JP7016906B2 - 振動型アクチュエータの制御装置、駆動装置、交換用レンズ、撮像装置、自動ステージ、および振動型アクチュエータの制御方法 - Google Patents

振動型アクチュエータの制御装置、駆動装置、交換用レンズ、撮像装置、自動ステージ、および振動型アクチュエータの制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、振動型アクチュエータの制御装置とその制御方法、駆動装置、撮像装置、及び自動ステージに関するものである。
振動型アクチュエータの一例として振動型モータについて説明する。振動型モータは、弾性体に結合された、圧電素子等の電気-機械エネルギー変換素子に交流電圧を印加することで、該素子に高周波振動を発生させ、その振動エネルギーを連続的な機械運動として取り出すように構成された、非電磁駆動式のモータである。
振動型モータによって、駆動対象である被駆動部材を目標位置まで短時間で、且つ高速に移動させようとした場合、停止時に目標位置を越えてしまうオーバーシュートが発生することがある。また、オーバーシュートした距離だけ被駆動部材を逆方向に移動する戻り作業により整定時間が長くなってしまうことがある。
この課題に対して、以下のような制御装置及び制御方法が提案されている。
特許文献1は、目標位置に停止させるまで、段階的に目標速度を小さくする減速制御手段を有する制御装置である。特許文献2は、位置決め完了前に、PID制御演算におけるPゲイン(比例項)とIゲイン(積分項)を上げる制御方法である。特許文献3は、目標位置の直前で反転動作を無制御で行なった後、目標位置到達後に駆動電圧をオフにすることで停止動作を行なう制御装置である。
特開平04-075478 特開2000-116159 特開平3-261380
しかし、従来技術による振動型アクチュエータの制御装置では、制御性を損なうことなく、目標位置に近づくほど停止動作の応答性を高めることはできない。つまり、電圧オフのような停止動作は短時間での減速が可能だが、振動型アクチュエータの制御性が損なわれてしまい停止精度が問題となってしまう。また、ゆるやかな減速制御を行なえばオーバーシュートなく停止することが可能だが、駆動時間が長くなってしまう。
そこで本発明の一様態は、制御性を損なうことなく、オーバーシュートを低減することを目的とする。
本発明の一様態は、振動子と前記振動子の振動によって駆動する被駆動部材を備えた振動波アクチュエータの制御装置であって、
前記振動子と前記被駆動部材との相対位置と前記相対位置に関する指令値との差である第1の偏差を取得する手段と、
前記相対位置の目標位置と前記相対位置との差である第2の偏差に基づいてゲインを求め、前記第2の偏差の減少に応じて前記ゲインを減少させるように構成されるゲイン調整手段と、
前記第1の偏差と前記ゲインを用いて前記振動子を制御する制御量を出力する制御量演算部と、
前記制御量演算部が出力した前記制御量が入力され、前記制御量を位相差と周波数の少なくとも一方に関する制御信号に変換し、前記制御信号を前記振動子の前記駆動部へ出力する制御パラメータ生成部、
を制御部に備えていることを特徴とする振動型アクチュエータの制御装置に関する。
また、本発明の一様態は、振動子と前記振動子に接触された被駆動部材とを有する振動型アクチュエータの制御方法において、
前記振動子と被駆動部材との相対位置に関する指令値と前記相対位置との差である第1の偏差を求める工程と、
前記相対位置の目標位置と前記相対位置との差である第2の偏差に基づきゲインを求め、前記第2の偏差の減少に応じて前記ゲインを減少させる工程と、
前記ゲインと前記第1の偏差の両方に基づいた制御量により、前記制御量を位相差と周波数の少なくとも一方に関する制御信号に変換する工程と、
前記制御信号により前記振動子の駆動用の交流信号を生成する工程と、
を有する振動型アクチュエータの制御方法に関する。
本発明の一様態によれば、制御性を損なうことなく、オーバーシュートを低減することができる。
本発明の第1の実施の形態における、振動型アクチュエータ及びその制御装置の一例を示す図である。 リニア駆動の振動型アクチュエータの一例の駆動原理を説明する図である。 レンズ鏡筒のレンズの駆動機構の一例を説明する図である。 第1の偏差と第2の偏差の違いを説明する図である。 本発明の制御量演算部の一例を示す図である。 本発明のゲイン調整手段で用いるルックアップテーブルの一例を示す図である。 本発明の位相差‐周波数判定部の出力例を説明する図である。 本発明の交流信号発生手段の構成例を示す図である。 第1の実施の形態の制御装置の一例におけるタイミングチャートを示す図である。 第1の実施の形態の制御装置の一例における制御結果を示す図である。 第1の実施の形態の制御結果の例における第1及び第2の偏差と位相差の時間変化を示す図である。 本発明の第2の実施の形態における、振動型アクチュエータ及びその制御装置の一例を示す図である。 本発明の第2の実施の形態の制御装置の一例におけるタイミングチャートを示す図である。 本発明の位相差及び周波数変換部における変形例を説明する図である。 本発明の電圧調整手段で用いるルックアップテーブルの一例を示す図である。 本発明の制御装置の適用例である撮像装置の外観を示す平面図及び内部構造の概略図である。 本発明の制御装置の適用例である顕微鏡の外観を示す図である。
(第1の実施の形態)
本発明に適用できる振動型アクチュエータの一例について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態の振動型アクチュエータは、振動子、及び被駆動部材を有する。
図2は、振動型アクチュエータの例として、リニア駆動型の振動型モータの駆動原理を説明する図である。図2(a)に示す振動型モータは、弾性体203、及び弾性体203に接着された電気―機械エネルギー変換素子である圧電素子204を有する振動子114と、振動子114によって駆動される被駆動部材115を有する。圧電素子204に交流電圧を印加することにより、図2(c)、(d)に示すような2つの振動モードを発生させ、突起部202に加圧接触する被駆動部材115を矢印方向に移動させる。
図2(b)は圧電素子204の電極パターンを示す図であり、例えば振動子114の圧電素子204には、長手方向で2等分された電極領域が形成されている。また、各電極領域における分極方向は、同一方向(+)となっている。圧電素子204の2つの電極領域のうち図2(b)の右側に位置する電極領域には交流電圧(VB)が印加され、左側に位置する電極領域には交流電圧(VA)が印加される。
VBおよびVAを第1の振動モードの共振周波数付近の周波数で、かつ同位相の交流電圧とすると、圧電素子204の全体(2つの電極領域)がある瞬間には伸び、また別の瞬間には縮むことになる。この結果、振動子114には図2(c)に示す第1の振動モードの振動が発生することになる。これにより、突起部202には、突き上げ方向(Z方向)の変位が生じる。
また、VBおよびVAを第2の振動モードの共振周波数付近の周波数で、かつ位相が180°ずれた交流電圧とすると、ある瞬間には、圧電素子204の右側の電極領域が縮むとともに、左側の電極領域が伸びる。また、別の瞬間には逆の関係となる。この結果、振動子114には図2(d)に示す第2の振動モードの振動が発生することになる。これにより、突起部202には、駆動補講(送り方向、X方向)の変位が生じる。
したがって、第1及び第2の振動モードの共振周波数付近の周波数を有する交流電圧を圧電素子204の電極に印加することで、第1及び第2の振動モードが合成された振動を励起することができる。
このように、2つの振動モードを合成することにより、突起部202は、図2(d)におけるY方向(X方向及びZ方向と垂直な方向)に垂直な断面において、楕円運動を行う。該楕円運動によって、被駆動部材115が図2(a)の矢印方向に駆動される。この被駆動部材115と振動子114が相対移動する方向、すなわち振動子114によって被駆動部材115が駆動される方向(ここではX方向)を、駆動方向と示す。
また、第1の振動モードと第2の振動モードの発生比は、2等分された電極へ入力する交流電圧の位相差を変えることにより変更可能である。この振動型モータでは、発生比を変えることにより被駆動部材の速度を変更させることが可能となる。
なお、上記説明では、振動子114が静止し、被駆動部材115が移動する場合を例として説明したが、本発明はこの形態に限定されない。被駆動部材115と振動子114は、互いの接触部の位置が相対的に変わっていればよく、例えば、被駆動部材115が固定されて振動子114が移動してもよく、また、被駆動部材115及び振動子114の両方が移動していても良い。すなわち、本発明において、「駆動する」とは、被駆動部材と振動子の相対的な位置を変化させることを意味し、被駆動部材の位置(たとえば、被駆動部材と振動子とを内包する筐体の位置を基準とした場合の被駆動部材の位置)が変化することを要しない。
振動型アクチュエータは、例えばカメラのオートフォーカス駆動などに用いられている。オートフォーカス駆動には高精度な位置決め制御が必要であり、例えば位置センサを用いた位置フィードバック制御が行われる。圧電素子に印加する交流電圧信号の周波数、2相の信号の位相差、パルス幅などを調整することによって、振動型アクチュエータの速度をコントロールすることができる。例えば、駆動周波数を圧電素子の共振周波数に近づけるほど振動振幅が大きくなり、駆動対象物であるレンズを高速に駆動することができる。
オートフォーカス駆動における位置決め制御について説明する。振動型アクチュエータによって駆動されるフォーカスレンズは、制御装置によって開始位置から所定の速度まで加速され、一定速度で駆動された後に、目標位置に近づくにつれて減速しながら停止するように制御される。一般に、フォーカス速度は速さが望まれるので、フォーカスレンズを目標位置まで短時間、且つ高速に移動するよう、振動型アクチュエータを制御することとなる。すると、オーバーシュートや、戻り動作による整定時間の長時間化の課題が発生する。本実施の形態の振動型駆アクチュエータの制御装置を用いることで、制御性を損なうことなく、目標位置に近づくほど停止動作の応答性を高めてオーバーシュートを低減し、整定時間を短くすることができる。
図3は、本実施の形態のレンズ鏡筒のレンズの駆動機構を説明する図である。振動型アクチュエータによるレンズホルダの駆動機構は、振動子と、レンズホルダと、このレンズホルダを摺動自在に保持する、平行に配された第1ガイドバー及び第2ガイドバーとを備えている。本実施の形態において、第2ガイドバーが被駆動部材であり、第2ガイドバーは固定され、振動子とレンズホルダが一体となって移動する場合について説明する。
振動子は、電気-機械エネルギー変換素子に対する駆動電圧の印加によって生成された振動子の突起部の楕円運動によって、振動子と弾性体の突起部と接触する第2ガイドバーとの間に相対移動力を発生させる。これによって、振動子と一体に固定されたレンズホルダを第1及び第2ガイドバーに沿って移動可能に構成されている。
具体的には、被駆動部材の駆動機構300は、主にレンズ保持部材であるレンズホルダ302、レンズ306、フレキシブルプリント基板が結合された振動子114、加圧磁石305、2つのガイドバー303、304及び不図示の基体を有する。ここでは、振動子として振動子114を例に説明する。
第1のガイドバー303、第2ガイドバー304は、互いに平行に配置されるようにそれらの各ガイドバーの両端が、不図示の基体により保持固定されている。レンズホルダ302は、円筒状のホルダ部302a、振動子114及び加圧磁石305を保持固定する保持部302b、第1ガイドバー303と嵌合してガイドの作用をなす第1のガイド部302cを有する。
加圧手段を構成するための加圧磁石305は、永久磁石及び永久磁石の両端に配置される2つのヨークを有する。加圧磁石305と第2ガイドバー304との間に磁気回路が形成され、これら部材間に吸引力が発生する。加圧磁石305は第2ガイドバー304とは間隔を設けて配置されており、第2ガイドバー304は振動子114と接するように配置されている。
前記の吸引力により第2ガイドバー304と振動子114との間に加圧力が与えられる。弾性体の2箇所の突起部が第2ガイドバー304と加圧接触して第2のガイド部を形成する。第2のガイド部は磁気による吸引力を利用してガイド機構を形成しており、外力を受ける等により振動子114と第2ガイドバー304が引き離される状態が生じるが、これに対しては、つぎのように対処されている。
すなわち、レンズホルダ302に備えられる脱落防止部302dが第2ガイドバー304に当たることで、レンズホルダ302が所望の位置に戻るように対応が施されている。振動子114に所望の交流電圧信号を与えることで振動子114と第2ガイドバー304との間に駆動力が発生し、この駆動力によりレンズホルダの駆動が行われる。
図1は、本実施の形態の振動型アクチュエータの制御装置、及び駆動装置を示す図である。駆動装置30は、振動子114及び被駆動部材115を有する振動型アクチュエータ20、振動型アクチュエータを制御する制御装置10、振動子114と被駆動部材115の相対位置を検出する位置検出手段117を有する。制御装置10は、制御部121及び駆動部122を有する。
制御部は、振動子と被駆動部材との相対位置と前記相対位置に関する指令値との差である第1の偏差と、ゲインと、を用いて、前記振動子の駆動を制御するための情報を有する信号を生成できるよう構成されている。前記ゲインは、前記相対位置の目標位置と前記相対位置の差である第2の偏差に基づき決定される。例えば、制御部121は、指令値生成手段105、制御量演算部107、位相差―周波数制御部118、ゲイン調整手段108、及び電圧調整手段116を有し、駆動部122は、交流信号生成手段112及び圧電回路113を有する。
指令値生成手段105によって振動子114と被駆動部材115との相対位置の時間毎の指令値が生成される。また、第1の減算器119で、位置検出手段117で検出された振動子114と被駆動部材115との相対位置と指令値との差分が第1の偏差(101)として演算される。また、最終的な目標位置である目標位置106と相対位置との差分が、第2の偏差(102)として、第2の減算器120で演算される。
第1の偏差(101)と、第2の偏差(102)に基づき変化するゲイン(103)の両方を用いて、制御量演算部107で制御量(104)が演算、出力される。ゲイン(103)は、ルックアップテーブルなどのゲイン調整手段108によって第2の偏差に基づいて求められる制御ゲインである。制御量演算部107では、後述のようにPID補償器などを用いて制御量(104)が演算される。
ここで、振動子と被駆動部材の相対位置に関する指令値とは、時間毎に指令値生成手段から出力される相対位置に関する値であり、例えば、位置制御サンプリング毎に1つの指令値が指令値生成手段から出力される。位置制御サンプリングとは、例えば図1において、第1の偏差の取得から、振動子への交流信号の入力、振動子と被駆動部材の相対速度や相対位置の検出を経て、第1の偏差の取得が始まる直前までの1サイクルを示す。
より具体的には、位置制御サンプリングとは、例えば図1において、以下のサイクルを指す。指令値と検出信号から第1の偏差を取得し、目標位置と検出信号から第2の偏差を取得し、第2の偏差に基づいてゲインを求め、求めたゲインと第1の偏差から制御量を求める。求めた制御量から制御パラメータを求め、制御パラメータに基づいた交流信号を、昇圧回路を介して振動子に印加することで振動子を駆動し、振動子と被駆動部材との相対速度や相対位置を検出信号として検出する。この、第1及び第2の偏差の取得から、次の第1及び第2の偏差の取得が始まる前までの1サイクルを、位置制御サンプリングと言う。
なお、相対位置に関する指令値とは、位置検出手段による相対位置に基づいて求めるだけでなく、相対速度を検出し、検出した相対速度から求めてもよい。
また、振動子と被駆動部材の相対位置に関する目標位置とは、振動子と被駆動部材の相対位置として最終的に到達させたい相対位置であって、位置制御サンプリング毎には変更されない値である。
PID補償器とは比例(P)・積分(I)・微分(D)の各機能を有する補償器の出力を加算したものであり、制御対象の位相遅れやゲインを補償して、安定且つ高精度な制御系を構築するために一般的に用いられる。
制御量(104)は、制御パラメータ変換手段である、制御パラメータ生成部118に入力され、制御パラメータ生成部118の出力が交流信号生成手段112に入力される。位相差‐周波数制御部118は、例えば、位相差変換部109、周波数変換部110、及び位相差‐周波数判定部111を有する構成とすることができる。制御量(104)は、位相差変換部109と周波数変換部110とによって、振動型アクチュエータを駆動する交流電圧信号の制御パラメータである、位相差と周波数とに、各々変換される。
位相差‐周波数判定部111では、後述のように制御量に基づいて得られる位相差と周波数と、に関する信号を出力し、得られた位相差や周波数によって、振動型アクチュエータの駆動速度、駆動方向が制御される。交流信号生成手段112では、位相差、周波数、及び電圧調整手段116からのパルス幅情報に基づいて、2相の交流信号が生成される。昇圧回路113は、例えばコイルやトランスなどを有し、昇圧回路113によって所望の駆動電圧に昇圧された交流信号は、振動子114の圧電素子に印加され、被駆動部材115を駆動する。
被駆動部材115または振動子114に取り付けられた不図示の位置センサによって、振動子114と被駆動部材115の相対位置が検出される。相対位置は、第1の偏差と第2の偏差に基づいて制御量演算部107にフィードバックされることで、時間毎の指令値に追従するように振動型アクチュエータはフィードバック制御される。尚、本実施形態は、電気-機械エネルギー変換素子である圧電素子を2相に分けて駆動する2相駆動の制御装置を例にとり説明するが、本発明は2相駆動に限定されるものではなく、2相以上の振動型アクチュエータにも適用できる。
制御部121は、例えばCPU、PLD(ASICと含む)などのデジタルデバイスや、A/D変換器などの素子から構成される。また、駆動部122の交流信号生成手段112は、例えばCPUや関数発生器とスイッチング回路を有し、昇圧回路は、例えばコイルや、トランスから構成される。なお、制御部及び駆動部は、1つの素子や回路から構成されるだけではなく、複数の素子や回路から構成されていてもよい。また、各処理をいずれの素子や回路が実行してもよい。
以上が本実施の形態の制御装置、及び装置の構成であるが、より詳細に、第1の偏差と第2の偏差の違いを説明する。
図4は、第1の偏差と第2の偏差の違いを説明する図である。図4(a)は横軸を時間、縦軸を位置とした場合の指令値と相対位置の変化を示す図である。指令値は、各時間毎に設定される位置情報であり、駆動の開始位置から目標位置まで例えばS字カーブを描いて出力される。この指令値に基づいて振動型アクチュエータは駆動され、時間毎に変化する指令値を追従するように制御される。
図4において、駆動開始から指令値の傾きが増加している期間が加速駆動期間、傾きが一定の期間が定速駆動期間、指令値の傾きが減少している期間が減速駆動期間、指令値と目標位置が一致した時から指令値が一定の期間が停止駆動期間である。
従来の振動型アクチュエータは、駆動開始直後は指令値に対して時間的な遅れを生じながら加速されて最高速度まで達し、その後は被駆動部材のイナーシャの影響によってオーバーシュートしながら減速する。目標位置を超えると、目標位置を超えた分、逆方向に移動する、戻り動作を行ないながら整定した後に停止する。その結果、相対位置は図4(a)の破線で示すような軌跡を描く。
ここで、ある時間tにおける位置に関する第1の偏差と第2の偏差を説明する。第1の偏差は、指令値と相対位置の偏差を示すものである。これは、各時間での指令値への追従精度を表すパラメータである。これに対して、第2の偏差は、目標位置と相対位置の偏差を示すものであり、各時間での目標位置までの残り量を表すパラメータである。
第1、第2の偏差の時間変化を示したものが図4(b)である。指令値が目標位置に達する時間では、第1、第2の偏差は同じ値となる。また、相対位置が目標位置を超えた場合、いわゆるオーバーシュートになった場合、第2の偏差は負となり、相対位置が指令値を超えた場合、第1の偏差は負となる。
次に、各手段について、詳細に説明する。
図5は、本実施の形態の制御量演算部を示す図である。制御量演算部107は、第1の偏差(101)と、第2の偏差(102)に基づき変化するゲイン(103)と、の両方を用いて、制御量(104)を演算するように構成されている。この方法として、2つの構成例を図5(a)と(b)に示す。図5(a)に示すように、まずPID制御演算部501は、第1の偏差についてPID演算を行うように構成され、乗算器502が、この結果とゲイン(103)を乗算するように構成される。尚、本実施の形態では一般的なPID演算を用いたが、これに限らずPID制御器の変形例や、H無限大制御器など、他の補償器を用いても同様の効果を得ることができる。
図5(b)に示すように、前段で、乗算器502が第1の偏差とゲイン(103)を乗算するように構成され、PID制御演算部501が、この結果をPID演算するよう構成されていても良い。図5(a)と(b)では、どちらも同じ制御量(104)が出力される。
次に、第2の偏差(102)に基づき変化するゲイン(103)について説明する。図6は、本実施の形態のゲイン調整手段で用いるルックアップテーブルを示す図である。図6において、第2の偏差の符号が逆になると、振動子の駆動部における楕円運動の方向も逆になる。
基本的なテーブルを図6(a)を用いて説明する。横軸は第2の偏差(102)、縦軸はゲイン(103)である。まず、図6(a)において右側の、アンダーシュート領域を説明する。アンダーシュート領域は、相対位置が目標位置に達していない領域、ここでは目標位置に向かって定速移動している領域(定速駆動期間)、または減速移動している領域(減速駆動期間)にあたる。
第2の偏差(102)が+125μm以上の領域ではゲインは1.0で一定であり、減速開始から目標位置に向かって第2の偏差(102)が小さくなるにつれて、ゲインを小さくしていく。第2の偏差(102)が0μmでゲインはゼロとなり、相対位置が目標位置を超えているオーバーシュート領域では、ゲイン制御手段108は、再びゲインが大きくなるよう制御する。
後述するように、本実施の形態の、振動型アクチュエータの制御装置及び制御方法は、停止前にゲインを小さくすることで制御量を小さくし、駆動部における楕円運動の楕円比、振幅、又は駆動方向を制御することで、急速に停止できる。本実施の形態では、±125μm以下でゲインが変化するように設定したが、この値は停止前の減速駆動期間、すなわち後述の位相差制御領域に設定するのが良い。
図6(b)は、更に目標位置付近でゲインをマイナスとする領域を設けることで、反転ブレーキ制御が為される例を示す。第2の偏差(102)が+2μmに対応する値までゲインを小さくしていき、目標位置付近でゲインの符号を反転させる。つまり、制御量の符号も反転するので、駆動方向は逆向きに変化する。これが反転ブレーキ作用として働き、効果的に停止動作を行なうことができる。本実施の形態では、±2μmでマイナスゲインとなるよう設定したが、停止整定時(停止駆動期間)の目標精度に相当する偏差を設定すると良い。
ここで、図6(b)において、第2の偏差が0になった後、―2μm付近までゲインが負の値となっている。これは、振動型アクチュエータの制御性が不安定になるのを避けるためである。駆動の際、第2の偏差が0になった時にゲインを0以上のある値にしようとすると、第2の偏差が0の時に、ゲインが、第2の偏差が0になった時の値と、該0以上の値との、2つの値をとることとなり、制御性が悪化する。
よって、振動型アクチュエータを安定して駆動するため、このような駆動の期間を設ける。この時、第2の偏差とゲインが共に負の値のため、一時的にオーバーシュートを促進させる駆動となってしまうが、全体としては、従来よりオーバーシュート量は低減できる。また、この駆動の期間を短くすることで、よりオーバーシュート量を低減できる。
図6(c)は、停止整定時の精度を向上することができる例を示す。第2の偏差(102)が+2μmまでゲインを小さくしていき、第2の偏差が目標位置付近である+2μmから、再びゲインを増加させる。つまり、+2μmまでは第2の偏差に基づく制御が支配的であるが、目標位置付近では第1の偏差に基づく制御の割合を少し戻す制御となる。このような制御を行うことで、オーバーシュート領域を発生させることなく、相対位置を目標位置まで到達させることができる。
図6(d)はオーバーシュート領域で全てゲインをゼロとする変形例である。この場合、振動型アクチュエータがオーバーシュートを発生した場合、駆動部における楕円運動は強制的に駆動力がゼロとなるよう制御される。
また、上述のルックアップテーブルは数式化して用いても良い。
このように、本実施の形態の振動型アクチュエータの制御装置を用いることで、制御性を損なうことなく、目標位置に近づくほど停止動作の応答性を高めてオーバーシュートを低減し、整定時間を短くすることができる。
図7は、本実施の形態の位相差‐周波数判定部の出力を説明する図である。図7(a)は制御量に基づいて出力される位相差と周波数を示し、横軸は制御量(104)、縦軸左は位相差、縦軸右は周波数である。このように、制御パラメータ生成部の位相差―周波数判定部は、制御量の絶対値が小さい領域は位相差が変化(位相差制御領域)するように位相差及び周波数を制御する。また、位相差―周波数判定部は、制御量の絶対値が大きい領域は周波数が変化(周波数制御領域)するように周波数及び位相差を制御する。つまり、位相差―周波数判定部は、制御量に応じて位相差による駆動と周波数による制御とを切り換えるよう構成されている。
具体的には、位相差制御領域では、周波数は周波数上限値に固定され、位相差が位相差上限値から下限値(例えば+110度~-110度)で変化することで駆動方向の反転、停止と低速領域での速度が制御される。周波数制御領域では、位相差は位相差下限値又は上限値に固定され、周波数が周波数上限値から下限値(例えば92~89kHz)で変化することで高速領域での速度が制御される。
図7(b)は制御量に基づく振動型アクチュエータの速度を示し、横軸は制御量(104)、縦軸は速度である。前述のように、-50~+50mm/sの低速領域では位相差制御によって制御され、それ以外の高速領域では周波数制御によって制御される。位相差制御では、図のように、位相差が制御されることで、駆動部の楕円運動の楕円比が変化し、位相差の符号が反転することで楕円運動の方向が変化する。また、楕円比がゼロとなる縦長形状で速度はゼロとなる。
一方で、周波数制御では、周波数が制御されることで、楕円運動の楕円比は一定のまま、楕円振幅が変化する。これらの制御によって、制御パラメータ生成部118において、制御量に対して速度がなるべく線形になるように位相差と周波数は各々設定される。
図8は、本実施の形態の交流信号生成手段の構成を示す図である。図8(a)は、交流信号生成手段から出力される2相の交流パルス信号を示す。交流信号生成手段112は、例えば、パルス信号生成手段804、スイッチング回路805を有する。図8(b)は、交流信号生成手段112と、圧電素子に交流電圧信号を印加する昇圧回路113を示すものである。
具体例として、交流信号生成手段の、A相の圧電素子に印加される交流電圧を生成する部分について説明する。B相の圧電素子に印加する交流電圧を生成する部分についても、同様の構成を用いることができる。パルス信号生成手段804は、位相差‐周波数判定部から出力された位相差と周波数情報に応じた、位相差及び周波数情報を各々有する、第1のA相パルス信号及び第1のA相反転パルス信号を生成する。入力パルス信号である、第1のA相パルス信号及び第1のA相反転パルス信号は、スイッチング回路805に入力される。スイッチング回路805は、電源801から供給された直流電圧を入力パルス信号のタイミングでスイッチング動作させ、矩形波の交流電圧信号を生成する。
昇圧回路113は、例えばコイル802とトランス803で構成され、矩形波の交流電圧信号が入力され、所定の駆動電圧に昇圧されたSIN波の交流電圧信号をA相の圧電素子に印加する。また、同様にして、所定の駆動電圧に昇圧されたSIN波の交流電圧信号がB相の圧電素子に印加される。
図9は、本実施の形態に記載の制御装置を用いた装置におけるタイミングチャートを示す図である。図9(a)は、指令値と相対位置の、開始位置から目標位置に達するまでの時間変化を示す。ここで、時刻t1、t2、t3に注目して本実施の形態の制御について説明する。
図9(b)は、第1の偏差(101)と第2の偏差(102)の時間変化を示す。第2の偏差が所定値(例えば+125μm)に達した時刻をt1とする。
図9(c)は、第2の偏差に基づき変化するゲイン(103)と制御量(104)の時間変化を示す。尚、ゲイン(103)は図6(b)の反転ブレーキ制御を行なうルックアップテーブルを用いた場合のものである。
時刻t1までは、ゲイン(103)は常に1.0であるので、制御量(104)は第1の偏差(101)に基づいて変化する。時刻t2は相対位置が目標位置に達する時刻であり、第2の偏差がゼロとなる。したがって、時刻t1からt2にかけて、第2の偏差の減少に応じてゲインが小さくなり、制御量も小さくなる。時刻t2からt3は、オーバーシュート後の戻り動作を示す。時刻t3で、指令値は目標位置に達して、ここから停止整定動作が行なわれる。尚、ここでの制御量は、位相差である。
図9(d)は、制御量の時刻t1からt2までの変化を時間軸を拡大して示すものである。前述のように、時刻t2に近づくと制御量である位相差が急速に小さくなり、楕円運動の駆動方向の振幅は従来方法に比べて急速に小さくなる。さらに、時刻t2では位相差の符号が反転するので、図のように逆方向の駆動力が反転ブレーキとなって作用する。時刻t2では既に速度は十分に低下しているので、その後は短時間で整定することができる。
図9(e)は、同様に、振動型アクチュエータの速度の時刻t1からt2までの変化を示すものである。このように、従来方法に比べて急速に速度を低下でき、尚且つ安定して停止することができる。
図10は、第1の実施の形態の制御装置における制御結果を示す図である。横軸は時間、縦軸は目標位置をゼロとした場合の各位置を示す。結果は、目標位置の停止前(時刻t1~t3)と、停止後の時間領域を拡大して示している。プロットは、指令値と、従来の制御装置を用いた結果と、本実施の形態の制御装置を用いた結果を示す。開始位置から目標位置までの駆動ストロークは12mm、加減・減速時間は各々50ms、最高速度は150mm/sの駆動条件にて測定を行なった。尚、従来の制御装置とは、第1の偏差のみを用いたPID制御によるものである。
本結果より、本実施の形態は従来と比較して、大幅にオーバーシュートが改善され、整定時間も短いことがわかる。なお、図10において、位置が0より±2.5μmまでは、レンズ鏡筒のガタ等による測定誤差の範囲内であり、装置を用いる上で問題とはならない。したがって、図10において、本実施の形態の制御装置を用いた場合の位置が完全に0にはなっていないが、振動型アクチュエータとして用いる場合、実質的に0になっている、すなわち、目標位置に到達しているとみなすことができる。
図11は、第1の実施の形態の制御結果における第1及び第2の偏差と位相差の時間変化を示す図である。横軸は時間、縦軸左は位置偏差、縦軸右は位相差(制御量)である。図11(a)は本実施の形態の制御装置を用いた結果、図11(b)は従来の制御装置を用いた結果である。時刻t1において、第2の偏差(102)は所定値125μmに達し、第2の偏差に基づいてゲインが小さくなる。減速駆動期間(時刻t1からt3)で、位相差が急速に小さくなるように制御される様子がわかる。時刻t3以降は停止駆動期間であり、位相差の小さい範囲で整定されている様子がわかる。
これに対して、従来の制御装置を用いた結果である図11(b)は、減速駆動期間で位相差は緩やかに変化しており、時刻t3以降はオーバーシュートによる戻り動作によって整定時間が長くなっている。
以上、本実施の形態によれば、制御性を損なうことなく、大幅にオーバーシュートを低減し、整定時間を短縮することができる。また、目標位置の停止前での反転ブレーキを利用した制御によって効果的に停止動作を行なうことができる。
尚、制御量104の制御パラメータ生成部118における、位相差、周波数、又は駆動電圧といった制御パラメータの変換部を、下記のように構成した制御装置においても、同様の効果を得ることができる。
図14は、制御パラメータ生成部の構成例として、位相差変換部、周波数変換部、及び駆動電圧変換部のうちの2つを有する場合の構成例を示す図である。
図14(a)は、周波数のみを用いて速度を変化させて、位相差の符号によって駆動方向を切り換える、周波数制御の構成であり、制御パラメータ生成部として、位相差―周波数制御部1401を用いる場合について説明する。位相差―周波数制御部1401は、位相差変換部1402と周波数変換部1403を有する。制御量(104)は、位相差変換部1402と周波数変換部1403によってそれぞれ位相差、及び周波数に変換され、前記位相差、及び周波数に基づいて、位相差‐周波数判定部1404が、制御パラメータを交流信号生成手段に出力する。
図14(b)は、制御量に基づく位相差と周波数の変換後の値を示す。周波数は上限値から下限値の範囲で制御量に基づき変換され、位相差は上限値又は下限値の符号を反転することで駆動方向を切り換えるものである。
図14(c)は、位相差と駆動電圧を用いて速度を変化させる、位相差‐電圧制御の構成である。位相差‐電圧制御部1405は、位相差変換部1406と駆動電圧変換部1407によって制御量(104)が位相差及び電圧振幅に変換され、位相差‐電圧判定部1408によって制御パラメータとして交流信号生成手段に出力される。
図14(d)は、制御量に基づく位相差と駆動電圧の変換後の値を示す。高速領域では駆動電圧が上限値から下限値の範囲で制御量に基づき変換され、低速領域では位相差が上限値から下限値の範囲で制御量に基づき変換される。すなわち、高速駆動領域と低速駆動領域で電圧制御と位相差制御を切り換えて制御を行なうものである。
(第2の実施の形態)
次に、振動型駆動装置の制御装置における他の実施の形態を説明する。本実施の形態の、振動型アクチュエータの制御装置は、目標位置での停止後に確実に整定することができ、尚且つ駆動電力を低減できる。
図12は、第2の実施の形態における、振動型アクチュエータの制御装置を示す図である。電圧制御部1201以外の構成は、第1の実施の形態と同じなので説明は省略する。本実施の形態の電圧制御部1201は、停止領域判定部1203と電圧調整手段1204を有する。停止領域判定部1203は、時間(位置制御サンプリング)毎に変化する指令値が目標位置と一致する期間は、電圧制御指令(1202)がオンとなり、電圧調整手段1204がイネーブル状態となる。この場合、電圧調整手段1204によって第2の偏差(102)に基づいて交流パルス信号のパルス幅が変化し、交流信号生成手段1205の駆動電圧が変化するように制御される。
尚、電圧制御指令(1202)がオフの場合は、電圧調整手段1204は固定のパルス幅を出力するので駆動電圧は変化しない。
図13は、本実施の形態の制御装置におけるタイミングチャートを示す図である。図13(a)は、指令値と相対位置の、開始位置から目標位置に達するまでの時間変化を示す。第1の実施の形態と同様に、時刻t1、t2、t3に注目して本実施の形態の制御について説明する。
図13(b)は、第2の偏差に基づき変化するゲイン(103)と制御量(104)の時間変化を示す。時刻t1までは、ゲイン(103)は常に1.0であるので、制御量(104)は第1の偏差(101)に基づいて変化する。時刻t2は相対位置が目標位置に達する時刻であり、第2の偏差がゼロとなる。したがって、時刻t1からt2にかけて、第2の偏差の減少に応じてゲインが小さくなり、制御量も小さくなる。ここでの制御量は、位相差である。
図13(c)は、電圧調整手段1204によって制御される駆動電圧の時間変化を示す。指令値が目標位置と一致する時刻t3までは、駆動電圧の固定値(例えば100Vpp)が出力される。時刻t3で、電圧調整手段1204がイネーブル状態となると、第2の偏差に基づいて、電圧調整手段1204から出力される交流パルス信号のパルス幅が変化する。つまり、時刻t3以降が電圧制御期間となる。
図13(d)は、第2の偏差に基づいて制御される駆動電圧のルックアップテーブルの例を示すものである。具体的には、第2の偏差に基づいて変化するパルス幅のルックアップテーブルを用いることで、図のように駆動電圧を制御することができる。尚、ルックアップテーブルはこれに限らず、ゲインのルックアップテーブルと同様に図15のような例を用いても良い。また、数式化しても良い。
図15の各テーブルについて説明する。横軸は第2の偏差(102)、縦軸は駆動電圧である。まず、図15(a)において右側の、アンダーシュート領域を説明する。アンダーシュート領域は、相対位置が目標位置に達していない領域、つまり目標位置に向かって定速移動している領域(定速駆動期間)、または減速移動している領域(減速駆動期間)にあたる。第2の偏差(102)が+125μm以上の領域では駆動電圧は100Vppで一定であり、目標位置に向かって第2の偏差(102)が小さくなるにつれて、駆動電圧を小さくしていく。第2の偏差(102)が0μmで駆動電圧はゼロとなり、相対位置が目標位置を超えているオーバーシュート領域では、電圧調整手段1204は、駆動電圧がゼロとなるよう制御する。つまり、オーバーシュートした場合は摩擦接触部の静止摩擦力で停止させる。
図15(b)は、オーバーシュート領域で駆動電圧が20Vppとなるよう制御する。この場合、駆動可能な最小電圧が20Vppであるので、オーバーシュートした場合は摩擦接触部の動摩擦力が最も大きくなり、且つ、速度制御が可能な領域で停止させる。
図15(c)は、停止整定時の精度を向上することができる例を示す。第2の偏差(102)が+2μmまで駆動電圧を10Vppまで小さくしていき、目標位置付近で再び駆動電圧を50Vppまで増加させる。つまり、+2μmまでは第2の偏差に基づく制御が支配的であるが、目標位置付近では第1の偏差に基づく制御の割合を少し戻す制御となる。このような制御を行うことで、オーバーシュート領域を発生させることなく、相対位置を目標位置まで到達させることができる。本実施の形態では、+2μmで再び駆動電圧を上げるよう設定したが、停止整定時の目標精度に相当する偏差を設定すると良い。
前述のように、第2の偏差の減少に応じてパルス幅を変化させて駆動電圧が低下していくと、仮に位相差が一定ならば駆動部の楕円運動は楕円比一定で振幅が小さくなる。つまり、楕円運動の振幅を小さくすることで、駆動部の摩擦制動力を利用した停止動作と振動の減衰を行なうことができる。ここで、振動の減衰とは、制御的な振動の減衰(発振抑制)を指す。したがって、第2の偏差に基づいたゲインを用いた制御によってオーバーシュートは低減されつつ、前述の電圧制御による摩擦制動力によって確実に停止及び整定動作を行なうことができる。更に、駆動電圧の低減により、停止動作後の消費電力を大幅に低減することができる。
図13(e)は、電圧制御時におけるA相及びB相パルス信号のパルス幅の変化を模擬的に示したものである。点線がパルス幅が大きい時のA相及びB相パルス信号のパルス幅を示し、実線がパルス幅を小さくした場合のA相及びB相パルス信号のパルス幅を示している。
本実施の形態の振動型アクチュエータの制御装置を用いることで、第1の実施の形態と同様に、制御性を損なうことなく、目標位置に近づくほど停止動作の応答性を高めてオーバーシュートを低減し、整定時間を短くすることができる。また、本実施の形態の制御装置によれば、オーバーシュートの低減と整定時間の短縮化だけでなく、摩擦制動力を利用した確実な停止動作と、消費電力の低減を図ることができる。
(第3の実施の形態)
第1及び第2の実施の形態では、振動型アクチュエータの制御装置は、撮像装置のオートフォーカス用のレンズ駆動に用いる例を説明したが、本発明の適用例はこれに限定されない。例えば、図16に示すように、手ぶれ補正時のレンズや撮像素子の駆動に用いることもできる。図16(a)は、撮像装置60の外観を示す平面図(上面図)である。また、図16(b)は、撮像装置60の内部構造の概略図である。
撮像装置60は、大略的に、本体61と、本体61に対して着脱自在なレンズ鏡筒62とで構成されている。本体61は、レンズ鏡筒62を通過した光が結像した光学像を画像信号に変換するCCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子63と、撮像装置60の全体的な動作を制御するカメラ制御マイコン64を備える。レンズ鏡筒62には、フォーカスレンズやズームレンズ等の複数のレンズLが所定位置に配置されている。また、レンズ鏡筒62には、像ぶれ補正装置50が内蔵されており、像ぶれ補正装置50は、円板部材56、円板部材56に設けられた振動子114を有し、円板部材56の中央に形成されている穴部に、像ぶれ補正レンズ65が配置されている。像ぶれ補正装置50は、レンズ鏡筒62の光軸と直交する面内で像ぶれ補正レンズ65を移動させることができるように配置される。この場合、本発明の制御装置10を用いて振動子114を駆動することで、鏡筒に固定されている被駆動部材115に対し、振動子114や円板部材56が相対移動し、補正レンズが駆動される。
また、本願発明の制御装置は、ズーム用レンズの移動のためのレンズホルダの駆動に用いることもできる。したがって、本願発明の制御装置は、レンズ駆動用に、撮像装置に加えて、交換用レンズにも搭載することができる。
また、第1及び第2の実施の形態に示した、振動型アクチュエータの制御装置は、自動ステージの駆動にも用いることができる。例えば、図17に示すように、顕微鏡の自動ステージの駆動に用いることができる。
図17の顕微鏡は、撮像素子と光学系を内蔵する撮像部70と、基台上に設けられ、振動型アクチュエータにより移動されるステージ72を有する自動ステージ71と、を有する。被観察物をステージ72上に置いて、拡大画像を撮像部70で撮影する。観察範囲が広範囲に有る場合には、第1または第2の実施の形態の制御装置10を用いて振動型駆アクチュエータを駆動することで、ステージ72を移動させる。これによって、被観察物を図中のX方向やY方向に移動させて、多数の撮影画像を取得する。不図示のコンピュータにて、撮影画像を結合し、観察範囲が広範囲で、かつ、高精細な1枚の画像を取得できる。
101 第1の偏差
102 第2の偏差
103 第2の偏差に基づき変化するゲイン
104 制御量
105 指令値生成手段
106 目標位置
107 制御量演算部
108 ゲイン調整手段
109 位相差変換部
110 周波数変換部
111 位相差‐周波数判定部
112 交流信号生成手段
113 昇圧回路
114 振動子
115 被駆動部材
116 電圧調整手段
117 位置検出手段

Claims (22)

  1. 振動子と前記振動子の振動によって駆動する被駆動部材を備えた振動波アクチュエータの制御装置であって、
    前記振動子と前記被駆動部材との相対位置と前記相対位置に関する指令値との差である第1の偏差を取得する手段と、
    前記相対位置の目標位置と前記相対位置との差である第2の偏差に基づいてゲインを求め、前記第2の偏差の減少に応じて前記ゲインを減少させるように構成されるゲイン調整手段と、
    前記第1の偏差と前記ゲインを用いて前記振動子を制御する制御量を出力する制御量演算部と、
    前記制御量演算部が出力した前記制御量が入力され、前記制御量を位相差と周波数の少なくとも一方に関する制御信号に変換し、前記制御信号を前記振動子の前記駆動部へ出力する制御パラメータ生成部、
    を制御部に備えていることを特徴とする振動型アクチュエータの制御装置。
  2. 前記制御量演算部は、前記制御量を制御パラメータ生成部が備える位相差変換部および周波数変換部へ出力する請求項1に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  3. 前記制御パラメータ生成部は、前記駆動部による交流信号の前記振動子への印加により前記振動子に生じる楕円運動の、楕円比、振幅、及び駆動方向の少なくとも1つを制御するための前記制御信号を前記位相差変換部および前記周波数変換部の少なくとも一方が生成する請求項2に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  4. 前記交流信号は、位相、周波数又は駆動電圧を有することを特徴とする、請求項3に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  5. 前記制御部は前記交流信号のパルス幅情報を出力する電圧調整手段をさらに有し、
    前記駆動部は、前記制御パラメータ生成部の出力と前記電圧調整手段の出力に基づいて、前記交流信号を生成する請求項3または4に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  6. 前記振動子への前記交流信号の印加により、前記振動子に楕円運動が生じ、それによって前記振動子と前記被駆動部材との相対位置が変化する請求項5に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  7. 前記制御部は、振動型アクチュエータの減速駆動期間及び停止駆動期間において、前記第2の偏差の減少に応じて前記ゲインを減少させるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  8. 前記制御部は、振動型アクチュエータの減速開始から前記第2の偏差がゼロになるまで、前記第2の偏差の減少に応じて前記ゲインを減少させるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  9. 前記ゲイン調整手段は、前記第2の偏差がある値になった時、前記ゲインの符号を反転させる、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  10. 前記ゲイン調整手段は、前記第2の偏差が減少する際に前記第2の偏差がある値になる前に前記ゲインを減少させるよう構成されており、前記第2の偏差が前記ある値になった時、前記ある値よりも前記第2の偏差が減少する際に、前記ゲインを増加させる、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  11. 前記ある値は、停止整定時の目標精度に相当する偏差である、請求項9または10に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  12. 前記制御量は、前記第1の偏差をPID演算した値に前記ゲインを乗算した結果である、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  13. 前記制御量は、前記第1の偏差と前記ゲインを乗算した値を、PID演算した結果である、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  14. 前記振動子と前記被駆動部材との相対位置を検出する位置検出手段を有する請求項1乃至13のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  15. 振動子と前記振動子の振動によって駆動する被駆動部材を備えた振動波アクチュエータと、
    請求項1乃至14のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置と、を備える駆動装置。
  16. レンズと、
    前記被駆動部材を駆動することで前記レンズを駆動する機構と、
    請求項1乃至14のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置と、を備えた交換用レンズ。
  17. 撮像素子と、
    レンズと、
    前記被駆動部材を駆動することで前記レンズを駆動する機構と、
    請求項1乃至14のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置と、を備えた撮像装置。
  18. レンズと、
    撮像素子と、
    前記被駆動部材を駆動することで前記撮像素子を駆動する機構と、
    請求項1乃至14のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置と、を備えた撮像装置。
  19. ステージと、
    前記被駆動部材を駆動することで前記ステージを駆動する機構と、
    請求項1乃至14のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置と、を備えた自動ステージ。
  20. 振動子と前記振動子に接触された被駆動部材とを有する振動型アクチュエータの制御方法において、
    前記振動子と被駆動部材との相対位置に関する指令値と前記相対位置との差である第1の偏差を求める工程と、
    前記相対位置の目標位置と前記相対位置との差である第2の偏差に基づきゲインを求め、前記第2の偏差の減少に応じて前記ゲインを減少させる工程と、
    前記ゲインと前記第1の偏差の両方に基づいた制御量により、前記制御量を位相差と周波数の少なくとも一方に関する制御信号に変換する工程と、
    前記制御信号により前記振動子の駆動用の交流信号を生成する工程と、
    を有する振動型アクチュエータの制御方法。
  21. 前記制御パラメータは、前記交流信号によって駆動される振動子の駆動部に生じる楕円運動の楕円比、振幅、又は駆動方向を制御するためのパラメータである請求項20に記載の振動型アクチュエータの制御方法。
  22. 前記交流信号は、位相、周波数、又は駆動電圧が設定されることを特徴とする、請求項21に記載の振動型アクチュエータの制御方法。
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