JP6993210B2 - アーク制御装置、アーク溶接システム、制御プログラム及びアーク溶接方法 - Google Patents

アーク制御装置、アーク溶接システム、制御プログラム及びアーク溶接方法 Download PDF

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Description

本発明はアーク制御装置、アーク溶接システム、制御プログラム及びアーク溶接方法に関する。
溶接方法の一つに、消耗電極式のガスシールドアーク溶接法がある。ガスシールドアーク溶接法は、母材の被溶接部に送給された溶接ワイヤと、母材との間にアークを発生させ、アークの熱によって母材を溶接する手法であり、特に高温になった母材の酸化を防ぐために、不活性ガスを溶接部周辺に噴射しながら溶接を行うものである。高速で溶接ワイヤの送給を行い、大電流を供給することによって、9~30mmの厚板の1パス溶接を実現することができる。具体的には、溶接ワイヤを約5~100m/分で送給し、300A以上の大電流を供給することによって、厚板の1パス溶接を実現することができる。溶接ワイヤの高速送給及び大電流供給を行うと、アークの熱によって母材に凹状の溶融部分が形成され、溶接ワイヤの先端部が溶融部分によって囲まれる空間に進入する。溶接ワイヤの先端部が母材表面より深部に進入することによって、溶融部分が母材の厚み方向裏面側にまで貫通し、1パス溶接が可能になる。以下、凹状の溶融部分によって囲まれる空間を埋もれ空間と呼び、埋もれ空間に進入した溶接ワイヤの先端部と、母材又は溶融部分との間に発生するアークを、適宜、埋もれアークと呼ぶ。
ところが、埋もれアーク溶接においては、アークの熱によって溶融した母材及び溶接ワイヤの溶融金属で形成される埋もれ空間の安定化が不可欠である。埋もれアーク溶接では、溶融部分である溶融金属が様々な外乱の影響を受け、その壁面が埋もれ空間の中央へ移動してくることがある。つまり、埋もれ空間の開口が偶発的に縮小して開口が閉塞しそうになることがあり、溶融金属は大きく揺動し、埋もれアークが不安定化する。場合によっては、埋もれ空間の開口が縮小した際に、溶融部分と溶接ワイヤが短絡し、著しく埋もれ空間が不安定化する場合もある。アークが不安定化すると、その溶融金属が凝固したビードの形状も大きく乱れることになり、溶接品質が悪化する。
かかる問題を解決する技術として特許文献1、2には、溶接ワイヤを上下振動させることにより、埋もれ空間の縮小ないし揺動を防止し、埋もれ空間を安定化する溶接方法が開示されている。当該溶接方法は、埋もれ空間の状態に拘わらず、溶接ワイヤの先端位置を周期的に振幅させることにより埋もれ空間を強制的に安定化させるものである。
特開2017-042779号公報 特開2017-042779号公報
しかしながら、従来技術1、2においては、埋もれ空間の状態をフィードバックした制御では無いため、外乱等の影響により埋もれ空間が不安定化した場合、その状態に対して最適な制御が行われるわけではない。従って、埋もれ空間が安定した状態に移行するまでの時間が長くなる。特に溶接電流が大きい場合、アーク力及び溶融金属量が増大し、外乱による埋もれ空間の揺動が激しくなり易く、埋もれ空間ないし埋もれアークを安定化させることが難しくなる。従来技術1、2に係る溶接方法では埋もれ空間の安定化が不十分である。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、埋もれ空間の状態を予測し、埋もれ空間の状態に応じてアーク発生点を制御することにより、埋もれアークを安定化させることができるアーク制御装置、アーク溶接システム、制御プログラム及びアーク溶接方法を提供することにある。
本発明に係るアーク制御装置は、母材の被溶接部に溶接ワイヤを送給すると共に、該溶接ワイヤに溶接電流を供給することによって、前記溶接ワイヤの先端部及び前記被溶接部間にアークを発生させ、該アークにより前記母材に形成される凹状の溶融部分によって囲まれる空間に前記先端部を進入させて前記母材を溶接する消耗電極式のアーク溶接を制御するアーク制御装置であって、前記溶接ワイヤ及び前記母材間のアーク電圧値を取得する電圧値取得部と、該電圧値取得部にて取得したアーク電圧値が閾値未満になった場合、前記空間に進入した前記先端部を、前記溶融部分の開口側へ移動させる制御を行う先端位置制御部とを備える。
本態様によれば、アーク制御装置は、溶接ワイヤ及び母材間のアーク電圧値を取得し、取得したアーク電圧値が閾値未満であるか否かを監視している。埋もれ空間の開口径と、アーク電圧値との間には正の相関があるため、アーク電圧値を監視することによって、埋もれ空間の開口径を推定することができる。埋もれ空間の開口が縮小し、溶融金属が溶接ワイヤに接近したとき、埋もれアークが不安定化する。そこで、アーク制御装置は、アーク電圧値が閾値未満になった場合、つまり埋もれ空間の開口が縮小した場合、埋もれ空間に侵入している溶接ワイヤの先端部を、埋もれ空間の開口側へ移動させる。溶接ワイヤの先端部、即ちアーク発生点が上昇すると、溶接ワイヤの先端部と、開口が閉塞しようとする溶融部分の側壁との間でアークが発生し、アークによって当該側壁を支えることができ、埋もれ空間の開口を押し広げることができる。従って、埋もれ空間の状態に応じてアーク発生点を制御し、埋もれ空間ないし埋もれアークを安定化させることができる。
本発明に係るアーク制御装置は、前記先端位置制御部は、前記溶接ワイヤを前記被溶接部へ案内する溶接トーチを、溶接トーチ移動装置に引き上げさせるためのトーチ位置調整信号を出力することにより、前記先端部を前記溶融部分の開口側へ移動させる。
本態様によれば、アーク電圧値が閾値未満になった場合、トーチ位置調整信号を出力し、溶接トーチを引き上げさせることにより、溶接ワイヤの先端部を上昇させ、埋もれ空間ないし埋もれアークを安定化させる。
本発明に係るアーク制御装置は、前記先端位置制御部は、前記溶接ワイヤを前記被溶接部へ送給する速度を減少させるための送給速度調整信号を出力することにより、前記先端部を前記溶融部分の開口側へ移動させる。
本態様によれば、アーク電圧値が閾値未満になった場合、送給速度調整信号をワイヤ送給装置へ出力し、溶接ワイヤの送給速度を減少させることにより、溶接ワイヤの先端部を上昇させ、埋もれ空間ないし埋もれアークを安定化させる。
本発明に係るアーク制御装置は、前記先端位置制御部は、前記溶接電流に係る設定電圧値を上昇させるための設定電圧調整信号を出力することにより、前記先端部を前記溶融部分の開口側へ移動させる。
本態様によれば、アーク電圧値が閾値未満になった場合、設定電圧調整信号を出力し、定電圧制御部の設定電圧値を上昇させることにより、溶接ワイヤの先端部を上昇させ、埋もれ空間ないし埋もれアークを安定化させる。
本発明に係るアーク制御装置は、前記先端位置制御部は、前記電圧値取得部にて取得した複数のアーク電圧値の移動平均に基づいて前記閾値を算出する。
本態様によれば、アーク電圧値の移動平均に基づいて閾値が設定される。例えば、アーク電圧値の移動平均値より所定値だけ小さい値を閾値とすれば良い。アーク電圧値が、上記のように設定された閾値未満である場合、埋もれ空間の開口が縮小した状態にあると推定される。なお、閾値の比較対象であるアーク電圧値は、その瞬間値又は直近短期間の移動平均値である。
本発明に係るアーク制御装置は、前記先端位置制御部は、50m秒以下の周期で前記先端部の位置を制御する。
本態様によれば、アーク制御装置は、50m秒以下の周期で前記溶接ワイヤの先端部の位置を制御する。埋もれ空間の開口が拡大又は縮小するのに要する時間は約50m秒であるため(図4参照)、当該50m秒以下の周期で溶接ワイヤの先端部の位置を制御することにより、埋もれ空間を効果的に安定化させることができる。
本発明に係るアーク制御装置は、前記先端位置制御部は、前記先端部を、前記溶融部分の開口側へ移動させた後、再び前記溶接ワイヤを前記空間に進入させる。
本態様によれば、アーク制御装置は、溶接ワイヤを引き上げた後、再び溶接ワイヤを埋もれ空間に挿入させることにより、埋もれ空間ないし埋もれアークを安定化させながら、埋もれアーク溶接を継続することができる。
本発明に係るアーク制御装置は、前記電圧値取得部にて取得したアーク電圧値が前記閾値以上になった場合、再び前記溶接ワイヤを前記空間に進入させる。
本態様によれば、アーク電圧値が閾値以上になった場合、つまり埋もれ空間の開口が拡大したことを確認し、再び溶接ワイヤを埋もれ空間に侵入させる。従って、埋もれ空間をより安定化させながら、埋もれアーク溶接を継続することができる。
本発明に係るアーク制御装置は、前記電圧値取得部にて取得したアーク電圧値が前記閾値より大きい第2の閾値以上になった場合、再び前記溶接ワイヤを前記空間に進入させる。
本態様によれば、アーク電圧値が第2の閾値以上になった場合、つまり埋もれ空間の開口が十分に拡大したことを確認し、再び溶接ワイヤを埋もれ空間に侵入させる。従って、埋もれ空間をより安定化させながら、埋もれアーク溶接を継続することができる。
本発明に係るアーク溶接システムは、母材の被溶接部に溶接ワイヤを送給するワイヤ送給装置と、該ワイヤ送給装置にて送給された前記溶接ワイヤを前記被溶接部へ案内する溶接トーチと、前記溶接ワイヤに溶接電流を供給する溶接電源と、前記母材の被溶接部に沿って前記溶接トーチを移動させる溶接トーチ移動装置と、上記のいずれか一つのアーク制御装置とを備え、前記アーク制御装置は前記母材に対する前記先端部の位置を制御する。
本発明に係る制御プログラムは、母材の被溶接部に溶接ワイヤを送給すると共に、該溶接ワイヤに溶接電流を供給することによって、前記溶接ワイヤの先端部及び前記被溶接部間にアークを発生させ、該アークにより前記母材に形成される凹状の溶融部分によって囲まれる空間に前記先端部を進入させて前記母材を溶接する消耗電極式のアーク溶接を、コンピュータに制御させるための制御プログラムであって、前記コンピュータに、前記溶接ワイヤ及び前記母材間のアーク電圧値を取得し、取得したアーク電圧値が閾値未満になった場合、前記空間に進入した前記先端部を、前記溶融部分の開口側へ移動させる処理を実行させるための制御プログラムである。
本発明に係るアーク溶接方法は、母材の被溶接部に溶接ワイヤを送給すると共に、該溶接ワイヤに溶接電流を供給することによって、前記溶接ワイヤの先端部及び前記被溶接部間にアークを発生させ、該アークにより前記母材に形成される凹状の溶融部分によって囲まれる空間に前記先端部を進入させて前記母材を溶接する消耗電極式のアーク溶接方法であって、前記溶接ワイヤ及び前記母材間のアーク電圧を検出し、検出されたアーク電圧値が閾値未満になった場合、前記空間に進入した前記先端部を、前記溶融部分の開口側へ移動させる制御を行う。
本態様によれば、アーク電圧値が閾値未満になった場合、溶接トーチを引き上げさせることにより、溶接ワイヤの先端部を上昇させ、埋もれ空間ないし埋もれアークを安定化させることができる。
本発明によれば、埋もれ空間の状態を予測し、埋もれ空間の状態に応じてアーク発生点を制御することにより、埋もれアークを安定化させることができる。
本実施形態1に係るアーク溶接システムの一構成例を示す模式図である。 アーク制御装置を有する溶接電源の一構成例を示す模式図である。 アーク制御部のハードウェア構成を示すブロック図である。 アーク電圧値と、埋もれ空間の開口径との関係を示すグラフである。 アーク制御方法を示す模式図である。 埋もれ空間を安定化させるアーク制御の処理手順を示すフローチャートである。 本実施形態2に係るアーク溶接システムの一構成例を示す模式図である。 本実施形態3に係るアーク溶接システムの一構成例を示す模式図である。
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態1)
図1は、本実施形態1に係るアーク溶接システムの一構成例を示す模式図である。本実施形態1に係るアーク溶接システムは、300A以上の大電流埋もれアーク溶接が可能な消耗電極式のガスシールドアーク溶接機であり、溶接トーチ11及びワイヤ送給部12が取り付けられた溶接ロボット1と、溶接電源2と、溶接システム制御装置3とを備える。図1中、太線は給電ケーブル、細線は制御通信線である。溶接システム制御装置3は、動作制御信号を溶接ロボット1へ出力すると共に、所定のタイミングで溶接制御信号を溶接電源2へ出力することによって、溶接ロボット1及び溶接電源2の動作を制御する。特に本実施形態1に係るアーク溶接方法は、埋もれアーク溶接において、埋もれ空間6aの状態を予測し、埋もれ空間6aの状態に応じてアーク発生点を制御することにより、埋もれアーク7の安定化を向上させるものである(図5参照)。
溶接ロボット1は、床面の適宜箇所に固定される基部13を備える。基部13には、複数のアーム14が軸部を介して回動可能に連結している。先端側に連結されたアーム14の先端部位には、溶接トーチ11が保持されている。アーム14の連結部分にはサーボモータが設けられており、サーボモータの回転駆動力によって軸部を中心に各アーム14が回動する。サーボモータの回転は溶接システム制御装置3によって制御されている。溶接システム制御装置3は、各アーム14を回動させることによって、母材4に対して溶接トーチ11を上下前後左右に移動させることができる。各アーム14の連結部分には、アーム14の回動位置を示す信号を溶接システム制御装置3へ出力するエンコーダが設けられており、溶接システム制御装置3は、エンコーダから出力された信号に基づいて、溶接トーチ11の位置を認識する。また、溶接システム制御装置3は溶接電源2と通信を行い、溶接ワイヤ5の送給及び溶接電流Iの供給を制御する。
なお、溶接ロボット1は溶接トーチ移動装置の一例である。溶接トーチ移動装置は、溶接トーチを上下に移動させる機構を有する自動台車等でも良い。
溶接トーチ11は、銅合金等の導電性材料からなり、母材4の被溶接部へ溶接ワイヤ5を案内すると共に、アーク7(図5参照)の発生に必要な溶接電流Iを供給する円筒形状のコンタクトチップを有する。コンタクトチップは、その内部を挿通する溶接ワイヤ5に接触し、溶接電流Iを溶接ワイヤ5に供給する。また、溶接トーチ11は、コンタクトチップを囲繞する中空円筒形状をなし、被溶接部へシールドガスを噴射するノズルを有する。シールドガスは、アーク7によって溶融した母材4及び溶接ワイヤ5の酸化を防止するためのものである。シールドガスは、例えば炭酸ガス、炭酸ガス及びアルゴンガスの混合ガス、アルゴン等の不活性ガス等である。
溶接ワイヤ5は、例えばソリッドワイヤであり、その直径は0.9mm以上1.6mm以下であり、消耗電極として機能する。溶接ワイヤ5は、例えば、螺旋状に巻かれた状態でペールパックに収容されたパックワイヤ、あるいはワイヤリールに巻回されたリールワイヤである。溶接ワイヤ5の材質は、YGW11、YGW12、YGW15、YGW17、YGW18、YGW19等のソリッドワイヤを用いることができる。ただし、フラックスコアードワイヤやメタルコアードワイヤ、その他の新規のワイヤを溶接ワイヤ5として適用しても良い。
ワイヤ送給部12は、溶接ワイヤ5をトーチへ送給する送給ローラと、当該送給ローラを回転させるモータとを有する。ワイヤ送給部12は、送給ローラを回転させることによって、ペールパック又はワイヤリールから溶接ワイヤ5を引き出し、引き出された溶接ワイヤ5をトーチへ定速で供給する。溶接ワイヤ5の送給速度は、例えば、約5~100m/分である。なお、かかる溶接ワイヤ5の送給方式は一例であり、特に限定されるものでは無い。
図2は、溶接電源2の一構成例を示す模式図である。溶接電源2は、定電圧特性の電源であり、給電ケーブルを介して、トーチのコンタクトチップ及び母材4に接続された電源回路21を備える。電源回路21は、PWM制御された直流を出力する回路であり、溶接ワイヤ5及び母材4間に溶接電圧Vを印加することにより、溶接電流Iを供給する。また溶接電源2は、溶接電流Iの供給を制御すると共に、埋もれアーク7の状態を制御するアーク制御部22(アーク制御装置)と、電圧検出部23及び電流検出部24と、溶接ワイヤ5の送給速度を制御する送給速度制御部25とを備える。
電圧検出部23は、電源回路21にて溶接ワイヤ5及び母材4間に印加される溶接電圧Vを検出し、検出して得られた電圧値をアーク制御部22へ出力する。以下、当該電圧値を、アーク電圧値Vdと呼ぶ。アーク電圧値Vdは、溶接ワイヤ5及び母材4間の電圧値である。
電流検出部24は、溶接電源2から溶接トーチ11を介して溶接ワイヤ5へ供給され、アーク7を流れる溶接電流Iを検出し、検出した溶接電流値Idをアーク制御部22へ出力する。
アーク制御部22は、出力電圧設定部22a、定電圧制御部22b、差分増幅部22c及び先端位置制御部22dを備える。
出力電圧設定部22aは、定電圧特性を有する溶接電源2の出力電圧Eを示した設定電圧値Erを定電圧制御部22bへ出力する。
定電圧制御部22bは、溶接電源2のインダクタンスを電子的に変動させることによって、リアクトルLを電子的に生成し、所定の定電圧特性を実現し、溶接電流Iの供給を制御する。定電圧制御部22bは、設定電圧値Erに基づいて、所定の定電圧特性が得られるような溶接電流Iを示す溶接電流制御設定値Ircを算出し、算出された溶接電流制御設定値Ircを差分増幅部22cへ出力する。具体的には、定電圧制御部22bは、入力されたアーク電圧値Vd、溶接電流値Id及び設定電圧値Erと、溶接電源2に設定された外部特性傾き設定値Rr及びインダクタンス設定値Lrとに基づいて、電流設定値の単位時間当たりの変化量(Er-Vd-Rr・Id)/Lrを算出する。そして定電圧制御部22bは、当該変化量を積分し、積分して得た溶接電流制御設定値Ircを差分増幅部22cへ出力する。このように電源回路21は、溶接電源2のインダクタンス設定値Lr、外部特性傾き設定値Rrを電子的に生成することができ、定電圧特性を有する電源として振る舞う。例えば、溶接電源2は、100Aの溶接電流Iの増加に対する溶接電圧Vの低下が2V以上20V以下となる外部特性を有する。溶接電源2の外部特性をこのように設定することにより、埋もれアーク7状態を維持することが容易となる。
電源回路21は、商用交流を交直変換するAC-DCコンバータ、交直変換された直流をスイッチングにより所要の交流に変換するインバータ回路、変換された交流を整流する整流回路等を備える。電源回路21は、差分増幅部22cから出力された差分値ΔIに従って、差分値ΔIが小さくなるようにインバータをPWM制御し、直流電圧を溶接ワイヤ5へ出力する。その結果、母材4及び溶接ワイヤ5間に、所要の溶接電圧Vが印加され、溶接電流Iが通電する。
なお、溶接電源2には、制御通信線を介して溶接システム制御装置3から出力指示信号が入力されるように構成されており、アーク制御部22は、出力指示信号をトリガにして、電源回路21に溶接電流Iの供給を開始させる。出力指示信号は、例えば、図示しない溶接ロボット1から溶接電源2へ出力される。
送給速度制御部25は、溶接電源2に設定される溶接電流Iの平均電流値に基づいてワイヤ送給部12による溶接ワイヤ5の送給を制御する。本実施形態1に係るアーク溶接方法を実施する場合、約5m~100m/分で溶接ワイヤ5が送給されるように制御すると良い。
本実施形態1に係るアーク溶接方法を実施する場合、溶接電流Iの平均電流値は、300A以上、好ましくは300A以上1000A以下、より好ましくは500A以上800A以下である。
先端位置制御部22dは、閾値算出部22eと、開口縮小判定部22fと、トーチ位置調整部22gとを備える。閾値算出部22eは、埋もれ空間6aの開口が縮小し、埋もれ空間6aが不安定な状態であるか否かを判定するための閾値を算出する機能部である。具体的には、閾値算出部22eは、アーク電圧値Vdの移動平均に基づいて、閾値を算出する。例えば、閾値算出部22eは、移動平均値から所定値を減算することによって閾値を算出する。
開口縮小判定部22fは、アーク電圧値Vdと、閾値とを比較することにより、埋もれ空間6aが縮小した状態にあるか否かを判定する機能部である。
トーチ位置調整部22gは、上記判定結果に応じて、溶接トーチ11の上下位置を調整する機能部である。具体的には、トーチ位置調整部22gは、アーク電圧値Vdが閾値未満になった場合、溶接トーチ11を上方へ移動させることにより、溶接ワイヤ5の先端部5aを引き上げ、埋もれ空間6aの開口を拡大させる。溶接トーチ11を上方へ移動させた結果、上記開口縮小判定部22fによって、埋もれ空間6aが拡大したと判定された場合、トーチ位置調整部22gは、溶接トーチ11を下方へ移動させることにより、溶接ワイヤ5の先端部5aを再び、埋もれ空間6aに進入させる。
アーク制御部22の各構成部は、ハードウェアで構成しても良いし、ソフトウェアの機能部として構成しても良い。また、言うまでもなく、一部をハードウェアで構成し、その他の部分をソフトとウェア的に構成しても良い。以下、アーク制御部22はコンピュータであって、演算処理によって各構成部をソフトウェア的に実現するものとして説明する。
図3は、アーク制御部22のハードウェア構成を示すブロック図である。アーク制御部22は、CPU221を備え、CPU221には、演算処理によって生ずる各種データを記憶するRAM222、制御プログラム26aを記憶する不揮発性の記憶部223、第1入力部224、第2入力部225、出力部226及び通信部227が接続されている。アーク制御部22はコンピュータを構成している。制御プログラム26aは、CPU221に実行させることによって、埋もれアーク7を実現するための溶接電流Iを供給すると共に、埋もれ空間6aの状態に応じて溶接ワイヤ5を引き上げる制御を実行することにより埋もれ空間6aを安定化させるためのコンピュータプログラムである。
なお、本実施形態1に係る制御プログラム26aは、記録媒体26にコンピュータ読み取り可能に記録された態様でも良い。記憶部223は、図示しない読出装置によって記録媒体26から読み出された制御プログラム26aを記憶する。記録媒体26はCD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)等の光ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク等の磁気ディスク、磁気光ディスク、半導体メモリ等である。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータから本実施形態1に係る制御プログラム26aをダウンロードし、記憶部223に記憶させても良い。
電流検出部24及び電圧検出部23は、それぞれ第1入力部224及び第2入力部225に接続されている。CPU221は、第1入力部224及び第2入力部225にて溶接電流値Id及びアーク電圧値Vdを取得する。
出力部226は、電源回路21に接続されている。CPU221は、差分値ΔIを電源回路21へ出力し、差分値ΔIが小さくなるように電源回路21による溶接電流Iの供給を制御する。
通信部227には溶接システム制御装置3が接続されており、溶接の開始指示又は停止指示、出力電圧E、溶接電流Iの設定値等を示す溶接制御信号を受信し、CPU221は受信した信号に従って、埋もれアーク溶接を実現するための溶接電流Iの供給を制御する。一方、CPU221は、埋もれ空間6aの状態に応じて、埋もれ空間6aを安定化させるためのトーチ位置調整信号を、溶接システム制御装置3へ出力する。トーチ位置調整信号は、溶接トーチ11の上下位置の調整を指示するための信号である。
図4は、アーク電圧値Vdと、埋もれ空間6aの開口径との関係を示すグラフである。横軸は時間、左縦軸はアーク電圧値Vd、右縦軸は埋もれ空間6aの開口径を示したものである。埋もれ空間6aの開口径は、埋もれアーク溶接中の被溶接部を高速度カメラで撮像して得られた画像から開口の長径及び短径を測定し、測定して得た長径及び短径の平均値を算出することによって得られる。
母材4の板厚が19mm、ワイヤ径が1.4mm、ワイヤ送給速度が22m/分、溶接電流Iの設定電流値が600A、設定電圧値Erが48Vの溶接条件でビードオンプレート溶接を行った場合、図4中白丸プロットで示すように、溶接中、埋もれ空間6aの開口径が頻繁に変化していることが分かる。一方、図4中黒丸プロットで示すように、アーク電圧値Vdは、埋もれ空間6aの開口径の増減に合わせて同様に増減しており、良い対応関係を示していることが分かる。つまり、アーク電圧値Vdと、埋もれ空間6aの開口は正の相関を有していることが分かる。
また、図4は、数十m秒の比較的短い期間で開口径が変動しており、埋もれ空間6aが不安定化し易い状況にあることを示している。埋もれアーク7が不安定化しやすいのは、埋もれ空間6aの開口が縮小し、溶融金属が溶接ワイヤ5に接近したときであるが、アーク電圧値Vdを検出及び監視することによって、埋もれ空間6aの開口が縮小した状態を検知することができる。
本実施形態1に係る溶接電源2は、埋もれ空間6aの開口が縮小したことを検知した場合、溶接トーチ11を引き上げる制御を行うことにより、溶接ワイヤ5の先端部5a、即ちアーク発生点を引き上げる。アーク発生点を引き上げることにより、閉塞しそうな埋もれ空間6aの側壁を効果的に支えることが可能となり、埋もれ空間6aを安定化させることができる(図5参照)。
図5はアーク制御方法を示す模式図である。所要の溶接条件、例えば図4で説明した溶接条件で溶接電流Iを供給すると、溶接ワイヤ5の先端部5a及び被溶接部間に発生したアーク7の熱によって溶融した母材4及び溶接ワイヤ5の溶融金属からなる凹状の溶融部分6が母材4に形成され、左上図に示すように溶接ワイヤ5の先端部5aが埋もれ空間6aに進入した状態になる。このとき、溶接ワイヤ5の先端部5a及び溶融部分6の底部61間にアーク7が発生した状態となり、深い溶け込みが得られる。
ところが、溶融部分6は溶融した金属であり、様々な外乱の影響によって、左下図のように埋もれ空間6aの開口が縮小することがある。このような状態になると、溶融部分6が大きく揺動し、埋もれ空間6aは非常に不安定な状態となる。
そこで、アーク制御部22は、溶接トーチ11と共に溶接ワイヤ5を引き上げ、右下図に示すように、当該溶接ワイヤ5の先端部5aを、埋もれ空間6aの開口部付近まで上昇させる。溶接トーチ11の引き上げ速度は例えば1000cm/分である。アーク発生点が上方へ移動すると、先端部5a及び溶融部分6の側壁部62間にアーク7が発生する状態となる。この状態においては、溶融部分6の側壁部62にアーク7が飛び、右上図に示すように、溶融部分6の溶融金属は溶接ワイヤ5から離隔する方向へ押し返され、溶融部分6は凹状の状態で安定化する。
埋もれ空間6aの開口が開き、埋もれアーク7が安定化すると、アーク制御部22は、溶接トーチ11と共に溶接ワイヤ5を下方へ移動させ、左上図に示すように、再び溶接ワイヤ5の先端部5aを埋もれ空間6aに進入させる。
以上の制御により、埋もれアーク溶接における深い溶け込みを得ることができ、しかも、埋もれ空間6aの波打ち等を抑えて埋もれ空間6aを安定化させることができる。
次に上記アーク制御を実現する具体的な処理手順を説明する。
図6は埋もれ空間6aを安定化させるアーク制御の処理手順を示すフローチャートである。埋もれアーク溶接が行われている際、アーク制御部22は以下の処理を実行する。アーク制御部22は、アーク電圧値Vdの検出タイミングであるか否かを判定する(ステップS11)。アーク制御部22は、例えば50m秒以下の所定周期で、アーク電圧値Vdを取得する。ここでは5m秒周期でアーク電圧値Vdを取得するものとする。
電圧検出タイミングで無いと判定した場合(ステップS11:NO)、アーク制御部22は処理をステップS11へ戻す。電圧検出タイミングであると判定した場合(ステップS11:YES)、アーク制御部22は、電圧検出部23から出力されるアーク電圧値Vdを取得し(ステップS12)、取得したアーク電圧値Vdを記憶する(ステップS13)。次いで、アーク制御部22は、記憶した複数のアーク電圧値Vdに基づいて、アーク電圧値Vdの移動平均を算出する(ステップS14)。例えばアーク制御部22は約1秒の移動平均値を算出すれば良い。
次いで、アーク制御部22はアーク電圧値Vdの移動平均値から所定値、例えば3Vを減算し、減算して得た値を第1閾値として更新する(ステップS15)。そして、アーク制御部22は、ステップS12で検出されたアーク電圧値Vdが第1閾値未満であるか否かを判定する(ステップS16)。なお、第1閾値と比較するアーク電圧値Vdは、瞬間値でも良いし、直近の移動平均値であっても良い。アーク電圧値Vdが第1閾値以上であると判定した場合(ステップS16:NO)、アーク制御部22は処理をステップS11へ戻す。
アーク電圧値Vdが第1閾値未満であると判定した場合(ステップS16:YES)、アーク制御部22は、溶接トーチ11を、溶接ロボット1に引き上げさせるためのトーチ位置調整信号を溶接システム制御装置3へ出力する(ステップS17)。溶接トーチ11を引き上げる速度は、例えば1000cm/分である。当該トーチ位置調整信号を受信した溶接システム制御装置3は、溶接トーチ11を上方へ移動させる。
次いで、アーク制御部22は、電圧検出部23から出力されるアーク電圧値Vdを取得し(ステップS18)、取得したアーク電圧値Vdが第2閾値以上であるか否かを判定する(ステップS19)。第2閾値は、第1閾値よりも大きな値であり、閾値にヒステリシスを与えるためのものである。アーク電圧値Vdが第2閾値未満であると判定した場合(ステップS19:NO)、アーク制御部22は処理をステップS17へ戻す。アーク電圧値Vdが第2閾値以上であると判定した場合(ステップS19:YES)、アーク制御部22は、溶接トーチ11を元の上下位置に移動させるためのトーチ位置調整信号を溶接システム制御装置3へ出力することにより、再び溶接ワイヤ5の先端部5aを埋もれ空間6aに進入させ(ステップS20)、処理をステップS11へ戻す。当該トーチ位置調整信号を受信した溶接システム制御装置3は、溶接トーチ11を下方へ移動させる。
このように構成された実施形態1に係るアーク溶接システムによれば、埋もれ空間6aの状態を予測し、埋もれ空間6aの状態に応じてアーク発生点を制御することにより、埋もれ空間6aないし埋もれアーク7の状態を効果的に安定化させることができる。具体的には、溶接トーチ11を引き上げることにより、溶接ワイヤ5の先端部5aを上昇させ、埋もれ空間6aを安定化させることができる。
また、アーク電圧値Vdの移動平均に基づいて閾値を設定する構成であるため、溶接条件に拘わらず、埋もれ空間6aを安定化させることができる。
更に、50m秒以下の周期で埋もれ空間6aの状態を監視することにより、より効果的に埋もれ空間6aを安定化させることができる。
更にまた、溶接ワイヤ5を引き上げた後、埋もれ空間6aの開口が拡大したことを確認してから、再び溶接ワイヤ5の先端部5aを埋もれ空間6aに進入させる構成であるため、より効果的に埋もれ空間6aを安定化させることができ、効率的に深い溶け込みを得ることができる。
更に、埋もれ空間6aの開口の縮小を判定する閾値にヒステリシスを設けることにより、埋もれ空間6aをより安定的に制御することができる。
(実施形態2)
実施形態2に係るアーク溶接システムは、埋もれ空間6aの開口が縮小したときの溶接ワイヤ5の引き上げ方法が実施形態1と異なるため以下では主に上記相違点を説明する。その他の構成及び作用効果は実施形態と同様であるため、対応する箇所には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
図7は本実施形態2に係るアーク溶接システムの一構成例を示す模式図である。実施形態2に係るアーク制御部22は、トーチ位置調整部22gに代えて、送給速度調整部22hを備える。送給速度調整部22hは、溶接ワイヤ5の送給速度を増減させるための送給速度調整信号を、送給速度制御部25へ出力する機能部である。
アーク制御部22は、アーク電圧値Vdが第1閾値未満になった場合、溶接ワイヤ5の送給速度を減速させることを指示するための送給速度調整信号を送給速度制御部25へ出力する。送給速度の減速を示す送給速度調整信号を受信した送給速度制御部25は、溶接ワイヤ5の送給速度を、通常時よりも減速させる。その結果、溶接ワイヤ5が引き上げられ、埋もれ空間6aが安定化する。送給速度の減少量は、特に限定されるものでは無いが、例えば現時点の送給速度を10%~20%減少させると良い。
その後、アーク電圧値Vdが第2閾値以上になった場合、溶接ワイヤ5の送給速度を加速させることを指示するための送給速度調整信号を送給速度制御部25へ出力する。送給速度の加速を示す送給速度調整信号を受信した送給速度制御部25は、溶接ワイヤ5の送給速度を、再び通常時の送給速度に戻す。その結果、溶接ワイヤ5の先端部5aが再び埋もれ空間6aに進入する。
このように構成された実施形態2に係るアーク溶接システムによれば、埋もれ空間6aの状態を予測し、埋もれ空間6aの状態に応じて溶接ワイヤ5の送給速度を増減させることにより、埋もれ空間6aないし埋もれアーク7の状態を効果的に安定化させることができる。
(実施形態3)
実施形態3に係るアーク溶接システムは、埋もれ空間6aの開口が縮小したときの溶接ワイヤ5の引き上げ方法が実施形態1と異なるため以下では主に上記相違点を説明する。その他の構成及び作用効果は実施形態と同様であるため、対応する箇所には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
図8は本実施形態3に係るアーク溶接システムの一構成例を示す模式図である。実施形態3に係るアーク制御部22は、トーチ位置調整部22gに代えて、設定電圧調整部22iを備える。設定電圧調整部22iは、設定電圧値Erを昇降させるための設定電圧調整信号を、出力電圧設定部22aへ出力する機能部である。
アーク制御部22は、アーク電圧値Vdが第1閾値未満になった場合、設定電圧値Erを上昇させることを指示するための設定電圧調整信号を出力電圧設定部22aへ出力する。設定電圧値Erの上昇を示す設定電圧調整信号を受信した出力電圧設定部22aは、設定電圧値Erを上昇させる。その結果、溶接ワイヤ5が引き上げられ、埋もれ空間6aが安定化する。設定電圧値Erの上昇値は、特に限定されるものでは無いが、例えば現時点の設定電圧値Erを10%~20%上昇させると良い。
その後、アーク電圧値Vdが第2閾値以上になった場合、設定電圧値Erを減少させることを指示するための設定電圧調整信号を出力電圧設定部22aへ出力する。設定電圧値Erの減少を示す設定電圧調整信号を受信した出力電圧設定部22aは、設定電圧値Erを再び元の値に戻す。その結果、溶接ワイヤ5の先端部5aが再び埋もれ空間6aに進入する。
このように構成された実施形態3に係るアーク溶接システムによれば、埋もれ空間6aの状態を予測し、埋もれ空間6aの状態に応じて設定電圧値Erを増減させることにより、埋もれ空間6aないし埋もれアーク7の状態を効果的に安定化させることができる。
なお、溶接ワイヤ5の先端部5aの位置を調整する方法として、3つの実施形態1~3を説明したが、実施形態1~3のいずれかを任意に組み合わせて、先端部5aの位置を調整しても良い。
また、閾値にヒステリシスを持たせる構成を説明したが、一つの閾値を用いて、埋もれ空間6aの縮小及び拡大を判定するように構成しても良い。
更に、埋もれ空間6aの開口が拡大したことを確認して溶接ワイヤ5の先端部5aを元の位置に戻す例を説明したが、溶接ワイヤ5を引き上げた後、所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間が経過した場合、溶接ワイヤ5の先端部5aを元の位置に戻すように構成しても良い。
更にまた、溶接ワイヤ5の先端部5aの位置を50m秒以下の周期で制御する例を説明したが、20m秒以下の周期で制御するように構成しても良い。埋もれ空間6aの開口の拡大縮小は約20Hz~50Hzの頻度で起こるためである。
更にまた、本実施形態1~3では、アーク制御部22、特に先端位置制御部22dを溶接電源2に設ける例を説明したが、先端位置制御部22dを、溶接ロボット1又は溶接システム制御装置3等、他の部位に設けても良い。また、アーク制御装置として別体で備えても良い。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 溶接ロボット
2 溶接電源
3 溶接システム制御装置
4 母材
5 溶接ワイヤ
5a 先端部
6 溶融部分
6a 埋もれ空間
61 底部
62 側壁部
7 アーク
11 溶接トーチ
12 ワイヤ送給部
13 基部
14 アーム
21 電源回路
22 アーク制御部
22a 出力電圧設定部
22b 定電圧制御部
22c 差分増幅部
22d 先端位置制御部
22e 閾値算出部
22f 開口縮小判定部
22g トーチ位置調整部
22h 送給速度調整部
22i 設定電圧調整部
23 電圧検出部
24 電流検出部
25 送給速度制御部
26 記録媒体
26a 制御プログラム
221 CPU
222 RAM
223 記憶部
224 第1入力部
225 第2入力部
226 出力部
227 通信部
I 溶接電流
Id 溶接電流値
V 溶接電圧
Vd アーク電圧値
E 設定電圧
Er 設定電圧値
ΔI 差分値
Irc 溶接電流制御設定値

Claims (5)

  1. 母材の被溶接部に溶接ワイヤを送給すると共に、該溶接ワイヤに溶接電流を供給することによって、前記溶接ワイヤの先端部及び前記被溶接部間にアークを発生させ、該アークにより前記母材に形成される凹状の溶融部分によって囲まれる空間に前記先端部を進入させて前記母材を溶接する消耗電極式のアーク溶接を制御するアーク制御装置であって、
    前記溶接ワイヤ及び前記母材間のアーク電圧値を取得する電圧値取得部と、
    該電圧値取得部にて取得したアーク電圧値が閾値未満になった場合、前記空間に進入した前記先端部を、前記溶融部分の開口側へ移動させる制御を行う先端位置制御部と
    を備え
    前記先端位置制御部は、
    前記溶接ワイヤを前記被溶接部へ案内する溶接トーチを、溶接トーチ移動装置に引き上げさせるためのトーチ位置調整信号を出力することにより、前記先端部を前記溶融部分の開口側へ移動させるアーク制御装置。
  2. 母材の被溶接部に溶接ワイヤを送給すると共に、該溶接ワイヤに溶接電流を供給することによって、前記溶接ワイヤの先端部及び前記被溶接部間にアークを発生させ、該アークにより前記母材に形成される凹状の溶融部分によって囲まれる空間に前記先端部を進入させて前記母材を溶接する消耗電極式のアーク溶接を制御するアーク制御装置であって、
    前記溶接ワイヤ及び前記母材間のアーク電圧値を取得する電圧値取得部と、
    該電圧値取得部にて取得したアーク電圧値が閾値未満になった場合、前記空間に進入した前記先端部を、前記溶融部分の開口側へ移動させる制御を行う先端位置制御部と
    を備え、
    前記先端位置制御部は、
    前記溶接ワイヤを前記被溶接部へ送給する速度を減少させるための送給速度調整信号を出力することにより、前記先端部を前記溶融部分の開口側へ移動させるアーク制御装置。
  3. 前記先端位置制御部は、
    前記溶接電流に係る設定電圧値を上昇させるための設定電圧調整信号を出力することにより、前記先端部を前記溶融部分の開口側へ移動させる
    請求項1又は請求項2に記載のアーク制御装置。
  4. 前記先端位置制御部は、
    前記電圧値取得部にて取得した複数のアーク電圧値の移動平均に基づいて前記閾値を算出する
    請求項1~請求項3までのいずれか一項に記載のアーク制御装置。
  5. 前記先端位置制御部は、
    50m秒以下の周期で前記先端部の位置を制御する
    請求項1~請求項4までのいずれか一項に記載のアーク制御装置。
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