JP6981650B2 - 培養装置 - Google Patents
培養装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6981650B2 JP6981650B2 JP2017247037A JP2017247037A JP6981650B2 JP 6981650 B2 JP6981650 B2 JP 6981650B2 JP 2017247037 A JP2017247037 A JP 2017247037A JP 2017247037 A JP2017247037 A JP 2017247037A JP 6981650 B2 JP6981650 B2 JP 6981650B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- culture
- electrode
- electrodes
- gel body
- culture apparatus
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Immobilizing And Processing Of Enzymes And Microorganisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
Description
細胞に電気刺激を与えながら培養する技術として、例えば、特許文献1には、脳橋核の神経細胞や小脳顆粒細胞を入れた培養容器に第一の電極と第二の電極とを細胞近傍に挿入することで、培養細胞に電気刺激を印加する技術が開示されており、また、特許文献2には、培養基材上に設けられた第一電極と該第一電極に対向して設けられた第二電極とを備える装置により、マウス筋繊維細胞等に電気刺激を印加する技術が開示されている。
本発明は、細胞やスフェロイドに対して高効率に電気刺激を行うことを可能にする培養装置を提供することを目的とする。
本発明の培養装置は、培養ウェルを有するゲル体と、該培養ウェルを挟んで設けられている一対の電極とを備えることを特徴とする。
また、本発明の培養装置は、前記ゲル体が表裏両面を有し、前記電極が前記培養ウェルに関して表裏両面側に設けられていることが好ましい。
本発明の培養装置は、前記電極の少なくとも一部が、前記ゲル体上に配置されていてよい。
本発明の培養装置は、前記電極の少なくとも一部が、前記ゲル体に包埋されていてよい。
更に、本発明の培養装置は、前記一対の電極が平面視にて交互に並列されていることが好ましい。
更に、本発明の培養装置は、隣接する前記一対の電極の間に前記培養ウェルがそれぞれ設けられていることが好ましい。
更に、本発明の培養装置は、平面視にて前記一対の電極のうち一方が他方に囲繞されるように設けられていることが好ましい。
更に、本発明の培養装置は、前記培養ウェルと該培養ウェルを挟んで設けられている前記一対の電極が等距離で設けられていることが好ましい。
更に、本発明の培養装置は、前記ゲル体がハイドロゲルであることが好ましい。
更に、本発明の培養装置は、前記ハイドロゲルは、コラーゲン、グルコマンナン、フィブリン、アルギン酸、ポリビニルアルコール、PPEGDA、PPEGDM、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、シリコーン、DNハイドロゲル、これらの2種以上の混合物からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
更に、本発明の培養装置は、前記電極は、炭素材料、導電性ポリマー材料、半導体、金属からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
更に、本発明の培養装置は、前記電極は、カーボンナノチューブ、ケッチェンブラック、グラッシーカーボン、グラフェン、フラーレン、カーボンファイバ、カーボンファブリック、カーボンエアロゲル、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリピロール、金、白金からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
更に、本発明の培養装置は、前記ゲル体がポリアクリルアミドを含み、前記電極がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を含むことが好ましい。
更に、本発明の培養装置は、前記電極表面から始端し前記ゲル体内部に伸びるポリマーを備えることが好ましい。
本発明の実施形態の培養装置1は、図1に示すように、培養ウェル3wを有するゲル体3と、該培養ウェル3wを挟んで設けられている一対の電極2(21、22)とを備える。
また、本発明の培養装置によれば、溶液を透過することが可能なゲル製の培養ウェル3wが用いられるため、培地交換の手間を省くことができ、バッチ式培養のみならず連続式培養をも可能にする。
特に、本発明の一例の培養装置では、図1に示すように、ゲル体3が直方体の形状であり、表裏両面を有している。
特に、本発明の一例の培養装置1では、図1に示すように、電極2(21、22)が培養ウェル3wに関して表裏両面側に設けられており、電極21、22どうしを結ぶ線と培養ウェル3wの深さ方向とが傾斜角θ(図1参照)をなしている。
上記傾斜角θとしては、0.1°以上であることが好ましく、1°以上であることが更に好ましく、3°以上であることがより好ましく、また、89°以下であることが好ましく、60°以下であることが更に好ましく、30°以下であることがより好ましい。
特に、本発明の一例の培養装置1では、図1に示すように、電極2の少なくとも一部が、ゲル体3上に配置されていている。
かかる構成によれば、細胞やスフェロイドCに対して均一に電気刺激を行うことができる。
以下、本発明の別の例の培養装置及び更なる例の培養装置について図2及び図3を参照して記載する。図2及び図3では、本発明の一例の培養装置1と同様の要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
詳細には、第一ゲル体部分31において、平面視で長方形の3つの培養ウェルは、電極2(21、22)の延在方向に沿うように配置され、且つ電極2(21、22)の延在方向に垂直な方向に並列されている。そして、培養ウェル3wのうち2つは、第一の電極21の第一電極部分211と第二電極部分212との間に設けられており、培養ウェル3wのうち1つは、第一の電極21の第二電極部分212よりも外方に設けられている。
ここで、本発明の別の例の培養装置1では、第一ゲル体部分(容器側ゲル体部分)31と第二ゲル体部分(蓋側ゲル体部分)32とを図2に示すように組み立てたとき、培養装置1の厚さ方向に沿い、且つ電極2(21、22)の延在方向沿う面による断面においては、培養ウェル3wのいずれもが、第一の電極21と第二の電極22との間に位置しており(図2(C)参照)、また、培養装置1の厚さ方向に沿い、電極2(21、22)の延在方向に垂直な方向に沿う面による断面においては、培養ウェル3wのそれぞれが、第一の電極21の第一電極部分211と第二の電極22の第一電極部分221との間、第二の電極22の第一電極部分221と第一の電極21の第二電極部分212との間、第一の電極21の第二電極部分212と第二の電極22の第二電極部分222との間、に位置している(図2(D)参照)。
具体的には、この例では、第一の電極21の第一電極部分211、第二の電極22の第一電極部分221、第一の電極21の第二電極部分212、第二の電極22の第二電極部分222が、平面視にて交互に並列されている。
具体的には、この例では、第一の電極21の第一電極部分211と第二の電極22の第一電極部分221との間、第二の電極22の第一電極部分221と第一の電極21の第二電極部分212との間、第一の電極21の第二電極部分212と第二の電極22の第二電極部分222との間に、培養ウェル3wがそれぞれ設けられている。
詳細には、本発明の更なる例の培養装置1では、第一ゲル体部分(容器側ゲル体部分)31と第二ゲル体部分(蓋側ゲル体部分)32とを図3に示すように組み立てたとき、培養装置1の厚さ方向に沿い、且つ電極2(21、22)の延在方向沿う面による断面においては、培養ウェル3wの全体が、第一の電極21と第二の電極22との間に位置しており(図3(C)参照)、また、培養装置1の厚さ方向に沿い、電極2(21、22)の延在方向に垂直な方向に沿う面による断面においては、培養ウェル3wの各部分が、第一の電極21と第二の電極22との間に位置している(図3(D)参照)。
本発明の培養装置では、少なくとも一対の電極2(21、22)を備えていればよく、複数対以上(二対以上、三対以上、四対以上等)の電極2を備えていてもよい。
電極2の材料としては、炭素材料、導電性ポリマー材料、半導体、金属等が挙げられる。
ここで、炭素材料としては、カーボンナノチューブ、ケッチェンブラック、グラッシーカーボン、グラフェン、フラーレン、カーボンファイバ、カーボンファブリック、カーボンエアロゲル等が挙げられ;導電性ポリマー材料としては、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレンスルフィド)等が挙げられ、半導体としては、シリコーン、ゲルマニウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化チタン、酸化銅、酸化銀等が挙げられ;金属としては、金、白金、銀、チタン、アルミニウム、タングステン、銅、鉄、パラジウム等が挙げられる。
電極2の材料としては、特に、電子伝導性、安定性、及び生体親和性の観点から、炭素材料各種、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリピロール、金、白金が好ましい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
ゲル体3の材料としては、ハイドロゲル、油性ゲル等が挙げられ、特に、ハイドロゲルが好ましい。
ハイドロゲル材料(分散媒である水に分散させることによってハイドロゲルを形成する材料)としては、例えば、寒天、ゼラチン、アガロース、キサンタンガム、ジェランガム、スクレロチウガム、アラビヤガム、トラガントガム、カラヤガム、セルロースガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、キトサン、カラギーナン、クインスシード、ガラクタン、マンナン、デンプン、デキストリン、カードラン、カゼイン、ペクチン、コラーゲン、フィブリン、ペプチド、マトリゲル、コンドロイチン硫酸ナトリウム等のコンドロイチン硫酸塩、ヒアルロン酸(ムコ多糖類)及びヒアルロン酸ナトリウム等のヒアルロン酸塩、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、及びアルギン酸カルシウム等のアルギン酸塩、並びにこれらの誘導体等の天然高分子;メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体及びこれらの塩;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸・メタクリル酸アルキルコポリマー、等のポリ(メタ)アクリル酸類及びこれらの塩;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートの重合体(PPEGDA、PPEGDM)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリ2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸、ポリエチレングリコール、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、無水マレイン酸コポリマー、ポリアルキレンオキサイド系樹脂、ポリ(メチルビニルエーテル−alt−マレイン酸無水物)とポリエチレングリコールとの架橋体、ポリエチレングリコール架橋体、N−ビニルアセトアミド架橋体、アクリルアミド架橋体、デンプン・アクリル酸塩グラフトコポリマー架橋物等の合成高分子;シリコーン;相互侵入網目構造ハイドロゲル及びセミ相互侵入網目構造ハイドロゲル(DNハイドロゲル);これらの2種以上の混合物等が挙げられる。
これらの中でも、生体親和性及び成型容易性を得る観点、機械的強度を高める(脆性を低減する)観点から、コラーゲン、グルコマンナン、フィブリン、アルギン酸、ポリビニルアルコール、PPEGDA、PPEGDM、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、シリコーン、DNハイドロゲル、これらの2種以上の混合物が好ましい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
培養ウェル3wの平面視形状や断面視形状としては、所望の細胞塊やスフェロイドを培養することができる限り、特に限定されることはない。
培養ウェル3wの寸法としては、平面視で長方形(角に丸みを帯びる場合も含む)である場合(図2参照)、長さ:0.01〜150mm、幅:0.01〜150mm、深さ:0.01〜30mmとしてよい。また平面視で円環形である場合(図3参照)、外径:0.01〜150mm、幅:0.01〜150mm、深さ:0.01〜30mmとしてよい。
培養ウェルの底面は、平底であってもよく、丸底であってもよく、細胞の収容性の観点から、丸底であることが好ましい。
培養装置1を構成するその他の要素については当技術分野で通常用いられるものとしてよい。
本発明の実施形態の培養装置1の製造方法は、特に限定されないが、例えば、電極2を調製し、培養ウェル3wを設けたゲル体3を調製し、電極2とゲル体3とを固定させる方法が挙げられる。
電極2とゲル体3とを固定させるには、ゲル体3にモノマー4mを含浸させ、電極2や電極2近傍の箇所を重合開始点として該モノマー4mの重合を行う手法が挙げられ、具体的には、電解重合の手法(後述)やゲルの相互貫入の手法(後述)が挙げられる。これらの手法では、必要に応じて、電極2表面に重合開始部PIを導入し、重合開始部PIを重合開始点としてモノマー4mの重合を行ってよい。
本発明の実施形態の培養装置の製造方法の一態様では、ゲルの相互貫入の手法を用いてよい。
かかる手法では、電極表面に重合開始部PIを導入し、ゲル体3中にモノマー4mを含浸させ、重合開始部PIを重合開始点としてモノマー4mの重合反応を行い、電極2表面からモノマー4mを伸長させ、ゲル体3中の高分子と相互に貫入させることによって、接着層5を形成させる。なお、重合開始部PIが設けられる電極2表面には、電極2自体の表面のみならず電極2自体の表面に被覆された被覆層7の表面も含まれるものとする。
本発明の実施形態の培養装置1の製造方法の別の態様では、電解重合の手法を用いてよい。
かかる手法では、電極2にゲル体3を載せた状態で、導電性モノマー4cmの電解重合を行い、電極2近傍において、電極2表面から導電性モノマー4cmを伸長させることによって、導電性の接着層5を形成させる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の実施形態の培養装置1の使用方法としては、例えば、細胞や細胞群を適切な培地と共に培養ウェル3wに加え、一対の電極2(21、22)に交流又は直流でイオン電流を連続的又は断続的に印加しながら適切な培養条件下で培養し、細胞塊やスフェロイドCを得るものとしてよい。
得られる細胞塊やスフェロイドCのサイズとしては、最大径が10μm〜20000μmであってよい。
直流矩形パルスの場合の電気量密度(電流密度[C/s・cm2]×パルス幅[s])としては、水の電界反応を抑制する目的から1C/cm2以下とすることが好ましく、500mC/cm2以下とすることが更に好ましく、また、1μC/cm2以上とすることが好ましく、10μC/cm2以上とすることが更に好ましい。
直流パルスの周波数としては、0.01Hz以上とすることが好ましく、0.1Hz以上とすることが更に好ましい。
培地としては、特に限定されることなく、天然培地、合成培地が挙げられ、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)等としてよい。
本発明の実施形態の細胞の培養方法は、前述の本発明の実施形態の培養装置1の使用方法として記載のとおりに構成してよい。
実施例1の培養装置は、図4に示す本発明の実施形態の培養装置の製造方法の一態様に従って、ゲルの相互貫入の手法を用いて電極とゲル体とを固定することで、培養装置を作製した。
スライドガラスを洗浄した。スライドガラスバットにスライドガラスを並べ、バット内をアセトンで満たし、15分間室温(25℃)で超音波洗浄した。86%エタノールIP、蒸留水の順で同様に15分間ずつ超音波洗浄を行う。その後、2−プロパノール内でスライドガラスを保管した。使用する前にスライドガラスを乾燥させた。
空のスクリュー管瓶(50mL)を氷中で冷やしながら、10質量%PU/THF溶液35mL、1−ブタノール2mL、3,4−ethylenedioxythiophene(EDOT)0.88mL、Iron tosylate solution(pTS・Fe(III))6.5mLをこの順番で加えた。スクリュー管瓶を円を描くように良く混ぜながらそれぞれの試薬をマイクロピペットで加えてPEDOT/PU溶液を得た。混ぜるとき水が混入しないよう留意した(水が入るとPEDOT/PUの性能が落ちるため)。
なお、pTS・Fe(III)は事前に調整する必要があり、Clevios C−B54V3を4.9mL、1−ブタノールを1.6mLの割合で混合した。10質量%PU/THF溶液、1−ブタノール、EDOT、pTS・Fe(III)はそれぞれ分注して冷蔵保存(約3℃)した。EDOT、pTS・Fe(III)は褐色瓶で保存した。
スライドガラスを洗浄した。スライドガラスバットにスライドガラスを並べ、アセトンでバット内を満たし、15分間常温で超音波洗浄した。86%エタノールIP、蒸留水の順で同様に15分間ずつ超音波洗浄を行った。その後、2−プロパノール内でスライドガラスを保管した。スライドガラスは使用する前に乾燥させた。
乾燥させたスライドガラスをスピンコーターにセットし、作製した10質量%PU/THFスポイトでスライドガラス全面に滴下した。スピンコーターの蓋を閉め、回転数500rpm、加速時間5秒、回転時間30秒でスピンコートした。
PU薄膜に重合開始剤irgacure2959を修飾した。
PU薄膜スライドガラスを卓上UVオゾン表面処理装置(PL17−110、強度15mW/cm2)にセットし、5分間オゾン処理することで表面改質し、PU薄膜表面にカルボキシル基を導入した。
PU−irgacure薄膜を以下の手順に従って、アクリル板の枠を使って剥がした。(1)アクリル板で枠内側の寸法:78(横)×28(縦)×2(厚さ)の枠を作成した。
(2)枠にカプトンテープを貼った。
(3)上記枠にPU−irgacureを張り付けた。蒸留水をつけてスライドガラスのみを剥がした。
(4)PU−irgacureのみが付いたアクリル板の枠を得た。
180mg/mLのアクリルアミド(モノマー)、0.118mg/mLのN,N’−methylenebis(acrylamide)(MBAA,架橋剤)、2mg/mLのirgacure2959(光重合開始剤)を蒸留水に溶解し、プレポリマー溶液を得た。
(1)UV透過アクリル板にシリコンシートから切り出した枠を重ねた。プレポリマー溶液で枠内を満たした。
(2)上からUV透過アクリル板を載せた。この際、気泡が入らないように注意した。
(3)サランラップ(登録商標)で全体を包み、クリップでアクリル板を固定した。2時間UV照射(302nm、8W)してポリアクリルアミドゲルを得た。
得られる培養ウェルは、長さ6mm、幅1.5mm、深さ1.5mmの半円筒形である。
実施例1では、ゲルの相互貫入の手法を用いて、電極とゲル体とを固定した。
30質量%アクリルアミド(モノマー)、0.3mol%(ofアクリルアミド)のN,N’−methylenebis(acrylamide)(MBAA、架橋剤)を蒸留水に溶解し、接着溶液を得た。接着溶液を窒素でバブリング(30分〜1時間程度)し、脱酸素した。バブリング後、窒素を充填したグローブボックス(酸素濃度2%以下)の中に入れ、シャーレに満たした。
これによりPU−irgacure表面からゲル内部に向かってポリアクリルアミドが成長し、互いに絡み合うことでPEDOT/PU:PU−irgacureとゲルとが接着された。
蓋側ゲル体部分は、培養ウェルを設けない点以外は上記容器側ゲル体部分の作製と同様に、作製した。
前述のとおり調製した容器側ゲル体部分と蓋側ゲル体部分とを相互のゲル体が接するように組み立てた。
組み立てたものに適宜リード部分を形成し、電源に接続した。
実施例2の培養装置は、図5に示す本発明の実施形態の培養装置の製造方法の別の態様に従って、電解重合の手法を用いて電極とゲル体とを固定することで、培養装置を作製した。
接着溶液を3,4−エチレンジオキシチオフェン溶液5.5μLを1mLの蒸留水に溶解させて準備したものとした点以外は、上述の(実施例1)における「A−5.ハイドロゲルの作製」と同様に、ハイドロゲルを調製した。
PEDOT/PUをハイドロゲルの培養ウェルを設けた側とは反対側に載せた。PEDOT/PUとハイドロゲルとにそれぞれ電極を接続して、1.0V(vs.Ag/AgCl)の電位を印加し、重合量300mC/cm2に達するまで電解重合した。これにより、ハイドロゲルとPEDOT/PUとを接着させた。それ以外は、上述の(実施例1)における「A−6.ハイドロゲルとPEDOT/PU:PU−Irgacureとの接着」と同様に処理した。
また、別のPEDOT/PUをハイドロゲルの培養ウェルを設けた側に載せ、上記と同様の条件で電解重合を行った。
両面に電極が設けられたゲル体について適宜リード部分を形成し、電源に接続した。
・第一電極(表面側):1つ、第二電極(裏面側):1つ
・培養ウェルの寸法:長さ6mm、深さ1.5mm、幅1.5mmの半円筒形
・培養ウェルの設置箇所:第一電極と第二電極との真ん中
・電極どうしを結ぶ線と培養ウェルの深さ方向との傾斜角:60°
図8に、実施例2で作製した培養装置の第一ゲル体部分(容器側ゲル体部分)を用いて、サイクリックボルタンメトリ測定及びインピーダンス測定を行ったときの様子を示す。(A)に、実施例2で作製した培養装置の第一ゲル体部分(容器側ゲル体部分)を用いて測定したときの様子を示し、(B)に、対照サンプルとして金電極を使用した第一ゲル体部分を用いて測定したときの様子を示す。
参照電極にAg/AgCl(飽和KCl)を、対極に白金電極をそれぞれ用い、培養装置の電極を作用極とした。
サイクリックボルタンメトリ測定では、掃引電位:0〜0.5V、掃引速度:5mV/sの条件とした。
インピーダンス測定では、初期電位0V(vs.Ag/AgCl)、振幅5mV、周波数1〜100000Hzの交流電圧を印加して、作用極−参照極間のインピーダンスを計測した。
また、金に比べてPEDOT/PUは低インピーダンスのため、感度の良い計測に有効であり、細胞の電気的応答の測定に応用可能である(図9(B)参照)。
ヒトiPS由来心筋細胞(ReproCardio2、品番:RCDC001N)1.5×104個を懸濁した200μLの培養培地ReproCardio2 Culture Medium(品番:RCDC101、100U/mL Penicilin、100μg/mL Streptomycin)を96wellプレートに加え、インキュベーター内で約37℃、CO2濃度約5%の培養条件下で3日間培養し、直径約300μmの心筋細胞塊を得た。
その後、実施例2で作製した培養装置において、培養ウェルへ心筋細胞塊をピペットマンを用いて移し、上記培地を満たした。その後、電流値13mA/cm2、パルス幅24ms(320mC/cm2)、周波数1Hzのバイポーラパルス電流を印加して、収縮運動の挙動を顕微鏡で観察した。
前述のとおり心筋細胞に電気刺激を与えた際に、培養ウェル内の培養物を、倒立顕微鏡(オリンパス社製、品番:IX71)を用いて観察し、観察動画に基づいて、心筋細胞培養物の拍動による変位の経時変化を、Motion Analyzer software(Keyence社製)を用いて解析した。
また、1Hzの周波数の電気刺激を加えた心筋細胞の拍動が確認され、刺激の周波数に同期して拍動することが観察された(図10(B)参照)。
なお、図10(A)及び図10(B)の両者の心筋細胞の拍動変位量の差は心筋細胞塊の個体差によるものだと考えられる。
先行研究より、電気刺激を与えて拍動させることで心筋細胞の拍動に関連するタンパク質(トロポニン)の量が増えることが分かっている。このため、拍動を制御する培養装置によって心筋細胞を発達・成熟させられる可能性が示唆された。
本発明の実施形態の培養装置は、幹細胞を分化誘導して成熟させるツールとして、特に電気刺激が有効である神経系及び筋肉系の細胞の分化誘導に好適に用いることができる。
2 電極
21 第一の電極
211 第一電極部分
212 第二電極部分
22 第二の電極
221 第一電極部分
222 第二電極部分
3 ゲル体
31 第一ゲル体部分(容器側ゲル体部分)
32 第二ゲル体部分(蓋側ゲル体部分)
3w 培養ウェル
4m モノマー
4im 絶縁性モノマー
4cm 導電性モノマー
4p ポリマー
4ip 絶縁性ポリマー
4cp 導電性ポリマー
5 接着層
6 絶縁層
7 被覆層
C 細胞塊・スフェロイド
PI 重合開始部
Claims (14)
- 培養ウェルを有するゲル体と、該培養ウェルを挟んで設けられている一対の電極とを備え、
前記ゲル体が表裏両面を有し、前記電極が前記培養ウェルに関して表裏両面側に設けられ、
前記電極の少なくとも一部が、前記ゲル体上に配置され、
一対の前記電極どうしを結ぶ線上に前記培養ウェルが位置する、
ことを特徴とする、培養装置。 - 培養ウェルを有するゲル体と、該培養ウェルを挟んで設けられている一対の電極とを備え、
前記ゲル体が表裏両面を有し、前記電極が前記培養ウェルに関して表裏両面側に設けられ、
前記電極の少なくとも一部が、前記ゲル体に包埋され、
一対の前記電極どうしを結ぶ線上に前記培養ウェルが位置する、
ことを特徴とする、培養装置。 - 前記一対の電極が平面視にて交互に並列されている、請求項1又は2に記載の培養装置。
- 隣接する前記一対の電極の間に前記培養ウェルがそれぞれ設けられている、請求項3に記載の培養装置。
- 平面視にて前記一対の電極のうち一方が他方に囲繞されるように設けられている、請求項1又は2に記載の培養装置。
- 前記培養ウェルと該培養ウェルを挟んで設けられている前記一対の電極が等距離で設けられている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の培養装置。
- 前記ゲル体がハイドロゲルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の培養装置。
- 前記ハイドロゲルは、コラーゲン、グルコマンナン、フィブリン、アルギン酸、ポリビニルアルコール、PPEGDA、PPEGDM、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、シリコーン、DNハイドロゲル、これらの2種以上の混合物からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項7に記載の培養装置。
- 前記電極は、炭素材料、導電性ポリマー材料、半導体、金属からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の培養装置。
- 前記電極は、カーボンナノチューブ、ケッチェンブラック、グラッシーカーボン、グラフェン、フラーレン、カーボンファイバ、カーボンファブリック、カーボンエアロゲル、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリピロール、金、白金からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項9に記載の培養装置。
- 前記ゲル体がポリアクリルアミドを含み、前記電極がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を含む、請求項8又は10に記載の培養装置。
- 前記電極表面から始端し前記ゲル体内部に伸びるポリマーを備える、請求項1〜11のいずれか一項に記載の培養装置。
- 前記培養ウェルを挟む一対の前記電極同士を結ぶ線と、前記培養ウェルの深さ方向とがなす傾斜角θが、0.1°以上60°以下である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の培養装置。
- 細胞の細胞塊又はスフェロイドの培養に用いる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の培養装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017247037A JP6981650B2 (ja) | 2017-12-22 | 2017-12-22 | 培養装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017247037A JP6981650B2 (ja) | 2017-12-22 | 2017-12-22 | 培養装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019110823A JP2019110823A (ja) | 2019-07-11 |
JP6981650B2 true JP6981650B2 (ja) | 2021-12-15 |
Family
ID=67220997
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017247037A Active JP6981650B2 (ja) | 2017-12-22 | 2017-12-22 | 培養装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6981650B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112501019B (zh) * | 2020-12-03 | 2023-10-31 | 广州迈普再生医学科技股份有限公司 | 一种多功能生物反应器 |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4710008B2 (ja) * | 2005-04-20 | 2011-06-29 | 国立大学法人東北大学 | 高代謝能を有する培養筋細胞の作製方法 |
TWI375023B (en) * | 2007-10-05 | 2012-10-21 | Univ Nat Taiwan | A cellular microarray and its microfabrication method |
KR101085193B1 (ko) * | 2010-12-21 | 2011-11-21 | 한국기계연구원 | 세포 또는 조직 인장 자극기 |
KR101532112B1 (ko) * | 2011-06-14 | 2015-06-26 | 삼성전기주식회사 | 바이오 칩 |
WO2013052138A2 (en) * | 2011-10-03 | 2013-04-11 | Fabrico. Inc. | System and method for electrophoretic decellularization |
KR20160042709A (ko) * | 2014-10-10 | 2016-04-20 | 삼성전자주식회사 | 전기장 인가 장치 |
JP2016140322A (ja) * | 2015-02-03 | 2016-08-08 | 一般財団法人電力中央研究所 | 電気培養用電子メディエータ |
-
2017
- 2017-12-22 JP JP2017247037A patent/JP6981650B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019110823A (ja) | 2019-07-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Marzocchi et al. | Physical and electrochemical properties of PEDOT: PSS as a tool for controlling cell growth | |
JP6284200B2 (ja) | 多孔質基板電極体及びその製造方法 | |
Vishnoi et al. | Conducting cryogel scaffold as a potential biomaterial for cell stimulation and proliferation | |
Peng et al. | A fluorinated polymer sponge with superhydrophobicity for high-performance biomechanical energy harvesting | |
Lee et al. | Electrically conducting polymers for bio-interfacing electronics: From neural and cardiac interfaces to bone and artificial tissue biomaterials | |
US6569654B2 (en) | Electroactive materials for stimulation of biological activity of stem cells | |
Green et al. | Impact of co-incorporating laminin peptide dopants and neurotrophic growth factors on conducting polymer properties | |
Voge et al. | Directional conductivity in SWNT‐collagen‐fibrin composite biomaterials through strain‐induced matrix alignment | |
Balint et al. | Conductive polymers: Towards a smart biomaterial for tissue engineering | |
Zhou et al. | Poly (3, 4-ethylenedioxythiophene)/multiwall carbon nanotube composite coatings for improving the stability of microelectrodes in neural prostheses applications | |
Wang et al. | Antiliquid-interfering, antibacteria, and adhesive wearable strain sensor based on superhydrophobic and conductive composite hydrogel | |
Xu et al. | Conductive hydrogels with dynamic reversible networks for biomedical applications | |
Zhao et al. | Controlled protein absorption and cell adhesion on polymer-brush-grafted poly (3, 4-ethylenedioxythiophene) films | |
Zhou et al. | Electrodeposition of Carbon Nanotubes− Chitosan− Glucose Oxidase Biosensing Composite Films Triggered by Reduction of p-Benzoquinone or H2O2 | |
CN104142361B (zh) | 一种蛋白质分子印迹聚离子液体膜电化学传感器 | |
Srisuk et al. | Electroactive gellan gum/polyaniline spongy-like hydrogels | |
Milroy et al. | Bioelectronic energy storage: a pseudocapacitive hydrogel composed of endogenous biomolecules | |
JP6510388B2 (ja) | 生体適合性ゲル材料、生体適合性ゲル材料の製造方法、生体適合性ゲル電極、及び生体組織吸着デバイス | |
Mao et al. | Conductive polymer waving in liquid nitrogen | |
Gong et al. | Electrical conductance of polyelectrolyte gels | |
McNamara et al. | Enhancing the conductivity of cell-laden alginate microfibers with aqueous graphene for neural applications | |
Perez-Madrigal et al. | Polypyrrole-supported membrane proteins for bio-inspired ion channels | |
JP6981650B2 (ja) | 培養装置 | |
CN105237778A (zh) | 一种室温下改善壳聚糖血液相容性的方法 | |
Sharma et al. | Conducting polymer hydrogels and their applications |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200928 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210914 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20211025 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20211109 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20211111 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6981650 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |