JP7023501B2 - 探索装置、探索方法及び製造システム - Google Patents

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Description

本発明は、探索装置、探索方法及び製造システムに関する。
従来、製造物を製造する製造装置は、複数のパラメータにより稼働条件が調整されることがある。例えば、チャンバの内部で複数の溶液を混合して化学反応を生じさせ、化学物質を製造する製造装置の場合、複数のパラメータは、チャンバの温度であったり、複数の溶液の種類や濃度であったりする。
下記特許文献1から8には、製造装置の稼働条件を最適化する技術が記載されている。例えば、特許文献1には、製造ラインの製造装置に設けられたセンサの測定値等をデータサーバに回収し、製造装置の装置状態を判定し、データ回収以後の装置状態を予測し、故障等の発生予想時期を計算して、製造装置を常に最適状態に維持する製造設備管理システムが記載されている。
特開2017-27118号公報 特表2015-532261号公報 特表2015-530652号公報 特表2011-518425号公報 特開2007-11402号公報 特開2007-48291号公報 特表2001-507675号公報 特開平5-66805号公報
製造装置の稼働条件を定める複数のパラメータは、一般に多数存在する。そのような場合、製造装置の稼働条件を最適化するため、いわゆるグリッドサーチによって、全てのパラメータを変化させて、最適なパラメータを網羅的に探索したり、いわゆるランダムサーチによって、パラメータをランダムに変化させて、最適なパラメータを確率的に探索したりすることがある。
しかしながら、製造装置の稼働条件を探索する場合、試行するパラメータ毎に実際に製造装置を稼働させる必要がある。そのため、探索に要する時間がパラメータの数に対して指数的に増大してしまうグリッドサーチでは、現実的に探索できるパラメータの組合せが限定され、最適なパラメータを探索することが困難となる。また、ランダムサーチでは、必ずしも効率的な探索が行われず、最適なパラメータを探索するまでに長い時間を要することがある。
そこで、本発明は、製造装置の稼働条件を定める複数のパラメータを効率的に探索することのできる探索装置、探索方法及び製造システムを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る探索装置は、製造物を製造する製造装置の稼働条件を定める複数のパラメータを特定の値に設定して製造装置を稼働させる稼働制御部と、特定の値で製造装置を稼働させた場合に製造された製造物を分析した分析値を取得する取得部と、分析値に基づいて、特定の値で製造装置を稼働させた結果を評価する目的関数の値を算出する第1算出部と、目的関数の値に基づいて、複数のパラメータを任意の値に設定して製造装置を稼働させた場合に、目的関数の値を改善することができる確率及びその不確実性を評価する獲得関数の値を算出する第2算出部と、獲得関数の値に基づいて、稼働制御部に設定させる複数のパラメータの値を決定する決定部と、複数のパラメータの値が、複数のパラメータに関する所定の条件を満たすか否かに応じて獲得関数の値を補正する補正部と、を備える。
この態様によれば、目的関数の値を改善することができる確率及びその不確実性を評価する獲得関数の値を算出し、獲得関数の値に基づいて、稼働制御部に設定させる複数のパラメータの値を決定することで、目的関数の値を改善することができる確率とその不確実性のバランスを取りながら複数のパラメータを探索することができ、複数のパラメータを効率的に探索することができる。
また、この態様によれば、複数のパラメータに関する所定の条件を満たすか否かに応じて獲得関数の値を補正することで、複数のパラメータについて望ましくない値を探索することを防止して不要な探索が行われないようにすることができたり、複数のパラメータに関する理論的又は経験的な知見を考慮して望ましい値を見つけることのできる確率を向上させたりできたりして、複数のパラメータをより効率的に探索することができる。
ここで、複数のパラメータに関する所定の条件は、複数のパラメータに課される制約条件と、複数のパラメータについて成立する前提条件とを含んでよい。制約条件及び前提条件は、既知のものであってもよいし、新たに考え出したものであってもよい。なお、補正部による補正は、任意の方法で行われてよく、獲得関数の関数形を変形することで行ったり、獲得関数の値を算出する際に、所定の条件を考慮して値を補正したりすることで行ってよい。
また、上記態様において、第2算出部は、第1算出部により目的関数の新たな値が算出された場合に、算出された目的関数の値の履歴に基づいて、獲得関数の値を更新してもよい。
この態様によれば、探索を進めるほど目的関数の値を改善することができる確率とその不確実性の評価が正確となるように獲得関数の値を更新することができ、複数のパラメータをより効率的に探索することができる。
また、上記態様において、条件は、製造装置が誤動作を起こすおそれに応じて設定されてもよい。ここで、製造装置の誤動作とは、意図しない動作をいい、例えば、製造装置により製造物を製造する場合に製造物の特性又は製造速度等の再現性を低下させる動作を含む。
この態様によれば、製造装置が誤動作を起こすおそれがある複数のパラメータの値を探索することが防止され、不要な探索が行われないようにすることができ、複数のパラメータをより効率的に探索することができる。
また、上記態様において、条件は、製造装置の稼働コストに応じて設定されてもよい。
この態様によれば、製造装置の稼働コストが増大するおそれがある複数のパラメータの値を探索することが防止され、効率的な製造物の製造が行える複数のパラメータを探索することができる。
また、上記態様において、条件は、複数のパラメータの間の関係に応じて設定されてもよい。
この態様によれば、複数のパラメータの間に理論的又は経験的に成立する関係が存在する場合に、その関係を考慮しつつ、より有効な探索が行われるようにバイアスをかけ、不要な探索が行われないようすることができ、複数のパラメータをより効率的に探索することができる。
また、上記態様において、目的関数は、製造物の物性値及び製造物の製造速度の少なくともいずれかを評価する項を含んでもよい。
この態様によれば、製造物の物性値及び製造物の製造速度の少なくともいずれかを改善するようなパラメータを探索することができ、製造装置の稼働を最適化することができる。
また、上記態様において、複数のパラメータの少なくとも一部は、連続パラメータであり、取得部は、連続パラメータの値を連続的に変化させて製造装置を稼働させた場合に製造された製造物を分析した一連の分析値を取得し、第1算出部は、一連の分析値に基づいて、目的関数の値の変動を算出してもよい。
この態様によれば、離散的に分析値を取得する場合よりも、目的関数の値の変動に関して系統的かつ多くの情報を得ることができ、複数のパラメータをより効率的に探索することができる。
また、上記態様において、製造装置は、チャンバの内部で複数の溶液を混合して化学反応を生じさせ、化学物質を製造する装置であり、
複数のパラメータは、チャンバの温度、チャンバ内の溶液又は化学物質の温度変化速度、チャンバの材質、チャンバの大きさ、複数の溶液の種類、複数の溶液の濃度、複数の溶液の濃度変化速度、複数の溶液の混合タイミング及び複数の溶液の反応時間のうち少なくともいずれかを含んでもよい。
この態様によれば、チャンバの内部で複数の溶液を混合して化学反応を生じさせ、化学物質を製造する装置について、目的関数の値を改善することができる確率及びその不確実性を評価する獲得関数の値を算出し、獲得関数の値に基づいて、稼働制御部に設定させる複数のパラメータの値を決定することで、目的関数の値を改善することができる確率とその不確実性のバランスを取りながら複数のパラメータを探索することができ、複数のパラメータを効率的に探索することができる。
また、上記態様において、取得部は、蛍光分光法、吸光分光法、ラマン分光法などの各種分光法、電子スピン共鳴法、核磁気共鳴法、エックス線回折法及びエックス線小角散乱法、動的光散乱法、光散乱法の少なくともいずれかによって化学物質を分析した分析値を取得してもよい。
この態様によれば、製造された化学物質の物性を分析した値を取得することができ、所望の物性を有する化学物質を効率的に製造する複数のパラメータを探索することができる。
また、本発明の他の態様に係る探索方法は、製造物を製造する製造装置の稼働条件を定める複数のパラメータを特定の値に設定して製造装置を稼働させることと、特定の値で製造装置を稼働させた場合に製造された製造物を分析した分析値を取得することと、分析値に基づいて、特定の値で製造装置を稼働させた結果を評価する目的関数の値を算出することと、目的関数の値に基づいて、複数のパラメータを任意の値に設定して製造装置を稼働させた場合に、目的関数の値を改善することができる確率及びその不確実性を評価する獲得関数の値を算出することと、獲得関数の値に基づいて、製造装置に設定する複数のパラメータの値を決定することと、複数のパラメータの値が、複数のパラメータに関する所定の条件を満たすか否かに応じて獲得関数の値を補正することと、を含む。
この態様によれば、目的関数の値を改善することができる確率及びその不確実性を評価する獲得関数の値を算出し、獲得関数の値に基づいて、製造装置に設定する複数のパラメータの値を決定することで、目的関数の値を改善することができる確率とその不確実性のバランスを取りながら複数のパラメータを探索することができ、複数のパラメータを効率的に探索することができる。
また、この態様によれば、複数のパラメータに関する所定の条件を満たすか否かに応じて獲得関数の値を補正することで、複数のパラメータについて望ましくない値を探索することを防止して不要な探索が行われないようにすることができたり、複数のパラメータに関する理論的又は経験的な知見を考慮して望ましい値を見つけることのできる確率を向上させたりできたりして、複数のパラメータをより効率的に探索することができる。
また、本発明の他の態様に係る製造システムは、製造物を製造する製造装置、製造装置により製造された製造物を分析する分析装置及び探索装置を備える製造システムであって、探索装置は、製造装置の稼働条件を定める複数のパラメータを特定の値に設定して製造装置を稼働させる稼働制御部と、特定の値で製造装置を稼働させた場合に製造された製造物を分析装置により分析した分析値を取得する取得部と、分析値に基づいて、製造結果を評価する目的関数の値を算出する第1算出部と、目的関数の値に基づいて、複数のパラメータを任意の値に設定して製造装置を稼働させた場合に、目的関数の値を改善することができる確率及びその不確実性を評価する獲得関数の値を算出する第2算出部と、獲得関数の値に基づいて、稼働制御部に設定させる複数のパラメータの値を決定する決定部と、複数のパラメータの値が、複数のパラメータに関する所定の条件を満たすか否かに応じて獲得関数の値を補正する補正部と、を有する。
この態様によれば、目的関数の値を改善することができる確率及びその不確実性を評価する獲得関数の値を算出し、獲得関数の値に基づいて、稼働制御部に設定させる複数のパラメータの値を決定することで、目的関数の値を改善することができる確率とその不確実性のバランスを取りながら複数のパラメータを探索することができ、複数のパラメータを効率的に探索することができる。
また、この態様によれば、複数のパラメータに関する所定の条件を満たすか否かに応じて獲得関数の値を補正することで、複数のパラメータについて望ましくない値を探索することを防止して不要な探索が行われないようにすることができたり、複数のパラメータに関する理論的又は経験的な知見を考慮して望ましい値を見つけることのできる確率を向上させたりできたりして、複数のパラメータをより効率的に探索することができる。
本発明によれば、製造装置の稼働条件を定める複数のパラメータを効率的に探索することのできる探索装置、探索方法及び製造システムを提供することができる。
本発明の実施形態に係る製造システムの機能ブロックを示す図である。 本実施形態に係る探索装置の物理的構成を示す図である。 本実施形態に係る探索装置により実行される処理のフローチャートである。 本実施形態に係る探索装置により算出された獲得関数の例を示す第1グラフである。 本実施形態に係る探索装置により更新された獲得関数の例を示す第2グラフである。 本実施形態に係る探索装置による探索の進捗を示すグラフである。 比較例であるランダムサーチによる探索の進捗を示すグラフである。
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
図1は、本発明の実施形態に係る製造システム100の機能ブロックを示す図である。製造システム100は、製造物を製造する製造装置20、製造装置20により製造された製造物を分析する分析装置30及び探索装置10を備える。本実施形態に係る製造システム100が備える製造装置20は、チャンバ27の内部で複数の溶液を混合して化学反応を生じさせ、化学物質を製造する装置である。もっとも、製造装置20は、任意の製造物を製造する装置であってよい。
製造装置20は、第1原料を供給する第1ポンプ21、第2原料を供給する第2ポンプ22、第3原料を供給する第3ポンプ23及び溶媒を供給する第4ポンプ24を備え、第1原料、第2原料、第3原料及び溶媒を混合するミキサ25を備える。ここで、第1原料、第2原料、第3原料及び溶媒は、例えば蛍光ナノ粒子を製造するための原料及び溶媒であってよく、第1原料、第2原料、第3原料及び溶媒の種類、濃度、濃度変化速度及び混合タイミングは、製造装置20の稼働条件を定める複数のパラメータの一部であってよい。より具体的に例示すると、製造物はセレン化カドミウムナノ蛍光体であってよく、第1原料はカドミウムであり、第2原料はセレンであり、第3原料はアミン添加物であり、溶媒は任意の溶媒であってよい。
製造装置20は、ミキサ25からチャンバ27に供給される溶液の量を調整する第1バルブ26と、溶液を反応させるチャンバ27と、チャンバ27の温度を調整する温度調整部28と、チャンバから取り出される製造物の量を調整する第2バルブ29と、を備える。第1バルブ26により調整されるチャンバ27に流入する溶液の量、温度調整部28により調整されるチャンバ27の温度、温度変化速度、チャンバ27の材質、大きさ、チャンバ27における溶液の反応時間及び第2バルブ29により調整されるチャンバ27から流出する製造物の量は、製造装置20の稼働条件を定める複数のパラメータの一部であってよい。
分析装置30は、製造装置20の稼働条件を定める複数のパラメータを特定の値に設定した場合に製造された製造物を分析した分析値を出力する。製造物が化学物質の場合、分析装置30は、蛍光分光法、吸光分光法、ラマン分光法、電子スピン共鳴法、核磁気共鳴法、エックス線回折法、エックス線小角散乱分析法、動的光散乱法及び光散乱法の少なくともいずれかによって製造物である化学物質を分析した分析値を出力してよい。
探索装置10は、取得部11、第1算出部12、記憶部13、第2算出部14、決定部15、稼働制御部16及び補正部17を備える。取得部11は、製造装置20の稼働条件を定める複数のパラメータを特定の値に設定して製造装置20を稼働させた場合に製造された製造物を、分析装置30により分析した分析値を取得する。また、取得部11は、製造装置20に設定した複数のパラメータのみならず、上記複数のパラメータに対応する機器の状態を測定した値(温度、濃度、反応時間等)を、同様に取得することも可能である。製造物が化学物質の場合、取得部11は、蛍光分光法、吸光分光法、ラマン分光法、電子スピン共鳴法、核磁気共鳴法、エックス線回折法、エックス線小角散乱法、動的光散乱法及び光散乱法の少なくともいずれかによって化学物質を分析した分析値、および、上記複数のパラメータおよびその実測値を取得してよい。これにより、製造された化学物質の物性を分析した値を取得することができ、所望の物性を有する化学物質を効率的に製造する複数のパラメータを探索することができる。
第1算出部12は、分析値に基づいて、製造装置20の稼働条件を定める複数のパラメータを特定の値に設定して製造装置20を稼働させた結果を評価する目的関数の値を算出する。ここで、目的関数は、製造物の物性値及び製造物の製造速度の少なくともいずれかを評価する項を含んでよい。これにより、製造物の物性値及び製造物の製造速度の少なくともいずれかを改善するようなパラメータを探索することができ、製造装置の稼働を最適化することができる。
製造物がナノ蛍光体の場合、ナノ蛍光体の量子収率をQと表し、蛍光ピークの半値幅をFと表し、製造速度((原料濃度)×(送液速度)×(収率)の値)をPと表すとき、複数のパラメータの値を表す多次元ベクトルxにおける目的関数の値f(x)は、例えば、f(x)=(Q-Qav)/σQ+(-1)×(F-Fav)/σF+(P-Pav)/σPであってよい。ここで、Qav、Fav及びPavは、それぞれ複数の試行におけるQ、F及びPの平均値である。また、σQ、σF及びσPは、それぞれ複数の試行におけるQ、F及びPの標準偏差である。なお、目的関数の関数形は、製造における目標に応じて任意に変形することができ、パラメータを探索しながら目的関数の関数形を変更していくことも可能である。また、目的関数に含まれる各項について重み付けを行ってもよい。
複数のパラメータの一部が、チャンバ27の温度のように連続パラメータである場合、取得部11は、連続パラメータの値を連続的に変化させて製造装置20を稼働させた場合に製造された製造物を、分析装置30により分析した一連の分析値を取得してもよく、第1算出部12は、一連の分析値に基づいて、目的関数の値の変動を算出してもよい。例えば、温度調整部28によりチャンバ27の温度を連続的に変化させて化学物質を製造し、分析装置30により分析した一連の分析値を取得して、一連の分析値に基づいて、目的関数の値の変動を算出してもよい。例えば、目的関数をある連続パラメータについて微分した偏微分係数を算出して、未探索のパラメータに関する目的関数の値を予測することとしてよい。これにより、離散的に分析値を取得する場合よりも、目的関数の値の変動に関して多くの情報を得ることができ、複数のパラメータをより効率的に探索することができる。
記憶部13は、算出された目的関数の値の履歴を記憶する。記憶部13は、特に、過去の探索で発見された目的関数の最適値(最大値)を記憶してよい。
第2算出部14は、目的関数の値に基づいて、複数のパラメータを任意の値に設定して製造装置20を稼働させた場合に、目的関数の値を改善することができる確率及びその不確実性を評価する獲得関数の値を算出する。第2算出部14は、第1算出部12により目的関数の新たな値が算出された場合に、算出された目的関数の値の履歴に基づいて、獲得関数の値を更新してもよい。これにより、探索を進めるほど目的関数の値を改善することができる確率とその不確実性の評価が正確となるように獲得関数の値を更新することができ、複数のパラメータをより効率的に探索することができる。
獲得関数としては、任意の関数を用いてよいが、例えば、複数のパラメータの値を表す多次元ベクトルをxと表し、xにおける目的関数の値をf(x)と表し、xにおける目的関数の期待値をμ(x)と表し、xにおける目的関数の分散をσ2(x)と表し、過去の探索で発見された目的関数の最適値をfbestと表し、標準正規分布の密度関数をN(・)と表し、標準正規分布の累積分布関数をΦ(・)と表すとき、あるパラメータxにより目的関数の値を改善することができる確率及びその不確実性を評価する獲得関数a(x)は、a(x)=Φ(γ(x))であってよく、γ(x)=(fbest-μ(x))/σ(x)であってよい。ここで、xにおける目的関数の期待値μ(x)及び分散σ2(x)は、過去に探索された目的関数の値に基づき、ガウス過程を仮定することにより求めてよい。
獲得関数a(x)の他の例として、a(x)=σ(x)×(γ(x)×Φ(γ(x))+N(γ(x)))を採用することとしてもよい。また、獲得関数a(x)の他の例として、a(x)=μ(x)-κ×σ(x)を採用することとしてもよい。ここで、κは任意の定数である。
決定部15は、獲得関数の値に基づいて、稼働制御部16に設定させる複数のパラメータの値を決定する。決定部15は、獲得関数の値が最大となるように、複数のパラメータの値を決定してよい。決定部15は、いわゆるベイズ最適化のアルゴリズムを用いて稼働制御部16に設定させる複数のパラメータの値を決定してよく、上記以外の関数、アルゴリズムによるベイズ最適化により複数のパラメータの値を決定してもよい。ベイズ最適化を用いることで、製造装置20を実際に稼働させた結果に基づいて、最適なパラメータとなる確率が高い点を選択することが可能となり、パラメータの大域的最適化を効率良く実現することができる。また、目標値等の設定が不要であり、目標値の設定が困難な場合であっても適用可能である。
稼働制御部16は、製造物を製造する製造装置20の稼働条件を定める複数のパラメータを特定の値に設定して製造装置20を稼働させる。稼働制御部16は、複数のパラメータを、決定部15により決定された値に設定して製造装置20を稼働させてよい。このように、目的関数の値を改善することができる確率及びその不確実性を評価する獲得関数の値を算出し、獲得関数の値に基づいて、稼働制御部16に設定させる複数のパラメータの値を決定することで、目的関数の値を改善することができる確率とその不確実性のバランスを取りながら複数のパラメータを探索することができ、複数のパラメータを効率的に探索することができる。特に、チャンバ27の内部で複数の溶液を混合して化学反応を生じさせ、化学物質を製造する装置について、装置の稼働条件を定める複数のパラメータを効率的に探索することができる。
補正部17は、複数のパラメータの値が、複数のパラメータに関する所定の条件を満たすか否かに応じて獲得関数の値を補正する。ここで、複数のパラメータに関する所定の条件は、複数のパラメータに課される制約条件と、複数のパラメータについて成立する前提条件とを含んでよい。補正部17により、複数のパラメータに関する所定の条件を満たすか否かに応じて獲得関数の値を補正することで、複数のパラメータについて望ましくない値を探索することを防止して、不要な探索が行われないようにすることができたり、複数のパラメータに関する理論的又は経験的な知見を考慮して望ましい値を見つけることのできる確率を向上させたりできたりして、複数のパラメータをより効率的に探索することができる。なお、制約条件及び前提条件は、それぞれ一つである必要はなく、複数を考慮することも可能である。
ここで、所定の条件は、製造装置20が誤動作を起こすおそれに応じて設定されてよい。誤動作を起こすおそれに応じて設定される条件は、例えば、反応壁への副生成物の沈着が生じる条件であってよい。このように条件を課すことで、製造装置20が誤動作を起こすおそれがある複数のパラメータの値を探索することが防止され、不要な探索が行われないようにすることができ、複数のパラメータをより効率的に探索することができる。反応壁への副生成物の沈着が一度生じると、その後条件を変えても沈着物の影響が不可逆的に生じてしまうが、沈着の起こりやすさを、類似の反応系の結果等から定式化して獲得関数を補正することで、複製生物の沈着が起こりやすいパラメータの値を回避しながら探索を行うことが可能になる。
また、所定の条件は、製造装置20の稼働コストに応じて設定されてもよい。ここで、稼働コストは、製造物の製造速度であったり、費用であったりしてよい。具体的には、温度調整部28の(消費電力)×(稼働時間)によって算出される電力コストであってよい。このように条件を課すことで、製造装置20の稼働コストが増大するおそれがある複数のパラメータの値を探索することが防止され、効率的な製造物の製造が行える複数のパラメータを探索することができる。
さらに、所定の条件は、複数のパラメータの間の関係に応じて設定されてもよい。より具体的には、所定の条件は、複数のパラメータと目的関数に相当する物性値等についての、理論的、経験的知見に基づいて設定されてよい。第1例として、C.Bullen et.al., Nano. Lett. 4 (2004) 2303によれば、蛍光ナノ粒子の形成過程における粒子の平均半径rと反応時間tの関係は、t=2√3arctan[(1+2B1/3r/A1/3)/√3]+Log[(A2/3+B1/31/3r+B2/32)/(A1/3-B1/3r)2]+Cにより与えられることが報告されている。ここで、A=Vm([Cd]0-[Cd]eq)、B=N04π/3という定数であり、Vmはモノマーのモル体積であり、[Cd]0は初期カドミウム濃度であり、[Cd]eqは温度や共存化学種、濃度により変動する平衡カドミウム濃度であり、N0は温度や共存化学種、濃度及びそれらの変化速度により変動する粒子数である。
このような過去の理論的又は実験的な知見は、製造装置20を稼働させる際の設定誤差や分析装置30の測定誤差、モデルと現実とのミスマッチ、微量な不純物の影響等の種々の要因によって正確な再現ができない場合があり、従来、このような知見を取り入れてパラメータの自動探索に利用することは困難だった。本実施形態に係る探索装置10によれば、過去に得られた知見が大まかに意味するところを勘案しながら、最適な複数のパラメータをより迅速に探索することができる。つまり、複数のパラメータの間に理論的又は経験的に成立する関係が存在する場合に、その関係を考慮しつつ、不要な探索が行われないように、もしくは、好ましい探索が行われやすいように、バイアスをかけることができ、複数のパラメータをより効率的に探索することができる。上記第1例の場合、粒子の平均半径rを目的関数として、反応時間t及び初期カドミウム濃度[Cd]0の影響を予測することが可能となる。
また、パラメータを幾つか変化させて製造装置20を稼働させることで、粒子の平均半径と反応時間の関係において示した係数を決定することができ、反応時間から粒子半径の予測を行うことも可能となる。さらに、温度や化学種濃度を変動させれば、各係数の温度依存性、濃度依存性を予想することも可能となる。また、Yu et.al., Chem. Mater. 15 (2003) 2854によれば、蛍光ナノ粒子のバンドギャップエネルギーEg(eV)と吸収端波長λ(nm)の関係は、2r=(1.6122×10-9)λ4-(2.6575×10-6)λ3+(1.6242×10-3)λ2-(0.4277)λ+(41.57)によって与えられ、バンドギャップエネルギーEg(eV)と平均粒子半径r(nm)との関係は、Eg=1240/λにより与えられることが報告されている。粒子半径の予測が可能となれば、このような関係式を用いて、バンドギャップエネルギーの予測も可能となる。
また、第2例として、CdSeナノ粒子合成において、目的関数を粒子の大きさ(D[nm]=2r[nm]、ここで、Dはナノ粒子の直径、rはナノ粒子の半径)として、これを最適化する例について説明する。
CdSeナノ粒子の成長について、ある条件で粒子径を計算により求めたり、シミュレーションにより求めたりすることが報告されている。例えば、C.Bullen et.al., Nano. Lett. 4 (2004) 2303及びAbe et.al., ACS Nano, 6(2012)42が挙げられる。
例えば、Bullenらは、目的関数である粒子の大きさに対してdr/dt=k(Vm([Cd]0-[Cd]eq)-N04πr3/3))という関係式を与えている。ここで、Vmはモノマーのモル体積(=32.99cm3/mol)であり、[Cd]0は操作条件として提供されている初期カドミウム濃度であり、[Cd]eqは温度や共存化学種、濃度により変動する平衡カドミウム濃度であり、N0は温度や共存化学種、濃度及びそれらの変化速度により変動する粒子数である。なお、[Cd]eqは[Cd]0と比べて非常に小さいため、ここでは0と考える。これらの定数の中で、最も大きく値が変動する可能性があるのはN0である。
0は、温度、濃度、混合速度等に依存するが、いくつかの条件を変えても10倍程度しか変動しない(Abe et.al., ACS Nano,6(2012)42)。同じ析出速度の場合、粒子の線成長速度が粒子個数の1/3に比例することを考えると、数倍程度の差しか生じないことになる。また、kは反応速度定数であり、報告例と類似の反応条件では類似の値を与えると期待できる。さらに、通常、kは温度に対してはexp(-E/kBT)に比例し(Eは活性化エネルギーで、過去の知見から大まかに推定することも可能)、濃度に対しては濃度の1乗に比例するなど、その数値の動きの大まかな予測は可能な数値である。よって、これら過去の報告例等の知見に基づいてこれらの定数を仮に定めて上述の式を仮に定めることを行ってもよい。
これらの定数は、当然、探索前に実際に数回の実験を行って定めることを行ってもよい。実際上、過去の知見であるモデルとのずれや、未知の効果、種々の誤差が入ってくる可能性があるため、与えられた式は予測誤差を含む式となるが、その誤差を含めて獲得関数に加味することで、探索範囲が狭められ、かつ、最適値を探索できる確率が向上する。
さらに、探索した結果をもとに獲得関数を修正することで、予測精度を上げることも可能である。また、同時に未知のパラメータ(この例の場合N0)にフィードバックすることも可能であり、これにより、当該式の予測精度を高めることが可能になり、探索速度を向上させることが可能になる。
さらに、これらの前提条件は、必ずしも数式である必要はなく、当該探索前に知り得た、ある独立変数のセットに対する目的関数の値であっても構わない。これらのデータを通常の探索データと同様に扱って獲得関数を変形させることで、獲得関数への反映が可能である。この場合、データの信頼度や対象としている反応系との類似性に応じて変形の大きさを適宜選択することで、予測精度を向上させることが可能である。なお、上記の第1例及び第2例では、所定の条件として、既知の関係式を用いる場合を示したが、所定の条件は、新たに考え出した関係式を用いるものであってもよい。
図2は、本実施形態に係る探索装置10の物理的構成を示す図である。探索装置10は、ハードウェアプロセッサに相当するCPU(Central Processing Unit)10aと、メモリに相当するRAM(Random Access Memory)10bと、メモリに相当するROM(Read only Memory)10cと、通信部10dと、入力部10eと、表示部10fとを有する。これら各構成は、バスを介して相互にデータ送受信可能に接続される。なお、本例では探索装置10が一台のコンピュータで構成される場合について説明するが、探索装置10は、複数のコンピュータを用いて実現されてもよい。
CPU10aは、RAM10b又はROM10cに記憶されたプログラムの実行に関する制御やデータの演算、加工を行う制御部である。CPU10aは、製造装置20の稼働条件を定める複数のパラメータを探索するプログラム(探索プログラム)を実行する演算装置である。CPU10aは、入力部10eや通信部10dから種々の入力データを受け取り、入力データの演算結果を表示部10fに表示したり、RAM10bやROM10cに格納したりする。
RAM10bは、データの書き換えが可能な記憶部であり、例えば半導体記憶素子で構成される。RAM10bは、CPU10aが実行するアプリケーション等のプログラムやデータを記憶する。
ROM10cは、データの読み出しのみが可能な記憶部であり、例えば半導体記憶素子で構成される。ROM10cは、例えばファームウェア等のプログラムやデータを記憶する。
通信部10dは、探索装置10を通信ネットワークに接続するインターフェースであり、例えば、有線又は無線回線のデータ伝送路により構成されたLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等の通信ネットワークに接続される。
入力部10eは、ユーザからデータの入力を受け付けるものであり、例えば、キーボード、マウス及びタッチパネルを含む。
表示部10fは、CPU10aによる演算結果を視覚的に表示するものであり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成される。
探索プログラムは、RAM10bやROM10c等のコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよいし、通信部10dにより接続される通信ネットワークを介して提供されてもよい。探索装置10では、CPU10aが探索プログラムを実行することにより、図1を用いて説明した様々な機能が実現される。なお、これらの物理的な構成は例示であって、必ずしも独立した構成でなくてもよい。例えば、探索装置10は、CPU10aとRAM10bやROM10cが一体化したLSI(Large-Scale Integration)を備えていてもよい。
図3は、本実施形態に係る探索装置10により実行される処理のフローチャートである。はじめに、探索装置10は、製造装置20の稼働条件を定める複数のパラメータを任意の値に設定する(S10)。当初設定される複数のパラメータの値は、ランダムに選択されてもよいし、標準的に用いられている値であってもよい。
稼働制御部16は、設定された複数のパラメータの値で製造装置20を稼働させる(S11)。製造装置20により製造物が製造された後、分析装置30によって製造された製造物を分析する(S12)。
第1算出部12は、分析値に基づいて、目的関数の値を算出する(S13)。第2算出部14は、目的関数の値の履歴に基づいて、獲得関数の値を更新する(S14)。補正部18は、所定の条件に基づいて、獲得関数の値を補正する(S15)。
そして、探索装置10は、獲得関数が最大となる複数のパラメータの値を探索し(S16)、複数のパラメータの値を決定する(S17)。
その後、パラメータの探索を続けるか否かを判定し(S18)、パラメータの探索を続ける場合には(S18:YES)、決定された複数のパラメータを設定して探索処理を繰り返し、パラメータの探索を続けない場合には(S18:NO)、探索処理を終了する。
図4は、本実施形態に係る探索装置10により算出された獲得関数の例を示す第1グラフである。第1グラフでは、縦軸に目的関数及び獲得関数の値を示し、横軸に複数のパラメータの値を1次元で代表して示している。
第1グラフでは、第1測定点D1及び第2測定点D2について、目的関数の値が算出された後における目的関数の期待値P1を実線で示し、目的関数の標準偏差S1をハッチングによって示している。また、予め知ることはできない値であるが、参考のために目的関数Oの真値を破線により示している。第1グラフによれば、第1測定点D1及び第2測定点D2から離れるほど目的関数の標準偏差S1が大きくなり、目的関数の値を改善することができる不確実性が増加していることが確認できる。
第1グラフでは、a(x)=σ(x)×(γ(x)×Φ(γ(x))+N(γ(x)))により算出された獲得関数A1の値を示している。決定部15は、獲得関数A1が最大となるパラメータの第1値M1を、稼働制御部16に設定させるパラメータの値として決定する。これにより、目的関数の値を改善することができる確率及びその不確実性を考慮して、一度の試行でより多くの情報が得られるように、設定するパラメータの値を決定することができる。
図5は、本実施形態に係る探索装置10により更新された獲得関数の例を示す第2グラフである。同図では、図4に示すパラメータの第1値M1を稼働制御部16に設定させ、第3測定点D3について目的関数の値を算出した後に、獲得関数を更新した場合の例を示している。第2グラフにおいても、縦軸に目的関数及び獲得関数の値を示し、横軸に複数のパラメータの値を1次元で代表して示している。
第2グラフでは、第1測定点D1、第2測定点D2及び第3測定点D3について、目的関数の値が算出された後における目的関数の期待値P2を実線で示し、目的関数の標準偏差S2をハッチングによって示している。また、予め知ることはできない値であるが、参考のために目的関数Oの真値を破線により示している。第3測定点D3について目的関数の値が算出されたことで、第2測定点D2と第3測定点D3の間で標準偏差S2が非常に小さくなり、目的関数の期待値P2がほぼ真値と一致していることが確認できる。
さらに、第2グラフでは、第3測定点D3について目的関数の値が算出された後に、更新された獲得関数A2の値を示している。決定部15は、獲得関数A2が最大となるパラメータの第2値M2を、稼働制御部16に設定させるパラメータの値として決定する。このように、あるパラメータを設定して製造装置20を稼働させ、製造される製造物について目的関数の値を算出し、目的関数の値を改善することができる確率及びその不確実性を評価する獲得関数の値が最大となるパラメータを探索することで、目的関数の値を改善することができる確率とその不確実性のバランスを取りながら複数のパラメータを探索することができ、複数のパラメータを効率的に探索することができる。
図6は、本実施形態に係る探索装置10による探索の進捗を示すグラフである。同図では、反応温度(℃)、反応時間(s)、カドミウム原料濃度(mol/l)、セレン原料濃度(mol/l)、アミン添加の種類及びアミン添加物の濃度(mol/l)の6つのパラメータを設定して、製造装置20により蛍光ナノ粒子を製造する場合における、パラメータの探索の進捗を示す。グラフは、6つのパラメータを設定して製造装置20を10回稼働させて蛍光ナノ粒子を製造し、f(x)=(Q-Qav)/σQ+(-1)(F-Fav)/σF+(P-Pav)/σPという目的関数の値を算出し、a(x)=σ(x)×(γ(x)×Φ(γ(x))+N(γ(x)))という獲得関数の値を算出して、獲得関数が最大となる複数のパラメータを決定する、という処理を試行回数が110回になるまで、10セット行った場合における探索の進捗を示す箱ひげ図である。同図では、縦軸に目的関数の値を示し、横軸に試行回数を10回単位で示している。なお、箱ひげ図は、最小値、第1四分位点、中央値(第2四分位点)、第3四分位点、最大値及び外れ値を示している。なお、最小値、第1四分位点、中央値、第3四分位点及び最大値は、外れ値を除いた集合について算出されており、外れ値は、第1四分位点及び第3四分位点に基づき定められる所定の区間に含まれない値として定義されている。
本実施形態に係る探索装置10によれば、6つのパラメータについて、80回程度の試行で目的関数の値が最大値となる組み合わせを発見できていることが確認できる。本実施形態に係る探索装置10では、試行を重ねる度に目的関数の中央値が迅速に収束し、効率の良いパラメータの探索が行われていることが確認できる。
図7は、比較例であるランダムサーチによる探索の進捗を示すグラフである。同図では、図6の場合と同様に、反応温度(℃)、反応時間(s)、カドミウム原料濃度(mol/l)、セレン原料濃度(mol/l)、アミン添加の種類及びアミン添加物の濃度(mol/l)の6つのパラメータを設定して、製造装置20により蛍光ナノ粒子を製造する場合における、パラメータの探索の進捗を示す。図7のグラフは、6つのパラメータを設定して製造装置20を10回稼働させて蛍光ナノ粒子を製造し、f(x)=(Q-Qav)/σQ+(-1)(F-Fav)/σF+(P-Pav)/σPという目的関数の値を算出し、次に探索する複数のパラメータをランダムに決定する、という処理を試行回数が110回になるまで、10セット行った場合における探索の進捗を示す箱ひげ図である。同図では、縦軸に目的関数の値を示し、横軸に試行回数を10回単位で示している。なお、箱ひげ図は、最小値、第1四分位点、中央値(第2四分位点)、第3四分位点、最大値及び外れ値を示している。なお、最小値、第1四分位点、中央値、第3四分位点及び最大値は、外れ値を除いた集合について算出されており、外れ値は、第1四分位点及び第3四分位点に基づき定められる所定の区間に含まれない値として定義されている。
比較例によれば、6つのパラメータについて、110回の試行を行っても目的関数の値が最大値となる組み合わせを発見できていないことが確認できる。比較例では、試行を重ねる度に目的関数の中央値が徐々に上昇しているものの、試行回数を重ねる度に上昇率が鈍化しており、パラメータの探索が効率良く行われていないことが確認できる。
このように、6つのパラメータを設定する場合であっても、ランダムサーチでは効率的なパラメータの探索が行えないが、本実施形態に係る探索装置10によれば、目的関数の値を改善することができる確率とその不確実性のバランスを取りながら複数のパラメータを探索することができ、複数のパラメータを効率的に探索することができる。このような差は、パラメータの数が増えるほど顕著となり、パラメータの数が増えるほど、本実施形態に係る探索装置10が奏する効果は大きなものとなる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
例えば、製造システムは、ポリマーを混合して新材料を製造する製造装置について、ポリマーの種類、混合比、温度といったパラメータを探索装置により探索するものであってもよい。ここで、ポリマーは、温度が高くなるとより低粘度化して相溶性が高まる傾向にあるが、温度が高すぎると変質や焼き付け等の不具合を起こすおそれが高まる。本実施形態に係る製造システムによれば、製造装置が誤動作を起こすおそれに応じて設定される条件により獲得関数を補正することで、最適なパラメータを効率良く探索することができる。
また、例えば、触媒反応についても、高温でより反応速度が高まるが、温度が高すぎると稼働コストが増大したり、触媒の劣化が生じるおそれが増大したりするため、同様に、製造装置が誤動作を起こすおそれに応じて設定される条件により獲得関数を補正したり、製造装置の稼働コストに応じて設定される条件により獲得関数を補正したりすることで、最適なパラメータを効率良く探索することができる。
10…探索装置、10a…CPU、10b…RAM、10c…ROM、10d…通信部、10e…入力部、10f…表示部、11…取得部、12…第1算出部、13…記憶部、14…第2算出部、15…決定部、16…稼働制御部、17…補正部、20…製造装置、21…第1ポンプ、22…第2ポンプ、23…第3ポンプ、24…第4ポンプ、25…ミキサ、26…第1バルブ、27…チャンバ、28…温度調整部、29…第2バルブ、30…分析装置、100…製造システム

Claims (11)

  1. 製造物を製造する製造装置の稼働条件を定める複数のパラメータを特定の値に設定して前記製造装置を稼働させる稼働制御部と、
    前記特定の値で前記製造装置を稼働させた場合に製造された前記製造物を分析した分析値を取得する取得部と、
    前記分析値に基づいて、前記特定の値で前記製造装置を稼働させた結果を評価する目的関数の値を算出する第1算出部と、
    前記目的関数の値に基づいて、前記複数のパラメータを任意の値に設定して前記製造装置を稼働させた場合に、前記目的関数の値を改善することができる確率及びその不確実性を評価する獲得関数の値を算出する第2算出部と、
    前記獲得関数の値に基づいて、前記稼働制御部に設定させる前記複数のパラメータの値を決定する決定部と、
    前記複数のパラメータの値が、前記複数のパラメータに関する所定の条件を満たすか否かに応じて前記獲得関数の値を補正する補正部と、
    を備える探索装置。
  2. 前記第2算出部は、前記第1算出部により前記目的関数の新たな値が算出された場合に、算出された前記目的関数の値の履歴に基づいて、前記獲得関数の値を更新する、
    請求項1に記載の探索装置。
  3. 前記条件は、前記製造装置が誤動作を起こすおそれに応じて設定される、
    請求項1または2に記載の探索装置。
  4. 前記条件は、前記製造装置の稼働コストに応じて設定される、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の探索装置。
  5. 前記条件は、前記複数のパラメータの間の関係に応じて設定される、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の探索装置。
  6. 前記目的関数は、前記製造物の物性値及び前記製造物の製造速度の少なくともいずれかを評価する項を含む、
    請求項1からのいずれか一項に記載の探索装置。
  7. 前記複数のパラメータの少なくとも一部は、連続パラメータであり、
    前記取得部は、前記連続パラメータの値を連続的に変化させて前記製造装置を稼働させた場合に製造された前記製造物を分析した一連の分析値を取得し、
    前記第1算出部は、前記一連の分析値に基づいて、前記目的関数の値の変動を算出する、
    請求項1からのいずれか一項に記載の探索装置。
  8. 前記製造装置は、チャンバの内部で複数の溶液を混合して化学反応を生じさせ、化学物質を製造する装置であり、
    前記複数のパラメータは、前記チャンバの温度、前記チャンバ内の溶液又は化学物質の温度変化速度、前記チャンバの材質、前記チャンバの大きさ、前記複数の溶液の種類、前記複数の溶液の濃度、前記複数の溶液の濃度変化速度、前記複数の溶液の混合タイミング及び前記複数の溶液の反応時間のうち少なくともいずれかを含む、
    請求項1からのいずれか一項に記載の探索装置。
  9. 前記取得部は、蛍光分光法、吸光分光法、ラマン分光法、電子スピン共鳴法、核磁気共鳴法、エックス線回折法、エックス線小角散乱法、動的光散乱法及び光散乱法の少なくともいずれかによって前記化学物質を分析した前記分析値を取得する、
    請求項8に記載の探索装置。
  10. 製造物を製造する製造装置の稼働条件を定める複数のパラメータを特定の値に設定して前記製造装置を稼働させることと、
    前記特定の値で前記製造装置を稼働させた場合に製造された前記製造物を分析した分析値を取得することと、
    前記分析値に基づいて、前記特定の値で前記製造装置を稼働させた結果を評価する目的関数の値を算出することと、
    前記目的関数の値に基づいて、前記複数のパラメータを任意の値に設定して前記製造装置を稼働させた場合に、前記目的関数の値を改善することができる確率及びその不確実性を評価する獲得関数の値を算出することと、
    前記獲得関数の値に基づいて、前記製造装置に設定する前記複数のパラメータの値を決定することと、
    前記複数のパラメータの値が、前記複数のパラメータに関する所定の条件を満たすか否かに応じて前記獲得関数の値を補正することと、
    を含む探索方法。
  11. 製造物を製造する製造装置、前記製造装置により製造された前記製造物を分析する分析装置及び探索装置を備える製造システムであって、
    前記探索装置は、
    前記製造装置の稼働条件を定める複数のパラメータを特定の値に設定して前記製造装置を稼働させる稼働制御部と、
    前記特定の値で前記製造装置を稼働させた場合に製造された前記製造物を前記分析装置により分析した分析値を取得する取得部と、
    前記分析値に基づいて、前記特定の値で前記製造装置を稼働させた結果を評価する目的関数の値を算出する第1算出部と、
    前記目的関数の値に基づいて、前記複数のパラメータを任意の値に設定して前記製造装置を稼働させた場合に、前記目的関数の値を改善することができる確率及びその不確実性を評価する獲得関数の値を算出する第2算出部と、
    前記獲得関数の値に基づいて、前記稼働制御部に設定させる前記複数のパラメータの値を決定する決定部と、
    前記複数のパラメータの値が、前記複数のパラメータに関する所定の条件を満たすか否かに応じて前記獲得関数の値を補正する補正部と、を有する、
    製造システム。
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