JP6998008B2 - 分散性リン酸カルシウムナノ粒子、分散性リン酸カルシウムナノ粒子の製造方法、医薬品及び分散性リン酸カルシウムナノ粒子作製キット医薬品 - Google Patents
分散性リン酸カルシウムナノ粒子、分散性リン酸カルシウムナノ粒子の製造方法、医薬品及び分散性リン酸カルシウムナノ粒子作製キット医薬品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6998008B2 JP6998008B2 JP2017167176A JP2017167176A JP6998008B2 JP 6998008 B2 JP6998008 B2 JP 6998008B2 JP 2017167176 A JP2017167176 A JP 2017167176A JP 2017167176 A JP2017167176 A JP 2017167176A JP 6998008 B2 JP6998008 B2 JP 6998008B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- calcium phosphate
- nanoparticles
- carrier
- fer
- cap
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
- Medicinal Preparation (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
Description
本発明は第1担持物と第2担持物とを有する分散性リン酸カルシウムナノ粒子に関する。本発明における分散性リン酸カルシウムナノ粒子とは、リン酸カルシウム化合物を主成分とするマトリックスからなり、担持物として、第1担持物(有機分子で被覆された無機ナノ粒子)と第2担持物(粒子の分散性維持に寄与する有機分子)とを少なくとも含む、ナノサイズの分散性粒子を指す。ここで言うナノサイズの粒子とは直径又は長径1nm~1000nmの粒子を指すが、本発明では特に、静脈・動脈注射などにより生体内に投与可能で、細胞への取り込みに適した直径又は長径10nm以上600nm以下、好ましくは直径又は長径50nm以上500nm以下、さらに好ましくは直径又は長径100nm以上400nm以下の粒子を指す。
本発明における分散性粒子とは、30分という時間、単分散状態を維持することができると応用上十分であることから、生成直後あるいは注射用液に再分散させた後から、30分以上単分散状態を維持でき、凝集や沈降を起こさない粒子を言う。単分散状態の維持は、目視ならびにDLSによる粒子径分布により確認する。生成直後あるいは注射用液に再分散させた後から、30分後に、超音波照射やボルテックスなどにより振動を与えることで、単分散状態となるナノ粒子でも良い。単分散状態となることで、静脈・動脈注射などによる生体内投与が可能となり、また患部に到達して目的の細胞に取り込ませることができる。ナノ粒子を再分散させる注射用液としては、注射用水などが適している。ナノ粒子のマトリックスを構成するリン酸カルシウム化合物の安定性(耐溶解性)と生体内に投与する際の安全性の観点から、注射用液のpHは5~9、好ましくは6.5~8.0の、弱酸性から弱アルカリ性の水溶液が良い。
本発明における担持物は、リン酸カルシウム以外の物質からなり、リン酸カルシウムナノ粒子の表面、及び/または、内部に担持されることで、生物学的研究、診断や治療に役立つ機能を発揮したり、粒子の分散性維持に寄与したりするものである。本発明のナノ粒子に必ず含まれる担持物は、有機分子で被覆された無機ナノ粒子(以下、第1担持物)と、粒子の分散性維持に寄与する分散剤(以下、第2担持物)である。第1担持物及び第2担持物は、それぞれ単一の物質でも良いし、2種以上の物質であっても良い。さらに本発明のナノ粒子には、第1担持物、第2担持物に加えて、診断や治療に役立つ他の成分(以下、第3担持物)が1種以上含まれていても良い。
本発明における第1担持物は、有機分子で被覆された無機ナノ粒子であり、診断や治療に役立つ機能を有することもできる。無機ナノ粒子表面を適切な有機分子で被覆することにより、リン酸カルシウムマトリックスへの担持、及び、リン酸カルシウムから遊離した後の体液循環、代謝経路への移行が促される。無機ナノ粒子を被覆する有機分子を表面被覆剤とも言う。表面被覆剤として適切な有機分子は、無機ナノ粒子及びリン酸カルシウム化合物と強い相互作用を持ち、かつ、無機ナノ粒子の分散性を維持できる分子である。たとえば、中性付近の溶液中で負電荷を持つカルボキシル基、スルホ基、リン酸基や、正電荷を持つアミノ基、四級アンモニウム基などの極性官能基を1つあるいは複数含む分子や、水酸基、カルボニル基などの非イオン性の極性官能基を複数含む分子などが挙げられる。
分散性リン酸カルシウムナノ粒子には、同粒子の分散性を維持するため、第1担持物のほかに、さらに第2担持物として、分散剤が含まれている。ナノ粒子の分散剤としては、従来、アルキルスルホン酸、又はアルキルトリメチルアンモニウムなどの界面活性剤が使用されてきたが、毒性が懸念されるなど、生体内に投与する上での安全性に課題があった。一方で、本発明に係る分散性リン酸カルシウムナノ粒子に界面活性剤は含まれない。本発明の分散剤は、体内に投与可能な安全性と薬効を持つ物質に限られることに特徴がある。そのような分散剤は、認可済み注射用薬剤の中から選択することもできる。
分散性リン酸カルシウムナノ粒子には、上述の第1担持物、第2担持物のほかに、さらに、第3担持物として、診断や治療に役立つ分子が含まれていても良い。リン酸カルシウム化合物と強い相互作用を持つ極性官能基を有する分子であれば、リン酸カルシウムマトリックス中に共担持することができる。そのような分子としては、核酸(DNA、RNA、miRNA、又はsiRNA)、ヌクレオチド、タンパク質、ペプチド、糖鎖、抗体、酵素、又は補酵素などをそのまま用いても良いし、リン酸カルシウム化合物と強い相互作用を持つ極性官能基を複合化した分子を用いても良い。具体的には、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)などを特に好適な分子として挙げることができる。
分散性リン酸カルシウムナノ粒子は、リン酸カルシウムに対して過飽和な水溶液(以後、単に過飽和溶液と呼ぶこともある)中で合成することができる。具体的には、第1担持物、第2担持物、カルシウム含有液、及びリン酸含有液を混合し、過飽和溶液を調製する。混合時に、必要に応じて第3担持物、pH調整剤なども加える。混合後、過飽和溶液をボルテックスや振とうなどにより撹拌して均一にすると良い。この過飽和溶液を一定時間静置することにより、目的の粒子を得ることができる。得られた粒子は生成直後にそのまま使用しても良いし、洗浄してから注射用液に再分散させて使用しても良い。
フェルカルボトランとヘパリン、あるいは、フェルカルボトランとATPを含む分散性リン酸カルシウムナノ粒子を検討した。
第1担持物の原料液として、カルボキシデキストランに被覆された磁性酸化鉄ナノ粒子であり、MRI用造影剤であるフェルカルボトラン注射液(リゾビスト(登録商標)注(共和クリティケア株式会社))を用いた。また、第2担持物の原料液として、ヘパリンナトリウム注射液(ヘパリンNaロック用100単位/mLシリンジ「オーツカ」(大塚製薬株式会社))あるいはアデノシン三リン酸二ナトリウム注射液(ATP注20mg「イセイ」(コーアイセイ株式会社))を用いた。第1担持物、第2担持物の原料液、及び6種の医療用注射液から調製された3種の原料液(カルシウム含有液、リン酸含有液、pH調整剤)を混合し、リン酸カルシウム過飽和溶液(以後、反応液)を調製した(最終濃度として、Ca:3.68mM、P:1.83mM、Fe:0.25mM、他にNa、K、Clなどを含む)。カルシウム含有液は、リンゲル液「オーツカ」(大塚製薬株式会社)と塩化Ca補正液1mEq/mL(大塚製薬株式会社)を混合、リン酸含有液は、クリニザルツ(登録商標)輸液(共和クリティケア株式会社)とリン酸2カリウム注20mEqキット「テルモ」(テルモ株式会社)を混合、アルカリ化剤はメイロン(登録商標)静注7%(大塚製薬株式会社)と注射用水(扶桑薬品工業株式会社)の混合液)を混合することにより調製した。反応液は、37℃のインキュベーターで30分静置した。30分後、注射用水で析出物を洗浄し、遠心操作(6000rpm、5分)で試料を回収した。なお、以下、ヘパリンナトリウム注射液を添加して作製した試料をCaP-Fer-Hep、アデノシン三リン酸二ナトリウム注射液を添加して作製した試料をCaP-Fer-ATP、どちらも添加せずに作製した比較用の試料をCaP-Ferと記す。使用した医療用注射液及びその使用量(mL)を表1にまとめる。
得られた試料について、その形態、構造、及び組成を、走査電子顕微鏡(SEM)観察、エネルギー分散型X線分光法(EDX)、高周波誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)、及びX線回折法(XRD)により調べた。SEM観察、EDX、及びXRDにおいては、試料をシリコン基板上で乾燥させた。また、SEM観察及びEDX実施前に、試料上に金を蒸着した。ICPにおいては、30mLの反応液から作製した試料を乾燥させ、6M塩酸で溶解させた後に超純水で10倍に希釈した溶液を測定に用いた。
SEM観察の結果、生成した試料はいずれも一次粒子径100nm程度のナノ粒子であった(図1)。また、EDXによる元素分析により、いずれの粒子からも、C、O、Fe、P、Caのピークが検出されたことから(図2)、フェルカルボトランとリン酸カルシウムが共沈して複合粒子が生成したと考えられた。また、CaP-Fer-Hepでは、PとAuが連なるピークの右側の裾野のSのピーク位置にショルダーが観察された。これはSを含むヘパリンが粒子に取り込まれたためと考えられる。
得られた試料を洗浄後に注射用水に分散させた。この分散液を静置し、静置後30分~180分に写真撮影をした。また、30分静置した溶液を超音波処理(1分)した後に、動的光散乱法(DLS)による粒子径分布測定、ならびに、電気泳動光散乱法(ELS)によるゼータ電位測定を行った。
CaP-Ferでは、30分以内に粒子の沈降が見られ、時間ともに沈降が進んだ(図5左)。一方で、CaP-Fer-HepならびにCaP-Fer-ATPでは、180分静置後にも沈降は認められず、良好な粒子分散性が示唆された(図5中、右)。
貪食性のマウスマクロファージ様細胞(RAW264.7)ならびに非貪食性のヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を、6ウェルプレートに播種し、それぞれ37℃で培養した。24時間培養後、培地を取り除き、CaP-Fer-Hepあるいはフェルカルボトランを異なる3種の濃度(グループH(高濃度)、M(中濃度)、L(低濃度))で添加した培地を新たに与えた。培地中のFe濃度は、グループH、M、Lでそれぞれ0.50μM~0.57μM、0.25μM~0.27μM、0.13μM~0.15μMの範囲であった。培地交換後、さらに24時間培養し、細胞をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄後、細胞溶解剤を各ウェルに添加して細胞を溶解させた。この細胞溶解液中のFeの量をICPで測定し、細胞に与えた培地に添加した全Feの量で割った値を細胞への取込率として定義した。
CaP-Fer-HepのRAW264.7への取込率は、フェルカルボトランと比べて約2~3倍高くなった(図7)。これはCaP-Fer-Hepとフェルカルボトランのサイズの違い(CaP-Fer-Hep:300nm、フェルカルボトラン:57-59nm)や表面構造の違い(CaP-Fer-Hep:ヘパリンなどで被覆、フェルカルボトラン:カルボキシデキストランで被覆)によるものと考えられる。また、CaP-Fer-Hepは、貪食性のRAW264.7には高い比率で取込まれたものの、非貪食性のHUVECにはほとんど取込まれなかった(図7)。すなわち、CaP-Fer-Hepは貪食性であるマクロファージへの取込に適していることが示唆された。なお、非貪食性のHUVECには、フェルカルボトランもほとんど取込まれなかった(グループHで1.2%)。
無機ナノ粒子(第1担持物)の濃度の変化について、フェルカルボトランとヘパリンを含む分散性リン酸カルシウムナノ粒子を用いて検討した。
第1担持物の原料液として、フェルカルボトラン注射液(リゾビスト(登録商標)注(共和クリティケア株式会社))を用いた。また、第2担持物の原料液として、ヘパリンナトリウム注射液(ヘパリンNaロック用100単位/mLシリンジ「オーツカ」(大塚製薬株式会社))を用いた。第1担持物、第2担持物の原料液、ならびに、カルシウム含有液、リン酸含有液、pH調整剤を混合し、実施例1と同様にして反応液を調製した(最終濃度として、Ca:3.68mM、P:1.83mM、他にNa、K、Clなどを含む)。その際、反応液中のフェルカルボトラン濃度(反応液中のFe濃度として、0.25mM、0.50mM、0.75mM、1.25mM)を変化させた4種類の反応液を準備した。これらの反応液を、37℃のインキュベーターで30分静置した。30分後、注射用水で析出物を洗浄し、遠心操作(6000rpm、5分)で試料を回収した。なお、作製された試料は、フェルカルボトラン濃度の低い方から、CaP-Fer(1)-Hep(実施例1のCaP-Fer-Hepと同じ)、CaP-Fer(2)-Hep、CaP-Fer(3)-Hep、CaP-Fer(4)-Hepと記す。なお、使用した医療用注射液とその使用量(mL)を表2にまとめる。
得られた試料について、その形態、構造、及び組成を、SEM観察、EDX、ICPにより調べた。SEM観察及びEDXにおいては、試料をシリコン基板上で乾燥させ、実施前に試料上に金を蒸着した。ICPにおいては、30mLの反応液から作製した試料を乾燥させ、6M塩酸で溶解させた後に超純水で10倍に希釈した溶液を測定に用いた。
SEM観察の結果、生成した試料の一次粒子径は、反応液中のフェルカルボトラン濃度が高くなるにつれて小さくなった(図9)。また、EDXによる元素分析により、いずれの粒子からも、C、O、Fe、P、Caのピークが検出され(図10)、反応液中のフェルカルボトラン濃度に関わらず、フェルカルボトランとリン酸カルシウムが共沈して複合粒子が生成したことが示された。一方で、反応液中のフェルカルボトラン濃度が高くなるにつれて、C、O、Feのピークが大きくなっており(図10)、生成した粒子に含まれるフェルカルボトラン量も増加したと考えられた。このことは、ICPによる化学分析から算出したFe/Caモル比ならびにFe/Pモル比でも明らかで、反応液中のフェルカルボトラン濃度が高くなるにつれて、Fe/Caモル比ならびにFe/Pモル比はともに増加した(図11)。これらの結果より、粒子中のFe含有量は、反応液に含まれるフェルカルボトランの濃度により、ある程度制御できるといえる。
得られた試料を洗浄後に注射用水に分散させた。180分静置した溶液を超音波処理(1分)した後に、動的光散乱法(DLS)による粒子径分布測定、ならびに、電気泳動光散乱法(ELS)によるゼータ電位測定を行った。
DLSによる粒子径分布測定(180分静置後)によると、反応液中のフェルカルボトラン濃度が高くなるにつれて粒子の平均粒子径が小さくなったが、百ナノメートルサイズ~数百ナノメートルサイズの単分散粒子として存在することが確認された(図12)。また、粒子のゼータ電位は、反応液中のフェルカルボトラン濃度に関わらず、-14mV~-13mVと、比較的大きな負の値になった。実施例1と同様に、ヘパリンのスルホ基、及びカルボキシル基が粒子表面で負電荷を有する状態で存在することで、同粒子に大きな負のゼータ電位を与えたと考えられる。比較的大きな負のゼータ電位による粒子相互の反発により、粒子は長い時間単分散状態を維持できたと考えられる。
マウス頚動脈結紮モデルにCaP-Fer(3)-Hepを静脈注射し、24時間後に安楽死させ、肝臓ならびに頚動脈(結紮部分)を摘出した。肝臓ならびに頚動脈の組織切片を作製し、鉄を染色するプルシアンブルーによる染色を行った結果、それぞれの組織に青い箇所が観察された。これは、CaP-Fer(3)-Hepが各組織に取り込まれ、CaP-Fer(3)-Hepに含まれるフェルカルボトランが染色により青色を呈したためと考えられた。以上より、静脈注射により生体内に投与された本粒子は血管を介して目的臓器に到達可能であることが示された。
フェルカルボトランとDNAを含む分散性リン酸カルシウムナノ粒子について検討した。
第1担持物の原料液として、フェルカルボトラン注射液(リゾビスト(登録商標)注(共和クリティケア株式会社))を用いた。また、第2担持物の原料液として、DNA(ルシフェラーゼ遺伝子)溶液を用いた。第1担持物、第2担持物の原料液、ならびに、カルシウム含有液、リン酸含有液、pH調整剤を混合し、実施例1と同様にして反応液を調製した(最終濃度として、Ca:5.15mM、P:2.57mM、DNA:40μg/mL、他にNa、K、Clなどを含む)。その際、反応液中のフェルカルボトラン濃度(反応液中のFe濃度として、0μg/mL、6.97μg/mL、13.94μg/mL、27.87μg/mL、55.74μg/mL、139.35μg/mL)を変化させた6種類の反応液を準備した。これらの反応液を、25℃のインキュベーターで30分静置した。なお、作製された試料は、フェルカルボトラン濃度の低い方から、CaP-Fer(0)-DNA(フェルカルボトランを含まない)、CaP-Fer(1)-DNA、CaP-Fer(2)-DNA、CaP-Fer(3)-DNA、CaP-Fer(4)-DNA、CaP-Fer(5)-DNAと記す。なお、使用した医療用注射液とその使用量(mL)を表3にまとめる。
得られた試料について、その形態、構造、及び組成を、SEM観察、EDX、ICP、透過電子顕微鏡(TEM)観察、高角度環状暗視野走査透過電子顕微鏡(HAADF-STEM)観察、及び透過電子回折法(TED)により調べた。SEM観察及びEDXにおいては、試料を洗浄し、シリコン基板上で乾燥させた後、試料上に炭素を蒸着した。TEM観察においては、試料を洗浄した後に凍結乾燥させてから観察に用いた。ICPにおいては、1mLの反応液から作製した試料を乾燥させ、6M塩酸で溶解させた後に超純水で10倍に希釈した溶液を測定に用いた。DNA担持効率の算出においては、まず、30分後の反応液を遠心し、上澄みに含まれるDNA量を測定した。反応液中に添加したDNA量と上澄みに含まれるDNA量の差を試料に担持されたDNA量とし、その値を反応液中に添加したDNA量で割った値をDNA担持効率とした。
SEM観察の結果、生成した試料はいずれも一次粒子径200nm程度のナノ粒子であった(図13)。EDXスペクトルによると、本粒子には、Ca、Pならびに様々な量のFeが含まれていることがわかった(図14左)。また、反応液に含まれるフェルカルボトラン濃度(Fe濃度に比例)が高くなるほど、粒子のFe/Caモル比が大きくなった(図14右)。ICPにより算出したFe含有量も、反応液に含まれるフェルカルボトラン濃度が高くなるほど大きくなったことから、実施例2でも示したように、粒子中のFe含有量は反応液に含まれるフェルカルボトランの濃度により、ある程度制御できるといえる。
静置30分後の反応液をそのまま洗浄せずに用いて、動的光散乱法(DLS)による粒子径分布測定、ならびに、電気泳動光散乱法(ELS)によるゼータ電位測定を行った。
DLSによる粒子径分布測定において、CaP-Fer(0)-DNAならびにCaP-Fer(3)-DNAでは、平均粒子系が270nmならびに310nmとなり、フェルカルボトランを含まないCaP-Fer(0)-DNAのみならず、フェルカルボトランを含むCaP-Fer(3)-DNAにおいても良好な粒子分散性が示された(図17)。また、他の粒子の平均粒子系も300nm前後となった。
磁石非存在下における試料(CaP-Fer(0)-DNA、CaP-Fer(1)-DNA、CaP-Fer(2)-DNA、CaP-Fer(3)-DNA、CaP-Fer(4)-DNA、CaP-Fer(5)-DNA)の遺伝子導入能の評価については、平坦なプレート上で培養した細胞を用いて行った。チャイニーズハムスター卵巣由来細胞(CHO-K1)を24ウェルプレートに播種し、それぞれ37℃で培養した。24時間培養後、30分静置後の反応液を各ウェルにそれぞれ添加した。さらに48時間培養し、細胞をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄後、細胞溶解剤を各ウェルに添加して細胞を溶解した。細胞溶解液を遠心し、その上澄みをルシフェラーゼアッセイに用いた。
磁石非存在下における粒子の遺伝子導入能は、CaP-Fer(1)-DNA、CaP-Fer(2)-DNA、CaP-Fer(3)-DNAではCaP-Fer(0)-DNAと同程度となり、CaP-Fer(4)-DNA、CaP-Fer(5)-DNAでは低下する傾向にあった(図19)。これはDNAの担持効率(図15)と相関している。細胞毒性試験においては、どの粒子も有意な違いはなかったことから(図20)、今回使用した濃度・試験条件において細胞毒性のないことが示された。
頭蓋骨に磁石を固定したマウス一過性脳虚血モデルに、CaP-Fer(3)-DNAを動脈注射し、48時間後に安楽死させ、脳組織を摘出した。脳組織の一部をホモジナイザーと細胞溶解液で溶解させ、得られた溶解液を遠心し、その上澄みをルシフェラーゼアッセイに用いた。その結果、磁石の力が強く及ぶと思われる箇所から採取した組織の方が、磁石の力がそれほど強くない思われる箇所から採取した組織より、ルシフェラーゼの発現が多く見られた。これは、CaP-Fer(3)-DNAが磁石の影響を受け、脳組織に取り込まれたためと考えられた。以上より、本粒子は動脈注射によっても生体内に投与可能であることに加え、磁気によって粒子の体内分布を制御できる(目的の場所に局在化できる)可能性が示された。
フェルカルボトランとマイクロRNAを含む分散性リン酸カルシウムナノ粒子を検討した。
第1担持物の原料液として、フェルカルボトラン注射液(リゾビスト(登録商標)注(共和クリティケア株式会社))を用いた。また、第2担持物の原料液として、マイクロRNA溶液を用いた。第1担持物、第2担持物の原料液、ならびに、カルシウム含有液、リン酸含有液、pH調整剤を混合し、実施例1と同様にして反応液を調製した(最終濃度として、Ca:5.15mM、P:2.57mM、Fe:2.5mM、他にNa、K、Clなどを含む)。その際、反応液3mL中のマイクロRNAの含有量(0μg、40μg、80μg、120μg)を変化させた4種類の反応液を準備した。これらの反応液を、25℃のインキュベーターで30分静置した。なお、作製された試料は、マイクロRNAの含有量の少ない方から、CaP-Fer-miRNA(1)(マイクロRNAを含まない)、CaP-Fer-miRNA(2)、CaP-Fer-miRNA(3)、CaP-Fer-miRNA(4)と記す。なお、使用した医療用注射液及びその使用量(mL)を表4にまとめる。
得られた試料について、その形態、構造、及び組成を、SEM観察、ICPにより調べた。SEM観察においては、試料をシリコン基板上で乾燥させ、実施前に試料上に金を蒸着した。ICPにおいては、3mLの反応液から作製した試料を乾燥させ、6M塩酸で溶解させた後に超純水で10倍に希釈した溶液を測定に用いた。マイクロRNA担持効率の算出においては、まず、30分後の反応液を遠心し、上澄みに含まれるマイクロRNA量を測定した。反応液中に添加したマイクロRNA量と上澄みに含まれるマイクロRNA量の差を試料に担持されたマイクロRNA量とし、その値を反応液中に添加したDNA量で割った値をDNA担持効率とした。
SEM観察の結果、生成した試料はいずれも一次粒子径80nm程度のナノ粒子であった(図22)。ICPによる化学分析から算出したCa/Pモル比ならびにCa/Feモル比もほぼ同じであった(図23上)。他方で、反応液中のマイクロRNAの含有量が多いほど、粒子へのマイクロRNAならびにフェルカルボトラン担持効率は低下した(図23下)。また、マイクロRNAの粒子への担持量はCaP-Fer-miRNA(2) < CaP-Fer-miRNA(3) ≒ CaP-Fer-miRNA(4)であった。すなわち、マイクロRNAの担持量が増加するにつれて、フェルカルボトラン担持効率(フェルカルボトラン担持量と比例)が低下する傾向が見られた。
得られた試料を洗浄後に注射用水に分散させた。60分以上静置した溶液を超音波処理(1分)した後に、動的光散乱法(DLS)による粒子径分布測定、ならびに、電気泳動光散乱法(ELS)によるゼータ電位測定を行った。
DLSによる粒子径分布測定において、CaP-Fer-miRNA(1)は多分散となった。一方で、CaP-Fer-miRNA(2)、CaP-Fer-miRNA(3)、CaP-Fer-miRNA(4)では、平均粒子径がいずれも90nm~100nmとなり、百ナノメートルサイズの単分散粒子として存在することが確認された(図24)。また、粒子のゼータ電位は、反応液中のマイクロRNA濃度に関わらず、-14mV~-13mVと、比較的大きな負の値になった。実施例3のDNAと同様に、マイクロRNAに含まれるリン酸基が粒子表面で負電荷を有する状態で存在し、粒子の分散性を向上させたと考えられる。
タンパク質(第3担持物)の担持に関し、フェルカルボトランとヘパリンとタンパク質を含む分散性リン酸カルシウムナノ粒子を検討した。
第1担持物の原料液として、フェルカルボトラン注射液(リゾビスト(登録商標)注(共和クリティケア株式会社))を用いた。また、第2担持物の原料液として、ヘパリンナトリウム注射液(ヘパリンNaロック用100単位/mLシリンジ「オーツカ」(大塚製薬株式会社))を用いた。第3担持物としては、ヒト由来のbFGFゲノム遺伝子の発現により組換え体で産生されるタンパク質であるトラフェルミン(フィブラストスプレー500(科研製薬株式会社))を生理食塩水(大塚生食注(大塚製薬株式会社))に溶解させた溶液を用いた。第1担持物、第2担持物の原料液、第3担持物の溶解液、ならびに、カルシウム含有液、リン酸含有液、pH調整剤を混合し、実施例1と同様にして反応液を調製した(最終濃度として、Ca:5.15mM、P:2.57mM、Fe:0.25mM、bFGF:4μg/mL、他にNa、K、Clなどを含む)。これらの反応液を、37℃のインキュベーターで30分静置した。30分後、注射用水で析出物を洗浄し、遠心操作(8000rpm、5分)で試料を回収した。なお、得られた試料をCaP-Fer-Hep-bFGFと記す。使用した医療用注射液及びその使用量(mL)を表5にまとめる。
得られた試料について、その形態をSEM観察により調べた。SEM観察においては、試料をシリコン基板上で乾燥させ、実施前に試料上に金を蒸着した。また、得られた試料を洗浄後に注射用水に分散させた。この分散液を静置し、静置後30分に写真撮影をした。また、この溶液を超音波処理(1分)した後に、動的光散乱法(DLS)による粒子径分布測定、ならびに、電気泳動光散乱法(ELS)によるゼータ電位測定を行った。
SEM観察の結果、生成した試料は一次粒子径150nm程度のナノ粒子であった(図25)。分散液では、30分静置後にも沈降は認められず、良好な粒子分散性が示唆された(図26左)。DLSによる粒子径分布測定において、CaP-Fer-Hep-bFGFは平均粒子径が230nmとなり、数百ナノメートルサイズの単分散粒子として存在することが確認された(図26右)。また、粒子のゼータ電位は、-18mVと、比較的大きな負の値になった。bFGFの存在下でも、ヘパリンのスルホ基、及びカルボキシル基が、粒子表面で負電荷を有する状態で存在することで、同粒子に大きな負のゼータ電位を与えたと考えられる。比較的大きな負のゼータ電位による粒子相互の反発により、粒子は単分散状態を維持できたと考えられる。
Claims (18)
- リン酸カルシウムと、第1担持物と、第2担持物と、を含み、
前記第1担持物が有機物に被覆された無機ナノ粒子であり、
前記第2担持物が分散剤である、分散性リン酸カルシウムナノ粒子であって、
前記第1担持物と、第2担持物とは、前記分散性リン酸カルシウムナノ粒子の表面及び内部に担持される、
分散性リン酸カルシウムナノ粒子。 - 前記無機ナノ粒子が磁性酸化鉄ナノ粒子、金ナノ粒子、メソポーラスシリカナノ粒子、希土類含有無機ナノ粒子、銀ナノ粒子又はホウ素含有無機ナノ粒子である、
請求項1に記載の分散性リン酸カルシウムナノ粒子。 - 第3担持物をさらに含み、
前記第3担持物が薬剤であり、
前記第3担持物は、前記分散性リン酸カルシウムナノ粒子の表面及び内部に担持される、
請求項1に記載の分散性リン酸カルシウムナノ粒子。 - 前記有機物が、カルボキシデキストラン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール誘導体、ポリヒドロキシエチルメタクリレート又は2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンポリマーである、
請求項1に記載の分散性リン酸カルシウムナノ粒子。 - 前記分散剤が、核酸、ヌクレオチド、タンパク質、ペプチド、糖鎖、抗体、酵素又は補酵素である、
請求項1に記載の分散性リン酸カルシウムナノ粒子。 - 前記リン酸カルシウムが非晶質リン酸カルシウムである、
請求項1に記載の分散性リン酸カルシウムナノ粒子。 - 前記第1担持物として無機ナノ粒子薬剤と、前記第2担持物として有機分子薬剤を含む請求項1に記載の分散性リン酸カルシウムナノ粒子。
- 前記無機ナノ粒子が磁性酸化鉄薬剤である請求項1に記載の分散性リン酸カルシウムナノ粒子。
- 前記分散性リン酸カルシウムナノ粒子の、ゼータ電位の絶対値が10mV以上である、
請求項1に記載の分散性リン酸カルシウムナノ粒子。 - 第1担持物と第2担持物とカルシウム含有液とリン酸含有液とを混合して過飽和溶液を調製し、
前記混合後に、前記過飽和溶液を撹拌し、
前記撹拌後に過飽和溶液を一定時間静置することを含み、
前記第1担持物が無機ナノ粒子であり、
前記第2担持物が分散剤である、
分散性リン酸カルシウムナノ粒子の製造方法。 - 請求項1~9のいずれか一項に記載の分散性リン酸カルシウムナノ粒子を含む医薬品。
- 請求項1~9のいずれか一項に記載の分散性リン酸カルシウムナノ粒子を製造する作製キット医薬品。
- カルシウム含有液と、リン酸含有液と、第1担持物原料液と、第2担持物原料液と、を含み、
前記第1担持物が有機物に被覆された無機ナノ粒子であり、
前記第2担持物が分散剤である、
分散性リン酸カルシウムナノ粒子作製キット医薬品。 - 前記無機ナノ粒子が磁性酸化鉄ナノ粒子、金ナノ粒子、メソポーラスシリカナノ粒子、希土類含有無機ナノ粒子、銀ナノ粒子又はホウ素含有無機ナノ粒子である、
請求項13に記載の分散性リン酸カルシウムナノ粒子作製キット医薬品。 - 第3担持物原料液をさらに含み、
前記第3担持物が薬剤である、
請求項13に記載の分散性リン酸カルシウムナノ粒子作製キット医薬品。 - 前記有機物が、カルボキシデキストラン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール誘導体、ポリヒドロキシエチルメタクリレート又は2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンポリマーである、
請求項13に記載の分散性リン酸カルシウムナノ粒子作製キット医薬品。 - 前記分散剤が、核酸、ヌクレオチド、タンパク質、ペプチド、糖鎖、抗体、酵素又は補酵素である、
請求項13に記載の分散性リン酸カルシウムナノ粒子作製キット医薬品。 - 前記無機ナノ粒子が磁性酸化鉄薬剤である請求項13に記載の分散性リン酸カルシウムナノ粒子作製キット医薬品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017167176A JP6998008B2 (ja) | 2017-08-31 | 2017-08-31 | 分散性リン酸カルシウムナノ粒子、分散性リン酸カルシウムナノ粒子の製造方法、医薬品及び分散性リン酸カルシウムナノ粒子作製キット医薬品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017167176A JP6998008B2 (ja) | 2017-08-31 | 2017-08-31 | 分散性リン酸カルシウムナノ粒子、分散性リン酸カルシウムナノ粒子の製造方法、医薬品及び分散性リン酸カルシウムナノ粒子作製キット医薬品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019043798A JP2019043798A (ja) | 2019-03-22 |
JP6998008B2 true JP6998008B2 (ja) | 2022-01-18 |
Family
ID=65816156
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017167176A Active JP6998008B2 (ja) | 2017-08-31 | 2017-08-31 | 分散性リン酸カルシウムナノ粒子、分散性リン酸カルシウムナノ粒子の製造方法、医薬品及び分散性リン酸カルシウムナノ粒子作製キット医薬品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6998008B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113456886B (zh) * | 2020-03-31 | 2023-07-18 | 中国人民解放军第四军医大学 | 核酸-磷酸钙纳米颗粒复合物及其在生物矿化中的应用 |
CN111422842A (zh) * | 2020-04-17 | 2020-07-17 | 中山职业技术学院 | 一种抗压性能优异的无定形磷酸钙及其制备方法和应用 |
CN115159765B (zh) * | 2022-09-05 | 2022-12-16 | 中国科学院上海高等研究院 | 磁性诱晶材料及其制备方法与应用其除硬降浊水处理工艺 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005126335A (ja) | 2003-10-21 | 2005-05-19 | Cell-Medicine Inc | リン酸カルシウム微粒子 |
JP2010530967A (ja) | 2007-06-22 | 2010-09-16 | ナノペット ファーマ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 陽電子を放出し無機粒子を含む組成物、及び医薬、特に診断方法におけるその使用 |
US20140249413A1 (en) | 2012-06-18 | 2014-09-04 | Gerald L. Wolf | Theranosis of macrophage-associated diseases with ultrasmall superparamagnetic iron oxide nanoparticles (uspio) |
-
2017
- 2017-08-31 JP JP2017167176A patent/JP6998008B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005126335A (ja) | 2003-10-21 | 2005-05-19 | Cell-Medicine Inc | リン酸カルシウム微粒子 |
JP2010530967A (ja) | 2007-06-22 | 2010-09-16 | ナノペット ファーマ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 陽電子を放出し無機粒子を含む組成物、及び医薬、特に診断方法におけるその使用 |
US20140249413A1 (en) | 2012-06-18 | 2014-09-04 | Gerald L. Wolf | Theranosis of macrophage-associated diseases with ultrasmall superparamagnetic iron oxide nanoparticles (uspio) |
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
Advanced Functional Materials,2010年,Vol. 20,pp. 67-77 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019043798A (ja) | 2019-03-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Wang et al. | Se@ SiO 2–FA–CuS nanocomposites for targeted delivery of DOX and nano selenium in synergistic combination of chemo-photothermal therapy | |
Hao et al. | Hybrid mesoporous silica-based drug carrier nanostructures with improved degradability by hydroxyapatite | |
Perez et al. | Silica-based multifunctional nanodelivery systems toward regenerative medicine | |
Cheng et al. | Gold nanosphere gated mesoporous silica nanoparticle responsive to near-infrared light and redox potential as a theranostic platform for cancer therapy | |
Zhu et al. | Nanoparticle-enhanced generation of gene-transfected mesenchymal stem cells for in vivo cardiac repair | |
Yang et al. | A core/shell/satellite anticancer platform for 808 NIR light-driven multimodal imaging and combined chemo-/photothermal therapy | |
Nairi et al. | Mesoporous silica nanoparticles functionalized with hyaluronic acid. Effect of the biopolymer chain length on cell internalization | |
Liu et al. | pH-sensitive nanogels based on the electrostatic self-assembly of radionuclide 131 I labeled albumin and carboxymethyl cellulose for synergistic combined chemo-radioisotope therapy of cancer | |
JP6998008B2 (ja) | 分散性リン酸カルシウムナノ粒子、分散性リン酸カルシウムナノ粒子の製造方法、医薬品及び分散性リン酸カルシウムナノ粒子作製キット医薬品 | |
Li et al. | Chitosan stabilized Prussian blue nanoparticles for photothermally enhanced gene delivery | |
Chen et al. | Biodegradable hollow mesoporous organosilica-based nanosystems with dual stimuli-responsive drug delivery for efficient tumor inhibition by synergistic chemo-and photothermal therapy | |
Kollenda et al. | A pH-sensitive fluorescent protein sensor to follow the pathway of calcium phosphate nanoparticles into cells | |
CN108743948B (zh) | 超声一锅法制备碳点-羟基磷灰石纳米复合物及其修饰方法和应用 | |
Dai et al. | SiO2-coated magnetic nano-Fe3O4 photosensitizer for synergistic tumour-targeted chemo-photothermal therapy | |
Han et al. | Orchestrated tumor apoptosis (Cu2+) and bone tissue calcification (Ca2+) by hierarchical Copper/Calcium-ensembled bioactive silica for osteosarcoma therapy | |
Wu et al. | A Bi 2 S 3-embedded gellan gum hydrogel for localized tumor photothermal/antiangiogenic therapy | |
Wu et al. | Recent advances in nanoplatforms for the treatment of osteosarcoma | |
Gao et al. | AuNRs@ MIL-101-based stimuli-responsive nanoplatform with supramolecular gates for image-guided chemo-photothermal therapy | |
Zhang et al. | Near-infrared triggered injectable ferrimagnetic chitosan thermosensitive hydrogel for photo hyperthermia and precisely controlled drug release in tumor ablation | |
Jabali et al. | Design of a pDNA nanocarrier with ascorbic acid modified chitosan coated on superparamagnetic iron oxide nanoparticles for gene delivery | |
Zhang et al. | Recent progress on biomedical applications of functionalized hollow hydroxyapatite microspheres | |
Teng et al. | Intracellular RNA and nuclear DNA-dual-targeted tumor therapy via upconversion nanoplatforms with UCL/MR dual-mode bioimaging | |
Xie et al. | Modification of magnetic molybdenum disulfide by chitosan/carboxymethylcellulose with enhanced dispersibility for targeted photothermal-/chemotherapy of cancer | |
Suresh et al. | Engineering biomolecular systems: Controlling the self-assembly of gelatin to form ultra-small bioactive nanomaterials | |
Huang et al. | Magnetic-controlled dandelion-like nanocatalytic swarm for targeted biofilm elimination |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A80 | Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80 Effective date: 20170922 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20171031 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200817 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20210610 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210622 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20210818 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20211019 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20211130 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20211210 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6998008 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |