JP7012659B2 - 電気刺激に対する二重層応答の測定値を使用する非破壊二重層監視 - Google Patents

電気刺激に対する二重層応答の測定値を使用する非破壊二重層監視 Download PDF

Info

Publication number
JP7012659B2
JP7012659B2 JP2018551400A JP2018551400A JP7012659B2 JP 7012659 B2 JP7012659 B2 JP 7012659B2 JP 2018551400 A JP2018551400 A JP 2018551400A JP 2018551400 A JP2018551400 A JP 2018551400A JP 7012659 B2 JP7012659 B2 JP 7012659B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
voltage
integrating capacitor
lipid
cell
lipid membrane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018551400A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019511721A (ja
Inventor
チェン,ロジャー・ジェイ・エイ
ワバ,アシュラフ
アリアド,ケヴィン・ジェラルド
ウメダ,カイル
ニールセン,ウィリアム
ルオ,ジーン・エイチ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
F Hoffmann La Roche AG
Original Assignee
F Hoffmann La Roche AG
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by F Hoffmann La Roche AG filed Critical F Hoffmann La Roche AG
Publication of JP2019511721A publication Critical patent/JP2019511721A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7012659B2 publication Critical patent/JP7012659B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6869Methods for sequencing
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/483Physical analysis of biological material
    • G01N33/487Physical analysis of biological material of liquid biological material
    • G01N33/48707Physical analysis of biological material of liquid biological material by electrical means
    • G01N33/48721Investigating individual macromolecules, e.g. by translocation through nanopores

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Electric Means (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)

Description

[0001] 近年における半導体業界内の超小型化の進展により、生物工学学者が、従前では嵩張っていた検知ツールを、フォーム・ファクタを増々小さくして、いわゆるバイオチップ上に詰め込み始めることが可能になった。
これらを一層ロバストに、効率的に、そして価格効率的にするバイオチップの技術を開発することができれば望ましいであろう。
[0002] 本発明は、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップのセルにおいて形成される脂質二重層を検出する方法を提供する。この方法は、
-脂質メンブレンを積分キャパシタと結合するステップであって、脂質メンブレンが作用電極と対向電極との間にある、ステップと、
-交流(AC)電圧を対向電極に印加するステップと、
-アナログ/ディジタル変換器(ADC)によって積分キャパシタの両端間の電圧を周期的にサンプリングするステップと、
-積分キャパシタの両端間にてサンプリングした電圧において、AC電圧の変化に応答した変化を判定するステップと、
-積分キャパシタの両端間にてサンプリングした電圧において判定された、AC電圧の変化に応答した変化に基づいて、脂質メンブレンが脂質二重層を含むことを検出するステップと、
を含む。
更に、本発明による方法は、更に、AC電圧が正区間から負区間に変化したとき、またはAC電圧が負区間から正区間に変化したときに、積分キャパシタの両端間にてサンプリングした電圧において、AC電圧の変化に応答した変化を判定するステップを含んでもよい。加えて、この方法は、更に、AC電圧が正区間から負区間に変化したとき、またはAC電圧が負区間から正区間に変化したときに、積分キャパシタの両端間にてサンプリングした電圧において、AC電圧の変化に応答した変化を判定するステップを含んでもよく、AC正区間が正の方形波を含み、AC負区間が負の方形波を含む。また、本発明は、積分キャパシタの両端間にてサンプリングした電圧においてスパイクを検出し、続いて積分キャパシタの両端間にてサンプリングした実質的に小さい電圧を検出することによって、脂質メンブレンが脂質二重層を含むことを検出するステップを含んでもよく、スパイクは、AC電圧が正区間から負区間に変化するとき、またはAC電圧が負区間から正区間に変化するときに発生する。更に、本発明は、積分キャパシタの両端間にてサンプリングした電圧におけるスパイクの大きさ(magnitude)を所定の閾値と比較し、スパイクの大きさが所定の閾値よりも大きい場合、脂質メンブレンが脂質二重層を含むことを検出するステップを含んでもよい。また、本発明は、積分キャパシタを一定プリチャージ電圧源に接続することによって、積分キャパシタをプリチャージするステップと、積分キャパシタが一定のプリチャージ電圧源の値に充電された後、プリチャージ電圧源を積分キャパシタから切断するステップと、積分キャパシタが、脂質メンブレンに付随する容量を介して充電または放電するために、所定の時間期間だけ待つステップと、所定の待機時間の後、積分キャパシタの両端間の電圧をサンプリングするステップとを含んでもよい。一実施形態では、積分キャパシタをプリチャージするステップ、プリチャージ電圧源を積分キャパシタから切断するステップ、および積分キャパシタが、脂質メンブレンに付随する容量を介して充電または放電するのを待つステップが、ADCのサンプリング・レートで繰り返される。ADCのサンプリング・レートは、AC電圧の周波数よりも少なくとも10倍高くてもよい。また、本発明は、脂質メンブレンが脂質二重層を含むという検出に応答して、脂質二重層が電界によって破壊しないように、セル内のスイッチを開くことによって、更なる電気刺激を脂質メンブレンの両端間に印加するのを無効化する(disable)ステップを含んでもよい。最後に述べるが決して軽んずべきでないこととして、本発明は、セルにおけるスイッチを開くことによって、脂質メンブレンがセル内部のウェルを密封する前では、作用電極と対向電極との間に電気刺激を印加するのを無効化するステップを含んでもよい。
[0003] また、本発明は、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップのセル内に形成される脂質二重層を検出する機器またはシステムを提供する。この機器は、
-積分キャパシタと、
-積分キャパシタに結合された作用電極と、
-対向電極であって、作用電極と当該対向電極との間に堆積された脂質メンブレンが積分キャパシタと結合される、対向電極と、
-AC電圧を対向電極に印加する交流(AC)電圧源と、
-積分キャパシタの両端間における電圧を周期的にサンプリングするアナログ/ディジタル変換器(ADC)と、
-積分キャパシタの両端間にてサンプリングした電圧において、AC電圧の変化に応答した変化を判定し、積分キャパシタの両端間にてサンプリングした電圧において判定した、AC電圧の変化に応答した変化に基づいて、脂質メンブレンが脂質二重層を含むことを検出するように構成されたプロセッサまたは回路と、
を含む。
[0004] 前述のプロセッサまたは回路は、更に、AC電圧が正区間から負区間に変化したとき、またはAC電圧が負区間から正区間に変化したときに、積分キャパシタの両端間にてサンプリングした電圧において、AC電圧の変化に応答した変化を判定するように構成されてもよい。更に、このプロセッサまたは回路は、AC電圧が正区間から負区間に変化したとき、またはAC電圧が負区間から正区間に変化したときに、積分キャパシタの両端間にてサンプリングした電圧において、AC電圧の変化に応答した変化を判定するように構成されてもよく、AC正区間が正の方形波を含み、AC負区間が負の方形波を含む。また、このプロセッサまたは回路は、更に、積分キャパシタの両端間にてサンプリングした電圧においてスパイクを検出し、続いて積分キャパシタの両端間にてサンプリングした実質的に小さい電圧を検出することによって、脂質メンブレンが脂質二重層を含むことを検出するように構成されてもよく、スパイクは、AC電圧が正区間から負区間に変化するとき、またはAC電圧が負区間から正区間に変化するときに発生する。また、このプロセッサまたは回路は、更に、積分キャパシタの両端間にてサンプリングした電圧におけるスパイクの大きさ(magnitude)を所定の閾値と比較し、スパイクの大きさが所定の閾値よりも大きい場合、脂質メンブレンが脂質二重層を含むことを検出するように構成されてもよい。
[0005] 前述のシステムまたは機器は、更に、
-一定プリチャージ電圧源を含んでもよく、前述のプロセッサまたは回路が、更に、
-積分キャパシタを一定プリチャージ電圧源に接続することによって、積分キャパシタをプリチャージし、
-積分キャパシタが一定プリチャージ電圧源の値に充電された後、プリチャージ電圧源を積分キャパシタから切断し、
-積分キャパシタが、脂質メンブレンに付随する容量を介して充電または放電するまで、所定時間期間待ち、
-所定の待機期間の後、積分キャパシタの両端間にて、ADCに電圧をサンプリングさせるように構成される。
積分キャパシタをプリチャージするステップ、プリチャージ電圧源を積分キャパシタから切断するステップ、および積分キャパシタが、脂質メンブレンに付随する容量を介して充電または放電するのを待つステップは、ADCのサンプリング・レートで繰り返されてもよい。ADCのサンプリング・レートは、AC電圧の周波数よりも少なくとも10倍高くてもよい。また、ADCのサンプリング・レートは、1500から5000Hzの間であり、AC電圧の周波数は25および100Hzの間である。
[0006] 更に、前述のシステムまたは機器は、セル内に、プロセッサまたは回路によって制御されるスイッチを含んでもよく、プロセッサまたは回路は、更に、脂質メンブレンがセル内においてウェルを密封する前では、セルにおいてスイッチを開放することによって、作用電極および対向電極間に電気刺激を印加するのを無効化するように構成される。また、このシステムまたは機器は、セル内に、プロセッサまたは回路によって制御されるスイッチを含んでもよく、プロセッサまたは回路は、更に、脂質メンブレンが脂質二重層を含むという検出に応答して、セルにおいてスイッチを開放することによって、脂質メンブレンの両端間に電気刺激を印加するのを無効化するように構成される。AC電圧の絶対振幅は、100および250mVの間にすればよい。
[0007] 以下の詳細な説明および添付図面において、本発明の種々の実施形態を開示する。
図1は、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップ(sequencing chip)におけるセル100の実施形態を示す。 図2は、ナノSBS技術によってヌクレオチド配列決定を実行するセル200の実施形態を示す。 図3は、予め装填されたタグによってヌクレオチド配列決定を実行しようとするセルの実施形態を示す。 図4は、予め装填されたタグによってヌクレオチド配列決定を実行するプロセス400の実施形態を示す。 図5は、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップにおけるセル500の実施形態を示す。 図6Aは、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップのセルにおける回路600の実施形態を示し、既に形成されている脂質二重層を破壊させることなく、セル内に脂質二重層が形成されているか否か検出するように、この回路を構成することができる。 図6Bは、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップのセルにおける、図6Aに示したものと同じ回路600を示す。図6Aと比較すると、作用電極と対向電極との間に脂質メンブレン/二重層を示す代わりに、作用電極および脂質メンブレン/二重層の電気特性を表す電気モデルを示す。 図7は、システムの脂質二重層測定フェーズ中における回路600の一部の電気特性を表す電気モデル700を示す。 図8Aは、±ΔVliqに応答した小さい±VADCの観察から、セル内に脂質二重層が形成されていないことを検出することを示す。 図8Bは、±ΔVliqに応答した大きい±VADCの観察から、セル内に脂質二重層が形成されていることを検出することを示す。 図9Aは、セル内に脂質二重層が形成される前およびされた後におけるVADC対時間の関係の例示的なプロットを示す。 図9Bは、脂質二重層が形成されていない時間期間t中におけるVADC対時間の関係の例示的なプロット(図9A参照)の拡大図(zoomed-in view)を示す。 図9Cは、脂質二重層が形成されている時間期間t中におけるVADC対時間の関係(図9A参照)の例示的なプロットの拡大図を示す。 図10は、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップのセル内に脂質層を形成する改良技術のプロセス1000の実施形態を示す。 図11は、シリコン・チップを密封するフロー・チェンバが改良され、液体および気体がチップ表面上を通過し、チップ表面上にあるセンサと接触することを可能にするナノポア・ベースのシーケンシング・システム1100の上面図を示す。 図12Aは、異なるΔVADC値を有するセルの初期分布を示す。 図12Bは、プロセス1000の脂質減厚刺激フェーズ(lipid-thinning stimulus phase)および塩類緩衝液流通フェーズ(flowing phase)を多数回繰り返した後における、異なるΔVADC値を有するセルの分布を示す。 図12Cは、プロセス1000の脂質減厚刺激フェーズおよび塩緩衝液流通フェーズを更に多くの回数繰り返した後における、異なるΔVADC値を有するセルの分布を示す。 図13は、二重層測定フェーズ、電気脂質減厚刺激フェーズ、および塩緩衝液流通フェーズのタイミング図の実施形態を示す。
[0027] 本発明は、多数の方法で実現することができ、プロセス、装置、システム、組成物、コンピュータ読み取り可能記憶媒体上に具体化されたコンピュータ・プログラム製品、および/またはプロセッサに結合されたメモリ上に格納されているおよび/またはこのメモリによって供給された命令を実行するように構成されたプロセッサのようなプロセッサとして、実現されることを含む。本明細書では、これらの実施態様、または本発明が取ることができるあらゆる他の形態も技術と呼んでもよい。一般に、開示するプロセスのステップの順序は、発明の範囲内で変更してもよい。特に注記しない限り、タスクを実行するように構成されるものとして記述されるプロセッサまたはメモリのようなコンポーネントは、所与の時点においてそのタスクを実行するように一時的に構成される汎用コンポーネント、またはそのタスクを実行するように製造された特定コンポーネントとして実現することができる。本明細書において使用する場合、「プロセッサ」という用語は、コンピュータ・プログラム命令のようなデータを処理するように構成された1つ以上のデバイス、回路、および/または処理コアを指す。
[0028] 以下に、本発明の原理を図示する添付図面と共に、本発明の1つ以上の実施形態の詳細な説明を示す。このような実施形態と関係付けて本発明について説明するが、本発明はいずれの実施形態にも限定されない。本発明の範囲は請求項によってのみ限定され、本発明は、多数の代替、変更、および均等を包含する。以下の説明では、本発明の完全な理解を得るために、多数の具体的な詳細を明記する。これらの詳細は例示の目的に限って提示するのであり、本発明は、これら具体的な詳細の一部または全部がなくても、請求項にしたがって実施することができる。明確さを得るという目的のために、本発明に関係する技術分野において周知の技術的素材については、本発明を不必要に曖昧にしないように、詳細には説明しないこととする。
[0029] 内径が1ナノメートル程度のポア・サイズを有するナノポア・メンブレン・デバイスは、急速ヌクレオチド配列決定において有望である。導電性液体内に浸漬されたナノポアの両端間に電圧電位を印加すると、ナノポアを横切るイオンの導通に帰する小さいイオン電流を観察することができる。電流のサイズは、ポア・サイズに感応する(sensitive)。
[0030] ナノポア・ベースのシーケンシング・チップは、DNAシーケンシングに使用することができる。ナノポア・ベースのシーケンシング・チップは、アレイとして構成された大多数のセンサ・セルを組み込む。例えば、百万個のセルから成るアレイが、1000行×1000列のセルを含むこともできる。
[0031] 図1は、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップにおけるセル100の一実施形態を示す。セルの表面上にメンブレン102が形成されている。ある実施形態では、メンブレン102は脂質二重層である。可溶性タンパク質ナノポア膜貫通分子複合体(PNTMC:soluble protein nanopore transmembrane molecular complexes)と対象検体とを含有するバルク電解質(bulk electrolyte)114が、セルの表面上に直接配置されている。電気穿孔法によって、1つのPNTMC104がメンブレン102内に挿入される。アレイ内にある個々のメンブレンは、互いに化学的にも電気的にも接続されない。つまり、アレイにおける各セルは独立したシーケンシング・マシン(sequencing machine)であり、PNTMCと会合した1つのポリマー分子に一意のデータを生成する。PNTMC104は、検体に対して作用し、そうしなければ不浸透性である二重層を通るイオン電流を変調する。
[0032] 引き続き図1を参照すると、アナログ測定回路112が、電解質108の薄膜によって覆われている金属電極110に接続されている。この電解質108の薄膜は、イオン不浸透性のメンブレン102によって、バルク電解質114からは分離されている。PNTMC104は、メンブレン102と交差し、イオン電流がバルク液体から作用電極110に流れる唯一の経路を提供する。また、セルは、電気化学電位センサである対向電極(CE)116も含む。また、セルは基準電極117も含む。
[0033] ある実施形態では、ナノポア・アレイが、合成(ナノ-SBS)技術による1つの分子ナノポア・ベース・シーケンシングを使用し、並列シーケンシングを可能にする。図2は、ナノ-SBS技術によってヌクレオチド・シーケンシングを実行するセル200の一実施形態を示す。ナノ-SBS技術では、シーケンシングする鋳型202およびプライマをセル200に導入する。この鋳型-プライマ複合体に対して、4つの異なるタグ付きヌクレオチド208をバルク水相(bulk aqueous phase)に追加する。正しくタグ付けされたヌクレオチドがポリメラーゼ204と複合体を形成すると、タグの尾部(tail)がナノポア206のバレル(barrel)に位置する。ナノポア206のバレル内に保持されたタグは、一意のイオン遮断信号(ionic blockade signal)210を生成し、これによって、タグの化学構造が全く別であることから、追加された塩基を電子的に同定する。
[0034] 図3は、予め装填されたタグによってヌクレオチド・シーケンシングを実行しようとするセルの一実施形態を示す。ナノポア301はメンブレン302内に形成される。酵素303(例えば、DNAポリメラーゼのようなポリメラーゼ)がナノポアと会合している。場合によっては、ポリメラーゼ303がナノポア301に共有結合することもある。ポリメラーゼ303は、シーケンシングする核酸分子304と会合している。ある実施形態では、核酸分子304は円形である。場合によっては、核酸分子304が直線状となることもある。ある実施形態では、核酸プライマ305が核酸分子304の一部に交雑される(hybridize)。ポリメラーゼ303は、触媒として機能して、一本鎖核酸分子304を鋳型として使用して、プライマ305上にヌクレオチド306の取り込み(incorporation)を引き起こす。ヌクレオチド306はタグ種(「タグ」)307を含む。
[0035] 図4は、予め装填されたタグによる核酸シーケンシングのプロセス400の一実施形態を示す。ステージAは、図3において説明したようなコンポーネントを示す。ステージCは、ナノポアに装填されたタグを示す。「装填された」タグ(loaded tag)とは、かなりの時間量、例えば、0.1ミリ秒(ms)から10000msの間ナノポア内に位置しているもの、および/またはナノポア内または付近に居続けるものとして差し支えない。場合によっては、予め装填されたタグが、ヌクレオチドから放出される前に、ナノポアに装填されることがある。ある実例では、ヌクレオチド取り込みイベントによって放出された後にナノポアを通過する(および/またはナノポアによって検出される)タグの可能性が、適度に高い場合、例えば、90%~99%である場合、タグは予め装填される。
[0036] ステージAにおいて、タグ付きヌクレオチド(4つの異なるタイプA、T,G、またはCの内の1つ)は、ポリメラーゼと会合していない。ステージBにおいて、タグ付きヌクレオチドがポリメラーゼと会合する。ステージCにおいて、ポリメラーゼがナノポアにドッキングする。メンブレンおよび/またはナノポアの両端間に印加された電圧によって生成される電界の存在の下で発生する力のような、電気的な力によって、ドッキングの間にタグはナノポア内に引き込まれる。
[0037] 会合したタグ付きヌクレオチドの一部は、核酸分子と塩基対合しない(base paired)。これら非対合ヌクレオチドは、通例、正しく対合したヌクレオチドがポリメラーゼと会合し続ける時間尺度より短い時間尺度でポリメラーゼによって拒絶される。非対合ヌクレオチドは一時的にしかポリメラーゼと会合しないため、図4に示すプロセス400は、通例、ステージDを越えて進行しない。例えば、非対合ヌクレオチドは、ステージBにおいて、またはプロセスがステージCに入った直後に、ポリメラーゼによって拒絶される。
[0038] ポリメラーゼがナノポアとドッキングする前では、ナノポアのコンダクタンスは~300ピコ・ジーメンス(300pS)である。ステージCにおいて、ナノポアのコンダクタンスは、タグ付けされたヌクレオチドの4つの型の1つに対応して、それぞれ、約60pS、80pS、100pS、または120pSとなる。ポリメラーゼは、成長中の核酸分子にヌクレオチドを取り込み、タグ分子を放出するため、異性化およびトランスリン酸化の反応を起こす。具体的には、タグがナノポア内に保持されると、タグの化学構造が全く別であるために、一意のコンダクタンス信号(例えば、図2における信号210を参照のこと)が生成され、これによって、付加された塩基が電子的に同定される。サイクル(即ち、ステージAからEまでまたはステージAからFまで)を繰り返すことによって、核酸分子のシーケンシングを可能にする。ステージDにおいて、放出されたタグはナノポアを通過する。
[0039] 場合によっては、図4のステージFにおいて見られるように、成長中の核酸分子へ取り込まれないタグ付きヌクレオチドもナノポアを通過することもある。この取り込まれないヌクレオチドは、実例の中には、ナノポアによって検出できる場合もあるが、本方法は、取り込まれたヌクレオチドと取り込まれないヌクレオチドとの間で、少なくとも部分的に、ヌクレオチドがナノポアにおいて検出される時間に基づいて区別する手段を提供する。取り込まれていないヌクレオチドに結合している(bound)タグは、ナノポアを素早く通過し、検出される時間期間は短い(例えば、10ms未満)が、取り込まれたヌクレオチドに結合しているタグは、ナノポアへ装填され、検出される時間期間長い(例えば、少なくとも10ms)。
[0040] 図5は、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップにおけるセル500の実施形態を示す。セル500は誘電体層501を含む。誘電体層501を形成するために使用される誘電体材料は、ガラス、酸化物、窒化物等を含む。更に、セル500は、誘電体層501の上に誘電体層504も含む。誘電体層504は、ウェル505を包囲する壁を形成する。ウェル505内の底面には、作用電極502が配置されている。誘電体層504を形成するために使用される誘電体材料は、ガラス、酸化物、一窒化ケイ素(SiN)等を含む。誘電体層504の上面は、シラン処理されてもよい。シラン処理によって、誘電体層504の上面上に疎水層520が形成される。ある実施形態では、疎水層520は約1.5ナノメートル(nm)の厚さを有する。
[0041] 誘電体層の壁504によって形成されたウェル505は、更に、作用電極502の上方に塩類溶液506の膜を含む。塩類溶液506は、以下の内の1つを含めばよい。塩化リチウム(LiCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、グルタミン酸リチウム(lithium glutamate)、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、塩化カルシウム(CaCl)、塩化ストロンチウム(SrCl)、塩化マンガン(MnCl)、および塩化マグネシウム(MgCl)。ある実施形態では、塩類溶液506の膜は、約3ミクロン(μm)の厚さを有する。
[0042] 図5に示すように、メンブレンが誘電体層504の上面上に形成され、ウェル505を跨いで広がっている。例えば、このメンブレンは、疎水層520の上面に形成された脂質単層518を含む。メンブレンがウェル505の開口に到達すると、脂質単層は、ウェルの開口を跨ぐ脂質二重層514に遷移する(transition)。タンパク質ナノポア膜貫通分子複合体(PNTMC:protein nanopore transmembrane molecular complexes)および対象検体を含有するバルク電解液508が、ウェルの直接上方に配されている。1つのPNTMC/ナノポア516が、電気穿孔法によって脂質二重層514に挿入される。ナノポア516は、脂質二重層514と交差し、バルク電解液508から作用電極502への唯一の経路をイオン流に提供する。更に、バルク電解液508は、以下の内1つを含んでもよい。塩化リチウム(LiCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、グルタミン酸リチウム(lithium glutamate)、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、塩化カルシウム(CaCl)、塩化ストロンチウム(SrCl)、塩化マンガン(MnCl)、および塩化マグネシウム(MgCl)。
[0043] セル500は、対向電極(CE)510を含む。これは電気化学電位センサである。また、セル500は基準電極512も含む。ある実施形態では、対向電極510は、複数のセル間で共有され、したがって共通電極とも呼ぶ。共通電極は、測定セル内でナノポアと接触するバルク液体に共通電位を印加するように構成することができる。共通電位および共通電極は測定セルの全てに共通である。
[0044] ある実施形態では、作用電極502は金属電極である。非ファラデー伝導では、作用電極502は、腐食および酸化に強い金属、例えば、プラチナ、金、窒化チタン、およびグラファイトで作るとよい。 例えば、作用電極502は、プラチナが電気メッキされたプラチナ電極であってもよい。他の例では、作用電極502は窒化チタン(TiN)作用電極でもよい。
[0045] ナノポアを脂質二重層内に挿入するステップは、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップのセル内に、脂質二重層が適正に形成されたことが判定された後に実行される。技術によっては、脂質二重層がセル内に適正に形成されたか否か判定するプロセスは、既に適正に形成されている脂質二重層を破壊させるおそれがある。例えば、刺激電圧が印加されると、電極間に電流を導通させることになろう。刺激電圧に対して測定される応答は、適正に形成された脂質二重層を有するセル(即ち、脂質分子の厚さの2つの層である脂質二重層)と適正に形成された脂質二重層がないセル(例えば、セルが、厚い脂質と溶液との混合膜(combined film)を有し、この膜がセルのウェルを跨いで広がっている場合)との間で区別するために使用することができるが、刺激電圧レベルは、場合によっては、既に適正に形成されている脂質二重層を破壊させるのに十分な程に高い。言い換えると、脂質二重層を検査するための刺激電圧は、脂質二重層に対して破壊的であるとして差し支えない。既に適正に形成されている脂質二重層が刺激電圧によって破壊された場合、非常に高い電流が、短絡状態の結果として、電極間に流れ始める。応答して、システムは、特定のセルにおいて再度新たな脂質二重層を再形成しようとすることができるが、これは時間がかかりしかも非効率的である。加えて、その後の試行において脂質二重層が特定のセルにおいて再形成(reform)できない場合もある。その結果、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップにおいて、適正に形成された脂質二重層およびナノポアを有するセルの全体的な割合(即ち、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップの歩留まり)は低くなる。
[0046] ナノポア・ベースのシーケンシング・チップのセル内に形成された脂質二重層を検出するための非破壊技術を開示する。脂質二重層を検出するための非破壊技術は、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップの効率および歩留まり向上を含む多くの利点を有する。
[0047] 図6Aは、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップのセルにおける回路600の実施形態を示す。この回路は、既に形成されている脂質二重層を破壊させることなく、脂質二重層がセル内に形成されているか否か検出するように構成することができる。
[0048] 図6Aは、脂質メンブレン/二重層612間に電圧が印加されるように、セル作用電極614と対向電極616との間に位置する脂質メンブレンまたは脂質二重層612を示す。脂質二重層は、脂質分子の2つの層で作られた薄いメンブレンである。脂質メンブレンは、脂質分子の数枚の層(2つよりも多い)で作られたメンブレンである。また、脂質メンブレン/二重層612はバルク液体/電解液618と接触する。尚、作用電極614、脂質メンブレン/二重層612、および対向電極616は、図1における作用電極、脂質二重層、および対向電極と比較すると、上下逆さまに描かれていることを注記しておく。ある実施形態では、対向電極は、複数のセル間で共有され、したがって共通電極とも呼ぶ。共通電極は、共通電極を電圧源Vliq620に接続することによって、測定セル内にある脂質メンブレン/二重層と接触するバルク液体に共通電位を印加するように構成することができる。共通電位および共通電極は、測定セルの全てに共通である。各測定セル内に作用セル電極があり、共通電極とは対照的に、作用セル電極614は、他の測定セルにおける作用セル電極とは独立した別個の電位を印加するように構成可能である。
[0049] 図6Bは、図6Aに示したのと同じナノポア・ベースのシーケンシング・チップのセルにおける回路600を示す。図6Aと比較すると、作用電極と対向電極との間に脂質メンブレン/二重層を示す代わりに、作用電極および脂質メンブレン/二重層の電気特性を表す電気モデルが示されている。
[0050] 電気モデル622は、作用電極614の電気特性を表すキャパシタ624を含む。作用電極614に付随する容量は、二重層容量(Cdouble layer)とも呼ぶ。更に、電気モデル622は、脂質メンブレン/二重層に付随する容量をモデル化するキャパシタ626(Cbilayer)と、脂質メンブレン/二重層に付随する抵抗をモデル化する抵抗器628(Rbilayer)とを含む。脂質メンブレン/二重層に付随する抵抗は非常に高く、したがってRbilayerを開放回路と置き換えてもよく、こうすることによって、電気モデル622はCbilayerと直列のCdouble layerに縮小する。
[0051] 電圧源Vliq620は、交流(AC)電圧源である。対向電極616はバルク液体618内に浸漬されており、AC非ファラデー・モードが、方形波電圧Vliqを変調し、測定セル内において脂質メンブレン/二重層と接触するバルク液体にそれを印加するために利用される。ある実施形態では、Vliqは、振幅が±200~250mV、周波数が25および100Hzの間の方形波である。
[0052] パス・デバイス(pass device)606は、脂質メンブレン/二重層および電極を測定回路600に接続する、または測定回路600から切断するために使用することができるスイッチである。このスイッチは、セル内において脂質メンブレン/二重層間に印加することができる電圧刺激を有効化(enable)または無効化する(disable)。脂質二重層を形成するために脂質がセルに堆積される前では、2つの電極間のインピーダンスは非常に低い。何故ならセルのウェルが密封されておらず、したがって短絡回路状態を回避するためにスイッチ606が開かれたままになっているからである。一旦脂質溶媒がセルに溜まり(deposited)セルのウェルを密封したなら、スイッチ606を閉じてもよい。
[0053] 更に、回路600はチップ上に製作された積分キャパシタ(integrating capacitor)608(ncap)も含む。リセット信号603を使用してスイッチ601を閉じることによって、積分キャパシタ608を電圧源Vpre605に接続し、積分キャパシタ608をプリチャージする。ある実施形態では、電圧源Vpre605は振幅が900mVの一定正電圧を供給する。スイッチ601が閉じているとき、積分キャパシタ608は電圧源Vpre605の正電圧レベルにプリチャージされる。
[0054] 積分キャパシタ608がプリチャージされた後、積分キャパシタ608が電圧源Vpre605から切断されるように、リセット信号603を使用してスイッチ601を開く。この時点において、Vliqのレベルに応じて、対向電極616の電位は、作用電極614の電位よりも高いレベルになることができ、またはその逆になることができる。例えば、方形波Vliqの正区間において(即ち、AC電圧源信号サイクルの闇期間)、対向電極616の電位は、作用電極614の電位よりも高い。同様に、方形波Vliqの負区間において(即ち、AC電圧源信号サイクルの明期間)、対向電極616の電位は作用電極614の電位よりも低いレベルとなる。この電位差のために、積分キャパシタ608は、AC電圧源信号サイクルの闇期間に充電し、AC電圧源信号サイクルの明期間に放電することができる。
[0055] アナログ/ディジタル変換器(ADC)610のサンプリング・レートに応じて、積分キャパシタ608は、固定時間期間充電または放電し、次いで積分キャパシタ608に蓄積された電圧をADC610によって読み出すことができる。ADC610によるサンプリングの後、積分キャパシタ608が再度電圧源Vpre605に接続されるように、リセット信号603を使用してスイッチ601を閉じることによって、積分キャパシタ608を再度プリチャージする。ある実施形態では、ADC610のサンプリング・レートは1500から2000Hzの間である。ある実施形態では、ADC610のサンプリング・レートは5kHzまでである。例えば、1kHzのサンプリング・レートでは、積分キャパシタ608は1msまでの期間充電または放電し、次いで、積分キャパシタ608に蓄積された電圧はADC610によって読み出される。ADC610によるサンプリングの後、積分キャパシタ608が再度電圧源Vpre605に接続されるように、リセット信号603を使用してスイッチ601を閉じることによって、積分キャパシタ608を再度プリチャージする。次いで、積分キャパシタ608をプリチャージし、積分キャパシタ608が充電または放電するための固定時間期間だけ待ち、積分キャパシタに蓄積された電圧をADC610によってサンプリングするステップは、システムの脂質二重層測定フェーズにわたって周期的に繰り返される。
[0056] 積分キャパシタ608(ncap)において、脂質メンブレン/二重層と接触するバルク液体に印加されるデルタ電圧変化(ΔVliq)に応答したΔ電圧変化ΔVADCを監視することによって、脂質二重層がセル内に形成されたか否か検出するために、回路600を使用することができる。以下で更に詳しく説明するように、脂質二重層測定フェーズの間、回路600は、Cbilayer626、Cdouble layer624、およびncap608が直列に接続された分圧器としてモデル化することができ、この分圧器の中間点において引き出される(tapped)電圧変化は、脂質二重層が形成されたか否か判定するために、ADC610によって読み取ることができる。
[0057] 図7は、システムの脂質二重層測定フェーズ中における回路600の一部の電気特性を表す電気モデル700を示す。図7に示すようにCdouble layer624がCbilayer626と直列に接続されているが、Rbilayer628(図6B参照)は電気モデル700から削除されている。Rbilayer628を電気モデル700から削除することができるのは、脂質メンブレン/二重層に付随する抵抗が非常に高く、したがってRbilayerを開放回路として近似してもよいからである。図7に示すように、Cdouble layer624およびCbilayer626が更にncap608と直列に接続されている。
[0058] ACモードで動作するとき、ADCによって読み取られる電圧(VADC)は次の式で決定することができる。
Figure 0007012659000001


ここで、Z=1/(jωC)、Z(cap)は、ncapに付随するACインピーダンス、Z(double layer)は作用電極に付随するACインピーダンス、そしてZ(bilayer)は脂質メンブレン/二重層に付随するACインピーダンスである。
[0059] 二重層のACインピーダンスZ(double layer)は、Z(bilayer)およびZ(ncap)と比較すると非常に低い値を有する。何故なら、Cdouble layerがCbilayerまたはncapの容量よりも遙かに大きいからである。したがって、Z(ncap)=1/(jωCncap)、Z(bilayer)=1/jωCbilayer、およびZ(double layer)=0を代入すると、式(1)を次のように簡略化することができる。
Figure 0007012659000002


ここで、C(ncap)はncapに付随する容量であり、C(bilayer)は脂質メンブレン/二重層に付随する容量である。
[0060] 脂質が最初にセル内に堆積されて脂質二重層を形成するとき、これらのセルの一部は自発的に形成された脂質二重層を有するが、セルの一部は、単に、セルのウェルの各々を跨がって広がる厚い脂質メンブレン(脂質分子および溶媒が結合された複数の層)を有するだけである。脂質二重層に付随する容量は、2層の脂質分子よりも厚い脂質メンブレンに付随する容量よりも大きい。何故なら、脂質メンブレン/二重層の容量はその厚さに反比例するからである。脂質メンブレンは減厚して(thin out)脂質二重層になるように遷移するので、厚さが減少し、その付随する容量は増大する。先の式(2)において、脂質二重層がセル内において形成し始めると、C(bilayer)は増大するが、C(ncap)は一定のままであり、全体として見るとVADCが増大する。したがって、VADCの増大は、脂質二重層がセル内で形成されたことの指標として使用することができる。
[0061] ある実施形態では、脂質二重層がセル内で形成されたか否か検出するために、積分キャパシタ608(ncap)において、脂質メンブレン/二重層と接触するバルク液体に印加されたデルタ電圧変化(ΔVliq)に応答したデルタ電圧変化ΔVADCを監視する。例えば、式(2)を次のように書き換えることができる。
Figure 0007012659000003


ここで、ΔVADCは、ADCによって読み取られた、積分キャパシタ608(ncap)における電圧変化であり、ΔVliqは、バルク液体に印加された電圧変化であり、C(ncap)はncapに付随する容量であり、C(bilayer)は、脂質メンブレン/二重層に付随する容量である。
[0062] 以上の式(3)において、C(ncap)は一定のままであるが、C(bilayer)は、脂質二重層がセル内において形成し始めるに連れて増大するので、ΔVADCも増大する。ΔVADCは、脂質メンブレン/二重層に付随する容量C(bilayer)に大まかに比例する。したがって、ΔVADCの増大は、脂質二重層がセル内において形成されたことの指標として使用することができる。
[0063] ある実施形態では、観察可能なΔVADCを最大化して脂質二重層検出の信頼性を高めるために、脂質メンブレン/二重層と接触するバルク液体に印加される最大電圧変化(最大ΔVliq)に応答するΔVADCを監視して、脂質二重層がセル内において形成されたか否か検出する。
[0064] 図8Aは、正/負電圧変化±ΔVliqに応答する小さい正/負電圧変化±ΔVADCを観察した結果、脂質二重層がセル内に形成されたことが検出されなかったことを示す。図8Bは、正/負電圧変化±ΔVliqに応答する大きい正/負電圧変化±ΔVADCを観察した結果、脂質二重層がセル内に形成されたことが検出されたことを示す。
[0065] 図8Aにおいて、最大正電圧変化+ΔVliqが発生するのは、方形波Vliqが負区間から正区間に変化するときであり、一方最大負電圧変化-ΔVliqが発生するのは、方形波Vliqが正区間から負区間に変化するときである。図8Aにおいて、ΔVliqが正の最大値にある時点では、脂質二重層がセル内に形成されていない場合、小さい+ΔVADCしか観察することができない。ΔVliqが負の最大値にある時点では、脂質二重層がセル内に形成されていない場合、小さい-ΔVADCしか観察することができない。
[0066] 図8Bにおいて、ΔVliqが正の最大値にある時点では、脂質二重層が既にセル内に形成されている場合、大きい正電圧変化+ΔVADCを観察することができる。そして、ΔVliqが負の最大値にある時点では、脂質二重層が既にセル内に形成されている場合、大きい負の電圧変化-ΔVADCを観察することができる。
[0067] ある実施形態では、ΔVliqの絶対値(|ΔVliq|)が最大値であるときに観察されたΔVADCの絶対値(|ΔVADC|)を、所定の閾値と比較する。(|ΔVADC|>所定の閾値)の場合、脂質二重層が検出されたと判定する。逆に、(|ΔVADC|<所定の閾値)の場合、脂質二重層は検出されないと判定する。
[0068] 図9Aは、脂質二重層がセル内に形成される前およびされた後におけるVADC対時間の関係を示す例示的なプロットを示す。図9Aにおけるプロットは、実際の検査データに基づく。図9Aに示すように、y軸上のVADCの単位はADCカウントである。しかしながら、他の単位も同様に使用してもよい。図9Aに示すように、脂質二重層が形成されていない時間期間tでは、記録された|ΔVADC|値は、脂質二重層がセル内に形成された後の時間期間t中に記録されたものよりも小さい。
[0069] 図9Bは、脂質二重層が形成されていない時間期間t中におけるVADC対時間の関係(図9A参照)の例示的なプロットの拡大図を示す。図9Bに示す結果は、図8Aと一致する。図9Bにおいて、最大値+ΔVliqが発生するのは、方形波Vliqが負区間から正区間に変化するときであり、最大の-ΔVliqが発生するのは、方形波Vliqが正区間から負区間に変化するときである。図9Bにおいて、ΔVliqが正の最大値にある時点では、脂質二重層がセル内に形成されていないので、小さい+ΔVADCしか観察することができない。ΔVliqが負の最大値にある時点では、脂質二重層がセル内に形成されていないので、小さい-ΔVADCしか観察することができない。
[0070] 図9Cは、脂質二重層が形成されている時間期間t中におけるVADC対時間の関係(図9A参照)の例示的なプロットの拡大図を示す。図9Cに示す結果は、図8Bと一致する。図9Cにおいて、ΔVliqが正の最大値にある時点では、脂質二重層が既にセル内に形成されているので、2つの連続するサンプル点間で大きい+ΔVADCを観察することができる。ΔVliqが負の最大値にある時点では、脂質二重層が既にセル内に形成されているので、大きい-ΔVADCを観察することができる。尚、方形波Vliqが1つの区間から他の区間に変化した直後では、ΔVliqは0に留まり、VADCは応答してゼロまで減少することを注記しておく。図9Cに示すように、脂質二重層が既にセル内に形成されているとき、VADCにおいて正または負のスパイクを観察することができる。正または負のスパイクの後には、遙かに小さいVADC値が続く。
[0071] 前述のように、液体溶媒混合物を最初にセル内に溜めて脂質二重層を形成するとき、セルの一部は自発的に形成された脂質二重層を有するが、セルの一部は、脂質分子の複数の層が溶媒と結合してセルのウェルの各々を跨いで広がる、厚い脂質メンブレンを有するに過ぎない。ナノポア・ベースのシーケンシング・チップの歩留まり(即ち、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップにおいて、適正に形成された脂質二重層およびナノポアを有するセルの割合)を高めるために、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップは、追加のセルにおける脂質二重層の形成を促進するために追加のステップを実行することもできる。例えば、脂質二重層が未だ形成されていないセルに、電気脂質減厚刺激を加えることによって、厚い脂質メンブレンの上方における液体流通の効率を高めることができ、これによって、一層効率的に厚い脂質メンブレンを減厚して脂質二重層に遷移させることができるように、あらゆる余分な脂質溶媒の除去を促進する。また、脂質二重層が未だ形成されていないセルに電気脂質減厚刺激を加えることによって、余分な脂質溶媒を絞り出し、厚い脂質メンブレンを減厚して脂質二重層にするに資する静電力を発生する(create)。一方、既に脂質二重層が内部に適正に形成されているセルは、同じ電気脂質減厚刺激にそれ以上露出させてはならない。何故なら、電気刺激は薄い脂質二重層の一部を破壊するおそれがあるからである。したがって、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップにおいて、脂質二重層が内部に形成されているセルの部分を検出し、脂質二重層が未だ適正に内部に形成されていないセルの部分から分離するために、本願において記載する非破壊技術を使用することが有利である。セルを異なるグループに分割することによって、異なるグループに入ったセルに異なる処理を行うことができ、これによって効率向上を達成し、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップの全体的な歩留まりを高める。
[0072] 図10は、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップのセルにおいて脂質層を形成する改良技術のプロセス1000の実施形態を示す。ある実施形態では、図10のナノポア・ベースのシーケンシング・チップは図1のセル100を複数個含む。ある実施形態では、図10のナノポア・ベースのシーケンシング・チップは図5のセル500を複数個含む。ある実施形態では、図10のナノポア・ベースのシーケンシング・チップは図6Aおよび図6Bの回路600を含む。
[0073] プロセス1000は、異なる種類の流体(例えば、液体または気体)を、フロー・チェンバ(flow chamber)を介して、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップのセルに通過させるステップを含む。特性(例えば、圧縮性、疎水性、および粘度)が著しく異なる複数の流体を、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップの表面上にあるセンサのアレイ上を通過させる。効率向上のためには、アレイにおけるセンサの各々が流体に継続的に(in a consistent manner)露出されなければならない。例えば、異なる種類の流体の各々は、その流体がチップに送達されて、セルの表面の各々を均一に被覆し接触し、次いでチップから排出される(delivered out of)ように、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップ上を流通されなければならない。前述のように、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップは、アレイとして構成された大多数のセンサ・セルを内蔵する。更に多くのセルを含むようにナノポア・ベースのシーケンシング・チップを規模拡大するに連れて、チップのセルを横切る異なる種類の流体の均一な流れを達成することは一層困難になる。
[0074] ある実施形態では、図10のプロセス1000を実行するナノポア・ベースのシーケンシング・システムは、蛇行する流体流路を有する改良フロー・チェンバを含む。この流路は、流路の長さに沿ってチップの異なるセンサ上を横断するように、流体を導く。図11は、シリコン・チップを密封する改良フロー・チェンバを有するナノポア・ベースのシーケンシング・システム1100の上面図を示す。このフロー・チェンバは、液体および気体を、チップ表面上にあるセンサ上を通過させ、センサと接触させる。このフロー・チェンバは、蛇行または螺旋状流路1108を含む。流路1108は、センサ・バンク1106(各バンクは数千個のセンサ・セルを含む)の1つの列(または1つの行)の上を直接流れるように、チップの一端から逆端まで流体を導き、次いでセンサ・バンクの全てを少なくとも1回横断し終えるまで、折り返しセンサ・バンクの他の隣接する列上を直接流れるように、繰り返し流体を導く。図11に示すように、システム1100は導入口1102および排出口1104を含む。
[0075] 図11を参照すると、流体が導入口1102を通ってシステム1100内に導かれる。導入口1102は管または針でもよい。例えば、管または針は1ミリメートルの直径を有するのでもよい。1つの連続空間を有する広いフロー・チェンバ内に液体または気体を直接供給する代わりに、導入口1102は液体または気体を蛇行流路1108内に供給する。蛇行流路1108は、センサ・バンク1106の1つの列上を直接流れるように、液体または気体を導く。蛇行流路1108は、天板(top plate)およびガスケットを、チェンバを蛇行チャネルに分割する仕切り(divider)1110と互いに積層してフロー・セルを形成し、次いでフロー・セルをチップの上面上に装着することによって形成することができる。一旦液体または気体が蛇行流路1108を通過したなら、液体または気体は排出口1104を通ってシステム1100外に導かれる。
[0076] システム1100は、チップ表面上にあるセンサ全ての上を一層均一に流体が流れることを可能にする。流路幅は、毛細管現象が効果を発揮するように十分に狭く構成される。更に具体的には、表面張力(流体内の凝集力によって生ずる)および流体と密封面(enclosing surface)との間における接着力が、流体を纏めるように作用し、これによって流体または気体の泡が粉砕し不感帯が生ずるのを防止する。例えば、流路は1ミリメートル以下の幅を有するとよい。狭い流路は、流体の流量を制御することを可能にし、以前の流体流または気体流からの残余量を最小に止める。
[0077] 図10を参照すると、1002において、塩類/電解質緩衝液を、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップのセルを通過するように、フロー・チェンバを介して流通させ、セル内のウェルを塩類緩衝液で実質的に満たす。塩類緩衝液は、以下の内1つを含めばよい。塩化リチウム(LiCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、グルタミン酸リチウム(lithium glutamate)、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、塩化カルシウム(CaCl)、塩化ストロンチウム(SrCl)、塩化マンガン(MnCl)、および塩化マグネシウム(MgLl)。ある実施形態では、塩類緩衝液の濃度は300mM(ミリモル)である。
[0078] 1004において、フロー・チェンバを介して、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップのセルを通過するように、脂質および溶媒混合液を流通させる。ある実施形態では、脂質および溶媒混合液は、ジフィタノイルホスファチジルコリン(DPhPC:diphytanoylphosphatidylcholine)のような脂質分子を含む。ある実施形態では、脂質および溶媒混合液は、デカンまたはトリデカンを含む。脂質および溶媒混合液を最初にセル内に溜めて脂質二重層を形成するとき、セルの一部は自発的に形成された脂質二重層を有するが、セルの一部は、セルのウェルの各々を跨いで広がる厚い脂質メンブレンを有するに過ぎない(脂質分子の複数の層が溶媒と結合する)。ナノポア・ベースのシーケンシング・チップの歩留まり(即ち、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップにおいて、適正に形成された脂質二重層およびナノポアを有するセルの割合)を高めるために、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップには、追加のセルにおける脂質二重層の形成を促進するために、2つのフェーズ、即ち、電気脂質減厚刺激フェーズおよび緩衝液流通フェーズが繰り返し行われる(go through)。
[0079] プロセス1000の電気脂質減厚刺激フェーズは、ステップ1006、1008、および1010を含む。ある実施形態では、このフェーズ・ステップ1006、1008、および1010は、図10に示すような順序で実行することができる。ある実施形態では、ステップ1006、1008、および1010は異なる順序で実行してもよい。ある実施形態では、これらのステップを同時に実行してもよい。
[0080] 1006において、本願において説明する非破壊技術を使用して、図6Aおよび図6Bの回路600を使用して、セル内に脂質二重層が形成されているか否か検出する。この検出は、積分キャパシタ608(ncap)の電圧において、脂質メンブレン/二重層と接触するバルク液体に印加された電圧の変化(ΔVliq)に応答する変化ΔVADCを監視することを含む。脂質二重層が検出されたセルを、脂質二重層が検出されていないセルとは異なるグループに分離する。脂質二重層が検出されたセルの各々において、脂質二重層および電極を測定回路600から切断するためにパス・デバイス606を開放し、電気脂質減厚刺激をセルに印加するのを無効化する。
[0081] 1008において、電気脂質減厚刺激を、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップのセルに印加する。脂質二重層が未だ形成されていないセルに、電気脂質減厚刺激を加えることによって、厚い脂質メンブレンの上方における液体流通の効率を高めることができ、これによって、一層効率的に厚い脂質メンブレンを減厚して脂質二重層に遷移させることができるように、あらゆる余分な脂質溶媒の除去を促進する。また、脂質二重層が未だ形成されていないセルに電気脂質減厚刺激を加えることによって、余分な脂質溶媒を絞り出し、厚い脂質メンブレンを減厚して脂質二重層にするのに役立つ静電力を発生する(create)。ある実施形態では、図6Aおよび図6Bの同じ回路600を使用して、電気脂質減厚刺激を印加してもよい。脂質二重層検出と脂質減厚との間における回路600の設定の相違は、Vliqの絶対振幅が脂質二重層の検出では低いことである。例えば、脂質二重層検出のための絶対振幅Vliqは100mVから250mVの間にするとよく、一方脂質減厚のための絶対振幅Vliqは250mVから500mVの間にするとよい。
[0082] ステップ1010において、電気脂質減厚刺激フェーズが終了したか否か判定する。ある実施形態では、脂質二重層を内部に有しているとして検出されていないあらゆるセルに、 電気脂質減厚刺激を2秒間印加する。しかしながら、他の所定の時間期間も同様に使用してもよい。このフェーズが未だ終わっていない場合、前述の時間期間が終了するまで、プロセス1000はステップ1006および1008に再度戻る。そうでない場合、プロセス1000は次に塩類緩衝液流通フェーズに進む。
[0083] プロセス1000の塩類緩衝液流通フェーズは、ステップ1012、1014、および1016を含む。ある実施形態では、このフェーズの間、ステップ1012、1014、および1016を、図10に示すような順序で実行すればよい。ある実施形態では、ステップ1012、1014、および1016を異なる順序で実行してもよい。ある実施形態では、これらのステップを同時に実行してもよい。
[0084] 1012において、ステップ1006において使用した同じ非破壊技術を使用して、図6Aおよび図6Bの回路600を使用して、セル内に脂質二重層が形成されているか否か検出する。脂質二重層が検出されたセルは、脂質二重層が検出されていないセルとは異なるグループに分けられる。脂質二重層が検出されたセルの各々において、脂質二重層および電極を測定回路600から切断するために、パス・デバイス606を開放する。
[0085] 1014において、フロー・チェンバを介してナノポア・ベースのシーケンシング・チップのセルを通過するように、塩類/電解質緩衝液を流通させる(flow)。セル全体にわたって塩類緩衝液を流通させる目的は、セルの各々上において脂質二重層の形成を促進することである。塩類緩衝液をセル全体にわたって流通させると、セル上に堆積している脂質および溶媒混合液の厚さが減少し、脂質二重層の形成を促進する。
[0086] 1016において、塩類緩衝液流通フェーズが終了したか否か判定する。ある実施形態では、2秒の期間塩類緩衝液を流通させる。しかしながら、他の所定の時間期間も同様に使用してもよい。このフェーズが未だ終了していない場合、プロセス1000は、この時間期間が終了するまで、ステップ1012および1014に再度戻り、そうでない場合、プロセス1000はステップ1018に進む。
[0087] 1018において、プロセス1000の電気脂質減厚刺激フェーズおよび塩類緩衝液流通フェーズを繰り返すべきか否か判定する。このステップにおいて、異なる判断基準を使用してもよい。ある実施形態では、電気脂質減厚刺激フェーズおよび塩類緩衝液流通フェーズを所定回数実行する。ある実施形態では、これら2つのフェーズは、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップに対する目標歩留まりに達するまで繰り返す。ある実施形態では、刺激による減厚および緩衝液流通の最後の繰り返し(round)において、脂質二重層が形成されたとして検出されたばかりのセルの増分数または割合が所定の閾値よりも低い場合、プロセス1000を終了する。ある実施形態では、最後に印加された電気脂質減厚刺激レベルが所定の最大閾値、例えば、500mVに達するまで、2つのフェーズを繰り返す。
[0088] プロセス1000の電気脂質減厚刺激フェーズおよび塩類緩衝液流通フェーズがもう一度(next)繰り返されようとしている場合、プロセス1000はステップ1020に進む。ステップ1020において、印加される次の電気脂質減厚刺激を決定する。ある実施形態では、固定の所定量、例えば、100mVの刻みだけ電気脂質減厚刺激レベルを高くする。ある実施形態では、最後の繰り返し中に脂質二重層が形成されたとして検出されたばかりのセルの増分数または割合が所定の閾値よりも低い場合、電気脂質減厚刺激レベルを、固定の所定量だけ高め、そうでない場合、直前の電気脂質減厚刺激は有効であると判断し、したがって同じ電気脂質減厚刺激レベルを再度使用する。
[0089] 図12A、図12B、および図12Cは、プロセス1000の電気脂質減厚刺激フェーズおよび塩類緩衝液流通フェーズを多数回繰り返すに連れて、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップにおいて脂質二重層が適正に形成されたセルの全体的な割合(即ち、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップの歩留まり)が高くなることを示すヒストグラム図である。これらの図の各々について、x軸は、脂質メンブレン/二重層と接触するバルク液体に印加された電圧の変化(ΔVliq)に応答した、積分キャパシタ608(ncap)における電圧変化ΔVADCであり、一方y軸はそのΔVADC値が一定のΔVADCビン内に収まるセルの数である。図12Aは、異なるΔVADC値を有するセルの初期分布を示す。図12Bは、プロセス1000の脂質減厚刺激フェーズおよび塩類緩衝液流通フェーズを多数回繰り返した後における、異なるΔVADC値を有するセルの分布を示す。図12Cは、プロセス1000の脂質減厚刺激フェーズおよび塩類緩衝液流通フェーズを更に多くの回数繰り返した後における、異なるΔVADC値を有するセルの分布を示す。この例では、ΔVADC値が50以上のセルが、脂質二重層が内部に形成されていると判定される。図12Aに示すように、初期状態では、僅かな数のセルだけに、脂質二重層が検出されている。図12Bに示すように、プロセス1000の脂質減厚刺激フェーズおよび塩類緩衝液流通フェーズを多数回繰り返した後、脂質二重層が検出されたセルの数は増大する。最後に、図12Cに示すように、プロセス1000の脂質減厚刺激フェーズおよび塩類緩衝液流通フェーズを更に多くの回数繰り返した後、ナノポア・ベースのシーケンシング・チップにおけるセルの大多数で、脂質二重層が検出されている。
[0090] 図13は、二重層測定フェーズ、電気脂質減厚刺激フェーズ、および塩類緩衝液流通フェーズについてのタイミング図の実施形態を示す。この例では、セル内に脂質が堆積された後に二重層測定フェーズを開始する。二重層測定フェーズは約2秒の時間続く。このフェーズ中、セルの全てを動作可能にする(enable)。Vliqの絶対値は250mVである。
[0091] 二重層測定フェーズに続いて、電気脂質減厚刺激フェーズを実行する。これは約2秒の時間続く。このフェーズ中、セル内でΔVADCの絶対値(|ΔVADC|)が閾値1を超えたとき、そのセル内において脂質二重層が検出され、このセルを電圧源から切断する。Vliqの絶対値は、250から500mVの間である。
[0092] 電気脂質減厚刺激フェーズに続いて、塩類緩衝液流通フェーズを実行する。後者は約2~10秒の時間続く。このフェーズ中、セル内でΔVADCの絶対値(|ΔVADC|)が閾値2を超えたとき、そのセル内において脂質二重層が検出され、このセルを電圧源から切断する。Vliqの絶対値は、250mVである。

Claims (14)

  1. ナノポア・ベースのシーケンシング・チップのセルにおいて形成される脂質二重層を検出する方法であって、
    脂質メンブレンを積分キャパシタと結合するステップであって、前記脂質メンブレンが作用電極と対向電極との間にある、ステップと、
    交流(AC)電圧を前記対向電極に印加するステップと、
    アナログ/ディジタル変換器(ADC)によって、前記積分キャパシタの両端間の電圧を周期的にサンプリングするステップと、
    前記積分キャパシタを一定プリチャージ電圧源に接続することによって、前記積分キャパシタをプリチャージするステップと、
    前記積分キャパシタが、当該積分キャパシタから前記一定プリチャージ電圧源に充電された後、前記一定プリチャージ電圧源を前記積分キャパシタから切断するステップと、
    前記積分キャパシタが、前記脂質メンブレンに付随する容量を介して充電または放電するために、所定の時間期間だけ待つステップと、
    前記所定の時間期間だけ待った後、前記積分キャパシタの両端間の前記電圧をサンプリングするステップと、
    前記積分キャパシタの両端間にてサンプリングした前記電圧において、前記AC電圧の変化に応答した変化を判定するステップと、
    前記積分キャパシタの両端間にてサンプリングした前記電圧において判定された、前記AC電圧の変化に応答した前記変化に基づいて、前記脂質メンブレンが脂質二重層を含むことを検出するステップと、
    を含む、方法。
  2. 請求項1記載の方法であって、更に、前記AC電圧が正区間から負区間に変化したとき、または前記AC電圧が負区間から正区間に変化したときに、前記積分キャパシタの両端間にてサンプリングした前記電圧において、前記AC電圧の変化に応答した前記変化を判定するステップを含む、方法。
  3. 請求項2記載の方法であって、更に、前記AC電圧が正区間から負区間に変化したとき、または前記AC電圧が負区間から正区間に変化したときに、前記積分キャパシタの両端間にてサンプリングした前記電圧において、前記AC電圧の変化に応答した前記変化を判定するステップを含み、AC正区間が正の方形波を含み、AC負区間が負の方形波を含む、方法。
  4. 請求項1記載の方法であって、更に、前記積分キャパシタの両端間にてサンプリングした前記電圧においてスパイクを検出し、続いて前記積分キャパシタの両端間にてサンプリングした実質的に小さい電圧を検出することによって、前記脂質メンブレンが脂質二重層を含むことを検出するステップを含み、前記スパイクが、前記AC電圧が正区間から負区間に変化するとき、または前記AC電圧が負区間から正区間に変化するときに発生する、方法。
  5. 請求項4記載の方法であって、更に、前記積分キャパシタの両端間にてサンプリングした前記電圧におけるスパイクの大きさ(magnitude)を所定の閾値と比較し、前記スパイクの大きさが前記所定の閾値よりも大きい場合、前記脂質メンブレンが脂質二重層を含むことを検出するステップを含む、方法。
  6. 請求項1記載の方法において、前記積分キャパシタをプリチャージするステップ、前記一定プリチャージ電圧源を前記積分キャパシタから切断するステップ、および前記積分キャパシタが、前記脂質メンブレンに付随する前記容量を介して充電または放電するのを待つステップが、前記ADCのサンプリング・レートで繰り返される、方法。
  7. 請求項6記載の方法において、前記ADCのサンプリング・レートが、前記AC電圧の周波数よりも少なくとも10倍高い、方法。
  8. 請求項1記載の方法であって、更に、前記脂質メンブレンが脂質二重層を含むという検出に応答して、前記脂質二重層が電界によって破壊しないように、前記セル内のスイッチを開くことによって、前記脂質メンブレンの両端間に更なる電気刺激を印加するのを無効化するステップを含む、方法。
  9. 請求項1記載の方法であって、更に、前記セルにおけるスイッチを開くことによって、前記脂質メンブレンが前記セル内部のウェルを密封する前では、前記作用電極と前記対向電極との間に電気刺激を印加するのを無効化するステップを含む、方法。
  10. ナノポア・ベースのシーケンシング・チップのセル内に形成される脂質二重層を検出する機器であって、
    積分キャパシタと、
    前記積分キャパシタに結合された作用電極と、
    対向電極であって、前記作用電極と当該対向電極との間に堆積された脂質メンブレンが前記積分キャパシタと結合される、対向電極と、
    AC電圧を前記対向電極に印加する交流(AC)電圧源と、
    一定プリチャージ電圧源と、
    前記積分キャパシタの両端間における電圧を周期的にサンプリングするアナログ/ディジタル変換器(ADC)と、
    前記積分キャパシタを前記一定プリチャージ電圧源に接続することによって前記積分キャパシタをプリチャージし、前記積分キャパシタが前記一定プリチャージ電圧源に充電された後、前記一定プリチャージ電圧源を前記積分キャパシタから切断し、前記積分キャパシタが、前記脂質メンブレンに付随する容量を介して充電または放電するまで、所定時間期間待ち、前記所定の時間期間待った後、前記積分キャパシタの両端間にて前記ADCに前記電圧をサンプリングさせ、前記積分キャパシタの両端間にてサンプリングした前記電圧において、前記AC電圧の変化に応答した変化を判定し、前記積分キャパシタの両端間にてサンプリングした前記電圧において判定した、前記AC電圧の変化に応答した前記変化に基づいて、前記脂質メンブレンが脂質二重層を含むことを検出するように構成されたプロセッサまたは回路と、
    を含む、機器。
  11. 請求項10記載の機器において、前記プロセッサまたは回路が、更に、前記積分キャパシタの両端間にてサンプリングした前記電圧において、前記AC電圧の変化に応答した前記変化を判定するように構成される、機器。
  12. 請求項10記載の機器において、前記プロセッサまたは回路が、更に、前記積分キャパシタの両端間にてサンプリングした前記電圧においてスパイクを検出し、続いて前記積分キャパシタの両端間にてサンプリングした実質的に小さい電圧を検出することによって、前記脂質メンブレンが脂質二重層を含むことを検出するように構成され、前記スパイクが、前記AC電圧が正区間から負区間に変化するとき、または前記AC電圧が負区間から正区間に変化するときに発生する、機器。
  13. 請求項10記載の機器であって、更に、前記セル内に、前記プロセッサまたは回路によって制御されるスイッチを含み、前記プロセッサまたは回路が、更に、前記脂質メンブレンが脂質二重層を含むという検出に応答して、前記セルにおいて前記スイッチを開放することによって、前記脂質メンブレンの両端間に更なる電気刺激を印加するのを無効化するように構成される、機器。
  14. 請求項10記載の機器であって、更に、前記セル内に、前記プロセッサまたは回路によって制御されるスイッチを含み、前記プロセッサまたは回路が、更に、前記脂質メンブレンが前記セル内においてウェルを密封する前では、前記セルにおいて前記スイッチを開放することによって、前記作用電極および前記対向電極間に電気刺激を印加するのを無効化するように構成される、機器。
JP2018551400A 2016-03-30 2017-03-29 電気刺激に対する二重層応答の測定値を使用する非破壊二重層監視 Active JP7012659B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US15/085,700 2016-03-30
US15/085,700 US10155979B2 (en) 2016-03-30 2016-03-30 Non-destructive bilayer monitoring using measurement of bilayer response to electrical stimulus
PCT/EP2017/057431 WO2017167809A1 (en) 2016-03-30 2017-03-29 Non-destructive bilayer monitoring using measurement of bilayer response to electrical stimulus

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019511721A JP2019511721A (ja) 2019-04-25
JP7012659B2 true JP7012659B2 (ja) 2022-01-28

Family

ID=58488969

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018551400A Active JP7012659B2 (ja) 2016-03-30 2017-03-29 電気刺激に対する二重層応答の測定値を使用する非破壊二重層監視

Country Status (5)

Country Link
US (5) US10155979B2 (ja)
EP (1) EP3436817B1 (ja)
JP (1) JP7012659B2 (ja)
CN (1) CN109416353B (ja)
WO (1) WO2017167809A1 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9678055B2 (en) * 2010-02-08 2017-06-13 Genia Technologies, Inc. Methods for forming a nanopore in a lipid bilayer
US10155979B2 (en) * 2016-03-30 2018-12-18 Roche Molecular Systems, Inc. Non-destructive bilayer monitoring using measurement of bilayer response to electrical stimulus
US10577653B2 (en) 2016-06-27 2020-03-03 Roche Sequencing Solutions, Inc. Counteracting osmotic imbalance in a sequencing cell
WO2018001925A1 (en) 2016-06-27 2018-01-04 F. Hoffmann-La Roche Ag Osmotic imbalance methods for bilayer formation
WO2018109102A1 (en) 2016-12-15 2018-06-21 F. Hoffmann-La Roche Ag Adaptive nanopore signal compression
US10921284B2 (en) 2017-04-19 2021-02-16 Roche Sequencing Solutions, Inc. Phased nanopore array
US10651844B2 (en) * 2018-06-15 2020-05-12 Texas Instruments Incorporated Multiple chip synchronization via single pin monitoring of an external timing capacitor
WO2021219795A1 (en) * 2020-05-01 2021-11-04 F. Hoffmann-La Roche Ag Systems and methods for using trapped charge for bilayer formation and pore insertion in a nanopore array
TWI762372B (zh) * 2021-07-06 2022-04-21 大陸商美律電子(深圳)有限公司 儲能裝置及其電源供應方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20100099198A1 (en) 2008-07-11 2010-04-22 Board Of Regents, The University Of Texas System Apparatus and system for pattern recognition sensing for biomolecules
JP2013519088A (ja) 2010-02-08 2013-05-23 ジニア・テクノロジーズ・インコーポレーテッド ナノ細孔内の分子を操作するためのシステムおよび方法
JP2015510129A (ja) 2012-02-27 2015-04-02 ジニア・テクノロジーズ・インコーポレーテッドGenia Technologies Incorporated 分子複合体を制御、検出、及び測定するためのセンサ回路
WO2015057324A2 (en) 2013-10-17 2015-04-23 Genia Technologies, Inc. Non-faradaic, capacitively coupled measurement in a nanopore cell array
WO2015148127A1 (en) 2014-03-25 2015-10-01 Genia Technologies, Inc. Nanopore-based sequencing chips using stacked wafer technology
JP2016504593A (ja) 2013-02-05 2016-02-12 ジェニア・テクノロジーズ・インコーポレイテッド ナノポアアレイ

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB0716264D0 (en) 2007-08-21 2007-09-26 Isis Innovation Bilayers
US9678055B2 (en) 2010-02-08 2017-06-13 Genia Technologies, Inc. Methods for forming a nanopore in a lipid bilayer
US9494554B2 (en) 2012-06-15 2016-11-15 Genia Technologies, Inc. Chip set-up and high-accuracy nucleic acid sequencing
US9322062B2 (en) 2013-10-23 2016-04-26 Genia Technologies, Inc. Process for biosensor well formation
US10155979B2 (en) * 2016-03-30 2018-12-18 Roche Molecular Systems, Inc. Non-destructive bilayer monitoring using measurement of bilayer response to electrical stimulus
US10233486B2 (en) * 2016-03-30 2019-03-19 Roche Sequencing Solutions, Inc. Method for inline bilayer capacitance monitoring

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20100099198A1 (en) 2008-07-11 2010-04-22 Board Of Regents, The University Of Texas System Apparatus and system for pattern recognition sensing for biomolecules
JP2013519088A (ja) 2010-02-08 2013-05-23 ジニア・テクノロジーズ・インコーポレーテッド ナノ細孔内の分子を操作するためのシステムおよび方法
JP2015510129A (ja) 2012-02-27 2015-04-02 ジニア・テクノロジーズ・インコーポレーテッドGenia Technologies Incorporated 分子複合体を制御、検出、及び測定するためのセンサ回路
JP2016504593A (ja) 2013-02-05 2016-02-12 ジェニア・テクノロジーズ・インコーポレイテッド ナノポアアレイ
WO2015057324A2 (en) 2013-10-17 2015-04-23 Genia Technologies, Inc. Non-faradaic, capacitively coupled measurement in a nanopore cell array
WO2015148127A1 (en) 2014-03-25 2015-10-01 Genia Technologies, Inc. Nanopore-based sequencing chips using stacked wafer technology

Also Published As

Publication number Publication date
US20230120047A1 (en) 2023-04-20
US20240229127A1 (en) 2024-07-11
US11530443B2 (en) 2022-12-20
US10683543B2 (en) 2020-06-16
JP2019511721A (ja) 2019-04-25
US20200291468A1 (en) 2020-09-17
US20170283866A1 (en) 2017-10-05
US11891661B2 (en) 2024-02-06
US20190144934A1 (en) 2019-05-16
EP3436817A1 (en) 2019-02-06
WO2017167809A1 (en) 2017-10-05
EP3436817B1 (en) 2022-04-27
CN109416353B (zh) 2020-11-17
US10155979B2 (en) 2018-12-18
CN109416353A (zh) 2019-03-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7012659B2 (ja) 電気刺激に対する二重層応答の測定値を使用する非破壊二重層監視
US11041198B2 (en) Electrical enhancement of bilayer formation
US12000822B2 (en) Osmotic imbalance methods for bilayer formation
US20230332204A1 (en) Method for inline bilayer capacitance monitoring
EP3688463B1 (en) Method for inline bilayer capacitance monitoring

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200204

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210209

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210510

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210709

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210903

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211203

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211223

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220118

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7012659

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150