斯かるウェアラブル超音波装置に関連する問題は、患者の動きにより、監視される患者の動脈(又は関心器官)に対する超音波装置の位置合わせが乱され、超音波装置により生成される信号品質の劣化を引き起こす可能性があることである。これは、患者モニタ上の血行動態データ(そこから導き出された血行動態パラメータを含む)の急激な変化として表示され、誤警報を引き起こす可能性がある。なぜなら、血行動態データの変化の原因が医療上の緊急事態とは無関係であるからである。これはもちろん、介護者の立場からはむしろ好ましくない。なぜなら、斯かる誤警報は、介護者が不必要に患者に付き添うことで介護者の貴重な時間を無駄にしてしまうからである。
従って、斯かる誤警報の生成が少なくとも低減されるような患者モニタのスマート制御が必要とされる。
本発明は、血行動態データを表示するように患者モニタを制御するよう構成されたプロセッサ構成を有する患者モニタ制御ユニットを提供しようとするものであり、これは、正確な血行動態データを非破壊的な態様で患者モニタに表示させることができる。
本発明は更に、斯かる患者モニタ制御ユニットを有する患者モニタシステムを提供しようとするものである。
本発明は更に、血行動態データを表示するよう患者モニタを制御するコンピュータ実現による方法を提供することを目的とし、これは、正確な血行動態データを非破壊的な態様で患者モニタに表示させることができる。
本発明は更に、斯かる方法を実現するためのコンピュータプログラム製品を提供しようとするものである。
一態様によれば、プロセッサ構成を有する患者モニタ制御ユニットが提供され、プロセッサ構成は、少なくとも1つの構成可能な超音波トランスデューサを含むセンサから受信した(により取得した)一連の超音波測定値を受信し、上記センサに結合された患者の血行動態データを得るために、上記一連の超音波測定値を処理し、得られた血行動態データを表示するために患者モニタを制御し、上記データの変動を検出するために、上記得られた血行動態データを評価し、及び上記少なくとも1つの構成可能な超音波トランスデューサのための再構成信号を生成するよう構成されており、上記生成のタイミングが上記評価の関数である。
本発明は、得られた一連の超音波測定から導出された血行動態データの評価を利用して、例えば、超音波センサを定期的に再較正する場合に、患者モニタに表示された血行動態データが不必要なアラームの生成を引き起こすリスクを低減するために、超音波センサがいつ再構成又は再較正される必要があるかが決定されることができる。斯かる再較正は、超音波測定値、即ち取得された超音波エコーの信号対雑音比の変化をもたらし、これは、血行動態データの値の急激な変化を引き起こし、ひいてはアラームの生成を引き起こす可能性がある。従って、斯かる定期的な再較正は、血行動態データの可視化への影響を最小限に抑えて行われるべきである。
一方、監視している動脈(又は関心器官)に対する超音波センサの位置合わせの突然の変化により、血行動態データが信頼できなくなったり、又は利用できなくなったりする場合には、所望の超音波信号を回復するために、超音波センサの即時の再較正又は再配置が必要になる場合がある。一実施形態では、従って、プロセッサ構成は、規定された閾値に対して変動を比較し、上記比較の関数として再構成信号の生成の時間を決定するよう構成される。このように、変動が生理学的に許容可能な範囲内に留まっている場合、即ち、患者の1つ又は複数の心周期の間の血行動態データの正常な変動を規定する範囲内であれば、超音波センサの位置を直ちに再最適化する必要はない。その結果、超音波センサの周期的な最適化が、斯かる最適化が患者モニタに表示される血行動態データに影響を与えない時点で実行され得る。
例えば、患者モニタは、血行動態データが表示される専用の表示領域を持つことができる。単一のシリーズの超音波測定値の血行動態データは、上記専用の表示領域の全幅に広がる。ここで、プロセッサ構成は、検出された変動が規定された閾値以下である場合に、連続するシリーズの超音波測定値の間に再構成信号を生成するよう構成されていてもよい。従って、次のシリーズの超音波測定値から導出された血行動態データを表示するために患者モニタが血行動態データの表示を再初期化する間に、超音波センサの再構成が実行されるので、ウェアラブル超音波センサの再構成に起因する血行動態データの急激な変化が患者モニタに表示されることはない。
プロセッサ構成は、検出された変動が規定された閾値を超える場合、直ちに再構成信号を生成するよう構成されることができる。なぜなら、このシナリオでは、血行動態データが信頼できなくなったか、又は患者が医療処置を必要としているからである。その結果、再構成されたセンサで測定を繰り返すことにより、これらの2つのオプションの間で区別がなされることができる。
更なる改良では、プロセッサ構成は、更なるセンサから患者のバイタルサイン情報を受信し、上記検出された変動を上記受信したバイタルサイン情報と比較し、及び上記検出された変動が上記受信したバイタルサイン情報から逸脱している場合、直ちに上記再構成信号を生成する、斯かる場合、変動は、監視される動脈に対するウェアラブル超音波センサの位置合わせの喪失が原因である可能性が高く、その結果、可能性としてこの位置合わせを回復するために、ウェアラブル超音波センサの再構成が必要とされる。
プロセッサ構成は、表示された血行動態データが信頼できなくなった可能性があることを患者モニタの観察者に警告するために、上記変動を検出することに基づき、得られた血行動態データの可視化を患者モニタ上で変更するよう更に適合されていてもよい。これは、アラームが患者のニーズに対応するために介護者を引き付けるため、可聴アラームの生成よりも好ましい場合がある。一方、ウェアラブル超音波センサの再構成時に、例えば、ウェアラブル超音波センサの位置合わせの喪失が原因で変動が生じた場合など、斯かるアラームが偽であったことをそれは証明することができる。
プロセッサ構成が、ウェアラブルセンサから受信した超音波測定値の更なるシリーズを受信し、上記患者の更なる血行動態データを得るために、上記超音波測定の更なるシリーズを処理し、上記更なる血行動態データを上記血行動態データと比較し、及び上記更なる血行動態データが上記血行動態データと規定された量よりも少ない量で異なる場合、アラームを生成するよう構成される。この場合、ウェアラブル超音波センサの再構成は、血行動態データに大きな影響を与えない。その結果、この場合、血行動態データの変化は、患者の生理的変化に起因している可能性が高く、従って、患者は、医療的な注意を必要とする場合がある。
斯かるアラームは、患者モニタにより生成された可聴アラームとすることができ、又は代替的に、ポケベル、スマートフォンなどの遠隔の電子デバイス上でアラームを生成する信号であってもよい。この目的のために、患者モニタ制御ユニットは更に、外部装置と通信する通信モジュールを含み、プロセッサ構成は更に、生成されたアラームを通信モジュールを用いて外部装置に送信するよう構成される。こうして、遠隔地(患者モニターの可聴範囲外)にいる介護者は、医療処置を必要とする患者に関してアラートを受信することができる。
別の側面によれば、本書に記載された実施形態のいずれかによる患者モニタ制御ユニットと、患者モニタ制御ユニットの制御下にある患者モニタと、患者モニタ制御ユニットに通信可能に結合された少なくとも1つの構成可能な超音波トランスデューサを含むセンサとを有する患者モニタシステムが提供される。斯かる患者モニタシステムは、上述したように、患者モニタによる誤警報の生成を最小限に抑えながら、患者の血行動態データを連続的にモニタするために使用されることができる。
一実施形態では、プロセッサ構成は更に、少なくとも1つの構成可能な超音波トランスデューサを構成するよう構成される。この目的のために、プロセッサ構成は、ウェアラブル超音波センサで取得されたエコー信号の信号対雑音比を最適化するために、センサ(ウェアラブルセンサ)により生成される超音波ビームの角度、走査平面(又は体積)内の超音波ビームの密度、超音波ビームの周波数などの少なくとも1つを系統的に調整することにより、少なくとも1つの構成可能な超音波トランスデューサを構成するよう構成されていてもよい。
更に別の側面によれば、患者モニタ制御ユニットを作動させるためのコンピュータ実現による方法が提供され、この方法は、少なくとも1つの構成可能な超音波トランスデューサを含むセンサから受信した一連の超音波測定値を受信するステップと、上記一連の超音波測定を処理して、上記センサ(又はウェアラブルセンサ)に結合された(又は装着された)患者の血行動態データを取得するステップと、得られた血行動態データを表示するために患者モニタを制御するステップと、上記データの変動を検出するために、得られた血行動態データを評価するステップと、上記少なくとも1つの構成可能な超音波トランスデューサのための再構成信号を生成するステップとを有し、上記生成のタイミングが、上記評価の関数である。上述したように、斯かる方法は、血行動態データを評価することにより、患者モニタに表示される血行動態データの連続性の混乱を最小化し、及び斯かる混乱が最小化されることを確実にするスマートな再構成戦略を実現しつつ、センサの再構成が実行されることを確実にする。
例えば、患者モニタが専用の表示領域を持ち、その上に血行動態データが表示されるシナリオでは、単一のシリーズの超音波測定値の血行動態データが上記専用の表示領域の全幅に広がる。この方法は更に、変動と規定された閾値とを比較するステップと、検出された変動が規定された閾値以下である場合に、連続するシリーズの超音波測定値の間に再構成信号を生成するステップとを有し、斯かる再構成により引き起こされる血行動態データの値の変化が、患者モニタ上で可視化されない。
他方、この方法は、検出された変動が規定された閾値を超える場合、再構成信号を直ちに生成するステップを更に含んでもよい。なぜなら、この場合、上述したように、患者が直ちに医療処置を必要とする場合があるからである。
更に別の側面によれば、本書に記載された実施形態のいずれかの患者モニタ制御ユニットのプロセッサ構成上で実行されるとき、プロセッサ構成に本書に記載された実施形態のいずれかの方法を実行させるための、コンピュータ可読プログラム命令を含むコンピュータ可読記憶媒体を有するコンピュータプログラム製品が提供される。斯かるコンピュータプログラム製品は、本発明の実施形態を実現するよう既存の患者監視システムを構成するために使用されてもよく、これにより、斯かる既存の患者監視システムを交換する必要性が回避されることができる。このように、斯かるコンピュータプログラム製品を利用できることは、本発明の実施形態を実現するための費用対効果の高い方法である。
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して、非限定的な例としてより詳細に説明される。
図面は単なる概略図であり、縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。同じ又は類似の部品を示すため、図面を通して同じ参照番号が使用されることも理解されたい。
図1は、本発明の例示的な実施形態による患者監視システム1を概略的に示す。患者監視システム1は、患者モニタ制御ユニット10の制御下にある患者モニタ20を有する。患者モニタ制御ユニット10は、超音波センサ30から超音波信号、例えば超音波ドップラー信号又は画像データを受信するよう構成されており、これは、ウェアラブル実施形態の場合には、身体部分3内の動脈5を監視するために、患者の腕又は脚のような身体部分3に配置される。より詳細には、ウェアラブル超音波センサ30は典型的には、一連の超音波測定値を取得するよう構成される。この測定値から、患者モニタ制御ユニット10が、患者の動脈5を通る血流に係る血行動態データを導出し、導出された血行動態データを患者モニタ20の表示画面に表示するように患者モニタ20を制御する。超音波センサ30は、患者に結合された(患者の食道に配置された)ウェアラブル超音波センサ又は経食道心エコー(TEE)プローブのいずれかであり、心臓の内部構造及び心臓の主要血管を表す超音波データを取得するよう構成されていてもよい。
患者モニタ制御ユニット10は典型的には、1つ又は複数のプロセッサを含むプロセッサ構成を有し、ここでは、非限定的な例として、コンピューティングユニット11により描かれている。これは、超音波センサ30から超音波測定データを受信し、受信した超音波測定データを処理して、患者モニタ20上に表示される血行動態データを取得し、オプションで、例えばウェアラブル超音波センサ30から受信した一連の超音波測定値に渡る血行動態データの変動のような経時的な血行動態データの傾向を決定するため、取得した血行動態データの評価を実行する。本願の文脈では、一連の超音波測定に言及しているが、これは、患者の1つ又は複数の心臓周期の間に実行される複数の測定値を指す点を理解されたい。複数の測定値から、これらの心臓周期に関連する血行動態データが導出されることができる。超音波測定値は、超音波ドップラー測定値、超音波Bモード又はMモードデータに関して実行される測定値、の少なくとも1つを有し、これらの測定値から、斯かる血行動態データが導出され得る。図1のプロセッサ構成は更に、例えば、超音波センサ30の再構成が患者モニタ20上に表示される血行動態データの連続性の崩壊を引き起こすことを避けるために、コンピューティングユニット11と患者モニタ20との間で同期をとる同期ユニット13を有する。コンピューティングユニット11及び同期ユニット13は、別個のエンティティとして示されるが、斯かるユニットは、単一のプロセッサ又は複数のプロセッサが一緒に動作することにより実現されてもよく、例えば、別個のプロセッサ又は単一のマルチコアプロセッサの離散的なプロセッサコアにより実現されてもよいことは、当業者には直ちに明らかであろう。
患者モニタ制御ユニット10は、任意の適切な形態をとることができるユーザインタフェース17に応答してもよい。例えば、ユーザインタフェース17は、患者モニタ20のタッチスクリーンであってもよいし、又は有線若しくは無線で患者モニタ制御ユニット10に通信可能に結合された別個の装置のタッチスクリーンであってもよい。代替的に、ユーザインタフェース17は、当業者には直ちに明らかであるように、タッチパッド、キーボード、マウス、トラックボールなどの形態、又はそれらの組み合わせの形態をとってもよい。ユーザインタフェース17は、患者モニタ20の表示画面にどの血行動態データを表示するかを設定するために、患者モニタリングシステム1のユーザにより使用されてもよい。例えば、ユーザは、潜在的には、ウェアラブル超音波センサ30により捕捉された患者の動脈の超音波画像とともに、患者モニタ20上に表示するために、(ビート・ツー・ビートの変動)流量又はピーク流量、速度及び血管径(PFV、PVV及びVDV)などの1つ又は複数の血行動態波形、並びに動脈灌流、循環容積状態、体液応答性及び血行動態状態などの派生パラメータを選択することができる。
患者モニタ制御ユニット10は、人工呼吸器、ECG監視装置などの更なる患者監視装置に応答してもよく、そこから、患者モニタ制御ユニット10は、ウェアラブル超音波センサ30で監視される患者の更なるバイタルサイン情報を受信してもよい。当業者には容易に理解されるであろうが、患者監視システム1のユーザは、斯かる更なるバイタルサイン情報を、例えばユーザインタフェース17を介して患者モニタ20に表示するようにシステムを構成してもよい。
患者モニタ制御ユニット10は、ウェアラブル超音波センサ30から受信した一連の超音波測定値から導出された血行動態データの異常をコンピューティングユニット11が検出するときアラームを生成するアラーム生成ユニット15を更に含んでいてもよい。斯かるアラーム生成ユニット15は、可聴アラームを生成するスピーカ、斯かる異常が検出されたという事実を介護者に警告するために、ポケベル、スマートフォン等の遠隔装置50にアラームを送信するための通信モジュール等の任意の好適な形態をとることができる。斯かる通信モジュールは、Wi-Fi、Bluetoothなどの任意の適切な無線通信規格、GSM又はUMTSなどの移動体通信規格などを実現する無線通信モジュールとすることができる。代替的に、通信モジュールは、任意の適切な通信プロトコルを使用して有線ネットワークを介してリモートデバイス50にアラーム信号を中継する有線通信モジュールであってもよい。更に別の実施形態におけるアラーム生成ユニット15は、可聴アラーム及びリモートデバイス50に対するアラーム信号の両方を生成するよう構成される。
ウェアラブル超音波センサ30は、圧電トランスデューサ、又は好ましくは容量性マイクロ機械加工超音波トランスデューサ(CMUT)のような複数の超音波トランスデューサを有し、これらは、ウェアラブル超音波センサ30の動作を構成するために個別にアドレス指定可能であってもよい。例えば、超音波トランスデューサの個々のアドレッシングは、図1のウェアラブル超音波センサ30から発する実線矢印及び破線矢印で示されるように、ウェアラブル超音波センサ30で生成される超音波ビームのビーム角度を構成するよう制御されてもよい。ウェアラブル超音波センサ30の斯かる構成は、ウェアラブル超音波センサ30を患者の身体領域3に配置した後に、患者の動脈5をウェアラブル超音波センサ30の撮像野内に持ってくるために使用されることができる。別の例では、構成可能な超音波トランスデューサに提供される再構成信号は、超音波ビームの周波数を変化させる命令であり得る。特に、この実施形態は、CMUTトランスデューサを用いて、最適な態様で実現されることができる。なぜなら、その動作周波数は、圧電トランスデューサと比較してより大きな周波数範囲(約1~約8MHz)で変化されることができるからである。組織による超音波ビームの散乱は、超音波ビームの周波数に反比例するため、センサが監視している間に血管が組織の奥深くまで移動する場合、超音波ビームの周波数の低下が、組織へのビームの浸透性を改善することができる。更に別の例では、再構成信号は、走査平面(又は体積)内の超音波ビームの密度を変化させる命令であってもよい。関心領域を照射する超音波ビームの密度及び周波数は、この領域から取得した超音波データの解像度を規定する。しかしながら、密度を高め、これにより解像度を上げると、所与の関心領域の超音波データを得るために、より長い走査時間が必要になる場合がある。従って、得られた血行動態データの特定の評価基準が満たされるときにのみ、超音波ビームの密度を高めることが望ましいかもしれない。上記の超音波トランスデューサの構成は、超音波測定値(取得したデータ)のS/N比を改善することを可能にし、これにより、得られた血行動態データの品質が改善される。
ウェアラブル超音波センサ30は、接着パッチ、身体部分3にストラップされたセンサ、又はそれらの組み合わせなど、任意の適切な形態であってもよい。ウェアラブル超音波センサ30を患者の身体領域3に固定するためのウェアラブル超音波センサ30の他の好適な実施形態が、当業者には直ちに明らかであろう。ウェアラブル超音波センサ30は、患者モニタ制御ユニット10の同期ユニット13に応答する構成ユニット(図示省略)を含んでもよく、これは、ウェアラブル超音波センサを構成するよう構成されてもよい。代替的に、患者モニタ制御ユニット10のプロセッサ構成、例えばコンピューティングユニット11及び/又は同期ユニット13は、以下でより詳細に説明されるように、ウェアラブル超音波センサ30を構成するよう構成されてもよい。
図2は、複数の表示領域21、23、25、27が示された患者モニタ20の表示画面の例示的な構成を概略的に示す。斯かる表示領域は、患者ID、ウェアラブル超音波センサID、上述したような監視された血行動態データ又はそれから導出されたパラメータの連続グラフ、監視された血行動態データ又はそれから導出されたパラメータの傾向、及びウェアラブル超音波センサ30で捕捉された超音波画像のような、異なるタイプの関連情報を表示するために使用されてもよい。表示領域21が、監視された血行動態データ、例えば斯かるデータ又はその派生パラメータのグラフ又は傾向を表示するための専用の領域である場合、データは典型的には、トレースとして表示され、これは、表示領域21の終点22に到達するまで、表示画面を横切って左から右へと進行する。この時点で、表示領域はリフレッシュされ、それ自体既知であるように、表示領域21の反対側の端から始まる新しいトレースが表示される。表示領域21は、幅Wを有し、表示領域21の幅Wにわたるトレースが、ウェアラブル超音波センサ30で捕捉された超音波測定の正確に1つのシリーズの血行動態データ又はそれに由来するパラメータをカバーする。斯かるシリーズは、上述したように、患者の心臓周期の任意の適切な数を含むことができる。典型的には、斯かるシリーズは、複数の心臓周期を含む。
少なくともいくつかの実施形態において、本発明の重要な洞察の1つは、患者モニタ20の表示画面がリフレッシュされ、その後、超音波測定値の完全なシリーズの血行動態データ又はこれから得られるパラメータのトレースが、このトレースを表示する専用の表示領域21の終点22に到達するとき、このデータ又は導出されたパラメータの大きさの変化に気付くのが難しい点にある。なぜなら、次のデータ点、即ち、次のシリーズの超音波測定値から導出された最初のデータ点が、専用表示領域21の反対側の端部に表示されるからである。斯かる大きさの変化は例えば、ウェアラブル超音波センサ30が再構成されるとき、例えば、そのビーム特性(角度、密度、周波数など)が再調整されるときに予想される。なぜなら、これは典型的には、ウェアラブル超音波センサ30で得られるドップラー信号の強度の変化を引き起こすからである。ウェアラブル超音波センサ30の斯かる定期的な再構成は、ウェアラブル超音波センサ30で実行される超音波測定値(取得された超音波データ)から得られる血行動態データが、長期間にわたって信頼性の高いものであり続けることを確実にするため、例えば、患者の動脈5に対するウェアラブル超音波センサ30の位置合わせの小さな変化を打ち消すために、望ましいものであってもよい。
従って、本発明の少なくともいくつかの実施形態では、患者モニタ制御ユニット10のプロセッサ構成は、完全なシリーズの超音波測定の終了時、即ち連続するシリーズの超音波測定の間に、再構成信号を生成するよう構成される。その結果、血行動態データ又はこれから得られるパラメータの大きさの関連する変化は、この大きさの変化が患者モニタ20の専用表示領域21に表示されたトレース内には現れず、代わりに患者モニタ20のリフレッシュ中にトレースの間に現れるという事実のために、患者モニタ20上では明らかではない。ウェアラブル超音波センサ30の斯かる周期的な再構成は、任意の適切な周波数で、例えば、超音波測定値の各完全なシリーズの後、又はNが少なくとも2の値を有する正の整数である超音波測定値のNシリーズの完了後に行われることができる。
この再構成戦略は、超音波測定値から導出された血行動態データが、患者モニタ20の専用表示領域21に表示されたトレースの終わりまで、即ち、ウェアラブル超音波センサ30を用いて実行された一連の超音波測定の終了時まで、ウェアラブル超音波センサ30の再構成の遅延を正当化するのに十分に安定しているとコンピューティングユニット11が判断する場合に、採用されることができる。しかしながら、コンピューティングユニット11が、超音波測定値から導き出された血行動態データが不安定又は信頼性が低下している可能性が高いと判断する場合、同期装置13で再構成信号を生成し、その信号をウェアラブル超音波センサ30に提供することで、ウェアラブル超音波センサ30の再構成が直ちに強制的に行われるようにしてもよい。従って、ウェアラブル超音波センサ30の斯かる即時の再構成は、一連の超音波測定の間に行われてもよい。その結果、患者モニタ20の専用の表示領域21に表示されるトレースが、ウェアラブル超音波センサ30の再構成により引き起こされるように、表示された血行動態データ又はこれから得られるパラメータの大きさの急激な変化を示すかもしれない。これは、患者モニタ制御ユニット10のプロセッサ構成により実現される方法100のフローチャートを表す図3の助けを借りて更に詳細に説明される。
方法100は、患者の身体領域3上にウェアラブル超音波センサ30を(手動で)位置決めし、患者の身体領域3内の動脈5をウェアラブル超音波センサ30の撮像野に入れるために、ウェアラブル超音波センサ30の初期構成を行う、ステップ101で始まる。これは、後述する図4及び図5を用いて更に詳細に説明される。こうしてウェアラブル超音波センサ30が初期構成されると、方法100は、ステップ103へ進み、そこでは、患者モニタ制御ユニット10が、ウェアラブル超音波センサ30からの超音波測定値(取得した超音波データ)を受信し、受信した超音波測定値から血行動態データ及び関連するパラメータを導出するために、上述したようにこれらの測定値を処理し、例えば上述したように、患者モニタ20のユーザ指定の構成に基づき、患者モニタ20の導出データ及び関連パラメータを表示する。
ステップ105において、患者モニタ制御ユニット10のコンピューティングユニット11は、血行動態データ(又はそれから導出されたパラメータ)を評価して、超音波測定値から導出された血行動態データのビート・ツー・ビートの変動を検出する。例えば、コンピューティングユニット11は、斯かる変動を検出するために、心臓周期の同じ位相に関連するが、異なる心拍に属する連続したデータ・ポイントを比較してもよい。次に、コンピューティングユニット11は、ステップ107に進み、そこでは、斯かるデータ・ポイント間の変動(ゼロ変動を含む)が規定された閾値と比較される。この閾値は典型的には、生理学的に関連する閾値を表す。言い換えれば、この閾値以下の変動は、生理学的に関連するイベントを表す可能性は低く、一方、この閾値以上の変動は、生理学的に関連するイベント、即ち、監視される患者の生理学的変化を表す可能性が高く、これは、患者が緊急の医療処置を必要としていることを示す可能性がある。
検出された変動がこの規定された閾値以下である場合、方法は、ステップ117に進み、そこでは、患者モニタ20の専用領域21に表示されたトレースが専用領域21の終点22に達したかどうかがチェックされる。この場合、方法100は、ステップ121に進み、そこでは、先に説明したように患者モニタ20がリフレッシュされる間に、同期ユニット13が、ウェアラブル超音波センサ30を再構成するためウェアラブル超音波センサ30のための再構成信号を生成する。その後、方法100は、ステップ123に進み、そこでは、患者のモニタリングを継続するかどうかがチェックされる。この場合、方法100は、先に説明したステップ103に戻り、患者の監視が終了される場合、方法100はステップ125で終了する。同様に、ステップ117において、患者モニタ20の専用領域21に表示されたトレースがまだ終点22に達していないと決定される場合、方法は、先に説明したステップ123に進むか、又は代替的にステップ103(図示省略)に直接戻る。
ステップ107における検出された変動の評価が、この変動が規定された閾値を超えていると決定する場合、方法100は、ステップ109に進み、そこでは、ウェアラブル超音波センサ30により提供される超音波測定値から得られる血行動態データの検出された変動が、更なる装置40により提供されるバイタルサインデータと比較される。更なる装置40により提供されるバイタルサインデータが同様の変動を示す場合、血行動態データで検出される変動は、患者における実際の生理学的変化を示すものである。その結果、患者モニタ制御ユニット10のアラーム生成ユニット15が、患者が必要な医療処置を受けることができるよう、介護者の注意を引くために上記アラームを生成することができる。このシナリオでは、ウェアラブル超音波センサ30の即時の再構成は必要ない。その結果、方法100は、先に説明したステップ117に進む。
代替的に、アラーム生成ユニット15は、規定された閾値以上の血行データの変動を検出すると、直ちにアラームを生成するよう構成されていてもよい。更なる装置40により提供されたバイタルサインデータと血行動態データの変動を比較して、血行動態データの変動が予想外のものであること、即ちバイタルサインデータに複製されていないことを示す場合、アラームは終了する。なぜなら、斯かるシナリオでは、変動は、患者における実際の生理学的変化の結果ではなく、患者の動脈5に対するウェアラブル超音波デバイス30の位置合わせの変化により引き起こされた可能性が高いからである。
斯かる場合、方法100は、ステップ111に進み、そこでは、表示された血行動態データ値(又はパラメータ値)が信頼できなくなったことを示すために、患者モニタ上の血行動態データの可視化が変更される。これは例えば、専用表示領域21に表示されるトレースの色を変更すること、及び/又は患者モニタ20に表示される数値の色を変更することにより実現されることができる。追加的又は代替的に、コンピューティングユニット11は、患者モニタ20に表示される血行動態データの信頼性スコアを計算し、この信頼性スコアを表示するように患者モニタ20を制御してもよい。その結果、この信頼性スコアの変化、例えば減少が、潜在的に血行動態データが信頼できなくなったことを示す。
続いて、方法100は、ステップ113に進み、そこでは、ウェアラブル超音波センサ30を患者の動脈5に再整列させるべく、ウェアラブル超音波センサ30の電子的な再調整を実行するため、同期ユニット13でウェアラブル超音波センサ30のための再構成信号が直ちに生成される。この再較正を実行すると、超音波測定値の更なるシリーズがウェアラブル超音波センサ30から受信され、そこから更なる血行動態データが抽出され、ウェアラブル超音波センサ30の再較正前に得られた血行動態データと比較される。更なる血行動態データが再較正前の血行動態データと十分に異なる場合、即ち、更なる血行動態データのデータ点と、ウェアラブル超音波センサ30の位置ずれの前の再較正前の血行動態データのデータ点との間の変動が、規定された閾値以下である場合、ウェアラブル超音波センサ30の電子的再較正が成功し、方法100が、先に説明したステップ117に進むことができる。
一方、更なる血行動態データが再較正前の血行動態データと実質的に類似している場合、即ち、更なる血行動態データのデータ点と、ウェアラブル超音波センサ30の位置ずれの前の再較正前の血行動態データのデータ点との間の変動が、規定された閾値を超えたままである場合、ウェアラブル超音波センサ30の電子的な再較正が失敗している。この場合、方法100は、ステップ115に進み、そこでは、患者モニタ制御ユニット10のアラーム生成ユニット15が、ステップ119においてウェアラブル超音波センサ30を手動で再配置するため、介護者に対するアラームを生成する。その後、方法100は、ステップ121に進み、そこでは、先に説明したように、ウェアラブル超音波センサ30の電子的再較正が行われる。疑義を避けるため、ステップ119は、患者モニタ制御ユニット10のプロセッサ構成により実行されず、そのようなものとして、本願の一部として主張されるコンピュータ実現による方法のいずれかの一部を形成しない点に留意されたい。
この時点で、ウェアラブル超音波センサ30の位置決め及び較正が、ウェアラブル超音波センサ30、ここでは2D超音波センサの位置決め及び較正方法のフローチャートを描いた図4を参照して更に詳細に説明される。この方法は、ウェアラブル超音波センサ30を提供するステップ201で始まる。その後、方法は、ステップ203に進み、そこでは、ウェアラブル超音波センサ30が、介護者により患者の身体領域に手動で配置される。ウェアラブル超音波センサ30は、例えば、ウェアラブル超音波センサ30で生成された(取得された)ドップラー超音波データにおいて患者の動脈5を検出するために、ウェアラブル超音波センサ30により生成されたビーム角を系統的に変化させることにより、電子的に較正される。ステップ205で、斯かる動脈5が検出できるかどうかがチェックされる。斯かる動脈5が検出されない場合、方法はステップ203に戻り、そこでは、介護者がウェアラブル超音波センサ30を手動で再配置し、その後、動脈5が検出されるまでその電子較正が繰り返され、その後、方法はステップ207に進む。
ステップ207では、動脈5に近い関心領域が選択され、ステップ209では、ステップ211で、ウェアラブル超音波センサ30と動脈5との位置合わせを確認するため、動脈のバイプレーン表示が生成される。ステップ211において、動脈5のそれぞれの直径は、両方の表示プレーンにおける動脈5の最大直径が得られるまで、介護者によりウェアラブル超音波センサ30を手動で再配置することにより系統的に評価され、これはオプションであるテップ213において、アラーム生成ユニット15により生成された音響誘導信号により補助される。これは、ウェアラブル超音波センサ30と動脈5との最適な位置合わせを示す。斯かる最適な位置合わせが達成されると、方法はステップ215で終了する。
図5は、ウェアラブル超音波センサ30、ここでは3D超音波センサの位置決め及び較正方法のフローチャートを示す。図5の方法は、患者の動脈5に対するウェアラブル超音波センサ30の位置合わせを最適化するためのステップ213におけるウェアラブル超音波センサ30の手動による再配置が、ウェアラブル3次元超音波センサ30の電子ビームステアリングによりこの再配置が行われるステップ313により置換される点で、図4に示されるウェアラブル2D超音波センサ30の方法とは異なる。
患者モニタ制御ユニット10のプロセッサ構成により実行される方法100の上述の実施形態は、コンピュータ可読記憶媒体上に具現化されたコンピュータ可読プログラム命令により実現されてもよい。この命令は、プロセッサ構成上で実行されるとき、プロセッサ構成が方法100の任意の実施形態を実現することをもたらす。この目的のために、例えば、CD、DVD又はブルーレイディスクのような光学的に読み出し可能な媒体、ハードディスクのような磁気的に読み出し可能な媒体、メモリスティックのような電子データ記憶装置など、任意の適切なコンピュータ可読記憶媒体が使用されることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ可読プログラム命令がネットワークを介してアクセス可能なように、インターネットなどのネットワークを介してアクセス可能な媒体であってもよい。例えば、コンピュータ可読記憶媒体は、ネットワークに接続された記憶装置、ストレージエリアネットワーク、クラウドストレージ等であってもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ可読プログラム命令が得られるインターネットアクセス可能なサービスであってもよい。一実施形態では、患者モニタ制御ユニット10は、斯かるコンピュータ可読記憶媒体からコンピュータ可読プログラム命令を取得し、取得したコンピュータ可読プログラム命令を患者モニタ制御ユニット10のデータ記憶配置、例えば患者モニタ制御ユニット10の一部を形成するメモリ装置等に格納することにより、新たなコンピュータ可読記憶媒体を作成するよう構成される。
上記の実施形態は、本発明を限定するのではなく例示するものであり、当業者は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく多くの代替実施形態を設計できることに留意されたい。請求項において、括弧の間に置かれた任意の参照符号は、請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。「有する」という語は、請求項に記載される以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。要素に先行する単語「a」又は「an」は、斯かる要素の複数の存在を排除するものではない。本発明は、いくつかの別個の要素を含むハードウェアにより実現されることができる。複数の手段を列挙するデバイスクレームでは、これらの手段のいくつかが、ハードウェアの一つの同じアイテムにより具体化されることができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。