JP2016140322A - 電気培養用電子メディエータ - Google Patents

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伸一 平野
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Abstract

【課題】培地に含ませた場合に、通常の培地と同様の方法で培地を廃棄することができ、電気培養にかかるコストを従来よりも抑えることのできる電気培養用電子メディエータを得る。また、通常の培地と同様の方法で廃棄することができ、電気培養にかかるコストを従来よりも抑えることのできる電気培養用培地を得る。
【解決手段】電気培養用電子メディエータを、廃菌床由来の水溶性抽出物を有効成分とするものとした。また、電気培養用培地を、廃菌床由来の水溶性抽出物を有効成分とする電気培養用電子メディエータが用いられているものとした。
【選択図】図9

Description

本発明は、電気培養用電子メディエータに関する。さらに詳述すると、本発明は、電気培養用電子メディエータ並びにこの電気培養用電子メディエータを利用した電気培養用培地、電気培養装置及び電気培養方法に関する。
電気培養とは、培地の酸化還元電位を制御することによって、及び/又は、培地に接触させた電極と培養対象微生物との間で電子メディエータを介した電子の授受を行わせることによって、酸化還元反応が関与する細菌の呼吸や代謝の活性化(あるいは不活性化)及び真菌の形態変化の誘導(あるいは抑制)等を行う技術である。
電気培養用の培地は、微生物の培養に必要な成分と共に、酸化体と還元体の両形態をとり得る酸化還元物質を電子メディエータとして含んでいる。つまり、電気培養用の培地は、電子メディエータを含んでいる点で通常の培地とは異なっている。そして、培地に接触させた電極(作用電極)の電位を所望の値に制御することによって、電子メディエータの酸化体と還元体の比率が電極反応により変化し、液体培地の場合には培地全体の酸化還元電位が所望の値に制御される。固体培地の場合には電極近傍の培地の酸化還元電位が所望の値に制御される。また、このような制御によって、培地に接触させた電極(作用電極)と培養対象微生物との間で電子メディエータを介した電子の授受が起こり得る。
ところで、従来の電気培養においては、電子メディエータとして、チオニン、硫酸銅、メチレンブルー、ニュートラルレッド、フェリシアン化カリウム、フェナジンメトサルフェート、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸ナトリウム(AQDS)、ビオロゲン誘導体(例えば、メチルビオロゲン、エチルビオロゲン及びベンジルビオロゲン等)、及び金属錯体(例えば、Fe(III)−EDTA錯体及びFe(III)−DTPA錯体等)等の化学物質が用いられていた(例えば、特許文献1及び2等を参照)。
特開2012−200200号 特開2013−179846号
しかしながら、電子メディエータとして上記化学物質が培地に含まれている場合、通常の培地と同様の方法で廃棄することができず、上記化学物質が含まれていることを考慮した特殊な廃棄方法を採用しなければならない。電気培養の規模の大型化等の産業的見地に鑑みれば、培地を廃棄する際に、特殊な廃棄方法を採用することなく、通常の培地と同様の方法で廃棄することができる電子メディエータを開発することが望ましいと考えられる。また、電子メディエータとして上記化学物質を用いる場合、上記化学物質にかかるコストによって、電気培養にかかるコストが上昇してしまう。このコストは、電気培養の規模を大型化するほど嵩むことになる。したがって、電子メディエータを開発するに際し、電気培養にかかるコストを従来よりも抑えることを考慮することも重要であると考えられる。
そこで、本発明は、培地に含ませた場合に、通常の培地と同様の方法で培地を廃棄することができ、電気培養にかかるコストを従来よりも抑えることのできる電気培養用電子メディエータを提供することを目的とする。
また、本発明は、通常の培地と同様の方法で廃棄することができ、電気培養にかかるコストを従来よりも抑えることのできる電気培養用培地を提供することを目的とする。さらには、通常の培地と同様の方法で廃棄することができ、電気培養にかかるコストを従来よりも抑えることのできる電気培養用培地を備える電気培養装置、このような電気培養装置を利用した電気培養方法を提供することを目的とする。
かかる課題を解決するため、本発明者等は、天然物由来成分を電気培養用電子メディエータとして含む培地であれば、通常の培地と同様の方法で廃棄することが可能であると考えた。また、廃棄物由来成分を電気培養用電子メディエータとして用いれば、電気培養にかかるコストを従来よりも抑えられると考えた。本発明者等は、これらの考え方に基づいて鋭意検討を行った。その結果、廃菌床由来の水溶性抽出物を電気培養用電子メディエータとして利用可能であることを知見するに至り、さらに種々検討を重ねて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の電気培養用電子メディエータは、廃菌床由来の水溶性抽出物を有効成分とするものである。
また、本発明の電気培養用培地は、電子メディエータとして、本発明の電気培養用電子メディエータが用いられているものである。
さらに、本発明の電気培養装置は、培地として、本発明の電気培養用培地が用いられているものである。
また、本発明の電気培養方法は、培地として、本発明の電気培養用培地を用いて微生物の培養を行うようにしている。
本発明の電気培養用電子メディエータによれば、天然物由来成分である廃菌床の水溶性抽出物を有効成分としているので、これを培地に含ませた場合に、当該培地を通常の培地と同様の方法で廃棄することが可能となる。しかも、従来コストをかけて廃棄処理していた廃菌床を有効活用することで、電子メディエータにかかるコストを従来よりも大幅に抑えて、電気培養にかかるコストを大幅に低減することが可能となる。
また、本発明の電気培養用培地によれば、電子メディエータとして、本発明の電気培養用電子メディエータが用いられているので、通常の培地と同様の方法で廃棄することが可能である。しかも、電気培養にかかるコストを大幅に低減することが可能となる。
さらに、本発明の電気培養装置及び電気培養方法によれば、本発明の電気培養用電子メディエータが用いられているので、微生物の電気培養を良好に実施することを可能としながらも、電気培養終了後には、培地を通常の培地と同様の方法で廃棄することが可能となる。しかも、電気培養にかかるコストを大幅に低減することが可能となる。
固体培地を用いたゲル型電気培養装置の一例を示す図である。 ゲル型電気培養装置の電位制御領域を示す斜視図である。 ゲル型電気培養装置の電位制御領域を示す断面図である。 糸状菌の分生子(胞子)形成過程を示す図である。 糸状菌を固体培地上で培養した場合の成長過程を示す図である。 液体培地を用いた培養液型電気培養装置の一例を示す図である。 実施例1において使用したゲル型電気培養装置を示す図である。 実施例1において、電子メディエータとしてチオニン又は廃菌床抽出液を用いた場合の糸状菌の培養試験結果を示す図面代用写真である。 実施例1において、電子メディエータとしてチオニン又は廃菌床抽出液を用いた場合の糸状菌の培養試験終了後に分生子数をカウントした結果を示す図である。 実施例1において、電子メディエータとしてフミン酸を用いた場合の糸状菌の培養試験結果を示す図面代用写真である。 実施例2において使用した、液体培地を用いた電気培養装置を示す図である。 実施例2において、培養試験期間中のパエニバチルス マセランス NS−1株(Paenibacillus macerans NS-1)の生育状況を示す図である。 実施例2において、培養試験期間中の培養液中グリセロール濃度変化を示す図である。 実施例2において、培養試験期間中の培養液中エタノール濃度変化を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の電気培養用電子メディエータは、廃菌床由来の水溶性抽出物を有効成分とするものである。
廃菌床とは、きのこの収穫が一回以上行われたきのこ栽培用の菌床であり、おがくず及び小麦ふすま等のリグニン系成分並びにその分解物(腐植質)であるフミン酸及びフルボ酸等が含まれている。さらに、きのこ及び菌糸体等の自己消化成分等が含まれている。本発明では、廃菌床から水溶性成分を抽出し、これを電気培養用電子メディエータとして利用する。
廃菌床からの水溶性成分の抽出は、廃菌床を水と接触させて、廃菌床中の水溶性成分を水に溶け出させることにより行われる。
廃菌床は粉砕して粉砕物としてから水と接触させることが好適である。これにより、廃菌床と水の接触面積を増加させて、廃菌床から水溶性成分を効率よく抽出することができる。
抽出に用いる水の温度は、特に限定されるものではなく、常温であってもよいが、高温とすることが好適である。具体的には、50℃以上、好適には60℃以上、より好適には70℃以上、さらに好適には80℃以上、なお好適には90℃以上、最も好適には100℃以上である。これにより、廃菌床から水溶性成分を効率よく抽出することができると共に、廃菌床を殺菌する効果が奏されて、廃菌床に付着している微生物に起因するコンタミネーションを防ぐこともできる。また、ミキサー撹拌や振とう等の物理的衝撃を与えながら抽出を行うことも好適である。これにより、さらなる抽出効率の向上が期待できる。尚、本発明者等の実験によれば、常温の水でミキサー撹拌を行いながら抽出を行うことで、電気培養用電子メディエータとして機能する水溶性抽出物が得られることが確認されている。
廃菌床からの水溶性成分の抽出法として極めて好適な方法としては、廃菌床の粉砕物を水に懸濁した懸濁液をオートクレーブ処理する方法が挙げられる。オートクレーブ処理を行うことで、処理環境の圧力を上昇させて、抽出に用いる水を沸点以上の温度とすることができる。したがって、廃菌床を粉砕物としてから水と接触させる効果と、抽出に用いる水を高温にする効果とを最大限に発揮させることができる。オートクレーブ処理の温度条件については、100℃以上、好適には100℃〜140℃、より好適には110℃〜130℃、さらに好適には120℃程度である。圧力については、大気圧以上、好適には0.1MPa〜0.3MPa、より好適には0.15MPa〜0.25MPa、さらに好適には0.2MPa程度である。時間については、10〜30分間、好適には20分間程度である。尚、大気圧以上で且つ100℃以上の条件下では、廃菌床内の高分子が部分分解して低分子化し、抽出されるものと推定される。その結果として、オートクレーブ処理を行うことで、抽出成分は増加するものと推定される。
上記の方法により、廃菌床由来の水溶性抽出物を含む抽出液が得られる。この抽出液をそのまま本発明の電気培養用電子メディエータとして用いるようにしてもよいし、固液分離処理(濾過や遠心分離等)して固形分を除いてから用いるようにしてもよい。また、この抽出液に添加物を一種以上添加してから用いるようにしてもよい。例えば、廃菌床由来の水溶性抽出物を含む抽出液は酸性を呈することから、必要に応じてアルカリ(例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム)等を添加して中和してから用いるようにしてもよい。また、抽出液から水分を除去して固体(粉体)とし、保管・保存しやすい形態としてもよい。また、殺菌処理が必要な場合には、定法(例えば紫外線照射等)により殺菌処理を行うようにしてもよい。
以下、本発明の電気培養用電子メディエータを用いた電気培養用培地、この電気培養用培地を用いた電気培養装置及び電気培養方法について、詳細に説明する。尚、以降の説明では、本発明の電気培養用電子メディエータを、単に「電子メディエータ」と呼ぶこともある。
<第一の実施形態>
第一の実施形態として、固体培地を用いた電気培養について、培養対象微生物を真菌である糸状菌とした場合を例に挙げて説明する。
(1)電気培養装置
固体培地を用いた本発明の第一の実施形態は、例えば特開2013−179846号の実施例2に開示されているゲル型電気培養装置を利用し、電子メディエータを廃菌床由来の水溶性抽出物に変更することで実施することができる。
図1に示すゲル型電気培養装置1aは、ゲル培地2と、ゲル培地2の表面のうちの培養面2aに対向する対向面2bに配置された作用電極9と、ゲル培地2の表面のうちの培養面2aに対向する対向面2bに配置された対電極10と、作用電極9と対電極10とを結線して作用電極9の電位を制御する電源12とを有している。電子メディエータはゲル培地2に含まれている。尚、図1において、符号9aは作用電極9と電源12とを結ぶリード線であり、符号10aは対電極10と電源12とを結ぶリード線である。符号20は作用電極9にリード線9aを、対電極10にリード線10aをそれぞれ固定するための導電性ペースト(例えば銀ペースト等)である。符号6はゲル培地2を支持する支持体(例えばシャーレ)である。以降の説明では、ゲル培地2の培養面2aに対向する対向面2bを単にゲル培地2の対向面2bと呼ぶこともある。
図1に示すゲル型電気培養装置1aでは、作用電極9と対電極10の極間電圧により作用電極9の電位を制御するようにしている。
図1に示すゲル型電気培養装置1では、作用電極9の電位を制御することで、図2及び図3に示すように、作用電極9からゲル培地2の培養面2aの作用電極9と対向している部分2c(電位制御表面2cと呼ぶこともある)までを電位制御領域Xとして電位制御可能としている。したがって、ゲル培地2に含ませた電子メディエータを酸化または還元させることができる。尚、図2と図3では、ゲル培地2と作用電極9以外の構成については図示省略している。また、電位制御領域Xには電位制御表面2cも含まれている。
ここで、図1に示すゲル型電気培養装置1a(さらには図2及び図3)では、作用電極9と対電極10の配置位置は、ゲル培地2の対向面2bとしているが、各電極の配置位置はこれには限定されない。例えば、作用電極9は、ゲル培地2の対向面2bではなく、ゲル培地2の内部に配置(内包)するようにしてもよい。対電極10についても、電位制御領域Xの電位制御性が完全に失われることのない位置、例えば電位制御表面2cを完全に覆ったり、作用電極9から電位制御表面2cまでの間を完全に遮って電位制御表面2cにおける電位制御を不可能とすることのない位置にゲル培地2の内部に配置(内包)するようにしてもよいし、ゲル培地2の表面に配置するようにしてもよい。
また、作用電極9と対電極10としては、例えばステンレス鋼電極、白金電極、炭素電極、各種透明電極(ガラス電極やITO電極等)等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
尚、作用電極9の電位の制御は、作用電極9と対電極10の極間電圧による制御に限定されるものではなく、例えば、さらに参照電極を配置し、作用電極9と対電極10と参照電極とを定電位設定装置(ポテンシオスタット)に結線して、作用電極9の電位を3電極方式で制御するようにしてもよい。詳細には、定電位設定装置により、作用電極9と参照電極との間の電位差を測定し、この電位差が設定電位に達するように作用電極9と対電極10との間に電流を流し、基準となる参照電極には一切電流が流れないようにすることで、作用電極9の電位を厳密に制御することができる。尚、3電極方式による電位制御については、例えば、電気化学測定法(上)、技報動出版株式会社、第1版15刷、2004年6月発行の6〜9ページにその詳細が記載されている。3電極方式で電位制御を行う場合、参照電極は、作用電極9と対電極10との間に電圧を印加したときに電気力線が形成され得る位置に内包させたり、あるいは培地2に突き刺したりして配置すればよい。また、参照電極としては、液体培養において用いられる一般的な参照電極、例えばBAS製のRE−1B(内部液:NaCl溶液、電極材:Ag/AgCl)や東亜DKK製のHS−205C(内部液:KCl溶液、電極材:Ag/AgCl)等を適宜用いることができる。
(2)電子メディエータの培地中含有量
ゲル培地2における電子メディエータ含有量は、糸状菌との電子の授受が良好に起こり得る限り特に限定されるものではないが、廃菌床由来の水溶性抽出物から水分を除去した乾燥重量で換算すると、概ね433mg〜700mg/100mL程度である。尚、電子メディエータは、ゲル培地2の電位制御領域Xにのみ含ませるようにしても構わない。この場合にも、糸状菌との電子の授受が良好に起こり得る。
(3)電子メディエータの電気化学的な酸化又は還元
電子メディエータの電気化学的な酸化または還元は、作用電極9の電位を制御して、ゲル培地2の電位制御表面2cを含めた電位制御領域Xにおける電位を制御することにより行われる。電位の値は、電子メディエータが還元型から酸化型に酸化される酸化電位または電子メディエータの酸化体が還元体に還元される還元電位に制御される。酸化電位及び還元電位に関する情報は、本発明の電気培養用電子メディエータをサイクリックボルタンメトリー測定等に供することで、取得することができる。
(4)培地及び培養環境
ゲル培地2は、糸状菌の培養に用いられる一般的なもの、例えばPDA(ポテトデキストロース寒天)培地等が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、培養環境(温度、湿度、pH及び光照射条件等)は、培養する糸状菌に応じて、適宜制御される。
(5)培養
ゲル培地2に植菌し、培養を行う。植菌は、糸状菌自体、例えば菌糸を植菌するようにしてもよいし、胞子を植菌するようにしてもよい。あるいは、菌糸と胞子の混合物を植菌するようにしてもよい。また、植菌する位置は、作用電極9上のゲル培地2の表面、即ち電位制御表面2c上とすることが好適である。但し、電位制御表面2c上に植菌することには限定されず、この位置から外れた箇所に植菌し、伸長して電位制御表面2c上に到達した菌糸の分化を誘導するようにしても構わない。
図4に糸状菌による分生子(胞子)の形成過程を示す。尚、図4は、文献(Microbiology (2010), 156, 2887-2900, 蛋白質 核酸 酵素 (2008), 53,(6), 753-759)から引用したものである。糸状菌の菌糸の分化は、光や栄養飢餓等といったストレスによって誘導される。菌糸が分化することで、気中菌糸が形成される。そして気中菌糸の成長に伴って、分生子柄が発達し、分生子が形成される。しかし一方で、光や栄養飢餓等といったストレスは、糸状菌の菌糸の成長(ゲル培地表面に沿った伸長)を阻害する要因となる。したがって、光や栄養飢餓等といったストレスを与えることにより菌糸を分化させて分生子形成を誘導することでは、糸状菌の菌糸の成長と菌糸の分化の両立を図ることができず、分生子を効率的に形成させることができない。これに対し、電子メディエータを電気化学的に酸化させながら(電子メディエータが還元型から酸化型に酸化される酸化電位に作用電極9の電位を制御しながら)糸状菌を培養することで、糸状菌の菌糸の成長と菌糸の分化の両立を図ることができ、分生子を効率よく形成させることが可能となる。逆に、電子メディエータを電気化学的に還元させながら(電子メディエータが酸化型から還元型に還元される還元電位に作用電極9の電位を制御しながら)糸状菌を培養することで、糸状菌の菌糸の成長と菌糸の分化の双方を抑制することができ、分生子の形成を阻害することも可能となる。
尚、電子メディエータを電気化学的に酸化させながら(電子メディエータが還元型から酸化型に酸化される酸化電位に作用電極9の電位を制御しながら)糸状菌を培養することで、さらなる有利な効果が得られる。即ち、糸状菌をゲル培地2の中心部に植菌すると、ゲル培地2の表面に沿って菌糸が放射上に成長(伸長)しつつ、植菌位置である中央部及びその周辺の古い細胞は死滅していく現象が見られる。これは、成長方向の先端部の細胞の生育を優先させるために、先端部に向けて栄養を送る糸状菌の生存戦略として観察される現象である(図5を参照)。そして、菌糸が伸長してシャーレ壁面まで到達すると、菌糸の伸長が阻害され、そのことがストレスとなって菌糸の分化が誘導され、分生子が形成される場合がある。したがって、仮に一般的な培養方法で分生子を形成できたとしても、分生子が得られるのは、菌糸の先端部が衝突する壁面の近傍付近のみとなってしまう。これは、分生子が得られるまでに要する時間や分生子が得られる培地面積を考慮すると、効率的とは到底言い難い。これに対し、電子メディエータを電気化学的に酸化させながら(電子メディエータが還元型から酸化型に酸化される酸化電位に作用電極9の電位を制御しながら)糸状菌を培養することで、植菌位置及びその周辺における細胞の死滅を大幅に抑えながらも、菌糸の成長(伸長)と菌糸の分化の両立を図ることができ、糸状菌に分生子を早期に形成させることが可能となる。加えて、作用電極9の電極面積を大きくすれば、電位制御表面2cを大面積とでき、分生子を形成させるために有効な面積を拡大して、糸状菌による分生子形成をさらに効率よく行うことが可能となる。
そして、ゲル培地2から胞子を回収することによって、分生子を効率よく製造することが可能になる。ゲル培地2からの胞子の回収は、例えば、Tween80を0.01%含有する水溶液をゲル培地上に添加し、スプレッダーで胞子をかきとること等により行うことができるが、この方法に限定されるものではない。
<第二の実施形態>
第二の実施形態として、液体培地を用いた電気培養について、培養対象微生物を細菌であるグリセロール変換細菌とした場合を例に挙げて説明する。
(1)装置
液体培地(培養液)を用いた本発明の第二の実施形態は、例えば特開2008−054646号や特開2013−000016号に開示されている電気培養装置を利用し、電子メディエータを廃菌床由来の水溶性抽出物に変更することで実施することができる。
図6に液体培地を用いた電気培養装置の一例を示す。図6に示す電気培養装置1bにおいて、電解槽5はイオン交換膜6によって培養槽7と対極槽8に仕切られている。培養槽7には培養液4aが収容され、対極槽8には電解液4bが収容される。培養槽7に収容された培養液4aには作用電極9及び参照電極11が浸漬される。対極槽8に収容された電解液4bには対電極10が浸漬される。作用電極9と対電極10と参照電極11は定電位設定装置12に結線され、作用電極9の電位を3電極方式で制御するようにしている。電子メディエータは培養液4aに添加される。
作用電極9と対電極10は、第一の実施形態で挙げたものと同様の材質の電極を用いることができる。参照電極11も、第一実施形態で挙げたものと同様のものを用いることができる。イオン交換膜6としては、例えばプロトン交換膜(例えば、デュポン社製、ナフィオンN117等)を用いることができるが、これに限定されるものではない。
尚、図6に示す電気培養装置1bにおいて、参照電極11を省略し、第一の実施形態と同様に、作用電極9と対電極10の間の極間電圧により作用電極9の電位を制御するようにしてもよい。また、
また、図6に示す電気培養装置1bにおいて、培養液4aは、イオン交換膜6を介して電解液4bに接触し、電解液4bに対電極10が浸漬されているが、このような構成には限定されない。例えば、培養液4aは、イオン交換膜6を介して対電極10と接触するようにしてもよい。その際、電解液4bを用いずともよい。つまり、特開2008−054646号や特開2013−000016号に開示されている電気培養装置の形態に限らず、特開2010−207192及び特開2010−207193等に開示されている電気培養装置の形態を適宜採用するようにしてもよい。このような形態を採用した場合にも、良好に電気培養を行い得る。
(2)電子メディエータの培地中含有量
培養液4aにおける電子メディエータ含有量は、グリセロール変換細菌との電子の授受が良好に起こり得る限り特に限定されるものではないが、廃菌床由来の水溶性抽出物から水分を除去した乾燥重量で換算すると、概ね433mg〜700mg/100mL程度である。
(3)電子メディエータの電気化学的な酸化又は還元
第一の実施形態と同様である。尚、第二の実施形態では、培養液4a全体の電位が制御されるので、培養液4a全体をグリセロール変換細菌の培養に利用できる利点がある。
(4)培地及び培養環境
培養液4aは、グリセロール変換細菌の培養に用いられる一般的なもの、例えばNHCl、KHPO、MgCl・6HO、CaCl・2HO及びKCl等の無機塩類を主体とする培地成分を含む培養液等を適宜用いることができる。また、温度、pH及び雰囲気(嫌気)等の培養環境が適宜制御される。
(5)培養
培養液4aに植菌し、電子メディエータを電気化学的に還元させながら(電子メディエータが酸化型から還元型に還元される還元電位に作用電極9の電位を制御しながら)培養を行うことにより、グリセロール変換細菌の生育が促進されると共に、グリセロールの分解が促進されてエタノールの生産が促進される。つまり、グリセロール変換細菌の増殖の促進とグリセロール代謝の促進を図ることができる。逆に、電子メディエータを電気化学的に酸化させながら(電子メディエータが還元型から酸化型に酸化される酸化電位に作用電極9の電位を制御しながら)培養を行うことにより、グリセロール変換細菌の生育が抑制されると共に、グリセロールの分解が抑制されてエタノールの生産が抑制される。
上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
例えば、上述の第一の実施形態では、培養対象微生物を糸状菌とした場合を例に挙げて説明したが、糸状菌以外の真菌を用いてもよい。具体的には、例えば、鞭毛菌類、接合菌類、子嚢菌類、担子菌類及び不完全菌類等を広く培養対象微生物として、その形態変化の制御、あるいは胞子(分生子)形成の促進や抑制を行うようにしてもよい。
また、上述の第一の実施形態において、培養対象微生物を細菌としてもよい。例えば、特開2011−188845号には、電気培養により増殖させることのできるコロニーを発生させることが可能であることが開示されていることから、本発明の電気培養用電子メディエータを利用して、雑多な細菌群を培養対象とし、電気培養により増殖する細菌のみを選択的に単離することが可能である。培養対象微生物を古細菌とした場合にも同様のことが可能であると考えられる。
さらに、上述の第二の実施形態では、培養対象微生物を細菌とした場合を例に挙げて説明したが、真菌を用いてもよい。例えば、培養対象微生物を糸状菌とし、電子メディエータを電気化学的に酸化させながら(電子メディエータが還元型から酸化型に酸化される酸化電位に作用電極9の電位を制御しながら)培養を行うことにより、糸状菌の形態変化が誘導され得る。この際、作用電極9への通電は、糸状菌を植菌して一定期間が経過した後に行うことが好ましい。電子メディエータを電気化学的に酸化させながら(電子メディエータが還元型から酸化型に酸化される酸化電位に作用電極9の電位を制御しながら)培養を行うと、菌糸の成長(伸長)と分生子(胞子)の発芽が抑制されることがある。したがって、培養液4aへの植菌から一定期間が経過するまでは、作用電極9に通電することなく培養を行って、菌糸の成長(伸長)と分生子の発芽を十分なものとした後、電子メディエータを電気化学的に酸化させながら(電子メディエータが還元型から酸化型に酸化される酸化電位に作用電極9の電位を制御しながら)培養を行い、十分に成長(伸長)した菌糸に対して分化を誘導することで、分生子を効率よく形成させ得る。逆に、電子メディエータを電気化学的に還元させながら(電子メディエータが酸化型から還元型に還元される還元電位に作用電極9の電位を制御しながら)糸状菌を培養することで、糸状菌の菌糸の成長と菌糸の分化の双方を抑制することができ、分生子の形成を阻害し得る。尚、培養液4aからの胞子の回収は、例えば、胞子が通過する程度の目の粗いメッシュに培養液4aを通し、濾液側に胞子を回収して、菌糸をメッシュ上にトラップする。さらに、濾液を遠心分離することにより培養液と胞子を分離、回収する。但し、胞子の回収方法は、この方法に限定されるものではない。
また、上述の第二の実施形態において、培養対象微生物をグリセロール変換細菌以外の細菌としてもよい。本件出願人は、これまでに、特開2008−054646号、特開2010−263848号、特開2011−182786号、特開2011−223895号、特開2012−039998号、特開2012−050381号、特開2012−060992号、特開2012−200200号、特開2014−045760号及び特開2014−060976号、及び特開2014−183743号において、培養対象微生物をグリセロール変換細菌以外の細菌(例えば、脱塩素細菌、硫酸還元細菌、大腸菌、亜硝酸還元細菌、亜硝酸酸化細菌、アセトン・ブタノール・エタノール発酵(ABE発酵)を行うクロストリジウム属細菌、加水分解菌、ヘテロ乳酸発酵を行う乳酸菌、 ホモ乳酸発酵を行う乳酸菌、及び水素細菌等)とし、その生育や活性を制御することを各種提案している。このような電気培養技術に本発明の電気培養用電子メディエータを利用できることは言うまでもない。また、培養対象微生物を古細菌としてもよい。本件出願人は、これまでに、特開2011−223895号において、古細菌(水素資化性メタン菌)について、その生育や活性を制御することを提案している。このような電気培養技術に本発明の電気培養用電子メディエータを利用できることも言うまでもない。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に限られるものではない。
[製造例1]
廃菌床由来の水溶性抽出物を以下の手順により製造した。
水100mLに廃菌床の粉砕物を10g、25g又は50g添加して懸濁し、これを120℃で20分間のオートクレーブ処理(圧力:0.2MPa)に供した。オートクレーブ処理後の抽出液のpHは3〜4であった。
次に、オートクレーブ処理後の抽出液を遠心分離処理して上清を回収した後、これに水酸化ナトリウム(NaOH)を添加してpHを6.5に調整したものを、廃菌床由来の水溶性抽出物として、以降の実施例において利用した。
[実施例1]
製造例1にて製造した廃菌床由来の水溶性抽出物の電子メディエータとしての有効性について、培養対象微生物を真菌である糸状菌として検討した。
具体的には、以下の4条件の電子メディエータについて検討した。
(a)チオニン
(b)廃菌床由来の水溶性抽出物(10g/100mL)
(c)廃菌床由来の水溶性抽出物(25g/100mL)
(d)廃菌床由来の水溶性抽出物(50g/100mL)
培養対象微生物は、セルロースをバイオエタノールに変換する際に必要となるセルロースの分解による糖化(グルコース化)のプロセスに利用して極めて有用な、高いセルロース分解能を有する糸状菌であるTrichoderma longibrachiatum KFA-2株とした。この糸状菌は、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターにて、2011年12月7日に受託番号NITE P−1174で受託されている。
培地はPDA培地とした。PDA培地の組成を以下に示す。
[PDA培地組成]
・ポテトエキス 4g/L
・ブドウ糖 20g/L
・寒天 15g/L
・pH 5.6
実験装置を図7に示す。図7には、シャーレ6、ゲル培地2、作用電極9及び対電極10のみを表示しており、その他の構成は図1と同様とした。以降の説明では作用電極9を陽極9と呼び、対電極10は陰極10と呼ぶこととする。
角形シャーレ6(東京硝子器械製、型番:角2号、AW2000)の底面に陽極9及び陰極10としての2枚の炭素板(縦7.5cm、横3.5cmを並べた後、角形シャーレ6にPDA培地2を流し込んで静置して固めた。2枚の炭素板間の極間電位が1.0Vとなるように炭素板に電圧を印加し、陽極9において電子メディエータの酸化が生じる正の電位がかかり、陰極10において電子メディエータの還元が生じる負の電位がかかるようにした。
培地2への電子メディエータの添加量は、(a)チオニンについては143mg/L、(b)〜(d)廃菌床由来の水溶性抽出物は、水分を除去した乾燥重量換算で4.3−7.0g/Lとした。
培養温度は25℃〜28℃とし、光照射は蛍光灯にて強度28μmol・m−2・s−1で実施した。湿度は約50%とした。陽極9と陰極10の間のPDA培地表面に植菌し、5日間培養試験を実施した。
結果を図8に示す。図8において、左側が電子メディエータ添加無し、中央が(a)チオニン、右側が(c)廃菌床由来の水溶性抽出物(25g/100mL)の結果である。電子メディエータとして(a)チオニンを用いた場合と、(c)廃菌床由来の水溶性抽出物(25g/100mL)を用いた場合に、陽極9(図中右側の電極)上のPDA培地表面に到達した菌糸において気中菌糸の顕著な発達が見られると共に分生子の形成が見られた。
次に、分生子数のカウント結果を図9に示す。分生子数のカウントは、陽極9上とそれ以外の部分についてそれぞれ別にスプレッダーで分生子を回収し、顕微鏡(Eclipse E400, Nicon)を用いて分生子数を計測することにより行った。図9に示される結果から、電子メディエータとして(a)チオニンを用いた場合と、(b)〜(d)廃菌床由来の水溶性抽出物を用いた場合のいずれにおいても、電子メディエータを添加しない場合よりも分生子数を高めることができることが明らかとなった。特に、(c)廃菌床由来の水溶性抽出物(25g/100mL)を用いた場合に分生子数の向上効果が顕著であった。
以上の結果から、廃菌床由来の水溶性抽出物を、チオニンと同様、電気培養用の電子メディエータとして使用できることが明らかとなった。
次に、電子メディエータをフミン酸(Wako、088−04622)100mg/Lとし、上記と同様の条件で7日間培養した結果を図10に示す。電子メディエータとしてチオニンを用いた場合と同様に陽極9(図中右側の電極)上のPDA培地表面に到達した菌糸において気中菌糸の顕著な発達が見られると共に分生子の形成が見られ、陰極10(図中左側の電極)上でTrichoderma longibrachiatum KFA-2株の生育抑制が確認された。この結果から、廃菌床に含まれる腐植質であるフミン酸等が電子メディエータとして機能している可能性が推定された。
尚、本発明者等の実験によれば、Trichoderma longibrachiatum. KFA-2株だけでなく、Trichoderma reesei. QM9414やAspergillus orysae NBRC100959、Aspergillus sojae NBRC4239についても、チオニンを電子メディエータとした場合において同様の結果が得られることが確認されている。このことを踏まえれば、Trichoderma reesei. QM9414やAspergillus orysae NBRC100959、Aspergillus sojae NBRC4239についても、廃菌床由来の水溶性抽出物を電子メディエータとした場合に、Trichoderma longibrachiatum. KFA-2株と同様の結果が得られるものと推定される。
[実施例2]
製造例1にて製造した廃菌床由来の水溶性抽出物の電子メディエータとしての有効性について、培養対象微生物を細菌として検討した。
1.実験方法
(1)細菌
パエニバチルス マセランス NS−1株(Paenibacillus macerans NS-1)を使用した。この細菌は、独立行政法人 産業技術研究所 特許生物寄託センターに、2011年5月19日付けで寄託されている(寄託番号FERM P−22124)。以下、この細菌を「NS−1株」と呼ぶ。
(2)培養液
以下に示す組成の無機塩培地を用いた。
<無機塩培地組成(g/L)>
・NHCl :0.5
・KHPO :0.4
・MgCl・6HO :0.49
・CaCl・2HO :0.05
・KCl :0.052
pH7.0
(3)電気培養装置
図10に示す電気培養装置1b’により実験を行った。培養容器21は250mL容のガラスバイアル瓶(Duran製)とし、培養液4aの液面より下部に開口部を3つ設けた。開口部21a及び21bは培養液4aの採取部とし、蓋の開閉により培養液4aを採取可能とした。開口部21cはポーラスな炭素電極(対電極10)で塞ぎ、この板状の炭素電極の片側表面の下半分には20%ナフィオン分散液(DE2021)を塗布し、さらにナフィオン膜(Nafion(登録商標)N−117、デュポン社製)で覆うことでイオン交換膜6を形成し、イオン交換膜6によって開口部21cが塞がれるようにした。作用電極9として板状の炭素電極(長さ75mm、幅35mm、厚さ2mm)を培養液4aに浸した。培養液4aは培養容器21の8分目程度まで入れた。培養容器21には蓋30をし、蓋30の上面30aに弾性材料であるシリコーンゴムを備え、これに参照電極11(東亜DDK製、HS−205C)を貫通させて参照電極11と培養液4aとを接触させた。作用電極9と対電極10と参照電極11とを3電極式の電位制御装置(ポテンシオスタット)12に結線して、培養液4aの電位を厳密に制御可能とした。
(4)電気培養の基本条件
電気培養試験は、培養温度37℃、窒素雰囲気下で実施した。培養液4aは撹拌子(不図示)により撹拌した。
(5)菌数計測
培養液4a中の菌数計測は、細菌の懸濁密度と相関のある660nmの吸光度を吸光度計により測定することにより行った。
(6)成分分析
培養液4aに含まれる有機物の成分分析には、液体クロマトグラフィー(Lachrome Elite、日立製)を用いた。カラムは、Gelpack(登録商標)(GL−C610H−S、7.8φ×300mm)を使用し、0.1%リン酸をバッファーとして用い、RI検出器により信号を得た。計測時のオーブン温度は40℃とし、カラム内の流速は0.5mL/分とした。測定には、フィルターを通過し、NS−1株及び含有固形分を除去した培養液10μLを使用した。
2.培養条件
培養液4aに炭素源としてグリセロール純品を添加してグリセロール濃度を150mMとし、電子メディエータとして廃菌床由来の水溶性抽出物を用い、NS−1株の初期菌体密度1.0×10cells/mL(OD660=0.003)として、以下の2条件で培養試験を実施した。
(a)作用電極9の電位制御なし
(b)作用電極9の電位:−0.6V(vs Ag/AgCl、還元電位)
廃菌床由来の水溶性抽出物は、実施例1の(b)廃菌床由来の水溶性抽出物(10g/100mL)に該当するものを水の代わりに用いて培養液4aを調製することで、培養液4a中に含ませた。
結果を図12〜図14に示す。これらの図に示す結果から、還元電位の印加によって、NS−1株の生育促進効果、グリセロールの分解促進効果、及びエタノールの生産促進効果が奏されることが明らかとなった。この結果から、培養液4aに含まれる廃菌床由来の水溶性抽出物が電子メディエータとして機能することが明らかとなった。
以上の結果から、NS−1株以外の他の細菌についても、本発明の電気培養用メディエータを利用して、電気培養を実施し得るものと推定される。
1 電気培養装置
2、4a 培地(ゲル培地、培養液)

Claims (4)

  1. 廃菌床由来の水溶性抽出物を有効成分とする電気培養用電子メディエータ。
  2. 電子メディエータとして、請求項1に記載の電気培養用電子メディエータが用いられている電気培養用培地。
  3. 培地として、請求項2に記載の電気培養用培地が用いられている電気培養装置。
  4. 培地として、請求項2に記載の電気培養用培地を用いて微生物の電気培養を行うことを特徴とする電気培養方法。
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