[実施形態]
以下、本発明の実施形態に係る無線リレーシステム1を説明する。図1及び図2は無線リレーシステム1の構成例を示した図である。図1は無線リレーにより論理回路を構築するための設定が行われる際の無線リレーシステム1の構成を示している。また、図2は無線リレーに対する設定が完了し、無線リレーにより構築された論理回路が運用される際の無線リレーシステム1の構成を示している。無線リレーシステム1は、無線リレーに対する設定を行う装置である端末装置11と、論理回路を構成する5つの無線リレー、すなわち、無線リレー12−1、無線リレー12−2、無線リレー12−3、無線リレー12−4、無線リレー12−5を備える。以下、これらの5つの無線リレーを特に区別しない場合、単に「無線リレー12」という。なお、無線リレーシステム1が備える無線リレー12の数は5つに限られない。
図2に例示の無線リレーシステム1(運用時)においては、無線リレー12−5の接点(後述)の1つに、制御対象の装置8と、装置8に電力を供給する電源9が接続されている。例えば無線リレーシステム1が鉄道信号保安装置の制御に用いられる場合、無線リレー12−1〜無線リレー12−5により構築される論理回路が鉄道信号保安装置の役割を果たし、装置8は鉄道信号保安装置により制御される信号機、踏切警報機、遮断機等である。ただし、無線リレーシステム1の用途は鉄道信号保安装置の制御に限られない。すなわち、装置8は無線リレー12−5が有するリレーの状態に応じて変化する電力供給の有無により動作が制御される装置である限り、どのような装置であってもよい。
なお、運用時には、無線リレー12−1、無線リレー12−2、無線リレー12−3、無線リレー12−4のコイル端子(後述)に対し、これらの無線リレー12のリレー状態(後述)を切り替える装置がされるが、図2において、それら装置については図示が省略されている。
端末装置11は、例えば無線通信インタフェースを備えるコンピュータが、本実施形態に係るプログラムに従った処理を実行することにより実現される。図3は、端末装置11の機能構成を示した図である。端末装置11は、設定時に無線リレー12の各々から送信される情報を無線で受信する受信部111と、受信部111により受信された情報に基づき無線リレー12に対する設定が正しく行われたか否かを判定する判定部112と、判定部112の結果を表示する表示部113を備える。
端末装置11は、さらに、無線リレー12の各々に対する設定を示す設定情報を記憶する記憶部114と、記憶部114に記憶されている設定情報を無線リレー12の各々に無線で送信する送信部115を備える。記憶部114に記憶され、送信部115により無線リレー12の各々に送信される設定情報には、情報の送信元の無線リレー12(以下、「送信元無線リレー」という)及び情報の送信先の無線リレー12(以下、「送信先無線リレー」という)の識別情報と、それらの無線リレー12との間で行う無線通信に用いる周波数が含まれる。なお、記憶部114に記憶される設定情報については具体例を用いて後述する。
図4は無線リレー12の外観を示した図である。無線リレー12はリレー121と、ジャック板122と、ジャック板122に取り付けられた無線ユニット123を備える。リレー121は既知の電磁リレーであり、ジャック板122は電磁リレー用の既知のジャック板である。
図5はリレー121の構成を模式的に示した図である。リレー121は、電磁コイル1211と、電磁コイル1211による磁力の発生の有無に応じて開放又は閉鎖される1以上の接点群1212を備える。なお、本願において、「開放」とは電気の経路が切断されている状態を意味し、「閉鎖」とは電気の経路が切断されていない状態を意味する。
電磁コイル1211は、電力の供給を受けるための端子xと端子x’を備える。電磁コイル1211は、端子xと端子x’に接続された電源から電力の供給を受けていない間、磁力を発生しない。この状態のリレー121を「落下状態」という。一方、電磁コイル1211は、端子xと端子x’に接続された電源から電力の供給を受けている間、磁力を発生する。この状態のリレー121を「扛上状態」という。図5(a)は落下状態のリレー121を示し、図5(b)は扛上状態のリレー121を示している。
以下の説明において、「リレー状態」とは、リレーが落下状態及び扛上状態のいずれであるかを意味する。また、以下の説明において、「接点状態」とは、接点が開放状態及び閉鎖状態のいずれであるかを意味する。以下、或るリレー121におけるリレー状態と接点状態を合わせて「動作状態」という。
図5の例では、接点群1212には、端子aと端子a’を備える接点Aと、端子bと端子b’を備える接点Bの2つが含まれる。接点Aはリレー121が落下状態において開放状態となり、リレー121が扛上状態において閉鎖状態となる種類の接点(a接点)である。図5の例では、落下状態において端子a’から離れている端子aが、扛上状態において電磁コイル1211により発生される磁力により端子a’側に引き寄せられて端子a’に接触する構成が採用されている。
また、接点Bはリレー121が落下状態において閉鎖状態となり、リレー121が扛上状態において開放状態となる接点(b接点)である。図5の例では、落下状態において端子bに接触している端子b’が、扛上状態において電磁コイル1211により発生される磁力により端子bから引き離される構成が採用されている。
リレー121が備える接点の種類は上述したものに限られず、例えば、2組の端子を備え、リレー状態に応じて一方の端子組を閉鎖状態とすると同時に他方の端子組を開放状態とする接点(c接点)等がリレー121に設けられていてもよい。
また、リレー121が備える接点の数は2つに限られない。例えば、リレー121が複数のa接点、複数のb接点、複数のc接点を備えてもよい。
図6はジャック板122の外観を示した図である。図6(a)はジャック板122を、リレー121にジャック板122が取り付けられる際にリレー121の底面に対向する側から斜めに見た図である。図6(a)において上側に位置する面(以下、「上面」という)には、リレー121の電磁コイル1211の端子x及び端子x’が接続されるソケット群1221と、リレー121の接点群1212に含まれる接点Aの端子a及び端子a’と、接点Bの端子b及び端子b’が接続されるソケット群1222が配置されている。
図6(b)はジャック板122を、上面と対向する側から斜めに見た図である。図6(b)において上側に位置する面(以下、「下面」という)には、ソケット群1221と電気的に接続されているソケット群1223と、ソケット群1222と電気的に接続されているソケット群1224が配置されている。従来、ソケット群1223及びソケット群1224には外部の装置が接続される。ただし、無線リレー12において、ソケット群1223及びソケット群1224には、以下に説明する無線ユニット123が備えるプラグ群が接続される。
図7は無線ユニット123の外観を示した図である。図7(a)は無線ユニット123を、ジャック板122に無線ユニット123が取り付けられる際にジャック板122の下面に対向する側から斜めに見た図である。図7(a)において上側に位置する面(以下、「上面」という)には、ジャック板122のソケット群1223に接続されるプラグ群1231と、ジャック板122のソケット群1224に接続されるプラグ群1232が配置されている。
図7(b)は無線ユニット123を、上面と対向する側から斜めに見た図である。図7(b)において上側に位置する面(以下、「下面」という)には、プラグ群1231と電気的に接続されているソケット群1233と、プラグ群1232と電気的に接続されているソケット群1234が配置されている。ソケット群1233及びソケット群1234には外部の装置が接続される。すなわち、ユーザはジャック板122のソケット群1223及びソケット群1224に代えて、無線ユニット123のソケット群1233及びソケット群1234に外部の装置を接続することにより、無線リレー12を従来のリレーと同様に用いることができる。
また、無線ユニット123の側面には、無線リレー12の故障が検知された場合にその旨をユーザに報知するための発光部1239と警報部1230が配置されている。
無線リレー12は、上述した通常のリレーの機能に加えて、他の無線リレー12との間で無線通信により制御情報の送受信を行うことにより論理回路を構築する機能を備える。
図8は従来のリレーを用いて構築された論理回路の一例を示す図である。図8に例示の論理回路は、5つのリレー、すなわち、リレー72−1、リレー72−2、リレー72−3、リレー72−4、リレー72−5を用いて構築されている。以下、これらのリレーを特に区別しない場合、単に「リレー72」という。リレー72はジャック板122の取り付けられたリレー121と同じ構成を備える。
図9は、図8に示した論理回路において、リレー72−1、リレー72−2、リレー72−3、リレー72−4のリレー状態の組み合わせと、リレー72−5のA接点の接点状態との対応関係を示したテーブルである。なお、図9の第1リレー〜第5リレーは各々、リレー72−1〜リレー72−5に対応する。図9のテーブルを以下、「論理テーブル」という。
図10は、図8に示した論理回路と同じ挙動を示す論理回路を構築する無線リレーシステム1の無線リレー12の間の無線接続の関係を示す図である。すなわち、図10に示す無線接続の確立された無線リレーシステム1の無線リレー12は、以下の処理を行うことにより、図9の論理テーブルが示すリレー状態及び接点状態の組み合わせを実現する論理回路として動作する。
無線リレー12−1は、自己の接点状態を示す制御情報を無線リレー12−2に送信する。
無線リレー12−2は、無線リレー12−1、及び、自己の接点状態を示す制御情報を無線リレー12−3に送信する。
無線リレー12−3は、無線リレー12−1、無線リレー12−2、及び、自己の接点状態を示す制御情報を無線リレー12−5に送信する。
無線リレー12−4は、自己の接点状態を示す制御情報を無線リレー12−5に送信する。
無線リレー12−5は自己のリレー状態を、論理テーブル(図9)が示す、無線リレー12−1、無線リレー12−2、無線リレー12−3、及び、無線リレー12−4の接点状態の組み合わせに応じたリレー状態に切り替える。
以下に、上記のような処理を行う無線リレー12の構成を説明する。図11は無線リレー12の構成を示した図である。既述のとおり、無線リレー12はリレー121と、リレー121に取り付けられたジャック板122と、ジャック板122に取り付けられた無線ユニット123を備える。
また、無線ユニット123は、既述のとおり、ジャック板122のソケット群1223に接続されるプラグ群1231と、プラグ群1231と電気的に接続されたソケット群1233を備える。また、無線ユニット123は、ジャック板122のソケット群1224に接続されるプラグ群1232と、プラグ群1232と電気的に接続されたソケット群1234を備える。ソケット群1233とソケット群1234には外部の装置が接続される。
また、無線ユニット123は、無線リレー12(自己を含む無線リレー12又は送信相手の無線リレー12)の故障が検知された場合に発光する発光部1239と、無線リレー12(自己を含む無線リレー12又は送信相手の無線リレー12)の故障が検知された場合に音で警報する警報部1230を備える。
上記の構成に加え、無線ユニット123は、電源1235、コントロールユニット1236、無線通信ユニット1237、及び、電源1238を備える。
電源1235は、プラグ群1232のうち、ジャック板122を介してリレー121の接点Aが有する端子aに接続されるプラグと、ジャック板122を介してリレー121の接点Bが有する端子bに接続されるプラグに対し所定値の電圧を印加する。
コントロールユニット1236は、信号の入出力を行うインタフェース601と、各種データを記憶するメモリ602と、各種データ処理を行うプロセッサ603を備える。
インタフェース601は、プラグ群1232のうち、ジャック板122を介してリレー121の接点Aが有する端子a’に接続されるプラグからの信号(所定値の電圧)の入力と、ジャック板122を介してリレー121の接点Bが有する端子b’に接続されるプラグからの信号(所定値の電圧)の入力を受け付ける。これらの信号の有無は、接点A及び接点Bの接点状態を示す。また、インタフェース601は、プラグ群1231に含まれるいずれかのプラグからの信号(所定値の電圧)の入力を受け付ける。この信号の有無は、リレー121のリレー状態を示す。また、インタフェース601は無線通信ユニット1237、電源1238、発光部1239及び警報部1230との間の信号の入出力も行う。
メモリ602は、無線ユニット123の工場出荷時に記憶されている無線ユニットID、プロセッサ603により実行されるプログラムを示すデータに加え、端末装置11から無線通信ユニット1237が受信した設定情報(後述)を記憶する。プロセッサ603は、メモリ602に記憶されている設定情報に従い各種データ処理を行う。
プロセッサ603が設定情報に従い行う各種データ処理には、少なくとも以下の1以上が含まれる。
(1)プラグ群1232を介してインタフェース601に入力される信号に基づき接点A及び接点Bの各々の接点状態を検知する処理。
(2)プラグ群1231を介してインタフェース601に入力される信号に基づき電磁コイル1211に対する電力の供給状態、すなわち、リレー121のリレー状態を検知する処理。
(3)検知した接点状態等を示す制御情報を無線通信ユニット1237に送信させる処理。
(4)検知した接点状態と無線通信ユニット1237が他の無線リレー12から受信した制御情報が示す他の無線リレー12の接点状態とに応じた論理演算を行う処理。
(5)論理演算の結果に応じて電源1238による電力供給の開始及び停止を行う処理。
無線通信ユニット1237は、設定時に、コントロールユニット1236の制御下で、端末装置11及び他の無線リレー12との間で無線により設定情報等の送受信を行う。また、無線通信ユニット1237は、運用時に、コントロールユニット1236の制御下で、他の無線リレー12との間で無線により制御情報等の送受信を行う。
電源1238は、リレー121の電磁コイル1211に電力を供給する。電源1238による電力供給の開始及び停止は、コントロールユニット1236により制御される。
図12は無線ユニット123の機能構成を示した図である。例えば、コントロールユニット1236のプロセッサ603がメモリ602に記憶されたプログラムを実行することにより、無線ユニット123は図12に示す構成を備える装置として機能する。
記憶部300は各種データを記憶する。記憶部300が記憶するデータには、無線ユニット123の工場出荷時において記憶されている無線ユニットID、端末装置11から受信した設定情報(後述)が含まれる。記憶部300は主としてメモリ602により実現される。
検知部301はリレー121が備える接点A及び接点Bの接点状態と、リレー121のリレー状態を検知する。検知部301は主として電源1235、プラグ群1232、プラグ群1231、及び、コントロールユニット1236により実現される。
受信部302は他の無線リレー12及び端末装置11から無線で制御情報を受信する。また、送信部303は他の無線リレー12及び端末装置11に無線で制御情報を送信する。受信部302及び送信部303は主として無線通信ユニット1237、及び、コントロールユニット1236により実現される。
演算部304は、検知部301により検知された接点状態に応じた値と、受信部302により受信された制御情報に応じた値とを用いた論理演算を行う。演算部304は主としてコントロールユニット1236により実現される。
切替部305は、演算部304による論理演算の結果に応じてリレー121のリレー状態を切り替える。切替部305は主としてコントロールユニット1236、電源1238、プラグ群1231、及び、電磁コイル1211により実現される。
判定部306は、検知部301により検知された接点状態及びリレー状態の整合性の有無や、受信部302により受信された情報の誤りの有無等に基づき、無線リレー12(自己を含む無線リレー12及び通信相手の無線リレー12)の故障の有無を判定する。判定部306は主としてコントロールユニット1236により実現される。
報知部307は、判定部306により無線リレー12に故障が有ると判定された場合、その旨を光及び音でユーザに報知する。報知部307は主として発光部1239及び警報部1230により実現される。
続いて、図8に例示の論理回路と同じ挙動を示す論理回路が構築される場合の無線リレーシステム1の動作を説明する。
ユーザは、構築したい論理回路の設計情報に基づき、必要な無線リレー12の数と、それらの無線リレー12の各々の処理の内容を示す設定情報を特定する。
続いて、ユーザは必要な数の無線リレー12を準備した後、それらの無線リレー12の無線ユニット123の識別情報(以下、「無線ユニットID」という)を特定する。無線ユニットIDは、例えば無線ユニット123のメモリ602に工場出荷時に記憶されるとともに、ラベルに印字されて無線ユニット123に貼り付けられている。ユーザは、例えば無線ユニット123に貼られているラベルの記載から無線ユニットIDを特定する。
続いて、ユーザは、上記のように特定した無線ユニットIDの各々に対応付けて、無線リレー12の各々に応じた設定情報を端末装置11に入力する。図13は、ユーザにより端末装置11に入力された設定情報を格納したテーブルを例示した図である。以下、図13に示すテーブルを「設定テーブル」という。
設定テーブルは論理回路の構築に用いられる複数の無線リレー12の各々に応じた設定情報を各行に格納している。設定テーブルの各行に格納される設定情報は、データ項目として[無線ユニットID]、[リレー番号]、[送信元(チャンネル番号)]、[送信先(チャンネル番号)]、[故障通知先(チャンネル番号)]、[処理]を有する。
[無線ユニットID]には、無線リレー12に取り付けられている無線ユニット123の無線ユニットIDが格納される。[リレー番号]には、1つの論理回路の構築に用いられる複数の無線リレー12において個々の無線リレー12を識別するための番号であるリレー番号が格納される。リレー番号はユーザにより決定される。
なお、無線ユニットIDもまた無線リレー12を識別する役割を果たすため、リレー番号の代わりに無線ユニットIDが用いられてもよい。ただし、無線ユニットIDは同種の全製品において個々の無線ユニット123を識別するために用いられるため桁数が多く、ユーザが設定情報を入力、確認する際に不便である。そのため、本実施形態においては、例として、ユーザが自由に決定できるリレー番号が用いられるものとして以下の説明を行う。
以下の説明において、リレー番号「1」が無線リレー12−1に割り当てられたものとする。同様に、リレー番号「2」〜「5」が、無線リレー12−2〜無線リレー12−5の各々に割り当てられたものとする。
[送信元(Ch)]には、設定情報の設定先の無線リレー12が制御情報を受信する相手の無線リレー12のリレー番号と、その相手の無線リレー12との無線通信に用いる周波数を示すチャンネル番号が格納される。
[送信先(Ch)]には、設定情報の設定先の無線リレー12が制御情報を送信する相手の無線リレー12のリレー番号と、その相手の無線リレー12との無線通信に用いる周波数を示すチャンネル番号が格納される。
[故障通知先(Ch)]には、設定情報の設定先の無線リレー12が自己又は他の無線リレー12の故障を検知した場合に通知を送信する相手の無線リレー12のリレー番号と、その相手の無線リレー12との無線通信に用いる周波数を示すチャンネル番号が格納される。
[処理]には、設定情報の設定先の無線リレー12が行う処理の内容を示すデータが格納される。[処理]に格納されているデータにおいて、「R#(A)」(ただし、「#」は自然数)はリレー番号が「#」の無線リレー12の接点Aの接点状態に応じた値を示し、「R#(B)」はリレー番号が「#」の無線リレー12の接点Bの接点状態に応じた値を示す。接点状態に応じた値とは、開放状態を示す「0」又は閉鎖状態を示す「1」である。
図13に例示の設定テーブルの第1行の設定情報は以下を示している。
無線ユニットID「13525」で識別される無線ユニット123を含む無線リレー12(無線リレー12−1)にリレー番号「1」を割り当てる。
無線リレー12−1は、いずれの無線リレー12からも制御信号を受信しない。
無線リレー12−1は、所定時間の経過毎に、自己の接点Bの接点状態を示す接点情報R1(B)を含む制御情報を生成し、生成した制御情報をチャンネル番号「13」で特定される周波数を用いて、リレー番号「2」を割り当てられた無線リレー12(無線リレー12−2)に送信する。
無線リレー12−1は、自己又は他の無線リレー12の故障を検知した場合、チャンネル番号「99」で特定される周波数を用いてリレー番号「5」を割り当てられた無線リレー12(無線リレー12−5)に故障の通知を送信する。
図13に例示の設定テーブルの第2行の設定情報は以下を示している。
無線ユニットID「16319」で識別される無線ユニット123を含む無線リレー12(無線リレー12−2)にリレー番号「2」を割り当てる。
無線リレー12−2は、概ね所定時間の経過毎に、チャンネル番号「13」で特定される周波数を用いて無線リレー12−1から制御情報を受信する。
無線リレー12−2は、無線リレー12−1から制御情報を受信すると、受信した制御情報(接点情報R1(B)を含む)に対し、自己の接点Aの接点状態を示す接点情報R2(A)を追加した新たな制御情報を生成し、生成した制御情報をチャンネル番号「34」で特定される周波数を用いてリレー番号「3」を割り当てられた無線リレー12(無線リレー12−3)に送信する。
無線リレー12−2は、自己又は他の無線リレー12の故障を検知した場合、チャンネル番号「99」で特定される周波数を用いて無線リレー12−5に故障の通知を送信する。
図13に例示の設定テーブルの第3行の設定情報は以下を示している。
無線ユニットID「03725」で識別される無線ユニット123を含む無線リレー12にリレー番号「3」を割り当てる。
リレー番号「3」を割り当てられた無線リレー12(無線リレー12−3)は、概ね所定時間の経過毎に、チャンネル番号「34」で特定される周波数を用いて無線リレー12−2から制御情報を受信する。
無線リレー12−3は、無線リレー12−2から制御情報を受信すると、受信した制御情報(接点情報R1(B)及び接点情報R2(A)を含む)に対し、自己の接点Bの接点状態を示す接点情報R3(B)を追加した新たな制御情報を生成し、生成した制御情報をチャンネル番号「28」で特定される周波数を用いて無線リレー12−5に送信する。
無線リレー12−3は、自己又は他の無線リレー12の故障を検知した場合、チャンネル番号「99」で特定される周波数を用いて無線リレー12−5に故障の通知を送信する。
図13に例示の設定テーブルの第4行の設定情報は以下を示している。
無線ユニットID「55608」で識別される無線ユニット123を含む無線リレー12にリレー番号「4」を割り当てる。
リレー番号「4」を割り当てられた無線リレー12(無線リレー12−4)は、いずれの無線リレー12からも制御信号を受信しない。
無線リレー12−4は、所定時間の経過毎に、自己の接点Aの接点状態を示す接点情報R4(A)を含む制御情報を生成し、生成した制御情報をチャンネル番号「47」で特定される周波数を用いて無線リレー12−5に送信する。
無線リレー12−4は、自己又は他の無線リレー12の故障を検知した場合、チャンネル番号「99」で特定される周波数を用いて無線リレー12−5に故障の通知を送信する。
図13に例示の設定テーブルの第5行の設定情報は以下を示している。
無線ユニットID「94998」で識別される無線ユニット123を含む無線リレー12にリレー番号「5」を割り当てる。
リレー番号「5」を割り当てられた無線リレー12(無線リレー12−5)は、概ね所定時間の経過毎に、チャンネル番号「28」で特定される周波数を用いて無線リレー12−3から制御情報を受信する。
無線リレー12−5は、概ね所定時間の経過毎に、チャンネル番号「47」で特定される周波数を用いて無線リレー12−4から制御情報を受信する。
無線リレー12−5は、無線リレー12−3と無線リレー12−4の各々から制御情報を受信すると、受信した制御情報に応じた値を用いて、以下の論理演算を行う。
S5=R1(B) and R2(A) and (R3(B) or R4(A))
無線リレー12−5は、上記の論理演算S5の結果が「0」の場合、自己のリレー状態を落下状態とする。
無線リレー12−5は、上記の論理演算S5の結果が「1」の場合、自己のリレー状態を扛上状態とする。
無線リレー12−5は、チャンネル番号「99」で特定される周波数を用いて他の無線リレー12から故障の通知を受信した場合、もしくは、自己の故障を検知した場合、自己のリレー状態を落下状態とする。
無線リレー12−5は、設定時において、上述したS5に従い必要に応じてリレー状態を変更した後に、自己の接点Aの接点状態を示す接点情報R5(A)を端末装置11に報告する。
ユーザは、上記の設定情報の入力に加え、端末装置11に対し論理テーブル(図9)を入力する。ユーザは、設定テーブル(図13)と論理テーブル(図9)の入力を完了すると、無線リレー12の各々を起動する。
無線リレー12の各々は、起動すると、まず、自己診断処理を行う。無線リレー12が起動時に行う自己診断処理には、例えば電源1238から電磁コイル1211への電力の供給を開始及び停止し、自己の接点A及び接点Bの接点状態が正しく変化するかを確認する処理等が含まれる。
無線リレー12は、自己診断処理で自己の故障を検知した場合、光及び音でユーザに故障を報知する。ユーザは、故障を報知する無線リレー12があれば、その無線リレー12を故障のない無線リレー12と交換する。
無線リレー12の各々は、起動の後、自己診断処理において故障を検知しなかった場合、続いて、所定のチャンネル番号(例えば、チャンネル番号「00」)で特定される周波数を用いて、自己の無線ユニットIDを含む接続要求を送信する。端末装置11は無線リレー12の各々から送信されてくる接続要求に含まれる無線ユニットIDが設定テーブルに含まれていれば、その接続要求の送信元の無線リレー12との間で無線通信接続を確立する。
続いて、ユーザが端末装置11に対し、設定テーブルに従った設定の実行を指示する操作を行うと、端末装置11と無線リレー12の各々は図14に示すシーケンスに従う設定モードの処理を実行する。
設定モードにおいて、まず、端末装置11はカウンタiに初期値「1」を設定する(ステップS101)。続いて、端末装置11は設定テーブルの第i行から設定情報を読み出し、読み出した設定情報に含まれる無線ユニットIDにより識別される無線リレー12に対し、設定情報を送信する(ステップS102)。無線リレー12は、端末装置11から受信した設定情報をメモリ602に記憶する(ステップS103)。
続いて、無線リレー12はステップS103において記憶した設定情報をメモリ602から読み出し、読み出した設定情報を端末装置11に送信する(ステップS104)。ステップS104の後、無線リレー12は設定モードにおける処理を終了する。
端末装置11はステップS102における設定情報の送信に対する応答として、所定時間の経過前に無線リレー12から設定情報の返信があったか否かを判定する(ステップS105)。返信がなかった場合(ステップS105;「No」)、端末装置11はステップS102における設定情報の送信先の無線リレー12との間で通信エラーが発生していると判定し、通信相手の無線リレー12の無線ユニットIDとともに通信エラーが発生した旨のメッセージを表示する(ステップS107)。
端末装置11は、ステップS105の判定において、返信があったと判定した場合(ステップS105;「Yes」)、返信されてきた設定情報が、ステップS102において送信した設定情報と一致するか否かを判定する(ステップS106)。設定情報が一致しない場合(ステップS106;「No」)、端末装置11はステップS102における設定情報の送信先の無線リレー12との間で通信エラーが発生していると判定し、通信相手の無線リレー12の無線ユニットIDとともに通信エラーが発生した旨のメッセージを表示する(ステップS107)。
ステップS106の判定において、設定情報が一致した場合(ステップS106;「Yes」)、端末装置11はカウンタiが設定テーブルに格納される設定情報の総数(すなわち、設定テーブルの行の総数)と一致するか否かを判定する(ステップS108)。カウンタiが設定情報の総数と一致しない場合(ステップS108;「No」)、すなわち、設定テーブルに未設定の設定情報がまだある場合、端末装置11はカウンタiを1だけ増加させ(ステップS109)、処理をステップS102に戻す。
ステップS108の判定において、カウンタiが設定情報の総数と一致した場合(ステップS108;「Yes」)、端末装置11は設定モードの処理を終了する。
上記の設定モードにおける処理を終了すると、端末装置11と無線リレー12の各々は図15に示すシーケンスに従うテストモードの処理を実行する。テストモードにおいて、まず、端末装置はカウンタjに初期値「1」を設定する(ステップS201)。
続いて、端末装置11は論理テーブル(図9)の第j行に示される第1〜第4のリレーに応じたリレー状態への切替指示を、無線リレー12−1〜無線リレー12−4の各々へ送信する(ステップS202)。これらの無線リレー12は端末装置11から受信した切替指示に従い、必要に応じて電源1235による電磁コイル1211への電力の供給を開始又は停止し、自己のリレー状態を切り替える(ステップS203)。
続いて、無線リレー12は、メモリ602に記憶している設定情報に従う処理を行う(ステップS204)。続いて、無線リレー12は、ステップS204の処理において、通信相手の無線リレー12との間で通信エラーがあったか否かを判定する(ステップS205)。
例えば以下のような場合、無線リレー12は送信元の無線リレー12に起因する通信エラーがあったと判定する。
送信元の無線リレー12から所定時間の経過前に制御情報を受信できない場合(制御情報の送信状態に基づき送信元無線リレーの故障の有無を検知する例)。
送信元の無線リレー12から受信した制御情報に関し、例えばCRC等の誤り検出符号を用いた検査を行い、誤りを検出した場合(制御情報の内容に基づき送信元無線リレーの故障の有無を検知する例)。
送信元の無線リレー12から受信した制御情報のフォーマットと、設定情報が示す受信すべき制御情報のフォーマットの比較を行い、それらの不一致を検出した場合(制御情報の内容に基づき送信元無線リレーの故障の有無を検知する例)。
また、例えば以下のような場合、無線リレー12は送信先の無線リレー12に起因する通信エラーがあったと判定する。
送信先の無線リレー12に制御情報を送信した後、所定時間の経過前に、送信先の無線リレー12から受信確認の通知を受信できない場合。
送信先の無線リレー12から送信されてくる受信確認に含まれる制御情報(送信した制御情報のエコーバック)と送信した制御情報の比較を行い、それらの不一致を検出した場合。
なお、ステップS205において、無線リレー12は上述したような通信エラーの検知の回数が所定回数に達した場合に、通信相手の無線リレー12との間で通信エラーがあったと判定してもよい。
無線リレー12は、通信エラーがあったと判定した場合(ステップS205;「Yes」)、光及び音でユーザに通信エラーを報知する(ステップS206)。なお、発光部1239及び警報部1230は、自己診断処理における故障の報知における場合と、ステップS206における通信エラーの報知における場合で、異なる態様で光又は音による警報を行う。また、ステップS206において、通信エラーが制御情報の送信元との間で生じている場合と、制御情報の送信先との間で生じている場合とで、異なる態様で光又は音による警報を行う。
無線リレー12は、ステップS205の判定において通信エラーがないと判定した場合(ステップS205;「No」)、テストモードの処理を終了する。
無線リレー12−5は、ステップS204において、設定に従い、論理演算の結果に応じて必要であれば自己のリレー状態を変更した後、自己の接点Aの接点状態を示す接点情報R5(A)を端末装置11に報告する。
端末装置11は、ステップS202における切替指示を送信した後、所定時間の経過前に、無線リレー12−5から接点情報の報告を受信したか否かを判定する(ステップS207)。報告を受信しなかった場合(ステップS207;「No」)、端末装置11は無線リレー12−5との間で通信エラーが発生していると判定し、無線リレー12−5の無線ユニットIDとともに通信エラーが発生した旨のメッセージを表示する(ステップS208)。
端末装置11は、ステップS207の判定において、報告を受信したと判定した場合(ステップS207;「Yes」)、受信した報告が示す接点状態が、論理テーブル(図9)の第j行に示される第5リレーに応じた接点状態と一致するか否かを判定する(ステップS209)。接点状態が一致しなかった場合(ステップS209;「No」)、端末装置11は設定テーブル(図13)及び論理テーブル(図9)の少なくとも一方に誤りがあると判定し、入力情報に誤りがある旨のメッセージを表示する(ステップS210)。
ステップS209の判定において、接点状態が一致した場合(ステップS209;「Yes」)、端末装置11はカウンタjが論理テーブルの行の総数と一致するか否かを判定する(ステップS211)。カウンタjが論理テーブルの行の総数と一致しない場合(ステップS211;「No」)、すなわち、論理テーブルに未処理の行がある場合、端末装置11はカウンタjを1だけ増加させ(ステップS212)、処理をステップS202に戻す。
ステップS211の判定において、カウンタjが論理テーブルの行の総数と一致した場合(ステップS211;「Yes」)、端末装置11は設定テーブルに従った無線リレー12に対する設定処理が正常に完了した旨のメッセージを表示する(ステップS213)。これにより、端末装置11はテストモードの処理を終了する。
設定モード又はテストモードにおいて、いずれかの無線リレー12における通信エラーが検知された旨のメッセージが端末装置11に表示された場合(ステップS107、ステップS208)、ユーザは通信エラーが検知された無線リレー12の無線ユニット123を交換した後、端末装置11に対し再び、設定テーブルに従った設定の実行を指示する操作を行う。この操作に応じて、図14及び図15のシーケンスに従った処理が再実行される。
また、テストモードにおいて、いずれかの無線リレー12により通信エラーの報知が行われた場合(ステップS206)、ユーザは通信エラーを報知している無線リレー12及びその通信相手の無線リレー12の一方又は両方の無線ユニット123を交換する。また、端末装置11によって、入力情報に誤りがある旨のメッセージが表示された場合(ステップS210)、ユーザは設定テーブル(図13)及び論理テーブル(図9)の内容を確認し、誤りを訂正する。その後、ユーザは端末装置11に対し再び、設定テーブルに従った設定の実行を指示する操作を行う。この操作に応じて、図14及び図15のシーケンスに従った処理が再実行される。
端末装置11によって、設定処理(設定モード及びテストモードの処理)が正常に行われた旨のメッセージが表示された場合(ステップS213)、ユーザは、無線リレー12−1〜無線リレー12−4のソケット群1233に、それらの無線リレー12に対しリレー状態を切り替えるための信号を出力する装置を接続する。また、ユーザは、無線リレー12−5のソケット群1234に、制御対象の装置8と電源9を接続する。これにより、無線リレーシステム1により構築された論理回路の運用が可能な状態となる(図2)。
運用中、無線リレー12の各々は図16に示すシーケンスに従う処理を実行する。無線リレー12は、設定情報に従う処理に先んじて、自己診断処理を行う(ステップS301)。ステップS301における自己診断処理には、メモリの読み書きが正常に行われるかを確認する処理、プロセッサの演算が正常に行われるかを確認する処理等の一般的な処理に加えて、リレー状態と接点A及び接点Bの接点状態が整合しているかを確認する処理が含まれる。
無線リレー12は、自己診断処理で自己の故障を検知した場合(ステップS302;「Yes」)、光及び音でユーザに故障を報知する(ステップS303)。また、無線リレー12−1〜無線リレー12−4は、自己の故障を検知した場合(ステップS302;「Yes」)、設定情報に従い、無線リレー12−5に故障の発生を通知する(ステップS303)。ステップS303において故障を報知する場合、無線リレー12はその後、他の処理は行わない。
無線リレー12−5は、無線リレー12−1〜無線リレー12−4のいずれかから故障の発生の通知を受信した場合、又は、自己診断処理(ステップS301)において自己の故障を検知した場合、設定情報に従い、自己のリレー状態を落下状態に変更する(図16において図示略)。
無線リレー12は、自己診断処理で自己の故障を検知しなかった場合(ステップS302;「No」)、無線リレー12は、メモリ602に記憶している設定情報に従う処理を行う(ステップS304)。
続いて、無線リレー12は、ステップS304で行った処理において、通信相手の無線リレー12との間で通信エラーがあったか否かを判定する(ステップS305)。無線リレー12は、通信エラーがあったと判定した場合(ステップS305;「Yes」)、光及び音によりユーザに通信エラーを報知する(ステップS306)。ステップS306において通信エラーを報知する場合、無線リレー12はその後、他の処理は行わない。無線リレー12は、ステップS305において通信エラーがなかったと判定した場合(ステップS305;「No」)、処理をステップS301に戻し、ステップS301〜S306の処理を繰り返す。
いずれかの無線リレー12により故障の報知が行われた場合(ステップS303)、ユーザは故障を報知している無線リレー12(リレー121及び無線ユニット123の一方又は両方)を交換する。また、いずれかの無線リレー12により通信エラーの報知が行われた場合(ステップS306)、ユーザは通信エラーを報知している無線リレー12及びその通信相手の無線リレー12の一方又は両方の無線ユニット123を交換する。
無線リレー12がステップS304において行う設定情報に従う処理の具体例を、図17(無線リレーシステム1の処理のシーケンス図)を用いて以下に説明する。すなわち、無線リレー12の各々が図16のステップS304において、自己の記憶部300に記憶している設定情報に従う処理を行うことにより、無線リレーシステム1において、図17に示す一連の処理が行われる。まず、無線リレー12−1は、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS401)。所定時間が経過したと判定した場合(ステップS401;「Yes」)、無線リレー12−1は自己の接点Bの接点状態を検知する(ステップS402)。続いて、無線リレー12−1は、検知した接点Bの接点状態を示す接点情報R1(B)を含む制御情報を無線リレー12−2に送信する(ステップS403)。
無線リレー12−2は、無線リレー12−1から制御情報を受信すると、自己の接点Aの接点状態を検知する(ステップS404)。続いて、無線リレー12−2は、無線リレー12−1から受信した制御情報に含まれる接点情報R1(B)と、検知した自己の接点Aの接点状態を示す接点情報R2(A)とを含む制御情報を無線リレー12−3に送信する(ステップS405)。
無線リレー12−3は、無線リレー12−2から制御情報を受信すると、自己の接点Bの接点状態を検知する(ステップS406)。続いて、無線リレー12−3は、無線リレー12−2から受信した制御情報に含まれる接点情報R1(B)及びR2(A)と、検知した自己の接点Bの接点状態を示す接点情報R3(B)とを含む制御情報を無線リレー12−5に送信する(ステップS407)。
上述した無線リレー12−1〜12−3の処理と並行して、無線リレー12−4は、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS408)。所定時間が経過したと判定した場合(ステップS408;「Yes」)、無線リレー12−4は自己の接点Aの接点状態を検知する(ステップS409)。続いて、無線リレー12−4は、検知した接点Aの接点状態を示す接点情報R4(A)を含む制御情報を無線リレー12−5に送信する(ステップS410)。
無線リレー12−5は、無線リレー12−3及び無線リレー12−4の各々から制御情報を受信すると(ステップS407、S410)、論理演算S5の値が「0」であるか否かを判定する(ステップS411)。論理演算S5の値が「0」である場合(ステップS411;「Yes」)、無線リレー12−5は、自己のリレー状態を落下状態にする(ステップS412)。すなわち、無線リレー12−5は、自己のリレー状態が落下状態であればその状態を維持し、扛上状態であれば落下状態に変更する。なお、無線リレー12−5が落下状態の場合、無線リレー12−5の接点Aに接続されている装置8には電源9から電力が供給されず、接点Bに接続されている装置8には電源9から電力が供給される。
ステップS411の判定において、論理演算S5の値が「0」でない場合(ステップS411;「No」)、無線リレー12−5は、自己のリレー状態を扛上状態にする(ステップS413)。すなわち、無線リレー12−5は、自己のリレー状態が落下状態であれば扛上状態に変更し、扛上状態であればその状態を維持する。なお、無線リレー12−5が扛上状態の場合、無線リレー12−5の接点Aに接続されている装置8には電源9から電力が供給され、接点Bに接続されている装置8には電源9から電力が供給されない。
上述した無線リレーシステム1によれば、リレー間を有線接続することなく論理回路が構築される。その結果、リレー間の接続の手間の削減、ヒューマンエラーのリスクの低減、及び、リレーを用いた論理回路の構築に要するスペースの削減が実現される。
[変形例]
上述した実施形態は様々に変形されてよい。以下に上述した実施形態の変形例を示す。また、以下の変形例は各々組み合わされてもよい。
(1)図13に例示した設定テーブルに格納される設定情報に従う場合、送信元の無線リレー12と送信先の無線リレー12が設定されている無線リレー12(以下、「制御情報を中継する無線リレー12」という)は、送信元の無線リレー12から受信した制御情報に、自己のリレーの接点状態を示す接点情報を付加した新たな制御情報を送信先の無線リレー12に送信する。
制御情報を中継する無線リレー12の動作は上記に限られない。例えば、図18に示す設定テーブルに格納される設定情報に従い、制御情報を中継する無線リレー12が、送信元の無線リレー12から受信した制御情報に応じた値と、自己のリレーの接点情報に応じた値とを用いて論理演算を行い、論理演算の結果を示す制御情報を送信先の無線リレー12に送信してもよい。
図18に示す設定テーブルに従う場合、例えば、無線リレー12−2は、無線リレー12−1から受信した制御情報に含まれる接点情報R1(B)と、自己のリレー121の接点Aの接点状態を示す接点情報R2(A)とを用いて、以下の論理演算を行う。
S2=R1(B) and R2(A)
無線リレー12−2は、上記の論理演算の結果S2を示す制御情報を無線リレー12−3に送信する。
無線リレー12−3及び無線リレー12−4も、無線リレー12−2と同様に、他の無線リレー12から受信した制御情報に応じた値と、自己のリレー121の接点情報に応じた値とを用いて指定された論理演算を行い、論理演算の結果に応じた値を示す制御情報を他の無線リレー12に送信する。
また、無線リレーシステム1が、図19に例示するような設定テーブルに従い動作してもよい。図19に例示の設定テーブルに従う場合、無線リレー12−1〜無線リレー12−4は、自己のリレー121の接点情報を示す制御情報を無線リレー12−5に送信する。
無線リレーシステム1は、図18又は図19に示す設定テーブルに従う場合も、図13に示す設定テーブルに従う場合と同じ挙動を示す。
(2)無線リレー12が備えるリレー121の種類は電磁リレーに限られず、半導体リレー等の他の種類のリレーであってもよい。
(3)上述した実施形態に示した無線ユニット123はジャック板122に対しユーザが容易に着脱できる。これに代えて、ジャック板122と無線ユニット123が一体の装置として構成されてもよい。また、リレー121、ジャック板122、及び、無線ユニット123が一体の装置として構成されてもよい。
(4)上述した実施形態においては、無線ユニット123のコントロールユニット1236は汎用的なデータ処理を行うプロセッサ603を備え、メモリ602に記憶されているプログラムをプロセッサ603が実行する。コントロールユニット1236が、プロセッサ603に代えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の個別設計された集積回路を備えてもよい。
(5)上述した実施形態において、無線リレー12に対する設定情報の送信等を行う装置はユーザが操作する端末装置であるものとしたが、端末装置11に代えて、端末装置以外の装置(サーバ装置等)が用いられてもよい。例えば、設定テーブル(図13)及び論理テーブル(図9)がサーバ装置に記憶され、サーバ装置と無線リレー12との間で図14に例示のシーケンスに従った処理が行われてもよい。
(6)上述した実施形態において、端末装置11又は端末装置11以外の装置が、運用時において無線リレー12の故障等をユーザに報知するための装置として用いられてもよい。この場合、故障等を検知した無線リレー12は、ユーザに対し報知を行う装置に対し無線により故障等の通知を行う。故障等の通知を受けた装置は、例えば、通知の内容を示すメッセージを表示する、又は、当該メッセージを電子メール等により指定のアドレスに宛てて送信する、等の構成が採用されてもよい。
(7)上述した実施形態において、設定モード時に、端末装置11と無線リレー12は無線通信によりデータの送受信を行うものとしたが、端末装置11と無線リレー12が有線通信によりデータの送受信を行う構成が採用されてもよい。すなわち、端末装置11が、無線ユニット123のインタフェース601に通信ケーブルにより接続されてもよい。この場合、無線リレー12は、他の無線リレー12と無線通信を行うための無線通信ユニット1237に加え、端末装置11と有線通信を行うための有線通信ユニットを備える必要がある。