以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(スロットマシン100の機械的構成)
図1および図2の外観図に示すように、遊技機としてのスロットマシン100は、前面が開口した筐体102と、筐体102の前面一端に回動可能に上下に並んで配置される前面上扉104および前面下扉106とが設けられている。前面上扉104の下部略中央には、ガラス板や透明樹脂板等で構成された無色透明の図柄表示窓108が設けられており、筐体102内の図柄表示窓108に対応する位置には、3つのリール110(左リール110a、中リール110b、右リール110c)が、それぞれ独立して回動可能に設けられている。左リール110a、中リール110b、右リール110cの外周面には、図3(a)の図柄配列に示すように、20に等分された各領域に複数種類の図柄がそれぞれ配列されており、遊技者は、図柄表示窓108を通じて、上段、中段、下段に位置する、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれの3つの連続する合計9個の図柄を視認することができる。
前面下扉106の上部には操作部設置台112が形成され、操作部設置台112には、メダル投入部114、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120、演出スイッチ122等が設けられている。メダル投入部114は、メダル投入口114aを通じて遊技価値としてのメダルの投入を受け付ける。ベットスイッチ116は、スロットマシン100の内部に電気的に貯留(以下、単にクレジットという)されているメダルのうち、1遊技で必要とされる規定数のメダルを投入(ベット)する。
スタートスイッチ118は、例えば傾倒操作を検出可能なレバーで構成され、遊技者による遊技の開始操作を検出する。ストップスイッチ120(ストップスイッチ120a、ストップスイッチ120b、ストップスイッチ120c)は、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれに対応して設けられており、遊技者の停止操作を検出する。なお、ストップスイッチ120の停止操作が可能な状態で、遊技者が、ストップスイッチ120a、ストップスイッチ120b、ストップスイッチ120cのいずれかを最初に停止操作することを第1停止といい、第1停止の後、停止操作されていない2つのストップスイッチ120のいずれかを停止操作することを第2停止といい、第2停止の後、最後に残ったストップスイッチ120を停止操作することを第3停止という。演出スイッチ122は、例えば、押圧スイッチと、その周囲に回転自在に配されたジョグダイヤルスイッチとから構成され、遊技者の押圧操作や回転操作を検出する。
前面上扉104の上部略中央には、演出に伴う様々な画像を表示する液晶表示部124が設けられている。また、前面上扉104の上部や左右には、例えば高輝度の発光ダイオード(LED)によって構成される演出用ランプ126が設けられる。また、前面上扉104の裏面における液晶表示部124の左右位置や前面下扉106の裏面における左右位置には、効果音や楽音等による聴覚的な演出を行うスピーカ128が設けられている。
操作部設置台112には、メインクレジット表示部130およびメイン払出表示部132が設けられている。また、図柄表示窓108と操作部設置台112との間には、サブクレジット表示部134およびサブ払出表示部136が設けられている。これらメインクレジット表示部130およびサブクレジット表示部134にはクレジットされているメダルの枚数(クレジット枚数)が表示され、メイン払出表示部132およびサブ払出表示部136にはメダルの払出枚数が表示される。
筐体102内におけるリール110の下方には、メダル排出口140aからメダルを払い出すためのメダル払出装置(メダルホッパー)142が設けられている。メダル払出装置142は、メダルを貯留するメダル貯留部142aと、メダル貯留部142aに貯留されたメダルをメダル排出口140aから排出するための払出制御部142bと、メダル排出口140aから排出されるメダルを検出する払出メダル検出部142cとを備えている。また、前面下扉106の前面下部には、メダル排出口140aから払い出されたメダルを貯留するための受け皿部140が設けられている。また、筐体102内には、電源スイッチ144が設けられている。電源スイッチ144は、スロットマシン100を管理する管理者が操作し、電源の切断状態と電源の投入状態の2つの状態を切り換えるために用いられる。
また、筐体102内には、後述する主制御基板200に、図示しない設定キーおよび設定変更スイッチ(これらを合わせて設定値設定手段という)が設けられている。スロットマシン100では、設定キーに所定の鍵(操作キー)が挿入されてOFFの位置からONの位置へ回転された状態で電源スイッチ144を介して電源が投入されると設定変更モードに移行し、設定値の変更(単に設定変更ともいう)が可能な状態となる。設定値は、遊技者の有利度合(機械割)を段階的に示したものであり、例えば、1~6の6段階で表され、一般に、設定値の数値が大きいほど遊技全体として有利度合が高い(期待獲得枚数が高い)ように設定されている。そして、設定変更が可能な状態において設定変更スイッチが押下される度に設定値が1ずつ加算され、例えば、6段階の設定値のうちのいずれかの設定値に変更され、スタートスイッチ118が操作されると、設定値が確定し、設定キーを元の位置(OFFの位置)に戻すことで設定変更モードが終了して遊技が可能となる。なお、設定変更は、電源スイッチ144が操作されて電源の投入状態となってから一定期間のみ可能となっている。
スロットマシン100では、遊技が開始可能となり、規定数のメダルがベットされると、有効ラインAが有効化するとともに、スタートスイッチ118に対する操作が有効となる。ここで、ベットは、ベットスイッチ116の操作を通じてクレジットされているメダルを投入する場合と、メダル投入部114を通じてメダルを投入する場合と、詳しくは後述するリプレイ役が有効ラインA上に表示されたことに基づいてメダルを自動投入する場合のいずれも含む。また、有効ラインAは、当選役の入賞を判定するためのラインであり、本実施形態では1本である。有効ラインAは、図3(b)に示すように、図柄表示窓108に臨む9つの図柄(3リール×上中下の3段)のうち、左リール110aの中段、中リール110bの中段、右リール110cの上段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインに設定されている。無効ラインは、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせのみでは当選役を把握しにくい場合に、当選役の把握を容易にする他の図柄組み合わせを表示する、当選役の入賞判定には用いられない有効ラインA以外のラインであり、本実施形態では、図3(b)に示す5つの無効ラインB1、B2、B3、C1、C2を想定している。ここで、入賞判定は、当選種別抽選で決定した当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたか否かを判定することである。
そして、遊技者によりスタートスイッチ118が操作されると、遊技が開始され、左リール110a、中リール110b、右リール110cが回転されるとともに、当選種別抽選等が実行される。その後、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cをそれぞれ停止させる。そして、当選種別抽選の抽選結果および有効ラインAに表示された図柄の組み合わせによって、メダルの払い出しを受け得る当選役が入賞した場合にはメダルの払い出しが実行され、メダルの払い出しを受け得る当選種別に不当選であった場合または当選したが入賞しなかった場合には左リール110a、中リール110b、右リール110cが全て停止したことをもって、遊技が終了する。
なお、本実施形態において、上記1遊技は、メダル投入部114を通じたメダルの投入、ベットスイッチ116の操作を通じたクレジットされているメダルの投入、または、リプレイ役が有効ラインA上に表示されたことに基づくメダルの自動投入のいずれかが行われてから、遊技者によるスタートスイッチ118の操作に応じて、左リール110a、中リール110b、右リール110cが回転制御されるとともに当選種別抽選が実行され、当選種別抽選の抽選結果および遊技者による複数のストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、操作されたストップスイッチ120a、120b、120cに対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cがそれぞれ停止制御され、メダルの払い出しを受け得る当選役が入賞した場合、そのメダルの払い出しが実行されるまでの遊技をいう。また、メダルの払い出しを受け得る当選種別に不当選であった場合または当選したが入賞しなかった場合、左リール110a、中リール110b、右リール110cが全て停止したことをもって1遊技が終了する。ただし、1遊技の開始を、上記のメダルの投入、または、リプレイ役の当選の代わりに、遊技者によるスタートスイッチ118の操作と読み替えてもよい。また、かかる1遊技が繰り返される数を遊技数とする。
(スロットマシン100の電気的構成)
図4は、スロットマシン100の概略的な電気的構成を示したブロック図である。図4に示すように、スロットマシン100は、遊技の進行を制御する主制御基板200(主制御部)と、遊技の進行に応じた演出を制御する副制御基板202(副制御部)とを含む制御基板が設けられている。また、主制御基板200と副制御基板202との間の電気的な信号の伝達は、不正防止等の観点から、主制御基板200から副制御基板202への一方向のみに制限される。
(主制御基板200)
主制御基板200は、中央処理装置であるメインCPU200a、プログラム等が格納されたメインROM200b、ワークエリアとして機能するメインRAM200c等を含む半導体集積回路を有し、スロットマシン100全体を統括的に制御する。なお、メインRAM200cは、電源が切断された場合においても、設定変更が行われてRAMクリアが実行されない限り、データが消去されることなく保持される。
また、主制御基板200は、メインCPU200aが、メインROM200bに格納されたプログラムに基づきメインRAM200cと協働することで機能する、初期化手段300、ベット手段302、当選種別抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、遊技状態制御手段312、演出状態制御手段314、コマンド送信手段316等の機能部を有する。
主制御基板200では、メダル投入口114aへのメダルの投入を検出する投入メダル検出部114b、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118およびストップスイッチ120a、120b、120cから各種の検出信号を受信しており、受信した検出信号に基づいて、メインCPU200aが種々の処理を実行する。
初期化手段300は、主制御基板200における初期化処理を実行する。ベット手段302は、遊技に使用するためのメダルをベットする。当選種別抽選手段304は、スタートスイッチ118の操作に基づき、詳しくは後述するように、当選役の当否、より詳しくは、当選役が含まれる当選種別の当否を決定する当選種別抽選を行う。
リール制御手段306は、スタートスイッチ118の操作に応じて、左リール110a、中リール110b、右リール110cを回転制御し、回転している左リール110a、中リール110b、右リール110cにそれぞれ対応したストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cを停止制御する。また、リール制御手段306は、スタートスイッチ118の操作に応じて、前回の遊技においてストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化してから、当選種別抽選の抽選結果を表示するために遊技者によるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化するまで(前回の遊技におけるストップスイッチ120a、120b、120cの操作完了により無効化されている)の時間を規定の時間より延長し、その間、リール110a、110b、110cを多彩な態様で回転させるリール演出(フリーズ演出)を行う場合がある。リール演出は、本来有効となるべき任意のスイッチを所定時間有効にしなかったり、本来実行されるべき処理を所定時間保留したり、本来送受信されるべき任意のスイッチの信号を所定時間送信または受信させなかったりすることで実現できる。
また、主制御基板200には、リール駆動制御部150が接続されている。このリール駆動制御部150は、スタートスイッチ118の操作信号に応じ、リール制御手段306から送信される、左リール110a、中リール110b、右リール110cの回転開始信号に基づいて、ステッピングモータ152を駆動する。また、リール駆動制御部150は、ストップスイッチ120の操作信号に応じ、リール制御手段306から送信される、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれの停止信号および回転位置検出回路154の検出信号に基づいて、ステッピングモータ152の駆動を停止する。
判定手段308は、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたか否か判定する。ここで、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることを単に入賞という場合がある。払出制御手段310は、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたこと(入賞したこと)に基づいて、当該当選役に対応する数(価値量)だけメダルを払い出す。また、主制御基板200には、メダル払出装置142が接続されており、払出制御手段310は、メダルの払出枚数を計数しながらメダルを排出する。
遊技状態制御手段312は、当選種別抽選の結果や判定手段308の判定結果を参照し、複数種類の遊技状態のいずれかに遊技状態を移行させる。また、演出状態制御手段314は、当選種別抽選の結果、判定手段308の判定結果、遊技状態の遷移情報を参照し、複数種類の演出状態のいずれかに演出状態を移行させる。
コマンド送信手段316は、ベット手段302、当選種別抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、遊技状態制御手段312、演出状態制御手段314等の動作に伴う、遊技に関するコマンドを順次決定し、決定したコマンドを副制御基板202に順次送信する。
また、主制御基板200には、乱数発生器(乱数生成手段)200dが設けられる。乱数発生器200dは、計数値を順次インクリメントし、所定の数値範囲内でループさせ、所定の時点における計数値を抽出することで乱数を得る。主制御基板200の乱数発生器200dによって生成される乱数(以下、当選種別抽選乱数という)は、遊技者に付与する遊技利益、例えば、当選種別抽選手段304が当選種別を決定するために用いられる。
(副制御基板202)
また、副制御基板202は、主制御基板200と同様に、中央処理装置であるサブCPU202a、プログラム等が格納されたサブROM202b、ワークエリアとして機能するサブRAM202c等を含む各種半導体集積回路を有し、主制御基板200からのコマンドに基づき、特に演出を制御する。また、サブRAM202cにもメインRAM200c同様、不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、データが消去されることなく保持される。なお、副制御基板202にも、主制御基板200同様、乱数発生器(乱数生成手段)202dが設けられており、乱数発生器202dによって生成される乱数(以下、演出抽選乱数という)は、主に演出の態様を決定するために用いられる。
また、副制御基板202では、サブCPU202aが、サブROM202bに格納されたプログラムに基づき、サブRAM202cと協働することで機能する、初期化決定手段330、コマンド受信手段332、演出制御手段334等の機能部を有する。
初期化決定手段330は、副制御基板202における初期化処理を実行する。コマンド受信手段332は、主制御基板200等、他の制御基板からのコマンドを受信し、コマンドに対する処理を行う。演出制御手段334は、演出スイッチ122から検出信号を受信するとともに、受信されたコマンドに基づいて液晶表示部124、スピーカ128、演出用ランプ126の各デバイスで行われる遊技の演出を決定する。具体的に、演出制御手段334は、液晶表示部124に表示される画像データや、演出用ランプ126、サブクレジット表示部134、サブ払出表示部136等の電飾機器を通じた演出のための電飾データを決定するとともに、スピーカ128から出力すべき音声を構成する音声データを決定する。そして、演出制御手段334は、決定した遊技の演出を実行する。なお、演出には、補助演出も含まれる。補助演出は、当選種別抽選において、正解役(特定の役)と不正解役とが重複した選択当選種別に当選したときに、その正解役の入賞条件となるストップスイッチ120a、120b、120cの正解操作態様を報知する演出である。かかる補助演出により、遊技者は、正解役に対応する図柄組み合わせを、遊技者が有効ラインA上に容易に表示させることができる。かかる補助演出を実行する演出状態をAT(アシストタイム)演出状態という。また、AT演出状態とリプレイ役の当選確率が高いRT(リプレイタイム)遊技状態が並行して進行される所謂ART遊技状態を用いることもある。
なお、以下では、液晶表示部124、演出用ランプ126、スピーカ128、サブクレジット表示部134、サブ払出表示部136といった、副制御基板202を含む、主制御基板200以外の基板で管理される報知手段を他報知手段という場合がある。これに対し、メインクレジット表示部130、メイン払出表示部132といった、主制御基板200で管理される報知手段を主報知手段(指示モニタ)という場合がある。また、補助演出を実行可能な主報知手段および他報知手段を合わせて補助演出実行手段という場合もある。演出状態制御手段314は、AT演出状態において、補助演出を補助演出実行手段に実行させる。
(主制御基板200で用いられるテーブル)
図5は、当選役を説明するための説明図であり、図6および図7は、当選種別抽選テーブルを説明するための説明図である。
スロットマシン100においては、詳しくは後述するように、複数種類の遊技状態および演出状態が設けられており、遊技の進行に応じて遊技状態および演出状態が移行される。そして、主制御基板200では、遊技状態制御手段312により管理、制御される遊技状態に対応する複数の当選種別抽選テーブル等がメインROM200bに格納されている。当選種別抽選手段304は、メインRAM200cに記憶された現在の設定値(遊技利益を得る容易性を段階的に示したもの)と現在の遊技状態に応じて、対応する当選種別抽選テーブルをメインROM200bから抽出し、抽出した当選種別抽選テーブルに基づき、スタートスイッチ118の操作信号に応じて取得された当選種別抽選乱数が当選種別抽選テーブル内のいずれの当選種別に対応するか判定する。
ここで、当選種別抽選テーブルで抽出される当選種別を構成する当選役には、リプレイ役、小役、ボーナス役が含まれる。リプレイ役は、リプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されると、遊技者によるメダルの新たなるベットを行わずして再度遊技を実行できる役である。小役は、その小役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることにより、図柄組み合わせに応じて所定枚数のメダルの払い出しを受けることができる役である。また、ボーナス役は、そのボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることにより、遊技状態制御手段312により管理される遊技状態をボーナス遊技状態(後述するRBB作動中遊技状態)に移行させることができる役である。
本実施形態における当選役は、図5に示すように、リプレイ役として、当選役「リプレイ1」~「リプレイ7」が設けられている。また、小役として、当選役「小役1」~「小役39」が設けられている。また、ボーナス役として、当選役「RBB」が設けられている。図5では、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれに、各当選役を構成する1または複数の図柄が対応付けられている。
ここで、本実施形態においては、遊技者によってストップスイッチ120が操作されたときに、入賞可能な当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ラインA上にある場合には、リール制御手段306によって、当該図柄が有効ラインA上に停止するように停止制御がなされる。また、ストップスイッチ120が操作されたときに、入賞可能な当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が、有効ラインA上にはないが、リール110の回転方向と反対の方向の図柄4コマ分に相当する範囲(引込範囲)内に存在している場合には、リール制御手段306によって、離れている図柄数が滑りコマ数となり、当該当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持した後に停止するように停止制御がなされる。また、入賞可能な当選役に対応する図柄がリール110中に複数あり、いずれもリール110の引込範囲内に存在している場合には、予め定められた優先順位に従っていずれの図柄を有効ラインA上に引き込むか決定され、当該優先された図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持した後に停止するように停止制御がなされる。なお、ストップスイッチ120が押圧操作されたときに、入賞可能な当選役以外の当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ラインA上にある場合には、リール制御手段306によって、その図柄を有効ラインA上に停止させないようにする、所謂蹴飛ばし処理も並行して実行される。また、後述するように、当選種別に含まれる当選役に操作態様(操作順や操作タイミング)が入賞条件として設定されている場合、リール制御手段306は、遊技者の操作態様に応じて当選役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示可能に停止制御する。
そして、例えば、当選役「リプレイ1」~「リプレイ4」、当選役「小役1」~「小役6」、「小役35」~「小役39」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄は、各リール110において、上記の停止制御によって、必ず有効ラインA上に表示可能なように配列されている。このような当選役をPB=1と表す場合がある。一方、例えば、当選役「リプレイ5」~「リプレイ7」、当選役「小役7」~「小役34」、当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄は、各リール110において、上記の停止制御によって、必ずしも有効ラインA上に表示可能なように配列されていないので、所謂とりこぼしが発生する場合がある。このような当選役をPB≠1と表す場合がある。
図6および図7に示すように、当選種別抽選テーブルでは、複数の当選領域が区画されており、各遊技状態によって抽選の対象となる当選種別が異なったり、不当選(ハズレ)の有無が異なったりする。図6および図7では、各遊技状態(非内部遊技状態(非内部)、RBB内部中遊技状態(RBB内部中)、RBB作動中遊技状態(RBB作動中))毎に割り当てられた当選領域(当選種別)を「◎」や「○」で表しているが、実際には、複数の遊技状態それぞれに対応する当選種別抽選テーブルがメインROM200bに記憶されている。なお、「◎」は有利区間に移行させる抽選を行うことが可能な有利区間抽選可当選種別であることを示し、「○」は有利区間に移行させる抽選を行うことが不可な有利区間抽選不可当選種別であることを示している。
当選種別抽選テーブルでは、区画化された各当選領域にはそれぞれ当選範囲を示す数値である所定の置数(当選範囲値)と当選種別が対応付けられており、遊技状態毎に割り当てられた全ての当選領域の置数を合計すると当選種別抽選乱数の総数(65536)となる。したがって、当選種別それぞれが決定される確率は、当選領域に対応付けられた置数を当選種別抽選乱数の総数で除算した値となる。当選種別抽選手段304は、その時点の遊技状態に基づいて、当該当選種別抽選テーブルにおける複数の当選領域のうち番号の高い方から、順次、置数を取得し、その置数を当選種別抽選乱数から減算して、減算後の値が0未満となると、その時点の当選領域に対応付けられた当選種別を当選種別抽選の抽選結果としている。また、当選領域1以上の全ての当選領域の置数を当選種別抽選乱数から減算して、減算後の値が0以上となっていれば、当選領域0の当選種別「ハズレ」が当選種別抽選の抽選結果となる。
ここで、当選種別「RBB」を構成する当選役「RBB」について補足する。所定の第1種特別役物RBは、規定数ごとの入賞に係る図柄の組み合わせの数を増加させ、または規定数ごとの入賞に係る条件装置が作動する確率を上昇させる役物で、あらかじめ定められた場合に作動し、12回を超えない回数の遊技の結果が得られるまで作動を継続することができるものをいう。ここで、条件装置は、その作動が入賞、再遊技、役物または役物連続作動装置の作動に係る図柄の組み合わせが表示されるために必要な条件とされている装置で、当選種別抽選(遊技機内で行われる電子計算機によるくじ)に当選した場合に作動するもの、すなわち、当選フラグを意味する。そして、当選種別「RBB」を構成する第1種特別役物に係る役物連続作動装置(当選役「RBB」)は、第1種特別役物RBを連続して作動させることができる装置であり、特定の図柄の組み合わせが表示された場合に作動し、あらかじめ定められた場合に作動を終了するものをいう。
図6の当選種別抽選テーブルによれば、例えば当選領域0には、当選種別「ハズレ」が対応付けられており、かかる当選種別に当選すると、図5に示したいずれの当選役に対応する図柄組み合わせも有効ラインA上に表示されることはなく、メダルの払い出し等が行われることはない。ただし、後述するように、RBB内部当選フラグが次遊技に持ち越されている場合、当選種別「ハズレ」の当選により、当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることが可能となる。
また、当選領域1には、当選役「小役1」~「小役39」が重複して含まれる当選種別「小役ALL」が対応付けられており、当選領域2には、当選役「小役11」~「小役39」が重複して含まれる当選種別「1枚ALLA」が対応付けられており、当選領域3には、当選役「小役12」~「小役27」が重複して含まれる当選種別「1枚ALLB」が対応付けられている。また、当選領域4には、当選役「小役12」、「小役20」が重複して含まれる当選種別「択1枚1」が対応付けられ、当選領域5には、当選役「小役13」、「小役21」が重複して含まれる当選種別「択1枚2」が対応付けられ、当選領域6には、当選役「小役14」、「小役22」が重複して含まれる当選種別「択1枚3」が対応付けられ、当選領域7には、当選役「小役15」、「小役23」が重複して含まれる当選種別「択1枚4」が対応付けられている。また、当選領域8には、当選役「小役35」、「小役36」が重複して含まれる当選種別「弱チェリー」が対応付けられ、当選領域9には、当選役「小役37」~「小役39」が重複して含まれる当選種別「強チェリー」が対応付けられ、当選領域10には、当選役「小役7」、「小役8」、「小役11」が重複して含まれる当選種別「スイカA」が対応付けられ、当選領域11には、当選役「小役7」~「小役10」が重複して含まれる当選種別「スイカB」が対応付けられ、当選領域12には、当選役「小役1」、「小役3」、「小役5」が重複して含まれる当選種別「強ベル」が対応付けられている。また、当選領域13には、当選役「小役1」~「小役6」が重複して含まれる当選種別「共通ベルA」が対応付けられ、当選領域14には、当選役「小役1」~「小役6」、「小役11」が重複して含まれる当選種別「共通ベルB」が対応付けられている。
また、当選領域15~26には、払出枚数が11枚となる正解役(当選役「小役1」~「小役6」)と、払出枚数が1枚の不正解役(当選役「小役12」~「小役34」)が重複して含まれる選択当選種別(当選種別「打順ベル1A」~「打順ベル6A」、「打順ベル1B」~「打順ベル6B」)がそれぞれ対応付けられている。
また、図7の当選種別抽選テーブルによれば、当選領域27~39には、当選役「リプレイ1」~「リプレイ7」が重複して含まれる当選種別「シンボルリプレイA1」~「シンボルリプレイA7」、「シンボルリプレイB1」~「シンボルリプレイB6」が対応付けられている。また、当選領域40には、当選役「リプレイ1」、「リプレイ2」が重複して含まれる当選種別「通常リプレイ」が対応付けられている。
また、当選領域41~46には、当選役「RBB」が単独、または、他の小役と重複して含まれる当選種別「RBB1」~「RBB6」が対応付けられている。
そして、複数の当選役が重複して含まれる当選種別に当選した場合には、いずれの当選役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に優先的に表示させるかについての入賞条件、例えば、ストップスイッチ120a、120b、120cが操作される順番が設定されている。
以下の説明において、左リール110a、中リール110b、右リール110cの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順1」とし、左リール110a、右リール110c、中リール110bの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順2」とし、中リール110b、左リール110a、右リール110cの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順3」とし、中リール110b、右リール110c、左リール110aの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順4」とし、右リール110c、左リール110a、中リール110bの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順5」とし、右リール110c、中リール110b、左リール110aの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順6」とする。
例えば、非内部遊技状態において、当選領域15の当選種別「打順ベル1A」に当選し、正解操作態様(打順1)による操作が行われた場合、払出枚数が11枚の正解役である当選役「小役1」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に優先的に表示されるように停止制御がなされる。また、打順2による操作が行われた場合、払出枚数1枚の不正解役である当選役「小役28」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に優先的に表示されるように停止制御がなされ、打順3、4による操作が行われた場合、払出枚数1枚の不正解役である当選役「小役12」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に優先的に1/4の確率で表示されるように停止制御がなされ、打順5、6による操作が行われた場合、払出枚数1枚の不正解役である当選役「小役16」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に優先的に1/4の確率で表示されるように停止制御がなされる。
なお、当選領域15~26の各当選種別の当選確率(置数)は等しくなるように設定されている。遊技者は、通常、いずれの当選種別に当選しているのかを知ることができないため、上記のような当選領域15~26を設けることにより、正解役を入賞させにくくしている。また、上記のように、不正解役が優先的に表示される打順でストップスイッチ120a、120b、120cが操作されても、必ずしも不正解役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させられるとは限らないので、その操作態様によっては、とりこぼしが発生することがある(PB≠1)。
なお、上述したいずれかの当選種別に当選すると、それぞれの当選種別に対応する内部当選フラグが成立(ON)するとともに、この内部当選フラグの成立状況に応じて、各リール110の停止制御がなされることとなる。このとき、小役が含まれる当選種別に当選したものの、これら当選役に対応する図柄組み合わせを、その遊技内で有効ラインA上に表示させることができなかった場合には、当該遊技の終了後に内部当選フラグがOFFされる。つまり、小役の当選の権利は小役が含まれる当選種別に当選した遊技内のみに限られ、当該権利を次遊技に持ち越すことはできない。これに対して、当選役「RBB」が含まれる当選種別に当選した場合には、RBB内部当選フラグが成立(ON)するとともに、当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されるまで、RBB内部当選フラグが遊技を跨いで持ち越される。なお、リプレイ役が含まれる当選種別に対応する内部当選フラグが成立した場合には、その当選種別に含まれるリプレイ役のうちのいずれかのリプレイ役に対応する図柄組み合わせが必ず有効ラインA上に表示され、メダルを要することなく次遊技を行うために必要となる処理が行われた後に、当該内部当選フラグがOFFされる。
(遊技状態の遷移)
ここで、図8を用い、遊技状態の遷移について説明する。ここでは、非内部遊技状態、RBB内部中遊技状態、RBB作動中遊技状態といった複数の遊技状態が準備されている。各遊技状態は、後述するように、ボーナス役の当選、入賞(作動)、終了に応じて遷移させる。
非内部遊技状態は、複数の遊技状態における初期状態に相当する遊技状態である。かかる非内部遊技状態では、リプレイ役の当選確率が約1/7.3に設定されている。また、非内部遊技状態では、当選役「RBB」が所定の確率(例えば約1/30)で決定されている。
遊技状態制御手段312は、当選役「RBB」の当選に応じて遊技状態を遷移させる。例えば、当選役「RBB」が当選した遊技において、当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されると、遊技状態制御手段312は、遊技状態をRBB作動中遊技状態に移行させる(1)。
RBB作動中遊技状態では、リプレイ役の当選確率が0に設定されている。なお、かかるRBB作動中遊技状態では、当選可能な当選種別として、当選領域1に当選種別「小役ALL」が、当選領域2、3に当選種別「1枚ALLA」、「1枚ALLB」が設定されている。当選種別「小役ALL」に当選すると、当選役「小役1」~「小役39」のいずれかに対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示され、当選種別「1枚ALL」に当選すると、当選役「小役11」~「小役39」のいずれかに対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されるように停止制御される。ここでは、かかる小役の構成によりRBB作動中遊技状態での単位遊技当たりの期待獲得枚数を低くしている。
RBB作動中遊技状態の終了条件を満たすと、すなわち、獲得枚数が所定枚数に到達すると、遊技状態制御手段312は、遊技状態を非内部遊技状態に移行させる(2)。
一方、当選役「RBB」が当選した遊技において、当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示することができなかった場合、遊技状態制御手段312は、遊技状態をRBB内部中遊技状態(特別遊技状態)に移行させる(3)。
RBB内部中遊技状態では、リプレイ役の当選確率が約1/5.9に設定されている。また、RBB内部中遊技状態では当選種別「ハズレ」に当選することはない。換言すれば、当選役「RBB」の当選遊技で当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示することができなかった場合、その後は、当選役「RBB」より小役やリプレイ役の方が優先して有効ラインA上に停止制御されるので、当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示することができない。したがって、一旦、遊技状態がRBB内部中遊技状態に移行すると、その後、遊技状態が遷移することなく、RBB内部中遊技状態が維持されることとなる。ここでは、かかるRBB内部中遊技状態を維持しつつ、そのRBB内部中遊技状態においてAT演出状態を実現する。
ここでは、RBB内部中遊技状態において、複数種類の正解役が互いに重複せずに当選するため、正解役を入賞させることができる機会を多くすることができ、その結果、例えば、RBB内部中遊技状態におけるAT演出状態において補助演出が行われることで、メダルを獲得しやすくできる。一方、RBB作動中遊技状態では、複数種類の正解役が重複して当選するため、正解役を入賞させることができる機会が少ないので、他の遊技状態におけるAT演出状態よりも正解役を入賞させることができる機会が減り、遊技者が所有するメダルを増やしにくくしている。したがって、RBB内部中遊技状態よりも入賞に係る当選役の当選確率が高いというRBB作動中遊技状態の機能を備えつつ、メダルの獲得性能の面ではRBB作動中遊技状態がRBB内部中遊技状態に劣るという仕様(アクセルRBB)を実現することができる。
(演出状態の遷移)
図9は、演出状態の遷移を説明するための説明図である。以下、主制御基板200において演出状態制御手段314により遷移される演出状態(非AT演出状態、AT演出状態)について詳述する。なお、以下では、遊技状態がRBB内部中遊技状態である場合について説明する。
ここで、メダルの獲得性能が高い遊技状態が偏っているか否かを統括的かつ画一的に判定すべく、指示機能に係る性能を有する遊技区間、すなわち、補助演出(指示機能)を実行する遊技区間等を含む、遊技者にとって有利な遊技区間を有利区間(特定区間)として定義する。なお、有利区間は、主制御基板200で補助演出の作動に係る抽選等を行った結果、補助演出が作動した場合には、主制御基板200において指示の内容が識別できるよう、例えば、主報知手段に表示したときに限り、指示情報を、副制御基板202等の周辺基板に送信してもよい遊技区間である。また、有利区間と異なる遊技区間を非有利区間とする。したがって、複数の演出状態(非AT演出状態、AT演出状態)は、遊技区間である有利区間および非有利区間のいずれかに属することとなる。本実施形態では、ほぼ全ての演出状態が有利区間に属し、非AT演出状態の一部の演出状態(ここでは非有利演出状態)で非有利区間を実現している。
なお、有利区間において、補助演出がないと正解役を取りこぼしてしまう当選態様のうち、正解役の配当が最大(ここでは、11枚)となる選択当選種別において、正解役の入賞を補助する補助演出(最大払出枚数を獲得できる補助演出)を行う場合、例えば、区間表示器160を点灯させることによって、その旨を報知しなければならない。
また、非有利区間においては、当選種別の当選確率を設定値毎に異ならせることは可能であるが、同一の当選種別において補助演出を伴う演出状態(AT演出状態)への移行を決定する確率は設定値毎に異ならせてはならない。一方、有利区間においては、当選種別の当選確率、および、同一の当選種別における補助演出を伴う演出状態(AT演出状態)への移行(または追加)を決定する確率のいずれも設定値毎に異ならせることは可能である。
したがって、演出状態制御手段314は、演出状態の移行の管理に加え、非有利区間と有利区間との移行も管理することとなる。また、有利区間は、このような管理に拘わらず、以下の終了条件を満たすことで強制的に終了する。例えば、有利区間において計数される値が所定値に達したこと(例えば、滞在遊技数(遊技実行回数)が1500遊技に達したり、獲得枚数(純増枚数)が2400枚を超えたこと)に基づいて強制的に終了する。いずれの場合においても、演出状態制御手段314は、有利区間から非有利区間に移行することで、有利区間で更新された情報(指示機能に係る性能に影響を及ぼす全ての変数)を全てリセットする。
(非AT演出状態、AT演出状態)
非AT演出状態においては、AT演出状態より、補助演出の実行頻度が極めて低く、補助演出がほぼ行われないので、獲得できるメダルの枚数が制限される。ここでは、非AT演出状態として通常演出状態、非有利演出状態、準備演出状態、第1インターバル演出状態、継続抽選演出状態、第2インターバル演出状態といった6つの演出状態が設けられている。
AT演出状態においては、選択当選種別全ての当選時において補助演出実行手段に補助演出を実行させることで、メダルの消費を抑えつつ、多くのメダルを獲得することが可能となる。したがって、遊技者は、AT演出状態に移行することで、非AT演出状態と比べ、遊技を有利に進行することができる。ここでは、AT演出状態として、擬似ボーナス演出状態が設けられている。以下、各演出状態(通常演出状態、擬似ボーナス演出状態、非有利演出状態、準備演出状態、第1インターバル演出状態、継続抽選演出状態、第2インターバル演出状態)について個々に説明する。
(各演出状態)
通常演出状態は、複数の演出状態のうち、初期状態に相当する演出状態である。演出状態制御手段314は、通常演出状態においてAT抽選を行う。AT抽選は、AT演出状態への移行を決定する抽選であり、演出状態制御手段314は、当選種別抽選により決定された当選種別ごとに異なる確率でAT抽選を行う。そして、AT抽選に当選した場合、演出状態制御手段314は、所定の前兆遊技数が経過した後に、演出状態をAT演出状態である擬似ボーナス演出状態に移行させる(1)。また、擬似ボーナス演出状態に移行することなく通常演出状態で所定の天井条件(例えば、通常演出状態を連続して所定遊技数消化)が満たされると(所謂、天井到達)、演出状態制御手段314は、演出状態を擬似ボーナス演出状態へ移行させる(1)。かかる天井到達による擬似ボーナス演出状態への移行については後程詳述する。
擬似ボーナス演出状態では、所定の終了条件(例えば、消化した遊技数が所定遊技数に到達すること)を満たすまで、補助演出が実行され、遊技者は、擬似ボーナス演出状態において、例えば、期待獲得枚数3.5枚を得ることができる。なお、擬似ボーナス演出状態では、主として2つの終了条件が準備されている。例えば、終了条件が、消化した遊技数が所定遊技数に到達することであった場合、所定遊技数として、30と80の2段階設けられ、いずれかが抽選により決定される。擬似ボーナス演出状態では、当然、消化した遊技数が多いほど、遊技者は、多くの遊技利益を得ることになる。したがって、遊技者は、所定遊技数が30ではなく80であることを望むこととなる。ただし、所定遊技数として30が決定された場合であっても、その消化中に補助演出の所定遊技数を30から80に増加させる昇格抽選も行われる。かかる擬似ボーナス演出状態の終了条件については後程詳述する。なお、ここでは、擬似ボーナス演出状態の終了条件として、消化した遊技数が所定遊技数に到達したことを例示しているが、これに代えて、最大払出枚数を獲得できる補助演出の回数が所定数に到達することや、獲得枚数(純増枚数)が所定数に到達することを採用してもよい。
そして、擬似ボーナス演出状態において、所定の終了条件を満たすと、演出状態制御手段314は、演出状態を非有利演出状態に移行する場合がある(2)。このとき、演出状態制御手段314は、有利区間を、一旦、非有利区間に移行し、有利区間で更新された情報を全てリセットする。例えば、前段の擬似ボーナス演出状態が初回の擬似ボーナス演出状態であった場合、すなわち、通常演出状態から移行した直後の擬似ボーナス演出状態であれば、演出状態制御手段314は、演出状態を非有利演出状態に移行するとともに、有利区間を、一旦、非有利区間に移行する。また、前段の擬似ボーナス演出状態が、通常演出状態を経由しない3の倍数(3、6、…)回目の擬似ボーナス演出状態であった場合も、演出状態制御手段314は、有利区間を、一旦、非有利区間に移行するとともに、有利区間を、一旦、非有利区間に移行する。
そして、演出状態制御手段314は、有利区間への移行を高確率(例えば、1/2)で抽選し、数遊技を消化後、有利区間に戻すとともに、演出状態を準備演出状態に移行する(3)。これは、有利区間において計数される値が所定値に達することにより、擬似ボーナス演出状態が強制的に終了することを回避するためである。
一方、前段の擬似ボーナス演出状態が初回ではない、もしくは、通常演出状態を経由しない3の倍数回目の擬似ボーナス演出状態ではない場合、演出状態制御手段314は、演出状態を非有利演出状態に移行することなく、直接、準備演出状態に移行する(4)。これは、有利区間において計数される値が所定値に達することにより擬似ボーナス演出状態が強制的に終了することを回避しつつ、不要に有利区間を終了させないためである。
準備演出状態において、演出状態制御手段314は、第1インターバル演出状態への移行を高確率(例えば、1/2)で抽選し、第1インターバル演出状態への移行の決定に基づいて、演出状態を第1インターバル演出状態に移行する(5)。
第1インターバル演出状態は、所定の終了条件(例えば、40遊技の消化)を満たすまで継続し、その間、擬似ボーナス演出状態の継続抽選が実行される。かかる第1インターバル演出状態は、擬似ボーナス演出状態と異なり、単位遊技当たりの期待獲得枚数が少なく、負の値となる場合もある。なお、本実施形態では、非有利区間において有利区間に当選した場合、演出状態が必ず第1インターバル演出状態となるように設定されている。したがって、擬似ボーナス演出状態の終了後は、有利区間が継続した場合であっても、上記のように、一旦、非有利区間に移行した場合であっても、第1インターバル演出状態に移行することとなる。そして、第1インターバル演出状態における所定の終了条件を満たすと、演出状態制御手段314は、演出状態を継続抽選演出状態に移行する(6)。
継続抽選演出状態は、所定の終了条件(例えば、5遊技の消化)を満たすまで継続し、最終的に、第1インターバル演出状態における、擬似ボーナス演出状態の継続抽選の結果が報知される。かかる継続抽選演出状態も、擬似ボーナス演出状態と異なり、単位遊技当たりの期待獲得枚数が少なく、負の値となる場合もある。第1インターバル演出状態において、擬似ボーナス演出状態への移行(継続)が決定されていれば、演出状態制御手段314は、演出状態を擬似ボーナス演出状態への移行し(7)、擬似ボーナス演出状態への移行が決定されていなければ、演出状態制御手段314は、演出状態を通常演出状態へ戻す(8)。
このように、本実施形態では、一旦、擬似ボーナス演出状態に移行すると、継続抽選演出状態の継続抽選に漏れない限り、擬似ボーナス演出状態→準備演出状態→第1インターバル演出状態→継続抽選演出状態の移行を繰り返すことで、遊技者は、メダルを蓄積できる。
なお、準備演出状態において、演出状態制御手段314は、第1インターバル演出状態への移行抽選に加え、第2インターバル演出状態への移行抽選も行っている。ただし、第1インターバル演出状態への移行確率(例えば、1/2)より、第2インターバル演出状態への移行確率(例えば、1/20)の方が小さく設定されている。準備演出状態において、第1インターバル演出状態への移行が決定する前に、第2インターバル演出状態への移行が決定されると、演出状態制御手段314は、第2インターバル演出状態への移行の決定に基づいて、演出状態を第2インターバル演出状態に移行する(9)。なお、ここでは、準備演出状態において第2インターバル演出状態への移行抽選を行う例を挙げているが、同様に、非有利演出状態において第2インターバル演出状態への移行抽選を行ってもよい。
第2インターバル演出状態は、第1インターバル演出状態同様、所定の終了条件(例えば、40遊技の消化)を満たすまで継続し、その間、擬似ボーナス演出状態の継続抽選が実行される。かかる第2インターバル演出状態は、第1インターバル演出状態同様、擬似ボーナス演出状態と異なり、単位遊技当たりの期待獲得枚数が少なく、負の値となる場合もある。
ただし、第2インターバル演出状態は、第1インターバル演出状態より高確率で擬似ボーナス演出状態が決定される。例えば、第1インターバル演出状態においては、40遊技間、擬似ボーナス演出状態を毎遊技1/58で決定し(当選確率50%)、第2インターバル演出状態においては、40遊技間、擬似ボーナス演出状態を毎遊技1/25で決定する(当選確率80%)。そして、所定の終了条件を満たすと、演出状態制御手段314は、演出状態を継続抽選演出状態に移行する(10)。なお、一旦、第2インターバル演出状態への移行が決定されると、その後は、継続抽選演出状態に漏れるまで、非有利演出状態、準備演出状態、第1インターバル演出状態に移行することはなく、擬似ボーナス演出状態からは第2インターバル演出状態にしか移行しない(11)。したがって、遊技者は、常に、高確率で継続抽選を受けることができる。また、一旦、第2インターバル演出状態への移行が決定されると、継続抽選演出状態において擬似ボーナス演出状態への移行が決定されなかった場合でも、演出状態制御手段314は、直ちに、演出状態を通常演出状態に戻すことなく、非有利演出状態に移行させる(12)。したがって、継続抽選演出状態において擬似ボーナス演出状態への移行が決定されなかった場合、再度、継続抽選演出状態の継続抽選に漏れるまで、擬似ボーナス演出状態→準備演出状態→第1インターバル演出状態→継続抽選演出状態の移行を繰り返すことができる。このように、一旦、第2インターバル演出状態に移行すると、高確率で、擬似ボーナス演出状態→第2インターバル演出状態→継続抽選演出状態の移行を繰り返すことができ、さらに、継続抽選演出状態において擬似ボーナス演出状態への移行が決定されなくとも、少なくとも、再度、擬似ボーナス演出状態→準備演出状態→第1インターバル演出状態→継続抽選演出状態の移行を繰り返すことができるので、遊技者は、より多くのメダルを蓄積することが可能となる。つまり、第2インターバル演出状態は、第1インターバル演出状態よりも有利な状態といえる。
また、上記のように、演出状態制御手段314は、擬似ボーナス演出状態から第2インターバル演出状態に移行する際には、第1インターバル演出状態への移行と異なり、非有利区間に移行させることがない。本実施形態においては、擬似ボーナス演出状態が初回の擬似ボーナス演出状態であった場合、演出状態制御手段314は、第2インターバル演出状態に移行させることはなく、有利区間を、一旦、非有利区間に移行して、必ず、第1インターバル演出状態へ移行させる。そうすると、有利区間が一旦リセットされていることになる。したがって、第2インターバル演出状態へ移行する際に有利区間をリセットしなくても、第2インターバル演出状態を経由する擬似ボーナス演出状態が有利区間の制限により短期に終了することはなく、遊技者は、擬似ボーナス演出状態→第2インターバル演出状態→継続抽選演出状態のループにより、多くのメダルを得ることができる。
(第1の実施形態:リールの回転、停止処理)
上述したように、スロットマシン100においては、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120等の各スイッチの操作を通じて、各リール110a、110b、110cが回転および停止され、遊技者は、その停止結果に応じてメダルを獲得することができる。ここでは、スタートスイッチ118とストップスイッチ120a、120b、120cの操作に対する各リール110a、110b、110cの回転、および、停止処理を詳述する。
遊技者によって、スタートスイッチ118が操作されると、リール制御手段306は、リール110a、110b、110cそれぞれの回転を開始する(以下、リール110の回転を開始することを、回転開始という)。そして、リール制御手段306は、リール110a、110b、110cそれぞれの回転速度が増加し(以下、回転速度が増加している状態を、加速状態という)、所定の速度(80rpm/min未満)に到達すると、その所定の速度を維持する(以下、速度を維持して回転している状態を、定速状態という)。そして、リール110a、110b、110cそれぞれの位置を特定するインデックスが全て検出されると、リール制御手段306は、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化する。なお、遊技者は、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作が有効であるか無効であるかを、ストップスイッチ120a、120b、120cそれぞれのバックライトの発光色によって判断できる。例えば、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作が有効であれば、ストップスイッチ120a、120b、120cのバックライトを青に発光させ、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作が無効であれば、ストップスイッチ120a、120b、120cのバックライトを赤に発光させる。かかる発光色および発光タイミングについては後程フローチャートに基づいて詳述する。
ただし、リール制御手段306は、インデックスの検出のみならず、所定の許可条件を満たしていた場合にのみストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化する。以下、許可条件について説明する。
上述したように、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120は、スロットマシン100に対し、操作し易いように露出して設けられ、遊技者は、何時でも接触することができる。ただし、遊技者が各スイッチを操作したとしても、そのスイッチの操作が有効化されていなければ、その操作は有効に処理されない。例えば、1遊技が終了すると、ベットスイッチ116の操作が有効化され、メダルのベットが為されると、スタートスイッチ118の操作が有効化され、スタートスイッチ118が操作されると、リール110a、110b、110cが回転開始し、リール110a、110b、110cを停止できる状態になるとストップスイッチ120a、120b、120cの操作が有効化され、リール110a、110b、110cそれぞれの停止操作が為される。
したがって、遊技者は、スタートスイッチ118を操作した後、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作が有効化されるのを待ち、有効化されたストップスイッチ120a、120b、120cを操作してリール110a、110b、110cを停止させる。ストップスイッチ120は何時でも操作できるので、遊技者は、スタートスイッチ118の操作が有効化された後、まだ有効化されていないストップスイッチ120a、120b、120cのいずれかを操作(押止)しながら、スタートスイッチ118を操作することができる。しかし、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作が有効化されていない場合、その操作は有効に処理されず、スタートスイッチ118の操作のみが有効に処理され、リール制御手段306は、スタートスイッチ118の操作に応じてリール110a、110b、110cを回転開始する。そして、リール110a、110b、110cそれぞれのインデックスを全て検出し、1遊技におけるストップスイッチ120の操作を有効化するタイミングになると、リール制御手段306は、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化する。しかし、かかるタイミングで既にストップスイッチ120が操作され、その操作が解除されていないと(ON状態が維持されていると)、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作が有効化された途端、その操作が有効に受け付けられ、リール110の停止が開始される。
このように、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作が有効化された途端、操作が受け付けられると、以下の問題が生じ得る。すなわち、リール110a、110b、110cの回転開始位置に基づいて、リール110a、110b、110cの停止位置が決まるので、遊技者は、前回の遊技において、予めリール110a、110b、110cの回転開始位置を調整し、何ら目押しを行うことなくリール110a、110b、110cを所望した位置で停止させる、所謂、目押し補助を行うことができる。
また、ストップスイッチ120が操作されている状態(ON状態)に固定されたまま故障している場合であっても、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作が有効化された途端、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作が有効に受け付けられるので、ストップスイッチ120a、120b、120cが不具合のまま遊技が進行してしまう。
さらに、遊技者が何らかの原因で誤ってストップスイッチ120を押止したままスタートスイッチ118を操作してしまった場合であっても、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作が有効に受け付けられるので、本来操作すべきストップスイッチ120や操作しようとしていたストップスイッチ120とは異なる、誤って操作したストップスイッチ120に対応するリール110が停止してしまう。この結果、例えば、演出状態が擬似ボーナス演出状態(AT演出状態)であった場合に、正解操作態様と異なる停止操作となってしまい、本来の遊技利益を得られないこともあり得る。
そこで、本実施形態では、リール制御手段306が、ストップスイッチ120a、120b、120cが操作された(押下操作が維持された)状態で、1遊技におけるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化するタイミング、すなわち、リール110a、110b、110cのインデックスを全て検出した場合、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作が解除されていなければ、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化しないこととする。そして、リール制御手段306は、ストップスイッチ120a、120b、120cが操作された状態で、リール110a、110b、110cのインデックスを全て検出し、操作されているストップスイッチ120a、120b、120cの操作が解除されると、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化する。したがって、上述した許可条件は、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作が解除されている(操作されていない)こととなる。
図10~図12は、リール110a、110b、110cの回転、停止処理を説明するための説明図であり、図10ではストップスイッチ120およびリール110の動作タイミングを、図11、図12ではその表示態様を表している。なお、図11、図12における矢印は各リール110が回転中であることを示し、操作が無効なストップスイッチ120をクロスハッチングで示し、操作が有効なストップスイッチ120を白抜きで示す。ここでは、説明の便宜上、左リール110a、中リール110b、右リール110cの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの打順、所謂、順押しの打順で操作された場合を説明するが、操作可能な全通り(ここでは6通り)のいずれの打順にも適用できることは言うまでもない。
図10の時点(a)において、遊技者がストップスイッチ120aを操作(押止)し、図11(a)のように、押止状態(ON状態)を維持したまま、図10の時点(b)において、スタートスイッチ118を操作したとする。スタートスイッチ118が操作されると、リール制御手段306は、図11(b)のように、リール110a、110b、110cに対応するステッピングモータ152を1-2相励磁し、リール110a、110b、110cそれぞれを回転開始する。そして、リール制御手段306は、リール110a、110b、110cが、加速状態を経由し、例えば167msec後の時点(c)において、所定の速度(80rpm/min未満)に到達すると、1-2相励磁を継続して、定速状態に移行する。
ここで、リール110a、110b、110cが定速状態となった後、図10の時点(d)において、リール110a、110b、110cのインデックスが全て検出されたとする。リール制御手段306は、リール110a、110b、110cのインデックスが全て検出されると、本来、一点鎖線で示したように、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化する。しかし、時点(d)においては、ストップスイッチ120aの押止状態が維持されているので(許可条件を満たしていないので)、リール制御手段306は、図11(c)のように、ストップスイッチ120aの押止状態が維持されている間、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化しない。したがって、遊技者は、ストップスイッチ120a、120b、120cを通じてリール110a、110b、110cを停止することができない。
そして、図10の時点(e)において、遊技者が、ストップスイッチ120aの押止状態を解除すると、リール制御手段306は、リール110a、110b、110cのインデックスが全て検出され、かつ、許可条件を満たしたことにより、図11(d)のように、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化する。こうして、遊技者は、ストップスイッチ120a、120b、120cを通じてリール110a、110b、110cを停止することが可能となる。なお、ここでは、ストップスイッチ120aを挙げ、ストップスイッチ120aが操作された状態で、リール110a、110b、110cのインデックスを全て検出し、操作されているストップスイッチ120aの操作が解除されると、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、他のストップスイッチ120b、120cについても、同処理が行われるのは言うまでもない。
このように、許可条件を満たすまで、ストップスイッチ120の操作を有効化しない構成により、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作が有効化された途端、即座に、ストップスイッチ120a、120b、120c(ここではストップスイッチ120a)の操作が有効に受け付けられ、左リール110aの停止が開始されることはない。したがって、遊技者は、所謂、目押し補助を行うことはできない。また、ストップスイッチ120a、120b、120cのいずれかが故障した場合、そのストップスイッチ120a、120b、120cを有効に操作できなくなるので、ストップスイッチ120a、120b、120cが壊れたまま遊技が進行するのを回避できる。さらに、遊技者が、本来操作すべきストップスイッチ120や操作しようとしていたストップスイッチ120とは異なる、誤って操作したストップスイッチ120があったとしても、その操作が受け付けられることなく、適切に遊技を進行できる。
なお、ここでは、リール制御手段306が、ストップスイッチ120が操作された状態で、リール110a、110b、110cのインデックスを全て検出し、かつ、許可条件(ストップスイッチ120a、120b、120cの操作が解除されている)が満たされると、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化する例を挙げて説明した。しかし、インデックスを検出しなくても、加速状態の終了や定速状態の開始が把握できる場合、例えば、加速状態の開始から、少なくとも加速が完了するのに必要な時間を計時することで、加速状態の終了や定速状態の開始を把握できる場合、インデックスを検出する代わりに、加速状態の終了や定速状態の開始を採用することができる。ここで、リール制御手段306は、ストップスイッチ120a、120b、120cが操作された状態で、リール110a、110b、110cの加速状態が終了した場合、許可条件(ストップスイッチ120a、120b、120cの操作が解除されている)が満たされていなければ、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化せず、許可条件が満たされていれば、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化する。あるいは、リール制御手段306は、ストップスイッチ120a、120b、120cが操作された状態で、リール110a、110b、110cの定速状態が開始した場合、許可条件(ストップスイッチ120a、120b、120cの操作が解除されている)が満たされていなければ、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化せず、許可条件が満たされていれば、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化する。
また、ストップスイッチ120が操作された状態では、そもそもインデックスを全て検出させないようにすることでも、同処理を実現できる。具体的に、リール制御手段306は、ストップスイッチ120が操作された状態では、インデックスを検出しない、または、インデックスを検出したとしてもそのインデックスの検出を無効とする。こうして、許可条件が満たされるか否かに拘わらず、ストップスイッチ120が操作された状態では、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作が有効化されることを回避することができる。
このようなストップスイッチ120a、120b、120cの操作の有効化に応じ、遊技者が、図10の時点(f)において、ストップスイッチ120aを操作すると、リール制御手段306は、操作されたストップスイッチ120a、および、まだ、停止処理が行われていないリール110b、110cに対応するストップスイッチ120b、120cの操作(すなわち、全てのストップスイッチ120a、120b、120cの操作)を無効化する。そして、リール制御手段306は、操作時において引込範囲内に存在している図柄を停止図柄として決定し(滑りコマ数を決定し)、当該停止図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持する。したがって、ストップスイッチ120aの操作から滑りコマ数分回転するのに、操作検出や割込処理の反応時間も含めて0~189msec(190msec以内の所定時間)の時間を費やす。
続いて、リール制御手段306は、左リール110aが、図10の時点(g)において、決定された停止図柄を有効ラインA上に停止可能な停止位置に到達すると、左リール110aに対応するステッピングモータ152を全相励磁し、励磁する相が切り換わらないように、左リール110aの停止処理を開始する(以下、全相励磁により停止処理を開始することを、停止開始という)。こうして、左リール110aは、回転速度が減少し(以下、回転速度が減少している状態を、減速状態という)、図12(a)に示すように、停止処理の開始から約13msec後の時点(h)において停止し(以下、停止開始の結果、回転速度が減少してリール110が停止したことを、停止完了という)、停止した状態を維持する(以下、停止を維持している状態を、停止状態という)。かかる全相励磁は、200msecの間継続された後、時点(i)において開放される。全相励磁の開放に伴い、リール制御手段306は、まだ、停止処理が行われておらず、回転しているリール110b、110cに対応するストップスイッチ120b、120cの操作を有効化する。なお、リール110の動作状態を示す回転状態は、上述した、加速状態、定速状態、減速状態、停止状態のいずれかで表される。
続いて、遊技者が、図10の時点(j)において、ストップスイッチ120bを操作すると、ストップスイッチ120a操作時同様、リール制御手段306は、操作されたストップスイッチ120bおよび、まだ、停止処理が行われていない右リール110cに対応するストップスイッチ120cの操作を無効化する。そして、リール制御手段306は、操作時において引込範囲内に存在している図柄を停止図柄として決定し、当該停止図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持する。
続いて、リール制御手段306は、中リール110bが、図10の時点(k)において、決定された停止図柄を有効ラインA上に停止可能な停止位置に到達すると、中リール110bに対応するステッピングモータ152を全相励磁し、励磁する相が切り換わらないように、中リール110bの停止処理を開始する。こうして、中リール110bは、図12(b)に示すように、停止処理の開始から約13msec後の図10の時点(l)において停止する。ただし、全相励磁は、200msecの間継続され、時点(m)において開放される。全相励磁の開放に伴い、リール制御手段306は、まだ、停止処理が行われていない右リール110cに対応するストップスイッチ120cの操作を有効化する。
なお、ここでは、停止完了条件として、全てのリール110a、110b、110cについて全相励磁が開放されたか否かを判定しているが、後述する、遊技者がストップスイッチ120a、120b、120cを連続して操作することができる所謂スライドプッシュを採用していない場合、ストップスイッチ120の第3停止が可能となった時点では、必ず、第1停止されたリール110および第2停止されたリール110が停止完了している。したがって、停止完了条件として、全てのリール110a、110b、110cについて全相励磁が開放されたか否かを判定する代わりに、第3停止した(最後に停止操作された)ストップスイッチ120に対応するリール110について全相励磁が開放されたか否かを判定するとしてもよい。また、ここでは、全相励磁が開始されてから200msecを計時し、200msec経過後に励磁開放され、励磁開放に伴って、停止処理が行われていない右リール110cに対応するストップスイッチ120cの操作を有効化する例を挙げている。しかし、停止完了条件として、全てのリール110a、110b、110cについて全相励磁が開放されたか否か判定する代わりに、全相励磁から200msec経過したか否かを判定し、これに応じて停止処理が行われていない右リール110cに対応するストップスイッチ120cの操作を有効化してもよい。かかる停止完了条件の置き換えは、以下で説明する全ての処理においても適用できる。
次に、遊技者が、図10の時点(n)において、ストップスイッチ120cを操作すると、ストップスイッチ120b操作時同様、リール制御手段306は、操作されたストップスイッチ120cの操作を無効化する。そして、リール制御手段306は、操作時において引込範囲内に存在している図柄を停止図柄として決定し、当該停止図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持する。続いて、リール制御手段306は、右リール110cが、図10の時点(o)において、決定された停止図柄を有効ラインA上に停止可能な停止位置に到達すると、右リール110cに対応するステッピングモータ152を全相励磁し、励磁する相が切り換わらないように、右リール110cの停止処理を開始する。こうして、右リール110cは、図12(c)に示すように、停止処理の開始から約13msec後の図10の時点(p)において停止する。かかる全相励磁は、200msecの間継続され、時点(q)において開放される。
そして、判定手段308は、全てのリール110a、110b、110cが停止し、図10の時点(q)において、所定の停止完了条件が満たされると、すなわち、全てのリール110a、110b、110cについて全相励磁が開放され、かつ、最後に操作(第3停止)されたストップスイッチ120(ここではストップスイッチ120c)の操作が解除されているという条件が満たされると、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせが予め定められたどの組み合わせに相当するか(入賞した当選役)を判定する。
続いて、演出制御手段334は、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせに係る情報を報知する。例えば、当選種別抽選により当選種別「共通ベルA」が決定しており、かつ、停止完了条件が満たされたとき、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせが当選役「小役1」を示していれば、演出制御手段334は、図12(d)のように、液晶表示部124を通じて当選役「小役1」が入賞した旨を報知する。また、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせに係る情報の報知としては、液晶表示部124を通じた報知に限らず、それに加え、または、代え、リールバックライトを通じて、入賞した当選役に対応する図柄組み合わせに対応する演出を行ったり、メダルの払い出しに応じて(合わせて)スピーカ128から払出音を出力したりしてもよい。
このように、全てのリール110a、110b、110cについて全相励磁が開放されたこと、および、最後に操作されたストップスイッチ120(ここではストップスイッチ120c)の操作が解除されていることに応じて、判定処理を実行したり、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせが当選役「小役1」であることを示す画像(図柄「ベル」に対応する画像)の報知を行うことで、遊技者は、その図柄組み合わせを確実に認識することができ、不信感や違和感を覚えることもない。なお、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせが当選役「小役1」であることを示すために液晶表示部124に表示する画像は、遊技結果の誤認防止の観点から、上記のように、有効ラインA上に表示された図柄「ベル」に対応する画像としている。
また、払出制御手段310は、演出制御手段334同様、例えば、当選種別抽選により当選種別「共通ベルA」が決定しており、かつ、停止完了条件が満たされた後、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせが当選役「小役1」を示していれば、当選役「小役1」に対応する払出枚数11枚のメダルを払い出す。
このように、全てのリール110a、110b、110cについて全相励磁が開放されたこと、および、最後に操作されたストップスイッチ120(ここではストップスイッチ120c)の操作が解除されていることに応じて、メダルを払い出すことで、まだ、1遊技が終了していない状態でメダルが払い出されることはない。したがって、遊技者が、不信感や違和感を覚えることがなくなる。
また、上記のように、判定手段308、演出制御手段334、および、払出制御手段310は、停止完了条件が満たされたことに応じて、それぞれの処理を遂行している。ここで、判定手段308が、当選種別抽選で決定した当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたか否かの判定を行うこと、演出制御手段334が、有効ラインA上に表示された当選役に関する情報を報知すること、払出制御手段310が、有効ラインA上に表示された当選役に対応する払出枚数のメダルを払い出すことを、纏めて、停止完了後処理と言う場合がある。また、演出制御手段334、および、払出制御手段310は、判定手段308の入賞判定に基づく処理を実行するという点に関し、両手段を纏めて判定実行手段と呼ぶ場合がある。なお、入賞判定に基づく処理としては、リプレイ役が有効ラインA上に表示されたことに基づいた次遊技のメダルの自動投入処理、ボーナス役の入賞に基づくボーナス遊技状態(RBB作動中遊技状態)への移行処理、RT遊技状態を遷移させるためのリプレイ役の入賞に基づくRT遊技状態の移行処理、AT演出状態を遷移させるための当選種別抽選の抽選結果の表示に基づくAT演出状態への移行処理等も含む。したがって、遊技者は、停止完了後処理の少なくともいずれかによって、遊技結果を把握することができる。具体的に、最後のストップスイッチ120を操作(押止)することにより、リール制御手段306は、対応するリール110の停止を開始する。そして、リール110は全相励磁により190msec以内に停止するので、少なくとも停止開始からタイマで計時する200msec後には、リール110a、110b、110cが全て停止しており、遊技者は、その遊技結果を視認する。しかし、その時点で、遊技者がまだストップスイッチ120の操作を解除していなければ(押止し続けていれば)、判定手段308、演出制御手段334、および、払出制御手段310は、停止完了後処理を遂行しない。ここでは、図柄表示窓108を通じて、遊技者のみが遊技結果を把握することができる。そして、遊技者がストップスイッチ120の操作を解除すると、はじめて、判定手段308、演出制御手段334、および、払出制御手段310は、停止完了後処理を遂行する。本来、全てのリール110a、110b、110cに対する停止操作が行われていれば、当選種別抽選の結果と、停止操作を行った順番および操作タイミングにより、スロットマシン100の内部では、遊技結果を認識することができる。しかし、全てのリール110a、110b、110cが停止完了する前や、最後のストップスイッチ120の操作が解除されていない状態においては、遊技者が遊技結果を把握(視認)できなかったり、遊技者が当該遊技の遊技操作を終えていない可能性があることから、このような状況下で停止完了後処理を行ってしまうと遊技者に対して不信感や違和感を与えてしまう。ここでは、リール110a、110b、110cが全て停止し、かつ、全てのストップスイッチ120の操作が解除されたことを停止完了条件とすることで、遊技者の不信感や違和感を払拭することができる。また、スロットマシン100全体を視認可能な他の人、および、メダルの払出音を聴くことができる他の人も、その遊技結果を把握することができる。したがって、遊技者は、まだ、停止完了後処理が遂行される前に、遊技結果を自分のみが把握し、優越感に浸ることができる。
また、上記では、停止完了条件として、全てのリール110a、110b、110cが停止完了し、かつ、操作されたストップスイッチ120の操作が解除されている例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、停止完了条件として、全てのリール110a、110b、110cが停止完了し、かつ、全てのストップスイッチ120a、120b、120cの操作が解除されていることとしてもよい。
この場合、遊技者は、以下のような操作を行うことができる。すなわち、上述したように、遊技者は、最後のストップスイッチ120を操作(押止)し、その押止状態を維持することで、判定手段308、演出制御手段334、および、払出制御手段310による停止完了後処理の実行を遅延させることができる。また、ここでは、停止完了条件として、全てのストップスイッチ120a、120b、120cの操作の解除が含まれている。したがって、遊技者が、最後のストップスイッチ120の押止状態を維持したまま、他のストップスイッチ120を押止し、他のストップスイッチ120の押止状態を維持しつつ、最後のストップスイッチ120の押止状態を解除したとしても、以前、いずれかのストップスイッチ120の操作が解除されていないので(全てのストップスイッチ120a、120b、120cの操作が解除されていないので)、やはり、停止完了後処理は実行されない。また、最後のストップスイッチ120に限らず、第1停止または第2停止したストップスイッチ120の押止状態を維持した場合でも停止完了後処理は実行されない。例えば、ストップスイッチ120を第1停止または第2停止すると、その押止状態を維持するか否かに拘わらず、他のストップスイッチ120の操作が有効化される仕様であったとする。ここで、第1停止または第2停止したストップスイッチ120の押止状態を維持したまま、有効化された他のストップスイッチ120を操作し、第1停止または第2停止したストップスイッチ120が解除されていない状態で第3停止が完了したとする。このとき、遊技者が、第1停止および/または第2停止したストップスイッチ120の押止状態を維持したまま、他のストップスイッチ120を押止し、他のストップスイッチ120の押止状態を維持しつつ、第1停止または第2停止したストップスイッチ120の押止状態を解除したとしても、以前、いずれかのストップスイッチ120の操作が解除されていないので(全てのストップスイッチ120a、120b、120cの操作が解除されていないので)、やはり、停止完了後処理は実行されない。このように、いずれかのストップスイッチ120a、120b、120cの押止状態が維持されていれば、停止完了後処理が実行されることはなく、遊技者は、押止状態となるストップスイッチ120a、120b、120cを切り替えることでも、判定手段308、演出制御手段334、および、払出制御手段310による停止完了後処理の実行を遅延させることができる。
かかる構成により、遊技者の不信感や違和感を払拭することができる。また、遊技者は、まだ、停止完了後処理が遂行される前に、遊技結果を自分のみが把握し、押止状態となるストップスイッチ120a、120b、120cを切り替える動作を堪能しつつ、優越感に浸ることができる。
また、ここでは、払出制御手段310が、全てのリール110a、110b、110cについて全相励磁が開放された後にメダルの払い出しを行っている。したがって、リール110の励磁(全相励磁)タイミングとメダル払出装置142が駆動するタイミングとを異ならせることができるので、主制御基板200が管理するデバイス全体に許容される電流量を超過することがなくなる。したがって、リール110の励磁中にメダル払出装置142を駆動させるための大電流容量の電源を準備する必要がなくなり、コストの削減を図ることができる。
また、全てのリール110a、110b、110cについて全相励磁が開放された後でなくても、電源が許容する電流容量によっては、それ以前にメダルの払い出しを開始してもよい。例えば、電源が、1のリール110の励磁タイミングとメダル払出装置142が駆動するタイミングとの重なりを許容する場合、残りの2つのリール110の励磁タイミングとメダル払出装置142が駆動するタイミングとが重複しなければよいので、2番目に操作されたストップスイッチ120に対応するリール110について全相励磁が開放された後にメダルの払い出しを開始する。同様に、電源が、複数(例えば2)のリール110の励磁タイミングとメダル払出装置142が駆動するタイミングとの重なりを許容する場合、全リール数から許容する複数のリール数を減算した数(例えば3-2=1)のリール110の励磁タイミングとメダル払出装置142が駆動するタイミングとが重複しなければよいので、その減算した数だけリール110(例えば1番目に停止完了したリール110)について全相励磁が開放された後にメダルの払い出しを開始する。
また、メダル払出装置142の駆動要否に応じて、払い出しの開始タイミングを切り替えてもよい。例えば、メダル払出装置142の駆動が必要な場合、全てのリール110a、110b、110cについて全相励磁が開放された後や、それ以降の所定タイミングに払い出しを開始し、メダル払出装置142の駆動が不要な場合、例えば、払い出したメダルを全てクレジットに収めることができる(メダルの実際の払い出しを伴わない)場合、判定手段308が遊技結果を判定した後の任意のタイミングで払い出しを開始するとしてもよい。
なお、ここで、払出制御手段310は、全てのリール110a、110b、110cについて全相励磁が開放されたこと、および、最後に操作されたストップスイッチ120の操作が解除されていることに応じて、メダルを払い出すとしたが、全てのリール110a、110b、110cについて全相励磁が開放されたこと、および、最後に操作されたストップスイッチ120の操作が解除されていることを確認した以降の所定のタイミング(例えば、10msec後)にメダルを払い出すとしてもよい。
また、ここでは、リール制御手段306は、各リール110a、110b、110cそれぞれに対応するステッピングモータ152を全相励磁して、各リール110a、110b、110cの停止処理を開始する例を挙げて説明したが、停止処理は全相励磁に限らず、励磁しさえすれば足り、1相励磁によって停止処理を開始してもよい。また、回転制御を1相励磁で行う場合または1-2相励磁で行う場合において、最終停止位置を特定の1相の位置とする場合には、当該特定の1相において1相励磁をかけて停止させるようにしてもよい。また、回転制御を1相励磁で行う場合または1-2相励磁で行う場合において、最終停止位置を特定の1相の位置とする場合には、当該特定の1相およびその前後の相を含む3相励磁をかけて停止させるようにしてもよい。また、回転制御を2相励磁で行う場合または1-2相励磁で行う場合において、最終停止位置を特定の2相の位置とする場合には、当該特定の2相において2相励磁をかけて停止させるようにしてもよい。
また、ここでは、リール110a、110b、110cの停止完了として、リール110a、110b、110cの全相励磁が開放されたことや、全相励磁が開始されてから200msecが経過したことを挙げて説明しているが、かかる場合に限らず、例えば、当選種別抽選の結果が、遊技者が把握(視認)できるように、有効ラインA上に表示されたことや、決定された停止図柄が有効ラインA上に停止したときに対応するステッピングモータ152のステップ数から所定のステップ数の範囲に入ったこと等、リール110a、110b、110cが停止したとみなすことができる様々な状態を停止完了とすることができる。
また、ここでは、リール制御手段306が、3つのリール110a、110b、110cを制御する例を挙げて説明したが、リール110の数は、かかる場合に限らず、2以下であっても、4以上であってもよい。なお、リール110の数に拘わらず、任意のリール110が停止するまで、回転している他のリール110に対応するストップスイッチ120を操作できないとなると、以下のように、遊技時間が長くなるおそれがある。例えば、当選役を早期に把握するために、また、当選役を把握した後に把握した当選役の取りこぼしを回避するために、所定のリールの所定の図柄が有効ラインA上に停止するように遊技者が目押しを慎重に行う場合や、配当が高い当選役が入賞し、例えば、11枚のメダルが順次払い出された場合である。その結果、1遊技における遊技時間がウェイト時間(4.1秒)以上となり、遊技の進行自体が遅れるおそれが生じる。ここでは、ストップスイッチ120の操作が有効になってから、他のストップスイッチ120の操作状態(操作有無)、および、それに対応するリールの回転状態(加速状態、定速状態、減速状態、停止状態)に拘わらず、いずれのストップスイッチ120も操作することができるので、リール110の数に拘わらず、1遊技における遊技時間がウェイト時間(4.1秒)以上とならずに遊技を行える可能性が高くなる(フルウェイトで遊技できる)。
また、ここでは、全てのリール110a、110b、110cについて全相励磁が開放されたこと、および、最後に操作されたストップスイッチ120の操作が解除されていることに応じて、判定手段308が有効ラインA上に表示された図柄組み合わせを判定し、その判定結果に応じて、演出制御手段334が、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせに係る情報を報知し、払出制御手段310が、当選役に対応する払出枚数のメダルを払い出す例を挙げて説明した。しかし、かかる場合に拘わらず、判定手段308は、ストップスイッチ120が最後に操作された時点で、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせを判定できるので、全てのリール110a、110b、110cについて全相励磁が開放されたこと、および、最後に操作されたストップスイッチ120の操作が解除されていることに応じて、演出制御手段334が、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせに係る情報を報知し、払出制御手段310が、当選役に対応する払出枚数のメダルを払い出すとしてもよい。こうして、遊技者の不信感や違和感を払拭することができる。
また、ここでは、判定手段308、演出制御手段334、払出制御手段310が、全てのリール110a、110b、110cについて全相励磁が開放され、かつ、最後に操作されたストップスイッチ120の操作が解除されていることを条件に停止完了後処理を遂行する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、全てのリール110a、110b、110cについて全相励磁が開放されたことをもって(最後に操作されたストップスイッチ120の操作が解除されていなくとも)停止完了後処理を遂行してもよい。かかる構成により、遊技者のストップスイッチ120の操作開始から操作解除までの操作時間に拘わらず、早期に、遊技結果を報知することが可能となる。
以下、主制御基板200、副制御基板202における具体的処理をフローチャートに基づいて説明する。
(主制御基板200のメイン処理)
図13は、主制御基板200のメイン処理を示したフローチャートである。ここでは、まず、主制御基板200のメイン処理に沿って、初期化後の1遊技の概略を説明し、その後、各処理の詳細について説明する。また、ここでは、本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。また、詳細な説明は省略するが、各処理が遂行される際、各処理において用いられるスイッチ(ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120a、120b、120c)は、処理の開始時に有効化され、処理の終了時に無効化される。
(ステップS100)
電源スイッチ144を介してスロットマシン100の電源が投入され、通電状態になると、初期化手段300は、遊技開始に備え初期化処理を実行する。初期化手段300は、電源が投入されている間、随時バックアップデータを生成し、そのバックアップデータをメインRAM200cに保持している。したがって、不意の電断が生じたとしても、この初期化処理において、保持されたバックアップデータを用い電断前の状態に復帰させることができる。例えば、リール110の回転中に不意の電断が起きたとしても、復帰動作後に再度各リール110が回転している状態から開始される。したがって、初期化処理では、基本的に、メインRAM200cの初期化(RAMクリア)は行われない。
(ステップS200)
続いて、遊技者によるベットスイッチ116の操作、または、メダル投入部114へのメダルの投入を通じ、ベット手段302がメダルをベットする。また、コマンド送信手段316は、その操作がなされたことを示す投入コマンドを生成し、生成された投入コマンドを副制御基板202に送信する。
(ステップS300)
次に、当選種別抽選手段304は、スタートスイッチ118に対する遊技開始操作を有効化し、スタートスイッチ118の操作待ち状態に移行する。ここで、当選種別抽選手段304は、遊技者によるスタートスイッチ118の操作に応じて、主制御基板200の乱数発生器200dによって更新された当選種別抽選乱数から、スタートスイッチ118が操作された時点における1の当選種別抽選乱数を取得する。そして、当選種別抽選手段304は、図6および図7に示した当選種別抽選テーブルから、現在設定されている遊技状態に対応する1の当選種別抽選テーブルを決定するとともに、取得した当選種別抽選乱数が、決定した当選種別抽選テーブルにおけるいずれの当選領域に対応するか判定し、判定された当選領域の当選種別または不当選を抽選結果として決定する。また、遊技状態制御手段312は、当選種別抽選において当選役「RBB」が決定されると、遊技状態を非内部遊技状態からRBB内部中遊技状態に移行させる。また、コマンド送信手段316は、スタートスイッチ118の操作に応じて抽選結果が決定された後、当選種別抽選の抽選結果(当選種別または不当選)や遊技状態に関する情報等を含む当選種別コマンドを生成し、生成された当選種別コマンドを副制御基板202に送信する。かかる抽選処理S300については、後程詳述する。
(ステップS400)
スタートスイッチ118が操作されると、リール制御手段306は、ステッピングモータ152を駆動して左リール110a、中リール110b、右リール110cを回転させる。このリール回転処理においては、前回の1遊技における左リール110a、中リール110b、右リール110cの回転開始時点から所定の時間(例えば4.1秒)が経過すると(ウェイト)、当該遊技における左リール110a、中リール110b、右リール110cの回転を開始し、左リール110a、中リール110b、右リール110cの全てが定速(定常)回転となったところで、ステップS500に処理を移す。
(ステップS500)
続いて、リール制御手段306は、ストップスイッチ120a、120b、120cを有効化し、遊技者によるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を受け付けると、その操作に対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cのいずれかを停止制御する。また、コマンド送信手段316は、ストップスイッチ120a、120b、120cのいずれかの操作がなされると、操作がなされたストップスイッチ120a、120b、120cの情報を示す停止コマンド(第1停止コマンド、第2停止コマンド、第3停止コマンド)を操作の度に生成し、生成された停止コマンドを順次、副制御基板202に送信する。かかるリール停止処理S500については、後程詳述する。
(ステップS600)
次に、判定手段308は、図3(b)に示した有効ラインA上に表示された図柄組み合わせが予め定められたどの組み合わせに相当するか(入賞した当選役)を判定し、詳しくは後述するように、その図柄組み合わせに応じて、有利区間中であり、小役が入賞していれば純増枚数カウンタを更新する。また、遊技状態制御手段312は、RBB内部中遊技状態において、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせが当選役「RBB」に対応する図柄組み合わせであれば、遊技状態をRBB内部中遊技状態からRBB作動中遊技状態に移行させる。また、コマンド送信手段316は、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせや、有効ラインA上に小役に対応する図柄組み合わせが表示された場合におけるメダルの払出枚数等を含む入賞コマンドを生成し、生成された入賞コマンドを副制御基板202に送信する。
(ステップS700)
また、払出制御手段310は、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせ(リール110の停止態様)に基づき、例えば、有効ラインA上に小役に対応する図柄組み合わせが表示されると、当該小役に対応するメダルの払出処理を実行し、有効ラインA上にリプレイ役に対応する図柄組み合わせが表示されると、自動的に次遊技のベットを行うための処理を実行する。また、コマンド送信手段316は、メダルの払出処理がなされた場合、払出処理がなされたことを示す払出コマンドを生成し、生成された払出コマンドを副制御基板202に送信する。かかる払出処理S700については、後程詳述する。
(ステップS800)
遊技状態制御手段312は、RBB作動中遊技状態においてメダルの所定枚数の払い出しが実行されると、遊技状態をRBB作動中遊技状態から非内部遊技状態に移行させる。また、演出状態制御手段314は、演出状態の変更や、有利区間と非有利区間との変更を行う。また、コマンド送信手段316は、遊技状態または演出状態が変更された場合、変更された遊技状態または演出状態等を含む遊技移行コマンドを生成し、生成された遊技移行コマンドを副制御基板202に送信する。このように、移行処理S800が終了することで、当該1遊技が終了する。
ここでは、擬似ボーナス演出状態への移行が決定されると、演出状態制御手段314は、リール制御手段306に、上述した擬似ボーナス演出状態へ移行することを示す第1リール演出を実行させ、その次の遊技から、擬似ボーナス演出状態を開始する。
ステップS200からステップS800までの一連の処理を通じて1遊技が実行される。以後は、ステップS200からステップS800までを繰り返すこととなる。
(リール停止処理S500)
図14は、上記ステップS500のリール停止処理を示したフローチャートである。ここでは本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
(ステップS501)
まず、リール制御手段306は、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作の有効または無効を判断するための仮スイッチ発光フラグ(所定のフラグ)を初期化する。ここで、仮スイッチ発光フラグは、3ビットのビット列で構成され、各ビットがそれぞれ3つのストップスイッチ120a、120b、120cのいずれかに対応付けられており、有効=1(ON)、無効=0(OFF)で表される。したがって、リール制御手段306は、仮スイッチ発光フラグの初期化として、仮スイッチ発光フラグの全てのビットを0にすることとなる。なお、ここでは、有効=1(ON)、無効=0(OFF)としたが、有効=0(ON)、無効=1(OFF)としてもよい。
(ステップS502)
次に、リール制御手段306は、ストップスイッチ120a、120b、120cそれぞれの仮スイッチ発光フラグを参照し、仮スイッチ発光フラグの内容に基づいてスイッチ発光フラグを更新する(スイッチ発光フラグの内容を仮スイッチ発光フラグの内容で上書きする)。ここで、スイッチ発光フラグは、3ビットのビット列で構成され、各ビットがそれぞれ3つのストップスイッチ120a、120b、120cのいずれかに対応付けられており、有効=1(ON)、無効=0(OFF)で表される。スイッチ発光フラグは、仮スイッチ発光フラグに準じて動作する。そして、リール制御手段306は、並行して動作している、1.49msec毎の割込処理において、更新されたスイッチ発光フラグを参照し、出力ポートを通じて、スイッチ発光フラグが1であれば、すなわち、ストップスイッチ120の操作が有効であれば、そのストップスイッチ120のバックライトを青に発光させ、スイッチ発光フラグが0であれば、すなわち、ストップスイッチ120の操作が無効であれば、そのストップスイッチ120のバックライトを赤に発光させる。遊技者は、かかるストップスイッチ120のバックライトを視認することで、ストップスイッチ120の操作が有効であるか無効であるか判断できる。ここで、仮スイッチ発光フラグの内容でスイッチ発光フラグを更新するのは、当該リール停止処理S500の割り込みにおいて一旦仮スイッチ発光フラグを設定し、その次の割り込みにおいてストップスイッチ120のバックライトの発光に反映させるためであり、また、上述した、リール110の回転が開始される前からストップスイッチ120が操作されている状態が維持されている場合の対策のためである。
(ステップS503)
続いて、リール制御手段306は、エラーが生じているか否か確認する。例えば、リール制御手段306は、異常状態「払い出し異常エラー」、「逆流エラー」、「投入異常エラー」、「滞留エラー」を確認する。ここで、異常状態「払い出し異常エラー」は、メダルの払い出し以外で、払出メダル検出部(図示せず)の通過センサのON状態が所定時間(例えば6msec)以上継続した場合に生じる。異常状態「逆流エラー」は、メダルの投入を受け付けている状態で、投入メダル検出部114bの2つの通過センサにおいてメダルの通過順序が正しくない場合に生じる。異常状態「投入異常エラー」は、ブロッカー(図示せず)を閉塞してから所定時間(例えば269msec)以上経過後に投入メダル検出部114bの通過センサがON状態の場合、または、メダルの投入を受け付けている状態で、投入メダル検出部114bの2つの通過センサにおいて正しい順序で通過したメダル数と、Rシュートセンサ(図示せず)を通過したメダル数との差が一定以上あった場合に生じる。異常状態「滞留エラー」は、投入メダル検出部114bの通過センサのON状態が所定時間(例えば132msec)以上継続した場合、または、メダル投入口114aの投入検知センサのON状態が所定時間(例えば533msec)以上継続した場合に生じる。
(ステップS504)
次に、リール制御手段306は、インデックスフラグを参照し、回転しているリール110a、110b、110cのインデックスを取得する。なお、インデックスフラグは、リール110a、110b、110cが定速回転速度に到達した後にしか立たないので、換言すれば、インデックスフラグが立っているということは、リール110a、110b、110cが定速回転速度に到達していることも示すこととなる。
(ステップS505)
ステップS504の結果、リール制御手段306は、全てのリール110a、110b、110cについてインデックスが検出されていれば、ステップS506に処理を移行し、インデックスが検出されていないリール110があれば、ステップS501からの処理を繰り返す。
(ステップS506)
続いて、リール制御手段306は、停止リール情報を参照し、遊技者のストップスイッチ120の操作に応じ、停止処理が既に完了もしくは開始しているリール110a、110b、110cを特定する。
(ステップS507)
次に、リール制御手段306は、ステップS506の結果から、停止していない回転中のリール110a、110b、110cを特定し、回胴回転中フラグを設定する。ここで、回胴回転中フラグは、3ビットのビット列で構成され、各ビットがそれぞれ3つのリール110a、110b、110cのいずれかに対応付けられており、定速状態=1、加速状態、減速状態または停止状態=0で表される。また、リール制御手段306は、回転中のリール110a、110b、110cに対応するストップスイッチ120a、120b、120c、すなわち、操作可能なストップスイッチ120a、120b、120cを特定する。
(ステップS508)
続いて、リール制御手段306は、上記ステップS507で特定した操作可能なストップスイッチ120a、120b、120cに対応する仮スイッチ発光フラグを1(ON)にする。
(ステップS509)
次に、リール制御手段306は、所定の入力ポート(例えばポート番号「0」)を参照し、入力ポートの現在状態値を取得する。かかる入力ポートは、その値が、操作フラグとして機能する。ここで、操作フラグは、3ビットのビット列で構成され、各ビットがそれぞれ3つのストップスイッチ120a、120b、120cのいずれかに対応付けられており、操作されている=1、操作されていない=0)で表される。
(ステップS510)
続いて、リール制御手段306は、回胴回転中フラグと操作フラグの論理積を演算する。ここで、リールが回転中であり、かつ、そのリールに対応するストップスイッチ120が操作されていれば、すなわち、操作したストップスイッチ120が有効に回転しているリール110に対応していれば、論理積は1となる。
(ステップS511)
ステップS510の結果、論理積が1となったビットが1つでもあれば、すなわち、リール110が回転中であり、かつ、そのリール110に対応するストップスイッチ120が操作されていれば、ステップS512に処理を移し、論理積が1となったビットがなければ、ステップS502からの処理を繰り返す。
(ステップS512)
次に、リール制御手段306は、スイッチ発光フラグと操作フラグの論理積を演算する。ここで、ストップスイッチ120が有効であり、かつ、そのストップスイッチ120が操作されていれば、論理積は1となる。
(ステップS513)
ステップS512の結果、論理積が1となったビットが1つだけであれば、すなわち、ストップスイッチ120が有効であり、かつ、操作されているストップスイッチ120が1つのみであれば、ステップS514に処理を移し、論理積が1となったビットがない、または、論理積が1となったビットが2以上あれば、ステップS501からの処理を繰り返す。
ここで、ステップS511に加えて当該ステップS513を設けている理由は、上述したように、許可条件を満たした場合に限り、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化するためである。すなわち、ステップS513を設けていない状態で、リール110の回転が開始される前からストップスイッチ120が操作されている状態が維持されていると、インデックスが検出された途端(S505におけるYES)、回胴回転中フラグと操作フラグの論理積が1となり(S511におけるYES)、即座に停止処理が開始されてしまうからである。
ここでは、ステップS513を設けることにより、スイッチ発光フラグが1とはならないので、即座に停止処理が開始されるのを回避できる。具体的に、スタートスイッチ118が操作される前からストップスイッチ120が操作されていると操作フラグが1となり、それが、リール110の回転が開始される前後のいずれであっても、全てのリール110a、110b、110cについてインデックスが検出されれば、ステップS510において回胴回転中フラグと操作フラグとの論理積が1となる(S511におけるYES)。しかし、リール110の回転が開始される前からストップスイッチ120が操作されている場合、仮スイッチ発光フラグは1となるものの、ステップS511におけるNOの経路を通過することなく、ステップS513におけるNOの経路を繰り返すので、ステップS501において仮スイッチ発光フラグは0(OFF)にリセットされ、スイッチ発光フラグが1(ON)となることはない。そうすると、ステップS513において、スイッチ発光フラグと操作フラグの論理積が1となることはなく、即座に停止処理が開始されることはない。
一方、ストップスイッチ120が操作されていない状態で、全てのリール110a、110b、110cについてインデックスが検出されれば、ステップS510において回胴回転中フラグと操作フラグの論理積が0となり(S511におけるNO)、ステップS501を経由することなく、ステップS502からの処理を繰り返す。そうすると、仮スイッチ発光フラグの1が、ステップS501でリセットされることなく、ステップS502において、スイッチ発光フラグに更新される。したがって、ステップS502においてストップスイッチ120のバックライトが青色に発光される。その後、ストップスイッチ120が操作されると、ステップS510において回胴回転中フラグと操作フラグの論理積が1となるとともに、ステップS512においてスイッチ発光フラグと操作フラグの論理積が1となるので(S513におけるYES)、適切に停止処理が開始される。こうして、リール110の回転が開始される前からストップスイッチ120が操作されている状態が維持されていても停止処理を行うことなく、全てのリール110a、110b、110cについてインデックスが検出された後にストップスイッチ120が操作されれば適切に停止処理を遂行することが可能となる。
上記の構成を他の観点で見ると、以下のようになる。まず、全てのリール110a、110b、110cのインデックスを検出したステップS508のタイミングで、仮スイッチ発光フラグ(所定のフラグ)をONする。このとき、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作が解除されていなければ、ステップS511においてNOとなることはなく、ステップS513のNOを通じ、ステップS501で仮スイッチ発光フラグが0にリセットされてしまう。そして、ステップS502においてスイッチ発光フラグが更新されるので、ストップスイッチ120を操作している間は、スイッチ発光フラグが1になることはない。結局、ステップS501→ステップS502→ステップS508→ステップS513を繰り返し、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作は有効化されない。
一方、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作が解除されれば、以下のように動作する。すなわち、ステップS508において、操作可能なストップスイッチ120a、120b、120cに対応する仮スイッチ発光フラグが1(ON)になる。そして、リール110a、110b、110cは回転中であるが、ストップスイッチ120a、120b、120cが操作されていない状態が1回でもあると、ステップS511におけるNOを通じて、ステップS502の処理に移行し、ステップS501の処理を行うことなく、仮スイッチ発光フラグの1でスイッチ発光フラグを更新できるので、適切に、スイッチ発光フラグが1(ON)の状態を作ることができる。したがって、ステップS508→ステップS511→ステップS502といった経路を通り、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化することができる。
また、ここでは、論理積が1となったビットが1つだけであることを条件とし、仮にビットが2つ以上あれば、すなわち、ストップスイッチ120a、120b、120cのいずれか2以上が同時に操作されていれば、以降の停止処理を行うことなく、ステップS501からの処理を繰り返す。こうして、複数のストップスイッチ120が同時に操作された場合に、そのストップスイッチ120に対応するリール110を同時に停止させることがなく、少なくとも1割込時間分(1.49msec)の差がなければ、有効に操作を受け付けないこととなる。ここでは、複数のリール110を同時に停止処理することで、例えば、割込時間内に処理が完了せず、本来実行すべき割込処理を飛ばしてしまう事象を回避することが可能となる。
なお、ここでは、ストップスイッチ120a、120b、120cのいずれか2以上が同時に操作されていれば、以降の停止処理を行うことなく、ステップS501からの処理を繰り返し、いずれの操作も無効とするようにした。しかし、かかる場合に限らず、同時に操作された複数のストップスイッチ120を所定の規則に従って停止処理するとしてもよい。所定の規則としては、例えば、ストップスイッチ120a、120b、120cの順で、より左側にあるストップスイッチ120に対応するリール110を優先して停止処理したり、後述する、所謂、AT(アシストタイム)において、本来操作すべき順に操作されたストップスイッチ120に対応するリール110を優先して停止処理することが考えられる。
(ステップS514)
続いて、リール制御手段306は、論理積が1となったビットに対応するリール110の停止処理として、そのリール110の滑りコマ数を決定する。
(ステップS515)
次に、リール制御手段306は、20コマの図柄のうち停止すべき図柄の図柄番号(図3(a)の図柄番号参照)である停止図柄番号を取得して所定の記憶領域に保持する。
(ステップS516)
続いて、リール制御手段306は、停止要求フラグを1にする。停止要求フラグは、並行して動作するプログラムに対し、対象となるリール110の停止処理を要求するためのフラグであり、停止要求フラグを1とすることで、停止図柄番号に対応する図柄を有効ラインA上に停止することが可能となる。かかる停止要求フラグおよび上記の停止図柄番号は、並行して動作するプログラムにより読み出され、停止処理が行われる。なお、停止処理が完了すると、そのプログラムによって、停止要求フラグは0(OFF)にリセットされる。
(ステップS517)
次に、リール制御手段306は、停止処理を行ったストップスイッチ120に対応する仮スイッチ発光フラグを0(OFF)にし、仮スイッチ発光フラグの内容でスイッチ発光フラグを0(OFF)に更新する。
(ステップS518)
続いて、リール制御手段306は、ストップスイッチ120a、120b、120cそれぞれのスイッチ発光フラグを参照し、ステップS517においてビットが0となったストップスイッチ120のバックライトを赤に発光させる。
(ステップS519)
次に、リール制御手段306は、当該操作されたストップスイッチ120に対応するリール110の全相励磁が開放しているか否かを判定する。その結果、全相励磁が開放されていれば、ステップS520に処理を移行し、全相励磁が開放されていなければ、ステップS519を繰り返す。このように、ここでは、リール制御手段306が、ストップスイッチ120の操作に応じて、全てのストップスイッチ120a、120b、120cの操作を無効化し、操作されたストップスイッチ120に対応するリール110の全相励磁が開放されるまでストップスイッチ120a、120b、120cの操作を有効化しない。かかる構成により、ストップスイッチ120a、120b、120cの押止順とリール110a、110b、110cの停止順が異なることを回避でき、遊技者が不信感や違和感を覚えることもない。
(ステップS520)
続いて、リール制御手段306は、全てのリール110a、110b、110cの停止処理(ステップS514~ステップS519)が完了しているか否か判定する。その結果、停止処理が完了していればステップS521に処理を移行し、停止処理が完了していなければ、ステップS501からの処理を繰り返す。ここでは、まだ停止していないリール110が存在している場合、ステップS501に処理を移すことで、他のリール110の停止処理を即座に実行できるようにし、遊技時間を短縮化している。
(ステップS521)
次に、リール制御手段306は、全てのリール110a、110b、110cの全相励磁が開放しているか否かを判定する。その結果、全相励磁が開放されていれば、ステップS522に処理を移行し、全相励磁が開放されていなければ、ステップS521を繰り返す。
(ステップS522)
続いて、リール制御手段306は、エラーが生じているか否か確認する。例えば、リール制御手段306は、異常状態「払い出し異常エラー」、「逆流エラー」、「投入異常エラー」、「滞留エラー」を確認する。
(ステップS523)
次に、リール制御手段306は、所定の入力ポート(例えばポート番号「0」)を参照し、入力ポートの現在状態値が全て0であるか否か判定する。その結果、全て0であれば、当該リール停止処理S500を終了し、いずれかが1であれば、すなわち、遊技者が操作したストップスイッチ120を解除していなければ、ステップS522の処理を繰り返し、解除を待つ。こうして、ストップスイッチ120の解除を待って以降の判定処理S600を開始させることができる。
そして、リール停止処理S500の終了後に判定処理S600が行われ、その後、払出制御手段310は、当選役に対応する払出枚数のメダルを払い出す。また、判定処理S600が行われると、入賞判定の結果を示すコマンドが副制御基板202に送信され、演出制御手段334は、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせに係る情報を、液晶表示部124を通じて報知したり、リールバックライトを通じて報知する。また、演出制御手段334は、払出制御手段310によるメダルの払い出しに応じて(合わせて)スピーカ128から払出音を出力してもよい。
このように、全てのリール110a、110b、110cについて全相励磁が開放されたこと、および、最後に操作されたストップスイッチ120の操作が解除されていることに応じて、停止完了後処理が行われるので、遊技者は、その図柄組み合わせを確実に認識することができ、不信感や違和感を覚えることもない。
また、ここでは、全てのリール110a、110b、110cについて全相励磁が開放された後にメダルの払い出しを行っている。したがって、リール110a、110b、110cの励磁(全相励磁)タイミングとメダル払出装置142が駆動するタイミングとを異ならせることができるので、主制御基板200が管理するデバイス全体に許容される電流量を超過することがなくなる。したがって、リール110の励磁中にメダル払出装置142を駆動させるための大電流容量の電源を準備する必要がなくなり、コストの削減を図ることができる。
また、ここでは、遊技者がストップスイッチ120の操作を解除することでメダルの払い出しを行っている。かかる処理により、遊技者の不信感や違和感を払拭することができる。また、スロットマシン100全体を視認可能な他の人および払出音を視聴できる他の人も、その遊技結果を把握することができる。したがって、遊技者は、まだ、処理が遂行される前に、遊技結果を自分のみが把握し、優越感に浸ることができる。
なお、上述した実施形態では、リール制御手段306が、操作されたストップスイッチ120に対応したリール110の全相励磁が開放されてから、はじめて、他のストップスイッチ120の操作を有効化する例を挙げて説明した。しかし、かかる場合に限らず、リール制御手段306が、操作されたストップスイッチ120に対応したリール110の全相励磁が開始されてから、他のストップスイッチ120の操作を有効化するとしてもよい。この場合、図14におけるステップS519やステップS521の判定対象を全相励磁開始とすることで対応できる。なお、メダル払出装置142からメダルを払い出す際や次遊技のリール110a、110b、110cの回転開始(加速状態の開始)時に、全てのリール110a、110b、110cの励磁開放を待つ(判定)処理を実行する場合、図14のステップS521を省略することができる。
また、ここでは、リール制御手段306が、操作されたストップスイッチ120に対応したリール110の全相励磁が開放されてから、はじめて、他のストップスイッチ120の操作を有効化する例を挙げて説明した。しかし、かかる場合に限らず、操作されたストップスイッチ120に対応したリール110が停止する前から他のストップスイッチ120の操作を有効化してもよい。例えば、任意のストップスイッチ(例えば、ストップスイッチ120a)の操作が、他のストップスイッチ(例えば、ストップスイッチ120b、120c)の有効無効に影響を及ぼさないとしてもよい。すなわち、既に他のストップスイッチ120が操作されているか否かに(他のリールが回転しているか停止しているかに)拘わらず、また、停止開始や停止完了を待つことなく、未だ操作されていないストップスイッチ120は全て操作が有効な状態が維持され、そのストップスイッチ120の操作が許容される。そうすると、遊技者は、ストップスイッチ120a、120b、120cを連続して操作することができる(所謂スライドプッシュ)。この場合、リール制御手段306は、当該操作されたストップスイッチ120に対応するリール110の全相励磁が開放していることを待つ必要がないので、図14におけるステップS519を省略することで実現できる。また、図14におけるステップS519のみならず、ステップS521も省略することができる。なお、この場合には、上記のように、メダル払出装置142からメダルを払い出す際や次遊技のリール110a、110b、110cの回転開始時に、全てのリール110a、110b、110cの励磁開放を待つ方が望ましい。
したがって、リール110a、110b、110cそれぞれの位置を特定するインデックスが全て検出されれば、その後にストップスイッチ120aが操作されたことや、左リール110aの回転状態が定速状態のいずれであるかに拘わらず、ストップスイッチ120b、120cの操作が有効化されるので、遊技者は、ストップスイッチ120bやストップスイッチ120cを操作して、中リール110bや右リール110cを停止させることができる。
なお、この場合、以下の事象が生じ得る。例えば、ストップスイッチ120が操作されたタイミングで引込範囲内に存在している図柄を停止図柄として決定し、当該停止図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持する。したがって、その滑りコマ数が異なる場合、ストップスイッチ120が操作されてから、リール110の停止処理が開始されるまでの時間が、0~189msec(190msec以内の所定時間)といったように、リール110a、110b、110c毎に異なることとなる。例えば、遊技者によって、スタートスイッチ118が操作され、全てのリール110a、110b、110cのインデックスが検出され、遊技者が、ストップスイッチ120a、120b、120cを、図10で示したように順押しの打順で操作したとする。そうすると、滑りコマ数が等しい場合、左リール110a→中リール110b→右リール110cの順に停止完了することとなるが、滑りコマ数が異なる場合、リール110の停止完了する順が異なる場合がある。例えば、左リール110aが最初に停止完了し、滑りコマ数が少ない右リール110cが次に停止完了し、滑りコマ数が多い中リール110bが右リール110cより後に停止完了する場合がある。このように、ここでは、必ずしもストップスイッチ120a、120b、120cの操作順と同じ順番でリール110a、110b、110cが停止完了するとは限らない。そこで、スライドプッシュにおける停止完了条件は、全てのリール110a、110b、110cについて全相励磁が開放され、第3停止した(最後に停止操作された)ストップスイッチ120に対応するリール110について全相励磁が開放され、かつ、最後に操作されたストップスイッチ120の操作が解除されていることになる。そして、判定手段308、演出制御手段334、および、払出制御手段310は、かかる停止完了条件が満たされると、停止完了後処理を実行する。
また、スライドプッシュにおける停止完了条件として、第3停止したリール110について全相励磁が開放されているか否かの判定を省略することができる。また、上述したように、停止完了条件として、全てのリール110a、110b、110cや第3停止したリール110について全相励磁が開放されたか否か判定する代わりに、全相励磁から200msec経過したか否かを判定してもよい。この場合、図14におけるステップS519やステップS521の判定対象をタイマの計時とすることで対応できる。また、停止完了条件として、第3停止したリール110について全相励磁が開放されているか否かの判定を省略しつつ、全てのリール110a、110b、110cについて全相励磁が開放されたか否か判定する代わりに、全相励磁から200msec経過したか否かを判定してもよい。
なお、ここでは、結果報知手段として、図12(d)のように、全てのリール110a、110b、110cが停止したとき、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせが当選役「小役1」を示していれば、演出制御手段334が、液晶表示部124を通じて、遊技の結果、すなわち、当選役「小役1」が入賞した旨を報知する例を挙げて説明したが、結果報知手段はかかる場合に限らず、液晶表示部124以外のデバイスで行うこともできる。例えば、結果報知手段としてのメダル払出装置142は、当選役の入賞に応じて、当選役に対応する払出枚数分だけメダルを排出することで、遊技の結果として、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせに係る情報を報知する。また、結果報知手段としてのメイン払出表示部132やサブ払出表示部136は、遊技の結果として、メダルの払出枚数を表示することで、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせに係る情報を報知する。また、結果報知手段としてのリールバックライト(図示せず)は、遊技の結果として、図柄表示窓108に対応する各リール110a、110b、110cを背面から照射(点灯、点滅、消灯、所定パターンのフラッシュ)することで、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせに係る情報を報知する。また、結果報知手段としてのスピーカ128は、遊技の結果として、入賞音(単なる効果音および入賞した当選役に対応した音等)を出力することで、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせに係る情報を報知する。また、結果報知手段としての演出用ランプ126は、遊技の結果として、入賞に伴って発光(単なる発光、入賞した当選役に対応した色での発光、および、入賞した当選役に対応した点滅パターン等)することで、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせに係る情報を報知する。
また、ここでは、停止完了条件として、特定のストップスイッチ120の解除を挙げて説明したが、特定のストップスイッチ120としては、最後に操作(第3停止)されたストップスイッチ120に限らず、全てのストップスイッチ120や、上述したように、最後に操作されたストップスイッチ120ではないが、最後に操作されたストップスイッチ120が解除される時点では押止状態を維持しており、最後に操作されたストップスイッチ120が解除された後に解除されたストップスイッチ120も含まれる。
また、ここでは、全てのリールが停止してから、遊技の結果として、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせに係る情報を報知する例を挙げた。しかし、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせに係る情報は、図5に示した当選役に対応する図柄組み合わせに限らず、当選役を取りこぼした場合の図柄組み合わせや、不当選に相当する(当選役に当選していないことを示す)図柄組み合わせも含まれる。
また、ここでは、遊技者によるストップスイッチ120の操作時に引込範囲内に存在している図柄を停止図柄として決定し、単に、停止図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持する例を挙げて説明したが、かかる滑りコマ数分の回転を維持する間、演出制御手段334が任意の演出を実行するとしてもよい。ただし、上述したように、滑りコマ数は、遊技者によるストップスイッチ120の操作タイミングに応じて変化する。したがって、演出制御手段334は、滑りコマ数に応じ、例えば、滑りコマ数が多い場合は、比較的長い演出を行い、滑りコマ数が少ない場合は、比較的短い演出を行う等、演出を変化させてもよい。また、滑りコマ数によっては、演出を行うタイミングを変化させてもよい。例えば、演出制御手段334は、ストップスイッチ120の最初の操作時(第1停止時)に所定の演出を予定していたとする。しかし、かかるストップスイッチ120の滑りコマ数が少なく、演出が予定している時間を十分に確保できない、または、時間が短いため演出を実行したとしても遊技者に演出の内容を十分に伝達することができない場合、かかる演出を他のストップスイッチ120の操作時、例えば、最後のストップスイッチ120の操作時(第3停止時)に行うとしてもよい。こうして、演出の時間を確保し、遊技者に演出の内容を十分に伝達することが可能となる。
(第2の実施形態:励磁開放待ち処理)
第1の実施形態では、リール110a、110b、110cの回転、停止処理について詳述した。第2の実施形態では、リール110a、110b、110cの停止処理に基づいて、リール110a、110b、110cの全相励磁が開放されるまで待つ励磁開放待ち処理について詳述する。
(抽選処理S300)
図15は、上記ステップS300の抽選処理を示したフローチャートである。ここでは本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
(ステップS301)
当選役抽選手段304は、当選役抽選乱数を取得し、図6および図7に示した当選役抽選テーブル、および、現在設定されている遊技状態に基づいて、取得した当選役抽選乱数が、いずれの当選領域に対応するか判定し、判定された当選領域の当選役または不当選を抽選結果として決定する当選役抽選処理を実行する。
(ステップS302)
当選役抽選手段304は、上記ステップS301において決定した抽選結果に基づいて、リール110a、110b、110cにそれぞれ配列された図柄のうち、有効ラインA上に表示可能な図柄を決定する図柄コード設定処理を実行する。
(ステップS1000)
リール制御手段306は、リール110a、110b、110cの全相励磁が開放されるまで待つ励磁開放待ち処理を実行する。かかる励磁開放待ち処理S1000について、詳しくは後述する。
(ステップS303)
リール制御手段306は、1遊技間のウェイト時間を計時するための1遊技間タイマが0であるか否かを判定する。その結果、1遊技間タイマが0であれば、ステップS304に処理を移し、1遊技間タイマが0でなければ、ステップS303の処理を繰り返す。なお、1遊技間タイマは、下記ステップS304でセットされ、並行して動作している、1.49msec毎の割込みの4回に1回実行される割込処理(5.96msec毎)において、毎回1ずつ減算される。
(ステップS304)
リール制御手段306は、1遊技間タイマに、ウェイト時間に相当する値をセットし、当該抽選処理S300を終了する。
このように、抽選処理S300において、リール110a、110b、110cの全相励磁が開放され、1遊技間のウェイト時間が経過すると、抽選処理S300が終了してリール回転処理S400に移行し、リール110a、110b、110cが回転開始されることになる。なお、ステップS303およびステップS304によるウェイト時間の経過待ち処理は、1遊技間のいずれで実行しても、1遊技間の長さをウェイト時間以上に維持することができる。しかし、遊技者の各スイッチ(ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120a、120b、120c)の操作の直前にウェイト時間の経過待ち処理を行うと、経過待ち処理中に操作が行われることがあり、その操作が有効に受け付けられなかったり、その操作がウェイト時間の経過直後に有効に受け付けられたりすることになり、遊技者が遊技結果に不信感を抱くおそれがある。ここでは、スタートスイッチ110が操作された後、かつ、まだストップスイッチ120a、120b、120cが有効となっていないリール110a、110b、110cの回転開始前にウェイト時間の経過待ち処理を行うことで、ウェイト時間と遊技者の各スイッチの操作とが重なるのを回避し、遊技者の不信感を払拭することが可能となる。
(払出処理S700)
図16は、上記ステップS700の払出処理を示したフローチャートである。ここでは本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
(ステップS701)
払出制御手段310は、上記ステップS600における判定結果(当選役)に基づき、メダルの払い出しがあるか否かを判定する。その結果、メダルの払い出しがあれば、ステップS702に処理を移し、メダルの払い出しがなければ、当該払出処理S700を終了する。
(ステップS702)
払出制御手段310は、貯留枚数(クレジットされているメダル)が50枚(上限枚数)であるか否かを判定する。その結果、貯留枚数が50枚であれば、ステップS703に処理を移し、貯留枚数が50枚でない、つまり、貯留枚数が49枚以下であれば、ステップS704に処理を移す。
(ステップS703)
払出制御手段310は、メダル排出口108aからメダルを1枚払い出すためにメダル払出装置142を制御するメダル払出装置制御処理を実行する。かかるメダル払出装置制御処理S703について、詳しくは後述する。
(ステップS704)
払出制御手段310は、貯留枚数を1加算する。
(ステップS705)
払出制御手段310は、メイン払出表示部132に表示される数値を1加算する。
(ステップS706)
払出制御手段310は、全てのメダルの払い出しが終了したか否かを判定する。その結果、全てのメダルの払い出しが終了していれば、ステップS707に処理を移し、全てのメダルの払い出しが終了していなければ、ステップS702に処理を戻す。
(ステップS707)
払出制御手段310は、メダル払出装置142の作動を停止させ、当該払出処理S700を終了する。なお、メダル払出装置142が作動していない場合、当該ステップS707の処理は省略される。
このように、払出処理S700では、メダルの払い出しがある場合、メダルを1枚ずつ払い出すために、ステップS702~ステップS706までの処理が繰り返し行われる。したがって、例えば15枚の払い出しがある場合、ステップS702~ステップS706までの処理が15回行われることになる。
(メダル払出装置制御処理S703)
図17は、上記ステップS703のメダル払出装置制御処理を示したフローチャートである。ここでは本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
(ステップS1000)
メダル払出装置制御処理S703を開始すると、払出制御手段310は、リール110a、110b、110cの全相励磁が開放されるまで待つ励磁開放待ち処理を実行する。かかる励磁開放待ち処理S1000について、詳しくは後述する。
(ステップS703-1)
払出制御手段310は、メダル払出装置142を作動させ、メダル払出装置142からメダルを1枚払い出させる(送出させる)。
(ステップS703-2)
払出制御手段310は、メダル貯留部142aに貯留されたメダルが空になったことを検出するためのエンプティタイマに、エンプティと判断される時間に相当する所定の値をセットする。なお、エンプティタイマは、並行して動作している、1.49msec毎の割込みの4回に1回実行される割込処理(5.96msec毎)において、毎回1ずつ減算される。
(ステップS703-3)
払出制御手段310は、エンプティタイマが0であるか、つまり、エンプティエラーが発生したか否かを判定する。その結果、エンプティエラーが発生していれば、ステップS703-7に処理を移し、エンプティエラーが発生していなければ、ステップS703-4に処理を移す。
(ステップS703-4)
払出制御手段310は、払出メダル検出部142cがオフであるか、すなわち、メダル払出装置142によってメダルの払い出しが開始されていないか否かを判定する。その結果、払出メダル検出部142cがオフであれば、ステップS703-3に処理を戻し、払出メダル検出部142cがオフでなければ、すなわち、メダル払出装置142によってメダルの払い出しが開始されていれば、ステップS703-5に処理を移す。
(ステップS703-5)
払出制御手段310は、メダル詰まりエラーが発生したか否かを判定する。なお、メダル詰まりエラーは、払出メダル検出部142cがオンである時間が、メダル詰まりエラーとされる規定時間以上であることによって検出される。その結果、メダル詰まりエラーが発生していれば、ステップS703-7に処理を移し、メダル詰まりエラーが発生していなければ、ステップS703-6に処理を移す。
(ステップS703-6)
払出制御手段310は、払出メダル検出部142cがオンであるか、すなわち、メダル払出装置142によってメダルの払い出しが終了していないか否かを判定する。その結果、払出メダル検出部142cがオンであれば、ステップS703-5に処理を戻し、払出メダル検出部142cがオンでなければ、すなわち、メダル払出装置142によってメダルの払い出しが終了していれば、当該メダル払出装置制御処理S703を終了する。
(ステップS703-7)
払出制御手段310は、メダル払出装置142の作動を停止させる。
(ステップS703-8)
払出制御手段310は、メダル詰まりエラーに対応するエラーコードをメインクレジット表示部152に表示したり、メダル詰まりエラーを副制御基板202に報知させるエラーウェイト処理を実行する。また、払出制御手段310は、エラーの原因が取り除かれ、エラー解除操作がなされるまでウェイト(待機)し、エラーの原因が取り除かれ、エラー解除操作がなされると、上記ステップS703-1に処理を移す。
このように、メダル払出装置制御処理S703では、払出処理S700においてステップS702~ステップS706までの処理がループしている間に、初めてステップS703-1の処理を実行するときにメダル払出装置142に電力を供給し、メダル払出装置142を起動させた後に、メダル払出装置142からメダルを1枚払い出させるが、エラーが発生していなければ、メダル払出装置142を停止(電力の供給の停止)させることはない。その後、2回目以降にステップS703-1の処理を実行するときには、メダル払出装置142に電力が供給されているので、そのままメダル払出装置142からメダルを1枚払い出させる。そして、払出処理S700においてステップS702~ステップS706までの処理が全て終了すると、ステップS707において、メダル払出装置142を停止(電力の供給の停止)させることになる。
(励磁開放待ち処理S1000)
図18は、上記ステップS1000の励磁開放待ち処理を示したフローチャートである。ここでは本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。なお、上記した抽選処理S300においては、リール制御手段306が励磁開放待ち処理S1000を実行し、メダル払出装置制御処理S703においては、払出制御手段310が励磁開放待ち処理S1000を実行することになるが、リール制御手段306および払出制御手段310が実行する励磁開放待ち処理S1000は、同一のサブルーチン(プログラム)で実行される。
(ステップS1001)
リール制御手段306または払出制御手段310は、左リール110aのモータフェーズを取得する。ここで、リール110a、110b、110cの状態として、モータフェーズが設定されている。モータフェーズは、詳しくは後述するように、リール110a、110b、110cの動作状態、すなわち、加速中、定常回転中、停止中、待機中を示す。具体的に、モータフェーズに割り当てられた1バイト(記憶単位)の変数が、そのステッピングモータ152の動作状態に応じて、加速中=3、定常回転中=2、停止中=1、待機中=0といった値に変化する。なお、ここでは、記憶単位として1バイトとする例を挙げているが、例えば2バイトでもよい。また、励磁開放待ち処理S1000は、全てのリール110a、110b、110cのモータフェーズが0になるのを待つ判定処理である。
(ステップS1002)
リール制御手段306または払出制御手段310は、上記ステップS1001において取得した左リール110aのモータフェーズが0であるか、つまり、左リール110aが待機中であるか否かを判定する。その結果、左リール110aのモータフェーズが0であれば、ステップS1003に処理を移し、左リール110aのモータフェーズが0でなければ、ステップS1001に処理を戻す。したがって、リール制御手段306または払出制御手段310は、モータフェーズが0でなければ、0であるかの判定処理を繰り返す。
(ステップS1003)
リール制御手段306または払出制御手段310は、中リール110bおよび右リール110cのモータフェーズを取得する。
(ステップS1004)
リール制御手段306または払出制御手段310は、上記ステップS1003において取得したリール110b、110cのモータフェーズが0であるか否かを判定する。その結果、リール110b、110cのモータフェーズが0であれば、当該励磁開放待ち処理S1000を終了し、リール110b、110cのモータフェーズが0でなければ、ステップS1001に処理を戻す。したがって、リール制御手段306または払出制御手段310は、モータフェーズが0でなければ、0であるかの判定処理を繰り返す。
このように、励磁開放待ち処理S1000では、始めに、左リール110aのモータフェーズが0であるか否かを判定し、左リール110aのモータフェーズが0であれば、続いて、リール110b、110cのモータフェーズが0であるか否かを判定する。そして、リール110b、110cのモータフェーズが0であれば、全てのリール110a、110b、110cが待機中であり、リール110a、110b、110cにそれぞれ対応するステッピングモータ152の全相励磁が終了していると判定して、励磁開放待ち処理S1000を終了する。
(リール110a、110b、110cの状態)
本実施形態では、3つのリール110a、110b、110cを回動するために、ステップ数の総数が252であるステッピングモータ152を用いている。これは、図柄数が仮に21であった場合に、252が21の倍数なので、図柄毎のステップ数を均等に扱えるからである。なお、本実施形態では、ステッピングモータ152を1-2相励磁で動作させているので、分解能を上げ、そのステップ数を252の2倍の504で計数することができる。したがって、以下の例では、ステップ数の総数を504として扱っている。
また、リール110a、110b、110cの状態は、モータフェーズ(パラメータ)で表される。モータフェーズは、リール110a、110b、110cの動作状態、すなわち、加速中、定常回転中、停止中、待機中を示す。具体的に、モータフェーズに割り当てられた1バイトの変数が、そのモータの動作状態に応じて、加速中=3、定常回転中=2、停止中=1、待機中=0といった値に変化する。なお、ここでは、加速中、定常回転中、停止中、待機中といった動作を挙げているが、動作として減速中が含まれていてもよい。
リール制御手段306は、スタートスイッチ128が操作されると、リール110a、110b、110cに対応するステッピングモータ152を1-2相励磁し、リール110a、110b、110cそれぞれを回転開始させる。このとき、リール制御手段306は、モータフェーズを3に移行させる。そして、リール制御手段306は、リール110a、110b、110cが、加速状態を経由し、例えば167msec後に所定の速度(80rpm/min未満)に到達すると、1-2相励磁を継続して、定速状態に移行させる。このとき、リール制御手段306は、モータフェーズを2に移行させる。
その後、例えばストップスイッチ130aが操作されると、リール制御手段306は、操作時において引込範囲内に存在している図柄を停止図柄として決定し(滑りコマ数を決定し)、当該停止図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持する。続いて、リール制御手段306は、決定された停止図柄を有効ラインA上に停止可能な停止位置に左リール110aが到達すると、左リール110aに対応するステッピングモータ152を全相励磁し、励磁する相が切り換わらないように、左リール110aの停止処理を開始する。このとき、リール制御手段306は、モータフェーズを1に移行させる。こうして、左リール110aは、回転速度が減少し、停止処理の開始から約13msec後に停止し、停止した状態を維持する。かかる全相励磁は、所定時間(例えば200msec)の間継続された後に開放され、リール制御手段306は、モータフェーズを0に移行させる。
(抽選処理S300における励磁開放待ち処理S1000)
ここで、リール110a、110b、110cのうち、最後に停止されるリール110a、110b、110cのいずれかに対応するステッピングモータ152が全相励磁している間に、(メダルの払い出しがなく、)次の遊技が開始され、リール110a、110b、110cの回転が開始されたとする。その場合、全相励磁されているステッピングモータ152に対応するリール110a、110b、110cのいずれかの動作が不安定になるおそれがある。具体的には、全相励磁されているステッピングモータ152に対応するリール110a、110b、110cのいずれかは、全相励磁されている間、振動している可能性がある。このように、振動しているリール110a、110b、110cのいずれかについても回転を開始させてしまうと、そのリールの初期動作に影響を与えることになる。
そこで、本実施形態では、上記したように、抽選処理S300において、当選役抽選処理S301および図柄コード設定処理S302が実行された後であって、リール回転処理S400を実行する前に、励磁開放待ち処理S1000が実行される。つまり、リール110a、110b、110cの回転が開始する前に、全てのリール110a、110b、110cに対応するステッピングモータ152の全相励磁が開放されるのを待つことになる。
これにより、例えば、前回の遊技において、有効ラインA上に当選役に対応する図柄組み合わせが揃わないハズレの結果となった場合であって、遊技を開始するために必要な枚数である規定数以上の貯留がクレジットにある場合のように、前の遊技において行われたステッピングモータ152の全相励磁が継続している間に、次の遊技におけるスタートスイッチ128の操作が可能な場合に、次の遊技におけるリール110a、110b、110cの回転が開始することを防止することができ、リール110a、110b、110cの回転を安定させることができる。これは、リール110a、110b、110cのいずれか1つに対して停止操作がなされてから、次のリール110a、110b、110cのいずれか1つの停止操作が可能となるまでの間に、所定時間(例えば、200ms)や停止操作したリール110a、110b、110cの停止までの時間分、待つ仕様でも起こる場合があるが、より顕著なのは、これらの時間を待つことがない仕様、つまり、1つのリール110a、110b、110cに対して停止操作してから、即次のリール110a、110b、110cの停止操作が可能となる仕様の場合である。
また、励磁開放待ち処理S1000は、当選役抽選処理S301および図柄コード設定処理S302が実行された後に実行されるようにしている。これにより、当選役抽選処理S301および図柄コード設定処理S302が実行される時間だけ、ステッピングモータ152の全相励磁が継続している時間を経過させることができ、励磁開放待ち処理S1000にかかる時間を減らすことができる。
(払出処理S700における励磁開放待ち処理S1000)
また、払出処理S700においては、メダル払出装置142からメダルが払い出される際に、メダル払出装置制御処理S703内で励磁開放待ち処理S1000が実行される。したがって、スロットマシン100の内部(メインRAM200c)に電気的にメダルを貯留できるときには、励磁開放待ち処理S1000が実行されることはない。これにより、スロットマシン100の内部(メインRAM200c)に電気的にメダルを貯留する際には直ちにメダルが貯留されるため、遊技の進行が速やかに行われることになり、遊技者のストレスを低減することができる。
一方、スロットマシン100の内部(メインRAM200c)に電気的にメダルを貯留できない場合、つまり、貯留枚数が50枚となった場合、払出制御手段310は、メダル払出装置制御処理S703を実行する。
ここで、メダル払出装置142を駆動させるために大電流を供給する必要がある。そして、リール110a、110b、110cの励磁(全相励磁)タイミングとメダル払出装置142が駆動(起動)するタイミングとが重なってしまうと、主制御基板200が管理するデバイス全体に許容される電流量を超過するおそれがある。
そこで、メダル払出装置142からメダルを払い出させるときには、メダル払出装置142に電力を供給して作動させる(ステップS703-1)前に、払出制御手段310は、励磁開放待ち処理S1000を実行する。
これにより、リール110a、110b、110cの励磁(全相励磁)タイミングとメダル払出装置142が駆動するタイミングとを異ならせることができるので、主制御基板200が管理するデバイス全体に許容される電流量を超過することがなくなる。したがって、リール110a、110b、110cの励磁中にメダル払出装置142を駆動させるための大電流容量の電源を準備する必要がなくなり、コストの削減を図ることができる。
また、メダル払出装置制御処理S703は、メダルを1枚払い出す度に実行されることになる。したがって、励磁開放待ち処理S1000も、メダルを1枚払い出す度に実行されることになる。励磁開放待ち処理S1000は、一度実行すれば、ステッピングモータ152の励磁が開放されることになるため、複数回実行する必要がないようにも思える。しかしながら、メダルを1枚払い出す度に、励磁開放待ち処理S1000を実行したか否かを判定すると、その分だけ、プログラム容量(メモリ容量)が増加することになる。そこで、本実施形態では、励磁開放待ち処理S1000を実行したか否かを判定することなく、メダルを1枚払い出す度に励磁開放待ち処理S1000が実行されることで、プログラム容量を削減することができる。
また、抽選処理S300および払出処理S700において、同一のサブルーチン(プログラム)で励磁開放待ち処理S1000を実行するようにしたことで、それぞれの処理において別のサブルーチン(プログラム)を設けなくてよいため、プログラム容量を削減することができる。
(メインCPU200aによるメモリ管理)
ところで、上述したように、主制御基板200においては、メインCPU200aが、メインROM200bに格納されたプログラムに基づきメインRAM200cと協働することで、初期化手段300、ベット手段302、当選役抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、状態移行手段312、コマンド決定手段314、コマンド送信手段316等として機能し、遊技の進行を制御する。これらの機能部を実行するためのプログラムは、メインROM200bおよびメインRAM200cの所定の領域(使用領域)に配される。
図19は、メインROM200bおよびメインRAM200cのメモリマップを示す説明図である。ここで、メインROM200bには、0000h~2FFFh(12kbyte)のメモリ空間が割り当てられ、メインRAM200cには、F000h~F1FFh(512byte)およびF200h~F3FFh(512byte)のメモリ空間が割り当てられている。また、メインROM200bおよびメインRAM200cのいずれにおいても使用領域が規定されている。
メインROM200bの0000h~1DF3hのメモリ空間には使用領域が割り当てられている。具体的に、0000h~11FFh(4.5kbyte)に制限されたメモリ空間(制御領域)に、初期化手段300、ベット手段302、当選役抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、状態移行手段312、コマンド決定手段314、コマンド送信手段316を機能させて遊技の進行を制御するメイン処理を実行するためのプログラムの命令コードが格納され、1200h~1DF3h(3.0kbyte)に制限されたメモリ空間(データ領域)に、遊技制御処理のプログラムに用いられるデータが格納されている。また、1E00h~1EFFhのメモリ空間にはコメント領域が割り当てられ、2FC0h~2FFFhのメモリ空間にはプログラム管理領域が割り当てられている。また、プログラムの命令コードはアセンブラ言語で記述されている。ここで、プログラムは、命令コードで構成されたものであり、コンピュータに読み出され、データやワークエリアと協働して所定の処理を実現することができる。
また、メインRAM200cのF000h~F1FFhのメモリ空間には使用領域が割り当てられている。具体的に、F000h~F13Fhのメモリ空間には、上記メイン処理のワークエリアが割り当てられ、タイマ、カウンタ、フラグ等の変数管理に用いられる。F1C0h~F1FFhのメモリ空間には、上記メイン処理のスタック領域が割り当てられている。また、メインCPU200aには内部レジスタが設けられている。内部レジスタは、例えば、8ビットの汎用レジスタであるAレジスタ~Hレジスタが設けられており、それぞれ16ビットのペアレジスタAF、BC、DE、HLを構成する。
このような環境の下、メインCPU200aは、使用領域のプログラムの命令コードに従い、使用領域のプログラムデータを参照しつつ、また、各内部レジスタ、使用領域のワークエリアやスタック領域を利用して、初期化手段300、ベット手段302、当選役抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、状態移行手段312、コマンド決定手段314、コマンド送信手段316を機能させるメイン処理を実行する。
なお、ここでは、命令コードとして、エルイーテック(LETech)社が販売するLEM50A-P(製品名)に対して準備されたコマンドを用いている。LEM50A―Pは、遊技機業界で汎用的に用いられる(市場占有率が高い)、NC80EXというZ80系CPUを搭載したマイクロプロセッサである。
このように、メインCPU200aにおいて、使用領域の記憶容量は予め定められており、例えば、図19に示したように、制御領域が4.5kbyteに制限され、データ領域が3.0kbyteに制限されている。したがって、AT演出状態や、リール110を多彩な態様で回転させる所謂リール演出を、メインCPU200aが管理する場合、制御領域の中で、遊技制御処理の記憶容量がさらに制限されるおそれがある。ここでは、変数の配列を工夫することで、遊技制御処理を行うための制御領域の容量を確保する。
なお、以後の説明において、左リール110a、中リール110b、右リール110cといったように、スロットマシン100の一部であり、それぞれ物理的に独立して認識可能なものをデバイスと称することがあり、モータフェーズといったように、デバイスを制御するための値をパラメータと称することがある。
ここでは、3つのリール110a、110b、110c(複数のデバイス)それぞれについて、モータフェーズといったパラメータに対応する変数がワークエリアに配置される。
図20は、励磁開放待ち処理S1000のプログラムおよびワークエリアを説明するための説明図である。ワークエリアには、リール110a、110b、110cのモータフェーズが順に連続して配置されている。具体的に、図20(b)に示すように、ワークエリアのF010Hに左リール110aのモータフェーズ(_SMC_PHS+0)が割り当てられ、F011Hに中リール110bのモータフェーズ(_SMC_PHS+1)が割り当てられ、F012Hに右リール110cのモータフェーズ(_SMC_PHS+2)が割り当てられている。また、モータフェーズ(_SMC_PHS+0)~モータフェーズ(_SMC_PHS+2)には、図20(c)に示すように、リール110a、110b、110cのモータフェーズとして、0~3のいずれかが変数として記憶されている。
励磁開放待ち処理S1000のフローチャートは、例えば、図20(a)のプログラムによって実現される。図20(a)の1行目の「EXCFREE」は、当該サブルーチンの先頭アドレスを示す。2行目の「JTQ NZ,(LOW _SMC_PHS+0),EXCFREE」は、「Q」が付されたNC80EX独自で利用されるコマンドであり、左リール110aのモータフェーズのアドレス(_SMC_PHS+0)の値から0(ゼロ)を減算した場合の第1ゼロフラグ(全ビットが0のとき1にセットされるゼロフラグ)が0でなければ、EXCFREEに移動することを示す。かかる2行目のコマンドが、図18のステップS1001およびステップS1002に対応する。3行目の「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+1)」は、中リール110bのモータフェーズのアドレス(_SMC_PHS+1)と、右リール110cのモータフェーズのアドレス(_SMC_PHS+2)の内容をHLレジスタに設定することを示す。なお、単にレジスタに値を呼び出した場合であっても、その呼び出した値が0であれば、第2ゼロフラグ(全ビットが0のとき1にセットされる遊技機用拡張仕様の特定ビットフラグ)は0となる。かかる3行目のコマンドが、図18のステップS1003に対応する。4行目の「JR NTZ,EXCFREE」は、第2ゼロフラグが0でなければ、EXCFREEに移動することを示す。かかる4行目のコマンドが、図18のステップS1004に対応する。そして、5行目の「RET」によって、メインルーチンに戻ることとなる。
かかる図20(a)の例において、コマンドをマシン語にしたときのコマンド長は、「JTQ NZ,(LOW _SMC_PHS+0),EXCFREE」が4バイト、「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+1)」が2バイト、「JR NTZ,EXCFREE」が2バイト、「RET」が1バイトとなる。したがって、図20(a)のプログラムのコマンド長の合計は9バイトとなる。かかる図20(a)のプログラムのコマンド長の合計は、各リール110a、110b、110cのモータフェーズがそれぞれ0であるか判定する場合、つまり、1つのリール110a、110b、110cごとにJTQ命令を3回行い、RET命令を1回行う場合(4バイト×3+1=13バイト)より4バイト短縮されている。
これは、図20(a)の場合、リール制御手段306または払出制御手段310が、1の命令コマンド(「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+1)」)または連続する複数の命令コマンド(「JTQ NZ,(LOW _SMC_PHS+0),EXCFREE」および「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+1)」)によって、同一のパラメータ(_SMC_PHS)に対応する異なる複数のデバイス(リール110a、110b、110c)の変数にアクセスしているからであり、これにより、命令コマンドを少なく、かつ、コマンド長を短縮することができる。より具体的には、命令コマンド(「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+1)」)によって、2つのリール110b、110cのモータフェーズの値を1命令で読み出すことで、リール110b、110cについてそれぞれ読み出して判定する4バイトのJTQ命令を2回行うよりも、合計で4バイトとなるLDQ命令とJR命令を1回ずつ行う方が、合計バイト数が少なくなるためである。こうして、メイン処理を行うための制御領域の容量(プログラム容量)を確保することが可能となる。
また、図20(b)を参照して理解できるように、モータフェーズといったパラメータの変数を記憶単位で連続して配置することで、モータフェーズについて変数を参照する場合や、その値を確認する場合に把握し易く、一部の変数の書き換えを失念してしまう等の問題を回避することができる。
なお、ここでは、リール数が3つの場合を挙げ、変数の配置によりコマンド長の合計が2バイト短縮される例を説明したが、リール数を4以上に増やした場合、短縮されるコマンド長の合計はさらに増加することとなる。
図21は、スロットマシン100の概略的な機械的構成を説明するための外観図である。ここでは、図1と同スロットマシン100において、図1のスロットマシン100よりリール数およびストップスイッチ数が1つ増えている。したがって、図21のスロットマシン100では、図1のスロットマシン100と比べて第4リール110dが追加されるとともに、ストップスイッチ130dが追加されている。
図22は、リール数が4つ(リール110a、110b、110c、110d)の場合の励磁開放待ち処理S1800を示したフローチャート、励磁開放待ち処理S1800のプログラムおよびワークエリアを説明する図である。
(ステップS1801)
図22(a)に示すように、励磁開放待ち処理S1800が開始されると、リール制御手段306または払出制御手段310は、リール110a、110bのモータフェーズを取得する。
(ステップS1802)
リール制御手段306または払出制御手段310は、上記ステップS1801において取得したリール110a、110bのモータフェーズが0であるか否かを判定する。その結果、リール110a、110bのモータフェーズが0であれば、ステップS1803に処理を移し、リール110a、110bのモータフェーズが0でなければ、ステップS1801に処理を戻す。したがって、リール制御手段306または払出制御手段310は、モータフェーズが0でなければ、0であるかの判定処理を繰り返す。
(ステップS1803)
リール制御手段306または払出制御手段310は、リール110c、110dのモータフェーズを取得する。
(ステップS1804)
リール制御手段306または払出制御手段310は、上記ステップS1803において取得したリール110c、110dのモータフェーズが0であるか否かを判定する。その結果、リール110c、110dのモータフェーズが0であれば、当該励磁開放待ち処理S1800を終了し、リール110c、110dのモータフェーズが0でなければ、ステップS1801に処理を戻す。したがって、リール制御手段306または払出制御手段310は、モータフェーズが0でなければ、0であるかの判定処理を繰り返す。
そして、励磁開放待ち処理S1800のフローチャートは、例えば、図22(b)のプログラムによって実現される。また、ワークエリアには、図22(c)に示すように、リール110a、110b、110c、110dのモータフェーズが順に連続して配置されている。
図22(b)のプログラムでは、図20(a)と比べ、図20(a)の2行目の「JTQ NZ,(LOW _SMC_PHS+0),EXCFREE」が、図22(b)の2行目の「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+0)」と、図22(b)の3行目の「JR NTZ,EXCFREE」に置換され、図20(a)の3行目の「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+1)」の記述が、図22(b)の4行目のように「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+2)」に変更されている。図22(b)の2行目の「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+0)」は、第1リール110aのモータフェーズのアドレス(_SMC_PHS+0)と、第2リール110bのモータフェーズのアドレス(_SMC_PHS+1)の内容をHLレジスタに設定することを示す。なお、単にレジスタに値を呼び出した場合であっても、その呼び出した値が0であれば、第2ゼロフラグは0となる。図22(b)の3行目の「JR NTZ,EXCFREE」は、第2ゼロフラグが0でなければ、EXCFREEに移動することを示す。図22(b)の4行目の「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+2)」は、第3リール110cのモータフェーズのアドレス(_SMC_PHS+2)と、第4リール110dのモータフェーズのアドレス(_SMC_PHS+3)の内容をHLレジスタに設定することを示す。また、図22(b)の5行目の「JR NTZ,EXCFREE」は、第2ゼロフラグが0でなければ、EXCFREEに移動することを示す。ここでは、2、3行目のコマンドで、第1リール110aのモータフェーズと第2リール110bのモータフェーズとの両者を対象として0であるか否か判定し、4、5行目のコマンドで、第3リール110cのモータフェーズと第4リール110dのモータフェーズとの両者を対象として0であるか否か判定している。
図20(a)と比較し、命令コードの行数は追加されているが、図20(a)の2行目の「JTQ NZ,(LOW _SMC_PHS+0),EXCFREE」のコマンド長が4バイトであるのに対し、図22(b)の2行目の「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+0)」のコマンド長が3バイト、3行目の「JR NTZ,EXCFREE」のコマンド長が2バイトなので、結果的にコマンド長が1バイトだけの増加に留まっている。また、図22(b)の4行目の「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+2)」への記述変更はコマンド長に影響を及ぼさない(コマンド長は変わらない)。したがって、プログラムのコマンド長の合計が9バイトとなる。
したがって、命令コマンド(「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+0)」)によって、2つのリール110a、110bのモータフェーズの値を1命令で読み出すことで、リール110a、110bについてそれぞれ読み出して判定する4バイトのJTQ命令を2回行うよりも、合計で4バイトとなるLDQ命令とJR命令を1回ずつ行う方が、合計バイト数が少なくなる。また、命令コマンド(「LDQ HL,(LOW _SMC_PHS+2)」)によって、2つのリール110c、110dのモータフェーズの値を1命令で読み出すことで、リール110c、110dについてそれぞれ読み出して判定する4バイトのJTQ命令を2回行うよりも、合計で4バイトとなるLDQ命令とJR命令を1回ずつ行う方が、合計バイト数が少なくなる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことはいうまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
また、上述した実施形態では、主制御基板200と副制御基板202とが、遊技を進行するための機能部を分担するように配したが、主制御基板200の機能部を副制御基板202に配しても、副制御基板202の機能部を主制御基板200に配してもよく、また、全ての機能部を1の制御基板に纏めて配することもできる。
また、上述した実施形態においては、遊技利益としてボーナス遊技を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、上述したAT演出状態や、リプレイ役の当選確率が通常遊技より高くなるように設定してメダルの消費を抑えることで、メダルの消費に対する当選役の抽選機会を増やす、RT(リプレイタイム)遊技や、上記のATとRT遊技が同時に進行されるART遊技を設けてもよい。
また、抽選処理S300における励磁開放待ち処理S1000は、当選役抽選処理S301の前に実行されてもよいし、図柄コード設定処理S302の前に実行されてもよいし、1遊技タイマが0となった後(S303におけるYES)に実行されてもよいし、1遊技タイマをセットした後に実行されてもよい。つまり、励磁開放待ち処理S1000は、スタートスイッチ128が操作されてから、リール110a、110b、110cの回転が開始される前のいずれかのタイミングで実行されるようにすればよい。
また、上述した実施形態においては、デバイスとしてリール110a、110b、110cを例に挙げて説明したが、デバイスはこれに限らない。
また、上述した実施形態においては、モータフェーズとして、加速中=3、定常回転中=2、停止中=1、待機中=0としたが、例えば、加速中=2、定常回転中=1、停止中=0、待機中=3のように、0に対応する状態がどのような状態であってもよい。
また、上述した実施形態においては、デバイスのパラメータとして、モータフェーズを例に挙げて説明したが、パラメータは、ステップカウンタ値、現在出現図柄番号、停止要求フラグ、インデックス前回値、シーケンスカウンタ、回転エラー検出カウンタ、初回検出エッジ種別等であってもよい。
また、上記した実施形態においては、ステッピングモータ152を全相励磁することでリール110a、110b、110cを停止させるようにしたが、ステッピングモータ152を1相励磁または2相励磁することでリール110a、110b、110cを停止させるようにしてもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことはいうまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上述した第1の実施形態と第2の実施形態それぞれの構成を各々組み合わせて用いることもできる。
また、上述した実施形態では、主制御基板200と副制御基板202とが、遊技を進行するための機能部を分担するように配したが、主制御基板200の機能部を副制御基板202に配しても、副制御基板202の機能部を主制御基板200に配してもよく、また、全ての機能部を1の制御基板に纏めて配することもできる。
また、上述した実施形態では、AT演出状態が1種類のみ設けられるようにしたが、例えば、AT演出状態の継続遊技数の上乗せ特化ゾーンなど、複数種類のAT演出状態が設けられるようにしてもよい。
また、上記した実施形態では、遊技価値としてのメダルを用いて遊技を行うようにしたが、遊技価値は電気的な情報であってもよい(所謂メダルレスであってもよい)。この場合、当選役が入賞したときに、当選役に対応する価値量を遊技者に電気的な情報で付与すればよい。
また、上述した主制御基板200および副制御基板202が行う各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
また、上述した主制御基板200および副制御基板202が行う各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。