ところが、上記の特許文献に開示されている光測定装置およびその測定方法には、以下のような解決すべき課題が存在する。具体的には、上記の光測定装置および測定方法では、垂直同期信号に基づいて特定される走査周期の時間長と等しい時間長を積分時間として規定して光量の積分が行われるように測定処理の条件を設定し、設定した条件に従って測定処理を実行して発光色や輝度などの光学的パラメータを測定する構成・方法が採用されている。
この場合、この種の装置および測定方法では、所望の光学的パラメータについて、表示画面の左上、右上、中央、左下および右下などの予め規定された部位(以下、「測定対象部位」ともいう)毎に局所的に測定する構成・方法が一般的となっている。このため、例えば測定用画像を表示させた状態のCRTからの光を測定対象光とする前述のような測定処理では、走査周期の1周期内において陰極線が測定対象部位に走査されて測定対象部位が発光しているときにその光が光電変換素子によって受光されて、陰極線が測定対象部位に走査されていないとき(測定対象部位以外の部位が発光しているとき)に出射された光が光電変換素子によって受光されない状態となる。
具体的には、例えば、表示画面の左上側から右下に向かって陰極線が走査される構成のCRTにおける表示画面の左上側の部位を測定対象部位とする測定処理では、図7に示すように、垂直同期信号の出力時点を時点tt1,tt2・・とし、かつ走査周期の1周期の時間長を時間Ttとしたときに、垂直同期信号が出力された時点tt1から、陰極線が測定対象部位に走査され始める時点tda1までの時間Tda1や、陰極線が測定対象部位に走査され終えた時点tda2から、その走査周期の終点(次の垂直同期信号が出力される時点)である時点tt2までの時間Tda2においては、CRTからの光が光電変換素子によって受光されない状態となり、時点tda1から時点tda2までの間だけCRTからの光が受光されることとなる。
また、表示画面の右下側の部位を測定対象部位とした測定処理では、図8に示すように、垂直同期信号が出力された時点tt1から、陰極線が測定対象部位に走査され始める時点tdb1までの時間Tdb1や、陰極線が測定対象部位に走査され終えた時点tdb2から、その走査周期の終点(次の垂直同期信号が出力される時点)である時点tt2までの時間Tdb2においては、CRTからの光が光電変換素子によって受光されない状態となり、時点tdb1から時点tdb2までの間だけCRTからの光が受光されることとなる。
なお、図7,8や、後に参照する図3〜6では、測定対象部位毎の光の検出タイミングと走査周期との関係についての理解を容易とするために、走査周期の始点から測定対象部位において光が検出され始める時点までの時間長、および測定対象部位において光が検出され終えた時点から走査周期の終点までの時間長や、測定対象部位についての光が検出されている時間長(光量レベルが高くなっている時間長)の比率を実際の比率とは異なる比率で図示している。
このように、CRTからの光についての光学的パラメータの測定処理においては、垂直同期信号が出力された直後に測定対象の光が光電変換素子によって受光される訳ではなく、素直同期信号の出力時点から光電変換素子によって測定対象の光が受光されるまでの時間が測定対象部位毎に相違する。したがって、上記の特許文献に開示の光測定装置およびその測定方法では、測定対象部位の相違によって走査周期内のいずれの時点において測定対象部位が発光したとしても、その光の光量を積分することができるように、垂直同期信号に基づいて特定される走査周期に合わせて光量の積分時間を予め規定する構成・方法が採用されている。
しかしながら、測定対象光を出射するCRTは、温度変化や、供給電力の電圧値の変動などに起因して走査周期が逐次変化することがある。このため、測定処理に先立って走査周期を特定して積分時間を規定する上記の光測定装置およびその測定方法では、積分時間を規定するために特定した走査周期の時間長と、測定処理の実行時における走査周期の時間長とが相違する状態となることがある。この結果、規定した積分時間内に他の走査周期において出射された光の光量が検出されて積分されたり、規定した積分時間内に測定対象部位からの光の出射が完了せずに、その積分時間内において積分されるべき光量の一部が積分されなかったりする事態が生じることがある。
具体的には、図7,8に示すように、測定処理に先立ち、時点tt1,tt2に出力された垂直同期信号に基づいて走査周期の1周期の時間長を時間Ttと特定し、その2倍の長さである時間Tmを積分時間として規定したものとする。次いで、例えば表示画面の左上側を測定対象部位とする測定処理においては、図7に示すように、信号発生器から垂直同期信号が出力された時点ttn1において光量の積分が開始され、時点ttn1から時間Tmが経過したときに光量の積分を終了する。
この際に、積分時間を時間Tmと規定したときの走査周期の時間Ttと測定処理時の走査周期の時間長とが一致している場合、すなわち、積分時間の規定時と測定処理時とで走査周期が変動していない場合には、上記の時間Tm内に、時点ttn1から時点ttn2までの時間Tt内に測定対象部位から出射された光、および時点ttn2から時点ttn3(時間Tmの終点)までの時間Tt内に測定対象部位から出射された光だけが光電変換素子によって受光されてその光量が積分される。
しかしながら、積分時間の規定時における走査周期よりも測定処理時の走査周期の方が時間Tgだけが短周期となり、測定対象部位からの光の出射タイミングが、積分時間の規定時よりも早まったときには、走査周期の2周期よりも時間Tmが長くなる。かかる場合には、同図に一点鎖線で示すように、時点ttn3aにおいて出力される同期信号と時点ttn4aにおいて出力される同期信号との間の走査終期内に測定対象部位から出射される光の一部(タイミングの早まりが大きいときには、その光のすべて)の光量が積分の対象となってしまうため、積分結果に基づいて演算される光学的パラメータの値が不正確となってしまう。
また、例えば表示画面の右下側を測定対象部位とする測定処理においても、図8に示すように、信号発生器から垂直同期信号が出力された時点ttn1において光量の積分が開始され、時点ttn1から時間Tmが経過したときに光量の積分を終了する。
この際に、積分時間の規定時における走査周期よりも測定処理時の走査周期の方が時間Tgだけが長周期となり、測定対象部位からの光の出射タイミングが、積分時間の規定時よりも遅れたときには、走査周期の2周期よりも時間Tmが短くなる。かかる場合には、同図に二点鎖線で示すように、時点ttn2bにおいて出力される同期信号と時点ttn3bにおいて出力される同期信号との間の走査周期内に測定対象部位から出射される光の一部(タイミングの早まりが大きいときには、その光のすべて)が時間Tm内に光電変換素子に入射しないため、積分の対象から除外されてしまう結果、積分結果に基づいて演算される光学的パラメータの値が不正確となってしまう。
このように、上記の特許文献に開示の光測定装置およびその測定方法では、積分時間(測定時間)を規定したときの走査周期と、測定処理時における走査周期とが相違する状態となったときに、光学的パラメータの値を正確に演算することができないという問題点が存在する。なお、CRTからの光を測定対象光とする例について説明したが、CRT以外の各種の光出力装置(液晶表示器およびレーザプロジェクタなどの各種表示器や、蛍光管やLED等の各種光源を有する照明器具など)においても、それらから出力される光のリフレッシュレート(走査周期や点灯周期など)の変動に伴い、上記のCRTからの光の測定時と同様の問題が生じることとなる。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、光出力装置から所定のリフレッシュレートで出力される測定対象光についての光学的パラメータを正確に測定可能な測定処理の条件を設定し得る測定条件設定方法、およびそのような測定条件設定方法に従って測定処理の条件を設定して測定対象光についての光学的パラメータを測定し得る光測定装置を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく、請求項1記載の測定条件設定方法は、光出力装置から所定のリフレッシュレートで出力される測定対象光を受光して当該測定対象光についての予め規定された光学的パラメータの値を測定可能に構成された光測定装置による測定処理の条件を設定する測定条件設定方法であって、前記リフレッシュレートと同期しているタイミング信号を前記光出力装置から取得して当該タイミング信号に基づいて特定される周期の始点から前記光測定装置に前記測定対象光が入射する時点までの第1の時間長を特定する第1の処理と、予め規定された加算時間算出方法に従って算出した加算時間を前記第1の時間長に加算する加算処理、および予め規定された減算時間算出方法に従って算出した減算時間を前記第1の時間長から減算する減算処理のいずれか予め規定された一方を実行して第2の時間長を特定する第2の処理とを実行し、前記タイミング信号が出力された時点から前記第2の時間長が経過した時点を前記測定処理の開始点として、当該タイミング信号に基づいて特定される周期のN周期(Nは、予め規定された自然数)に亘って前記光学的パラメータの値を測定するように当該測定処理の条件を設定する。
また、請求項2記載の測定条件設定方法は、請求項1記載の測定条件設定方法において、前記第2の処理において前記加算処理を実行するときに、前記加算時間算出方法として、前記タイミング信号に基づいて特定される周期の(1/M)の時間長(Mは、2以上の予め規定された自然数)を前記加算時間として算出する。
さらに、請求項3記載の測定条件設定方法は、請求項1記載の測定条件設定方法において、前記第2の処理において前記減算処理を実行するときに、前記減算時間算出方法として、前記タイミング信号に基づいて特定される周期の(1/M)の時間長(Mは、2以上の予め規定された自然数)を前記減算時間として算出する。
さらに、請求項4記載の測定条件設定方法は、請求項2または3記載の測定条件設定方法において、前記タイミング信号に基づいて特定される周期の(1/M)の時間長として当該タイミング信号に基づいて特定される周期の(1/2)の時間長を算出する。
また、請求項5記載の光測定装置は、光出力装置から所定のリフレッシュレートで出力される測定対象光を受光して受光量に応じた検出信号を出力する受光部と、前記検出信号に基づいて前記測定対象光についての予め規定された光学的パラメータの値を算出する測定処理を実行する処理部とを備えた光測定装置であって、前記処理部は、前記リフレッシュレートと同期しているタイミング信号を前記光出力装置から取得して当該タイミング信号に基づいて特定される周期の始点から前記光測定装置に前記測定対象光が入射する時点までの第1の時間長を特定する第1の処理と、予め規定された加算時間算出方法に従って加算時間を算出して当該加算時間を前記第1の時間長に加算する加算処理、および予め規定された減算時間算出方法に従って減算時間を算出して当該減算時間を前記第1の時間長から減算する減算処理のいずれか予め規定された一方を実行して第2の時間長を特定する第2の処理とを実行し、前記タイミング信号が出力された時点から前記第2の時間長が経過した時点を前記測定処理の開始点として、当該タイミング信号に基づいて特定される周期のN周期(Nは、予め規定された自然数)に亘って前記光学的パラメータの値を測定するように当該測定処理の条件を設定し、当該N周期分の前記検出信号に基づいて前記光学的パラメータの値を測定する。
請求項1記載の測定条件設定方法、および請求項5記載の光測定装置では、光出力装置におけるリフレッシュレートと同期しているタイミング信号を取得してタイミング信号に基づいて特定される周期の始点から光測定装置に測定対象光が入射する時点までの第1の時間長を特定する第1の処理と、予め規定された加算時間算出方法に従って算出した加算時間を第1の時間長に加算する加算処理、および予め規定された減算時間算出方法に従って算出した減算時間を第1の時間長から減算する減算処理のいずれか予め規定された一方を実行して第2の時間長を特定する第2の処理とを実行し、タイミング信号が出力された時点から第2の時間長が経過した時点を測定処理の開始点として、タイミング信号に基づいて特定される周期のN周期に亘って光学的パラメータの値を測定するように測定処理の条件を設定する。
したがって、請求項1記載の測定条件設定方法、および請求項5記載の光測定装置によれば、タイミング信号の出力時点から、第2の時間長が経過した時点において測定処理(光量の積算処理等)を開始することで、測定処理の時間長(積分時間の時間長等)を特定するときの光出力装置のリフレッシュレートと、測定処理時における光出力装置のリフレッシュレートとが相違する状態になったとしても、N周期の次の周期で出力される測定対象光が測定されたり(N周期の次の周期で出力される測定対象光の光量が積算されたり)、N周期内で出力される測定対象光が測定されなかったり(N周期内で出力される測定対象光の光量が積算されなかったり)して、測定される光学的パラメータの値が不正確となる事態を好適に回避して正確な値を測定することができる。
また、請求項2記載の測定条件設定方法では、第2の処理において加算処理を実行するときに、加算時間算出方法として、タイミング信号に基づいて特定される周期の(1/M)の時間長を加算時間として算出する。したがって、請求項2記載の測定条件設定方法、およびそのような測定条件設定方法に従って測定処理の条件を設定する光測定装置によれば、加算時間を容易に算出することができるため、第2の時間長を短時間で特定することができる。また、光測定装置において加算時間を演算する構成を採用したときには、処理部が第2の時間長を特定するのに要する負担が小さいため、他の処理と並行して第2の処理を実行するために高性能な処理部を搭載しなくても測定処理の条件を設定できる結果、光測定装置の製造コストの高騰を回避することができる。
また、請求項3記載の測定条件設定方法では、第2の処理において減算処理を実行するときに、減算時間算出方法として、タイミング信号に基づいて特定される周期の(1/M)の時間長を減算時間として算出する。したがって、請求項3記載の測定条件設定方法、およびそのような測定条件設定方法に従って測定処理の条件を設定する光測定装置によれば、減算時間を容易に算出することができるため、第2の時間長を短時間で特定することができる。また、光測定装置において減算時間を演算する構成を採用したときには、処理部が第2の時間長を特定するのに要する負担が小さいため、他の処理と並行して第2の処理を実行するために高性能な処理部を搭載しなくても測定処理の条件を設定できる結果、光測定装置の製造コストの高騰を回避することができる。
さらに、請求項4記載の測定条件設定方法では、タイミング信号に基づいて特定される周期の(1/M)の時間長としてタイミング信号に基づいて特定される周期の(1/2)の時間長を算出する。したがって、請求項4記載の測定条件設定方法、およびそのような測定条件設定方法に従って測定処理の条件を設定する光測定装置によれば、測定処理の時間長(積分時間の時間長等)を特定するときの光出力装置のリフレッシュレートと、測定処理時における光出力装置のリフレッシュレートとが同程度のときに、第1の時間長の長短に拘わらず、測定処理の始点からタイミング信号に基づいて特定される周期の中程で受光部に測定対象光が入射するように測定処理の条件が設定される。これにより、N周期の次の周期で出力される測定対象光が測定されたり、N周期内で出力される測定対象光が測定されなかったりする状態にならない「リフレッシュレートの変動許容量」に関し、測定処理の時間長を特定したときのリフレッシュレートよりも短周期となったとき、および測定処理の時間長を特定したときのリフレッシュレートよりも長周期となったときの双方について同程度の量が存在する条件が設定されるため、測定される光学的パラメータの値が不正確となる可能性を十分に低減することができる。
以下、光測定装置、検査装置および光測定方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1に示す光測定装置1は、後述する「測定条件設定方法」に従って測定処理の条件を設定して測定対象光についての光学的パラメータの値を測定可能に構成された「光測定装置」の一例であって、レーザプロジェクタLPから出力されるレーザ光Lなどを「測定対象光」とする各種光学的パラメータの値を測定することが可能に構成されている。
この場合、レーザプロジェクタLPは、「光出力装置」の一例であって、動作モード(描画モード)に応じたリフレッシュレート(走査周期)でレーザ光Lを走査してスクリーン等に各種の画像(映像)を表示させることができるように構成されている。また、レーザプロジェクタLPは、リフレッシュレートと同期しているタイミング信号Stを外部装置に出力可能に構成されている。
光測定装置1は、受光部2、信号変換部3、操作部4、表示部5、処理部6および記憶部7を備え、レーザ光Lの光量(光パワー)、重心波長、波長幅(スペクトル波長幅)、および歪度などの各種光学的パラメータ(「予め規定された光学的パラメータ」の一例)を測定可能に構成されている。
なお、本例の光測定装置1は、実際には、受光部2に対するレーザ光Lの入射方向や入射量を規制するための光拡散部や、アパーチャおよび導光用の光ファイバなどを備えているが、これらの構成および機能については公知のため、図示および詳細な説明を省略する。また、上記のレーザプロジェクタLPは、赤色のレーザ光L、緑色のレーザ光L、および青色のレーザ光Lを出射して任意の色および明るさの画像を表示させる構成が採用されている。このため、実際の光測定装置1では、赤色のレーザ光L、緑色のレーザ光L、および青色のレーザ光Lについての光量をそれぞれ別個に特定することができるように構成されているが、「測定条件設定方法」の内容、および「光測定装置」の構成に関する理解を容易とするために、単色のレーザ光Lについての光学的パラメータを測定する構成を例に挙げて説明する。
受光部2は、「受光部」の一例であって、受光センサ20a,20bを備えている。また、受光センサ20aは、光学フィルタ21,22aおよび光電変換部23aを備え、受光センサ20bは、光学フィルタ21,22bおよび光電変換部23bを備えて構成されている。なお、本例の光測定装置1では、1つの光学フィルタ21を受光センサ20a,20bによって共用しているが、受光センサ20a,20b毎に別個に光学フィルタ21を設けてもよい。また、光電変換部23aは、光学フィルタ21,22aを透過したレーザ光Lを受光可能に配設されて受光量に応じた検出信号Sd(「検出信号」の一例:一例として、レーザ光Lの受光量に応じて値が大きくなる電流信号)を出力し、光電変換部23bは、光学フィルタ21,22bを透過したレーザ光Lを受光可能に配設されて受光量に応じた検出信号Sd(「検出信号」の一例)を出力する。
信号変換部3は、処理部6と相俟って「処理部」を構成する要素であって、I/V変換部およびA/D変換部(共に図示せず)を備えて検出信号Sdを信号処理可能に構成されている。具体的には、信号変換部3は、各受光センサ20a,20b(各光電変換部23a,23b)から出力される検出信号SdをそれぞれI/V変換することで得られる電圧信号を予め規定された周期でA/D変換することによって検出信号データDdを生成し、生成した検出信号データDdを処理部6に順次出力する。
操作部4は、測定処理の条件の設定操作や、測定処理の開始/停止を指示する各種の操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を処理部6に出力する。表示部5は、処理部6の制御に従い、図示しない測定結果表示画面などを表示することにより、レーザプロジェクタLPからのレーザ光Lについての測定結果を報知する。
処理部6は、光測定装置1を総括的に制御する。この処理部6は、前述したように信号変換部3と相俟って「処理部」を構成し、レーザプロジェクタLPからタイミング信号St(「リフレッシュレートと同期しているタイミング信号」の一例)を取得して測定処理の条件の1つである後述の積分時間(測定時間:測定周期)などを設定して光学的パラメータを測定する。なお、測定処理の条件の設定や測定処理の手順の具体的な内容については、後に図面を参照して詳細に説明する。また、処理部6は、測定処理の結果を記録したり表示部5に表示させたりする。記憶部7は、処理部6の動作プログラムや、設定された条件を特定可能な測定条件データなどを記憶する。
次に、光測定装置1を用いたレーザ光Lについての測定処理について説明する。
まず、検査対象のレーザプロジェクタLPからタイミング信号Stを取得可能に光測定装置1をレーザプロジェクタLPに接続すると共に、一例としてレーザプロジェクタLPからのレーザ光Lによって各種の画像(映像)を表示するスクリーンの位置に光測定装置1を設置する。この場合、本例では、図2に示すように、一例として、レーザプロジェクタLPからのレーザ光Lによって画像(映像)を表示する表示範囲Aのうちの位置Pa(左上側)、位置Pb(右下側)および位置Pc(中央)の3箇所において光学的パラメータを測定する測定処理をそれぞれ実行するものとする。
まず、位置Paにおける測定処理に際しては、レーザプロジェクタLPからのレーザ光Lが受光部2に対して照射されるように受光部2の受光面をレーザプロジェクタLPに向けて光測定装置1を位置Paに設置すると共に、操作部4の電源スイッチ(図示せず)を走査して電源を投入する。この際には、受光部2の各受光センサ20a,20bから受光量に応じた検出信号Sdがそれぞれ出力されると共に、信号変換部3によって検出信号データDdが生成されて処理部6に出力される状態となる。なお、レーザプロジェクタLPによる画像の表示が開始されていないこの時点においては、「光量=0」に対応する検出信号データDdが信号変換部3から出力される状態となる。
次いで、レーザプロジェクタLPを動作チェックモードで動作させて測定用画像(一例として、表示範囲Aの全域が白色の画像)の表示処理を開始させる。この際に、レーザプロジェクタLPは、測定用画像を表示させるためのレーザ光Lの出力(走査)を開始すると共に、光測定装置1に対してレーザ光Lの走査周期(リフレッシュレート)に同期したタイミング信号Stの出力を開始する。
続いて、操作部4を操作して測定処理の開始を指示する。この際に、処理部6は、測定処理の開始に先立ち、位置Paにおける測定処理の条件を設定する処理を開始する。具体的には、処理部6は、図3に示すように、まず、レーザプロジェクタLPからタイミング信号Stが出力された時点tt1(「タイミング信号に基づいて特定される周期の始点」の一例)から、レーザプロジェクタLPによるレーザ光Lの走査に伴って位置Paへのレーザ光Lの走査が開始される時点tda(信号変換部3から検出信号データDdが所定の光量レベルを超える光量に対応する値に上昇したとき:「光測定装置に測定対象光が入射する時点」の一例)までの時間Tda(「第1の時間長」の一例)を特定する(「第1の処理」の一例)。
次いで、処理部6は、測定処理の周期の時間長を規定する。具体的には、処理部6は、まず、上記の時点tt1、およびその次にタイミング信号Stが出力された時点tt2の間の時間長を特定し、レーザプロジェクタLPによるレーザ光Lの走査周期の時間長が時間Ttであると特定する。また、処理部6は、一例として、利用者によって予め指定された条件に従い、レーザ光Lの走査周期(時間Tt)のN=2倍の時間Tmを測定処理の周期の時間長として規定する(「タイミング信号に基づいて特定される周期のN周期」がN=2周期分の時間Tmの例)。
続いて、処理部6は、タイミング信号Stの出力時点から測定処理を開始するまでの待機時間を規定する。具体的には、処理部6は、一例として、まず、タイミング信号St,Stに基づいて特定される周期の時間Ttの(1/2)の時間Ttmを演算する。なお、本例では、この時間Ttmを演算する処理が、「タイミング信号に基づいて特定される周期の(1/M)の時間長としてタイミング信号に基づいて特定される周期の(1/2)の時間長を算出する」との処理に相当すると共に、「予め規定された加算時間算出方法に従って加算時間を算出する」との処理に相当する。また、処理部6は、算出した時間Ttmを時間Tdaに加算し(「加算処理」の一例)、その演算結果である時間Twa(「第2の時間長」の一例)を待機時間として規定する(「加算処理および減算処理のいずれか予め規定された一方」として「加算処理」を実行する「第2の処理」の一例)。
次いで、処理部6は、タイミング信号Stが出力された時点から時間Twaが経過した時点を測定処理の開始点として、時間Ttの周期のN=2周期分の時間Tmに亘って、後述する光量の積算処理を実行するように測定処理の条件を設定する。以上により、条件の設定処理が完了し、位置Paにおける測定処理を開始する準備が整う。なお、本例の光測定装置1では、一例として、上記の条件の設定が完了した時点以降に最初にタイミング信号Stが出力されたときに測定処理が自動的に開始される構成が採用されている。
具体的には、処理部6は、上記のように測定条件の設定が完了した時点以降に最初にタイミング信号Stが出力された時点ttn1から、設定した待機時間である時間Twaが経過した時点tm1aにおいて、信号変換部3からの検出信号データDdに基づいて特定される光量の積算を開始する。また、処理部6は、時点tm1aから時間Tmが経過した時点tm3aにおいて光量の積算を終了する。これにより、時点tm1aから時点tm3aまでの時間Tm内に受光部2に対して入射したレーザ光Lの光量の積算値が求められる。
この場合、表示範囲Aの左上側の位置Paを測定対象部位としている本例では、図3に示す光量変化の例のように、レーザ光Lの走査周期(時間Tt)の始点寄りの時点において受光部2にレーザ光Lが入射することとなる。したがって、時間Tmを規定したときの走査周期(時点tt1を始点とする走査周期)よりも、測定処理時の走査周期(時点ttn1以降の各走査周期)の方が時間Tgだけが短周期となり、位置Paに向けてのレーザ光Lの出射タイミング(走査タイミング)が早まったときに、上記のような待機時間(時間Twa)を設けずにタイミング信号Stの出力時点から時間Tmに亘って光量を積算したときには、測定対象としている走査周期に続く走査周期内で位置Paに出射されるレーザ光L光の光量が積算されてしまうおそれがある。
これに対して、前述した条件の設定により、タイミング信号Stの出力時点から時間Twaの待機時間を設けて時間Tmに亘る積算を行う本例の構成・方法では、測定処理時の走査周期の方が時間Tgだけ短周期となり、位置Paに向けてのレーザ光Lの出射タイミングが早まった状態になったとしても、図3に一点鎖線で示す光量変化の例のように、測定対象としている走査周期(時点ttn2aを始点とする走査周期、および時点ttn3aを始点とする走査周期)に続く走査周期(時点ttn4aを始点とする走査周期)内で位置Paに向けて出射されるレーザ光Lの光量が時間Tm内の積算結果に加算される事態が回避される。
この後、処理部6は、時間Tmに亘って積算した光量の値に基づき、レーザ光Lの光量(光パワー)、重心波長、波長幅(スペクトル波長幅)、および歪度などの各種の光学的パラメータを演算する。以上により、位置Paを測定対象部位とする一連の測定処理が完了する。
また、位置Pbにおける測定処理に際しては、レーザプロジェクタLPからのレーザ光Lが受光部2に対して照射されるように受光部2の受光面をレーザプロジェクタLPに向けて光測定装置1を位置Pbに設置して電源を投入すると共に、レーザプロジェクタLPによる測定用画像の表示処理を開始させる。なお、上記の位置Paにおける測定処理時と同様の事項については説明を省略する。
次いで、操作部4の操作によって測定処理の開始が指示されたときに、処理部6は、測定処理の開始に先立ち、位置Pbにおける測定処理の条件を設定する処理を開始する。具体的には、処理部6は、前述の位置Paにおける測定処理の条件を設定したときと同様にして、図4に示すように、まず、レーザプロジェクタLPからタイミング信号Stが出力された時点tt1から、レーザプロジェクタLPによるレーザ光Lの走査に伴って位置Pbへのレーザ光Lの走査が開始される時点tdb(「光測定装置に測定対象光が入射する時点」の他の一例)までの時間Tdb(「第1の時間長」の他の一例)を特定する(「第1の処理」の他の一例)。
次いで、処理部6は、測定処理の周期の時間長を規定する。具体的には、処理部6は、まず、レーザプロジェクタLPによるレーザ光Lの走査周期の時間長が時間Ttであると特定する。また、処理部6は、一例として、利用者によって予め指定された条件に従い、レーザ光Lの走査周期(時間Tt)のN=2倍の時間Tmを測定処理の周期の時間長として規定する。
続いて、処理部6は、タイミング信号Stの出力時点から測定処理を開始するまでの待機時間を規定する。具体的には、処理部6は、一例として、まず、タイミング信号St,Stに基づいて特定される周期の時間Ttの(1/2)の時間Ttmを演算する。また、処理部6は、算出した時間Ttmを時間Tdbに加算し(「加算処理」の他の一例)、その演算結果である時間Twb(「第2の時間長」の他の一例)を待機時間として規定する(「加算処理および減算処理のいずれか予め規定された一方」として「加算処理」を実行する「第2の処理」の他の一例)。
次いで、処理部6は、タイミング信号Stが出力された時点から時間Twbが経過した時点を測定処理の開始点として、時間Ttの周期のN=2周期分の時間Tmに亘って光量の積算処理を実行するように測定処理の条件を設定する。以上により、条件の設定処理が完了し、位置Pbにおける測定処理を開始する準備が整う。
次いで、処理部6は、上記のように測定条件の設定が完了した時点以降に最初にタイミング信号Stが出力された時点ttn1から、設定した待機時間である時間Twbが経過した時点tm1bにおいて、信号変換部3からの検出信号データDdに基づいて特定される光量の積算を開始する。また、処理部6は、時点tm1bから時間Tmが経過した時点tm3bにおいて光量の積算を終了する。これにより、時点tm1bから時点tm3bまでの時間Tm内に受光部2に対して入射したレーザ光Lの光量の積算値が求められる。
この場合、表示範囲Aの右下側の位置Pbを測定対象部位としている本例では、図4に実線で示す光量変化の例のように、レーザ光Lの走査周期(時間Tt)の終点寄りの時点において受光部2にレーザ光Lが入射することとなる。したがって、時間Tmを規定したときの走査周期(時点tt1を始点とする走査周期)よりも、測定処理時の走査周期(時点ttn1以降の各走査周期)の方が時間Tgだけが長周期となり、位置Pbに向けてのレーザ光Lの出射タイミング(走査タイミング)に遅れが生じたときに、上記のような待機時間(時間Twb)を設けずにタイミング信号Stの出力時点から時間Tmに亘って光量を積算したときには、前述したように、測定対象としている走査周期内でレーザプロジェクタLPから出射され始めたレーザ光Lの光量の一部(または、すべて)が積算されない状態となってしまうおそれがある。
これに対して、前述した条件の設定により、タイミング信号Stの出力時点から時間Twbの待機時間を設けて時間Tmに亘る積算を行う本例の構成・方法では、測定処理時の走査周期の方が時間Tgだけ長周期となり、位置Pbに向けてのレーザ光Lの出射タイミングに遅れが生じたとしても、図4に二点鎖線で示す光量変化の例のように、測定対象としている走査周期(時点ttn2bを始点とする走査周期、および時点ttn3bを始点とする走査周期)内で出射されたレーザ光Lの光量が時間Tm内の積算結果に加算されない状態となる事態が回避される。
この後、処理部6は、時間Tmに亘って積算した光量の値に基づき、レーザ光Lの光量(光パワー)、重心波長、波長幅(スペクトル波長幅)、および歪度などの各種の光学的パラメータを演算する。以上により、位置Pbを測定対象部位とする一連の測定処理が完了する。
また、位置Pcにおける測定処理に際しては、レーザプロジェクタLPからのレーザ光Lが受光部2に対して照射されるように受光部2の受光面をレーザプロジェクタLPに向けて光測定装置1を位置Pcに設置して電源を投入すると共に、レーザプロジェクタLPによる測定用画像の表示処理を開始させる。なお、上記の位置Pa,Pbにおける測定処理時と同様の事項については説明を省略する。
次いで、操作部4の操作によって測定処理の開始が指示されたときに、処理部6は、測定処理の開始に先立ち、位置Pcにおける測定処理の条件を設定する処理を開始する。具体的には、処理部6は、前述の位置Pa,Pbにおける測定処理の条件を設定したときと同様にして、図5に示すように、まず、レーザプロジェクタLPからタイミング信号Stが出力された時点tt1から、レーザプロジェクタLPによるレーザ光Lの走査に伴って位置Pcへのレーザ光Lの走査が開始される時点tdc(「光測定装置に測定対象光が入射する時点」のさらに他の一例)までの時間Tdc(「第1の時間長」のさらに他の一例)を特定する(「第1の処理」のさらに他の一例)。
次いで、処理部6は、測定処理の周期の時間長を規定する。具体的には、処理部6は、まず、レーザプロジェクタLPによるレーザ光Lの走査周期の時間長が時間Ttであると特定する。また、処理部6は、一例として、利用者によって予め指定された条件に従い、レーザ光Lの走査周期(時間Tt)のN=2倍の時間Tmを測定処理の周期の時間長として規定する。
続いて、処理部6は、タイミング信号Stの出力時点から測定処理を開始するまでの待機時間を規定する。具体的には、処理部6は、一例として、まず、タイミング信号St,Stに基づいて特定される周期の時間Ttの(1/2)の時間Ttmを演算する。また、処理部6は、算出した時間Ttmを時間Tdcに加算し(「加算処理」のさらに他の一例)、その演算結果である時間Twc(「第2の時間長」のさらに他の一例)を待機時間として規定する(「加算処理および減算処理のいずれか予め規定された一方」として「加算処理」を実行する「第2の処理」のさらに他の一例)。
次いで、処理部6は、タイミング信号Stが出力された時点から時間Twcが経過した時点を測定処理の開始点として、時間Ttの周期のN=2周期分の時間Tmに亘って光量の積算処理を実行するように測定処理の条件を設定する。以上により、条件の設定処理が完了し、位置Pcにおける測定処理を開始する準備が整う。
次いで、処理部6は、上記のように測定条件の設定が完了した時点以降に最初にタイミング信号Stが出力された時点ttn1から、設定した待機時間である時間Twcが経過した時点tm1cにおいて、信号変換部3からの検出信号データDdに基づいて特定される光量の積算を開始する。また、処理部6は、時点tm1cから時間Tmが経過した時点tm3cにおいて光量の積算を終了する。これにより、時点tm1cから時点tm3cまでの時間Tm内に受光部2に対して入射したレーザ光Lの光量の積算値が求められる。
この場合、詳細な説明を省略するが、表示範囲Aの中央の位置Pcを測定対象部位としている本例においても、走査周期が短周期となったり長周期となったりしたときに、測定対象としている走査周期に続く走査周期内で位置Pcに向けて出射されるレーザ光Lの光量(一点鎖線で示す光量変化の例)が時間Tm内の積算結果に加算される事態や、測定対象としている走査周期内で出射されたレーザ光Lの光量(二点鎖線で示す光量変化の例)が時間Tm内の積算結果に加算されない状態となる事態が回避される。
この後、処理部6は、時間Tmに亘って積算した光量の値に基づき、レーザ光Lの光量(光パワー)、重心波長、波長幅(スペクトル波長幅)、および歪度などの各種の光学的パラメータを演算する。以上により、位置Pcを測定対象部位とする一連の測定処理が完了する。
一方、タイミング信号Stの出力時点から測定処理(光量の積算処理)を開始するまでの待機時間(第2の時間)の特定に際して「加算処理」を実行する構成・方法について説明したが、このような構成・方法に代えて、「減算処理」によって待機時間(第2の時間)を特定する構成・方法を採用することもできる。
例えば、位置Pbにおける測定処理に際して待機時間を「減算処理」によって特定するときに、処理部6は、図6に示すように、まず、前述した「加算処理」による待機時間の特定時と同様にして、レーザプロジェクタLPからタイミング信号Stが出力された時点tt1から、レーザプロジェクタLPによるレーザ光Lの走査に伴って位置Pbへのレーザ光Lの走査が開始される時点tdbまでの時間Tdb(「第1の時間長」の一例)を特定する(「第1の処理」の一例)。次いで、処理部6は、測定処理の周期の時間長が時間Ttであると特定すると共に、一例として、利用者によって予め指定された条件に従い、レーザ光Lの走査周期(時間Tt)のN=2倍の時間Tmを測定処理の周期の時間長として規定する。
続いて、処理部6は、タイミング信号St,Stに基づいて特定される周期の時間Ttの(1/2)の時間Ttmを演算する。なお、本例では、この時間Tmを演算する処理が、「タイミング信号に基づいて特定される周期の(1/M)の時間長としてタイミング信号に基づいて特定される周期の(1/2)の時間長を算出する」との処理に相当すると共に、「予め規定された減算時間算出方法に従って減算時間を算出する」との処理に相当する。また、処理部6は、算出した時間Ttmを時間Tdbから減算し(「減算処理」の一例)、その演算結果である時間Twd(「第2の時間長」のさらに他の一例)を待機時間として規定する(「加算処理および減算処理のいずれか予め規定された一方」として「減算処理」を実行する「第2の処理」の一例)。
次いで、処理部6は、タイミング信号Stが出力された時点から時間Twdが経過した時点を測定処理の開始点として、時間Ttの周期のN=2周期分の時間Tmに亘って光量の積算処理を実行するように測定処理の条件を設定する。以上により、条件の設定処理が完了し、位置Pbにおける測定処理を開始する準備が整う。
次いで、処理部6は、上記のように測定条件の設定が完了した時点以降に最初にタイミング信号Stが出力された時点ttn1から、設定した待機時間である時間Twdが経過した時点tm1dにおいて、信号変換部3からの検出信号データDdに基づいて特定される光量の積算を開始する。また、処理部6は、時点tm1dから時間Tmが経過した時点tm3dにおいて光量の積算を終了する。これにより、時点tm1dから時点tm3dまでの時間Tm内に受光部2に対して入射したレーザ光Lの光量の積算値が求められる。
この場合、詳細な説明を省略するが、位置Pbを測定対象部位とし、待機時間の特定(第2の処理)に際して「減算処理」を実行する本例において、走査周期が短周期となったり長周期となったりしたときに、測定対象としている走査周期に続く走査周期内で位置Pbに向けて出射されるレーザ光Lの光量(一点鎖線で示す光量変化の例)が時間Tm内の積算結果に加算される事態や、測定対象としている走査周期内で出射されたレーザ光Lの光量(二点鎖線で示す光量変化の例)が時間Tm内の積算結果に加算されない状態となる事態が回避される。
この後、処理部6は、時間Tmに亘って積算した光量の値に基づき、レーザ光Lの光量(光パワー)、重心波長、波長幅(スペクトル波長幅)、および歪度などの各種の光学的パラメータを演算する。以上により、位置Pbを測定対象部位とする一連の測定処理が完了する。
このように、この光測定装置1、およびその測定条件設定方法では、レーザプロジェクタLPにおけるリフレッシュレート(レーザ光Lの走査周期)と同期しているタイミング信号Stを取得してタイミング信号Stに基づいて特定される周期(時間Ttの周期)の始点から光測定装置1にレーザ光Lが入射する時点までの「第1の時間長」を特定する「第1の処理」と、予め規定された「加算時間算出方法」に従って算出した「加算時間」を「第1の時間長」に加算する「加算処理」、および予め規定された「減算時間算出方法」に従って算出した「減算時間」を「第1の時間長」から減算する「減算処理」のいずれか予め規定された一方を実行して「第2の時間長」を特定する「第2の処理」とを実行し、タイミング信号Stが出力された時点から「第2の時間長」が経過した時点を測定処理の開始点として、タイミング信号Stに基づいて特定される周期のN周期(本例では、N=2周期分の時間Tm)に亘って光学的パラメータの値を測定する(レーザ光Lの光量を積算する)ように測定処理の条件を設定する。
したがって、この光測定装置1、およびその測定条件設定方法によれば、タイミング信号Stの出力時点から、「第2の時間長」が経過した時点において測定処理(光量の積算処理)を開始することで、測定処理の時間長(積分時間の時間長)を特定するときのレーザプロジェクタLPのリフレッシュレートと、測定処理時におけるレーザプロジェクタLPのリフレッシュレートとが相違する状態になったとしても、N周期の次の周期で出力されるレーザ光Lが測定されたり(N周期の次の周期で出力されるレーザ光Lの光量が積算されたり)、N周期内で出力されるレーザ光Lが測定されなかったり(N周期内で出力されるレーザ光Lの光量が積算されなかったり)して、測定される光学的パラメータの値が不正確となる事態を好適に回避して正確な値を測定することができる。
また、この光測定装置1、およびその測定条件設定方法では、「第2の処理」において「加算処理」を実行するときに、「加算時間算出方法」として、タイミング信号Stに基づいて特定される周期の(1/M)の時間長Ttm(本例では、(1/M)=(1/2)の時間長)を「加算時間」として算出する。したがって、この光測定装置1、およびその測定条件設定方法によれば、「加算時間」を容易に算出することができるため、「第2の時間長」を短時間で特定することができる。また、光測定装置1において「加算時間」を演算する構成を採用している本例では、処理部6が「第2の時間長」を特定するのに要する負担が小さいため、他の処理と並行して「第2の処理」を実行するために高性能な「処理部」を搭載しなくても測定処理の条件を設定できる結果、光測定装置1の製造コストの高騰を回避することができる。
また、この光測定装置1、およびその測定条件設定方法では、「第2の処理」において「減算処理」を実行するときに、「減算時間算出方法」として、タイミング信号Stに基づいて特定される周期の(1/M)の時間長Ttm(本例では、(1/M)=(1/2)の時間長)を「減算時間」として算出する。したがって、この光測定装置1、およびその測定条件設定方法によれば、「減算時間」を容易に算出することができるため、「第2の時間長」を短時間で特定することができる。また、光測定装置1において「減算時間」を演算する構成を採用している本例では、処理部6が「第2の時間長」を特定するのに要する負担が小さいため、他の処理と並行して「第2の処理」を実行するために高性能な「処理部」を搭載しなくても測定処理の条件を設定できる結果、光測定装置1の製造コストの高騰を回避することができる。
さらに、この光測定装置1、およびその測定条件設定方法では、タイミング信号Stに基づいて特定される周期の(1/M)の時間長としてタイミング信号Stに基づいて特定される周期の(1/2)の時間長を算出する。したがって、この光測定装置1、およびその測定条件設定方法によれば、測定処理の時間長(積分時間の時間長)を特定するときのレーザプロジェクタLPのリフレッシュレートと、測定処理時におけるレーザプロジェクタLPのリフレッシュレートとが同程度のときに、「第1の時間長」の長短に拘わらず、測定処理の始点からタイミング信号Stに基づいて特定される周期の中程で受光部2にレーザ光Lが入射するように測定処理の条件が設定される。これにより、N周期の次の周期で出力されるレーザ光Lが測定されたり、N周期内で出力されるレーザ光Lが測定されなかったりする状態にならない「リフレッシュレートの変動許容量」に関し、測定処理の時間長を特定したときのリフレッシュレートよりも短周期となったとき、および測定処理の時間長を特定したときのリフレッシュレートよりも長周期となったときの双方について同程度の量が存在する条件が設定されるため、測定される光学的パラメータの値が不正確となる可能性を十分に低減することができる。
なお、「測定条件設定方法」の手順や「光測定装置」の構成については、上記の光測定装置1による処理手順や構成の例に限定されない。例えば、処理部6が測定処理の開始に先立って条件を自動的に設定する構成・方法を例に挙げて説明したが、このような構成・方法に代えて、「第2の処理」については利用者が行い、光測定装置1の外部で演算した「第2の時間長」を光測定装置1に入力する(待機時間を利用者が定める)構成・方法を採用することもできる。
また、表示範囲A内における複数箇所(上記の例では、位置Pa〜Pcの3箇所)において測定処理を実行するときに、それぞれ別個に測定処理を行う例について説明したが、複数台の光測定装置1を位置Pa〜Pcにそれぞれ設置してそれぞれの位置における測定処理を同時に並行して実行したり、測定対象部位の数(本例では、位置Pa〜Pcの3つ)に応じた複数の受光部2および信号変換部3を備えて光測定装置1を構成し、各信号変換部3からの検出信号データDdを並行して処理することでそれぞれの位置における測定処理を同時に並行して実行したりすることもできる。
また、「タイミング信号に基づいて特定される周期のN周期に亘って光学的パラメータの値を測定する」との事項に関し、時間Ttの2周期(N=2の例)に相当する時間Tmに亘って積算した光量に基づいて光学的パラメータを演算する例について説明したが、時間TtのN=1周期(すなわち、時間Tt)に亘って光学的パラメータの値を測定したり、時間TtのN=3周期以上に亘って光学的パラメータの値を測定したりする構成・方法を採用することもできる。
さらに、「タイミング信号に基づいて特定される周期の(1/M)の時間長を加算時間(減算時間)として算出する」との事項に関し、時間Ttの1/2(M=2の例)に相当する時間Ttmを算出する例について説明したが、時間Ttの(1/3)の時間長(M=3の例)や、時間Ttの(1/4)の時間長(M=4の例)を「加算時間」や「減算時間」として算出する構成・方法を採用することもできる。この場合、Mの値が大き過ぎると「加算時間」や「減算時間」が「第1の時間」と同程度となってしまうため、Mの値については、できるだけ小さな値とするのが好ましい。
また、「光出力装置」としてのレーザプロジェクタLPからのレーザ光Lを「測定対象光」として光学的パラメータを測定する例について説明したが、「光出力装置から出力される測定対象光」は、レーザプロジェクタLPから出射されるレーザ光Lに限定されず、CRT、液晶表示器および有機EL表示器などの各種表示器や、蛍光管やLED等の各種光源を有する照明器具などの「所定のリフレッシュレートで光を出力する光出力装置」からの各種の光を「測定対象光」として光学的パラメータを測定する場合においても、「測定条件設定方法」の手順や「光測定装置」の構成を採用することで、前述した効果と同様の効果を奏することができる。
さらに、光学的パラメータとして「光量」、「重心波長」、「波長幅」および「歪度」などを測定する例について説明したが、その他の任意の光学的パラメータを測定する構成・方法を採用することもできる。