JP7025358B2 - 免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシスを治療する方法 - Google Patents

免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシスを治療する方法 Download PDF

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Description

本発明は、免疫グロブリン軽鎖(LC)アミロイドーシス(AL)、特に免疫グロブリンLC ALに関連する心毒性を治療するための置換キノリン化合物の使用に関する。特に、心臓のLCのアミロイドーシスの治療に有用な置換キノリン化合物は、5,7-ジハロ-8-ヒドロキシキノリン誘導体、特に5,7-ジクロロ-8-ヒドロキシキノリン誘導体である。
免疫グロブリン軽鎖(LC)アミロイドーシス(AL)での臓器障害は、標的臓器において細胞外アミロイド沈着物中で組織化する、異常な、折り畳まれていないモノクローナルLCの毒性作用によって引き起こされる(Merlini and Bellotti,2003年;Merlini and Palladini,2008年)。標的臓器は、中枢神経系を除く、任意の臓器であり得るが、一般的な標的臓器としては腎臓および心臓が挙げられる。免疫グロブリンLC ALを有する患者の約75%が診察時に心臓の関与を示す。多くの場合、細胞毒性化学療法が形質細胞LCの産生を停止できなければ、これらの患者はわずか6か月の生存期間中央値で心不全の急速な悪化を経験する。進行性心臓病変を伴う患者(Wechalekarら、2013年)は多くの場合、脆弱すぎるため化学療法に耐えることができない。逆説的に、治療を最も必要としている患者が、現在、効果的に管理され得ない患者である。このかなりの割合の患者を救助するために、毒性がより少なく、より標的指向の新しい治療アプローチが必要とされる。
免疫グロブリンLC ALの症状、特に免疫グロブリンLC ALに関連する心臓毒性を治療、予防または軽減するためのさらなる治療法が必要とされている。
第1の態様では、本発明は、免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシスを治療または予防する方法であって、式(I)の化合物:
Figure 0007025358000001

(式中、R、RおよびRは同一であるか、または異なり、それぞれ独立して水素、-C1-6アルキル、-C2-6アルケニル、-C2-6アルキニル、-C1-6ハロアルキル、-OR、-SR、NR、-SOR、-SO、-SONR、-C(O)R、-SOH、ハロ、-CN、アリールおよびヘテロシクリルから選択され、
は-(CHフェニル、-(CHナフチル、(CHテトラヒドロナフチル、(CHビフェニル、-(CHヘテロシクリル、-(CHC(O)R、(CHC(S)R、-(CHCN、(CHNR、-CH=NR、-CH=NOR、-CH=N-NR1011、-(CHOR、-(CHSRおよび-(CHSONR1011から選択され、
およびRは同一であるか、または異なり、ハロから独立して選択され、
は水素、-C1-6アルキル、-C2-6アルケニル、-C2-6アルキニル、-C1-6ハロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、
およびRは同一であるか、または異なり、独立して水素、C1-6アルキル、-C2-6アルケニル、-C2-6アルキニル、-C1-6ハロアルキル、-(CHアリールおよび(CHヘテロシクリルから選択され、またはRとRは一緒になって複素環を形成し、
は水素、-C1-6アルキル、-C2-6アルケニル、-C2-6アルキニル、-C1-6ハロアルキル、OR、-SR、NR、アリールおよびヘテロアリールから選択され、
10およびR11は同一であるか、または異なり、かつ独立して水素、C1-6アルキル、-C2-6アルケニル、-C2-6アルキニル、-C1-6ハロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、
mは0または1、2もしくは3から選択される整数であり、
各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリール基は任意に置換されてよい)、
またはそれらの薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物を対象に投与することを含む方法に関する。
いくつかの実施形態では、この方法は免疫グロブリンLC ALの症状、特に心臓組織が損傷される症状の治療もしくは予防、もしくは軽減または回復のためのものである。特定の実施形態では、この方法は、免疫グロブリンLC ALに関連する心毒性の症状の治療もしくは予防、または軽減もしくは回復のためのものである。
いくつかの実施形態では、この方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を投与することを含む、心毒性免疫グロブリンLCによって引き起こされる損傷を回復させるための方法である。
MM2-BJ骨髄腫タンパク質、キレックス(登録商標)樹脂とインキュベートしたMM2-BJ骨髄腫タンパク質、H7-BJ心毒性LC、キレックス(登録商標)樹脂とインキュベートしたH7-BJ心毒性LC、および対照(DEPMPO/10mM PBS)についてスピントラップ5-(ジエトキシホスホリル)-5-メチル-1-ピロリン-N-オキシド(DEPMPO)を用いた電子常磁性共鳴スペクトルを示す。実験設定:マイクロ波出力5mW、マイクロ波周波数9.69GHz、mod。振幅1G、時定数40.96ms、掃引幅150G。1000倍モル過剰のDEPMPOとインキュベートした、10mM PBS、pH7.4に溶解したMM2-BJ(45μM)およびH7-BJ(28μM)のEPRスペクトル。DEPMPOと1時間インキュベートしたMM2-BJ(70スキャン)。DEPMPOと5時間インキュベートしたH7-BJ(40スキャン)。タンパク質試料(100μg/mL)を、50μM キレックス(登録商標)樹脂と4℃で10分間、振盪条件下でインキュベートした。試料を4℃で5分間8700×gで遠心分離し、上清を回収した。タンパク質濃度を、バイオラッドプロテインアッセイ(Bio-Rad Laboratories GmbH,Munchen,Germany)を用いて決定した。タンパク質をキレックス(登録商標)処理PBS中で希釈してMM2-BJ(骨髄腫+キレックス(登録商標))について45μM、H7-BJ(心毒性LC+キレックス(登録商標))について28μMの最終濃度を得て、DEPMPOを1000倍過剰で添加し、上記のようにインキュベーションおよびEPRを実施した。 室温で50μM キレックス(登録商標)樹脂とインキュベートしたH7-BJ心毒性LCおよびMM2-BJ骨髄腫(A)または2nM 5,7-ジクロロ-8-ヒドロキシ-2-(ジメチルアミノメチル)キノリンを含みあるいは含まずに室温でインキュベートしたH7-BJ心毒性LC(1033)(B)によって産生されたHのグラフ表示である。 内因性金属レベルと添加した銅がC.エレガンス咽頭機能に及ぼす効果を表すグラフである。100μg/mL MM2-BJ(骨髄腫)、100μg/mL 心毒性LC H7-BJ、心毒性LC+2nM 1033、または金属非含有水(ビヒクル)を給餌したワームを内因性のCu(A)、ZnおよびFe(B)の量について分析した。125μMの銅の添加は、末端球状体咽頭ポンピング速度(C)によって示されるように、心毒性LCによって誘発される咽頭機能不全の悪化を示した。 LC誘発咽頭機能不全に対する1033の用量応答効果(A)を示す。0~25nMの1033の非存在下または存在下で、ワームに100μg/mL H7-BJを2時間給餌した。対照ワームはビヒクルのみを受けた(点線)。各値は平均値±SE、n=30である。IC50±SDが報告される。スチューデントt検定p<0.01。(B)コントラスト相とMitoSOX蛍光の重ね合わせから得られた画像(矢印)。スケールバー50μm。(C)咽頭機能に対する心毒性LC、1033、心毒性LC+1033、HおよびH+1033の効果。(D)LC誘発咽頭機能不全に対するキレックス(登録商標)およびEDTAの効果。 1033によって誘発された生存の増加を示すカプラン-マイヤー生存曲線である(一群あたりn=30のワーム、3回の独立した実験)。 TJ356トランスジェニックワームにおける細胞質から核へのDAF-16転座に対する心毒性LCの効果を示す。(A)ビヒクル-給餌対照および(B)心毒性LC-給餌ワーム(100μg/mL、H7-BJ、2時間)におけるDAF-16::GFP発現の画像。(C~D)2時間給餌したワームにおけるDAF-16の発現の細胞内分布:ビヒクル、2nM 1033、50μM テトラサイクリン(TETRA)または5mM N-アセチル-システイン(NAC)を含むまたは含まない100μg/mL H7-BJ。DAF-16の局在によりワームを、「細胞質ゾル」および「核」を含む2つの表現型に分割した。ビヒクル給餌ワームについてDAF-16局在の割合(パーセンテージ)を、3つの実験に基づいて計算した。N=100。中央値±SE。**p<0.01対ビヒクル、p<0.05およびp<0.01対心毒性LC、one-way ANOVAおよびBonferroni事後検定。(E/F)陽性対照として、トランスジェニックワームに30分間、1mM Hを給餌した。DAF-16::GFP分布(E)ならびにGFP蛍光によって可視化したHSP-16.2およびSOD-3の発現(F)。 心毒性LCがHSP-16.2およびSOD-3の咽頭発現を誘発することを示す。トランスジェニックワームに以下のものを2時間給餌した:ビヒクル(i、5mMPBS、pH7.4)、100μg/mL MM2-BJ(ii、骨髄腫)、100μg/mL H7-BJ(iii、心毒性LC)、または2nM 1033(iv、心毒性LC+1033)。(A)CL2070トランスジェニックワームにおけるGFP蛍光および光学顕微鏡の重ね合わせとしてのHSP-16.2の発現の画像。スケールバー50μm。(C)CF1553トランスジェニックワームにおけるGFP蛍光(矢印)としてのSOD-3の発現の画像。スケールバー50μm。治療に応答して(B)CL2070ワームおよび(D)CF1553ワームにおける定量化されたGFP強度。各群の蛍光強度を、3つの実験、N=25に基づいて、平均グレー値±SEとして計算した。**p<0.01対ビヒクル、p<0.05およびp<0.01対心毒性LC、one-way ANOVAおよびBonferroni事後検定。 心毒性LCがC.エレガンス咽頭超微細構造を著しく破壊することを示す。以下を2時間給餌したC.エレガンスにおける透過型電子顕微鏡(TEM)による超微細構造分析から得られたワームの咽頭の代表画像:(A)ビヒクル、(B)骨髄腫タンパク質(MM2-BJ)、(C)心毒性LC(H7-BJ)単独、または(D)2nM 1033、(E)50μM テトラサイクリンもしくは(F)5mM N-アセチルシステインと心毒性LC。画像は2つの咽頭筋(pm)を示し、それらのミトコンドリア(矢印ヘッド)は辺縁細胞(mc)によって分離されおよびそのミトコンドリア(矢印)は咽頭チャネル(ch)の角に配置された。心毒性LCを給餌されたワームの咽頭筋はミトコンドリアへの損傷を生じ、クラスタ化パターンおよび不規則な形、内部の構成要素(すなわちクリステ)の膨潤および大規模な破裂を呈した。収縮運動機能におけるそれらの積極的な役割のために多くのミトコンドリアを含む、辺縁細胞がひどく損なわれ、かつビヒクル給餌ワームでは完全に整列されていた、辺縁細胞に接続された筋フィラメントが乱された。 心毒性LCによって引き起こされる咽頭ポンピング機能不全に対するテトラサイクリン(TETRA)およびN-アセチル-システイン(NAC)の保護効果を示す。5mM PBS、pH7.4中のMM2-BJ(骨髄腫)およびH7-BJ(心毒性LC)にを100μg/mLにて単独で、または50μM TETRAまたは5mM NACと共にワーム(100ワーム/100μL)に投与した。対照ワームはビヒクルのみを受けた(ビヒクル)。OP50大腸菌の非存在下で2時間インキュベートした後、ワームを、細菌を播種したNGMプレートに置いた。咽頭ポンピングを、プレートに置いた20時間後に評価し、ポンピング/分として表した。**P<0.01対ビヒクルおよびp<0.01対心毒性LC、one-way ANOVAおよびとBonferroni事後検定による。 心AL患者の心筋組織におけるミトコンドリア損傷を示す。重症心アミロイドAL患者(A~C)および拡張型心筋症罹患患者(D)由来の心内膜生検の代表的な透過型電子顕微鏡(TEM)画像からの微細構造の詳細。心筋線維(mf)はAL患者(A~C)において比較的よく保存されるが、大部分のミトコンドリア(白い矢印)は、サイズの拡大および崩壊(A)またはクリステの全損失(B~C)を伴う顕著な変化を示す。LCを、間質において、および心筋線維の基底膜に沿って、15nmの金コンジュゲート結合プロテインA(黒い矢印)を用いる後包埋免疫金染色によって同定した。(D)非アミロイド型心筋症患者の心筋は、よく保存されたミトコンドリア(白い矢印)およびグリコーゲン沈着(g)を示す。酢酸ウラニル、クエン酸鉛。バー:1μm。 1033とテトラサイクリンの相乗的な有益な効果を示す。100μg/mL H7-BJ(心毒性LC)を1.5時間給餌し、次いで20μM テトラサイクリン(TETRA)、0.5~2nM 1033単独でまたは20μM TETRAと一緒に30分間処理したワームの咽頭性能。対照ワームはビヒクルのみを給餌した。**P<0.001、*P<0.005対ビヒクル、p<0.001対心毒性LC、one-way ANOVAおよびBonferroni事後検定。§§p<0.01有意な相互作用対心毒性LC+0.5nM 1033を給餌されたワーム、two-ways ANOVAおよびBonferroni事後検定。
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似であるか、または同等である任意の方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法および材料が記載されている。本発明の目的のために、以下の用語を下に定義する。
冠詞「a」および「an」は、本明細書では、冠詞の文法上の目的語の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「1つの要素(an element)」は、1つの要素または複数の要素を意味する。
本明細書を通して、文脈上別段の要求がない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、および「含んでいる(comprising)」という語は、述べられたステップもしくは要素、またはステップもしくは要素のグループを包含することを意味するが、他のステップもしくは要素、またはステップもしくは要素のグループを排除することを意味するものではないことは理解されよう。
単独でまたは「任意により置換されたアルキル」もしくは「ハロアルキル」などの複合語で使用される用語「アルキル」は、1~10個の炭素原子、特に1~6個の炭素原子、または1~4個の炭素原子を有する直鎖の、分岐鎖のまたは環状の炭化水素基を指す。このようなアルキル基の実例は、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、2,2-ジメチルプロピル、1-メチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルである。
単独でまたは「任意により置換されるアルケニル」などの複合語で使用される用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合および2~20個の炭素原子、特に2~14個の炭素原子または2~6個の炭素原子を有する、直鎖の、分岐鎖のまたは単環式もしくは多環式の基を表す。アルケニル基の例としては、アリル、エテニル、プロペニル、ブテニル、2-メチルプロペニル、3-メチル-2-ブテニル、1-ペンテニル、シクロペンテニル、1-メチル-シクロペンテニル、1-ヘキセニル、3-ヘキセニル、シクロヘキセニル、1-ヘプテニル、3-ヘプテニル、1-オクテニル、シクロオクテニル、1-ノネニル、2-ノネニル、3-ノネニル、1-デセニル、3-デセニル、1,3-ブタジエニル、1,4-ペンタジエニル、1,3-シクロペンタジエニル、1,3-ヘキサジエニル、1,4-ヘキサジエニル、1,3-シクロヘキサジエニル、1,4-シクロヘキサジエニル、1,3-シクロヘプタジエニル、1,3,5-シクロヘプタトリエニル、1,3,5,7-シクロオクタ-テトラエニルなどが挙げられる。
単独でまたは「任意により置換されるアルキニル」などの複合語で使用される用語「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合および2~10個の炭素原子、特に2~6個の炭素原子または2~4個の炭素原子を有する、直鎖の、または分岐鎖の基を表す。アルキニル基の例としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、1-ペンチニル、4-ペニニル、1-ヘキシニル、3-ヘキシニル、5-ヘキシニル、1-ヘプチニル、3-ヘプチニル、6-ヘプチニル、1-オクチニル、7-オクチニル、1-ノニニル、2-ノニニル、3-ノニニル、8-ノニニル、1-デシニル、3-デシニル、9-デシニルなどが挙げられる。
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を指す。
「ハロアルキル」という用語は、1個以上の水素原子がハロゲン、特にフッ素原子で置き換えられる、上記などのアルキル基を指す。ハロアルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1-フルオロエチル、1,1-ジフルオロエチル、1,1,2,2,2-ペンタフルオロエチル、3-フルオロプロピル、4-フルオロブチル、5-フルオロペンチル、6-フルオロヘキシル、トリクロロメチル、ジクロロメチル、クロロメチル、2-クロロエチル、2,2-ジクロロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、1-クロロエチル、1,1-ジクロロエチル、1,1,2,2,2-ペンタクロロエチル、3-クロロプロピル、4-クロロブチル、5-クロロペンチル、6-クロロヘキシル、クロロジフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ブロモメチル、2-ブロモエチル、2-ブロモ-2-クロロエチル、2-クロロ-2-フルオロエチル、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチルなどが挙げられる。
単独でまたは「任意により置換されたアリール」などの複合語で使用される「アリール」という用語は、1、2または3個の環を含有する炭素環式芳香族系を意味し、このような環はペンダント様式で一緒に結合されるか、または縮合され得る。用語「アリール」は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダンフルオレン、フェナントレンおよびビフェニルなどの芳香族基を包含する。特定の実施形態では、アリールは、フェニルなどの5員環または6員環アリールである。
本明細書で使用されるとき、用語「複素環式」または「ヘテロシクリル」は、単環式、二環式または三環式であり、1個以上の炭素原子がN、N(R)、S、S(O)、S(O)およびOからなる群から独立して選択されるヘテロ原子で置き換えられている環式炭化水素を指す。複素環は、飽和または不飽和または芳香族であり得る。好適なヘテロシクリル基の例としては、アゼチジン、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、2-オキソピロリジニル、ピロリニル、ピラニル、ジオキソラニル、ピペリジニル、2-オキソピペリジニル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、チアゾリニル、ジチオリル、オキサチオリル、ジオキサニル、ジオキシニル、ジオキサゾリル、オキサチオゾリル、オキサゾロニル、ピペラジニル、モルホリノ、チオモルホリニル、3-オキソモルホリニル、ジチアニル、トリチアニル、オキサジニル、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピラゾリル、インドリル、イソインドリル、1H,3H-1-オキソイソインドリル、ベンゾトリアゾリル、フラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ベンゾジオキサン、ベンゾジオキシン、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,5-トリアジニル、1,2,4-トリアジニル、1,2,4,5-テトラジニル、テトラゾリル、カルバゾリル、キサンテニル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、アゼピニル、オキセピニルおよびチエピニルが挙げられる。特にヘテロシクリル基は、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピペリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、ピペラジニル、モルホリノ、チオモルホリニル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、インドリル、イソインドリル、1H,3H-1-オキソイソインドリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリルおよび1,2,4-オキサジアゾリルおよび1,2,4-チアジアゾリルなどの5員環または6員環を有する。
用語「任意に置換される」は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルデヒド、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アリールオキシ、ベンジルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアリールオキシ、ニトロ、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロアリール、ニトロヘテロシクリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ベンジルアミノ、ジベンジルアミノ、アシル、アルケニルアシル、アルキニルアシル、アリールアシル、アシルアミノ、ジアシルアミノ、アシルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルフェニルオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロキシ、ヘテロシクリルアミノ、ハロヘテロシクリル、アルキルスルフェニル、アリールスルフェニル、カルボアルコキシ、カルボアリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、ベンジルチオ、アシルチオ、シアノ、リン含有基などから選択される1つ以上の基でさらに置換されるか、または置換されない基を指す。特定の実施形態では、任意の置換基は、C1-6アルキル、特にC1-4アルキル、C1-6ハロアルキル、特に、C1-4ハロアルキル、フッ素、塩素、ヨウ素、シアノ、C1-6アルコキシ、特に、C1-4アルコキシ、アリール、ヘテロシクリル、アミノ、アルキルアミノまたはジアルキルアミノである。
式Iの化合物の塩は、好ましくは薬学的に許容されるものであるが、薬学的に許容されない塩も、薬学的に許容される塩の調製における中間体として有用であるため、本発明の範囲内にあることは理解されたい。薬学的に許容される塩の例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムおよびアルキルアンモニウムなどの薬学的に許容されるカチオンの塩;塩酸、オルトリン酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸、臭化水素酸などの薬学的に許容される無機酸の酸付加塩;または酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、クエン酸、乳酸菌、ムチン酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トリハロメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸および吉草酸などの薬学的に許容される有機酸の酸付加塩が挙げられる。
さらに、本発明の化合物のいくつかは、水または一般的な有機溶媒と溶媒和物(水和物)を形成し得る。このような溶媒和物は本発明の範囲内に包含される。いくつかの実施形態では、溶媒和物は水和物または半水和物である。いくつかの実施形態では、溶媒和物は一水和物である。他の実施形態では、溶媒和物はメタノール溶媒和物である。
本明細書で使用されるとき、用語「アミロイドーシス」またはALは、筋原線維形成モノクローナル免疫グロブリン(Ig)軽鎖、最も一般的にはラムダアイソタイプの細胞外沈着から生じる疾患を指す。異常なIg軽鎖は、不安定な立体配座を有しかつ異常な折り畳みを受け、それらが互いに積み重なってアミロイド原線維を形成することを可能にする。異常な軽鎖は通常、形質細胞によって分泌される。異常な軽鎖は、中枢神経系を除くいずれの器官にも沈着し、臓器損傷を引き起こす可能性がある。異常な軽鎖は、心臓に沈着すると心毒性を示し、心臓損傷をもたらす。
本発明の方法
本発明の方法は、対象、特にヒトにおける免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシスの治療または予防に関する。
アミロイドーシスは、心臓、腎臓、自律神経系または末梢神経系、消化管、肺および肝臓を含むあらゆる臓器に生じ得る。特定の実施形態では、アミロイドーシスは心臓において発症する。
いくつかの実施形態では、方法は、免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシスに関連する心毒性の治療または予防に関する。
いくつかの実施形態では、方法は、免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシスに関連する症状または免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシスに関連する心毒性の軽減に関する。
他の実施形態では、本方法は、特に心臓組織において、心毒性免疫グロブリンLCによって引き起こされる損傷を回復させることに関する。
いくつかの実施形態では、免疫グロブリンLCは、ラムダアイソタイプのものである。
心毒性免疫グロブリンLC ALに関連する症状としては、心室壁および心房壁の肥厚、拘束性心疾患、無力症、呼吸困難および四肢浮腫が挙げられる。免疫グロブリンLCによる心筋の浸潤はまた、伝導障害および心室性または上室性不整脈を誘発し得る。これらの症状は、本発明の方法によって回復され、軽減され、治療されまたは予防され得る。
本発明の方法で使用される化合物は、式(I):
Figure 0007025358000002

(式中、R、RおよびRは同一であるか、または異なり、それぞれ独立して水素、-C1-6アルキル、-C2-6アルケニル、-C2-6アルキニル、-C1-6ハロアルキル、-OR、-SR、NR、-SOR、-SO、-SONR、-C(O)R、-SOH、ハロ、-CN、アリールおよびヘテロシクリルから選択され、
は-(CHフェニル、-(CHナフチル、(CHテトラヒドロナフチル、(CHビフェニル、-(CHヘテロシクリル、-(CHC(O)R、(CHC(S)R、-(CHCN、(CHNR、-CH=NR、-CH=NOR、-CH=N-NR1011、-(CHOR、-(CHSRおよび-(CHSONR1011から選択され、
およびRは同一であるか、または異なり、ハロから独立して選択され、
は水素、-C1-6アルキル、-C2-6アルケニル、-C2-6アルキニル、-C1-6ハロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、
およびRは同一であるか、または異なり、独立して水素、C1-6アルキル、-C2-6アルケニル、-C2-6アルキニル、-C1-6ハロアルキル、-(CHアリールおよび(CHヘテロシクリルから選択され、またはRとRは一緒になって複素環を形成し、
は水素、-C1-6アルキル、-C2-6アルケニル、-C2-6アルキニル、-C1-6ハロアルキル、OR、-SR、NR、アリールおよびヘテロアリールから選択され、
10およびR11は同一であるか、または異なり、かつ独立して水素、C1-6アルキル、-C2-6アルケニル、-C2-6アルキニル、-C1-6ハロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、
mは0または1、2もしくは3から選択される整数であり、
各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリール基は任意に置換されてよい)の5,7-ジハロ-8-ヒドロキシキノリン化合物、
またはそれらの薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物である。
特定の実施形態では、以下のうちの1つ以上が当てはまる:
各R、RおよびRは水素、-C1-3アルキル、-C2-3アルケニル、-C2-3アルキニル、-CF、-CHF、-CHF、-CHCF、-CHCFH、-CHCHF、-OH、-OC1-6アルキル、-OCF、-OCHF、-OCHF、-OCHCF、-OCHCHF、-OCHCHF、-OC2-3アルケニル、-OC2-3アルキニル、-NH、-NH(C1-3アルキル)、-N(C1-3アルキル)、-SO1-6アルキル、-COH、CO1-3アルキル、-CONH、-CONH(C1-3アルキル)、-CON(C1-3アルキル)、F、ClおよびBr;特に水素、-C1-3アルキル、-CF、-OC1-3アルキル、-OCF、-NH、-COH、-CONH、FおよびCl、さらに特に水素、メチル、エチル、-CF、メトキシ、エトキシ、-OCFおよびF、もっとも特に水素から独立して選択され、
は-(CH)mヘテロシクリル、-(CH)mC(O)R、-(CH)mCN、(CH)mNR、-CH=NC1-6アルキル、-CH=N-OR、-CH=N-NR1011、-SONR1011および(CH)mOR;特にヘテロシクリル、-CHヘテロシクリル、-COH、-C(O)NR、-NR、-CHNR、CH=NOH、-CH=NOC1-6アルキル、-CHORまたは-SONR1011;さらに特にピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、具体的にはキノリニル基へのヘテロシクリル基の結合がヘテロシクリル基の窒素原子に隣接するヘテロシクリル基の炭素原子における場合、-C(O)NH(C1-6アルキル)、-C(O)NH(CHヘテロシクリル)、C(O)NH(CHCHヘテロシクリル)、-C(O)NH(CHCHCHヘテロシクリル、-CHNH、CHNH(C1-3アルキル)、-CHN(C1-3アルキル)、-CHNH(ヘテロシクリル)、-CHN(C1-3アルキル)(ヘテロシクリル)、-CHN(C1-3アルキル)(CHヘテロシクリル)、-CHN(C1-3アルキル)(C2-3アルケニル)、-CHN(C1-3アルキル)(C2-3アルキニル)、-N(C1-3アルキル)、-N(C1-3アルキル)(ヘテロシクリル)、CH=NC1-3アルキル、-CH=NOH、-CH=NO(C1-3アルキル)、-CHOC1-6アルキル、-CHOC1-6ハロアルキル;もっとも特には、-C(O)NH(CHヘテロシクリル)、C(O)NH(CHCHヘテロシクリル)、ピリジル、-CHN(C1-3アルキル)、-N(C1-3アルキル)(ヘテロシクリル)、-CHNH(C1-3アルキル)、-CH=N-OH、-CH=N-OCH、-CHOC1-6アルキル、-CHOC1-6ハロアルキル、-CH=NCHおよび-CHN(C1-3アルキル)(CHヘテロシクリル)から選択され、
mは0、または1もしくは2の整数、特に0もしくは1であり、
およびRはF、Cl、BrまたはI、特にFまたはClまたはIから独立して選択され、さらに特にRおよびRは両方ともClである。
特定の実施形態では、式(I)の化合物は、
Figure 0007025358000003
Figure 0007025358000004

から選択され、nは1、2または3であり、
特に、
Figure 0007025358000005
である。
式(I)の化合物は、当技術分野において公知の方法によって調製できる。例えば、好適な合成方法は、WO2004/007461号(Liangら、2015年)で提供される。
本明細書で使用される用語「対象」は、免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシスのための治療を必要とする疾患または状態を有するあらゆる動物を指す。対象は哺乳動物、好ましくはヒトであり得るか、または家畜もしくはペットであり得る。本発明の化合物がヒトの医学的治療における使用に好適であることが特に企図されるが、イヌおよびネコなどのペット、ならびにウマ、ポニー、ロバ、ラバ、ラマ、アルパカ、ブタ、ウシおよびヒツジなどの家畜、または霊長類、ネコ科、イヌ科、ウシ科、および有蹄類などの動物園の動物の治療を含む獣医学的治療にも適用可能である。
適当な哺乳動物としては、霊長類、げっ歯類、ウサギ類、鯨類、食肉類、奇蹄類および偶蹄類の目が挙げられる。奇蹄類、偶蹄類の目のメンバーが、それらの類似した生物学および経済的重要性のため特に好ましい。
例えば、偶蹄類は、9つのファミリー:ブタ(イノシシ科)、ペッカリー(ペッカリー科)、カバ(カバ科)、ラクダ(ラクダ科)、マメジカ(マメジカ科)、キリンおよびオカピ(キリン科)、シカ(シカ科)、プロングホーン(プロングホーン科)、ならびにウシ、ヒツジ、ヤギおよびアンテロープ(ウシ科)に分布される約150の生物種を含む。これらの動物の多くは、様々な国で飼料動物として使用される。さらに重要なことに、ヤギ、ヒツジ、ウシおよびブタなどの経済的に重要な動物の多くは非常に類似した生物学を有し、かつ高度のゲノム相同性を共有している。
奇蹄類は、ウマおよびロバを含み、それらはいずれも経済的に重要であり密接に関連している。実際に、ウマおよびロバが異種交配されることは周知である。
本明細書で使用されるとき、「治療的有効量」という用語は、例えばアミロイドーシスを予防もしくは治療するために、またはアミロイドーシスの症状を軽減もしくは回復させるために、所望の治療応答を生じさせるのに有効な本発明の化合物の量を意味する。
具体的な「治療的有効量」は、明らかに、治療される特定の状態、対象の体調、治療される対象のタイプ、治療期間、併用療法の性質(ある場合)、および使用される特定の配合物ならびに化合物またはその誘導体の構造などの要因によって変化する。
この量は、日常的な試験によって決定され得る比較的広い範囲に入ると予測される。ヒト患者に対する有効量は、例えば、投与量あたり約0.1ng/体重kg~1g/体重kgの範囲であり得る。投与量は、好ましくは、投与量あたり1ng/体重kg~1g/体重kgの範囲であり、例えば投与量あたり1ng/体重kg~1mg/体重kg、または1mg/体重kg~1g/体重kgの範囲である。一実施形態では、投与量は、投与量あたり1mg/体重kg~500mg/体重kgの範囲である。別の実施形態では、投与量は、投与量あたり1mg/体重kg~250mg/体重kgの範囲である。さらに別の実施形態では、投与量は、投与量あたり最大で50mg/体重kgなど、投与量あたり1mg/体重kg~100mg/体重kgの範囲である。さらに別の実施形態では、投与量は、投与量あたり1μg/体重kg~1mg/体重kgの範囲である。別の実施形態では、投与量は1ng~1mg、例えば1ng~500ng、1ng~250ng、または1ng~100ngの範囲である。化合物が別の医薬品と共に投与されて相乗効果をもたらす実施形態では、投与には、より少ない量の化合物が必要とされ得る。投与レジメンは、最適な治療応答が得られるように調整されてよい。例えば、数回に分けた用量が毎日、毎週、毎月または他の好適な時間間隔で投与されるか、または用量は状況の緊急性によって示されるように比例的に減少されてよい。
本発明の化合物を他の医薬品と付加的に組み合わせて、実施用の組み合わせ(operative combination)を提供してもよい。組み合わせが式Iの化合物の活性を消失させない限り、薬学的活性剤の任意の化学的に適合性のある組み合わせを含むことが企図される。本発明の化合物および他の医薬品は単一の組成物で投与されてよく、または別々に、連続的にまたは同時に投与されてよいことは理解されよう。
この方法で使用される化合物は、テトラサイクリン(TETRA)、N-アセチルシステイン(NAC)、α-トコフェロール、カルベジロール、ピルフェニドン、アスコルビン酸、グルタチオン、メラトニンなどの抗酸化剤およびレスベラトロール、エラグ酸、没食子酸およびタンニン酸などのポリフェノールと組み合わされてよい。
あるいは、本発明の方法において使用される化合物は、ポマリドマイド、レナリドマイド、サリドマイド、ベンダムスチン、ボルテゾミブ、メルファラン、デキサメタゾン、インターフェロンアルファ、ヒト免疫グロブリン、ヨードドキソルビシン、レブラミド、シクロホスファミド、フィルグラスチン(filgrastin)、サルグラモスチム、ブスルファン、アミホスチン、MLN9708、エンブレル、カルフィルゾミブ、ドキシサイクリン、イマチニブメシル酸塩、ベルケイド;フロセミド、トルセミド、エタクリン酸、チアジド、炭酸脱水酵素阻害剤、アルドステロン拮抗薬、アミロライドおよびトリアムテレンなどの利尿薬;キニジン、プロカインアミド、ジソピラミド、リドカイン、フェニトイン、メキシレチン、トカイニド、エンカイニド、フレカイニド、プロパフェノン、モリシジン、カルベジロール、プロプラノロール、エスモロール、チモロール、メトプロロール、アテノロール、ビソプロロール、アミオダロン、ソタロール、イブチリド、ドフェチリド、ドロネダロン、E-4031、ベラパミル、ジルチアゼム、アデノシン、ジゴキシンおよび硫酸マグネシウムなどの抗不整脈薬またはこれらの組み合わせを含むアミロイドーシスの治療に有用である他の薬学的化合物と組み合わされてよい。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物と他の医薬剤の組み合わせは、相乗効果を示し得る。
本発明の別の態様では、免疫グロブリンLC ALを治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に上記の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物および抗酸化剤を投与することを含む方法、が提供される。
特定の実施形態では、式(I)の化合物は、
Figure 0007025358000006
である。
いくつかの実施形態では、抗酸化剤はテトラサイクリンである。
本発明の他の態様では、対象における免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシスを治療するための医薬品の製造における、上記で定義された式(I)の化合物の使用が提供される。
対象において免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシスの治療に使用するための上記で定義された式(I)の化合物も提供される。
本発明のさらに別の態様では、対象における免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシスに関連する心毒性の症状を治療するもしくは予防するまたは軽減するもしくは回復させるための医薬品の製造における、上記で定義された式(I)の化合物の使用が提供される。
本発明のさらなる態様では、対象における免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシスに関連する心毒性の症状を治療するもしくは予防するまたは軽減するもしくは回復することにおける使用のための、上記で定義された式(I)の化合物が提供される。
本発明のさらなる態様では、免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシスの症状を治療するもしくは予防するまたは軽減するもしくは回復させるための医薬品の製造における、上記で定義された式(I)の化合物の使用が提供される。
本発明のさらに別の態様では、免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシスの症状を治療するもしくは予防あうるまたは軽減するもしくは回復することにおける使用のための、上記で定義された式(I)の化合物が提供される。
組成物
治療における使用のために、本発明の化合物がそのままの化学物質として投与されることが可能であるが、活性成分を、活性成分および1種以上の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物として提供することが好ましい。
担体(複数可)は、組成物の他の成分と相溶性であり、かつそのレシピエントに有害ではないという意味で「許容される」ものでなければならない。
医薬製剤としては、経口投与、直腸投与、経鼻投与、局所投与(頬側および舌下投与など)、膣投与または非経口投与(筋肉内投与、皮下投与、静脈内投与など)に好適であるものまたは吸入あるいは吹送による投与に好適である形態でのものが挙げられる。本発明の化合物はしたがって、従来のアジュバント、担体、賦形剤、または希釈剤と共に、医薬組成物およびその単位投与量の形態にされてよく、このような形態では、すべて経口使用のための、錠剤もしくは充填カプセルなどの固体、または溶液、懸濁液、エマルジョン、エリキシル剤、もしくはそれらが充填されたカプセルなどの液体として、直腸投与用の坐剤の形態で、または非経口の(皮下など)使用のための滅菌注射溶液の形態で使用され得る。このような医薬組成物およびそれらの単位剤形は、追加の活性化合物または成分を伴ってまたは伴わずに、従来の割合で従来の成分を含んでよく、かつこのような単位剤形は、使用される企図された毎日の1回投与量範囲に見合う任意の適切な有効量の活性成分を含んでよい。1錠あたり10ミリグラム、より広くは0.01~200ミリグラムの活性成分を含む製剤がしたがって、好適な代表的な単位剤形である。本発明の化合物は、様々な経口剤形および非経口剤形で投与できる。以下の剤形が活性構成成分として本発明の化合物または式(I)の化合物の薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物のいずれかを含み得ることは当業者には明らかであろう。
式(I)の化合物から薬学的組成物を調製するために、薬学的に許容される担体は、固体または液体のいずれかであり得る。固形形態調製物としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、および分散性顆粒剤が挙げられる。固体担体は、希釈剤、香味剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、またはカプセル化材料としても作用し得る1つ以上の物質であり得る。
散剤では、担体は微粉化された固体であり、これは微粉化された活性構成成分との混合物中にある。
錠剤では、活性構成成分は、必要な結合能力を有する担体と好適な割合で混合され、所望の形状および大きさに圧縮される。
散剤および錠剤は、好ましくは5または10~約70%の活性化合物を含む。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバターなどである。用語「調製物」は、担体の有無にかかわらず、その中で活性構成成分が担体によって取り囲まれ、このため担体と関連するカプセルを提供する担体として、カプセル化材料と共に活性化合物の製剤を含むことを企図する。同様に、カシェ剤および舐剤が含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、および舐剤は、経口投与に好適である固体形態として使用され得る。
坐剤を調製するためには、脂肪酸グリセリドまたはココアバターの混合剤などの低融点ワックスを最初に溶融し、活性構成成分を撹拌などによってその中に均一に分散させる。溶融した均質混合物を次に、都合の良い大きさの型の中に注ぎ込み、冷却させ、それにより固化させる。
膣内投与に好適である製剤は、活性成分に加えて、適切であることが当該技術分野で公知である担体などを含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、起泡またはスプレーとして提供され得る。
液体形態調製物としては、溶液、懸濁液、およびエマルジョン、例えば、水または水-プロピレングリコール溶液が挙げられる。例えば、非経口注射液調製物は、ポリエチレングリコール水溶液中の溶液として製剤化できる。
式(I)の化合物はしたがって、非経口投与(例えば注射、例えばボーラス注射または連続注入による)のために製剤化されてよく、かつアンプル、プレフィルドシリンジ、小容量注入用または多回投与用の防腐剤が添加された容器において、単位用量形態で提供されてよい。組成物は、懸濁剤、液剤
、または油性または水性ビヒクル中のエマルジョンなどの形態をとってよく、かつ懸濁剤、安定化剤および/または分散剤などの処方剤を含んでよい。あるいは、活性成分は、使用前に、好適なビヒクル、例えば無菌の発熱物質非含有水での構成のために、無菌の固体の無菌的単離によって、または溶液からの凍結乾燥によって得られる、散剤形態であり得る。
経口使用に好適である水溶液は、活性構成成分を水に溶解し、所望のとおり、好適な着色剤、香味剤、安定化剤および増粘剤を添加することによって調製できる。
経口使用に好適である水性懸濁液は、天然または合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、または他の周知である懸濁剤などの粘性材料を用いて微粉化活性構成成分を水中に分散させることによって製造できる。
使用直前に経口投与用の液体形態調製物に変換されることを意図した固体形態調製物も含まれる。このような液体形態としては、溶液、懸濁液、およびエマルジョンが挙げられる。これらの調製物は、活性構成成分に加えて、着色剤、香味剤、安定化剤、緩衝剤、人工のおよび天然の甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含み得る。
表皮への局所投与のために、本発明による化合物は、軟膏剤、クリーム剤もしくはローション剤として、または経皮パッチとして製剤化されてよい。軟膏剤およびクリーム剤は、例えば、好適な増粘剤および/またはゲル化剤を添加して、水性または油性基剤を用いて製剤化されてよい。ローション剤は、水性または油性基剤を用いて製剤化でき、一般に、1種以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、または着色剤も含有する。
口腔内での局所投与に好適である製剤としては、風味を付けた基剤、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカント中に活性剤を含む舐剤、ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアラビアゴムなどの不活性な基剤中に活性成分を含む香錠、ならびに好適な液体担体中に活性成分を含む口内洗剤が挙げられる。
溶液または懸濁剤は、例えば点滴器、ピペットまたはスプレーなどの従来の手段によって鼻腔に直接適用される。製剤は、単回または複数回の投与形態で提供されてよい。点滴器またはピペットの複数回投与形態の場合、患者が適切な所定量の溶液または懸濁液を投与することによって行うことができる。スプレーの場合、これは例えば計量噴霧スプレーポンプを用いて行われてよい。鼻腔内送達および保持を改善するために、本発明による化合物は、シクロデキストリンでカプセル化されるか、または鼻粘膜内での送達および保持を促進することが期待されるそれらの剤と共に製剤化されてよい。
気道への投与はまた、活性成分がクロロフルオロカーボン(CFC)、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、またはジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適なガスなどの好適な噴射剤と共に加圧パックで提供されるエアロゾル製剤によって達成されてもよい。エアロゾルは、レシチンなどの界面活性剤も都合よく含み得る。薬物の用量は、計量弁を設けることによって制御できる。
あるいは活性成分は、乾燥粉末、例えば、ラクトース、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのデンプン誘導体およびポリビニルピロリドン(PVP)などの好適な粉末基剤中の化合物の粉末混合物の形態で提供されてもよい。
好都合には、粉末担体は鼻腔内でゲルを形成する。粉末組成物は、例えばゼラチンのカプセルまたはカートリッジ、あるいは吸入器によって粉末を投与できるブリスターパックの単位剤形で提供できる。
鼻腔内製剤を含む、気道への投与を意図した製剤では、化合物は一般に、例えば桁数1~10ミクロン以下の小さい粒径を有する。このような粒径は、当技術分野において公知の手段によって、例えば微粉化によって得ることができる。
所望の場合、活性成分を徐放するように適合された製剤を使用できる。
医薬調製物は、好ましくは単位剤形である。そのような形態では、調製物は適切な量の活性成分を含有する単位用量に細分される。単位剤形は、包装された調製物であり得、包装は、包装された錠剤、カプセル剤、およびバイアルまたはアンプル中の散剤などの、個別の量の調製物を含む。また、単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、または舐剤それ自体であってよく、または適切な数の包装形態でのこれらのいずれかであり得る。
組成物は、免疫グロブリンLCアミロイドーシス、特に免疫グロブリンLCアミロイド沈着物に関連する心毒性を治療するための治療などのさらなる活性成分を含み得る。
本発明をここで、本発明のいくつかの好ましい態様を例解する以下の実施例を参照して記述する。しかし、本発明の以下の説明の特殊性は、本発明の前述の説明の一般性に取って代わるものではないことを理解されたい。
実施例
実施例1:タンパク質試料の調製
ヒト試料。尿、骨髄形質細胞および心内膜生検材料は、Amyloid Research and Treatment Centre,Foundation IRCCS Policlinico San Matteo(Pavia,Italy)での日常的な診断手順の間に患者から得た。研究目的での生物学的試料の取得、保管および使用は、施設内審査委員会によって承認された。研究に含める前に、参加者から書面によるインフォームドコンセントを得た。組織アミロイド沈着物の存在およびアミロイド臓器の関与は、国際コンセンサスパネル基準により定義された(Gertzら、2004年)。特に、LC心毒性は、臨床的、機器的(心エコー)および生化学的パラメータに基づいて評価された。多発性骨髄腫患者(MM)由来の非アミロイド形成性LCを対照として使用した。この研究に含まれた全てのLCはλアイソタイプであり、これはアミロイド形成性LCの約75%を表す。この研究に含まれた患者の臨床的特徴は、表1Aに報告される。心機能不全の疾患および重症度の対照として使用される、進行性心機能不全を有する3名のAL患者(表1B)からのおよび一次拡張型心筋症を有する1名の患者からの心内膜生検材料を、分析した。
表1AおよびBの略語:M,男性;F,女性;Gertz 2005に準拠;H,心臓;国際コンセンサスパネル基準に準拠;BJ,ベンスジョーンズ;n.a.,利用不能;pI,等電点;FLC,軽鎖非含有;BNP,脳ナトリウム排泄増加性ペプチド;cTnI,心臓トロポニンI;IVS,心室中隔;PW,後壁;EF,駆出率。§すべてがベンスジョーンズタンパクにより構成される。参照範囲:血清λFLC<26.3mg/L、κ/λ比0.26~1.65;血清中クレアチニン<1.18mg/dL(男性),<1.02mg/dL(女性);NT-proBNP<332ng/L;BNP,<50ng/L;cTnI<0.04ng/mL。*BNP(ng/L)。
表1.免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシス(AL)または多発性骨髄腫(MM)の診断時での患者(A)の臨床的および生化学的特徴
Figure 0007025358000007


LC精製。ヒトモノクローナルLCを、ALアミロイドーシスまたはMMに罹患した患者から、24時間尿(ベンスジョーンズ、BJ)からおよび細菌系において、組換えタンパク質(r)としての産生(Rognoniら、2013年)により単離した。全体として、7つのタンパク質が得られた(6つのBJおよび1つの組換えLC)(表1A)。
LCを、20mMリン酸ナトリウム、pH7.0で平衡化した、HiPrep16/10QFFカラムを用いて、AKTA Purifier(登録商標)FPLCシステム(GE-Healthcare,Piscataway,NJ,USA)での陰イオン交換クロマトグラフィーによって精製した。結合タンパク質を0~1MのNaCl直線勾配で溶出した。MM4-BJを、20mMトリス-HCl、pH8.0で平衡化した陽イオン交換体カラム(HiPrep16/10SP FF)を用いて精製し、0~1MのNaCl直線勾配で溶出した。単離された種の均一性を、12%SDS-PAGEによって評価した。最終タンパク質濃度を、Pierce BCAタンパク質アッセイキット(Thermo Scientific,Rockford,IL,USA)および標準としてウシ血清アルブミンを用いて決定した。組換え全長H7-r LCを大腸菌中で産生した(Rognoniら,2013年;Perfettiら、1996年)。H7患者由来のLCのヌクレオチド配列を、universal inverse-PCR戦略を用いて得た(Perfettiら,1996年)。生殖細胞系遺伝子を決定するために、EMBL-GenBank、V-BASE(V-BASE配列ディレクトリ、MRC Centre for Protein Engineering(Cambridge,UK))およびIMGT配列ディレクトリの現在のリリースを使用して、ヌクレオチド配列アラインメントを行った。
実施例2:酸素ラジカルの発生
ラジカル発生における金属イオンの関与を調べるために、10mM PBS、pH7.4中のMM2-BJおよびH7-BJ(100μg/mL)を、振盪条件下で、4℃で、10分間、50μMキレックス(登録商標)100金属キレート樹脂(Biorad)の存在下または非存在下でインキュベートした。PBSおよび蒸留水も同じ条件下でキレックス(登録商標)とインキュベートした。試料を4℃で、8700g×5分間遠心分離し、上清を回収した。タンパク質含有量を次いで、バイオラッドプロテインアッセイ(Bio-Rad Laboratories GmbH,Munchen,Germany)を用いて決定した。タンパク質を次いで、MM2-BJについては45μMおよびH7-BJについては28μMの最終濃度で、キレックス(登録商標)処理10mM PBS、pH7.4で希釈した。EPR分光法による酸素ラジカル種(特にスーパーオキシド)の検出を、既に記載されたように(Diomedeら、2014年)、1000倍モル過剰でスピントラップ5-ジエトキシホスホリル-5-メチル-1-ピロリン-N-オキシド(DEPMPO,Enzo Life Sciences)を添加することによって評価した。試料を37℃にて、暗所でインキュベートし、EPRスペクトルを、円筒空洞を備えたESP300CW-Xバンドスペクトロメーター(Bruker)を用いて、石英フラットセルを用いて室温で記録した。EPRスペクトルシミュレーションを、D.Dulingによって開発されたWinSimソフトウェア(バージョン0.96)(Public EPR Software Tools,NIH,USA)を用いて行った。
図1に示すように、心毒性H7-BJは、MM2-BJ対照タンパク質よりも顕著に高いレベルのスーパーオキシドを生成した。MM2-BJの制御によるフリーラジカル発生は、キレックス(登録商標)樹脂上での溶出によって消滅された。H7-BJによるフリーラジカルの生成は、タンパク質がキレックス(登録商標)樹脂上に溶出されると大幅に減弱した。
実施例3:Hの生成
は、それ自体はフリーラジカルではない代謝活性の生成物であるが、容易に反応してフリーラジカルを生成できるので(例えばレドックス活性金属の存在下で)、「活性酸素種(ROS)」として記載される。
Amplex Red Hアッセイ。pH7.4の10mMリン酸ナトリウム緩衝液(PB)中のH7-BJおよびMM2-BJタンパク質(100μg/mL)を、50μM キレックス(登録商標)樹脂または2nM 5,7-ジクロロ-8-ヒドロキシ-2-(ジメチルアミノメチル)キノリン(1033)の存在下または非存在下にて室温でインキュベートした。インキュベーション後の異なる時間(0~2時間)、2μLの溶液を96穴の黒色プレートに入れ、10mM PBS、pH7.4で1:100(体積/体積)に希釈し、生成されたHの量を、Amplex Redアッセイキット(Molecular probes,Life Technologies)を用いて決定した。このために、10mM PB、pH7.4中の100μM Amplex Redおよび200mU/mL 西洋ワサビペルオキシダーゼの50μLの希釈標準溶液を各ウェルに添加した。プレートを振盪し、遮光して室温で30分間インキュベートした。蛍光を、Tecan Infinite M200マイクロプレートリーダー(Tecan,Austria)で励起波長563nmおよび発光波長587nmにて読み取った。平均値および標準偏差をH濃度に換算した。
H7-BJタンパク質は、MM2-BJよりも、過酸化水素濃度によって決定されるように有意により多くのROSを生成し、ROSの生成は、キレックス(登録商標)樹脂上での溶出(図2A)または図2Bに示されるように2nM 1033とのインキュベーションによって有意に減弱された。
実施例4:金属イオンの影響
ブリストルN2株、トランスジェニックCL2070 dvIs70 Is[hsp-16.2::gfp;rol-6(su1006)]、CF1553 muIs84[(pAD76)sod-3p::GFP+rol-6]およびTJ356、z Is356 Is[daf-16::daf-16-gfp;rol-6]を、Caenorhabditis elegans Genetic Center(CGC,University of Minnesota,USA)から得て、餌として大腸菌OP50(CGC)を播種した固体線虫成長培地(NGM)上で20℃で生殖させた。咽頭挙動に対するLCの影響を調べた(Diomedeら,2014年)。手短に言えば、祖先N2ならびにトランスジェニックCL2070、TJ356およびCF1553ワームを、5mM PBS、pH7.4中で表1Aに列挙された100μg/mL LC(100ワーム/100μL)と共にインキュベートした。対照ワームは、5mM PBS、pH7.4(ビヒクル)のみとインキュベートした。オービタルシェーキング(orbital shaking)で2時間インキュベートした後、OP50大腸菌を播種したNGMプレートにワームを移した。咽頭の末端球状体(terminal bulb)が1分間隔で収縮した回数を数えることによって測定される、咽頭ポンピング速度を、20時間後に記録した。ワームに100μg/mL H6-BJ、H7-BJ、H18-BJ、MM2-BJ、MM4-BJまたはMM7-BJを単独で、または125μMの銅(CuSOとして)と共に2時間給餌することによっても実験を行った。
結果を図3Aおよび3Bに示す。骨髄腫タンパク質ではなく心毒性LCをC.エレガンスに給餌すると、内因性銅レベルが上昇したが、亜鉛および鉄レベルは有意に変化しなかった。125μM銅を心毒性LCタンパク質溶液に添加した場合、H7-BJによって誘発される咽頭機能不全の悪化が観察されたが、MM2-BJタンパク質を給餌されたC.エレガンスのポンピング速度は、銅の用量による影響を受けなかった(図3C)。
実施例5:金属キレート化合物の効果
実施例4の実験条件を、1033、キレックス(登録商標)樹脂またはEDTAならびに1033、Hおよび1033と共にHを含むか、または含まずに、心毒性LC H7-BJを用いて繰り返した。心毒性LCによって引き起こされる咽頭機能不全を打ち消すことにおけるこれらの効果は用量依存的であり、1033はIC50:1.08±1.1nMを有した(図4A)。1033の最適濃度2nM:H産生を打ち消し(図2B)、調査中のすべての心毒性LCによって引き起こされる咽頭障害を完全に消失させた用量レベル(図4Bおよび図4Cおよび図4D)。1033は、鉄または亜鉛のレベルに影響を与えることなく(図3B)、心毒性LCにより誘発されたワームの銅レベルの上昇を打ち消した(図3A)。1033は、外因性Hへの曝露によって誘発される咽頭毒性を打ち消さなかった(図4Bおよび図4C)が、H7-BJによって引き起こされる外因性Hの生成の増加を防止した(図2B)。このことは、心毒性LCに対するその保護効果が一般的な抗酸化活性に関係していないことを示している。1033単独では、ポンピング速度(図4C)または咽頭ミトコンドリア酸素負荷の増加のいずれにも影響を及ぼさなかった。金属キレート化は、LCの二次構造含有量および熱安定性に影響を及ぼさなかった。
実施例6:寿命実験
L3幼虫期でN2ワーム(100ワーム/100μL)に、100μg/mL H7-BJを単独でまたは2nM 1033と共に2時間給餌した。ワームを次いで、同じ薬物濃度の存在下で大腸菌を播種した新鮮なNGMプレートに移した。対照ワームを、同じ条件下でビヒクル単独に曝露した。20時間後、細菌を播種した新鮮なNGMプレートに線虫を移し、ワームの生存数を記録した(0日目と見なす)。世代の重複を避けるために、ワームをその後、ワームが産卵を止めるまで、フルオロデオキシウリジンの非存在下で毎日移動させた。1033の反復投与の効果を試験するために、ワームに100μg/mL H7-BJおよび2nM 1033を2時間給餌し、次いで同じ薬物濃度の存在下で大腸菌を播種した新鮮なNGMプレートにワームを移した。次いで、線虫は、新たに溶解した2nM 1033の存在下で、新しいNGMプレートに毎日移した。ワームの生存数を、すべてのワームが死滅するまで毎日連続して測定した。
心毒性LCへのC.エレガンスの曝露は、それらの寿命を有意に減少した(生存期間中央値:ビヒクルおよびH7-BJ給餌ワームでそれぞれ13日および9日、p=0.0001、ログランク検定)(図5)。2nM/日の1033の投与は、心毒性LCにより処理されたワームの生存を有意に延長させ、それらの自然の寿命を回復させた(生存期間中央値:H7-BJ+2nM/日1033、13日(p=0.025対H7-BJ)(図5)。2nMで1033の単回投与量を投与した場合、おそらく薬物の安定性の問題というよりもむしろ溶解性の問題のために、保護効果は観察されなかった。実際に、1033は生理的条件下およびさまざまな標準溶媒中で非常に安定である。全体として、これらの所見は、金属イオン恒常性の破壊が心毒性LCのROSを生成する能力に関係していることを示した。
実施例7:FOXOシグナル伝達経路の調節
DAF-16::緑色蛍光タンパク質(GFP)の核内移行をTJ356線虫で評価した。HSP-16.2::GFPおよびSOD-3::GFPの咽頭発現を、それぞれCL2070およびCF1553ワームにおいて決定した。若年線虫を、2nM 1033、50μM テトラサイクリン(TETRA)および5mM N-アセチルシステイン(NAC)の非存在下または存在下で、100μg/mL H7-BJまたはMM2-BJ(100ワーム/100μL)と共に、10mM PBS、pH7.4で、20℃で2時間インキュベートした。対照ワームを、10mM PBS、pH7.4(ビヒクル)または薬物単独と共にインキュベートした。2~20時間後、1mMレバミゾールを添加することにより線虫を麻痺させ、1mLのM9および1mMレバミゾールの入ったチューブに移し、2000gにて、室温で5分間、遠心分離し、5mM PBS、pH7.4中の4%パラホルムアルデヒド中で、4℃にて24時間、固定した。DAF-16の核転座を、CDDカメラを備えた倒立蛍光顕微鏡(IX-71 Olympus)で視覚化した。生物体は、緑色の輝点が頭から尾までの全身にわたって観察された場合は核局在性が陽性として、およびDAF-16::GFPが拡散された場合には細胞質ゾルであると評価された。各転座レベルのワームの数を数えた(少なくとも100ワーム/条件)。アッセイを少なくとも4回繰り返した。ワームの咽頭におけるHSP-16.2およびSOD-3のGFP発現については、画像を、同じ曝露設定を使用して取得した。平均ピクセル強度値を、異なる動物の画像をサンプリングすることによって計算した。各実験群の平均ピクセル強度を、Cell-Fソフトウェア(Olympus)を用いて計算した。各実験について、少なくとも25匹のワームを各菌株/条件について調べた。各実験を少なくとも3回繰り返した。
C.エレガンスにおいて、ROSレベルの増加は、インスリン/インスリン成長因子-1シグナル伝達経路の活性化をもたらすことができ(Backら,2012年;Hartwigら,2009年)、FOXO/DAF-16の調節を駆動し、これが酸化ストレス耐性および生存に関与する多様な標的遺伝子を能動的に制御する(Mukhoposdhyayら,2006年)。心毒性LCによって生成されたROSは、FOXOシグナル伝達経路を調節するシグナル伝達分子として作用することが観察された。基本条件下(ビヒクル給餌ワーム)では、DAF-16は、daf-16プロモーターの制御下でGFPを発現するトランスジェニックTJ356C.エレガンス線虫の細胞質ゾルに主に局在した(Hartwigら,2009年)(図6Aおよび図6C)。H7-BJの投与は、ワームの体内で凝縮された緑色の輝点の出現として検出できる、DAF-16の核転座の著しい増加を引き起こした(図6Bおよび図6D)。陽性対照として線虫にHを給餌した場合にも同様の効果が観察された(図6Eおよび図6F)。1033は、心毒性LCによって誘発されたDAF-16の活性化を打ち消した(図6Cおよび図6D)。H7-BJを抗酸化原型化合物(5mM NAC)と一緒に投与した場合、同様の効果は観察されなかった(図6Cおよび図6D)。反対に、抗酸化活性および金属イオンキレート剤活性も有する既知の抗生物質であるTETRA(50μM)(Chin and Lack,1975年;Stailovaら,2013年)は、心毒性LCによって誘発されるDAF-16活性化を打ち消した(図6Cおよび図6D)。
抗酸化防御系の適応応答を次いで評価した。特に、ROSセンサーとして作用し、かつワームの寿命にも影響を及ぼし得る、小さいHSP-16.2の発現の活性化(Hartwigら,2009年)、および抗酸化酵素マンガンスーパーオキシドジスムターゼ SOD-3の活性を、それぞれhsp-16.2またはsod-3プロモーターの制御下でGFPを発現するトランスジェニックCL2070(Hartwigら,2009年)およびCF1553(Anbalaganら,2012年)ワームを用いて決定した。MM2-BJではなく、H7-BJは、Hにより観察されたものと同様に、線虫の咽頭におけるHSP-16.2(図7A、図7B)およびSOD-3発現(図7C、図D)の有意な増加を引き起こした。対照的に、1033への曝露は、それぞれCL2070およびCF1553ワームの咽頭にGFPシグナルが存在しないことによって示されるように、LCにより誘発されるHSP-16.2およびSOD-3タンパク質の発現を有意に減少させた(図7)。
これらの全結果は、心毒性LCが、金属イオン媒介ROS産生およびその結果としてのFOXO/DAF-1経路活性化により、酸化ストレス応答および寿命の制御に関与する遺伝子を刺激すること、ならびに1033などの金属キレート化化合物とのLCの同時インキュベーションが、ワームのストレス応答を消失させたことを示す。
実施例8:ミトコンドリアにおける心毒性LC損傷対ROSの生成
心毒性LCによって産生されたROSが、咽頭細胞内区画、特に、収縮活動のためのエネルギーを提供するのに重要な役割を果たす、ミトコンドリア、に変化を引き起こしたかを調べた。
N2ワームに、5mM PBS、pH7.4中の100μg/mL H6-BJ、H7-BJ、MM2-BJまたはMM4-BJ LC(100ワーム/100μL)を単独で、または5mM PBS、pH7.4中の5mM NAC、5mM PBS、pH7.4中の50μM TETRAまたは2nM 1033と共に給餌した。対照ワームを、ビヒクル単独(ビヒクル)のみでインキュベートした。オービタルシェーキングで2時間インキュベートした後、ワームを、同じ薬物濃度の存在下でOP50大腸菌を播種したNGMプレートに移した。20時間後、C.エレガンスを採取し、10mM PBS、pH7.4で洗浄し、0.12 Mリン酸緩衝液、pH7.4中の2%グルタルアルデヒドで固定した。ワームをその後、固定剤へのアクセスを改善するために、咽頭の第2の球状体のレベルで切り開いた。室温で一晩後固定した後、試料を、1%OsO 1.5%フェロシアン化物を含む0.12M カコジル酸緩衝溶液(フェロシアン化物還元OsO)中で室温で1時間インキュベートし、次いで0.3%チオカルボヒドラジドを含むHO中で5分間、最後に2% OsOを含む0.12Mカコジル酸緩衝液中で1時間インキュベートした。C.エレガンス咽頭を次いで、2%アガロースゲル中に置き、小さい立方体を切断し、一連の勾配エタノール中でそれぞれ10分間脱水し、プロピレンオキシド中で清澄化し、エポキシ媒体(Epon 812 Fluka)中に包埋し、60℃で72時間重合化した。各サンプルから、1つの半薄切片(1μm)をLeica EM UC6ウルトラミクロトームで切断し、光学顕微鏡検査のためにスライドガラスに載せた。対象領域の超薄(厚さ60~80nm)切片を得、酢酸ウラニルおよびクエン酸鉛で対比染色し、YAGシンチレーター低速走査CCDカメラを備えたエネルギーフィルター透過型電子顕微鏡(EFTEM、ZEISS LIBRA(登録商標)120)で検査した。
ヒト心筋組織の試験片(表1B)を、2.5%グルタルアルデヒドを含む0.2M カコジル酸緩衝溶液、pH7.3中で2時間固定し、1%四酸化オスミウムを含む同じ緩衝液中で後固定した。それらを次いで一連の段階的エチルアルコール中で脱水し、エポキシ樹脂中に包埋した。超薄切片(厚さ60~80nm)を切断し、ニッケルグリッド上に載せ、5%酢酸ウラニルおよびクエン酸鉛(レイノルズ溶液)で染色した。各患者について最低5つの切片をPhilips CM12透過型電子顕微鏡で観察した。切片を次に、前述のように包埋後免疫金のために処理した(Fernandez de Larreaら,2014年)。簡単に説明すると、抗原エピトープのアンマスキングを行うための酵素的前消化(トリス緩衝液中の0.05%トリプシンと0.05%CaCl、37℃、15分)を行った。切片を次に0.05Mトリス/HCl緩衝液、pH7.3ですすぎ、1:20の正常ヤギ血清または1%卵アルブミンのいずれかと共に室温で15分間インキュベートした。切片を、ポリクローナル抗λLC抗体(希釈率1:50、Dako、Agilent Technologies,CA,USA)と4℃で一晩インキュベートし、次いで、プロテインA(希釈率1:20)と室温で1時間インキュベートし、15nmコロイド金粒子にコンジュゲートした(British Biocell International,UK)。免疫反応の特異性は、一次抗体として正常ヤギ血清または卵アルブミンを用いて検証した。
透過型電子顕微鏡(TEM)分析は、MM2-BJではなくH7-BJを給餌したワームの咽頭筋が、ビヒクルで処理された線虫と比較して咽頭超微細構造への著しい変化を生じ、ミトコンドリア損傷を引き起こしたことを示した(図8A~図8C)。同様の特徴が、関連のない生殖細胞系列遺伝子に由来する心アミロイドLCであるH6-BJをワームに給餌した場合にも観察され、観察された機能的および構造的影響は、特定の生殖系列遺伝子または遺伝子セットに制限されるものではなく、心臓のLCに固有の特徴に厳密に依存することを実証する。
さらに、1033、ならびにTETRAおよびNACは、心毒性LCによって引き起こされるROSの生成およびポンピング機能不全を和らげることができた(Diomedeら,2014年)(図8D~図8Fおよび図9)。これらの所見は、細胞内咽頭構造、特にミトコンドリア、を損傷させる細胞傷害性LCの特異的能力が、ROSを生成するそれらの能力に由来することを示した。さらに、金属キレート化合物はROSの生成を遮断でき、および酸化的損傷を防ぐ抗酸化剤は心臓のLC誘発性組織損傷を防御した。
ワームで観察された細胞内変化が、ヒト心臓組織における心LCによって引き起こされる損傷に匹敵するか、試験を行った。この目的のために、進行心機能不全を有するAL患者からの心内膜生検(臨床的特徴については表1Bを参照されたい)をTEMのために迅速に処理した。心臓のLCに曝露されたワームと同様に(図8C)、ほとんどのヒトミトコンドリアは劇的な構造障害を示した(図10A~図10C)。対照的に、一次拡張型心筋症のために心臓移植を受けた対象からの心内膜生検材料(心機能不全の疾患および重症度のための対照として使用された)は、完全に保存されたミトコンドリアおよび軽微な変化を有するわずかに散乱されたミトコンドリア(図10D)を示した。これらの結果は、Guanら(2014年)によって報告されたものに類似しており、線虫モデルの妥当性を支持しており、新しい治療アプローチの設計および試験のためのその使用の理論的根拠を強化するものである。
実施例9:抗酸化剤前に投与された心毒性LC
診療所で遭遇する可能性が最も高い状況を反映するために、咽頭がすでに心毒性LCによる損傷を受けているときに薬物をワームに投与した。線虫に1.5時間H7-BJを給餌して、LCを2時間投与したときに得られるものに匹敵する咽頭機能不全を生じさせた(図11A)。その後、薬物を30分間投与し、ポンピング速度を記録した。2nMで 1033は、H7-BJによって引き起こされる正常咽頭機能を回復でき、一方で20μM TETRA(IC50値に相当する用量)は無効であった(図11A)。
実施例10:TETRAと1033との相乗効果
線虫に咽頭機能不全を生じさせるためのH7-BJを1.5時間給餌し、続いて20μM TETRA、0.5nM 1033、2nM 1033、20μM TETRAおよび0.5nM 1033を給餌する給餌実験。
結果を図11Bに示す。20μM TETRAは、咽頭機能の回復に対して最小の効果を有し、0.5nM 1033は、咽頭機能の回復に対して効果がなかった。2nM 1033単独および20μM TETRAと組み合わせた2nM 1033は、おそらく2nM 1033によってすでに最大の咽頭機能回復(53%)が得られていたため、同様の結果をもたらした。
しかし、20μM TETRAおよび効果のない濃度である0.5nM 1033は、相乗効果をもたらした。これらのデータは、低用量の1033とTETRAとの併用投与が、心毒性LCによって誘発される酸化ストレスの悪循環を断ち切るための革新的な薬理学的アプローチを表す可能性があることを示唆している。
先行文献
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Claims (15)

  1. 対象において免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシスを治療するための、医薬品の製造における、
    Figure 0007025358000008
    Figure 0007025358000009
    (式中、nは1、2または3である)から選択される化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物の使用。
  2. 前記治療することは、免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシスの症状を軽減するかまたは回復させる、請求項1に記載の使用
  3. 前記免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシスは心免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシスである、請求項1または2に記載の使用
  4. 対象において免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシスに関連する心毒性の症状を治療するもしくは予防するまたは軽減するもしくは回復させるための、医薬品の製造における、
    Figure 0007025358000010
    Figure 0007025358000011
    (式中、nは1、2または3である)から選択される化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物の使用。
  5. 前記医薬品が、心臓組織に沈着された心免疫グロブリン軽鎖によって引き起こされる損傷を回復させるためである、請求項4に記載の使用
  6. 記化合物は
    Figure 0007025358000012
    である、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用
  7. 前記治療することは、別の薬学的活性剤の投与をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の使用
  8. 前記治療するもしくは予防するまたは軽減するもしくは回復させることが、別の薬学的活性剤の投与をさらに含む、請求項4~6のいずれか一項に記載の使用。
  9. 前記の薬学的活性剤は抗酸化剤または免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシスを治療するための薬学的活性剤である、請求項7または8に記載の使用
  10. 前記の薬学的活性剤は抗酸化剤である、請求項に記載の使用
  11. 免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシスの症状を治療するもしくは予防するまたは軽減させるもしくは回復させるための、単一の医薬品、または連続的にまたは同時に組み合わせて使用される別々の医薬品の製造における、
    Figure 0007025358000013
    Figure 0007025358000014
    (式中、nは1、2または3である)から選択される、有効量の化合物、それらの薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物、および有効量の抗酸化剤の使用
  12. 治療される、予防される、軽減されるまたは回復される前記症状は心臓組織における心毒性免疫グロブリン軽鎖沈着物に関連する、請求項11に記載の使用
  13. 前記有効量の化合物は治療的量未満の量である、請求項11または請求項12に記載の使用
  14. 記化合物は
    Figure 0007025358000015
    である、請求項11~13のいずれか一項に記載の使用
  15. 前記抗酸化剤はテトラサイクリンである、請求項11~14のいずれか一項に記載の使用
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