本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の各部の左右方向は、そのパチンコ遊技機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させて説明する。また、パチンコ遊技機の各部の前方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者に近づく方向とし、パチンコ遊技機の各部の後方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者から離れる方向として説明する。
1.遊技機の構造
図1は、第1の形態に係るパチンコ遊技機PY1の正面図である。また、図2は、パチンコ遊技機PY1の斜視図である。図1または図2に示すように、本形態のパチンコ遊技機PY1は、当該パチンコ遊技機PY1の外郭を構成する遊技機枠2を備えている。遊技機枠2は、外枠22と内枠21と前扉23とを備えている。外枠22は、遊技機枠2の外郭を構成する縦長方形状の枠体である。内枠21は、遊技盤1(図3参照)が取り付けられる縦長方形状の枠体である。本形態の前扉23は、内枠21の前方側に配置されていて、遊技盤1を保護する縦長方形状のものである。本形態では、外枠22及び内枠21が遊技機枠2の基枠部を構成しており、前扉23が遊技機枠2の前枠部を構成している。
また、前扉23は、その中央に遊技窓部が形成されている前枠23mを有している。前枠23mの遊技窓部は、前後方向について貫通した開口部であり、透明板23tが取付けられることで塞がれている。透明板23tは、透明な合成樹脂でもガラスでもよい。
前扉23は、図1に示すように、前面側に、装飾部である上部ユニット31、右部ユニット32、左部ユニット33を備えている。上部ユニット31は、透明板23tの上方に設けられ、遊技機枠2(前扉23)の前面上部を装飾するものである。右部ユニット32は、透明板23tの右方に設けられ、遊技機枠2(前扉23)における前面右部を装飾するものである。左部ユニット33は、透明板23tの左方に設けられ、遊技機枠2(前扉23)における前面左部を装飾するものである。前枠23mには、様々な発光色で発光可能な枠ランプ53が多数設けられている。また、前枠23mの上部には、音を出力可能な右スピーカ52Rおよび左スピーカ52Lから構成されるスピーカ52が設けられている。
また、図2に示すように、前枠23mの前面の下部には、前方に大きく突出した上皿34と、上皿34の直下に配された下皿35が設けられている。上皿34の前方側には、演出ボタン装置40、セレクトボタン装置42が設けられている。演出ボタン装置40は、下方に押下操作可能な演出ボタン40kを有している。セレクトボタン装置42は、その前後左右の各位置が、下方に押下操作可能なセレクトボタン42kを有している。
さらに、上皿34の上面の後方側には、遊技球を貯留可能な供給球貯留穴34Aが、演出ボタン装置40、セレクトボタン装置42を避けるように形成されている。供給球貯留穴34Aに貯留される遊技球は、ハンドル72kを含んで構成されている発射装置72に供給される。また、下皿35の上面には、供給球貯留穴34Aに収容しきれない余剰の遊技球を貯留するための余剰球貯留穴35Aが設けられている。
ハンドル72kは、発射装置72の駆動に係る操作を行うことが可能なものであり、本形態では、前扉23の右側の下部に設けられている。ハンドル72kは、遊技者による回転操作に基づき、その回転角度に応じた発射強度(発射速度)で、発射装置72に遊技球を発射させることができる。
セレクトボタン装置42は、遊技者がセレクトボタン42kの操作により、演出に係る設定等の調整や選択を行うことができるものである。本形態のパチンコ遊技機PY1では、スピーカ52から出力される音量調整を行うことができるものである。また、セレクトボタン装置42は、例えば、発光部材の光量調整や、複数の演出モードを実行可能な場合における演出モードの選択に用いることができるものであってもよい。また、このような演出に係る設定は、演出ボタン装置40により行うことができてもよい。
遊技機枠2は、左端側にヒンジ部24を備えている。ヒンジ部24は、外枠22、内枠21、前扉23を回転可能に支持しているものである。そして、ヒンジ部24により、前扉23は外枠22及び内枠21に対してそれぞれ回動自在になっていて、内枠21は外枠22及び前扉23に対してそれぞれ回動自在になっている。なお、図1および図2には、内枠21および前扉23がともに閉められた閉状態のときの遊技機枠2を示している。前扉23は、閉状態から、内枠21から遠ざかる向きに回転されることで開状態をとることができる。また、内枠21は、閉状態から外枠22から遠ざかる向きに回転されることで開状態をとることができる。
次に、遊技盤ユニットYUについて説明する。図3は遊技盤ユニットYUの正面図である。図3に示すように、本形態の遊技盤ユニットYUは、遊技盤1を有している。遊技盤1は、板状の部材であり(このため遊技板ともいう)、その背面側に設けられた演出ユニットEUと一体化されて遊技盤ユニットYUを構成している。遊技盤ユニットYUには、各種制御基板やハーネス等を取付けるユニットも設けられている。遊技盤ユニットYUは、パチンコ遊技機PY1においては、遊技機枠2の内枠21に取り付けられることで、遊技機枠2の内部に固定されている。
遊技盤1の略中央付近には、開口部1Aが形成されている。また、遊技盤1には、開口部1Aに沿って、略リング状のセンター装飾体61が、前面(遊技盤面)よりも前方に突出して設けられている。遊技盤1の前面におけるセンター装飾体61の外側には、前方に突出した外レール62および内レール63が設けられている。外レール62は、センター装飾体61を大きく取り囲むように略リング状をしている。内レール63は、外レール62の左側部分とセンター装飾体61との間で、外レール62およびセンター装飾体61に沿った湾曲状のものである。
そして、遊技盤1の前面において、センター装飾体61、外レール62および内レール63などで囲まれた領域が遊技領域6を形成している。すなわち、遊技盤1の前面が、センター装飾体61、外レール62および内レール63によって、遊技領域6とそれ以外の領域とに区切られている。また、外レール62と内レール63とで囲まれた領域は、発射された遊技球が遊技領域6へ向かうために通過可能な発射領域7を形成している。
遊技領域6は、ハンドル72kの操作によって発射された遊技球が流下可能な領域であり、パチンコ遊技機PY1で遊技を行うために設けられている。このため、遊技領域6は、 一般的には、パチンコ遊技機PY1のうちで遊技者が視認する頻度の高いものとなっている。遊技領域6には、多数の遊技用くぎ(図示なし)が突設されている。遊技用くぎは、遊技領域6に進入して遊技領域6を流下する遊技球を、一般入賞口10、第1始動口11、第2始動口12、ゲート13、および大入賞口14などに適度に誘導する経路を構成している。
遊技領域6の所定位置には、一般入賞装置10Dが設けられている。一般入賞装置10Dには、一般入賞口10が、遊技球の入球が可能に形成されている。遊技球が一般入賞口10へ入球すると、所定個数(本実施形態では、7個)の遊技球が賞球として払い出される。なお、一般入賞口10に入球した遊技球はそのまま遊技領域6の外へと排出される。
また、遊技領域6におけるセンター装飾体61の中央直下には第1始動入賞装置11Dが設けられている。第1始動入賞装置11Dには、第1始動口11が遊技球の入球が可能に形成されている。第1始動入賞装置11Dは作動しない非作動構造からなる。そのため、第1始動口11は、遊技球の入球のし易さが変化せずに一定(不変)である。遊技球が第1始動口11へ入球すると、所定個数(上記の実施形態では、4個)の遊技球が賞球として払い出される。なお、第1始動口11に入球した遊技球はそのまま遊技領域6の外へと排出される。
なお、センター装飾体61の左側部から下端部にかけて、遊技球を内部に通すワープ部61wが形成されている。ワープ部61wへの入口はセンター装飾体61の左側部に形成されている。ワープ部61wに入った遊技球はワープ部61wの内部を通って出口から出る。ワープ部61wの出口付近であってセンター装飾体61の下端部上面には、遊技球が転動可能なステージ61sが設けられている。ステージ61sの中央付近には、遊技球を下方に導く下方誘導部61yが設けられている。第1始動口11は、この下方誘導部61yの直下に設けられている。
遊技領域6における第1始動口11の右方には、第2始動入賞装置(いわゆる「電チュー」)12Dが設けられている。電チュー12Dには、遊技球が入球不可能な閉態様と入球可能な開態様とに変化可能な第2始動口12が形成されている。第2始動口12は、電チュー12Dが具備する電チュー開閉部材12kによって閉態様と開態様とをとる。すなわち、電チュー開閉部材12kの作動によって第2始動口12が開閉する。
電チュー開閉部材12kは、通常は、上方に開口する第2始動口12の上に位置し、第2始動口12を閉鎖している。この閉鎖状態では、第2始動口12に遊技球が入球できないようになっている。電チュー開閉部材12kは、第2始動口12を閉鎖した状態から右方へと移動することが可能である。この右方への移動により、第2始動口12を開放した開状態をとることができる。そして、電チュー開閉部材12kが開状態であるときだけ遊技球の第2始動口12への入球が可能となる。遊技球が第2始動口12へ入球すると、所定個数(本形態では、4個)の遊技球が賞球として払い出される。なお、第2始動口12に入球した遊技球はそのまま遊技領域6の外部へ排出される。
また、第2始動口12の上方には、ゲート13が設けられている。ゲート13は、遊技球が通過可能に構成されている。遊技球がゲート13を通過しても賞球が払い出されない。なお、ゲート13を通過した遊技球はそのまま遊技領域6を流下する。
遊技領域6における第1始動入賞装置11Dの下方には、大入賞装置14Dが設けられている。大入賞装置14Dには、遊技球が入球可能な入球態様と、入球態様よりも遊技球の入球が困難な非入球態様とに変化可能な大入賞口14が形成されている。大入賞口14は、大入賞装置14Dが具備するAT(Attacker)可動部材14kの動作によって入球態様と非入球開態様とをとる。
AT可動部材14kは、前後方向に進退可能な部材である。大入賞口14は、AT可動部材14kが前方に進出しているとき、入球態様をとる。具体的に、AT可動部材14kが前方に進出した入球態様のとき、AT可動部材14kまで流下してきた遊技球は、AT可動部材14kの上面に沿って移動可能となり、その移動先の大入賞口14へと遊技球が導かれ得る。これにより、入球態様では、大入賞口14への遊技球の入球が可能となっている。一方、大入賞口14は、AT可動部材14kが後方に退避しているとき、非入球態様をとる。AT可動部材14kが後方へと退避した非入球態様であるときには、遊技球がAT可動部材14kによって大入賞口14へと導かれることなく、さらに下方へと流下していく。なお、遊技球が大入賞口14へ入球すると、所定個数(本形態では、14個)の遊技球が賞球として払い出される。
また、本形態の大入賞装置14Dは、特定領域と非特定領域とを備えるものである。すなわち、本形態において、大入賞口14に入球した後の遊技球の経路として、特定領域を通るルートと、非特定領域を通るルートとが設けられている。そのため、大入賞装置14Dは、大入賞口14に入球した遊技球を、特定領域を通過するルートおよび非特定領域を通過するルートのいずれかに振り分ける振分部材を有している。なお本パチンコ遊技機PY1では、特定領域への遊技球の通過が後述の高確率状態への移行の契機となっている。つまり特定領域は、確変作動口となっている。これに対して非特定領域は、確変作動口ではない。
なお、第1始動口11、第2始動口12、大入賞口14、および一般入賞口10への遊技球の入球や、遊技球のゲート13の通過をまとめて、第1始動口11、第2始動口12、大入賞口14、一般入賞口10、およびゲート13への「入賞」と総称する。
ところで、遊技球が流下可能な遊技領域6は、左右方向の中央より左側の左遊技領域6Aと、右側の右遊技領域6Bと、に大別することができる。遊技球が左遊技領域6Aを流下するように遊技球を発射させるハンドル72kの操作態様を「左打ち」という。一方、遊技球が右遊技領域6Bを流下するように遊技球を発射させるハンドル72kの操作態様を「右打ち」という。また、遊技領域6において、左打ちにて遊技球を発射したときに遊技球が流下可能な流路を、第1流路R1といい、右打ちにて遊技球を発射したときに遊技球が流下可能な流路を、第2流路R2という。
第1流路R1上には、第1始動口11と、複数の一般入賞口10と、が設けられている。よって、遊技者は、左打ちにより第1流路R1を流下するように遊技球を発射させることで、第1始動口11、または、一般入賞口10への入賞を狙うことができる。一方、第2流路R2上には、第2始動口12と、ゲート13と、大入賞口14と、が設けられている。よって、遊技者は、右打ちにより第2流路R2を流下するように遊技球を発射させることで、ゲート13、第2始動口12、または大入賞口14への入賞を狙うことができる。
なお、遊技領域6の略最下部には、遊技領域6へ打ち込まれたもののいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域6の外部へ排出する2つのアウト口19が設けられている。
また、遊技盤ユニットYUの遊技盤1には、表示器類8が設けられている。表示器類8は、遊技領域6の外側における左下の箇所に位置している。表示器類8は、大当たり抽選の結果等、遊技の進行状態を表示することができるものである。この表示器類8については、後に詳述する。
また、遊技盤ユニットYUは、遊技盤1の後方の演出ユニットEUに設けられた、画像表示装置50、第1可動装置55、第2可動装置56、第3可動装置700を有している。画像表示装置50は、表示部(表示画面)50aに所定の演出画像を表示可能なものである。画像表示装置50は、本形態においては、液晶ディスプレイである。また、画像表示装置50は、その表示部50aが、遊技盤ユニットYUの中央付近に位置するように設けられている。このため、遊技者は、遊技盤1の開口部1Aを通して画像表示装置50の表示部50aを視認することが可能である。
画像表示装置50は、表示部50aに、例えば、演出図柄EZを表示可能である。本形態の演出図柄EZは、左演出図柄EZ1、中演出図柄EZ2、右演出図柄EZ3により構成されている。左演出図柄EZ1は中演出図柄EZ2の左側に、右演出図柄EZ3は中演出図柄EZ2の右側に表示される。なお、本形態では、左演出図柄EZ1、中演出図柄EZ2、右演出図柄EZ3を総称する場合に「演出図柄EZ1,EZ2,EZ3または演出図柄EZ1〜EZ3」ということもある。
演出図柄EZ1,EZ2,EZ3はそれぞれ、遊技者が識別可能な複数の識別情報で構成される。本形態では、演出図柄EZ1,EZ2,EZ3は主に「1」〜「8」までの数字を含む図柄で構成される。そして、演出図柄EZの変動表示においては、演出図柄EZ1,EZ2,EZ3を構成する数字を含む図柄群が、正面視で上下方向に並んで表示部50aの上から下にスクロールする。このとき、表示部50aに表示され、視認される数字が次々に入れ替わる。
なお、演出図柄EZの変動表示の態様としては、上下方向にスクロールする態様に限られず、左右方向(例えば、右から左)にスクロールする態様など他の態様であってもよい。また、スクロール表示ではなく所定の定位置で演出図柄EZ1,EZ2,EZ3を構成する数字を含む図柄群が次々に入れ替わる(例えば、その定位置で自転する)態様であってもよい。
そして、特図が停止表示されるときに、演出図柄EZ1,EZ2,EZ3が所定の配列(組み合わせ)で停止表示される。すなわち、変動表示において表示部50a内で次々に入れ替わっていた様々な数字を含む図柄が1つに特定される。このとき、停止表示した演出図柄EZ1,EZ2,EZ3の組み合わせによって、特図抽選の結果が、わかりやすく表示される。つまり遊技者は、一般的には特図抽選の結果を、画像表示装置50の表示部50aにて把握する。
また、演出図柄EZの変動表示においては、リーチ演出が行われることがある。リーチとは、特図変動演出において、演出図柄EZ1,EZ2,EZ3を用いて遊技者に大当たりを期待させることができる演出である。具体的に、リーチは、演出図柄EZ1,EZ2,EZ3のうちでスクロール表示されている演出図柄が残り一つとなっている状態であって、スクロール表示されている演出図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たり当選を示す演出図柄の組み合わせとなる状態(例えば「5↓5」の状態)のことである。
なお、リーチにおいてスクロール表示されていない演出図柄は、表示部50a内の所定位置で仮停止している。仮停止とは、所定の演出図柄が略所定位置で留まり(所定の演出図柄が表示部50a内に表示され続け)、すなわち、異なる演出図柄に入れ替わることはないものの、微小な変動(例えば、多少の上下方向の往復運動の繰り返し、また、多少の揺動の繰り返し、また、拡大と縮小の繰り返しなど)のことである。なお、仮停止の態様はこれらに限られず、適宜に設定しても良い。
また、画像表示装置50は、上記のような演出図柄EZの変動演出(「演出図柄変動演出」や単に「変動演出」ともいう)のほか、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出や、客待ち用のデモ演出などを表示部50aに表示する。なお演出図柄変動演出では、数字等の演出図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の演出画像も表示される。
また、第1可動装置55、第2可動装置56、第3可動装置700は、装飾可能な装飾部であるとともに、演出図柄EZの変動演出等(リーチの発生時や大当たり)に合わせて演出動作を可能な装置である。その演出動作により、第1可動装置55、第2可動装置56、第3可動装置700は、遊技者の期待感や満足感を高め、遊技興趣性の向上を図ることができる。第1可動装置55、第2可動装置56、第3可動装置700を含む演出ユニットEUについては、後に詳述する。
図4は、遊技盤1に設けられている表示器類8の拡大図である。図4に示すように、表示器類には、第1特別図柄(以下、「特図1」という)を可変表示する特図1表示器81a、第2特別図柄(以下、「特図2」という)を可変表示する特図2表示器81b、及び、普通図柄(以下、「普図」という)を可変表示する普図表示器82が含まれている。また、表示器類には、後述する特図1保留数を表示する特図1保留表示器83a、および後述する特図2保留数を表示する特図2保留表示器83bが含まれている。
特図1の可変表示は、遊技球の第1始動口11への入賞を契機とした特図1抽選が行われると実行される。また、特図2の可変表示は、遊技球の第2始動口12への入賞を契機とした特図2抽選が行われると実行される。特図1抽選、および特図2抽選については後述する。なお、以下の説明では、特図1、および特図2を総称して「特図」といい、特図1抽選、および特図2抽選を総称して「特図抽選」という。また、特図1表示器81a、および特図2表示器81bを総称して「特図表示器81」という。さらに、特図1保留表示器83a、および特図2保留表示器83bを総称して「特図保留表示器83」という。
特図の可変表示は、特図抽選の結果を報知する。特図の可変表示では、特図が変動表示した後に停止表示する。停止表示された特図(停止特図)は、可変表示の表示結果として導出された特図抽選の結果を表す識別情報である。停止表示された特図が予め定めた特定の特図である場合には、大入賞口14の開放を伴う大当たり遊技が行われる。
特図1表示器81a、および特図2表示器81bはそれぞれ、横並びに配された8個のLEDから構成されている。特図1表示器81a、および特図2表示器81bの点灯態様は、特図抽選の結果に応じた特図、すなわち特図抽選の結果を表す。例えば特図抽選の結果が大当たりである場合には、最終的に「□□■■□□■■」(□:点灯、■:消灯)というように左から1,2,5,6番目にあるLEDが点灯する。この点灯態様が大当たり図柄であり、大当たりを表す。また、特図抽選の結果がハズレである場合には、最終的に「■■■■■■■□」というように一番右にあるLEDのみが点灯する。この点灯態様がハズレ図柄であり、ハズレを表す。なお、特図抽選の結果に対応するLEDの点灯態様は限定されず、適宜に設定することができる。よって、例えば、ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させてもよい。
また、特図の可変表示において、特図が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特図の変動表示がなされる。特図の変動表示の態様は、例えば左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯する態様である。なお、変動表示の態様は、特に限定されず、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなど適宜に設定してよい。
ところで、パチンコ遊技機PY1では、遊技球が第1始動口11または第2始動口12へ入賞してもすぐに特図抽選および特図の可変表示が行われない場合がある。具体的には、特図の可変表示の実行中や大当たり遊技の実行中に遊技球の第1始動口11または第2始動口12への入賞があった場合である。この場合、所定個数を上限として、その入賞に基づいて特図抽選および特図の可変表示を実行する権利が留保される。この留保された権利のことを「特図保留」という。
特図保留には、第1始動口11への入賞に基づいて留保された特図1抽選、および特図1の可変表示を実行する権利を表す「特図1保留」と、第2始動口12への入賞に基づいて留保された特図2抽選、および特図2の可変表示を実行する権利を表す「特図2保留」と、がある。そして、特図1保留の数、すなわち留保されている特図1抽選および特図1の可変表示を実行する権利の数を特図1保留表示器83aが表示する。一方、特図2保留の数、すなわち留保されている特図2抽選、および特図2の可変表示を実行する権利の数を特図2保留表示器83bが表示する。
特図1保留表示器83aおよび特図2保留表示器83bのそれぞれは、4個のLEDで構成されており、特図1保留および特図2保留の数の分だけLEDを点灯させることにより特図1保留および特図2保留の数を表示する。なお、以下において、特図1保留の数を「特図1保留数(U1)」といい、特図2保留数の数を「特図2保留数(U2)」という。また、「特図1保留数」や「特図2保留数」を総称して「特図保留数」という。さらに、「特図1保留表示器83a」と「特図2保留表示器83b」とを総称して「特図保留表示器83」という。
また、普図の可変表示は、遊技球のゲート13の通過を契機とした普図抽選が行われると実行される。そして、普図の可変表示は、普図抽選の結果を報知する。普図の可変表示では、普図が変動表示した後に停止表示する。停止表示された普図(停止普図)は、可変表示の表示結果として導出された普図抽選の結果を表す識別情報である。停止表示された普図が予め定めた特定の普図である場合には、第2始動口12の開放を伴う補助遊技が行われる。
普図表示器82は、例えば2個のLEDから構成されている。普図表示器82の点灯態様は、普図抽選の結果に応じた普図、すなわち普図抽選の結果を表す。普図抽選の結果が当たりである場合には、最終的には、「□□」(□:点灯、■:消灯)というように両LEDが点灯する。この点灯態様が当たり図柄であり、当たりを表す。また普図抽選の結果がハズレである場合には、最終的には、「■□」というように右のLEDのみが点灯する。この点灯態様がハズレ図柄であり、ハズレを表す。なお、普図抽選の結果に対応するLEDの点灯態様は限定されず、適宜に設定することができる。例えば、ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。
また、普図が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普図の変動表示が行われる。普図の変動表示の態様は、本形態では、両LEDが交互に点灯するという態様である。なお、普図の変動表示の態様は、特に限定されず、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなど適宜に設定してもよい。
次に、遊技盤ユニットYUの演出ユニットEUの構成について説明する。図5は、演出ユニットEUの正面図である。つまり、図5は、遊技盤1を取り外した状態の遊技盤ユニットYUである。
図5に示すように、演出ユニットEUは、主な演出用の装置として、画像表示装置50、第1可動装置55、第2可動装置56、第3可動装置700を有している。画像表示装置50は、前述した通り、表示部50aに、演出図柄EZをはじめ、種々の所定画像を表示可能なものである。また、図5には、第1可動装置55、第2可動装置56、第3可動装置700について、待機状態(退避状態)を示している。すなわち、待機状態における第1可動装置55および第3可動装置700は上方の待機位置(退避位置)に位置しており、待機状態における第2可動装置56は下方の待機位置(退避位置)に位置している。第1可動装置55、第2可動装置56、第3可動装置700はいずれも、待機位置から進出した演出位置(進出位置)へと移動可能な可動部を備えるものである。そして、可動部を演出位置へと進出させた第1可動装置55、第2可動装置56、第3可動装置700はそれぞれ、待機位置よりも目立つ態様で可動部を用いた演出を行うことが可能なものである。
第1可動装置55は、可動部として、上下方向に移動が可能な第1上下移動部500、左右方向に延びる回転軸を軸中心として回転移動が可能な第1左右軸回転部530、揺動が可能な第1揺動部540、いずれも前後方向に延びる回転軸を軸中心として回転移動が可能な第1左側前後軸回転部550、第1右側前後軸回転部560、第1中央前後軸回転部570を有している。第1左側前後軸回転部550、第1右側前後軸回転部560、第1中央前後軸回転部570は、第1揺動部540に設けられている。第1揺動部540は、第1左右軸回転部530に設けられている。第1左右軸回転部530は、第1上下移動部500に設けられている。
このため、第1上下移動部500が移動したとき、その移動に伴って、第1左右軸回転部530、第1揺動部540、第1左側前後軸回転部550、第1右側前後軸回転部560、第1中央前後軸回転部570はいずれも移動する。また、第1左右軸回転部530が回転移動したとき、その回転移動に伴って、第1揺動部540、第1左側前後軸回転部550、第1右側前後軸回転部560、第1中央前後軸回転部570はいずれも回転移動する。さらに、第1揺動部540が揺動したとき、第1左側前後軸回転部550、第1右側前後軸回転部560、第1中央前後軸回転部570はいずれも揺動する。
また、第1上下移動部500を上下に移動させる機構として、第1左側上下送りねじ590、第1左側上下モータ590m、第1右側上下送りねじ591、第1右側上下モータ591mを備えている。第1左側上下送りねじ590は、軸方向を上下方向(鉛直方向)に合わせ、第1上下移動部500の左側に設けられている。第1左側上下モータ590mは、第1左側上下送りねじ590を回転させることができる駆動源である。第1右側上下送りねじ591は、軸方向を上下方向に合わせ、第1上下移動部500の右側に設けられている。第1右側上下モータ591mは、第1右側上下送りねじ591を回転させることができる駆動源である。
第1上下移動部500は、左部に設けられた第1左側上下部510と、右部に設けられた第1右側上下部520とを有している。第1左側上下部510は、第1左側上下送りねじ590に対応したナット部材を備えており、第1左側上下送りねじ590の回転に伴って、上下方向に移動可能である。第1右側上下部520は、第1右側上下送りねじ591に対応したナット部材を備えており、第1右側上下送りねじ591の回転に伴って、上下方向に移動可能である。
このため、本形態の第1上下移動部500については、第1左側上下部510および第1右側上下部520を同時に同じ速度で移動させることもできるし、それぞれ独立して移動させることもできる。つまり、第1左側上下部510および第1右側上下部520のどちらか一方をのみを移動させることもできるし、一方を他方よりも速い速度で移動させることもできる。さらに、一方を上向きに移動させつつ、他方を下向きに移動させるようなことも可能である。
また、第1可動装置55には、第1左右軸回転モータ530m、第1揺動モータ540m、第1左側前後軸回転モータ550m、第1右側前後軸回転モータ560m、第1中央前後軸回転モータ570mが設けられている。第1左右軸回転モータ530mは、第1左右軸回転部530を回転移動することができる駆動源であり、第1左側上下部510に設けられている。第1揺動モータ540mは、第1揺動部540を揺動させることができる駆動源であり、第1揺動部540に設けられている。第1左側前後軸回転モータ550mは、第1左側前後軸回転部550を回転移動することができる駆動源であり、第1揺動部540に設けられている。第1右側前後軸回転モータ560mは、第1右側前後軸回転部560を回転移動することができる駆動源であり、第1揺動部540に設けられている。第1中央前後軸回転モータ570mは、第1中央前後軸回転部570を回転移動することができる駆動源であり、第1揺動部540に設けられている。
第2可動装置56は、可動部として、上下方向に移動が可能な第2上下移動部600、左右方向に移動が可能な第2左右移動部610、前後方向に延びる回転軸を軸中心として回転移動が可能な第2前後軸回転部630を有している。第2前後軸回転部630は、第2左右移動部610に設けられている。第2左右移動部610は、第2上下移動部600に設けられている。
このため、第2上下移動部600が移動したとき、その移動に伴って、第2左右移動部610、第2前後軸回転部630はいずれも移動する。また、第2左右移動部610が移動したとき、その移動に伴って、第2前後軸回転部630は移動する。
また、第2上下移動部600を上下に移動させる機構として、第2左側上下送りねじ690、第2右側上下送りねじ691、第2上下モータ690mを備えている。第2左側上下送りねじ690は、軸方向を上下方向に合わせ、第2上下移動部600の左側に設けられている。第2右側上下送りねじ691は、軸方向を上下方向に合わせ、第2上下移動部600の右側に設けられている。第2上下モータ690mは、第2左側上下送りねじ690および第2右側上下送りねじ691をともに回転させることができる駆動源である。
第2上下移動部600は、左部に設けられた第2左側上下部601と、右部に設けられた第2右側上下部602とを有している。第2左側上下部601は、第2左側上下送りねじ690に対応したナット部材を備えており、第2左側上下送りねじ690の回転に伴って、上下方向に移動可能である。第2右側上下部602は、第2右側上下送りねじ691に対応したナット部材を備えており、第2右側上下送りねじ691の回転に伴って、上下方向に移動可能である。これにより、第2上下移動部600は、第2左側上下送りねじ690および第2右側上下送りねじ691の回転に伴って、上下方向に移動可能である。
また、第2可動装置56には、第2左右モータ610m、第2前後軸回転モータ630mが設けられている。第2左右モータ610mは、第2左右移動部610を左右方向に移動することができる駆動源であり、第2左右移動部610に設けられている。第2前後軸回転モータ630mは、第2前後軸回転部630を回転移動することができる駆動源であり、第2左右移動部610に設けられている。
さらに、図5に示すように、第1左側上下送りねじ590と第2左側上下送りねじ690との間には、これらと平行に延びる左側ガイドシャフト57が設けられている。また、第1右側上下送りねじ591と第2右側上下送りねじ691との間には、これらと平行に延びる右側ガイドシャフト58が設けられている。そして、第1上下移動部500の第1左側上下部510には左側ガイドシャフト57が挿入されたブッシュが、第1右側上下部520には右側ガイドシャフト58が挿入されたブッシュがそれぞれ設けられている。
また、第2上下移動部600の第2左側上下部601には左側ガイドシャフト57が挿入されたブッシュが、第2右側上下部602には右側ガイドシャフト58が挿入されたブッシュがそれぞれ設けられている。これにより、左側ガイドシャフト57および右側ガイドシャフト58は、第1上下移動部500および第2上下移動部600の上下方向の移動をガイドすることができるものとなっている。
第3可動装置700は、可動部として、上下方向に移動が可能な第3上下移動部710、前後方向に延びる回転軸を軸中心として回転移動が可能な第3前後軸回転部720を有している。第3前後軸回転部720は、第3上下移動部710に設けられている。このため、第3上下移動部710が移動したとき、その移動に伴って、第3前後軸回転部720も移動する。
また、第3可動装置700は、前後方向について、第1可動装置55の後方側に配置されている。そして、第3可動装置700は、待機状態ではそのほとんどが、待機状態の第1可動装置55の後方に隠れている。このため、待機状態において、第3可動装置700は、第1可動装置55よりも目立ちにくいものとなっている。第3可動装置700は、第3モータ700mを有している。第3モータ700mは、第3上下移動部710および第3前後軸回転部720の駆動源である。
次に、第1可動装置55について詳細に説明する。図6は、第1可動装置55における第1上下移動部500の移動を説明するための図である。前述したように、本形態の第1上下移動部500は、その第1左側上下部510および第1右側上下部520を同時に同じ速度で移動させることができる。これにより、第1上下移動部500は、例えば、図6(A)に示す待機状態から、図6(B)に示す平行下降状態に移行することが可能である。
また前述したように、本形態の第1上下移動部500は、その第1左側上下部510および第1右側上下部520をそれぞれ独立して移動させることもできる。これにより、第1上下移動部500は、例えば、図6(A)に示す待機状態から、図6(C)に示す第1傾斜下降状態や、図6(D)に示す第2傾斜下降状態に移行することが可能である。第1傾斜下降状態(図6(C))は、平行下降状態(図6(B))よりも第1左側上下部510が上側に位置しており、第1上下移動部500が全体として右下がりに傾斜している状態である。第2傾斜下降状態(図6(D))は、平行下降状態(図6(B))よりも第1右側上下部520が上側に位置しており、第1上下移動部500が全体として右上がりに傾斜している状態である。これら平行下降状態(図6(B))、第1傾斜下降状態(図6(C))、第2傾斜下降状態(図6(D))はいずれも、演出位置に位置する演出状態である。
また図7には、第1上下移動部500の斜視図を示している。図7に示すように、第1左右軸回転部530は、第1ブリッジ部531を有している。第1ブリッジ部531は、左部が第1左側上下部510に、右部が第1右側上下部520にそれぞれ接続されている部材である。第1ブリッジ部531の左部には、第1ブリッジ部531から左側に向けて突出する回転軸532が設けられている。また、第1ブリッジ部531の右部には、第1ブリッジ部531から右側に向けて突出する回転軸533が設けられている。なお、第1ブリッジ部531の左部に設けられた回転軸532と、右部に設けられた回転軸533とは、同軸上に位置している。
第1上下移動部500の第1左側上下部510は、第1左側上下スライド部511と、第1左側上下回転部512とを有している。図7では、第1左側上下回転部512の外側のカバーの一部を二点鎖線とし、透過して示している。第1左側上下スライド部511は、第1左側上下送りねじ590が挿入されたナットおよび左側ガイドシャフト57が挿入されたブッシュを有し、上下方向にスライド移動する部分である。また、第1左側上下スライド部511には、前方に向けて突出した回転軸513が固定されており、回転軸513は、第1左側上下回転部512に挿入されている。これにより、第1左側上下回転部512は、回転軸513を回転中心として、第1左側上下スライド部511に対して回転可能に支持されている。
また、第1左側上下回転部512には、第1左右軸回転モータ530mが設けられている。さらに、第1左右軸回転部530の第1ブリッジ部531の左部に設けられた回転軸532は、第1左側上下回転部512に、回転可能に支持されている。これにより、第1左右軸回転部530は、第1左側上下回転部512に対して回転可能になっている。また、第1左右軸回転モータ530mのモータ軸に固定されたギアは、第1ブリッジ部531の回転軸532に固定されたギアと噛み合っている。これにより、第1左右軸回転モータ530mの駆動力によって、第1左右軸回転部530が回転駆動されるようになっている。
第1上下移動部500の第1右側上下部520は、第1右側上下スライド部521と、第1右側上下回転部522とを有している。図7では、第1右側上下回転部522の外側のカバーの一部を二点鎖線とし、透過して示している。第1右側上下スライド部521は、第1右側上下送りねじ591が挿入されたナットおよび右側ガイドシャフト58が挿入されたブッシュを有し、上下方向にスライド移動する部分である。また、第1右側上下スライド部521には、前方に向けて突出した回転軸523が固定されており、回転軸523は、第1右側上下回転部522に挿入されている。これにより、第1右側上下回転部522は、回転軸523を回転中心として、第1右側上下スライド部521に対して回転可能に支持されている。
また、第1左右軸回転部530の第1ブリッジ部531の右部に設けられた回転軸533は、第1右側上下回転部522に、回転可能に支持されている。これにより、第1左右軸回転部530は、第1右側上下回転部522に対して回転可能になっている。さらに、第1ブリッジ部531の回転軸533は、第1右側上下回転部522に、回転軸533の軸方向について移動可能に支持されている。
そして、本形態の第1可動装置55では、上記のように、第1左側上下回転部512が第1左側上下スライド部511に対して回転可能であるとともに、第1右側上下回転部522が第1右側上下スライド部521に対して回転可能である。これにより、第1左側上下スライド部511と第1右側上下スライド部521とが上下方向に異なる位置をとったときに、第1左右軸回転部530の第1ブリッジ部531を傾斜させることができるようになっている。よって、第1上下移動部500が全体として傾斜した第1傾斜下降状態(図6(C))や第2傾斜下降状態(図6(D))をとることが可能となっている。
また、第1左側上下スライド部511と第1右側上下スライド部521とが上下方向に独立して移動可能な第1可動装置55では、第1左側上下スライド部511の回転軸513と、第1右側上下スライド部521の回転軸523との軸間距離が変化することがある。そして、本形態では、第1左右軸回転部530の第1ブリッジ部531が、回転軸533の軸方向について移動可能になっている。これにより、第1左側上下スライド部511の回転軸513と、第1右側上下スライド部521の回転軸523との軸間距離が変化した場合にも、その変化した距離分の差を吸収できる構造になっている。
図8には、第1左右軸回転部530が、回転移動により取ることができる姿勢を示している。図8(A)は、第1揺動部540の第1装飾面540aが前方に向いた状態を示している。この第1装飾面540aは、第1上下移動部500が待機状態であるときなどの通常時に、前方に向いている面でもある。また、図8(B)は、第1揺動部540の第2装飾面540bが前方に向いた状態を示している。
第2装飾面540bは、第1装飾面540aの裏面に位置する面である。よって、第2装飾面540bが前方を向いている状態は、第1装飾面540aが前方に向いた状態から表裏が反転した反転状態である。本形態の第2装飾面540bは、第1装飾面540aよりも、大当たりとの関連性が高い装飾が施された面となっている。このような装飾の態様としては、例えば、模様や色の違いなどが考えられる。なお、本形態の第1装飾面540aおよび第2装飾面540bに施されている装飾はともに、人間を模したキャラクタのバストアップ部分(胸から上の部分)である。
そして、第1左右軸回転モータ530mを駆動することで、第1左右軸回転部530を回転させることができる。この回転により、第1左右軸回転部530は、図8(A)に示す第1装飾面540aを前方に向けた状態と、図8(B)に示す第2装飾面540bを前方に向けた状態とを切り替えることができる。第2装飾面540bを前方に向けるタイミングは、例えば、リーチになったときなどの大当たりの期待度が高まったときや、大当たりを報知するときなどである。
次に、第1可動装置55の第1揺動部540について説明する。図9は、第1揺動部540の揺動に係る内部構成を示す図である。図9では、第1揺動部540の前面側の意匠面を構成する部材等を透過して、第1揺動部540の揺動に係る内部構成を示している。図9に示すように、第1ブリッジ部531は、円弧状の揺動ガイド部534を有している。また、第1ブリッジ部531における揺動ガイド部534の下部には、揺動ラック部535が形成されている。揺動ラック部535についても、揺動ガイド部534に沿った円弧状に、ラックの歯が並べられたものである。
第1揺動部540には、第1ブリッジ部531の揺動ガイド部534の上面に外周面が接触する上揺動ローラ541と、揺動ガイド部534の下面に外周面が接触する下揺動ローラ542とが、それぞれ回転可能に支持されている。つまり、第1揺動部540の上揺動ローラ541と下揺動ローラ542とは、揺動ガイド部534を上下方向より挟み込んでいる。また、本形態の上揺動ローラ541、下揺動ローラ542は、ツバ付きのものであり、そのツバによって揺動ガイド部534を前後方向より挟み込んでいる。これにより、第1揺動部540は、円弧状の揺動ガイド部534に沿って揺動可能に支持されている。
第1揺動部540の第1揺動モータ540mのモータ軸には、モータギア540gが設けられている。モータギア540gは、第1ブリッジ部531の揺動ラック部535に噛み合っている。また、第1揺動モータ540mは、第1揺動部540に固定されている。これにより、第1揺動モータ540mの駆動力によって、第1揺動部540が揺動するようになっている。
次に、第1可動装置55の第1左側前後軸回転部550、第1右側前後軸回転部560、第1中央前後軸回転部570について説明する。図10は、第1左側前後軸回転部550、第1右側前後軸回転部560、第1中央前後軸回転部570の回転移動に係る内部構成を示す図である。図10に示すように、第1左側前後軸回転部550は、第1揺動部540の左部に設けられた回転軸545に回転可能に設けられている。また、第1左側前後軸回転部550には、第1左側前後軸回転モータ550mの駆動力を伝達するための左側リンク機構551が接続されている。
左側リンク機構551は、一部同士が回転可能に接続された左側長リンク部材552と左側短リンク部材553とにより構成されている。また、左側長リンク部材552の左側短リンク部材553への接続箇所の反対側は、第1左側前後軸回転部550に回転可能に接続されている。さらに、左側短リンク部材553の左側長リンク部材552への接続箇所以外の部分には、第1左側前後軸回転モータ550mのモータ軸が固定されている。第1左側前後軸回転モータ550mは、第1揺動部540に固定されている。
よって、第1左側前後軸回転モータ550mの駆動力により、第1左側前後軸回転部550は、回転軸545を中心として、図10に実線で示す外転位置から、内転移動(内側に向けた回転移動)をすることができる。これにより、例えば、図10に二点鎖線で示す内転位置まで回転移動することが可能である。また、第1左側前後軸回転部550は、回転軸545を中心として、内転位置から外転移動(外側に向けた回転移動)をすることもできる。
また、第1右側前後軸回転部560の側についても、第1左側前後軸回転部550の側と同じような構成である。すなわち、第1右側前後軸回転部560は、第1揺動部540の右部の回転軸546に回転可能に設けられ、右側長リンク部材562および右側短リンク部材563により構成された右側リンク機構561により、第1右側前後軸回転モータ560mと接続されている。第1右側前後軸回転モータ560mは、第1揺動部540に固定されている。よって、第1右側前後軸回転モータ560mの駆動力により、第1右側前後軸回転部560は、回転軸546を中心として、例えば、図10に実線、二点鎖線で示すように、外転移動や内転移動をすることが可能である。
なお、第1左側前後軸回転部550および第1右側前後軸回転部560はともに、腕を模したものである。そして、第1左側前後軸回転部550および第1右側前後軸回転部560はそれぞれ、内転位置では内側に折り畳まれており、外転位置では内転位置よりも外側に開かれている。つまり、第1左側前後軸回転部550についていえば、外転位置では、回転軸545から遠い先端部分(拳の部分)が突出しており、その先端部分は、内転移動に伴って外転位置よりも引っ込む(第1揺動部540に近づく)こととなる。一方、第1左側前後軸回転部550の先端部分は、外転移動に伴って突出することとなる。このことは、第1右側前後軸回転部560においても同様である。
第1中央前後軸回転部570は、第1揺動部540の中央付近に設けられた回転軸575に回転可能に設けられている。また、第1中央前後軸回転部570には、第1中央前後軸回転モータ570mの駆動力を伝達するための中央前後軸回転ギア571が固定されている。
中央前後軸回転ギア571は、第1中央前後軸回転部570に固定され、第1中央前後軸回転部570とともに回転軸575を中心に回転可能なものである。また、中央前後軸回転ギア571は、第1中央前後軸回転モータ570mのモータ軸に固定されたモータギア570gとかみ合っている。よって、第1中央前後軸回転モータ570mの駆動力により、第1左側前後軸回転部550は、回転軸575を中心として、図10に実線で示す隠伏位置をとる隠伏状態から、突出移動をすることができる。これにより、図10に二点鎖線で示す突出位置まで回転移動し、突出状態をとることが可能である。
そして、本形態の第1可動装置55は、上記のように、合計で7つのモータが搭載されており、各モータの駆動によって様々な態様の動作が可能となっている。
次に、第2可動装置56について説明する。図11は、第2可動装置56における第2上下移動部600の移動を説明するための図である。前述したように、本形態の第2上下移動部600は、1つの駆動源である第2上下モータ690mの駆動力が、2つの伝達部材である第2左側上下送りねじ690および第2右側上下送りねじ691を介して伝達される。つまり、本形態の第2可動装置56は、第2上下モータ690mの駆動力を第2上下移動部600へと伝達する伝達経路として、図11に示すように、第2左側上下送りねじ690を含む第2左側上下伝達経路692と、第2右側上下送りねじ691を含む第2右側上下伝達経路693とを有している。
図12は、第2可動装置56を図11における左下側より見たときの斜視図である。第2左側上下伝達経路692は、第2上下モータ690mのモータ軸に固定されたモータギア690mg、左側中間ギア694Lg、左側伝達シャフトギア695Lg、第2左側上下送りねじギア690gを有している。モータギア690mg、左側中間ギア694Lg、左側伝達シャフトギア695Lg、第2左側上下送りねじギア690gは、この順で設けられており、それぞれ隣り合うギアと噛み合っている。そして、これらギアにより、第2左側上下伝達経路692では、第2上下モータ690mの駆動力が第2左側上下送りねじ690まで伝達されるようになっている。
また図12には、第2右側上下伝達経路693の一部についても示している。第2右側上下伝達経路693は、モータギア690mg、左側中間ギア694Lg、左側伝達シャフトギア695Lg、第2左右伝達シャフト695を有している。また、図13は、第2可動装置56を図11における右下側より見たときの斜視図である。図13にも、第2右側上下伝達経路693の一部を示している。図13に示すように、第2右側上下伝達経路693は、右側伝達シャフトギア695Rg、右側中間ギア694Rg、第2右側上下送りねじギア691gを有している。
図12および図13に示すように、左側伝達シャフトギア695Lgおよび右側伝達シャフトギア695Rgはそれぞれ、第2左右伝達シャフト695の左右の端部に設けられており、第2左右伝達シャフト695とともに回転するようになっている。また、右側伝達シャフトギア695Rg、右側中間ギア694Rg、第2右側上下送りねじギア691gは、この順で設けられており、それぞれ隣り合うギアと噛み合っている。そして、これらギアおよび第2左右伝達シャフト695により、第2右側上下伝達経路693では、第2上下モータ690mの駆動力が第2右側上下送りねじ691まで伝達されるようになっている。
つまり、第2右側上下伝達経路693は、遊技盤ユニットYU内を、左右方向に横切る第2左右伝達シャフト695を有している。この第2左右伝達シャフト695は、駆動力を水平方向に伝達可能な経路である。また、第2左右伝達シャフト695は、ねじりコイルばね696の内部に挿入されている。ねじりコイルばね696の左端部696Lは、図12に示すように、第2左右伝達シャフト695と一緒に回転しない固定部材697に固定されている。固定部材697は、演出ユニットEUの枠体に固定されている。このため、ねじりコイルばね696の左端部696Lは、第2左右伝達シャフト695が回転しても、回転しないようになっている。
一方、図13に示すねじりコイルばね696の右端部696Rは、第2左右伝達シャフト695に固定されており、第2左右伝達シャフト695とともに回転可能となっている。このため、第2左右伝達シャフト695の回転により、ねじりコイルばね696は、エネルギーの蓄積、および、蓄積したエネルギーの放出を行うことができる。つまり、ねじりコイルばね696にエネルギーが蓄積された状態で、第2左右伝達シャフト695を、ねじりコイルばね696からエネルギーが放出される向きに回転させることで、ねじりコイルばね696から放出されるエネルギーを、第2可動装置56の駆動に用いることができる。
本形態では、ねじりコイルばね696から放出されるエネルギーを、第2上下移動部600へと伝達できることで、第2上下モータ690mによる駆動の補助として用いることができる。すなわち、ねじりコイルばね696からエネルギーを放出させつつ、その放出されたエネルギーによって第2上下移動部600が移動する向きに第2上下モータ690mを駆動することで、第2上下モータ690mの駆動力のみによって移動させた場合よりも、第2上下移動部600を、速い速度で移動させることが可能である。これにより、第2上下移動部600の移動による演出の迫力を増大させ、より興趣性の向上を図ることが可能となっている。なお、ねじりコイルばね696から放出されるエネルギーのみによって第2上下移動部600を動作させることとしてもよい。
また、本形態のねじりコイルばね696は、第2左右伝達シャフト695が、第2上下移動部600が下向きに移動するように回転したときにはエネルギーが蓄積され、第2上下移動部600が上向きに移動するように回転したときにはエネルギーが放出されるようになっている。このため、ねじりコイルばね696は、第2上下移動部600が最も下方に位置したときに、蓄積されるエネルギーが最大となるものである。そして、本形態では、ねじりコイルばね696から放出されるエネルギーを、第2上下移動部600を重力に抗う向き(上向き)に移動させることに用いることができる。よって、重量によっては移動速度が遅くなりがちな第2上下移動部600の上向きの移動速度を高めることが可能となっている。さらには、第2上下移動部600の加速度を大きなものとして、例えば、第2上下移動部600の移動の初速度を速いものとすることが可能となっている。
また、第2上下移動部600は、第2左側上下部601と第2右側上下部602とを接続する第2ブリッジ部603を有している。第2ブリッジ部603の左右方向の両端部はそれぞれ、第2左側上下部601と第2右側上下部602とに固定されている。そして、第2左右移動部610は、第2上下移動部600の第2ブリッジ部603に設けられている。
図14は、第2左右移動部610の分解斜視図である。図14に示すように、第2ブリッジ部603は、その上下の部分が左右移動ガイド部604となっている。また、第2ブリッジ部603の下部には、左右方向にラックの歯が並んで構成された左右移動ラック部605が設けられている。また、第2ブリッジ部603の前面には、溝606、607、608が形成されている。この溝606、607、608は、後述する第2左右移動部610の左右方向の位置検出に用いられるものである。
第2左右移動部610には、第2ブリッジ部603の左右移動ガイド部604の上面に外周面が接触する上左右移動ローラ611と、左右移動ガイド部604の下面に外周面が接触する下左右移動ローラ612とが、それぞれ回転可能に支持されている。つまり、第2左右移動部610の上左右移動ローラ611と下左右移動ローラ612とは、第2ブリッジ部603を上下方向より挟み込んでいる。また、本形態の上左右移動ローラ611、下左右移動ローラ612は、ツバ付きのものであり、そのツバによって第2ブリッジ部603を前後方向より挟み込んでいる。これにより、第2左右移動部610は、第2ブリッジ部603に沿って移動可能に支持されている。
第2左右移動部610は、第2左右移動ベース613を有している。第2左右移動ベース613は、上左右移動ローラ611や下左右移動ローラ612等が設けられたベース部材である。また、第2左右移動部610は、左右方向に移動するための機構を構成する第2左右移動機構部620を有している。第2左右移動機構部620には、第2左右移動部610の左右方向の移動の駆動源である第2左右モータ610m等が設けられている。第2左右移動機構部620の各構成部材は、第2左右移動ホルダ614とともに、第2左右移動ベース613に取り付けられている。
さらに、第2左右移動機構部620には、第2左右移動部610の左右方向における位置の検出に使用される左右位置検出部640が設けられている。本形態の左右位置検出部640は、第1左右位置検出部640aと、その上側に位置する第2左右位置検出部640bとを有している。
第2左右移動部610の前方には、第2前後軸回転部630が設けられている。第2前後軸回転部630は、図14に示すように、前面の意匠を構成する意匠部631、発光用のLED等の電子部品を有する基板部632、第2前後軸回転部630の回転機構を構成する回転機構部635を有している。意匠部631は、その前面631aに装飾が施されたものであり、本形態ではサッカーボールを模した意匠が施されている。回転機構部635には、第2前後軸回転部630の回転移動の駆動源である第2前後軸回転モータ630mが含まれている。
図15は、第2左右移動部610の、第2左右移動ホルダ614の位置での断面図である。また、図15には、第2左右移動部610が右下の待機状態にあるときを示している。図15に示すように、第2左右移動ホルダ614は、右側に突出した凸部614aを有している。
また、図15には、ストッパ59を示している。本形態において、ストッパ59は固定されており、可動しない。また、ストッパ59は、左側に突出した凸部59aを有している。つまり、第2左右移動ホルダ614はストッパ59側に突出した凸部614aを有しており、ストッパ59は第2左右移動ホルダ614側に突出した凸部59aを有している。さらに、ストッパ59の凸部59aは、待機状態における第2左右移動ホルダ614の凸部614aの上側に位置するように設けられている。
このため、本形態の第2可動装置56では、待機状態から上向きだけには移動できないようになっている。すなわち、待機状態から上向きだけに移動しようとした場合、第2左右移動ホルダ614の凸部614aがストッパ59の凸部59aに突き当たるようになっている。よって、本形態では、ねじりコイルばね696に蓄積されたエネルギーが最大となる待機状態であるときに、第2上下移動部600の移動を制限する制限状態とすることが可能となっている。これにより、第2上下移動部600が、ねじりコイルばね696に蓄積されたエネルギーによって、移動予定でないタイミングで移動してしまうことを防止している。
そして、第2左右移動ホルダ614を、その凸部614aが、ストッパ59の凸部59aに左右方向にて重ならない位置まで待機状態から左向きに移動させることで、第2上下移動部600を上向きに移動可能な制限解除状態とすることができる。また、制限解除状態とすることで、第2上下移動部600に、ねじりコイルばね696に蓄積されたエネルギーを用いた上向きの移動を行わせることが可能となる。なお、本形態では、第2左右移動ホルダ614の左右方向の移動により、第2上下移動部600の制限状態と制限解除状態とを切り替えるものとしているが、このような切り替えは、ストッパ59側を移動させることによっても行うことができる。
図16は、第2左右移動機構部620について説明するための図である。図16に示すように、第2左右移動機構部620は、モータギア610g、第1ピニオン伝達ギア621、第2ピニオン伝達ギア623、ピニオン624を有している。モータギア610gは、第2左右モータ610mに設けられている。また、モータギア610g、第1ピニオン伝達ギア621、第2ピニオン伝達ギア623、ピニオン624はこの順で設けられており、それぞれ隣り合うギアと噛み合っている。これにより、第2左右モータ610mの駆動力は、ピニオン624に伝達されるようになっている。さらに、ピニオン624は、左右移動ラック部605に噛み合っている。よって、第2左右モータ610mの駆動力により、第2左右移動部610が第2ブリッジ部603に沿って移動可能となっている。
また、第2左右移動機構部620には、たるみ抑制部650が設けられている。たるみ抑制部650は、第2左右移動ホルダ614に対して回転可能に設けられた抑制回転部材651を有している。抑制回転部材651には、ケーブル支持ローラ655が回転可能に設けられている。また、抑制回転部材651は、円筒状をしており、その内壁面にインターナルギア651gが形成されている。さらに、たるみ抑制部650は、互いに噛み合う第1抑制伝達ギア656および第2抑制伝達ギア657を有している。第1抑制伝達ギア656はピニオン624に噛み合っており、第2抑制伝達ギア657はインターナルギア651gに噛み合っている。
これにより、たるみ抑制部650では、第2左右モータ610mの駆動力により、ケーブル支持ローラ655は、インターナルギア651gの中心軸周りに回転移動するようになっている。つまり、ケーブル支持ローラ655は、第2左右移動部610の左右方向の移動に合わせて回転移動するようになっている。なお、図16におけるケーブル支持ローラ655の回転移動の向きは、第2左右移動部610が左向きに移動したときには時計周りであり、第2左右移動部610が右向きに移動したときには反時計回りである。
また、図16には、第2左右移動部610へ接続されているケーブル615についても示している。本形態において、ケーブル615は、その配線方向に直交する断面にて、長手方向と短手方向とを有するフレキシブルフラットケーブルである。ケーブル615は、第2左右移動部610に設けられているセンサや駆動源等への電力の供給や、信号の送受信等を行うことができるものである。
ケーブル615は、その第1固定位置616が第2右側上下部602に、第2固定位置617が第2左右移動部610にそれぞれ固定されている。なお、第2固定位置617は、具体的には、第2左右移動ホルダ614に固定されている。このため、第2固定位置617は、抑制回転部材651の回転に伴って移動することはない。
また、ケーブル615の第1固定位置616から第2固定位置617までの間の支持箇所618は、ケーブル支持ローラ655に巻き掛けられている。これにより、ケーブル支持ローラ655は、ケーブル615の支持箇所618を屈曲箇所としつつ、その屈曲箇所の内周側の面を、外周面によって支持している。
図17は、第2左右移動部610の移動に伴うたるみ抑制部650の動作を説明するための図である。図17(A)には第2左右移動部610が右端に位置しているときを示しており、図17(B)には第2左右移動部610が左端に位置しているときを示している。第2左右移動部610が右端に位置しているとき、図17(A)に示すように、たるみ抑制部650のケーブル支持ローラ655は、第2左右移動部610の左下(時計の文字盤で例えると、およそ8時の位置)に位置している。一方、第2左右移動部610が左端に位置しているとき、図17(B)に示すように、たるみ抑制部650のケーブル支持ローラ655は、第2左右移動部610の上(時計の文字盤で例えると、およそ12時の位置)に位置している。
また、第2左右移動部610が右端に位置しているとき(図17(A))には、ケーブル支持ローラ655が第2左右移動部610の左下に位置していることで、ケーブル615は、たるみ抑制部650の抑制回転部材651の外周に巻き掛けられている部分が長くなっている。またこのとき、ケーブル615の不支持区間615aは短いものである。
一方、第2左右移動部610が左端に位置しているとき(図17(B))には、ケーブル支持ローラ655が第2左右移動部610の上に位置していることで、ケーブル615は、抑制回転部材651の外周に巻き掛けられている部分が短くなっている。またこのとき、ケーブル615の不支持区間615aは、第2左右移動部610が右端に位置しているとき(図17(A))よりも長くなっている。
すなわち、本形態のたるみ抑制部650は、第2左右移動部610が右端に位置しているときほど、不支持区間615aの長さが短くなるように、ケーブル支持ローラ655を回転移動させている。この第2左右移動部610の移動に伴うたるみ抑制部650の動作により、本形態では、ケーブル615の張力が一定の範囲内に維持され、たるみが抑制されている。すなわち、ケーブル支持ローラ655が、不支持区間615aの長さに合わせて、ケーブル615の適切な位置を支持箇所618とし、適切に屈曲箇所を形成していることで、不支持区間615aが長いときと短いときとの差を適切に吸収するように迂回区間を形成している。
ケーブル615においては、張力が低下しすぎてしまうことでたるみが生じた場合、そのたるんだ箇所が、例えば、可動部と固定部との間に挟まれ、損傷してしまうおそれがある。しかし、本形態においては、ケーブル615の不支持区間615aにおけるたるみが、たるみ抑制部650によって適切に抑制されている。よって、たるみが抑制されたケーブル615では、損傷が適切に抑制されている。
さらに、ケーブル615は、たるみを抑制するために形成されている迂回区間における屈曲箇所が特に、ねじれやうねりが生じやすい傾向にある。そして、ねじれやうねりの発生は、ケーブル615の劣化を促進させてしまい、損傷になり得るおそれがある。しかし、本形態では、屈曲箇所がケーブル支持ローラ655によって支持された支持箇所618であることで、その屈曲箇所におけるねじれやうねりが適切に抑制されている。よって、ケーブル615の劣化や損傷が適切に抑制されている。これにより、第2左右移動部610の動作不良等が抑制されている。
なお、図17に示すように、本形態のケーブル615の不支持区間615aは、その配線方向が水平に延びるように(左右方向)設けられている。これにより、ケーブル615の不支持区間615aは、第2ブリッジ部603の長手方向と平行に設けられている。また、ケーブル615の不支持区間615aは、第2左右移動部610の移動方向に延びるように設けられている。例えば、ケーブル615の不支持区間615aが、第2ブリッジ部603の長手方向や第2左右移動部610の移動方向に対して交差するように設けられている場合、第2左右移動部610の移動に伴うケーブル615の不支持区間615aの動きは、遊技者が違和感を持ってしまうような目立つ動作となってしまう。このような場合、遊技者が、不支持区間615aの後方の画像表示装置50に表示される画像に集中できないなど、演出を阻害してしまうおそれがある。しかし、本形態では、不支持区間615aが、第2ブリッジ部603の長手方向や第2左右移動部610の移動方向に対して平行であることで、不支持区間615aの動きが目立たないようになっている。よって、遊技興趣の向上が図られている。
また、本形態では、たるみ抑制部650は、第2左右移動部610を左右方向に移動させる第2左右モータ610mの駆動力によって動作するようになっている。つまり、たるみ抑制部650を動作させるためだけの駆動源は存在していない。このため、駆動源の数が低減されている。よって、本形態では、たるみ抑制部650が、安価で省スペースなものとなっている。すなわち、例えば、第2左右移動部610が必要以上に大きなものとなってしまうことがなく、その可動域を十分に確保し、広大な範囲を移動可能になっている。
図18には、第2前後軸回転部630の回転機構部635を示している。図18に示すように、回転機構部635は、第2前後軸回転モータ630mのモータ軸に設けられたモータギア630g、第1中間ギア636、第2中間ギア637、第2前後軸回転部材638を有している。第2前後軸回転部材638は、第2左右移動ホルダ614に対して回転可能に設けられている。
また、第2前後軸回転部材638の前方には、前面631aにサッカーボールの意匠が施された意匠部631が設けられている。さらに、第2前後軸回転部材638は、円筒状をしており、その内壁面にインターナルギア638gが形成されている。そして、モータギア630g、第1中間ギア636、第2中間ギア637、インターナルギア638gは、この順で設けられているとともに、隣り合うギア同士で噛み合っている。
このため、第2前後軸回転部630は、第2前後軸回転モータ630mの駆動力によって、前後方向に延びる回転軸を中心として回転演出を行うことができる。そして、この回転演出によって意匠部631を回転させ、サッカーボールが回転しているように見せる演出が可能となっている。
図19は、第2上下移動部600の左右方向における位置を検出するための左右位置検出部640を説明するための図である。なお、図19(A)には図17に示すX−X位置での断面図を、図19(B)には図17に示すY−Y位置での断面図を示している。つまり、図19(A)は、第2左右移動部610の左右方向の移動によって第1左右位置検出部640aが通過する経路上での断面図である。また、図19(B)は、第2左右移動部610の左右方向の移動によって第2左右位置検出部640bが通過する経路上での断面図である。また、図19には、第2左右移動部610が右端に位置するときを示している。
図19(A)に示すように、第1左右位置検出部640aは、接触端子641、ばね642、第1検知センサ643を有している。ばね642は、接触端子641を第2ブリッジ部603に向けて付勢することができるものである。これにより、接触端子641は、その先端641aを第2ブリッジ部603の表面に接触させることができるようになっている。
第1検知センサ643は、接触端子641の先端641aとは反対側に設けられたフォトマイクロセンサであり、接触端子641の突出状態では光軸が接触端子641によって遮られない位置に設けられている。そして、第1検知センサ643の光軸は、接触端子641が突出状態よりも引っ込んだ引込状態では、引っ込んだ接触端子641によって遮られる。よって、左右位置検出部640は、第1検知センサ643の検出信号により、接触端子641が突出状態および引込状態のいずれであるかを検出することができる。
なお、図19(B)に示すように、第2左右位置検出部640bについても、その構成は第1左右位置検出部640aと同じである。すなわち、第2左右位置検出部640bは、接触端子645、ばね646、第2検知センサ647を有している。そして、第2検知センサ647の検出信号により、接触端子645が突出状態および引込状態のいずれであるかを検出することができる。また、本形態では、第1検知センサ643、第2検知センサ647としてともに、入光時にONとなるライトオンタイプを使用している。このため、第1検知センサ643、第2検知センサ647の検知信号はそれぞれ、検知対象の部材が突出状態であるときにONとなり、引込状態であるときにOFFとなる。なお、本形態とは異なり、ライトオフタイプを用いることも可能である。
また、前述したように、第2ブリッジ部603には、溝606、607、608が形成されている。図19(A)に示すように、第2ブリッジ部603の溝606、607は、第1左右位置検出部640aの通過経路上に設けられている。また、図19には、第2ブリッジ部603の位置として、右から順に、位置aから位置eを示している。そして、具体的に、溝606は、位置aから位置bまでの区間abに形成されている。溝607は、位置dから位置eまでの区間deに形成されている。
一方、第1左右位置検出部640aの通過経路上において、位置bから位置dまでの区間bcおよび区間cdには溝が形成されていない。このため、第1検知センサ643の検出信号は、接触端子641が区間abまたは区間deにあるときにONとなり、区間bcまたは区間cdにあるときにOFFとなる。
また、図19(B)に示すように、第2ブリッジ部603の溝608は、第2左右位置検出部640bの通過経路上に設けられている。溝608は、位置cから位置eまでの区間cdおよび区間deに形成されている。一方、第2左右位置検出部640bの通過経路上において、位置aから位置cまでの区間abおよび区間bcには溝が形成されていない。このため、図19(C)に示すように、第2検知センサ647の検出信号は、接触端子645が区間cdまたは区間deにあるときにONとなり、区間abまたは区間bcにあるときにOFFとなる。
よって、図19(C)に示すように、区間ab、区間bc、区間cd、区間deではそれぞれに、第1左右位置検出部640aの第1検知センサ643および第2左右位置検出部640bの第2検知センサ647の検出信号の組み合わせが異なる。つまり、2つの第1検知センサ643、第2検知センサ647を用い、第2左右移動部610の位置として、区間ab、区間bc、区間cd、区間deの4つの位置を検出することが可能となっている。これにより、本形態では、第2左右移動部610の位置として、センサの数よりも多くの位置を正確に検出することができる。
これは、可動部である第2左右移動部610側に検出部を取り付けていることによる。すなわち、本形態と異なり、移動可能な可動部に対して相対的に固定されたセンサを2つ、用いた場合、可動部の位置としては、それほど多くを検出することができない。例えば、従来では、可動部の位置として、可動部に対して相対的に固定された2つのセンサを用い、2つのどちらかのセンサが可動部を検出する、2つの位置を検出していた。このような従来技術に対して、本形態では、センサの数が低減されている安価な構成としつつ、可動部の位置としてより多くの位置が検出可能な構成となっている。
そして、本形態では、第2左右移動部610の位置として多くを検出可能であることで、第2左右移動部610の位置をより正確に把握することができる。これにより、本形態では、第2左右移動部610を適切に制御することが可能である。例えば、第2左右移動部610の位置を正確に検出できることで、第2左右移動部610が誤った位置にあるときに、これを検出することが可能である。これにより、誤った位置にある第2左右移動部610を、適切な位置へと移動させることができる。そして、第2左右移動部610が誤った位置に存在してしまうことを防止し、第2左右移動部610による演出効果を十分に発揮させることが可能となっている。
また、図19に示すように、区間ab、区間bc、区間cd、区間deは均等ではない。つまり、それぞれ長さが異なっている区間がある。これは、位置検出の優先度によるものである。すなわち、本形態では、両端の区間abおよび区間deが、これらの間の区間bcおよび区間cdよりも短くなっている。このため、本形態では、両端の区間abおよび区間deにて、第2左右移動部610の位置をより正確に検出することが可能となっている。そして、第2左右移動部610の移動方向の両端位置での検出精度を高めることで、第2左右移動部610を、その可動範囲の端まで正確に制御可能である。よって、第2左右移動部610の可動範囲を最大限に活用し、より迫力のある興趣性の高い演出が可能となっている。
図20には、第2可動装置56の可動範囲56hを示している。図20に示すように、第2可動装置56は、第2上下移動部600および第2左右移動部610により、意匠部631を、可動範囲56h内にて自在に移動させることができる。これは、第2上下移動部600の移動方向(上下方向)と第2左右移動部610の移動方向(左右方向)とが交差しているためである。そして、可動範囲56hのうち、意匠部631を実線で示す右下の位置が待機位置であり、それ以外の位置が演出位置となっている。
さらに、第2可動装置56の可動範囲56hは、上下方向、左右方向の大きさが十分に確保されていることで、範囲の広いものとなっている。特に、本形態においては、第2左右移動部610の左右方向における移動範囲が大きなものとなっている。これは、本形態では、たるみ抑制部650が第2左右移動部610に設けられていることによるものである。
すなわち、例えば、本形態とは異なり、第2左右移動部へと接続されたケーブルについてのたるみ抑制部を、第2右側上下部に設けた場合、第2右側上下部の構成が大きくなってしまう。一方で、前面に装飾が施された第2左右移動部は、たるみ抑制部を設けなかった場合にも、それほど小さくなることはない。可動部または装飾部としての機能を発揮するためには、ある程度の大きさが必要だからである。このため、第2左右移動部は、大きな第2右側上下部へとそれほど接近することができなくなる。つまり、このような場合には、第2左右移動部の左右方向の移動範囲が狭くなってしまうおそれがある。
これに対し、本形態では、たるみ抑制部650を第2左右移動部610に設けている。このため、第2右側上下部602は小さなものとなっている。さらに、図20に示すように、たるみ抑制部650は、その少なくとも一部が、第2左右移動部610を装飾する意匠部631の後方に重なっている。具体的に、本形態のたるみ抑制部650は、意匠部631の後方に重なっている部分の方が大きなものである。これにより、本形態では、第2左右移動部610をそれほど大きくしてしまうことなく、たるみ抑制部650を第2左右移動部610に設けている。よって、本形態では、第2左右移動部610が、第2右側上下部602へと十分に接近することが可能となっている。従って、本形態においては、第2左右移動部610の左右方向における移動範囲が大きなものとなり、可動範囲65hが広いものとなっている。
また、本形態では、可動範囲56hが、画像表示装置50の表示部50aに重なっている。このため、第2左右移動部610の意匠部631と画像表示装置50の表示部50aに表示させる演出画像とを合わせて、多彩な演出を行うことが可能である。さらに、本形態では、可動範囲56hと表示部50aとの重なりが大きく、より多彩な演出を行うことが可能となっている。また、本形態では、可動範囲65hにおける意匠部631の位置により、大当たりの期待度の異なるものである。具体的に、意匠部631が、待機状態の位置(右下)から遠い位置にあるときほど、大当たりの期待度が高くなる演出を行うことが可能なものである。よって、本形態では、可動範囲65hが広範囲であることで、期待度をより多彩に表すことが可能であり、興趣性の向上を図ることが可能となっている。
ところで、図20からわかるように、第2ブリッジ部603は、画像表示装置50の表示部50aの前方に位置することがある。このため、第2ブリッジ部603は、できるだけ目立たない方が好ましい。表示部50aに表示される演出画像の視認性を低下させてしまうおそれがあるからである。そこで、本形態では、第2ブリッジ部603は、可視光を透過可能な透明な材質(例えば透明の樹脂材料)のものにより構成されている。
また、本形態では、前述したように、第2左右移動部610の位置を検出する構成である左右位置検出部640が、第2左右移動部610に設けられていることで、第2ブリッジ部603には不要である。これにより、第2ブリッジ部603を簡素な構成とすることが可能となっている。さらに、第2ブリッジ部603は、遊技者に視認可能な構成であり、そこにフォトマイクロセンサ等のセンサが設けられていた場合、そのセンサは目立ってしまうことになる。しかし、第2ブリッジ部603にセンサがない本形態では、美観を向上させ、遊技興趣を高めることが可能となっている。
また、たるみ抑制部650は、装飾を目的とするものではないため、その視認性は低いことが好ましい。これに対し、本形態のたるみ抑制部650は、前述したように、少なくとも一部が、第2左右移動部610を装飾する意匠部631の後方に重なっている。換言すれば、意匠部631は、たるみ抑制部650の少なくとも一部の前方に重なる程度の大きさである。これにより、たるみ抑制部650が目立ってしまうことが抑制されている。従って、たるみ抑制部650が目立ってしまうことによる美観の低下が抑制されている。
また、ケーブル615についても当然、できるだけ視認性は低いことが好ましい。本形態において、ケーブル615は、その不支持区間615aが、遊技者が視認し得る視認区間である。そこで、本形態では、不支持区間615aにて、ケーブル615は、その配線方向に直交する断面における長手方向を、前後方向に合わせて設けられている。これにより、遊技者には、ケーブル615の配線方向に直交する断面における短手方向を向けている。つまり、ケーブル615の最も面積の小さい面を遊技者に向けていることで、ケーブル615は、視認性が低いものとなっている。
さらに、たるみ抑制部650は、ケーブル支持ローラ655を回転移動させることで、ケーブル615の不支持区間615aの長さを調整し、不支持区間615aのたるみを抑制することができるものである。つまり、本形態のたるみ抑制部650は、不支持区間615aを短くしたときには、ケーブル615の抑制回転部材651の外周に巻き掛けられている部分を長くするものである。このように、たるみ抑制部650がケーブル615の迂回経路を、回転による巻き取り、巻き出しによって形成するものであることで、ケーブル615の迂回経路をコンパクトに形成することができる。
さらに、本形態では、ケーブル615の抑制回転部材651の外周に巻き掛けられている部分は、第2左右移動部610を装飾する意匠部631の後方に重なっている。これにより、ケーブル615をコンパクトに抑制回転部材651の外周に巻き掛けつつ、その巻き掛けられている部分が目立たなくなっている。さらに、第2左右移動部610が右端に位置しているときほど、ケーブル615の抑制回転部材651の外周に巻き掛けられている部分が長くなるようにしている。これにより、ケーブル615が目立ってしまうことによる美観の低下が抑制されている。
また、画像表示装置50の表示部50aは、特に、遊技者が視認する頻度の高い装飾部である。そこで本形態では、上記のように、画像表示装置50の表示部50aの前方に位置することがある装飾を目的としていない構成を、遊技者に視認されにくくしている。よって、本形態では、表示部50aに表示される演出画像が阻害されてしまうことがなく、遊技興趣を高めることが可能となっている。
次に、第3可動装置700について図21により説明する。図21(A)は、待機状態の第3可動装置700を示す図である。図21に示すように、第3可動装置700は、第3上下移動部710に、4つの第3前後軸回転部720が設けられてなるものである。4つの第3前後軸回転部720はそれぞれ、回転軸721に回転可能に設けられている。また、第3前後軸回転部720はいずれも、待機状態の第3可動装置700においては、第3上下移動部710の後方に重なっている。これにより、待機状態において、第3前後軸回転部720はほとんど視認できない隠伏状態をとっている。
図21(B)は、演出状態の第3可動装置700を示す図である。演出状態の第3可動装置700において、第3上下移動部710は、待機状態の待機位置よりも下方の演出位置へと進出(移動)している。第3上下移動部710は、演出位置では、待機位置よりも、遊技領域6の外縁で囲われる領域の中央に近い位置へと移動している。このため、演出位置の第3上下移動部710は、待機位置よりも目立ちやすいものとなっている。また、演出状態においては、4つの第3前後軸回転部720はそれぞれ、待機状態から回転移動することで、第3上下移動部710から突出した展開状態となっている。これにより、演出状態の第3可動装置700は、待機状態のときよりも、面積が拡大し、より目立ちやすい態様をとっている。
そして、第3可動装置700の第3上下移動部710は、第3モータ700mの駆動力により、図21(A)に示す待機位置と、図21(B)に示す演出位置との間で移動可能なものである。また、4つの第3前後軸回転部720は、第3上下移動部710の上下移動に伴い回転移動する構成となっている。すなわち、第3可動装置700においては、1つの駆動源である第3モータ700mの駆動力により、第3上下移動部710が待機位置に位置するとともに4つの第3前後軸回転部720が隠伏状態をとる状態と、第3上下移動部710が演出位置に位置するとともに4つの第3前後軸回転部720が展開状態をとる状態とで変位させることができる。
また、本形態の画像表示装置50は、表示部50aに、第1可動装置55における第1揺動部540の装飾面(第1装飾面540a、第2装飾面540b)を補完する画像を表示することができるものである。前述したように、本形態の第1装飾面540aおよび第2装飾面540bに施されている装飾は、人間を模したキャラクタのバストアップ部分だけであり、それだけでは第1可動装置55による演出効果が十分に発揮されないおそれがある。これに対し、本形態では、画像表示装置50の表示部50aに、第1可動装置55の装飾を補完する画像を表示させることで、第1可動装置55による演出効果を十分に発揮させ、遊技興趣の向上を図ることが可能となっている。この点については後述する。また、画像表示装置50は、その他の演出画像についても表示することが可能である。
2.遊技機の電気的構成
次に、図22および図23に基づいて、本パチンコ遊技機PY1における電気的な構成を説明する。図22に示すように、パチンコ遊技機PY1は、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う遊技制御基板100、遊技球の払い出しに関する制御等を行う払出制御基板170、電源を供給する電源基板190等を備えている。遊技制御基板100は、払出制御基板170と共に、メイン制御部を構成する。
図22に示すように、遊技制御基板100には、プログラムに従ってパチンコ遊技機PY1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)101が実装されている。遊技制御用マイコン101には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶した遊技用ROM(Read Only Memory)103、ワークメモリとして使用される遊技用RAM(Random access memory)104、遊技用ROM103に記憶されたプログラムを実行する遊技用CPU(Central Processing Unit)102、データや信号の入出力を行うための遊技用I/Oポート(Input/Outputポート:入出力回路)118が含まれている。なお、遊技用ROM103は外付けであってもよい。
遊技用RAM104には、特図保留記憶部105(特図1保留記憶部105aおよび特図2保留記憶部105b)が設けられている。特図1保留記憶部105aは、記憶可能な特図1保留の数に対応した4つの記憶領域からなる。また特図2保留記憶部105bは、記憶可能な特図2保留の数に対応した4つの記憶領域からなる。各記憶領域は4つの記憶領域に分かれている。これらの4つの記憶領域とは、後述の大当たり乱数を記憶する領域、当たり種別乱数を記憶する領域、リーチ乱数を記憶する領域、及び変動パターン乱数を記憶する領域である。
また遊技用RAM104には、普図保留記憶部106が設けられている。普図保留記憶部106は、記憶可能な普図保留の数に対応した記憶領域からなる。各記憶領域は、普通図柄乱数を記憶する領域である。
また遊技制御基板100には、図22に示すように、遊技盤1に備えられた各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、遊技制御基板100には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには遊技制御基板100から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、一般入賞口センサ10a、第1始動口センサ11a、第2始動口センサ12a、ゲートセンサ13a、大入賞口センサ14a、特定領域センサ16a、非特定領域センサ17aが接続されている。
一般入賞口センサ10aは、各一般入賞口10内にそれぞれ設けられて一般入賞口10に入賞した遊技球を検出するものである。第1始動口センサ11aは、第1始動口11内に設けられて第1始動口11に入賞した遊技球を検出するものである。第2始動口センサ12aは、第2始動口12内に設けられて第2始動口12に入賞した遊技球を検出するものである。ゲートセンサ13aは、ゲート13内に設けられてゲート13を通過した遊技球を検出するものである。大入賞口センサ14aは、大入賞口14内に設けられて大入賞口14に入賞した遊技球を検出するものである。特定領域センサ16aは、大入賞口14内の特定領域に設けられて特定領域を通過した遊技球を検出するものである。非特定領域センサ17aは、大入賞口14内の非特定領域に設けられて非特定領域を通過した遊技球を検出するものである。
またソレノイド類としては、電チューソレノイド12s、大入賞口ソレノイド14s、振分ソレノイド16sが接続されている。電チューソレノイド12sは、電チュー開閉部材12kを駆動するものである。大入賞口ソレノイド14sは、大入賞装置14DのAT可動部材14kを駆動するものである。振分ソレノイド16sは、大入賞口14内に入球した遊技球のその後の経路を特定領域または非特定領域に振り分ける振分部材を駆動するものである。
さらに遊技制御基板100には、特図1表示器81a、特図2表示器81b、普図表示器82、特図1保留表示器83a、特図2保留表示器83b、および普図保留表示器84が接続されている。すなわち、これらの表示器類8の表示制御は、遊技制御用マイコン101によりなされる。
また遊技制御基板100は、払出制御基板170に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板170から信号を受信する。払出制御基板170には、払出装置73およびカードユニットCU(パチンコ遊技機PY1に隣接して設置され、挿入されたプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にするもの)が接続されているとともに、発射制御回路175を介して発射装置72が接続されている。発射装置72には、ハンドル72kが含まれる。
払出制御基板170は、遊技制御用マイコン101からの信号や、パチンコ遊技機PY1に接続されたカードユニットCUからの信号に基づいて、払出装置73の払出モータ73mを駆動して賞球の払い出し等を行う。払い出される賞球や貸球は、その計数のため払出センサ73aにより検知される。なお遊技者による発射装置72のハンドル72kの操作があった場合には、タッチスイッチ72aがハンドル72kへの接触を検知し、発射ボリューム72bがハンドル72kの回転量を検知する。そして、発射ボリューム72bの検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射ソレノイド72sが駆動されることとなる。なお本パチンコ遊技機PY1においては、0.6秒程度で一発の遊技球が発射されるようになっている。
また遊技制御基板100は、図23に示す演出制御基板120に対し各種コマンドを送信する。演出制御基板120は、画像制御基板140等とともに演出制御部DKを構成している。遊技制御基板100と演出制御基板120との接続は、遊技制御基板100から演出制御基板120への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、遊技制御基板100と演出制御基板120との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
パチンコ遊技機PY1は、図23に示すように、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行う演出制御基板120と、画像制御を行う画像制御基板140と、音声制御を行う音声制御基板161とを備える。演出制御基板120には、プログラムに従ってパチンコ遊技機PY1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)121が実装されている。
演出制御用マイコン121(演出制御手段)には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶した演出用ROM123、ワークメモリとして使用される演出用RAM124、演出用ROM123に記憶されたプログラムを実行する演出用CPU122、データや信号の入出力を行うための演出用I/Oポート(入出力回路)138が含まれている。なお、演出用ROM123は外付けであってもよい。
演出制御基板120には、画像制御基板140、音声制御基板161、サブ駆動基板162が接続されている。演出制御基板120の演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板140の画像用CPU141に画像表示装置50の表示制御を行わせる。画像制御基板140の画像用RAM143は、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板140の画像用ROM142には、画像表示装置50に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(演出図柄を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御基板140の画像用CPU141は、演出制御用マイコン121からの指令に基づいて画像用ROM142から画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。
また演出制御基板120には、演出ボタン検知センサ40a、セレクトボタン検知センサ42a、第1検知センサ643、第2検知センサ647が接続されている。演出ボタン検知センサ40aは、演出ボタン装置40が操作されたことを検出するものである。演出ボタン装置40が操作されると演出ボタン検知センサ40aから演出制御基板120に対して検知信号が出力される。また、セレクトボタン検知センサ42aは、セレクトボタン42kが操作されたことを検出するものである。セレクトボタン検知センサ42aが操作されるとセレクトボタン検知センサ42aから演出制御基板120に対して検知信号が出力される。
第1検知センサ643、第2検知センサ647は、前述したように、左右位置検出部640が有する、第2左右移動部610の左右方向における位置の検出に用いられる検出器である。第1検知センサ643、第2検知センサ647の検知信号についても、演出制御基板120に対して出力される。そして、前述したように、本形態では、第1検知センサ643、第2検知センサ647の検知信号の態様、具体的には第1検知センサ643、第2検知センサ647の検知信号の組み合わせにより、第2左右移動部610の位置検出が可能となっている。これにより、演出制御基板120は、第2左右移動部610の位置を把握するとともに、第2左右移動部610が適正な位置に存在するかの判定を行うことが可能となっている。さらに、第2左右移動部610が適正な位置からズレてしまっている場合に、これを解消することも可能となっている。
演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板161を介してスピーカ52(左スピーカ52L及び右スピーカ52R)から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ52から出力する音声等の音響データは、演出制御基板120の演出用ROM123に格納されている。なお、音声制御基板161にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板161にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ52を画像制御基板140に接続し、画像制御基板140の画像用CPU141に音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板140の画像用ROM142に音響データを格納してもよい。
電源基板190(電源供給手段)は、遊技制御基板100、演出制御基板120、及び払出制御基板170に対して電力を供給するとともに、これらの基板を介してその他の機器に対して必要な電力を供給する。電源基板190には、バックアップ電源回路192が設けられている。バックアップ電源回路192は、本パチンコ遊技機PY1に対して電力が供給されていない場合に、後述する遊技制御基板100の遊技用RAM104や演出制御基板120の演出用RAM124に対して電力を供給する。従って、遊技制御基板100の遊技用RAM104や演出制御基板120の演出用RAM124に記憶されている情報は、パチンコ遊技機PY1の電断時であっても保持される。また、電源基板190には、電源スイッチ191が接続されている。電源スイッチ191のON/OFF操作により、電源の投入/遮断が切替えられる。なお、遊技制御基板100の遊技用RAM104に対するバックアップ電源回路を遊技制御基板100に設けたり、演出制御基板120の演出用RAM124に対するバックアップ電源回路を演出制御基板120に設けたりしてもよい。
またパチンコ遊技機PY1は、サブ駆動基板162を備えている。上述した演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、サブ駆動基板162を介して枠ランプ53や盤ランプ54等のランプの点灯制御を行う。演出制御用マイコン121は、枠ランプ53、盤ランプ54等のランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を作成し、発光パターンデータに従って枠ランプ53、盤ランプ54等のランプの発光を制御する。なお、発光パターンデータの作成には演出制御基板120の演出用ROM123に格納されているデータを用いる。
また演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、サブ駆動基板162に接続された盤可動体モータEUmの駆動制御を行う。盤可動体モータEUmには、第1可動装置55、第2可動装置56、第3可動装置700が備える各モータが含まれる。つまり、演出制御用マイコン121は、第1可動装置55、第2可動装置56、第3可動装置700のそれぞれの動作態様を決める動作パターンデータ(駆動データ)を作成し、動作パターンデータに従って盤可動体モータEUm(すなわち第1可動装置55、第2可動装置56、第3可動装置700の各モータ)の駆動を制御する。動作パターンデータの作成には演出制御基板120の演出用ROM123に格納されているデータを用いる。
なお、サブ駆動基板162にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに各モータの駆動制御や各ランプの点灯制御を実行させてもよい。さらにこの場合、サブ駆動基板162にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。
本形態において演出制御基板120は、画像制御基板140と音声制御基板161とサブ駆動基板162とともにサブ制御部SCを構成する。なお、サブ制御部SCは、少なくとも演出制御基板120を備え、演出手段(画像表示装置50、盤ランプ54、枠ランプ53、スピーカ52等)を用いた遊技演出を制御可能であればよい。
3.大当たり等の説明
本形態のパチンコ遊技機PY1では、大当たり抽選(特別図柄抽選)の結果として、「大当たり」と「はずれ」がある。「大当たり」のときには、特図表示器81に「大当たり図柄」が停止表示される。「はずれ」のときには、特図表示器81に「ハズレ図柄」が停止表示される。大当たりに当選すると、停止表示された特別図柄の種類(大当たりの種類)に応じた開放パターンにて、大入賞口14を開放させる「大当たり遊技」が実行される。大当たり遊技は、特別遊技の一例である。
大当たり遊技は、本形態では、複数回のラウンド遊技(単位開放遊技)と、初回のラウンド遊技が開始される前のオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、OPの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はEDの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間(インターバル時間)は、その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
大当たりには複数の種別がある。大当たりの種別については図24に示す通りである。図24に示すように、本形態では大当たりの種別としては、大きく分けて2つ(V開放大当たりとV非開放大当たり)ある。「V開放大当たり」は、その大当たり遊技中に特定領域への遊技球の通過が可能な開放パターンで大入賞装置14Dを作動させる大当たりである。「V非開放大当たり」は、その大当たり遊技中に特定領域への遊技球の通過が不可能な開放パターンで大入賞装置14Dを作動させる大当たりである。
より具体的には、「V開放大当たり」は、総ラウンド数が16Rである。1Rから16Rにわたって大入賞口14を1R当たり最大29.5秒間、開放する。そして、14R以外のラウンドでは、遊技球を特定領域または非特定領域に振り分ける振分部材を、遊技球が非特定領域を通過する状態とする。一方、14Rでは、振分部材を、遊技球が特定領域を通過する状態とする。
これに対して、「V非開放大当たり」は、総ラウンド数は16Rであるものの、実質的な総ラウンド数は13Rである。つまり、1Rから13Rまでは大入賞口14を1R当たり最大29.5秒にわたって開放するが、14Rから16Rまででは大入賞口14を1R当たり0.1秒しか開放しない。従って、このV非開放大当たりでは14Rから16Rまでは、大入賞口の開放時間が極めて短く、賞球の見込めないラウンドとなっている。つまり、V非開放大当たりは実質13Rの大当たりとなっている。
また、V非開放大当たりにおいては、すべてのラウンドにおいて、遊技球を特定領域または非特定領域に振り分ける振分部材を、遊技球が非特定領域を通過する状態とする。なお、V非開放大当たりは、遊技球が特定領域をほぼ通過不可能であればよく、遊技球が特定領域をほぼ通過不可能な態様で振分部材を作動させてもよい。
本形態のパチンコ遊技機PY1では、大当たり遊技中の特定領域への遊技球の通過に基づいて、その大当たり遊技の終了後の遊技状態を、後述の高確率状態に移行させる。従って、上記のV開放大当たりに当選した場合には、大当たり遊技の実行中に特定領域へ遊技球を通過させることで、大当たり遊技後の遊技状態を高確率状態に移行させ得る。これに対して、V非開放大当たりに当選した場合には、その大当たり遊技の実行中に特定領域へ遊技球を通過させることができないため、その大当たり遊技後の遊技状態は、後述の通常確率状態(非高確率状態)となる。
なお、図24に示すように、第1特別図柄(特図1)の抽選における大当たりの振分率は、V開放大当たりが50%、V非開放大当たりが50%となっている。これに対して、第2特別図柄(特図2)の抽選において当選した大当たりは、全てV開放大当たりとなっている。すなわち、後述の電サポ制御の実行により入球可能となる第2始動口12への入賞に基づく抽選により大当たりに当選した場合には、必ずV開放大当たりとなる。このように本パチンコ遊技機PY1では、第1始動口11に遊技球が入賞して行われる大当たり抽選(第1特別図柄の抽選)よりも、第2始動口12に遊技球が入賞して行われる大当たり抽選(第2特別図柄の抽選)の方が、遊技者にとって有利となるように設定されている。
ここで本パチンコ遊技機PY1では、大当たりか否かの抽選は「大当たり乱数」に基づいて行われ、当選した大当たりの種別の抽選は「当たり種別乱数」に基づいて行われる。図25(A)に示すように、大当たり乱数は0〜65535までの範囲で値をとる。当たり種別乱数は、0〜9までの範囲で値をとる。なお、第1始動口11又は第2始動口12への入賞に基づいて取得される乱数には、大当たり乱数および当たり種別乱数の他に、「リーチ乱数」および「変動パターン乱数」がある。
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がはずれである場合に、その結果を示す演出図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は、0〜127までの範囲で値をとる。また、ゲート13の通過に基づいて取得される乱数には、図25(B)に示す普通図柄乱数(当たり乱数)がある。普通図柄乱数は、電チュー12Dを開放させる補助遊技を行うか否かの抽選(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は、0〜255までの範囲で値をとる。
4.遊技状態の説明
次に、本形態のパチンコ遊技機PY1の遊技状態に関して説明する。パチンコ遊技機PY1の特図表示器81および普図表示器82には、それぞれ、確率変動機能と変動時間短縮機能がある。特図表示器81の確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常確率状態(非高確率状態)」という。高確率状態では、大当たり確率が通常確率状態よりも高くなっている。すなわち、大当たりと判定される大当たり乱数の値が通常確率状態で用いる大当たり判定テーブルよりも多い大当たり判定テーブルを用いて、大当たり判定を行う(図26(A)参照)。つまり、特図表示器81の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、特図表示器81による特別図柄の可変表示の表示結果(すなわち停止図柄)が大当たり図柄となる確率が高くなる。
また、特図表示器81の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)が、非時短状態よりも短くなっている。すなわち、変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(図27参照)。つまり、特図表示器81の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の可変表示の変動時間として短い変動時間が選択されやすくなる。その結果、時短状態では、特図保留の消化のペースが速くなり、始動口への有効な入賞(特図保留として記憶され得る入賞)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当たりを狙うことができる。
特図表示器81の確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普図表示器82の確率変動機能および変動時間短縮機能は、特図表示器81の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普図表示器82の確率変動機能および変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。よって、時短状態では、普通図柄抽選における当選確率が非時短状態よりも高くなっている。すなわち、当たりと判定される普通図柄乱数(当たり乱数)の値が非時短状態で用いる普通図柄当たり判定テーブルよりも多い普通図柄当たり判定テーブルを用いて、当たり判定(普通図柄の判定)を行う(図26(C)参照)。つまり、普図表示器82の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普図表示器82による普通図柄の可変表示の表示結果が、普通当たり図柄となる確率が高くなる。
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本形態では、普通図柄の変動時間は非時短状態では30秒であるが、時短状態では1秒である(図26(D)参照)。さらに時短状態では、補助遊技における電チュー12Dの開放時間が、非時短状態よりも長くなっている(図28参照)。すなわち、電チュー12Dの開放時間延長機能が作動している。加えて時短状態では、補助遊技における電チュー12Dの開放回数が非時短状態よりも多くなっている(図28参照)。すなわち、電チュー12Dの開放回数増加機能が作動している。
普図表示器82の確率変動機能と変動時間短縮機能、および電チュー12Dの開放時間延長機能と開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、電チュー12Dが頻繁に開放され、第2始動口12へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、高ベース状態とは、いわゆる電サポ制御(電チュー12Dにより第2始動口12への入賞をサポートする制御)が実行されている状態である。
高ベース状態(電サポ制御状態)は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普図表示器82の確率変動機能、普図表示器82の変動時間短縮機能、電チュー12Dの開放時間延長機能、および電チュー12Dの開放回数増加機能のうち一つ以上の機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも電チュー12Dが開放され易くなっていればよい。また、高ベース状態(電サポ制御状態)は、時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
本形態のパチンコ遊技機PY1では、V開放大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、その大当たり遊技中に特定領域への通過がなされていれば、高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は、所定回数(本形態では160回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
また、V非開放大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、その大当たり遊技中に特定領域の通過がなされていなければ(なされることは略ない)、通常確率状態(非高確率状態すなわち低確率の状態)かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は、所定回数(本形態では100回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
なお、パチンコ遊技機PY1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態(非電サポ制御状態)である。この遊技状態を特に、「低確低ベース状態」という。低確低ベース状態を「通常遊技状態」と称することもある。また、特別遊技(大当たり遊技)の実行中の状態を「特別遊技状態(大当たり遊技状態)」と称することとする。さらに、高確率状態および高ベース状態のうち少なくとも一方の状態に制御されている状態を、「特定遊技状態」という。
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域6Bへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御により低ベース状態と比べて電チュー12Dが開放されやすくなっており、第1始動口11への入賞よりも第2始動口12への入賞の方が容易となっているからである。そのため、普通図柄抽選の契機となるゲート13へ遊技球を通過させつつ、第2始動口12へ遊技球を入賞させるべく右打ちを行う。これにより左打ちをするよりも、多数の始動入賞(始動口への入賞)を得ることができる。なお本パチンコ遊技機PY1では、大当たり遊技中も右打ちにて遊技を行う。
これに対して、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域6A(図19参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御が実行されていないため、高ベース状態と比べて電チュー12Dが開放されにくくなっており、第2始動口12への入賞よりも第1始動口11への入賞の方が容易となっているからである。そのため、第1始動口11へ遊技球を入賞させるべく左打ちを行う。これにより右打ちするよりも、多数の始動入賞を得ることができる。
5.遊技機の動作
次に、図29に基づいてメイン制御部(遊技制御用マイコン101等)の動作について説明し、図30、図31に基づいてサブ制御部(演出制御用マイコン121等)の動作について説明する。まず、メイン制御部の動作について説明する。
[遊技制御側タイマ割り込み処理]メイン制御部の遊技制御用マイコン101は、図29に示す遊技制御側タイマ割り込み処理を例えば4msecといった短時間毎に繰り返す。まず、遊技制御用マイコン101は、大当たり抽選に用いる大当たり乱数、大当たりの種別を決めるための当たり種別乱数、変動演出においてリーチ状態とするか否かを決めるためのリーチ乱数、変動パターンを決めるための変動パターン乱数、普通図柄抽選に用いる普通図柄乱数(当たり乱数)等を更新する乱数更新処理を行う(S101)。なお各乱数の少なくとも一部は、カウンタIC等からなる公知の乱数生成回路を利用して生成されるハードウェア乱数であってもよい。また乱数発生回路は、遊技制御用マイコン101に内蔵されていてもよい。
次に、遊技制御用マイコン101は、入力処理を行う(S102)。入力処理(S102)では、主にパチンコ遊技機PY1に取り付けられている各種センサ(一般入賞口センサ10a,第1始動口センサ11a,第2始動口センサ12a、大入賞口センサ14a等(図22参照))が検知した検出信号を読み込み、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための賞球コマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットする。また、入力処理(S102)では、払出制御基板170から出力されたコマンドがある場合等には、その受信を行う。
続いて、遊技制御用マイコン101は、始動口センサ検出処理(S103)、特別動作処理(S104)および普通動作処理(S105)を実行する。始動口センサ検出処理(S103)では、第1始動口センサ11aによる入賞検知があれば、保留記憶が4個未満であることを条件に大当たり乱数等の乱数(図25(A)参照)を取得する。また、第2始動口センサ12aによる入賞検知があれば、保留記憶が4個未満であることを条件に大当たり乱数等の乱数(図25(A)参照)を取得する。また、ゲートセンサ13aによる通過検知があれば、すでに記憶されている当たり乱数が4個未満であることを条件に普通図柄乱数(図25(B)参照)を取得する。
特別動作処理(S104)では、始動口センサ検出処理(S103)にて取得した大当たり乱数等の乱数を判定し、その判定結果を報知するための特別図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。この特別図柄の表示に際しては、特別図柄の変動表示の開始時に変動パターンの情報を含む変動開始コマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットし、特別図柄の停止表示の開始時に変動停止コマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットする。なお変動パターンは、大当たり乱数等の各種乱数の判定に基づき、図27に示す変動パターン判定テーブルを用いて決定される。そして、大当たり乱数の判定の結果、大当たりに当選していた場合には、所定の開放パターン(開放時間や開放回数)に従って大入賞口14を開放させる大当たり遊技(特別遊技)を行う。ここで図27に示すように、変動パターンが決まれば、特別図柄の変動表示が実行される変動時間も決まる。図27の備考欄に示すSPリーチ(スーパーリーチ)とは、ノーマルリーチよりもリーチ後の変動時間が長いリーチである。SPリーチの方がノーマルリーチよりも、当選期待度(大当たり当選に対する期待度)が高くなるようにテーブルの振分率が設定されている。本形態では、スーパーリーチはノーマルリーチを経て発展的に実行される。
普通動作処理(S105)では、始動口センサ検出処理にて取得した普通図柄乱数を所定の判定テーブルを用いて判定する。そして、その判定結果を報知するための普通図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。普通図柄乱数の判定の結果、普通当たり図柄に当選していた場合には、遊技状態に応じた所定の開放パターン(開放時間や開放回数、図28参照)に従って電チュー12Dを開放させる補助遊技を行う。
次に、遊技制御用マイコン101は、出力処理(S106)を行う。出力処理(S106)では、上述の各処理においてセットしたコマンド等を、払出制御基板170や演出制御基板120等に出力する。
また、以上のメイン制御部における処理と並行して、演出制御用マイコン121は図30、図31に示す処理を行う。演出制御用マイコン121の動作について、以下に説明する。
[演出制御側タイマ割り込み処理]演出制御用マイコン121は、図30に示すような演出制御側タイマ割り込み処理を所定の短時間毎に繰り返す。演出制御側タイマ割り込み処理ではまず、受信コマンド解析処理(S1001)を行う。
また、受信コマンド解析処理(S1001)に続いてコマンド送信処理(S1002)を行う。コマンド送信処理(S1002)では、受信コマンド解析処理でセットした各種コマンドを画像制御基板140に送信する。コマンド送信処理が実行されると、コマンドを受信した画像制御基板140は、画像表示装置50を用いて各種の演出(変動演出や大当たり演出、客待ち演出など)を実行する。例えば、変動演出開始コマンドを受信した画像制御基板140は、変動演出開始コマンドに指定された内容の変動演出を実行する。
続いて演出制御用マイコン121は、音声処理(S1003)を行う。音声処理(S1003)では、受信コマンド解析処理で選択した演出パターンの演出に合うタイミングでスピーカ52から音声等を出力させるべく、音データ(スピーカ52からの音声等の出力を制御するデータ)を作成したり、音声制御基板161に出力したりする。次に演出制御用マイコン121は、ランプ処理(S1004)および可動体処理(S1005)を行う。
ランプ処理(S1004)では、演出用RAM124にセットされた変動演出開始コマンド等に盤ランプ54や枠ランプ53を発光させる発光演出がある場合には、その発光演出を実行する。すなわち、盤ランプ54や枠ランプ53を、所定のタイミング、所定の発光態様で発光させる。また、可動体処理(S1005)では、演出用RAM124にセットされた変動演出開始コマンド等に第1可動装置55や第2可動装置56を動作させる駆動演出がある場合には、その駆動演出を実行する。すなわち、第1可動装置55、第2可動装置56、第3可動装置700の各モータ等を、所定のタイミング、所定の駆動態様で動作させる。
[受信コマンド解析処理]図31に示すように、受信コマンド解析処理(S1001)では演出制御用マイコン121はまず、遊技制御用マイコン101から変動開始コマンドを受信しているか否かを判定する(S1101)。受信していなければ、ステップS1104に進むが、受信していれば、変動演出パターン選択処理(S1102)を行う。
変動演出パターン選択処理(S1102)では、変動演出パターン決定用乱数を取得するとともに、変動開始コマンドの解析結果等に基づいて一つのテーブルを選択し、その選択したテーブルを用いて、取得した変動演出パターン決定用乱数を判定することにより、変動演出パターンを選択する。なお、選択した変動演出パターンを示すデータは演出用RAM124の所定の記憶領域に格納される。この変動演出パターンの選択により、盤ランプ54を発光させる演出の実行の有無やそのタイミング、枠ランプ53を発光させる演出の実行の有無やそのタイミング、第1可動装置55、第2可動装置56、第3可動装置700の各モータ等を動作させる演出の実行の有無やそのタイミングといった詳細までを含めて演出の内容が決定される。
次に演出制御用マイコン121は、ステップS1102で選択した変動演出パターンで変動演出を開始させるための変動演出開始コマンドを、演出用RAM124の所定の記憶領域にセットする(S1103)。そしてステップS1104に進む。
ステップS1104では演出制御用マイコン121は、遊技制御用マイコン101からオープニングコマンドを受信しているか否かを判定する。受信していなければ、ステップS1107に進むが、受信していれば、大当たり演出パターン選択処理(S1105)を行う。
大当たり演出パターン選択処理(S1105)では、オープニングコマンドの解析結果に基づいて、大当たり遊技中に実行する大当たり演出の演出パターン(大当たり演出パターン)を選択する。なお、ここで選択した大当たり演出パターンを示すデータは演出用RAM124の所定の記憶領域に格納される。この大当たり演出パターンの選択により、大当たり遊技中における盤ランプ54や枠ランプ53の発光演出の実行の有無やそのタイミング、第1可動装置55、第2可動装置56、第3可動装置700の各モータ等を動作させる演出の実行の有無やそのタイミングといった詳細までを含めて演出の内容が決定される。
次に演出制御用マイコン121は、ステップS1105で選択した大当たり演出パターンで大当たり演出を開始させるための大当たり演出開始コマンドを、演出用RAM124の所定の記憶領域にセットする(S1106)。そして、ステップS1107に進む。
ステップS1107では、その他の処理として他の受信コマンドに基づく処理を行う(S1107)。これにより、受信コマンド解析処理を終える。
6.演出ユニットを用いた演出
次に、演出ユニットEUを用いた演出について説明する。
図32は、第1可動装置55および画像表示装置50を用いた演出の1つであるランニング演出を示す図である。図32(A)には第1可動装置55の第1ランニング状態を、図32(B)には第1可動装置55の第2ランニング状態を示している。第1ランニング状態では、図32(A)に示すように、第1上下移動部500は、第1左側上下部510の方が上側に位置していることで全体として右下がりに傾斜している。また、第1ランニング状態では、第1揺動部540は、第1右側上下部520側に偏った位置をとっている。つまり、第1左側上下部510よりも、第1右側上下部520に近い位置をとっている。
一方、図32(B)に示す第2ランニング状態では、第1上下移動部500は、第1左側上下部510の方が上側に位置していることで全体として右上がりに傾斜している。また、第2ランニング状態では、第1揺動部540は、第1左側上下部510側に偏った位置をとっている。つまり、第1右側上下部520よりも、第1左側上下部510に近い位置をとっている。
そして、図32に示すように、本演出の例では、第1可動装置55は、第1ランニング状態と第2ランニング状態とを交互に繰り返す。これにより、第1可動装置55の第1揺動部540(キャラクタのバストアップ部分)に、走っているときのような動作を行わせることができる。よって、第1ランニング状態と第2ランニング状態とを交互に行うことで、キャラクタのバストアップ部分である第1揺動部540に、そのキャラクタが走るときの肩の複雑な動きを再現したような動作を行わせることが可能となっている。
また、図32(A)に示すように、第1ランニング状態では、右腕を模した第1左側前後軸回転部550には外側に開いた外転位置をとらせ、左腕を模した第1右側前後軸回転部560には内側に閉じた内転位置を取らせている。さらに、図32(B)に示す第2ランニング状態では、右腕を模した第1左側前後軸回転部550には内側に閉じた内転位置をとらせ、左腕を模した第1右側前後軸回転部560には外側に開いた外転位置を取らせている。
そして、このような第1左側前後軸回転部550および第1右側前後軸回転部560の動作を、上記の第1揺動部540の動作に合わせて行わせていることで、本形態の第1可動装置55は、キャラクタのバストアップ部分における複雑な走る動作をより正確に再現したような演出を行うことが可能となっている。
ただし、走っているキャラクタのバストアップ部分だけの動きでは、興趣性が十分でないこともあり得る。一方、例えば、キャラクタの下半身部分の走る動作はより複雑であり、そのような動作を自然に再現する可動装置を設けることは困難である。そこで、本形態では、図32に示すように、画像表示装置50の表示部50aに、第1可動装置55に足りない部分を表示させる。すなわち、本演出における画像表示装置50は、表示部50aに、走っているキャラクタの胸部よりも下側の部分を、補完画像51として表示する。ランニング演出で用いられる補完画像51は、図32(A)、(B)に示すように、第1可動装置55の状態にそれぞれ対応させた補完画像51である。これにより、第1可動装置55および画像表示装置50は、一体的に見えるように構成された意匠を用いた演出を行うことが可能となっている。すなわち、第1可動装置55および画像表示装置50を合わせて用いることで、十分に興趣性が高いキャラクタが走るランニング演出を行うことが可能となっている。
なお、本形態のパチンコ遊技機PY1は、サッカーボールの装飾が施された意匠部631を備えている。よって、図32に示すキャラクタの走る動作に合わせて、意匠部631を移動や回転させる演出を行うこととしてもよい。これにより、例えば、より興趣性を高めることが可能な、キャラクタがサッカーのドリブルを行っているドリブル演出を行うことが可能となる。
図33は、第1可動装置55および画像表示装置50を用いた演出の1つである第1シュート演出を示す図である。図33に示す第1シュート演出では、第1可動装置55は、第1揺動部540の第2装飾面540bが前方を向いた反転状態をとる。また、図33に示すように、本演出においても、画像表示装置50は、表示部50aに、キャラクタの胸部よりも下側の部分の画像を表示している。
ただし、本演出では、図33に示すように、第1揺動部540が反転状態であることで、キャラクタのバストアップ部分が、図32とは上下が逆に表れている。このため、本演出では、画像表示装置50は、キャラクタの胸部よりも下側の部分の画像についても、反転状態の第1揺動部540に合わせて、図32とは上下を逆に表示している。また、本演出における画像表示装置50は、キャラクタが足でサッカーボールを蹴っている状態の補完画像51を表示している。よって、第1シュート演出における第1可動装置55および画像表示装置50は、一体的に見える意匠を構成する演出として、キャラクタがオーバーヘッドキックを行う演出を行うことが可能となっている。なお、第1シュート演出ではサッカーボール画像を画像表示装置50により表示することとしているが、サッカーボール画像に替えて、第2可動装置56が備えるサッカーボールの装飾が施された意匠部631を用いてもよい。
ここで、一般的に、第1可動装置55のような実体をもつ可動部による装飾は、画像表示装置50の表示部50aに表示される演出画像による装飾よりも、遊技者の目を引きやすく、目立つ傾向にある。一方で、可動部による装飾には限界があり、複雑すぎる動作などは行うことができない傾向にある。そこで、本形態のパチンコ遊技機PY1では、目立つ第1可動装置55と、複雑な演出画像を表示可能な画像表示装置50とにより一体的に見える意匠を構成することで、より高い遊技興趣を備える演出を行うことが可能なものとなっている。
図34は、第1可動装置55、第2可動装置56、画像表示装置50を用いた演出の1つである第2シュート演出を示す図である。第2シュート演出では、図34(A)に示すように、第1可動装置55は、第1揺動部540の第1装飾面540aが前方を向いた状態をとる。また、第2可動装置56においては、サッカーボールの意匠部631を、第1揺動部540の下方にて回転させる。
また、図34に示すように、本演出においても、画像表示装置50は、表示部50aに、キャラクタの胸部よりも下側の部分の補完画像51を表示している。第2シュート演出における補完画像51は、キャラクタのシュートモーションを主に表すものである。このため、図34(A)に示す補完画像51は、キャラクタが右足をテイクバックしている様を示している。この後、補完画像51は、テイクバックされた右足が振り下ろされ態様を示し、フォロースルー態様へと変化する。
これにより、第1可動装置55、第2可動装置56、画像表示装置50を用いた第2シュート演出では、キャラクタが回転しているサッカーボールをシュートする態様を示している。また、図34(B)に示すように、第2シュート演出では、画像表示装置50により補完画像51としてシュートのフォロースルー態様を示した後、第1可動装置55の第1揺動部540を上方へ、第2可動装置56の意匠部631を下方へと移動させ、画像表示装置50の表示部50aに、両足で立っているキャラクタの胸部よりも下側の部分の補完画像51を表示させる。これにより、第2シュート演出では、キャラクタが回転しているサッカーボールをシュートする態様に続いて、そのシュートを打ったキャラクタが、サッカーボールの行方を見守る態様を示す。
図35は、第1可動装置55、第3可動装置700、画像表示装置50を用いた演出の1つである第3シュート演出を示す図である。第3シュート演出では、まず、図35(A)に示すように、第1可動装置55の第1揺動部540は上方に位置している。また、第3可動装置700は上方の待機位置で待機状態をとっている。そして、画像表示装置50は、両足で立っているキャラクタの胸部よりも下側の部分の補完画像51を表示している。
次に、図35(B)に示すように、第1上下移動部500を下方へと移動させる。この下降の際、第1左右軸回転部530を複数回、回転させる。これにより、第1揺動部540は、第1装飾面540aと第2装飾面540bとを交互に複数回、前方側に向けることとなる。すなわち、第1可動装置55は、第1揺動部540を、第1装飾面540aと第2装飾面540bとを交互に複数回、前方側に向けつつ下方の演出位置へと進出させる。なお、第2可動装置56の意匠部631については、下方の演出位置へと進出してくる第1揺動部540等との干渉を避けるため、左方の回避位置へと移動している。
また、第1可動装置55の第1左右軸回転部530は、第1揺動部540が演出位置に到達した際には、第2装飾面540bが前方側に向く位置で回転を停止する。よって、第1可動装置55は、演出位置では、図35(C)に示すように、第1揺動部540の第2装飾面540bが前方を向いた反転状態をとる。
続いて、図35(D)に示すように、第1可動装置55の第1中央前後軸回転部570は、それまでの隠伏状態から回転し、突出状態をとる。その第1中央前後軸回転部570の第1揺動部540からの突出の向きは、上向きである。さらに、図35(D)に示すように、第3可動装置700は、それまでの第3上下移動部710が待機位置に位置するとともに4つの第3前後軸回転部720が隠伏状態をとる状態から、第3上下移動部710が演出位置に位置するとともに4つの第3前後軸回転部720が展開状態となる状態へと変位する。
この図35(D)に示す状態において、第1可動装置55は、反転状態のバストアップを示す第1揺動部540から足を模した第1中央前後軸回転部570が上向きに突出していることで、キャラクタがオーバーヘッドキックを行っている様を示すことが可能となっている。また、図35(D)における第3可動装置700においては、第3上下移動部710が、「GOAL」というオーバーヘッドキックと関連性の高い表記を前方から視認可能にしつつ、第1揺動部540と近い近接状態をとっている。これにより、オーバーヘッドキックによってゴールという成果を達成することを強く表現することが可能となっている。これにより、第3シュート演出は、本パチンコ遊技機PY1において、最も遊技者の期待感を盛り上げる、高い興趣性を備えた演出となっている。
また、図36には、第3シュート演出において演出状態をとっていた第1可動装置55、第3可動装置700の可動部がそれぞれ待機状態へと変位する態様を示している。すなわち、図36(A)に示すように第3シュート演出において演出位置へと移動していた第3可動装置700は、図36(B)に示すように、4つの第3前後軸回転部720が展開状態から隠伏状態へと変位しつつ、第3上下移動部710が演出位置から待機位置へと移動する。
また、第1可動装置55においては、第1中央前後軸回転部570は、図36(A)に示す突出状態から図36(B)に示す隠伏状態へと変位する。さらに、第1可動装置55は、第1上下移動部500を、図36(C)に示すように、上方へと移動させる。この上層の際にも、第1左右軸回転部530を複数回、回転させる。これにより、第1揺動部540は、第1装飾面540aと第2装飾面540bとを交互に複数回、前方側に向けることとなる。すなわち、第1可動装置55は、第1揺動部540を、第1装飾面540aと第2装飾面540bとを交互に複数回、前方側に向けつつ上方の待機位置へと移動する。これにより、第1可動装置55および第3可動装置700はともに、図36(D)の待機状態へと戻ることとなる。
上記のような演出が可能な本形態においては、各演出により、遊技者に有利な遊技状態への移行を示唆することが可能である。例えば、第1シュート演出よりも第3シュート演出の方が、動作する可動体の数が多く、遊技者の期待感を盛り上げることが可能である。よって、第3シュート演出は、第1シュート演出よりも、大当たり遊技が行われやすいため、大当たり判定の結果が「大当たり」である可能性が高いことを示唆可能なものとなっている。
また、各演出を繋げることも可能である。例えば、ドリブル演出の後、第2シュート演出を実行することで、サッカーにおけるドリブルしてシュートの一連の流れを表現することも可能である。そして、大当たり判定の結果が「大当たり」である場合に、その後さらに、第3シュート演出を実行することなども可能である。
なお、本形態の演出ユニットEUは、前述したように、多くの可動部および駆動源を備えている。このため、パチンコ遊技機PY1は、演出ユニットEUを用いて、上記で説明した演出例以外にも、多種多様な演出を行うことが可能である。
例えば、本形態の画像表示装置50は、表示部50aに、第2可動装置56の意匠部631に対応させた画像を表示することもできる。例えば、画像表示装置50にサッカーゴールの正面図を表示させ、可動範囲56h内でサッカーボールを模した意匠部631を移動や回転させることで、シュートされたサッカーボールがゴールに向かって飛んで行くようなシュートシーンの演出を行うことができる。
またその際、画像表示装置50の表示部50aにキーパーのキャラクタをも表示させ、そのキャラクタに意匠部631に向かって飛びつくような動作を行わせるような演出も可能である。つまり、本形態では、画像表示装置50に意匠部631の位置に応じた演出画像を表示させる演出を行うことができる。このような場合、意匠部631がサッカーゴールの内側における中央から遠い位置(すなわち可動範囲56hの外縁付近)に移動したときほど、大当たりの期待度が高くなるような演出も可能である。
また、前述したように、本形態の第2可動装置56においては、ねじりコイルばね696の付勢力により、意匠部631の上側への移動速度が速いものとなっている。そして、画像表示装置50の表示部50aの下部から中央、または、下部から上部へと重なる位置に短時間で意匠部631を移動させることで、例えば、迫力のあるシュートシーンの演出を行うことが可能となっている。
7.本実施形態の効果等
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係るパチンコ遊技機PY1は、第1可動装置55を備えている。第1可動装置55は、第1上下移動部500により演出位置と待機位置との間で移動可能な第1揺動部540を有している。そして、第1揺動部540は、目立ちやすい演出位置と、演出位置よりも目立ちにくい位置へと退避した待機位置とをとることが可能であることで、動作の緩急を十分なものとし、遊技興趣を高めることが可能である。
また、第1可動装置55の第1揺動部540は、第1左右軸回転部530により、回転動作を行うことが可能である。また、第1左右軸回転部530は、第1揺動部540の回転動作を、第1上下移動部500によって待機位置から演出位置へと移動する演出動作に伴って行うことが可能である。よって、第1揺動部540に遊技者の注意をより十分に引き付け、興趣性を高めることが可能である。
また、第1揺動部540は、第1装飾面540aと第2装飾面540bとを有しており、それぞれを前方側に向けることが可能である。また、待機状態の第1揺動部540は、第1装飾面540aを前方側に向けている。そして、演出状態の第1揺動部540は、第2装飾面540bを前方側に向けることがある。よって、第2装飾面540bを前方側に向けた状態の第1揺動部540を用いた演出は、待機状態の第1揺動部540とは明らかに異なるため、より際立たせることが可能である。
また、本形態の第1揺動部540は、第1装飾面540aと第2装飾面540bとで、キャラクタを上下逆に表現することが可能なものである。つまり、第1揺動部540は、第1装飾面540aを前方側に向けた状態と、第2装飾面540bを前方側に向けた状態とで、異なる態様を示すことが可能である。よって、より遊技興趣の向上を図ることが可能である。
また、パチンコ遊技機PY1は、第3可動装置700を備えている。第3可動装置700は、待機位置と演出位置との間で移動可能な第3上下移動部710を有している。そして、第3シュート演出において、演出状態の第3上下移動部710は、待機状態のときよりも、演出状態の第1揺動部540に近い位置をとることが可能である。さらに、オーバーヘッドキックの態様を示している第1揺動部540と関連性の高い、「GOAL」という表記を前方から視認可能に示すことが可能である。これにより、第3シュート演出は、可動部全体として一体感のある、より遊技者の注意を引くことが可能な演出となっている。
また、第1可動装置55の第1中央前後軸回転部570は、第1揺動部540から突出した突出状態と、隠伏状態とをとることが可能である。第1中央前後軸回転部570は、隠伏状態では、第1揺動部540の内部に隠れている。すなわち、隠伏状態の第1中央前後軸回転部570は、第1揺動部540に重なる面積が突出状態よりも大きな状態である。そして、第1中央前後軸回転部570は、第3シュート演出においては、前述したように、突出状態をとることが可能である。これにより、隠伏状態では見えなかった第1中央前後軸回転部570が遊技者に視認可能となる。よって、第1中央前後軸回転部570は、遊技者が予想できなかった態様を示し、遊技興趣を高めることが可能である。
また、第1可動装置55の第1揺動部540と第3可動装置700の第3上下移動部710とは、これらがともに待機位置に位置するとき、少なくとも一方が演出位置に位置するときよりも、前後方向について重なる面積が大きなものである。具体的には、待機位置における第3上下移動部710は、そのほとんどが、待機位置における第1揺動部540の後方に隠れている。よって、この状態では、第3上下移動部710の前方に表記されている「GOAL」という文字は、遊技者はほとんど見えない。しかし、例えば、第3シュート演出では、第1揺動部540と第3上下移動部710とが上下方向にずれた配置となることで、第3上下移動部710の前方に表記されている「GOAL」という文字を遊技者に見せることが可能となる。すなわち、第1揺動部540および第3上下移動部710の少なくとも一方が演出位置に進出したときには、これらがともに待機位置に位置していたときには遊技者が予測できなかった態様を示すことが可能となっている。このため、さらなる遊技興趣の向上が図られている。
8.変更例
以下、変更例について説明する。なお、変更例の説明において、上記の実施形態のパチンコ遊技機PY1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
例えば、上記の実施形態では、大当たり遊技で開放可能な大入賞領域として大入賞口14のみが設けられているが、複数の大入賞領域を設けても良い。
また、上記の実施形態では、可動部として、架空の人物であるキャラクタや、サッカーボールの模様が装飾されたものを用いている。しかし、可動部の装飾は、当然、上記の実施形態に限られるものではない。例えば、上記のキャラクタの装飾が施された可動部には、キャラクタの装飾に替えて、実在の人物、ロボット、動物の装飾を施すこととしてもよい。また、上記の実施形態では、キャラクタの装飾が施された可動部について、表裏で同一のキャラクタの装飾を施しているが、表裏で異なるキャラクタの装飾等としてもよい。また、必ずしも表裏の位置関係でなくともよく、異なる態様を示すことが可能な2以上の面を有していればよい。
また、上記の実施形態では、第3シュート演出において、第1揺動部540を複数回、回転させつつ、待機位置から演出位置へと移動させている。しかし、例えば、待機位置から演出位置への第1揺動部540の進出移動に伴う回転は、1回転でもよい。また例えば、半回転のような1回転未満の回転であってもよい。また例えば、待機位置から演出位置への第1揺動部540の進出移動に伴う回転は、必ずしも進出移動中でなくてもよい。すなわち、例えば、第1揺動部540を、回転動作後に進出移動させる態様であっても、進出移動後に回転動作させる態様であってもよい。また例えば、回転動作の回転軸は、上記実施形態のような左右方向に延びる軸に限られるものではない。進出移動と回転移動とを複合的に行うことで、第1揺動部540を目立ちやすくすることが可能であることに変わりはないからである。
また、上記の実施形態では、可動部の退避位置を、演出中でない可動部が待機状態をとる待機位置のように説明したが、これに限られることはない。すなわち、例えば、退避位置は、進出位置よりも待機位置側の位置としてもよい。すなわち、退避位置は、可動部が進出位置よりも退避した位置であればよい。
また、上記の実施形態では、第1中央前後軸回転部570は、隠伏状態において、突出状態よりも、第1揺動部540に隠れる面積が大きくなる例について説明した。しかし、例えば、第1中央前後軸回転部570は、隠伏状態において、突出状態よりも、第1揺動部540を隠す面積が大きくなるものであってもよい。すなわち、隠伏状態の第1中央前後軸回転部570は、突出状態よりも、前後方向について第1揺動部540と重なる面積が大きな状態をとることが可能であればよい。突出状態において、隠伏状態のときに隠れていた部分を視認可能にすることに変わりはないからである。この点、第3可動装置700の第3上下移動部710および第3前後軸回転部720についても同様である。
また、上記の実施形態では、大当たり遊技後の終了に伴って必ず時短状態が設定されるが、大当たり図柄の種別に応じて時短状態が設定されるか否かを決定しても良い。この場合、特図2抽選での方が、大当たり遊技後の終了に伴って時短状態が設定される大当たり図柄に高確率で当選できるようになっていても良い。
また、上記の実施形態などでは、大当たり判定において大当たりに当選することによって、大入賞口14の開閉を伴う大当たり遊技が実行されるが、大入賞口14の開閉を伴う遊技として所謂「小当たり遊技」を設けても良い。小当たり遊技は、大当たり判定において、大当たりおよびハズレとは異なる「小当たり」に当選することによって実行される。そして、小当たり遊技における大入賞口14の最大開放時間は1.8秒以下であることが望ましい。また、小当たり遊技の終了に伴い、遊技状態は変化しない。すなわち、小当たり遊技の実行中および実行後は、当該実行前の遊技状態が継続し、小当たり遊技の実行が遊技状態に影響を及ぼさない。すなわち、小当たりに当選すると、大入賞口14の開閉を伴う小当たり遊技が実行されるだけである。
また、上記の実施形態では、高確率回数が160回に設定され、時短回数が160回と100回に設定されているが、これらの通常遊技状態より遊技者に有利な遊技状態に対する特別図柄の変動表示の規定回数は限定されず適宜に設定することができる。例えば、高確率回数を100回に設定し、時短回数をV通過の有無に関わらず100回に設定してもよい。また、時短回数を0回に設定してもよい。また、大当たり遊技後の経過時間や遊技球の発射個数などの特別図柄の変動表示の実行回数ではない他の要素に基づいて、通常遊技状態より遊技者に有利な遊技状態に対する継続期間を設定してもよい。
また、上記の実施形態では、遊技の進行に係る基本的な制御を遊技制御基板100が行い、遊技の進行(遊技の制御)に応じた演出の進行に係る基本的な制御を演出制御基板120が行うというように、遊技の制御と演出の制御とを異なる基板で行っているが、一つの基板で行うよう構成しても良い。この場合、画像制御基板140を、その一つの基板に含めても良く、また、その一つの基板とは別に設けても良い。
また、本発明の遊技機を、アレンジボール機、雀球遊技機等の他の弾球遊技機や回胴式遊技機(所謂「スロットマシーン」)などに適用することも可能である。
9.上記した実施の形態に示されている発明
上記した実施の形態には、以下の各手段の発明が示されている。以下に記す手段の説明では、上記した実施の形態における対応する構成名や表現、図面に使用した符号を参考のためにかっこ書きで付記している。但し、各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。
〈手段A〉
手段A1に係る発明は、
第1の進出位置(演出位置)と前記第1の進出位置から退避した第1の退避位置(待機位置0)との間で移動可能な第1の可動部(第1揺動部540)を有することを特徴とする遊技機(パチンコ遊技機PY1)である。
例えば、従来技術として挙げられる特開2003−88617号公報には、ミラーボールを模した可動部を有する遊技機が開示されている。しかし、このような従来の可動部は、動作中か否かにかかわらず、常に遊技領域の中央付近に位置している。このため、可動部の動作中と停止中との緩急が不十分であったり、動作中の可動部に遊技者の注意を引き付けることが十分にできないなど、遊技興趣が十分でないことがあった。これに対し、本構成の遊技機の第1の可動部は、目立ちにくい第1の退避位置と、目立ちやすい第1の進出位置とをとることが可能である。このため、第1の可動部の動作の緩急を十分なものとすることが可能である。また、第1の可動部が第1の退避位置から第1の進出位置へと変位する際には、遊技者の注意を第1の可動部に十分に引きつけることが可能である。よって、遊技興趣を高めることが可能である。
手段A2に係る発明は、
手段A1に記載の遊技機であって、
前記第1の可動部は、前記第1の退避位置から前記第1の進出位置へと移動する進出動作に伴い、所定の回転軸(第1左右軸回転部530の回転軸532、回転軸533)を中心とした回転動作を行うことが可能であることを特徴とする遊技機である。
本構成の遊技機では、進出動作に伴って回転動作を行う第1の可動部に、遊技者の注意をより十分に引き付けることが可能である。このため、より遊技興趣を高めることが可能である。
手段A3に係る発明は、
手段A2に記載の遊技機であって、
前記第1の可動部は、
第1面(第1装飾面540a)を前方に向けた第1面前方状態と、前記第1面とは異なる第2面(第2装飾面540b)を前方に向けた第2面前方状態をとることが可能であるとともに、
前記第1の退避位置では第1面前方状態をとることがあり、前記第1の進出位置では第2面前方状態をとることがあることを特徴とする遊技機である。
本構成の遊技機では、第1の可動部は、第1の退避位置と第1の進出位置とで、前方、つまり、遊技者側に向ける面を異なるものとすることが可能である。これにより、第1の退避位置と第1の進出位置との違いを、より明確に遊技者に認識させることが可能である。このため、より遊技興趣を高めることが可能である。
手段A4に係る発明は、
手段A3に記載の遊技機であって、
前記第1の可動部は、
前記第1面前方状態のときには第1の態様を示すことが可能であり、
前記第2面前方状態のときには前記第1の態様とは異なる(上下を逆としてオーバーヘッドキック等の態様)第2の態様を示すことが可能であることを特徴とする遊技機である。
本構成の遊技機では、第1の可動部に、第1面前方状態であるときと第2面前方状態であるときとで異なる態様を示させることが可能である。このため、より遊技興趣を高めることが可能である。
手段A5に係る発明は、
手段A4に記載の遊技機であって、
第2の進出位置(演出位置)と前記第2の進出位置から退避した第2の退避位置(待機位置)との間で移動可能な第2の可動部(第3上下移動部710)を有し、
前記第2の可動部は、
前記第2の進出位置に位置するときには、前記第2の退避位置に位置するときよりも、前記第1の進出位置に位置する第1の可動部との距離が近い近接状態をとり、
前記近接状態では、前記第2の態様(オーバーヘッドキック)に関連する関連態様(「GOAL」という表記)を示すことが可能であることを特徴とする遊技機である。
本構成の遊技機では、第1および第2の可動部がそれぞれ第1および第2の進出位置をとることで、可動部全体としてより遊技者の注意を引くことが可能である。さらには、近接状態の第2の可動部に関連態様を示させることで、第1および第2の可動部全体として、一体感のある態様を示すことが可能である。このため、より遊技興趣を高めることが可能である。
手段A6に係る発明は、
手段A5に記載の遊技機であって、
前記第1の可動部および前記第2の可動部の少なくとも一方である一方可動部(第1揺動部540)に設けられた第3の可動部(第1中央前後軸回転部570)を有し、
前記第3の可動部は、
前記一方可動部から突出した突出状態と、前後方向について前記一方可動部に重なる面積が前記突出状態よりも大きな重合状態(隠伏状態)とをとることが可能なものであるとともに、
前記第2の可動部が前記近接状態であるときに、前記突出状態をとることがあることを特徴とする遊技機である。
本構成の遊技機では、第3の可動部を突出状態とすることで、より可動部全体として遊技者の注意を引くことが可能である。また、第3の可動部を突出状態とした可動部全体として、第3の可動部が重合状態であったときには遊技者が予想できなかった態様を示すことも可能である。このため、より遊技興趣を高めることが可能である。
手段A7に係る発明は、
手段A5または手段A6に記載の遊技機であって、
前記第1の可動部は、前記第1の退避位置に位置するときには、前記第2の進出位置に位置するときよりも、前後方向について前記第2の退避位置に位置する第2の可動部に重なる面積が大きなものであることを特徴とする遊技機である。
本構成の遊技機では、第1および第2の可動部がそれぞれ第1および第2の進出位置をとることで、第1および第2の可動部がそれぞれ第1および第2の退避位置をとっていたときには遊技者が予想できなかった態様を示すことが可能である。このため、より遊技興趣を高めることが可能である。