JP6981688B2 - 建物 - Google Patents

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Description

本発明は、壁面構造体、及び、建物に関する。更に詳しくは、外壁部分の少なくとも一部にログ壁を使用することで炭素貯蔵効果及び省エネルギー効果を奏し、新築時におけるログ壁の施工を容易にすると共に、経年によるログ材の乾燥収縮で水平に積んだ各段の間に隙間が生じる現象(以下「ログ材の収縮現象」という)が生じた際に、ログ材間の隙間調整を容易に行うことができる、壁面構造体、及び、建物を提供することを目的とする。
近年、耐震性向上のため、建物の躯体に耐力構造体を使用するケースが増えている。主な耐力構造体としては、鉄骨を用いるケース(いわゆる鉄骨造であり、軽量鉄骨造及び重量鉄骨造のいずれも含む意味で使用する。以下「鉄骨造」という)や、鉄筋コンクリート等が挙げられる。
しかしながら、材料となる鉄骨や鉄筋、コンクリートの原料となるセメントは、その製造にあたって二酸化炭素を多く排出し、エネルギーを多く消費する。この課題に対し、本発明者は、外壁部分の構造材として木材に着目し、外壁部分の少なくとも一部にログ壁を使用する構造を想到した。
建物の外壁としてログ壁を構築する技術の一例として、特許文献1に示すような発明が提案されている。特許文献1記載の発明によれば、通しボルトにより地震力や風圧力に起因するログ壁の引抜力を十分に拘束し、ログ壁の回転を抑えることで、剛性が増したログ壁を提供することができるとされている。
特開2017−150298号公報
ところで、ログ壁は、経年によるログ材の収縮現象が生じるため、収縮後の各ログ材の間に生じた隙間を詰める調整作業(以下「ログ材間の隙間調整」という)が必要であるが、特許文献1では、このような課題の解決手段が開示されていない。
また、特許文献1には明示されていないが、一般的にログ壁を構築する際に、桁や屋根あるいは軒等と、ログ壁の最上段に配置したログ材の上部との間に、隙間が形成され、この前述の隙間をコーキング材等で埋めるような作業を要する場合が多い。
一方、昨今、建築分野における熟練工が不足傾向にあり、本来ある程度の熟練を要する作業であるコーキング作業を行うためには、熟練工による着手の順番を待つか、又は、熟練工ではない者が作業を担当することになる。しかしながら、熟練工の順番を待つ場合は工期の遅れに繋がり、熟練工ではない者が作業を担当した場合も工期の遅れが予期され、加えて、十分な作業品質が確保されないおそれもある。
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、外壁部分の少なくとも一部にログ壁を使用することで炭素貯蔵効果及び省エネルギー効果を奏し、新築時におけるログ壁の施工を容易にすると共に、経年によるログ材の収縮現象が生じた際にログ材間の隙間調整を容易に行うことができる、壁面構造体、及び、建物を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために本発明の壁面構造体は、設置基部と、該設置基部から屋根あるいは上階の床レベルの高さの間に配置され、ログ壁である部分を含む外壁と、該外壁に係る前記ログ壁の間隔を調整可能なログ壁調整部とを備え、前記設置基部が、所定の高さで立設された壁状部を有し、該壁状部は、その高さ方向中間の領域に、建物外に向けて開口した開口部又は開放された開放部が形成されていると共に、一端が前記壁状部の上部に開口し、他端が前記開口部内又は前記開放部内に開口した第1貫通孔が形成されており、前記外壁が、その一部又は全部の領域が、長軸方向が略水平となるように横設した複数のログ材を積重してなる構造であり、最上段に位置する前記ログ材の上面から最下段に位置する前記ログ材の下面に至る第2貫通孔が、前記第1貫通孔と連通する配置で形成されたログ壁部、及び、該ログ壁部の最上段に配置されたログ材の上部に取り付けられた断熱性を有する中間部材、を有し、前記ログ壁調整部が、少なくとも、前記第1貫通孔とこれに連通した前記第2貫通孔とに通した挿通状態で、該第1貫通孔の他端側開口から雄ネジ部が所定長さで露出する長さに設けられた緊結ボルト、及び、同第1貫通孔の他端側開口から露出した雄ネジ部に締結されたナット、を有する構造である。
ここで、本発明の壁面構造体は、設置基部を備えることにより、その上部で前述した外壁下部を支持すると共に、ログ壁調整部の一部を設けることできる。壁状部は、前述の第1貫通孔が形成されていることにより、連通する第2貫通孔と共に、緊結ボルトを通すことができる。
なお、「設置基部」は、例えば、1階部分に本発明の壁面構造体を設置する態様にあっては、建物基礎が該当する。そして、1階部分等の階下部分がコンクリート構造体であり、上階部分に本発明の壁面構造体を設置する態様にあっては、同壁面構造体を設置する上階と下階の間に位置する床スラブ部分が該当する。
更に、壁状部は、前述の開口部又は開放部が形成されていることにより、第1貫通孔の他端から露出した雄ネジ部に対してナットを締結する作業を容易に行うことができる。そして、開口部又は開放部は、建物外に向けて開口した又は開放された構造であるため、建築して所定期間経過後にログ壁調整作業を行う際に、建物内に立ち入ることなく(換言すると建物外から直接)作業を行うことができるので、建物使用者のプライバシーを保つことができる。
本発明の壁面構造体は、前述した外壁を備えることにより、建物における設置基部から屋根あるいは上階の床レベルの高さの領域(以下「屋根等までの領域」という)の外装を構成することができる。なお、本発明の壁面構造体は、平屋である場合は「屋根」、二階建て以上である場合は「上階の床レベル」に適用するものである。そして、用語「上階の床レベル」は、「上階の床を構成する水平面の高さ」の意味で使用しており、二階の床レベルであってもよいし、それ以上の階の床レベルであってもよい。
外壁は、前述した構造のログ壁部を有することにより、建物外観あるいは内観の審美性を向上させることができる。なお、ログ壁部は、外壁の全部の領域に配設された態様であってもよいし、外壁の一部の領域に配設され、他の領域には外壁パネルや窓を配置した態様であってもよい。また、ログ壁部は、前述の第2貫通孔が形成されていることにより、連通する第1貫通孔と共に、緊結ボルトを通すことができる。
加えて、木材であるログ材を使用したことにより、(a)木材中の炭素を長期間にわたって貯蔵することに繋がる(炭素貯蔵効果)と共に、(b)鉄等の建材と比較して、製造・加工時(以下「製造等」という)に要するエネルギーが少なく、製造等に要する二酸化炭素の排出量が抑制され(省エネルギー効果)、(a)及び(b)の効果を以て、地球温暖化防止、温室効果ガス排出削減に寄与することができる。
前述のログ材は、例えば、いわゆる丸ログ、Dログ、あるいは角ログ等といわれる形状のものが挙げられるが、特に限定するものではなく、また、ハンドカットあるいはマシンカット等のいずれであってもよい。
中間部材は、屋根あるいは上階の床レベルの下部(以下「屋根等の下部」という)とログ壁部の最上段の間の隙間を塞ぎ、建物内への外気の流入を抑制することができる。なお、中間部材は、例えば、前述した外壁の一部の領域にログ壁部が配設された態様にあっては、外壁パネルや窓等の区画部材の下部と、ログ壁部の最上段の間に配置される。
加えて、中間部材は、その設置が最上段に配置したログ材の上部に取り付けるだけでよいため、前述の隙間をコーキング材等で埋めるような施工方法と比較して、施工を簡易且つ速やかに行うことができる。ところで、前述の隙間をコーキング材等で埋めるような施工方法は、本来ある程度の熟練を要する作業であったが、前述の中間部材によれば、予め製造された部材を使用して取り付ける作業のみで済むため、熟練した作業者でなくとも(作業者の能力に影響されることなく)容易に行うことができ、昨今の熟練工不足にも対応したものとなっている。
ログ壁調整部は、各ログ材の結合状態を保持すると共に、ログ材の収縮現象が生じたとしても、ログ材の隙間を調整することができる。そして、ログ壁調整部は、緊結ボルト及びナットを有することにより、前述の第1貫通孔とこれに連通した第2貫通孔に緊結ボルトを挿通させ、第1貫通孔の他端側開口から露出した緊結ボルトの雄ネジ部にナットを締結することで、設置基部と外壁とを緊結することができる。
緊結ボルトは、少なくとも雄ネジ部が設けられた先端が第1貫通孔から露出する構造であればよく、例えば、他端は雄ネジ部を設けて他のナット(ワッシャーを組み合わせてもよい)を締結する構造や、L字状に屈曲させて屈曲部を最上段に位置するログ材の上面に掛止する構造等であってもよい。また、ナットとしては、一般的なナットが挙げられるが、これに限定するものではなく、例えば、ダブルナット構造(ワッシャーを組み合わせてもよい)や、増し締めが可能で緩み止め機能を有する特殊ナット等であってもよい。
また、外壁が、中間部材の上部から屋根あるいは上階の床レベルの高さの間の領域に設けられ、建物内外に区画する板状の区画壁部を有する場合は、ログ壁部よりも上方である前述の領域を建物内外に区画し、外壁の一部を構成することができる。この場合、前述した中間部材は、ログ壁部と区画壁部の間に配置されることになり、ログ壁部と区画壁部の隙間を埋めて、建物内への外気の流入を抑制することになる。
更に、区画壁部は、板状であることにより、設置基部から屋根等までの領域が全面ログ壁である外壁と比較して、外壁の構造重量を軽減することができ、これによって建物上部の構造重量が軽減され、耐震性が向上した構造となる。なお、区画壁部は、板状であればその構造を特に限定するものではなく、例えば、サイディングボード等のパネル外壁材が挙げられると共に、高窓(ハイサイドライト)を区画壁部の一部又は全面として配置してもよい。
また、壁面構造体が、建物において外壁よりも屋内側に配置される耐力構造体に接続可能な接続体を更に備える場合は、接続体を介して壁面構造体と耐力構造体に接続することができる。なお、本発明の外壁部分は必ずしも耐力壁ではないが、この接続体によって壁面構造と耐力構造体が容易に脱離しない態様で接続され、耐震性が付加された構造となる。なお、用語「耐力構造体」は、少なくとも鉛直荷重に対する耐力を有するものであり、水平荷重に対する耐力を有することが更に好ましく、鉄骨や鉄筋コンクリート等の柱体、又は、鉄筋コンクリート等の耐力壁、その他の耐力性を有する構造物を含む意味で使用している。
また、中間部材が、下方が開口した逆溝形であり、溝内が最上段に位置するログ材の上面及び側部に沿う形状に設けられている場合は、予め製造された中間部材を使用し、最上段に配置したログ材の上部に被せるだけで設置が済むため、非熟練作業者であっても、施工を簡易且つ更に速やかで正確に行うことができる。
また、外壁が、建物の屋内を向いた側に配設された背板部を有し、背板部は、ログ壁部上部の方向へ所定長さを以て垂下した垂下部分を含む構造である場合は、ログ材の収縮現象が生じてログ材の隙間を調整した際に、垂下部分によりログ壁部上端とその上部にある構造材下端の間に生じる隙間を塞ぐことができる。なお、「ログ壁部の上部にある構造材」としては、軒桁や前述した区画壁部が挙げられる。
詳しくは、本発明の壁面構造体は、ログ材の収縮現象が生じた際に、ログ壁調整部のナットを増し締めすることで設置基部と外壁とが再緊結され、ログ材の間が詰まって隙間が埋まる構造であるが、ログ材の隙間を調整すると、ログ壁部の高さが低くなり、ログ壁部上端とその上部にある構造材下端の間に、新たな隙間が生じることになる。しかしながら、前述の背板部を有する場合は、前述した垂下した垂下部分によって、中間部材の交換やシーリング材の充填の作業を要することなく、建物の屋内を向いた側からこの新たな隙間を塞ぐことができる。
なお、垂下部分の「所定長さ」は、ログ材の収縮現象による収縮量と積重したログ材の数から算出して設定することができる。
また、設置基部が、建物の基礎部分であり、前記壁状部が、地面から所定の高さで立設された地上部と、前記地上部の上端において建物外となる方向に張り出し、且つ、張り出した部分の下面が地面から所定高さを空けて設けられた張出部とを有し、該張出部に前記第1貫通孔が形成されている場合は、外壁を張出部の鉛直方向に設けることができる。なお、張出部の下面と地面との間の空間は、前述した「開放部」に相当する。
建物の基礎部分は、前述した構造の張出部により、地上部に開口部を形成する必要が無く、開口部の無い地上部は、開口部が形成された地上部よりも耐荷重性が向上している。また、建物の基礎部分は、前述した構造の地上部により、外壁下部を支持し、外壁下部と地面との間に所定の距離を確保することができる。更にまた、地上部は、前述の第1貫通孔が形成されていることにより、連通する第2貫通孔と共に、緊結ボルトを通すことができる。
そして、建物の基礎部分は、例えば、耐荷重性の高い地上部の鉛直方向に耐力構造体を設けることができ、この場合、建物の基礎部分は、その上に外壁と耐力構造体とが近接配置され、纏まりが良く、屋内空間も広く確保できる構造にすることができる。また、外壁と耐力構造体が近接配置されることで、接続体の長さを短くでき、地震等の横揺れ時に接続体に加わる応力を低減することができる。
また、外壁が、少なくとも前記ログ壁を覆う耐火壁部あるいは防火壁部を有する場合は、ログ壁部分に耐火性あるいは防火性を付与することができる。これにより、例えば、都市部等において、本発明の壁面構造体を適用する建物が、隣接する建物との距離が近い場合であっても、隣の建物に向いた側の壁面に耐火壁部を設けることによって、隣の建物が火災に遭ったとしても、木材であるログ壁が延焼しにくい構造となる。ここで、用語「防火」は、「耐火」よりも火熱を遮る時間が短い能力を意味している。また、用語「耐火」は、「耐火」以下「防火」以上の火熱を遮る「準耐火」能力を含む意味で使用している。
上記の目的を達成するために本発明の壁面構造体は、設置基部と、該設置基部から屋根あるいは上階の床レベルの高さの間に配置され、少なくともその一部又は全部の領域が、長軸方向が略水平となるように横設した複数のログ材を積重してなる構造のログ壁部、及び、該ログ壁部の最上段に配置したログ材の上部に取り付けられ、上方が上部の構造物を受けるか又は該構造物と当接して同構造物との間を閉塞可能な形状であると共に、下方が開口した逆溝形で、溝内が最上段に位置する前記ログ材の上面及び側部に沿う形状に設けられ、断熱性を有する中間部材、を有する外壁と、該外壁に設けられ、牽引力を以て前記ログ壁の間隔を調整可能なログ壁調整部とを備える。
ここで、本発明の壁面構造体は、設置基部を備えることにより、その上部で前述した外壁下部を支持する。なお、「設置基部」としては、例えば、1階部分の建物基礎や、上階と下階の間に位置する床スラブ部分が挙げられる。
本発明の壁面構造体は、前述した外壁を備えることにより、建物における設置基部から屋根等までの領域の外装を構成することができる。外壁は、前述したログ壁部を有することにより、建物外観の審美性を向上させることができる。なお、ログ壁部は、外壁の全部の領域に配設された態様であってもよいし、外壁の一部の領域に配設され、他の領域には外壁パネルや窓を配置した態様であってもよい。加えて、壁面構造体は、ログ材の使用により、炭素貯蔵効果、及び、製造等における省エネルギー効果を以て、地球温暖化防止、温室効果ガス排出削減に寄与することができる。
中間部材は、屋根等の下部とログ壁部の最上段の間の隙間を塞ぎ、建物内への外気の流入を抑制することができる。なお、中間部材は、例えば、前述した外壁の一部の領域にログ壁部が配設された態様にあっては、上部の構造物である外壁パネルや窓等の区画部材の下部と、ログ壁部の最上段の間に配置され、上部の構造物を受ける。加えて、中間部材は、その設置が最上段に配置したログ材の上部に取り付けるだけでよいため、前述の隙間をコーキング材等で埋めるような施工方法と比較して、熟練した作業者でなくとも、施工を簡易且つ速やかに行うことができる。
ログ壁調整部は、牽引力を以て各ログ材の結合状態を保持すると共に、ログ材の収縮現象が生じたとしても、ログ材の隙間を調整することができる。なお、ログ壁調整部は、例えば、緊結ボルト及びナット(ターンバックル等を含む)の組み合わせであってもよい。
上記の目的を達成するために本発明の建物は、耐力構造体と、設置基部と、該設置基部から屋根あるいは上階の床レベルの高さの間に配置され、ログ壁である部分を含む外壁と、該外壁に係る前記ログ壁の間隔を調整可能なログ壁調整部とを有し、前記設置基部が、所定の高さで立設された壁状部を含み、該壁状部は、その高さ方向中間の領域に、建物外に向けて開口した開口部又は開放された開放部が形成されていると共に、一端が前記壁状部の上部に開口し、他端が前記開口部内又は前記開放部内に開口した第1貫通孔が形成されており、前記外壁が、その一部又は全部の領域が、長軸方向が略水平となるように横設した複数のログ材を積重してなる構造であり、最上段に位置する前記ログ材の上面から最下段に位置する前記ログ材の下面に至る第2貫通孔が、前記第1貫通孔と連通する配置で形成されたログ壁部、及び、該ログ壁部の最上段に配置されたログ材の上部に取り付けられた断熱性を有する中間部材、を含み、前記ログ壁調整部が、少なくとも、前記第1貫通孔とこれに連通した前記第2貫通孔とに通した挿通状態で、該第1貫通孔の他端側開口から雄ネジ部が所定長さで露出する長さに設けられた緊結ボルト、及び、同第1貫通孔の他端側開口から露出した雄ネジ部に締結されたナット、を含む構造である壁面構造体と、
を備える。
ここで、本発明の建物は、耐力構造体を備えることにより、建物に耐力を付加することができる。これにより、本発明の壁面構造体が非耐力壁であっても、所定の耐震性を確保でき、法定の建築基準を満たすことができる。
なお、耐力構造体は、少なくとも鉛直荷重に対する耐力を有するものであり、水平荷重に対する耐力を有することが更に好ましく、鉄骨や鉄筋コンクリート等の柱体、又は、鉄筋コンクリート等の耐力壁、その他の耐力性を有する構造物を含む意味で使用している。また、耐力構造体は、耐候性や建物外観の審美性を考慮して、外壁よりも屋内側に配置されることが好ましいが、屋内側や、外壁の一部として組み込む態様を除外するものではない。
壁面構造体は、設置基部を有することにより、その上部で前述した外壁下部を支持すると共に、ログ壁調整部の一部を設けることできる。壁状部は、前述の第1貫通孔が形成されていることにより、連通する第2貫通孔と共に、緊結ボルトを通すことができる。なお、「設置基部」は、例えば、1階部分に本発明の壁面構造体を設置する態様にあっては、建物基礎が該当する。そして、1階部分等の階下部分がコンクリート構造体であり、上階部分に本発明の壁面構造体を設置する態様にあっては、同壁面構造体を設置する上階と下階の間に位置する床スラブ部分が該当する。
更に、壁状部は、前述の開口部又は開放部が形成されていることにより、第1貫通孔の他端から露出した雄ネジ部に対してナットを締結する作業を容易に行うことができる。そして、開口部又は開放部は、建物外に向けて開口した又は開放された構造であるため、建築して所定期間経過後にログ壁調整作業を行う際に、建物内に立ち入ることなく(換言すると建物外から直接)作業を行うことができるので、建物使用者のプライバシーを保つことができる。
壁面構造体は、前述した外壁により、建物における建物基礎から屋根等までの領域の外装を構成することができる。外壁は、前述した構造のログ壁部を有することにより、建物外観あるいは内観の審美性を向上させることができる。また、ログ壁部は、前述の第2貫通孔が形成されていることにより、連通する第1貫通孔と共に、緊結ボルトを通すことができる。加えて、木材であるログ材を使用したことにより、木材に係る炭素貯蔵効果及び省エネルギー効果を以て、地球温暖化防止、温室効果ガス排出削減に寄与することができる。
中間部材は、屋根等の下部とログ壁部の最上段の間の隙間を塞ぎ、建物内への外気の流入を抑制することができる。また、前述の中間部材は、その設置が最上段に配置したログ材の上部に取り付けるだけでよいため、熟練した作業者でなくとも、その施工を簡易且つ速やかに行うことができる。なお、中間部材は、例えば、外壁の一部の領域にログ壁部が配設された態様にあっては、外壁パネルや窓等の区画部材の下部と、ログ壁部の最上段の間に配置される。
ログ壁調整部は、各ログ材の結合状態を保持すると共に、ログ材の収縮現象が生じたとしても、ログ材の隙間を調整することができる。
本発明の建物は、壁面構造体が前述したログ壁調整部を有することにより、各ログ材の結合状態を保持すると共に、ログ材の収縮現象が生じたとしても、ログ材の隙間を調整することができる。ログ壁調整部は、緊結ボルト及びナットを有することにより、前述の第1貫通孔とこれに連通した第2貫通孔に緊結ボルトを挿通させ、第1貫通孔の他端側開口から露出した緊結ボルトの雄ネジ部にナットを締結することで、設置基部と外壁とを緊結することができる。
本発明の壁面構造体、及び、建物によれば、外壁部分の少なくとも一部にログ壁を使用することで炭素貯蔵効果及び省エネルギー効果を奏し、新築時におけるログ壁の施工を容易にすると共に、経年によるログ材の収縮現象が生じた際にログ材間の隙間調整を容易に行うことができる。
本発明の第1実施形態に係る建物の外観を示す全体構成図である。 図1に示す建物における壁面構造体の構造を縦断面視で示す説明図である。 図1に示す中間部材の構造を示す分解説明図である。 図1に示す接続体の構造を示す斜視説明図である。 図1に示す壁面構造体におけるログ材の収縮現象と、ログ壁調整部の作用を縦断面視で示す説明図である。 図3に示す中間部材の変形例を示し、(a)は変形例1の分解説明図、(b)は変形例2の分解説明図である。 図2に示す外壁の更なる変形例を示し、(a)は変形例3の分解説明図、(b)は変形例4の分解説明図である。 図1に示す建物基礎の変形例を示し、(a)は変形例5の斜視説明図であり、(b)は変形例5の断面図である。 図2に示す壁面構造体の変形例(変形例6)を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る建物を示し、(a)は2階建て以上の鉄骨造の建物における壁面構造体の縦断面視説明図であり、(b)は2階建て以上のRC・SRC造の建物における壁面構造体の変形例(変形例7)の縦断面視説明図である。
図1ないし図10を参照して、本発明の実施の形態を更に詳細に説明する。なお、以下の説明は、〔第1実施形態〕、〔変形例1〕、〔変形例2〕、〔変形例3〕、〔変形例4〕、〔変形例5〕、〔変形例6〕、〔第2実施形態〕、〔変形例7〕の順序により行う。また、図面各図における符号は、煩雑さを軽減し理解を容易にする範囲内で付しており、同一符号が付される複数の同等物についてはその一部にのみ符号を付す場合がある。
〔第1実施形態〕
(建物1)
図1に示す建物1は、本発明の実施の一形態である。建物1は、勾配の付いた平屋根(屋根10)を有し、柱や梁に鉄骨を使用した鉄骨造の平屋構造であり、壁面構造体2と、建物1の内側(すなわち屋内側)に配置された耐力構造体4を備える。各部について、以下で詳述する。
(壁面構造体2)
図2を参照する。図2に示す壁面構造体2は、建物基礎20(前述した設置基部に相当)、建物基礎20から屋根10の間に配置されて一部領域がログ壁部22である外壁21、及び、ログ壁部22の間隔を調整可能なログ壁調整部27を有する。
<建物基礎20>
建物基礎20は、鉄筋コンクリート製であり、地中に埋設された地下基礎部201、及び、地面から所定の高さで立設された壁状の地上部202を含む構造である。建物基礎20は、建物の外周となる位置に形成されており、地下基礎部201はベタ基礎、布基礎のいずれであってもよい。
建物基礎20は、地上部202の上端において建物外となる方向に張り出し、且つ、張り出した部分の下面が地面Gから約20cmの距離(すなわち、所定高さ)を空けて、張出部203が設けられている。張出部203は、第1貫通孔204が鉛直方向に形成されている。第1貫通孔204は、一端が張出部203の上面に開口(開口部205)し、他端が張出部203の下面に開口(開口部206)している。
<外壁21>
外壁21は、ログ壁部22、中間部材23、区画壁部24、背板部25、及び、幕板部26を有する構造である。そして、外壁21は、建物基礎20の張出部203の上面に、ログ壁部22が設けられている。
ログ壁部22は、角形のログ材を、その長軸方向が略水平となるように横臥させ(すなわち、横設)、複数を積重してなる構造である。そして、最上段に位置するログ材221の上面から最下段に位置するログ材222の下面に至る第2貫通孔223が、第1貫通孔204と連通する配置で鉛直方向に形成されている。
中間部材23は、最上段に配置されたログ材(符号221)の上部に取り付けられている。中間部材23は、断熱性及び弾性を有する合成樹脂製であり、下方が開口した逆溝形であり、溝内が最上段に位置するログ材221の上面及び側部に沿う形状に設けられている。
区画壁部24は、中間部材23の上部から屋根10の間の領域に設けられている。そして、区画壁部24は、建物1を内外に区画する板状のパネル体で、断熱性素材で形成されている。区画壁部24の表面(換言すると、建物1の屋外側の面)には、ガルバリウム鋼板(登録商標。以下省略)製の薄板が配設されている。
背板部25は、外壁21の背面側(すなわち、建物の屋内を向いた側)に配設されている。背板部25は、区画壁部230の全体を覆う大きさであると共に、その下部に垂下部分251が設けられた構造である。
垂下部分251は、区画壁部230の下縁からログ壁部22上部の方向へ(換言すると、ログ壁部22上部を越えて)所定長さ(本実施の形態では約10cm)を以て垂下している。垂下部分251は、背板部25の板面の鉛直線上から、屋内方向に僅かにずらして設けられ、中間部材23が上下方向に移動する際にその側面と干渉しないように構成されている。
幕板部26は、外壁21の屋外側で、区画壁部24とログ壁部22の間の領域に設けられている。
幕板部26は、ガルバリウム鋼板製で、区画壁部24の下縁近傍に接続された接続部分261と、接続部分261から下り傾斜する傾斜面部分262と、傾斜面部分262の下縁から垂下した垂下部分263と、垂下部分263の下縁から屋内側に鋭角に折り返して形成された返し部分264を含む構造である。幕板部26は、前述した各部分を以て、中間部材23を風雨雪から遮断可能に覆設している。
ログ壁調整部27は、緊結ボルト271及びナット272を含む構造である。緊結ボルト271は、第1貫通孔204とこれに連通した第2貫通孔223とに通した挿通状態で、第1貫通孔204の開口部206(すなわち、他端側開口)から雄ネジ部が約5cmの長さ(すなわち、所定長さ)で露出する長さに設けられている。そして、緊結ボルト271は、その上端が最上段に位置するログ材221の上面に牽引可能に係止されている。ナット272は、ダブルナットであり、第1貫通孔204の開口部206から露出した雄ネジ部に締結されている。
<接続体3>
接続体3は、建物1の屋内側に配置され、耐力構造体4に接続されている。接続体3は、L字型であり、水平部31と垂直部32を有する。なお、接続体3は、水平荷重の応力集中を回避する等の観点から、ログ壁部22の屋内側において、ログ壁部22の横幅方向に複数(図示省略)設置されている。
水平部31は、接続体3の設置時(すなわち、外壁21と耐力構造体4との接続時)において、外壁21と耐力構造体4の間に位置する部分である。また、水平部31は、その先端近傍に孔311が形成されている。
水平部31は、その先部を、ログ壁部22を構成する所定位置のログ材の間(上段と下段の間)に挟み、孔311に釘、ネジ、ボルト等の軸体を挿通させてログ材に固定し、ログ材の間から抜けないように固定されている。
接続体3(の少なくとも一つ)は、ログ壁部22の第1貫通孔204が設けられた位置に合わせて設置している。このとき、同接続体3は、水平部31の孔311と第1貫通孔204の位置を合わせ、ここに緊結ボルト271を通すことでログ材の間から抜けないように固定される。
垂直部32は、接続体3の設置時(すなわち、外壁21と耐力構造体4との接続時)において、その高さ方向が耐力構造体4の高さ方向に沿って当接する部分である。また、垂直部32は、長孔321が形成されており、垂直部32の長手方向と、長孔321の長手方向は一致している。
垂直部32は、耐力構造体4からの屋外方向に向けて突出した接続ボルト41を長孔321に嵌挿し、耐力構造体4の表面に沿うように当接させる。そして、垂直部32が耐力構造体4表面をスライド可能な遊嵌状態で、フランジ付きナット42を接続ボルト41に締結している。
壁面構造体2は、接続体3の他の態様である補助接続体3aが設けられている。補助接続体3aもL字型であり、水平部と垂直部(ともに符号省略)を有する。補助接続体3aは、区画壁部24の屋内側となる部分に設けられ、水平部先部が区画壁部24の背面(に位置する背板部25)に、垂直部が耐力構造体4に、それぞれ取り付けられている。なお、補助接続体3aの配置は、ログ材の収縮現象で移動する箇所でないため、垂直部が耐力構造体4表面をスライド可能な構造ではない点で、接続体3と相違する。
本実施の形態において、建物は平屋であるが、これに限定するものではなく、2階建て以上であってもよい。また、本実施の形態において、耐力構造体は鉄骨柱であるが、これに限定するものではなく、例えば、耐力壁等であってもよい。
本実施の形態において、中間部材は、上面と側面が同一所定の厚みで形成されているが、これに限定するものではなく、例えば、上面を所定の厚みに形成し、側面を上面よりも薄い厚みに形成した態様であってもよい。この場合、例えば、中間部材が上下方向に移動する際に、背板部の側面と干渉しないか、しにくくすることができる。
本実施の形態において、垂下部分は、背板部の板面の鉛直線上から、屋内方向に僅かにずらして設けられているが、これに限定するものではなく、例えば、中間部材の側面が薄く形成され、上下方向に移動する際にその側面と干渉しないのであれば、垂下部分は背板部の板面が鉛直線上で面一に一致する態様であってもよい。また、垂下部分を、背板部の板面が鉛直線上で面一に一致する態様に設け、中間部材の側面と相対する部分を切り欠き、中間部材の側面と干渉しない構造にしてもよい。
本実施の形態において、接続体は、ログ壁部の屋内側において、ログ壁部の横幅方向に複数設置しているが、例えば、壁面の広さ等の事情に応じた単数設置を除外するものではない。
本実施の形態において、接続体はL字型であるが、これに限定するものではなく、例えば、水平部のみのプレート型や断面H型等、各種形状のものを採用することができる。また、接続体を外壁又は耐力構造体に固定するための構造についても、本実施の形態に限定するものではなく、各種公知技術を採用することができる。
本実施の形態では、補助接続体が設けられているが、これに限定するものではなく、補助接続体を設けない態様であってもよいし、また、補助接続体を接続体と同じ構造で設けてもよい。
(作 用)
建物1の作用効果について説明する。建物1は、建物基礎20により、壁面構造体2を含む建物を支持することができる。また、建物基礎20は、地上部202により、外壁21下部を支持し、外壁21下部と地面Gとの間に所定の距離を確保することができる。また、地上部202は、第1貫通孔204により、連通する第2貫通孔223と共に、緊結ボルト271を通すことができる。
建物基礎20は、張出部203上面で外壁21(直接的にはログ壁部22)を支持し、地上部202上面で耐力構造体4を支持している。つまり、建物基礎20は、耐荷重性の高い地上部202の鉛直方向に耐力構造体4を配置し、外壁21を近接配置しており、耐力構造体4が屋内側に配置された纏まりが良い構造となっている。また、外壁21と耐力構造体4が近接配置されることで、接続体3(の水平部31)の長さを短くでき、横揺れ時に接続体3(の水平部31)に加わる応力が低減される。
更にまた、建物基礎20は、地上部202が前述の構造であることで、第1貫通孔204の開口部206から露出した雄ネジ部に対してナット272を締結する作業を容易に行うことができる。そして、開口部206は、その配置が建物1外に向けて開放された構造であるため、建築して所定期間経過後にログ壁調整作業を行う際に、建物1内に立ち入ることなく作業を行うことができるので、建物1の使用者のプライバシーを保つことができる。
外壁21は、建物1における建物基礎20から屋根10までの領域の外装を構成する。外壁21は、ログ壁部22を有することで、建物外観あるいは内観の審美性が向上している。加えて、ログ壁部22は、木材に係る炭素貯蔵効果及び省エネルギー効果を以て、地球温暖化防止、温室効果ガス排出削減に寄与する。
外壁21は、区画壁部24を有することで、ログ壁部22上方の領域を建物内外に区画している。また、外壁21は、板状の区画壁部24の存在により、外壁が全面ログ壁である場合と比較して、外壁21の構造重量が軽減されている。ひいては、建物1は、上部の構造重量が軽減され、耐震性が向上した構造となっている。そして、区画壁部24は、ログ壁部22よりも加工や改変が容易である。このため、建物1のように、屋根10を勾配の付いた平屋根にすることも容易で、屋根を含む建物上部のデザインについて自由度が高い。
外壁21は、中間部材23を有することで、ログ壁部22と区画壁部24の隙間が閉じられ、建物1内への外気の流入が抑制される。また、中間部材23は、工場等で製造されたされたものを建築現場に持ち込むのみである。そして、中間部材23は、最上段に位置するログ材221の上部に被せるだけで設置が済む。つまり中間部材23を使用すれば、非熟練作業者であっても、施工を簡易且つ更に速やかで正確に行うことができる。
外壁21は、背板部25を有することで、ログ材の収縮現象が生じてログ材の隙間を調整した際に、垂下部分251によりログ壁部22上端と区画壁部24(すなわち、その上部にある構造材)下端の間に新たな生じる隙間を塞ぐことができる。また、外壁21は、幕板部26を設けたことで、中間部材23近傍の領域を風雨雪から遮断することができる。そして、外壁21は、背板部25と幕板部26が中間部材23近傍の領域を表裏で挟むように配置されていることで、外気や風雨雪から遮断し、虫等の侵入も抑制される。
壁面構造体2は、連通する第1貫通孔204及び第2貫通孔223に緊結ボルト271を通したログ壁調整部27によって、各ログ材の結合状態を保持する。詳しくは、ログ壁調整部27を構成する緊結ボルト271は、第1貫通孔204及び第2貫通孔22に挿通し、第1貫通孔204の開口部206から雄ネジ部が露出しており、この雄ネジ部にナット27を締結している。これにより、ログ壁調整部27として、建物基礎20と外壁21とが緊結している。
そして、ログ壁調整部27は、ログ材の収縮現象が生じた際に、ナット27を増し締めすることで建物基礎20と外壁21とが再緊結され、ログ材の間が詰まって隙間が閉じる(換言すると、ログ材の隙間を調整する)構造になっている(図5参照)。
主に図5を参照して、ログ材の収縮現象と壁面構造体2各部の作用について詳述する。
図5(a)は建築直後の壁面構造体2各部を示している。このとき、ログ材の間は詰まり、区画壁部24下端と中間部材23上面の間にも隙間は生じていない。
図5(b)は、建築から所定期間経過後で、ログ材の収縮現象が生じた状態の壁面構造体2各部を示している。ログ材は、黒矢印の示す方向(軸中心に向かう方向)に収縮し、この結果、ログ材の間には白矢印の示す方向へ隙間が生じる。
図5(c)は、図5(b)の状況を受けて、ログ壁調整作業を行った後の壁面構造体2各部を示している。詳しくは、ログ壁調整部27のナット272を増し締めすることで、建物基礎20と外壁21とが再緊結され、黒矢印の示す方向にログ材の間が詰まって隙間が埋まっている。
しかし、ログ材の隙間を調整する(ログ材の間を詰める)と、ログ壁部22全体の高さが低くなる。この結果、ログ壁部22上端(より詳しくは、中間部材23上面)と区画壁部24下端の間において、白矢印の示す方向へ新たな隙間が生じることになる。このとき、背板部25を有することで、垂下部分251が、新たに生じた隙間を覆う。これにより、中間部材23の交換やシーリング材の充填の作業を要することなく、建物1の屋内側からこの新たな隙間を塞ぐことができる。
そして、ログ壁調整部27のナット272を増し締めにより、ログ壁部22全体の高さが低くなったとしても、接続体3は、垂直部32が耐力構造体4表面をスライド可能な遊嵌状態で取り付けられているので(図4参照)、耐力構造体4の接続ボルト41は、ログ壁部22全体の下方移動に追従して接続体3の長孔321を移動する。これにより、ログ壁調整作業に起因して、接続体3が破断するか、又は、接続体3の取付箇所に係るログ壁部22あるいは耐力構造体4の破損を招くことなく、ログ壁部22と耐力構造体4の接続が維持される。
耐力構造体4は、建物1に耐力を付加している。そして、接続体3は、建物1の屋内側において、ログ壁部22と耐力構造体4とを接続し、外壁21に耐震性を付加した構造にしている。接続体3の水平部31は、ログ壁部22と耐力構造体4のスペーサーであると共に、外壁21に加わる水平荷重等の応力を耐力構造体4に負担させている。接続体3の垂直部32は、耐力構造体4に当接して支えている。また、補助接続体3aは、建物1の屋内側において、区画壁部24と耐力構造体4とを接続し、外壁21に耐震性を付加した構造にしている。
このように、建物1(壁面構造体2)によれば、ログ壁を使用した良好な美観の外壁であると共に、施工及びログ材の収縮現象が生じた際の隙間調整を容易に行うことができる。
〔変形例〕
なお、本発明には、第1実施形態において説明した態様のほか、以下の変形例に記載した態様も含まれる。
〔変形例1〕
図6(a)は、図3に示したログ壁部22と中間部材23の他の態様(変形例)であり、同図を参照して変形例1について説明する。なお、ログ壁部22aと中間部材23aは、後述する相違点を除き、第1実施形態と同様であるため、その構造および作用効果の説明は省略する。
変形例1において、ログ壁部22aは、これを構成するログ材の端面形状がD形(Dログ)である。これに対応すべく、中間部材23aの形状も前述した中間部材23と相違している。
中間部材23aは、断熱性及び弾性を有する合成樹脂製で、下方が開口した逆溝形であり、溝内が最上段に位置するログ材221aの上面及び側部に沿う形状に設けられている。詳しくは、中間部材23aは、側部のうち、屋内側が鉛直方向に設けられ、屋外側が下り傾斜して設けられた形状である。そして、中間部材23aは、最上段に配置されたログ材221aの上部に取り付けられる。
中間部材23aは、前述の構造であることにより、無加工又は最小限の加工で最上段に配置されたDログであるログ材221aの上部に容易に取り付けることができ、作業効率が良い。
〔変形例2〕
図6(b)は、図3に示したログ壁部22と中間部材23の他の態様(変形例)であり、同図を参照して変形例2について説明する。なお、ログ壁部22bと中間部材23bは、後述する相違点を除き、第1実施形態と同様であるため、その構造および作用効果の説明は省略する。
変形例2において、ログ壁部22bは、これを構成するログ材の端面形状が略円形(丸ログ)である。これに対応すべく、中間部材23bの形状も前述した中間部材23と相違している。
中間部材23bは、断熱性及び弾性を有する合成樹脂製で、下方が開口した逆溝形であり、溝内が最上段に位置するログ材221bの上面乃至側部の一部に沿う形状に設けられている。詳しくは、中間部材23bは、溝内が、中間部材23bの幅方向に湾曲した曲面形状(換言すると、最上段に位置するログ材221bへの取り付け時において上となる方向に湾曲した形状)である。そして、中間部材23bは、最上段に配置されたログ材221bの上部に取り付けられる。
中間部材23bは、前述の構造であることにより、無加工又は最小限の加工で最上段に配置された丸ログであるログ材221aの上部に容易に取り付けることができ、作業効率が良い。
〔変形例3〕
図7(a)は、図2に示した外壁21の他の態様(変形例)であり、同図を参照して変形例3について説明する。なお、ログ壁部22と区画壁部24は、第1実施形態と同様であるため、その構造および作用効果の説明は省略する。
変形例3において、中間部材23cは、断熱性及び弾性を有する合成樹脂製で、上面部分よりも下方が開口した逆溝形であり、溝内が最上段に位置するログ材221の上面及び側部に沿う形状に設けられている。そして、中間部材23cは、その上面部分に、区画壁部24の下部を受ける区画壁受け部231aが立設されている。中間部材23cは、最上段に配置されたログ材211の上部に取り付けられる。
区画壁受け部231aは、中間部材23cの上面部分の長手方向に亘って平行配置され、基端が上面部分に固着された2枚の板体で構成されている。区画壁受け部231aを構成する板体は、その間隔が、区画壁部24の厚みと略同じか、同厚みよりも僅かに幅広となっており、同間隔部分が溝部232aを構成している。区画壁受け部231aを構成する板体は、その一方が、中間部材23cの下垂部分の室内側となる側面部分と面一になっている。
区画壁受け部231aは、その高さが、ログ壁部22の段数と経年によるログ材の収縮現象が生じた際の収縮率を計算し、収縮現象が生じたログ壁部22の隙間をログ壁調整部27で詰めることで生じる沈下状態で、区画壁受け部231aの内部から区画壁部24下縁が出ないか、あるいは、区画壁受け部231a上縁と区画壁部24下縁が略同一の高さ(0.01cm以上3cm未満)になるように設定されたものであることが好ましい。
中間部材23cは、前述の構造であることにより、無加工又は最小限の加工で最上段に配置されたログ材221の上部に容易に取り付けることができ、作業効率が良い。そして、中間部材23cは、区画壁受け部231aの溝部232aに区画壁部24を嵌入させるだけの容易な作業で施工が完了するため、作業効率が良い。
中間部材23cは、区画壁受け部231aの高さが、ログ壁部22の沈下状態で、区画壁受け部231aの内部から区画壁部24下縁が出ないか、あるいは、区画壁受け部231a上縁と区画壁部24下縁が略同一の高さになるように設定されたものであることにより、経年収縮によるログ材間の隙間をログ壁調整部27により詰めた後に、ログ壁部22上端と区画壁部24下端の間に隙間が生じないように塞ぐことができる。
なお、本変形例において、区画壁受け部231aは、その高さが前述の態様であることが好ましいが、例えば、経年によるログ材の収縮現象が生じた際のログ材間の隙間をログ壁調整部27により詰めた後に、区画壁受け部231a上縁と区画壁部24下縁の間に多少の隙間(背板部25の垂下部分251でカバーできる程度。第1実施形態の例であれば、3cm以上10cm未満)が形成される態様であってもよい。この態様であっても、容易な作業で施工が完了するため作業効率が良く、前述した垂下部分251を以て、ログ壁部22上端と区画壁部24下端の間に新たな生じる隙間を塞ぐことができる。
〔変形例4〕
図7(b)は、図2に示した外壁21の他の態様(変形例)であり、同図を参照して変形例4について説明する。なお、ログ壁部22と区画壁部24は、第1実施形態と同様であるため、その構造および作用効果の説明は省略する。
変形例4において、中間部材23dは、断熱性及び弾性を有する合成樹脂製で、所定の高さを有し、上面部分及び下面部分が開口している。中間部材23dは、下面部分が下方向に開口した逆溝形であり、溝内が最上段に位置するログ材221の上面及び側部に沿う形状に設けられている。中間部材23dは、最上段に配置されたログ材211の上部に取り付けられる。
そして、中間部材23dは、その上面部分の幅方向中央且つ上面部分の長手方向に亘って形成された所定深さの凹溝(溝部232b)である区画壁受け部231bが形成されている。区画壁受け部231bは、その溝部232bの間隔が、区画壁部24の厚みと略同じか、同厚みよりも僅かに幅広となっている。
区画壁受け部231bは、溝部232bの深さが、ログ壁部22の段数と経年によるログ材の収縮現象が生じた際の収縮率を計算し、収縮現象が生じたログ壁部22の隙間をログ壁調整部27で詰めることで生じる沈下状態で、区画壁受け部231bの内部から区画壁部24下縁が出ないか、あるいは、区画壁受け部231b上縁と区画壁部24下縁が略同一の高さ(0.01cm以上3cm未満)になるように設定されたものであることが好ましい。
中間部材23dは、前述の構造であることにより、無加工又は最小限の加工で最上段に配置されたログ材221の上部に容易に取り付けることができ、作業効率が良い。そして、中間部材23dは、区画壁受け部231bの溝部232bに区画壁部24を嵌入させるだけの容易な作業で施工が完了するため、作業効率が良い。加えて、中間部材23dは、区画壁受け部231bの側板となる部分(溝部232bの幅方向両側となる部分)が肉厚であるため、水平荷重が生じた際に区画壁部24の動きによって側板となる部分が破損することを抑制することができる。
なお、本変形例において、区画壁受け部231bは、溝部232bの深さが前述の態様であることが好ましいが、例えば、経年収縮によるログ材間の隙間をログ壁調整部27により詰めた後に、区画壁受け部231b上縁と区画壁部24下縁の間に多少の隙間(背板部25の垂下部分251でカバーできる程度。第1実施形態の例であれば、3cm以上10cm未満)が形成される態様であってもよい。この態様であっても、容易な作業で施工が完了するため作業効率が良く、前述した垂下部分251を以て、ログ壁部22上端と区画壁部24下端の間に新たな生じる隙間を塞ぐことができる。
〔変形例5〕
図8は、図2に示した建物基礎20の他の態様(変形例)であり、同図を参照して変形例5について説明する。なお、建物基礎20aは、後述する相違点を除き、第1実施形態と同様であるため、その構造および作用効果の説明は省略する。
変形例5において、建物基礎20aは、地下基礎部(図示省略)と地上部202aを含み、地上部202aは地上部202よりも幅方向が厚く形成されている。地上部202aは、高さ方向の中間位置に、屋外側に開口した方形の切欠部207が形成されている。地上部202aは、その上面に開口部205aが形成され、切欠部207の天部に形成された開口部206aに至る、緊結ボルト271が挿通可能な第1貫通孔204aが形成されている。
建物基礎20aは、地上部202aが前述した構成であるため、その上面に、壁面構造体2と耐力構造体4を近接配置することができる。また、建物基礎20aは、幅方向に厚い構造であるため、切欠部207を有しながらも、地上部202よりも堅牢な構造となっている。
〔変形例6〕
図9は、図2に示した壁面構造体2の他の態様(変形例)であり、同図を参照して変形例6について説明する。なお、壁面構造体2aは、後述する相違点を除き、第1実施形態と同様であるため、その構造および作用効果の説明は省略する。
壁面構造体2aを構成する外壁21aは、屋外側に耐火壁部5を有している。耐火壁部5は、屋根10の軒下面から、区画壁部24の全部及びログ壁部22の下端に至る領域を覆うように配設されている。
なお、図8において、壁面構造体2aは、耐火壁部5が外壁21aの全面を覆う態様であるが、これに限定するものではなく、例えば、耐火壁部5が区画壁部24は覆わずにログ壁部22を覆う態様(つまり、「少なくともログ壁を覆う」態様)であってもよい。また、「耐火」壁部のみならず、「準耐火」あるいは「防火」壁部で代替することもできる。
壁面構造体2aは、前述した耐火壁部5を有する構造であるため、ログ壁部22を含む外壁21に耐火性を付与している。これにより、壁面構造体2aは、これを適用する建物1を都市部等に建築した場合において、隣接して距離が近い建物が火災に遭ったとしても、木材であるログ壁22が延焼しにくい構造となる。
〔第2実施形態〕
(建物1b)
図10(a)に示す建物1bは、本発明の実施の一形態である。建物1bは、陸屋根(屋根10b)を有し、柱や梁に鉄骨を使用した鉄骨造且つコンクリート造の2階建て構造であり(2階建て以上の複数階建構造であってもよい)、壁面構造体2b、2cと、建物1bの内側(すなわち屋内側)に配置された耐力構造体4b、4cを備える。壁面構造体2b及び耐力構造体4bは1階部分に配設され、壁面構造体2c及び耐力構造体4cは2階部分に配設されている。各部について、以下で詳述する。なお、第1実施形態と同様の構造及び作用効果については説明を省略する。
(壁面構造体2b)
1階部分に配設された壁面構造体2bは、建物基礎20(前述した設置基部に相当)、建物基礎20から上階床部11の間に配置され、ログ壁部22cと耐火壁部5を有する外壁21c、及び、ログ壁部22cの間隔を調整可能なログ壁調整部27を有する。なお、建物基礎20及びログ壁調整部27は、第1実施形態と同様の構造及び作用効果であるため、説明は省略する。
<外壁21c>
外壁21cは、ログ壁部22c、中間部材23、背板部(図示省略)、及び、耐火壁部51を有する構造である。そして、外壁21cは、建物基礎20の張出部203の上面に設けられている。中間部材23は、最上段に位置するログ材221c上部に取り付けられ、1階天井と最上段に位置するログ材221cに挟まれている。背板部(図示省略)は、外壁21cの屋内を向いた側に配設され、1階天井(上階床部11の下面)から最上段に位置するログ材221cに沿って所定長さを以て垂下した構造である。なお、中間部材23及び背板部(図示省略)は、第1実施形態と同様の構造及び作用効果であるため、説明は省略する。
ログ壁部22cは、複数の角形のログ材を横設且つ積重してなり、建物基礎20上から1階天井に至る高さに設けた構造である。そして、最上段に位置するログ材221cの上面から最下段に位置するログ材222の下面に至る第2貫通孔223が、第1貫通孔204と連通する配置で鉛直方向に形成されている。
耐火壁部51は、外壁21cの屋外側に配設され、ログ壁部22cの屋外側全面(換言すると、建物基礎20から上階床部11に至る領域)を覆うように配設されている。なお、耐火壁部51は、変形例6で説明した耐火壁部5と同様の構造及び作用効果であるため、説明を省略する。
(壁面構造体2c)
2階部分に配設された壁面構造体2cは、コンクリートスラブである上階床部11(前述した設置基部に相当)、上階床部11から屋根10bの間に配置され、ログ壁部22dと耐火壁部52を有する外壁21d、及び、ログ壁部22dの間隔を調整可能なログ壁調整部27aを有する。
<外壁21d>
外壁21dは、ログ壁部22d、中間部材23、背板部(図示省略)、及び、耐火壁部52を有する構造である。そして、外壁21dは、建物基礎20の張出部203の鉛直方向上方に位置する上階床部11の上面に設けられている。中間部材23は、最上段に位置するログ材221d上部に取り付けられ、2階天井と最上段に位置するログ材221dに挟まれている。背板部(図示省略)は、外壁21dの屋内を向いた側に配設され、2階天井(屋根10bの下面)から最上段に位置するログ材221dに沿って所定長さを以て垂下した構造である。なお、中間部材23及び背板部(図示省略)は、前述した1階部分と同様の構造及び作用効果であるため、説明は省略する。
ログ壁部22dは、複数の角形のログ材を横設且つ積重してなり、上階床部11上から2階天井に至る高さに設けた構造である。そして、最上段に位置するログ材221dの上面から最下段に位置するログ材222の下面に至る第2貫通孔223aが鉛直方向に形成されている。第2貫通孔223aは、ログ壁部22dの中間位置において径大になっており、同径大な部分に室内側に開口した開口部224が形成されている。
耐火壁部52は、外壁21cの屋外側に配設され、ログ壁部22dの屋外側全面(換言すると、上階床部11から屋根10bに至る領域)を覆うように配設されている。なお、耐火壁部52は、前述の耐火壁部51と同様の構造及び作用効果であるため、説明を省略する。
<ログ壁調整部27a>
ログ壁調整部27aは、2本の緊結ボルト271a、272bと、緊結ボルト271a、272bを連結するターンバックル273を含む構造である。
緊結ボルト271aは、ログ壁部22dの第2貫通孔223aの上半分の領域に嵌挿され、その上端が最上段に位置するログ材221dの上面に牽引可能に係止されている。そして、緊結ボルト271aは、第2貫通孔223aの上半分に通した挿通状態で、開口部224から雄ネジ部が所定の長さ(ターンバックル273の上部雌ネジに螺着可能な長さ)で露出する長さに設けられている。
緊結ボルト271bは、その中間部乃至先部が上階床部11の鉛直方向に突出すると共に、その基部が上階床部11に埋設されたアンカー部材であり、同中間部乃至先部がログ壁部22dの第2貫通孔223aの下半分の領域に嵌挿されている。そして、緊結ボルト271bは、少なくともその先部に雄ネジが形成され、第2貫通孔223aの下半分に通した挿通状態で、開口部224から雄ネジ部が所定の長さ(ターンバックル273の下部雌ネジに螺着可能な長さ)で露出する長さに設けられている。
ターンバックル273は、その上部に緊結ボルト271aの先端を、その下部に緊結ボルト272bを、各々連結している。
<接続体3>
外壁21cと耐力構造体4bの間、及び、外壁21dと耐力構造体4cの間には、接続体3及び補助接続体(図示省略)が配設されている。接続体3は、建物1bの1階屋内側と上階屋内側に配置され、外壁21cと耐力構造体4b、及び、外壁21dと耐力構造体4cを各々接続している。なお、接続体3及び補助接続体(図示省略)は、第1実施形態と同様の構造及び作用効果であるため、説明は省略する。
(作 用)
建物1bの作用効果について説明する。
(建物1bの1階部分)
建物1bは、建物基礎20により、建物躯体、壁面構造体2b、2cを含む建物を支持することができる。建物基礎20は、外壁21c下部と地面との間に所定の距離を確保することができる。また、建物基礎20は、張出部203上面で外壁21cを支持し、地上部202上面で耐力構造体4bを支持している。
つまり、建物基礎20は、耐荷重性の高い地上部202の鉛直方向に耐力構造体4bを配置し、外壁21cを近接配置しており、耐力構造体4bが屋内側に配置された纏まりが良い構造となっている。また、外壁21cと耐力構造体4bが近接配置されることで、接続体3(の水平部)の長さを短くでき、横揺れ時に接続体3(の水平部)に加わる応力が低減される。
また、建物基礎20に設けた第1貫通孔204は、連通する第2貫通孔223と共に、緊結ボルト271を通すことができ、第1貫通孔204の下方の開口部から露出した雄ネジ部に対してナット272を締結する作業を容易に行うことができる。そして、ナット272は、その配置が建物1b外に向けて開放された構造であるため、建築して所定期間経過後にログ壁調整作業を行う際に、建物1b内に立ち入ることなく作業を行うことができるので、建物1の使用者のプライバシーを保つことができる。
外壁21cは、建物1bの1階部分の外装を構成する。ログ壁部22cは、木材に係る炭素貯蔵効果及び省エネルギー効果を以て、地球温暖化防止、温室効果ガス排出削減に寄与する。耐火壁部51は、ログ壁部22cを含む外壁21cに耐火性を付与している。これにより、壁面構造体2bは、これを適用する建物1bを都市部等に建築した場合において、隣接して距離が近い建物が火災に遭ったとしても、木材であるログ壁22cが延焼しにくい構造となる。
中間部材23は、ログ壁部22cと天井部の隙間を閉じ、建物1b内への外気の流入を抑制する。中間部材23は、最上段に位置するログ材221cの上部に被せるだけで設置が済み、非熟練作業者であっても、施工を簡易且つ更に速やかで正確に行うことができる。なお、外壁21cは、背板部(図示省略)を有することで、ログ材の収縮現象が生じてログ材の隙間を調整した際に、ログ壁部22c上端と天井部の間に新たな生じる隙間を塞ぐことができる。
壁面構造体2bは、前述した壁面構造体2と同様の作用効果を奏し、ログ壁調整部27によって、各ログ材の結合状態を保持すると共に、ログ材の収縮現象が生じた際に、ナット27の増し締めで再緊結し、ログ材の間が詰まって隙間を閉じる構造になっている。
耐力構造体4bは、建物1bに耐力を付加している。そして、接続体3は、建物1bの屋内側1階部分において、ログ壁部22cと耐力構造体4bとを接続し、外壁21cに耐震性を付加した構造にしている。接続体3は、その水平部がログ壁部22cと耐力構造体4bのスペーサーであると共に、外壁21cに加わる水平荷重等の応力を耐力構造体4bに負担させている。接続体3はその垂直部が耐力構造体4bに当接して支えている。なお、補助接続体(図示省略)も、建物1bの屋内側の屋内側1階部分において、ログ壁部22cと耐力構造体4bとを接続し、外壁21cに耐震性を付加した構造にしている。
(建物1bの2階部分)
建物1bの2階部分は、上階床部11により、建物躯体の上階部、壁面構造体2cを含む建物を支持することができる。また、上階床部11は、その上面で外壁21dと耐力構造体4cを支持している。
建物1bの2階部分においても、耐力構造体4cと外壁21dが近接配置され、耐力構造体4cが屋内側に配置された纏まりが良く、加えて、接続体3(の水平部)の長さを短くでき、横揺れ時に接続体3(の水平部)に加わる応力が低減される構造となっている。
外壁21dは、建物1bの2階部分の外装を構成する。ログ壁部22dは、木材に係る炭素貯蔵効果及び省エネルギー効果を以て、地球温暖化防止、温室効果ガス排出削減に寄与する。耐火壁部52は、ログ壁部22dを含む外壁21に耐火性を付与し、耐火壁部51と同様、近距離で火災が起きたとしても、ログ壁22dが延焼しにくい構造となる。
中間部材23は、ログ壁部22dと天井部の隙間を閉じ、建物1b内への外気の流入を抑制する。中間部材23は、最上段に位置するログ材221dの上部に被せるだけで設置が済み、非熟練作業者であっても、施工を簡易且つ更に速やかで正確に行うことができる。なお、外壁21dは、背板部(図示省略)を有することで、ログ材の収縮現象が生じてログ材の隙間を調整した際に、ログ壁部22d上端と天井部の間に新たな生じる隙間を塞ぐことができる。
ログ壁調整部27aは、開口部224からアクセスが容易なターンバックル273の胴を回転させるだけで、両端に取り付けられた2本の緊結ボルト271a、272bが締め込まれ、張力を容易に調節することができる。つまり、壁面構造体2cは、前述した壁面構造体2と近似した作用効果を奏し、ログ壁調整部27aによって、各ログ材の結合状態を保持すると共に、ログ材の収縮現象が生じた際に、ターンバックル273の増し締めで再緊結し、ログ材の間が詰まって隙間を閉じる構造になっている。
耐力構造体4bは、建物1bに耐力を付加している。そして、接続体3は、建物1bの屋内側1階部分において、ログ壁部22cと耐力構造体4bとを接続し、外壁21cに耐震性を付加した構造にしている。接続体3は、その水平部がログ壁部22cと耐力構造体4bのスペーサーであると共に、外壁21cに加わる水平荷重等の応力を耐力構造体4bに負担させている。接続体3はその垂直部が耐力構造体4bに当接して支えている。なお、補助接続体(図示省略)も、建物1bの屋内側の屋内側1階部分において、ログ壁部22cと耐力構造体4bとを接続し、外壁21cに耐震性を付加した構造にしている。
〔変形例7〕
図10(b)は、図10(a)に示した建物1bの他の態様(変形例)であり、同図を参照して変形例7について説明する。なお、建物1cは、後述する相違点を除き、第2実施形態と同様であるため、その構造および作用効果の説明は省略する。
建物1cは、RC・SRC造であり、耐力構造体を有していない点、耐力構造体と壁面構造体を接続する接続体を有しない点、において建物1cと相違する。なお、RC造は、鉄筋コンクリート造(Reinforced Concrete Construction)の略で、SRC造は、鉄骨鉄筋コンクリート造(Steel Reinforced Concrete Construction)の略である。建物1cは、建物躯体が十分な強度を有し、壁面構造体に近接する耐力構造体が無く、構造を単純化することができる。
本明細書および特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書および特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。また、第一、第二などの言葉は、等級や重要度を意味するものではなく、一つの要素を他の要素から区別するために使用したものである。
1、1a、1b、1c 建物
10、10b 屋根
11 上階床部
2、2a、2b、2c 壁面構造体
20、20a 建物基礎
201 地下基礎部
202、202a 地上部
203 張出部
204、204a 第1貫通孔
205、205a 開口部
206、206a 開口部
207 切欠部
21、21a、21b、21c 外壁
22、22a、22b、22c ログ壁部
221、221a、221b、221c、221d 最上段に位置するログ材
222 最下段に位置するログ材
223、223a 第2貫通孔
224 開口部
23、23a、23b、23c、23d 中間部材
231a、231b 区画壁受け部
232a、232b 溝部
24 区画壁部
25 背板部
251 垂下部分
26 幕板部
261 接続部分
262 傾斜面部分
263 垂下部分
264 返し部分
27、27a ログ壁調整部
271、271a、272b 緊結ボルト
272 ナット
273 ターンバックル
3 接続体
31 水平部
311 孔
32 垂直部
321 長孔
3a 補助接続体
4、4b、4c 耐力構造体
41 接続ボルト
42 フランジ付きナット
5 耐火壁部
51 耐火壁部
52 耐火壁部
G 地面

Claims (1)

  1. 耐力構造体と、
    設置基部と、該設置基部から屋根あるいは上階の床レベルの高さの間に配置され、ログ壁である部分を含む外壁と、該外壁に係る前記ログ壁の間隔を調整可能なログ壁調整部とを有し、
    前記設置基部は、その構造が、
    地面から所定の高さで立設された壁状部と、該壁状部の上端において建物外となる方向に張り出し、且つ、張り出した部分の下面が地面から所定高さを空けて設けられた張出部とを含み、該張出部には、一端が同張出部の上面に開口し、他端が張出部の下面に開口した第1貫通孔が鉛直方向に形成されている第1態様、
    又は、
    地面から所定の高さで立設され、その高さ方向中間の領域に、建物外となる方向に開口した切欠部が形成された壁状部を含み、該壁状部には、一端が同壁状部の上面に開口し且つ他端が前記切欠部の天部に開口した第1貫通孔が鉛直方向に形成されている第2態様、
    のいずれかであり、
    前記外壁は、その一部又は全部の領域が、長軸方向が略水平となるように横設した複数のログ材を積重してなる構造であり、最上段に位置する前記ログ材の上面から最下段に位置する前記ログ材の下面に至る第2貫通孔が、前記第1貫通孔と連通する配置で形成されたログ壁部、及び、該ログ壁部の最上段に配置されたログ材の上部に取り付けられた断熱性を有する中間部材、を含み、該中間部材が、下方が開口した逆溝形であり、溝内が最上段に位置する前記ログ材の上面及び側部に沿う形状に設けられており、
    前記ログ壁調整部は、少なくとも、前記第1貫通孔とこれに連通した前記第2貫通孔とに通した挿通状態で、該第1貫通孔の他端側開口から雄ネジ部が所定長さで露出する長さに設けられた緊結ボルト、及び、同第1貫通孔の他端側開口から露出した雄ネジ部に締結されたナット、を含む構造である
    壁面構造体と、
    を備える
    建物。
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