JP7040468B2 - 燃料電池スタック - Google Patents
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Description
図1は、燃料電池スタック1の単セル2の分解斜視図である。燃料電池スタック1は、単セル2が複数積層されることで構成される。図1では、一つの単セル2のみを示し、その他の単セルについては省略してある。尚、図1には、互いに直交するX方向、Y方向、及びZ方向を示している。Z方向は、複数の単セル2が積層される方向に相当する。またX方向及びY方向は、略矩形状に形成された単セル2の短手方向及び長手方向に相当する。+Z方向は、鉛直上方向に相当するが、これに限定されない。
流路部20Aは、複数の冷却溝21、外周溝22、複数の中継溝21a及び21b、複数の案内溝21c~21fを含む。複数の冷却溝21の大部分は、孔a1~a3が形成された領域と、孔a4~a6が形成された領域との間で、Y方向に略平行に延びており、X方向に複数並設されている。
図2は、上方側から見た場合でのセパレータ20の概略図である。尚、図2では、セパレータ20に重なるMEGA10の外形を点線で示している。セパレータ20の外周縁20Eは、角縁1e、3e、4e、及び6eと、中央縁2e及び5eとを含む。角縁1e、3e、4e、及び6eは、セパレータ20の4つの角部のそれぞれに対応しており、それぞれ孔a1、a3、a4、及びa6に沿っている。角縁1e及び4eと中央縁2eとは、孔a2及びa5を結ぶY方向に平行な仮想線よりも+X方向側に位置している。角縁3e及び6eと中央縁5eとは、上述の仮想線よりも-X方向側に位置している。中央縁2eは、角縁1e及び4eの間に位置しており、MEGA10のY方向に略平行に延びた2つ縁の+X方向側の縁に対向している。中央縁5eは、角縁3e及び6eの間に位置しており、MEGA10のY方向に略平行に延びた2つの縁の-X方向側の縁に対向している。
図3は、図2のA-A線に対応した燃料電池スタック1の部分断面図である。図4は、図2のB-B線に対応した燃料電池スタック1の部分断面図である。図3及び図4では、2つの単セル2及び2aのみを図示し、その他の単セルについては省略してある。単セル2と単セル2aとは、便宜上異なる符号を付しているにすぎず、同一の構造を有している。単セル2aは、単セル2よりも+Z方向側に配置されている。
図3及び図4に示すように、単セル2の内側溝22a、角溝221、ビード291及び292は、XY平面方向でMEGA10から離れた位置にあり、弾性部材であるゴム5を介して単セル2の支持フレーム18に当接している。単セル2の内側溝42a、角溝421、ビード491及び492も、XY平面方向でMEGA10から離れた位置にあり、ゴム5を介して単セル2aの支持フレーム18に当接している。これら内側溝22aやビード292は、単セル2及び2a等の複数の単セルが積層されてZ方向に圧縮力が加えられた際には弾性変形する。この弾性復元力が単セル2及び2aの支持フレーム18に作用することにより、シール性が確保されている。
次に、セパレータ20の角溝221、223、224、及び226について説明する。図5A及び図5Bは、それぞれ上方側から見た場合での角溝221及び224周辺を模式的に示した拡大図である。尚、図5A及び図5Bでは、中央溝222を一部省略して示しており、冷却溝21、案内溝21c及び21eについては図示を省略してある。
次に、比較例について説明する。図7は、比較例のセパレータ20xについての説明図である。外周溝22xの角溝221xでは、直線状に延びており、角溝221xの溝幅も中央溝222と同様である。角溝221xにZ方向で対向する不図示の角溝についても角溝221xと同様の形状である。このため、角溝221xの長さ1Lxと、角溝221xとこれに対向する角溝とにより画定される角路の流路容積1Vx、角溝221xにより画定される角路の内面の表面積1Sxに関して、(1Lx/1eL)<(2L/2eL)、(1Vx/1eL)<(2V/2eL)、(1Sx/1eL)<(2S/2eL)が成立する。従って、角溝221xを流れる冷却水の流速は、上述した本実施例の場合よりも速い。
上述したように本実施例では、角溝221及び421、角溝223及び423、角溝224及び424、角溝226及び426を流れる冷却水の流速が低減されており、単セル2の角縁1e、3e、4e、及び6eの各温度が冷却水の温度よりも低い場合には、冷却水により角縁1e、3e、4e、及び6eの昇温が促進される。従って、上記のような状態で燃料電池スタック1の発電が開始された場合であっても、MEGA10の厚みが大きく膨張して単セル2の中央部と外周部との厚みの差が増大する前に、角縁1e、3e、4e、及び6eを冷却水の温度にまで早期に昇温して氷Iを早期に融解できる。これにより、単セル2の中央部と角部との厚みの差の増大を抑制でき、角部が凍結した状態で発電が開始された際のシール性の低下を抑制できる。
次に、複数の変形例について説明する。尚、以下に説明する変形例において、上実施例と同一の構成については同一の符号を付することにより、重複する説明を省略する。また、以下の説明ではカソードセパレータについて説明するが、アノードセパレータもカソードセパレータに対応するように形成されている。
図10Aは、上方側から見た場合での第2変形例のセパレータ20bの模式図である。セパレータ20bの外周溝22Bでは、中央溝222b及び225bも、角溝221等と同様に蛇行している。図10B及び図10Cは、それぞれ角溝221及び中央溝222bの部分拡大図である。中央溝222bの振幅A2は、角溝221の振幅A1よりも小さい。また、中央溝222bの波長λ2は、角溝221の波長λ1よりも長い。このため、中央溝222bの中心線の長さ2Lb、及び中央溝222bに対応する流路容積2Vb、中央溝222bに対応した中央路内の表面積2Sbに関して、上述した本実施例と同様に、(1L/1eL)>(2Lb/2eL)が成立し、(1V/1eL)>(2Vb/2eL)、(1S/1eL)>(2Sb/2eL)が成立する。このため、第2変形例においても、冷却水による角縁1e等の昇温が促進されている。
図11Aは、上方側から見た場合での第3変形例のセパレータ20cの角溝221c周辺を模式的に示した拡大図である。外周縁20Ecの角縁1ecは、X方向及びY方向にそれぞれ略平行な縁領域1e1及び1e2を含む。セパレータ20cの外周溝22Cでは、角溝221cは、縁領域1e2と孔a1との間でX方向に蛇行している点は上述した本実施例と同様であるが、縁領域1e1と孔a1との間でY方向ではなくX方向に蛇行している点で異なっている。詳細には、縁領域1e1と孔a1との間で角溝221cは、内側溝22aから+X方向に略直線状に延びて途中で反対方向である-X方向に略直線状に延び、その後に再び+X方向に略直線状に延びるように蛇行している。換言すれば、縁領域1e1と孔a1との間で角溝221cは、縁領域1e1が延びた方向に蛇行している。このためセパレータ20cは、上述したセパレータ20よりも-Y方向に拡大しており、長さ1eLcは、上述した長さ1eLよりも長い。また、このように蛇行した部位は、部分的に縁領域1e1と孔a1との間から-X方向に外れるように延びている。ここで、長さ1Lcは、長さ1Lc1と長さ1Lc2との合計である。長さ1Lc1は、縁領域1e1と孔a1との間にある角溝221cのうちの上流側の部位の長さであり、長さ1Lc2は、縁領域1e1と孔a1との間の下流側の部位から、縁領域1e2と孔a2との間にまで延びた下流側の部位までの長さである。
図11Bは、上方側から見た場合での第4変形例のセパレータ20dの角溝221d周辺を模式的に示した拡大図である。セパレータ20dは、セパレータ20cと平面方向での大きさが同じである。角縁1ecは、上述した縁領域1e1及び1e2と、縁領域1e1及び1e2とを接続した接続領域1e3とを含む。第4変形例では、外周溝22Dの角溝221dは、路領域221d1及び221d2を含む。路領域221d1は、縁領域1e1と孔a1との間に位置し、路領域221d2は、縁領域1e2と孔a2との間に位置している。具体的には、路領域221d1は、接続領域1e3に接近するにつれて縁領域1e1に接近し孔a1から離れるように略直線状に延びている。路領域221d2は、接続領域1e3から離れるにつれて縁領域1e2から離れて孔a1に接近するように略直線状に延びている。路領域221d1及び221d2の間の内側の角度は、90度未満である。
図12は、上方側から見た場合での第5変形例のセパレータ20eの角溝221e周辺を模式的に示した拡大図である。セパレータ20eの外周溝22Eでは、角溝221eは蛇行しておらず、X方向及びY方向にそれぞれ略直線状に延びた部位から構成されている。また、角溝221eの溝幅W1が、中央溝222の溝幅W2よりも大きく形成されている。このため、角溝221eの中心線の長さ1Lcは、確保されていないが、角溝221eに対応した角路の流路容積1Veと、角溝221eに対応した角路内の表面積1Seとは確保されている。このため、(1Le/1eL)>(2L/2eL)は成立しないが、(1Ve/1eL)>(2V/2eL)、(1Se/1eL)>(2S/2eL)は成立する。このため、第5変形例においても、冷却水による角縁1eの昇温が促進されている。
上述した実施例及び変形例では、孔a1~a6は略矩形状であるが、これに限定されず、孔a1~a6の少なくとも一つが円形や楕円形、5以上の角数を有した多角形であってもよい。また、角縁は略直交する2つの縁により画定されているが、湾曲した形状であってもよい。燃料電池スタックを構成する複数の単セルのうち少なくとも一つが、上述した本実施例及び変形例で示したセパレータを採用した単セルであればよい。例えば、凍結が生じやすい箇所が予めわかっている場合には、その箇所でのみ上述した本実施例及び変形例で示したセパレータを採用してもよい。
2、2A 単セル
10 膜電極ガス拡散層接合体
18 支持フレーム(絶縁部材)
a1、a3、a4、a6 孔(第1、第2、第3、及び第4ガスマニホールド)
20 カソードセパレータ(第1セパレータ)
40 アノードセパレータ(第2セパレータ)
221、223、224、226、421、423、424、426 角溝
222、225、422、425 中央溝
Claims (12)
- 複数の単セルが積層された燃料電池スタックであって、
前記複数の単セルの少なくとも一つは、
膜電極ガス拡散層接合体と、
前記膜電極ガス拡散層接合体の外周部に接合された枠状の絶縁部材と、
前記膜電極ガス拡散層接合体及び絶縁部材に対向した第1セパレータと、
前記膜電極接合体及び絶縁部材とは反対側で前記第1セパレータに対向した第2セパレータと、を備え、
前記絶縁部材と前記第1及び第2セパレータとには、前記絶縁部材と前記第1及び第2セパレータとを貫通した第1、第2、第3、及び第4ガスマニホールドが形成されており、
前記第1及び第2セパレータは、当該第1及び第2セパレータの間で冷却水が流れる冷却水流路部を画定し、
前記冷却水流路部は、前記第1セパレータの外周縁に沿って延びた外周路を含み、
前記外周縁は、
前記第1、第2、第3、及び第4ガスマニホールドにそれぞれ対向した第1、第2、第3、及び第4角縁と、
前記第1及び第2角縁の間に位置して前記膜電極ガス拡散層接合体に対向した第1中央縁と、
前記第3及び第4角縁の間に位置して前記膜電極ガス拡散層接合体に対向した第2中央縁と、を含み、
前記第1角縁は、前記第1ガスマニホールドを、矩形状に形成された前記第1セパレータの短手方向の一方から前記第1セパレータの長手方向の一方にかけて連続的に投影した場合に形成される領域に重なり、
前記第2角縁は、前記第2ガスマニホールドを前記短手方向の前記一方から前記長手方向の他方にかけて連続的に投影した場合に形成される領域に重なり、
前記第3角縁は、前記第3ガスマニホールドを前記短手方向の他方から前記長手方向の前記一方にかけて連続的に投影した場合に形成される領域に重なり、
前記第4角縁は、前記第4ガスマニホールドを前記短手方向の前記他方から前記長手方向の前記他方にかけて連続的に投影した場合に形成される領域に重なり、
前記第1中央縁は、前記短手方向及び長手方向を含む平面に直交する直交方向から見た場合に、前記膜電極ガス拡散層接合体を前記短手方向の前記一方から投影した場合に形成される領域に重なり、
前記第2中央縁は、前記直交方向から見た場合に、前記膜電極ガス拡散層接合体を前記短手方向の前記他方から投影した場合に形成される領域に重なり、
前記外周路は、
前記第1、第2、第3、及び第4角縁と前記第1、第2、第3、及び第4ガスマニホールドとの間でそれぞれ延在した第1、第2、第3、及び第4角路と、
前記第1中央縁と前記膜電極ガス拡散層接合体との間で延在した第1中央路と、
前記第2中央縁と前記膜電極ガス拡散層接合体との間で延在した第2中央路と、を含み、
前記第1角縁の長さに対する前記第1角路の流路容積の割合は、前記第1中央縁の長さに対する前記第1中央路の流路容積の割合よりも大きい、燃料電池スタック。 - 前記第1角路の少なくとも一部は、蛇行しており、
前記第1中央路の少なくとも一部は、直線状である、請求項1の燃料電池スタック。 - 前記第1角路の少なくとも一部と前記第1中央路の少なくとも一部とは、蛇行しており、
前記第1中央路の少なくとも一部は、前記第1角路の少なくとも一部よりも振幅が小さい、請求項1の燃料電池スタック。 - 前記第1角路の少なくとも一部と前記第1中央路の少なくとも一部とは、蛇行しており、
前記第1中央路の少なくとも一部は、前記第1角路の少なくとも一部よりも波長が長い、請求項1又は3の燃料電池スタック。 - 前記第1角縁は、直線状に延びた縁領域を含み、
前記第1角路の少なくとも一部は、前記縁領域と前記第1ガスマニホールドとの間で、前記縁領域が延びた方向に蛇行している、請求項1乃至4の何れかの燃料電池スタック。 - 前記第1角縁は、直線状に延びた第1縁領域、前記第1縁領域と交差した方向に直線状に延びた第2縁領域、前記第1及び第2縁領域を接続した接続領域、を含み、
前記第1角路は、前記第1縁領域と前記第1ガスマニホールドとの間で延びた第1路領域、前記第1路領域よりも下流側に位置し前記第2縁領域と前記第1ガスマニホールドとの間で延びた第2路領域、を含み、
前記第1路領域は、前記接続領域に接近するにつれて前記第1縁領域に接近するように延び、
前記第2路領域は、前記接続領域から離れるにつれて前記第2縁領域から離れるように延びている、請求項1乃至5の何れかの燃料電池スタック。 - 前記第1角路の少なくとも一部は、前記第1中央路の少なくとも一部よりも流路幅が大きい、請求項1乃至6の何れかの燃料電池スタック。
- 前記第2角縁の長さに対する前記第2角路の流路容積の割合は、前記第1中央縁の長さに対する前記第1中央路の流路容積の割合よりも大きい、請求項1乃至7の何れかの燃料電池スタック。
- 前記第3角縁の長さに対する前記第3角路の流路容積の割合は、前記第2中央縁の長さに対する前記第2中央路の流路容積の割合よりも大きい、請求項1乃至8の何れかの燃料電池スタック。
- 前記第4角縁の長さに対する前記第4角路の流路容積の割合は、前記第2中央縁の長さに対する前記第2中央路の流路容積の割合よりも大きい、請求項1乃至9の何れかの燃料電池スタック。
- 前記第1ガスマニホールドは、アノードガス入口マニホールドである、請求項1乃至10の何れかの燃料電池スタック。
- 前記複数の単セルの少なくとも一つは、第1及び第2単セルを含み、
前記第1単セルの前記第1セパレータは、前記第1単セルの前記第2セパレータから退避するように凹んだ第1外周溝を含み、
前記第1単セルの前記第2セパレータは、前記第1単セルの前記第1セパレータから退避するように凹んだ第2外周溝を含み、
前記第1単セルの前記第1及び第2外周溝は、前記第1単セルの前記外周路を画定し、
前記第1単セルの前記第1外周溝は、前記第1単セルの前記絶縁部材側に突出して、弾性部材を介して前記第1単セルの前記絶縁部材に当接し、
前記第2単セルの前記第2外周溝は、前記第2単セルの前記絶縁部材側に突出して、弾性部材を介して前記第2単セルの前記絶縁部材に当接している、請求項1乃至11の何れかの燃料電池スタック。
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