JP6997924B2 - ボーリング孔内の検層方法および該検層のために用いられる水中浮遊型カプセルプローブ。 - Google Patents

ボーリング孔内の検層方法および該検層のために用いられる水中浮遊型カプセルプローブ。 Download PDF

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本発明は、一般土木工事や地下構造物の設置等に際して、地質や流水等地盤や地下水の状況を事前に試験・調査をおこなうための簡易な方法、ならびに該方法に用いられる水中浮遊型のカプセルプローブに関する。
トンネルやダム、地下発電所、燃料やエネルギーの地下貯蔵施設の設置、放射性物質の地下処分施設、二酸化炭素地中貯留(CCS)などの地下利用空間の確保、道路や鉄道などの切土・盛土、建物基礎掘削、あるいは自然または人工斜面の崩壊防護、石油・天然ガス、地下水採取、井戸や温泉の掘削などの各種資源開発の分野においては、観測、計画、設計、施工、安全、環境保全の観点から地中表層付近あるいは深部地盤の性状や特性(物理的、力学的、水理、あるいは化学など)、地下水の流動や性状(組成、水質、温度、電導度など)についてあらかじめ知ることは重要である。
地盤の状況を事前に検層するための方法としては、その一部にボーリング孔を掘削したうえで検層等がおこなわれる。 ボーリング孔内の透水や流向等の測定を行う場合においては、一般的に図18に示したようにボーリング孔H内に、先端部に測定機器類(例えばロッド方式の検層器K1)を備えた継ぎ足しが可能なロッドRやパイプを継ぎ足しつつ昇降自在に設置するとともに地上にはボーリング孔Hの上に櫓Yを建て、ボーリングマシンBやウインチ、電源等を設置した所謂ロッド方式のものが知られている〔似たような構造の公知例として特開2008-63825号公報(特許文献1)や特開2001-280053号公報(特許文献2)等がある〕。
また図19に示したように、ボーリング孔H内に挿入され検層器K2などの測定機器をケーブルCの先端に繋いで地上からケーブルウインチによりケーブルを巻き上げ、あるいは下降させることで、ボーリング孔H内の目標深度における孔径、水圧、流水量、流速、水温、電導度、放射能強度などの測定や孔壁画像の撮影などをおこなうようにした所謂ケーブル方式のものも多数存在する〔例えば比較的似たような構造のものとしては特開2007-263658号公報(特許文献3)〕。
また上記いずれかの方式による検層において、孔内の水流量を測定するために孔壁との間の通水を規制するための弾性パッカーを周囲に取り付けるとともに、内部に流水量センサーを備えた内部通水型ゾンデを長尺のケーブルにより孔内の目的深度まで下して固定し、孔内より常時定量の地下水を揚水し、あるいは逆に孔内に常時定量の水を供給して目的深度の地下流水状況を検査する方法も知られている〔例えば特許第4006884号公報(特許文献4)。
しかし、ロッド方式やケーブル方式のものを含めたボーリング孔内検層では、ボーリング孔の地上部での櫓の設置あるいはウインチ等の各種設備の設置や、ボーリング孔内装置の昇降測定、装置回収等一連の作業が必要となり検層設備の規模が大がかりとなり装置の設置や回収に多大な費用と期間および労力を必要とする。また孔内検層に際して孔壁に圧接させるパッカーを用いる場合においては、孔内の流水速度や透水試験をおこなう場合に、測定のコストや測定期間などの制限から一回の測定区間を長くしたり、あるいは測定区間数を絞るなどの対応を取らざるを得ない。そのためにボーリング孔内測定区間を網羅した十分な測定ができなかったり、あるいは測定区間数が限られ、または測定区間長が長い等、分解能が粗い測定結果しか得られないことが多く、測定区間に水みちが含まれなかったり、一つの区間に大小の水みちが複数含まれることにより主要な水みちの位置や透水性を正確に捉えることが困難となる場合が少なくない。
また孔内の水流量を測定するために孔壁との間の通水を規制するための弾性パッカーを周囲に取り付けた水流量センサー内蔵の内部通水型ゾンデを長尺のケーブルにより孔内の目的深度まで下して孔壁に固定して検層する場合においては、孔壁面を崩壊させやすく、安定した検層結果を得るのが難しい場合がある。
特開2008-63825号公報 特開2001-280053号公報 特開2007-263658号公報 特許第4006884号公報
既述したように、道路、鉄道等の切土・盛り土、建物の基礎掘削、斜面防護あるいは地滑り防止対策工事などの一般土木工事、トンネルやダム、あるいは地下発電所、石油・天然ガスなどの燃料やエネルギーの地下貯蔵・備蓄設備、二酸化炭素地中貯留(CCS)、放射性廃棄物の地層処分施設など、地盤や岩盤を大深度かつ大規模に活用する構造物や施設の設置においては、設置対象となる地盤や岩盤の一部にボーリング孔を掘削し、ボーリング孔内の深度毎の地質や地盤の物性、ならびに流速、流量、流向等の地下水の性状を把握するための試験・調査を行うことは不可欠である。
こうした場合に、前記した背景技術に述べたものにおいて、測定装置を上げ下ろしするためのロッドやパッカーを用いる孔内流速測定や透水試験では、複数のパッカーにより隔離された測定区間毎での平均的な透水係数は得られるものの、コストや測定期間の制約などにより、一回の測定区間長を長めにしたり、あるいは測定区間を絞る等の対応をとらざるを得ない場合においては、孔内測定対象区間を網羅した測定ができなかったり、また一つの区間に大小の水みちが複数含まれることにより、主要な水みちの位置や透水性を正確に把握できない可能性がある。
本発明においては上記の課題を解決し、検層手段を簡素化するために、図1の
の概念図にあらわしたように、水圧センサーおよび該センサーの感知した情報を随時連続的に記録するメモリー等の記録手段を搭載した水中浮遊型のカプセルプローブ1を用い、これを掘削したボーリング孔H内の水中を単独にて上昇・下降浮遊させることによって情報を記録し、カプセルプローブ1による検層作業の終了後において、上記記録手段より記録情報を取り出してボーリング孔H内の深度毎の水圧変化の度合いにより孔内の水みちなどの存在を正確に知ることができるようにしたものである。
この場合における測定の原理について簡単に説明すると、
(1) ボーリング孔Hと水みちが交差する箇所からの地下水の流入や流出により、孔内における水みちと交差する箇所付近での水の流速が変化する。
(2) カプセルプローブ(浮体)1の移動速度は、(i)自らの自重、(ii)浮力および(iii)カプセルプローブへの流体抵抗(孔内流速の関数)、のバランスにより深度方向に変化する。(i)と(ii)はカプセルプローブの形状と重量で決定されるため、カプセルプローブの移動速度と孔内流速とは一意的な関係にある。
(3) カプセルプローブ1の移動速度は、そこに搭載されたメモリー式圧力センサーに記録された水圧から換算されるカプセルプローブ位置(深度)の時間推移変化から測定することができる。
(4) カプセルプローブ(浮体)移動速度の変曲点から水みちの深度を特定することができる。
(5) カプセルプローブ1の移動速度と孔内流速との関係を予め求めておくことにより、各深度における孔内流速を求めることができる。
(6) 孔内流速とボーリング孔Hの断面積を乗じることにより、各深度における孔内流量を求めることができる。
ということになる。
具体的な手順としては、
(ア) カプセルプローブ1に搭載された記録手段に記録されている水圧に孔内水の密度(比重)で除することによりカプセルプローブ1の移動時における時々刻々変化する深度を算定する。
(イ) カプセルプローブ1の深度の経時変化からカプセルプローブ1の浮遊移動速度を算定する。
(ウ) ボーリング孔Hと水みちとが交差する箇所においては孔内の水流速が変化することによりカプセルプローブ1に作用する水流の抵抗が変化し、このためカプセルプローブ1の浮遊移動速度が変化することから、カプセルプローブ1の浮遊移動速度の変化点の有無および変化点の位置から水みち等の存在および深度を特定する。
上記(ア)~(ウ)の手順によることになる。
また、カプセルプローブ1の各深度における浮遊移動速度Uと水流速vの関係を予め求めておくことにより、各深度の水流速を計算することができる。この場合に、各深度の水流速vにボーリング孔Hの断面積Aを乗じることにより、各深度の孔内流水量Q(=A×v)を求めることができる。なお、カプセルプローブの浮遊移動速度Uと孔内流速vとの関係については、理論解や数値解析結果を用いる方法や、同じ孔径のパイプなどを用いた実験データを用いる方法も考えられる。
また本発明においては、カプセルプローブ1に搭載される記録手段に記録された水圧変化から求められる浮遊移動速度(カプセルプローブの圧力変化と浮遊移動時間との関係)を、より正確に計算するためにカプセルプローブ1に位置補正のための温度、電気伝導度、水質変化などのセンサーを合わせて搭載してこれらの記録手段に記録し、これらの記録手段をもとに計算されるカプセルプローブ1の水圧変化情報を補正することにより、より正確なボーリング孔H内の深度や浮遊移動速度を連続的に測定することができる。
さらに本発明においては、ボーリング孔H内において、自然状態および揚水状態における、少なくとも2つのケースの揚水条件下において、水中浮遊型カプセルプローブ1を用いた測定方式による孔内測定を実施することで得られるボーリング孔H内測定対象区間の水流速、あるいはこれにボーリング孔断面積を乗じて計算される孔内流水量、さらに水圧の連続測定結果からボーリング孔内における深度方向の連続的な透水係数を算定することができる。これによりボーリング孔H沿いに存在する水みちの位置を正確に特定することが可能となり、水みちおよび主要な水みちを含まない区間の透水係数や透水量係数などの水理特性を、簡易で且つ無動力で連続的に測定することが可能となる。
具体的には、水圧センサーと、該水圧センサーの感知情報を随時記録する手段と、を備えた水密カプセルプローブを用いてボーリング孔内の水中を上下方向に向けて自己浮遊させ、得られた水圧変化の記録情報をもとにボーリング孔内壁面の水流速や透水性の状況を計算して調査するようにしたボーリング孔内の検層方法に関する。またこの場合の水密カプセルプローブには水圧センサーと、該水圧センサーの感知情報を記録する手段のほかに、水圧センサーの感知情報値を、より正確に補正するための手段として温度、電気伝導度、水質、水流速、透水性、画像のうち1又は2以上の感知センサーおよびこれらの感知情報記録手段を備えてなるものであるボーリング孔内の検層方法に関する。
また本発明は、ボーリング孔内の水中において浮遊することが可能な水密のカプセルプローブと、該カプセルプローブに設置された水圧センサーと、該センサーの感知した情報および時刻を記録する手段と、からなるボーリング孔内検層のために用いられる水中浮遊型カプセルプローブに関する。さらにこの場合のカプセルプローブには、水圧センサーと、該センサーの感知した情報を記録する手段のほかに、上記した水圧センサーの記録情報値をより正確に補正する手段、すなわち温度、電気伝導度、水質、水流速、透水性のうち1又は2以上の感知センサーおよびこれらの感知情報記録手段を備えてなるものである水中浮遊型カプセルプローブにも関する。
さらにこれらの水中浮遊型カプセルプローブが、水密に複数分割され、内蔵した駆動手段により内容積(気室)を拡大または収縮することが可能であるところの水中浮遊型カプセルプローブにも関する。さらに、該カプセルプローブ1には、水圧センサーと、該センサーの感知した情報を記録する手段のほかに、光学的あるいは赤外線などの静止画や動画などの画像を撮像できるセンサーと照明手段とを備えることにより、深度情報に関連づけられた連続孔壁画像(動画)を取得することができる水中浮遊型カプセルプローブにも関する。
本発明に係るボーリング孔内の検層方法によれば、掘削したボーリング孔内の水面下に水中自己浮遊型のカプセルプローブを投入し、無動力(この場合に気室の内容積を拡大または収縮するための動力は含まない)かつ孔壁面に非接触で上下移動させることによりカプセルプローブに搭載された水圧センサーによって感知される水圧変化とカプセルプローブの移動速度との相対関係によりボーリング孔内の詳細な水みちの分布等の検層を僅か1回の測定により連続的におこなうことができる。また別途実施する水理試験やトレーサー試験などの試験区間選定の根拠となる情報を得ることができる。
また在来のボーリング孔内の検層方法に比して必要な機材が極端に少なく、孔内検層のためのケーブル巻き上げウインチや燃料などの動力を不要として経済性を向上させ、さらには環境負荷を軽減させることができる。加えて機材の運搬や設置回収および労力、作業の危険度など、いずれの面においても著しく改善され、しかも測定対象区間の透水(量)係数を網羅的かつ連続的に、しかも短時間で測定することができる。さらに試験・測定開始までの準備期間が大幅に短縮され、設備の入れ替えがないためにボーリング孔掘削時の休止期間を利用した測定や、掘削完了後の他の検層・測定作業の休止期間中において、簡単に検層作業の実施をおこなうことができる。
さらにカプセルプローブに自動上昇・下降機能を記録したプログラム機構を付加することにより時間や深度など所定のスケジュールに従って無人で繰り返し測定を行うこともできる。また本発明によれば、ボーリング孔に沿った詳細な水みちの分布状況を明らかにすることができ、別途実施する水理試験やトレーサー試験などの試験区間選定の根拠となる情報を正確に得ることができる。
また本発明においては、ボーリング孔内の水面下に投入されるカプセルプローブが自己浮遊式であり、地上と係留するものがなく、しかも孔内断面積を占有しないところからボーリング孔内に複数の同種または異種のカプセルプローブを投入して浮遊させ、各種の測定を同時的に並行して実施することも可能となり、測定の効率化や情報量の増大をはかることも可能になる。本発明に係るボーリング孔内の検層方法によれば、掘削したボーリング孔内の水面下に水中自己浮遊型のカプセルプローブを投入し、無動力(この場合に内容積を拡大または収縮するための動力は含まない)かつ孔壁面に非接触で上下移動させることにより、カプセルプローブに搭載された水圧センサーによって感知される水圧変化とカプセルプローブの移動速度との相対関係によりボーリング孔内の詳細な水みちの分布等の検層を僅か1回の測定により連続的におこなうことができる。また別途実施する水理試験やトレーサー試験などの試験区間選定の根拠となる情報を得ることができる。
本発明における孔内検層の基本的な概念をあらわす地層内縦断面図。 水みちからボーリング孔内への水の流入・流出に伴う孔内流速の不連続な変化の状況をあらわした原理説明図。 孔内水みちの存在箇所と、孔内流速(流量)分布の計算方式をあらわした概念説明図およびその論理式。 孔内でのカプセルプローブの上昇・下降速度の計算方式をあらわした概念図。 孔内におけるカプセルプローブの上昇曲線から変曲点を求めて水みち深度の抽出をおこなう手法の説明図。 孔内におけるカプセルプローブの降下曲線から変曲点を求めて水みち深度の抽出をおこなう手法の説明図。 本発明において使用される各種カプセルプローブの第1実施例をあらわした縦断面図。 本発明において使用されるカプセルプローブの第2実施例をあらわした縦断面図。 第2実施例のカプセルプローブの体積変化の状態をあらわした縦断面図。 本発明の一実施例である、水密カプセルプローブを用い、ボーリング孔内の水中を上下方向に浮遊させ、得られた記録情報をもとにボーリング孔内壁面の状況を調査するようにしたボーリング孔内の検層手順を断面であらわした概念図(静水状態)。 本発明の別の実施例である、水密カプセルプローブを用い、水中ポンプを用いて揚水を継続しながら水みちからの孔内流水量を強制的に増加させつつボーリング孔内の水中を上下方向に浮遊させ、得られた記録情報をもとにボーリング孔内壁面の状況を調査するようにしたボーリング孔内の検層手順を断面であらわした概念図(揚水状態)。 ボーリング孔内にあるカプセルプローブの回収手段の一例をあらわした回収用電磁石ラッチの拡大縦断面図(A)、および図11の揚水ポンプの下端に取り付けられる回収用電磁石ラッチの拡大縦断面図(B)。 ボーリング孔内におけるカプセルプローブの浮遊上昇・降下速度をあらわした概念図。 ボーリング孔内流量分布に基づく区間毎の流出入量の計算方式をあらわした模式図。 測定区間iの透水量係数Tiとボーリング孔全体の透水量係数Ttotとの比を算出する計算式。 本発明による測定データの一例をあらわした説明のための概念図。 本発明による実際の測定データの例をあらわした説明のための実測図。 従来汎用されてきたロッド式の検層方法をあらわした縦断面図。 従来汎用されてきたケーブル式の検層方法をあらわした縦断面図。
以下において、本発明の具体的な内容を図示した実施例をもとに説明をする。
本発明は、掘削したボーリング孔内の水面下に、水圧感知センサーと該センサーの感知情報を記録する手段を搭載した密閉型カプセルプローブを浮遊させて孔内の下方または上方に向けて浮遊移動させることにより、ボーリング孔内と水みちが交差する箇所からの地下水の流入・流出により孔内における水みちが流入し、または流出する箇所付近での水の流速が変化する事象を水圧センサーが捉えて記録し、かかる記録データとカプセルプローブの移動速度との相対関係により孔内水流速や透水性を算出してボーリング孔内の水みちの存在等に関する孔内検層をおこなうことを基本とする。
この場合に、浮遊体であるカプセルプローブの移動速度は自らの自重および浮力と孔内水流速のバランスとにより深度方向に変化する。すなわち、図2および図3に模式的にあらわしたように、ボーリング孔H内をカプセルプローブ1が定速で上方又は下方に向けて浮遊する場合に、孔内の水みちから流入・流出する箇所の部分を通過する際の孔内流速Uが不連続に変化する(深さDと孔内移動速度Uの関係)事象を捉えて水みちの存在を特定することができる。
つまり、ボーリング孔H内に水みちが無い場合においては、カプセルプローブは自重、浮力および流水からうける抵抗力がバランスする一定速度(等速)で移動(上昇または下降)するが、図3に模式的にあらわしたように、同図(a)において孔内に水みちが複数(Q1~Q4)ある場合においては、同図(b)のようにQ1~Q4の各水みちに対応する深さで時間tとカプセルプローブの深度D(Depth)の関係および同図(c)にもあらわしたようにカプセルプローブの浮遊移動速度Uと深度Dの各関係に変化がみられ、したがってあらかじめ理論解または実験データなどにより求めておいたカプセルプローブの浮遊移動速度Uと水流速v(およびそれにボーリング孔の断面積Aを乗じることにより得られる流水量)との関係にも変化が見られることから、同図(a)における水みちQ1~Q4の各水みちの存在箇所において、同図(b)のように水みちQ1に対応する深さD1ではQ1/Aの関係に、また水みちQ2に対応する深さD2では(Q1+Q2)/Aの関係に、水みちQ3に対応する深さD3では(Q1+Q2+Q3)/Aの関係に、さらに水みちQ4に対応する深さD4では(Q1+Q2+Q3+Q4)/Aの関係となる孔内流速の変化がみられることになり、各水みち深度での水流量変化量から、Q1~Q4 の水流量を個別に求められる。
具体的には、孔内流速(流量)分布の計算手法として、カプセルプローブ(浮体)の上昇速度Uと孔内平均流速vの関係を予め求めておくことにより、孔内平均流速が計算される。孔内平均流速vに断面積Aを乗じることにより孔内流量Q(=A×v)が計算される。またカプセルプローブ(浮体)の上昇速度と孔内平均流速の関係については、理論解〔図3(d)に示す計算式など〕や数値解析結果等を、同じ孔径のパイプなどを用いた実験データと比較して補正することにより求めることができる。
さらに図4(a)に示したように、孔内の水みちの位置ならびに水みち流れ方向(地下水流入点・流出点)が異なる場合においても、同図(b)に示す通り、換算深度:Dと時間:tとの関係により浮体(カプセルプローブ)の上昇(下降)による移動速度を求めることができ、さらに同図(c)にあらわしたように、換算深度:Dと浮体(カプセルプローブ)上昇速度:Uの関係により浮体(カプセルプローブ)の上昇(下降)曲線の勾配から浮体(カプセルプローブ)の上昇速度を計算することができる。
なおこの場合に、カプセルプローブが孔H内を上昇する場合には図5(b)にあらわしたように、換算深度:Dと時間tとの関係から、換算深度=圧力計の水圧データにより深度を換算した場合に、水みちに交差する深度において、上昇曲線に変曲点(不自然な屈曲)が生じるのでこの変曲点の存在を確認することにより水みちの存在を特定することができる。逆に図6にあらわした場合のように、カプセルプローブが孔H内を下降する場合(同図(c))においては、同図(b)のように、水みちに交差する深度で上昇曲線に変曲点(不自然な屈曲)の存在を確認することができることにより水みちを特定することができる。
なおここで用いられるカプセルプローブ1については、図7に示すように種々の形態のものが考えられる。図7(a)から(d)にあらわしたものは、それぞれ中央部を縦断面であらわした各種形状のカプセルプローブであるが、それらは平面的にはボーリング孔に合わせてそれぞれ円形をなしている。形状については、円筒、球形、紡錘形、などのほかに外周面にスカート状のヒレをつけて流動直角方向の断面積を確保したもの等の利用も考えられる。この場合においては孔壁面に沿って優しく摺動移動するために孔壁面を傷めることが殆どない。
ボーリング孔H内での移動の容易性の観点からみれば、各カプセルプローブ1については平面的に円形をしたものが好ましい。さらに内部に気室2を有するとともに、該気室2は外部に対して気密に構成されており、またカプセルプローブ1の一部には記録媒体(メモリ)付の水圧センサー3が一体に搭載して取り付けられている。なおこの場合に用いられる記録媒体(メモリ)については、カプセルプローブ1がボーリング孔内から取り出した後に分解が可能である場合においては気室2内に取り付けるようにしてもよい(ただしこの場合には水圧センサー3の受圧面が孔内水と接触している必要がある)。
また図8にはカプセルプローブ1の別の実施例が示されている。すなわちこの場合においては、カプセルプローブ1が水密に複数分割(本実施例では2分割)されており、気室2を形成する碗状の上体部分(半球体)1bが下部のカプセルプローブ1本体の上部に形成した隔壁1aに対し、Oリング4aを介して気密に、しかも取り外しの際にスライド可能に構成されている。さらにカプセルプローブ1の本体に対して気密に取り付けられる碗状の上体部分1bの上端中心部には容積可変用円筒9がOリング4bを介して気密に昇降移動が可能な円形の窓1cが形成されており、該円形の窓1cには円筒状の容積可変用円筒9が上下方向に摺動可能に取り付けられている。さらにこの容積可変用円筒9はその下方部に取り付けられたところの外周面に螺状のねじ溝を施した螺子軸6aが下部の伸縮アクチュエーター5の内部に施されたねじ溝に噛み合されて螺子軸6aの正転又は逆転する回転に伴って容積可変用円筒9が碗状の上体部分1bの円形の窓1cから外部方向に出没可能に構成されている。なお図において6はカプセルプローブ1の本体上方に取り付けられたところの、前記螺子軸6aを正転または逆転させるためのギヤモーターを表しており、該ギヤモーター6を正転または逆転させることで容積可変用円筒9を碗状(半球体)の上体部分1bの上方外部方向に出没させ、これによって気室2の容積を自在に拡大または縮小させて調整することができる。
なお図中において8はギヤモーター6を駆動させるためのバッテリーを示す。この場合に、バッテリー8の配置を図8(A)(B)に示したように気室2内の碗状の上体部分1aの開口縁部に沿わせるべく円形となるように配置するとカプセルプローブ1の重心が保持しやすくなるのでより好ましい。また図9には、図8に示したカプセルプローブ1の体積(気室2の内容積)を変化させる過程をあらわしている。同図において(A)は容積可変用円筒9の下降時(体積最小)、(B)はその上昇時(体積増加)の状態をあらわしている。なお図において3はメモリー付きのセンサーをあらわしている。
この場合における図8のカプセルプローブ1の、さらに具体的な構成について例示説明をすると、直径がφ50mmの球体を2分割して半分にし、両者の中間部に同径の30mmの円筒を継ぎ足して略カプセル状に構成した。この場合に上半分の半球体1bは内部中空としてあるとともに、その開口縁内周側と、中間部の円筒体の上方開口部外周縁1aとの間にはOリング4aを介して水密構造にしてある。
この場合の投影断面積A1は、 A1=19.6cm2 体積Vは V=654cm3
であり、 真水の密度ρ1=1(g/cm3 ) 海水の密度ρ2=1.05(g/cm3
この物体が真水に浮くためには、V×ρ1=654gより軽くすることが必要となる。
またこの物体が海水中において沈むためには、V×ρ2=687gより重くする必要がある。
仮にこの物体の質量を690gとした場合に、水中で浮上するためには690-640=50g 50cm3 分体積を大きくすれば上昇させることができる。
また仮にφ20mmの棒を伸ばすと仮定すると、伸ばす長さは16cm φ20mmの断面積A2=3.14cm2
3000mでA2にかかる水圧は、海水の場合、約989kg=98N
1000mでA2にかかる水圧は、海水の場合、約330kg=33N
3000mでA2にかかる水圧は、海水の場合、約99kg=9.8N
となる。
かかる構成により、カプセルプローブ1が、水密に複数分割され、内蔵したギヤモーター6等の駆動手段により内容積を拡大または収縮(縮小)することが可能となる。上記したいずれのカプセルプローブ1を用いる場合においても、ボーリング孔H内の水面下におけるカプセルプローブ1の移動速度Uは、その浮力と自重およびカプセルプローブ1周辺の水流速vに依存して求められるものであることを利用して、重量と体積とがあらかじめ知られているカプセルプローブ1をボーリング孔H内の水面下に投入し、その移動速度Uから孔内流速vを求めるものである。
〔検層の操作手順〕
カプセルプローブ1を用いたボーリング孔H内の検層手順については、図10にあらわした測定手順によるものとする。この場合にカプセルプローブ1の比重を、水の比重より重くした水中浮遊型のカプセルプローブ1を使用している。
(a) まずボーリング孔H内の水面下にケーブル等の連係手段を用いることなく観測者によりカプセルプローブ1を投入して浮遊させる。
(b) 投入されたカプセルプローブ1は浮遊しながら孔壁に沿って自重により底部に向けて自然降下しつつ水圧センサーにより順次水圧変化を記録する手段であるメモリに記録しつつ測定をおこなう。
(c) 孔底に到着して停止する。
(d) この場合にカプセルプローブ1を図8および図9にあらわしたような内蔵した駆動手段により、容積可変用円筒部分9の張り出し量を増加または減少させることが可能な構造のものを用いた場合においては、所定の深度に到着したことを感知する手段、例えば圧力センサー等の情報をもとに、これに基づいてカプセルプローブ1が予め設定した深度に到達したことを感知した際に、カプセルプローブ1のギヤモーター6が作動し、図8のカプセルプローブ1における容積可変用円筒9の張り出し量を増加させてカプセルプローブ1の体積を増加させるようにプログラミングした圧力スイッチ等をカプセルプローブ1内に取り付けておくことにより比重を水より軽くしてカプセルプローブ1を下降から上昇に転じさせることができる。
(e) 自動的に上昇に転じたカプセルプローブ1は、さらに上昇の過程において孔内の連続した測定をおこなう。
(f) カプセルプローブ1内の圧力感知スイッチ等の着底感知手段の作動パターンを、あらかじめ設定した深度あるいは時刻において上昇または下降に転じさせるよう設定しておくようにすれば、任意の区間を繰り返し測定することや測定終了時刻を指定しておくことをも可能とし、カプセルプローブ1の測定動作に自律性をもたせることが可能となる。
(g)カプセルプローブ1がボーリング孔Hの上端水面に達したところでカプセルプローブ1を人為的に回収をし、回収したメモリの記録に基づいてボーリング孔Hの測定領域における検層結果の解析を実施する。
なお、上記のカプセルプローブ1が、着底後に上昇に転じさせるような自律手段を備えていない場合には、(a)の投入前にカプセルプローブ1に軽くて細い丈夫な糸(例えばポリエチレンラインやカーボンライン)を繋いだまま順次降下させ、着底長さに達したところで上記の糸を手繰り寄せてカプセルプローブ1を回収するようにしてもよい。
なおカプセルプローブ1を孔底に沈設させる場合に、例えば錘のついた設置治具を使用して孔底に沈設させ、その後設置治具のみを回収してカプセルプローブ1の浮力と自重の差によって自動的に上昇しながら記録手段すなわちメモリ付きの水圧センサーによる孔内の圧力変化を逐次測定記録し、また別のセンサーおよびメモリなどの記録手段によって、温度や電気伝導度等を連続的に測定・記録する補正手段を備えたカプセルプローブ1が、孔内の水面にまで浮上した際に、例えば磁石等を取り付けて吸引させるようにした回収治具等によって回収するようにしてもよい。
この場合にカプセルプローブ1の比重を水の比重より重くした場合においては、カプセルプローブ1を孔内水面下に投入すると、カプセルプローブ1は浮力と自重の差により自動的に孔内を下降し、メモリ付きのセンサーによって孔内の水圧力や、温度電気伝導度などの補正用データを連続的に取得する。この場合に下降測定時においては上昇時測定では捉えにくい逸水部(孔内水の周辺地盤への流出)を捉えることができる。
上記した図10に示したものは自走型のカプセルプローブを静水状態で用いた場合の実施例であるが、別に図11に示したように、ボーリング孔H内の水を定量で揚水しながら検層することも可能である。この場合においては、底面にカプセルプローブ1の電磁石を利用した着脱用ラッチLを形成した揚水ポンプPの該ラッチLにカプセルプローブ1を取り付けたまま孔内水面下に揚水ポンプPを吊り下げておき、
(A)揚水ポンプPにより揚水を開始してボーリング孔H内の水位が低下したことを確認した後、揚水ポンプPのラッチLから人為的にカプセルプローブ1を切り離して自動降下させる。
(B)揚水ポンプによる揚水を継続させたままの状態において、カプセルプローブ1の自動降下時における連続的な孔内の検層を実施する。
(C)カプセルプローブ1が孔底に達したところで、図1の実施例の場合と同様に底部の圧力スイッチで着底を感知するとともに圧力スイッチによりプローブ体積を増加させて上昇に転じさせる。
(D)上昇に転じたカプセルプローブ1は、上昇しながら孔内壁面の連続した検層を実施してメモリに記録する。
(E)カプセルプローブ1が孔内水面下を上昇しきったところで揚水ポンプPのラッチLに電磁的に固定される。
(F)揚水ポンプPの作動を停止し、カプセルプローブ1とともに揚水ポンプPを人為的に回収する。
なお、この場合に用いられるカプセルプローブ11が着底後に上昇に転じさせるような自律手段を備えていない場合には、前記した図10の実施例の場合と同様に(A)の投下前にカプセルプローブ1に軽くて細い丈夫な糸(例えばポリエチレンラインやカーボンライン)を繋いだまま順次降下させ、着底長さに達したところで上記の糸を手繰り寄せてカプセルプローブ1を回収するようにしてもよい。
以下において、図10(自然状態)での水圧変化による測定と、図11(揚水状態)での水圧変化による孔内検層の原理を図13により説明をする。
既述した通り、本発明はボーリング孔H内の水面下におけるカプセルプローブ1の移動速度Uは、その浮力と自重およびカプセルプローブ1周辺の水流速vに依存して求められるものであることを利用して、重量と体積とがあらかじめ知られているカプセルプローブ1をボーリング孔H内の水面下に投入し、その移動速度Uから孔内流速vを求めるものである。
図13の(a)は静水中(流れが無い区間)での説明図であり、また(b)は流水中(流れが有る区間)での説明図である。いずれの場合においてもカプセルプローブ1の移動速度Uは、水の密度(ρw)、浮遊体であるカプセルプローブの密度(ρм)、水の粘性係数(η)、重力加速度(g)、浮遊体であるカプセルプロ-ブの直径(d),λ:孔壁が流体抵抗に与える効果を示す係数(λ≧1),をもとに図13にあらわした(a)および(b)のそれぞれの模式図の下方に示された計算式により検層結果(カプセルプローブ1の移動速度U)が求められる。
つまり孔内におけるカプセルプローブ1の移動速度Uから、ボーリング孔に沿った主要な水みちの位置の特定や連続的な透水係数(透水量係数)の算定が可能である。具体的には、透水(量)係数は、図14の孔内流量分布q(z)に基づく区間iにおける流出・入量の計算法により求められる。図14においては測定対象となるボーリング孔Hを、その深度方向にN個の区間(i=1,2,・・・・,N)に分割をして計測をおこなう。この場合に、区間iの長さ(Li)は一定であっても、あるいは場所によって異なっていてもよい。
本発明によって測定される孔内流量分布q(z)は、孔底からの積算流量であるから、任意の区間iにおける流量変化量Δqi(区間上端と区間下端のq(z)の差)は、区間iに単位時間内に流入または流出する水の量(正の場合は岩盤から孔内への流入、負の場合は孔内から岩盤への流出があることを示す)を示す。そこで以下においては、Δqiを「区間iへの流入流出量」と呼ぶ。
いま揚水量の異なる2回の揚水条件下(このうち1回は揚水を実施しない試験であってもよい)において本発明による測定を実施し、ボーリング孔内の流入流出量Δqi(1)、Δqi(2) (カッコ内の数字は測定番号をあらわす)を得ると、測定区間iの透水量係数Tiとボーリング孔全体の透水量係数Ttotとの比は、図15の(a)に示された式であらわされる。なお図15(a)の式は、図15の下方に表示された参考文献1の(9)式または参考文献2の(1)式である。
上記した(a)式においてQ1,Q2は、それぞれ第1回目、第2回目の揚水量をあらわしている。またTtotは、ボーリング孔全長の透水量係数であり、揚水試験結果から、例えば図15(b)のような井戸公式等を用いて算定することができる。なお図15(b)の算定式において、hwb,hR は、それぞれ井戸内および井戸から半径R離れた場所での水位であり、rwbは井戸の半径をあらわしている。
また(a)式におけるQ1,Q2は、測定者が設定する揚水量(既知量)であり、Ttotは、(b)式を用いて得られるため、本発明を用いて既述した区間流入流出量Δqi(1)、Δqi(2)を求めれば、図15の(a)式を用いることによって、ボーリング孔1内に沿った透水量係数Tiを連続的に求めることができる。また、透水係数については、透水量係数=透水係数×区間長の定義により、透水量係数を測定区間長さliで除することにより算定することができる。
また上記において、水中自己浮遊型のカプセルプローブ1の上昇あるいは下降速度について、気室2の容積を筐体であるカプセルプローブ1とメモリ付きのセンサーの重量を調節することにより任意に変えることができる。この場合に、水の比重に近づけることにより、カプセルプローブ1の移動速度を孔内の水流速に近づけることにより、水みちからの水の流入・流出に伴う孔内流速の微小な変化を捉えやすくすることができる。つまりカプセルプローブ1の容積(浮力)を変えることにより、浮遊移動方向(上昇および下降)を変えることができ、また浮遊移動速度を変えることにより同一測定区間長の測定に要する時間を任意に変えることが可能となる(カプセルプローブ1の移動速度を遅くすると測定時間は長くなるが水みちの深度などを、より一層詳細に特定することが可能となる)。
なお、水中浮遊体であるカプセルプローブ1の移動速度を求めるためにはカプセルプローブ1の時々刻々における深度を測定すれば足りる。これを実現するためには、基本的には圧力センサーを備えたメモリ付きのカプセルプローブ1を用いる。水中にある浮遊体としてのカプセルプローブ1の速度Uは、カプセルプローブ1の浮力と自重および周辺の水流速vから求められることを利用して、あらかじめ重量と体積が知られたカプセルプローブ1をボーリング孔H内に投入し、その移動速度Uから孔内水流速vを求める。
仮にカプセルプローブ1の比重を水の比重と完全に一致させると、カプセルプローブ1は孔内流速と同じ速度で孔内を移動するが、逸水箇所周辺などで下向きの流速を示す場合においては、カプセルプローブ1は自動的には浮上しないところから、これを避けるために浮遊体としてのカプセルプローブ1の比重を水より軽くするか、あるいは図8に示したような既述した自動浮力調整型のカプセルプローブを用いるのが好ましい。図8に示したような容積変化(浮力調整)機能を付加した自動浮力調整型のカプセルプローブによれば、容積は変化するが重量は変わらないため、結果として浮力が変化し、上昇または下降方向の移動速度または移動方向を任意に変えることが可能となる。
この場合に、容積可変用円筒9の、カプセルプローブにおける碗状の半球体1bからの張り出し量が大きければ気室2の容積が拡大し、下降しているカプセルプローブ1を上昇に転じさせることができる。また同様にカプセルプローブ1における容積可変用円筒9の、カプセルプローブにおける碗状の半球体1bからの張り出し量を小さくすることによって気室2の容積が減少して下降速度を増加させることができ、さらに容積可変用円筒9のカプセルプローブにおける碗状の半球体1bからの張り出し量を所定値以下にすることにより、上昇しているカプセルプローブ1を下降に転じさせることができる。
またカプセルプローブ1に検層のための深度や時間などの張り出し量の変化のスケジュールを記憶させるためのICチップ等のプログラミング手段を取り付けておくことにより、圧力センサーやタイマーの信号に基づいて所定のスケジュールによって上昇あるいは下降させることができる。なおカプセルプローブ1の浮力調整方式については、容積または重量を変化させる機能を備えているものであれば、必ずしも上記の構造のものに限定されない。
実験例
本発明によるボーリング孔内検層の測定原理の一例を図17にあらわす。図17は実測値として孔底からの高さ(cm)とカプセルプローブ1の速度(cm/s)との関係をグラフ化したものであり、これにより注水箇所付近での変化が大きいことがわかる。
1 カプセルプローブ(浮体または浮遊体)
1a 隔壁
1b 碗状の上体部分
1c 円形の窓
2 気室
3 記録媒体(メモリ)付の水圧センサー
4a Oリング
4b Oリング
5 アクチュエーター
6 ギヤモーター
7 ビデオカメラ
8 バッテリー
9 容積可変用円筒
10 レンズ
H ボーリング孔
P 揚水ポンプ
L 電磁石ラッチ
W ワイヤー

Claims (11)

  1. 水圧センサーと、該水圧センサーの感知情報を記録する手段と、を備えた水密カプセルプローブを用いてボーリング孔内の水中を上下方向に自己浮遊させ、得られた記録情報をもとにボーリング孔内壁面の状況を調査するようにしたボーリング孔内の検層方法。
  2. 掘削したボーリング孔内の水面下に、水圧感知センサーと該センサーの感知情報を記録する手段を搭載した密閉型カプセルプローブを浮遊させて孔内の下方又は上方に向けて浮遊移動させながら、ボーリング孔内と水みちが交差する箇所からの地下水の流入・流出により孔内における水の流速が変化する事象を水圧センサーが捉えて記録し、かかる記録データとカプセルプローブの移動速度との相対関係により孔内水流速や透水性を算出してボーリング孔内の水みちの存在等に関する孔内検層をおこなうようにしたボーリング孔内の検層方法。
  3. 水密カプセルプローブには水圧センサーと、該水圧センサーの感知情報を記録する手段のほかに、該水圧センサーの記録情報を補正するための温度、電気伝導度、水質、画像のうち1又は2以上の感知センサーおよびこれらの感知情報記録手段を備えてなるものである請求項1または請求項2に記載のボーリング孔内の検層方法。
  4. 水密カプセルプローブがボーリング孔内を下方又は上方に向けて浮遊する際に、水密カプセルプローブに備えた水圧センサーの感知する水圧変化から孔内水みちの存在を特定するようにした請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載のボーリング孔内の検層方法。
  5. ボーリング孔内を上下方向に浮遊する水密カプセルプローブには、検層のための深度や時間に応じて容積可変用円筒をカプセルプローブ外に出没させる張り出し量を変えることで気室の内容積を変化させることができるようにしたプログラミング手段を備えているところの請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載のボーリング孔内の検層方法。
  6. ボーリング孔内の水中において下方又は上方に向けて自己浮遊することが可能な水密のカプセルプローブと、該カプセルプローブに搭載された水圧センサーおよび該センサーの感知した情報を記録する手段と、からなるボーリング孔内検層のために用いられる水中浮遊型カプセルプローブ。
  7. ボーリング孔内の水中において下方又は上方に向けて自己浮遊することが可能な水密のカプセルプローブと、該カプセルプローブに搭載されたところの、ボーリング孔内と水みちが交差する箇所からの地下水の流入・流出により孔内における水の流速が変化する事象を捉える水圧感知センサーと、該センサーの感知情報を記録する手段と、からなるボーリング孔内検層のために用いられる水中浮遊型カプセルプローブ。
  8. カプセルプローブには、水圧センサーと、該センサーの感知した情報を記録する手段のほかに、水圧センサーの感知した情報を補正するための、温度、電気伝導度、水質、画像、のうち1又は2以上の感知センサーおよびこれらの感知情報記録手段を備えてなるものである請求項6又は請求項7に記載の水中浮遊型カプセルプローブ。
  9. 水中浮遊型カプセルプローブが、水密に複数分割され、内蔵した駆動手段により内容積を拡大または収縮することが可能であるところの請求項6から請求項8のいずれか1に記載の水中浮遊型カプセルプローブ。
  10. 水中浮遊型カプセルプローブが、水密に複数分割され、検層のための深度や時間に応じて気室の内容積を変えるべく、可変用円筒をカプセルプローブ外に出没させる張り出し量変化手段を備えているところの請求項6から請求項9のいずれか1に記載の水中浮遊型カプセルプローブ。
  11. 気室の内容積を変えるべく、可変用円筒をカプセルプローブ外に出没させる張り出し量変化手段には、検層のための深度や時間など可変用円筒をカプセルプローブ外に出没させる張り出し量変化手段の変化スケジュールをICチップ等に記憶させたプログラミング手段を備えているところの請求項6から請求項10のいずれか1に記載の水中浮遊型カプセルプローブ。
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