JP6981650B2 - 培養装置 - Google Patents

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Description

本発明は、培養装置に関する。
iPS細胞等の幹細胞に関する技術は、細胞治療・再生医療の分野のみならず、バイオ研究や創薬研究における動物実験の代替ツールとしても、応用展開が期待されている。幹細胞関連産業の発展には、分化細胞を大量に生産する技術の開発が不可欠である。幹細胞を分化誘導して成熟させて分化細胞を培養する技術は、細胞種ごとに開発されているところ、特に神経系及び筋肉系の細胞の分化誘導には電気刺激が有効であることがわかってきた。
細胞に電気刺激を与えながら培養する技術として、例えば、特許文献1には、脳橋核の神経細胞や小脳顆粒細胞を入れた培養容器に第一の電極と第二の電極とを細胞近傍に挿入することで、培養細胞に電気刺激を印加する技術が開示されており、また、特許文献2には、培養基材上に設けられた第一電極と該第一電極に対向して設けられた第二電極とを備える装置により、マウス筋繊維細胞等に電気刺激を印加する技術が開示されている。
特開2004−344003号公報 特開2015−112087号公報
しかしながら、上記従来の培養装置では、培養物に対する電気刺激を好適化できる余地があった。
本発明は、細胞やスフェロイドに対して高効率に電気刺激を行うことを可能にする培養装置を提供することを目的とする。
本発明の要旨は以下の通りである。
本発明の培養装置は、培養ウェルを有するゲル体と、該培養ウェルを挟んで設けられている一対の電極とを備えることを特徴とする。
また、本発明の培養装置は、前記ゲル体が表裏両面を有し、前記電極が前記培養ウェルに関して表裏両面側に設けられていることが好ましい。
本発明の培養装置は、前記電極の少なくとも一部が、前記ゲル体上に配置されていてよい。
本発明の培養装置は、前記電極の少なくとも一部が、前記ゲル体に包埋されていてよい。
更に、本発明の培養装置は、前記一対の電極が平面視にて交互に並列されていることが好ましい。
更に、本発明の培養装置は、隣接する前記一対の電極の間に前記培養ウェルがそれぞれ設けられていることが好ましい。
更に、本発明の培養装置は、平面視にて前記一対の電極のうち一方が他方に囲繞されるように設けられていることが好ましい。
更に、本発明の培養装置は、前記培養ウェルと該培養ウェルを挟んで設けられている前記一対の電極が等距離で設けられていることが好ましい。
更に、本発明の培養装置は、前記ゲル体がハイドロゲルであることが好ましい。
更に、本発明の培養装置は、前記ハイドロゲルは、コラーゲン、グルコマンナン、フィブリン、アルギン酸、ポリビニルアルコール、PPEGDA、PPEGDM、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、シリコーン、DNハイドロゲル、これらの2種以上の混合物からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
更に、本発明の培養装置は、前記電極は、炭素材料、導電性ポリマー材料、半導体、金属からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
更に、本発明の培養装置は、前記電極は、カーボンナノチューブ、ケッチェンブラック、グラッシーカーボン、グラフェン、フラーレン、カーボンファイバ、カーボンファブリック、カーボンエアロゲル、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリピロール、金、白金からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
更に、本発明の培養装置は、前記ゲル体がポリアクリルアミドを含み、前記電極がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を含むことが好ましい。
更に、本発明の培養装置は、前記電極表面から始端し前記ゲル体内部に伸びるポリマーを備えることが好ましい。
本発明によれば、細胞やスフェロイドに対して高効率に電気刺激を行うことを可能にする培養装置を提供することができる。
図1に、本発明の一例の培養装置の平面図及び断面図を示す。図1(A)に、培養装置の平面図を示し、図1(B)に、図1(A)の線A−Aに沿う面による培養装置の断面図を示す。 図2に、本発明の別の例の培養装置の平面図及び断面図を示す。図2(A)に、培養装置の分解図を示し、図2(B)に、培養装置の斜視図を示し、図2(C)に、図2(B)の線A−Aに沿う面による培養装置の断面図を示し、図2(D)に、図2(B)の線B−Bに沿う面による培養装置の断面図を示す。 図3に、本発明の更なる例の培養装置の平面図及び断面図を示す。図3(A)に、培養装置の分解図を示し、図3(B)に、培養装置の斜視図を示し、図3(C)に、図3(B)の線A−Aに沿う面による培養装置の断面図を示し、図3(D)に、図3(B)の線B−Bに沿う面による培養装置の断面図を示す。 図4に、本発明の実施形態の培養装置の製造方法の一態様の概要の説明図を示す。 図5に、本発明の実施形態の培養装置の製造方法の別の態様の概要の説明図を示す。 図6に、実施例1で作製した培養装置の外観を示す。(A)に模式図を示し、(B)に写真を示す。 図7に、実施例2で作製した培養装置の外観を示す。(A)に模式図を示し、(B)に写真を示す。(B)中、左上は全体の写真であり、右下は培養ウェル部分の拡大写真である。 図8に、実施例2で作製した培養装置の第一ゲル体部分(容器側ゲル体部分)を用いて、サイクリックボルタンメトリ測定及びインピーダンス測定を行ったときの結果を示す。(A)に、実施例2で作製した培養装置の第一ゲル体部分(容器側ゲル体部分)を用いて測定したときの図を示し、(B)に、対照サンプルとして金電極を使用した第一ゲル体部分を用いて測定したときの図を示す。 図9に、実施例2で作製した培養装置の第一ゲル体部分(容器側ゲル体部分)を用いて、サイクリックボルタンメトリ測定及びインピーダンス測定を行ったときの結果を示す。(A)に、サイクリックボルタンメトリ測定の結果を示し、(B)に、インピーダンス測定の結果を示す。 図10に、実施例2で作製した培養装置を用いて、心筋細胞を培養したときの拍動の測定結果を示す。(A)に、電気刺激を与えることなく拍動を測定したときの結果を示し、(B)に、1Hzの周波数の電気刺激を与えて拍動を測定したときの結果を示す。
以下、図面を参照して、本発明の培養装置の実施形態について詳細に例示説明する。
(培養装置)
本発明の実施形態の培養装置1は、図1に示すように、培養ウェル3wを有するゲル体3と、該培養ウェル3wを挟んで設けられている一対の電極2(21、22)とを備える。
図1に、本発明の一例の培養装置の平面図及び断面図を示す。図1(A)に、培養装置の平面図を示し、図1(B)に、図1(A)の線A−Aに沿う面による培養装置の断面図を示す。
従来の培養装置による細胞やスフェロイド等の培養物に対する電気刺激では、印加されるイオン電流束が不均一であり、実際に与えられる電気刺激の強度は不明であった。一方、本発明の培養装置1によれば、電極2が細胞やスフェロイドCを挟んで配置されているため、所望の電気刺激のために適切に制御されたイオン電流を細胞やスフェロイドCに印加することが可能になる。
また、本発明の培養装置によれば、溶液を透過することが可能なゲル製の培養ウェル3wが用いられるため、培地交換の手間を省くことができ、バッチ式培養のみならず連続式培養をも可能にする。
本発明の実施形態の培養装置1では、ゲル体3の形状としては、特に限定されることはないが、使用安定性等の観点から表裏両面を有する形状が好ましく、具体的には、四角柱形状(直方体、正方体等)、円柱形状が好ましい。
特に、本発明の一例の培養装置では、図1に示すように、ゲル体3が直方体の形状であり、表裏両面を有している。
本発明の実施形態の培養装置1では、電極2(21、22)の配設態様としては、培養ウェル3wを挟んで設けられる限り特に限定されることはないが、培養物に対する電気刺激を好適なものとする目的で、培養ウェル3wを挟む電極21、22どうしを結ぶ線と培養ウェル3wの深さ方向とが傾斜角θをなすこと、言い換えれば、培養装置1を水平な台上に静置したときに培養ウェル3wを挟む電極21、22どうしを結ぶ線と鉛直方向とが傾斜角θをなすことが好ましい。ここで、傾斜角θをなすとは、両方向のなす角度のうち小さい方の角度が90°未満であることをいう。
特に、本発明の一例の培養装置1では、図1に示すように、電極2(21、22)が培養ウェル3wに関して表裏両面側に設けられており、電極21、22どうしを結ぶ線と培養ウェル3wの深さ方向とが傾斜角θ(図1参照)をなしている。
上記傾斜角θとしては、0.1°以上であることが好ましく、1°以上であることが更に好ましく、3°以上であることがより好ましく、また、89°以下であることが好ましく、60°以下であることが更に好ましく、30°以下であることがより好ましい。
本発明の実施形態の培養装置1では、電極2(21、22)の配設態様としては、培養ウェル3wを挟んで設けられる限り特に限定されることはないが、培養物をイオン電流束の中に確実に位置させる目的で、培養ウェル3wを挟む電極21、22どうしを結ぶ線上に培養ウェル3wが位置するように電極2(21、22)が設けられることが更に好ましい。
本発明の実施形態の培養装置1では、電極2がゲルと接触していることが必要であり、電極2がゲル体3上に配置されていてもよく、電極2の少なくとも一部がゲル体3に包埋されていてもよい。
特に、本発明の一例の培養装置1では、図1に示すように、電極2の少なくとも一部が、ゲル体3上に配置されていている。
本発明の実施形態の培養装置1では、図1に示すように、培養ウェル3wと該培養ウェル3wを挟んで設けられている2つの電極21、22とが等距離で設けられている。
かかる構成によれば、細胞やスフェロイドCに対して均一に電気刺激を行うことができる。
なお、特に、本発明の一例の培養装置1では、図1に示すように、表面側の電極22及び裏面側の電極21のそれぞれの外表面に、リーク電流を低減する意味で絶縁層6が設けられている。
本発明の培養装置は、図1に示される本発明の一例の培養装置1に限定されない。
以下、本発明の別の例の培養装置及び更なる例の培養装置について図2及び図3を参照して記載する。図2及び図3では、本発明の一例の培養装置1と同様の要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図2に、本発明の別の例の培養装置の平面図及び断面図を示す。図2(A)に、培養装置の分解図を示し、図2(B)に、培養装置の斜視図を示し、図2(C)に、図2(B)の線A−Aに沿う面による培養装置の断面図を示し、図2(D)に、図2(B)の線B−Bに沿う面による培養装置の断面図を示す。
本発明の別の例の培養装置1は、図2に示すように、平面視で長方形の培養ウェル3wを3つ有し、分岐した第一電極部分211と第二電極部分212とを有する第一の電極21が包埋されている、第一ゲル体部分(容器側ゲル体部分)31と、分岐した第一電極部分221と第二電極部分222とを有する第二の電極22が包埋されている、第二ゲル体部分(蓋側ゲル体部分)32とを備えている。
詳細には、第一ゲル体部分31において、平面視で長方形の3つの培養ウェルは、電極2(21、22)の延在方向に沿うように配置され、且つ電極2(21、22)の延在方向に垂直な方向に並列されている。そして、培養ウェル3wのうち2つは、第一の電極21の第一電極部分211と第二電極部分212との間に設けられており、培養ウェル3wのうち1つは、第一の電極21の第二電極部分212よりも外方に設けられている。
ここで、本発明の別の例の培養装置1では、第一ゲル体部分(容器側ゲル体部分)31と第二ゲル体部分(蓋側ゲル体部分)32とを図2に示すように組み立てたとき、培養装置1の厚さ方向に沿い、且つ電極2(21、22)の延在方向沿う面による断面においては、培養ウェル3wのいずれもが、第一の電極21と第二の電極22との間に位置しており(図2(C)参照)、また、培養装置1の厚さ方向に沿い、電極2(21、22)の延在方向に垂直な方向に沿う面による断面においては、培養ウェル3wのそれぞれが、第一の電極21の第一電極部分211と第二の電極22の第一電極部分221との間、第二の電極22の第一電極部分221と第一の電極21の第二電極部分212との間、第一の電極21の第二電極部分212と第二の電極22の第二電極部分222との間、に位置している(図2(D)参照)。
図2に示すように、本発明の別の例の培養装置1では、一対の電極2(21、22)が平面視にて交互に並列されている。
具体的には、この例では、第一の電極21の第一電極部分211、第二の電極22の第一電極部分221、第一の電極21の第二電極部分212、第二の電極22の第二電極部分222が、平面視にて交互に並列されている。
そして、図2に示すように、本発明の別の例の培養装置1では、隣接する一対の電極2(21、22)の間に培養ウェル3wがそれぞれ設けられている。
具体的には、この例では、第一の電極21の第一電極部分211と第二の電極22の第一電極部分221との間、第二の電極22の第一電極部分221と第一の電極21の第二電極部分212との間、第一の電極21の第二電極部分212と第二の電極22の第二電極部分222との間に、培養ウェル3wがそれぞれ設けられている。
図3に、本発明の更なる例の培養装置の平面図及び断面図を示す。図3(A)に、培養装置の分解図を示し、図3(B)に、培養装置の斜視図を示し、図3(C)に、図3(B)の線A−Aに沿う面による培養装置の断面図を示し、図3(D)に、図3(B)の線B−Bに沿う面による培養装置の断面図を示す。
本発明の更なる例の培養装置1は、図3に示すように、平面視でドーナツ形の培養ウェル3wを1つ有し、円環形の第一の電極21が包埋されている、第一ゲル体部分(容器側ゲル体部分)31と、円盤形の第二の電極22が包埋されている、第二ゲル体部分(蓋側ゲル体部分)32とを備えている。
詳細には、本発明の更なる例の培養装置1では、第一ゲル体部分(容器側ゲル体部分)31と第二ゲル体部分(蓋側ゲル体部分)32とを図3に示すように組み立てたとき、培養装置1の厚さ方向に沿い、且つ電極2(21、22)の延在方向沿う面による断面においては、培養ウェル3wの全体が、第一の電極21と第二の電極22との間に位置しており(図3(C)参照)、また、培養装置1の厚さ方向に沿い、電極2(21、22)の延在方向に垂直な方向に沿う面による断面においては、培養ウェル3wの各部分が、第一の電極21と第二の電極22との間に位置している(図3(D)参照)。
更なる例の培養装置1では、平面視にて一対の電極2(21、22)のうち一方22が他方21に囲繞されるように設けられている。言い換えれば、この例では、平面視にて円盤形の第二の電極22が円環形の第一の電極21の周囲に設けられている。
本発明の培養装置では、ゲル体3を、一例の培養装置1のように1つ単独のものとしてもよく、別の例の培養装置1及び更なる例の培養装置1のように第一ゲル体部分(容器側ゲル体部分)31と第二ゲル体部分(蓋側ゲル体部分)32とを組み合わせたものとしてもよい。
本発明の培養装置では、少なくとも一対の電極2(21、22)を備えていればよく、複数対以上(二対以上、三対以上、四対以上等)の電極2を備えていてもよい。
以下、本発明の実施形態の培養装置1の各要素について詳細に記載する。
−電極−
電極2の材料としては、炭素材料、導電性ポリマー材料、半導体、金属等が挙げられる。
ここで、炭素材料としては、カーボンナノチューブ、ケッチェンブラック、グラッシーカーボン、グラフェン、フラーレン、カーボンファイバ、カーボンファブリック、カーボンエアロゲル等が挙げられ;導電性ポリマー材料としては、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレンスルフィド)等が挙げられ、半導体としては、シリコーン、ゲルマニウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化チタン、酸化銅、酸化銀等が挙げられ;金属としては、金、白金、銀、チタン、アルミニウム、タングステン、銅、鉄、パラジウム等が挙げられる。
電極2の材料としては、特に、電子伝導性、安定性、及び生体親和性の観点から、炭素材料各種、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリピロール、金、白金が好ましい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
−ゲル体−
ゲル体3の材料としては、ハイドロゲル、油性ゲル等が挙げられ、特に、ハイドロゲルが好ましい。
ハイドロゲル材料(分散媒である水に分散させることによってハイドロゲルを形成する材料)としては、例えば、寒天、ゼラチン、アガロース、キサンタンガム、ジェランガム、スクレロチウガム、アラビヤガム、トラガントガム、カラヤガム、セルロースガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、キトサン、カラギーナン、クインスシード、ガラクタン、マンナン、デンプン、デキストリン、カードラン、カゼイン、ペクチン、コラーゲン、フィブリン、ペプチド、マトリゲル、コンドロイチン硫酸ナトリウム等のコンドロイチン硫酸塩、ヒアルロン酸(ムコ多糖類)及びヒアルロン酸ナトリウム等のヒアルロン酸塩、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、及びアルギン酸カルシウム等のアルギン酸塩、並びにこれらの誘導体等の天然高分子;メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体及びこれらの塩;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸・メタクリル酸アルキルコポリマー、等のポリ(メタ)アクリル酸類及びこれらの塩;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートの重合体(PPEGDA、PPEGDM)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリ2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸、ポリエチレングリコール、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、無水マレイン酸コポリマー、ポリアルキレンオキサイド系樹脂、ポリ(メチルビニルエーテル−alt−マレイン酸無水物)とポリエチレングリコールとの架橋体、ポリエチレングリコール架橋体、N−ビニルアセトアミド架橋体、アクリルアミド架橋体、デンプン・アクリル酸塩グラフトコポリマー架橋物等の合成高分子;シリコーン;相互侵入網目構造ハイドロゲル及びセミ相互侵入網目構造ハイドロゲル(DNハイドロゲル);これらの2種以上の混合物等が挙げられる。
これらの中でも、生体親和性及び成型容易性を得る観点、機械的強度を高める(脆性を低減する)観点から、コラーゲン、グルコマンナン、フィブリン、アルギン酸、ポリビニルアルコール、PPEGDA、PPEGDM、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、シリコーン、DNハイドロゲル、これらの2種以上の混合物が好ましい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
−培養ウェル−
培養ウェル3wの平面視形状や断面視形状としては、所望の細胞塊やスフェロイドを培養することができる限り、特に限定されることはない。
培養ウェル3wの寸法としては、平面視で長方形(角に丸みを帯びる場合も含む)である場合(図2参照)、長さ:0.01〜150mm、幅:0.01〜150mm、深さ:0.01〜30mmとしてよい。また平面視で円環形である場合(図3参照)、外径:0.01〜150mm、幅:0.01〜150mm、深さ:0.01〜30mmとしてよい。
培養ウェルの底面は、平底であってもよく、丸底であってもよく、細胞の収容性の観点から、丸底であることが好ましい。
−その他−
培養装置1を構成するその他の要素については当技術分野で通常用いられるものとしてよい。
(培養装置の製造方法)
本発明の実施形態の培養装置1の製造方法は、特に限定されないが、例えば、電極2を調製し、培養ウェル3wを設けたゲル体3を調製し、電極2とゲル体3とを固定させる方法が挙げられる。
電極2とゲル体3とを固定させるには、ゲル体3にモノマー4mを含浸させ、電極2や電極2近傍の箇所を重合開始点として該モノマー4mの重合を行う手法が挙げられ、具体的には、電解重合の手法(後述)やゲルの相互貫入の手法(後述)が挙げられる。これらの手法では、必要に応じて、電極2表面に重合開始部PIを導入し、重合開始部PIを重合開始点としてモノマー4mの重合を行ってよい。
図4に、本発明の実施形態の培養装置の製造方法の一態様の概要の説明図を示す。
本発明の実施形態の培養装置の製造方法の一態様では、ゲルの相互貫入の手法を用いてよい。
かかる手法では、電極表面に重合開始部PIを導入し、ゲル体3中にモノマー4mを含浸させ、重合開始部PIを重合開始点としてモノマー4mの重合反応を行い、電極2表面からモノマー4mを伸長させ、ゲル体3中の高分子と相互に貫入させることによって、接着層5を形成させる。なお、重合開始部PIが設けられる電極2表面には、電極2自体の表面のみならず電極2自体の表面に被覆された被覆層7の表面も含まれるものとする。
図5に、本発明の実施形態の培養装置の製造方法の別の態様の概要の説明図を示す。
本発明の実施形態の培養装置1の製造方法の別の態様では、電解重合の手法を用いてよい。
かかる手法では、電極2にゲル体3を載せた状態で、導電性モノマー4cmの電解重合を行い、電極2近傍において、電極2表面から導電性モノマー4cmを伸長させることによって、導電性の接着層5を形成させる。
ゲル体3に含浸させるモノマー4mとしては、上記ゲルの相互貫入の手法を用いる場合には、絶縁性モノマー4imであっても導電性モノマー4cmであってもよいが、上記電解重合の手法を用いる場合には、導電性モノマー4cmであることが必要となる。
絶縁性モノマー4imとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸・メタクリル酸アルキル等の(メタ)アクリル酸類及びこれらの塩;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(PEGDA、PEGDM)、ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−イソプロピルアクリルアミド、ビニルピロリドン、スチレンスルホン酸、エチレングリコール、無水マレイン酸、アルキレンオキサイド、メチルビニルエーテル−alt−マレイン酸無水物、N−ビニルアセトアミド、デンプン;シラノール;等が挙げられ、特に、周辺環境に応じた変形が無い(温度やpH等で膨潤度が変化しない)ことから、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、PEGDA、PEGDMが好ましい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
導電性モノマー4cmとしては、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェン、アセチレン、ピロール、チオフェン、ビチオフェン、イソチオフェン、ドデシルチオフェン、イソナイトチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、イソチアナフテン、チアジル、フルオレン、ジアセチレン、アセン、パラフェニレン、チエニレンビニレン、フェニレンスルフィド等が挙げられ、特に、電子伝導性及び構造安定性の観点から、(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ピロールが好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
モノマーの重合の開始反応としては、熱反応、光反応、酸化還元反応が挙げられ、反応制御の容易性から、光反応が好ましい。これらは、1つ単独で用いてもよく、2つ以上組み合わせて用いてもよい。
開始反応や重合反応の条件は、重合開始部PIやモノマー4mの特性に応じて、適宜定めることができる。
重合開始部PIとしては、(Irgacure(登録商標)シリーズの)アルキルフェノンタイプ、アシルフォスフィンオキサイドタイプ、分子内水素引き抜きタイプ、オキシムエステル等のその他のタイプ、イソブチルベンゾインエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル等のベンゾインエーテルタイプ、ベンジルメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のベンジルケタールタイプ、ベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン等のケトンタイプ等が挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
重合開始部PIの導入においては、オゾン処理(カルボキシル基の導入)、酸素プラズマ処理、コロナ放電処理、UV処理(例えば、ベンゾフェノンの導入)、シランカップリング剤による処理、チオール化合物による処理等を用いてよく、また、重合開始部PIは、上記電極2表面の処理により、直接的に導入してもよく、重合開始部PIは、上記処理後に、例えば、エステル結合やアミド結合等を介して、更に結合させてもよい。
(培養装置の使用方法)
本発明の実施形態の培養装置1の使用方法としては、例えば、細胞や細胞群を適切な培地と共に培養ウェル3wに加え、一対の電極2(21、22)に交流又は直流でイオン電流を連続的又は断続的に印加しながら適切な培養条件下で培養し、細胞塊やスフェロイドCを得るものとしてよい。
用いることができる細胞種としては、特に限定されることなく、心筋細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞、神経細胞、皮膚表皮細胞等が挙げられる。
得られる細胞塊やスフェロイドCのサイズとしては、最大径が10μm〜20000μmであってよい。
電気刺激としては、交流としても直流としてもよいが、直流が好ましく、電極での水の電界反応を抑制する目的からバイポーラの直流矩形パルスが望ましい。
直流矩形パルスの場合の電気量密度(電流密度[C/s・cm]×パルス幅[s])としては、水の電界反応を抑制する目的から1C/cm以下とすることが好ましく、500mC/cm以下とすることが更に好ましく、また、1μC/cm以上とすることが好ましく、10μC/cm以上とすることが更に好ましい。
直流パルスの周波数としては、0.01Hz以上とすることが好ましく、0.1Hz以上とすることが更に好ましい。
培養条件としては、特に限定されることなく、標準的な細胞培養条件を用いることができ、例えば、培養温度を約37℃、培養雰囲気をCO濃度約5%、pH約5〜約9等としてよい。
培地としては、特に限定されることなく、天然培地、合成培地が挙げられ、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)等としてよい。
(細胞の培養方法)
本発明の実施形態の細胞の培養方法は、前述の本発明の実施形態の培養装置1の使用方法として記載のとおりに構成してよい。
本発明の実施形態の培養装置1は、幹細胞を分化誘導して成熟させるツールとして、特に電気刺激が有効である神経系及び筋肉系の細胞の分化誘導に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<A.培養装置の作製>
(実施例1)
実施例1の培養装置は、図4に示す本発明の実施形態の培養装置の製造方法の一態様に従って、ゲルの相互貫入の手法を用いて電極とゲル体とを固定することで、培養装置を作製した。
下記の手順に従って、容器側ゲル体部分を作製した。
<A−1.PEDOT/PUの作製>
スライドガラスを洗浄した。スライドガラスバットにスライドガラスを並べ、バット内をアセトンで満たし、15分間室温(25℃)で超音波洗浄した。86%エタノールIP、蒸留水の順で同様に15分間ずつ超音波洗浄を行う。その後、2−プロパノール内でスライドガラスを保管した。使用する前にスライドガラスを乾燥させた。
電子天秤でポリウレタン顆粒を4.0g量りとり、スクリュー管瓶(50mL)に入れた。ガラスピペットでテトラヒドロフランを35.5mL入れ、室温(25℃)で撹拌子で6時間以上攪拌(700rpm程度)し、10質量%のPU/THF溶液を得た。保管する場合は冷蔵庫(約3℃)で保管した。
以降の操作はクリーンルーム内で行った。
空のスクリュー管瓶(50mL)を氷中で冷やしながら、10質量%PU/THF溶液35mL、1−ブタノール2mL、3,4−ethylenedioxythiophene(EDOT)0.88mL、Iron tosylate solution(pTS・Fe(III))6.5mLをこの順番で加えた。スクリュー管瓶を円を描くように良く混ぜながらそれぞれの試薬をマイクロピペットで加えてPEDOT/PU溶液を得た。混ぜるとき水が混入しないよう留意した(水が入るとPEDOT/PUの性能が落ちるため)。
なお、pTS・Fe(III)は事前に調整する必要があり、Clevios C−B54V3を4.9mL、1−ブタノールを1.6mLの割合で混合した。10質量%PU/THF溶液、1−ブタノール、EDOT、pTS・Fe(III)はそれぞれ分注して冷蔵保存(約3℃)した。EDOT、pTS・Fe(III)は褐色瓶で保存した。
乾燥させたスライドガラスをスピンコーターにセットし、作製したPEDOT/PU溶液をスポイトでスライドガラス全面に滴下した。スピンコーターの蓋を閉め、回転数750rpm、加速時間5秒、回転時間30秒でスピンコートした。
<A−2.PU薄膜の作製>
スライドガラスを洗浄した。スライドガラスバットにスライドガラスを並べ、アセトンでバット内を満たし、15分間常温で超音波洗浄した。86%エタノールIP、蒸留水の順で同様に15分間ずつ超音波洗浄を行った。その後、2−プロパノール内でスライドガラスを保管した。スライドガラスは使用する前に乾燥させた。
電子天秤でポリウレタン顆粒を4.0g測りとり、スクリュー管瓶(50mL)に入れた。テトラヒドロフランを35.5mL入れ、室温(25℃)で撹拌子で6時間以上攪拌(700rpm程度)し、10質量%PU/THF溶液を得た。保管する場合は冷蔵庫で保管した。
以降の操作はクリーンルーム内で行った。
乾燥させたスライドガラスをスピンコーターにセットし、作製した10質量%PU/THFスポイトでスライドガラス全面に滴下した。スピンコーターの蓋を閉め、回転数500rpm、加速時間5秒、回転時間30秒でスピンコートした。
100℃に加熱したホットスターラーにスピンコートしたスライドガラスを載せ、溶媒の揮発を行った。10分間加熱し、PU薄膜を得た。
<A−3.PU−Irgacureの作製>
PU薄膜に重合開始剤irgacure2959を修飾した。
PU薄膜スライドガラスを卓上UVオゾン表面処理装置(PL17−110、強度15mW/cm)にセットし、5分間オゾン処理することで表面改質し、PU薄膜表面にカルボキシル基を導入した。
0.2MWSC(縮合剤)、50mM Irgacure2959(光重合開始剤)、2.5mM DMAP(縮合反応の促進剤)、及び0.1M MES(緩衝剤)蒸留水に溶解し、縮合反応溶液を調製した。
縮合反応溶液を角2号シャーレに満たし、PU薄膜を有するスライドガラスを浸した。シャーレをアルミホイルで覆い遮光しながら室温(25℃)で一晩(12時間程度)静置することで、irgacure2959をPU薄膜表面に固定化した。角2号シャーレ1つに対しては、スライドガラス4枚、縮合溶液50mLが適当であった。
上記縮合反応溶液を捨て、蒸留水を交換しながら洗浄を行った。45℃に加熱したホットスターラーの上で遮光しながら15分間撹拌子で撹拌(400rpm程度)しながら未反応物を除去した。この操作を3回繰り返した。
洗浄したPU−irgacure薄膜を遮光しながら室温(25℃)で乾燥させた。
<A−4.PEDOT/PU:PU−Irgacureの作製>
PU−irgacure薄膜を以下の手順に従って、アクリル板の枠を使って剥がした。(1)アクリル板で枠内側の寸法:78(横)×28(縦)×2(厚さ)の枠を作成した。
(2)枠にカプトンテープを貼った。
(3)上記枠にPU−irgacureを張り付けた。蒸留水をつけてスライドガラスのみを剥がした。
(4)PU−irgacureのみが付いたアクリル板の枠を得た。
irgacure修飾面ではない面にPEDOT/PU薄膜を張り付けた。蒸留水をつけることで空気が入ることなくきれいに張り付けることができた。
枠から外し、PEDOT/PU:PU−irgacure薄膜を得た。
レーザー加工機(Versa Laser VL−200)でPEDOT/PU:PU−irgacure薄膜を任意のデザインにカットした。不要な部分を蒸留水で濡らしながらピンセットで除去した。
ゲルと接着させない部分にシリコンシートを被せた。
上記調製したスライドガラスを窒素を充填したグローブボックス(酸素濃度2%以下)の中に1時間以上遮光しながら静置し、脱酸素を行った。
<A−5.ハイドロゲルの作製>
180mg/mLのアクリルアミド(モノマー)、0.118mg/mLのN,N’−methylenebis(acrylamide)(MBAA,架橋剤)、2mg/mLのirgacure2959(光重合開始剤)を蒸留水に溶解し、プレポリマー溶液を得た。
一方の平板UV透過性アクリル板表面に、直径1.5mmの半円筒アクリルを接着し、培養ウェルを形成するための鋳型とした。鋳型付きアクリル板と別の平板UV透過性アクリル板の間(厚さ1mmのシリコンモールド)にプレポリマー溶液を充填後、窒素を充填したグローブボックス内(酸素濃度2%以下)に入れ、302nm(8W)のUVを2時間照射することでゲル化、ポリアクリルアミドゲルを得た。
(1)UV透過アクリル板にシリコンシートから切り出した枠を重ねた。プレポリマー溶液で枠内を満たした。
(2)上からUV透過アクリル板を載せた。この際、気泡が入らないように注意した。
(3)サランラップ(登録商標)で全体を包み、クリップでアクリル板を固定した。2時間UV照射(302nm、8W)してポリアクリルアミドゲルを得た。
室温(25℃)で蒸留水に1晩(12時間程度)浸漬し、未反応物を除去した。
上記調製したゲルをレーザー加工機で直径35mmの円形に切り出した。
得られる培養ウェルは、長さ6mm、幅1.5mm、深さ1.5mmの半円筒形である。
切り出したゲルを100℃に加熱したホットスターラーの上に載せ乾燥させた。
蒸留水を窒素でバブリング(30分〜1時間程度)し、脱酸素してグローブボックス内に入れた。脱酸素した蒸留水をシャーレに入れ、切り出したゲルを浸し膨潤させた。この操作によってゲル内の酸素を除いた。
<A−6.ハイドロゲルとPEDOT/PU:PU−Irgacureとの接着(容器側ゲル体部分の作製)>
実施例1では、ゲルの相互貫入の手法を用いて、電極とゲル体とを固定した。
30質量%アクリルアミド(モノマー)、0.3mol%(ofアクリルアミド)のN,N’−methylenebis(acrylamide)(MBAA、架橋剤)を蒸留水に溶解し、接着溶液を得た。接着溶液を窒素でバブリング(30分〜1時間程度)し、脱酸素した。バブリング後、窒素を充填したグローブボックス(酸素濃度2%以下)の中に入れ、シャーレに満たした。
上記蒸留水で膨潤したゲルから余分な水分を除去し(滴をふき取る程度)、上記接着溶液に1分間浸した。
浸したゲルを取り出し、余分な接着溶液を除去し(滴をふき取る程度)、前述のとおり得られたPEDOT/PU:PU−irgacureの上に載せた。密着させるため上からUV透過アクリル板を落とし蓋として置いた。
UV(302nm、8W)を10分間照射した。
これによりPU−irgacure表面からゲル内部に向かってポリアクリルアミドが成長し、互いに絡み合うことでPEDOT/PU:PU−irgacureとゲルとが接着された。
ゲルとPEDOT/PU:PU−irgacureが接着したゲル電極が得られた。
蒸留水に入れ,室温(25℃)で一晩(12時間程度)静置して未反応物を除いた。
<A−7.蓋側ゲル体部分の作製>
蓋側ゲル体部分は、培養ウェルを設けない点以外は上記容器側ゲル体部分の作製と同様に、作製した。
<A−8.容器側ゲル体部分と蓋側ゲル体部分との組み立て>
前述のとおり調製した容器側ゲル体部分と蓋側ゲル体部分とを相互のゲル体が接するように組み立てた。
組み立てたものに適宜リード部分を形成し、電源に接続した。
図6に、実施例1で作製した培養装置の外観を示す。(A)に模式図を示し、(B)に写真を示す。
実施例1で作製した培養装置では、培養ウェルはいずれも、第一電極と第二電極との真ん中に位置しており、電極どうしを結ぶ線と培養ウェルの深さ方向とが傾斜角はいずれも60°であった。
(実施例2)
実施例2の培養装置は、図5に示す本発明の実施形態の培養装置の製造方法の別の態様に従って、電解重合の手法を用いて電極とゲル体とを固定することで、培養装置を作製した。
上述の(実施例1)における「A−1.PEDOT/PUの作製」と同様にPEDOT/PUを調製した。
接着溶液を3,4−エチレンジオキシチオフェン溶液5.5μLを1mLの蒸留水に溶解させて準備したものとした点以外は、上述の(実施例1)における「A−5.ハイドロゲルの作製」と同様に、ハイドロゲルを調製した。
PEDOT/PUをハイドロゲルの培養ウェルを設けた側とは反対側に載せた。PEDOT/PUとハイドロゲルとにそれぞれ電極を接続して、1.0V(vs.Ag/AgCl)の電位を印加し、重合量300mC/cmに達するまで電解重合した。これにより、ハイドロゲルとPEDOT/PUとを接着させた。それ以外は、上述の(実施例1)における「A−6.ハイドロゲルとPEDOT/PU:PU−Irgacureとの接着」と同様に処理した。
また、別のPEDOT/PUをハイドロゲルの培養ウェルを設けた側に載せ、上記と同様の条件で電解重合を行った。
両面に電極が設けられたゲル体について適宜リード部分を形成し、電源に接続した。
実施例2の培養装置の詳細については下記のとおりであった。
・第一電極(表面側):1つ、第二電極(裏面側):1つ
・培養ウェルの寸法:長さ6mm、深さ1.5mm、幅1.5mmの半円筒形
・培養ウェルの設置箇所:第一電極と第二電極との真ん中
・電極どうしを結ぶ線と培養ウェルの深さ方向との傾斜角:60°
図7に、実施例2で作製した培養装置の外観を示す。(A)に模式図を示し、(B)に写真を示す。(B)中、左上は全体の写真であり、右下は培養ウェル部分の拡大写真である。
特に、実施例2の培養装置について、下記のとおり特性評価を行った。
B.電気刺激の解析
図8に、実施例2で作製した培養装置の第一ゲル体部分(容器側ゲル体部分)を用いて、サイクリックボルタンメトリ測定及びインピーダンス測定を行ったときの様子を示す。(A)に、実施例2で作製した培養装置の第一ゲル体部分(容器側ゲル体部分)を用いて測定したときの様子を示し、(B)に、対照サンプルとして金電極を使用した第一ゲル体部分を用いて測定したときの様子を示す。
実施例2で作製した培養装置の第一ゲル体部分(容器側ゲル体部分)の電極に対して、電気化学測定システム(品番:ALS760C、BAS社製)を用いて、サイクリックボルタンメトリ測定及びインピーダンス測定を行った。
参照電極にAg/AgCl(飽和KCl)を、対極に白金電極をそれぞれ用い、培養装置の電極を作用極とした。
サイクリックボルタンメトリ測定では、掃引電位:0〜0.5V、掃引速度:5mV/sの条件とした。
インピーダンス測定では、初期電位0V(vs.Ag/AgCl)、振幅5mV、周波数1〜100000Hzの交流電圧を印加して、作用極−参照極間のインピーダンスを計測した。
図9に、実施例2で作製した培養装置の第一ゲル体部分(容器側ゲル体部分)を用いて、サイクリックボルタンメトリ測定及びインピーダンス測定を行ったときの結果を示す。(A)に、サイクリックボルタンメトリ測定の結果を示し、(B)に、インピーダンス測定の結果を示す。
金(露出状態)の静電容量は0.21×10−3F/cmであるのに対してPEDOT/PUの静電容量は4.17×10−3F/cmであり、金に比べてPEDOT/PUは高容量のため、細胞培養において培地のpH変化等のファラデー反応を起こさないため、低侵襲な電気刺激が可能であることが示された(図9(A)参照)。
また、金に比べてPEDOT/PUは低インピーダンスのため、感度の良い計測に有効であり、細胞の電気的応答の測定に応用可能である(図9(B)参照)。
C.心筋細胞の培養
ヒトiPS由来心筋細胞(ReproCardio2、品番:RCDC001N)1.5×10個を懸濁した200μLの培養培地ReproCardio2 Culture Medium(品番:RCDC101、100U/mL Penicilin、100μg/mL Streptomycin)を96wellプレートに加え、インキュベーター内で約37℃、CO濃度約5%の培養条件下で3日間培養し、直径約300μmの心筋細胞塊を得た。
その後、実施例2で作製した培養装置において、培養ウェルへ心筋細胞塊をピペットマンを用いて移し、上記培地を満たした。その後、電流値13mA/cm、パルス幅24ms(320mC/cm)、周波数1Hzのバイポーラパルス電流を印加して、収縮運動の挙動を顕微鏡で観察した。
D.心筋細胞培養物の拍動測定
前述のとおり心筋細胞に電気刺激を与えた際に、培養ウェル内の培養物を、倒立顕微鏡(オリンパス社製、品番:IX71)を用いて観察し、観察動画に基づいて、心筋細胞培養物の拍動による変位の経時変化を、Motion Analyzer software(Keyence社製)を用いて解析した。
図10に、実施例2で作製した培養装置を用いて、心筋細胞を培養したときの拍動の測定結果を示す。(A)に、電気刺激を与えることなく拍動を測定したときの結果を示し、(B)に、1Hzの周波数の電気刺激を与えて拍動を測定したときの結果を示す。
電気刺激を与えていない自発的な拍動の変位が確認され、約0.5Hzの拍動が観察できた(図10(A)参照)。
また、1Hzの周波数の電気刺激を加えた心筋細胞の拍動が確認され、刺激の周波数に同期して拍動することが観察された(図10(B)参照)。
なお、図10(A)及び図10(B)の両者の心筋細胞の拍動変位量の差は心筋細胞塊の個体差によるものだと考えられる。
図10(A)及び図10(B)に示される結果より、作製した培養装置で心筋細胞に電気刺激を与えることによって、拍動を制御できることが示唆された。
先行研究より、電気刺激を与えて拍動させることで心筋細胞の拍動に関連するタンパク質(トロポニン)の量が増えることが分かっている。このため、拍動を制御する培養装置によって心筋細胞を発達・成熟させられる可能性が示唆された。
本発明によれば、細胞やスフェロイドに対して高効率に電気刺激を行うことを可能にする培養装置を提供することができる。
本発明の実施形態の培養装置は、幹細胞を分化誘導して成熟させるツールとして、特に電気刺激が有効である神経系及び筋肉系の細胞の分化誘導に好適に用いることができる。
1 培養装置
2 電極
21 第一の電極
211 第一電極部分
212 第二電極部分
22 第二の電極
221 第一電極部分
222 第二電極部分
3 ゲル体
31 第一ゲル体部分(容器側ゲル体部分)
32 第二ゲル体部分(蓋側ゲル体部分)
3w 培養ウェル
4m モノマー
4im 絶縁性モノマー
4cm 導電性モノマー
4p ポリマー
4ip 絶縁性ポリマー
4cp 導電性ポリマー
5 接着層
6 絶縁層
7 被覆層
C 細胞塊・スフェロイド
PI 重合開始部

Claims (14)

  1. 培養ウェルを有するゲル体と、該培養ウェルを挟んで設けられている一対の電極とを備え
    前記ゲル体が表裏両面を有し、前記電極が前記培養ウェルに関して表裏両面側に設けられ、
    前記電極の少なくとも一部が、前記ゲル体上に配置され、
    一対の前記電極どうしを結ぶ線上に前記培養ウェルが位置する、
    ことを特徴とする、培養装置。
  2. 培養ウェルを有するゲル体と、該培養ウェルを挟んで設けられている一対の電極とを備え、
    前記ゲル体が表裏両面を有し、前記電極が前記培養ウェルに関して表裏両面側に設けられ、
    前記電極の少なくとも一部が、前記ゲル体に包埋され、
    一対の前記電極どうしを結ぶ線上に前記培養ウェルが位置する、
    ことを特徴とする、培養装置。
  3. 前記一対の電極が平面視にて交互に並列されている、請求項1又は2に記載の培養装置。
  4. 隣接する前記一対の電極の間に前記培養ウェルがそれぞれ設けられている、請求項3に記載の培養装置。
  5. 平面視にて前記一対の電極のうち一方が他方に囲繞されるように設けられている、請求項1又は2に記載の培養装置。
  6. 前記培養ウェルと該培養ウェルを挟んで設けられている前記一対の電極が等距離で設けられている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の培養装置。
  7. 前記ゲル体がハイドロゲルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の培養装置。
  8. 前記ハイドロゲルは、コラーゲン、グルコマンナン、フィブリン、アルギン酸、ポリビニルアルコール、PPEGDA、PPEGDM、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、シリコーン、DNハイドロゲル、これらの2種以上の混合物からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項7に記載の培養装置。
  9. 前記電極は、炭素材料、導電性ポリマー材料、半導体、金属からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の培養装置。
  10. 前記電極は、カーボンナノチューブ、ケッチェンブラック、グラッシーカーボン、グラフェン、フラーレン、カーボンファイバ、カーボンファブリック、カーボンエアロゲル、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリピロール、金、白金からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項9に記載の培養装置。
  11. 前記ゲル体がポリアクリルアミドを含み、前記電極がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を含む、請求項8又は10に記載の培養装置。
  12. 前記電極表面から始端し前記ゲル体内部に伸びるポリマーを備える、請求項1〜11のいずれか一項に記載の培養装置。
  13. 前記培養ウェルを挟む一対の前記電極同士を結ぶ線と、前記培養ウェルの深さ方向とがなす傾斜角θが、0.1°以上60°以下である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の培養装置。
  14. 細胞の細胞塊又はスフェロイドの培養に用いる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の培養装置。
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