様々な図面中の同等の参照番号及び記号表示は、同等の要素を示している。
手術の例から開始すると、1人のオペレータ又は複数のオペレータ(例えば、外科医、外科助手、看護師、技術者、及び他の医療従事者のうちの1人以上)は、図1に描写する手術システム100を操作して、手術環境10内の患者102に対して手術を行うことができる。オペレータは、手術システム100と相互作用(対話)して、遠隔制御可能なアーム106を含む手術マニピュレータアセンブリ104を操作して、手術を行うことができる。遠隔制御可能なアーム106が操作されるときに、遠隔制御可能なアーム106に取り付けられる手術器具が、患者102に対する手術を行うことができる。手術マニピュレータアセンブリ104は、手術環境10の床面20の上方で支持されるベース108(基部)を含む。ベース108は、手術を行うために遠隔制御可能なアーム106を操作する外科手術中に、遠隔制御可能なアーム106がベース108に対して床面20より上方で手術環境10を動き回るよう、床面20より上方で遠隔制御可能なアーム106を支持する。本明細書により詳細に記載するように、外科処置の様々な段階の間に、オペレータは、手術環境10内でベース108を手動で再位置決めすることがある。
「再位置決め(reposition」は、ベースの位置、向き、又は位置及び向きの両方を変更することを示すために、本明細書においてベースと共に使用される。
1人以上のオペレータによるベース108の手動再位置決め中、遠隔制御可能なアームの遠位部分(又は遠隔制御可能なアーム106に取り付けられ且つ遠隔制御可能なアーム106に対して遠位に延びるカニューレ若しくは手術器具のような遠隔制御可能なアームによって支持される品目)を手術環境10内で所望の位置及び/又は向きに維持することができる。プロセッサが、遠隔操作可能なアーム106を制御して、遠隔操作可能なアームの遠位部分(又はカニューレ若しくは手術器具のような遠隔制御可能なアームによって支持される品目)の所望の位置及び/又は向きを維持することができる。例えば、所望の位置及び/又は向きは、基準系(frame of reference)を基準としてよく、その基準系に対して静止的に維持されてよい。例示的な基準系は、特定の患者の組織又は解剖学的構成、患者を支持する表面、床面、手術環境などに固定された、座標フレーム(coordinate frames)を含む。
「及び/又は(and/or)」は、2つの述べられる可能性の一方又は両方を示すために本明細書において使用される。例えば、「位置及び/又は向き」は、位置、向き、又は位置パラメータ及び向きパラメータの両方の組み合わせを示すために使用される。
位置が位置変化の許容範囲内に保持されるとき、位置は維持される。例えば、幾つかの実施において、位置変化の許容範囲はゼロであり、位置を維持することは、位置を完全に不変に保持することを含む。幾つかの実施において、位置変化の許容範囲は非ゼロであり、システムの設計の限界に基づく。位置は、機械的、電気的、及び計算上の許容差及び誤差を考慮して、可能な限り不変に近く維持される。幾つかの実施において、位置変化の許容範囲は非ゼロであり、動作条件に基づく限界を含む。例えば、幾つかの場合、位置変化の許容範囲は、ミリメートル又はセンチメートルのオーダにあり、ワークピース(被加工物)又は人間組織への損傷を回避するよう設定される。幾つかの場合、位置変化の許容範囲はより大きい。幾つかの場合、位置変化の許容範囲は、異なる並進自由度の間で異なる。
同様に、向きが向き変化の許容範囲内に保持されるとき、向きは維持される。様々な実施において、向き変化の許容範囲はゼロであってよく、システム性能によって制限される最小の量であってよく、ワークピース又は人間組織への損傷を回避することのような性能条件に基づいて1度未満又は複数度未満、又は複数度以上であってよく、同等のことであってよい。幾つかの場合、向き変化の許容範囲は、異なる回転自由度の間で異なる。
幾つかの実施において、位置及び/又は向きにおいて維持されるアームの遠位部分は、アームの遠位リンクの一部又は全部を含んでよい。例えば、維持される遠位部分は、遠位リンクの遠位端を含んでよく、動作中にアクセスポートに隣接するように構成される遠位リンクの一部分を含んでよく、ツール又はカニューレなどのようなアームに取り付くデバイスに連結する遠位リンクの一部分を含んでよい。
同様に、位置及び/又は向きにおいて維持されるツール又はカニューレは、ツール又はカニューレの一部又は全部を含んでよい。例えば、ツール又はカニューレは、ツール又はカニューレの特定の部分の位置及び/又は向きが維持されるときに、その位置及び/又は向きに維持されると考えられることができる。幾つかの場合には、ツール又はカニューレは、ツール又はカニューレの遠位端の位置及び/又は向きを維持することによって、ツール又はカニューレの一部分がツール又はカニューレなどの遠隔回転中心と一致するならば、アクセスポートに隣接するツール又はカニューレの一部分の位置及び/又は向きを維持することによって、その位置及び/又は向きにおいて維持される。
幾つかの実施において、所望の位置は、手術環境10内の基準点に対するものであってよい。例えば、遠隔制御可能なアームの遠位部分(又は遠隔制御可能なアームによって支持される品目)の所望位置は、カニューレ又は手術器具又は他の手術デバイスが患者102のアクセスポートに挿入される(或いは既に挿入されている)姿勢に対応することができる。患者102の例示的なアクセスポートは、患者102の最小侵襲孔である。基準点が患者102のアクセスポートの位置に対応するならば、手動再位置決め中の遠隔操作可能なアーム106の制御は、ベース108が手動で再位置決めされる間にさえも、遠隔操作可能なアーム106がアクセスポートに結合(ドッキング)されたままであるか或いはアクセスポートに他の方法で近接したままであることを可能にする。幾つかの場合には、ベース108の手動再位置決めが起こる前に、オペレータが遠隔制御可能なアーム106を所望の位置に配置する。代替的に、オペレータは、ベース108の手動再位置決めが起こる前に、遠隔制御可能なアーム106に取り付けられるデバイスを所望の位置に配置する。遠隔制御可能なアーム106に取り付けられることがあるデバイスの例は、手術ツール又はカニューレ又は他の手術デバイスを含む。ベース108の再位置決め中、エンドエフェクタは、基準点に対して所望の位置に留まる。
オペレータは、手動再位置決め中にベース108を最適ベース場所エンベロープ110(optimal base location envelope)に向かって移動させることがある。最適ベース位置エンベロープ110は、例えば、手術環境10内のベース108のための三次元位置の範囲に対応する。ベース108が最適ベース位置エンベロープ110内にあるときには、遠隔制御可能なアーム106に取り付けられる手術ツールが行われるべき又は行われている外科処置に関連する患者102の解剖学的構造の領域に容易にアクセスすることができるように、遠隔制御可能なアーム106を位置付け且つ方向付けることができる。
遠隔制御可能なーム106のベース108の手動再位置決めを最適ベース場所エンベロープ110に向かって方向付けるために、手術システム100の1以上のプロセッサが、位置決めインジケータシステムを選択的に起動させる(activate)ことができる。位置決めインジケータシステムの選択的な起動(activation)は、最適ベース場所エンベロープ110に到達するためにベース108を移動させなければならない方向を、手動再位置決めを行うオペレータ112に示すことができる。例えば、視覚的表示115は、ベース108が最適ベース場所エンベロープ110に向かって再位置決めされるよう手術マニピュレータアセンブリ104のベース104を移動させなければならない方向を視覚的に示すことができる。この技法は、遠隔制御可能なアーム106を制御して遠隔制御可能なアーム106の遠位部分の姿勢(又はカニューレ若しくは手術ツールのような遠隔制御可能なアーム106によって指示される品目の姿勢)を維持する間に、ベース108の手動再位置決めを行うよう、オペレータ112を誘導する(guides)。
マニピュレータアームの遠位部分(又はマニピュレータアームによって保持される品目)の姿勢は、遠位部分(又は品目)の位置、向き、又は位置パラメータ及び向きパラメータの任意の組み合わせを含むことができる。よって、本開示に提示される具体的な例は、しばしば、簡潔性のために制御可能なアームの遠位部分の位置を維持することを議論するが、本明細書に記載する技法は、他の態様でも同様に使用可能である。例えば、それらは、制御可能なアームの遠位部分について又は制御可能なアームによって支持される(カニューレ若しくはツールのような)品目についての、位置、向き、又は位置パラメータ及び向きパラメータの組み合わせを維持するために使用されてよい。
位置及び/又は向きは、任意の適切な基準に対して維持されてよい。幾つかの実施において、基準は、手術器具を挿入する或いは挿入するべき患者のアクセスポートの場所に対応する点のような基準点である。位置のみが維持される実施では、向き情報のない単一の点が十分であり得る。幾つかの実施において、基準は、1以上の基準方向を含むが、基準場所を含まない。例えば、1以上の基準方向は、再位置決めプロセスの開始直前の遠位部分の三次元向きに基づいてよい。(複数の)方向のセットに対応する(複数の)向きのみが維持される実施では、基準場所のない(複数の)方向のセットが十分であり得る。幾つかの実施において、基準は、位置及び1以上の向きが維持されるときの基準場所及び1以上の基準方向の両方を含む。幾つかの実施において、基準は、三次元空間内の場所及び向きを定めるのに十分な完全な基準系を含む。
よって、遠隔制御可能なアーム106は、遠隔制御可能なアーム106の遠位部分(又は、カニューレ又はツールのような、遠隔制御可能なアーム106によって支持される品目)の一部又は全部の1以上の位置及び/又は向きパラメータを維持するように制御される。例えば、幾つかの実施において、遠隔制御可能なアーム106は、遠隔制御可能なアーム106のエンドエフェクタ又は遠隔制御可能なアーム106によって支持されるツールの位置及び向きの両方を維持するように制御される。よって、位置決めインジケータシステムは、1人以上のオペレータによる手動再位置決めが完了するときに、遠隔制御可能なアーム及び関連する手術ツール及び他の器具又は付属品(アクセサリ)が患者102に対して手術を行うよう最適に位置付けられ且つ方向付けられることを可能にし得る。
(例示的な手術システム)
図1は、手術マニピュレータアセンブリ104のベース108の手動再位置決めを案内する位置決めインジケータシステムを含む手術システム100の一例を示している。手術マニピュレータアセンブリ104は、ベース108から延びる遠隔制御可能なアーム106を含む。ベース108は、オペレータ112が手動再位置決めを行うことを可能にするために、床面20に対して移動可能である。図1に示す例において、オペレータ112(例えば、外科助手)は、手術マニピュレータアセンブリ104の遠隔制御可能なアーム106を制御して手術を行うことができるように、ベース108を所定の位置に案内する。
幾つかの実施において、手術システム100は、外科医コンソール114、電子機器カート116、トレイ118、付属品テーブル119又は麻酔カート120のうちの1以上を含む。図1に示す例において、処置されるべき患者102は、手術台123の上に位置付けられている。外科医122は、例えば、外科医コンソール114を作動させて、手術中に手術マニピュレータアセンブリ104の遠隔制御可能なアーム106を制御する。麻酔科医又は助手124は、手術中に麻酔カート120から患者102に麻酔を施すことができ、他の助手126は、手術マニピュレータアセンブリ104に取り付けられるべきトレイ118上の手術ツールを選択することができる。
手術を行うために、外科医122は、コンソール114を作動させることによって、手術マニピュレータアセンブリ104の遠隔制御可能なアーム106を操作することができる。コンソール114を手術環境10内に位置付けることができ、或いは、幾つかの場合には、手術環境10の外部の遠隔場所に位置付けることができる。コンソール114は、手術システム100が最小侵襲遠隔手術のために使用されることを可能にする。外科医122は、例えば、外科医コンソール114を作動させて、手術マニピュレータアセンブリ104の遠隔制御可能なアーム106を制御し、遠隔制御可能なアーム106に取り付けられる手術ツールを操作する。
幾つかにおいて、外科医コンソール114は、外科医122が撮像デバイスによって取り込まれる画像を通じて手術部位を見ることを可能にするディスプレイを含む。ディスプレイは、例えば、手術部位の立体視画像を示す立体視ディスプレイである。手術部位の画像を見ながら、外科医122は、外科医コンソール114上の制御入力デバイスを操作することによって患者102に対して外科処置を行うことができ、次いで、制御入力デバイスは、手術マニピュレータアセンブリ104の遠隔制御可能なアーム106の動きを制御する。
幾つかにおいて、外科医コンソール114の制御入力デバイスは、外科医122の手で把持可能な手動入力デバイスを含む。手動入力デバイスの操作は、例えば、手術マニピュレータアセンブリ104に手術マニピュレータアセンブリ104上の遠隔制御可能なアーム106を移動させる。遠隔操作可能なアーム106の自由度は、例えば、外科医122が手動入力デバイスを操作して遠隔操作可能なアーム106を並進及び回転させて手術を行うことを可能にするのに十分である。制御入力デバイスは、代替的又は追加的に、褄先制御装置及び踵制御装置の一方又は両方を備えるフットペダルを含む。外科医122は、フットペダルを作動させて、フットペダルと関連付けられるデバイスの移動又は作動を引き起こすことができる。外科医122は、フットペダルを踏み込んで、エンドエフェクタの作動を引き起こすことができる。外科医コンソール114は、外科医コンソール114の制御入力デバイスの機械的運動に応答して信号を生成するプロセッサを含むことができる。次いで、この信号は、手術マニピュレータアセンブリ104の遠隔制御可能なアーム106の対応する動きを引き起こすことができる。
幾つかの実施において、電子機器カート116は、手術部位の画像を生成する撮像デバイスと接続される。手術マニピュレータアセンブリ104は、例えば、電子機器カート116に接続される撮像デバイスを含む。撮像デバイスは、手術部位を撮像するために照明をもたらす照明機器(例えば、キセノンランプ)を含んでよい。撮像デバイスは、画像を取り込み、次に、処理のために画像を電子機器カート116に送信することができる。電子機器カート116は、次に、処理した画像を外科医122に提示することができるように、外科医コンソール114に画像を送信することができる。電子機器カート116は、電気外科ユニット(electrosurgical units)、送気装置(insufflators)、吸引洗浄器具(suction irrigation instruments)、又はサードパーティ焼灼機器(third-party cautery equipment)のような、任意的な補助手術機器を含むことができる。
図2Aは、手術マニピュレータアセンブリ104の一例を描写している。手術マニピュレータアセンブリ104の遠隔制御可能なアーム106は、ベース108から延びる。手術マニピュレータアセンブリ104は、遠隔制御可能なアーム106に接続された器具ホルダ132を含み、器具ホルダ132にツール134が取り付けられる。ベース108は、オペレータがベース108を床面20の上方に手動で再位置決めすることができるよう、手術環境10の床面20の上方に移動可能に支持される。
手術マニピュレータアセンブリ104は、床面20の上方にベース108を支持するセットアップアセンブリ109を含む。幾つかの実施では、セットアップアセンブリ109を床面20の上方に支持して、床面20の上方にベース108を支持する。幾つかの場合には、セットアップアセンブリ109を手術環境10の壁又は天井によって支持して、床面20の上方にベース108を支持する。幾つかの場合には、本明細書に記載するように、セットアップアセンブリ109は、手術台123によって支持される。
図2Aの例に示すように、セットアップアセンブリ109は、床面に支持される。セットアップアセンブリ109は、カート111から延びるセットアップアーム128を含む。カート111は、例えば、床面20に亘って全方向に移動可能である。カート111は、例えば、床面20に亘るカート111の転動運動を容易にするホイール136を含む。ホイール136は、手術マニピュレータアセンブリ104を手術台(例えば、図1の手術台123)の近くに位置付けるよう、手術室間又は手術室内のように、場所から場所に運ばれることを可能にする。幾つかの実施において、カート11は、カート111が床面20で支持されるときに垂直に上向きに延びるコラム138を含む。カート111がコラム138を含むならば、セットアップアーム128は、カート111のコラム138に接続される。幾つかの場合には、制動機構140(braking mechanism)が、ホイール136のうちの1以上に連結される。幾つかの場合、オペレータは、セットアップアセンブリ109及び/又はカート111を手動で操作して、ベース108を再位置決めする。
幾つかの例において、セットアップアーム128は、セットアップアーム128をコラム138に接続する第1のセットアップジョイント142a(セットアップ関節)を含む。セットアップアーム128は、ジョイントによって互いに接続される幾つかのリンクを含むことができる。図2Aに描写する例において、セットアップアーム128は、第1のセットアップリンク144aと、第2のセットアップリンク144bと、第3のセットアップリンク144cとを含む。セットアップアーム128は、更に、第2のセットアップジョイント142bと、第3のセットアップジョイント142cとを含む。第1のジョイント142aは、第1のセットアップリンク144aの近位端をコラム138に接続する。第2のセットアップジョイント142bは、第1のセットアップリンク144aの遠位端を第2のセットアップリンク144bの近位端に接続する。第3のセットアップジョイント142cは、第2のセットアップリンク144bの遠位端を第3のセットアップリンク144cの近位端に接続する。第3のセットアップリンク144cの遠位端は、ベース108に接続される。
第1のジョイント142aは、セットアップアーム128が、故に、遠隔制御可能なアーム106が、カート111に対して床面20の上方で垂直に並進させられることを可能にする、プリズムジョイント(prismatic joint)であることができる。カート111がコラム138を含むならば、第1のジョイント142aは、アーム128をコラム138に沿って垂直に並進させることができるように、セットアップアーム128をコラム138に接続することができる。第2及び第3のセットアップジョイント142b及び142cは、ジョイント142b,142cのうちの1つによって互いに接続されるセットアップリンク144a,144b,144cのうちの任意の2つを接続ジョイントについて互いに対して回転させることができるように、回転ジョイント(revolute joint)であることができる。
セットアップアーム128の遠位端に接続される遠隔制御可能なアーム106は、器具ホルダ132に接続される一連のリンク及びジョイントを含む。図2Aに描写するように、遠隔制御可能なアーム106は、互いに直列に接続されるマニピュレータリンク146a〜146fを含む。マニピュレータジョイント148aは、マニピュレータリンク146aを第3のセットアップリンク144cに接続する。マニピュレータジョイント148b〜148fは、マニピュレータリンク146a〜146fを互いに対して移動させることができるように、マニピュレータリンク146a〜146fを互いに接続する。遠隔制御可能なアーム106のマニピュレータジョイント146gは、器具ホルダ132を移動可能に支持する。
図2Aに示す例において、マニピュレータジョイント148aは、遠隔制御可能なアーム106とベース108との相対的な回転を可能にする、回転ジョイントであることもできる。マニピュレータジョイント148b〜148fの各々は、マニピュレータリンク146a〜146fの間の相対的な回転を可能にする、回転ジョイントであることができる。同様に、器具ホルダ132を遠隔操作可能なアーム106に対して回転させることができるよう、器具ホルダ132を遠隔操作可能なアーム106のマニピュレータリンク146fに枢動可能に連結することができる。マニピュレータジョイント148gは、器具ホルダ132がマニピュレータジョイント148gで枢動することにより、遠隔制御可能なアーム106に対して回転することを可能にする、回転ジョイントであることができる。幾つかの例において、ジョイント148gは、2つの軸についての枢動運動を可能にする、リストジョイント(手首関節)である。
器具ホルダ132は、手術ツール134を保持するように構成される。器具ホルダ132は、任意的に、患者102のアクセスポートに挿入される管状部材であるカニューレ150を保持するようにも構成される。異なる種類のカニューレ及び手術ツールを器具ホルダ132に取り付けることができるよう、カニューレ150及び手術ツール134を器具ホルダ132にそれぞれ解放可能に連結することができる。
手術ツール134は、任意的に、細長いシャフト152の近位端に位置付けられる伝達アセンブリ154を含む。伝達アセンブリ154を作動させて、細長いシャフト152の遠位端に位置付けられるエンドエフェクタ156の動きを引き起こすことができる。手術中に患者102の組織を操作し、組織を治療し、組織を撮像し、或いは他の手術を行うような方法において、手術器具134のエンドエフェクタ156を制御することができる。細長いシャフト152をカニューレ150の管腔内にスライド可能に配置することができるよう、カニューレ150は手術ツール134の細長いシャフト152を受け入れる管腔を定める。細長いシャフト152は、カニューレ150の長手方向軸と一致する長手方向軸を定める。器具ホルダ132は、手術ツール134の細長いシャフト152をその長手方向軸に沿って並進させることができるように、器具ホルダフレーム160に沿って並進可能な器具ホルダキャリッジ158を含むことができる。エンドエフェクタ156が手術中に手術を行うことができるように、細長いシャフト152及びエンドエフェクタ156をカニューレ150の管腔及び患者102のアクセスポート内に挿入することができ、且つカニューレ150の管腔及び患者102のアクセスポートから後退させることができる。
「ツール(tool)」という用語は、一般的又は工業用ロボットツール及び(診断用及び非外科治療のためのロボット手術器具及びロボット医療器具を含む)特殊ロボット医療器具の両方を包含する。ツール/マニピュレータインターフェース、例えば、器具ホルダ132は、迅速切断(quick disconnect)工具ホルダ又は継手(coupling)であることができることで、交換用ツールとのツールの迅速な取外し及び交換を可能にする。本開示に提示する具体的な例は、しばしば外科的な例であるが、開示する技法は、非外科用途にも適用可能である。
例えば、それらは、ワークピース(被加工物)を操作する際の用途のような、一般的又は工業用ロボット操作と共に使用されてよく、それらを改良することがある。これらの技法は、診断及び非外科治療のための医療用ロボット操作と共に使用されてもよく、それらを改良することもある。
更に、この開示に提示する具体的な例は、遠隔操作ロボットシステムをしばしば議論するが、開示する技法は、部分的に又は全体的にオペレータによって直接的に且つ手動で動かされるロボットシステムにも適用可能である。例えば、ツールがオペレータによって手動で操作される間にロボットアームによって保持されるツールを安定させるのを助けるように設計されるロボットシステムにこれらの技法を適用することができる。他の例として、アーム106、804A、804B、804C、904、1000を含む、本明細書で議論する制御可能なアームのいずれも、直接的な操作を可能にし、制御可能なアームのリンク又はジョイントに直接的に加えられる入力を通じてオペレータ指示を受け入れる、ように構成されてよい。
セットアップアセンブリ109、ベース108、及び遠隔制御可能なアーム106は、遠隔制御可能なアーム106によって支持される、例えば、遠隔制御可能なアーム106の器具ホルダ132によって支持される、手術ツール134を制御する、運動連鎖を形成する。例えば、セットアップアセンブリ109の近位端が床面20で支持され、セットアップアセンブリ109の遠位端がベース108に接続され、ベース108は遠隔制御可能なアーム106の近位端に接続され、遠隔制御可能なアーム106の遠位部分159はカニューレ150を保持するように構成される。セットアップアセンブリ109、ベース108、遠隔制御可能なアーム106は、運動学的に直列に接続される。結果として、手術マニピュレータアセンブリ104の1以上のジョイントの動き、カート111の動き、又は手術マニピュレータアセンブリ104及びカート111の両方の動きは、床面20に対する遠位部分159(又はもし存在し且つ器具ホルダ132によって保持されるならばカニューレ150若しくはツール134)の動きを引き起こすことができる。手術ツール134が遠隔制御可能なアーム106に取り付けられると、手術ツール134の一部分は、カニューレ150を通じて延びる。よって、手術ツール134が遠隔制御可能なアーム106に取り付けられると、セットアップアセンブリ109、ベース108、遠隔制御可能なアーム106、及び手術ツール134は、運動学的に直列に接続される。結果として、手術マニピュレータアセンブリ104又はカート111のジョイントの動きは、床面20に対する手術ツール134の動きを引き起こすことができる。
外科手術中、セットアップアセンブリ109を床面20の上方に固定し、それにより、ベース108を床面20の上方で手術環境10内に静止させることができる。セットアップアセンブリ109を固定して手術ツールの動きに手術を行わせる間に、遠隔制御可能なアーム106のジョイントを操作することができる。手術マニピュレータアセンブリ104は、外科手術中に手術ツール134をある範囲の可能な位置に配置することができるように、セットアップアセンブリ109と手術ツール134との間に多数の自由度を含むことができる。(把持デバイスのジョーの開閉、電気外科パドルへの通電、又は同等のことのような)エンドエフェクタ156の作動は、遠隔制御可能なアーム106の自由度とは別個であることができ、且つ遠隔制御可能なアーム106の自由度に対して追加的であることができる。
遠隔制御可能なアーム106のジョイントは、患者102のアクセスポートを通じてカニューレ150及び手術ツール134を挿入して手術を行うことができるよう、遠位部分159を患者102のアクセスポートの近くに移動させる、十分な自由度を有することができる。図2Aに関して記載したジョイントの具体的な組み合わせは、可能なジョイントとリンクとの組み合わせ及び遠隔制御可能なアーム106のために可能な自由度の一例である。ジョイント142b〜142c、148a〜148gを含む、回転ジョイントは、それぞれ、リンクが、回転ジョイントによって定められるジョイント軸について互いに対して回転するのを可能にするよう2つのリンクを接続する。ジョイント142a並びに器具ホルダフレーム160と器具ホルダキャリッジ158との間のジョイントを含む、プリズムジョイントは、プリズムジョイントによって定められるジョイント軸に沿った並進を可能にする。
幾つかの実施において、手術マニピュレータアセンブリ104のジョイント142a〜142c、148a〜148gのうちの一部は、接続リンクの相対的な運動を引き起こすよう制御し且つ作動させることができる動力付きジョイント(動力式ジョイント)(powered joints)である。外科医コンソール114にある制御入力を使用して外科医122によってジョイント142a〜142c、148a〜148gを制御することができる。外科医122は、外科医コンソール114にある制御入力を操作した後に、ジョイントと関連付けられる1以上のアクチュエータを作動させることができ、次いで、ジョイントによって接続される2以上のリンクを体外に対して移動させることができる。例えば、器具ホルダ132を移動可能に支持するジョイント148gは、動力付きジョイントが作動させられるときに、外科医122がエンドエフェクタ156を動かすことを可能にする、動力付きジョイントであることができる。幾つかの実施において、外科医122又は他のオペレータは、手術マニピュレータアセンブリ104のジョイントと手動で相互作用して、ジョイントの動きを引き起こす。
幾つかの実施において、ジョイント142a〜142c、148a〜148gのうちの一部は、オペレータ入力に応答して手術システム100のプロセッサ又は複数のプロセッサによって能動的に制御されない受動ジョイントである。ジョイント142a〜142c、148a〜148gは、能動的に制御される代わりに、能動的に制御されるジョイントの動きに応答して動くことができる。幾つかの例において、手術マニピュレータアセンブリ104の受動ジョイントは、選択的に解放可能であることができる。受動ジョイントは、起動させられるときに受動ジョイントの運動を可能にする解放機構を含むことができる。例えば、解放機構は、作動させられるときに、受動ジョイントを解放させて移動可能にさせる、解放可能なクランプを含むことができる。受動ジョイントは、解放させられた後にジョイントの運動を可能にするか或いは作動させられた後にジョイントの運動を抑制する、制動機構を含むことができる。幾つかの実施において、外科医122又は他のオペレータは、手術マニピュレータアセンブリ104のジョイントと手動で相互作用して、ジョイントの動きを引き起こす。
遠隔制御可能なアーム106は、遠位部分159、カニューレ150、又は手術ツール134を所与の位置に配置するのに必要であるよりも大きい自由度を有することができ、例えば、余分な自由度を有することができる。マニピュレータリンケージ(マニピュレータリンク機構)は、所与のエンドエフェクタ状態のためにある範囲のジョイント状態を占めるよう、十分な自由度を有することができる。そのような構造は、冗長な自由度を有するリンケージを含んでよい。例えば、幾つかの実施において、遠隔制御可能なアーム106、セットアップアーム128、又は遠隔制御可能なアーム106及びセットアップアーム128全体は、(1)ベース108の姿勢及び(2)遠隔制御可能なアーム106の遠位部分又は手術ツール134のエンドエフェクタの状態のためにある範囲のジョイント状態を可能にする、十分な自由度を提供する、複数のジョイントを含む。
この明細書において、「リンケージ(linkage)」は、状況に応じて適用可能であるような、単一のリンク、少なくとも1つのリンク、又は複数のリンクを含む、構造を示すために使用される。これらの構造では、幾つかの実施において、1つのジョイントの作動は、運動連鎖に沿う異なるジョイントの類似の作動によって直接的に置換されてよい。これらの構造は、幾つかの場合には、余剰の、余分の、冗長な自由度を有するものとして呼ばれる。これらの用語は、例えば、中間リンクがエンドエフェクタの姿勢を変更せずに動くことができる運動連鎖を包含することができる。
この点に関して、遠位部分159(又は存在する場合には手術ツール134)のこの位置において、遠隔制御可能なアーム106の各ジョイントは、ある範囲のジョイント状態を占めることができる或いはそれらの間で駆動させられることができ、遠隔制御可能なアーム106の各リンクは、ある範囲の代替的なリンケージ位置を占めることができ或いはそれらの間で駆動させられることができる。遠位部分159(又は存在する場合は手術ツール134)のこの位置において、遠隔制御可能なアーム106の各ジョイントは、ある範囲のジョイント速度ベクトル又は速さを有することができる。自由度の数及び種類によって、利用可能なジョイント状態の範囲、代替的なリンケージ位置の範囲、及びジョイント速度ベクトル又は速さの範囲を定めることができる。
ジョイントの「状態」という用語は、ジョイントと関連付けられる制御変数を指すことができる。例えば、リンク間の相対的な回転を可能にする回転ジョイントの状態は、ジョイントの角速度及び/又は運動範囲内のジョイントによって定められる角度を含むことができる。プリズムジョイントの状態は、ジョイントの軸方向速度及び/又は軸方向位置を指すことがある。
遠隔制御可能なアーム106の動きは、遠位部分159がアクセスポートに対して拘束されるように(或いは存在する場合には手術ツール134がアクセスポートを通じる所望の動きに拘束されるように)制御されてよい。そのような運動は、例えば、アクセスポートを通じる細長いシャフト152の軸方向挿入、その長手方向軸についての細長いシャフト152の回転、及びアクセスポートに隣接するピボット点についての細長いシャフト152のピボット運動を含むことができる。
幾つかの例において、これらの動きは、遠隔制御可能なアーム106のジョイントのロボットデータ処理及び制御技法の使用を通じて抑制されてよい。遠位部分159(或いは存在する場合にはカニューレ150又は手術ツール134)の位置及び/又は向きを維持するように、遠隔制御可能なアーム106のジョイント148a〜148gを制御することができる。位置及び/又は向きは、任意の適切な基準に対して維持されてよく、例示的な基準は、手術環境、床面、患者102の解剖学的構成などに固定された基準系を含む。基準は、手術環境10内の基準点162のようなものとして定義されてよい。幾つかの例では、遠隔制御可能なアーム106のジョイントのうちの1つだけが、基準に対する遠位部分159(或いは存在するならばカニューレ150又は手術ツール134)の位置及び/又は向きを維持するように制御される。幾つかの例では、遠隔制御可能なアーム106の複数のジョイントが、位置及び/又は向きを維持するように制御される。基準は、手術環境10内の基準点162であってよい。遠位部分159(或いは存在する場合にはカニューレ150又は手術ツール134)の向きも維持される場合、基準は、基準点に原点を備える基準系を含んでよい。
基準点162は、遠隔操作可能なアーム106(よって、遠位部分159又は手術ツール134のような遠隔操作可能なアーム106によって支持される任意の品目)の動きを拘束する遠隔運動中心に対応することができる。具体的には、基準点162は、遠隔制御可能なアーム106の一部分がその周りを回転するピボット点であってよい。幾つかの場合、基準点162は、遠隔制御可能なアーム106又は手術ツール134が移動させられるときに、手術ツール134がアクセスポートを通じて患者の解剖学的構造内に入る領域が基準点162に対する動きを僅かに受けるか或いは全く受けないことにより、基準点162での患者102の解剖学的構造に対する応力を減少させるように、患者102のアクセスポートと一致してよい。ジョイント148a〜148gが移動させられるときに、手術ツール134又は関連付けられるカニューレ150に沿う任意の点が基準点162について回転させられるように、ジョイント148a〜148gを制御することができる。ジョイント148a〜148gは、第1のセットのジョイントが移動させられるときに、相応して、第2のセットのジョイントが移動させられて、遠位部分159(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアーム106によって支持される品目)の位置及び/又は向きが維持されることができるように、十分な利用可能な自由度を有することができる。幾つかの実施において、ジョイント148a〜148g、又はジョイント148a〜148gのサブセットは、遠位部分159(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔操作可能なアーム106によって支持される品目)の特定の位置及び/又は向きを維持する複数の設定を有する。
これに関して、遠位部分159(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアーム106によって支持される品目)の移動を引き起こさずに、ジョイント148a〜148gを手術環境10内の最適な姿勢に向かって移動させることができる。ロボットアーム及びマニピュレータのソフトウェア拘束される遠隔運動中心の他の例は、2011年8月23日に公開された米国特許第8,004,229号(以下「第229号特許」と呼ぶ)に記載されており、その全文を参照として援用する。
図3も参照すると、手術システム100は、手術システム100の機器の動作を制御することができる制御システム300を含むことができる。制御システム300は、手術マニピュレータアセンブリ104の手動再位置決めを指示するように機器を制御することができる。制御システム300は、手術マニピュレータアセンブリ104、例えば、手術マニピュレータアセンブリ104の遠隔制御可能なアーム106のジョイントを制御して、手動再位置決め中に遠位部分159(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアーム106によって支持される品目)の位置及び/又は向きを維持することもできる。制御システム300は、プロセッサ302と、手術マニピュレータアセンブリ104と、位置決めインジケータシステム304とを含む。制御システム300は、任意的に、外科医コンソール114や、電子機器カート116や、センサシステム306も含む。
プロセッサ302は、幾つかのプロセッサのうちの1つであることができる。外科医コンソール114、手術マニピュレータアセンブリ104、電子機器カート116、及び制御システム300の位置決めインジケータシステム304の各々は、動作を制御するための独立したプロセッサを含むことができる。有線又は無線接続が、手術マニピュレータアセンブリ104、電子機器カート116、外科医コンソール114、及び位置決めインジケータシステム304の間の通信を可能にすることができる。接続は、例えば、外科医コンソール114、電子機器カート116、及び手術マニピュレータアセンブリ104の間の光ファイバ通信リンクであることができる。制御システム300は、幾つかの例において、手術システム100を操作するために使用されるデータ処理の一部又は全部を実行し得る中央電子データ処理ユニットとして機能する単一のプロセッサを含むことができる。
手術システム100は、手術システム内の機器の治療パラメータ及び状態を検出するためにセンサシステム306のセンサ部を含むことができる。手術マニピュレータアセンブリ104は、例えば、手術マニピュレータアセンブリ104に沿うリンクの相対的な姿勢を検出するよう、ジョイント142b〜142c及び148a〜148gに位置付けられる、姿勢センサ308を含むことができる。姿勢センサ308は、圧力センサ、トルクセンサ、力センサ、位置センサ、速度センサ、加速度計、回転エンコーダ、線形エンコーダ、及び手術マニピュレータアセンブリ104内のリンク及びジョイントの位置及び向きを決定する他の適切なセンサの組み合わせを含むことができる。
姿勢センサ308は、セットアップアセンブリ109、ベース108、遠隔制御可能なアーム106、並びに1以上のジョイント142a〜142c及び148a〜148gの相対的な位置、相対的な向き、又は相対的な位置及び相対的な向きの両方を示す、信号を生成することができる。これらの姿勢センサ308は、任意的に、ベース108の姿勢に対する遠隔制御可能なアーム106の姿勢を検出し、他のリンクに対する1つのリンクの姿勢を検出し、手術ツール134の姿勢を検出し、或いは手術マニピュレータアセンブリ104の他の要素の姿勢を検出する。これらの姿勢は、任意の適切な基準を参照してよい。例示的な基準は、手術環境10、床面、患者102、ベース108を含む。姿勢センサを備える所与のジョイントについて、姿勢センサは、ジョイントのジョイント状態を検出することができる。センサは、遠位部分159(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアームによって支持される品目)の所与の位置についての利用可能な範囲のジョイント状態及びジョイント速度内のジョイントの位置及び速度を検出することができる。センサは、所与のジョイントで接続されるリンクの相対的なリンク姿勢を検出することもできる。このセンサは、それにより、遠位部分159(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアームによって支持される品目)の所与の姿勢で利用可能なリンク状態の範囲内のリンクの姿勢を検出することができる。
姿勢センサ308は、任意的に、手術環境10内のベース108の姿勢を検出することができるセンサを含む。センサは、プロセッサ302が、ベース108を支持し且つベース108が手術環境を動き回ることを可能にするセットアップアセンブリ109の動きに基づいてベース108の姿勢を計算するために使用することができる、信号を生成することができる。セットアップアセンブリ109は、例えば、カート111のホイール136で、床面20より上方の手術環境内で支持される。ホイール136は、手術環境10の床面20上のカート111の水平方向の位置及び向きを追跡するために使用することができる回転エンコーダと共に動作可能であってよい。次に、カート111の水平方向の位置及び向きからベース108の水平方向の位置及び向きを決定することができる。セットアップアセンブリ109のカート111は、代替的に又は追加的に、床面20に沿うカート111の動き、例えば、位置、速度、向き、及び/又は加速度を追跡することができる、光学センサを含む。光学センサは、例えば、光学マウスにおいて使用されるものと同様である。光学センサは、カート111が床面20に沿って移動するときに、床面20の画像を取り込む。床面20の画像は、カート111の動きと共に変化する。プロセッサ302は、取り込まれる画像を使用して、カート111の位置及び向きを決定することができる。
幾つかの例において、遠隔制御可能なアーム106の動力付きジョイントは、オペレータによって手動で再位置決めされることができる。幾つかの場合、動力付きジョイントは、オペレータによって手動で位置決め可能である。動力付きジョイントと関連付けられるセンサは、動力付きジョイントの関節作動(articulation)を引き起こす外力を検出することができる。外力の検出に応答して、制御システム300のプロセッサ302は、動力付きジョイントが外力の方向に移動するように、動力付きジョイントと関連付けられるアクチュエータを作動させることができる。プロセッサ302は、センサについての適切な閾値より下の外力を打ち消すことがあるが、閾値を超える外部ジョイントを遠隔制御可能なアーム106への入力として扱うことがある。
幾つかの例において、プロセッサ302は、遠隔操作可能なアーム106又は手術ツール134の動きを直接的に感知することによって、遠位部分159(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔操作可能なアーム106によって支持される品目)の位置を決定することができる。幾つかの例において、プロセッサ302は、順運動学を使用して、運動を計算することができる。姿勢センサ308からの実際のジョイント運動情報、例えば、制御可能なアーム106のジョイントのジョイント状態を示すデータを使用して、プロセッサ302は、遠位部分159(又はカニューレ150若しくは手術ツールのような遠隔制御可能なアームによって支持される品目)の姿勢を決定することができる。ジョイントトルク、力、速度、向き、及び/又は位置は、プロセッサ302が遠位部分159(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアームによって支持される品目)の動きを決定することができるように、プロセッサ302に任意的に送信されてよい。順運動学を使用して、プロセッサ302は、姿勢センサ308からの情報を使用して、ベース108に対する遠位部分159(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアームによって支持される品目)の姿勢を計算することができる。幾つかの例では、遠隔運動中心及び基準点162がカニューレ150又は手術ツール134に沿う位置、特にそのような構成要素が患者102のアクセスポートに挿入されるカニューレ150又は手術ツール134に沿う位置に対応するならば、プロセッサ302は、姿勢センサ308からの情報に基づいて遠隔運動中心及び基準点162の場所を決定することができる。
センサシステム306は、遠位部分159(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアームによって支持される品目)に対する患者102の動きを測定する患者動作センサ310を任意的に含む。患者動作センサ310は、患者102の身体がセンサに対して動くときを検出する、遠位部分159に近接するセンサを含むことができる。センサは、例えば、近くの物体の距離を検出するエミッタ−レシーバセンサである。センサは、赤外光を放射し且つ反射される赤外光を受光して患者102の距離を決定する、光学飛行時間センサ(time-of-flight sensor)であることができる。時間に亘る距離の相対的変化は、患者動作を示すことができる。
センサシステム306は、代替的又は追加的に、ツールセンサ312が患者に対して手術ツール134若しくはカニューレ150によって加えられる力又はその逆を示すセンサ信号を生成するように位置付けられる、ツールセンサ312を含む。加えられる力を直接的に測定するためにツールセンサ312を手術ツール134又はカニューレ150上に位置付けることができる。幾つかの例において、ツールセンサ312は、トルクを測定するために、ジョイント、例えば、ジョイント148gに位置付けられる。次に、プロセッサ302は、ジョイント148gでのトルクに基づいて、加えられる力を計算することができる。
幾つかの実施において、センサシステム306は、障害物検出センサ314を含むことができる。障害物検出センサ314を手術システム10内の1以上の場所に位置付けて、手術環境10内の付近の障害物との差し迫った衝突又は接触を検出することができる。手術マニピュレータアセンブリ104及び/又は遠隔制御可能なアーム106は、手術マニピュレータアセンブリ104及び/又は遠隔制御可能なアーム106の部分が付近の障害物に接触するか或いはもう少しで接触するときを検出する障害物検出センサ314を含むことができる。障害物は、手術台123、電子機器カート116、及び外科医コンソール114のような、手術システム100の他の機器を含むことができる。障害物は、外科医122、オペレータ122、及び助手124,126のような、手術環境10内のオペレータを含むこともできる。障害物検出センサ314は、接触センサ、近接センサ、光学飛行時間センサ、及び障害物との接触又は障害物の距離を検出するのに適した他のセンサを含むことができる。障害物検出センサ314は、例えば、テープスイッチ、可撓性感知アレイ、個々の力感知抵抗器若しくは力感知抵抗器アレイ、又は受動容量感知システムを含むこともできる。障害物検出センサ314からの信号を制御システム300のプロセッサ302によってモニタリング(監視)することができ、幾つかの場合において、プロセッサ302は、接触又は衝突が差し迫っている場合があることを決定した後に警告を発してよい。
制御システム300は、遠隔制御可能なアーム106のベース108の手動再位置決めを指示する、位置決めインジケータシステム304を含む。プロセッサ302は、位置決めインジケータシステム304を制御して、人間知覚可能な指示をオペレータに提供して、ベース108を最適ベース場所エンベロープ110に向かって移動させる。表示は、例えば、触覚的表示、可聴表示、又は視覚的表示のうちの1以上を含む。オペレータは、ベース108を直接的に操作することができる。図1に関して説明したように、位置決めインジケータシステム304は、視覚的表示115をオペレータ112に提供して、ベース108を最適ベース場所エンベロープ110に向かって移動させるようオペレータに指示することができる。
図2B及び図2Cに示す例において、位置決めインジケータシステム304は、オペレータ112に視覚的表示を提供するインジケータライト200a及び200b(集合的にインジケータライト200と呼ぶ)を含む。インジケータライト200の各々は、光がアクティブ化させられるときにベース108についての異なる再位置決め方向を示すように位置決めされる。これに関して、所与のインジケータライトがアクティブ化(起動)させられるときに、インジケータライトは、所与の再位置決め方向における視覚的表示を生成して、所与の再位置決め方向にベース108を移動させるようにオペレータ112を誘導する。インジケータライト200の選択的なアクティブ化は、ベース108を手術マニピュレータアセンブリ104のベース108のための最適ベース場所エンベロープ110に向かって移動させるよう、手術マニピュレータアセンブリ104の手動再位置決めを誘導することができる。例えば、オペレータ112がベース108を移動させるときに、オペレータ112がベース108を直接的に操作するならば、インジケータライト200を選択的にアクティブ化させて、ベース108を最適ベース場所エンベロープ110に向かって移動させるようオペレータを誘導することができる。
インジケータライト200は、任意的に、手術マニピュレータアセンブリ104のベース108に配置されてよい。インジケータライト200は、例えば、4以上(4つ又はそれよりも多く)のインジケータライトを含むことができる。インジケータライト200のうちの1つを照らして、インジケータライトによって示される方向に手術マニピュレータアセンブリ104を移動させるべきであることをオペレータに示すことができる。インジケータライト200の組み合わせを照らして、個々に照らされるときにインジケータライト200によって示される方向の間の方向に手術マニピュレータアセンブリ104を移動させるべきであることをオペレータに示すことができる。
図2Bに示すように、インジケータライト200aがアクティブ化させられるとき、インジケータライト200aは、手術環境10の床面20に向かって光を投射する。光は第1の方向に投射され、それにより、手術マニピュレータ最適ベース場所エンベロープ110に向かって再位置決めされるよう、アセンブリ104のベース108を第1の方向202に移動させなければならないことをオペレータ112に示す。図2Cに描写するように、インジケータライト200bがアクティブ化させられるとき、インジケータライト200bは、床面20に向かって光を投射する。光は第2の方向204に投射され、それにより、最適ベース場所エンベロープ110に向かって再位置決めされるよう、手術マニピュレータアセンブリ104のベース108を第2の方向204に移動させなければならないことをオペレータ112に示す。
幾つかの例において、オペレータは、手術マニピュレータアセンブリ104の他の部分を移動させて、ベース108を最適ベース場所エンベロープ110に向かって移動させることができる。例えば、オペレータは、セットアップアセンブリ109の部分を移動させて、ベース108を最適ベース場所エンベロープ110に向かって移動させることができる。これに関して、幾つかの実施において、位置決めインジケータシステム304は、セットアップアセンブリ109のリンク、ジョイント、又は他の要素の手動再位置決めを最適な場所に向かって方向付けることができ、或いは、ベース108が最適ベース場所エンベロープ110に向かって移動させられるよう、これらの要素の再位置決めを方向付けることもできる。例えば、位置決めインジケータシステム304は、床面20上でのカート111の手動再位置決めを方向付けるインジケータライトを含むことができる。代替的に又は追加的に、位置決めインジケータシステム304は、セットアップアーム128のリンク又はジョイントの手動再位置決めを方向付けるインジケータライトを含む。
(システム動作の例)
本明細書に記載するように、手術システム100のための制御システム300は、オペレータ112がベース108を手動で再位置決めするときにオペレータ112を誘導することができる。例えば、手術が行われる前に、オペレータ112は、ベース108を手術台123の付近又は近傍の最適ベース場所エンベロープ110に向かって手動で移動させることによって、ベース108の手動の再位置決めを行うことができる。プロセッサ302は、オペレータ112が手動の再位置決めを行うときに、位置決めインジケータシステム304を制御してオペレータ112に指示する。
手動再位置決めの部分の間に、プロセッサ302は、手術マニピュレータアセンブリ104の遠隔制御可能なアーム106を制御しながら手動再位置決めを指示して、遠位部分159(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアームによって支持される品目)の位置及び/又は向きを維持する。位置及び/又は向きは、基準点162のような、基準に対して維持されてよい。基準点162に対して位置及び/又は向きを維持することは、オペレータが遠位部分159(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアームによって支持される品目)の位置を患者102のアクセスポートに又はその付近に設定し、次に、遠位部分159(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアームによって支持される品目)の位置を考慮することを必要とせずに、手術マニピュレータアセンブリ104のベース108を手動で再位置決めすることを可能にすることができる。オペレータ112は、遠位部分159(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアームによって支持される品目)の位置をシフトさせることなく、手動再位置決め中にベース108を移動させることができる。これに関して、遠位部分159(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアームによって支持される品目)を位置決めするステップ及びベース108を位置決めするステップは、1つのステップの結果が他のステップの結果に影響を及ぼすことなく、それらを順次式に行うことができるよう、互いに切り離されるステップであることができる。
遠位部分159(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアームによって支持される品目)の位置及び/又は向きを維持しながら手動再位置決めを指示する例示的なプロセス及び動作を本明細書において記載する。図4は、例えば、ベース108の手動再位置決めを指示するためにプロセッサ302によって実行されるプロセス400のフローチャートを描写している。図5は、ベース108の手動再位置決めを指示するためにプロセッサ302によって使用される入力及び出力を概略的に示している。プロセス400を図1の手術システム100に関して記載しているが、プロセス400は、本明細書に記載する手術システムの他の実施に適用可能である。
プロセス400の開始時に、プロセッサ302は、手術システム100から入力を受信する(動作402)。図5に示すように、プロセッサ302は、手術システム100から入力500を受信することができ(動作402)、プロセッサ302は、出力502を決定するよう処理して、位置決めインジケータシステム304を制御し、それにより、ベース108の手動再位置決めを指示する。入力500は、オペレータによって特定されるユーザ入力並びにセンサシステム306のセンサによって生成されるセンサ信号を含むことができる。入力500は、例えば、処置データ504、機器データ506、姿勢データ508、オペレータデータ509、障害物データ510、患者データ512、及びポートデータ514を含むことができる。データ504、506、508〜510、512、514は、手動再位置決めを指示するよう位置決めインジケータシステム304を制御するためにプロセッサ302によって使用可能なデータの幾つかの例を表している。位置決めインジケータシステム304を制御するために、他の種類及び内容のデータがプロセッサ302によって適切に使用されてよい。
処置データ504は、患者102に対して行われるべき特定の外科処置を示すデータを含む。処置データ504は、手術作業空間の特定の要件、例えば、患者に対して行われるべき特定の外科処置の故に、手術中に手術ツール134がアクセスすることができるべき、患者102の周りの領域を指すことができる。外科処置は、所定の範囲の作業空間を必要とすることがある。
幾つかの例において、作業空間の範囲を表すために手術ツール134についての特定の範囲の動きを特定することができる。幾つかの場合には、作業空間の範囲を表すために、作業空間の境界を描写することができる。幾つかの実施では、オペレータが作業空間の範囲を示すデータを入力することができる。オペレータは、処置を行う前に並びにベース108の手動再位置決め行う前にデータを入力することができる。
ベース108の手動再位置決めを行う前に、オペレータは、手術中に手術ツール134のために必要とされる或いはさもなければ望しい作業空間を表す領域内で手術ツール134を移動させることによって作業空間の範囲を示すことができる。例えば、オペレータは、(ツールが保持された或いは保持されていない)手術マニピュレータアセンブリ104を移動させて所望の作業空間を示すことができ、或いは、手術ツール134の代替物を移動させることによって所望の作業空間を実証する(demonstrate)ことができる。代替物の例は、処置中に使用されてよい平均的な手術ツールを表すデバイス、手術ツール134の近位部分を複製するreplicate)がシャフト及びエンドエフェクタ全体を複製しないデバイス、手術中に使用されてよい手術ツールの遠位端と関連付けられる場所の視覚的表示を投影するデバイスなどを含む。遠隔制御可能なアーム106又は手術ツール134の所望の運動範囲についての情報を、そのような実証(demonstration)から少なくとも部分的に導き出すことができる。センサシステム306の姿勢センサ308は、例えば、所望の作業空間のオペレータ112による手動の実証を示す信号を生成することができ、遠隔制御可能なアーム106の所望の運動範囲についての情報を提供することができる。手術マニピュレータアセンブリ104上のセンサ(例えば、姿勢センサ308)は、手術マニピュレータアセンブリ104及び/又は手術ツール134の物理的な動きを検出することができ、手術マニピュレータアセンブリ104及び/又は手術ツール134の姿勢を示す信号を生成することができる。手術マニピュレータアセンブリ104及び/又は手術ツール134が移動させられると、プロセッサ302は、これらのセンサ信号を含む処置データ504を受信し、次に、これらのセンサ信号を処理して、オペレータによって実証される作業空間の範囲を決定することができる。
機器データ506は、手術中に使用される機器の仕様を示すデータを含む。機器データ506は、手術マニピュレータアセンブリ104の各ジョイントの運動範囲(可動域)(range of motion)を特定するデータを含むことができる。運動範囲は、構造的又は機械的な限界であることができる。
所与のジョイントについて、ジョイントの運動範囲は、ジョイントによって接続される2つのリンク間で可能な運動量(運動量)(amount of motion)を指すことができる。回転ジョイントの場合、機器データ506は、例えば、90度〜180度の間の運動範囲についての値を特定することができる(例えば、ジョイントの運動範囲は、90度、135度、又は180度である)。プリズムジョイントの場合、機器データ506は、例えば、10センチメートル〜30センチメートルの間の運動量についての値を特定することができる(例えば、ジョイントの運動量は、10センチメートル、20センチメートル、又は30センチメートルである)。本明細書において特定する運動範囲を超える他の運動範囲は、遠隔制御可能なアーム106及びセットアップアセンブリ109の構成に依存して適切であってよい。機器データ506中に示される運動範囲は、受動ジョイント、能動ジョイント、又はそれらの両方についての運動範囲を含むことができる。
機器データ506は、遠隔制御可能なアーム106及びセットアップアセンブリ109の構造を更に示すことができる。例えば、機器データ506は、ジョイントの数、各ジョイントの種類、遠隔制御可能なアームのリンクの長さ、及び遠隔制御可能なアーム106の構造に関する他のパラメータを特定することができる。
機器データ506は、遠隔制御可能なアーム106に取り付けられた手術ツール134の種類に関する情報を含むこともできる。手術ツール134の種類は、例えば、作業空間の範囲及び動作を行うのに必要なトルクの量に影響を及ぼすことがある。手術ツール134の種類は、オペレータによって手動で入力されることができる。幾つかの例において、手術ツール134は、手術ツール134の種類を示す検出可能なタグを含んでよい。
機器データ506は、製造業者及びモデル、大きさ及び寸法、手術台上面板が手術台ベースに対して移動可能な場合の運動範囲、手術台レールの寸法、取り外し可能な手術台セグメントが存在するならば、その取付け場所及び寸法のような、手術台に関する情報を含むこともできる。
姿勢データ508は、ジョイント、リンク、手術ツール、及び手術マニピュレータアセンブリ104の他の構成要素の姿勢を示すデータを含む。姿勢データ508は、遠隔操作可能なアーム106のジョイント及び/又はリンクの各々の初期的な姿勢、セットアップアセンブリ109のジョイント及び/又はリンクの各々の初期的な姿勢、遠位部分及び/又は手術ツール134の初期的な姿勢、並びにベース108の初期的な姿勢を含む。手動再位置決め中にベース108が移動させられると、姿勢センサ308は、ベース108の動きに応答して信号を生成することができる。姿勢センサ308からの信号に基づいて、プロセッサ302は、遠隔制御可能なアーム106を制御して、遠位部分(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアームによって支持される品目)の位置を維持することができる。位置及び/又は向きは、基準に対して維持されてよい。例示的な基準は、手術環境10、患者102の解剖学的構造、基準点162のような基準点、基準点162から生じる基準系などを含む。
オペレータデータ509は、外科処置を行う手術チーム、例えば、オペレータに関するデータを含む。オペレータデータ509は、例えば、能力、手術機器のレイアウトについての好み、経験のレベル、スキルのレベル、及び他のオペレータ特異な属性に関する情報を含む。幾つかの例では、外科処置の前に、オペレータの各人について、オペレータプロファイルが創成される。手術チームプロファイルは、代替的に又は追加的に、特定の手術チームについて創成される。
障害物データ510は、手術マニピュレータアセンブリ104に対する手術環境10内の患者102及び障害物の姿勢又は位置を示すデータを含む。幾つかの例において、障害物データ510は、オペレータによって入力される手術環境10のマップを含むことができる。マップは、手術システム100の他の機器のような、手術環境10内の潜在的な障害物の位置を含むことができる。障害物データ510は、代替的に又は追加的に、障害物検出センサ314からのデータを含む。遠隔操作可能なアーム106、セットアップアセンブリ109、及びベース108が手術環境10内で移動させられると、障害物検出センサ314は、手術環境10内の障害物の位置、向き、又は姿勢を示す信号を生成することができる。
患者データ512は、患者特異な特徴を示すデータを含む。患者データ512は、患者の体質及び患者の幾何学的形状を示すデータを含むことができる。幾つかの例において、オペレータは、患者の体質及び患者の幾何学的形状を入力する。幾つかの場合には、撮像デバイスが、プロセッサ302によって分析されることができる画像を生成して、患者の体質及び患者の幾何学的形状を決定することができる。撮像デバイスは、ベース108の手動再位置決めが行われる前に、患者102に挿入されてよい。内視鏡は、患者の体質及び患者の幾何学的形状を推定するために使用可能な画像を生成することができる。幾つかの例において、患者データ512は、遠隔制御可能なアーム106に対する患者102の姿勢及び/又は遠隔制御可能なアーム106に対する手術台123の姿勢を示すデータを含むこともできる。患者データ512は、X線画像、X線コンピュータ断層撮影画像、磁気共鳴撮像スキャン、及び同等物のような、術前画像を含むことができる。幾つかの場合、患者データ512は、術中画像又は表面スキャンを含む。
ポートデータ514は、患者102のアクセスポートの特性を示すデータを含む。ポートデータ514は、アクセスポートの位置及び向きを示すことができる。プロセッサ302は、ポートデータ514を使用して、ベース108の手動再位置決め中に基準点162を決定することができる。幾つかの実施において、ポートデータ514は、カニューレがドッキング(結合)されているとき、オペレータがベースの再位置決め準備完了(readiness)を示すとき、手術ツールが取り付けられるときなどの、制御可能なアーム106の姿勢に基づく。幾つかの実施では、カニューレ150又は手術ツール134のような構成要素が、患者102のアクセスポートを通じて挿入され、プロセッサ302は、遠隔制御可能なアーム106にあるセンサからの信号に基づいてアクセスポートの位置及び向きを決定することができる。
幾つかの例において、ポートデータ514は、オペレータによって入力されることができる。ベース108の手動再位置決めが起こる前に、手術ツール134がアクセスポートに挿入されないならば、プロセッサ302は、入力されるポートデータ514に基づいて基準点162を選択することができる。基準点162は、手動再位置決めが完了した後に、手術ツール134がアクセスポートに容易に挿入されるよう、手術ツール134が位置付けられ且つ方向付けられることができるように、選択される。具体的には、手術ツール134は、手動再位置決め中に後退位置にあることができ、次に、基準点162がアクセスポートの位置に対応するように、挿入位置まで軸方向に並進させられることができる。
入力を受信した(動作402)後に、プロセッサ302は、任意的に、入力に基づいて1以上の指標(indices)を生成する(動作404)。プロセッサ302は、それぞれが指標のうちの1つを表す関数(functions)を計算することができる。例えば、オペレータによって或いはプロセッサ302によって最適化されるべきデフォルト設定に従って、指標のうちの1以上を選択することができる。次に、プロセッサ302は、動作406に関してより詳細に記載するように、選択される指標の機能(function)を最適化することができる。
動作404で生成される指標の各々は、プロセッサ302についての最適化目標を表すことができる。指標は、ベース108の手動再位置決め中に最適化されるべき値を指すことができる。動作404中にプロセッサ302によって生成される各指標は、入力のうちの1以上の入力に基づく値であることができる。生成される指標の数は、自由度の数、特に冗長自由度の数に依存することがある。これに関して、動作404で生成される指標は、手動再位置決め中の手術マニピュレータアセンブリ104の現在の構成についての指標を表す。指標についての値は、ベース108が手動で再位置決めされ、手動再位置決め中にジョイントが移動させられると、変化することがある。
入力及び/又は1以上の指標に基づいて、プロセッサ302は、ベース108の現在の姿勢についての最適性スコア及び最適姿勢を決定する(動作406)。プロセッサ302は、手術マニピュレータアセンブリ104のベース108についての最適姿勢又は最適位置の範囲を決定することができる。最適姿勢又は最適位置の範囲を最適ベース場所エンベロープ110として表すことができる。最適ベース場所エンベロープ110は、ベース108のために最適と考えられる三次元位置及び向きの範囲に対応することができる。幾つかの実施において、最適ベース場所エンベロープ110は、床面と平行な平面に沿うある範囲の最適二次元位置に対応する。幾つかの例において、最適ベース場所エンベロープ110は、最大の最適性スコアを有する複数の最適位置を含む。プロセッサ302は、入力500に基づいて最適位置、最適姿勢、及び/又は最適ベース場所エンベロープ110を計算することができる。プロセッサ302は、動作404で指標の値についての関数を生成し、それらの関数を使用して指標の各々を最適化する最適化戦略を実行することができる。最適化戦略は、例えば、勾配降下ベースの最適化戦略、最小二乗ベースの最適化戦略、又は他の適切な戦略を含む。プロセッサ302は、関数に対する解(solution)を計算することができ、解は、所与の最適化戦略を使用するベースについての最適な姿勢範囲又は最適ベース姿勢を表す。最適化戦略は、プロセッサ302がベース108の現在の姿勢の最適性を表す最適性スコアを計算することを可能にする。幾つかの例において、最適性スコアは、最適なベース姿勢又は最適ベース場所エンベロープ110に対するベース108の現在の姿勢の近接性を表す。
幾つかの例において、プロセッサ302は、主要目標としての単一の指標を選択し、次に、指標を最適化する最適化戦略を使用して解を計算する。この解が計算されるとき、プロセッサ302は制約不足(under-constrained)であり、プロセッサ302によって提供される解は、遠隔制御可能なアーム106のために利用可能な状態のサブセットを表すことがある。一次解(primary solution)が制約不足であるときに遠隔制御可能なアーム106のジョイントに送信されるべき特定の命令を識別するために、プロセッサ302は、状態のサブセットの中から遠隔制御可能なアーム106の所望の状態を選択する部分空間フィルタとして機能するモジュールを含むことができる。部分空間フィルタは、遠隔制御可能なアーム106のジョイントのための命令のセットを選択して、遠隔制御可能なアーム106が所望の状態に置かれるようジョイントを移動させることもできる。有利には、選択される命令は、第2の目標に資するために、例えば、第2の指標を最適化するために、使用されることができる。幾つかの例では、複数の指標が選択され、ある重みが選択される指標の各々に割り当てられる。その重みは、他の選択される指標に対するその指標の優先度を示す。例えば、オペレータは、処置の種類及び患者の特徴がオペレータの好みよりも最適化についてより大きな優先度を有すると決定してよい。複数の目標の最適化の例は、第229号特許に記載されており、その全文を参照として本明細書に援用する。
各指標は、最適であると考えられる値の範囲を有してよい。指標が最適な値の範囲内にあるとき、遠隔操作可能なアーム106及び手術ツール134は、指標が最適な値の範囲内にないときの遠隔操作可能なアーム106及び手術ツール134の状態と比較して、手術マニピュレータアセンブリ104の動作に有益な状態にある。指標についての最適な値の範囲は、閾値を上回る指標の任意の値に対応することができる。閾値は、デフォルト値、指標の最大値又は最小値の割合としてプログラムされることができ、或いはオペレータによって入力されることができる。
様々な指標を本明細書に記載する。これらの指標は、入力500のうちの1以上の入力の関数であってよい。指標を計算するための本明細書に記載するデータ504、506、508、510、512、514の組み合わせの例示的な使用は、限定的であることを意図しない。
プロセス400の所与の実施のために、プロセッサ302は、指標のうちの1以上を生成してよい。幾つかの実施において、プロセッサ302は指標を生成せず、むしろ入力500のうちの1以上を直接的に比較して最適性スコアを計算することによって手動再位置決めを指示する。
プロセッサ302は、任意的に、各ジョイントのために利用可能な運動範囲に基づいて運動範囲指標を生成し且つ最適化する。運動範囲指標は、例えば、機器データ506及び姿勢データ508に基づいて計算されてよい。例えば、ある軸について2つの方向において回転することができる回転ジョイントについて、プロセッサ302は、2つの方向の各々において利用可能な運動量を決定することができる。プロセッサ302は、遠隔制御可能なアーム106の各ジョイントについてジョイント状態の目標範囲を決定することができる。幾つかの場合には、ジョイントが両方向に実質的に等しい量だけ動くことができるように関節が位置付けられることが有益であり得る一方で、幾つかの例では、単一の方向において利用可能な運動量を最大にすることが望ましくあり得る。よって、ジョイント状態の目標範囲は、所与のジョイントのための利用可能なジョイント状態の範囲のサブセットであり得る。プロセッサ302は、遠隔制御可能なアーム106の各ジョイントについての運動範囲要件を考慮することによって運動範囲指標を計算することができる。
運動範囲指標は、代替的に又は追加的に、手術ツール134の運動範囲を考慮する。具体的には、プロセッサ302は、手術ツール134が特定の外科処置のために解剖学的構造の関連部分に達するのに十分な運動範囲を有するか否かに基づいて運動範囲指標を計算することができる。これに関して、プロセッサ302は、運動範囲指標を計算する際に処置データ504を使用してもよい。
遠隔操作可能なアーム106が手動再位置決め中に移動して、遠位部分(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔操作可能なアームによって支持される品目)の位置及び/又は向きを維持すると、姿勢センサ308は、遠隔制御可能なアーム106のジョイント及び/又はリンクの動きに応答して信号を生成し、それにより、姿勢データ508を更新することができる。これらの信号を受信した後、プロセッサ302は、遠隔制御可能nアーム106のジョイント及び/又はリンクのうちの各々のジョイント及びリンクの新しい姿勢に基づいて運動範囲指標のその決定を更新することができる。
プロセッサ302は、代替的に又は追加的に、平滑度指標(smoothness index)を計算する。平滑度指標は、手術ツール134の運動性能を示し、幾つかの場合には、遠隔制御可能なアーム106のジョイントの一部又は全部の運動性能を示す。プロセッサ302は、遠隔制御可能なアーム106及び手術ツール134の現在の姿勢について可能な手術ツール134の運動の分解能(resolution)を決定することによって運動性能を推定することができる。例えば、特定のジョイントについて、増分(例えば、所与の印加電圧又は電流)によるジョイントの作動が、遠隔操作可能なアーム106の各ジョイントの姿勢及び手術ツール134の姿勢に依存する手術ツール134の運動量をもたらすことがある。幾つかの実施において、平滑度指標は、姿勢及びジョイントセンサ位置分解能の関数として達成可能な空間分解能に基づいて計算される。平滑度指標は、加えられる増分(例えば、増分電圧又は電流)によって引き起こされる動きの大きさを説明することができる。これに関して、所与の加えられる増分からの手術ツール134のより小さい動きは、手術ツール134の改良された運動性能及び運動のより大きな平滑度をもたらすことができる。プロセッサ302は、例えば、機器データ506及び姿勢データ508に基づいて、平滑度指標を計算することができる。
プロセッサ302は、手術ツール134のトルク指標(torque index)を任意的に計算する。トルク指標は、遠隔制御可能なアーム106が手術ツール134に加えることができるトルクを示すことができる。幾つかの実施において、外科処置は、遠隔制御可能なアーム106が外科処置を行うのに必要な最小のトルクで手術ツール134を操作し得ることを要求することがある。これらの場合には、手術ツール134によって達成可能なトルクを最大にすることが有益なことがある。しかしながら、達成可能なトルクは、手術ツール134に対するジョイントの位置及び向きに依存することができる。プロセッサ302は、例えば、処置データ504、機器データ506、及び姿勢データ508に基づいて、トルク指標を計算することができる。
幾つかの実施では、トルク指標の代わりに又はそれに加えて、遠隔制御可能なアーム106が手術ツール134に加えることができる力を示す力指標(force index)が計算される。更に、トルク指標及び/又は力指標は、作業空間内の遠隔制御可能なアーム106の運動中に特定のジョイントに対する力及び/又はトルクを最小限に抑えることができるように、手術マニピュレータアセンブリ104のジョイントに対する力及びトルクを説明することがある。
プロセッサ302は、遠隔制御可能なアーム106の現在の状態について手術ツール134によってアクセス可能な作業空間の部分を表す作業空間指標を計算することができる。プロセッサ302は、例えば、オペレータによって実証される、処置データ504中に示される作業空間に基づいて、作業空間指標を計算することができる。プロセッサ302によって位置決めインジケータシステムを制御して、作業空間指標を最適化するようにベース108の手動再位置決めを指示することができる。プロセッサ302は、作業空間指標を計算するために使用されるデータ及び手動実証を示す姿勢センサ308からの信号に基づいて位置決めインジケータシステムを制御することができる。
プロセッサ302は、遠隔制御可能なアーム106のジョイントの運動範囲を前提として手術ツール134が移動し得る範囲を決定することによって、機器データ506及び姿勢データ508に基づいて、手術ツール134によってアクセス可能な作業空間の部分を計算することができる。幾つかの実施において、プロセッサ302は、空間指標を決定する際に患者データ512を使用して患者の幾何学的形状及び患者の体質を考慮することができる。幾つかの例において、プロセッサ302は、空間指標の計算を、部分的にポートデータ514に、特に患者102のアクセスポートの場所及び向きに基づかせることができる。幾つかの例において、患者データ512は、処置データ504との組み合わせにおいて使用されるときに、所要の機器作業空間境界を推定するために使用することができる、患者の生理学の画像を含む。
プロセッサ302は、幾つかの例において、遠隔制御可能なアーム106のジョイントが運動学的特異点に対応する状態まで作動されることがある可能性を示す特異点指標(singularity index)を計算する。例えば、遠隔制御可能なアーム106について、運動学的特異点は、遠隔制御可能なアーム106が1以上の方向に移動する能力又は力を加える能力を失う状態にあるときに生じる。プロセッサ302は、機器データ506に基づいて潜在的な運動学的特異点を決定することができる。例えば、ジョイントについての運動学的特異点は、遠隔制御可能なアーム106の現在の構成に依存することがある。
プロセッサ302は、任意的に、姿勢データ508及び障害物データ510に基づいて障害物指標(obstacle index)を推定する。障害物指標は、遠隔制御可能なアーム106が付近の障害物と衝突することがある可能性を表す。これに関して、障害物データ510、遠隔制御可能なアーム106の現在の姿勢、及び処置データ504を使用して、プロセッサ302は、障害物指標を計算して、手術ツール134が処置データ504中で特定される作業空間の範囲にアクセスすることができるはずであるならば、遠隔制御可能なアーム106が付近の障害物と衝突することがあるか否か、を決定することができる。
プロセッサ302は、代替的に又は追加的に、患者に加えられる力の量を示す患者力指標を計算する。例えば、患者力指標は、姿勢データ508、患者データ512、及びポートデータ514に基づいて計算されてよく、アクセスポートの近傍の周りで患者102の壁に加えられることがあるトルク又は力の量を示すことがある。プロセッサ302は、患者力指標を使用して、遠隔制御可能なアーム106又はベース108が、患者102の組織に所望の量を超える力を加えることがある方法で移動させられているか否かを決定することができる。
幾つかの実施において、プロセッサ302は、任意的に、手術ツール134の所与の姿勢における手術ツール134の器用さを表す器用指標(dexterity index)を計算する。器用指標は、円滑度指標、トルク指標、作業空間指標、及び特異点回避指標のうちの1以上を説明する、集合指標(aggregate index)であることができる。幾つかの実施において、器用指標は、手術マニピュレータアセンブリ104のジョイントについての操作性指標(manipulability)及び/又はヤコビアン条件数(Jacobian condition number)に基づいて計算される。
幾つかの実施では、外科手術のための最適化戦略(optimization strategy)は、以前の外科手術からのデータに基づく。以前の外科手術からのデータは、例えば、以前の外科手術中に収集された入力、以前の外科手術中に決定された指標、及び/又は以前の外科手術中に決定されたスコアを含む。幾つかの場合、最適化戦略は、例えば、人工ニューラルネットワークのような、機械学習手法を使用して決定される。
プロセッサ302が現在の姿勢についての最適ベース姿勢及び最適性スコアを決定した(動作406)後に、プロセッサ302は、最適性スコアを閾値最適性スコアと比較する(動作407)。最適性スコアが閾値最適性スコアよりも大きいにせよ(動作408)小さいにせよ(動作412)、プロセッサ302は、出力502を生成して送達することができる。図5に示すように、出力502を手術マニピュレータアセンブリ104に送信して、手術マニピュレータアセンブリ104の動作を制御することができる。
最適性スコアが閾値最適性スコアより大きいならば(例えば、動作408)、プロセッサ302は、任意的に、手動再位置決めが完了したことを知らせるインジケータをアクティブ化させる信号を出力する(動作410)。ベース108がインジケータライト200を含むならば、手動再位置決めの完了を知らせる信号は、特定のパターン又はシーケンスにおける各インジケータライト200の照明であることができる。例えば、プロセッサ302は、インジケータライト200の全部が照らされるように位置決めインジケータシステム304を制御することができる。幾つかの例において、プロセッサ302は、手動再位置決めの完了を示す可聴信号を提供するようにスピーカを制御する。幾つかの実施において、最適性スコアは、動作408で最大化される。代替的に又は追加的に、最適性スコアが最大化されるとき、最適化は、誤差スコア(error score)のようなスコアを最小化することをもたらす。
幾つかの例において、位置決めインジケータシステム304は、ベース108が閾値最適性スコアを上回る位置範囲内にあるようにベース108の動きを案内するように制御される。例えば、最適化プロセスが、オペレータにとって重要な特定の条件、例えば、プロセス400の間に考慮されない外科手術に関する経験則(ヒューリスティックス)を説明しないならば、位置決めインジケータシステム304は、ベースを再位置決めする際にオペレータのために柔軟性(フレキシビリティ)をもたらす位置範囲を提供する。オペレータは、最大の最適性スコアを有さないことがあるが、位置決めインジケータシステム304を制御する際にプロセス400が考慮しない他の条件を満たすことがある、位置を選択することができる。
最適性スコアが閾値最適性スコアよりも小さいならば(動作412)、プロセッサ302は、手動再位置決め信号を出力して手動再位置決めを指示する(動作414)。プロセッサ302は、再位置決め信号を位置決めインジケータシステム304に送信することができる。幾つかの例では、図5に示すように、プロセッサ302は、位置決めインジケータシステム304の一部を形成するインジケータライト200を含む手術マニピュレータアセンブリ104に信号を送信する。再位置決め信号はインジケータライト200を照明させ、それにより、オペレータが手術マニピュレータアセンブリ104のベース108を移動させてベース108を最適ベース姿勢に向かって又は最適ベース場所エンベロープ110に向かって再位置決めすべき再位置決め方向を知らせる。
プロセッサ302は、次に、駆動信号を送信して、基準点162のような基準に対する遠位部分(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアームによって支持される品目)の位置及び/又は向きを維持する(動作416)。プロセッサ302は、センサからの信号に基づいて駆動信号を生成する。例えば、姿勢データ508は、例えば、検出される速度及び加速度で、ベース108が再位置決め方向に移動させられていることを示してよい。次いで、プロセッサ302は、遠位部分(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアームによって支持される品目)の位置及び/又は向き)が維持されるように、ベース108の動きに応答してジョイントを移動させる駆動信号を生成することができる。位置及び/又は向きは、基準点162のような基準に対して維持されてよい。
幾つかの例では、再位置決め信号を出力する(動作414)間に又は駆動信号を送信する(動作416)間に、プロセッサ302は、遠隔制御可能なアーム106のジョイントにあるブレーキをアクティブ化させ、制動機構をアクティブ化させてベース108の移動を停止させ、且つ/或いはカート111上のホイール136と関連付けられる制動機構をアクティブ化させてカート111の動きを停止させてよい。プロセッサ302は、患者力指標の値の変化に基づいてブレーキ又は制動機構を制御してよい。例えば、患者力指標に基づいて、プロセッサ302は、所望の量を超える力が患者102の組織に加えられていることを決定してよい。これに関して、オペレータ112は、最適ベース場所エンベロープ110から離れる方向にベースを再位置決めしていてよく、プロセッサ302は、この動きを抑制しようとしてよい。幾つかの実施において、プロセッサ302は、遠隔部分(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアーム106によって支持される品目)を、基準点162にその原点を備える基準系のような基準に対するその所望の位置及び/又は向きに維持するために、遠隔制御可能なアーム106を駆動することができない。これは、例えば、ジョイント限界、特異点、過度の振動、又はベースの運動の過度の速度/加速度に起因することがある。
姿勢データ508を使用して、プロセッサ302は、(遠隔制御可能なアームに連結されるカニューレ150又は手術ツール134について遠隔運動中心と同じであることが多い)遠隔制御可能なアームについての遠隔運動中心を決定又は推定することができ、遠隔制御可能なアーム106の動力付きジョイントの作動を制御して遠隔運動中心を維持することができる。プロセッサ302は、任意的に、逆運同額を使用して、遠位部分(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアームによって支持される品目)の位置及び/又は向きを維持するためにジョイントがどのように駆動させられるべきかを決定する。動力付きジョイントのアクチュエータを選択的に駆動させて、遠位部分(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアームによって支持される品目)の位置及び/又は向きを維持することができ、且つ/或いは動力付きジョイントをより最適な位置に位置付けることができる。幾つかの場合、プロセッサ302は、ベース108の動きに起因して生じることがある動力付きジョイントの動きを抑制するように動力付きジョイントのアクチュエータを制御する。幾つかの例において、プロセッサ302は、動力付きジョイントのアクチュエータを制御して、より最適な位置に向かう動力付きジョイントの動きを引き起こす。そのような方法の例は、参照として本明細書に援用する第229号特許に記載されている。
本明細書に記載するように、手術ツール134が基準点162によって定められるピボット点について回転するように、遠隔制御可能なアーム106及び/又は手術ツール134の動きを拘束することができる。これらのピボット点を推定するに際し、プロセッサ302は、遠隔制御可能なアーム106のコンプライアンス(compliance)又は剛性(stiffness)によって特徴付けられる異なるモードを選択的に実施することができる。プロセッサ302は、推定ピボット点が計算された後に、ピボット点又は遠隔運動中心についてのコンプライアンス又は剛性の範囲に亘って異なるモードを実施することができる。範囲は、例えば受動ピボット点をもたらすコンプライアント(compliant)なピボット点と、例えば固定ピボット点をもたらす剛的なピボット点との間に及ぶことができる。
固定的なピボット点の場合、推定されるピボット点を所望のピボット点と比較して、遠隔制御可能なアーム(例えば、遠隔制御可能なアームの遠位部分)のピボット点を所望の場所に駆動するために使用することができる誤差出力を生成することができる。受動ピボット点の場合、所望のピボット場所は、主要な又は最優先の目的でないことがある。推定されるピボット点を依然として誤差検出のために使用することができる。推定されるピボット点場所の変化は、患者102が移動させられたこと又はセンサが誤動作していることを示すことにより、プロセッサ302が是正行為を取る機会を与えることがある。
プロセッサ302は、任意的に、遠隔制御可能なアーム106のコンプライアンス又は剛性が範囲全体に亘って変えられることを可能にする。例えば、ジョイント148gは、2つの軸についてのピボット運動を可能にする器具ホルダリストジョイント(手首関節)であることができる。ジョイント148gが範囲のコンプライアント端にあるように制御されるとき、プロセッサ302は、ジョイント148gのアクチュエータがトルクを殆ど又は全く加えない間に、手術ツール134の近位端を空間内で移動させることができる。これに関して、手術ツール134は、恰も一対の受動ジョイントによって遠隔制御可能なアーム106に連結されているかのように作用する。このモードにおいて、アクセスポートに沿う患者の組織と細長いシャフト152との間の相互作用は、ピボット点についての遠位部分(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアームによって支持される品目)のピボット運動を引き起こす。
関節148gが範囲の剛性端にあるように制御されるとき、プロセッサ302は、ポートデータ514からアクセスポートの場所を決定してよく、アクセスポートの場所を、遠位部分(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアームによって支持される品目)が回転するべき基準点162を示す入力として使用してよい。幾つかの場合、プロセッサ302は、姿勢データ508に基づいてアクセスポートの場所を計算してよく、アクセスポートの場所を基準点162として扱ってよい。次に、プロセッサ302は、計算されるピボット点での細長いシャフト152に対するあらゆる横方向の力がピボット点を通じて細長いシャフト152を維持する反作用力をもたらすように、ピボット点の近位に配置される遠隔制御可能なアーム106の各ジョイントと関連付けられるアクチュエータを駆動させることがある。よって、プロセッサ302は、遠隔制御可能なアーム106が機械的に拘束された遠隔中心リンケージと類似の方法で挙動するように、遠隔制御可能なアーム106のジョイントを制御することがある。実施は、アクセス部位に対応するピボット点についての計算された運動を提供することと、アクセスポートに沿う組織が組織に対して過度の横方向の力を加えずに移動するときに許容範囲内で遠隔運動中心を移動させることとの間にあってよい。その全文を参照として本明細書に援用する第299号特許は、遠隔運動中心及びピボット点を計算する他の例を記載している。
プロセッサ302が再位置決め信号を出力し(動作414)、駆動信号を送信した(動作416)後に、プロセッサ302は、ベース姿勢の最適性スコアが閾値最適性スコアを超えたことをプロセッサ302が決定するまで、動作402、404、406、407、412、414、及び416を繰り返すことができる。その時点で、プロセッサ302は、次に、動作408及び動作410を実行して、手動再位置決めの完了を示すことができる。
幾つかの実施では、ベース姿勢の最適性スコアが閾値最適性スコアを超えたことをプロセッサ302が決定するまで、動作402、404、406、407、412、414、及び416を繰り返すよりもむしろ、ベース108の手動再位置決めは、最適性スコアが閾値最適性スコアを超える前に終了させられる。例えば、オペレータは、ユーザ入力を提供して、プロセス400を無効にすることができ、手動再位置決めに誘導する動作の繰返しをプロセッサ302に中止させることができる。代替的に、プロセッサ302は、所定の条件が満たされたことに応答して、ベース108の手動再位置決めを誘導することを自動的に中止することができる。所定の条件は、ベース108が最適ベース場所エンベロープ110内に再位置決めされ得ないことをプロセッサ302に示すことができる。例えば、プロセス400が開始した後に、所定の量の時間、例えば、5〜15分が経過した後に、最適性スコアが閾値最適性スコアを超えないならば、プロセッサ302は、プロセス400を無効にする。更なる例において、プロセッサ302は、ベース108が最適ベース場所エンベロープ110から離れる方向に移動させられる多数の事例を追跡し、事例の数が所定の量、例えば、10〜20事例を越えるときに、プロセス400を無効にする。更なる例において、プロセッサ302は、障害物データ510に基づいて、ベース108の現在場所と最適ベース場所エンベロープとの間の障害物に起因して最適ベース場所エンベロープ110へのベース108のための移動経路が存在しないことを決定する。最適性スコアが閾値最適性スコアを超える前にベース108の手動再位置決めが中止されるならば、プロセッサ302は、ベース108が最適未満の位置にある、例えば、最適ベース場所エンベロープ110の外側にあることを示す警告(アラート)を発することができる。
図6A乃至図6Pは、遠隔制御可能なアーム106に取り付けられる手術ツール(図示せず)が患者102の周りの作業空間602に達することができるよう、患者102を支持する手術台123に隣接して手術マニピュレータアセンブリ104のベース108を手動で再位置決めする一連の動作600A乃至600Pを描写している。動作600A乃至600Pの各々は、オペレータ112、プロセッサ(例えば、制御システム300のプロセッサ302)、又はそれらの両方によって実行される、副動作(sub-operations)を含むことができる。幾つかの実施において、動作600A乃至600Pのうちの一部又は全部は、複数のオペレータによって実行される。
図6Aにおいて、手術マニピュレータアセンブリ104は、手術環境10内に位置付けられている。遠隔制御可能なアーム106は、格納構成にあることができる。動作600A、600B、及び600C中に遠隔制御可能なアーム106をプロセッサによって制御して、遠隔制御可能なアーム106を展開することができる。プロセッサは、図6B及び図6Cの動作600B及び動作600Cにそれぞれ示すように、遠隔制御可能なアーム106がベースから更に延びるように遠隔制御可能なアーム106のジョイントを制御することができる。プロセッサは、遠位部分(又は遠隔制御可能なアーム106の遠位リンクにある手術ツール又はカニューレ150のような遠隔制御可能なアーム106によって支持される品目)が展開方向603に移動させられるようにジョイントを作動させることができる。幾つかの例では、プロセッサがジョイントを制御して遠隔制御可能なアーム106を移動させる代わりに、オペレータは、遠隔制御可能なアーム106を図6Cに示す展開位置に手動で移動させる。遠隔制御可能なアーム106が展開されると、オペレータ112は、遠隔制御可能なアーム106を滅菌ドレープ(図示せず)で覆うことができる。
図6D乃至図6Fのそれぞれにおいて、オペレータ112は、手術マニピュレータアセンブリ104が作業空間602に隣接して位置付けられるようにベースを手動で位置付ける。幾つかの例では、動作600D〜動作600Fの間に、プロセッサは、位置決めインジケータシステム(例えば、位置決めインジケータシステム304)を制御して、オペレータ112がベース108を押すべき再位置決め方向606を提供することができる。インジケータは、床面に投影される視覚的表示であることができる。幾つかの例において、プロセッサは、最適ベース場所又は最適ベース場所エンベロープ110を計算することができ、次に、位置決めインジケータシステムを制御して、ベース108を最適ベース場所エンベロープ110に向かって移動させるようオペレータ112に指示する再位置決め方向606を示すことができる。幾つかの実施では、遠隔操作可能なアーム106及びベース108の慣性は、オペレータ112がベース108を最適ベース場所エンベロープ110に向かって移動させる間に、遠隔制御可能なアーム106をベース108に対して移動させることがある。オペレータ112がベース108を移動させる間に、プロセッサは、遠隔制御可能なアーム106が展開位置に留まるように遠隔制御可能なアーム106のジョイントを制御することができる。これに関して、ジョイントは、動作600D乃至動作600Fの間に、図6D乃至図6Fの各々に示す展開方向603に駆動させられてよい。
図6Gに示す動作600Gで、ベース108は、手術台123及び患者102に隣接して位置付けられる。次に、図6H、図6I、及び図6Jにそれぞれ示す、動作600H、動作600I、及び動作600Jで、遠隔操作可能なアーム106は、手術ツールが遠隔操作可能なアーム106に装着されるときに手術ツールが作業空間602内にあるように配置される。プロセッサは、例えば、遠隔制御可能なアーム106のジョイントの作動を通じて、遠隔制御可能なアーム106の展開を制御することができ、或いは、オペレータ112は、遠隔制御可能なアーム106を手動で展開することができる。
遠隔制御可能なアーム106が展開されるとき、幾つかの実施において、オペレータ112は、作業空間602の範囲を実証することができる。オペレータ112は、例えば、遠隔制御可能なアーム106の一部分(又は手術ツールが遠隔制御可能なアーム106に取り付けられる場合の手術ツール)が作業空間602の境界を通じて移動させられるよう、器具ホルダ又は遠隔制御可能なアーム106の他の部分を手動で操作することができる。次に、プロセッサは、遠隔制御可能なアーム106上の姿勢センサからセンサ信号を受信することができ、次に、それらの信号を使用して作業空間602の範囲を推定することができる。作業空間602を実証する他の方法を本明細書中に記載する。
動作600Jで、基準を特定する。この例において、基準は、基準点162である。幾つかの例では、動作600Jで、手術ツールを患者102のアクセスポートに挿入し、アクセスポートの場所に対応するように基準点を定める。オペレータ112は、遠隔操作可能なアーム106の様々なジョイントをクラッチで留めて(clutch)、遠隔操作可能なアーム106の遠位リンク又は(複数の)他の部分を操作して、手術ツールをアクセスポートに挿入することができる。クラッチ留め(clutching)の例は、参照として本明細書に援用する第223号特許に詳細に記載されている。
幾つかの実施では、アクセスポートを通じて手術ツールを物理的に配置することによる以外の方法において基準を定める位置をプロセッサに提供する。プロセッサは、ベース108の手動再位置決めが完了した後に手術ツールをアクセスポートに挿入することができるように基準点162を決定することができる。基準点162は、遠隔制御可能なアーム106と物理的に接触する構成要素上の点、又は遠隔制御可能なアーム106に機械的に接続されない空間内の点若しくは遠隔制御可能なアーム106に機械的に接続されない構成要素の一部分であることができる。例えば、器具ホルダ132がカニューレ150に連結され、カニューレ150が患者に挿入されるならば、基準点162は、カニューレ150が患者の体壁に接触する場所のような、カニューレ150に沿う点を指すことができる。器具ホルダ132がカニューレ150から切り離されるならば、基準点162は、カニューレが装着されるならば、遠隔制御可能なアーム106に機械的に接続されない手術環境10内でカニューレが存在するであろう場所と関連付けられる点を指すことができる。基準点162は、様々な実施において他の方法で示されてよい。幾つかの実施において、オペレータは、入力デバイスを操作して、遠隔制御可能なアーム106が患者102のアクセスポートに近接していること、遠隔制御可能なアーム106が患者102のアクセスポートに既に挿入されているカニューレにドッキングされていること、遠隔制御可能なアーム106によって保持されたカニューレが患者102に挿入されていること、(複数の)基準点及び/又は(複数の)方向を示すために、患者の切開部又は患者に配置されたガイドマークを識別するよう、画像取得及び認識が実行されていることなどを示す。
動作600Jで、プロセッサは、図4及び図5に関してより詳細に記載するように、受信する入力に基づいて最適ベース場所エンベロープ110を決定することができる。次に、図6K乃至図6Mに示すように、動作600K乃至動作600Mのそれぞれにおいて、プロセッサは、ベース108の手動再位置決めデバイスを案内する。プロセッサは、位置決めインジケータシステムを制御して、ベース108についての再位置決め方向606を示す。再位置決め方向606は、ベース108が最適ベース場所エンベロープ110に向かって移動させられるように、オペレータ112がベース108を再位置決めするべき、方向を示す。オペレータ112は、位置決めインジケータシステムによって提供される再位置決め方向606に従って、ベース108を手動で再位置決めする。オペレータ112がベース108を手動で再位置決めする間に、図4及び図5に関して記載したように、オペレータ112は、ベース108の動きを検出することができ、遠位部分(又はカニューレ150若しくは手術ツールのような遠隔操作可能なアーム106によって支持される品目)の位置及び/又は向きが手動再位置決め中に基準(例えば、基準点162)に対して維持されるように遠隔操作可能なアーム106のジョイントの作動を制御することができる。よって、プロセッサは、手動再位置決めが起こる間に、遠隔操作可能なアーム106の1以上の部分(例えば、遠隔操作可能なアーム106の遠位端又は(複数の)他の部分)を展開方向603においてベース108に対して移動させることができる。
プロセッサは、手動再位置決め中に、ベース108の回転及び並進の両方を指示するよう位置決めインジケータシステムを制御することができる。図6K3に示すように、プロセッサは、位置決めインジケータシステムを制御して、オペレータ112がベース108を再位置決め方向606に並進させる再位置決め方向606を示すことができる。図6L及び図6Mに示すように、プロセッサは、位置決めインジケータシステムを制御して、オペレータ112がベース108を再位置決め方向606に回転させる再位置決め方向606を示すこともできる。
図6Nにおいて、オペレータ112は、ベース108が最適ベース場所エンベロープ110内にあるよう、ベース108を成功裡に手動で再位置決めした。幾つかの実施では、動作600Nで、プロセッサは、手術マニピュレータアセンブリ104を制御して、成功インジケータ608を提供するようにする。成功インジケータ608は、ベース108の手動再位置決めが完了したことを示す。幾つかの実施において、成功インジケータ608は、位置決めインジケータシステムによって提供される特定のシーケンス又はパターンである。幾つかの実施において、成功インジケータ608は、音声確認、触覚的確認、又はオペレータに成功を示す他の信号を含む。幾つかの例において、位置決めインジケータシステムは、ベース108が最適ベース場所エンベロープ110の外側にあるときにもオペレータに表示を提供する。
ベース108の再位置決めが成功裡に完了した後に、外科手術を開始することができる。手術ツールを患者102のアクセスポートに挿入することができる。外科医が手術マニピュレータアセンブリ104の遠隔制御可能なアーム106を遠隔制御して、手術ツールを制御して手術を行うことができる。
幾つかの実施において、第2の手動再位置決めを実行することは、ベース108をより最適な位置に再位置決めするのに有益なことがある。オペレータ112は、第2の手動再位置決めを指示するようにプロセッサに要求を発してよい。幾つかの例において、プロセッサは、第2の手動再位置決めが有益であることを検出し、次に、第2の手動再位置決めを実行するようにオペレータ112に警告する。例えば、最初の手動再位置決めが完了した後の処置中に、手術マニピュレータアセンブリ104に隣接して障害物が位置付けられ得る。オペレータ112によって実行される最初の手動再位置決めは、障害を回避するのに十分でないことがある。図6Oに示すように、最適ベース場所エンベロープは、障害物612、例えば、アクセサリカート、患者、及び/又はオペレータを考慮しない初期的な最適ベース場所エンベロープ110である。図6Oにおいて、障害物612は、遠隔制御可能なアーム106と障害物612との間の衝突が起こる可能性が低いように、手術マニピュレータアセンブリ104から十分に離れている。しかしながら、図6Pに示すように、障害物612は、手術マニピュレータアセンブリ104に隣接する位置まで移動させられ、よって、衝突の可能性を増大させる。
幾つかの実施では、外科手術中に手術ツール134は患者の新しいポート位置に移動させられなければならないので、第2の手動再位置決めが生じる。初期的なポート位置は、新しいポート位置のために必要とされるベース場所とは異なるベース場所を必要とすることがある。これに関して、新たなポート位置は、新しい基準点162をもたらす可能性があり、ひいては、第2の手動再位置決めのための新しい最適ベース場所エンベロープをもたらす。結果として、プロセッサは、オペレータがベース108を新しい最適ベース場所エンベロープに向かって移動させるように誘導されるように、第2の手動再位置決めを指示する。
幾つかの実施において、プロセッサは、第2の手動再位置決めを指示する。プロセッサは、例えば、アーム又は手術ツールが作業空間境界の縁に移動させられ、オペレータがアーム又は手術ツールを作業空間境界を越えて移動させることを欲するときに、第2の手動再位置決めプロセスを開始する。そのような場合、プロセッサは、例えばオペレータが本明細書に記載する手動実証プロセスを使用して定める新しい作業領域境界を考慮する、第2の手動再位置決めを引き起こすことができる。幾つかの場合、プロセッサは、障害物の移動、例えば、手術環境10内のオペレータ又はデバイスの移動の故に、第2の手動再位置決めプロセスを開始する。
図3乃至図5に関して記載したように、手術マニピュレータアセンブリ104は、手術マニピュレータアセンブリ104の遠隔制御可能なアーム106の付近の障害物を検出するために使用することができる障害物検出センサを含む。障害物を検出した後に、プロセッサは、衝突の可能性が十分に大きいので、遠隔制御可能なアーム106が障害物112から再位置決めされなければならないことを決定することができる。遠隔制御可能なアーム106と障害物612との間の衝突を回避するベースの移動を伴わずにジョイントを作動させることが可能なことがあるが、幾つかの例では、図4及び図5に関して記載したように、他の目標を達成するためにベース108の第2の手動再位置決めを指示することが有益なことがある。例えば、第2の手動再位置決めは、ジョイントのうちの幾つかのジョイントの運動範囲を妨げることがある新しい障害物612に照らして遠隔制御可能なアーム106のジョイントの運動範囲を有益に改良することがある。図6Pに示すように、プロセッサは、新しい障害物を考慮する新しい最適ベース場所エンベロープ110を計算することができる。プロセッサは、位置決めインジケータシステムを制御して、第2の手動再位置決めのための再位置決め方向606を示す。次に、オペレータ112は、ベース108及び遠隔制御可能なアーム106が障害物612から離れる方向に移動させられることにより、障害物612との衝突の危険性を減少させるように、再位置決め方向606に従って第2の手動再位置決めを実行することができる。
(追加的な実施の代替)
上述のシステムは、上記で議論した構成に加えて或いはそれらの代わりに、以下の構成のうちの1以上を任意的に含んでよい。
アーム106は遠隔制御可能であるものとして記載されているが、幾つかの実施において、アーム106は、アーム106と同じ室内の場所でオペレータによって制御される。例えば、外科処置中にアーム106が使用されるならば、オペレータは、患者の病床の傍らからアーム106を制御することができる。
カート11を含むものとして記載されているが、幾つかの、セットアップアセンブリ109は、床面20より上方のガントリに取り付けられ、手術環境10の壁又は天井に取り付けられる、プラットフォームに対応する。オペレータ112は、ガントリに沿ってプラットフォームを移動させて、手動再位置決めを実行する。ガントリは、例えば、ベース108をガントリに取り付けるレールに連結される、制動機構を含むことができる。位置決めインジケータシステムは、レールと関連付けられる制動機構を含むことができる。
手術システム100は、手動再位置決めを誘導することができる方法、システム、及びデバイスを含むことができる、手術システムの一例を表わしている。代替的な又は追加的な構成を含むように本明細書に記載する手術システム100及び方法を修正することができる。手術システム100の幾つかの構成は省略されてもよい。幾つかの場合、これらの修正は、手術システム100の動作、例えば、動作402、404、406〜408、410、412、414、及び416並びに動作600A〜600Pを追加的に変更することができる。
幾つかの実施において、セットアップアセンブリ109及び/又は遠隔制御可能なアーム106のジョイント及びセットアップジョイントは、図2Aに関して記載する組み合わせとは異なる回転ジョイント及びプリズムジョイントの組み合わせを含むことができる。各ジョイントは、並進自由度、回転自由度、又はそれらの組み合わせを提供することができる。ジョイントは、複数の回転自由度、例えば、複数の独立した軸についての回転を含んでよい。ジョイントは、複数の並進自由度、例えば、複数の独立軸に沿った並進を含んでよい。例えば、セットアップジョイント142b〜142c及び148a〜148gは、回転ジョイントとして記載されているが、幾つかの例において、これらのジョイント142b〜142c、148a〜148gのうちの1以上は、並進自由度を可能にすることができ、よって、遠隔制御可能なアーム106とセットアップアーム128のリンクとの間の相対的な並進を可能にする。ジョイント142aは、プリズムジョイントとして記載されているが、遠隔制御可能なアーム106がベース108に対して枢動することを可能にする回転ジョイントであることができる。幾つかの場合には、ジョイントが、リンク間の相対的な回転及び並進の両方を可能にすることがある。遠隔制御可能なアーム106は、所与の用途に望まれる自由度に依存して、より少ない又は追加的なリンク及びジョイントを含むことができる。
遠隔制御可能なアーム106及びセットアップアーム128のためのジョイントの種類は、異なる実施において異なることができる。幾つかの例では、遠隔制御可能なアーム106は、動力付き関節のみを含む一方で、セットアップアーム128は、受動ジョイントのみを含む。幾つかの実施において、手術マニピュレータアセンブリ104は、遠隔制御可能なアーム106及びセットアップアーム128の両方を含まない。例えば、遠隔制御可能なアーム106は、遠隔制御可能なアーム106をカート111又はセットアップアセンブリ109に連結する単一の動力付きジョイントを含むことができる。プロセッサ302は、手動再位置決め中に単一の動力付きジョイントを選択的にアクティブ化させて、動力付きジョイントを駆動することができる。動力付きジョイントの動きは、手動再位置決め中に、遠位部分(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアーム106によって支持される品目)の位置及び/又は向きを維持することができる。幾つかの実施において、遠隔制御可能なアーム106及びセットアップアーム128は、共に、2以上の動力付きジョイントを含むことができる。プロセッサ302は、手動再位置決め中に、動力付きジョイントの各々を選択的にアクティブ化させて、基準に対する、例えば、基準点162に対する、遠位部分(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアーム106によって支持される品目)の位置及び/又は向きを維持することができる。
幾つかの場合、遠隔制御可能なアーム106及びセットアップアーム128は、選択的に解放可能な受動ジョイントを含む。選択的に解放可能な受動ジョイントは、例えば、受動ジョイントの位置を維持する制動機構を含むことができる。これに関して、遠隔制御可能なアーム106は、動力付きジョイントと、選択的に解放可能な受動ジョイントとを含むことができる。ベース108の手動再位置決め中、プロセッサ302は、動力付きジョイントを選択的にアクティブ化させて、受動ジョイントを選択的に解放して、遠位部分(又はカニューレ150若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアーム106によって支持される品目)の位置及び/又は向きを維持しながら受動ジョイントを移動させるために反力を使用することができる。
図1に描写する手術システム100は、単一の手術マニピュレータアセンブリ104を示しているが、幾つかの例において、手術マニピュレータアセンブリ104は、複数の手術マニピュレータアセンブリのうちの1つであってよく、それらの各々は、遠隔制御可能なアームを含む。遠隔制御可能なアームの各々は、手術ツールを含むことができ、本明細書に記載する方法を使用して各手術マニピュレータアセンブリのベースの手動再位置決めを指示することができる。更に、遠隔制御可能なアームの各々は、遠隔運動中心として機能する対応する基準点を含むことができる。各ベースの手動再位置決めは、手術マニピュレータアセンブリのための動力付きジョイントが、手術マニピュレータアセンブリのそれぞれの遠位部分(又はカニューレ、手術ツール、他の器具類又はアクセサリなどのような、手術マニピュレータアセンブリによって支持される品目)の位置を維持するためにアクティブ化させられる間に、起こることができる。幾つかの場合、プロセッサは、障害物検出センサを使用して他の外科手術マニピュレータアセンブリを検出することができ、他の外科手術マニピュレータアセンブリを手術環境内の障害物であると見做すことができる。これに関して、ベースの手動再位置決めを指示するためにプロセッサによって使用される障害物データは、他の手術マニピュレータアセンブリの位置を含むことができる。幾つかの実施では、第1のアームのためのベースの手動再位置決め中に、第2のアームの動力付きジョイントは、第1のアームが手動再位置決めされているときの第1のアームと第2のアームとの間の衝突を回避するように駆動させられる。
幾つかの例では、単一のアーム106を有する手術マニピュレータアセンブリ104であるよりもむしろ、手術マニピュレータアセンブリは、複数のアームを含み、各アームは、手術ツールを有する。手術ツールの各々を別個のアクセスポートに挿入することができる。ベース108の手動再位置決め中に、プロセッサは、複数のアームの各アームのジョイントを制御して、それぞれのアクセスポートに対する各アームの遠位部分(又はカニューレ若しくはカニューレのような各アームによって支持される品目)の位置及び/又は向きを維持することができる。各アームは、単一のベース108から延びる。手動再位置決めを指示するために、プロセッサは、各アームについての最適な位置を考慮することができ、ベースの手動再位置決めを指示して各アームについての最適性を改良することができる。幾つかの実施では、各アームのための位置及び向きについての最適性スコアを最大化することが可能でないことがある。そのような場合、最適化戦略は、各アームについての最適性スコアを説明する正味最適性スコアを含むことができる。最適性戦略の一部として、特定のアームについての最適性スコアを他のアームよりも重くすることができる。これに関して、正味最適性スコアを最適化することは、実行されるべき外科処置と関連付けられるデータを前提として特定のアームについての最適な位置及び向きにより近い特定のアームについての位置及び向きをもたらす。
位置決めインジケータシステム304は、コラム138上にインジケータライト200を有するものとして記載されているが、幾つかの実施において、位置決めインジケータシステムの構成は、位置、機構、及び他の態様において異なることができる。例えば、幾つかの実施において、位置決めインジケータシステム304は、ライトの代わりに、手術マニピュレータアセンブリ104のベース108が再位置決めされるべき方向を視覚的に示す機械式ダイヤルを含む。
インジケータライト200は、手術環境の床面に光を投射することができるが、幾つかの例において、インジケータライトは、ベース108の一部分に光を投射することができる。幾つかの場合には、インジケータライトをベースの一部分に位置付けることができ、手動再位置決めするための方向を示すために直接的に照らすことができる。例えば、図7に示すように、ベース704の近位部分702に沿ってインジケータライト700を位置付けることができる。
位置決めインジケータシステム304は、手術マニピュレータアセンブリ104の部分として記載されているが、幾つかの例では、手術マニピュレータアセンブリ104から独立したシステムであってよい。位置決めインジケータシステム304は、手術マニピュレータアセンブリ104とは別個の視覚的インジケータシステム又は聴覚的インジケータシステムであることができる。位置決めインジケータシステムは、手術環境内で聞くことができる可聴信号を発するように構成されたオーディオシステムの部分であってよい。可聴信号は、ベースを移動させる方向を示すことができる。幾つかの例において、位置決めインジケータシステムは、ベースを移動させるべき方向を示すために床面を照らす視覚的インジケータシステム、例えば、天井取付けプロジェクタ、フロアライト、及び同等物である。
位置決めインジケータシステム304は、最適ベース位置及び/又は向きに到達するようにベース108を移動させるべき所望の再位置決め方向の表示を提供するものとして記載されているが、幾つかの実施において、位置決めインジケータシステム304は、ベース108の手動再位置決めを誘導するために異なる方法において作動させられる。例えば、位置決めインジケータシステム304は、ベース108の最適場所とベース108の現在場所との間の推定距離の表示を提供することができる。位置決めインジケータシステム304がインジケータライト(例えば、インジケータライト200のうちの1つ)を含むならば、インジケータライトによって放射される照明の強度、波長、又は色は、推定距離が変化するに応じて変化することができる。位置決めインジケータシステム304がスピーカ又は他の可聴表示デバイスを含むならば、スピーカによって提供される可聴表示の強度、ピッチ、周波数、音量、又は言語指示は、推定距離が変化するに応じて変化することができる。例えば、可聴表示の強度、ピッチ、周波数、又は音量は、推定距離が減少するに応じて増大することができ、強度、ピッチ、周波数、又は音量は、推定距離が増加するに応じて減少することができる。代替的に、可聴表示の言語指示は、推定距離が増大するに応じてベース108が最適ベース場所から離れる方向に移動させられていること又は推定距離が減少するに応じてベース108が最適ベース場所に近づく方向に移動させられていることを言語的に表現する。
幾つかの実施では、再位置決め方向のような単一のパラメータの表示を提供することよりもむしろ、位置決めインジケータシステム304は、手動再位置決め中にベース108の場所に関する複数のパラメータの表示を提供する。例えば、表示は、ベース108の再位置決め方向、ベース108の現在場所とベース108の最適場所との間の相対的な距離、ベースの現在向きとベースの最適角度との間の相対的な角度、ベース108と障害物の予想場所との間の相対的な距離、ベース108とベース108の運動範囲の限界との間の相対的な距離、最適ベース場所エンベロープ内の場所に対するベース108の成功裡の位置付け、又はベース108が最適ベース場所エンベロープの外側にあること、のうちの1以上を含む1以上のパラメータを示すことができる。幾つかの場合、位置決めインジケータシステム304の単一のインジケータデバイスは、複数のパラメータの表示を提供するように動作可能である。例えば、単一のインジケータライト(例えば、インジケータライト200のうちの1つ)は、ベース108とベース108の最適場所との間の相対的な距離の表示並びにベース108の再位置決め方向の表示を提供するように動作可能であることができる。インジケータライトの照明は、ベース108の再位置決め方向を示すことができ、インジケータライトの照明の強度は、ベース108の現在場所とベース108の最適場所との間の相対的な距離を示すことができる。
1以上のモダリティを通じて位置決めインジケータシステム304によって提供される各表示を提供することができる。例えば、単一の表示が提供されるときには、複数のモダリティを通じて、例えば、可聴表示、視覚的表示、又は触覚的表示のうちの2以上を通じて、その表示を提供することができる。異なるパラメータを示す複数の表示が提供されるときには、同じモダリティを通じて又は異なるモダリティを通じて、表示の各々を提供することができる。例えば、視覚的インジケータデバイスによって1つの表示を提供することができ、可聴インジケータデバイスによって他の表示を提供することができる。代替的に、視覚的インジケータデバイスによって複数の表示を提供することができ、触覚的インジケータデバイスによって他の表示を提供することができる。
幾つかの例において、位置決めインジケータシステムは、ベース108の現在場所及びベース108の好ましい場所又は複数の好ましい場所を図式的に描写するディスプレイを含む。グラフィックディスプレイは、平面図内にこれらの場所を描写することができ、ベース108を再位置決めするときにオペレータ文脈(operator context)を与えるよう手術環境10内の他の障害物を描写することができる。オペレータは、ベース108の現在場所の視覚的表示がベース108の好適場所の1以上の好適場所の視覚的表示と一致するときに、ベース108を最適ベース場所エンベロープ110に成功裡に移動させる。
幾つかの例において、位置決めインジケータシステムは、最適ベース場所エンベロープに対応する床面の領域を照らして、ベースを移動させるべき方向を示すことができる。位置決めインジケータシステムは、床面上に所望の場所を投影することができるので、ユーザはベースを所望の場所に向かって手動で押す。プロジェクタが遠隔制御可能なアーム106又はベース108に取り付けられるならば、再位置決め中に遠隔制御可能なアーム106又はベース108が移動するに応じて、プロジェクタの位置を更新することができる。これに関して、遠隔制御可能なアーム106及びベース108が再位置決めされるときでさえも、所望の場所の投影は所望の場所に留まる。
位置決めインジケータシステム304は、代替的に又は追加的に、再位置決め方向の触覚的表示を含むことができる。例えば、カート111がホイール136を含み、ホイール136が制動機構を含むならば、プロセッサ302は、位置決めインジケータシステム304の部分として制動機構を制御することができる。プロセッサ302は、オペレータ112が最適ベース場所エンベロープ110から離れる方向にベース108を移動させようと試みるならば、制動機構をアクティブ化させることができ、オペレータ112がベース108を最適ベース場所エンベロープ110に向かう方向に移動させるならば、制動機構を非アクティブ化(起動停止)させることができる。従って、制動機構のアクティブ化によって提供される抵抗は、オペレータ112にとっての触覚的表示を提供することにより、ベース108の手動再位置決めを誘導することができる。
本明細書に記載するように、ジョイントがそれらの運動範囲の中心付近に位置付けられるようにジョイントを作動させることができる。プロセッサ302が、ジョイントの各ジョイントが手動再位置決め中にそれらの運動範囲の中心付近にあるよう作動させられるように、ジョイントを制御することができない、例において、位置決めインジケータシステムは、1以上のジョイントが運動範囲の周辺付近にあるという何らかの表示を提供することができる。例えば、プロセッサ302は、アームの遠位部分(又はカニューレ若しくは手術ツール134のようなアームによって支持される品目)の位置及び/又は向きを維持するという目的を無視せずに、ジョイントをその運動範囲の周辺から離れるよう再位置決めすることができないことがある。ジョイント状態の範囲を超えてジョイントの動きを抑制するために、プロセッサ302は、位置決めインジケータシステム304をアクティブ化させて、ベース108をある方向に移動させてならないことを示すことができる。何故ならば、その方向におけるベース108の移動は、ジョイントのために利用可能なジョイント状態の範囲を超えてジョイントを移動させるからである。幾つかの例において、プロセッサ302は、ベース108の制動機構をアクティブ化させて、ジョイント状態の範囲を超えてジョイントを移動させ得るベース108の更なる移動を防止することができる。
幾つかの実施において、位置決めインジケータシステムは、遠隔制御可能なアーム106の動力付きジョイントが最適ベース場所エンベロープ110に向かってベース108を移動させる方向にのみ移動可能であるように、遠隔制御可能なアーム106の動力付きジョイントを制御する。次に、オペレータ112は、ベース108が最適ベース場所エンベロープ110に向かって移動させられるように、ベース108又はジョイントを押す。最適ベース場所エンベロープ110から離れる方向にベース108を移動させる方向への動力付きジョイントの移動に対する抵抗は、ベースを最適ベース場所エンベロープ110に向かって手動で再位置決めするようオペレータ112を誘導する触覚的表示としての機能を果たす。
本明細書に記載するように、プロセッサ302は、ベース108の手動再位置決めが起こる間にジョイントを作動させる信号を生成するために表示を使用することができる。幾つかの実施では、アームの遠位部分(又はカニューレ若しくは手術ツール134のようなアームによって支持される品目)の位置及び/又は向きを維持するためにジョイントを制御することに加えて、プロセッサ302は、指標に基づいてジョイントを制御してよい。例えば、遠隔制御可能なアーム106のジョイントの特定の構成は、手術中に挑戦であり得る。ジョイントがこれらの挑戦的な構成のうちの1つにあることを決定した後に、プロセッサ302は、アームの遠位部分(又はカニューレ若しくは手術ツール134のようなアームによって支持される品目)の位置及び/又は向きを維持しながら、ジョイントを作動させて、この構成を回避してよい。例えば、患者の呼吸又は類似の行為のような患者102の生理学的な動きに応答して、手術台を再配向することによるような、患者102の再位置決めに応答して、同等のことに応答して、遠隔制御可能なアーム106の回転ジョイントを下向きに方向付けられた頂点構成から上向きに方向付けられた頂点構成に駆動させて、隣接するアーム、機器、又は人員との衝突を抑制し、遠隔制御可能なアーム106の遠位部分(又はカニューレ若しくは手術ツール134のような遠隔制御可能なアーム106によって支持される品目)の運動範囲を増大させてよい。
幾つかの例において、ベース108の手動再位置決めは、手術が行われる前に起こる。しかしながら、ベース108の手動再位置決めは、手術中に起こってもよい。オペレータ112は、処置中にベース108を手動で複数回再位置決めしてもよい。
図6O及び図6Pは、第2の手動再位置決めが、手術マニピュレータアセンブリ104のベース108の近傍に入る新しい障害物612に起因して起こり得ることを示しているが、幾つかの実施において、第2の手動再位置決めが有益なことがあることを決定するプロセッサ302をもたらすことができる他の又は追加的なパラメータが変わることができる。幾つかの実施において、異なる手術ツールは、異なる作業空間要件をもたらし得る。その結果、ある手術ツールが手術中に他の手術ツールと「切り替えられる(switched)」ならば(例えば、アームから取り外される手術ツール及びアームに取り付けられる異なる手術ツール)、プロセッサ302は、手術ツール切り替えられたことを検出して、新しい最適ベース場所エンベロープを計算することができる。手術ツールが切り替えられた後に、ベースが現在取り付けられている異なる手術ツールのための新しい最適ベース場所エンベロープ内にないならば、プロセッサ302は、異なる手術ツールに照らして第2の手動再位置決めを指示することができる。
幾つかの場合、遠隔制御可能なアーム106は、ベース108をその位置からシフトさせる手術中の外力に曝されることがある。姿勢センサ308は、外力に起因するジョイント142a〜142c及び148a〜148gについての関節作動を検出することができるか、或いは外力に起因するベース108の動きを検出することができる。手術マニピュレータアセンブリ104の構成要素の移動に起因して、プロセッサ302は、ベース108を最適ベース場所エンベロープ110内に再位置決めすることができるよう、ベース108が第2の手動再位置決めを受ける必要がある場合があることを決定してよい。
幾つかの例において、手術ツール134は、手術中に1つのアクセスポートから他のアクセスポートに移動させられることがある。手術ツール134が新しいアクセスポートに移動させられると、プロセッサ302は、ベース108の第2の手動再位置決めを指示することができる。新しいアクセスポートは、患者102の異なる領域に配置されることがあるので、手術ツールが外科処置を行うのに必要な作業空間の範囲も変化することがある。よって、手術ツール134を新しいアクセスポートに配置した後に、オペレータ112は、作業空間の新しい範囲を実証してよい。アクセスポートの位置(例えば、ポートデータ514)及び作業空間の範囲(例えば、処置データ504)の両方におけるこれらの変化を用いて、プロセッサ302は、遠隔制御可能なアーム106の現在の姿勢の指標についての新しい値を計算してよく、これらの新しい指標値に照らして、第2の手動再位置決めを指示してよい。
作業空間を通じる手術ツール134の物理的な動きを含むものとして作業空間の実証を本明細書に記載したが、幾つかの例において、オペレータ112は、手術ツール134を物理的に移動させずに作業空間を実証することができる。例えば、オペレータ112は、作業空間の範囲をディスプレイ上に図式的に表示してよい。オペレータは、タッチスクリーンディスプレイを備えるコンピューティングデバイスを使用して作業空間の範囲を特定することができる。タッチスクリーンディスプレイを操作することによって、オペレータは、作業空間の範囲を描写することができる。コンピューティングデバイスは、作業空間の範囲を示す入力をプロセッサ302に送達することができる。幾つかの例において、オペレータは、手術マニピュレータアセンブリ104上のセンサによって検出することができる物理的ツールを使用することができる。物理的ツールは、作業空間の境界を定めることができるハンドデバイス又はポインティングデバイスであることができる。センサは、例えば、物理的ツールの位置を光学的に検出し、次に、プロセッサ302のための信号を生成することができ、次に、プロセッサは、センサ信号に基づいて作業空間の範囲を決定する。
プロセッサ302はベース108の手動再位置決めを誘導するように記載されているが、幾つかの例において、プロセッサ302は、手術システム100の他の部分の手動再位置決めを誘導してよい。幾つかの例において、プロセッサ302は、最適カート場所エンベロープに向かうカート111の手動再位置決めを誘導することができる。手術システム100の他の部分は、より多くの数の目標又は指標を最適化するために使用することができる追加的な自由度を追加してよい。例えば、手術台123が床面20に亘って移動可能であるならば、位置決めインジケータシステム304は、最適化戦略の目標又は複数の目標を達成するために手術台123を移動させるべき方向を知らせる位置決めインジケータを含んでよい。位置決めインジケータシステム304は、手術マニピュレータアセンブリ104のベース108についての位置決めインジケータ並びに手術台123についての位置決めインジケータを含むことができる。ベース108は、手術台123が手動で再位置決めされているときにアクティブ化させられる制動機構を含んでよい。手術台123は、ベース108が手動で再位置決めされているときにアクティブ化させられる制動機構を含んでもよい。加えて、手術台123の手動再位置決め中に、遠隔制御可能なアーム106の動力付きジョイントのうちの少なくとも1つを作動させて、アームの遠位部分(又はカニューレ若しくは手術ツール134のようなアーム134によって支持される品目)の位置及び/又は向きを維持することができる。位置及び/又は向きは、基準点162のような適切な基準に対して維持されてよい。
幾つかの例において、遠隔制御可能なアーム106が受動ジョイントを含むならば、受動ジョイントの各々は、位置決めインジケータを含むことができる。プロセッサ302は、受動ジョイントの各々の受動ジョイントの手動再位置決めを制御して、受動ジョイントの各々の受動ジョイントの手動再位置決めを制御することができる。受動ジョイントの手動再位置決め中に、制動機構がベース108の移動を防止することができる。他の受動ジョイントが存在するならば、他の受動ジョイントの各々は、受動ジョイントの手動再位置決め中に他の受動ジョイントが動かないよう、制動機構を含むこともできる。プロセッサは、遠隔制御可能なアーム106の能動ジョイントを制御して、受動ジョイントの手動再位置決め中に基準点162のような基準に対するアームの遠位部分(又はカニューレ若しくは手術ツール134のようなアームによって支持される品目)の位置及び/又は向きを維持することができる。
遠隔制御可能なアーム106は、カート111に取り付けられるものとして記載されているが、幾つかの実施において、遠隔制御可能なアームは、静止的又は移動可能なテーブル(台)に取り付けられてよい。図8Aに描写する例を参照すると、ホイール付きロボットテーブルシステム800Aが、テーブルベース802Aを含む。遠隔制御可能なアーム804Aは、テーブルベース802Aに移動可能に取り付けられたアームベース806Aを含む。例えば、アームベース806Aは、アームベース806Aがテーブルベース802Aに沿って並進することを可能にするプリズムジョイント808Aでテーブルベース802Aに取り付けられる。幾つかの実施において、アームベース806Aは、アームベース806Aがテーブルベース802Aについて回転することを可能にする回転ジョイントでテーブルベース802Aに取り付けられる。他の例では、様々な遠隔制御可能なアーム(例えばアーム804A)が、テーブルシステム(例えば、テーブルシステム800A)の異なる部分に取り付けられるように設計される。例示的な取付け部分は、テーブルシステムのベース、テーブルシステムの表面、(そのようなレールが存在するならば)テーブル表面に近接する1以上のレールなどを含む。幾つかの実施において、アームベース806Aは、テーブルベース802Aに取り外し可能に取り付けられ、手術中に使用されないときには取り外されてよい。幾つかの実施において、アーム804Aは、手術に使用されないときにテーブル表面の下に折り畳まれる。
図8Aの例において、テーブル面810Aは、テーブルベース802A上に位置付けられ、テーブルベース802Aに対して移動可能である。例えば、テーブル面810Aは、テーブルベース802Aについて枢動させられてよく、或いはテーブルベース802Aについて回転させられてよい。他の例において、テーブル表面810Aは、テーブルベース802Aに対して静止的であってよい。
手術が行われる前に、オペレータは、テーブル表面810Aをテーブルベース802Aに対して手動で再位置決めしてよい。オペレータは、アームベース806Aをテーブルベース802Aに対して手動で再位置決めしてもよい。これ関して、プロセッサが、テーブル表面810Aについて第1のインジケータ814Aを使用して第1の手動再位置決めを指示することができ、アームベース806Aについて第2のインジケータ816Aを使用して第2の手動再位置決めを指示することができる。プロセッサは、本明細書に記載する指標に基づいて、最適テーブル表面場所と最適アームベース場所との組み合わせを決定することができる。手動再位置決めの2つの事例の各々の間に、プロセッサは、本明細書により詳細に記載するように、アーム804Aの遠位部分(又はカニューレ若しくは手術ツール812Aのようなアームによって支持される品目)の位置及び/又は向きが基準(例えば、基準系、1以上の基準方向、基準点など)に対して維持されるように、アーム804Aのジョイントを制御することができる。
図8Aに示すテーブルシステム800Aは、テーブルシステム800Aが別個に移動可能な手術マニピュレータアセンブリ(例えば、手術マニピュレータアセンブリ104)に対して再位置決めされること又は手術領域の周りで或いは部屋から部屋に動き回らされることなどを可能にする、複数のホイールを含む。
図8Bは、静止テーブル又は可動テーブルに取り付けられてよい他の例示的な制御可能なアームの斜視図である。ホイール付きテーブル850Bが、テーブルベース802Bを含む。テーブル表面810Bが、テーブルベース802B上に位置付けられる。患者820B、死体、身体部分、又は人間以外のワークピースのような、ワークピースを支持するために、テーブル表面810Bを使用することができる。図8Bに示す例では、2つの遠隔制御可能なアーム804B、80Cは、テーブルレール818Bに沿う多数の異なる場所に取り外し可能に取り付けられてよいアームベース806B、806Cを含む。
動作中、制御可能なアーム804B、804Cは、関連する作業空間内でツール834B、834Cを移動させるように駆動させられる。幾つかの実施において、制御可能なアーム804B、804Cは、遠隔操作可能であり、駆動させられるときに、作業空間に対してツール834B、834Cを再位置決め及び再配向する、遠隔操作可能な動力付きジョイントを含む。幾つかの実施では、本明細書に記載する他の遠隔制御可能なアームと同様に、制御可能なアーム804B,804Cのリンク又はジョイントに直接的に加えられる入力を通じて制御可能なアーム804B、804Cを直接的に作動させることもでき、制御可能なアーム804B、804Cの直接的なオペレータ操作を可能にすることができる。
ロボットテーブルシステム800Aについて記載したものと同様に、手術が行われる前に、オペレータは、テーブル表面810Bをテーブルベース802Bに対して手動で再位置決めしてよい。オペレータは、アームベース806B、806Cをテーブルレール818Bに対して手動で再位置決めしてもよく、或いはアーム804B、804Cのうちの1以上をテーブルの他の側(両側)にある他のテーブルレール(図示せず)に移動させてもよい。これに関して、プロセッサが、(例えば、位置決めインジケータシステム304と同様の)位置決めインジケータシステムを作動させて、アーム804B、804Cのためのインジケータを使用して手動再位置決めを指示することができる。例えば、図8Cを参照すると、位置決めインジケータシステムは、本明細書に記載するインジケータライト200と同様の第1のインジケータライト836B、836Cを含むことができる。第1のインジケータライト836B、836Cは、アームベース806B、806Cをテーブルレール818Bに接続する受動ジョイント807B、807C上に又はそれらに近接して位置決めされる。第1のインジケータライト836B、836Cは、ツール834B、834Cに対するアームベース806B、806Cの位置を最適化するために受動ジョイント807B、807C(それにより、アームベース806B、806C)を移動させるべき方向を示すように作動させられる。幾つかの実施では、アームベース806B,806Cとは別個の受動ジョイント807B,807Cを含むことよりもむしろ、受動ジョイント807B,807Cは、アームベース806B,806Cに対応する。
アームベース806B、806Cの手動再位置決め中、アームベース806B、806Cは、受動ジョイント807B、807Cと共に一緒に移動させられ、よって、テーブルレール818Bに沿って動く。受動ジョイント807B、807Cの各受動ジョイントの移動は、テーブルレール818Bに沿う移動に制限されるので、受動ジョイント807B、807Cの各受動ジョイントのためにインジケータライト836B、836Cによって示される方向を2つの方向、即ち、テーブルレール818Bの一端に向かう方向又はテーブルレール818Bの他端に向かう方向から選択することができる。そのような場合、手動再位置決め中に、オペレータは、第1のインジケータライト836B,836Cによって提供される表示に従ってテーブルレール818Bに沿ってテーブル表面810Bに対してアームベース806B、806C及び受動ジョイント807B、807Cを移動させるように誘導される。本明細書に記載するように、ツール834B,834C又はアーム804B,804Cの遠位部分の位置及び/又は向きは、手動再位置決め中に維持される。代替的に又は追加的に、位置決めインジケータシステムは、アームベース806B,806Cが移動させるべき方向を更に示すために、テーブル表面810Bに向かって又はワークピース(例えば、患者820B)に向かって光を投射する第2のインジケータライト838B、838Cを含むことができる。
幾つかの実施において、アームベース806B,806Cは、テーブルレール818Bに沿ってスライドする以外の方法でツール834B,834Cに対して移動可能である。アームベース806B、806Cを用いた受動ジョイント807B、807Cの手動再位置決めは、第1の手動再位置決めに対応し、アームベース806B、806Cは、第2の手動再位置決めにおいて、受動ジョイント807B、807Cに対して更に再位置決めされる。例えば、アームベース806B、806Cに連結されるリンク812B、812Cを挿入運動又はロール運動において受動ジョイント807B、807Cに対して移動可能であることができ、それにより、アームベース806B、806C及びツール834B、834Cの相対的な並進又は再配向を引き起こすことができる。第1のインジケータライト836B、836C又は第2のインジケータライト838B、838Cを作動させて、アームベース806B、806C(故に、リンク812B、812C)の第2の手動再位置決めを誘導する表示を提供することができる。本明細書に記載するように、ツール834B、834C又はアーム804B、804Cの遠位部分の位置及び/又は向きは、第2の手動再位置決め中に維持される。
障害物データ510は、作業空間内の障害物の場所を示すものとして記載されている。障害物は作業空間内の機器を含むものとして記載されているが、他の障害物も可能である。幾つかの実施において、障害物データ510は、手術環境10内の任意のオペレータの予想場所、平らでない床面、又はベース108若しくは遠隔制御可能なアーム106の移動を妨げることがある作業空間内の他の障害物を含む、障害物を示すデータを含む。幾つかの実施では、戻って図8Bを参照すると、障害物データ510は、アームベース806B、806Cの場所に対するテーブルレール818Bの両端の場所を示すデータを含む。プロセッサは、アームベース806B、806Cをテーブルレール818Bに沿う許容運動範囲を超えて移動させるようにオペレータに指示することを回避するために、テーブルレール818Bの両端の場所に基づいて手動再位置決めを指示する。受動ジョイント807B、807Cは、アームベース806B、806C、故に、アーム804、804Cをテーブル表面810Bより上方に支持するために、テーブルレール818Bにロックされるように構成されるので、テーブルレール818Bの両端は、受動ジョイント807B、807C、故に、アームベース806B、806Cの運動範囲を制限する。プロセッサは、オペレータが受動ジョイント807B、807Cをそれらの許容運動範囲を超えて移動させるように誘導されないように、アームベース806B、806Cの手動再位置決めを指示することができる。
ここで図2及び関連する図に示す例に戻ると、ホイール136は、幾つかの実施において、ベース108を床面20で動き回らせるためにプロセッサ302によって制御することができる動力付きホイールである。ホイール136は、プロセッサ302がホイール136の向きを制御して再位置決めを容易にするか或いは抑制するのを可能にする駆動機構を含んでよい。例えば、プロセッサ302は、ホイール136が再位置決め方向に沿って転動し、非再位置決め方向に沿って転動しないことを目的とするように、ホイール136の向きを制御することができる。よって、プロセッサ302は、ホイール136を制御することができるので、再位置決め方向でない方向へのベース108の移動は抑制される。
ホイール136は、手動再位置決め中に、プロセッサ302が動力付きホイールを駆動させるアクチュエータをアクティブ化させてオペレータ112がベース108を移動させるのを助けることができるように、アクチュエータを含んでもよい。幾つかの実施において、ホイール136は、オペレータがベース108を押すときに、プロセッサ302がカート111を最適な再位置決め領域に向かって優先的に移動させるようホイールを方向付けることができるように、操縦システムを含むことができる。図2を参照すると、幾つかの実施において、手術マニピュレータアセンブリ104は、オペレータ112がベース108を移動させるために押し引きすることができるハンドル161を含んでよい。ハンドル161は、ハンドル161の変位を検出するセンサを含んでよい。オペレータ112がハンドル161を押し引きすることに起因するハンドル161の変位に応答して、プロセッサ302は、動力付きホイールを駆動するアクチュエータをアクティブ化させてベース108の手動再位置決め中にオペレータを助けることができる。オペレータは、例えば、駆動ボタン、ジョイスティック、デッドマンスイッチ、又はその他の適切なユーザ入力デバイスを操作して、動力付きホイールをある方向に移動させる。本明細書に記載するプロセスによれば、プロセッサ302は、オペレータが入力デバイスを使用して手動再位置決めを実行するときに、位置決めインジケータシステムを制御してオペレータ112を誘導することができる。
幾つかの例において、プロセッサ302は、単にホイール136のアクチュエータをアクティブ化させてカート111を最適ベース場所エンベロープ110に向かって駆動させることによって、手術環境10内でカート131を、故に、ベースを移動させることができる。位置決めインジケータシステムは、ベース108が移動させられる最適ベース場所エンベロープ110を視覚的に表示することができる。オペレータは、示される視覚的に表示される最適ベース場所エンベロープが適切であるという確認をプロセッサに提供することができる。代替的に又は追加的に、手術マニピュレータアセンブリ104の1以上のジョイントは電力供給され、プロセッサは、ホイール及び/又は1以上のジョイントを制御して手術マニピュレータアセンブリ104及び手術マニピュレータアセンブリ104の構成要素を最適な姿勢に移動させる。幾つかの場合、プロセッサは、オペレータがスイッチを手動で作動することに応答して、ホイール136のアクチュエータ及び/又は1以上のジョイントのアクチュエータをアクティブ化させる。スイッチがアクティブ化させられると、プロセッサは、アクチュエータの作動を停止して、ホイール及び/又は1以上のジョイントの更なる自動的な移動を停止する。
幾つかの実施において、位置決めインジケータシステムは、追加的に、ベース108が移動させられるべき経路を示してよい。例えば、ベース108がオペレータ112によって手動で再位置決めされるならば、位置決めインジケータシステムは、ベース108を移動させて最適ベース場所エンベロープ110に入れる床面に沿う経路の視覚的表示を提供することができる。ホイールが動力付きである場合、位置決めインジケータシステムは、ベース108がエンベロープに到達するように移動する経路と共に、最適ベース場所エンベロープ110の視覚的表示を提供することができる。次に、オペレータ112は、この視覚的表示の確認を提供して、ホイールが最適ベース場所エンベロープへの経路に沿って移動するよう、プロセッサがホイールを制御することを可能にすることができる。
本明細書に記載するように、遠隔制御可能なアーム106及び804A、804B、804Cは、この開示の範囲内で想定されるロボットマニピュレータアームアセンブリの種類の例である。図9A〜図9Cは、(マニピュレータアーム904とも呼び或いは遠隔制御可能であるように構成されることがあるので遠隔制御可能なアーム904とも呼ぶ)ロボットマニピュレータアームアセンブリ904の他の例の底面図、側面図及び背面図を描写している。幾つかの実施において、遠隔制御可能なアーム904を手術ツール906(「手術器具906」とも呼ぶ)と連結させて、ベース902に対する手術器具906の動きに影響を与える。異なるエンドエフェクタを有する多数の異なる手術器具が(典型的には外科助手の助けを借りて)外科処置中に各遠隔制御可能なアーム904に順次式に取り付けられることがあるので、器具ホルダ920は、取り付けられる手術器具906の迅速な取外し及び交換を可能にすることが好ましい。
例示的な遠隔制御可能なアーム904は、遠隔制御可能なアーム904の残部が第1のジョイント軸J1について回転するのを可能にするように枢動取付けジョイント922によってベース902に取り付けられ、第1のジョイント922は、例示的な実施では垂直軸についての回転を提供する。ベース902及び第1のジョイント922は、一般的に、遠隔制御可能なアーム904の近位部分を含み、マニピュレータは、ベースから器具ホルダ920及びエンドエフェクタ950に向かって遠位に延びる、
図9Dに例示するようなリンクを接続するジョイントの回転の軸と共に、図9A〜図9Cに例示するような制御可能なアーム904の個々のリンクを記載すると、第1のリンク924がベース902から遠位に延び、ジョイント922で第1の枢動ジョイント軸J1について回転する。ジョイントの残部の多くを図9D中のそれらの関連する回転軸によって特定することができる。例えば、第1のリンク924の遠位端が、水平枢動軸J2を提供するジョイントで第2のリンク926の近位端に連結される。第3のリンク928の近位端が、ロールジョイントで第2のリンク926の遠位端に結合されるので、第3のリンク928は、一般的には、第2のリンク及び第3のリンクの両方の軸に沿って(理想的には整列させられて)延びる軸についてジョイントJ3で回転又はロールする。遠位に進むと、他の枢動ジョイントJ4の後に、第4のリンク930の遠位端は、器具ホルダリスト932を共に定める一対の枢動ジョイントJ5、J6によって器具ホルダ920に連結される。遠隔制御可能なアーム904の並進又はプリズムジョイントJ7は、最小侵襲孔を通じる器具906及び器具906の細長いシャフト914の軸方向の移動を容易にし、器具906をスライド可能に挿入するカニューレへの器具ホルダ920の取付けも容易にする。
器具ホルダ920の遠位に、手術器具906は、追加的な自由度を含んでよい。手術器具906の自由度の作動は、しばしば、遠隔制御可能なアーム904のモータによって駆動させられる。代替的な実施は、迅速取外し可能な器具ホルダ/器具インタフェースで手術器具906を支持マニピュレータアーム構造から分離することができるので、手術器具906上にあるものとしてここに示されている1以上のジョイントは、代わりにインタフェース上にあり、或いはその逆である。換言すれば、手術器具906と遠隔制御可能なアーム904との間のインタフェースは、(手術器具及びマニピュレータアームアセンブリ904の両方を含んでよい)マニピュレータアームアセンブリ904の運動連鎖に沿ってより近位又は遠位に配置されてよい。例示的な実施において、手術器具906は、一般的には最小侵襲孔の部位に配置されるピボット点PPの近位に回転ジョイントJ8を含む。手術器具906の遠位リストが、器具リストジョイント軸J9、J10についてのエンドエフェクタ950の枢動運動を可能にする。エンドエフェクタジョー要素間の角度αは、エンドエフェクタ950の場所及び向きとは無関係に制御されてよい。幾つかの実施では、信号、例えば、可聴信号、触覚信号、視覚信号、又は他の適切なユーザ知覚可能な信号を発する、位置決めインジケータシステムが、遠隔制御可能なアーム904及び/又はベース902のジョイントの手動再位置決めを誘導する。幾つかの場合、遠隔制御可能なアーム904は、複数の位置決めインジケータシステムを含み、各位置決めインジケータシステムは、遠隔制御可能なアーム904の特定の関節又はベース902と関連付けられる。
他の例では、図10を参照すると、遠隔制御可能にされることがある制御可能なアーム1000は、ジョイントシステム1004に接続されたベース1002を含む。リンク1012がジョイントシステム1004をジョイントシステム1014に接続し、リンク1020がジョイントシステム1014をジョイントシステム1022に接続する。幾つかの実施では、ジョイント1006が、ベース1002に対して回転においてベース1002に対して遠位にある遠隔制御可能なアーム1000の一部分を、例えば、y軸について、回転させる。幾つかの実施では、ジョイント1028が、例えば、y軸に沿って、器具ホルダ1030をジョイントシステム1022に対して並進させる。各ジョイント及びジョイントシステムは、例えば、遠隔操作可能なアーム1000の部分間の相対的な移動、例えば、遠隔操作可能なアーム1000の部分間の並進及び/又は回転を引き起こすように選択的に動作可能である。
ジョイントシステム1004は、リンク1012とジョイントシステム1004との間に相対的な回転を引き起こすように動作可能である。ジョイントシステム1004は、例えば、第1の回転可能なジョイント1008と、第2の回転可能なジョイント1010とを含む。第1のジョイント1008は、駆動させられるときに、例えば、x軸についての、第1のジョイント1008と第2のジョイント1010との間の相対的な回転を引き起こす。第2のジョイント1010は、駆動させられるときに、例えば、z軸についての、リンク1012と第2のジョイント1010との間の相対的な回転を引き起こす。ジョイントシステム1014は、リンク1020及びジョイントシステム1014の相対的な回転を引き起こすように動作可能である。ジョイントシステム1014は、例えば、第1のジョイント1016と、第2のジョイント1018とを含む。第1のジョイント1016は、駆動させられるときに、例えば、x軸についての、第1のジョイント1016と第2のジョイント1018との間の相対的な回転を引き起こす。第2のジョイント1018は、駆動させられるときに、第2のジョイント1018とリンク1020との間の相対的な回転を引き起こす。ジョイントシステム1022は、器具ホルダ1030とジョイントシステム1022との間の相対的な回転を引き起こすように動作可能である。ジョイントシステム1022は、例えば、第1のジョイント1024と、第2のジョイント1026とを含む。第1のジョイント1024は、駆動させられるときに、例えば、x軸についての、第1のジョイント1024と第2のジョイント1026との間の相対的な回転を引き起こす。第2のジョイント1026は、駆動させられるときに、例えば、y軸についての、第2のジョイント1026と器具ホルダ1030との間の相対的な回転を引き起こす。
幾つかの実施では、信号、例えば、可聴信号、触覚信号、視覚信号、又は他の適切なユーザ知覚可能な信号を発する、位置決めインジケータシステムが、遠隔制御可能なアーム1000のベース、ジョイントシステム、及び/又はジョイントの手動再位置決めを誘導する。幾つかの場合、遠隔制御可能なアーム1000は、複数の位置決めインジケータシステムを含み、各位置決めインジケータシステムは、遠隔制御可能なアーム1000の特定のジョイント、ジョイントシステム、又はベース関連付けられる。
遠隔制御可能なアーム106、804A、804B、804C、904、及び1000は、遠隔制御可能なアームの例である。幾つかの実施では、遠隔制御可能なアームは、本明細書に記載する遠隔制御可能なアームの例におけるジョイントの組み合わせを含む。これに関して、幾つかの実施では、遠隔制御可能なアームは、遠隔制御可能なアーム106、804A、804B、804C、904、及び1000に関して示した組合せ以外の、プリズムジョイント、回転ジョイント、及びジョイントシステムの組み合せを含む。
本明細書に記載する手術システム(例えば、手術システム100)及び手術システムのロボット構成要素(例えば、遠隔制御可能なアーム106、手術マニピュレータアセンブリ104)は、少なくとも部分的に、1以上のコンピュータプログラム(コンピュータプログラム製品)、例えば、1以上のデータ処理装置、例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、複数のコンピュータ、及び/又はプログラマブルロジックコンポーネントによる実行のために、或いは、それらの動作を制御するために、1以上の非一時的な機械可読媒体のような、1以上の情報担体中に有形に具現される1以上のコンピュータプログラムを使用して、制御されることができる。
コンピュータプログラムは、コンパイル型言語又はインタープリタ型言語を含む任意の形態のプログラミング言語において書かれることができ、コンピュータプログラムは、スタンドアロンプログラムのような形態、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、若しくはコンピューティング環境における使用に適した他のユニットのような形態を含む、任意の形態で配置されることができる。
本明細書に記載する手術システムの制御と関連付けられる動作を、本明細書に記載する機能を遂行する1以上のコンピュータプログラムを実行する1以上のプログラム可能なプロセッサによって実行することができる。本明細書に記載する手術システムの全部又は一部に関する制御を、特殊目的論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)及び/又はASIC(特定用途向け集積回路)を使用して実施することができる。
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、一例として、汎用及び特殊目的の両方のマイクロプロセッサ、並びに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1以上のプロセッサを含む。一般的に、プロセッサが、読出し専用記憶領域又はランダムアクセス記憶領域又はそれらの両方から指令及びデータを受信する。コンピュータの要素が、指令を実行する1以上のプロセッサと、指令及びデータを格納する1以上の記憶領域デバイスとを含む。一般的に、コンピュータが、データを格納する大容量PCBのような、1以上の機械可読記憶媒体、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は光ディスクからデータを受信する、それにデータを送信する、それからデータを受信し且つそれにデータを送受するデータも含み、或いは、それからデータを受信する、それにデータを送信する、それからデータを受信し且つそれにデータを送受するデータに動作的に連結されもする。コンピュータプログラム指令及びデータを具現するのに適した機械可読記憶媒体は、一例として、半導体記憶領域装置、例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュ記憶領域デバイス、磁気ディスク、例えば、内部ハードディスク又はリムーバブルディスク、光磁気ディスク、並びにCD−ROM及びDVD=ROMディスクを含む、全ての形態の不揮発性記憶領域を含む。
本明細書に記載する異なる実施の要素を組み合わせて上記に具体的に記載されない他の実施形態を形成してよい。要素はそれらの動作に悪影響を及ぼさずに本明細書に記載する構造から外されてよい。更に、様々な別々の要素を1以上の個々の要素に組み入れて本明細書に記載する機能を遂行してよい。