JP7002816B2 - 三次元造形方法及び三次元造形装置 - Google Patents
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Description
一般的に、粉末床溶融結合方式は以下のステップを行い、溶融結合された材料を積層することで、立体形状物を造形する。
・従来の造形では困難であった、極細の穴を有する立体形状物や、極細の立体形状物の造形が可能となる。
・従来の造形では困難であった、造形テーブルに対する角度が45°を下回る部分を有する立体形状物の造形が可能となる。
このようにすることで、立体形状物8の1層あたりの厚さ(層厚)が粉末材料11の平均粒子径に略等しくなり、1層分の溶融結合に必要な光ビーム2のエネルギー量を低く抑えることができる。
加えて、必要最小限の粉末材料11のみを溶融結合させるには、粉末材料11に与えるエネルギー量が小さい方が好ましい。
具体的には粉末材料11の溶融結合に必要な最低エネルギー密度の3倍以下のエネルギー密度であっても、粉末材料11の溶融結合を必要十分なレベルで行える。
瞬間的に出力された高出力の光ビーム2が粉末材料11に照射されると、その高エネルギーによって粉末材料11が飛散、あるいは溶融する現象が発生することがある。粉末材料11に与えるエネルギー量が小さい方が好ましい本発明においては、瞬間的であっても高エネルギーの発生は抑制するのが好ましい。
光ビーム2の出力時に、オーバーシュートが発生しないよう光ビーム2を出力させることで、粉末材料11に意図しない高エネルギーが与えられてしまう事態を回避できる。
粉末材料11に与えるエネルギー量が小さい方が好ましい本発明においては、造形時における光ビーム2の走査経路を、交点が形成されないよう設定することで、より安定した微細構造を有する立体形状物8の造形が可能となる。
この際、光ビーム2が照射されない微細な領域が存在することになるが、周辺の領域への光ビーム2の照射によって与えられたエネルギーが伝搬して、光ビーム2が照射されない微細な領域に存在する粉末材料11も溶融結合される。
・測定条件の設定および測定データの解析:LA-920に付属の専用ソフトを使用
・測定溶媒:予め不純固形物などを除去した蒸留水
(1)フロー式セルホルダーをLA-920に取り付ける。
(2)所定量の蒸留水をフロー式セルに入れ、フロー式セルをフロー式セルホルダーにセットする。
(3)専用のスターラーチップを用いて、フロー式セル内を撹拌する。
(4)蒸留水の溶媒屈折率を1.333に設定する。粉末材料11の屈折率は、試料により設定を行う。
(5)「表示条件設定」画面において、粒子径基準を体積基準とする。
(6)1時間以上の暖気運転を行った後、光軸の調整、光軸の微調整、ブランク測定を行う。
(7)粉末材料11を少量ずつ添加して、タングステンランプの透過率が75%~90%の範囲となるように調整する。
(8)粒子径分布の測定を行い、得られた体積基準の粒子径分布のデータを元に、体積基準のメジアン径(D50)を算出する。
第1の実施例として、垂直方向に極細の穴を多数有する立体形状物を造形した。
使用する粉末材料は、平均粒子径が30μmと称されたSUS316粉末を使用した。この材料の溶融結合に必要なエネルギー密度は57J/mm3である。
図4に測定したSUS316粉末の粒子径分布を示す。実際の平均粒子径は26μm、粒子径分布のピークに対する半値幅の範囲は16~41.5μmであった。
なお、図4上では粒子径が100μmを越える巨大な粒子も存在することになるが、これについては粒子径分布の測定時に複数の粒子が集合したものを1つの粒子として測定した値と推測され、実際にはこの大きさの粒子は存在しないものと考えられる。
また、仮に粒子径が100μmを越える粒子が存在したとしても、図4においてD90は49.5μmであったため、粒子径が49.5μmを越える粒子の出現頻度は粒子径が49.5μm以下の粒子と比べて小さく、立体形状物の造形に対する影響は無いものとみなすことができる。
3D-CAMソフトを使用し、造形する立体形状物に対応する三次元図面データを作成。造形する立体形状物は1辺が10mmの立方体とし、垂直方向にφ0.1の穴が0.2mmピッチで格子状に配列されたものとする。
実施例1では、スライスデータの厚さは30μmに設定した。
造形ステージの1層毎の下降量は、スライスデータの厚さに等しく、かつ使用するSUS316粉末の粒子径分布のピークに対する半値幅の範囲内である30μmに設定した。
使用する光ビームは以下の条件に設定した。
・光源:日星電気製、500Wシングルモードファイバレーザ
・ビーム径:照射面において50μm
・ビーム出力:25.5W
光ビームは以下の条件で走査した。上述の光ビーム条件とこの走査条件により、粉末材料に与えられるエネルギー密度は57J/mm3となる。
・走査速度:370mm/s
・走査ピッチ:40μm
・走査経路:図2に示す走査経路を、造形する立体形状物の形状に対応する経路に調整した。
造形時に三次元造形装置内へ供給する不活性ガスは窒素ガスとした。
以上述べたデータ、条件を用いて三次元造形装置を動作させ、実施例1の立体形状物を造形した。
第2の実施例として、極細の円柱を有する立体形状物を造形した。
使用する粉末材料は平均粒子径が30μmと称されたSUS420J2粉末を使用した。この材料の溶融結合に必要なエネルギー密度は110J/mm3である。
図6に測定したSUS420J2粉末の粒子径分布を示す。
実際の平均粒子径は35μm、粒子径分布のピークに対する半値幅の範囲は26~55μmであった。
また、図4と同様、図6上でも粒子径が100μmを越える巨大な粒子も存在することになるが、この現象については図4で発生したことと同じことが言え、図6においてD90は65.3μmであったため、粒子径が65.3μmを越える粒子の出現頻度は小さく、立体形状物の造形に対する影響は無いものとみなすことができる。
3D-CAMソフトを使用し、造形する立体形状物に対応する三次元図面データを作成。造形する立体形状物は台座上に、φ0.3mm、高さ20mmの円柱が、1mmピッチで30本×30本配列されたものとする。
造形ステージの1層毎の下降量は、スライスデータの厚さに等しく、かつ使用するSUS420J2粉末の粒子径分布のピークに対する半値幅の範囲内である30μmに設定した。
使用する光ビームは以下の条件に設定した
・光源:日星電気製、500Wシングルモードファイバレーザ
・ビーム径:照射面において50μm
・ビーム出力:50W
光ビームは以下の条件で走査した。上述の光ビーム条件とこの走査条件により、粉末材料に与えられるエネルギー密度は110J/mm3となる。
・走査速度:370mm/s
・走査ピッチ:40μm
・走査経路:図2に示す走査経路を、造形する立体形状物の形状に対応する経路に調整した。
造形時に三次元造形装置内へ供給する不活性ガスは窒素ガスとした。
以上述べたデータ、条件を用いて三次元造形装置を動作させ、実施例2の立体形状物を造形した。
第3の実施例として、水平方向に穴が形成された立体形状物を造形した。
使用する粉末材料は、実施例2と同じ、平均粒子径35μmのSUS420J2粉末を使用した。この材料の溶融結合に必要なエネルギー密度は110J/mm3である。
3D-CAMソフトを使用し、造形する立体形状物に対応する三次元図面データを作成する。水平方向に形成される穴の径は、φ6、φ1、φ0.5の3種類とした。
φ1、φ0.5の穴は、従来の三次元造形装置では得るのが困難な極細の穴である。また、φ6の穴は、微細構造とは言えないが、極細の穴と同様、従来の三次元造形装置では得るのが困難な大径の穴であるため、本発明の適用によって造形可能となるか併せて確認したものである。
造形ステージの1層毎の下降量は、スライスデータの厚さに等しく、かつ使用するSUS420J2粉末の粒子径分布のピークに対する半値幅の範囲内である30μmに設定した。
使用する光ビームは以下の条件に設定した
・光源:日星電気製、500Wシングルモードファイバレーザ
・ビーム径:照射面において50μm
・ビーム出力:50W
光ビームは以下の条件で走査した。上述の光ビーム条件とこの走査条件により、粉末材料に与えられるエネルギー密度は110J/mm3となる。
・走査速度:370mm/s
・走査ピッチ:40μm
・走査経路:図2に示す走査経路を、造形する立体形状物の形状に対応する経路に調整した。
造形時に三次元造形装置内へ供給する不活性ガスは窒素ガスとした。
以上述べたデータ、条件を用いて三次元造形装置を動作させ、実施例3の立体形状物を造形した。
第4の実施例として、45°を大きく下回る、造形テーブルに対して15°の斜め方向に造形された部分を有する立体形状物を造形した。
使用する粉末材料は、実施例2と同じ、平均粒子径35μmのSUS420J2粉末を使用した。この材料の溶融結合に必要なエネルギー密度は110J/mm3である。
3D-CAMソフトを使用し、造形する立体形状物に対応する三次元図面データを作成する。造形する立体形状物は台座の中心から、φ0.5mmの棒が放射状に45本広がったものとした。垂直方向については、造形テーブルに対する角度が0°から90°まで、5°ピッチで棒が配置され、円周方向へは8°ピッチで棒が配置される構成とした。
造形ステージの1層毎の下降量は、スライスデータの厚さに等しく、かつ使用するSUS420J2粉末の粒子径分布のピークに対する半値幅の範囲内である30μmに設定した。
使用する光ビームは以下の条件に設定した
・光源:日星電気製、500Wシングルモードファイバレーザ
・ビーム径:照射面において50μm
・ビーム出力:50W
光ビームは以下の条件で走査した。上述の光ビーム条件とこの走査条件により、粉末材料に与えられるエネルギー密度は110J/mm3となる。
・走査速度:370mm/s
・走査ピッチ:40μm
・走査経路:図2に示す走査経路を、造形する立体形状物の形状に対応する経路に調整した。
造形時に三次元造形装置内へ供給する不活性ガスは窒素ガスとした。
以上述べたデータ、条件を用いて三次元造形装置を動作させ、実施例4の立体形状物を造形した。
2 光ビーム
3 光源装置
4 走査ミラー
5 集光光学系
6 造形部
7 造形テーブル
8 立体形状物(造形物)
9 材料保持部
10 材料保持テーブル
11 粉末材料
12 材料供給手段
13 給気手段
14 排気手段
V-1~V-4 縦方向の走査経路
H-1~H-4 横方向の走査経路
O-1~O-6 輪郭部の走査経路
Claims (8)
- 粉末材料に光ビームを選択的に照射された層を積層することで立体形状物を造形する、粉末床溶融結合方式を使用した三次元造形方法であって、
該光ビームの該粉末材料に対する照射面における該光ビームの直径が、該粉末材料の平均粒子径の2 倍以下であるとともに、
該立体形状物の造形時における該光ビームの走査経路は、複数の縦方向の走査経路と、該複数の縦方向の走査経路と交わる複数の横方向の走査経路を有し、
該複数の縦方向の走査経路において該光ビームのそれぞれは同一方向に走査され、
該複数の横方向の走査経路において該光ビームのそれぞれは同一方向に走査され、
該立体形状物の輪郭部を除き、該複数の縦方向の走査経路と該複数の横方向の走査経路とが交わる点には該光ビームが照射されないことを特徴とする、三次元造形方法。 - 該立体形状物が造形される造形ステージは、該立体形状物の1層分が造形される度に、該粉末材料の平均粒子径に略等しい量、下降することを特徴とする、請求項1に記載の三次元造形方法。
- 該光ビームの該粉末材料に対する照射面におけるエネルギー密度が、該粉末材料の溶融結合に必要な最低エネルギー密度の3倍以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の三次元造形方法。
- 該光ビームの出力時に、該光ビームの出力が所定の設定出力を超えることなく、設定出力に達することを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載の三次元造形方法。
- 該複数の縦方向の走査経路もしくは該複数の横方向の走査経路のうち、一方の走査経路に従った該光ビームの照射を終えた後、他方の走査経路に従った該光ビームの照射が行われることを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載の三次元造形方法。
- 該光ビームが、シングルモード光であることを特徴とする、請求項1~5の何れか1項に記載の三次元造形方法。
- 該粉末材料の平均粒子径が1~100μmであることを特徴とする、請求項1~6の何れか1項に記載の三次元造形方法。
- 請求項1~7の何れか1項に記載の三次元造形方法を使用して立体形状物を造形する、三次元造形装置。
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