JP7006509B2 - 直流変換器の制御装置 - Google Patents

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本発明は、直流系統の端子に連系された端子変換器の制御モードを決定する直流変換器の制御装置に関する。
交流系統に対して電力損失が少なく、効率的に電力を輸送することが可能な直流系統が注目されている。直流系統は、直流ケーブルと、直流ケーブルの端子に連系する少なくとも1台の端子変換器と、直流ケーブルの任意の場所に連系する負荷設備及び発電設備等から構成される。
ここで、端子変換器としては、隣接する他の電圧階級の直流系統、直流負荷設備、直流発電設備との間で電力を相互融通するDC/DC変換器(直流直流変換器)、または隣接する交流系統、交流負荷設備、交流発電設備との間で電力を相互融通するAC/DC変換器(交流直流変換器)が挙げられる。
各端子変換器は、直流系統内の電圧を適正に維持するとともに、直流系統に出入りする電流値の総和がゼロとなるように、すなわち電力の需給バランスが維持されるように出力電流を制御するが、基本的には電圧一定制御とするか電流一定制御とするか、いずれかに分けられる。
電圧一定制御の端子変換器では、直流系統との連系点電圧が与えられた目標電圧と合致するように出力電圧を制御する。電圧一定制御での電流は、直流系統内の他の端子変換器の出力電流の総和に正負符号を反転した電流値が成行きで出力される。また、電流一定制御の端子変換器では、与えられた目標電流と合致するように出力電流を制御する。
一般的には、1台の端子変換器が電圧一定制御、他の端子変換器が電流一定制御となる。従来、各端子変換器を電圧一定制御とするか電流一定制御とするかの設定方法について開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
特許文献1では、複数の端子変換器のうち、直流系統へ電流を流し込む送電電力が最大の順変換器(交流から直流方向へ変換する変換器)、又は直流系統から電流を取り出す受電電力が最小の逆変換器(直流から交流方向へ変換する変換器)を電圧一定制御している。電圧を所定値に維持する制御を行って直流系統内の電圧を維持する役割を担い、他の端子変換器が電流一定制御を行うことによって、電力融通の負担が電圧一定制御を行う端子変換器に集中することを回避している。
また、特許文献2では、電圧一定制御の端子変換器が故障した場合には、容量の大きい順に電圧一定制御とする端子変換器を決定する方式となっている。このように、直流電圧一定制御とする端子変換器は、基本的には容量の大小によって選定するのが従来の代表的な方式である。
これは、直流系統内に出入りする電流の総和がゼロでなくなり、電力不足、電力余剰が生じた際には、電流一定制御の端子変換器が出力を変化させて吸収するまでの制御遅れの間は、電圧一定制御の端子変換器が一時的に全ての電力不足、電力余剰を負担する。このため、可能な限り出力に余裕のある端子変換器を電圧一定制御に選定したほうが、変換器の過負荷出力になる危険性が低くなり、直流系統の安定性が向上するためである。
また、非特許文献1では、電圧一定制御とする端子変換器の出力電圧を固定とせず、図20のような、目標電圧の上限電圧及び下限電圧の近傍では変換器定格電流が増大しない(他の領域では線形性がある)V-I特性(電圧-電流特性)を設定し、自身の出力電流に応じた出力電圧値を決定する方式が提案されている。
直流系統内では、オームの法則V=I×R(Vは2点間の電圧差、Iは2点間に流れる電流、Rは2点間の直流ケーブルの抵抗値)にしたがい、電流の流れる方向に系統電圧が下がる。したがって、一般には、端子変換器からの出力電流が、直流系統へ電流を流し込む順方向(図20での正方向)の場合では、端子変換器から見て電圧は徐々に下がっていくことが予想されるため、目標電圧は高めに設定する。逆に主力電流が電流を取り出す逆方向(図20での負方向)の場合では、端子変換器から見て電圧は徐々に上がっていくことが予想されるため、目標電圧は低めに設定する。
特開昭60-241716 特開平7-131936
W.Wang, M.Barnes, O.Marfanovic, "Droop Control Modelling and Analysis of Multi-terminal VSC-HVDC for Offshore Wind Farms", AC and DC Power Transmission (ACDC 2012) 10th IET International Conference on IET, 2012,pp.1-6.
変換する電力の大きさ又は変換器容量だけで電圧一定制御とする端子変換器を選定すると、直流系統内で消費される電力損失が最小とはならない。
すわなち、直流系統内で発生する電力損失は、主に端子変換器で電力変換する際に生じる変換器損失と、直流ケーブルに電流が流れることで生じる線路損失とからなるが、いずれも概ね電流の二乗に比例する。
ここで、通常、電流一定制御の各端子変換器から直流系統に電流を流し込む送電電流、又は電流を取り出す受電電流の大きさは、各端子変換器が送電・受電しようとしている電力によって決定される。直流系統では、電力=電圧×電流と定義される。このため、直流系統の電圧を全般に高く維持する、端子変換器、直流ケーブルに流れる電流は小さくて済み、したがって電力損失も小さくすることができる。
しかしながら、電圧一定制御の端子変換器電圧の目標電圧を固定にすると、直流系統内の電流分布がどのように変化しても、電圧分布が常に規程の上下限内に収まるように目標電圧を設定するため、常に高めに維持することはできない。
また、図20のようなV-I特性を用いて制御するにしろ、直流系統に繋がる端子変換器が3台以上となり、電流分布が多様化する多端子直流系統では、電圧一定制御の出力電流が同じであっても、直流系統内の電流・電圧分布が一意に決定できない。
図22及び図23は、直流系統における端子変換器の出力電流と直流系統の電圧分布を示す図である。例えば、図21のような4端子からなる直流系統において、図22及び図23のように、端子変換器aが電圧一定制御、他の端子変換器bから端子変換器dが電流一定制御である場合を考える。図22及び図23ともに、端子変換器aの出力電流は900Aである。図22では端子変換器aの出力電圧をV1にすると、電流は最小となるが、V2にすると同じ電力を送電するために直流系統の電流は多くなり、変換器損失や線路損失は増える。一方、図23では、端子変換器aの出力電圧をV1にすると、端子変換器dで上限電圧を逸脱するため、出力電圧をV2にする必要がある。両ケースで電圧逸脱が発生しないようにするためには、端子変換器の出力電圧はV2にする必要がある。その結果、V-I特性を用いても、常に電圧を高めに維持し、電力損失を低減することはできない。
本発明の直流変換器の制御装置は、直流系統内の直流ケーブルの端子に連系した複数の端子変換器の出力電流を取得する取得部と、時間断面毎に端子変換器毎に想定される出力電流の組合せパターンを設定する出力電流想定部と、直流ケーブルの区間毎に通過電流の分布を計算する電流分布計算部と、組合せパターン毎に分布から区間毎に上昇又は降下の電圧差を計算する電圧差計算部と、組合せパターン毎に電圧差から最も電圧が高い最高地点を抽出して最高地点の電圧が直流系統の上限電圧に一致するように直流系統の電圧分布を決定する電圧分布決定部と、全ての組合せパターンの電圧分布から端子変換器毎に電圧値の分散を計算する電圧分散計算部と、分散の値を用いて電圧一定制御とする端子変換器を一つ決定する電圧一定制御決定部と、電圧一定制御決定部が決定した端子変換器に目標電圧で運転するように配信し、残りの端子変換器に電流一定で運転するように配信する目標電圧配信部とを備えたことを特徴とする直流変換器の制御装置である。
また、本発明の直流変換器の制御装置は、直流系統内の直流ケーブルの端子に連系した複数の端子変換器の出力電流を取得する取得部と、時間断面毎に端子変換器毎に想定される出力電流の組合せパターンを設定する出力電流想定部と、直流ケーブルの区間毎に通過電流の分布を計算する電流分布計算部と、組合せパターン毎に分布から区間毎に上昇又は降下の電圧差を計算する電圧差計算部と、組合せパターン毎に電圧差から最も電圧が高い最高地点を抽出して最高地点の電圧が直流系統の上限電圧に一致するように直流系統の電圧分布を決定する電圧分布決定部と、全ての組合せパターンの電圧分布から端子変換器毎に電圧値の分散を計算する電圧分散計算部と、分散の値を用いて電圧一定制御とする端子変換器を一つ決定する電圧一定制御決定部と、組合せパターン毎の電圧分布における当該端子変換器の連系点電圧と想定した当該端子変換器の出力電流との組合せからV-I特性を決定するV-I特性決定部と、当該端子変換器の出力電流に応じてV-I特性から求めた目標電圧を配信するV-I特性配信部とを備えたことを特徴とする直流変換器の制御装置である。
本発明の直流変換器の制御装置によれば、直流系統内の電圧分布を高めに維持することができる。
実施の形態1に係る直流変換器の制御装置とその周辺の構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係るデータ取得処理フローの動作の一例を示すフローチャートである。 実施の形態1に係る出力実績DBのデータ構造の例を示す図である。 実施の形態1に係る電圧一定制御変換器決定処理フローの動作の一例を示すフローチャートである。 実施の形態1に係る組合せパターン毎に端子変換器の想定電流の例を示す図である。 実施の形態1に係る系統設備DBのデータ構造の例を示す図である。 実施の形態1に電流分布計算部の計算結果の例を示す図である。 実施の形態1に係る電圧差計算部の計算結果の例を示す図である。 実施の形態1に係る電圧分布決定部の計算結果の例を示す図である。 実施の形態1に係るステップS208の計算結果の例を示す図である。 実施の形態1に係る電圧分散算出結果の例を示す図である。 実施の形態1に係る電圧分布決定結果の例を示す図である。 実施の形態2に係る直流変換器の制御装置とその周辺の構成を示すブロック図である。 実施の形態2に係る電圧一定制御変換器決定処理フローの動作の一例を示すフローチャートである。 実施の形態2に係る電圧分布計算と電流尤度計算の結果の例の例を示す図である。 実施の形態3に係る直流変換器の制御装置とその周辺の構成を示すブロック図である。 実施の形態3に係る電圧一定制御変換器決定処理フローの動作の一例を示すフローチャートである。 実施の形態3に係る端子変換器毎に設定された電流と電圧の組合せの例を示す図である。 実施の形態3に係る想定電流と連系点電圧の組合せとV-I特性の例を示すイメージ図である。 V-I特性の一例を示す図である。 直流系統の一例を示す図である。 端子変換器の出力電流と直流系統の電圧分布を示す一例の図である。 端子変換器の出力電流と直流系統の電圧分布を示す一例の図である。
実施の形態1.
<構成>
図1は、実施の形態1に係る直流変換器の制御装置2とその周辺の構成の一例を示すブロック図である。監視制御対象となる直流系統において、直流ケーブル1には他の交流系統との間で電力を相互融通するAC/DC変換器と、他の直流系統との間で電力を相互融通するDC/DC変換器とが連系されている。また、直流ケーブル1には負荷設備との間で電力を相互融通する端子変換器が少なくとも一つは連系されている。さらに、直流ケーブル1には発電設備との間で電力を相互融通する端子変換器が少なくとも一つは連系されている。このため、図1では、端子変換器Aから端子変換器Dの4台としているが、これに限るものではない。
直流変換器の制御装置2は、光通信、メタル通信、無線通信等の通信網を介して、各端子変換器と繋がっている。直流変換器の制御装置2は、例えば、DBと表現しているデータベースは記憶装置であり、その余の部と表現されるものは演算装置であり、通信網を介して入出力をおこなっている。
出力実績取得部12は、各端子変換器から送られた出力電流実績(出力電流値)を受信し、出力実績DB13に記録する。
気象条件取得部11は、直流系統に繋がる負荷設備、発電設備から流入又は流出する電流値に関連する要因として、天気、気温、湿度等の気象情報を取得し、出力実績DB13に記録する。
出力電流想定部14は、出力実績DB13から、現在と同条件又は類似条件である季節、時間帯、天気、気温、湿度の時間断面を複数抽出し、個々の時間断面で記録されている各端子変換器の出力電流値を現在から想定されうる出力電流の1つの組合せパターンとして設定する。したがって、抽出した時間断面数だけ、組合せパターンが生成されることになる。
電流分布計算部15は、出力電流想定部14の組合せパターン毎に、各端子変換器の出力電流値と、系統設備DB16に記録されている系統トポロジーとから、直流ケーブル各区間(端子変換器及び系統分岐点で区切られた直流ケーブル1の単位)毎に流れる電流値を算出する。
電圧差計算部17は、組合せパターン毎、直流ケーブル区間毎に設定された電流値と、系統設備DB16に記録されている直流ケーブル区間毎の線路インピーダンス値から、オームの法則等にしたがい、直流ケーブル区間で生じる電圧変化幅(区間両端での電圧上昇幅・電圧降下幅)を算出する。
電圧分布決定部18は、組合せパターン毎に、電圧差計算の結果で最も電圧が高くなると判断された直流系統内の地点(端子変換器又は系統分岐点)の電圧が、上限電圧に合致するように、直流系統の電圧分布を決定する。
電圧分散計算部19は、電圧分布決定部18で決定した組合せパターン毎の電圧分布から、端子変換器別に電圧値を集計しなおし、その度数分布の分散を計算する。したがって、地点毎の電圧値は、組合せパターン数だけ集計されることになる。
電圧一定制御決定部20は、電圧度数計算部で算出した分布の中で、もっとも分布の広がりが狭い、すなわち統計上の分散値が最も小さい端子変換器を選定する。図1の例では、端子変換器Dが選定されている。
目標電圧決定部21は、電圧一定制御決定部20で選定した端子変換器の電圧度数分布の中から最小電圧値を選定し、この最小電圧値を電圧一定制御とする端子変換器(図1の例では端子変換器D)の目標電圧値として設定する。
制御モード・目標電圧配信部22は、電圧一定制御に選定した端子変換器(端子変換器D)に対しては、電圧一定制御モードで、目標電圧決定部21で設定した目標電圧となるように制御するよう指令を送信する。その他の端子変換器(図1の例では端子変換器AからC)に対しては、本発明の制御対象外であり、別途された目標電流となるように制御する(制御の方法は問わない)電流一定制御モードで制御するように指令を送信する。
<動作>
図2は、直流変換器の制御装置2における、出力実績取得部12と気象条件取得部11とによるデータ取得処理フローの動作の一例を示すフローチャートである。図2に示す処理の動作は、予め定められた直流系統内の端子変換器と直流変換器の制御装置2との通信周期(例えば、10分周期)に合わせた定周期で開始する。
ステップS11において、出力実績取得部12は、各端子変換器が計測した端子変換器毎の現在の出力電流値(出力電流実績)を受信する。
ステップS12において、出力実績取得部12は、受信した個々の出力電流値を出力実績DB13に保存する。出力電流値を出力実績DB13に保存するさいには、受信時刻に対応する時刻、受信もとの端子変換器に対応する端子変換器IDの箇所に保存する。換言すると、出力実績取得部12は、端子変換器ID毎に出力電流値と計測時刻とを出力実績DB13に保存する、なお、IDとは識別番号のことである。
ステップS13において、気象条件取得部11は、図示していない外部の気象情報提供システムから、例えば、現在の天気(晴、曇、雨、雪等)、現在の気温、現在の湿度等で構成される現在の気象情報を受信する。ここで、現在とは入手できる直近の情報のことである。また、気象情報は、気象情報提供システムからではなく、直流系統近傍に日照計、日射計、温湿度計等を設置して取得してもよい。
ステップS14において、気象条件取得部11は、受信した気象情報を出力実績DB13内にある、受信時刻に対応する時刻、対応した気象条件項目の箇所に保存する。
図3は、出力実績DB13のデータ構造の例を示す図である。天気、気温、湿度の気象条件と共に、時系列で端子変換器ID毎に計測された電流値である。端子変換器からの出力電流及び位相条件は、時系列データとして蓄積される。出力電流は正負の符号付で表現される。この例では、直流系統に電流を流し込む方向を正値、直流系統から電流を取り出す方向を負値としている。
図4は、直流変換器の制御装置2における、出力電流想定部14、電流分布計算部15、電圧差計算部17、電圧分布決定部18、電圧分散計算部19、電圧一定制御決定部20、目標電圧決定部21、及び制御モード・目標電圧配信部22による、電圧一定制御変換器決定処理フローの動作の一例を示すフローチャートである。このフロー処理の動作は、予め定められた所定の周期(例えば、1時間周期)で実施してもよいし、現在の気象状態の変化、各端子変換器の出力電流の大幅な変化をトリガーとして起動してもよい。
ステップS201において、出力電流想定部14は、出力実績DB13から、直近の気象情報を取得する。
ステップS202において、出力電流想定部14は、出力実績DB13内に記録された一連の時間断面の中から、出力電流想定部14は、現在と同じ季節、曜日、時間帯(例えば、10:00~11:00等)、及び直近の気象情報と類似の気象条件(気象状態)に該当する時間断面を選定する。
気象状態が類似か否かは、天気では、例えば、現在が晴なら、同じように日照がある程度ある晴と曇とを類似とし、現在が曇なら、晴、曇・雨を類似とし、現在が雨なら、日照の少ない曇と雨を類似と見なすことが考えられる。また、気温では、例えば、現在気温±3℃以内を類似とすることが考えられる。また湿度では、例えば、現在湿度±10%以内を類似と見なすことが考えられる。
ステップS203において、出力電流想定部14は、選定した時間断面の各端子変換器の出力電流値の組合せパターンを想定電流として設定する。換言すると、出力電流想定部14は、選定した時間断面毎に、出力実績DB13から各端子変換器の出力電流値を取得し、各端子変換器の想定電流を一組の組合せパターンとして設定する。
例えば、現在時刻が10:00直前で、直近の気象状況として天気が晴又は曇、気温が5℃、湿度が30%であり、10:00~11:00の間での電圧一定制御とする端子変換器とその目標電圧を決定したい場合には、図3に例示した出力実績DB13の中から、その条件に合致する時間断面を全て抽出し、個々の時間断面の端子変換器の出力電流を図5のように一組の組合せパターンとして設定する。図5では、組合せパターンID毎に端子変換器ID(この例ではA~D)の想定電流を求めている。
ステップS204において、電流分布計算部15は、未処理の想定電流の組合せパターンを1組取得する。
ステップS205において、電流分布計算部15は、取得した組合せパターンの端子変換器の出力電流と、系統設備DB16に記録されている系統トポロジーから、直流ケーブル各区間(端子変換器や系統分岐点で区切られた直流ケーブル1の単位)毎に流れる電流値を算出する。換言すると、電流分布計算部15は、直流ケーブル区間毎に、通過電流を端子変換器の出力電流及び系統トポロジーから算出することになる。
図6は、系統設備DB16のデータ構造の例を示す図である。直流系統は、端子変換器又は系統分岐点に該当するノードと、ノードとノードとを結ぶブランチすなわち直流ケーブル区間として表現されている。各ノードには、当該設備のID、上限電圧、下限電圧、及び端子変換器の場合は変換器の定格電流が記録されている。また、各ブランチには、両端のノードID、及び線路インピーダンスが系統設備DB16に記録されている。
図7は、電流分布計算部15の計算結果の例を示す図である。図5の各組合せパターンID毎に、図6の系統トポロジーをあらわすノード・ブランチデータから、ブランチID(各ブランチ)、すなわち直流ケーブル区間に流れる電流を算出した結果である。ここでは、ノード1(端子変換器A)とは反対方向に流れる電流を正値、ノード1に向かって流れる電流を負値としている。
各ブランチに流れる電流は、各端子変換器の出力電流の加算及び減算で算出する。例えば、組合せパターン1のケースでは、ブランチ1には、端子変換器Aからの出力電流+900Aのみが流れるため、(+900A)となる。ブランチ2には、端子変換器Bの出力電流-300Aのみが流れるため(+300A)となる。ブランチ3には、ブランチ1からの(+900A)がブランチ2へ(+300A)分流するため、(+900A)-(+300A)=(+600A)として算出される。
ステップS206において、電圧差計算部17は、ステップS25で算出された各ブランチに流れる電流と、系統設備DB16に記録されているブランチの線路インピーダンス値とから、ブランチ内で生じる電圧変化幅、すなわち直流ケーブル区間両端での電圧上昇幅又は電圧降下幅を算出する。換言すると、電圧差計算部17は、直流ケーブル区間毎に、通過電流と線路インピーダンスから電圧変化幅を算出することになる。
図8は、電圧差計算部17の計算結果の例を示す図である。電圧差はオームの法則に従い、「2点間の電圧差(V)=2点間に流れる電流(A)×2点間の抵抗値(Ω)」により、図7のブランチ毎に、算出した電流値に、図6の線路インピーダンス値を乗じて電圧差を計算している。ここでは、ノード1(端子変換器A)の電圧値を基準に、電圧が上がる方向を正値、下がる方向を負値としている。例えば、組合せパターン1のブランチ1に流れる電流は、ノード1からノード方向に(+900A)であり、インピーダンスは10Ωであるから、ノード1から見て、電圧は900×10=9,000V=9kV下がるため、-9kVとなっている。
ステップS207において、電圧分布決定部18は、いずれかのノードを基準点として、ステップS206の計算結果から、各ノードと基準点との電圧差をノード毎に計算する。換言すると、電圧分布決定部18は、直流内の基準点と各点との電圧差を算出することになる。
図9は、電圧分布決定部18の計算結果の例を示す図である。ノード1を基準点としている。ノード1から各ノードに至る経路の各ブランチでの電圧差(図8の計算結果)を加算していくことで求められる。例えば、組合せパターン1での端子変換器D(ブランチ5)は、端子変換器Aから、ブランチ1、ブランチ3、ブランチ5を経るため、端子変換器Aとの電圧差は、(-9kV)+(-12kV)+(-6kV)=-27kVとなる。
ステップS208において、電圧分布決定部18は、ステップS207の各ノードと基準ノードとの電圧差の計算結果から、最も電圧が高いノード(電圧最高ノード)を特定し、最も電圧高いノード(電圧最高ノード)の電圧が上限電圧に合致するように、各ノードの電圧値を以下の計算式で算出する。換言すると、電圧分布決定部18は、電圧が最も高い点の電圧を上限電圧に合致するように電圧分布を決定することになる。
すなわち、各ノード電圧=(基準ノードとの電圧差)+(上限電圧-電圧最高ノードと基準ノードとの電圧差)、で算出する。
図10は、ステップS208の計算結果の例を示す図である。例えば、組合せパターン1では、図9の結果では、ノード1が最も電圧が高いため、電圧最高ノードはノード1となる。そこで、ノード1の電圧が、図6の上限電圧700kVに合致するように、各ノードの電圧を算出する。例えば、ノード2では、(-9kV)+(700kV-0kV)=691kVである。別の例として、組合せパターン2では、図9の結果ではノード6が最も電圧が高いため、電圧最高ノードはノード6となる。そこで、ノード2の電圧は、(-9kV)+(700V-(+19kV))=672kVとなる。
ステップS209において、ステップS203で設定した全ての想定電流組合せパターンに対して、処理が完了したか否かを判定し、完了していればステップS210へ、未完了であればステップS204へと移る。
ステップS210において、電圧分散計算部19は、端子変換器に該当するノード毎に、ステップS203で設定した全ての組合せパターンから、ステップS208で決定された電圧分布計算結果の電圧値を取得し、その度数分布の分布の広がり度合いとして標準偏差(又はその2乗値である分散値)を求める。換言すると、電圧分散計算部19は、端子変換器毎に全組合せパターンを通しての電圧分布を算出して順位付けをすることになる。
例えば、図10の結果から、端子変換器Aに該当するノード1の電圧は、700kV,681kV,685kV,・・・という電圧が得ら、端子変換器Cに該当するノード5の電圧は、678.7kV,683.7kV,688kV,・・・という電圧が得られる。
図11は、電圧分散算出結果の例を示す図である。度数分布グラフに置き換え、分散の広がり具合の指標として標準偏差を端子変換器毎に求めている。この例では端子変換器Cの標準偏差が2.5Vで最も小さいため、頻度の山は最も鋭くなっている。反対に、端子変換器Dの標準偏差が9.5Vで最も大きいため、頻度の山は最もなだらかになっている。
また、図12は、標準偏差の小さい順に端子変換器を順序付けし、分布の標準偏差と、分布での最小電圧(最低電圧)とをリスト化した電圧分布決定結果の例を示す図である。
ステップS211において、電圧一定制御決定部20は、ステップS210の結果、最も電圧度数分布の広がりが小さかった、すなわち標準偏差又は分散値が最も小さかった端子変換器を、電圧一定制御とする端子変換器として選定する。換言すると、電圧一定制御決定部20は、分布の広がりが最小の変換器を電圧一定制御として選定することになる。
ステップS212において、目標電圧決定部21は、ステップS210で求めた電圧分布の中で、ステップS211で選定した電圧一定制御の電圧分布を抽出し、選定した電圧一定制御の分布の最小電圧を目標電圧として設定する。換言すると、目標電圧決定部21は、電圧一定制御に選定した端子変換器(当該端子変換器)の電圧分布最小値を目標電圧に設定することになる。
このように、各端子変換器の入出力電流とそれによる直流系統の電流分布ケースを網羅的に想定し、想定ケース毎に端子間の電圧差を計算することで電圧が最大となる地点を求め、その地点の電圧が上限電圧値に接するように当該想定ケースの電圧分布を設定し、全ての想定ケースを通して連系点電圧が最も任意の電圧値に集中した端子変換器を電圧一定制御の端子変換器に選定することになる。
ステップS213において、制御モード・目標電圧配信部22は、ステップS211にて電圧一定制御に選定した端子変換器に対しては、ステップS212にて設定した目標電圧となるように、電圧一定制御モードで運転するよう送信し、他の端子変換器に対しては電流一定制御モードで運転するように送信する。換言すると、制御モード・目標電圧配信部22は、各端子変換器へ制御モードと、電圧一定制御の端子変換器へ目標電圧を送信する。
これによって、電圧度数分布の最大値を目標電圧として固定することで、いかなる想定ケースにおいても上限逸脱が発生しないようにしつつ、可能な限り電圧高め維持と、それによる電力損失低減が可能となる。
本実施の形態の例では、各ブランチに流れる電流、電圧差は、簡単な四則演算で簡易計算しているが、例えば、より高精度に直流ケーブル1の線路損失、対地静電容量、端子変換器の変換損失等による電流及び電圧の変化を考慮した収束計算等で計算してもよい。
このように、直流ケーブルの端子に連系した少なくとも2つの端子変換器を含む直流系統における、電圧一定制御とする端子変換器を選定し、その目標電圧を決定する直流変換器の制御装置であって、端子変換器毎に想定されうる出力電流の組合せパターンを設定する出力電流想定部と、パターン毎に出力電流想定の結果から直流系統内の直流ケーブル毎に通過電流を計算する電流分布計算部と、パターン毎に電流分布計算の結果から直流ケーブル毎に電圧上昇・降下幅を計算する電圧差計算部と、パターン毎に電圧差計算結果から直流系統内で最も電圧が高くなる地点を探し、その地点の電圧が直流系統の上限電圧に一致するように直流系統の電圧分布を決定する電圧分布決定部と、全てのパターンの電圧分布から端子変換器毎に電圧値の度数分布の広がり具合を計算する電圧分散計算部と、電圧度数分布が狭いすなわち度数分布の広がりが小さい順に端子変換器を順序付け、その上位の端子変換器を電圧一定制御とする端子変換器候補として選定するので、想定される様々な電流分布において、可能な限り電圧分布を上限近くに維持できるように、電圧一定制御とする端子変換器を選定できる。また、電圧を高みに維持する結果、同じ電力を送る場合、電流を小さくできるので、電流の2乗にほぼ比例する電力損失を低減できる。
また、時間断面毎に各端子変換器の出力電流実績を蓄積する出力実績DBを備え、出力電流想定部は、過去所定期間の1つの時間断面での各端子変換器の出力電流の組合せを1つの出力電流の組合せパターンとして設定するので、過去の実績から電流分布を簡単に想定できる。
さらに、出力電流想定部は、出力実績DBの中から電圧一定制御とする端子変換器を決定する対象となる開始時刻から終了時刻の間で予想される天気、気温、湿度など気象条件が合致もしくは類似し、季節・曜日・一日の時間帯など時刻条件が合致する時間断面のみを選定し、選定した個々の時間断面での各端子変換器の出力電流の組合せを1つの出力電流の組合せパターンとして設定するので、気象条件や時刻に応じた、精度の高い電流分布の想定が可能となる。
以上のように、直流変換器の制御装置は、直流系統内の直流ケーブルの端子に連系した複数の端子変換器の出力電流を取得する取得部と、時間断面毎に端子変換器毎に想定される出力電流の組合せパターンを設定する出力電流想定部と、直流ケーブルの区間毎に通過電流の分布を計算する電流分布計算部と、組合せパターン毎に分布から区間毎に上昇又は降下の電圧差を計算する電圧差計算部と、組合せパターン毎に電圧差から最も電圧が高い最高地点を抽出して最高地点の電圧が直流系統の上限電圧に一致するように直流系統の電圧分布を決定する電圧分布決定部と、全ての組合せパターンの電圧分布から端子変換器毎に電圧値の分散を計算する電圧分散計算部と、分散の値を用いて電圧一定制御とする端子変換器を一つ決定する電圧一定制御決定部と、残りの端子変換器に目標電圧を配信する目標電圧配信部とを備えている。
また、直流変換器の制御装置は、時間断面毎に端子変換器毎に出力電流の実績を蓄積する出力実績データベースを備えている。さらに、出力実績データベースは、気象条件と関連付けて実績を蓄積し、出力電流想定部は、出力実績データベースにある気象条件及び時間断面の条件の少なくともいずれか一方を用いて端子変換器毎の出力電流の組合せパターンを設定している。
さらに、電圧一定制御決定部は、分散の値が最も小さい端子変換器を電圧一定制御に決定している。
本形態によれば、直流系統で想定される電流分布においては、直流系統全体の電圧分布を高めに維持できる。その結果、同じ電力を端子変換器間で融通する場合に、直流系統に流れる電流値を小さくすることができるため、電力損失を低減できる。
実施の形態2.
<構成>
図13は、実施の形態2による直流変換器の制御装置と、その周辺の構成との一例を示すブロック図である。実施の形態1との差異は、電流尤度計算部23が追加されている点にある。それ以外の構成は、実施の形態1で説明した点については、同様であるため説明を省略する。
電流尤度計算部23は、出力電流想定部14で想定された全ての組合せパターンの中で、端子変換器毎の出力電流値の中から、その絶対値が最大となる最大電流値を抽出し、系統設備DB16に記録される定格電流と比較して、端子変換器の電流尤度を計算する。
また、図において、同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものであり、このことは明細書の全文、図面の全図において共通することである。さらに、明細書全文に表れている構成要素の形態は、あくまで例示であってこれらの記載に限定されるものではない。以下、実施の形態1と差異のある点のみ説明する。
<動作>
直流変換器の制御装置2における、出力実績取得部12と気象条件取得部11によるデータ取得処理フローの動作は、実施の形態1に同じであるため、説明を省略する。
図14は、直流変換器の制御装置2における、出力電流想定部14、電流尤度計算部23、電流分布計算部15、電圧差計算部17、電圧分布決定部18、電圧分散計算部19、電圧一定制御決定部20、目標電圧決定部21、制御モード・目標電圧配信部22、及び電流尤度計算部23による、電圧一定制御変換器決定処理フローの動作の一例を示すフローチャートである。ステップS201からステップS210まで、ステップS212、ステップS213は、図4のステップと同じであるため、説明を省略する。
ステップS301において、電流尤度計算部23は、出力電流想定部14で想定された端子変換器毎の複数の出力電流値の中から、端子変換器毎に、絶対値が最大となる出力電流値を抽出する。抽出した最大電流値と、系統設備DB16に記録される定格電流の絶対値との差分を想定電流から更に何アンペアの出力余裕があるかとして、その端子変換器の電流尤度として算出する。
また、最大電流値と、系統設備DB16に記録される定格電流の絶対値との差分を定格電流の絶対値で除した値を電流尤度としてもよい。この場合は、更に定格比で何%の出力余裕があるかという指標になる。いずれにしても、電流尤度計算部23は、端子変換器毎に想定電流の最大値から電流尤度を算出することになる。
ステップS302において、電圧一定制御決定部20は、ステップS210及びステップS301の結果から、電流尤度が所定値以上で、かつ最も電圧度数分布の広がりが小さかった、すなわち標準偏差又は分散値が最も小さかった端子変換器を、電圧一定制御とする端子変換器として選定する。電流尤度の前記所定値は、過去の想定電流からの想定外れ実績等から算出することが考えられる。換言すると、電圧一定制御決定部20は、電流尤度が所定以上で、分布の広がりが最小の変換器を電圧一定制御に選定することになる。
図15は、電圧分散計算部19及び電流尤度計算部23の計算結果の例を示す図である。同例では、順位が1位の端子変換器Cの電流尤度が十分にあるため、端子変換器Cを電圧一定制御に選定するが、もし端子変換器Cの電流尤度が小さければ(例えば100A以下)、次の順位である端子変換器Bを電圧一定制御に選定する。
このように、出力電流想定部14で想定した端子変換器毎の複数の出力電流の中で、電流絶対値が最大の電流値を抽出し、その端子変換器の定格電流と対比し、端子変換器毎の定格電流までの電流尤度を計算する電流尤度計算部23を備え、電圧一定制御決定部20は、電流尤度が所定以上であり、かつ、電圧度数分布が狭い、すなわち度数分布の広がりが小さい端子変換器を電圧一定制御とする端子変換器候補として選定するので、電力損失の低減のみならず、変換器過負荷を回避できる。
以上のように、直流変換器の制御装置は、直流系統内の直流ケーブルの端子に連系した複数の端子変換器の出力電流を取得する取得部と、時間断面毎に端子変換器毎に想定される出力電流の組合せパターンを設定する出力電流想定部と、直流ケーブルの区間毎に通過電流の分布を計算する電流分布計算部と、組合せパターン毎に分布から区間毎に上昇又は降下の電圧差を計算する電圧差計算部と、組合せパターン毎に電圧差から最も電圧が高い最高地点を抽出して最高地点の電圧が直流系統の上限電圧に一致するように直流系統の電圧分布を決定する電圧分布決定部と、全ての組合せパターンの電圧分布から端子変換器毎に電圧値の分散を計算する電圧分散計算部と、分散の値を用いて電圧一定制御とする端子変換器を一つ決定する電圧一定制御決定部と、残りの端子変換器に目標電圧を配信する目標電圧配信部とを備えている。
また、直流変換器の制御装置は、端子変換器毎の出力電流の中で絶対値が最大となる最大電流値を抽出し、当該端子変換器の定格電流と最大電流とを対比して端子変換器毎の定格電流までの電流尤度を計算する電流尤度算出部を備えている。さらに、電圧一定制御決定部は、電流尤度が所定値以上の中で分散の値が最も小さい端子変換器を電圧一定制御に決定している。
本形態によれば、直流系統で想定される電流分布を超えるような電流が端子変換器に流れるような場合においても、端子変換器に過負荷を発生させること無く、直流系統全体の電圧分布を高めに維持できる。
実施の形態3.
<構成>
図16は、本実施の形態3による直流変換器の制御装置2と、その周辺の構成との一例を示すブロック図である。実施の形態1との差異は、電圧・電流対応設定部24が追加され、目標電圧決定部21の代わりにV-I特性決定部25に、制御モード・目標電圧配信部22の代わりに制御モード・V-I特性配信部26に、なっている点にある。以下、実施の形態1と差異のある点のみ説明する。
電圧・電流対応設定部24は、組合せパターン毎に、電圧分布決定部18で決定した決定した電圧分布から、端子変換器毎の連系点電圧値と、組合せパターンでの端子変換器の想定出力電流値とを抽出する。
V-I特性決定部25は、電圧・電流対応設定部24で抽出した、連系点電圧と想定出力電流の中で、電圧一定制御決定部20で選定された端子変換器に対して電圧と電流との相関を示す近似線をV-I特性(電圧と電流の関係)として算出する。
制御モード・V-I特性配信部26は、電圧一定制御に選定した端子変換器に対しては、電圧一定制御モードで、V-I特性決定部25で設定したV-I特性にしたがって出力電圧を制御するように指令を送信し、その他の端子変換器に対しては、本発明とは関係なく何らかの方法で目標電流となるように制御する電流一定制御モードで制御するように指令を送信する。電圧一定制御に選定した端子変換器以外のその他の端子変換器は、目標電流となるように制御する制御方法であれば制御方法は限定されない。これら以外の構成は、実施の形態1に同じであるので、説明を省略する。
<動作>
直流変換器の制御装置2における、出力実績取得部12と気象条件取得部11によるデータ取得処理フローの動作は、実施の形態1に同じであるため、説明を省略する。
図17は、直流変換器の制御装置2における、出力電流想定部14、電流尤度計算部23、電流分布計算部15、電圧差計算部17、電圧分布決定部18、電圧分散計算部19、電圧一定制御決定部20、電圧・電流対応設定部24、V-I特性決定部25、及び制御モード・V-I特性配信部26による、電圧一定制御変換器決定処理フローの動作の一例を示すフローチャートである。ステップS201からステップS208まで、ステップS209からステップS211までは、図4のステップと同じであるため、説明を省略する。
ステップS401において、電圧・電流対応設定部24は、ステップS208にて決定した電圧分布において、端子変換器の連系点、すなわち該当ノードの電圧値を抽出し、そのときの組合せパターンにある同端子変換器の出力電流の値を1つの電圧・電流組合せとして設定する。したがって、最終的には、端子変換器毎に抽出される電圧・電流の組合せは、組合せパターンの数と同じとなる。換言すると、電圧・電流対応設定部24は、各端子変換器の電圧と電流との組合せを設定することになる。
図18は、ステップS401において、端子変換器毎に設定された電流と電圧の組合せの例を示す図である。例えば、組合せパターン1では、ステップS208において、直流系統の電圧を可能な限り高めに維持しようとした結果、端子変換器Cの電圧は678.7kVとなり、そのときの想定出力電流は-300Aであったことを意味する。
ステップS403において、V-I特性決定部25は、ステップS211にて電圧一定制御に決定された端子変換器につき、ステップ401にて設定した電流・電圧の組合せから、近似線を求め、V-I特性として設定する。換言すると、V-I特性決定部25は、電圧一定制御に選定した端子変換器の複数の電流・電圧組合せから近似線を求めてV-I特性を設定することになる。
図19は、想定電流と連系点電圧の組合せとV-I特性の例を示すイメージ図であり、横軸を電流、縦軸を電圧とし、1つ1つの小点が、前記1組の電流・電圧を意味する。全ての点に対して、変換器定格電流を両端とする近似線を求め、それを同変換器のV-I特性とする。近似線は、同図のような直線の一次近似でも、二次近似でもよい。
例えば、電圧一定制御の端子変換器の目標電圧は、パターン毎に、電圧分布決定部18で決定した電圧分布における同端子変換器の連系点電圧と、その時に想定した同変換器の出力電流との組合せを求め、さらに全パターンの連系点電圧と出力電流の組合せを、電圧・電流の二次元グラフにプロットし、その近似線を以ってV-I特性をV-I特性決定部25で求めている。目標電圧を固定とせず、出力電流に応じて可変としている。
ステップS404において、制御モード・V-I特性配信部26は、ステップS211にて電圧一定制御に選定した端子変換器に対しては、ステップS403にて設定したV-I特性に従い、電圧一定制御モードで運転するよう送信し、他の端子変換器に対しては電流一定制御モードで運転するように送信する。換言すると、制御モード・V-I特性配信部26は、各端子変換器へ制御モードと、電圧一定制御の端子変換器へV-I特性とを送信することになる。
以上のように、直流変換器の制御装置は、直流系統内の直流ケーブルの端子に連系した複数の端子変換器の出力電流を取得する取得部と、時間断面毎に端子変換器毎に想定される出力電流の組合せパターンを設定する出力電流想定部と、直流ケーブルの区間毎に通過電流の分布を計算する電流分布計算部と、組合せパターン毎に分布から区間毎に上昇又は降下の電圧差を計算する電圧差計算部と、組合せパターン毎に電圧差から最も電圧が高い最高地点を抽出して最高地点の電圧が直流系統の上限電圧に一致するように直流系統の電圧分布を決定する電圧分布決定部と、全ての組合せパターンの電圧分布から端子変換器毎に電圧値の分散を計算する電圧分散計算部と、分散の値を用いて電圧一定制御とする端子変換器を一つ決定する電圧一定制御決定部と、組合せパターン毎の電圧分布における当該端子変換器の連系点電圧と想定した当該端子変換器の出力電流との組合せからV-I特性を決定するV-I特性決定部と、当該端子変換器の出力電流に応じてV-I特性から求めた目標電圧を配信するV-I特性配信部とを備えている。
本形態によれば、電圧一定制御の端子変換器の目標電圧を、出力電流に応じて上下変化させることで、状況に応じて、直流系統の電圧分布をより高めに維持できる。
本願発明は、これまで述べてきた実施の形態に限定されるものではなく、本願発明の範囲内で種々に改変することができる。すなわち、これまで述べてきた実施の形態の構成を適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成に代替させてもよい。さらに、その配置について特に限定のない構成要件は、実施の形態で開示した配置に限らず、その機能を達成できる位置に配置することができる。また、これまで述べてきた実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより発明を形成してもよい。さらに、本願発明は、これまで述べてきた実施の形態の範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
1 直流ケーブル、2 制御装置、11 気象条件取得部、12 出力実績取得部、13 出力実績DB、14 出力電流想定部、15 電流分布計算部、16 系統設備DB、17 電圧差計算部、18 電圧分布決定部、19 電圧分散計算部、20 電圧一定制御決定部、21 目標電圧決定部、22 制御モード・目標電圧配信部、23 電流尤度計算部、24 電圧・電流対応設定部、25 V-I特性決定部、26 制御モード・V-I特性配信部。

Claims (6)

  1. 直流系統内の直流ケーブルの端子に連系した複数の端子変換器の出力電流を取得する取得部と、
    時間断面毎に前記端子変換器毎に想定される前記出力電流の組合せパターンを設定する出力電流想定部と、
    前記直流ケーブルの区間毎に通過電流の分布を計算する電流分布計算部と、
    前記組合せパターン毎に前記分布から前記区間毎に上昇又は降下の電圧差を計算する電圧差計算部と、
    前記組合せパターン毎に前記電圧差から最も電圧が高い最高地点を抽出して前記最高地点の電圧が前記直流系統の上限電圧に一致するように前記直流系統の電圧分布を決定する電圧分布決定部と、
    全ての前記組合せパターンの前記電圧分布から前記端子変換器毎に電圧値の分散を計算する電圧分散計算部と、
    前記分散の値を用いて電圧一定制御とする前記端子変換器を一つ決定する電圧一定制御決定部と、
    前記電圧一定制御決定部が決定した前記端子変換器に目標電圧で運転するように配信し、残りの前記端子変換器に電流一定で運転するように配信する目標電圧配信部とを備えたことを特徴とする直流変換器の制御装置。
  2. 直流系統内の直流ケーブルの端子に連系した複数の端子変換器の出力電流を取得する取得部と、
    時間断面毎に前記端子変換器毎に想定される前記出力電流の組合せパターンを設定する出力電流想定部と、
    前記直流ケーブルの区間毎に通過電流の分布を計算する電流分布計算部と、
    前記組合せパターン毎に前記分布から前記区間毎に上昇又は降下の電圧差を計算する電圧差計算部と、
    前記組合せパターン毎に前記電圧差から最も電圧が高い最高地点を抽出して前記最高地点の電圧が前記直流系統の上限電圧に一致するように前記直流系統の電圧分布を決定する電圧分布決定部と、
    全ての前記組合せパターンの前記電圧分布から前記端子変換器毎に電圧値の分散を計算する電圧分散計算部と、
    前記分散の値を用いて電圧一定制御とする前記端子変換器を一つ決定する電圧一定制御決定部と、
    前記組合せパターン毎の前記電圧分布における当該端子変換器の連系点電圧と想定した当該端子変換器の前記出力電流との組合せからV-I特性を決定するV-I特性決定部と、
    当該端子変換器の前記出力電流に応じて前記V-I特性から求めた目標電圧を配信するV-I特性配信部とを備えたことを特徴とする直流変換器の制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の直流変換器の制御装置であって、
    前記時間断面毎に前記端子変換器毎に前記出力電流の実績を蓄積する出力実績データベースを備えたことを特徴とする直流変換器の制御装置。
  4. 請求項3に記載の直流変換器の制御装置であって、
    前記出力実績データベースは、気象条件と関連付けて前記実績を蓄積し、
    前記出力電流想定部は、前記出力実績データベースにある前記気象条件及び時間断面の条件の少なくともいずれか一方を用いて前記端子変換器毎の前記出力電流の前記組合せパターンを設定することを特徴とする直流変換器の制御装置。
  5. 請求項1に記載の直流変換器の制御装置であって、
    前記端子変換器毎の前記出力電流の中で絶対値が最大となる最大電流値を抽出し、当該端子変換器の定格電流と前記最大電流とを対比して前記端子変換器毎の前記定格電流までの電流尤度を計算する電流尤度算出部を備え、
    前記電圧一定制御決定部は、前記電流尤度が所定値以上の中で前記分散の前記値が最も小さい前記端子変換器を前記電圧一定制御に決定することを特徴とする直流変換器の制御装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の直流変換器の制御装置であって、
    前記電圧一定制御決定部は、前記分散の前記値が最も小さい前記端子変換器を前記電圧一定制御に決定することを特徴とする直流変換器の制御装置。
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