JP6995256B2 - 信号処理器、レーザレーダ装置及び風力タービン - Google Patents

信号処理器、レーザレーダ装置及び風力タービン Download PDF

Info

Publication number
JP6995256B2
JP6995256B2 JP2021553876A JP2021553876A JP6995256B2 JP 6995256 B2 JP6995256 B2 JP 6995256B2 JP 2021553876 A JP2021553876 A JP 2021553876A JP 2021553876 A JP2021553876 A JP 2021553876A JP 6995256 B2 JP6995256 B2 JP 6995256B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wind speed
signal processor
unit
value
wind
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2021553876A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2021079513A1 (ja
Inventor
尭之 北村
洋 酒巻
啓 諏訪
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Publication of JPWO2021079513A1 publication Critical patent/JPWO2021079513A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6995256B2 publication Critical patent/JP6995256B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01PMEASURING LINEAR OR ANGULAR SPEED, ACCELERATION, DECELERATION, OR SHOCK; INDICATING PRESENCE, ABSENCE, OR DIRECTION, OF MOVEMENT
    • G01P5/00Measuring speed of fluids, e.g. of air stream; Measuring speed of bodies relative to fluids, e.g. of ship, of aircraft
    • G01P5/18Measuring speed of fluids, e.g. of air stream; Measuring speed of bodies relative to fluids, e.g. of ship, of aircraft by measuring the time taken to traverse a fixed distance
    • G01P5/20Measuring speed of fluids, e.g. of air stream; Measuring speed of bodies relative to fluids, e.g. of ship, of aircraft by measuring the time taken to traverse a fixed distance using particles entrained by a fluid stream
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01SRADIO DIRECTION-FINDING; RADIO NAVIGATION; DETERMINING DISTANCE OR VELOCITY BY USE OF RADIO WAVES; LOCATING OR PRESENCE-DETECTING BY USE OF THE REFLECTION OR RERADIATION OF RADIO WAVES; ANALOGOUS ARRANGEMENTS USING OTHER WAVES
    • G01S17/00Systems using the reflection or reradiation of electromagnetic waves other than radio waves, e.g. lidar systems
    • G01S17/88Lidar systems specially adapted for specific applications
    • G01S17/95Lidar systems specially adapted for specific applications for meteorological use
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A90/00Technologies having an indirect contribution to adaptation to climate change
    • Y02A90/10Information and communication technologies [ICT] supporting adaptation to climate change, e.g. for weather forecasting or climate simulation

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Computer Networks & Wireless Communication (AREA)
  • Electromagnetism (AREA)
  • Radar, Positioning & Navigation (AREA)
  • Remote Sensing (AREA)
  • Aviation & Aerospace Engineering (AREA)
  • Optical Radar Systems And Details Thereof (AREA)
  • Radar Systems Or Details Thereof (AREA)

Description

本発明は、レーザレーダ技術に関し、特に、観測空間にて反射または散乱されたレーザ光に基づいて風速及び風向などの風況特性を計測するためのレーザレーダ技術に関する。
レーザレーダ技術は、観測空間に照射された後に反射または散乱されたレーザ光に基づいて当該観測空間の性質及び状態を観測するための技術であり、ライダ(LIght Detection And Ranging,LIDAR)と呼ばれることもある。このようなレーザレーダ技術は、観測空間内に浮遊するエアロゾル(aerosols)及び分子などの微粒子にて後方散乱されたレーザ光に基づいて風速及び風向などの風況特性(wind properties)を計測するために広く使用されている。たとえば、風力発電の用途では、発電効率の向上のために、レーザレーダによりリアルタイムに計測された風況特性を用いて風力タービン(風車)のナセルの向きあるいはブレードのピッチ角を適応的に制御することが行われている。また風力発電システムまたはウィンドファーム(wind farm)の建設予定地の風況観測のために、レーザレーダ技術が活用されることもある。ここで、ウィンドファームとは、陸上または洋上に配置された複数基の風力発電システムを有する発電所をいう。
レーザレーダを用いた風況特性の推定技術は、たとえば、下記の特許文献1及び非特許文献1に開示されている。特許文献1には、あらかじめ決められた気流モデルを用いて、LIDARセンサの検出出力から、風力タービンのロータに到来する将来の風況場(wind field)の風況特性を予測する技術がいくつか開示されている。特許文献1に開示されている技術の1つは、テイラーの凍結乱流仮説(Taylor’s frozen turbulence hypothesis)に基づく気流モデルを用いて風況特性を予測する方法である。しかしながら、この方法は、少ない演算量で将来の風況特性を予測することができるものの、予測精度が低いという課題がある。
欧州特許第2581761号明細書(たとえば、段落[0052]~[0055],[0059]~[0063])
P. Towers and B. L. Jones, "Real-time wind field reconstruction from LiDAR measurements using a dynamic wind model and state estimation," Wind Energy, vol. 19, issue 1, pp. 133-150, 2016.
風況特性の高精度予測技術としては、3次元空間及び時間に関するナビエ・ストークス方程式の直接数値シミュレーション(Direct Numerical Simulation,DNS)が知られている。しかしながら、そのような直接数値シミュレーションは膨大な演算量を必要とし、演算負荷が極めて高いという課題がある。
そこで非特許文献1には、ナビエ・ストークス方程式を簡易化することにより導出された風況推定モデルを用いて、風況特性の時間発展の数値計算を行う方法が提案されている。この方法は、前述の直接数値シミュレーション(DNS)と比べれば、少ない演算量で数値計算を行うことが可能である。しかしながら、ハードウェアに実装する観点からは、さらに少ない演算量で数値計算を行うことができる方法が求められている。
上記に鑑みて本発明の目的は、高い精度を保ちつつ少ない演算量で風況特性を予測することができる信号処理器、レーザレーダ装置及びこれを有する風力タービンを提供することである。
本発明の一態様による信号処理器は、レーザ光源を用いて生成された複数の変調光信号を観測空間の複数方位にそれぞれ送出し、前記複数の変調光信号が後方散乱することにより生じた複数の散乱光信号を複数の受信光信号として受信し、前記複数の受信光信号を検波して前記複数方位にそれぞれ対応する複数の受信信号を生成するレーザレーダセンサと連携して動作する信号処理器であって、前記複数の受信信号を周波数解析することにより、前記複数方位において前記レーザレーダセンサからの複数の距離範囲にそれぞれ存在する風の視線方向速度の計測値を算出する風況計測部と、前記視線方向速度の計測値に基づいて、前記レーザレーダセンサの中心軸方向に分布する1次元風速場を現時刻の推定風速場として算出する風速推定部と、ナビエ・ストークス方程式から導出された1次元空間に関する時間発展方程式を用いて、前記推定風速場からの風速場の時間発展を計算することにより将来時刻の予測風速場を算出する風速予測部とを備えることを特徴とする信号処理器。
本発明の一態様によれば、複数方位における風の視線方向速度の計測値に基づいてレーザレーダセンサの中心軸方向に分布する1次元の推定風速場が算出され、ナビエ・ストークス方程式から導出された1次元空間に関する時間発展方程式を用いて、当該1次元の推定風速場から風速場の時間発展が計算される。これにより、高い精度を保ちつつ少ない演算量で予測風速場を算出することが可能となる。
本発明に係る実施の形態1のレーザレーダ装置の概略構成を示すブロック図である。 実施の形態1の風況計測部の概略構成を示すブロック図である。 図3A~図3Cは、各種信号波形を表すグラフである。 実施の形態1における風況推定部の概略構成を示すブロック図である。 レーザレーダ装置を有する風力タービンを例示する図である。 現時刻の予測風速値の分布と将来時刻の予測風速値の分布とを概念的に表すグラフである。 実施の形態1の信号処理器の動作手順の一例を概略的に示すフローチャートである。 実施の形態1に係るデータ同化処理の手順の一例を概略的に示すフローチャートである。 実施の形態1の信号処理器のハードウェア構成例を示すブロック図である。 本発明に係る実施の形態2のレーザレーダ装置における信号処理器の概略構成を示すブロック図である。 実施の形態2における風況推定部の概略構成を示すブロック図である。 実施の形態2に係るデータ同化処理の手順の一例を概略的に示すフローチャートである。 本発明に係る実施の形態3のレーザレーダ装置における信号処理器の概略構成を示すブロック図である。 実施の形態3における風況推定部の概略構成を示すブロック図である。 実施の形態3に係るデータ同化処理の手順の一例を概略的に示すフローチャートである。 本発明に係る実施の形態4のレーザレーダ装置の概略構成を示すブロック図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る種々の実施の形態及びこれらの変形例について詳細に説明する。なお、図面全体において同一符号を付された構成要素は、同一構成及び同一機能を有するものとする。
実施の形態1.
図1は、本発明に係る実施の形態1のレーザレーダ装置1の概略構成を示すブロック図である。図1に示されるようにレーザレーダ装置1は、レーザレーダセンサ11と信号処理器41とを備えて構成されたライダ(Light Detection and Ranging,LIDAR)装置である。本実施の形態のレーザレーダ装置1は、風況特性としての風速を計測及び予測するように構成されている。
レーザレーダセンサ11は、レーザ光源を用いて生成された複数の変調光信号を、観測空間の複数方位すなわち視線方向LOS,LOS,…,LOSにそれぞれ送出し、当該複数の変調光信号が観測空間内に浮遊するエアロゾル(aerosols)及び分子などの微粒子にて後方散乱することにより生じた複数の散乱光信号を複数の受信光信号として受信し、当該複数の受信光信号を検波して前記複数方位にそれぞれ対応する複数の受信信号を生成する機能を有している。ここで、Jは、あらかじめ定められた視線方向LOS~LOSの個数である。本実施の形態では、視線方向LOS~LOSの個数は3個以上であるが、これに限定されず、2個でもよい。
具体的には、図1に示されるように、レーザレーダセンサ11は、単一波長(単一周波数)の連続波であるレーザ光を出力するレーザ光源21と、レーザ光源21から入力されたレーザ光を送信光信号と局発光信号とに分配する光分配器23と、光分配器23から入力された送信光信号に周波数変調及び振幅変調を施すことにより一連の変調光パルス(複数の変調光信号)を生成する光変調器24と、光変調器24から入力された一連の変調光パルスを増幅して一連の増幅光パルスを生成する光増幅器25と、光増幅器25の光出力端と光学的に接続された光サーキュレータ26と、光増幅器25から光サーキュレータ26を介して入力された一連の増幅光パルスを観測空間内の視線方向LOS,LOS,…,LOSに送出する光送受信部31と、光合波器27と、光検出器28とを備えている。光合波器27と光検出器28とにより光ヘテロダイン検波器(optical heterodyne detector)が構成される。
レーザ光源21としては、半導体レーザ光源または固体レーザ光源が使用可能である。また光増幅器25としては、音響光学変調器(Acousto-Optic Modulator)が使用可能であるが、これに限定されるものではない。光増幅器25は、長距離離れた遠方領域の風速を計測するために設けられており、たとえば、光ファイバ増幅器により構成可能である。
光送受信部31は、光サーキュレータ26の光入出力端と光学的に結合された光スイッチ33と、光アンテナ35~35とを備えて構成されている。光スイッチ33は、信号処理器41の制御部49から供給された制御信号に従って動作し、光サーキュレータ26の光入出力端と光アンテナ35~35のいずれかとの間を光学的に接続する。光スイッチ33がj番目の光アンテナ35と光サーキュレータ26の光入出力端との間を接続している間に、光サーキュレータ26から光送受信部31に入力された増幅光パルスは、j番目の光アンテナ35から視線方向LOSに送出される。このとき、観測空間にて当該増幅光パルスが後方散乱することにより散乱光信号が発生すると、j番目の光アンテナ35は当該散乱光信号を受信光信号として受信する。当該受信光信号は、光スイッチ33を介して光サーキュレータ26に伝搬する。
光サーキュレータ26は、非相反型の光学素子である。すなわち、光サーキュレータ26は、光増幅器25から順方向に入力された増幅光パルスを光送受信部31に出力するが、当該増幅光パルスを光合波器27に出力しない。一方、光サーキュレータ26は、光送受信部31から逆方向に入力された受信光信号を光合波器27に出力するが、当該受信光信号を光増幅器25に出力しない。このような光サーキュレータ26は、たとえば、1/4波長板と偏光ビームスプリッタとにより構成可能である。
光合波器27は、光分配器23から入力された局発光信号と、光送受信部31から光サーキュレータ26を介して入力された受信光信号とを合波して光ビート信号を生成し、当該光ビート信号を光検出器28に出力する。光検出器28は、光ビート信号を検波してアナログ受信信号(検波信号)R(h,t)を生成し、当該アナログ受信信号R(h,t)を信号処理器41に出力する。ここで、アナログ受信信号R(h,t)は、j番目の光アンテナ35を通じて受信されたh番目の受信光信号から得られた受信信号をいう。添え字jは、光アンテナ35の番号を示す1~Jの範囲内の整数であり、hは、受信光信号の番号(パルスヒット番号)を示す0~H-1の範囲内の整数であり(Hは正整数)、tは、時間を示す変数である。
本実施の形態の光検出器28は、バランスド受信器(balanced receiver)構成を有しており、たとえば、フォトダイオードなどの一対の受光素子により構成可能である。
レーザレーダセンサ11の内部における光経路は、光ファイバにより構成可能である。すなわち、レーザ光源21と光分配器23との間の光経路、光分配器23と光変調器24との間の光経路、光変調器24と光増幅器25との間の光経路、光増幅器25と光サーキュレータ26との間の光経路、光サーキュレータ26と光送受信部31との間の光経路、光分配器23と光合波器27との間の光経路、光サーキュレータ26と光合波器27との間の光経路は、光ファイバにより構成可能である。ただし、これら光経路は、光ファイバに限定されるものではない。
図1に示されるように信号処理器41は、風況計測部44、バッファメモリ45、風況推定部46及び制御部49を備える。制御部49は、レーザレーダセンサ11におけるレーザ光源21,光変調器24,光増幅器25及び光スイッチ33の動作をそれぞれ制御するための制御信号を供給し、風況計測部44,バッファメモリ45及び風況推定部46の動作をそれぞれ制御するための制御信号MC,BC,ECを生成する。
風況計測部44は、アナログ受信信号R(h,t)を周波数解析することにより、視線方向LOS~LOSにおいてレーザレーダセンサ11からの複数の距離範囲Δ(i=1),Δ(i=2),…,Δ(i=Nbin)にそれぞれ存在する風(流体)の視線方向速度の計測値を算出する。ここで、iは、距離範囲Δ(i)に割り当てられた番号(レンジビン番号)であり、Nbinは、3以上の整数である。
図2は、実施の形態1の風況計測部44の概略構成を示すブロック図である。図2に示されるように風況計測部44は、時間ゲーティング部51、領域変換部52、品質評価部53、スペクトル積算部56及び視線速度算出部57を有している。
時間ゲーティング部51は、各アナログ受信信号R(h,t)に対してA/D変換と時間ゲーティングとを実行することにより、距離範囲Δ(1),Δ(2),…,Δ(Nbin)にそれぞれ対応する時間領域信号r1,j(h,τ),r2,j(h,τ),…,rNbin,j(h,τ)を生成する。ここで、τは、各距離範囲Δ(i)に対応する時間領域内の局所的な時刻を表すサンプル番号である。
たとえば、時間ゲーティング部51は、各アナログ受信信号R(h,t)にA/D変換を施してディジタル信号を生成し、当該ディジタル信号を複数の時間領域信号r1,j(h,τ)~rNbin,j(h,τ)に分割することができる。あるいは、時間ゲーティング部51は、A/D変換と時間ゲーティングとを同時に実行することにより、時間領域信号r1,j(h,τ)~rNbin,j(h,τ)を生成してもよい。なお、レーザレーダセンサ11における光検出器28は、アナログ受信信号R(h,t)をディジタル受信信号に変換するA/D変換器を有していてもよい。この場合、時間ゲーティング部51は、A/D変換を行う機能を有していなくてもよい。
図3Aは、j番目の光アンテナ35を通じて受信されたH個の受信光信号から得られたアナログ受信信号R(0,t),R(1,t),…,R(H-1,t)の振幅波形を概念的に表すグラフである。図3Aに示されるように、各アナログ受信信号R(h,t)から、時間幅Δtの時間領域における信号成分が選択され、当該信号成分から時間領域信号ri,j(h,τ)が生成される。
次に、図2を参照すると、領域変換部52は、時間領域信号ri,j(h,τ)に対し、サンプル番号τについて時間領域から周波数領域への領域変換処理を実行することにより、周波数領域信号si,j(h,f)を生成する。ここで、fは、周波数を表すサンプル番号(周波数番号)である。領域変換処理としては、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform,FFT)などの離散直交変換が挙げられる。図3Bは、高速フーリエ変換(FFT)により得られる周波数領域信号si,j(0,f),si,j(1,f),…,si,j(H-1,f)のスペクトルを概念的に表すグラフである。
周波数領域信号si,j(h,f)は、品質評価部53とスペクトル積算部56とに供給される。品質評価部53は、周波数領域信号si,j(h,f)の信号品質を評価し、その評価結果である品質評価値Qi,j(h)をスペクトル積算部56に出力する。
具体的には、品質評価部53は、周波数領域信号si,j(h,f)から信号対雑音比(signal-to-noise ratio,SNR)を算出し、SNRが閾値以上であれば、品質良好を示す値(たとえば「1」)を有する品質評価値Qi,j(h)をスペクトル積算部56に出力し、SNRが閾値未満であれば、品質不良を示す値(たとえば「0」)を有する品質評価値Qi,j(h)をスペクトル積算部56に出力することができる。
スペクトル積算部56は、品質評価値Qi,j(h)に基づき、品質良好と評価された周波数領域信号si,j(h,f)のスペクトルのみをパルスヒット番号hについて積算(インコヒーレント積分)することにより積算スペクトル|si,j(f)|を算出することができる。図3Cは、積算スペクトル|si,j(f)|を概念的に表すグラフである。視線速度算出部57は、積算スペクトル|si,j(f)|に現れる極大ピークの周波数番号fを検出し、当該検出された周波数番号fからドップラ周波数を算出する。視線速度算出部57は、当該算出されたドップラ周波数から、各視線方向LOSにおける各距離範囲Δ(i)に存在する風の視線方向速度の計測値Vobs (k)(i,j)を算出することができる。ここで、上付き添え字kは、計測時刻tを表す整数である。
またスペクトル積算部56は、積算スペクトルの算出に使用された周波数領域信号si,j(h,f)の個数から1を減算して得た値すなわち積算回数Nsum (k)(i,j)を出力する。この積算回数Nsum (k)(i,j)は、視線方向速度の計測値Vobs (k)(i,j)の品質を表す値である。積算回数Nsum (k)(i,j)が一定値以上であれば、計測値Vobs (k)(i,j)の品質は良好であり、積算回数Nsum (k)(i,j)が低すぎれば、計測値Vobs (k)(i,j)の品質は不良であると評価することができる。
風況計測部44は、視線方向速度の計測値Vobs (k)(i,j)と積算回数Nsum (k)(i,j)との組合せを風計測データWMDとしてバッファメモリ45に出力する。バッファメモリ45は、風計測データWMDを一時的に記憶する。
次に、図1の風況推定部46の構成について説明する。
図4は、実施の形態1の風況推定部46の概略構成を示すブロック図である。図4に示されるように風況推定部46は、風速推定部60及び風速予測部71を有している。
風速推定部60は、バッファメモリ45から風計測データWMDを読み出し、風計測データWMDに含まれる視線方向速度の計測値Vobs (k)(i,j)及び積算回数Nsum (k)(i,j)に基づいて、レーザレーダセンサ11の中心軸方向に分布する1次元風速場を現時刻tの推定風速場として算出することができる。現時刻tの推定風速場は、推定風速値Vcen (k)(1),…,Vcen (k)(Nbin)からなる1次元の離散的な分布である。具体的には、風速推定部60は、計測値Vobs (k)(i,1)~Vobs (k)(i,J)を用いた非線形最小自乗法により推定風速値Vcen (k)(i)を算出することができる。
図5は、レーザレーダ装置1を有する風力タービン100を例示する図である。図5に示される風力タービン100は、レーザレーダ装置1を搭載するナセル101と、ナセル101を下方から支持するタワー102と、ナセル101に取り付けられたハブ103と、ハブ103を介してナセル101内のロータ軸(図示せず)と回転自在に連結されたブレード104A,104B,104Cからなるロータとを備えて構成されている。レーザレーダ装置1は、ロータの回転面を介して観測空間に増幅光パルスを送出することができるようにナセル101上に配置されている。ナセル101は、風向きに追従させるためにタワー102の向きΨを変化させるヨー制御と、到来風速に応じた受風量の調整のためにブレード104A~104Cの取付角Φを変化させるピッチ制御とを行うことができる制御装置(図示せず)を搭載している。
なお、図5には、ロータの回転面が風上側に位置するアップウィンド方式の風力タービン100が示されているが、これに限定されるものではない。ロータの回転面が風下側に位置するダウンウィンド方式の風力タービンがレーザレーダ装置1を搭載する実施の形態もありうる。
図5の例の場合、レーザレーダ装置1のレーザレーダセンサ11の中心軸CAの周りに4個の視線方向LOS~LOSが設けられている。レーザレーダ装置1は、視線方向LOS~LOSに増幅光パルス(増幅された変調光パルス)を送出し、各距離範囲Δ(i)にて後方散乱された散乱光に基づいて視線方向速度の計測値Vobs (k)(i,1)~Vobs (k)(i,4)を算出することができる。図4の風速推定部60は、計測値Vobs (k)(i,1)~Vobs (k)(i,4)及び積算回数Nsum (k)(i,1)~Nsum (k)(i,4)に基づいて、距離範囲Δ(i)における推定風速値Vcen (k)(i)を算出することができる。
風速推定部60は、有効性評価部61及び風速算出部62を有する。有効性評価部61は、風計測データWMDに含まれる積算回数Nsum (k)(i,j)を用いて、視線方向速度の計測値Vobs (k)(i,j)の有効性を評価し、その評価結果である評価値q(k)(i,j)を風速算出部62に出力する。本実施の形態の評価値q(k)(i,j)は、計測値Vobs (k)(i,j)が有効であることを示す値(たとえば「1」)、もしくは、計測値Vobs (k)(i,j)が無効であることを示す値(たとえば「0」)のいずれか一方である。
たとえば、次式(1)に示されるように、有効性評価部61は、積算回数Nsum (k)(i,j)が閾値Nth以上であれば、評価値q(k)(i,j)を「1」に設定し、積算回数Nsum (k)(i,j)が閾値Nth未満であれば、評価値q(k)(i,j)を「0」に設定することができる。

Figure 0006995256000001
なお、本実施の形態では、有効性評価部61は、積算回数Nsum (k)(i,j)に基づいて評価値q(k)(i,j)を設定しているが、この代わりに、品質評価値Qi,j(h)に基づいて評価値q(k)(i,j)を設定してもよい。この場合には、図2の風況計測部44は、計測値Vobs (k)(i,j)と積算回数Nsum (k)(i,j)との組合せに代えて、計測値Vobs (k)(i,j)と品質評価値Qi,j(h)(h=0~H-1)との組合せを風計測データWMDとして出力すればよい。
風速算出部62は、評価値q(k)(i,j)に基づき、計測値Vobs (k)(i,j)のうち各距離範囲Δ(i)に対応する有効な計測値の個数N (k)(i)が閾値以上であるか否かを判定する。たとえば、個数N (k)(i)は、次式(2)により算出可能である。

Figure 0006995256000002
風速算出部62は、有効な計測値の個数N (k)(i)が閾値以上であると判定したときは、当該有効な計測値に基づいて推定風速値Vcen (k)(i)を算出する。有効な計測値の個数N (k)(i)が閾値未満であると判定したときは、風速算出部62は、推定風速値Vcen (k)(i)を算出しない。これにより、精度の低い推定風速値Vcen (k)(i)の算出を回避することができる。
風速算出部62は、計測値Vobs (k)(i,1)~Vobs (k)(i,J)及び評価値q(k)(i,1)~q(k)(i,J)を用いた非線形最小自乗法により推定風速値Vcen (k)(i)を算出することができる。この非線形最小自乗法の一例を以下に説明する。説明の便宜上、4つの視線方向LOS~LOSの場合について説明するが、これに限定されるものではない。
先ず、図5に示されるように、視線方向LOS~LOSにおける距離範囲Δ(i)に存在する風の速度ベクトルV (k)(i,1),V (k)(i,2),V (k)(i,3),V (k)(i,4)の方向が中心軸CAの方向と平行であると仮定する。この仮定の下では、速度ベクトルV (k)(i,1),V (k)(i,2),V (k)(i,3),V (k)(i,4)の大きさ(絶対値)は、次式(3.1)~(3.4)で与えられる。

Figure 0006995256000003
式(3.1)~(3.4)において、vcen (k)(i)は、中心軸CAにおけるi番目の距離範囲Δ(i)の風速値であり、δv(i)は、垂直シア(鉛直方向における2点間の風速変化率)であり、δh(i)は、水平シア(水平方向における2点間の風速変化率)である。L(i)は次式(4)で与えられる。

Figure 0006995256000004
式(4)において、D(i)は、レーザレーダセンサ11から距離範囲Δ(i)までの距離であり、θは、中心軸CAと視線方向LOSとがなす角度である。
また、計測値Vobs (k)(i,1)~Vobs (k)(i,J)と速度ベクトルV (k)(i,1)~V (k)(i,4)との間の関係について次式(5.1)~(5.4)が成立する。

Figure 0006995256000005

式(5.1)~(5.4)において、e(i,1)~e(i,4)は、誤差である。
次に、次式(6.1)~(6.3)に示すようなベクトルVobs,vcen,eを定義する(ここで、上付き添え字「T」は転置を示す)。

Figure 0006995256000006
さらに、次式(7),(8)に示すような行列Q,Lを定義する。

Figure 0006995256000007

Figure 0006995256000008
ベクトルVobs,vcen,e及び行列Q,Lを用いれば、式(5.1)~(5.4)は、次式(9)で表される。

Figure 0006995256000009
非線形最小自乗法によれば、次式(10)で表される誤差の二乗和SSを最小化するベクトルvcenの推定量を求めることが可能である。

Figure 0006995256000010
非線形最小自乗法によれば、ベクトルvcenの推定量Vcenは、次式(11)で与えられる。

Figure 0006995256000011
式(11)において、Vcen (k)(i)はi番目の距離範囲Δ(i)における推定風速値、δH(i)は水平シア推定値、δV(i)は垂直シア推定値である。
したがって、風速算出部62は、式(11)に従い、計測値Vobs (k)(i,1)~Vobs (k)(i,J)及び評価値q(k)(i,1)~q(k)(i,J)を用いて推定風速値Vcen (k)(i)を算出することができる。計測環境が理想的である場合には、風速算出部62は、評価値q(k)(i,1)~q(k)(i,J)を用いずに推定風速値Vcen (k)(i)を算出することが可能である。
次に、図4を参照しつつ風速予測部71について説明する。風速予測部71は、ナビエ・ストークス方程式から導出された1次元空間に関する時間発展方程式を用いて、現時刻tの推定風速場からの風速場の時間発展を計算することにより将来時刻tk+Cの予測風速場を算出することができる。ここで、Cは、サイクル回数を示す1以上の正整数であり、任意の正整数値に設定可能である。後述するように、1サイクル毎に、時間発展方程式を用いた反復計算が複数回実行される。現時刻tの推定風速場は、推定風速値Vcen (k)(1),…,Vcen (k)(Nbin)からなる1次元の離散的な分布であり、将来時刻tk+Cの予測風速場は、予測風速値Vest (k+C)(1),…,Vest (k+C)(Nbin)からなる1次元の離散的な分布である。
図4に示されるように風速予測部71は、データ同化部74、時間ステップ設定部77、時間発展計算部78及び遅延素子79を有する。遅延素子79は、以前に算出された現時刻tの予測風速値Vest (k)(i)(i=1~Nbin)をデータ同化部74に供給する。
データ同化部74は、以前に算出された現時刻tの予測風速場を、風速推定部60から供給された現時刻tの推定風速場に同化させて濾波風速場を算出する。この濾波風速場は、濾波風速値Vfil (k)(1),…,Vfil (k)(Nbin)からなる1次元の離散的な分布である。すなわち、データ同化部74は、現時刻tの予測風速値Vest (k)(i)を現時刻tの推定風速値Vcen (k)(i)に同化させて濾波風速値Vfil (k)(i)を算出する。
たとえば、データ同化部74は、現時刻tの予測風速場と現時刻tの推定風速場との重み付け和を濾波風速場として生成することができる。すなわち、濾波風速値Vfil (k)(i)は、重み係数α,1-αを用いて、次式(12)で表される重み付け和として算出可能である。

Figure 0006995256000012
図1の制御部49は、重み係数α,1-αを計測環境に適した値に設定することができる。
時間ステップ設定部77は、濾波風速場に基づいて、時間発展計算部78にて使用される時間ステップdτを適応的に設定する。具体的には、時間ステップ設定部77は、濾波風速場を構成する濾波風速値Vfil (k)(1)~Vfil (k)(Nbin)のうちの最大風速値に基づいて、後述のクーラン条件(Courant-Friedrichs-Lewy Condition)を満たすように時間ステップdτを適応的に設定することが好ましい。クーラン条件は、時間発展方程式の安定した数値解を確保するための条件である。この点については後述する。
時間発展計算部78は、ナビエ・ストークス方程式から導出された1次元空間に関する時間発展方程式を用いて、濾波風速場からの風速場の時間発展を逐次的に計算することにより将来時刻tk+1,…,tk+Cにおける予測風速場を算出することができる。すなわち、時間発展計算部78は、時間発展方程式を用いて予測風速値Vest (k+1)(i),…,Vest (k+C)(i)を算出し、Cサイクル後に算出された予測風速値Vest (k+C)(i)を予測風速データPWDとして外部に出力することができる。このとき、1サイクル後に算出された予測風速値Vest (k+1)(i)は、遅延素子79に出力される。図6は、現時刻tの予測風速値Vest (k)(i)の分布と、現時刻tから1サイクル後の将来時刻tk+1における予測風速値Vest (k+1)(i)の分布とを概念的に表すグラフである。i=-1の場合の予測風速値Vest (k)(i),Vest (k+1)(i)は、レーザレーダセンサ11に到来する風速値を表している。
次に、時間発展方程式の導出法について説明する。
通常速度の風は非圧縮流体とみなされる。非圧縮流体に関するナビエ・ストークス方程式は、次式(13.1),(13.2)で表現される。

Figure 0006995256000013
ここで、uは風速ベクトル、νは粘性係数、ρは密度、pは圧力、Fは外力ベクトル、τは時間変数である。
粘性係数νは非常に小さいので、風の粘性を考慮しなくてよい。外力ベクトルFの項も無視することができる。よって、風の粘性が考慮されず、かつ外力が存在しないとの条件の下では、式(13.1),(13.2)から次式(14.1),(14.2)が導出される。

Figure 0006995256000014
今、観測空間における風の流れが中心軸CAに関して対称であると仮定する。また、中心軸方向における距離をxとし、中心軸方向とは垂直な径方向における距離をyとする円筒座標系(x,y)を考える。このとき、風速ベクトルuは、次式(15)で与えられる。

Figure 0006995256000015
風速ベクトルuのx成分u及びy成分uを用いれば、式(14.1),(14.2)は、次式(16.1),(16.2),(16.3)で表現される。

Figure 0006995256000016
式(16.3)を用いれば、式(16.1),(16.2)から次式(17.1),(17.2)が導出可能である。

Figure 0006995256000017
次に、式(17.1),(17.2)を時間方向に離散化するために、次式(18.1),(18.2)に示されるような風速ベクトルu(n)と中間的な風速ベクトルuとを導入する。

Figure 0006995256000018
ここで、上付き添え字nは、現時刻tとCサイクル後の将来時刻tk+Cとの間の局所的な時刻τを表す整数である。局所的な時刻τは、時間ステップdτの単位で変化する。
風速ベクトルu(n)を用いて式(17.1),(17.2)を時間方向に離散化すれば、次式(19.1),(19.2)が導出される。

Figure 0006995256000019
中間的な風速ベクトルuを用いれば、式(19.1)から次式(20.1),(20.2)が導出可能であり、式(19.2)から次式(21.1),(21.2)が導出可能である。

Figure 0006995256000020

Figure 0006995256000021
式(20.2)の両辺を変数xで偏微分すれば、次式(22.1)が導出される。また、式(21.2)の両辺を変数yで偏微分すれば、次式(22.2)が導出される。

Figure 0006995256000022
連続の式(16.3)を考慮すれば、式(22.1),(22.2)から次式(23)が導出可能である。

Figure 0006995256000023
観測空間の径方向における風速の変化率が極めて小さいと仮定すれば、変数yに関する1階偏微分の項を無視することができる。そこで、変数yに関する1階偏微分の項が考慮されないとの条件を採用すると、式(20.1)から次の近似式(24)が導出可能である。

Figure 0006995256000024
また式(20.2)を変形することで次式(25)が導出される。

Figure 0006995256000025
さらに、変数yに関する圧力pの2階偏微分が圧力pの線形関数であるとの条件を採用する。この条件の下でその線形関数をγp(γは定数)と表現すれば、式(23)から次の近似式(26)が導出可能である。

Figure 0006995256000026
次に、式(24),(25),(26)を空間方向に離散化するために、次の簡易表現式(27.1),(27.2),(27.3)を導入する(ここで、dxは、各距離範囲Δ(i)の幅である)。

Figure 0006995256000027
ところで、時間ステップdτの大きさには制約が存在する。安定した数値解を得るためには、クーラン条件(Courant-Friedrichs-Lewy Condition)と呼ばれる次の条件式(28)を満たすように時間ステップdτを決定することが好ましい。

Figure 0006995256000028
式(28)において、βは1以上の余裕度係数である。条件式(28)を常に満たすために、式(28)の左辺の風速値u (n)は、風速値u (n)~uNbin (n)のうちの最大風速値であることが好ましい。
式(24),(26),(25)を空間方向に離散化することで、それぞれ次式(29),(30),(31)が導出される。

Figure 0006995256000029

Figure 0006995256000030

Figure 0006995256000031
式(30),(31)において、P=p×dτ/ρ、である。
空間方向の離散化の方法は、式(29),(30),(31)の方法に限定されるものではない。安定した数値解を得るために、風上差分スキーム(Upwind Scheme)と呼ばれる離散化方法が適用されてもよい。風上差分スキームは、空間方向の離散化の際に、波動進行方向反対側のサンプル差分を用いる離散化方法であり、β=1の場合のクーラン条件が成立すれば、時間発展方程式の数値計算の安定化が保証される。式(24)に風上差分スキームを適用すれば、次式(32)が得られる。

Figure 0006995256000032
式(32)のU,Qは、次式(33.1),(33.2)により定義される。

Figure 0006995256000033
式(30)を用いてPi+1,Pを算出するために行列演算が適用できる。P=P及びPK+1=Pと仮定すれば(Kは整数)、式(30)は、次式(34)の形に変形され得る。

Figure 0006995256000034
式(34)において、行列Aは、次式(35)で与えられる。

Figure 0006995256000035
式(35)において、Iは、すべての対角成分が1で、かつすべての非対角成分が零の行列である。
したがって、次式(36)に示されるように、行列Aの逆行列A-1を用いて、Pi+1,Pを算出することができる。

Figure 0006995256000036
以上により、時間発展計算部78は、式(29),(36),(31)の組合せ、または、式(32),(36),(31)の組合せからなる時間発展方程式を用いて、1回の反復計算で、時刻τの風速値u (n),ui+1 (n)から、時刻τn+1(=τ+dτ)の風速値u (n+1)を算出することができる。時間発展計算部78は、1サイクル毎に、時間発展方程式を用いた反復計算を逐次的にκ回実行することにより、時刻τκ(=τ+κ×dτ)における風速値u (κ)を算出することが可能である。ここで、κは、反復計算の回数である。
時間発展計算部78は、データ同化部74から濾波風速値Vfil (k)(i)が与えられると、風速値u (n)の初期値u (0)を濾波風速値Vfil (k)(i)に設定する(i=1~Nbin)。次に、時間発展計算部78は、上記の時間発展方程式を用いた反復計算を逐次的に実行することによりCサイクル後の風速値u (Φ)を算出する。ここで、Φは、Cサイクルに亘る反復計算の回数であり、Cサイクル後の時刻tk+Cに最も近い時刻に対応する値である。時間発展計算部78は、算出された風速値u (Φ)を、将来時刻tk+Cの予測風速値Vest (k+C)(i)として出力することができる。また時間発展計算部78は、上記の時間発展方程式を用いた反復計算を逐次的に実行することにより1サイクル後の風速値u (Φ0)を算出する。ここで、Φ0は、1サイクルに亘る反復計算の回数であり、次サイクルの時刻tk+1に最も近い時刻に対応する値である。時間発展計算部78は、算出された風速値u (Φ0)を、次サイクルの時刻tk+1の予測風速値Vest (k+1)(i)として出力することができる。
次に、図7のフローチャートを参照しつつ、上記した信号処理器41の動作手順について説明する。図7は、信号処理器41の動作手順の一例を概略的に示すフローチャートである。
図7を参照すると、制御部49は、時刻tを示すサイクル番号kを「1」に設定して風況計測の制御を開始する(ステップST11)。
次に、風況計測部44は、レーザレーダセンサ11から供給されたアナログ受信信号R(h,t)を基に風況計測を行う(ステップST12)。すなわち、風況計測部44は、上記のとおり、アナログ受信信号R(h,t)を周波数解析することにより、視線方向LOS~LOSにおいてレーザレーダセンサ11からの複数の距離範囲Δ(1),Δ(2),…,Δ(Nbin)にそれぞれ存在する風(流体)の視線方向速度の計測値Vobs (k)(1,j),…,Vobs (k)(Nbin,j)を算出する。風況計測部44は、視線方向速度の計測値Vobs (k)(i,j)と積算回数Nsum (k)(i,j)との組合せを風計測データWMDとしてバッファメモリ45に出力する。バッファメモリ45は、風計測データWMDを一時的に記憶する。
次に、風況推定部46では、レンジビン番号iと番号jとが初期値「1」に設定される(ステップST21,ST22)。続いて、有効性評価部61は、バッファメモリ45から読み出された風計測データWMDに含まれる積算回数Nsum (k)(i,j)を用いて、視線方向速度の計測値Vobs (k)(i,j)の有効性を評価する(ステップST23)。その評価結果である評価値q(k)(i,j)は風速算出部62に出力される。
次いで、有効性評価部61は、番号jが上限値Jに到達していない場合には(ステップST24のNO)、番号jを1だけインクリメントし(ステップST25)、ステップST23を実行する。最終的に、番号jが上限値Jに到達した場合には(ステップST24のYES)、番号jのすべての値について、計測値Vobs (k)(i,j)の有効性が評価されている。
次に、風速算出部62は、上記のとおり、計測値Vobs (k)(i,1)~Vobs (k)(i,J)及び評価値q(k)(i,1)~q(k)(i,J)を用いて推定風速値Vcen (k)(i)を算出する(ステップST26)。
次に、レンジビン番号iが上限値Nbinに到達していない場合には(ステップST27のNO)、有効性評価部61は、レンジビン番号iを1だけインクリメントし(ステップST28)、ステップST23~ST25を実行する。また風速算出部62は、ステップST26を実行する。最終的に、番号iが上限値Nbinに到達した場合には(ステップST27のYES)、レンジビン番号iのすべての値について、推定風速値Vcen (k)(i)が算出されている。
次に、データ同化部74は、データ同化処理を実行する(ステップST31)。すなわち、データ同化部74は、上記のとおり、現時刻tの予測風速場を、風速推定部60から供給された現時刻tの推定風速場に同化させて濾波風速場を算出する。図8は、データ同化処理の詳細な手順の一例を示すフローチャートである。
図8の例では、データ同化部74は、先ず、レンジビン番号iを「-1」に設定する(ステップST)。次にデータ同化部74は、サイクル番号kが「1」以下の場合には(ステップST42のNO)、ステップST43~ST49を実行し、サイクル番号kが「1」よりも大きい場合には(ステップST42のYES)、ステップST51~ST56を実行する。
以下、サイクル番号kが「1」以下の場合(ステップST42のNO)について説明する。レンジビン番号iが「-1」または「0」の場合は(ステップST43のYES)、データ同化部74は、濾波風速値Vfil (k)(i)を「0」に設定する(ステップST44)。レンジビン番号iが「1」以上の場合であって(ステップST43のNO)、推定風速値Vcen (k)(i)が有効であると評価されている場合には(ステップST45のYES)、データ同化部74は、濾波風速値Vfil (k)(i)を推定風速値Vcen (k)(i)に設定する(ステップST46)。
一方、レンジビン番号iが「1」以上の場合であって(ステップST43のNO)、推定風速値Vcen (k)(i)が有効ではないと評価されている場合には(ステップST45のNO)、データ同化部74は、有効な推定風速値Vcen (k)(i)を用いて、濾波風速値Vfil (k)(i)を補間する(ステップST46)。たとえば、次式(37)を用いて濾波風速値Vfil (k)(i)を補間することができるが、これに限定されるものではない。

Figure 0006995256000037
式(37)において、iupは、レンジビン番号iの昇順に推定風速値Vcen (k)(i)を探索したときに最初に発見された有効な推定風速値Vcen (k)(iup)のレンジビン番号であり、idnは、レンジビン番号iの降順に推定風速値Vcen (k)(i)を探索したときに最初に発見された有効な推定風速値Vcen (k)(idn)のレンジビン番号である。ただし、レンジビン番号iupが見つからなかった場合には、推定風速値Vcen (k)(iup=Nbin)が「0」に設定されればよい。
ステップST44,ST46,S47のいずれかが実行された後、データ同化部74は、レンジビン番号iが上限値Nbinに到達していない場合には(ステップST48のNO)、レンジビン番号iを1だけインクリメントし(ステップST49)、ステップST43以後の処理を実行する。最終的に、レンジビン番号iが上限値Nbinに到達した場合には(ステップST48のYES)、データ同化処理は完了する。
次に、サイクル番号kが「1」よりも大きい場合(ステップST42のYES)について説明する。レンジビン番号iが「-1」または「0」の場合は(ステップST51のYES)、データ同化部74は、濾波風速値Vfil (k)(i)を、現時刻tの予測風速値Vest (k)(i)に設定する(ステップST52)。
レンジビン番号iが「1」以上の場合であって(ステップST51のNO)、推定風速値Vcen (k)(i)が有効ではないと評価されている場合には(ステップST53のNO)、データ同化部74は、濾波風速値Vfil (k)(i)を、現時刻tの予測風速値Vest (k)(i)に設定する(ステップST52)。一方、推定風速値Vcen (k)(i)が有効であると評価されている場合には(ステップST53のYES)、データ同化部74は、上記のとおり、現時刻tの予測風速値と現時刻tの推定風速値との重み付け和を濾波風速値Vfil (k)(i)として生成する(ステップST55)。
ステップST52,ST55のいずれかが実行された後、データ同化部74は、レンジビン番号iが上限値Nbinに到達していない場合には(ステップST56のNO)、レンジビン番号iを1だけインクリメントし(ステップST57)、ステップST51以後の処理を実行する。最終的に、レンジビン番号iが上限値Nbinに到達した場合には(ステップST56のYES)、データ同化処理は完了する。
図7を参照すると、ステップST31のデータ同化処理が完了すると、時間ステップ設定部77は、ステップST31で算出された濾波風速場に基づいて、時間発展計算部78にて使用される時間ステップdτを適応的に設定する(ステップST32)。次に、時間発展計算部78は、上記のとおりに、1次元空間に関する時間発展方程式を用いて、濾波風速場からの風速場の時間発展を計算することにより将来時刻tk+1,tk+Cの予測風速場を算出し(ステップST33)、将来時刻tk+Cの予測風速場を予測風速データPWDとして外部に出力する(ステップST34)。
その後、制御部49は、風況計測を続行する場合には(ステップST35のYES)、サイクル番号kを1だけインクメントし(ステップST36)、ステップST12に処理を戻す。他方で、風況計測を続行しない場合には(ステップST35のNO)、制御部49は、処理を終了させる。
以上に説明したように実施の形態1の信号処理器41は、複数の視線方向LOS~LOSにおける風の視線方向速度の計測値に基づいてレーザレーダセンサ11の中心軸方向に分布する1次元の推定風速場を算出し、ナビエ・ストークス方程式から導出された1次元空間に関する時間発展方程式を用いて、当該1次元の推定風速場から風速場の時間発展を計算する。これにより、高い精度を保ちつつ少ない演算量で予測風速場を算出することが可能となる。
また、信号処理器41は低演算負荷で予測風速場を算出することができるので、風力タービンのナセルに搭載可能なコンパクトな構成のレーザレーダ装置1を実現することができる。ナセルに搭載されている制御装置は、レーザレーダ装置1から出力された予測風速データPWDを用いて、ヨー制御及びピッチ制御を行うことが可能である。
上記した信号処理器41の機能の全部または一部は、たとえば、DSP(Digital Signal Processor),ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などの半導体集積回路を有する単数または複数のプロセッサにより実現可能である。あるいは、信号処理器41の機能の全部または一部は、ソフトウェアまたはファームウェアのプログラムコードを実行する、CPU(Central Processing Unit)またはGPU(Graphics Processing Unit)などの演算装置を含む単数または複数のプロセッサで実現されてもよい。あるいは、DSP,ASICまたはFPGAなどの半導体集積回路と、CPUまたはGPUなどの演算装置との組み合わせを含む単数または複数のプロセッサによって信号処理器41の機能の全部または一部を実現することも可能である。
図9は、実施の形態1の信号処理器41のハードウェア構成例である信号処理回路90の概略構成を示す機能ブロック図である。図9に示される信号処理回路90は、プロセッサ91、入出力インタフェース部94、メモリ92、記憶装置93及び信号路95を備えている。信号路95は、プロセッサ91、入出力インタフェース部94、メモリ92及び記憶装置93を相互に接続するためのバスである。入出力インタフェース部94は、レーザレーダセンサ11から入力されたアナログ受信信号R(h,t)をディジタル信号に変換し、当該ディジタル信号をプロセッサ91に転送する機能を有するとともに、制御信号を外部に出力する機能を有している。
メモリ92は、プロセッサ91がディジタル信号処理を実行する際に使用されるワークメモリと、当該ディジタル信号処理で使用されるデータが展開される一時記憶メモリとを含む。たとえば、メモリ92は、フラッシュメモリ及びSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリで構成されればよい。また、記憶装置93は、プロセッサ91がCPUまたはGPUなどの演算装置を含む場合には、当該演算装置で実行されるべきソフトウェアまたはファームウェアのプログラムコードを格納する記憶領域として利用可能である。たとえば、記憶装置93は、フラッシュメモリまたはROM(Read Only Memory)などの不揮発性の半導体メモリで構成されればよい。
なお、図9の例では、プロセッサ91の個数は1つであるが、これに限定されるものではない。互いに連携して動作する複数個のプロセッサを用いて信号処理器41のハードウェア構成が実現されてもよい。
実施の形態2.
次に、本発明に係る実施の形態2について説明する。上記した実施の形態1では、あらかじめ決められた重み係数α,1-αを用いて濾波風速値Vfil (k)(i)が算出された。これに対し、以下に説明する実施の形態2,3では、重み係数α,1-αは適応的に決定される。
図10は、本発明に係る実施の形態2のレーザレーダ装置における信号処理器42の概略構成を示すブロック図である。本実施の形態のレーザレーダ装置は、実施の形態1と同様にレーザレーダセンサ11を備えている。本実施の形態のレーザレーダ装置は、実施の形態1の場合と同様に風力タービンに搭載可能である。
本実施の形態の信号処理器42の構成は、図1の風況推定部46に代えて風況推定部47を有する点を除いて、実施の形態1の信号処理器41の構成と同じである。図11は、本実施の形態における風況推定部47の概略構成を示すブロック図である。
図11に示されるように風況推定部47は、風速推定部60及び風速予測部72を有している。風速予測部72は、データ同化部75、時間ステップ設定部77、時間発展計算部78及び遅延素子79を有する。本実施の形態の風況推定部47の構成は、図4のデータ同化部74に代えてデータ同化部75を有する点を除いて、実施の形態1の風況推定部46の構成と同じである。
データ同化部75は、現時刻tの推定風速場に基づいて、現時刻tの予測風速場に割り当てるべき重み係数αと現時刻tの推定風速場に割り当てるべき重み係数1-αとを適応的に設定することを特徴とする。たとえば、データ同化部75は、現時刻tの推定風速場を構成する推定風速値Vcen (k)(i)が大きいほど、重み係数1-αの値を大きくするとともに重み係数αの値を小さくし、現時刻tの推定風速場を構成する推定風速値Vcen (k)(i)が小さいほど、重み係数1-αの値を小さくするとともに重み係数αの値を大きくすることができる。これにより、風況に応じて、精度の高い濾波風速場を算出することが可能となる。
図12は、実施の形態2に係るデータ同化処理の手順の一例を概略的に示すフローチャートである。図12のフローチャートは、ステップST53とステップST55との間にステップST54Aを有する点を除いて、図8のフローチャートと同じである。ステップST54Aでは、データ同化部75は、現時刻tの推定風速場に基づいて重み係数αを適応的に設定する。
実施の形態3.
次に、本発明に係る実施の形態3について説明する。図13は、本発明に係る実施の形態3のレーザレーダ装置における信号処理器43の概略構成を示すブロック図である。本実施の形態のレーザレーダ装置は、実施の形態1と同様にレーザレーダセンサ11を備えている。本実施の形態のレーザレーダ装置は、実施の形態1の場合と同様に風力タービンに搭載可能である。
本実施の形態の信号処理器43の構成は、図1の風況推定部46に代えて風況推定部48を有する点を除いて、実施の形態1の信号処理器41の構成と同じである。図14は、本実施の形態における風況推定部48の概略構成を示すブロック図である。
図14に示されるように風況推定部48は、風速推定部60及び風速予測部73を有している。風速予測部73は、データ同化部76、時間ステップ設定部77、時間発展計算部78及び遅延素子79を有する。本実施の形態の風況推定部48の構成は、図4のデータ同化部74に代えてデータ同化部76を有する点を除いて、実施の形態1の風況推定部46の構成と同じである。
データ同化部76は、図14に示されるように風速推定部60から、有効な計測値の個数N (k)(i)の供給を受けている。データ同化部76は、有効な計測値の個数N (k)(i)に基づいて、現時刻tの予測風速場に割り当てるべき重み係数αと現時刻tの推定風速場に割り当てるべき重み係数1-αとを適応的に設定することを特徴とする。たとえば、データ同化部76は、有効な計測値の個数N (k)(i)が多いほど、重み係数1-αの値を大きくするとともに重み係数αの値を小さくし、有効な計測値の個数N (k)(i)が少ないほど、重み係数1-αの値を小さくするとともに重み係数αの値を大きくすることができる。これにより、風況に応じて、精度の高い濾波風速場を算出することが可能となる。
図15は、実施の形態3に係るデータ同化処理の手順の一例を概略的に示すフローチャートである。図15のフローチャートは、ステップST53とステップST55との間にステップST54Bを有する点を除いて、図8のフローチャートと同じである。ステップST54Bでは、データ同化部76は、有効な計測値の個数N (k)(i)に基づいて重み係数αを適応的に設定する。
実施の形態4.
次に、本発明に係る実施の形態4について説明する。上記した実施の形態1~3のレーザレーダ装置はいずれも図1に示したレーザレーダセンサ11を備えているが、これに限定されるものではない。図16は、本発明に係る実施の形態4のレーザレーダ装置4の概略構成を示すブロック図である。
図16に示されるようにレーザレーダ装置4は、レーザレーダセンサ11とは異なる構成を有するレーザレーダセンサ12と、信号処理器41とを備えている。本実施の形態の信号処理器41の構成は、実施の形態1の信号処理器41の構成と同じである。本実施の形態の信号処理器41に代えて、実施の形態2の信号処理器42または実施の形態3の信号処理器43のいずれかが使用されてもよい。
図16に示されるレーザレーダセンサ12は、波長可変レーザ光源(wavelength-tunable laser light source)22、光分配器23、光変調器24、光増幅器25、光サーキュレータ26、光合波器27、光検出器28及び光送受信部32を備えて構成されている。レーザレーダセンサ12の構成は、図1のレーザ光源21及び光送受信部31に代えて、波長可変レーザ光源22及び光送受信部32を有する点を除いて、実施の形態1のレーザレーダセンサ11の構成と同じである。
本実施の形態の波長可変レーザ光源22は、信号処理器41から供給された制御信号に応じて、出力レーザ光の波長λ,λ,…,λを切替可能な機能を有している。
光送受信部32は、光マルチプレクサなどの波長分離素子34と、光アンテナ35~35とを備えて構成されている。波長分離素子34は、入力された増幅光パルスの波長に応じて、光サーキュレータ26の光入出力端と光アンテナ35~35のいずれかとの間を光学的に接続する。波長分離素子34は、j番目の波長λを有する増幅光パルスが入力されたときは、当該増幅光パルスをj番目の光アンテナ35にのみ出力する。このとき、当該増幅光パルスは、j番目の光アンテナ35から視線方向LOSに送出される。観測空間にて当該増幅光パルスが後方散乱することにより散乱光信号が発生すると、j番目の光アンテナ35は当該散乱光信号を受信光信号として受信する。当該受信光信号は、波長分離素子34を介して光サーキュレータ26に伝搬する。
実施の形態1の光スイッチ33の切替動作回数には寿命があり、光スイッチ33よりも波長分離素子34の寿命の方が長い。レーザ光源21及び光スイッチ33に代えて、波長可変レーザ光源22及び波長分離素子34を使用することにより、レーザレーダ装置4の長寿命化を実現することができる。
以上、図面を参照して本発明に係る実施の形態1~4及びこれらの変形例について述べたが、実施の形態1~4及びこれらの変形例は本発明の例示であり、実施の形態1~4以外の様々な実施の形態がありうる。本発明の範囲内において、上記実施の形態1~4の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、または各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
たとえば、実施の形態1の場合と同様に、実施の形態2~4の各々の信号処理器の機能の全部または一部は、DSP,ASICまたはPLDなどの半導体集積回路を有する単数または複数のプロセッサにより実現可能である。あるいは、信号処理器の機能の全部または一部は、ソフトウェアまたはファームウェアのプログラムコードを実行する、CPUまたはGPUなどの演算装置を含む単数または複数のプロセッサにより実現されてもよい。あるいは、DSP,ASICまたはPLDなどの半導体集積回路と、CPUまたはGPUなどの演算装置との組み合わせを含む単数または複数のプロセッサによって信号処理器の機能の全部または一部を実現することも可能である。図9に示した信号処理回路90によって信号処理器のハードウェア構成が実現されてもよい。
本発明に係る信号処理器,レーザレーダ装置及び風力タービンは、風力タービンを有する風力発電システムまたはウィンドファームが配置された領域における風況観測に利用されることに適している。また本発明に係る信号処理器,レーザレーダ装置及び風力タービンは、風力発電システムまたはウィンドファームの建設予定地における風況観測に利用されることにも適している。
1,4 レーザレーダ装置、11,12 レーザレーダセンサ、21 レーザ光源、22 波長可変レーザ光源22、23 光分配器、24 光変調器、25 光増幅器、26 光サーキュレータ、27 光合波器、28 光検出器、31,32 光送受信部、33 光スイッチ、34 波長分離素子、35~35 光アンテナ、41,42,43 信号処理器、44 風況計測部、45 バッファメモリ、46,47,48 風況推定部、49 制御部、53 品質評価部、56 スペクトル積算部、57 視線速度算出部、60 風速推定部、61 有効性評価部、62 風速算出部、71,72,73 風速予測部、74,75,76 データ同化部、77 時間ステップ設定部、78 時間発展計算部、79 遅延素子、90 信号処理回路、91 プロセッサ、92 メモリ、93 記憶装置、94 入出力インタフェース部、95 信号路、100 風力タービン、101 ナセル、102 タワー、103 ハブ、104A,104B,104C ブレード、LOS~LOS 視線方向。

Claims (20)

  1. レーザ光源を用いて生成された複数の変調光信号を観測空間の複数方位にそれぞれ送出し、前記複数の変調光信号が後方散乱することにより生じた複数の散乱光信号を複数の受信光信号として受信し、前記複数の受信光信号を検波して前記複数方位にそれぞれ対応する複数の受信信号を生成するレーザレーダセンサと連携して動作する信号処理器であって、
    前記複数の受信信号を周波数解析することにより、前記複数方位において前記レーザレーダセンサからの複数の距離範囲にそれぞれ存在する風の視線方向速度の計測値を算出する風況計測部と、
    前記視線方向速度の計測値に基づいて、前記レーザレーダセンサの中心軸方向に分布する1次元風速場を現時刻の推定風速場として算出する風速推定部と、
    ナビエ・ストークス方程式から導出された1次元空間に関する時間発展方程式を用いて、前記推定風速場からの風速場の時間発展を計算することにより将来時刻の予測風速場を算出する風速予測部と
    を備えることを特徴とする信号処理器。
  2. 請求項1に記載の信号処理器であって、前記時間発展方程式は、前記風が非圧縮流体であり、前記風の粘性が考慮されず、かつ外力が存在しないとの条件に基づいて前記ナビエ・ストークス方程式から導出された方程式であることを特徴とする信号処理器。
  3. 請求項2に記載の信号処理器であって、前記時間発展方程式は、前記中心軸方向とは垂直な径方向における距離に関する一階偏微分が考慮されないとの条件に基づいて前記ナビエ・ストークス方程式から導出された方程式であることを特徴とする信号処理器。
  4. 請求項3に記載の信号処理器であって、前記時間発展方程式は、前記距離に関する圧力の二階偏微分が当該圧力に関する線形関数であるとの条件に基づいて前記ナビエ・ストークス方程式から導出された方程式であることを特徴とする信号処理器。
  5. 請求項2から請求項4のうちのいずれか1項に記載の信号処理器であって、前記時間発展方程式は、風上差分スキームに従って前記1次元空間において離散化された式を含むことを特徴とする信号処理器。
  6. 請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の信号処理器であって、
    前記風速予測部は、
    当該風速予測部により以前に算出された現時刻の予測風速場を、前記風速推定部により算出された現時刻の推定風速場に同化させて濾波風速場を生成するデータ同化部と、
    前記濾波風速場からの風速場の時間発展を計算することにより前記将来時刻の予測風速場を算出する時間発展計算部と
    を含むことを特徴とする信号処理器。
  7. 請求項6に記載の信号処理器であって、
    前記データ同化部は、前記現時刻の予測風速場と前記現時刻の推定風速場との重み付け和を前記濾波風速場として生成することを特徴とする信号処理器。
  8. 請求項6または請求項7に記載の信号処理器であって、
    前記風速予測部は、前記濾波風速場に基づいて時間ステップを適応的に設定する時間ステップ設定部をさらに含み、
    前記時間発展計算部は、前記時間ステップにて前記濾波風速場からの風速場の時間発展を計算することにより前記将来時刻の予測風速場を算出する、
    ことを特徴とする信号処理器。
  9. 請求項8に記載の信号処理器であって、前記時間ステップ設定部は、前記濾波風速場を構成する複数の風速値のうちの最大風速値に基づいて前記時間ステップを適応的に設定することを特徴とする信号処理器。
  10. 請求項1から請求項9のうちのいずれか1項に記載の信号処理器であって、前記風速推定部は、前記視線方向速度の計測値を用いた非線形最小自乗法により前記推定風速場を算出することを特徴とする信号処理器。
  11. 請求項10に記載の信号処理器であって、前記風速推定部は、前記複数の距離範囲にそれぞれ存在する当該風の速度ベクトルの方向が前記中心軸方向と平行であるとの仮定の下で、前記非線形最小自乗法により前記推定風速場を算出することを特徴とする信号処理器。
  12. 請求項1から請求項11のうちのいずれか1項に記載の信号処理器であって、
    前記風速推定部は、
    前記視線方向速度の計測値それぞれの有効性を評価して評価結果を出力する有効性評価部と、
    前記評価結果に基づき、前記視線方向速度の計測値のうち前記複数の距離範囲の各距離範囲に対応する有効な計測値の個数が閾値以上であるか否かを判定する風速算出部と
    を含み、
    前記風速算出部は、前記有効な計測値の個数が閾値以上であると判定したときは、前記有効な計測値に基づいて推定風速値を算出し、前記有効な計測値の個数が閾値未満であると判定したときは、推定風速値を算出せず、
    前記推定風速場は、前記複数の距離範囲について前記風速算出部により算出された単数または複数の推定風速値からなる、
    ことを特徴とする信号処理器。
  13. 請求項7に記載の信号処理器であって、前記データ同化部は、前記現時刻の推定風速場に基づいて、前記現時刻の予測風速場に割り当てるべき第1の重み係数と前記現時刻の推定風速場に割り当てるべき第2の重み係数とを適応的に設定することを特徴とする信号処理器。
  14. 請求項13に記載の信号処理器であって、前記データ同化部は、前記現時刻の推定風速場を構成する推定風速値が大きいほど、前記第2の重み係数の値を大きくするとともに前記第1の重み係数の値を小さくし、前記現時刻の推定風速場を構成する推定風速値が小さいほど、前記第2の重み係数の値を小さくするとともに前記第1の重み係数の値を大きくする、ことを特徴とする信号処理器。
  15. 請求項7に記載の信号処理器であって、
    前記風速推定部は、
    前記視線方向速度の計測値それぞれの有効性を評価して評価結果を出力する有効性評価部と、
    前記評価結果に基づき、前記視線方向速度の計測値のうち前記複数の距離範囲の各距離範囲に対応する有効な計測値の個数が閾値以上であるか否かを判定する風速算出部と
    を含み、
    前記風速算出部は、前記有効な計測値の個数が閾値以上であると判定したときは、前記有効な計測値に基づいて推定風速値を算出し、前記有効な計測値の個数が閾値未満であると判定したときは、推定風速値を算出せず、
    前記推定風速場は、前記複数の距離範囲に対して前記風速算出部により算出された単数または複数の推定風速値からなり、
    前記データ同化部は、前記単数または複数の風速値の個数に基づいて、前記現時刻の予測風速場に割り当てるべき第1の重み係数と前記現時刻の推定風速場に割り当てるべき第2の重み係数とを適応的に設定する、ことを特徴とする信号処理器。
  16. 請求項15に記載の信号処理器であって、前記データ同化部は、前記単数または複数の風速値の個数が多いほど、前記第2の重み係数の値を大きくするとともに前記第1の重み係数の値を小さくし、前記単数または複数の風速値の個数が少ないほど、前記第2の重み係数の値を小さくするとともに前記第1の重み係数の値を大きくする、ことを特徴とする信号処理器。
  17. 請求項12または請求項15に記載の信号処理器であって、
    前記風況計測部は、
    前記複数の受信信号の各受信信号を、前記複数の距離範囲にそれぞれ対応する複数の時間領域信号に分割する時間ゲーティング部と、
    前記複数の時間領域信号に対して時間領域から周波数領域への領域変換処理を実行することにより複数の周波数領域信号を生成する領域変換部と、
    前記複数の周波数領域信号それぞれの信号品質を評価する品質評価部と
    を含み、
    前記有効性評価部は、前記品質評価部により評価された信号品質に基づいて前記視線方向速度の計測値それぞれの有効性を評価する、ことを特徴とする信号処理器。
  18. 請求項1から請求項17のうちのいずれか1項に記載の信号処理器と、
    前記レーザレーダセンサと
    を備えることを特徴とするレーザレーダ装置。
  19. 請求項18に記載のレーザレーダ装置と、
    前記レーザレーダ装置を搭載するナセルと、
    前記ナセルに取り付けられたハブと、
    前記ハブを介して前記ナセルと回転自在に連結された複数枚のブレードからなるロータと
    を備えることを特徴とする風力タービン。
  20. 請求項19に記載の風力タービンであって、前記レーザレーダ装置は、前記ロータの回転面を介して前記観測空間に前記複数の変調光信号を送出するように前記ナセル上に配置されていることを特徴とする風力タービン。
JP2021553876A 2019-10-25 2019-10-25 信号処理器、レーザレーダ装置及び風力タービン Active JP6995256B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2019/042018 WO2021079513A1 (ja) 2019-10-25 2019-10-25 信号処理器、レーザレーダ装置及び風力タービン

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2021079513A1 JPWO2021079513A1 (ja) 2021-04-29
JP6995256B2 true JP6995256B2 (ja) 2022-01-14

Family

ID=75619758

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021553876A Active JP6995256B2 (ja) 2019-10-25 2019-10-25 信号処理器、レーザレーダ装置及び風力タービン

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6995256B2 (ja)
WO (1) WO2021079513A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7069433B1 (ja) * 2021-06-21 2022-05-17 三菱電機株式会社 風速予測装置、風速予測方法及びレーダ装置
CN114167522B (zh) * 2021-12-17 2024-07-02 深圳市云端高科信息科技有限公司 一种用于智慧城市高层建筑的风场监测与校正系统
CN116540266B (zh) * 2023-07-06 2023-10-27 南京牧镭激光科技股份有限公司 基于相干激光雷达识别极端风况的方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004285858A (ja) 2003-03-19 2004-10-14 Mitsubishi Electric Corp 風力発電システムおよび風力発電機の制御方法
JP2009052961A (ja) 2007-08-24 2009-03-12 Mitsubishi Electric Corp 風計測装置
US20110216307A1 (en) 2010-02-05 2011-09-08 Catch the Wind, Inc. High Density Wind Velocity Data Collection for Wind Turbine
EP2581761A1 (en) 2011-10-14 2013-04-17 Vestas Wind Systems A/S Estimation of Wind Properties Using a Light Detection and Ranging Device

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004285858A (ja) 2003-03-19 2004-10-14 Mitsubishi Electric Corp 風力発電システムおよび風力発電機の制御方法
JP2009052961A (ja) 2007-08-24 2009-03-12 Mitsubishi Electric Corp 風計測装置
US20110216307A1 (en) 2010-02-05 2011-09-08 Catch the Wind, Inc. High Density Wind Velocity Data Collection for Wind Turbine
EP2581761A1 (en) 2011-10-14 2013-04-17 Vestas Wind Systems A/S Estimation of Wind Properties Using a Light Detection and Ranging Device

Non-Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
RAACH, Steffen et al.,"Three Dimensional Dynamic Model Based Wind Field Reconstruction from Lidar Data",Journal of Physics,2014年,Conference Series 524, 012005,pp.1-10,DOI:10.1088/1742-6596/524/1/012005
RETHORE P. E. et al.,"A discrete force allocation algorithm for modelling wind turbines in computational fluid dynamics",Wind Energy,2012年,Vol.15, No.7,pp.915-926,DOI:10.1002/we.525
SEIBOLD, Benjamin,"A compact and fast Matlab code solving the incompressible Navier-Stokes equations on rectangular domains",[online],[令和3年11月4日検索], インターネット,2008年,mit18086 navierstokes.m,<URL: https://math.mit.edu/~gs/cse/codes/mit18086_navierstokes.pdf>
TOWERS, P. et al.,"Real-time wind field reconstruction from LiDAR measurements using a dynamic wind model and state estimation",Wind Energy,2016年,Vol.19, No.1,pp.133-150,DOI:10.1002/we.1824

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2021079513A1 (ja) 2021-04-29
WO2021079513A1 (ja) 2021-04-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6995256B2 (ja) 信号処理器、レーザレーダ装置及び風力タービン
KR102208288B1 (ko) Lidar 센서에 기초한 풍속 추정을 사용한 풍력 터빈 제어 및 모니터링 방법
Peña et al. Turbulence characterization from a forward-looking nacelle lidar
Lopes et al. Experimental and numerical investigation of non-predictive phase-control strategies for a point-absorbing wave energy converter
Raach et al. Lidar-based wake tracking for closed-loop wind farm control
Borraccino et al. Wind field reconstruction from nacelle-mounted lidar short-range measurements
JP2016530429A5 (ja)
CN104101731A (zh) 用于远程风感测的方法、装置和系统
CN104603636A (zh) 激光雷达装置以及测定对象物的速度计算方法
US11668284B2 (en) Method of determining an induction factor for a wind turbine equipped with a lidar sensor
US11105929B2 (en) Method for predicting wind speed in the rotor plane for a wind turbine equipped with a LiDAR sensor
Bouferrouk et al. Field measurements of surface waves using a 5-beam ADCP
Frehlich et al. Measurements of wind and turbulence profiles with scanning Doppler lidar for wind energy applications
Gräfe et al. Wind field reconstruction using nacelle based lidar measurements for floating wind turbines
ES2970376T3 (es) Método de determinación de la velocidad media del viento mediante un sensor de teledetección por láser
Gräfe et al. Quantification and correction of motion influence for nacelle-based lidar systems on floating wind turbines
CN115469378B (zh) 一种湿位涡测量方法、装置、设备及介质
JP7459408B2 (ja) レーザレーダ装置
REN et al. Effect of peak power and pulse width on coherent Doppler wind lidar’s SNR
CN114839646A (zh) 一种基于激光多普勒联合闪烁的测风装置以及测风方法
Kim et al. Development of phase-resolved real-time wave forecasting with unidirectional and multidirectional seas
Li et al. Synthetic aperture flow imaging using dual stage beamforming: Simulations and experiments
Castellani et al. On the way to harness high-altitude wind power: Defining the operational asset for an airship wind generator
Crossley et al. Quantifying uncertainty in acoustic measurements of tidal flows using a ‘Virtual’Doppler Current Profiler
CN113063961A (zh) 一种超声波传感阵列测风装置及其方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211006

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20211006

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211116

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211214

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6995256

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150