JP7009689B2 - 酸素飽和度の超音波ガイド光音響モニタリング - Google Patents

酸素飽和度の超音波ガイド光音響モニタリング Download PDF

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Description

[関連出願の参照]
本願は、2016年9月12日に出願された米国仮出願第62/393,520に基づく優先権を主張し、当該仮出願は、参照によって全体として本明細書に組み込まれる。
本発明は概して、主たる静脈における血液酸素化(blood oxygenation)の測定装置及び測定方法に関する。
本発明の範囲を制限することなく、主たる静脈、特に無名静脈又は腕頭静脈中の血液酸素化の既存の測定方法との関連で、本発明の背景を述べる。
民間外傷(civilian trauma)は軍事外傷(military trauma)と似ており、死及び死亡率(morbidity)の主な要因は、外傷性脳損傷(TBI)を伴う、また伴わない出血である。出血の負傷から生き残るには、迅速な診断と治療が求められる。傷害場所から最終的な治療への迅速なトリアージ(triage)が結果を向上させることが分かっている。しかしながら、戦傷救護における迅速なトリアージは、ほとんど実現することができない。従って、長期野外救護(prolonged field care)(PFC)は、厳しい環境下での戦傷救護では最大72時間に及んでおり、その改善が必須である。死に至る可能性のある傷害、例えばTBIを伴う、また伴わない出血は、この長期に及ぶ危険な期間に効果的に処置される必要があり、過剰蘇生や不十分な蘇生の後遺症を防ぐためには的確な蘇生が求められる。バイタルサイン、例えば血圧などを利用して出血時の蘇生の試みを誘導しても、特に若くて健全な患者では、不正確な予測値を与える。出血を伴うTBIは、バイタルサインの解釈を更に混乱させる。これは、血液量減少がTBI患者の転帰を劇的に悪くさせるために特に問題である。
TBIが認識されないと転帰が劇的に悪化する。現在、出血性ショックの診断及び治療のモニタリングに用いられている主要な指標は、血圧、心拍数、及び精神状態であるが、これらは比較的非特異的で鈍感である。また、これらの指標は、組織血流の低下が進んでも比較的正常であることがある。血圧及び心拍数が概ね正常である患者における全身の低灌流が検出可能であって、迅速に利用可能となる非侵襲性の診断テストは存在しない。
補助的なモニタリングで組織の血流低下を検出して、蘇生の試みを誘導することができるが、循環性ショックの転帰を改善させると分かっている唯一の測定値は、中心静脈(上大静脈(SVC))のヘモグロビン飽和度(SSVC)である。SSVCを用いた誘導による、血液量減少性の敗血症的ショックの早期目標指向療法(EGDT)蘇生により、Riversらは、死亡率(46.5~30.5%)と入院コストの両方を低下させた。Rivers E,et al.Early Goal-Directed Therapy in the Treatment of Severe Sepsis and Septic Shock.N Engl J Med.345 (2001) 1368-1377を参照。SSVCはまた、多発外傷患者などの幾つかの病的状態において、予後の指標として提案されている。大きな外傷の患者や頭部傷害患者の低いSSVCは、高死亡率と長期入院に関係していた。傷害場所から適切な治療までの重大なインターバルにおけるSSVCの測定は、早期ショックの診断を改善し、治療的介入のモニタリングを可能とするであろう。しかしながら、中心静脈へのカテーテル処置は侵襲的であって、時間がかかり、合併症を起こしやすいため、資源に制約のある状況では難しい。
以上のようなことから、SOの非侵襲的モニタリングのための装置及び方法が、EGDTを支援し導くために長い間求められてきた解決法を提供であろうと本発明者らには考えられた。
血管内における血液酸素化の超音波ガイド光音響測定の方法及び装置が提供される。幾つかの実施形態では、まず、血管をモニタリングする部位が、超音波プローブを用いて特定され、次に、特定された部位で光音響刺激及び検出器が使用され、該光音響刺激及び検出器を用いて血管内で運ばれる静脈血中の血液酸素化が測定される。幾つかの実施形態では、血管は、無名静脈、内頚静脈、鎖骨下静脈、及び大腿静脈から選ばれる。
特定の実施形態では、血管は無名静脈である。幾つかの実施形態では、部位は、患者インターフェイスを用いて特定される。最初に、当該インターフェイスを介して、超音波プローブが血管の位置を特定するために着脱自在に付けられて、次にこの超音波プローブを除いた後で光音響プローブが付けられる。他の実施形態では、超音波プローブと光音響刺激及び検出器がともにホルダーに搭載されており、対象である血管の位置が超音波プローブで特定されると、光音響刺激が送られて、光音響検出器によって測定が行われる。このような実施形態では、この超音波による位置決定と光音響測定とが、同時に、また連続的に行われてよい。
本発明の方法の幾つかの実施形態では、光音響刺激の軸が超音波プローブの軸に平行であるが、他の実施形態では、血管内で特定の深さから正確な測定ができるように、光音響刺激の軸が超音波プローブの軸に対して斜めに調整されている。
幾つかの実施形態では、超音波位置決定と光音響測定とは、同一の超音波プローブを用いて行われる。
幾つかの実施形態では、光音響刺激は、760nm及び800nmと;1064nm及び800nmと;760nm及び1064nmとから選ばれる少なくとも一組の波長で与えられる。
幾つかの実施形態では、血管内における血液酸素化の超音波ガイド光音響測定用の患者インターフェイスが提供され、当該患者インターフェイスは、超音波プローブと、続いて付けられる光音響プローブとを患者部位にしっかりと保持する寸法にされたホルダーを含んでおり、当該部位では、超音波プローブは、主たる静脈の検出が可能で、光音響プローブは、検出された大静脈内における血液酸素化を検出可能である。
他の実施形態では、ハウジングを含む血管内の血液酸素化の超音波ガイド光音響測定用の装置が提供され、当該ハウジングは、超音波プローブと、光音響プローブと、光音響波を生成させる光源とをしっかりと同時に患者の部位に保持するような寸法にされており、当該部位では、超音波プローブが主たる静脈を検出可能で、光音響プローブが検出した主たる静脈内の血液酸素化を検出できる。ハウジングは、ゲルキャビティを更に有してよく、当該ゲルキャビティは、超音波プローブの面と光音響プローブの面とを患者の皮膚に直接媒介する音響ゲルを保持するように構成されている。幾つかの実施形態では、ハウジングは、ゲルキャビティを充填させて維持するためのゲル充填チューブを含んでいる。ハウジングは、超音波プローブの軸と光音響プローブの軸を、互いに平行に又はある角度で向き付けてよい。光源は、光学パラメトリック発振器(OPO)、レーザーダイオード、発光ダイオード(LED)、パルスレーザーダイオード、色素レーザー、又は固体レーザーであってよく、光音響プローブとしては、ピエゾポリマー及びピエゾセラミックから選択されたピエゾ物質からなるピエゾ検出器と、容量式微細加工超音波トランスデューサー(CMUT)と、干渉検出器、光学ビーム偏向検出器、感圧性光学素子のような光学系超音波検出器とが挙げられる。
更に、酸素飽和度の超音波ガイド光音響モニタリングのための装置及び方法の効験を確立するための臨床バリデーションプロトコルが提供され、当該プロトコルは、下半身陰圧(「LBNP」)を用いて複合型超音波光音響装置を試験することを含んでいる。幾つかの実施形態では、臨床バリデーションプロトコルは、光音響的にモニターされたSLIVを、酸素測定肺動脈(「PA」)カテーテル注入ポートから得られた鎖骨下静脈血液の酸素化と比較する。
本発明の特徴及び利点を含めて本発明をより完全に理解するために、添付の図面と共に本発明の詳細な説明を参照する。
図1Aは、羊の右内頚静脈の超音波画像を示す。光音響プローブを前頚部表面に配置して、光音響酸素化測定を行った。 図1Bは、図1Aに示された10~11mmの点でIJVから得られた光音響信号を示す。 図1Cは、COオキシメトリによる83%[破線]に対して静脈酸素化の光音響測定が82±2%であることを示す。
下半身陰圧(LBNP)試験中にBV上で光音響的に測定された血液酸素化の測定値を示す。 LBNP中にIJV上で光音響的に測定された血液酸素化の測定値を示す。 LBNP中のBVとIJVの間の静脈酸素化勾配を示す。
図3Aは、上胸部における静脈、動脈及び骨格の解剖学的構造の幾つかの特徴を示す。図3Aは、より解剖学的に特徴を示す。 図3Bは、上胸部における静脈、動脈及び骨格の解剖学的構造の幾つかの特徴を示す。図3Bでは、図をより明確とするために幾つかの特徴の図示を省いた。
図4Aは、頭を左に向けて仰臥したヒト被験者で行われたU/S測定を示す。図4Aの画像を得るために、13MHzの超音波(U/S)プローブ(GE Vivide)を左胸骨切痕(left supra sternal notch)に横向きに配置した。図4Bは、頭を左に向けて仰臥したヒト被験者で行われたU/S測定を示す。図4Cは、ヒト患者の胸骨切痕に配置された光音響検出器を示す。
図4Cの試作プローブで得られたLIVの光音響信号を示す。 3~4分間にわたって20~30個の光音響信号を平均して決定されたSLIVを示す。
図6A及び図6Bは、図5A~図5Bと同じ被験者で実施した静脈酸素化の光音響測定を示すが、鎖骨の下でより近いアプローチを可能とする設計が用いられている。図6A~図6Bは左無名静脈のデータであり、図6Aは血液酸素化の値を示しており、図6Bは、組織中の深さと共に光音響信号を示す。
図7A及び図7Bは、図5A~図5Bと図6A~図6Bと同じ被験者で実施した静脈酸素化の光音響測定を示すが、図6A~図6Bのデータ作成に用いたように鎖骨下でより近いアプローチを可能とする設計が用いられている。図7A~図7Bは内頚静脈のデータであり、図7Aは血液酸素化の値を、図7Bは、組織中の深さと共に光音響信号を示す。
図8A及び図8Bは、図5A~図5Bと図6A~6Bと図7A~7Bと同じ被験者で実施した静脈酸素化の光音響測定を示しているが、図6A~図6Bと図7A~図7Bのデータの生成に用いたように鎖骨下でより近いアプローチを可能とする設計が用いられて。図8A~図8Bは外頸静脈のデータであり、図8Aは血液酸素化の値を、図8Bは、組織中の深さと共に光音響信号を示す。
図9Aは、新たな光音響インターフェイスの試作品を示す。具体的には、図4Cの試作品と比べてよりダイレクトな音響窓となるように、プローブの面が伸長され狭くされている。図9Aは、この伸長された試作品の側面図を示す。 図9Aは、新たな光音響インターフェイスの試作品を示す。図9Bは、皮膚接触面が小さな長方形の面であることを示す。 図9Cは、データディスプレイを有する光音響システムの一つの実施形態を示す。
図10は、左無名静脈(LIV)のサンプリングが、手術中及び手術後にわたって、同時発生する(concurrent)上大静脈(SVC)酸素飽和度と強く相関することを確認するサンプリングプロトコルを示す。
図11は、静脈酸素化の測定値に基づく出血の分類を示す。
図12は、進行するLBNPを用いた確認的ヒトプロトコル(confirmatory human protocol)の一例を示す。
図13A乃至図13Dは、U/Sプローブと光音響プローブの使用を逐次的に示す。図13Aは、光音響プローブの一例を示す。図13B~図13Dは、U/Sプローブと光音響プローブの両方の位置決めをコントロールするホルダーの使用例を逐次的に示す。図13Bは、ホルダー試作品の画像を示しており、その形状は、超音波プローブと光音響プローブの挿入を可能としている。図13Cは、図13Bに示すホルダーの上面図と側面図を示す。
図14Aは、複合型の超音波イメージング光音響モニタリングプローブの使用可能な試作品の実施形態を示す。 図14Bは、複合型の超音波イメージング光音響モニタリングプローブの使用可能な試作品の実施形態を示す。
図15Aは、組み合わされた超音波プローブと光音響モニタリングプローブを示しており、ドップラー超音波システムが光音響モニタリングと組み合わされている。 図15Bは、組み合わされた超音波プローブと光音響モニタリングプローブを示しており、ドップラー超音波システムが光音響モニタリングと組み合わされている。 図15Cは、組み合わされた超音波プローブと光音響モニタリングプローブを示しており、ドップラー超音波システムが光音響モニタリングと組み合わされている。 図15Dは、図15Aに示した組み合わされたドップラーと光音響装置で得られた光音響信号を示す。 図15Eは、図15Aに示した装置により得られた、対応する血液酸素化の値を示す。
図16Aは、デュアルマウントドップラー超音波ガイダンス/光音響測定装置の一実施形態の側面図と斜視図を示す。 図16Bは、デュアルマウントドップラー超音波ガイダンス光音響測定装置の一実施形態の側面図と斜視図を示す。 図16Cは、デュアルマウントドップラー超音波ガイダンス光音響測定装置の一実施形態の斜視下面図を示す。
デュアル超音波(又はドップラー)プローブと光音響プローブの別の実施形態を示す。
主たる静脈における独特で非侵襲的なSOの光音響測定方法が提供され、TBIを伴う、又は伴わない循環性ショックの迅速な診断と治療が可能とされる。静脈酸素(ヘモグロビン)飽和度(SO)は、全身的酸素運搬量(DO)と酸素消費量(VO)に影響する全身的な因子と局所的な因子を示す1つの容易に解釈可能な値である。しかしながら、既存の静脈飽和度の測定法は侵襲的である。現在、このような測定は、肺動脈(「PA」)(混合静脈SOを与える)、頸静脈球(脳SOを与える)、又は上大静脈(「SVC」)への酸素測定カテーテルによって継続的に行われており、侵襲的なカテーテル処置が必要であり、これは、危険であり、消耗性である。
幾つかの実施形態では、左無名静脈におけるSO(SLIV)の測定が、TBIを伴う、又は伴わない循環性ショックの迅速な診断と治療をもたらす。腕頭静脈とも呼ばれる左無名静脈は、頚静脈からの静脈血を集めるものであり、上大静脈の主たる静脈支流であり、静脈脳ドレナージ(drainage)のSOの測定及びモニタリングのために用いられる主たる血管である。本明細書に開示されている非侵襲的なSLIVの光音響測定は、潜在的な出血性ショックの迅速な検出を可能とし、続いて、過剰蘇生がなされないように蘇生をモニタリングすることを可能とする。この技術は、退避を待っている間の長期野外救護中に特に有用である。ここに開示されている技術により可能となる連続的な又は以前に認識されていない出血の証拠に基づいて、衛生兵又は民間の医療従事者は、出血の確実な制御が達成されるまでの期間中に、輸液蘇生を開始して、適切な灌流を維持することができるであろう。
幾つかの実施形態では、本明細書に開示された方法と装置を用いて得られたSLIVデータの使用手順は、侵襲的SVCオキシメトリで用いられているものに類似するであろう。例えば、Riversらは、流体又は血液の投与、或いは強心薬の注入のような処置の必要性を規定するのに、<70%である飽和度閾値を用いた。前掲のRivers,et al.を参照。低SLIVは、SLIVは、救急車又はヘリコプターでの輸送中あっても1分以内に非侵襲的に測定可能である点を除いて、まったく同じように使用できるが、中心静脈オキシメトリは中心静脈へのカテーテル処置を必要としており、一般的には、患者が病院内で安静となるまでは役に立たない。SLIVモニタリングはまた、一般市民の外傷患者に使用される自動化された決定支援システム又は閉ループの管理システムに容易に組み込まれる。
超音波ガイド光音響モニタリングは、多くの臨床用途に貴重な診断情報を提供すると期待されている。それら用途の一つは、血管や組織中の血液酸素化のような血液変数の光音響モニタリングである。中心静脈酸素化の超音波ガイド光音響モニタリングは、循環性ショック(出血で誘起されるものも含む)の早期診断と治療に利用できる。標準的な超音波イメージング技術又はドップラー技術、或いは、両方を使用して光音響プローブを誘導して、特定の血管の標的プロービング又は血液酸素化の測定を行うことができる。酸素化測定のための主たる静脈の位置を特定するための超音波誘導は、多数のモードで行われ得る。
幾つかの実施形態では、無名静脈中の血液酸素化の測定のための光音響的な方法及び装置がもたらされる。超音波イメージング技術とドップラー技術は、この血管の位置に関して重要な情報をもたらす。
本発明の様々な実施形態の作製と使用について以下に詳細に説明するが、本発明は、多種多様な特定の状況で使用できる多くの適用可能な発明概念を与えることを理解のこと。本明細書で説明する特定の実施形態は、本発明を製造及び使用するための特定の方法の単なる例示であって、本発明の範囲を限定するものではない。
略語:本明細書では、以下の略語が用いられている。
BV 尺側皮静脈
DO 酸素運搬量
IJV 内頚静脈
LBNP 下半身陰圧
LIV 左無名静脈
NIR 近赤外
PA 肺動脈
PEEP 陽性呼気終圧
PFC 長期野外救護
PLD パルスレーザーダイオード
PZT ピエゾセラミックチタン酸ジルコン酸鉛(Pb[Zr(X)Ti(1-X)]O
PVDF ピエゾポリマーポリフッ化ビニリデン
LIV LIVで測定された酸素飽和度
SO 静脈ヘモグロビン又は酸素飽和度
PA 侵襲的肺動脈カテーテル処置による混合静脈酸素飽和度
SSs 上矢状静脈で測定された酸素飽和度
SVC 上大静脈
混合静脈飽和度
TBI 外傷性脳損傷
U/S 超音波
VO 酸素消費量
本発明の理解を容易とし、特許請求の範囲の解釈上の疑義を避けるために、幾つかの用語を以下に定義する。ここで定義される用語は、本発明に関連する当業者により一般的に理解されている意味を持つ。本発明の具体的な実施形態の記載に用いられる用語は、特許請求の範囲に記載のものを除いて、本発明を制限するものではない。
「その」及び「1つの」などの用語は、特に明示しない限り単体を意味するのではなく、特定の例が説明のために使用され得る一般的な種類を含んでいる、特許請求の範囲及び/又は明細書中での「ある」又は「1つの」なる用語の使用は、「含む」とともに使用される場合、「1つ」を意味することもあれば、「1又は複数」、「少なくとも1つ」及び/又は「1つ以上」を意味することもある。
本請求項中で、「又は」という用語の使用は、相互に排他的であるとして選択肢を示すように明示的に示されていない限り、「及び/又は」を意味する。従って、他に特段の定めのない場合、選択肢のグループにおける「又は」という用語は、そのグループのメンバーの「何れか1つ又は組合せ」を意味する。更に、相互に排他的であるとして選択肢を示すように特に明示的に示されていない限り、「A、B、及び/又はC」なる言い回しは、要素Aのみを、要素Bのみを、要素Cのみを、又はまとめられたA、B及びCの任意の組合せを有する実施形態を意味する。
同様に、疑義をさけるため、相互に排他的であるとして選択肢を示すように明示的に示されていない限り、「の少なくとも1つ」と言う言い回しは、項目のリストと組み合わさっている場合、リスト中の単一の項目又はリスト中の項目の任意の組合せを意味する。例えば、他に特段の定めのない場合、「A、B及びCの少なくとも1つ」は、「A、B及びCのグループの少なくとも1つ、又は、A、B及びCの任意の組合せ」を意味する。従って、他に特段の定めのない場合、この言い回しは、リストされた項目の1つ以上を必要とするが、必ずしも全てを必要としない。
「備える」(及びその任意の語形)、「有する」(及びその任意の語形)、「含む」(及びその任意の語形)、又は「含有する」(及びその任意の語形)などの用語は、包括的又はオープンエンドであって、記載されていない他の要素や方法工程を排除するものではない。
本明細書及び特許請求の範囲で使われる「効果的」なる用語は、所望の、期待される、又は意図する結果を提供又は達成するのに適切であることを意味する。「約」又は「およそ」という用語は、当業者が理解するように近いことと定義され、ある非限定的な実施形態では、この用語は、10%以内、5%以内、1%以内にあると定義され、幾つかの態様では0.5%以内と定義される。
本発明者らは、非侵襲的で携帯性に優れた光音響装置を開発した。当該光音響装置は、無名静脈におけるSOを迅速に評価し、そのSOは、SSVCにかなり近い。このモニターは、近赤外(NIR)光の短時間パルスを発信し、当該パルスは、酸化又は脱酸化Hgbにより吸収されて、次に、SOを精度よく測定する超音波信号が発生する。この新しい光音響技術は、中心静脈へのカテーテル処置の必要性を除く一方で、ショック状態にある患者又はショックの危険にある負傷者の中心静脈SOを精度よく高頻度で評価することができるであろう。
光音響技術:レーザー光音響イメージング技術は、光トモグラフィーのメリット(高光学コントラスト)と超音波イメージングのメリット(音響波の散乱が少ない)を組み合わせることで、コントラスト、感度及び解像度が高い非侵襲性診断法を与える。この光音響技術の高い解像度、感度及びコントラストは、総Hgb濃度や酸化Hgb、脱酸化Hgbの測定を、また用いる波長によっては、カルボキシHgbやメトHgbの測定を優れた精度、特異性、及び感度で可能とする。レーザー光音響法は、組織性状診断及び画像診断法用の技術として最近開発されており、連続的、非侵襲的で高精度な測定を可能とする。光音響技術は、光信号ではなく、レーザー誘起超音波の高感度検出を利用する。音響波は発生源から直線的に移動するため、信号が戻るまでに要する時間と組織内の音速とから標的の血管の深さを正確に計算できる。超音波信号の直線的な伝搬は、反射光信号は、入射光と同様に散乱する純粋な光学的測定から光音響測定を区別する。超音波トランスデューサーによる圧力プロファイルの時間分解検出と圧力信号の解析により、高解像度光音響イメージの再構成が容易となる。光音響技術は、光学的に濁った不透明な組織中で最大で8センチメートルの深さにある構造の位置を、≦0.5ミリメーターの空間分解能で正確に特定して、光音響イメージを再構成することができる。
酸化Hgbと脱酸化Hgbは、可視及びNIRスペクトル領域で高い吸収係数を有する。従って、血液に誘起された生成光音響圧力の振幅及び空間分布の両方が、Hgbの飽和度、つまり濃度(酸化Hgb÷総Hgbとして計算)に依存する。血液中に誘起された光音響波は、組織中の音速に正比例する時間で音響トランスデューサーに到達することから、光音響技術の高いz軸解像度は、大きな血管におけるHgb飽和度の直接的な測定を可能とする。Hgbの吸収係数がHgbのSOに依存することから、波長が約805nm(酸化Hgbと脱酸化Hgbが同じ吸収を示す等吸収点)であるレーザー光源が、Hgbのモニタリングに用いられ、次に、得られた[Hgb]値を使用して、約1064nmの波長が酸素化のモニタリングに用いられる。酸化Hgbと脱酸化Hgbとで吸収に大きな差があるからである。従って、種々の波長のパルスレーザーNIR光により血液に誘起される光音響圧力の時間的プロファイルを解析することにより、HgbのSOの絶対値を精度よく得ることができる。
幾つかの実施形態においては、照射される光は、NIRスペクトル領域の低端内にあり、例えば約600~1300nmであって、具体的には760nm、800nmや860nmである。このような波長範囲は、NIR放射の深い侵入をもたらすことができ、これは、ヘモグロビン飽和度の光音響モニタリングに十分である。モニタリングに使われるレーザーエネルギーの量は小さくてよく、レーザー照射量レベルが眼組織への最大許容露光量(MPE)よりはるかに小さいため、患者の皮膚、或いは患者又はオペレータの眼の組織に熱的又は機械的なダメージを引き起こすことはない。幾つかの実施形態においては、このレーザーエネルギーは、約1μJ~1mJの強度で送られる。
可視及びNIRスペクトル領域において、酸化ヘモグロビンと脱酸化ヘモグロビンの吸収係数は高い。従って、血液中に誘起された生成光音響圧力の振幅及び空間分布の両方が、総ヘモグロビン濃度[THb]、つまりヘモグロビン飽和度(酸化ヘモグロビン/[THb]で計算される)に概ね依存する。開示されている測定方法の高解像度は、大きな血管中の[THb]と飽和度の直接的な測定を可能とする。幾つかの実施形態においては、飽和度は、Nd-YAGレーザーで駆動する光学パラメトリック発振器(OPO)を用いて4つの重要な波長を生成することで測定されてよく、4つの重要な波長は、800又は805nm(酸化及び脱酸化ヘモグロビンが同じ吸収を示す等吸収点)と、700nm、730nm、及び760nmとであり、それらは、酸化及び脱酸化ヘモグロビンが吸収に大きな差を示す波長である。幾つかの実施形態においては、他の分子の濃度に興味がある場合があり、そのような場合には他の波長が選ばれる。
上述のように、音響信号は概ね、標的から直線的に戻ってくる。レーザー光音響イメージング技術は、光トモグラフィーのメリット(高光学コントラスト)と超音波イメージングのメリット(音響波の散乱が少ないこと)を組み合わせて、コントラスト、感度及び解像度が高い非侵襲的な診断法を与える。光音響技術の高い解像度、感度及びコントラストは、[THb]、酸化及び脱酸化ヘモグロビンのモニタリングを優れた精度、特異性及び感度で可能とする。直線的な超音波信号の伝搬が、組織内通過により入射及び反射光信号の両方が散乱する純粋な光学的手法から光音響測定を区別する。光音響イメージングは、最大で数センチメートルの深い所にある光学的に濁った不透明な組織中の構造を、≦0.5ミリメーターの空間分解能で視覚化して、光音響イメージを再構成することができる。要するに、光音響モニタリングの利点には、(1)非侵襲性、(2)正確で定量的な測定、(3)連続的でリアルタイムモニタリング、(4)高空間分解能、(5)コンパクトな大きさなどが含まれるが、これらに限定されるのではない。
無名静脈中のSOの臨床的光音響モニタリングにおいて、音響検出器は、光源に戻ってくる信号をモニタする(逆方向モード)。光音響モニタリングの利点には、1)非侵襲性、2)正確で定量的な測定、3)連続的なリアルタイムモニタリング、4)高い空間分解能、5)コンパクト大きさなどが含まれる。幾つかの実施形態では、本発明のシステムは小型化されて、ノートパソコンと同等以下の大きさの装置で稼働し、治療の全ての段階もこのセンサーを広範に適用可能となる。
開示を完全にするため、本発明の構成と複合体の製造方法を示すために、そして、これらの構成の幾つかの特徴を示すために、以下に実施例を示す。これらの実施例は、本開示の範囲又は教示を何ら制限するものではない。
<実施例1>
<尺側皮静脈(BV)及び内頚静脈(IJV)における静脈SOの比較試験>
大型動物(羊)でのインビボ試験で、試作システムが、判断基準となるヘモキシメトリー(hemoximetry)と比較してSOを精度よく正確(相関:r0.99;バイアス=2.47%;SD=±2.3%)に測定することが分かった。前回の試験で、本発明者らは、確証試験と臨床的なコンセプトテストの両方により、尺側皮静脈(BV)及び内頚静脈(IJV)における静脈SOを検出及び比較するように設計されたデュアルプローブ光音響装置を試作した。確証試験は、光音響と標準的なヘモキシメトリーの間でのIJV酸素の比較に注目した。Petrov IY、et al.Optoacoustic measurement of central venous oxygenation for assessment of circulatory shock:clinical study in cardiac surgery patients.Proc.SPIE 8943 (89430Y) (2014) 1-5を参照のこと。要するに、IJVが超音波(U/S)で調べられて、深さが記録され、皮膚がIJVの境界について印された。図1Aは、羊の右内頚静脈の超音波画像を示す。光音響プローブが前頚部表面に置かれて、光音響酸素を測定した。図1Bは、図1Aに示す10~11mmの点にてIJVから得られる光音響信号を示す。中央線が配置されて、ファインダー針(finder needle)を用いてIJVからの確認ヘモキシメトリーが得られた。図1Cは、静脈酸素の光音響測定値が、COオキシメトリによる83%[破線]に対して82±2%であることを示す。データは、U/S測定と光音響測定で計算されたIJVの深さが±1.7mmであり、ヘモキシメトリーを光音響法と比較するための静脈酸素飽和度SOの測定値が3±2%であることを示し、高精度であることを示した。このように、IJV酸素化と信号取得深さについて標準的測定値との比較が、光音響試作器により精度よく得られる。
臨床的コンセプト試験は、誘導血液量減少における静脈酸素化勾配(中心[内頚静脈酸素化-SIJV]から末梢[尺側皮静脈酸素化勾配-SBV]を減算する)の光音響的測定に焦点を当てた。具体的には、静脈酸素化勾配(SIJV-SBV)は、血液量減少の進行中に適切な生理的代償(SIJV-SBVの減少)を示すために測定された。具体的には、ボランティア(n=5)が下半身陰圧(LBNP)チャンバーに配置された。血圧(BP)が低下するまでLBNPを徐々に誘起した(LBNP約60mmHg)。
ショックの初期代償期(initial compensatory stage)では、重要臓器(脳、心臓)の灌流維持のために、末梢(皮膚、筋肉等)への血流循環が抑えられる。典型的には、これは、変化の小さな中心静脈(内頚静脈[IJV])の酸素化と比べて、末梢静脈の(例えば、尺側皮静脈[BV])の酸素化のより大きな低下として観察できる。酸素化の侵襲的な測定は正確であるが、これらは実用性を欠き、合併症がなくもない。我々の新しい光音響システムは、特定の静脈における酸素化を非侵襲的に決定する。この用途を試験するため、我々は、BVとIJVの上に、超音波イメージングで誘導される2つの光音響プローブを設置し、下半身陰圧(LBNP)システムを起動した。LBNPは、下半身上で減圧して出血を刺激することで、中心循環に供給される血液の量を減少させる。LBNPは、-20mmHgで始まり、その後段階的に低下した(-60mmHgまで)。光音響的に測定されたBV酸素化は、LBNPにより大きく減少した―図2A(上矢印対下矢印)。一方、IJV酸素化は、より小さな減少を示した―図2B(上矢印対下矢印)。LBNPを停止すると、通常の血流へ復帰が直ちに起こる(赤矢印対緑矢印)。得られた静脈酸素化勾配(図2C)は減少し、血液量減少に対して適切な生理的代償があることを示した。これらの結果は、光音響システムが、末梢静脈酸素及び中心静脈酸素の安全で迅速な測定を可能とし、高特異的且つ高感度でショックの診断を可能とすることを示す。
デュアルプローブ光音響系システムは、2つの静脈部位間の差を検出でき、ショックの進展と消失を確認することができたが、大きな制約があった。例えば、信号の不安定性や、運動アーティファクト、酸素化勾配の特性評価の困難さ(基本状態対再灌流状態)、LBNP誘起された血液量減少中における静脈の潰れにより尺側皮静脈中のSO(SBV)の測定ができないことである。これらの問題のため、我々は設計を再検討し、他の強力な方法を開発した。
<実施例2>
<SLIV測定の初期開発>
ショックを検出してモニタリングするためのSO測定法を改良する取組みにおいて、多くの重要な改善がなされた。第一に、高いパルス繰返し率を持つレーザーダイオードベースの光音響システムを用いることで、信号安定性がもたらされた。これによりリアルタイムで迅速な測定が容易になった。次に、我々は、胸骨切痕を介して左無名静脈(LIV)を調べることを可能とする超音波光音響窓を特定した。上側胸部の静脈、動脈及び骨格の解剖学的構造の一部を、図3Aと図3Bに示す。これらの図は、左鎖骨(22)と右鎖骨(26)、そして、胸骨(18)の連結中央上胸骨柄(31)を示しており更に、上位肋骨(19)の胸骨(18)への結合を示している。胸骨柄の上中央に胸上骨(胸骨)切痕(30)があり、左無名静脈(「LIV」)(16)と、右無名静脈(「RIV」)(17)と、これらの上大静脈(「SVC」)(24)への連結部との上に重なっている。気管(32)に対する胸骨柄(31)の位置は、図3Bに示されている。この図では、胸骨切痕(30)に対するLIV(16)の位置をより明確に示すために、図3Aの幾つかの特徴が除かれている。太い矢印は、LIV(16)の音響窓を示し、これは横向きで、胸骨切痕の左で深さが1~3cmである。
解剖学的には、LIV(16)は、左鎖骨(22)の裏で形をなしており、左内頚静脈(「IJV」)(8)と左鎖骨下静脈(10)に流れ出る。LIVは、より十分に胸骨(18)の裏にあるRIV(17)よりもアクセスしやすい。LIV(16)とRIV(17)は、SVC(24)に流れ出る。故に、LIVは、中心静脈酸素化(SCV)を近似しており、ショックからの蘇生における優れたエンドポイントとなることが分かっている。侵襲的カテーテル処置で得られるLIV酸素化(SLIV)が、幅広い患者層のSCVと、そして、侵襲的肺動脈カテーテル処置による混合静脈酸素飽和度(SPA=混合静脈飽和度=S)と同程度であるかどうかの確認は、臨床試験より得られるであろう。
ある実施形態においては、光音響酸素モニタリングシステムを設けて、蘇生法を改善させる。SLIVに基づく蘇生の試みの誘導は、ショックやTBIの負傷者をより良く安定にして、生命を脅かせる傷害の早期検出をもたらすであろう。SLIV又はSSSsのような脳静脈酸素化の補助的な測定は、進行性の脳損傷の緩和に役立つこととなろう。ある実施形態においては、SO指標は、決定支援又は自律プラットフォームに取り入れられており、当該プラットフォームは、蘇生限度、血液又は他の血管作用物(vasoactives)の必要性を含むであろう。SLIVは、カプノメトリのような、当該分野における現在の灌流評価法による制限を受けることがない。具体的には、SLIVは、挿管処置を必要とせず、精度は、解剖学的及び生理学的デッドスペースによって制限されない。
LIVアクセスの光音響測定:ボランティア(n=5)を募集して、超音波と光音響信号用の音響窓を、無名静脈、特にLIVに設けられるか否かを判定した。ボランティアの構成(demographics)は幅広く、年齢は24~70歳、身長は160~195cm、体重は50~119kg、性は、4人の男性と1人の女性であった。2Dドップラー超音波(「U/S」)を用いて、胸骨切痕に対してLIVを特徴付けた。簡単に説明すると、頭を左に向けて被験者を仰臥させて、U/S測定(図4Aと図4B)と光音響測定(図4C)を行った。LIVに対する音響U/S窓は、左胸骨切痕の1~3cm横に見つかり、12MHzプローブ(12L,ゼネラルエレクトリック、ミルウォーキー、WI)は、皮膚表面から120~150°傾けて、同側の(ipsolateral)乳首に向けられた。LIVは、2D超音波(図4A)とドップラー波形(図4B)で確認され、両方ともLIVを示した。図4Aの画像を得るのに、12MHz超音波(U/S)プローブ(GE Vivideシステムに連結された、GE超音波イメージングプローブi12L-RS)を、左胸骨切痕に対して横向きに設置した。2D画像の取得物は、白矢印で指し示した左無名静脈(LIV)を示している。皮膚表面からLIV(矢印1)への深さは11.3mmであった。LIVの直径は10mmであった(矢印2)。結合組織(3)と小さな筋肉バンド(4)も観察された。図4Bは、LIVの中央上にあるパルスウェーブドップラーを見せており、呼吸とともに変動する低周波の静脈拍動波形(5)を実例で示している。
U/SによるLIVの深さ[平均値±SEM]は、10.3±0.8mmであった。図4Cに写されているように、超音波によりLIVの場所を特定した後、光音響試作プローブを同じ方向と面で配置した。プローブハウジング40は、内部に光ファイバー及び音響トランスデューサー要素を有しており、超音波プローブと同様な外形を有しており、平坦で広い表面領域で皮膚と接触した。プローブハウジング40は、ハウジング40に取り付けられた位置決めハンドル(positional handle)42によって、安定な位置で患者に容易に維持される。
光音響試作機を用いるLIVの酸素化測定は、超音波に一致する深さ(皮膚下9~10mm)でのピーク吸収体(chromophore)吸収信号で確認された(図5A)。吸収信号が得られた後、SLIVは、3~4分間の20~30個の光音響信号(図5B)の平均を求めるにより決定され、左無名静脈の静脈酸素化を示した。図5A中の光音響信号の検証は、皮膚、軟組織[次のピーク]、及び無名静脈(LIV)に基づくピーク吸収体信号と、深さとを含んでいる。
表1は、5人の被験者で得られたSLIVの範囲を示す。これらの被験者の「平均値±SEM」は75±3%であり、健康な人の中心静脈酸素飽和度の値に近い。
Figure 0007009689000001
特に、光音響(「OA」)での深さ測定値は、多くの場合、光音響装置の皮膚との結合に必要な小量の皮膚のずれに起因して、U/Sのもの(10.3±0.2mm)よりも若干小さかった(8.9±0.8mm)。LIVから酸素化データを得ることはできたが、信号取得はある程度の変動を伴っていた。これは、光音響プローブの巾広い形状が、鎖骨屈曲部の下での信号取得を難しくしていることに起因していると考えられた。この問題に取り組むために、図9Aと図9Bに示すように新たなインターフェイスを試作した。具体的には、プローブの面を伸ばして狭くさせ、図4Cの試作品と比較してより直接的な音響窓とした。この設計変更で、より改善されたLIVのインタロゲイション(interrogation)が可能となった。また、LIVとプローブのアライメントが改善されたため信号安定性が増加した。
この設計を用いて、図5Aと図5Bに示すデータと同じボランティアで、左無名静脈(LIV)、内頚静脈(IJV)、及び外頸静脈の光音響酸素飽和度を測定した。そのプローブインターフェイスは、皮膚表面への接触をより大きくした。鎖骨の下で、下向きの面内で、図3Aに示す左同側の乳首(31)に向けてプローブを配置すると、より平たいプローブを用いた従来の測定(2mm平均:表1)と比べてかなり大きな組織変位(5~7mm)が観測された。変位の量は、プローブの先端から、覆っている鎖骨表面皮膚からのプローブの露出部までの受信可能範囲(coverage)を測定することで最初に確認された。次に、2D超音波を用いて皮膚表面から左無名静脈への距離が測定されて、LIVからの光音響誘導ピーク信号から減じられた。上述のように、この新しいプローブ設計を用いると、超音波と光音響で測定される深さが大きく異なる。最も大きな差異は、鎖骨の下にフィットするように設計された新しいプローブでの光音響による無名静脈測定によることが観察された。更に、無名静脈は、外部組織の変位により圧縮される構造体ではない。他方で、IJV上でのプローブの過度の変位は、圧縮と静脈信号の消失を引き起こす。従って、IJV上で印加できる力の量には限界がある。プローブにより数mmの組織変位があるにも拘わらず、それは患者を不快にしないことに留意すべきである。故に、このプローブ設計を用いた光音響による無名静脈の深さとSOの測定は、ポストペイシェントでIJVよりも皮膚表面からより近い信号をもたらすこととなろう。ピーク吸収体信号をトランスデューサーにより近づけることは、より小さな散乱とより大きな信号安定性という利益をもたらし、信号変動の低下の原因となるようである。図6A~図6B、図7A~図7B、及び図8A~図8Bは、図5A及び図5Bと同じ被験者での静脈酸素化の光音響測定を示す。図6A~図6Bは左無名静脈のデータを示し、図6Aは血液酸素化の値を示し、図6Bは光音響信号と組織の深さを示している。図7A~図7Bは内頚静脈のデータを示しており、図7Aは血液酸素化の値を示し、図7Bは光音響信号と組織の深さを示している。図8A~図8Bは外頸静脈のデータを示しており、図8Aは血液酸素化の値を示しており、図8Bは光音響信号と組織の深さを示している。酸素化信号の安定性は大きく改善されている。
予備的データは、静脈SOが、様々な静脈源から、非侵襲的でリアルタイムな光音響モニタリングを用いて得られることを示している。左鎖骨頭の下にあるLIVの上での光音響的静脈酸素化測定は、迅速且つ非侵襲的に中心静脈の酸素飽和度を評価する革新的なアプローチである。同じ技術プラットフォームが、脳酸素化の測定にも、例えば初期のTBI評価に、そして長期野外救護(「PFC」)における脳酸素のモニタリングに使用可能である。我々は、内頚静脈への静脈流中の酸素(SIJVO)と上矢状静脈への静脈流中の酸素化(SSSs)を測定した。
<実施例3>
<ショックの迅速な検出を可能とするSLIVの非侵襲的な光音響測定>
ある実施形態においては、非侵襲的なSLIVの光音響測定がもたらされて、ショックの迅速な認知を可能とし、次に、不十分又は過剰な蘇生が起こらないようにロバストな蘇生モニタリングを可能とする。幾つかの場合では、非侵襲的なSLIVのモニタリングは、TBI評価のための脳酸素化SLIVの測定又は上矢状静脈酸素(SSSs)の測定により補足される。静脈酸素化の光音響測定は補助モニターとして使用されて、過剰なPEEPを、そして、長期野外救護中の輸血や他のシームレスな処置の必要性を避けるために使うことができる。当該必要性には、例えば、PEEPの最適化[S対SLIV]、バイタル流体の選択[輸血対他の流体の必要性]、酸素摂取ニーズの低減[熱、震えを伴う発熱対麻痺液、鎮静剤及び麻酔剤の必要性]が挙げられる。
ある実施形態においては、臨床バリデーションプロトコルが使用されて、酸素飽和度の超音波ガイド光音響モニタリングの装置及び方法の有効性が確立される。このような実施形態の一つでは、心臓外科患者が、ヘモキシメータ(hemoximeter)で得た酸素飽和度を非侵襲的光音響による飽和度と比べることで試験される。肺動脈(PA)カテーテルが、左内頚導入シースを介して配置される。各患者は、一連の光音響測定と血中酸素飽和度測定を受ける。ある実施形態においては、より大きな患者母集団でLIVがSVC酸素化に相当するというバリデーションが得られる。左内頚静脈からLIV中に挿入された導入針からの血液試料が、近位ポート(SVC)の試料と比較される。幾つかの実施形態では、生理学的バリデーションが、異なる生理学的な状態中で、例えば手術前、3つのICU時点、退院での心臓病患者における光音響SLIVをヘモキシメトリーLIVと比較することで得られる。
幾つかの実施形態では、ヘモキシメトリーLIVに対する光音響SLIVの生理学的なバリデーションが行われる。各患者に対し、手術の種類、手術の所要時間、ポンプの作動時間などのデータが収集される。血液、流体や循環作動薬/血管収縮剤の注入などを含む併発症及び治療も記録されてよい。加えて、性、年齢、人種、駆出率や他の心臓異常などの人口統計データが集められる。その後、部分解析がロジスティック回帰を用いて行われて、これらの因子が光音響測定に影響を与えるか否かが判断される。術中期間中に、例えば手術前、OR手術後、3つのICU時点に発生する異なる生理状態中において心臓病患者で比較が行われる。
幾つかの実施形態では、静脈酸素化同等性(venous oxygenation equivalence)のバリデーションが行われる。肺動脈のカテーテル処置とモニタリングは、心臓手術の標準治療である。ある実施形態においては、同等性検定は、全身麻酔又は鎮静下において、手術室で麻酔科医によって、左内頚静脈に導入シース(例えば、8.5フレンチコルディス又は相当する導入シース)を配置することを含み得るだろう。次に、肺動脈(「PA」)カテーテル(例えば、エドワーズライフサイエンスPAカテーテル又は相当品)が設置され、カテーテルの先端は肺動脈に配置されて、PA閉塞波形で確認される。酸素化測定を比較するための一つのアプローチを図10に示す。このPAカテーテルは、3つのポートを、即ち注入ポート(上大静脈)、近位ポート(右心房)、及び遠位ポート(肺動脈)を有する。
最後に、ある実施形態では、健全なボランティアを用いるSLIVの光音響決定は、下半身陰圧(LBNP)を誘導して血液量減少性ショックをシミュレートすることを含む。各ボランティアは、失神性めまい又は低血圧症が現れるまで漸進的にLBNPを受ける。光音響的に測定されたSLIVは、各LBNPステージで、酸素測定PAカテーテル注入ポートから得られたSVC血液と比較されて、LIV飽和度の非侵襲的モニタリングの実現可能性及び正確性が実証される。SIJVは、脳酸素化の代用として、各LBNPステージ中に光音響的に測定されてもよい。
我々の試験においては初めに、3つのコンソールを設計及び作製し、当該コンソールは、レーザー光源である光パラメトリック発振器(OPO)と、タッチスクリーン医療グレードコンピュータと、電源及び他の制御装置とを含んでいた。TBIの患者の脳飽和度を測定するために4番目の試作システムが作製された。図9Cは、光音響モニタリングシステムのディスプレイのそのような試作装置を示しており、TBIの患者の完全な頭蓋骨を通して矢状静脈洞の飽和度をモニタリングするように最初に設計されている。軟組織の透過に必要なレーザー出力は小さいため、左無名静脈又は内頚静脈を測定するシステムのサイズを大幅に小さくすることができる。ある実施形態においては、長期野外救護が可能なシステムの重量を、2.0kg以下にできるであろう。
この試作器は、高繰返し周波数(1000Hz)のパルスレーザーダイオード(PLD)スタックを用いていたが、当該スタックは、基本的に同一の制御ソフトウェアと接続ケーブルを利用している。高いパルス繰返し周波数は、モーションアーティファクト脆弱性を大幅に低下させる。更に、PLD試作器の設置面積は小さく、このため携帯可能である。幾つかの実施形態では、ダイオードを用いたそのシステムは、現在のサイズの数分の一(約2.0kgと推定される)にまで縮小される。静脈組織の上の数cmの軟組織の透過に要する電力がより少ないからである。我々のインビトロ試験は、静脈飽和度の測定を30秒以内で完了できることと、本システムが、PLDシステムを用いて1~3秒毎に連続的に測定値をアップデートできることを示している。幾つかの実施形態では、本システムは、1秒当りより多くの信号の取得が可能で、走査時間を短縮する。
深さ、血管サイズ、及び吸収体の特徴に関連した特異なピーク信号が存在する。幾つかの実施形態では、新規のピーク信号認識プログラムが使用されて、IJV、LIV、EJV、SCV、大腿静脈(FV)やBV静脈を含む臨床上関連する静脈で発生する信号を自動的に特定してよい。これは機械学習に似ている。自動ソフトウェアは、最適に配置された検出器から最大信号を選択し、これらの信号を定量的な飽和度データに変換することができる。バックグラウンド信号をデジタル化して取り除くソフトウェアが使用されて、信号アーキテクチャを向上させてもよい。例えば、プローブが胸骨切痕の上に配置されて、左乳首に向かって左に向けられている場合、様々な組織、例えば結合組織、小さな筋肉バンド、LIVが存在する。一方、類似の組織があるが、右無名静脈の上方にある右乳首を向いている場合、より深い所にあるので、相同の場所を用いてこれらの信号を減じて、除いてもよい。
幾つかの実施形態では、他の臨床バリデーションプロトコルが用いられて、酸素飽和度の超音波ガイド光音響モニタリングのための装置及び方法の有効性が確立される。ボランティアでの試験で、必要な解剖学的経路データが作成されて、当該データは、IJV、LIV、EJV、SCV、大腿静脈(FV)、及びBV静脈の1又は複数を含む標的静脈の上の音響窓の解剖学的構造を定める。
ある実施形態では、臨床バリデーションプロトコルが、酸素飽和度の超音波ガイド光音響モニタリングの装置及び方法の有効性を確立するために用いられて、LIVが標的にされて、酸素化信号を最適化する光音響経路が得られる。ある実施形態においては、ボランティアがトレンデレンブルグ体位で仰向けにされる。各被験者について、超音波で測定がなされた:皮膚表面から血管表面及び中点までの距離、無名血管の直径、パルスウェーブドップラー及びカラーフローマッピングによる速度プロファイル。超音波プローブを胸骨切痕に配置し、無名静脈が見つかるまで左同側乳首に向けられる。無名静脈が最もよく測定可能な、異なる2軸での身体に対する超音波プローブの角度と方向が、可変分度器定規を用いて測定される。2本の軸は、尾部から頭部向きと、中央から横向きである。超音波測定が完了後、光音響プローブを用いて無名静脈の酸素飽和度が測定される。幾つかの実施形態では、反復プローブインターフェイスが用いられる。最初に超音波プローブが患者に適用されて、対象の血管の場所が決められる。インターフェイスは、患者にしっかりと固定されたままにされて、光音響プローブがインターフェイスに配置される。幾つかの実施形態では、力トランスデューサーが光音響プローブの表面に取り付けられて、パルスレーザーダイオード(「PLD」)のような光源からピーク及び最適信号を得るために必要な力(組織変位)の量が測定される。ピーク信号が得られた後、光音響測定値、例えば血管の深さや酸素化の計算値が、連続的に記録される。全ての測定は非侵襲的に行われる。
肺動脈カテーテル処置とモニタリングは、心臓手術での標準的治療である。患者から書面によるインフォームドコンセントを得た後、導入シース(例えば、8.5フレンチコルディスシース又は相当品)が、ORにおいて全身麻酔下又は鎮静下で、左内部頚静脈に入れられる。PAカテーテル(例えば、エドワーズライフサイエンスPAカテーテル又は相当品)が設置され、カテーテルの先端が肺動脈内に位置するように配置され、PA閉塞波形により確認される。酸素化測定を比較するこのアプローチは、図10に示されている。PAカテーテルは、3つのポートを有しており、それらポートは、注入ポート(上大静脈)、近位ポート(右心房)、及び遠位ポート(肺動脈)を含む。図10を参照すると、白色のコルディス導入シースが加えられており、当該シースは、LIV(*で示す)にあるポートで終端している。PAカテーテルは、3つのポートを、即ち41で示す上大静脈(SVC)にある注入ポートと、42で示す右心房(RA)にある近位ポートと、43で示すPAにある遠位ポートとを有している。
導入シース(コルディスカテーテルの場合、長さは15cm)は、1つのポートを有している。長さと配置に基づいて、これは、導入シースカテーテルの先端が無名静脈に配置されることをほぼ保証する。カテーテルが固定されると、超音波を用いて先端がLIV内にあることを確認する。超音波測定はまた、皮膚表面からのLIVの深さを決定してよい。導入シース先端から左IJVの膝(genu)までの距離がmmで測定されてよい。異なる部位からの静脈酸素化を比較するため、LIV、SVC及びPA(種々の静脈を代表する)において導入シースから血液を採取し、(例えば、IL682型COオキシメータ(インストルメントラボラトリーズ、ベッドフォード、MA)を用いる)ヘモキシメトリーに送られる。幾つかの実施形態では、静脈血のサンプリングは、各被験者について別々の時点又は期間に行われる。例えば、具体的な時点としては、1)ベースライン、即ちカテーテルの留置後で手術の前や、2)手術後でICUへの輸送の前、3)ICU到着後1時間、4)ICU内手術後1日で抜管前、5)ICU内手術後1日で抜管後でPAカテーテル除去の直前、が挙げられる。データ分析が実行されて、広い母集団サンプルについて、手術期間中を通じて、左無名静脈(LIV)のサンプリングが、同時発生する上大静脈(SVC)酸素飽和度と強く相関していることが確認される。データは、SLIV(ヘモキシメトリー)をY-軸に、SSVCをX-軸にプロットして、線形回帰により比較される。
ある実施形態においては、上述した同じ被験者において、導入ポートからのヘモキシメトリーサンプルが、光音響的に測定された無名静脈飽和度[SLIV]と比較される。光音響プローブが、上述のように、胸骨切痕に配置されて、左無名静脈に向けられる。光音響信号の取得が2~3分間行われて、適切なサンプリング時間が確保される。各光音響測定について、平均値と標準偏差が実行される。各被験者は、上述の時点で光音響測定とヘモキシメトリーについて比較測定を受ける。PA部位からの血液も、種々の静脈血の代表として比較される。
光音響により測定されたSLIVが比較されて、ヘモキシメトリーで測定されたLIVO飽和度の同時測定値との強い相関が確認される。例えば、データは、線形回帰することで比較されてよく、光音響SLIVがY-軸にプロットされるのに対して、ヘモキシメトリーのLIVO飽和度は、X-軸にプロットされる。幾つかの実施形態では、測定結果が、ブランド-アルトマン法を用いて比較されて、SLIVとLIVO飽和度の差が2つの測定法の平均値と比較される。2つの測定法間での一致を分析することで、これら測定法の間の偏り及び精度の推定値が得られる。手術の負荷条件や他の状況、例えば麻痺、体温や出血が異なることから、かなり広い値の分布が予想される(LIVO飽和度の範囲は、45%~85%と予想される)。
<実施例4>
<血液量減少性ショックをシミュレートする下半身陰圧(LBNP)の誘発中における健全なボランティアでのSLIVの光音響測定>
幾つかの実施形態では、LBNPを用いる臨床バリデーションプロトコルが使用されて、酸素飽和度の超音波ガイド光音響モニタリングのための装置及び方法の有効性が確立される。このようなバリデーションプロトコルの一つでは、光音響的に測定されたSLIVが、酸素飽和度測定肺動脈(「PA」)カテーテル注入ポートから得られたSVC血液と各LBNPステージで比較されて、LIV飽和度の非侵襲的なモニタリングの実現性及び精度が実証される。各LBNPステージでのSIJVの測定も、脳酸素化の代わりに行われる。健全なボランティアでのSLIVとSIJVの同時測定は、静脈酸素化勾配を決定し、出血の代償と耐性についての情報をもたらす。
1965年以来、血液量減少性ショックをシミュレートする下半身陰圧(「LBNP」)は、研究手段として使われており、最大1500mLの有意識出血体積をシミュレートすると考えられている。LBNPは、段階的応答(graded response)を可能とし、例えば、真空モーターを調整することで吸引強度を増減することができる。幾つかの実施形態では、被験者は仰向けになって、被験者の腸骨稜と下肢だけが陰圧チャンバーに入れられる。密閉することで陰圧又は吸引の発生が可能となる。陰圧が印加されると、下肢の血液が「トラップされ(trapped)」、これが、循環血液量減少をシミュレートする。被験者は下半身を椅子に乗せて仰向けになっているため、被験者が静止した又はリラックスした状態でいることが容易であり、筋肉ポンプによる静脈逆流の影響を最小限に抑えることが可能となる。陰圧の量を調整して、血液量減少レベルの変更をシミュレートしてもよい。段階的なLBNP中に、体中央から下部領域への血液体積の漸進的再分布がある。血液量減少の生理的代償には、心肺及び動脈の圧受容器の活性化が含まれ、その結果、心拍数と交感神経活性が増加して、中央灌流を維持する。陰圧を除くと速やかに循環が正常に戻る。
図11は、静脈酸素化の測定に基づく出血の分類を示す。従来の血液損失の評価はバイタルサインによるものであるが、バイタルサインはしばしば発見が遅れることがある。図11に示す実施形態においては、静脈酸素飽和度及び勾配[中央灌流(例えば、IJV飽和度)と末梢(例えば、LIV飽和度)との差]を用いて、体積損失の重傷度と生理的代償が見積もられる。
出血の重症度を決めるための静脈酸素化の使用:Hgbが減少して心拍出量が低下するため、出血により、組織への酸素運搬量が不十分になると長い間考えられてきた。血液損失と血液量減少が起こると、強い代償メカニズムが始動する。自律神経系の、特に交感神経系の活性化の結果、脳と心臓の灌流を確保するための血流の集中が起こる。これらの臓器は酸素供給の中断に耐えられないからである。逆に、交感神経血管収縮は、皮膚や筋肉などの末梢臓器の灌流の減少を導く。それら臓器は、低い組織酸素含量ではあるものの、実質的により低い血流でより長期間適応することができる。酸素の利用量は、各組織から出る静脈の酸素含量から推定可能である。具体的には、局所静脈系における酸素量は、その臓器への灌流の直接的な物差しを与える。
例えば、内頚静脈中の酸素量は脳灌流の指標であり、無名静脈酸素化は筋肉質量が大きい上部胸腔の指標である。
幾つかの実施形態では、他の臨床バリデーションプロトコルが、酸素飽和度の超音波ガイド光音響モニタリング用の装置及び方法の有効性を確立するために使われて、IJVなどの中央供給源とLIVなどの末梢組織を代表する供給源からの静脈酸素化をその微分勾配(中央組織マイナス末梢組織)と共に測定することで、出血の重症度とその代償的な生理的応答についての新規なデータを集められることが確認される(図12)。概念的には、血管収縮に起因して、末梢静脈酸素化は出血の重症度が増すにつれて急激に減少するが、中心静脈血酸素化は出血の後期まで維持される。従って、静脈酸素化勾配は代償期間中に増加するであろう。出血の重症度が更に増加すると、中央の血流が損なわれる。この時点で、IJVの飽和度が低下して、勾配が疑似正常化する。実際の値は、LBNP中のヒト被験者で試験される。
図12は、酸素飽和度の超音波ガイド光音響モニタリングの装置及び方法の有効性を決確立するのに用いられる臨床バリデーションプロトコルの一例を示す。インストルメンテーション及びベースライン後、30分かけて徐々にLBNPが誘発され、その後除かれる。連続的血行力学的測定、酸素化測定[ヘモキシメトリーと光音響]、心エコー検査が実施されるであろう。
装置、手順、及び測定:具体的には、ヒト試験の日に、被験者が特殊なマットレス上に仰向けにされて、下半身が、腸骨稜にて下半身陰圧チャンバー内部に密閉する。18ゲージの末梢i.v.カテーテルが、手又は腕の静脈に入れられる。20ゲージの血管カテーテルが橈骨動脈に入れられて、動脈酸素SaOと血圧が測定され。アレン試験の後で、橈側側副及び下尺側側副の流れが確保される。カテーテルは無菌で配置され、所定の場所にテープで保持される。無菌プレップ(prep)及びドレープと局所麻酔の浸潤の後に、超音波ガイド下で、胸鎖乳突筋の外側縁を介して左内頚静脈に、酸素測定肺動脈(「PA」)カテーテル(プレセップ エドワーズライフサイエンス、アービン、CA)が配置される。肺動脈への配置の確認は、バルーンを膨らませた場合に、右心室波形の進行、続いて肺波形の進行により、最後に閉塞圧[PAOP]波形により行われる。PAOP波形の確認後、PAカテーテルは、例えば縫合糸により固定される。熱希釈心拍出量(COTD)が行われて、その曲線が右心室噴出パターンを持つことが確認される。全てのカテーテルは、プロトコルを通じて、加圧バッグに収められた滅菌生理食塩水を用いて開存したままにされる。
幾つかの実施形態では、プロトコル全体を通して、変数が連続的に測定され、当該変数には、動脈ラインによる侵襲的平均動脈圧(MAP)、末梢静脈圧(PVP)、心電図(ECG;ジェネラル ヘルス ケア)で測定された心拍数(HR)、中心静脈圧(CVP)、肺動脈圧(PAP)、酸素測定肺動脈飽和度(S)、及び血液温度の一種以上が含まれる。超音波が用いられて、光音響測定のために標的血管により効率的に近づくために、部位をマークして、標的静脈の、例えばIJVやLIVの境界を明確にする。要するに、光音響プローブが胸骨切痕に配置されて、上述のように、無名静脈SLIVが測定される。内頚静脈飽和度(SIJV)を測定するために、もう一つのプローブが胸鎖乳突筋の外側縁に置かれる。心エコー検査とヘモキシメトリーは、図12にした時点で行われる。
T-30:ベースライン:LBNPの30分前(T-30)に、ベースラインデータが記録される。ベースラインデータは、HR、温度、MAP、酸素測定S、CVP、COTD及びSを含む。PAカテーテル注入ポート[LIVO sat]と橈骨動脈[SaO]からの血液サンプル(夫々1mL)が、COオキシメトリ(インストルメンタルラボラトリーズ、オレンジバーグ、NY)により測定される。心エコー検査により収縮機能と拡張機能が測定される。光音響測定(SLIVとSIJV)が実施される。
T0:LBNP:体の中央から下部領域への血液量の漸進的な再分布を積極的にもたらし、血液量の相対的な減少を引き起こし、低血圧状態を起こす。模擬出血への耐性は人により大きく変化する。測定は、充当された時点で行われる。T0では、LBNPを用いて、被験者が段階的な模擬出血に曝される。密閉したLBNPチャンバーには真空モーターが連結されており、これが作動すると血液の再分布と下肢への集中を漸進的に引き起こす。5分ごとに真空度を10mmHg増加させることで、被験者は陰圧強度の漸進的ステージを受ける。従って、最初のLBNPステージ(T0)は-20mmHgで始まり、T5ではLBNPが-30mmHgまで進み、T30ではLBNPが-80mmHgまで進む。以下が起こると、このLBNP試験は終了する。1)被験者が、-80mmHgでの5分間を完了する(T35にて);2)血行力学的代償障害、例えば、75mmHg未満の収縮期血圧、収縮期BPの大幅な低下(5分間で>15mmHg)、又は奇異性徐脈(paradoxical bradycardia);3)生理学的な代償障害、例えば、意識朦朧又は錯乱(失神性めまい)の症状又は視覚異常(黒くらみ、トンネル視又は色の損失)、発汗、吐気やめまい。文献によると、50%の被験者が-60mmHgのLBNPを耐えることができない。
全ての被験者は、心臓血管の変化を連続的にモニタリングされて、不快なことを述べるように促される。LBNPの解除により、溜まった血液が循環して速やかな回復が起こる。LBNP間とLBNP後に心臓血管パラメーターのモニタリングを行う。安全のために、被験者は、解放される前にさらなる期間、例えば更に30分間、観察される。
回復[R0]:LBNPを中止した時点と定義され、代償障害又は非耐性の時点、或いはT35(-80mmHgで5分間)の時点である。測定は、R10(10分間の回復)とR20(20分間の回復)[最終測定]でも行われる。
解放:D0で全ての管が取り除かれ、D30で被験者が解放される。
血行力学測定は、解放までに、例えば、T-60、T-30、T0、T5、T10、T15、T20、T25、T30、R0、R10やR20などの時点で行われる。
動脈圧と静脈圧:連続的な心拍ごとの動脈圧が、橈骨動脈内のカテーテルを通して侵襲的に記録される。平均動脈圧(MAP)が計算されて記録される。動脈圧は、動脈内カテーテルトランスデューサーにより1000Hzでデジタルで表示されて記録される。パワーラブ(Powerlab)ソフトウェアで事象の時刻が通知及び記録される。動脈カテーテルも用いられて、特定の時点で動脈酸素(SaO)が測定される。同様に、トランスデューサーが用いられて、プレセップ(Pre-Sep)カテーテルからCVPが連続的に測定される。
心電図検査(ECG-心拍数):通常臨床用3本リードECGが、試験手順中に被験者の胸の上に置かれる。
温度:中心部血液の温度は、プレセップカテーテルから得られる。
パルスオキシメトリ:連続パルスオキシメトリ(SpO)、灌流の指標(PVIとPI)、及び非侵襲的Hgbは、連続的に測定される。これらの測定値は、動脈血飽和度と灌流を与える。
心拍出量(CO):PAカテーテルからの熱稀釈法(近位ポートへと生理食塩水を注入して遠位ポートから温度分布を読む)により測定される。測定値を用いて全身血管抵抗(systemic vascular resistance)(SVR:dynes.sec.cm-5)を次のように算出する:
SVR=[MAP-CVP]/COx80
酸素運搬量(DO)は、CO、Hgb及SOから、次のように計算される。
DO=COxHgbx1.3xSO
心エコー検査による心室の体積及び機能は、様々なLBNPステージにおける、そしてLBNPの停止直後の前負荷の独立した尺度を提供する。幾つかの実施形態では、この試験の適格性には、2心室心尖部像において良好な心臓のイメージングを立証することが含まれる。ボランティアが若くて心疾患がなく、局所壁運動異常がない場合、心室容積の測定に変形シンプソン則を用いると、2心室心尖部像から定量的で信頼できる情報が得られるであろうと考えられる。拡張終末期容積(EDV)と収縮終末期容積(ESV)の測定は、トランスデューサーと超音波システムで実施される。ある実施形態においては、ある3.5MHzトランスデューサー超音波システム(Vivid 7 PRO BT04、GEメディカルシステムズ、ミルウォーキー、WI)が、超音波位置データを提供する。左心室(LV)の面積と長さは胸骨傍LVの長軸から得られ、容積の計算に用いられる。幾つかの実施形態では、変形シンプソン則が、EDV、ESV、拍出量(SV)、及び駆出率(EF%)の計算に適用される。測定は、全ての特定した時点で行われる。
動脈及び静脈酸素化のCOオキシメトリ:幾つかの実施形態では、血液は、T-30、T0、T10、T20、T30、R0、及びR20を含む時点で、動脈カテーテル(SaO)及び静脈カテーテル(S)から採取され、COオキシメータを用いて測定される。幾つかの実施形態では、ある体積の、例えば1mLの血液が、トランスデューサーに連結された動脈カテーテルと静脈カテーテルから取り出される。
静脈飽和度の非侵襲的光音響測定:表面超音波を用いて位置をマッピングした後、光音響プローブが左胸骨切痕の外側縁に配置されて、SLIVが測定される。SIJVを測定するために、第2の光音響プローブが左下前頸三角上に配置される。上述の各時点(図12)で、75秒の窓にわたって生成された信号の平均値が求められる。各測定セットの平均値±SDが、静脈ヘモキシメトリーサンプル値と比較される。SLIVとSIJVと勾配も、出血重症度と代償応答の推定に用いられる。
統計的考察とデータ解析:統計分析が行われる。平均値や平均値の標準誤差の分析などに記述統計が用いられる。回帰分析が、光音響測定法対ヘモキシメトリーで行われる。従属変数の分析は、測定/計算された生理学的変数の各々へのLBNPの影響、例えば、常圧へのLBNP中における測定量の変化と、許容誤差、例えば、LBNP offとして決定される。使用する分析には、独立のステューデントt検定(即ち、「LBNP」対「noLBNP」)と2元配置分散分析(ANOVA;即ち、異なる時点での「LIV」対「IJV」の比較)が含まれてよい。2元配置ANOVAにより相互作用が特定されると、適切な多重比較事後分析が行われる。全ての分析のαレベルは、P<0.05に設定されるであろう。
<実施例5>
<各LBNPステージ及び回復時点における同時ヘモキシメトリー由来SSVCとの光音響測定SLIVの相関>
幾つかの実施形態では、他の臨床バリデーションプロトコルが使われて、酸素飽和度の超音波ガイド光音響モニタリングの装置及び方法の有効性が確立される。ある実施形態においては、光音響的方法が適用されて、線形回帰(光音響SLIV(Y-軸)対ヘモキシメトリーSSVC飽和度(X-軸))を用いて、様々な時点でのデータセットが比較される。ブランド-アルトマンアプローチが行われてもよい。ヒト臨床バリデーションプロトコルでは、非常に良い相関が臨床的に示される。幾つかの試験では、目標の下半身陰圧(「LBNP」)ステージは、-80mmHgを目指しているが、これは、90%の被験者に、失神性めまいやかなりの低血圧を引き起こさせ、著しい中心静脈の脱飽和(値<50%)を起こすと考えられる。感度、特異性、及び陽性反応適中度(positive predictive value)の値が得られる。特に、2つの測定法の差は僅かであると期待されると仮定すれば、これらの方法の比較試験に適切なサンプルサイズは決め難いが、LBNPは、様々なフェーズの間で静脈飽和度に大きな差をもたらすと考えられる。従って、必要なデータポイントが得られて、現実世界の状況のモデルとして、失神直前までの、個々の変動とベースラインに基づく広範な範囲がもたらされる。
<実施例6>
<静脈酸素化勾配を決定するためのSLIV及びSIJVの同時測定>
幾つかの実施形態では、他の臨床バリデーションプロトコルが使用されて、酸素飽和度の超音波ガイド光音響モニタリングの装置及び方法の有効性が確立されて、漸進的模擬出血中に起こる静脈酸素化の変化が速やかに測定される。下半身陰圧(「LBNP」)は、まず、末梢静脈酸素と中心静脈酸素化の間により大きな差(静脈酸素化勾配の増加)を生み出すと予期される。また、LBNPへの耐性の小さな被験者は、ベースラインでSLIVに対して小さなSIJVを有しており、LBNPの早期の段階でより速やかなSIJVの低下を示すと予期される。
心臓血管の応答は代謝変化よりも早いことが知られている。代償障害(例えば、低血圧症又は不正徐脈)が、LBNPにおいて急速に(数秒間)起こり得る。灌流が減少すると静脈酸素の脱飽和が起こる。このプロセスは数分間かかる。末梢抵抗の代償増加のため血圧は維持されるが、骨格筋(SLIVで示される可能性が高い)は低い酸素運搬量を持ち続け、それ故に、酸素負債が増加して低SLIVを引き起こす。従って、いつ代償障害期が起こるかは予測しがたいであろうが、SLIVは代償期間中に低下し続けるものと予期される(静脈酸素化勾配補助仮説(sub-hypothesis))。同様に、SIJVは、LBNPの間に低下しないが、回復(再灌流)後に低下することがある。
新規な非侵襲性光音響モニタリングシステムが提供され、ショックやTBIで変化する酸素化の重要な指標を測定する。また、臨床バリデーションプロトコルが提供され、酸素飽和度の超音波ガイド光音響モニタリングのための装置及び方法の有効性が確立される。幾つかの実施形態では、ヒト臨床試験が実施されて、SLIVの予測値を求めてショックが診断されて、不十分な蘇生や過蘇生が起こらないように蘇生治療が案内される。幾つかの実施形態では、SIJVの補助的な測定もなされ、これにより、:1)出血代償に関する新たな情報、2)TBI患者の重要な脳酸素化データが提供されてよい。幾つかの実施形態では、本明細書に開示される方法及び装置により与えられるSOデータは、以下を含む他の治療法と併せて使用される:陽性呼気終圧(「PEEP」)の最適化[S対SLIV];、生命維持に必要な流体の選択(例えば、輸血又は他の流体の必要性);酸素摂取ニーズの削減(麻痺流体、鎮静剤や麻酔剤の必要性に対する熱と震えの程度の検討);近位対遠位静脈酸素化を調整するための蘇生目的の大動脈内バルーン遮断(「REBOA」)の時間及び/又は位置。
<実施例7>
<プローブ動作モードと装置の実施例>
モード1:超音波ガイダンスと光音響測定の逐次的使用。この逐次的モードでは、まず、対象となる血管の位置を特定するのに超音波イメージング(又はドップラー測定)が実施される。中心静脈酸素のモニタリングのための最適な位置が特定されると、光音響プローブが作動して、特定された血管の酸素化測定を行う。この逐次的プローチは、視覚的であってよく、即ち、まず超音波画像により標的組織を視覚的に特定し、次に光音響プローブで光音響測定を行う。図13Aは、CABG患者で試験された光音響プローブを示す。
種々のタイプの超音波プローブに続けて光音響プローブを使うこともできる。実施例2に記載の試験では、GE Vividiシステムと併せて超音波イメージングプローブi12L-RS(GE)が、血管位置の特定に試用された。GE超音波イメージングプローブi12L-RSは、5~13MHzの広い周波数帯域を有する。成功裏に試用された他のU/Sプローブには、周波数が8MHzのドップラープローブIPP3と周波数が4MHzのドップラープローブVP4HSとが含まれるが、これら特定のU/Sプローブは、非限定的な例としてのみ挙げられている。
特別に設計されたホルダー(患者インターフェイス)が、この目的に使用されることが好ましい。超音波プローブはホルダーに挿入され、超音波処理の後にホルダーから取り出され、そして、光音響プローブがホルダーに挿入されて高解像度且つ高精度で血管を探る。このホルダー構造は、超音波プローブと光音響プローブの逐次使用を同じ組織部位で可能とする。光音響プローブの軸は超音波プローブの軸と一致してもよい。このモードを使用して、無名静脈や他の静脈の血液酸素化の超音波ガイド光音響モニタリングを行った。このモードとそれにより生成したデータは、実施例2に示した。
幾つかの実施形態では、超音波プローブと光音響プローブを連続して(又は繰り返して)使用するため、使い捨てアダプター又は患者インターフェイスが提供される。図13B~図13Dは、そのようなアダプターの使用例を示す。図13Bに示すように、アダプター50の構造は、超音波プローブと光音響プローブの逐次的な保持と挿入を患者の同一の位置で可能とする。まず図13Dに示すように、アダプター(50)へと収められた超音波プローブ(52)を用いて対象である血管を見つける。その血管が見けられて光音響プローブの最適位置が特定されると、アダプター(50)は、医療用接着剤又はテープを用いて最適位置にて患者皮膚に張り付けられる。次に図13Eに示すように、アダプターから超音波プローブが取り除かれ、光音響プローブ(54)がこのホルダーに挿入される。図13Cに示されるように、ホルダー(50)は、超音波プローブの形状に応じて、超音波プローブ(52)に似ており、これをしっかりと保持する大きさの空間(51)を有する。また図13Cに示されるように、ホルダー(50)はまた、光音響プローブの形状に応じて、光音響プローブに似ており、これをしっかりと保持する大きさの空間(53)を有する。例示の超音波プローブ(52)は、GE i12L-RS型の術中リニア型プローブ(ゼネラルエレクトリック、ミルウォーキー、WI)であり、傾斜した「杖(wand)」状のハンドル(56)を含んでいる。従って、図13Bと図13Cに示されるように、ホルダー(50)は、傾斜したレスト部(57)を含んでおり、当該レスト部は、使用するプローブの形状にホルダーをカスタマイズする。光音響プローブの軸は、ホルダーを用いる超音波プローブの軸に揃えられるので、光音響プローブがアダプター内に挿入されると、血管信号の光音響的検出は最適となる。処置後に、アダプターは廃棄可能である。
モード2:デュアルマウント超音波ガイド光音響測定装置。デュアルマウントモードでは、超音波プローブと光音響プローブの両方がホルダー内に設けられ、興味のある血管が内臓のU/Sプローブで特定されて位置が決まると、光音響プローブにより光音響測定が行われる。超音波イメージングと光音響測定はまた、同時に且つ連続的に実施できる。光音響プローブの軸が超音波プローブの軸に平行であってもよい。或いは、組織内の特定の深さから、特に、対象である血管の深さから正確な測定を行うために、光音響プローブの軸が超音波プローブの軸に対してある角度に調整されてよい。
図14A~図14Bは、組み合わされた超音波イメージングプローブと光音響モニタリングプローブを示す。超音波イメージングプローブ、具体的に図示されているのは、Vivide、i12L-RS(GE)U/Sプローブが、1つのケース(60)内で、小さな光音響プローブと組み合わされている。デュアル装置の要素が、図14Bに表示されており、超音波プローブ面(61)と、検出素子、大きな丸を有する光音響プローブ(62)と、光伝送用の光ファイバー(63)(小さな黒丸)とが示されている。この複合型プローブの下部(64)には窪みがあり、ここに、組織との音響的マッチング用の成形ゲルパッドを満たすことができる。
図15A~図15Cは、組み合わされた超音波イメージングプローブと光音響モニタリングプローブを示しており、ドップラー超音波システムが採用されて、光音響モニタリングと組み合わされている。図15Aに示す例では、示されている複合型装置の試作器は、更に光源と光音響トランスデューサーを加えることで、携帯型ドップラー超音波システム(モデルMD2 VP4HS(4MHzプローブ、ハントレイテクノロジー社)を光音響システムと組み合わせて構成されている。図15Bに示されるように、複合型プローブハウジング(70)の底部は、成形ゲルパッド(72)で覆われてよい。複合型プローブのケーシングは、例えば図示されたVP4HS(74)のような大きなドップラープローブの使用を可能とする。或いは、ペンシル状のプローブIPP3(図示せず)が使用されて、複合型プローブにしっかりと装着されてよい(図15C)。光音響トランスデューサーが穴(78)に挿入される。パルスレーザー光源も、穴(76)を介した光音響刺激のためにハウジングに装着されるであろう。この試作プローブを用いて、尺側皮静脈内の光音響信号と血液酸素化を、図15D~図15Eに示すように測定した。図15Dは、ドップラープローブで検出された後尺側皮静脈から記録された光音響信号を示す。尺側皮静脈酸素化の連続的な光音響モニタリングは、図15Eに示されている。平均血液酸素化とその標準偏差は、80.1%と1.9%であった。
図16A~図16Bは、デュアルマウント超音波ガイダンス光音響測定装置の2つの実施形態の側面図と斜視図を夫々示す。何れの場合も、ホルダー(70)は、超音波プローブ(74)、光源(76)及び光音響プローブ(78)をしっかりと組み込んでいる。光音響プローブ(78)は、プリント基板(79)や他の電子機器を含んでいてよい。光音響トランスデューサーの面は、フィルム(81)で、例えば5~15milのポリガード(polyguard)フィルムで保護されている。幾つかの実施形態では、このフィルムは10milである。患者の皮膚が比喩的に(80)として図示されており、超音波フィールド(88)による静脈(82)の調査の経路、光音響刺激光の経路(86)、光音響調査フィールド(84)が図示されている。図16Aでは、それらのプローブは同一平面内にあり、互いに特定の角度で配置されており、特定の深さからの光音響プロービングと、この深さから血液酸素化の正確な測定をもたらす。
図16Bは、デュアル超音波(又はドップラー)プローブと光音響プローブの別の実施形態を示す。これらのプローブは異なる平面内にあり、特定の角度で配置されており、特定の深さからの光音響プロービングと、この深さからの血液酸素の正確な測定とをもたらす。
図16Cは、デュアルマウント超音波ガイド光音響測定装置のある実施形態の斜視下面図であり、超音波プローブ(74)、光源(76)及ぶ光音響トランスデューサー(78)をしっかりと組み込んでいるホルダー(70)を示している。図示された例では、ホルダー(70)が中空の内部空間(90)を有しており、この中にプローブの内部構成要素が収まっている。幾つかの実施形態では、この中空の内部空間は、超音波センサーと光音響センサーの両方に接触する音響ゲルで満たされるように設計されている。
音響裏打ち材が、ホルダー内で光音響トランスデューサーの裏に配置されてよい。これは、センサーの裏打ち(圧力波の広帯域検出のため)をもたらし、センサーを通過する振動を吸収し、信号の不要なリンギングを防止し、リンギングノイズから信号の部分を分離する。幾つかの実施形態においては、アッテネーターは、プラスチック材料の、例えばエポキシ材料の塊を含む。
図17は、超音波プローブ(74)、光を通過させる繊維光ケーブル(92)、及び光音響プローブ(78)をしっかりと組み込むホルダー(70)を有する実施形態の設計図を示す。図示された実施形態には、空洞(90)を音響ゲルで充填し再充填するための充填チューブ(93)も含まれている。
モード3:超音波イメージングと光音響測定の両方が、同一の超音波検出器/アレイを用いて行われる。この共用モードでは、最初の超音波イメージングが超音波アレイを用いて行われる。次に、対象である血管に向けた光パルスが血管内に光音響波を生成させ、その光音響波が超音波アレイで検出される。光音響波検出器としての超音波イメージングプローブの共用利用(co-utilization)は、モニタリングのための超音波ガイドと、光源により組織(血管を含む)中に誘起された光音響波の検出との両方を提供する。まず、対象の血管が、標準的な超音波イメージングモードを用いて見つけられる。当該モードは、プローブで超音波を発生させ、それを組織に当てて組織からの超音波エコー信号を検出することに基づいている。血管が見つかると、光放射が組織に向けられる。組織中に生じた光音響波は超音波プローブまで伝搬し、超音波プローブの超音波感知検出器が組織からの光音響波を検出する。次に、光音響信号が超音波システムにより記録分析されて、酸素化が表示される。
これらモードの各々は利点も欠点も有しているが、これらは全て、特定の用途、血管の位置や形状に応じて超音波ガイド光音響モニタリングに使用できる。何れのモードが使用されても、幾つかの実施形態では、1~18MHzの周波数領域の超音波が、光音響により酸素飽和度の試験を行う血管の位置特定に使用される。他の実施形態では、周波数範囲が4~13MHzの超音波が、光音響により酸素飽和度の試験を行う血管の位置特定に使用される。幾つかの実施形態では、周波数が13MHz±1MHzの超音波が、光音響により酸素飽和度の試験を行う血管の位置特定に使用される。
本明細書では、用語「ドップラー」は、ドップラーが超音波を使用することから、超音波(U/S)と相互交換可能なように使用されていることに留意が必要である。医療イメージング分野では、「ドップラー」は「速度測定」と同義となっているが、本明細書ではドップラーが超音波と同義で用いられる。本明細書中で「ドップラー」という用語が用いられる場合、それは、U/Sプローブが、実際には必要のない速度測定能力を有するように具体的に構成されているからである。超音波イメージングシステムはまた、通常ドップラー能力を有しており、このため、これらのシステムは、超音波イメージングと組織中の血管内の速度測定の両方をもたらす。図15のドップラーシステムは、イメージングシステムでなく、そのプローブが血管に向けられている場合には、イメージのない音響信号を与える。従って、この音響信号を用いて、光音響プローブを最適な方向に、また体内の最適な位置に向けることができる。所望により、イメージングが用いられてよい。
酸素化測定に適切な波長をもつ多くの光源が、本光音響システムで使用可能である。その例としては、光学パラメトリック発振器(OPO)、レーザーダイオード、発光ダイオード(LED)、色素レーザー、固体レーザー(例えば、Nd:YAGレーザーやアレクサンドライトレーザー)が挙げられるが。これらに限定されない。幾つかの実施形態では、光源は、1個以上のレーザーダイオード又は発光ダイオードを含んでよい。本モニターの光源が、エネルギーが1μJ~1mJである光を発するようにしてもよい。モニターの光源は、波長が、685~715nm、715~745nm、745~775nm、790~820nm、及び845~875nmの2つ以上の範囲にある波長を有する光を、例えば700nm、730nm、760nm、800nm、805nm、又は860nmの2つ以上の波長を光を発するように構成されてよい。光源からの光は、例えば1本以上の光ファイバーを含むケーブルにより伝送され、当該ケーブルは、光源により生成された光をプローブヘッドの光出口に導く。
本光音響システムでは多くの音響検出器が使用可能であり、その例には、限定されることなく、ピエゾポリマーやピエゾセラミックなどのピエゾ材料によるピエゾ検出器や、容量式微細加工超音波トランスデューサー(CMUT)、干渉検出器などの光学式超音波検出器、光学ビーム偏向検出器、感圧性光学素子が挙げられる。幾つかの実施形態では、この音響検出器に更に、音響トランスデューサー用の増幅器は含まれてよい。プローブヘッドは更に、音響センサーや増幅器を電磁障害から保護するための電磁シールドを含まれてよい。プローブヘッドに更に、プローブヘッド内の不要なリンギングを吸収するための音響型アッテネーターは含まれてよい。
幾つかの実施形態においては、音響検出器は、ピエゾトランスデューサーを含んでおり、当該ピエゾトランスデューサーは、熱電効果を利用して、圧力変化、加速度、ひずみ、又は力を測定して、それら電気信号へ変換する。センサーは、スペーサー部品により電磁シールドから隔てられていてよく、スペーサー部品は、高分子材料、例えばポリアミドから作られていてよい。幾つかの実施形態においては、スペーサー部品は、約0.005乃至5mmの厚さを有する。
音響センサーにより生成した電気信号は、1本以上の電線を経由してプリント基板(「PCB」)に伝えられる。PCBは、当該センサーから受信した信号を増幅して、他の電線に沿ってシステムのモニター又はコンピューターに伝送するプリアンプを有している。プリアンプは、約500kHzで約40dBのゲインを与え、約40kHz乃至約10MHzの範囲内で約3dBのバンド幅を有するように構成されてよい。PCBは更に、音響センサーで検出された音響信号をデジタル化するデジタイザを含んでいてもよい。例えば、デジタイザは、上述のようにプローブに連結されたレーザーダイオードサブシステムからのトリガー信号に応答して、少なくとも約20MHzでプリアンプからの音響信号をサンプリングするように構成されてよい。デジタイザは、例えば約1000サンプルの音響信号を保存し、サンプルの波形平均のために、サンプルのこのブロックをコンソールユニットのプロセッサーに転送してよく、当該プロセッサーは、光音響プローブに連結されており、光音響プローブの動作を制御する。音響裏打ち材が音響センサーの裏に配置されてよい。これは、センサーの裏打ち(圧力波の高帯域検出のため)となり、センサーを伝わる振動を吸収して信号中の不要なリンギングを防止し、リンギングノイズから信号の一部を分離させる。幾つかの実施形態においては、アッテネーターがエポキシの塊を含む。プローブの内部構成要素が収まっている中空の内部空間は、実質的に円筒形であって、直径が約8乃至約10mmの範囲で、高さが約10mmであってよい。
プローブは、使用中に容易に洗浄や滅菌ができない領域を、例えばハウジングの外側表面の溝やポケットを減らすように設計されてよい。代替的又は付加的に、プローブは、使用中にプローブを洗浄し滅菌する必要性を減らすために、ハウジングに被せる使い捨てカバーを有していてよい。プローブは、その構成要素が滅菌のための殺菌溶液への浸漬に耐えるように構成されていることが好ましい。
図4Cでは、光音響プローブは、厚さが2mmで面積が3x3mmのピエゾセラミックチタン酸ジルコン酸鉛(Pb[Zr(X)Ti(1-X)]O)(「PZT」)を使用している。
図9Aと図9Bでは、光音響プローブが、厚さが110μmで面積が4x6mmのピエゾポリマーポリフッ化ビニリデン(「PVDF」)を使用している。特別に設計されたミニチュアプリアンプが、プローブに内蔵されており、バンド幅は(-3dBレベルで)40kHz<f<10MHzである。
図13Aでは、光音響プローブは、プリアンプを伴っており、厚さが110μmで直径が6mmのPVDFを使用している。
図13Eでは、光音響プローブは、プリアンプを伴っており、厚さが52μmで面積が2x3mmのPVDFを使用している。
図14Aと図14Bでは、光音響プローブは、厚さが110μmで直径が7mmのPVDFを使用している。
図15A~図15Cでは、光音響プローブは、厚さが110μmで直径が8mmのPVDFを使用している。プローブは小さな卵型ホルダーに組み込まれており、ドップラーU/Sプローブ(ハントレイ)と結合されている。
幾つかの実施形態では、光音響システムは、コンソールユニットと手持ち型のプローブとを含んでいる。幾つかの実施形態では、コンソールユニットは、コントローラ、プロセッサー、フォトダイオードアレイ、音響処理サブシステム、及び冷却サブシステムを含んでいる。プローブは、光源からの光信号を、例えば光学パラメトリック発振器(OPO)、レーザーダイオード、発光ダイオード(LED)、パルスレーザーダイオード、色素レーザー、又は固体レーザー(例えば、Nd:YAGレーザー、アレクサンドライトレーザー)からの光信号を患者組織に向ける。プローブは更に、向けられた光信号に応答して生成された音響信号を受信する音響トランスデューサーを有する。
プロセッサーは、測定された音響圧力に応答して被験者の酸素化を決定するように構成されてよい。プログラムは、検出方法の1又は複数のステップを与えるようにプログラムされており、当該プログラムは、コンピューター可読メモリーに格納されたプログラム命令、又はロジック回路(例えばプログラマブルアレイ又はフィールドでプログラム可能なゲートアレイ)にプログラムされたステップを含んでいてもよい。酸素飽和度の測定のために、信号が良好な場合(即ち、バックグラウンドが低い場合)、式が適用されて酸素化が測定される。理論的には、酸化ヘモグロビンと脱酸化ヘモグロビンの吸収が異なる任意の波長が、酸素化を測定するために使用できる。酸素化を測定するために少なくとも2つの波長が用いられる。幾つかの実施形態では、3波長アプローチが利用される(760、800、及び850nm)。
幾つかの実施形態では、760nmと800nmの波長が用いられる。この組合せは好ましい。何故ならば、760nmでは酸化ヘモグロビンと脱酸化ヘモグロビンの吸収スペクトルに大きな差がある一方で、800nmは、酸化ヘモグロビンと脱酸化ヘモグロビンが同じ吸収を示し(等吸収点)、参照点となるからである。
幾つかの実施形態では、一対の波長は1064nmと800nmである。これは、1064nmで酸化ヘモグロビンと脱酸化ヘモグロビンの吸収に大きな差があるためである。更に他の実施形態では、760nmと1064nmが使われる。これは、両波長で、酸化ヘモグロビンと脱酸化ヘモグロビンの吸収に大きな差があるためである。
波長が異なる光信号での血液酸素を決めるための例示式を下に示す。式中、Rは、760nmと800nmでの光音響振幅の比である(R=A760/A800)。この計算式は、酸化ヘモグロビンと脱酸化ヘモグロビンの既知のスペクトルに由来するもので、1.54と0.76は式中の定数である。
760nm:SO=1.54-0.76・R→R=2.02-1.31SO
850nm:SO=-2.42+2.66・R→R=0.91+0.38SO
一般に、任意の波長について:R=a+b・SO
例えば、信号の差を生みだすために1.0を入れると、以下のようになる:
Figure 0007009689000002
差分信号D760=A760-A800は、次の式で表される:
Figure 0007009689000003
従って、一般に、任意の波長について、下の式(式1)が適用される:
Figure 0007009689000004
第3の波長(例えば850nm)が、以下の式(式2)に従ってA800を除くために導入される:
Figure 0007009689000005
800を除くために、次のように式1を式2で割る:
Figure 0007009689000006
毛髪又は皮膚メラニンからの高いバックグラウンドを有する(悪い又は良い)信号を用いても、SOの上記最後の計算式は、酸素量の決定に使用できる。従って、幾つかの実施形態では、1つ、2つ、3つ以上の波長の光信号又は2つ以上の波長の組合せの光信号は、高バックグラウンド条件でも、光音響的酸素化測定に使用できる。上記の波長は例に過ぎず、上述のように他の波長の使用も考えられる。種々の式や計算式の上記の係数は単に例であって、上記の式や計算式に他の係数の使用も考えられる。
コンソールは更に、光学的サブシステムや音響センサーサブシステム、プロセッサーに連結する電源を備えていてよい。コンソールは更に、プロセッサーに連結したディスプレイを備えており、利用者に酸素化測定値を表示してよい。ディスプレイは、コンソールを操作するためのタッチスクリーンを備えてよい。コンソールは更に、上記レーザーダイオードサブシステムや音響センサーサブシステム、プロセッサーを収めるハウジングを備えてよい。本コンソールは更に、コンソールの冷却のための第2の冷却ファンを備えており、これが上記プロセッサー又は音響センサーサブシステムの1又は複数に繋がっていてよい。プロセッサーは、被験者の医療記録にアクセス可能であってよい。
コンソールは更に、光源用の、例えばレーザーダイオードサブシステム用の出力ポートや音響センサーサブシステム用の入力ポートを備えていてよい。出力ポート及び入力ポートは、センサーモジュール又は光音響プローブに連結されてよく、1又は複数の光パルスを被験者の組織に照射し、組織中に生成する音響圧力を受信する。出力ポート及び入力ポートは、1又は複数本の光ファイバーを含むケーブルでセンサーモジュール又は光音響プローブに結合するように構成されてよい。
冷却サブシステムは、温度コントローラを含んでおり、当該温度コントローラは、光源の温度を測定するための温度センサーと、測定温度に応答して光源の温度を調整するために熱を付加又は除去する第1の熱電冷却器を含んでいてもよい。
本明細書に記載の全ての刊行物、特許、及び特許出願は、参照により、それらの全てが記載されたものとして本明細書に組み込まれる。本発明は、説明のための実施形態を参照しながら説明されたが、この説明は、限定することを意図するものではない。本明細書を参照すれば、説明のための実施形態の様々な変更や組合せと本発明の他の実施形態とが当業者には明らかであろう。従って、添付の特許請求の範囲はそのような変更や改善を含むことを意図している。

Claims (14)

  1. 血液酸素化の超音波ガイド光音響測定の方法であって、
    最初に、超音波プローブを用いて、第1の血管をモニタリングする部位を特定する工程と、
    次に、前記特定された部位に光音響刺激を生成するための光源及び光音響プローブを非侵襲的に使用して、前記第1の血管により運ばれる静脈血における血液酸素化を前記光源及び前記光音響プローブを用いて定量的に決定する工程と、
    前記特定された部位にて前記第1の血管により運ばれる静脈血における定量的に決定された血液酸素化に基づいて、前記第2の血管における血液酸素化を決定する工程と、
    を含む方法。
  2. 前記特定された部位での前記第1の血管が、無名静脈、内頚静脈、鎖骨下静脈、及び大腿静脈から選ばれる、請求項1に記載の方法。
  3. 患者インターフェイスを用いて前記部位の位置が決められ、前記患者インターフェイスを介して、最初に、前記超音波プローブが前記第1の血管の位置を決めるために着脱自在に適用され、次に、前記超音波プローブが取り除かれて、前記光源によって光音響刺激が与えられ、前記光音響プローブを用いて測定が実行される、請求項1及び2の何れかに記載の方法。
  4. 前記超音波プローブ、前記光源及び前記光音響プローブは共にホルダーに収められており、対象である前記第1の血管の位置が前記超音波プローブを用いて決められると、前記光源によって光音響刺激が与えられ、前記光音響プローブを用いて測定が実行される、請求項1及び2の何れかに記載の方法。
  5. 超音波位置決定と光音響測定が同時に且つ連続的に行われる、請求項4に記載の方法。
  6. 前記光源によって生成された光音響刺激の軸は前記超音波プローブの軸に平行である、請求項4に記載の方法。
  7. 前記光源によって生成された光音響刺激の軸が前記超音波プローブの軸に対して斜めに調整されており、前記血管内における特定の深さから正確な測定がもたらされる、請求項4に記載の方法。
  8. 光音響刺激が、760nmと800nm;1064nmと800nm;760nmと1064nmから選ばれる少なくとも1対の波長を有する光である、請求項1及び2の何れかに記載の方法。
  9. 前記第2の血管は中央静脈である、請求項1に記載の方法。
  10. 血管における血液酸素化の非侵襲的超音波ガイド光音響測定及び定量的決定のため装置であって、
    超音波プローブと、光音響プローブと、光音響波を生成する光源とをしっかりと同時に患者の部位にて保持するハウジングを備えており、
    前記超音波プローブは主たる静脈を検出可能であり、前記光音響プローブが検出された主たる静脈における血液酸素化を定量的に決定可能であり、
    前記ハウジングは、前記超音波プローブの軸と前記光音響プローブの軸を互いに対して斜めに向け、
    前記主たる静脈は、上矢状静脈洞、左無名静脈、鎖骨下静脈、及び大腿静脈から選択される、
    装置。
  11. 前記ハウジングは更に、前記超音波プローブの面と前記光音響プローブの面を患者の皮膚に直接媒介する音響ゲルを保持するように構成されたゲルキャビティを備えている、請求項10に記載の装置。
  12. 前記ゲルキャビティの充填及び維持を可能とするゲル充填チューブを備えている、請求項11に記載の装置。
  13. 前記光源は、光学パラメトリック発振器(OPO)、レーザーダイオード、発光ダイオード(LED)、パルスレーザーダイオード、色素レーザー、又は固体レーザーから選ばれる、請求項10乃至12の何れかに記載の装置。
  14. 前記光音響プローブは、ピエゾポリマーとピエゾセラミックから選ばれるピエゾ物質を用いたピエゾ検出器と、容量式微細加工超音波トランスデューサー(CMUT)と、及び干渉検出器、光学ビーム偏向検出器、又は感圧性光学素子を含む光学系超音波検出器とを含んでいる、請求項10乃至12の何れかに記載の装置。
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Andrey Petrov et al.,"Optoacoustic monitoring of central and peripheral venous oxygenation during simulated hemorrhage",Photons Plus Ultrasound: Imaging and Sensing 2014,米国,SPIE,2014年03月03日,Vol. 8943,pp. 894336-1~894336-6,https://doi.org/10.1117/12.2045358
Irene Y. Petrov et al.,"Optoacoustic measurement of central venous oxygenation for assessment of circulatory shock: clinical study in cardiac surgery patients",Photons Plus Ultrasound: Imaging and Sensing 2014,米国,SPIE,2014年03月03日,Vol. 8943,pp. 89430Y-1~89430Y-5,https://doi.org/10.1117/12.2045356

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