JP6974341B2 - 改善された発酵プロセス - Google Patents

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Description

発明の分野
[0001]本発明は、新規フィード戦略を用いて高収量の組み換えタンパク質を産生するための発酵方法に関する。
[0002]生物工学およびバイオエンジニアリングが近代産業および健康分野において果たす役割は増加しつつある。新規の重要な活性薬物成分の多くは、組み換え治療タンパク質である。それらは、十分に制御された生物工学プロセスにおいて、遺伝子改変微生物において形成される。
[0003]バイオプロセスの開発は、プロセスパラメータと産物の品質および量との間の相互作用を特定および理解することを目的としている。バイオプロセスの開発時間が限られていること、ならびにバイオプロセスの多変量研究が、時間、費用、および労力のかかる作業であることから、プロセスの開発を加速させて、生物工学産物の販売までに要する時間を低減させることが必要である。
[0004]pH値および温度などの技術的パラメータの他に、栄養素の供給は、細胞の生理学に影響を及ぼす主なパラメータである。
[0005]誘導相全体を通してのこのフィード戦略は、(a)技術的に制御された、例えば、既定のフィードプロファイル、すなわち容積を一定にするか、または容積を変化させることであり得る。プロセスパラメータとしてのフィード速度は、技術的には一定レベルに制御されるが、生理学は制御されないままである。いかなるフィードバック制御もないそのような系では、細胞培養の変化している生理状態、すなわち組み換えタンパク質の産生を誘導した結果としての細胞培養の変化している生理状態に対して応答することができない。(b)あるいは、フィード戦略を生理的に制御することができ、このことは対象の細胞の生理状態を定量することを意味する。
[0006]技術的制御に対し、生理的制御は、一般的に固定収量モデルとしての歴史的または文献的データのいずれかに基づいて、生理状態および/または相関する変化に対処する。あるいは、リアルタイム計測、例えば、溶存酸素濃度、誘電率、吸光度、オフガス濃度を用いて、応答の生理学においてフィード戦略を適合させる。
[0007]より具体的には、生理的フィード戦略は、リアクターにおけるバイオマスの量に対処する。その結果、生理的フィード戦略は、固定された単一の時点での、または誘導相全体を通して時間分解した、リアクター中のバイオマスを評価することに依存する。このバイオマス評価は、直接評価できない生理的な細胞培養変数を計算および技術的に制御するための基礎である。現在まで、これらのフィード戦略は、主に固有の細胞増殖速度μ(Gnoth et al.,2008a,Ramirez et al.1994)に重点を置いている。バイオマスに固有の基質取り込み速度qが制御されることは非常にまれである(Sagmeister et al.,2013)。標的化生理変数によらず、誘導相全体を通しての生産性または固有の最大タイターとC−源供給との相関関係は、非常に重要である。
[0008]Ramirezら(1994)は、組み換え大腸菌(E.coli)によるペニシリンアシラーゼ産生に関して典型的なLuedeking−Piret速度論を示し、qとμならびにqが正に相関することを示した。それぞれの実験に関して平均すると、μとqは、この例において0.56g/gの一定の収量計数YX/Sによって相関関係を有する。このことは、この固有の組み換えタンパク質発現系において、平均値qは、平均値バイオマス収量に影響を及ぼさないことを示している。結論すると、この例では、μが高ければならびにqが高ければ、より高いqが得られた。
[0009]qを制御することによってqに影響を及ぼす可能性は、Dietzschら(2011)によって、生物ピキア・パストリス(Pichia pastoris)に関して記載されている。同様に、この研究は、組み換えタンパク質の産生に及ぼす高いq値の正の効果を示している。Dietzschらは、qのレベルの他に、qの経時的な軌跡が生産性に対して有意な影響を及ぼすことをさらに示した。段階的に増加させるフィードパターンの正の影響も同様に報告された。この論文では、バイオマス測定は、手間のかかるオフラインサンプリングによって行われた。
[0010]Wechselbergerら(2012)は、大腸菌(E.coli)における組み換えタンパク質の生産性に対して高いq値が正の影響及ぼすことを記載している。Wechselbergerらはまた、容積一定フィードプロファイルの影響を、qSinitの影響によって完全に説明できることも示した。この研究において、容積一定フィード速度は、[g/g/h]で表すバイオマス固有の基質取り込み速度qsに基づいて誘導時点で計算している。容積一定フィード速度を最初に既定のq値に調整することによるデータ解析により、qと固有の産物の活性との間の明確な比例相関が示された。
[0011]国際公開第2013/006479号は、高い産物タイターの細胞培養を得るために、細胞増殖に対してより大きい制御を行って哺乳類細胞を培養する方法を開示する。定義されたL−アスパラギン濃度を有する無血清灌流培地による灌流によって、産生相において細胞の増殖停止を誘導する。培養を評価するために、試料を毎日採取した。Yang JDらは、モノクローナル抗体の生産性の増強が得られる、フィードを制御した灌流プロセスを記載している。フィードの制御は、毒性代謝物の形成を最小限にするために、重要な代謝物産生栄養素を低レベルで維持しながら、枯渇した構成要素を補充することによって得られる(Yang JD et al.,Biotechnology and Bioengineering 2000,69(1):74−82)。Jourdier E.らは、ラクトース上でのトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)によるセルラーゼ産生の単純な速度論モデルを記述している。モデルは、産業上の制約下で異なる培養戦略を模倣および比較することを可能にする(Jourdier E.et al.,Chemical Engineering Transactions 2012:313−318)。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、マウス骨髄腫(NS0)、ベビーハムスター腎(BHK)、ヒト胎児腎(HEK293)、またはヒト網膜由来(PER−C6)細胞などの、異なる動物細胞培養における生物薬剤の産生の達成および見通しは、Butler M(Butler M.,Applied Microbiology and Biotechnology 2005,68(3):283−291)によって記載されている。
[0012]以下の実施例に引用されているように、主に文献において、固有の最大活性と培養への栄養素のフィードとの間の正の相関関係に関する情報が見出されている。このことは、μ制御またはq制御のいずれかによるあらゆるフィード制御に当てはまる。
[0013]最大量の活性なタンパク質を生じる非常に効率的なバイオプロセスに関して改善された方法を提供することが望ましい。したがって、本発明の目的は、固有の最大タイターと基質利用能との驚くべき負の相関を用いて発酵産物に関する改善された方法を提供することである。
[0014]目的は、特許請求の範囲の主題によって扱われる。
[0015]本発明に従って、組み換えた対象のタンパク質(POI)を作製する方法であって、(a)細胞培養培地中で細胞を培養し、少なくとも1つの基質を含むフィードを前記細胞培養物中に添加することにより前記POIを発現させること、
(b)POIの誘導相および/または産生相の間に、細胞の固有の基質取り込み速度qを、計算し、設定し、および、任意に制御するフィード戦略を適用することであって、ここでqは細胞培養物の維持速度に近似して設定され;および(c)前記POIを細胞培養物から単離すること、を含む方法が提供される。
[0016]特定の態様に従って、固有の基質取り込み速度qは、細胞培養物のほぼ維持速度の範囲内であるように、例えば0.03〜0.15g/g/h、好ましくは0.05〜0.12g/g/h、より好ましくは0.08〜0.12g/g/hの範囲内であり、最も好ましくは、qは約0.12/g/g/hであるように設定される。
[0017]特定の態様に従って、固有の基質取り込み速度qは、測定された値に設定した後、制御されているか、または制御されていない。
[0018]特定の態様に従って、固有の基質取り込み速度qは、前記対象のタンパク質の産生相の少なくとも50%の時間の間、一定の値(±15%)に制御され、qは、約0.03g/g/h、0.04g/g/h、0.05g/g/h、0.06g/g/h、0.07g/g/h、0.08g/g/h、0.09g/g/h、0.1g/g/h、0.11g/g/h、0.12g/g/h、0.13g/g/h、0.14g/g/h、または0.15g/ghであり、最も好ましくは0.12g/g/hである。
[0019]特定の態様に従って、固有の基質取り込み速度qは、前記対象のタンパク質の産生相の少なくとも50%の時間の間、フィード速度を調整することにより少なくとも1回設定されるか、または制御され、qは、0.15から0.05g/g/hの範囲内であり、好ましくは0.15から0.12g/g/h以下に、0.15から0.10g/g/hに、0.15から0.07g/g/hに、0.15から0.05g/g/hに、0.12から0.1g/g/hに、0.12から0.07g/g/hに、0.12から0.05g/g/hに、0.10から0.07g/g/hに、0.1から0.05g/g/hに、または0.1から0.03g/g/hに減少する。
[0020]特定の態様に従って、固有の基質取り込み速度qは、前記組み換えタンパク質の産生相の少なくとも50%の時間の間、0.03から0.15g/g/hの範囲内に、フィード速度を調整することにより少なくとも1回設定されるかまたは制御され、好ましくは0.03から0.12g/g/h以上に、0.03から0.10g/g/hに、0.03から0.07g/g/hに、0.05から0.15g/g/hに増加し、好ましくは0.05から0.12g/g/h以上に、0.05から0.10g/g/hに、0.05から0.07g/g/hに、0.07から0.12g/g/hに、0.07から0.10g/g/hに、0.10から0.12g/g/hに、または0.10から0.15g/g/hに増加する。
[0021]特定の態様において、固有の基質取り込み速度qは、前記対象のタンパク質の産生相の少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも80%、または少なくとも95%の間に、一定であるように、減少するように、または増加するように制御されている。
[0022]特定の態様に従って、固有の基質フィード速度qは、基質フィードの場合は正であり、通常負である科学的に確立された固有の基質取り込み速度qに対応する。
[0023]特定の態様に従って、固有の基質取り込み速度qは、制御されるか、またはそれに従ってフィード速度を調整することによって少なくとも1回設定される。
[0024]特定の態様に従って、固有の基質取り込み速度qの計算は、誘導相/産生相の開始時に行われる。特定の態様に従って、バイオマスは、1回、またはリアルタイムバイオマス評価もしくは計測によって測定される。
[0025]特定の態様に従って、リアルタイムバイオマス計測は、ソフトセンサーまたはハードセンサーを用いて行われる。
[0026]さらに特定の態様に従って、少なくとも1つの基質は炭水化物である。
[0027]特定の態様に従って、炭水化物は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、ラムノース、もしくはマンノースなどの六炭糖、サッカロースなどの二糖、グリセロールもしくはエタノールなどのアルコール、またはその組合せである。
[0028]特定の態様に従って、基質は、グルコールまたはグリセロール(Gly)である。
[0029]具体的には、フィードは、既知組成である。
[0030]フィードは、液体形態で、またはそれ以外では固体、例えばタブレット、もしくは他の持続放出手段、もしくは気体、例えば二酸化炭素などの代替の形態で培養培地に添加されてもよい。
[0031]特定の態様に従って、細胞は、真核細胞または原核細胞からなる群から選択される。
[0032]特定の態様に従って、真核細胞は、哺乳類、昆虫、酵母、糸状菌、および植物細胞からなる群から選択され、好ましくは酵母細胞、最も好ましくは、ピキア・パストリス(Pichia pastris)、コマガタエラ・パストリス(Komagataella pastris)、K・ファフィー(K phaffii)、またはK・シュードパストリス(K pseudopastoris)である。
[0033]一態様において、細胞は、真核細胞、例えば哺乳類細胞である。哺乳類細胞は、例えば、ヒトまたは齧歯類、またはウシの細胞株または細胞系であり得る。そのような細胞、細胞株、または細胞系の例は、例えばマウス骨髄腫(NSO)細胞株、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、HT1080、H9、HepG2、MCF7、MDBK Jurkat、NIH3T3、PC12、BHK(ベビーハムスター腎細胞)、VERO、SP2/0、YB2/0、Y0、C127、L細胞、COS、例えばCOS1およびCOS7、QC1−3、HEK−293、VERO、PER.C6、HeLA、EBl、EB2、EB3、腫瘍溶解性またはハイブリドーマ細胞株である。好ましくは、哺乳類細胞は、CHO細胞株である。一態様において、細胞はCHO細胞である。一態様において、細胞はCHO−K1細胞、CHO−K1 SV細胞、DG44 CHO細胞、DUXB11 CHO細胞、CHOS、CHO GSノックアウト細胞、CHO FUT8 GSノックアウト細胞、CHOZN、またはCHO由来細胞である。CHO GSノックアウト細胞(例えば、GSKO細胞)は、例えばCHO−K1 SV GSノックアウト細胞である。CHO FUT8ノックアウト細胞は、例えばPotelligent(登録商標)CHOK1 SV(Lonza Biologics、Inc.)である。真核細胞はまた、鳥類の細胞、細胞株、または細胞系、例えばEBx(登録商標)細胞、EB14、EB24、EB26、EB66、またはEBvl3でもあり得る。
[0034]一態様において、真核細胞は幹細胞である。幹細胞は、例えば、胚幹細胞(ESC)、成体幹細胞、人工多能性幹細胞(iPSC)、組織特異的幹細胞(例えば、造血幹細胞)、および間葉幹細胞(MSC)を含む、多能性幹細胞であり得る。
[0035]一態様において、細胞は、本明細書に記載の細胞のいずれかの分化型である。一態様において、細胞は、任意の初代培養細胞に由来する細胞である。
[0036]一態様において、細胞は、ヒト肝細胞、動物肝細胞、または非実質細胞などの肝細胞である。例えば、細胞は、付着可能代謝機能維持(metabolism qualified)ヒト肝細胞、付着可能誘導機能維持(induction qualified)ヒト肝細胞、付着可能Qualyst Transporter Certified(商標)ヒト肝細胞、浮遊機能維持ヒト肝細胞(ドナー10人およびドナー20人のプールした肝細胞を含む)、ヒト肝クッパー細胞、ヒト肝星細胞、イヌ肝細胞(単一およびプールしたビーグル犬肝細胞を含む)、マウス肝細胞(CD−1およびC57Bl/6肝細胞を含む)、ラット肝細胞(Sprague−Dawley、Wistar Han、およびWistar系の肝細胞を含む)、サル肝細胞(カニクイザルまたはアカゲザル肝細胞を含む)、ネコ肝細胞(国内短毛種の肝細胞を含む)、およびウサギ肝細胞(ニュージーランドホワイトの肝細胞を含む)であり得る。例としての肝細胞は、Triangle Research Labs,LLC,6 Davis Drive Research Triangle Park,North Carolina,USA 27709から市販されている。
[0037]一態様において、真核細胞は、例えば、酵母細胞(例えば、ピキア(Pichia)属(例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)、およびピキア・アンガスタ(Pichia angusta))、コマガタエラ(Komagataella)属(例えばコマガタエラ・パストリス(Komagataella pastoris)、コマガタエラ・シュードパストリス(Komagataella pseudopastoris)、またはコマガタエラ・ファフィー(Komagataella phaffii))、サッカロミセス(Saccharomyces)属(例えば、サッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisae、cerevisiae)、サッカロミセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロミセス・ウバルム(Saccharomyces uvarum))、クルイベロミセス(Kluyveromyces)属(例えば、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、クルイベロミセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus))、カンジダ(Candida)属(例えば、カンジダ・ウチリス(Candida utilis)、カンジダ・カカオイ(Candida cacaoi)、カンジダ・ボイジニイ(Candida boidinii))、ゲオトリクム(Geotrichum)属(例えば、ゲオトリクム・ファーメンタンス(Geotrichum fermentans))、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica)、またはシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)などの下等真核細胞である。ピキア・パストリス(Pichia pastoris)種が好ましい。ピキア・パストリス(Pichia pastoris)株の例は、X33、GS115、KM71、KM71H、およびCBS7435である。
[0038]一態様において、真核細胞は、真菌細胞(例えば、アスペルギルス(Aspergillus)(A ニガー(A. niger)、A フミガーツス(A. fumigatus)、A オリザエ(A. orzyae)、A ニジュラ(A. nidula)、アクレモニウム(Acremonium)(A サーモフィルム(A. thermophilum)など、ケトミウム(Chaetomium)(C サーモフィルム(C. thermophilum)など)、クリソスポリウム(Chrysosporium)(C サーモフィル(C. thermophile)など)、コルジセプス(Cordyceps)(C ミリタリス(C. militaris)など)、コリナスクス(Corynascus)、クテノミセス(Ctenomyces)、フザリウム(Fusarium)(F オキシスポルム(F. oxysporum)など)、グロメレラ(Glomerella)(G グラミニコラ(G. graminicola)など)、ヒポクレア(Hypocrea)(H ジェコリナ(H. jecorina)など)、マグナポルテ(Magnaporthe)(M オリザエ(M. orzyae)など)、ミセリオフトラ(Myceliophthora)(M サーモフィル(M. thermophile)など)、ネクトリア(Nectria)(N ヘマトコッカ(N heamatococca)など)、ニューロスポラ(Neurospora)(N クラッサ(N crassa)など)、ペニシリウム(Penicillium)、スポロトリクム(Sporotrichum)(S サーモフィル(S thermophile)など)、チエラビア(Thielavia)(T テレストリス(T. terrestris)、T ヘテロタリカ(T heterothallica)など)、トリコデルマ(Trichoderma)(T リーセイ(T reesei)など)、またはバーチシリウム(Verticillium)(V ダリア(V dahlia)など)である。
[0039]一態様において、真核細胞は、昆虫細胞(例えば、Sf9、Mimic(商標)Sf9、Sf21、High Five(商標)(BT1−TN−5B1−4)、またはBT1−Ea88細胞)、藻類細胞(例えば、アンフォラ(Amphora)、珪藻類(Bacillariophyceae)、ダナリエラ(Dunaliella)、クロレラ(Chlorella)、クラミドモナス(Chlamydomonas)、藍藻(Cyanophyta)(シアノバクテリア)、ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)、スピルリナ(Spirulina)、またはオクロモナス(Ochromonas))、または植物細胞(例えば、単子葉植物(例えば、トウモロコシ、コメ、コムギ、またはセタリア)、または双子葉植物(例えば、キャッサバ、ジャガイモ、ダイズ、トマト、タバコ、アルファルファ、ヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)、またはシロイヌナズナ(Arabidopsis)の細胞)である。
[0040]一態様において、細胞は細菌または原核細胞である。
[0041]一態様において、原核細胞は、バチルス(Bacillus)、ストレプトミセス(Streptomyces)、連鎖球菌(Streptococcus)、ブドウ球菌(Staphylococcus)、またはラクトバチルス(Lactobacillus)などのグラム陽性菌である。用いることができるバチルス(Bacillus)は、例えば枯草菌(B.subtilis)、B アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)、B リケニホルミス(B.licheniformis)、納豆菌(B.natto)、またはB メガテリウム(B.megaterium)である。態様において、細胞は、枯草菌(B.subtilis)、例えば枯草菌(B.subtilis)3NA、および枯草菌(B.subtilis)168である。バチルス(Bacillus)は、例えば、Bacillus Genetic Stock Center、Biological Sciences 556、484 West 12th Avenue、Columbus OH 43210−1214から得ることができる。
[0042]一態様において、原核細胞は、グラム陰性の細胞、例えばサルモネラ(Salmonella)種または大腸菌(Escherichia coli)、例えばTG1、TG2、W3110、DH1、DHB4、DH5a、HMS 174、HMS174(DE3)、NM533、C600、HB101、JM109、MC4100、XL1−BlueおよびOrigami、ならびに大腸菌(E coli)B株に由来する細胞、例えばBL−21またはBL21(DE3)であり、その全てが市販されている。
[0043]特定の態様に従って、原核細胞は、大腸菌(E coli)、枯草菌(B subtilis)、およびシュードモナス菌(Pseudomonas)からなる群から選択される。
[0044]特に好ましい態様に従って、原核細胞は大腸菌(E.coli)である。
[0045]適した宿主細胞は、例えばDSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen and Zellkulturen GmbH,Braunschweig,Germany)またはAmerican Type Culture Collection(ATCC)から市販されている。
[0046]一態様において、培養細胞を用いて、対象のペプチドまたはタンパク質(POI)、例えば抗体、例えばモノクローナル抗体、および/または治療に使用するための組み換えタンパク質を産生する。一態様において、培養細胞は、アミノ酸、脂肪酸、または他の有用な生化学中間体または代謝物を産生する。例えば、態様において、約4000ダルトン〜約140,000ダルトン超の分子量を有する分子を産生することができる。態様において、これらの分子は、様々な複雑度を有し、グリコシル化を含む翻訳後改変を含み得る。
[0047]特定の態様に従って、組み換えタンパク質の大部分は、細胞質、ペリプラズム、または細胞外に位置し、好ましくはペリプラズムに位置する。
[0048]特定の態様に従って、対象のタンパク質(POI)は、組み換えタンパク質である。
[0049]具体的には、POIは、真核細胞タンパク質、好ましくは哺乳類タンパク質である。
[0050]本発明に従って産生されたPOIは、多量体タンパク質、好ましくは二量体または四量体であり得る。
[0051]本発明の一側面に従って、POIは、好ましくは抗体またはそのフラグメント、酵素、およびペプチド、タンパク質抗体、毒素融合タンパク質、炭水化物−タンパク質コンジュゲート、構造タンパク質、調節タンパク質、ワクチン、およびワクチン様タンパク質または粒子、プロセス酵素、増殖因子、ホルモン、およびサイトカイン、または組み換えタンパク質の代謝物を含む、治療タンパク質から選択される、組み換えまたは非相同タンパク質である。
[0052]特定の対象のタンパク質は、抗体またはそのフラグメントなどの抗原結合分子である。特定のPOIは、モノクローナル抗体(mAb)、免疫グロブリン(Ig)、または免疫グロブリンクラスG(IgG)、重鎖抗体(HcAb)またはそのフラグメント、例えば抗原結合フラグメント(Fab)、Fd、一本鎖可変フラグメント(scFv)、もしくは操作されたその変種、例えばFv二量体(ダイアボディ)、Fv三量体(トリアボディ)、Fv四量体、もしくはミニボディ、およびVHもしくはVHHもしくはV−NARなどのシングルドメイン抗体などである。
[0053]特に好ましい態様に従って、組み換えタンパク質は、免疫グロブリン、好ましくは抗体または抗体フラグメント、最も好ましくはFabまたはscFv抗体である。
[0054]さらなる態様において、対象のタンパク質(POI)は、例えばBOTOX、Myobloc、Neurobloc、Dysport(またはボツリヌス神経毒素の他の血清型)、アルグルコシダーゼアルファ、ダプトマイシン、YH−16、絨毛ゴナドトロピンアルファ、フィルグラスチム、セトロレリクス、インターロイキン−2、アルデスロイキン、テセロイキン(teceleulin)、デニロイキンディフティトックス、インターフェロンアルファ−n3(注射剤)、インターフェロンアルファ−n1、DL−8234、インターフェロン、Suntory(ガンマ−1a)、インターフェロンガンマ、サイモシンアルファ1、タソネルミン、DigiFab、ViperaTAb、EchiTAb、CroFab、ネシリチド、アバタセプト、アレファセプト、レビフ、エプトテルミンアルファ、テリパラチド(骨粗鬆症)、カルシトニン注射剤(骨疾患)、カルシトニン(鼻、骨粗鬆症)、エタネルセプト、ヘモグロビングルタマー250(ウシ)、ドロトレコギンアルファ、コラゲナーゼ、カルペリチド、組み換えヒト上皮増殖因子(局所ゲル、創傷治癒)、DWP401、ダルベポエチンアルファ、エポエチンオメガ、エポエチンベータ、エポエチンアルファ、デシルジン、レピルジン、ビバリルジン、ノナコグアルファ、モノニン、エプタコグアルファ(活性型)、組み換え第VIII因子+VWF、Recombinate、組み換え第VIII因子、第VIII因子(組み換え)、Alphanate、オクトコグアルファ、第VIII因子、パリフェルミン、インジキナーゼ、テネクテプラーゼ、アルテプラーゼ、パミテプラーゼ、レテプラーゼ、ナテプラーゼ、モンテプラーゼ、フォリトロピンアルファ、rFSH、hpFSH、ミカファンギン、ペグフィルグラスチム、レノグラスチム、ナルトグラスチム、サーモレリン、グルカゴン、エキセナチド、プラムリンチド、イニグルセラーゼ、ガルスルファーゼ、Leucotropin、モルグラモスチム(molgramostirn)、酢酸トリプトレリン、ヒストレリン(皮下インプラント、Hydron)、デスロレリン、ヒストレリン、ナファレリン、リュープロリド徐放デポー剤(ATRIGEL)、リュープロリドインプラント(DUROS)、ゴセレリン、Eutropin、KP−102プログラム、ソマトロピン、メカセルミン(成長不全)、エンフルビルチド(enlfavirtide)、Org−33408、インスリングラルギン、インスリングルリシン、インスリン(吸入)、インスリンリスプロ、インスリンデテミル、インスリン(頬側投与、RapidMist)、メカセルミンリンファベート、アナキンラ、セルモロイキン、99 mTc−アプシチド注射剤、ミエロピド、Betaseron、酢酸グラチラマー、Gepon、サルグラモスチム、オプレルベキン、ヒト白血球由来アルファインターフェロン、Bilive、インスリン(組み換え)、組み換えヒトインスリン、インスリンアスパート、メカセニン、Roferon−A、インターフェロンアルファ2、Alfaferone、インターフェロンアルファコン−1、インターフェロンアルファ、Avonex組み換えヒト黄体形成ホルモン、ドルナーゼアルファ、トラフェルミン、ジコノチド、タルチレリン、ジボテルミンアルファ、アトシバン、ベカプレルミン、エプチフィバチド、Zemaira、CTC−111、Shanvac−B、HPVワクチン(四価)、オクトレオチド、ランレオチド、アンセスチム(ancestirn)、アガルシダーゼベータ、アガルシダーゼアルファ、ラロニダーゼ、酢酸プレザチド銅(局所ゲル)、ラスブリカーゼ、ラニビズマブ、Actimmune、PEG−イントロン、トリコミン、組み換えハウスダストダニアレルギー脱感作注射剤、組み換えヒト副甲状腺ホルモン(PTH)1−84(皮下、骨粗鬆症)、エポエチンデルタ、トランスジェニックアンチトロンビンIII、グランジトロピン、ビトラーゼ、組み換えインスリン、インターフェロンアルファ(経口ロゼンジ)、GEM−21S、バプレオチド、イデュルスルファーゼ、オマパトリラト(omnapatrilat)、組み換え血清アルブミン、セルトリズマブペゴル、グルカルピダーゼ、ヒト組み換えC1エラスターゼ阻害剤(血管浮腫)、ラノテプラーゼ、組み換えヒト成長ホルモン、エンフュービルタイド(無針注射剤、Biojector 2000)、VGV−1、インターフェロン(アルファ)、ルシナクタント、アビプタジル(吸入、肺疾患)、イカチバント、エカランチド、オミガナン、Aurograb、酢酸ペキシガナン、ADI−PEG−20、LDI−200、デガレリクス、シントレデリン・ベスドトクス(cintredelinbesudotox)、Favld、MDX−1379、ISAtx−247、リラグルチド、テリパラチド(骨粗鬆症)、チファコギン、AA4500、T4N5リポソームローション、カツマキソマブ、DWP413、ART−123、クリサリン、デスモテプラーゼ、アメジプラーゼ、コリフォリトロピンアルファ、TH−9507、テデュグルチド、Diamyd、DWP−412、成長ホルモン(徐放性注射剤)、組み換えG−CSF、インスリン(吸入、AIR)、インスリン(吸入、Technosphare)、インスリン(吸入、AERx)、RGN−303、DiaPep277、インターフェロンベータ(C型肝炎ウイルス(HCV)感染症)、インターフェロンアルファ−n3(経口)、ベラタセプト、経皮インスリンパッチ、AMG−531、MBP−8298、Xerecept、オペバカン、AIDSVAX、GV−1001、LymphoScan、ランピルナーゼ、Lipoxysan、ルスプルチド、MP52(ベータ−リン酸三カルシウム担体、骨再生)、黒色腫ワクチン、シプリューセル−T、CTP−37、Insegia、ビテスペン、ヒトトロンビン(凍結、外科出血用)、トロンビン、TransMID、アルフィメプラーゼ、Puricase、テルリプレシン(静脈内、肝腎症候群)、EUR−1008M、組み換えFGF−I(注射剤、血管疾患)、BDM−E、ロチガプチド、ETC−216、P−113、MBI−594AN、デュラマイシン(吸入、嚢胞性線維症)、SCV−07、OPI−45、エンドスタチン、アンギオスタチン、ABT−510、ボーマンバーク阻害剤濃縮物、XMP−629、99 mTc−Hynic−アネキシンV、カハラリドF、CTCE−9908、テベレリクス(持続放出)、オザレリクス、ロミデプシン(rornidepsin)、BAY−504798、インターロイキン4、PRX−321、Pepscan、イボクタデキン、rhラクトフェリン、TRU−015、IL−21、ATN−161、シレンギチド、Albuferon、Biphasix、IRX−2、オメガインターフェロン、PCK−3145、CAP−232、パシレオチド、huN901−DMI、卵巣がん免疫療法ワクチン、SB−249553、Oncovax−CL、OncoVax−P、BLP−25、CerVax−16、マルチエピトープペプチド黒色腫ワクチン(MART−1、gp100、チロシナーゼ)、ネミフィチド、rAAT(吸入)、rAAT(皮膚科)、CGRP(吸入、喘息)、ペグスネルセプト、サイモシンベータ4、プリチデプシン、GTP−200、ラモプラニン、GRASPA、OBI−1、AC−100、サケカルシトニン(経口、eligen)、カルシトニン(経口、骨粗鬆症)、エキサモレリン、カプロモレリン、Cardeva、ベラフェルミン、131I−TM−601、KK−220、T−10、ウラリチド、デペレスタット、ヘマチド、Chrysalin(局所)、rNAPc2、組み換え第VIII因子(PEG化リポソーム)、bFGF、PEG化組み換えスタフィロキナーゼ変種、V−10153、SonoLysis Prolyse、NeuroVax、CZEN−002、膵島細胞新生治療、rGLP−1、BIM−51077、LY−548806、エキセナチド(制御放出、Medisorb)、AVE−0010、GA−GCB、アボレリン、ACM−9604、酢酸リナクロチド、CETi−1、Hemospan、VAL(注射剤)、速効型インスリン(注射剤、Viadel)、鼻腔内インスリン、インスリン(吸入)、インスリン(経口、eligen)、組み換えメチオニルヒトレプチン、ピトラキンラ皮下注射剤、湿疹)、ピトラキンラ(吸入ドライパウダー、喘息)、Multikine、RG−1068、MM−093、NBI−6024、AT−001、PI−0824、Org−39141、Cpn10(自己免疫疾患/炎症)、タラクトフェリン(局所)、rEV−131(眼科)、rEV−131(呼吸器疾患)、経口組み換えヒトインスリン(糖尿病)、RPI−78M、オプレルベキン(経口)、CYT−99007 CTLA4−lg、DTY−001、バラテグラスト、インターフェロンアルファ−n3(局所)、IRX−3、RDP−58、Tauferon、胆汁酸刺激リパーゼ、Merispase、アラニン(alaline)ホスファターゼ、EP−2104R、Melanotan−II、ブレメラノチド、ATL−104、組み換えヒトミクロプラスミン、AX−200、SEMAX、ACV−1、Xen−2174、CJC−1008、ダイノルフィンA、SI−6603、LAB GHRH、AER−002、BGC−728、マラリアワクチン(ビロソーム、PeviPRO)、ALTU−135、パルボウイルスB19ワクチン、インフルエンザワクチン(組み換えノイラミニダーゼ)、マラリア/HBVワクチン、炭疽ワクチン、Vacc−5q、Vacc−4x、HIVワクチン(経口)、HPVワクチン、Tatトキソイド、YSPSL、CHS−13340、PTH(1−34)リポソームクリーム(Novasome)、Ostabolin−C、PTHアナログ(局所、乾癬)、MBRI−93.02、MTB72Fワクチン(結核)、MVA−Ag85Aワクチン(結核)、FARA04、BA−210、組み換えペストFIVワクチン、AG−702、OxSODrol、rBetV1、Der−p1/Der−p2/Der−p7アレルゲン標的化ワクチン(チリダニアレルギー)、PR1ペプチド抗原(白血病)、変異体rasワクチン、HPV−16 E7リポペプチドワクチン、迷路障害ワクチン(腺癌)、CMLワクチン、WT1−ペプチドワクチン(がん)、IDD−5、CDX−110、Pentrys、Norelin、CytoFab、P−9808、VT−111、イクロカプチド、テルベルミン(皮膚科、糖尿病性の足潰瘍)、ルピントリビル、レティキュロース、rGRF、HA、アルファ−ガラクトシダーゼA、ACE−011、ALTU−140、CGX−1160、アンジオテンシン治療ワクチン、D−4F、ETC−642、APP−018、rhMBL、SCV−07(経口、結核)、DRF−7295、ABT−828、ErbB2特異的イムノトキシン(抗がん)、DT3SSIL−3、TST−10088、PRO−1762、Combotox、コレシストキニン−B/ガストリン受容体結合ペプチド、111In−hEGF、AE−37、トラスニズマブ−DM1、アンタゴニストG、IL−12(組み換え)、PM−02734、IMP−321、rhIGF−BP3、BLX−883、CUV−1647(局所)、L−19ベースの放射免疫療法(がん)、Re−188−P−2045、AMG−386、DC/1540/KLHワクチン(がん)、VX−001、AVE−9633、AC−9301、NY−ESO−1ワクチン(ペプチド)、NA17.A2ペプチド、黒色腫ワクチン(パルス抗原治療)、前立腺がんワクチン、CBP−501、組み換えヒトラクトフェリン(ドライアイ)、FX−06、AP−214、WAP−8294A(注射剤)、ACP−HIP、SUN−11031、ペプチドYY[3−36](肥満、鼻腔内)、FGLL、アタシセプト、BR3−Fc、BN−003
、BA−058、ヒト副甲状腺ホルモン1−34(鼻、骨粗鬆症)、F−18−CCR1、AT−1100(セリアック病/糖尿病)、JPD−003、PTH(7−34)リポソームクリーム(Novasome)、デュラマイシン(眼科、ドライアイ)、CAB−2、CTCE−0214、糖PEG化エリスロポエチン、EPO−Fc、CNTO−528、AMG−114、JR−013、第XIII因子、アミノカンジン、PN−951、716155、SUN−E7001、TH−0318、BAY−73−7977、テベレリクス(即時放出)、EP−51216、hGH(制御放出、Biosphere)、OGP−I、シフュビルタイド、TV4710、ALG−889、Org−41259、rhCC10、F−991、サイモペンチン(肺疾患)、r(m)CRP、肝選択性インスリン、スバリン、L19−IL−2融合タンパク質、エラフィン、NMK−150、ALTU−139、EN−122004、rhTPO、トロンボポエチン受容体アゴニスト(血小板減少障害)、AL−108、AL−208、神経生長因子アンタゴニスト(疼痛)、SLV−317、CGX−1007、INNO−105、経口テリパラチド(eligen)、GEM−OS1、AC−162352、PRX−302、LFn−p24融合ワクチン(Therapore)、EP−1043、肺炎球菌(S pneumoniae)小児用ワクチン、マラリアワクチン、B群髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)ワクチン、新生児B群連鎖球菌ワクチン、炭疽ワクチン、HCVワクチン(gpE1+gpE2+MF−59)、中耳炎治療、HCVワクチン(コア抗原+ISCOMATRIX)、hPTH(1−34)(経皮、ViaDerm)、768974、SYN−101、PGN−0052、アビスクミン(aviscumnine)、BIM−23190、結核ワクチン、マルチエピトープチロシナーゼペプチド、がんワクチン、エンカスチム、APC−8024、GI−5005、ACC−001、TTS−CD3、血管標的化TNF(固形腫瘍)、デスモプレシン(頬側、制御放出)、オネルセプト、またはTP−9201である。
[0055]一部の態様において、POIは、アダリムマブ(HUMIRA)、インフリキシマブ(REMICADE(商標))、リツキシマブ(RITUXAN(商標)/MAB THERA(商標))、エタネルセプト(ENBREL(商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(商標))、トラスツズマブ(HERCEPTIN(商標))、ペグリルグラスチム(NEULASTA(商標))、またはバイオシミラーおよびバイオベターを含む他の任意の適したPOIである。
[0056]バイオシミラーおよびバイオベターを含む他の適したPOIは、以下の表1および米国特許出願公開第2016/0097074号に記載のPOIである。
Figure 0006974341
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[0057]一部の態様において、POIは、表2に示されるホルモン、凝血/凝固因子、サイトカイン/増殖因子、抗体分子、融合タンパク質、タンパク質ワクチン、またはペプチドである。
Figure 0006974341
Figure 0006974341
[0058]一部の態様において、POIは多特異性タンパク質、例えば表3に示される二特異性抗体である。
Figure 0006974341
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Figure 0006974341
Figure 0006974341
Figure 0006974341
[0059]本明細書に記載の装置、設備、および方法は、原核および/または真核細胞株を含む任意の所望の細胞株の培養に用いるためにおよび培養と共に用いるために適している。さらに、態様において、装置、設備、および方法は、浮遊細胞、または接着依存(接着)細胞を含む任意の細胞タイプを培養するために適しており、薬剤および生物薬剤産物、例えばポリペプチド産物(対象のタンパク質(POI))、核酸産物(例えば、DNAまたはRNA)、または細胞および/もしくはウイルス治療に用いられるものなどの細胞および/もしくはウイルスなどを産生するように構成された産生操作にとって適している。
[0060]態様において、細胞は、組み換えた治療産物または診断産物などの産物を発現または産生する。以下により詳細に記載するように、細胞によって産生される産物の例には、抗体分子(例えば、モノクローナル抗体、二特異性抗体)、抗体模倣体(抗原に特異的に結合するが、抗体に構造的に関連しないポリペプチド分子、例えばDARPin、アフィボディ、アドネクチン、またはIgNARなど)、融合タンパク質(例えば、Fc融合タンパク質、キメラサイトカイン)、他の組み換えタンパク質(例えば、グリコシル化タンパク質、酵素、ホルモン)、またはウイルス治療剤(例えば、抗がん腫瘍溶解ウイルス、遺伝子治療およびウイルス免疫療法のためのウイルスベクター)、細胞治療剤(例えば、多能性幹細胞、間葉幹細胞、および成体幹細胞)、ワクチンまたは脂質封入粒子(例えば、エクソソーム、ウイルス様粒子)、RNA(例えば、siRNAなど)、またはDNA(例えば、プラスミドDNAなど)、抗生物質、またはアミノ酸を含む、本明細書に例示されるものなどのPOIを含むがこれらに限定されない。態様において、装置、設備、および方法は、バイオシミラーを産生するために用いることができる。
[0061]言及したように、態様において、装置、設備、および方法は、真核細胞、例えば哺乳類細胞、または例えば酵母細胞もしくは糸状菌細胞などの下等真核細胞、またはグラム陽性もしくはグラム陰性細胞の産生、および/または真核もしくは原核細胞の産物、例えば、前記細胞によって大量に合成されたタンパク質、ペプチド、もしくは抗体、アミノ酸、核酸(DNAまたはRNAなど)を含むPOIの産生を可能にする。本明細書において特に明記していない限り、装置、設備、および方法は、実験室規模、試験規模、および実生産規模の生産力を含むがこれらに限定されない任意の所望の量または生産力を含み得る。
[0062]その上、および本明細書において特に明記していない限り、装置、設備、および方法は、攪拌タンク、エアリフト、ファイバー、マイクロファイバー、中空ファイバー、セラミックマトリクス、流動床、固定床、および/または噴流層バイオリアクターを含むがこれらに限定されない任意の適したリアクターを含み得る。本明細書において用いられる「リアクター」は、発酵器もしくは発酵ユニット、または他の任意の発酵容器を含むことができ、用語「リアクター」は、「発酵器」と互換的に用いられる。例えば、一部の側面において、例としてのバイオリアクターユニットは、以下の1つまたは複数、または全てを行うことができる:栄養素および/または炭素源のフィード、適したガス(例えば、酸素)の注入、発酵または細胞培養培地の流入量および流出量、ガス相と液相の分離、温度の維持、酸素およびCO2レベルの維持、pHレベルの維持、かき混ぜ(例えば、攪拌)、および/または洗浄/滅菌。例としてのリアクターユニット、例えば発酵ユニットは、ユニット内に複数のリアクターを含んでもよく、例えばユニットは、それぞれのユニットに1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、または100個、またはそれより多くのバイオリアクターを含むことができ、および/または設備は、設備内に1つまたは複数のリアクターを有する複数のユニットを含み得る。様々な態様において、バイオリアクターは、回分、半回分、流加、灌流、および/または連続発酵プロセスにとって適し得る。任意の適したリアクターの直径を用いることができる。態様において、バイオリアクターは、約100mL〜約50,000Lの容積を有し得る。非制限的な例としては、100mL、250mL、500mL、750mL、1リットル、2リットル、3リットル、4リットル、5リットル、6リットル、7リットル、8リットル、9リットル、10リットル、15リットル、20リットル、25リットル、30リットル、40リットル、50リットル、60リットル、70リットル、80リットル、90リットル、100リットル、150リットル、200リットル、250リットル、300リットル、350リットル、400リットル、450リットル、500リットル、550リットル、600リットル、650リットル、700リットル、750リットル、800リットル、850リットル、900リットル、950リットル、1000リットル、1500リットル、2000リットル、2500リットル、3000リットル、3500リットル、4000リットル、4500リットル、5000リットル、6000リットル、7000リットル、8000リットル、9000リットル、10,000リットル、15,000リットル、20,000リットル、および/または50,000リットルの容積が挙げられ得る。さらに、適したリアクターは、複数回使用、1回使用、使い捨て、または非使い捨てであり得て、ステンレススチール(例えば、316Lまたは他の任意の適したステンレススチール)およびインコネルなどの金属合金、プラスチック、および/またはガラスを含む任意の適した材料で形成することができる。
[0063]態様において、および本明細書において特に明記していなければ、本明細書に記載の装置、設備、および方法はまた、そのような産物を分離、精製、および単離するための操作および/または機器などの、特に言及していない任意の適したユニット操作および/または機器を含み得る。従来の現場組み立て設備、モジュール、モビール、および一時的な設備、または他の任意の適した構成、設備、および/またはレイアウトなどの、任意の適した設備および環境を用いることができる。例えば、一部の態様において、モジュールのクリーンルームを用いることができる。加えておよび特に明記していなければ、本明細書に記載の装置、システム、および方法は、単一の場所もしくは施設において収容および/または行うことができ、またはあるいは異なるもしくは複数の場所および/または施設で行うことができる。
[0064]非制限的な例としておよび限定されないが、全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願公開第2013/0280797号;第2012/0077429号;第2011/0280797号;第2009/0305626号;および米国特許第8,298,054号;第7,629,167号;および第5,656,491号は、適し得る例としての設備、機器、および/またはシステムを記載している。
[0065]誘導前の固有の増殖速度が異なり、および誘導時のバイオマス濃度が異なる、例示的なフィードプロファイル。 拡大して中央にした多重線形回帰モデル:x_EFB:誘導時のバイオマス[g/L]およびμFB:誘導前の固有の増殖速度[1/h]を線形項として含めた。固有の最大タイターを応答とした。 [0066]図3Aおよび3B:拡大して中央にした多重線形回帰モデル。 図3C:拡大して中央にした値の主成分解析。 [0067]図4A:固有の最大タイター[g/g]と誘導相の固有の増殖速度の平均値[1/h]との相関。 固有の最大タイター[g/g]と誘導前の相の終了時に計算した固有の基質取り込み速度qSinit[g/g/h]との相関。 統計的回帰分析:固有の増殖速度[1/h]は、応答としての固有の最大タイターと相関した。 統計的回帰分析:誘導前の相の終了時に計算した固有の基質取り込み速度qSinit[g/g/h]は、応答としての固有の最大タイターと相関した。 [0068]誘導後の時間[h]に対してプロットした固有のタイター、固有の産生率[g/g/h]、フィード速度[g/h]、固有の増殖速度μ[1/h]、および固有の基質取り込み速度q[g/g/h]の軌跡。 誘導時のバイオマス量に関して標準化した累積供給基質dSn[g/g]に対してプロットした固有のタイター、固有の産生率qp[g/g/h]、フィード速度[g/h]、固有の増殖速度μ[1/h]、および固有の基質取り込み速度q[g/g/h]の軌跡。 統計的回帰分析:固有の最大タイターまでの時間h_max[h]は、応答としての固有の最大タイターと相関した。 統計的回帰分析:誘導時のバイオマス量に関して標準化した累積供給基質dSn[g/g]は、応答として固有の最大タイターと相関した(式4)。 [0069]図6A:最初の基質取り込み速度と固有の最大タイターとの相関を示す。図6Bは、基質取り込み速度の平均値と固有の最大タイターとの相関を示す。 図6C〜E:実施した実験(n=12)において観察された分散と誘導された分散の比較。qs_init一定は、一定のqSinitで実施した実験群を表す;qs_init変動は、異なる容積一定フィードレジメンの影響を調べるために実施した実験群を表す;図6Cは、qsinit[g/g/h]における誘導された分散を示す;図6Dは、q[g/g/h]における計算された分散を示す。図6は、固有の最大タイター[g/g]において得られた分散を示す。 図6F:固有の最大タイターに及ぼす固有の基質取り込み速度の平均値の効果の統計分析。図6G:固有の最大タイターに及ぼす最初の固有の基質取り込み(式3)速度の効果の統計分析。
発明の詳細な説明
[0070]細胞を培養することにより対象タンパク質の改善された産生のための方法が提供され、ここで、フィード戦略は固有の基質取り込みに基づいている。本方法は固有の基質の取り込み速度qsを計算し、設定し、および任意に制御することに関連する。
[0071]生理学的なフィード戦略の観点から生理学を考慮し、組み換え産物の製造が改善される。これによってフィード戦略は、少なくとも1回またはタイムリーに分析されたバイオマス評価に基づいて計算される。このアプローチは1つ以上の対象タンパク質の固有の活性の改善を促進し、および/または、1つ以上の対象タンパク質の生産性を増加させる。
[0072]驚くべきことにこの方法は、特に基質の利用可能性が低い場合には、1つ以上の対象タンパク質の固有の活性および/または収率またはタイターの増加をもたらす。
[0073]本明細書を通じて使用される固有の用語は下記の意味を有する。
[0074]細胞を「培養する」という用語は、細胞と細胞培養培地を、その細胞が生存および/または成長および/または増殖に適した条件下で接触させることを言う。
[0075]本明細書中で使用される用語である「培養物」と「細胞培養物」は、細胞集団の生存および/または成長に適した条件下で、細胞培養培地中に懸濁された細胞集団をいう。本明細書中で使用されるこれらの用語は、細胞集団(例えば宿主細胞培養物)とその集団が懸濁された培地を含む組み合わせを言ってもよい。
[0076]本明細書中で使用される用語である「細胞培養培地」は、細胞の維持、成長、繁殖、または増殖のための栄養溶液を意味するものである。細胞培養培地は固有の細胞培養用途のために最適化されていてもよく、例えば、細胞の成長を促進するために処方された細胞培養成長培地、または組み換えタンパク質産生を促進するために処方された細胞培養産生培地を含む。本明細書中では用語、栄養、構成要素、および成分は置き換え可能であるように使用され、細胞培養培地を作り上げる構成成分を言う。
[0077]流加プロセスにおけるフィード培地など、細胞培養培地に関して用語「化学的に規定された」とは、細胞株作製のインビトロ細胞培養のために適した成長培地であって、その中の全ての化学成分とペプチドが既知であるものを意味するものである。典型的には化学的に規定された培地は動物由来成分を一切含まず、かつ、純粋であり一貫した細胞培養環境を表す。
[0078]本明細書中で使用される用語である「フィード」または「フィード培地」は以下を意味するものである。フィードまたはフィード培地は基質または炭素源を含み、それは化学的に規定されたもしくは複合的な培地またはその混合物でもよい。フィードまたはフィード培地は、プロモーターなどの制御配列を調節する感応物質(inductor)または誘導物質(inducer)を含んでもよい。
[0079]本明細書中で使用される用語である「感応物質」または「誘導物質」は、POIの発現を誘導することが可能な物質を意味するものである。感応物質または誘導物質をフィードの一部として又は別途に細胞培養物中に添加してもよい。枯渇誘導性発現システムの場合には、そのような感応物質または「誘導物質」の欠如がPOIの発現をもたらす。
[0080]本明細書中で使用される用語である「誘導」は各々のバイオプロセスの間に、誘導物質の補足によるか又は何かしらの種類の化学的化合物の枯渇により、POIの発現に有利なように代謝が改変される点を意味するものである。
[0081]本明細書中で使用される用語である「誘導相」は、細胞培養の、誘導前(pre-induction)の後と誘導の期間を意味するものであり、その間に細胞が組み換えタンパク質またはPOIを産生する。
[0082]本明細書中で使用される用語である細胞培養物の「産生相」は、細胞の成長が頭打ちとなるか又はほぼ一定のレベルでまたは維持される間の期間を言う。産生相の間に対数的な細胞成長は終わりPOIの産生が主要となる。この期間の間に通常、継続的なタンパク質産生を支持し、望まれるPOIを達成するために、培地が補足される。
[0083]本明細書中で使用される用語である「宿主」または「細胞」または「細胞株」は、長期の期間に亘って増殖する能力を獲得した、特定の細胞型の確立したクローンを言う。用語「宿主細胞株」は、内在的なもしくは組み換えた遺伝子または代謝経路の産物を発現させて、ポリペプチドまたはそのようなポリペプチドにより仲介された細胞代謝産物を産生するために使用される細胞株を言う。「産生宿主細胞株」または「産生細胞株」は、POIのような産生工程の産物を取得するためにバイオリアクター中で、培養のためにすぐに使用できる(ready-to use)細胞株であると一般的に理解される。用語「真核宿主」または「真核細胞」または「真核細胞株」は任意の真核細胞または生物を意味するものであり、用語「前核宿主」または「前核細胞」または「前核細胞株」は任意の前核細胞または生物を意味するものであり、その各々を、対象タンパク質(POI)または宿主細胞代謝産物を産生するために培養してもよい。その用語がヒトを含まないことは、良く理解されるところである。
[0084]用語「発現」または「発現システム」または「発現カセット」は、POIをコードする望みのコーディング配列と制御配列を、作動可能な結合で含んでいるか又は含有している核酸分子を言い、それにより、これらの配列によって形質転換またはトランスフェクトされた宿主は、POIまたは宿主細胞代謝産物などのコードされたタンパク質を産生することができる。好ましくは、細胞は組み換えた対象のタンパク質(POI)をコードする核酸を含む。好ましくは、制御配列はプロモーターである。好ましくは、プロモーターは誘導性プロモーターなどの調節可能なプロモーターである。好ましくは調節可能または誘導性プロモーターは、糖誘導性プロモーターまたは枯渇誘導性プロモーターからなる群から選択される。糖誘導性プロモーターは、ラムノースプロモーター(rhaBAD、国際公開第2006061174号A2)、メリビオースプロモーター(国際公開第2006061173号A2)、アラビノースプロモーター、lacプロモーター、またはマンノースプロモーター(国際公開第2011018376号A1)であってもよい。枯渇誘導性プロモーターは、例えばphoA(EP0177343)などのリン酸枯渇誘導性プロモーター、または、pG1、pG3、pG4、pG6、pG7またはpG8(国際公開第2013050551号A1)などの炭素源枯渇誘導性プロモーターでもよい。あるいはプロモーターは、pSC1(国際公開第2014139608号A1)などの構成的プロモーター、AOHプロモ−ター、T5プロモーター、T7プロモーター、またはIPTG誘導性プロモーターであってもよい。発現システムまたは発現カセットは、POIの遊離または分泌を許容するシグナルペプチドをコードするシグナル配列または分泌配列をさらに含んでもよい。大腸菌の場合好適なシグナル配列は、ompA、pelB、lamB、malE、phoA、bla、OppA、TreA、MppAまたはBglXであり、ピキアまたはコマガタエラ(Komagataella)の場合にはアルファ接合因子またはEPX−L(国際公開第2014067926号)である。形質転換を達成するには、発現システムはベクターの中に含まれてもよく;しかしながら、関連するDNAも宿主染色体の中に統合されていてもよい。発現とは、ポリペプチドまたは代謝産物を含む、分泌性又は非分泌性の発現産物を言ってもよい。
[0085]更なる具体的な態様によると、プロモーターおよび/またはシグナル配列は、組み換えタンパク質またはPOIをコードする遺伝子と天然では関係しておらず、ここで組み換えタンパク質又はPOIは異種タンパク質であり、好ましくは、抗体もしくはそのフラグメントなどの免疫グロブリンを含む治療タンパク質、酵素およびペプチド、タンパク質抗生物質、毒素融合タンパク質、炭水化物−タンパク質コンジュゲート、構造タンパク質、制御タンパク質、ワクチンおよびワクチン様タンパク質もしくは粒子、プロセシング酵素、増殖因子、ホルモン、ならびにサイトカインからなる群から選択されるか、またはPOIの代謝産物である。
[0086]具体的には、組み換えタンパク質またはPOIは真核細胞タンパク質、好ましくは哺乳類タンパク質である。本発明によって産生される組み換えタンパク質またはPOIは、多量体タンパク質、好ましくは二量体または四量体であってもよい。本発明の1態様によると、組み換えタンパク質またはPOIは異種タンパク質であり、好ましくは、抗体もしくはそのフラグメントなどの免疫グロブリンを含む治療タンパク質、酵素およびペプチド、タンパク質抗生物質、毒素融合タンパク質、炭水化物−タンパク質コンジュゲート、構造タンパク質、制御タンパク質、ワクチンおよびワクチン様タンパク質もしくは粒子、プロセシング酵素、増殖因子、ホルモン、ならびにサイトカインからなる群から選択されるか、または組み換えタンパク質の代謝産物である。具体的な組み換えタンパク質またはPOIは、抗体などの抗原結合分子、またはそのフラグメントであってもよい。具体的な組み換えタンパク質またはPOIには、モノクローナル抗体(mAb)、免疫グロブリン(Ig)または免疫グロブリンクラスG(IgG)、重鎖抗体(HcAb)などの抗体、またはそのフラグメント、例えば抗原結合フラグメント(Fab)、Fd、一本鎖可変フラグメント(svFv)、もしくは加工されたその変種、例えばFv二量体(ダイアボディ)、Fv三量体(トリアボディ)、Fv四量体、もしくはミニボディ、およびVHまたはVHHまたはV−NARなどのシングルドメイン抗体がある。
[0087]本明細書中で使用される用語である「誘導前の相(pre-induction phase)」とは、誘導相に先立つ細胞培養の前、すなわち誘導物質または感応物質の添加前の期間を意味するものである。
[0088]本明細書中で使用される用語である「基質」または「炭素源」とは、微生物のための炭素源として適している代謝可能な炭素基質、典型的には炭水化物を意味するものである。基質または炭素源は、細胞培養に使用するのに適している何れの型の有機炭素であってもよい。具体的な態様によれば、炭素源は炭水化物もしくは糖、例えば、グルコース、フルクト−スもしくはマンノースなどのヘキソース、サッカロースなどの二糖、グリセロールもしくはエタノールなどのアルコール、またはその混合物であってもよい。更なる具体的な態様によれば、基質または炭素源は、グルコースまたはグリセロール、またはその混合物である。その基質または炭素源は、他の二次基質または炭素源に対して優先的に代謝されるために、一次炭素源とも呼ばれ、二次基質または炭素源は、細胞に代謝される(すなわちバイオマスの生成または同化のために使用される)のにより好適ではない。好適に代謝される基質または炭素源は、炭素源誘導性プロモーターのための誘導物質として作用し得る炭素源(二次炭素源)とは異なっており、そのような例には、AOXプロモーターを誘導するメタノール、マンノースプロモーターを誘導するマンノース、ラムノースプロモーターを誘導するラムノース、メリビオースプロモーターを誘導するメリビオース、またはアラビノースプロモーターを誘導するアラビノースなどがある。
[0089]本明細書で使用される用語である「基質フィード速度」は、g/L/hまたはc-mol/L/hまたはml/L/hでフィードされる炭素源(c源)などの基質の速度を意味するものであり、すなわち発酵容量および単位時間あたりの炭素源の量である。言い換えれば基質フィード速度は、細胞の代謝を維持するのに必要とされる炭素源の量である。好ましくは、基質フィード速度は、流加相(fed-batch phase)の一部または全体の間に、継続的に適用される。
[0090]本明細書で使用される用語である「フィード戦略」は、誘導相の間に、バイオリアクター中の微生物に、基質の規定された供給を行う方法を意味するものである。
[0091]本明細書中で使用される用語である「計算する」は、異なる時点で基質取り込み速度を評価することを意味するものであり、それは典型的にはオフラインバイオマス測定を適用することにより行われる。
[0092]本明細書中で使用される用語である「設定する」は、少なくとも1時点のバイオマス評価に従ったqsに基づいて、基質フィード速度設定点またはプロファイルを調整することを意味するものである。
[0093]本明細書中で使用される用語である「少なくとも」は、特定の値が前記の特定の値と同じであるか、またはそれ以上である状況を言う。例えば「少なくとも1」は、「1またはそれ以上」と同じであり、すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15・・・等であると理解される。
[0094]本明細書中で使用される用語である「制御する」は、定期的な、基質取り込み速度の繰り返し計算と、それに続くフィード速度の調整を意味するものとする。これは典型的には、バイオマスのリアルタイム評価/測定によって行われ、それは、固有の基質取り込み速度の計算と、続いての自動化されたフィード速度調整を促進する。
[0095]本明細書中で使用される用語である「バイオマス評価」は、バイオリアクター中のオンラインまたはオフライン測定または評価に基づいたバイオマスの定量を言うものとする。
[0096]本明細書中で使用される用語である細胞の「維持速度」または「細胞維持速度」は、生理的な機能のハウスキーピング(housekeeping)/維持(upkeep)のための、細胞のエネルギー要求を意味するものであり、その機能には例えば、細胞膜を渡っての濃度グラジエントの維持、DNA修復またはRNA合成が含まれる。維持速度においては、得られる正味のバイオマス合成は無いか、または殆ど無いか、または僅かな減少さえあり、固有の増殖速度μは約ゼロ(0)であるか、または0に満たない。本明細書中で使用される用語である「維持速度に近似する」は上記で規定された維持速度と、維持速度よりも約50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、または約10%、または約5%、または約3%、または約2%上回る値も含むものである。そのように維持速度よりも僅かに高い条件下でさえも、細胞のバイオマス合成は起こり得るものであり、固有の増殖速度μは0に近似するか、またはそれを上回るか僅かに上回る。好適な態様において、そのように維持速度よりも僅かに高い値でのμは、0.0001から0.0004/h、0.0005から0.0009/h、0.001から0.004/h、0.005から0.009/h、0.01から0.04/h、0.05から0.09/h、または0.1から0.2/hの範囲内であり、好ましくは0.005から0.015/hの範囲内であり、最も好ましくは0.008から0.0012/hの範囲内である。
[0097]本明細書中で使用される用語である「ソフトセンサー」は、容易に入手できるプロセスデータの数学的プロセシングによる、重要な非測定プロセス変数へのアクセスを許容するプロセス分析装置である。それらは典型的にはハードタイプのセンサーと比較して価格が低く、システムの無菌バリアを侵すことはない。
[0098]本明細書中で使用される用語である「ハードセンサー」は、濁度、培養液(broth)蛍光、または誘電率などの重要なプロセス変数を測定するためのプロセス装置を言う。
[0099]本明細書中で使用される用語である「約」は、特段の記述があるか、または本技術分野における通常の許容範囲内として理解される事情から自明である場合以外には、例えば、平均の2標準偏差内である。約は述べられた値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%以内であると理解される。
[0100]バイオマスの固有の基質取り込み速度qsは、細胞培養物の生理学的な状態と直接的に結びついており、よって、バイオマスの固有の産生率qに高い影響力を有している。パラメータqsを制御するために、及びそれによって固有の産生率qを操作するために、所定の時点における発酵槽中でのバイオマス濃度を知らなければならない。
[0101]本明細書中で使用される用語である「リアルタイムバイオマス評価」は、バイオマスに関する評価に基づいて実行中のプロセスの中で行われる、リアルタイムのバイオマス評価を意味するものである。タンパク質の過剰発現により引き起こされるエネルギー代謝の中の誘導変化により、収率係数の変化がもたらされる(Jenzch,Simutis et al.2006,Schaepe,Kuprijanov et al.2014)。よってリアルタイムバイオマス評価のための種々のアプロ−チが報告されている(Riesenberg,Schulz et al.1991,de Assis and Filho 2000,Jobe,Herwig et al.2003,Jenzsch,Gnoth et al.2006,Jenzsch,Simutis et al.2006,Passrinha,Bonifacio et al.2009,Dabros,Schuler et al.2010)。これらのリアルタイムアプローチは、バイオマス評価の基となる原理により、ハードタイプセンサー(Dabros,Dennewald et al.2009)と、モデルベースのもの(Jenzch,Simutis et al.2006,Jenzsch,Gnoth et al.2006);に分類することができる。モデルベースのアプローチの例はソフトセンサーの使用であろう(Wechselberger 2013)。ソフトセンサーの背後にある中心となるアイデアは、重要なプロセス変数の評価のために、比較的に容易にアクセスできるオンラインデータを使用することである。
[0102]用語「qSinit」は、フィード速度を設定することにより誘導の時点で到達した、固有の基質取り込み速度を言う。本明細書中で使用される用語である「qs」は、プロセス相についてタイムリーに変動する固有の基質取り込み速度の平均を言う。
[0103]最先端の知識と対比して本発明は初めて、普通ではなく低い(非制御、および制御の両者)qs値は、組み換えて発現したタンパク質の生産性増加をもたらす、という驚くべき発見を描くものである。第2の驚くべき発見は、生理学的なパラメータである固有の基質取り込み速度qsを、生成相の間に定常的に低いレベルに能動的に制御することにより、組み換えタンパク質のタイターを最大50%増加させることができるということである。
[0104]更にハードウェアプローブが利用可能であり、プロセスと生物固有の較正が確立された後に、それによってリアルタイムでオンラインのバイオマス計測をすることが可能となる。これらの市販されているバイオマス計測は、例えば静電容量計測(例えばAber Instruments、Hamilton)または光学密度(例えばMettler Toledo)に基づく。
[0105]上記で述べたようにバイオマス計測は、生理学的パラメータであるバイオマス増殖速度μと基質消費速度qsの計算を行う基礎である。生産性を転用可能な様に表現するためにバイオマス値が必要である:
(1)μ=1/XdX/dt
(2)qs=1/XdS/dt
(3)q=1/XdP/dt
μ バイオマス増殖速度[1/h]
X バイオマス濃度[g/L]
qs バイオマス固有の基質取り込み速度[g/g/h]
S 基質濃度[g/L]
バイオマス固有の産生速度[g/g/h]
P 生成物濃度[g/L]
t 培養時間[時間]
[0106]流加発酵においては、フィードされた基質は細胞によって速やかに消費される。よって基質取り込み速度はバイオマス固有の基質フィード速度と等しく、よって、フィードポンプのポンプ速度と現在のバイオマス濃度から推測することができる。成長速度と基質取り込み速度の両者の値は、バイオマス−基質収量係数YX/S
(4)YX/S=μ/qs
によって結びついている。
X/S バイオマス−基質収量係数(g/g)
[0107]もし収量係数YX/Sが既知であるならば、式4に従ってμは直接的にqsに変換することができ、その逆も同様である。もしYX/Sが一定でないならば、この変換は複雑となる。もし組み換えにより発現したタンパク質が細胞の代謝状態に大きな影響を有するならば、産生相の間にYX/S値の変化が観察される。これは広範囲のタンパク質について真実であり、なぜならばそれらの発現は、細胞のタンパク質合成とエネルギー代謝に代謝上の負荷をかけるからである。
[0108]μとqsの間の生理学的な差は、微生物増殖μを単に細胞の基質取り込みqsの結果として述べることにより一般化することができる。細胞の生理を制御する主要パラメータ(環境パラメータに加えて)は、栄養の入手可能性である。栄養が入手できる場合に限り、細胞はそれらを、細胞分裂、(組み換え)タンパク質産生または維持のいずれかのために変換することができる。この相関関係は式5:
(5)qs=1/YX/S μ+1/YP/S +m
に示されるように述べることができる。
P/S 産物−基質収量係数[g/g]
m 維持係数[1/h]
[0109]この観点から、「症状(symptom)」μの制御の代わりに、上流パラメータqsの制御はより有意義である。
[0110]式4と5において述べたように、μとqsの間の相関は、μ=YX/S qsにより与えられる。収量係数YX/Sは、非誘導大腸菌細胞については、典型的には0.4〜0.5g/gであるが、POIの発現が誘導されているときには大きく減少する。多くの組み換えタンパク質において、タンパク質発現は細胞にとって高度の代謝負荷をもたらし、すなわち、タンパク質合成のネットワークと、フォールディングまたはタンパク質分解などの二次的プロセスによって、多くのエネルギーが消費される。さらに組み換え産物は細胞にとって有毒ですらあって、細胞の成長を完全に阻害するかもしれない(YX/S〜0)。
[0111]μを制御する追加の難点は、技術的な難点である。式1と2を比較すると、μの計算は間違いを起こしやすいバイオマスXの計測を2回考慮している(qsの計算においてX値は1つであることに比較して)ことが判る。この不利益に関わらず、例えばGnoth et al.,2008aに述べられているように、発酵プロセスにおいてμの制御はしばしば使用されている。
[0112]我々が知る限り、非常に低い栄養供給において生産性が増加することを示すことは、文献のどの報告においても見出されなかった。細胞の生存を、維持速度、または本明細書中で規定されたその維持速度の近似においてのみ保証する、そのように低い栄養供給においてさえである。よって、もしフィード戦略が単に技術的(例えばポンプ速度)なものであっても、生理学的な変数であるqsまたはμにすら基づくフィード戦略による生理学的なアプローチであっても、それは問題とならない。
[0113]本発明は、組み換えタンパク質の高い産生のために最適なレベルにqsを制御する目的で、リアルタイムバイオマス評価を初めて適用するものでもある。本技術分野の最先端の知識とは対照的に実施された実験は、誘導相を通じて生理学的な変数である固有の基質取り込み速度qsを能動的に制御したときに、免疫グロブリン(例えばFAb)などの組み換えタンパク質のタイターを最大50%増加することができるという驚くべき発見を最初にもたらした。
[0114]我々が知る限りこれまでのところ、このように低いレベルのqsにおいて、生理学的なプロセスの制御のみによって引き起こされるこのように顕著な細胞生産性の増加があることを誰も示してはいなかった。有利なqs制御の最初の発見は一般的に、実際のqsレベルとは無関係である。具体的には、好ましくは誘導相の開始において、qs値が適切なレベルに能動的に設定され、任意に制御される場合。誘導相において、固有の取り込み速度は能動的に設定され、任意に細胞維持速度の範囲内に、または上記で規定された細胞維持速度の僅かに高く制御される。
[0115]第二の驚くべき発見は、普通でなく低いqs値(非制御および制御の両者において)は、原核細胞(例えば大腸菌細胞)などの細胞内で、抗体フラグメント(Fab)などの組み換えにより発現したタンパク質の全般的な生産性の増加をもたらす、というものである。
[0116]我々が知る限り、非常に低い基質取り込み速度qsが高いqに最適であることが見出されたという、フィードとqの間の相関は報告されていなかった。よって最適な基質フィードを、細胞維持の範囲内の非常に低いレベル(ここでμ〜0であり、qs〜0.03から0.15g/g/h)として特許請求をしている我々の発明は、驚くべきものであり新規である。
[0117]よって驚くべきことに、固有の基質取り込み速度qsを細胞維持速度の範囲内、または細胞維持速度よりも約50%、45%、40%、35%、30%、30%、25%、20%、15%、10%または5%高く設定し、および任意に制御も行うことは、固有の増殖速度μなどの従来のパラメータによって制御された細胞培養物と比較したときに、少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、または少なくとも約50%の生産性の増加をもたらす。
[0118]下記の項目は更に、本明細書に提供された開示の具体的な観点、および教示を実施するための具体的な態様を提供する。
[0119]1.組み換えた対象のタンパク質(POI)を作製する方法であって、
(a)細胞培養培地中で細胞を培養し、少なくとも1つの基質を含むフィードを細胞培養物中に添加することにより前記POIを発現させること、
(b)前記POIの誘導相および/または産生相の間に、前記細胞の固有の基質取り込み速度qsを、計算し、設定し、および、任意に制御するフィード戦略を適用することであって、ここでqsは前記細胞培養物の維持速度に近似して設定されること;および
(c)前記POIを前記細胞培養物から単離すること、
を含む方法。
[0120]2.qsは0.03から0.15g/g/h、好ましくは0.05から0.12g/g/h、より好ましくは0.08から0.12g/g/hの範囲内であり、最も好ましくは、qsは約0.12/g/hである、項目1に記載の方法。
[0121]3.qsは制御されるか、または制御されない、項目1または2に記載の方法。
[0122]4.前記POIの産生相の少なくとも75%、少なくとも80%、または少なくとも95%の間にわたり、qsは一定であるように、減少するように、または増加するように制御されている、項目3に記載の方法。
[0123]5.前記POIの産生相の少なくとも50%の時間にわたり、qsは一定の値(+/−15%)に制御される、項目3または4に記載の方法。
[0124]6.qsが約0.03g/g/h、0.04g/g/h、0.05g/g/h、0.06g/g/h、0.07g/g/h、0.08g/g/h、0.09g/g/h、0.1g/g/h、0.11g/g/h、0.12g/g/h、0.13g/g/h、0.14g/g/h、または0.15g/g/hであり、最も好ましくはqsが約0.12g/g/hである、項目5に記載の方法。
[0125]7.前記POIの産生相の少なくとも50%の時間にわたり、qsは制御され、かつ減少させられる項目3に記載の方法。
[0126]8.qsが0.15から0.05g/g/hに減少し、好ましくは0.15から0.12g/g/h以下に、0.15から0.10g/g/hに、0.15から0.07g/g/hに、0.15から0.05g/g/hに、0.12から0.1g/g/hに、0.12から0.07g/g/hに、0.12から0.05g/g/hに、0.10から0.07g/g/hに、0.1から0.05g/g/hに、または0.1から0.03g/g/hに減少する、項目6に記載の方法。
[0127]9.フィード速度を調整することによりqsが制御される、先行するいずれか1項目に記載の方法。
[0128]10.qsがフィードバック制御される固有の基質取り込み速度により制御される、先行するいずれか1項目に記載の方法。
[0129]11.バイオマスを定量することにより、前記フィード戦略が生理学的に制御される、先行するいずれか1項目に記載の方法。
[0130]12.バイオマス評価/計測によってバイオマスが測定される、項目11の方法。
[0131]13.リアルタイムバイオマス評価/計測によってバイオマスが測定される、項目12の方法。
[0132]14.リアルタイムバイオマス計測が、ソフトセンサーまたはハードセンサーを用いて行われる、項目13に記載の方法。
[0133]15.前記基質がグルコースまたはグリセロールである、先行するいずれか1項目に記載の方法。
[0134]16.前記細胞が真核細胞または原核細胞からなる群から選択される、先行するいずれか1項目に記載の方法。
[0135]17.前記真核細胞が、哺乳類、昆虫、酵母、糸状菌および植物細胞からなる群から選択され、好ましくは、酵母細胞であり、最も好ましくはピキア・パストリス(Pichia pastris)、コメガタエラ・パストリス(Komagataella pastris)、K・ファフィー(K phaffii)、またはK・シュードパストリス(K pseudopastoris)である、項目16に記載の方法。
[0136]18.前記原核細胞が、大腸菌、枯草菌、およびシュードモナス菌(Pseudomonas)からなる群から選択される、項目16に記載の方法。
[0137]19.前記原核細胞が大腸菌である、項目18に記載の方法。
[0138]20.前記POIの大部分が、細胞質内に、ペリプラズム内に、または細胞外に位置する、項目16に記載の方法。
[0139]21.前記POIをコードする核酸に作動可能に連結した制御可能なプロモーターを含む発現システムまたは発現カセットを用いて前記POIを発現させる、先行するいずれか1項目に記載の方法。
[0140]22.前記制御可能なプロモーターが誘導性プロモーターであるか、または、枯渇誘導性プロモーターである、項目21に記載の方法。
[0141]23.前記誘導性プロモーターがラムノースプロモーター、メリビオースプロモーター、マンノースプロモーター、アラビノースプロモーター、T5プロモーター、T7プロモーター、lacプロモーター、または、IPTG誘導性プロモーターである、項目21または22に記載の方法。
[0142]24.前記ラムノースプロモーターがrhaBADである、項目23に記載の方法。
[0143]25.前記POIが異種タンパク質であり、好ましくは、治療タンパク質、酵素およびペプチド、タンパク質抗生物質、毒素融合タンパク質、炭水化物−タンパク質コンジュゲート、構造タンパク質、制御タンパク質、ワクチンおよびワクチン様タンパク質もしくは粒子、プロセシング酵素、増殖因子、ホルモン、ならびにサイトカインからなる群から選択されるか、またはPOIの代謝産物である、先行するいずれか1項目に記載の方法。
[0144]26.前記治療タンパク質が抗原結合分子であり、好ましくは免疫グロブリンであり、より好ましくは抗体または抗体フラグメントであり、最も好ましくはFabまたはscFv抗体である、項目25に記載の方法。
[0145]27.前記原核細胞が大腸菌であり、前記プロモーターがrhaBADである、先行するいずれか1項目に記載の方法。
[0146]28.組み換えた対象のタンパク質(POI)を作製する方法であって、
(a)細胞培養培地中で細胞を培養し、少なくとも1つの基質を含むフィードを前記細胞培養物中に添加することにより前記POIを発現させること、
(b)qsを細胞培養物の維持速度よりも僅かに高く設定すること;および
(c)前記POIを細胞培養物から単離すること、
を含む方法。
[0147]29.qsは0.03から0.15g/g/h、好ましくは0.05から0.12g/g/h、より好ましくは0.08から0.12g/g/hの範囲内であり、最も好ましくはqsは約0,12/g/hである、項目28に記載の方法。
下記の実施例は本発明の理解を助けるために示されたものであるが、如何なる意味においても発明の範囲を制限することを意図したものではなく、そのように理解されるべきではない。実施例は従来の方法、例えばクローニング、トランスフェクション、および微生物宿主細胞中でのタンパク質発現の方法の基礎的な観点などの詳細な記載を含まない。そのような方法は本技術分野の当業者に良く知られているものである。
[00148]誘導前の固有の増殖速度および誘導時のバイオマス濃度の影響を調べるために、二要因スクリーニング設計(DoE)を選択した。異なるバイオマス濃度の差を補償するために、誘導時の容積一定フィード速度は、同じ固有の基質取り込み(qsinit、式3および図2を参照されたい)に基づいた。
[00149]転用可能性を増加させるために、研究の目標は、プロセスパラメータと固有の最大タイターとの相関が観察されたことの生理的原因を説明することである。それぞれのDoEのデータに基づいて、最も有望な生理的記述子は、主成分分析の助けを借りて同定される。情報マイニングアプローチを用いて、生理学を、その後の研究のための要因を選択するために最大の固有タイターに関連させる。
[00150]本明細書において、生理学は、定義されたプロセス相における時間依存的生理的変数の平均値に対応する単一の数値、すなわち生理的記述子によって記載される。
材料および方法
[00151]改変K12大腸菌株をモデル発現系として用いた。株は、ラムノース誘導発現系(rhaBADプロモーター;国際公開第2006061174号A2)を特徴とする。組み換えたタンパク質産物は、Fab抗体であった。株は、ラムノースを炭素源として利用することができないことから、誘導物質の一度の添加で十分であった。
[00152]発酵に関して、既定の培地を用いた(Wilms,Hauck et al.2001)。
[00153]4つのガラスバイオリアクターからなるDASGIPマルチバイオリアクターシステムにおいて作業容積各2L(Eppendorf;Hamburg,Germany)で流加培養実験を行った。リアクターは、バッフルおよび3つのディスクインペラ攪拌子を備えている。DASGIP制御ソフトウェアv4.5改訂版230を用いて、プロセスパラメータ:pH(Hamilton,Reno,USA)およびpO(Mettler Toledo;Greifensee,Switzerland;モジュールDASGIP PHPO)、温度および攪拌子の速度(モジュールDASGIP TC4SC4)および曝気(モジュールDASGIP MX4/4)を制御した。pH制御は、ポンプモジュールDASGIP MP8による12.5%NHOH塩基の添加によって促進した。同じポンプモジュールを用いて、フィードを添加した。リアクターを121℃で20分間滅菌した。オフガス中のCO、O濃度をそれぞれ、非分散赤外線および二酸化ジルコン検出原理を用いてガス分析器(モジュールDASGIP GA4)によって定量した。ガス流は、ガス混合モジュールDASGIP GA4によって制御した。
[00154]凍結保存液からの前培養物を、振とうフラスコに接種した(1Lフラスコに100mL)。30℃および200rpmでおよそ17時間後、回分容積の2.5%の前培養物の容積同等物を用いて、回分培地を接種した。回分培地(20g/L C−源)の接種後、回分培養中のC−源は、12時間以内に消費された。誘導前フィード戦略は、式1および式2に従って指数的フィードフォワードプロファイルに基づいた。流加培養後、培養物をラムノースによって誘導した。誘導フィード速度を、誘導前相の終了時に式3に従って計算し(Wechselberger et al.,2012)、容積フィード速度は誘導相を通して一定のままであった。溶存酸素レベル(DO)は、純粋な酸素を空気に補充することによって25%超(接種前に35℃、1気圧で100%を設定した)に制御した。pHは、窒素源としての役割も果たす12.5%NHOHを添加することによって7で一定に維持した。温度は、プロセス全体に関して35℃に設定した。
式6
(t)=F (μ*t)
式7
=(x μ)/(cfeed xs
式8
ind=(xEFB EFB qsinit)/(cfeed
[00155]バイオマス乾燥細胞重量濃度を、105℃で72時間乾燥後に重量測定法で定量した。F(式7)の計算にとって必要な初回バイオマス濃度は、光度測定原理(OD600nm)によって計測した。試料をOD測定の線形範囲の0.8未満となるように希釈し、その後確立された線形回帰の使用によってバイオマス濃度に変換した。
[00156]オフライン試料を遠心分離(4300rcf、10分間)して、沈降物を蒸留水で洗浄した後、−20℃で保存した。凍結した沈降物を100mM Tris、10mM Na−EDTA pH7.4で最終容積20mLに再懸濁し、1400±100barで6回ホモジナイズした(Avestin EmulsiFlex,Ottawa,Canada)。
[00157]産物の量は、pH勾配を用いる工業用プロテインGアフィニティクロマトグラフィー方法によって計測した。正確に折り畳まれた産物のみが結合することから、産物量の計測はまた、産物の品質の計測でもあると考えられる。
[00158]代謝速度および収量係数の計算を、Matlab 2012 b(Mathworks,Natick,Massachusetts,USA)によって行った。Wechselbergerら(2012;式8および9)に記載されるように、ソフトウェアを、固有の速度および収量係数の計算のために用いた。
[00159]一般的なDoE評価は、それぞれの要因の設定点に基づくことから、通常のプロセスの偏差を考慮せず、潜在的な設定点の偏差によって誘発される効果が潜在的にマスクされてしまう。因子相関に対する最も現実的な応答を確保するために、本発明者らは、その単なる設定点の代わりに入力として実際に得られたプロセス変数を用いた。
[00160]変数を、Datalabバージョン3.5(Epina http://datalab.epina.at/によって供給される)によって相関性に関して試験し、統計ソフトウェアMODDE(Umetrics,Umea,Sweden)を介して多重線形回帰モデルを適合させて分析した。
結果
[00161]誘導前の固有の増殖速度およびバイオマス濃度が誘導相における産生率に及ぼす影響を解明するために、実験の設計に従って7つの発酵実験を行った(図2A)。誘導前の固有の増殖速度の0.08〜0.16[1/h]の範囲および誘導時のバイオマスの20.7〜44.6[g/L]の範囲が調べられるようにスクリーニング設計を選択した。誘導相の影響を回避するために、容積一定フィードプロファイルは、全ての実験において式8に基づいて計算した同じqsinit(0.22±0.027[g/g/h])について計算し、基づいた。
[00162]H0仮説:「誘導前の相は誘導相とは無関係である」を評価するために、統計検定を行った。
[00163]統計分析に従うと(図2B)、誘導前の相(μFB)における固定の増殖速度(μ)も誘導時(x_EFB?)のバイオマス(BM)のいずれも、誘導相の際のFab抗体の固有の最大タイター(SCF)に有意に影響を及ぼさないことが見出された(p=0.685;α=0.1)。その結果、誘導前および誘導後の相に相関関係がないというH0を採択する。
[00164]Wechselbergerら(2012)の研究と整合して、誘導前および誘導相の間の相関関係は、この発現系に関して検出されなかった。
[00165]誘導相の生理学に及ぼす誘導前の相の可能性がある影響を調べるために、全てのオンラインおよびオフラインデータを、上記で概要したように処理して固有の速度および収量係数を得た。
[00166]誘導相における固有の増殖速度の平均値の生理的記述子を、2つの要因:誘導前の固有の増殖速度(μFB)および誘導前の相の終了時のバイオマス濃度(x_EFB)、の応答として用いる(図3A)。2つの主な要因の生理的記述子、すなわちバイオマス収量係数(Yx/s)(図3A)と誘導相における固有の増殖速度(μind)(図3B)が、誘導前の相での固有の増殖速度(μFB)および誘導前の相の終了時でのバイオマス濃度(x_EFB)と相関しないという知見は、誘導前および誘導相の仮説としての相関関係をさらに否定している。誘導相の生産性の他に、誘導相の生理的記述子も、誘導前の固有の増殖速度およびバイオマス濃度によって有意に影響を受けなかった。しかし、実験の当初の設計(DoE)の要因は有意ではなかったが(図2)、固有の最大産物タイター分散において分散が観察された(図6A)。このことは、生理的説明に疑問を呈する。
[00167]Fab抗体の固有のタイターにおいて観察された分散(0.0137±0.0255[g/g])(図6Aを参照されたい)により、生理的原因を特定するためには、包括的なバイオプロセス分析が最も重要である。したがって、選択されたプロセスパラメータおよび生理的記述子の組に含まれる全ての分散を、主成分分析を用いて分析した(図3C)。
[00168]図3Cは、拡大して中央にした値による主成分分析を示す:μ、固有の増殖速度[1/h];μFB、誘導前の相での固有の増殖速度[1/h];BMEFB、誘導前の相の終了時のバイオマス濃度[g/L];q、固有の基質取り込み速度[g/g/h];PSPel、固有の最大タイター[g/g];時間max、固有の最大タイターまでの時間[h];dSnmax、固有の最大タイターまでの標準化した基質代謝量[g/g]:qCO2、固有の二酸化炭素排泄速度[g/g/h];qpp、固有の産生率[g/g/h];YCO2、基質あたりの二酸化炭素収量[g/g];Ypps、基質あたりの産物収量[g/g];YX/S、バイオマス収量[g/g]。
[00169]PCAは、固有の増殖速度μと固有の最大産物タイターとの間に負の相関があることを示唆している(図3C)。一方、固有の最大タイターに及ぼす2つの誘導前記述子、すなわち誘導前の相の終了時のバイオマスBMEFBと誘導前の固有の増殖速度μFBの影響はわずかであるように思われる。生理的パラメータの分析は、固有の増殖速度が固有の最大タイターの変化PSPelの原因であることを強く指摘する。
[00170]さらなるバイオプロセス開発を目的として、情報マイニングアプローチは、理論的リスク評価よりむしろ経験的データに基づく要因の選択を容易にする。その結果、その後のDoEでは調整μを示す。しかし、高度に転用可能で単純なバイオプロセスを目標とすることは、フィード戦略を一定の容積流速度に制限する。適切なフィード流速を計算するためには、誘導時点でのそれぞれのバイオマス濃度を知る必要がある。μを計算の基礎として用いることは、バイオマス評価の誤差伝搬を増大させるリスクがより大きくなり、そのため、qsinitに基づいて計算を行う。線形のDoE(n=5)は、2つのレベルのqsinit(0.088〜0.323[g/g/h])を含み、2つの中心点を特徴とした。
[00171]図4Bに例証するように、固有の最大タイターqsinitレベルの負の相関が観察された。qsinitは、固有の最大タイターの重要な要因であり、信頼水準は0.95R2 0.863/Q2 0.652であった。固有の最大タイターは、達成された最低のqsinitで見出された。
[00172]固有の増殖速度に影響を及ぼすために、qsinitを、式8に従ってフィード速度を調節することによって調整した。フィード速度に基づく研究戦略は、基質または時間が大腸菌(E.coli)に関して寿命の関連次元であるか否かという問題を提起する。フィード速度の強い影響により、タイターの差は、産物のより高い産生速度またはより効率的な産生によって引き起こされ得る。この理由から、本発明者らは、x軸の時間を供給した基質の累積量に置き換えた(図5B)。誘導前の相の終了時でのバイオマスの量が異なることは、qsinitに基づいて計算した場合にフィード速度が異なることを暗示していることから、標準化が必要である(式8)。その結果、転用可能性のために、供給した基質量を誘導前の相の終了時のバイオマスの量に関して標準化して、式9の変数dSn[g/g]を得た。
式9
ΔSn(t)=(S−SEFB)/BMEFB
[00173]時間に対して固有のタイターをプロットして(図5A)、固有の最大タイターに到達する時点での差を可視化する。固有の最大タイターは、qsinitが低い実験ではqsinitが高い実験よりずっと遅れて到達する。興味深いことに、固有の最大タイターをdSnに対してプロットすると(図5B)、産物形成の軌跡が整列し、固有の最大タイターが類似のdSn(3.1±0.336g/g)で見出され得る。
[00174]qとしての生理的記述子の計算を、定義されたプロセス相において実施する。この関与において、計算の範囲は、累積基質取り込みdSnに基づいた。対象のプロセス相は、あらゆる生理的記述子の計算に関して3.6g/gのdSnに対応する。その結果、「q」は、誘導相において、3.6g/gのdSnに対して計算される平均値qと呼ばれている。
[00175]統計分析に関して、時間に関してFab抗体の固有の最大タイター(SCF)に到達する点(図5C)と標準化したフィード基質(dSn)(図5D)とを比較した。線形回帰の形での解析により、実験によって、固有の最大タイターに到達する時点が有意に異なる(R2=0.639;Q2=0.505)(図5C)ことが実証される。これに対し、固有の最大タイターまでの標準化した供給フィードの量(dSn)は、有意に異ならないことが見出された(R2=0.042;Q2=0.196)(図5D)。固有の最大タイターは、供給した基質dSnの、有意に異ならない量で達成される。固有の最大タイターのレベルはqsinitに依存しているが(図4B)、有意に異なる固有の最大タイターに到達するまで同じ量のフィード(dSn)が消費される。この知見は、大腸菌(E.coli)が、産物形成に関して異なる効率で同じ量の供給基質を用いていることを暗示している。その結果、有意に異ならない基質の量は、異なる産物の量をもたらし、基質あたりの産物収量[g/g]の有意な差を特徴とする(F=16/R2=0.62)。これらの知見は、dSnが固有の最大タイターの強力な予測因子であり、バイオプロセス内でのサンプリングを予定する(時間を決める)ために用いることができることを示している。
[00176]情報マイニングの観点から、実施した全ての実験を用いて全てのデータに基づいてこれまでの知見を再評価する(図6A/B)。図6C〜Eは、平均値および最初の基質の取り込み速度の評価の差に読者の注意を向ける。
[00177]最も影響の大きい変数を調整することによってバイオプロセスを最適化するという意図を考慮すると、分散の増加(図6C、qs_int変動対qs_int一定)は、固有の最大タイターにおいてあまり顕著でないことが観察された(図6E、qs_int変動対qs_int一定)。バイオマスの増加により、細胞および時間あたりに利用可能な基質量(q)は、容積一定フィードプロファイルの性質により減少する(図5A)。当初、qsinitの変動によって、細胞あたりに利用可能な基質量の差はさらに大きくなる。しかしqsのこの差は、リアルタイムqsの軌跡が急速に収束することから急速に小さくなる。qsinitにおける最初の差は大きいが、実験全体に対する生理的記述子qsの差は、ごく軽微である(図6C/D)。qsinitに基づくプロセス開発アプローチは、基質の蓄積を回避しなければならないことから、最大基質取り込み速度によって厳密に制限される。基礎となる生理的記述子を直接制御するために、qは、本明細書においてより一層有望であるように思われるが、リアルタイムでバイオマスを評価するための進んだバイオプロセス制御方法が必要である。しかし、このアプローチは、固有の最大タイターにおいて誘導された分散のおそらくより高い範囲に関連して、固有の最大タイターのより一層直接的な調節を提供する。
考察
[00178]誘導前の相と誘導相との有意な相関関係がないことを示すことができた。2つの異なる発現系の相関関係を繰り返し試験することによって、本知見の範囲を、プラットフォームの知識へと拡大した。本知見のより大きい範囲は以下の結果を有する:これはプラットフォーム内の将来の実験設計における要因の数を低減させ、その結果、バイオプロセス開発(販売までの時間)を加速する。
[00179]誘導前の相は誘導相に対して有意な効果を有しないというプラットフォーム特異的な事前の知識に基づくと、誘導前の相の影響を調べる実験は省略することができ、プラットフォーム技術の制限によってのみ制約される。見出された相関関係のその後の実験の設計への結果としてのフィードバックは、その中でさらなる研究のために最も影響が大きい要因を選択する可能性を増加させる。
[00180]工業での状況では、固有の最大タイターに達した後に、発酵を停止させて回収する。PATイニシアチブに従うバイオプロセス開発では、サンプリングは、全体的なバイオプロセスの理解を促進するはずであり、バイオプロセス最適化では、サンプリングは、固有の最大タイターが予想されるプロセス領域により集中すべきである。したがって、誘導相において固有の最大タイターが起こる時期を分析および予測することは重要である。容易にアクセス可能であるが強力な予測因子であるdSnは、実際に関連する領域におけるサンプリングに関して努力を集中して行うために役立つ。固有の最大タイターの領域における時間分解能を増加させることも、高い効率でのプロセス最適化を促進する。バイオプロセス開発の将来は、小規模バイオリアクターにあることから、本明細書に提示した単純な最大タイターの予測方法は、さらに重要となる。連続的な時間分解サンプリングが、例えばヒトリソース、ならびに/またはほとんどおよび/もしくは全ての小規模パラレルバイオリアクターの限定された量によって限定される場合、サンプリングポイントの選択は、非常に重要であり、dSnに従うサンプリングによって非常に容易となる。
qsinitに基づくバイオプロセス開発戦略を用いると、恩恵があることが示された。それにもかかわらず、一定の容積フィード速度qsinitに基づくフィード戦略は、代謝物の蓄積を防止しなければならないという生理学的制約によって強く制限される。この点において、定数qに関して動的に適合させたフィードは、より多くのプロセスに対して技術的自由度を与える。
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Claims (29)

  1. 組み換えた対象のタンパク質(POI)を作製する方法であって、
    (a)少なくとも1つの基質を含むフィードを細胞培養培地に添加すること、
    (b)前記細胞培養培地において、前記POIの誘導相および/または産生相の間に、細胞の固有の基質取り込み速度qsで細胞を培養して前記POIを発現させることであって、ここでqsは細胞培養物の維持速度に近似して設定されること;および
    (c)前記POIを前記細胞培養培地から単離すること、
    を含む方法。
  2. qsは0.03から0.15g/g/h、好ましくは0.05から0.12g/g/h、より好ましくは0.08から0.12g/g/hの範囲内であり、最も好ましくは、qsは約0.12/g/hである、請求項1に記載の方法。
  3. qsは制御されるか、または制御されない、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記POIの産生相の少なくとも75%、少なくとも80%、または少なくとも95%の間にわたり、qsは一定であるように、減少するように、または増加するように制御されている、請求項3に記載の方法。
  5. 前記POIの産生相の少なくとも50%の時間にわたり、qsは一定の値(±15%)に制御される、請求項3または4に記載の方法。
  6. qsが約0.03g/g/h、0.04g/g/h、0.05g/g/h、0.06g/g/h、0.07g/g/h、0.08g/g/h、0.09g/g/h、0.1g/g/h、0.11g/g/h、0.12g/g/h、0.13g/g/h、0.14g/g/h、または0.15g/g/hであり、最も好ましくはqsが約0.12g/g/hである、請求項5に記載の方法。
  7. 前記POIの産生相の少なくとも50%の時間にわたり、qsは制御され、かつ減少させられる請求項3に記載の方法。
  8. qsが0.15から0.05g/g/hに減少し、好ましくは0.15から0.12g/g/h以下に、0.15から0.10g/g/hに、0.15から0.07g/g/hに、0.15から0.05g/g/hに、0.12から0.1g/g/hに、0.12から0.07g/g/hに、0.12から0.05g/g/hに、0.10から0.07g/g/hに、0.1から0.05g/g/hに、または0.1から0.03g/g/hに減少する、請求項6に記載の方法。
  9. フィード速度を調整することによりqsが制御される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. qsがフィードバック制御される固有の基質取り込み速度により制御される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. バイオマスを定量することにより、qsが生理学的に制御される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. バイオマス評価/計測によってバイオマスが測定される、請求項11に記載の方法。
  13. リアルタイムバイオマス評価/計測によってバイオマスが測定される、請求項12に記載の方法。
  14. リアルタイムバイオマス計測が、ソフトセンサーまたはハードセンサーを用いて行われる、請求項13に記載の方法。
  15. 前記基質がグルコースまたはグリセロールである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記細胞が真核細胞または原核細胞からなる群から選択される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記真核細胞が、哺乳類、昆虫、酵母、糸状菌および植物細胞からなる群から選択され、好ましくは、酵母細胞であり、最も好ましくはピキア・パストリス(Pichia pastris)、コメガタエラ・パストリス(Komagataella pastris)、K.ファフィー(K. phaffii)、またはK.シュードパストリス(K. pseudopastoris)である、請求項16に記載の方法。
  18. 前記原核細胞が、大腸菌、枯草菌、およびシュードモナス菌(Pseudomonas)からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
  19. 前記原核細胞が大腸菌である、請求項18に記載の方法。
  20. 前記POIの大部分が、細胞質内に、ペリプラズム内に、または細胞外に位置する、請求項16に記載の方法。
  21. 前記POIをコードする核酸に作動可能に連結した制御可能なプロモーターを含む発現システムまたは発現カセットを用いて前記POIを発現させる、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記制御可能なプロモーターが誘導性プロモーターであるか、または、枯渇誘導性プロモーターである、請求項21に記載の方法。
  23. 前記誘導性プロモーターがラムノースプロモーター、メリビオースプロモーター、マンノースプロモーター、アラビノースプロモーター、T5プロモーター、T7プロモーター、lacプロモーター、または、IPTG誘導性プロモーターである、請求項22に記載の方法。
  24. 前記ラムノースプロモーターがrhaBADである、請求項23に記載の方法。
  25. 前記POIが異種タンパク質であり、好ましくは、治療タンパク質、酵素およびペプチド、タンパク質抗生物質、毒素融合タンパク質、炭水化物−タンパク質コンジュゲート、構造タンパク質、制御タンパク質、ワクチンおよびワクチン様タンパク質もしくは粒子、プロセシング酵素、増殖因子、ホルモン、ならびにサイトカインからなる群から選択されるか、またはPOIの代謝産物である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 前記治療タンパク質が抗原結合分子であり、好ましくは免疫グロブリンであり、より好ましくは抗体または抗体フラグメントであり、最も好ましくはFabまたはscFv抗体である、請求項25に記載の方法。
  27. 記細胞が大腸菌であり、前記POIをコードする核酸に作動可能に連結したrhaBADプロモーターを含む発現システムまたは発現カセットを用いて前記POIを発現させる、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  28. 組み換えた対象のタンパク質(POI)を作製する方法であって、
    (a)少なくとも1つの基質を含むフィードを細胞培養培地中の細胞に添加すること、(b)前記細胞培養培地において、細胞培養物の維持速度よりも僅かに高いqsで前記細胞を培養して前記POIを発現させること;および
    (c)前記POIを前記細胞培養物から単離すること、
    を含む方法。
  29. qsは0.03から0.15g/g/h、好ましくは0.05から0.12g/g/h、より好ましくは0.08から0.12g/g/hの範囲内であり、最も好ましくはqsは約0.12/g/hである、請求項28に記載の方法。
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