JP6977817B1 - 自動車のパネル部品の振動騒音低減解析装置及び解析方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、意匠性が重要視される自動車においては、ルーフパネルのような外板パネル部品にビードを直接付与することは困難であり、また、隣接する内板パネル部品に干渉するため問題であった。その結果、自動車の振動伝達経路にある(b)骨格部品101に対策を施すことが求められていた。
例えば、特許文献1には、車体前後方向に所定の間隔で複数設けたルーフボウの上にルーフパネルが接合される車体のルーフ構造において、ある一つのルーフボウと該ルーフボウに隣接する少なくとも1つのルーフボウの車体幅方向における中央部の幅を、他のルーフボウの幅よりも幅広に形成することで、エンジン振動等によって車体骨格に共振が生じた場合でもルーフパネルの振動を抑制する技術が開示されている。
そのため、部品形状を大きく変えずに車体を軽量化しつつ、パネル部品の振動騒音を効率的に低減できる技術が望まれていた。
前記自動車の車体を構成する骨格部品とパネル部品のそれぞれをメッシュでモデル化した骨格部品モデルとパネル部品モデルを備えてなり、前記起振源からの振動を入力する加振部が設定された車体モデルを取得する車体モデル取得部と、
該車体モデルに、前記骨格部品モデル及び前記パネル部品モデルに基づいて区分した複数の区分領域を設定する区分領域設定部と、
操作者からの指示により、前記パネル部品モデルのうち、振動騒音の低減対象とするパネル部品モデルを振動騒音低減対象パネル部品モデルとして前記車体モデルに設定する振動騒音低減対象パネル部品モデル設定部と、
前記車体モデルを用いて振動解析を行い、振動騒音低減対象パネル部品モデルの振動挙動と振動騒音の指標である等価放射パワーの周波数特性とを求め、振動騒音への寄与の大きい振動モードと、該振動モードに対応する等価放射パワーのピーク周波数を選定する振動モード・等価放射パワーピーク周波数選定部と、
前記車体モデルにおける一つ又は複数の区分領域の重量を変更し、前記車体モデルにおける前記区分領域の重量の組み合わせごとに振動解析を行い、前記振動モード・等価放射パワーピーク周波数選定部による処理を行って選定した振動モードにおける前記振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数を取得する区分領域重量変更ピーク周波数取得部と、
前記振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数を目的変数とし、前記区分領域の重量を説明変数とする多変量解析を行い、前記振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数に対する前記区分領域の重量の寄与度を算出する区分領域重量寄与度算出部と、
該算出した前記各区分領域の寄与度に基づいて、振動騒音の低減対象とする前記パネル部品からの振動騒音を低減するために、前記自動車の車体における軽量化する部位を特定する振動騒音低減軽量化部位特定部と、を備えたことを特徴とするものである。
前記自動車の車体を構成する骨格部品とパネル部品のそれぞれをメッシュでモデル化した骨格部品モデルとパネル部品モデルを備えてなり、前記起振源からの振動を入力する加振部が設定された車体モデルを取得する車体モデル取得ステップと、
該車体モデルに、前記骨格部品モデル及び前記パネル部品モデルに基づいて区分した複数の区分領域を設定する区分領域設定ステップと、
前記パネル部品モデルのうち、振動騒音の低減対象とするパネル部品モデルを振動騒音低減対象パネル部品モデルとして前記車体モデルに設定する振動騒音低減対象パネル部品モデル設定ステップと、
前記車体モデルを用いて振動解析を行い、振動騒音低減対象パネル部品モデルの振動挙動と振動騒音の指標である等価放射パワーの周波数特性とを求め、振動騒音への寄与の大きい振動モードと、該振動モードに対応する等価放射パワーのピーク周波数を選定する振動モード・等価放射パワーピーク周波数選定ステップと、
前記車体モデルにおける一つ又は複数の区分領域の重量を変更し、前記車体モデルにおける前記区分領域の重量の組み合わせごとに振動解析を行い、前記振動モード・等価放射パワーピーク周波数選定ステップによる処理を行って選定した振動モードにおける前記振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数を取得する区分領域重量変更ピーク周波数取得ステップと、
前記振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数を目的変数とし、前記区分領域の重量を説明変数とする多変量解析を行い、前記振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数に対する前記区分領域の重量の寄与度を算出する区分領域重量寄与度算出ステップと、
該算出した前記各区分領域の寄与度に基づいて、振動騒音の低減対象とする前記パネル部品からの振動騒音を低減するために、前記自動車の車体における軽量化する部位を特定する振動騒音低減軽量化部位特定ステップと、を備えたことを特徴とするものである。
前記関係式により前記選択した一つの区分領域の重量を算出するに際し、該一つの区分領域の重量の変化が前記等価放射パワーのピーク周波数に及ぼす影響を補正する補正値を前記関係式に与え、前記一つの区分領域の重量を算出することを特徴とするものである。
本発明で解析対象とする自動車100は、図2に示すように、骨格部品101及びパネル部品103と、自動車100の車体に振動(周期的な荷重)を与える起振源105を有する。
パネル部品103は、薄板構造の部品である外板パネルや内板パネルであり、ルーフパネルやフロアパネル(例えば、ミドルフロア、リアフロア)等が例示される。
起振源105は、エンジン105aやタイヤ105b等が例示され、自動車の走行時においては、路面からの振動がタイヤ105bを介してフロントサスペンション取付部106やリアサスペンション取付部107等の加振部に入力される。
<自動車のパネル部品の振動騒音低減解析装置>
本発明の実施の形態1に係る自動車のパネル部品の振動騒音低減解析装置(以下、単に「振動騒音低減解析装置」という。)の構成について、以下に説明する。
以下、自動車100のパネル部品103の一つであるミドルフロア103aを振動騒音の低減対象とする場合を例として、振動騒音低減解析装置1の各構成について説明する。
表示装置3は、解析結果の表示等に用いられ、液晶モニター等で構成される。
入力装置5は、車体モデルファイル30の表示指示や操作者の条件入力等に用いられ、キーボードやマウス等で構成される。
記憶装置7は、車体モデルファイル30等の各種ファイルの記憶等に用いられ、ハードディスク等で構成される。
そして、車体モデルファイル30は、車体モデル200の各種情報が格納されたものであり、各種情報として、骨格部品モデル及びパネル部品モデルの要素及び節点に関する情報や材料特性に関する情報等が格納されている。
作業用データメモリ9は、演算処理部11で使用するデータの一時保存(記憶)や演算に用いられ、RAM(Random Access Memory)等で構成される。
演算処理部11は、図1に示すように、車体モデル取得部13と、区分領域設定部15と、振動騒音低減対象パネル部品モデル設定部17と、振動モード・等価放射パワーピーク周波数選定部19と、区分領域重量変更ピーク周波数取得部21と、区分領域重量寄与度算出部23と、振動騒音低減軽量化部位特定部25と、を備え、PC等のCPU(中央演算処理装置)によって構成される。これらの各部は、CPUが所定のプログラムを実行することによって機能する。
演算処理部11における上記の各部の機能を以下に説明する。
車体モデル取得部13は、自動車100の骨格部品101とパネル部品103(図2)のそれぞれをメッシュ(平面要素及び/又は立体要素)でモデル化した骨格部品モデルとパネル部品モデルを備えるとともに、加振部が設定された車体モデル200を取得するものである。
加振部の例として、自動車のタイヤからの振動が入力するリアサスペンション取付部107に対応する部位231を備える。
なお、車体モデル200における加振部231は、予め車体モデル200に設定された情報が車体モデルファイル30に格納されたものであってもよいし、車体モデルファイル30から車体モデル200を読み込んだ後、操作者の指示により車体モデル200に設定するものであってもよい。
区分領域設定部15は、骨格部品モデル及びパネル部品モデルに基づいて区分した複数の区分領域を車体モデル200に設定するものである。
D1.ルーフは、ルーフモデル223により区分した区分領域である。
D2.ルーフレールは、ルーフレールモデル201により区分した区分領域である。
D3.リアクウォータサイドは、ホイールハウスモデル247と、クウォータインナモデル245により区分した区分領域である。
D4.リアクウォータアッパは、アッパバックパネルモデル241により区分した区分領域である。
D5.トランクルーム開口部は、ロアバックパネルモデル243により区分した区分領域である。
D6.Bピラは、Bピラモデル205により区分した区分領域である。
D8.ミドルフロアは、ミドルフロアモデル221により区分した区分領域である。
D9.Aピラは、Aピラモデル203により区分した区分領域である。
D10.ミドルフロアメンバは、ミドルフロアメンバモデル209により区分した区分領域である。
D11.リアフロアサイドメンバは、リアフロアサイドメンバモデル211により区分した区分領域である。
D12.リアフロアクロスメンバは、リアフロアクロスメンバモデル213により区分した区分領域である。
D2.ルーフレール、D6.Bピラ、D9.Aピラ、D10.ミドルフロアメンバ、D11.リアフロアサイドメンバ、D12.リアフロアクロスメンバは、いずれも、骨格部品モデルのみで区分された区分領域である。
D3.リアクウォータサイド、D4.リアクウォータアッパ、D5.トランクルーム開口部、いずれも、パネル部品モデルと骨格部品モデルとを含む区分領域である。
振動騒音低減対象パネル部品モデル設定部17は、操作者からの指示により、パネル部品モデルのうち振動騒音の低減対象とするパネル部品モデルを振動騒音低減対象パネル部品モデルとして車体モデル200に設定するものである。本実施の形態では、自動車100のミドルフロア103a(図2)を振動騒音の低減対象とし、車体モデル200におけるパネル部品モデルのうち、ミドルフロアモデル221(図5)を振動騒音低減対象パネル部品モデルとして設定した。
振動モード・等価放射パワーピーク周波数選定部19は、車体モデル200を用いて振動解析を行い、振動騒音低減対象パネル部品モデルの振動挙動と振動騒音の指標である等価放射パワーの周波数特性とを求め、振動騒音への寄与の大きい振動モードと、該振動モードに対応する等価放射パワーのピーク周波数を選定するものである。
そこで、振動モード・等価放射パワーピーク周波数選定部19は、以下の式(1)を用い、振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーを算出する。
本実施の形態では、図8に示すように、ミドルフロアモデル221の中央部が大きく振動する(変位が大きい)1次の振動モードを選定した。
そして、図9より、当該選定した振動モードに対応する等価放射パワーのピーク周波数(=39.6Hz)を選定した。
区分領域重量変更ピーク周波数取得部21は、車体モデル200における一つ又は複数の区分領域の重量を変更し、区分領域の重量の組み合わせごとに振動解析を行い、振動モード・等価放射パワーピーク周波数選定部19による処理を行って選定した振動モードにおける振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数を取得するものである。
表1に、車体モデル200における一つ又は複数の区分領域の重量を変更した組み合わせ(水準)の一例を示す。
水準2〜水準11は、いずれか一つの区分領域の重量を変化させた組み合わせである。
水準12〜水準22は、複数の区分領域の重量を同時に変化させた組み合わせである。
また、表1中の各区分領域の欄に記載の数値は、元の車体モデル200における各区分領域の重量を基準とした重量比である。例えば、水準2は、区分領域D1.ルーフの重量について、元の車体モデル200におけるD1.ルーフの重量の0.75倍としたものである。
区分領域重量寄与度算出部23は、振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数を目的変数とし、区分領域の重量を説明変数とする多変量解析を行い、振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数に対する区分領域の重量の寄与度を算出するものである。
また、Miは、重量を変更する前の区分領域Diの密度ρaを基準とした区分領域Diの密度ρbの倍率としてもよい。
本実施の形態においては、自由度調整済み決定係数が0.90以上であれば、区分領域の重量Miにより推定されるピーク周波数Yの推定において、回帰モデルの当てはまりは十分に良い。
振動騒音低減軽量化部位特定部25は、区分領域重量寄与度算出部23により求められた各区分領域の寄与度に基づいて、振動騒音の低減対象とするパネル部品の振動騒音を低減するために自動車の車体における軽量化する部位を特定するものである。
すなわち、多変量解析により求めた関係式(例えば、式(2))の偏回帰係数Aiの値が大きい区分領域Diに対応する自動車における部位を、振動騒音の低減対象とするパネル部品の振動騒音を低減するために軽量化する部位として特定する。
本発明の実施の形態1に係る自動車のパネル部品の振動騒音低減解析方法(以下、単に「振動騒音低減解析方法」という。)の構成について、以下に説明する。
以下、図10に基づいて、上記の各ステップについて説明する。なお、以下の説明では、上記の各ステップとも、コンピュータによって構成された本発明の実施の形態1に係る振動騒音低減解析装置1(図1)を用いて実行する。
車体モデル取得ステップS1は、図3〜図5に一例として示すように、自動車100(図2)の骨格部品101とパネル部品103(図2)のそれぞれをメッシュ(平面要素及び/又は立体要素)でモデル化した骨格部品モデルとパネル部品モデルを備えるとともに、起振源からの振動が入力する加振部が設定された車体モデル200を取得するステップである。本実施の形態において、車体モデル取得ステップS1は、振動騒音低減解析装置1の車体モデル取得部13が行う。
区分領域設定ステップS3は、骨格部品モデル及びパネル部品モデルに基づいて区分した複数の区分領域を車体モデル200に設定するステップである。本実施の形態において、区分領域設定ステップS3は、振動騒音低減解析装置1の区分領域設定部15が行う。
振動騒音低減対象パネル部品モデル設定ステップS5は、車体モデル200におけるパネル部品モデルのうち振動騒音の低減対象とするパネル部品モデルを振動騒音低減対象パネル部品モデルとして設定するステップである。本実施の形態において、振動騒音低減対象パネル部品モデル設定ステップS5は、振動騒音低減解析装置1の振動騒音低減対象パネル部品モデル設定部17が行う。
振動モード・等価放射パワーピーク周波数選定ステップS7は、車体モデル200を用いて振動解析を行い、振動騒音低減対象パネル部品モデルの振動挙動と振動騒音の指標である等価放射パワーの周波数特性とを求め、振動騒音への寄与の大きい振動モードと、該振動モードに対応する等価放射パワーのピーク周波数を選定するステップである。本実施の形態において、振動モード・等価放射パワーピーク周波数選定ステップS7は、振動騒音低減解析装置1の振動モード・等価放射パワーピーク周波数選定部19が行う。
振動解析により求められた振動騒音低減対象パネル部品モデルの振動挙動には、固有周波数ごとに振動モードが存在するが、振動モード・等価放射パワーピーク周波数選定ステップS7においては、振動騒音への寄与の大きい振動モードを選定するものとし、例えば、振動騒音低減対象パネル部品モデルの中央部が大きく振動する1次の振動モードを選定するとよい。
区分領域重量変更ピーク周波数取得ステップS9は、車体モデル200における一つ又は複数の区分領域の重量を変更し、区分領域の重量の組み合わせごとに振動解析を行い、振動モード・等価放射パワーピーク周波数選定ステップS7による処理を行って選定した振動モードにおける振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数を取得するステップである。本実施の形態1において、区分領域重量変更ピーク周波数取得ステップS9は、振動騒音低減解析装置1の区分領域重量変更ピーク周波数取得部21が行う。
区分領域重量寄与度算出ステップS11は、振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数を目的変数とし、区分領域の重量を説明変数とする多変量解析を行い、振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数に対する区分領域の重量の寄与度を算出するステップである。本実施の形態1において、区分領域重量寄与度算出ステップS11は、振動騒音低減解析装置1の区分領域重量寄与度算出部23が行う。
振動騒音低減軽量化部位特定ステップS13は、区分領域重量寄与度算出ステップS11により算出した各区分領域の寄与度に基づいて、振動騒音の低減対象とする前記パネル部品からの振動騒音を低減するために前記自動車の車体における軽量化する部位を特定するステップである。本実施の形態1において、振動騒音低減軽量化部位特定ステップS13は、振動騒音低減解析装置1の振動騒音低減軽量化部位特定部25が行う。
本発明の実施の形態2に係る自動車のパネル部品の振動騒音低減解析方法は、前述した本発明の実施の形態1に係る自動車のパネル部品の振動騒音低減解析方法の区分領域重量寄与度算出ステップS11において前記振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数と前記各区分領域の重量との関係式を導出し、該導出した関係式に少なくとも一つ以上の前記各区分領域の重量を関係式導出時とは変更して与えて前記振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数を予測し、自動車における起振源からの振動に起因するパネル部品の振動騒音を低減させるために前記自動車の車体における軽量化する部位を特定するものである。
本発明の実施の形態3に係る自動車のパネル部品の振動騒音低減解析方法は、前述した実施の形態1の区分領域重量寄与度算出ステップS11において前記振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数と前記各区分領域の重量との関係式を導出し、該導出した関係式を用いて板厚を算出したい一つの区分領域について、他の区分領域の重量と前記振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数とを与えて、前記一つの区分領域の重量を算出し、該算出した前記一つの区分領域の重量に基づいて、該一つの区分領域を構成する前記骨格部品モデル及び/又はパネル部品モデルの板厚を算出するものである。
この場合、区分領域の板厚を予め数条件変更して関係式から算出された予測値と、振動解析で得られた計算値との残差平方和が最小となる補正値αiを求めて設定するとよい。
式(6)において、他の区分領域の重量に関しては補正せずにαi=1を与えてもよいし、大きく変更した重量を与える他の区分領域に関しては補正値αiを適宜与えてもよい。
そして、自動車100のミドルフロア103aを振動騒音の低減対象とし、車体モデル200におけるミドルフロアモデル221を振動騒音低減対象パネル部品モデルとした。
なお、車体モデル200における骨格部品モデル及びパネル部品モデルには、いずれも、表2に示す物性値を設定した。
各区分領域D1〜D12を構成する骨格部品モデル及びパネル部品モデルについては、実施の形態1で述べたとおりである。
そして、自動車100のミドルフロア103aからの振動騒音の低減と車体の軽量化をするための解析として、A.振動騒音低減軽量化部位の特定、B.車体モデルにおけるミドルフロアモデルの等価放射パワーのピーク周波数の予測、及び、C.振動騒音低減軽量化部位の板厚の算出、を行った。以下、A〜Cについて、順に説明する。
車体モデル200のミドルフロアモデル221の振動騒音の低減に寄与する区分領域である自動車における車体を軽量化する部位を特定した。
まず、車体モデル200を用いて周波数応答解析を行い、ミドルフロアモデルの振動挙動と等価放射パワーの周波数特性を求めた。
そして、振動解析の結果から、前述の実施の形態1で示したように、ミドルフロアモデルの中央部が大きく振動する振動モードを選定し、該振動モードに対応する等価放射パワーのピーク周波数を取得した。
ここで、多変量解析として重回帰分析を行い、回帰モデルには式(2)を用いた。
多変量解析により求めた関係式を式(7)に示す。また、表3に、式(7)における偏回帰係数Aiと、多変量解析により求めた標準偏回帰係数をあわせて示す。
次に、等価放射パワーのピーク周波数の予測を行った。
等価放射パワーのピーク周波数と区分領域の重量との関係式として、前述した式(7)を用いた。
そして、車体モデル200(図4及び図5参照)におけるミドルフロアモデル221の等価放射パワーのピーク周波数への寄与の高い区分領域であるD10.ミドルフロアメンバと、寄与の低い区分領域であるD11.リアフロアサイドメンバのそれぞれの重量を変更し、等価放射パワーのピーク周波数(予測値)を求めた。
一方、比較対象として、区分領域D10.ミドルフロアメンバ、又は、区分領域D11.リアフロアサイドメンバの重量を変更した車体モデル200について周波数応答解析を行い、ミドルフロアモデル221の等価放射パワーの周波数応答を求め、ミドルフロアモデル221の中央部が大きく変形する振動モード(1次モード)となるピーク周波数(計算値)を求めた。
表4に、区分領域D10.ミドルフロアメンバ及び区分領域D11.リアフロアサイドメンバの重量と、式(7)によりピーク周波数を予測した結果(予測値)を示す。また、表4には、元の車体モデル200を用いてミドルフロアモデル221の等価放射パワーのピーク周波数を求めた結果(計算値)もあわせて示す。
続いて、振動騒音低減軽量化部位のピーク周波数に対する板厚の影響について検討した。
ここでは、等価放射パワーのピーク周波数と区分領域の重量との関係式として、前述した式(7)を用い、区分領域D10.ミドルフロアメンバモデルの板厚を変更したときのミドルフロアモデル221(図4及び図5参照)の等価放射パワーのピーク周波数を予測した。
さらに、区分領域D10.ミドルフロアメンバモデルを軽量化したことによる剛性変化を考慮する補正値αを与えた場合についても、ピーク周波数を予測した。
表5に、ピーク周波数の予測値と計算値を示す。
また、予測値に関して、前述の式(6)の軽量化による剛性変化の補正値αiを与えることで、計算値に近づき良好な結果となった。
3 表示装置
5 入力装置
7 記憶装置
9 作業用データメモリ
11 演算処理部
13 車体モデル取得部
15 区分領域設定部
17 振動騒音低減対象パネル部品モデル設定部
19 振動モード・等価放射パワーピーク周波数選定部
21 区分領域重量変更ピーク周波数取得部
23 区分領域重量寄与度算出部
25 振動騒音低減軽量化部位特定部
30 車体モデルファイル
100 自動車
101 骨格部品
103 パネル部品
103a ミドルフロア
105 起振源
105a エンジン
105b タイヤ
106 フロントサスペンション取付部
107 リアサスペンション取付部
200 車体モデル
201 ルーフレールモデル
203 Aピラモデル
205 Bピラモデル
207 Cピラモデル
209 ミドルフロアメンバモデル
211 リアフロアサイドメンバモデル
213 リアフロアクロスメンバモデル
221 ミドルフロアモデル
223 ルーフモデル
225 リアフロアモデル
231 加振部
241 アッパバックパネルモデル
243 ロアバックパネルモデル
245 クウォータインナモデル
247 ホイールハウスモデル
Claims (5)
- 自動車における起振源からの振動に起因するパネル部品の振動騒音を低減させ、かつ前記自動車の車体の軽量化ができる部位を特定する自動車のパネル部品の振動騒音低減解析装置であって、
前記自動車の車体を構成する骨格部品とパネル部品のそれぞれをメッシュでモデル化した骨格部品モデルとパネル部品モデルを備えてなり、前記起振源からの振動を入力する加振部が設定された車体モデルを取得する車体モデル取得部と、
該車体モデルに、前記骨格部品モデル及び前記パネル部品モデルに基づいて区分した複数の区分領域を設定する区分領域設定部と、
操作者からの指示により、前記パネル部品モデルのうち振動騒音の低減対象とするパネル部品モデルを振動騒音低減対象パネル部品モデルとして前記車体モデルに設定する振動騒音低減対象パネル部品モデル設定部と、
前記車体モデルを用いて振動解析を行い、振動騒音低減対象パネル部品モデルの振動挙動と振動騒音の指標である等価放射パワーの周波数特性とを求め、振動騒音への寄与の大きい振動モードと、該振動モードに対応する等価放射パワーのピーク周波数を選定する振動モード・等価放射パワーピーク周波数選定部と、
前記車体モデルにおける一つ又は複数の区分領域の重量を変更し、前記車体モデルにおける前記区分領域の重量の組み合わせごとに振動解析を行い、前記振動モード・等価放射パワーピーク周波数選定部による処理を行って選定した振動モードにおける前記振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数を取得する区分領域重量変更ピーク周波数取得部と、
前記振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数を目的変数とし、前記区分領域の重量を説明変数とする多変量解析を行い、前記振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数に対する前記区分領域の重量の寄与度を算出する区分領域重量寄与度算出部と、
該算出した前記各区分領域の寄与度に基づいて、振動騒音の低減対象とする前記パネル部品からの振動騒音を低減するために前記自動車の車体における軽量化する部位を特定する振動騒音低減軽量化部位特定部と、を備えたことを特徴とする自動車のパネル部品の振動騒音低減解析装置。 - 自動車における起振源からの振動に起因するパネル部品の振動騒音を低減させ、かつ前記自動車の車体の軽量化ができる部位を特定するために、コンピュータが以下の各ステップを行う自動車のパネル部品の振動騒音低減解析方法であって、
前記自動車の車体を構成する骨格部品とパネル部品のそれぞれをメッシュでモデル化した骨格部品モデルとパネル部品モデルを備えてなり、前記起振源からの振動を入力する加振部が設定された車体モデルを取得する車体モデル取得ステップと、
該車体モデルに、前記骨格部品モデル及び前記パネル部品モデルに基づいて区分した複数の区分領域を設定する区分領域設定ステップと、
前記パネル部品モデルのうち、振動騒音の低減対象とするパネル部品モデルを振動騒音低減対象パネル部品モデルとして前記車体モデルに設定する振動騒音低減対象パネル部品モデル設定ステップと、
前記車体モデルを用いて振動解析を行い、振動騒音低減対象パネル部品モデルの振動挙動と振動騒音の指標である等価放射パワーの周波数特性とを求め、振動騒音への寄与の大きい振動モードと、該振動モードに対応する等価放射パワーのピーク周波数を選定する振動モード・等価放射パワーピーク周波数選定ステップと、
前記車体モデルにおける一つ又は複数の区分領域の重量を変更し、前記車体モデルにおける前記区分領域の重量の組み合わせごとに振動解析を行い、前記振動モード・等価放射パワーピーク周波数選定ステップによる処理を行って選定した振動モードにおける前記振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数を取得する区分領域重量変更ピーク周波数取得ステップと、
前記振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数を目的変数とし、前記区分領域の重量を説明変数とする多変量解析を行い、前記振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数に対する前記区分領域の重量の寄与度を算出する区分領域重量寄与度算出ステップと、
該算出した前記各区分領域の寄与度に基づいて、振動騒音の低減対象とする前記パネル部品からの振動騒音を低減するために前記自動車の車体における軽量化する部位を特定する振動騒音低減軽量化部位特定ステップと、を備えたことを特徴とする自動車のパネル部品の振動騒音低減解析方法。 - 請求項2に記載の自動車のパネル部品の振動騒音低減解析方法の前記区分領域重量寄与度算出ステップにおいて、前記振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数と前記各区分領域の重量との関係式を導出し、該導出された関係式に少なくとも一つ以上の前記各区分領域の重量を変更して与えることにより前記振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数を予測し、自動車における起振源からの振動に起因するパネル部品の振動騒音を低減させるために前記自動車の車体における軽量化する部位を特定することを特徴とする自動車のパネル部品の振動騒音低減解析方法。
- 請求項2に記載の自動車のパネル部品の振動騒音低減解析方法の前記区分領域重量寄与度算出ステップにおいて、前記振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数と前記各区分領域の重量との関係式を導出し、該導出された関係式に板厚を算出したい一つの区分領域を除いた他の区分領域の重量と前記振動騒音低減対象パネル部品モデルの等価放射パワーのピーク周波数とを与えて、前記選択した一つの区分領域の重量を算出し、該算出した前記一つの区分領域の重量に基づいて、該一つの区分領域を構成する前記骨格部品モデル及び/又はパネル部品モデルの板厚を算出することを特徴とする自動車のパネル部品の振動騒音低減解析方法。
- 前記関係式により前記選択した一つの区分領域の重量を算出するに際し、該一つの区分領域の重量の変化が前記等価放射パワーのピーク周波数に及ぼす影響を補正する補正値を前記関係式に与え、前記一つの区分領域の重量を算出することを特徴とする請求項4記載の自動車のパネル部品の振動騒音低減解析方法。
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