JP7006213B2 - 加熱装置及び加熱方法 - Google Patents

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本発明は、加熱装置及び加熱方法に関する。
従来、燃料を燃焼させることにより熱量を得る加熱装置が知られている(例えば、特許文献1等を参照。)。特許文献1に記載の加熱装置は、燃料として石炭とアンモニアを使用するボイラーを含む。特許文献1には、燃料の一部としてアンモニアを用いることにより、二酸化炭素の排出量を削減することができる旨が記載されている。
特開2016-41990号公報
特許文献1に記載のように、アンモニアを燃料として用いることで二酸化炭素の排出量を抑制することができる。しかしながら、アンモニアを燃料として用いた場合、アンモニアの燃焼に伴い、窒素酸化物(NOx)が発生する。NOxは大気汚染物質であるため、アンモニアを燃料として用いる二酸化炭素発生量が少ない加熱装置においても、NOxの発生を抑制したいという要望がある。
本発明の主な目的は、二酸化炭素及びNOxの発生が抑制された加熱装置及び加熱方法を提供することにある。
本発明に係る加熱装置は、燃焼室と、第1の供給機構と、第2の供給機構とを備える。第1の供給機構は、燃焼室に対してアンモニアと酸素とを供給する。第2の供給機構は、燃焼室に対して、アンモニア以外の炭素含有燃料である他の燃料と酸素とを供給する。本発明に係る加熱装置は、燃焼室において、アンモニア及び他の燃料を燃焼させることにより熱量を発生させる加熱装置である。本発明に係る加熱装置では、V01:第1の供給機構から供給されるアンモニア及び第2の供給機構から供給される他の燃料を燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)、V02:燃焼室に供給される全酸素量(体積)、V11:第1の供給機構から供給されるアンモニアを燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)、V12:第1の供給機構から供給される酸素量(体積)としたときに、(V12/V11)/(V02/V01)が0.8以上である。
本発明に係る加熱装置は、先端部が燃焼室内に位置しており、第2の供給機構に接続された第2の流路と、第1の供給機構に接続された第1の流路とを有するバーナーをさらに備えていてもよい。
本発明に係る加熱装置では、アンモニアが、第1及び第2の供給機構のうち、第1の供給機構により供給されてもよい。他の燃料が、第1及び第2の供給機構のうち、第2の供給機構により供給されてもよい。
本発明に係る加熱装置では、他の燃料が、固体燃料、気体燃料又は液体燃料であってもよい。
本発明に係る加熱方法は、第1の供給機構から燃焼室に対してアンモニアと酸素を供給すると共に第2の供給機構から燃焼室に対してアンモニア以外の燃料である他の燃料と酸素を供給し、燃焼室において燃焼させることにより熱量を発生させる加熱方法である。本発明に係る加熱方法では、V01:第1の供給機構から供給されるアンモニア及び第2の供給機構から供給される他の燃料を燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)、V02:燃焼室に供給される全酸素量(体積)、V11:第1の供給機構から供給されるアンモニアを燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)、V12:第1の供給機構から供給される酸素量(体積)としたときに、(V12/V11)/(V02/V01)が0.8以上となるように燃焼を行う。
本発明によれば、二酸化炭素及びNOxの発生が抑制された加熱装置及び加熱方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る加熱装置の模式図である。 本発明の一実施形態におけるバーナーの模式的断面図である。 図2のバーナーの変形例を示す模式的断面図である。 各実験例における(V12/V11)/(V02/V01)とNOxとの関係を表すグラフである。
以下、本発明の実施形態を説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
また、実施形態等において参照する各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照することとする。また、実施形態等において参照する図面は、模式的に記載されたものである。図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。図面相互間においても、物体の寸法比率等が異なる場合がある。具体的な物体の寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
図1に示す加熱装置1は、炭素含有燃料及びアンモニアを含む燃料を燃焼させて熱量を発生させる装置である。加熱装置1は、例えば、ボイラーなどの液体を加熱するための加熱装置を構成していてもよいし、キルンなどの固体を加熱するための加熱装置を構成していてもよい。
加熱装置1は、燃焼室10と、燃焼機構20と、第1の供給機構30と、第2の供給機構40とを備えている。
燃焼室10は、燃焼が行われ、熱量が発生する部屋である。加熱装置1は、燃焼室10において発生した熱量が燃焼室内において使用されるように構成されていてもよいし、燃焼室10において発生した熱量が外部に排出されるように構成されていてもよい。例えば、加熱装置1がキルンである場合は、燃焼室10内に投入された原料が、燃焼室10において生じた熱量により焼成される。
燃焼室10には、第1の供給機構30と第2の供給機構40とが接続されている。
第1の供給機構30は、燃焼室10に対して、アンモニアと酸素とを供給する。もっとも、本発明において、第1の供給機構は、アンモニア及び酸素以外のものを燃焼室に対して供給するものであってもよい。また、酸素は、空気として供給されてもよい。本実施形態では、第1の供給機構30が、アンモニア及び酸素のみを実質的に供給する例について説明する。
なお、「アンモニア及び酸素のみを実質的に供給する」には、供給するアンモニアガスや酸素ガスに含まれる不純物を、アンモニア及び酸素と共に供給することを含むものとする。
第2の供給機構40は、燃焼室10に対して、アンモニア以外の燃料(以下、「他の燃料」とする。)と酸素とを供給する。もっとも、本発明において、第2の供給機構は、他の燃料及び酸素以外のものを供給するものであってもよい。本実施形態では、第2の供給機構40が、他の燃料と酸素のみを実質的に供給する例について説明する。
なお、「他の燃料及び酸素のみを実質的に供給する」には、供給する他の燃料ガスや酸素ガスに含まれる不純物を、他の燃料及び酸素と共に供給することを含むものとする。また、酸素は、空気として供給されてもよい。
以上のように、本実施形態においては、アンモニアは、第1及び第2の供給機構30,40のうち、第1の供給機構30により燃焼室10に供給され、他の燃料は、第1及び第2の供給機構30,40のうち、第2の供給機構40により燃焼室10に供給される。
具体的には、本実施形態では、第1の供給機構30は、アンモニアと酸素とを、燃焼室10に設けられた燃焼機構20に供給する。第2の供給機構40は、他の燃料と酸素とを、燃焼機構20に供給する。なお、本発明においては、第1の供給機構は、燃焼機構にアンモニアと酸素とを供給せず、燃焼室に直接アンモニアと酸素とを供給するものであってもよい。
燃焼機構20は、第1及び第2の供給機構30,40から供給された、他の燃料と、アンモニアの少なくとも一部とが燃焼する。これらの燃料の燃焼により熱量が発生し、加熱が行われる。
燃焼機構20は、例えば、図2に示す、先端部が燃焼室10に位置しているバーナーにより構成することができる。以下、本実施形態では、燃焼機構20がバーナーにより構成されている例について説明する。
図2に示すように、燃焼機構20を構成しているバーナーは、二重管構造を有しており、第1の流路21と、第2の流路22とを有する。第1の流路21は、第2の流路22の周囲に設けられている。第1の流路21には、第1の供給機構30が接続されている。第2の流路22には、第2の供給機構40が接続されている。このため、燃焼機構20を構成しているバーナーの中央から他の燃料と酸素とが供給され、その外側からアンモニアと酸素とが供給される。
なお、本実施形態では、第1の流路21が第2の流路22の周囲に設けられている例について説明した。但し、本発明において、第1の流路と第2の流路との位置関係は、第1の流路からの供給物と第2の流路からの供給物とが燃焼に寄与する範囲内であれば、特に限定されない。本発明においては、例えば、第1の流路と第2の流路とが離間して設けられていてもよい。
他の原料は、例えば、気体、液体、固体のいずれの形態の燃料であってもよい。他の原料が液体の場合は、液状の他の原料は、第2の流路22の先端部から噴霧される。他の原料が固体の場合は、固形状の他の原料は、例えば、500μm程度以下に粉砕されたり、さらに微粉砕されたり、スラリーにされたりして、第2の流路22の先端部から放出される。
他の原料は、例えば、化石燃料、廃棄物、バイオマス等であってもよい。
気体の化石燃料の具体例としては、例えば、天然ガス、メタンハイドレート、シェールガス等が挙げられる。その他の気体の炭素含有燃料としては、メタン、エタン、プロパン等が上げられる。
液体の化石燃料の具体例としては、例えば、重油、軽油、ガソリン等の石油精製液体燃料、化学的に合成された液状炭化水素、アルコール、グリコール等が挙げられる。
固体の化石燃料の具体例としては、例えば、石炭、石油コークス、石炭コークスが挙げられる。これらのうち、揮発分が多く燃焼性に優れる観点から、微粉炭が好ましい。
廃棄物由来の炭素含有燃料の具体例としては、例えば、廃プラスチック類、繊維くず、紙くず、廃油等が挙げられる。
バイオマスの具体例としては、例えば、木くず、ヤシ殻、有機汚泥、食物残渣、動物の糞尿等が挙げられる。
図2に模式的に示す燃焼機構20は、重油等の液体の炭素含有燃料(液体燃料)や、プロパンガス等の気体の炭素含有燃料(気体燃料)、又は微粉炭等の固体の炭素含有原料(固体燃料)を用いる場合に好適なバーナーである。燃焼機構20の形態は、使用する炭素含有燃料の形態によって適宜選択することができる。
本発明者らは、鋭意研究の結果、
V01:第1の供給機構30から供給されるアンモニア及び第2の供給機構40から供給される他の燃料を燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)、
V02:燃焼室に供給される全酸素量(体積)、
V11:第1の供給機構30から供給されるアンモニアを燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)、
V12:第1の供給機構30から供給される酸素量(体積)、
としたときに、
(V12/V11)/(V02/V01)が特定の範囲内となるように制御することにより、NOxの発生を抑制できることに想到した。具体的には、本発明者らは、(V12/V11)/(V02/V01)を0.8以上とすることにより、アンモニアを用いることにより、炭素含有燃料の燃焼に由来して発生する二酸化炭素の発生量を抑制できると共に、NOxの発生量を顕著に抑制できることに想到した。
その理由としては定かではないが、(V02/V01)に対して、(V12/V11)を制御することにより、燃焼に寄与しないアンモニアがNOxに対して脱硝作用を奏し、NOxを窒素ガスに還元するからであると考えられる。(V12/V11)/(V02/V01)の上限は、NOxの発生量を抑制する観点から、例えば1.3以下であってもよい。
加熱装置1においては、炭素含有燃料に加えて、アンモニアを燃料として使用する。このため、同量の熱量を発生させるために必要な炭素含有燃料の量を少なくすることができる。従って、加熱装置1から排出される二酸化炭素の量が少ない。さらに、加熱装置1では、(V12/V11)/(V02/V01)が0.8以上となるように燃焼が行われる。このため、上述の通り、NOxの発生量も抑制される。すなわち、加熱装置1では、二酸化炭素及びNOxの両方の発生量が抑制されている。
NOxの発生量をより効果的に抑制する観点からは、(V02/V01)が1.2未満であることが好ましい。この場合、NOxの発生量を抑制できる(V12/V11)の範囲を広げることができる。炭素含有燃料の燃焼を円滑にする観点から、(V02/V01)は、例えば1.0以上であってもよく、1.03以上であってもよい。アンモニアの燃焼を円滑にする観点から、(V12/V11)は、例えば0.8以上であってもよく、0.9以上であってもよい。
本実施形態では、加熱機構が第1及び第2の供給機構のみを備える例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。本発明の加熱機構は、第1及び第2の供給機構に加え、助燃剤及び燃料の少なくとも一方を含むものを供給する機構をさらに有していてもよい。例えば、本発明の加熱機構は、第1及び第2の供給機構に加え、空気を供給する第3の供給機構をさらに備えていてもよい。
図3は、図2に示すバーナーの変形例である。この変形例では、図3に示す三重管構造を有するバーナーで燃焼機構20Aが構成される。図3のバーナーは、中央部に第3の流路23を有し、その周囲に第3の流路23側から第2の流路22と、第1の流路21と、をこの順に有する。すなわち、図3のバーナーは、内側から外側に向かって、第3の流路23、第2の流路22及び第1の流路21をこの順に有する。第1の流路21には、第1の供給機構30が接続されている。第2の流路22には、第2の供給機構40が接続されている。第3の流路23には、酸素を供給する第3の供給機構が接続されている。このため、燃焼機構20Aを構成しているバーナーの中央から酸素が供給され、その外側から他の燃料と酸素とが供給され、さらにその外側からアンモニアと酸素とが供給される。それぞれの酸素は、空気として供給されてもよい。
本変形例では、内側から外側に向かって、第3の流路23、第2の流路22及び第1の流路21をこの順に有するバーナーで構成される燃焼機構20Aを説明したが、これに限定されない。例えば、他の燃料と酸素が供給される第2の流路22を中央部に設け、その外側に燃料を供給せず酸素を供給する第3の流路23を設け、さらにその外側にアンモニアと酸素を供給する第1の流路21を設けてもよい。
なお、本発明において、燃焼室10に供給されるアンモニアと他の燃料との比(発熱量ベース)は、特に限定されないが、アンモニア:他の燃料は、例えば、1:99~50:50であることが好ましい。
本発明においては、燃焼室からの排気ガスに含まれるNOx濃度は1700ppm以下であることが好ましく、1500ppm以下であることがより好ましく、1000ppm以下であることがさらに好ましい。燃焼室からの排気ガスに含まれるCO濃度は14体積%以下であることが好ましく、13体積%以下であることがより好ましい。燃焼室からの排気ガスにアンモニアが実質的に含まれないことが好ましく、アンモニアが含まれないことがより好ましい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
以下、本発明について、具体的な実験例に基づいて、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
(実験例1-1)
図3に示すような第1の流路、第2の流路及び第3の流路を有する重油燃焼バーナ(外径78mm)を備え、内壁寸法が300mm×300mm×1200mmである直方体状の燃焼室を用いて下記の条件で燃焼実験を行った。第1の供給機構から第1の流路にアンモニアと空気(これに含まれる酸素量はV12)を供給し、第2の供給機構から第2の流路にA重油と空気を供給した。また、第3の流路には空気のみを供給した。このようにしてアンモニア及びA重油の燃焼を行った。その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を、ヤナコ社製窒素酸化物・酸素自動計測器 ECL-88A Liteを用いて測定した。結果を表1及び図4に示す。
条件:
燃料:A重油(発熱量37.2MJ/L)及びアンモニア
A重油の供給量:0.97L/h
A重油とアンモニア(燃焼熱:18.6MJ/kg_gas)の混合比(発熱量ベース):A重油:アンモニア=70:30
V02/V01:1.2
V12/V11:0.8
本実験例におけるV01は、第1の流路及び第2の流路に供給されるアンモニア及びA重油を燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)である。V02は、第1の流路、第2の流路及び第3の流路から供給される空気に含まれる酸素量の合計である。V11は、第1の流路に供給されるアンモニアを燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)である。V12は、第1の流路に供給される空気に含まれる酸素量である。
(実験例1-2)
V12/V11:0.9としたこと以外は、実験例1-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を実験例1-1と同様にして測定した。結果を表1及び図4に示す。
(実験例1-3)
V12/V11:1.0としたこと以外は、実験例1-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を実験例1-1と同様にして測定した。結果を表1及び図4に示す。
(実験例1-4)
V12/V11:1.1としたこと以外は、実験例1-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を実験例1-1と同様にして測定した。結果を表1及び図4に示す。
(実験例1-5)
V12/V11:1.2としたこと以外は、実験例1-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を実験例1-1と同様にして測定した。結果を表1及び図4に示す。
(実験例2-1)
V02/V01:1.09とし、V12/V11:0.9としたこと以外は、実験例1-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を実験例1-1と同様にして測定した。結果を表1及び図4に示す。
(実験例2-2)
V12/V11:1.0としたこと以外は、実験例2-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を実験例1-1と同様にして測定した。結果を表1及び図4に示す。
(実験例2-3)
V12/V11:1.1としたこと以外は、実験例2-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を実験例1-1と同様にして測定した。結果を表1及び図4に示す。
(実験例2-4)
V12/V11:1.2としたこと以外は、実験例2-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を実験例1-1と同様にして測定した。結果を表1及び図4に示す。
(実験例3-1)
V02/V01:1.05とし、V12/V11:0.9としたこと以外は、実験例1-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を実験例1-1と同様にして測定した。結果を表1及び図4に示す。
(実験例3-2)
V12/V11:1.0としたこと以外は、実験例3-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を実験例1-1と同様にして測定した。結果を表1及び図4に示す。
(実験例3-3)
V12/V11:1.1としたこと以外は、実験例3-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を実験例1-1と同様にして測定した。結果を表1及び図4に示す。
Figure 0007006213000001
(実験例4-1)
図2に示すような第1の流路と第2の流路を有する微粉炭燃焼バーナ(外径50mm)と補助バーナーとを備え、実験例1-1と同じ燃焼室を用いて下記の条件で燃焼実験を行った。第1の供給機構から微粉炭燃焼バーナーの第1の流路にメタンガスと空気を供給し、第2の供給機構から微粉炭燃焼バーナーの第2の流路に微粉炭と空気を供給して燃焼を行った。また、これに併せて、微粉炭燃焼バーナーの近傍に設けられる助燃用トーチにメタンガスと空気を供給して燃焼を行った。そして、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度を実験例1-1と同様にして測定した。また、CO濃度を、ヤナコ社製 排ガス計測器 EIR-31Sを用いて測定した。結果を表2に示す。表2の備考欄には、実施例及び比較例の種別を示した。
条件:
燃料:微粉炭(発熱量37.2MJ/L)、メタンガス(発熱量36MJ/Nm
微粉炭の供給量:956g/h
助燃用トーチにおけるメタンガスの供給量:0.12Nm/h
微粉炭及び助燃用トーチに供給されるメタンガスの合計と第1の流路に供給されるメタンガスとの混合比(発熱量ベース) (微粉炭+メタンガス):メタンガス=70:30
本実験例におけるV01は、第1の流路に供給されるメタンガスと、第2の流路に供給される微粉炭と、助燃用トーチに供給されるメタンガスと、を燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)である。V02は、第1の流路、第2の流路及び助燃用トーチから供給される空気に含まれる酸素量の合計である。
Figure 0007006213000002
表2に示すとおり、比較例に相当する実験例4-1では、COの発生量が多かった。
(実験例5-1)
微粉炭燃焼バーナー及び助燃用トーチとは別にアンモニア供給ノズルを設け、第1の流路をこのアンモニア供給ノズルで構成したこと、並びに、微粉炭燃焼バーナーへのメタンガスの供給を行わなかったこと以外は、実験例4-1と同様にして燃焼実験を行った。すなわち、本実験例における微粉炭燃焼バーナーは、第2の流路のみを有していた。
第1の供給機構から、第1の流路を構成するアンモニア供給ノズルにアンモニアと空気(これに含まれる酸素量はV12)を供給し、第2の供給機構から微粉炭燃焼バーナーの第2の流路に微粉炭と空気を供給して燃焼を行った。また、これに併せて、微粉炭燃焼バーナー及びアンモニア供給ノズルの近傍に設けられる助燃用トーチにメタンガスと空気を供給して燃焼を行った。そして、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度及びCO濃度を、実験例4-1と同様にして測定した。結果を表3に示す。表3の備考欄には、実施例及び比較例の種別を示した。
条件:
燃料:微粉炭(発熱量37.2MJ/L)、メタンガス(発熱量36MJ/Nm)及びアンモニア
微粉炭の供給量:956g/h
メタンガスの供給量:0.12Nm/h
微粉炭及びメタンガスの合計とアンモニア(燃焼熱:18.6MJ/kg_gas)との混合比(発熱量ベース) (微粉炭+メタンガス):アンモニア=70:30
V02/V01:1.2
V12/V11:1.2
本実験例におけるV01は、第1の流路に供給されるアンモニアと、第2の流路に供給される微粉炭と、助燃用トーチに供給されるメタンガスとを燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)である。V02は、第1の流路、第2の流路及び助燃用トーチから供給される空気に含まれる酸素量の合計である。V11は、第1の流路に供給されるアンモニアを燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)である。V12は、第1の流路に供給される空気に含まれる酸素量である。
(実験例5-2)
V12/V11が1.1になるようにV12を調節したこと以外は、実験例5-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度及びCO濃度を実験例5-1と同様にして測定した。結果を表3に示す。
(実験例5-3)
V12/V11が1.0になるようにV12を調節したこと以外は、実験例5-1と同様にして燃焼実験を行い、その際に発生した排気ガス中のNOx濃度及びCO濃度を実験例5-1と同様にして測定した。結果を表3に示す。
Figure 0007006213000003
表3に示すとおり、実験例5-1~5-3では、排ガス中のNOx及びCOの発生を抑制できることが確認された。
1…加熱装置、10…燃焼室、20,20A…燃焼機構、21…第1の流路、22…第2の流路、23…第3の流路、30…第1の供給機構、40…第2の供給機構。

Claims (7)

  1. 燃焼室と、
    前記燃焼室に対してアンモニアと酸素とを供給する第1の供給機構と、
    前記燃焼室に対して、アンモニア以外の炭素含有燃料である他の燃料と酸素とを供給する第2の供給機構と、
    を備え、
    前記燃焼室において、前記アンモニア及び前記他の燃料を燃焼させることにより熱量を発生させる加熱装置であって、
    V01:前記第1の供給機構から供給されるアンモニア及び前記第2の供給機構から供給される前記他の燃料を燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)、
    V02:前記燃焼室に供給される全酸素量(体積)、
    V11:前記第1の供給機構から供給されるアンモニアを燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)、
    V12:前記第1の供給機構から供給される酸素量(体積)、
    としたときに、
    (V12/V11)/(V02/V01)が0.8以上1.3以下である、加熱装置。
  2. キルンを構成する、請求項1に記載の加熱装置。
  3. 先端部が前記燃焼室内に位置しており、前記第2の供給機構に接続された第2の流路と、前記第1の供給機構に接続された第1の流路とを有するバーナーをさらに備える、請求項1又は2に記載の加熱装置。
  4. 前記アンモニアは、前記第1及び第2の供給機構のうち、前記第1の供給機構により供給され、
    前記他の燃料は、前記第1及び第2の供給機構のうち、前記第2の供給機構により供給される、請求項1~3のいずれか一項に記載の加熱装置。
  5. 前記他の燃料が、気体燃料又は液体燃料である、請求項1~のいずれか一項に記載の加熱装置。
  6. 第1の供給機構から燃焼室に対してアンモニアと酸素を供給すると共に第2の供給機構から前記燃焼室に対してアンモニア以外の燃料である他の燃料と酸素を供給し、前記燃焼室において燃焼させることにより熱量を発生させる加熱方法であって、
    V01:前記第1の供給機構から供給されるアンモニア及び前記第2の供給機構から供給される前記他の燃料を燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)、
    V02:前記燃焼室に供給される全酸素量(体積)、
    V11:前記第1の供給機構から供給されるアンモニアを燃焼させるために必要な理論酸素量(体積)、
    V12:前記第1の供給機構から供給される酸素量(体積)、
    としたときに、
    (V12/V11)/(V02/V01)が0.8以上1.3以下となるように燃焼を行う、加熱方法。
  7. 前記燃焼室と、前記第1の供給機構と、前記第2の供給機構と、を備えるキルンを用いる、請求項6に記載の加熱方法。
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