~10-1における、高炉スラグ粉(BFS)の含有量とジオポリマー硬化体の圧縮強度との関係を示すグラフ。 実施例2-1~7-3、及び比較例2-1~11-1における、高炉スラグ粉(BFS)の含有量とジオポリマー硬化体の圧縮強度との関係を示すグラフ。 硫酸浸漬試験の結果を示すグラフ。 原料石灰質砕石粉とそれを用いたジオポリマー硬化体のX線回析(XRD)分析の結果を示すチャート。 原料珪酸質砕石粉とそれを用いたジオポリマー硬化体のX線回析(XRD)分析の結果を示すチャート。 実施例8-1~2、及び比較例12-1~2における、高炉スラグ粉の含有量と、ジオポリマー硬化体の圧縮強度および曲げ強度との関係を示すグラフ。
《ジオポリマー硬化体の原料組成物》
本発明のジオポリマー硬化体の原料組成物は、石粉、高炉スラグ粉、及びアルカリ活性剤を含有する。ここで、「石粉」とは、岩石を原料に砕石、砕砂を製造する際に副産する砕石粉(微粒分)または脱水ケーキ、または岩石を粉砕して得られる微粉を原料として、必要に応じて分級処理を行ったものを指す。つまり、本発明における「石粉」は、乾燥粉のみに限らず脱水ケーキ状態等であるものも含む。
実施例において用いられた石粉は、比表面積(ブレーン値)が7200cm/g(石灰質砕石粉)や7020cm/g(珪酸質砕石粉)であるが、本発明に用いる石粉としては、ジオポリマー硬化体を生成する際の空隙充填性の観点から、粉末度が3000cm/g以上のものが好ましい。
本発明では、石粉が、JIS A 5041:2009に規定する砕石粉であることが好ましい。この石粉は、JIS A 5041:2009により、150μmふるい残分が5質量%以下であり、湿分が1.0%以下、密度が2.5g/cm以上、フロー値比が90%以上と規定されている。
石粉の具体例としては、安山岩、硬質砂岩、粘板などの珪酸質石粉および石灰質石粉などが挙げられる。石灰質石粉の組成としては、酸化物換算で、CaOを90以上の質量%含有するものが挙げられる。珪酸質石粉の組成としては、酸化物換算で、SiOを58~70質量%、CaOを0~10質量%、Alを10~20質量%、Feを1.0~10質量%、含有するものが挙げられる。これらの代表的な組成としては、表1に示すものが例示される。
高炉スラグ粉とは、一般的に、溶鉱炉で銑鉄を製造する際、溶融して出てくる鉄以外の成分である高炉スラグを、水で急冷してガラス化した水砕スラグを乾燥・微粉砕したものをいう。
高炉スラグ粉の組成としては、酸化物換算で、SiOを25~40質量%、CaOを35~55質量%、Alを10~20質量%、MgOを3~8質量%、含有するものが挙げられる。代表的な組成としては、表1に示すものが例示される。
高炉スラグ粉としては、ジオポリマー硬化体を生成する際の反応性の観点から、JIS R 5201により測定される比表面積が、2000cm/g以上であることが好ましく、3000~10000cm/gであることがより好ましい。なお、高炉スラグ粉の密度は、2.5~3.5g/cmであることが好ましい。
本発明の原料組成物は、前記石粉/高炉スラグ粉の質量比が30/70~70/30であることを特徴とし、曲げ強度を高める観点から、質量比が30/70~60/40であることが好ましい。
本発明の原料組成物は、その他のフィラーとして、更にメタカオリン、フライアッシュ、下水焼却汚泥焼却灰溶融スラグ粉、都市ごみ焼却灰溶融スラグ粉末、製紙スラッジ焼却灰、流動床石炭灰等を含有することも可能である。但し、その他のフィラーと高炉スラグ粉との質量比は、20/100以下が好ましく、10/100以下がより好ましい。
アルカリ活性剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属塩や、1号ケイ酸ソーダ、2号ケイ酸ソーダ、3号ケイ酸ソーダ、4号ケイ酸ソーダ、メタケイ酸ソーダなどの水ガラス類や、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどのケイ酸塩や、これらの混合物が挙げられる。これらのアルカリ活性剤は、固形でフィラーと混合することができるが、水溶液等の溶液で使用することが好ましい。つまり、本発明の原料組成物には、水等の溶媒を含有することが好ましい。
アルカリ水溶液中の濃度としては、原料組成物中に、水が5~40質量%含有される濃度が好ましく、水が10~35質量%含有される濃度がより好ましい。
本発明の原料組成物は、その他の成分として、シリカ、シリカ化合物(例えば、微粉末シリカ、シリカフューム、珪酸塩類)、又はカルシウム化合物を含有することも可能である。
但し、産業副産物を有効利用する観点から、これらのシリカ化合物等の質量比は、シリカ化合物等/石粉として、20/100以下が好ましく、10/100以下がより好ましい。
本発明の原料組成物は、細骨材や粗骨材を更に含有することが可能である。粗骨材とは、5mm網ふるいに85質量%以上とどまる骨材であり、細骨材とは10mm網ふるいをすべて通過、5mm網ふるいを85質量%以上通る骨材である。
細骨材や粗骨材の含有量は、寸法安定性や強度の観点から、石粉及び高炉スラグ粉の合計100質量部に対して、350~600質量部が好ましい。
本発明の原料組成物は、さらに粘土、補強繊維を含有することができる。粘土としては、ベントナイト、カオリン等があり、これらの物質のうち、いずれか1種のみを含有しても良いし、2種類以上を含有しても良い。補強繊維としては、パルプ繊維、セルロース繊維などの木質系繊維や、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、アセテート繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維などの合成繊維、ロックウール、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維などの無機繊維等が挙げられる。補強繊維の含有量は、補強効果と寸法安定性の観点から、石粉及び高炉スラグ粉の合計100質量部に対して、0~30質量部が好ましい。
本発明の原料組成物は、遅延剤や収縮低減剤を更に含有することが可能である。遅延剤としては、ショ糖、酒石酸ナトリウムなどが挙げられる。遅延剤の含有量は、遅延剤の種類と要求される可使時間にもよるが、高炉スラグ粉100質量部に対して、1~10質量部が好ましく、1~5質量部がより好ましい。また、収縮低減剤(エステル系、エーテル系等)の含有量としては、石粉と高炉スラグ粉100質量部に対して、1~10質量部が好ましく、1~5質量部がより好ましい。
本発明の原料組成物は、例えば、軽量化材、増粘剤、着色剤等の各種添加材を、本発明の効果を大きく損なわない含有量の範囲で、更に含有することができる。軽量化材としては、例えば、パーライト、シラスバルーン等の無機発泡体や、発泡ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン発泡体、アクリロニトリル系発泡体等の有機発泡体が挙げられる。増粘剤としては、例えば、メチルセルロースやヒドロキシメチルセルロースやカルボキシメチルセルロースが挙げられる。着色剤としては、例えば、鉄黒、カーボンブラック、酸化クロムが挙げられる。
《ジオポリマー硬化体》
本発明のジオポリマー硬化体は、以上で詳述した本発明の原料組成物が硬化してなるものである。ジオポリマーは、アルミノシリケート成分を含有する活性フィラーが、アルカリ活性剤の刺激で縮重合反応して得られる非結晶質無機ポリマーであることが知られている。
本発明のジオポリマー硬化体は、以下で詳述する本発明の製造方法によって、好適に製造することができる。
本発明のジオポリマー硬化体は、コンクリートなどの建築土木躯体材、内外壁用パネルやタイルなどの建築資材、左官材、舗道などのブロック材、漁礁用大型ブロック、人造石などに使用することができる。また、材料の気孔制御などを行うことで、軽量タイルなどの製造も可能である。また、本発明は、廃棄物処理の用途としても有用である。
《ジオポリマー硬化体の製造方法》
本発明の製造方法は、石粉、高炉スラグ粉、及びアルカリ活性剤を含有し、前記石粉/高炉スラグ粉の質量比が30/70~70/30である原料組成物を混練する混練工程と、混練後の原料組成物を形成する成形工程と、成形後の原料組成物を硬化させる硬化工程と、を含むことを特徴とする。
混練工程は、原料組成物を混練する工程であり、以上で詳述した本発明の原料組成物が使用される。混練には、ニーダー、ミキサー、押出機等が使用できる。
混合の順序は特に限定されないが、例えば、石粉、高炉スラグ粉および細骨材を混ぜ合わせ、その後アルカリ水溶液を投入し、さらに練り混ぜる方法や、アルカリ水溶液中に石粉、高炉スラグ粉および細骨材を添加して、混ぜ合わせる方法が挙げられる。但し、他の成分を混合した後に、アルカリ水溶液を投入する方法が、混合状態を好適にする観点から好ましい。また、混和剤を添加する場合、混和剤とアルカリ水溶液を予め混合してから、アルカリ水溶液を投入することが好ましい。
成形工程は、混練後の原料組成物を所定の形状に形成する工程である。通常は、型内に混練後の原料組成物が充填され、充填の際に必要に応じて加圧や締固めおよび表面仕上げ等が行なわれる。また、所定形状の口金を用いた押出成形により、所定の断面形状に形成することも可能である。
硬化工程は、成形後の原料組成物を硬化させる工程である。原料組成物の硬化は、常温で行なうこと(常温養生)も可能であるが、高温養生工程を含むことが好ましい。高温養生工程は、好ましくは40~100℃、より好ましくは60~90℃で加熱して行なわれる。また、高温養生時間は、加熱温度にもよるが、4~48時間が好ましい。常温養生を行なう場合、28日以上が好ましい。
また、原料組成物の硬化は、封緘状態、水分の蒸発を防いだ状態、98%以上の湿度を保持する条件下で行なわれるのが好ましい。このため、高温養生工程は、オートクレーブを用いて行なわれるのが好ましい。また、加圧条件下でも、養生を行なうことが可能である。
得られる成形体は、各種用途に応じて、シート状、板状、棒状、柱状、塊状、ブロック状、特殊形状等の種々の形態で用いることができる。
以下、本発明に関し実施例と比較例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(石粉)
炭酸カルシウムを主成分とする石灰質砕石粉(石灰石微粉末、比表面積7200cm)又は山口県内の砕石場から排出された珪酸質砕石粉(比表面積7020cm)を使用した。各石粉の化学組成を表1に示す。
あるいは、珪酸質砕石粉と同様に、珪酸質岩石から副産物として生じた脱水ケーキを使用した。
Figure 0007041918000001
(高炉スラグ微粉末)
高炉スラグ微粉末(BFS)として、JIS規格品3000級(日鉄住金高炉セメント社製、エスメント、比表面積3200cm/g、密度2.9g/cm)と、4000級(日鉄住金高炉セメント社製、エスメント、比表面積4180cm/g、密度2.88g/cm)とを使用した。また、4000級BFSの化学組成を表1に併せて示す。
(アルカリ水溶液)
JIS1号ナトリウム系水ガラス水溶液(以下、1号液と記す)、1号液と苛性ソーダ水溶液の混合物(以下、0号液と記す)を使用した。1号液は、市販のJIS1号水ガラス(NaO・2SiO・aq)を水で1:1の体積比に希釈したものであった。0号液は、モル濃度が10Mの苛性ソーダ(NaOH)水溶液と1号液を1:3の体積比で混合したものであった。
(細骨材)
ジオポリマー(GPと略称する場合がある)モルタルの硬化体の製造には、セメント強度試験用標準砂を使用した。標準砂の絶乾比重は2.64、吸水率0.42%、単位容積質量1.76kg/L、実積率66.7%であった。
<実施例1-1~3>(石灰質砕石粉+BFS)
表2に示す組成となるように、石粉(石灰質砕石粉)、BFS(JIS規格品4000級)および細骨材を1分間混ぜ合わせ、その後アルカリ水溶液(0号液)を投入し、さらに2分間練り混ぜた。強度試験体として、練り混ぜ直後に、4×4×16cmの3連型枠に2層に分けて詰め、各層を11回程度突き棒で突き、コテを使い表面を仕上げした。可使時間測定で試験体が凝結に近いと判断した段階で、試験体の上面をラップで封緘し80±5℃で24時間の高温養生を行った後に脱型して、ジオポリマー硬化体を得た。
<比較例1-1~3>(石灰質砕石粉+BFS)
実施例1-1において、表2に示す組成となるように、石粉(石灰質砕石粉)とBFS(JIS規格品4000級)を混合したこと以外は、実施例1-1と同じ条件で、ジオポリマー(GP)硬化体を得た。
Figure 0007041918000002
<実施例2-1~3>(珪酸質砕石粉+BFS)
表3に示す組成となるように、石粉(珪酸質砕石粉)、BFS(JIS規格品4000級)および細骨材を1分間混ぜ合わせ、その後アルカリ水溶液(0号液)を投入し、さらに2分間練り混ぜた。強度試験体として、練り混ぜ直後に、4×4×16cmの3連型枠に2層に分けて詰め、各層を11回程度突き棒で突き、コテを使い表面を仕上げした。可使時間測定で試験体が凝結に近いと判断した段階で、試験体の上面をラップで封緘し80±5℃で24時間の高温養生を行った後に脱型して、ジオポリマー硬化体を得た。
<比較例2-1~3>(珪酸質砕石粉+BFS)
実施例2-1において、表3に示す組成となるように、石粉(珪酸質砕石粉)とBFS(JIS規格品4000級)を混合したこと以外は、実施例2-1と同じ条件で、ジオポリマー硬化体を得た。
Figure 0007041918000003
<比較例3-1~5>(メタカオリン+BFS)
表4に示す組成となるように、メタカオリン(中国産、比表面積2480cm/g、比重2.43g/cm)、BFS(JIS規格品4000級)および細骨材を1分間混ぜ合わせ、その後アルカリ水溶液(0号液)を投入し、さらに2分間練り混ぜた。強度試験体の作製として、練り混ぜ直後に、4×4×16cmの3連型枠に2層に分けて詰め、各層を11回程度突き棒で突き、コテを使い表面を仕上げした。可使時間測定で試験体が凝結に近いと判断した段階で、試験体の上面をラップで封緘し80±5℃で24時間の高温養生を行った後に脱型して、ジオポリマー硬化体を得た。
Figure 0007041918000004
<比較例4-1~5>(フライアッシュ+BFS)
表5に示す組成となるように、フライアッシュ(JIS II種)、BFS(JIS規格品4000級)および細骨材を1分間混ぜ合わせ、その後アルカリ水溶液(0号液)を投入し、さらに2分間練り混ぜた。強度試験体の作製として、練り混ぜ直後に、4×4×16cmの3連型枠に2層に分けて詰め、各層を11回程度突き棒で突き、コテを使い表面を仕上げした。可使時間測定で試験体が凝結に近いと判断した段階で、試験体の上面をラップで封緘し80±5℃で24時間の高温養生を行った後に脱型して、ジオポリマー硬化体を得た。
Figure 0007041918000005
<比較例5-1~5>(メタカオリン+珪酸質砕石粉)
表6に示す組成となるように、メタカオリン(中国産、比表面積2480cm/g、比重2.43g/cm)、珪酸質砕石粉および細骨材を1分間混ぜ合わせ、その後アルカリ水溶液(0号液)を投入し、さらに2分間練り混ぜた。強度試験体の作製として、練り混ぜ直後に、4×4×16cmの3連型枠に2層に分けて詰め、各層を11回程度突き棒で突き、コテを使い表面を仕上げした。可使時間測定で試験体が凝結に近いと判断した段階で、試験体の上面をラップで封緘し80±5℃で24時間の高温養生を行った後に脱型して、ジオポリマー硬化体を得た。
Figure 0007041918000006
<比較例6-1~5>(フライアッシュ+珪酸質砕石粉)
表7に示す組成となるように、フライアッシュ(JIS II種)、珪酸質砕石粉および細骨材を1分間混ぜ合わせ、その後アルカリ水溶液(0号液)を投入し、さらに2分間練り混ぜた。強度試験体の作製として、練り混ぜ直後に、4×4×16cmの3連型枠に2層に分けて詰め、各層を11回程度突き棒で突き、コテを使い表面を仕上げした。可使時間測定で試験体が凝結に近いと判断した段階で、試験体の上面をラップで封緘し80±5℃で24時間の高温養生を行った後に脱型して、ジオポリマー硬化体を得た。
Figure 0007041918000007
<実施例3-1~3>(珪酸質砕石粉+BFS)
実施例1-1~3において、表8に示す組成となるように、石粉として珪酸質砕石粉を使用し、アルカリ水溶液として1号液を60質量部使用したこと以外は、実施例1-1~3と同じ条件で、ジオポリマー硬化体を得た。
<比較例7-1>(珪酸質砕石粉+BFS)
実施例3-1において、表8に示す組成となるように、石粉(珪酸質砕石粉)とBFS(JIS規格品4000級)を混合したこと以外は、実施例3-1と同じ条件で、ジオポリマー硬化体を得た。
Figure 0007041918000008
<実施例4-1~3>(珪酸質砕石粉+BFS+遅延剤)
実施例1-1~3において、表9に示す組成となるように、石粉として珪酸質砕石粉を使用し、アルカリ水溶液として0号液を60質量部使用し、酒石酸ナトリウムを主成分とした遅延剤(東邦化学工業株式会社製)を添加したこと以外は、実施例1-1~3と同じ条件で、ジオポリマー硬化体を得た。
<比較例8-1>(珪酸質砕石粉+BFS+遅延剤)
実施例4-1において、表9に示す組成となるように、石粉(珪酸質砕石粉)とBFS(JIS規格品4000級)と遅延剤を混合したこと以外は、実施例4-1と同じ条件で、ジオポリマー硬化体を得た。
Figure 0007041918000009
<実施例5-1~3>(珪酸質砕石粉+BFS、高温養生6時間)
実施例2-1~3において、高温養生を80±5℃×6時間で行なったこと以外は、実施例2-1~3と同じ条件で、ジオポリマー硬化体を得た。原料混合時の組成を表10に示す。
Figure 0007041918000010
<比較例9-1>(珪酸質砕石粉+BFS、高温養生6時間)
比較例2-1において、高温養生を80±5℃×6時間で行なったこと以外は、比較例2-1と同じ条件で、ジオポリマー硬化体を得た。原料混合時の組成を表10に示す。
<実施例6-1~3>(珪酸質砕石粉+BFS、高温養生24時間+常温養生27日)
実施例2-1~3において、高温養生80±5℃×24時間の後に、常温養生27日を行なったこと以外は、実施例2-1~3と同じ条件で、ジオポリマー硬化体を得た。原料混合時の組成を表10に示す。
<比較例10-1>(珪酸質砕石粉+BFS、高温養生24時間+常温養生27日)
比較例2-1において、高温養生80±5℃×24時間の後に、常温養生27日を行なったこと以外は、比較例2-1と同じ条件で、ジオポリマー硬化体を得た。原料混合時の組成を表10に示す。
<実施例7-1~3>(珪酸質砕石粉+BFS)
実施例2-1~3において、BFSとしてBFS(JIS規格品3000級)を使用したこと以外は、実施例2-1~3と同じ条件で、ジオポリマー硬化体を得た。原料混合時の組成を表11に示す。
Figure 0007041918000011
<比較例11-1>(珪酸質砕石粉+BFS、高温養生24時間+常温養生27日)
比較例2-1において、BFSとしてBFS(JIS規格品3000級)を使用したこと以外は、比較例2-1と同じ条件で、ジオポリマー硬化体を得た。原料混合時の組成を表11に示す。
<実施例8-1>(脱水ケーキ+BFS+アルカリ水溶液(0号液))
石粉として乾燥した脱水ケーキ70質量部、BFS(JIS規格品4000級)30質量部および細骨材200質量部を1分間混ぜ合わせ、その後アルカリ水溶液(0号液)60質量部を投入し、さらに2分間練り混ぜた。原料混合時の組成を表12に示す。強度試験体として、練り混ぜ直後に、4×4×16cmの3連型枠に2層に分けて詰め、各層を11回程度突き棒で突き、コテを使い表面を仕上げした。可使時間測定で試験体が凝結に近いと判断した段階で、試験体の上面をラップで封緘し20℃で28日間の常温養生を行った後に脱型して、ジオポリマー硬化体を得た。
Figure 0007041918000012
<比較例12-1>(脱水ケーキ+BFS+アルカリ水溶液(0号液))
実施例8-1において、乾燥した脱水ケーキの使用量を70質量部から80質量部に、BFSの使用量を30質量部から20質量部に変えたこと以外は、実施例8-1と同じ条件で、ジオポリマー硬化体を得た。原料混合時の組成を表12に示す。
<実施例8-2>(脱水ケーキ+BFS+アルカリ水溶液(1号液))
実施例8-1において、アルカリ水溶液(0号液)の代わりにアルカリ水溶液(1号液)を使用したこと以外は、実施例8-1と同じ条件で、ジオポリマー硬化体を得た。原料混合時の組成を表12に示す。
<比較例12-2>(脱水ケーキ+BFS+アルカリ水溶液(1号液))
実施例8-2において、脱水ケーキの使用量を70質量部から80質量部に、BFSの使用量を30質量部から20質量部に変えたこと以外は、実施例8-2と同じ条件で、ジオポリマー硬化体を得た。原料混合時の組成を表12に示す。
<評価条件>
実施例及び比較例で得られたジオポリマー硬化体について、以下の評価を行なった。
(1)可使時間
表3と表9に示す実施例及び比較例について、試料を練り混ぜた直後から、試料面を実験室用ミクロスパーテルで突き刺し、圧痕に液の進入が認められず、かつ圧痕が明瞭に残るまでの時間を計測し、アルカリ溶液の投入からこの時点までの経過時間を可使時間とした。その結果を表3と表9に示す。
(2)力学性能
得られたジオポリマー硬化体について、曲げ試験と圧縮試験を万能試験機で行った。曲げ試験は3点法(支点間距離100mm、載荷速度50±10N/秒)で行い、曲げ試験後の折片を用いて圧縮試験を行った。曲げ強度は3本の角柱試験体、圧縮強度は6つの折片の測定結果の平均値とした。その結果を表2~表9、図1~図6、図10に示す。
(3)硫酸浸漬試験
珪酸質砕石粉と石灰質砕石粉を用い、4000級のBFSをそれぞれ50質量部と30質量部混合した4種類(実施例1-1、1-3、2-1、2-3相当)のGPペーストで作製した硬化体を20±3℃の気中で28日養生した後、5%の硫酸に4週間浸漬し、質量変化率を測定し外観変化を考察した。硬化体は、サイズが直径5cm、高さ10cmの円柱であった。その結果を図7に示す。
(4)X線回析(XRD)分析
石灰質砕石粉、珪酸質砕石粉およびそれらを用いたジオポリマー硬化体のX線回折(XRD)分析を行った。ジオポリマー硬化体に0号液を用い、液固比は石灰質砕石粉を用いた場合には0.50であり、珪酸質砕石粉を用いた場合には0.60であった。石粉の30質量部を4000級のBFSに代替された2種類(実施例1-3、2-3相当)のGPペーストであった。また、ジオポリマー硬化体は、20±3℃の気中で28日間封緘養生された。石灰質砕石粉、珪酸質砕石粉を用いて得られた硬化体の結果を、それぞれ図8と図9に示す。
<評価結果>
図1の結果が示すように、実施例1-1~1-3では、石灰質砕石粉の使用によって、曲げ強度が7N/mm以上のジオポリマーモルタルが容易に得られた。これに対して、高炉スラグ粉(BFS)の含有量が少ない比較例1-1、BFSを使用していない比較例1-2では曲げ強度が7N/mm以下である。
砕石粉の代わりにメタカオリンを用いた比較例3-1~3-5ではBFSの含有量が40質量%以上の場合には曲げ強度が10N/mmを超えるが、砕石粉を使った実施例1-1~1-2に比べ、曲げ強度が小さい。
また、砕石粉の代わりにフライアッシュを用いた比較例4-1~4-5ではBFSの含有量を40質量%以上と多くした場合にも曲げ強度が10N/mm以上のジオポリマーモルタルを得られなかった。これらの結果から、本発明では石粉とBFSの適切な併用により、10N/mm以上の高い曲げ強度が容易に得られることが分かった。
図2と表3の結果が示すように、実施例2-1~3では、珪酸質砕石粉の使用によって、曲げ強度が7N/mm以上のジオポリマーモルタルが得られた。これに対して、高炉スラグ粉(BFS)の含有量が少ない比較例2-1、BFSを使用していない比較例2-2では曲げ強度が7N/mm以下である。
BFSの代わりにメタカオリンを用いた比較例5-1~5-5では曲げ強度が3N/mm以下である。BFSの代わりにフライアッシュを用いた比較例6-1~6-5でも曲げ強度が低かった。これらの結果から、本発明では珪酸質石粉と高炉スラグ粉の適切な併用により、7N/mm以上の高い曲げ強度が容易に得られることが分かった。
図3の結果が示すように、実施例2-1~2-3では、圧縮強度が40N/mm以上であった。また、アルカリ水溶液として1号液を60質量部使用した実施例3-1~3-3では、圧縮強度が30N/mm以上であった。これに対して、高炉スラグ粉(BFS)の含有量が20質量%の比較例2-1と7-1では圧縮強度が低かった。0号液に比べて、1号液を使用した場合、圧縮強度は低下した。
図4の結果が示すように、実施例2-1~2-3では、圧縮強度が40N/mm以上であった。また、遅延剤を使用した実施例4-1~4-3でも、圧縮強度が35N/mm以上であった。これに対して、高炉スラグ粉(BFS)の含有量が20質量%の比較例2-1と8-1では圧縮強度が低かった。遅延剤の添加によって圧縮強度は若干低下した。
図5の結果が示すように、実施例2-1~6-3では、80℃6時間養生しても曲げ強度が6.5N/mm以上であった。これに対して、高炉スラグ粉(BFS)の含有量が少ない比較例2-1と10-1では高い曲げ強度が得られなかった。また、高温養生履歴が長いほど、または全養生材齢が長いほど、曲げ強度は高いことがわかった。
図6の結果が示すように、実施例2-1~2-3では、圧縮強度が40N/mm以上であった。また、BFS(JIS規格品3000級)を使用した実施例7-1~7-3では、圧縮強度が30N/mm以上であった。これに対して、高炉スラグ粉(BFS)の含有量が少ない比較例2-1と11-1では圧縮強度が低かった。また、併用するBFSの粉末度は高いほど、硬化体の圧縮強度は高いことが認められた。
図7の結果が示すように、珪酸質砕石粉と石灰質砕石粉を用い、4000級のBFSをそれぞれ50質量部と30質量部混合した4種類の硬化体は、硫酸浸漬試験の結果が良好であり、耐酸性に優れていた。また、BFSの含有量が多いほど、耐酸性は高くなることがわかった。
図8及び図9の結果から、以下の点が明らかになった。即ち、石灰質砕石粉の成分は方解石であり、他に石英、苦灰石がわずかに含まれていた。今回の実施例と検討例に使った珪酸質砕石粉の主成分は石英であり、他に曽長石、ブラジル石、方解石、緑泥石(ニマイト)が含まれていた。また、いずれの石粉を用いたGPにおける結晶化合物の種類は原料の石粉とほぼ同じであったが、石粉原料に比べて含有量は少なくなった。珪酸質砕石粉の場合、石英含有量の減少は僅かで、石灰質砕石粉の場合、石灰石の減少量は大きい。この結果によって、珪酸質石粉はあまりGPの形成反応に関与しない非活性フィラーであり、石灰質石粉はGPの硬化に寄与すると判断した。
図10の結果が示すように、実施例8-1~1-2では、石粉として脱水ケーキを使用した場合でも、GPモルタルの圧縮強度が38N/mm以上、曲げ強度が9N/mm以上であった。これに対して、高炉スラグ粉(BFS)の含有量が少ない比較例12-1~1-2では曲げ強度の低下は少ないものの、圧縮強度が大きく低下した。この結果によって、脱水ケーキを使うと、曲げ強度が高いジオポリマー硬化体を作製するのはより容易になる。

Claims (7)

  1. 石粉、高炉スラグ粉、及びアルカリ活性剤を含有し、前記石粉/高炉スラグ粉の質量比が30/70~70/30であって、
    前記石粉は、安山岩、硬質砂岩、もしくは粘板岩の少なくともいずれか1種を含む珪酸質岩石又は石灰石の少なくともいずれか1種を原料として、砕石又は砕砂を乾式で製造する際に副産する砕石粉であるか、又は、砕石又は砕砂を湿式で製造する際に副産する脱水ケーキから得られる乾燥粉であり、
    且つ、前記砕石粉又は前記乾燥粉は、JIS A 5041:2009の規格値により、150μmふるい残分が5質量%以下であり、湿分が1.0%以下であり、密度が2.5g/cm 以上であり、フロー値比が90%以上のものであるジオポリマー硬化体の原料組成物。
  2. 前記石粉が、比表面積が3000cm/g以上である請求項1に記載のジオポリマー硬化体の原料組成物。
  3. 前記高炉スラグ粉の比表面積が2000cm/g以上である請求項1又は2に記載のジオポリマー硬化体の原料組成物。
  4. 骨材を更に含有する請求項1~3のいずれか1項に記載のジオポリマー硬化体の原料組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載のジオポリマー硬化体の原料組成物が硬化してなるジオポリマー硬化体。
  6. 曲げ強度が7MPa以上である請求項5記載のジオポリマー硬化体。
  7. 石粉、高炉スラグ粉、及びアルカリ活性剤を含有し、前記石粉/高炉スラグ粉の質量比が30/70~70/30であって、
    前記石粉は、安山岩、硬質砂岩、もしくは粘板岩の少なくともいずれか1種を含む珪酸質岩石、又は石灰石の少なくともいずれか1種を原料として、砕石又は砕砂を乾式で製造する際に副産する砕石粉であるか、又は、砕石又は砕砂を湿式で製造する際に副産する脱水ケーキから得られる乾燥粉であり、
    且つ、前記砕石粉又は前記乾燥粉は、JIS A 5041:2009の規格値により、150μmふるい残分が5質量%以下であり、湿分が1.0%以下であり、密度が2.5g/cm 以上であり、フロー値比が90%以上のものである原料組成物を混練する混練工程と、
    混練後の原料組成物を形成する成形工程と、
    成形後の原料組成物を硬化させる硬化工程と、
    を含むジオポリマー硬化体の製造方法。
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