JP7020047B2 - スピーカ用キャビネット、およびスピーカシステム - Google Patents

スピーカ用キャビネット、およびスピーカシステム Download PDF

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Description

本発明は、スピーカシステムにおいてスピーカユニットを収納するキャビネットの内部空間に定在波が発生することを抑制する技術に関する。
スピーカユニットと当該スピーカユニットを収納するキャビネットとからなるスピーカシステムでは、スピーカユニットの背面からキャビネット内部空間に放射された音波とキャビネットの内側面により反射された音波との重ね合わせにより、キャビネット内部空間に定在波が発生することがある。このような定在波が発生すると、スピーカシステムにより再生される音の周波数特性にその定在波の周波数に応じたピークやディップが生じ、再生音質が低下するといった不具合が発生する。
このような定在波の発生を抑制するための対策としては、不織布や多孔質材などで形成した吸音材をキャビネット内に設置することが考えられる。しかし、吸音材をキャビネット内に設置すると、キャビネット内部空間の体積が減少して低音域の再生音が貧弱になる、といった他の不具合が発生する。特許文献1には、低音域の再生音が貧弱になるなどの他の不具合を発生させることなく、スピーカシステムのキャビネット内の定在波の発生を抑制する技術が開示されている。特許文献1に開示の技術では、キャビネット内部空間と連通するヘルムホルツ共鳴器を当該キャビネットの壁等に設け、このヘルムホルツ共鳴器の共鳴による吸音により、定在波の発生が抑制される。
特許2606447号公報
スピーカシステムのキャビネットは高い剛性を有することが好ましく、軽量であればさらに好ましい。特許文献1に開示の技術は、低音域の再生音が貧弱になるなどの他の不具合を発生させることなくキャビネット内の定在波の発生を抑制できるが、キャビネットの剛性を高めることはできない。つまり、スピーカユニットを収納するキャビネットの剛性を高めることと、キャビネット内の定在波の発生を抑制することはトレードオフの関係にあり、同時に実現することはできなかった。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、スピーカユニットを収納するキャビネットの剛性を高めつつ、キャビネット内の定在波の発生を抑制することを解決課題の一つとする。
本発明に係るスピーカ用キャビネットの一態様は、外部とキャビネット内部空間とを仕切る壁の一部または全部に設けられた二重壁構造と、前記二重壁構造の前記キャビネット内部空間に接する面に設けられ、前記キャビネット内部空間と前記二重壁構造の内部空間とを連通する一または複数の貫通孔と、前記二重壁構造と前記一または複数の貫通孔とを有し、共鳴周波数が前記キャビネット内部空間に発生する定在波の周波数の近傍となる共鳴気室と、を備える。
本発明に係るスピーカシステムの一態様は、スピーカユニットと、外部とキャビネット内部空間とを仕切る壁の一部または全部に設けられた二重壁構造と、前記二重壁構造の前記キャビネット内部空間に接する面に設けられ、前記キャビネット内部空間と前記二重壁構造の内部空間とを連通する一または複数の貫通孔と、前記二重壁構造と前記一または複数の貫通孔とを有し、共鳴周波数が前記キャビネット内部空間に発生する定在波の周波数の近傍となる共鳴気室と備える、スピーカ用キャビネットと、を有する。
本発明の一実施形態のスピーカシステム1の外観を表す斜視図である。 スピーカシステム1の断面図である。 スピーカシステム1のキャビネット10の壁100の詳細な構成を示す断面図である。 壁100の具体的な構成例を示す図である。 キャビネット10においてY方向に発生する一次の定在波を示す図である。 ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数を説明するための図である。 スピーカシステムの再生音圧およびインピーダンスに対する定在波の影響を説明するための図である。 本実施形態の効果を説明するための図である。 変形例(2)のスピーカシステム1Aの外観を示す斜視図である。 スピーカシステム1Aのキャビネット10A内に発生する定在波と当該定在波を抑制するための構成を説明するための図である。
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を説明する。なお、図面において各部の寸法及び縮尺は実際のものと適宜異なる。また、以下に記載する実施の形態は、本発明の好適な具体例である。このため、本実施形態には、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかしながら、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
<1.実施形態>
図1は、本発明の一実施形態のスピーカシステム1の外観を表す斜視図である。スピーカシステム1は、図示を省略した音源から供給される音信号により駆動されるスピーカユニット20と、スピーカユニット20を収納するキャビネット10と、を備える。キャビネット10は中空立方体であり、6つの壁を有する。壁によって外部とキャビネット内部空間とが仕切られる。以下では、図1のX方向において対向する2つの壁を右側壁100Rおよび左側壁100と呼び、X方向と直交するY方向において対向する2つの壁を正面壁100Fおよび背面壁100Bと呼び、X方向およびY方向の両方と直交するZ方向において対向する2つの壁を天面壁100Tおよび底面壁100Sと呼ぶ。図1では、キャビネット10の6つの壁のうち、右側壁100R、正面壁100Fおよび天面壁100Tのみが図示されている。キャビネット10の正面壁100Fには、スピーカユニット20が嵌め込まれる取付孔が設けられており、この取付孔にスピーカユニット20を嵌め込むことでスピーカシステム1が形成される。
図2は、図1におけるCC´線に沿ったスピーカシステム1の断面図である。正面壁100F、背面壁100B、天面壁100Tおよび底面壁100Sの各々は、スピーカユニット20を収納する内部空間側の壁である内側壁110と外側壁120とを有する二重壁構造となっている。図2では詳細な図示を省略したが、右側壁100Rおよび左側壁100Lも上記二重壁構造となっている。つまり、キャビネット10の6つの壁は全て二重壁構造となっている。以下では、キャビネット10の6つの壁の各々を区別する必要がない場合は、「壁100」と表記する。
図3は、壁100の断面の拡大図である。図3に示すように、壁100の内側壁110と外側壁120の間の空間は仕切り130によって複数の気室140に分割されている。なお、本実施形態では、キャビネット10の6つの壁100の各々において内側壁110と外側壁120の間の間隔L(図3参照)は全て同一である。図3に示すように、壁10の内側壁110には、複数の気室140の各々に1つずつ対応する複数の貫通孔150が設けられている。気室140は、対応する貫通孔150を介してキャビネット10のキャビネット内部空間と連通し、ヘルムホルツ共鳴器の共鳴気室として機能する。換言すれば、貫通孔150は、二重壁構造のキャビネット内部空間に接する面に設けられ、キャビネット内部空間と二重壁構造の内部空間とを連通する。
壁100の具体的な構成としては、図4に示すように、ハニカムコア400を2枚の薄い板材410で挟み、内側壁110に対応する板材410に貫通孔150の役割を果たす貫通孔410aを設ける構成が考えられる。ハニカムコアを薄い板材で挟んだ構造は、軽量かつ高い剛性を得られることが一般に知られている。このため、壁100を図4に示す構造とすることで、キャビネット10の重量が増加することを回避しつつ、キャビネット10の剛性を高めることができる。なお、キャビネット100の重量が増加することを回避するという観点から、壁100の構成素材としては紙や樹脂、木材等が好ましい。
本実施形態では、壁100に形成された共鳴気室の共鳴による吸音を利用して、キャビネット10のキャビネット内部空間における定在波の発生が抑制される。より詳細に説明すると、スピーカシステム1の製造者は、まず、キャビネット内部空間の一次元モード(軸波)の定在波に着目する。キャビネット内部空間において、互いに対向する壁100間の距離がDである場合、上記一次元モードのm(1以上の自然数)次の定在波の周波数fは以下の式(1)で表される。なお、一次元モードの定在波の次数mは、当該定在波において常に振幅がゼロとなる節の数を表す。また、以下の式(1)においてcは音速である。
Figure 0007020047000001
次いで、上記製造者は、図1におけるX方向、Y方向およびZ方向の各々について、対向する2つの壁100の間で発生する一次元モードの定在波の周波数に合うように、当該対向する2つの壁100の共鳴気室の共鳴周波数を調整する。以下、図1におけるY方向に発生する一次元モードの定在波のうちの一次の定在波(図5にて点線で波形が示された定在波)を抑制する場合を例にとって、上記共鳴周波数の調整方法を説明する。図5に示すように、図1におけるY方向に発生する一次元モードの定在波のうちの一次の定在波では、壁100Fおよび壁100Bの付近において振幅が最大となる腹となり、壁100Fと壁100Bの中間付近において節となる。
図6に示すように、体積Vの共鳴気室(ボディ)と当該共鳴気室と外部空間とを連通させるネックとを有し、当該ネックの長さがlであり、同ネックの開口断面積がsであるヘルムホルツ共鳴器500Aの共鳴周波数fは、以下の式(2)で表される。なお、式(2)におけるδは開口端補正値であり、上記ネックの開口の直径をdとすると、δ≒0.8×dである。
Figure 0007020047000002
ここで、図3における共鳴気室140をヘルムホルツ共鳴器500Aのボディに対応させて本実施形態の壁100を図6のヘルムホルツ共鳴器500Bとみなし、このヘルムホルツ共鳴器500Bの共鳴周波数を考える。なお、以下では、壁100における内側壁110と外側壁120の間の空間はM(Mは2以上の自然数)個の共鳴気室140に等分されており、各貫通孔150の開口断面積はsであるとする。前述したように、キャビネット10の内部空間において互いに対向する壁100間の距離はDであり、壁100における内側壁110と外側壁120の間隔L(図3参照)は一定であるから、共鳴気室140の体積Vは(L・D)/Mと表され、V=L・D/Mを式(2)に代入すると、以下の式(3)が得られる。なお、式(3)におけるlは、内側壁110の厚さである。
Figure 0007020047000003

M/Dは壁100の内側壁110における単位面積当たりの貫通孔150の数であり、n=M/Dとすると、図6に示すヘルムホルツ共鳴器500Bの共鳴周波数fは以下の数(4)で表される。なお、式(4)におけるPは貫通孔150の設けられた面の開口率であり、貫通孔150の開口断面積sと、壁100の内側壁110における単位面積当たりの貫通孔150の数nとを用いてP=s×nと表される。
Figure 0007020047000004
壁100における内側壁110と外側壁120の間隔Lは固定である。したがって、上記製造者は、貫通孔150の開口面積sと内側壁110における単位面積当たりの貫通孔130の数nの何れか一方、或いは両方を調整することで、共鳴周波数fを調整することができる。D=42cmの場合、キャビネット10の内部空間においてY方向に発生する一次の定在波(図5にて点線で波形が示された定在波)の波長は82cmである。そして、キャビネット10の内部空間の温度として15℃を想定すると、上記定在波の周波数の理論値は約404Hzとなる。図5にて点線で示した定在波の発生を抑制する場合、上記製造者は、正面壁100Fおよび背面壁100Bの共鳴周波数fが404Hzの近傍の値となるように、正面壁100Fおよび背面壁100Bの各々における貫通孔150の開口断面積sと単位面積当たりの数nの少なくとも一方を調整する。
図7は、互いに対向する壁間の距離Dが42cmであり、かつ6つの壁が上記二重壁構造とはなっていない中空立方体のスピーカ用キャビネットにスピーカユニットを収納した従来型スピーカシステムの再生音圧およびインピーダンスの周波数特性を示す図である。図7におけるグラフ曲線G01は再生音圧の周波数特性を表し、グラフ曲線G02はインピーダンスの周波数特性を表す。図7に示すように、グラフ曲線G01には422Hz付近にディップが現れており、グラフ曲線G02には422Hz付近にピークが現れている。これらディップおよびピークは上記一次の定在波に起因する特性の乱れであり、この特性の乱れに起因して再生音質が低下すると考えられる。なお、上記一次の定在波の周波数の理論値(404Hz)と図7にて特性の乱れが発生している周波数(422Hz)とに差異があるのは、理論計算の誤差や実験条件に起因すると考えられる。
図8は、背面壁100Bのみを上記二重壁構造とし、当該背面壁100Bに複数の共鳴気室を形成したスピーカシステム(以下、参考スピーカシステム)の再生音圧の周波数特性と、従来型スピーカシステムの再生音圧の周波数特性とを示す図である。図8におけるグラフ曲線G03は、従来型スピーカシステムの周波数特性を表しており、グラフ曲線G04は参考スピーカシステムの再生音圧の周波数特性を表している。図8を参照すれば明らかなように、グラフ曲線G03には422Hz付近に顕著なディップが現れている一方、グラフ曲線G04では422Hz付近にディップは現れていない。このように、キャビネット10の背面壁100に複数の共鳴気室を形成し、これら共鳴気室の共鳴周波数をY方向の一次の定在波の周波数fの近傍の値に調整しておくことで、当該定在波の発生に起因する特性の乱れが解消される。
以上に説明した例では、キャビネット10の背面壁100Bに複数の共鳴気室を形成する場合について説明したが、背面壁100Bに代えて正面壁100Fに複数の共鳴気室を形成しても良く、背面壁100Bと正面壁100Fの両方に複数の共鳴気室を形成しても良い。また、キャビネット10の右側壁100Rと左側壁100Lの何れか一方或いは両方に複数の共鳴気室を形成し、当該共鳴気室の共鳴周波数fを、式(1)にしたがって算出される周波数f近傍の値とすることでX方向の一次の定在波の発生を抑制することができる。同様に、キャビネット10の天面壁100Tと底面壁100Sの何れか一方或いは両方に上記複数の共鳴気室を形成し、当該共鳴気室の共鳴周波数fを、式(1)にしたがって算出される周波数f近傍の値とすることでZ方向の一次の定在波の発生を抑制することができる。このように、本実施形態によれば、X方向、Y方向、およびZ方向の方向毎に一次の定在波を別箇独立に抑制することが可能になる。
加えて、本実施形態では、キャビネット10の内部空間に吸音材や別の構造体を設置する必要はなく、キャビネット10の内部空間の体積が圧迫されることも無い。また、キャビネット10の6つの壁100の一部或いは全部についてハニカムコアを用いた二重壁構造とすることで、キャビネット10の重量が増加することを回避しつつ、キャビネット10の剛性を高めることができる。つまり、本実施形態によれば、スピーカユニット20を収納するキャビネット10の剛性を高めつつ、キャビネット10内の定在波の発生を抑制し再生音質を向上させることが可能になる。
<2.変形例>
以上の実施態様は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は相矛盾しない限り適宜に併合され得る。
<2-1:変形例1>
上記実施形態では、一次元モードの定在波のうち次数の最も低い定在波、すなわち、m=1の定在波を抑制する場合について説明したが、m≧2の定在波、すなわち高次の定在波についても式(4)にしたがって算出される共鳴周波数fが当該m次の定在波の周波数fの近傍の値となるように貫通孔150の開口断面積sと単位面積当たりの数nの少なくとも一方を調整することで抑制可能である。
<2-2:変形例2>
上記実施形態のキャビネット10は、6つの壁100の一部または全部が二重壁構造の中空立方体であったが、6つの壁100の一部または全部が二重壁構造の中空直方体であるキャビネット10Aにスピーカユニット20を収納したスピーカシステム1A(図9参照)に本発明を適用しても良い。図9は、本変形例のスピーカシステム1Aの外観を示す斜視図である。キャビネット10Aは、キャビネット内部空間におけるX方向の長さがDx、Y方向の長さがDy(Dy≠Dx)、Z方向の長さがDz(Dz≠DxかDz≠Dy)の中空直方体である。
図10は、キャビネット10Aの内部空間においてX方向、Y方向およびZ方向に発生する一次元モードの定在波の波形が図示されている。なお、図10では、X方向、Y方向およびZ方向の一次の定在波の波形が点線で描画されており、二次の定在波の波形が一点鎖線で描画されている。図10における一次の定在波GX1と二次の定在波GX2の何れか一方の発生を抑制する場合、キャビネット10Aの右側壁100Rと左側壁100Lの少なくとも一方を上記二重壁構造として複数の共鳴気室を形成し、各共鳴気室の共鳴周波数を抑制対象の定在波の周波数の近傍の値に調整しておけば良い。また、図10における一次の定在波GY1と二次の定在波GY2の何れか一方の発生を抑制する場合には、キャビネット10Aの正面壁100Fと背面壁100Bの少なくとも一方に複数の共鳴気室を形成し、各共鳴気室の共鳴周波数を抑制対象の定在波の周波数の近傍の値に調整しておけば良い。同様に、図10における一次の定在波GZ1或いは二次の定在波GZ2の何れか一方の発生を抑制する場合には、キャビネット10Aの天面壁100Tと底面壁100Sの少なくとも一方に複数の共鳴気室を形成し、各共鳴気室の共鳴周波数を抑制対象の定在波の周波数の近傍の値に調整しておけば良い。
また、図10における定在波GX1と定在波GX2の両方を抑制対象とする場合には、右側壁100Rと左側壁100Lの少なくとも一方に形成した複数の共鳴気室の各々が以下の2つのグループの何れかに属するように、貫通孔150の開口断面積sを定めておけば良い。第1のグループは共鳴周波数fが一次の定在波の周波数f近傍の値となる共鳴気室のグループである。第2のグループは、共鳴周波数fが二次の定在波の周波数f近傍の値となる共鳴気室のグループである。この場合、第1のグループに属する共鳴気室の数は一次の定在波の大きさ、具体的には当該定在波の腹における振幅の大きさに応じた数(当該振幅が大きいほど大きな数)であり、第2のグループに属する共鳴気室の数は二次の定在波の大きさに応じた数であることが好ましい。この態様によれば、各次数の定在波を各々の大きさに応じて別箇に抑制することが可能になる。
<2-3:変形例3>
図9のスピーカシステム1Aにおけるキャビネット10Aの壁100の一部または全部に形成する共鳴気室の共鳴周波数fを、以下の式(5)にしたがって算出される周波数fの近傍の値となるように、貫通孔150の開口断面積sを調整しておくことで二次元モード以上の高次元モードの定在波の発生を抑制することも可能である。なお、式(5)におけるm、mおよびmは何れも0以上の任意の整数であり、上記高次元モードの定在波のX方向、Y方向およびZ方向の節の数を表す。前述した一次元モードの定在波とは、m、mおよびmのうちの何れか2つが0で、残りの1つが0以外の値の定在波であり、高次元モードの定在波とはm、mおよびmのうちの何れか1つが0である定在波、またはm、mおよびmの何れも0でない定在波のことを言う。
Figure 0007020047000005
また、一次元モードの定在波と高次元モードの定在波の両方を抑制対象とする場合には、キャビネット10Aの壁の一部または全部に形成した複数の共鳴気室の各々が以下の2つのグループの何れかに属するように、各貫通孔150の開口断面積sを定めれば良い。第1のグループは共鳴周波数fが一次の定在波の周波数近傍の値となる共鳴気室のグループであり、第2のグループは、共鳴周波数fが高次元モードの定在波の周波数近傍の値となる共鳴気室のグループである。この場合も、第1のグループに属する共鳴気室の数は一次元モードの定在波の大きさに応じた数であり、第2のグループに属する共鳴気室の数は高次元モードの定在波の大きさに応じた数であることが好ましい。この態様によれば、一次元モードの定在波と高次元モードの定在波とを、各々の大きさに応じて別箇に抑制することが可能になる。
<2-4:変形例4>
上記実施形態では、壁100に設けられる気室140の数と貫通孔150の数が同じであった。しかし、内側壁110を2つの領域に分け、一方の領域にのみ気室140に対応する貫通孔150を設ける等、壁100における貫通孔150の数が気室140の数よりも少なくても良い。この場合、壁100に設けられる気室140に設けられた気室140は、貫通孔150を有さない気室140と貫通孔140を有する気室140とに大別され、貫通孔150を有する気室140のみが共鳴気室として機能する。
また、貫通孔150を有する気室140、すなわち共鳴気室は、キャビネット10の6つの壁100の内側面のどこにあってもよいが、音圧が高い箇所に設けることが好ましい。例えば、壁100の内側面の角(コーナー)部分のみに貫通孔150を有する気室14を設けても良い。
<2-5:変形例5>
上記実施形態では、スピーカユニットと当該スピーカユニットを収納するキャビネットとからなるスピーカシステムへの本発明の適用例を説明したが上記実施形態におけるキャビネット10或いは変形例2におけるキャビネット10Aを単体で製造・販売しても良い。要は、外部とキャビネット内部空間とを仕切る壁の一部または全部に設けられた二重壁構造と、二重壁構造のキャビネット内部空間に接する面に設けられ、キャビネット内部空間と二重壁構造の内部空間とを連通する一または複数の貫通孔と、二重壁構造と一または複数の貫通孔とを有し、共鳴周波数が前記キャビネット内部空間に発生する定在波の周波数の近傍となる共鳴気室と、を備えるスピーカ用キャビネット、を提供する態様であっても良い。
<2-6:変形例6>
上記実施形態では、二重壁構造の内部空間は仕切り130によって複数の気室140に分割されたが、本発明はこれに限定されるものではなく、1つの内部空間を有する二重壁構造であってもよい。この場合、二重壁構造にはスピーカユニットを収納する空間と連通する貫通孔150が設けられ、共鳴気室として機能する。
また、上述した実施形態では、一つの共鳴気室に貫通孔150を一つ設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、一つの共鳴気室に2以上の貫通孔150を設けても良い。
<3.実施形態及び各変形例の少なくとも1つから把握される態様>
上述した各実施形態及び各変形例の少なくとも1つから以下の態様が把握される。
スピーカ用キャビネットは、外部とキャビネット内部空間とを仕切る壁の一部または全部に設けられた二重壁構造と、前記二重壁構造の前記キャビネット内部空間に接する面に設けられ、前記キャビネット内部空間と前記二重壁構造の内部空間とを連通する一または複数の貫通孔と、前記二重壁構造と前記一または複数の貫通孔とを有し、共鳴周波数が前記キャビネット内部空間に発生する定在波の周波数の近傍となる共鳴気室と、を備える。
この態様によれば、上記二重壁構造によりスピーカ用キャビネットの剛性を高めることができ、かつキャビネット内部空間での定在波の発生を上記共鳴気室の共鳴により抑制することができる。
上述したスピーカ用キャビネットの一態様において、前記共鳴周波数は、前記共鳴気室が設けられた壁と当該壁に対向する壁との間で発生する定在波の周波数の近傍となることが好ましい。
この態様によれば、共鳴気室が設けられた壁と当該壁に対向する壁との間に定在波が発生することを抑制できる。
上述したスピーカ用キャビネットの一態様において、前記複数の共鳴気室の共鳴周波数は、前記共鳴気室が設けられた壁と当該壁に対向する壁との間で発生する定在波のうち一次元モードの定在波の周波数の近傍の周波数と二次元以上の高次元モードの定在波の周波数の近傍の周波数とを含むことが好ましい。
この態様によれば、共鳴気室が設けられた壁と当該壁に対向する壁との間における一次元モードの定在波の発生と高次元モードの定在波の発生の両方を抑制できる。
上述したスピーカ用キャビネットの一態様において、前記二重壁構造は、仕切りによって分割された複数の気室を備え、前記複数の気室の一部または全部に前記貫通孔が設けられて複数の共鳴気室が形成され、前記複数の共鳴気室の共鳴周波数は、前記一次元モードの定在波の周波数と前記高次元モードの定在波の周波数とに少なくとも対応しており、前記一次元モードの定在波に対応する共鳴気室の数および前記高次元モードの定在波に対応する共鳴気室の数は、前記一次元モードの定在波の振幅と前記高次元モードの定在波の振幅とに応じた数であることが好ましい。
この態様によれば、一次元モードの定在波と高次元モードの定在波とを、各々の大きさに応じて別箇に抑制することができる。
上述したスピーカ用キャビネットの一態様において、6つの壁を有し、6つの壁の全てに前記二重壁構造が設けられていることが好ましい。
この態様によれば、立方体形状或いは直方体形状のキャビネットにおける内部空間側の壁面の全てを、定在波の抑制に寄与させることができる。
上述したスピーカ用キャビネットの一態様において、6つの壁のうち第一面と第二面は第一の方向に対向し、第三面と第四面は第1の方向と直交する第二の方向に対向し、第五面と第六面は第一および第二の方向の両方に直交する第三の方向に対向し、第一面と第二面の各々における共鳴気室の共鳴周波数は、第一の方向の定在波の周波数の近傍となり、第三面と第四面の各々における共鳴気室の共鳴周波数は、第二の方向の定在波の周波数の近傍となり、第五面と第六面の各々における共鳴気室の共鳴周波数は、第三の方向の定在波の周波数の近傍となることが好ましい。
この態様によれば、第一、第二および第三の各方向毎に定在波の発生を別箇に抑制することができる。
スピーカシステムの一態様は、スピーカユニットと、外部とキャビネット内部空間とを仕切る壁の一部または全部に設けられた二重壁構造と、前記二重壁構造の前記キャビネット内部空間に接する面に設けられ、前記キャビネット内部空間と前記二重壁構造の内部空間とを連通する一または複数の貫通孔と、前記二重壁構造と前記一または複数の貫通孔とを有し、共鳴周波数が前記キャビネット内部空間に発生する定在波の周波数の近傍となる共鳴気室と、を有する。
この態様によれば、スピーカシステムにおけるスピーカ用キャビネットの剛性を高めつつ、キャビネット内部空間での定在波の発生を抑制することができる。
1,1A…スピーカシステム、10,10A…キャビネット、20…スピーカユニット、100…壁、100F…正面壁、100B…背面壁、100R…右側壁、100L…左側壁、100T…天面壁、100S…底面壁、110…内側壁、120…外側壁、130…仕切り、140…気室、150…貫通孔。

Claims (7)

  1. 外部とキャビネット内部空間とを仕切る壁の一部または全部に設けられた二重壁構造と、
    前記二重壁構造の前記キャビネット内部空間に接する面に設けられ、前記キャビネット内部空間と前記二重壁構造の内部空間とを連通する一または複数の貫通孔と、
    前記二重壁構造と前記一または複数の貫通孔とを有し、共鳴周波数が前記キャビネット内部空間に発生する定在波の周波数の近傍となる共鳴気室と、
    を備え
    前記共鳴周波数は、前記キャビネット内部空間で発生する定在波のうち一次元モードの定在波の周波数の近傍の周波数と二次元以上の高次元モードの定在波の周波数の近傍の周波数とを含むことを特徴とする、
    スピーカ用キャビネット。
  2. 前記二重壁構造は、仕切りによって分割された複数の気室を備え、
    前記複数の気室の一部または全部に前記貫通孔が設けられて複数の共鳴気室が形成され、
    前記複数の共鳴気室は、それぞれ異なる周波数に対応する請求項1に記載のスピーカ用キャビネット
  3. 外部とキャビネット内部空間とを仕切る壁の一部または全部に設けられた二重壁構造と、
    前記二重壁構造の前記キャビネット内部空間に接する面に設けられ、前記キャビネット内部空間と前記二重壁構造の内部空間とを連通する一または複数の貫通孔と、
    前記二重壁構造と前記一または複数の貫通孔とを有し、共鳴周波数が前記キャビネット内部空間に発生する定在波の周波数の近傍となる共鳴気室と、
    を備え
    前記共鳴周波数は、前記共鳴気室が設けられた壁と当該壁に対向する壁との間で発生する定在波の周波数の近傍となり、
    前記共鳴気室の共鳴周波数は、前記共鳴気室が設けられた壁と当該壁に対向する壁との間で発生する定在波のうち一次元モードの定在波の周波数の近傍の周波数と二次元以上の高次元モードの定在波の周波数の近傍の周波数とを含むことを特徴とする、
    スピーカ用キャビネット。
  4. 前記二重壁構造は、仕切りによって分割された複数の気室を備え、
    前記複数の気室の一部または全部に前記貫通孔が設けられて複数の共鳴気室が形成され、
    前記複数の共鳴気室の共鳴周波数は、前記一次元モードの定在波の周波数と前記高次元モードの定在波の周波数とに少なくとも対応しており、
    前記一次元モードの定在波に対応する共鳴気室の数および前記高次元モードの定在波に対応する共鳴気室の数は、前記一次元モードの定在波の振幅と前記高次元モードの定在波の振幅とに応じた数であることを特徴とする請求項3に記載のスピーカ用キャビネット。
  5. 6つの壁を有し、前記6つの壁の全てに前記二重壁構造が設けられていることを特徴と
    する請求項1乃至4の何れか1項に記載のスピーカ用キャビネット。
  6. 前記6つの壁のうち第一面と第二面は第一の方向に対向し、第三面と第四面は前記第1
    の方向と直交する第二の方向に対向し、第五面と第六面は前記第一および第二の方向の両
    方に直交する第三の方向に対向し、
    前記第一面と前記第二面の各々における前記共鳴気室の共鳴周波数は、前記第一の方向
    の定在波の周波数の近傍となり、
    前記第三面と第四面の各々における前記共鳴気室の共鳴周波数は、前記第二の方向の定
    在波の周波数の近傍となり、
    前記第五面と前記第六面の各々における共鳴気室の共鳴周波数は、前記第三の方向の定
    在波の周波数の近傍となることを特徴とする請求項5に記載のスピーカ用キャビネット。
  7. スピーカユニットと、
    請求項1乃至6の何れか1項に記載のスピーカ用キャビネットと、
    を有するスピーカシステム。
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