JP6982303B2 - 下肢支援装置、下肢支援装置セット、および下肢支援装置セットの制御方法 - Google Patents
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Description
この上肢支援装置における直動ダンパでは、筒状のシリンダの内部に、軸方向の一方側に向けて付勢部材により付勢され、かつ電磁誘導コイルが巻回されたボビンが配置されている。ボビンの軸方向の一方側の端部には、外部からロッドが連結されている。また、シリンダの内部には磁気粘性流体が充填されている。
また、本発明の一態様は、前述した直動ダンパにおいて、前記ボビンの外周面には、径方向の内側に向けて窪む収容凹部が形成され、前記収容凹部の外径は、前記ロッドの外径よりも大きい。
また、本発明の一態様は、前述した直動ダンパにおいて、前記ボビンの外周面には、径方向の内側に向けて窪む収容凹部が軸方向に間隔をあけて複数形成され、前記電磁誘導コイルは、複数の前記収容凹部における外周面に、各別に巻回されている。
まず、本実施形態に係る下肢支援装置1について説明する。本実施形態では、右脚用の下肢支援装置1を例に挙げて説明する。また、下肢支援装置1が支援する障碍とは、足部をその後端部回りに、脚部に対して回動させる動作(つま先を上下に動かす動作)を正常に行えない状態を指す。
以下の説明において、第1支柱部22が延びる方向を上下方向といい、第1足載部21のつま先と踵を結ぶ方向を前後方向という。第1足載部21の左右方向を左右方向という。
第1装着体20は、帯状部材であり、一端部と他端部とを互いに固着して、筒状にすることで、障碍脚に装着される。第1装着体20の両端部には、面ファスナーやスナップボタン等の固着部材(図示せず)が設けられている。
第1支柱部22は、左右方向に間隔をあけて2つ設けられている。2つの第1支柱部22のうち、使用者における左右方向の外側に位置する第1支柱部22に、直動ダンパ10が連結されている。
第1回転軸部23は、左右方向から見た側面視で、円形状をなしている。第1回転軸部23には、その円弧に沿って切り欠かれた扇状の切欠き部23Aが形成されている。
図示の例では、切欠き部23Aの周方向の大きさは、中心角が90°以上となっている。切欠き部23Aには、上方を向き、かつ直動ダンパ10の後述する下側ロッド14Aが押圧可能な押圧面23Bが形成されている。
第1角度センサ25は、第1回転軸部23内に設けられている。
制御部26および内部電源27は、直動ダンパ10における後述するブラケット11の内部に配置されている。
また、本実施形態では、制御部26は、後述する下肢支援補助装置2の送信部から送信された健常脚における足部の動作情報を受信する受信部28を備えている。
次に、本実施形態に係る直動ダンパ10について説明する。
直動ダンパ10は、左右方向の外側に位置する第1支柱部22に連結されたブラケット11と、ブラケット11の内部に配置された直動ダンパ本体10Aと、を備えている。ブラケット11は筒状部材であり、例えば金属材料等により形成されている。ブラケット11の上端部が、第1支柱部22に連結されている。
以下の説明において、シリンダ12の中心軸線Oに沿う軸方向と直交する方向を径方向という。また、図示の例では、軸方向が上下方向と一致している。
閉塞板12Bの軸方向から見た中央部には、閉塞板12Bを軸方向に貫く挿通孔12Cが形成されている。挿通孔12Cにロッド14が各別に挿通されている。
シールリング19がロッド14の外周面に当接していることで、後述するシリンダ12内に充填された磁気粘性流体16が漏れるのを防ぐことができる。
本実施形態では、ボビン13の外周面には、径方向の内側に向けて窪む収容凹部13Aが軸方向に間隔をあけて複数形成されている。図示の例では、収容凹部13Aはボビン13の外周面に2つ形成されている。なお、収容凹部13Aはボビン13の外周面に3つ以上形成されてもよい。
収容凹部13Aの外周面は、中心軸線Oと同軸に配置されている。
シリンダ12の内周面と、ボビン13の近接部13Bとの間には径方向の隙間が小さくされたオリフィス部Fが各別に形成されている。図示の例では、軸方向に間隔をあけて3つのオリフィス部Fが形成されている。
下側ロッド14Aの下端部には、合成樹脂材料により形成されたカバー14Cが装着されている。下側ロッド14Aのカバー14Cが、第1回転軸部23の切欠き部23Aにおける押圧面23Bに当接している。
付勢部材15は、ボビン13の上方に配置され、ボビン13を下方に向けて付勢している。
付勢部材15の内側には、ボビン13における一対の連結筒部18のうち、上方に位置する上側連結筒部18Aが嵌合されている。これにより、付勢部材15がボビン13に対して径方向に位置ずれするのを抑制することができる。
なお、配線は、閉塞板12Bに形成された不図示の孔を通して引き通されてもよい。また、上側ロッド14Bを中空状に形成し、配線を上側ロッド14Bの内部を通して、引き通してもよい。
図2に示す状態から、下側ロッド14Aを上方に向けてシリンダ12内に押し込むと、下側ロッド14Aと連結されたボビン13が、付勢部材15からの付勢力に抗してシリンダ12内を上方に向けて移動する。これにより、シリンダ12内に充填された磁気粘性流体16は、シリンダ12の内周面と、ボビン13の外周面との間に形成された隙間を通過して、上方から下方に向けて移動する。
すなわち、直動ダンパ10は、磁気粘性流体16の粘性特性に基づいた粘性ダンパとして作用する。
このような磁気粘性流体16が発揮する保持力は、磁気粘性流体16が停止している状態においても、磁気粘性流体16が磁気回路から受ける磁場の影響で硬化することによって発揮することができる。
そして、電磁誘導コイル17に流した電流を遮断すると、磁気粘性流体16の粘性が減少し、直動ダンパ10の保持力が低下することにより、磁気粘性流体16により保持されていた付勢部材15の付勢力が解放される。これにより、付勢部材15が復元変形することで、ボビン13が下方に向けて押圧され、下側ロッド14Aがシリンダ12、およびブラケット11から下方に向けて押し出される。
図2に示すように、磁気回路Mは、ボビン13の内部において、軸方向の端部から中央部に向けて延びるとともに、シリンダ12の周壁において、軸方向の中央部から外側に向けて延びている。このため、複数のオリフィス部Fのうち、軸方向の中央に位置する中央オリフィス部F1では、2つの電磁誘導コイル17からの磁気回路が重なるように延びている。
これにより、中央オリフィス部F1内に位置する磁気粘性流体16は、他の2つのオリフィス部F内に位置する磁気粘性流体16よりも高い粘性を発揮する。
これにより、電磁誘導コイル17に電流を流した際に、ボビン13の内部に磁気回路を形成しやすくすることが可能になり、オリフィス部F内に位置する磁気粘性流体16の粘性を大きくして、直動ダンパ10に高い保持力を発揮させることができる。
これにより、ボビン13の軸方向の移動に伴って、磁気粘性流体16が圧縮されることを、シリンダ12にアキュムレータのような内圧調整部材を設けることなく、抑えることができる。したがって、シリンダ12内に磁気粘性流体16が充満するように充填させたとしても、簡易な構成により直動ダンパ10の粘性ダンパとしての減衰特性を安定させることができる。
これにより、オリフィス部F内に位置する磁気粘性流体16の粘性を更に大きくして、直動ダンパ10に高い保持力を発揮させることができる。
これにより、中央オリフィス部F1内に位置する磁気粘性流体16に、より大きな粘性を発揮させることが可能になり、より一層効果的に直動ダンパ10に高い保持力を発揮させることができる。
まず、障碍脚の踵が接地する前の状態において、直動ダンパ10の下側ロッド14Aは、第1回転軸部23の押圧部を下方に向けて押圧している状態とする。
そして、図3(a)に示すように、障碍脚の踵が接地すると、下肢支援装置1の後側第1接地センサ24Bが検知する。これにより、電磁誘導コイル17に所定の電流Itが流されると、磁気粘性流体16が一定の粘性を発揮し、直動ダンパ10が一定の力で保持される。
ここで、直動ダンパ10の保持力とは、付勢部材15による下方に向けた付勢力、およびボビン13の外周面と、シリンダ12の内周面と、の隙間を磁気粘性流体16が通過することによる直動ダンパ10の粘性ダンパとしての粘性力、および磁気粘性流体16が停止している状態において、磁場の影響で硬化することによって発揮する保持力により決まる力である。そして、直動ダンパ10の可変保持特性とは、直動ダンパ10の粘性ダンパとしての減衰特性、および磁気粘性流体16の保持力が、電磁誘導コイル17に流す電流値Itの大きさにより変更することで、任意に調整できる特性を意味する。
そして、障碍脚の脚部が前方に移動することで、図3(a)に示す踵が接地する状態となり、このような一連の動作を繰り返すことで、下肢支援装置1が使用者の歩行を支援することができる。
これにより、下肢支援装置1の仕様値に自由度を与えることができ、下肢支援装置1の利便性を高めることができる。
また、図3(d)に示したような、障碍脚の足部が、その後端部回りにつま先が地面から離れる回動動作の速度についても、同様に個別に設定する必要がある。この場合には、例えば図3(d)に破線Bで示すように、電磁誘導コイル17に流す電流を緩やかに遮断することで、直動ダンパ10における下側ロッド14Aが下方に向けて押し出される速度を管理することとなる。
そこで、健常脚を用いて足部の動作情報を把握し、電流の制御を行うことができる。このように、下肢支援装置1の使用を補助するものとして、健常脚および健常腕のうち、少なくともいずれかに装着される下肢支援補助装置2を用いることができる。以下の説明では、健常脚に装着される下肢支援補助装置2について説明する。
次に、本実施形態に係る下肢支援装置セットについて説明する。
下肢支援装置セットは、前述した下肢支援装置1、および下肢支援補助装置2を有している。本実施形態では、左脚用の下肢支援補助装置2を例に挙げて説明する。
図4に示すように、下肢支援補助装置2は、健常脚に装着される第2装着体30と、健常脚の足部が載置される第2足載部31と、第2装着体30から第2足載部31に向けて延びる第2支柱部32と、第2支柱部32に対して第2足載部31を回動可能に連結する第2回転軸部33と、を備えている。
第2回転軸部33は、左右方向から見た側面視で円形状をなしている。すなわち、第2回転軸部33には切欠き部が形成されていない。
第2接地センサ34には、下肢支援装置1と同様に、第2足載部31の底部のうち、前後方向におけるつま先側に位置する前側第2接地センサ34Aと、第2足載部31の底部のうち、前後方向における踵側に位置する後側第2接地センサ34Bと、がある。
第2角度センサ35は、第2回転軸部33内に設けられている。
処理部36は、図示の例では、第2回転軸部33内に設けられているが、例えば第2足載部31内に設けてもよい。処理部36には、第2接地センサ34および第2角度センサ35により検出された動作情報が伝達される。
また、処理部36は、第2角度センサ35が検出した健常脚における足部の動作情報を送信する送信部38を備えている。送信部38から送信された情報が、下肢支援装置1の受信部28から制御部26に伝達される。
本実施形態に係る下肢支援装置セットの制御方法は、下肢支援補助装置2における、第2角度センサ35が検出した健常脚における足部の動作情報に基づいて、下肢支援装置の第1接地センサ24が障碍脚における第1足載部21の接地を検出した際に、電磁誘導コイル17に流す電流を制御する。ここで、電流を制御するとは、電流値を設定するとともに、電流波形を決めることを意味する。
すなわち、健常脚における動作情報の取得、および障碍脚における下肢支援装置1の動作設定は、脚動作開始前、脚動作開始中(歩行中)の両方若しくはどちらか一方で行う(歩行前にスタティックにパラメータを設定しても、歩行中にダイナミックにパラメータを設定しても良い)。
そして、使用者の歩行速度に合わせて、すなわち、健常脚の足部の回動角速度の変化に合わせて、電磁誘導コイル17に流す電流値を変化させる。
例えば、上記実施形態においては、下肢支援装置セットの制御方法として、ボビン13に連結筒部18が形成された直動ダンパ10を備えた下肢支援装置1を用いた構成を示したが、このような態様に限られない。下肢支援装置セットの制御方法は、ボビン13に連結筒部18が形成されていない直動ダンパ10を用いた下肢支援装置1に対して適用してもよい。
また、上記実施形態においては、ボビン13の収容凹部13Aの外径は、ロッド14の外径よりも大きい構成を示したが、このような態様に限られない。収容凹部13Aの外径は、ロッド14の外径よりも小さくてもよい。
この場合には、一般に歩行時における腕部および脚部それぞれの動作には一定の相関があることが知られており、使用者の腕部の動作に基づいて、下肢支援装置1に所望される障碍脚を支援する動作を把握することができる。また、下肢支援補助装置は、健常脚および健常腕の双方に装着してもよい。
2 下肢支援補助装置
10 可変保持特性を有する直動ダンパ
12 シリンダ
13 ボビン
14 ロッド
15 付勢部材
16 磁気粘性流体
17 電磁誘導コイル
18 連結筒部
20 第1装着体
21 第1足載部
22 第1支柱部
23 第1回転軸部
24 第1接地センサ
25 第1角度センサ
26 制御部
27 内部電源
28 受信部
30 第2装着体
31 第2足載部
32 第2支柱部
33 第2回転軸部
34 第2接地センサ
35 第2角度センサ
36 処理部
38 送信部
Claims (7)
- 筒状のシリンダと、前記シリンダの内周面と径方向に隙間をあけて配置され、かつ前記シリンダ内に軸方向に移動可能に配置された柱状のボビンと、外部から前記ボビンの軸方向の端部に連結されたロッドと、前記ボビンを軸方向に付勢する付勢部材と、前記シリンダ内に充填された磁気粘性流体と、前記ボビンの外周面に巻回された電磁誘導コイルと、を備え、前記ボビンにおける軸方向の端部には、軸方向に向けて突出するとともに、前記ロッドが内側に嵌合することで連結される連結筒部が形成されている可変保持特性を有する直動ダンパと、
障碍脚に装着される第1装着体と、
前記障碍脚の足部が載置される第1足載部と、
前記第1装着体から前記第1足載部に向けて延びる第1支柱部と、
前記第1支柱部に対して前記第1足載部を回動可能に連結する第1回転軸部と、
前記第1足載部の底部に設けられた第1接地センサと、
前記第1支柱部に対する前記第1足載部の回動動作を検出する第1角度センサと、
前記第1接地センサおよび前記第1角度センサから得られた動作情報に基づいて、前記可変保持特性を有する直動ダンパの前記電磁誘導コイルに電流を流すことで、前記可変保持特性を有する直動ダンパを制御する制御部と、
前記制御部による前記可変保持特性を有する直動ダンパの制御に際して、電力を供給する内部電源と、を備え、
前記可変保持特性を有する直動ダンパが、前記第1支柱部と前記第1回転軸部との間に配置されている、下肢支援装置。 - 前記ロッドは、前記ボビンの軸方向における両端部に各別に連結されている、請求項1に記載の下肢支援装置。
- 前記ボビンの外周面には、径方向の内側に向けて窪む収容凹部が形成され、
前記収容凹部の外径は、前記ロッドの外径よりも大きい、請求項1又は2に記載の下肢支援装置。 - 前記ボビンの外周面には、径方向の内側に向けて窪む収容凹部が軸方向に間隔をあけて複数形成され、
前記電磁誘導コイルは、複数の前記収容凹部における外周面に、各別に巻回されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の下肢支援装置。 - 健常脚および健常腕のうち、少なくともいずれかに装着される第2装着体と、
前記健常脚の足部が載置される第2足載部と、
前記第2装着体から前記第2足載部に向けて延びる第2支柱部と、
前記第2支柱部に対して前記第2足載部を回動可能に連結する第2回転軸部と、
前記第2足載部の底部に設けられた第2接地センサと、
前記第2支柱部に対する前記第2足載部の回動動作を検出する第2角度センサと、
前記第2接地センサおよび前記第2角度センサから得られた動作情報を処理する処理部と、を備えた下肢支援補助装置、および、請求項1から4のいずれか1項に記載された下肢支援装置を有する下肢支援装置セット。 - 請求項5に記載の下肢支援装置セットにおける制御方法であって、
前記第2接地センサ、および第2角度センサが検出した前記健常脚における足部の動作情報に基づいて、前記下肢支援装置の前記第1接地センサが前記障碍脚における前記第1足載部の接地を検出した際に、前記電磁誘導コイルに流す電流を制御する、下肢支援装置セットの制御方法。 - 前記処理部は、前記第2角度センサが検出した前記健常脚における足部の動作情報を送信する送信部を備え、
前記制御部は、前記送信部から送信された前記動作情報を受信する受信部を備え、
前記第1接地センサが前記障碍脚における前記第1足載部の接地を検出した際に、前記電磁誘導コイルに流す電流値を時々刻々と変化させる、請求項6に記載の下肢支援装置セットの制御方法。
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