JP6970405B2 - 流動性食品の評価方法、流動性食品の製造方法、及び流動性食品の選択方法 - Google Patents
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流動性食品の評価方法であって、
複数の流動性食品について、口蓋正中部の咽頭側の位置で測定される舌圧と口蓋正中部の前歯側で測定される舌圧の圧力差を測定すること、及び
前記複数の流動性食品のうちから、前記圧力差がより小さいものを、早期咽頭流入がより起こりにくいものであるとして選択すること、
を含む、前記評価方法を提供する。
また、本技術は、
流動性食品の評価方法であって、
複数の流動性食品について、口蓋正中部の咽頭側の位置で測定される舌圧の継続時間を測定すること、及び、
当該複数の流動性食品のうちから、前記継続時間がより短いものを、嚥下時の咽頭収縮時間がより短いものであるとして選択すること、
を含む、前記評価方法も提供する。
また、本技術は、
流動性食品の評価方法であって、
複数の流動性食品について、口蓋正中部の咽頭側の位置で測定される舌圧を測定すること、及び、
当該複数の流動性食品のうちから、前記舌圧がより大きいものを、嚥下音持続時間がより短いものであるとして選択すること、
を含む、前記評価方法も提供する。
流動性食品の製造方法であって、
複数の流動性食品について、口蓋正中部の咽頭側の位置で測定される舌圧と口蓋正中部の前歯側で測定される舌圧の圧力差を測定すること、及び
前記複数の流動性食品のうちから、前記圧力差がより小さいものを、早期咽頭流入がより起こりにくいものである、前記製造方法における製造対象として選択すること、
を含む、前記製造方法も提供する。
また、本技術は、
流動性食品の製造方法であって、
複数の流動性食品について、口蓋正中部の咽頭側の位置で測定される舌圧の継続時間を測定すること、及び、
当該複数の流動性食品のうちから、前記継続時間がより短いものを、嚥下時の咽頭収縮時間がより短いものである、前記製造方法における製造対象として選択すること、
を含む、前記製造方法も提供する。
また、本技術は、
流動性食品の製造方法であって、
複数の流動性食品について、口蓋正中部の咽頭側の位置で測定される舌圧を測定すること、及び、
当該複数の流動性食品のうちから、前記舌圧がより大きいものを、嚥下音持続時間がより短いものである、前記製造方法における製造対象として選択すること、
を含む、前記製造方法も提供する。
流動性食品の選択方法であって、
複数の流動性食品について、口蓋正中部の咽頭側の位置で測定される舌圧と口蓋正中部の前歯側で測定される舌圧の圧力差を測定すること、及び
前記複数の流動性食品のうちから、前記圧力差がより小さいものを、早期咽頭流入がより起こりにくいものであるとして選択すること、
を含む、前記選択方法も提供する。
また、本技術は、
流動性食品の選択方法であって、
複数の流動性食品について、口蓋正中部の咽頭側の位置で測定される舌圧の継続時間を測定すること、及び、
当該複数の流動性食品のうちから、前記継続時間がより短いものを、嚥下時の咽頭収縮時間がより短いものであるとして選択すること、
を含む、前記選択方法も提供する。
また、本技術は、
流動性食品の選択方法であって、
複数の流動性食品について、口蓋正中部の咽頭側の位置で測定される舌圧を測定すること、及び、
当該複数の流動性食品のうちから、前記舌圧がより大きいものを、嚥下音持続時間がより短いものであるとして選択すること、
を含む、前記選択方法も提供する。
なお、本技術により奏される効果は、ここに記載された効果に必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
本技術は、流動性食品の評価方法を提供する。当該方法は、口腔咽頭機能に適した流動性食品を、当該食品の嚥下時に舌が口蓋を押さえる際の、口蓋の少なくとも1つの位置での圧力(以下、食品の嚥下時に舌が口蓋を押さえる際の圧力を「舌圧」ともいう)を指標とし、当該流動性食品の口腔若しくは咽頭内における挙動、及び/又は、当該流動性食品の口腔咽頭機能における生体動作との間の関連性に基づいて評価することを含む。
本発明者らは、粘度などの従来用いられていた指標では区別することができない食品間の相違と舌圧との間の関連性を見出した。当該関連性に基づき、食品が口腔及び/又は咽頭の機能に与える影響を評価することができる。
本技術の評価方法は、上記のとおり食品の食べ易さ及び/又は飲み込み易さを評価するために適しているので、本技術において評価される食品は、特にはこのような評価を行うことが求められる食品である。例えば、本技術の一つの実施態様において、摂食・嚥下機能を改善するための食品、嚥下困難者用の食品、及び/又は高齢者用の食品が評価される。
とろみ及び粘度は、市販されているとろみ剤、増粘多糖類、増粘安定剤、ゲル化剤を用いて付与することが出来る。例えば、デンプン、デキストリン、グアーガム、キサンタンガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、プルラン、カラギナン、タラガム、片栗粉、コーンスターチ、ゼラチン、寒天等を利用して、とろみ及び粘度を食品に付与することが出来る。なかでも増粘多糖類である、キサンタンガムを用いることが好ましい。
本技術において、嚥下の方法は、制限されないが、1-20mLの試料を一飲み(1回で嚥下)することが望ましい。
本技術において、「口腔咽頭機能」とは、食品の摂取時における口腔及び/又は咽頭の機能を意味し、例えば、嚥下、口唇閉鎖、咽頭流入、唾液分泌、咀嚼、口唇口頭筋力、発声等の生体動作が挙げられる。本技術により、流動性食品が個々の患者の口腔咽頭機能に適した食品か否かを評価できる。
本技術により選択された流動性食品は、摂食・嚥下困難者、高齢者、咀嚼困難者、口腔サルコペニア疾患、口腔フレイル疾患、ロコモティブシンドローム患者等に好適である。
本技術において、「流動性食品の嚥下時に舌が口蓋を押さえる際の圧力(舌圧)」は例えば、舌圧センサによって測定される圧力である。本技術において、舌圧は、口蓋上の少なくとも一つの位置で測定される。本技術の好ましい実施態様において、舌圧は、口蓋上の1つの位置、又は、口蓋上の異なる2つ〜5つの位置で測定される。より好ましい実施態様において、舌圧は、口蓋上の1つの位置又は口蓋上の異なる2つの位置で測定される。
本技術において、舌圧は、例えば嚥下時における口蓋部(硬口蓋及び軟口蓋)、好ましくは硬口蓋部(口蓋床又は上顎義歯口蓋部を包含する)に対する舌の接触圧である。すなわち、本技術の好ましい実施態様において、硬口蓋部の少なくとも一つの位置での舌圧に関するパラメータと口腔若しくは咽頭内における食品の挙動及び/又は食品の口腔咽頭機能における生体動作との間の関連性に基づき、食品の評価が行われる。
口蓋の1つの位置で測定される圧力値、
口蓋の1つの位置で測定される圧力の継続時間又は増加減少時間
口蓋の1つの位置で測定される圧力の最大値若しくは平均値、
口蓋の異なる2つ〜5つ(例えば2つ)の位置で測定される圧力値、
口蓋の異なる2つ〜5つ(例えば2つ)の位置で測定される圧力の継続時間又は増加減少時間
口蓋の異なる2つ〜5つ(例えば2つ)の位置で測定される圧力の最大値若しくは平均値、及び
口蓋の異なる2つ〜5つ(例えば2つ)で測定される圧力値の差、和、積、又は商、より特には差。
口蓋の異なる2つ〜5つ(例えば2つ)で測定される圧力の発現順序
前記圧力の継続時間は例えば、1回の嚥下動作において口蓋の或る位置に圧力がかかり続けた時間、又は、複数回の嚥下動作のそれぞれについて測定された前記時間の平均値である。
前記圧力の最大値は例えば、1回の嚥下動作の間に測定される圧力の最大値、又は、複数回の嚥下動作のそれぞれについて測定された前記最大値の平均値である。
前記圧力の平均値は例えば、1回又は複数回の嚥下動作の間において測定される圧力の平均値である。
摂食・嚥下動作は、一般的に、先行期、準備期、口腔期、咽頭期、及び食道期の5期に分けられる。先行期では、食物が五感によって認識され、そして、食物が口腔内に取り込まれる。準備期では、食物が咀嚼されて、食塊が形成される。口腔期では、主に舌の運動によって、食塊が口腔から咽頭に送り込まれる。咽頭期では、食塊が咽頭を通り、食道に運ばれる。食道期では、食塊が食道から胃に運ばれる。本技術において、当該生体動作は例えば、嚥下時(特には口腔期又は咽頭期)における咽頭部分の筋肉の収縮、喉頭蓋の挙動、喉頭蓋付近の組織の挙動、又は舌の運動などである。
本技術の一つの実施態様において、「流動性食品の口腔若しくは咽頭内における挙動」は、口腔期、咽頭期、及び/又は食道期における、食品(又は咀嚼後の食塊)の口腔内及び咽頭内における移動の仕方及び/又は移動の速さである。より特には、「流動性食品の口腔若しくは咽頭内における挙動」は、口腔期及び/又は咽頭期における食品(又は咀嚼後の食塊)の口腔内及び咽頭内における移動の仕方又は移動の速さであり、例えば口腔咽頭内の所定の位置から他の所定の位置までの移動に要する時間などである。
当該移動が観察されやすい食品ほど又は嚥下内視鏡視野内への移動が速い食品ほど、口腔咽頭機能へ適していないこと又は嚥下異常を引き起こしやすい食品であると評価することができる。すなわち、当該移動は、食品の口腔咽頭機能への適性の指標であり、より特には食品の食べ易さ及び/又は飲み込み易さの指標である。本発明者らは、舌圧と当該移動との間に関連性を見出した。そのため、当該関連性に基づき、食品が口腔咽頭機能に与える影響を評価することができる。
食品の嚥下時における嚥下時咽頭収縮の持続時間がより短いほど、摂取者への負荷はより少なくなる。すなわち、嚥下時咽頭収縮の持続時間は、食品の口腔咽頭機能への適性の指標であり、より特には食品の食べ易さ及び/又は飲み込み易さの指標である。本発明者らは、舌圧と嚥下時咽頭収縮の持続時間との間に関連性を見出した。そのため、当該関連性に基づき、食品が口腔咽頭機能に与える影響を評価することができる。
食品の嚥下時の嚥下音持続時間がより短いほど、当該食品はより食べ易いこと又は飲み込み易いことを意味する。すなわち、当該嚥下音持続時間は、食品の口腔咽頭機能への適性の指標であり、より特には食品の食べ易さ及び/又は飲み込みやすさの指標である。本発明者らは、舌圧と嚥下時の嚥下音持続時間との間に関連性を見出した。そのため、当該関連性に基づき、食品が口腔咽頭機能に与える影響を評価することができる。
ch1は、口蓋正中線上の、切歯乳頭から1mm〜10mm後方、特には切歯乳頭から3〜8mm後方、より特には5mm後方の位置である。
ch2は、2つの鉤切痕を結ぶ線と口蓋正中線との交点と切歯乳頭とを結ぶ線上であり且つ切歯乳頭から1/3の位置であり、例えば口蓋正中線上且つ左右2つの第一小臼歯又は左右2つの第二小臼歯の間の位置である。
ch3は、2つの鉤切痕を結ぶ線と口蓋正中線との交点と切歯乳頭とを結ぶ線上で切歯乳頭から2/3の位置であり、例えば口蓋正中線上且つ左右2つの第一大臼歯又は左右2つの第二大臼歯の間の位置である。
ch4は、咽頭側からみて左側の鉤切痕と切歯乳頭とを結ぶ線上の前方から2/3の位置であり、例えばch3と咽頭側からみて左側の第一大臼歯又は第二大臼歯との間の位置、より特にはch3と咽頭側からみて左側の第一大臼歯又は第二大臼歯との中間位置よりも当該第一大臼歯側又は当該第二大臼歯側の位置である。
ch5は、咽頭側からみて右側の鉤切痕と切歯乳頭とを結ぶ線上の前方から2/3の位置であり、例えばch3と咽頭側からみて右側の第一大臼歯又は第二大臼歯との間の位置、より特にはch3と咽頭側からみて右側の第一大臼歯又は第二大臼歯との中間位置よりも当該第一大臼歯側又は当該第二大臼歯側の位置である。
図2に、舌圧センサシート1を硬口蓋に貼り付けた状態の一例の写真を示す。ch1〜ch5は、例えば図2に示されるとおりの位置にある。
口蓋正中部の咽頭側の1つの位置(より特にはch3の位置)で測定された舌圧の持続時間が、ホワイトアウト(より特にはホワイトアウトの持続時間)との間で、特に良い関連性を示す。そのため、口蓋正中部の咽頭側の1つの位置で測定された舌圧の持続時間とホワイトアウト(より特にはホワイトアウトの持続時間)との間の関連性に基づき、食品の口腔咽頭機能への影響を評価することができる。
また、口蓋正中部の咽頭側の位置(より特にはch3の位置)で測定された舌圧の最大値が、嚥下時の嚥下音持続時間との間で、特により良い関連性を示す。そのため、口蓋正中部の咽頭側の位置で測定された舌圧の最大値と、嚥下時の嚥下音持続時間との間の関連性に基づき、食品の口腔咽頭機能への影響を評価することができる。
口蓋正中部の前歯側及び咽頭側の2つの位置(より特にはch1及びch3の位置)において測定された舌圧の差が、食品の咽頭内への流入挙動(特には口腔から嚥下内視鏡視野内への移動)との間で、特に良い関連性を示す。そのため、口蓋正中部の前歯側及び咽頭側の2つの位置で測定された舌圧と、食品の咽頭内への流入挙動との間の関連性に基づき、食品の口腔咽頭機能への影響を評価することができる。
本技術において、当該関連性は例えば相関関係、特には正の相関又は負の相関であってよく、又は、前記舌圧に関するパラメータと前記挙動及び/又は前記生体動作に関するパラメータのプロットにより見出される、相関関係以外の関係性であってもよい。当該相関関係以外の関係性は、例えば両パラメータのプロットによる散布図から見出される関係性であってよい。
また、本技術において、当該関連性は、多変量解析法により得られる関係性であってもよい。多変量解析として例えば主成分分析、因子分析、及び重回帰分析などの公知の手法を挙げることができる。
さらに本技術により、多くの流動性食品の中から高齢者や嚥下困難者にとって、安全に嚥下しやすい飲食物を評価することができる。例えば口腔咽頭機能の指標としては、咽頭流入、嚥下が挙げられ、特に早期咽頭流入、嚥下時咽頭収縮、嚥下音持続時間等を選択することが出来る。
嚥下時の咽頭収縮時間が短い方が、より早期に次の食品を口腔内に投与することが可能となる。従って、口蓋正中部の咽頭側の位置で測定される舌圧の圧力信号が入力され続ける時間が短い流動性食品を選択し、その流動性食品または流動性食品の物性パラメーターを持つ食品を口腔咽頭機能に適した食品として、高齢者や嚥下困難者にとって安全に嚥下しやすい飲食物として提供することが可能である。
嚥下音持続時間が短い方が、口腔内でスムーズに嚥下していると判断される。従って、口蓋正中部の咽頭側の位置で測定される舌圧の圧力信号が大きい流動性食品を選択し、その流動性食品または流動性食品の物性パラメーターを口腔咽頭機能に適した食品として、高齢者や嚥下困難者にとって安全に嚥下しやすい飲食物として提供することが可能である。
本技術は、流動性食品の製造方法も提供する。当該製造方法は、口腔咽頭機能に適した食品を、当該食品の嚥下時に舌が口蓋を押さえる際の、口蓋の少なくとも一つの位置での圧力を指標とし、当該食品の口腔若しくは咽頭内における挙動、及び/又は、当該食品の口腔咽頭機能における生体動作との間の関連性に基づいて評価することを含む。すなわち、本技術に従う製造方法は、本技術に従う評価方法を含むものである。これにより、口腔咽頭機能に適した食品を製造することが可能である。
本技術の製造方法により、例えば、上記「1.流動性食品の評価方法」で述べた流動性食品を製造することができる。
すなわち、本技術の方法により製造される食品は、食べやすい、飲み込みやすい、早期流入を起こしにくい、咀嚼しやすい等の1または複数の性質を保有している。
さらに本技術の食品には、糖類、ビタミン、ミネラル、機能性成分、色素、香料、人工甘味料、栄養補給剤等を添加してもよい。
本技術は、流動性食品の選択方法も提供する。本方法によれば、多くの流動性食品から高齢者や嚥下困難者にとって、安全な嚥下しやすい流動性食品を選別することが出来る。当該選択方法は、複数の流動性食品の口腔咽頭機能における影響を、各流動性食品の嚥下時に舌が口蓋を押さえる際の、口蓋の少なくとも一つの位置での圧力を指標とし、各流動性食品の口腔若しくは咽頭内における挙動、及び/又は、当該流動性食品の口腔咽頭機能における生体動作との間の関連性に基づいて評価すること、及び前記口腔咽頭機能に基づき、当該複数の流動性食品のうちから所望の流動性食品を選択することを含む。当該食品の選択方法として、上記「1.流動性食品の評価方法」において述べた方法を用いることができ、特には早期咽頭流入、嚥下時咽頭収縮、又は嚥下音持続時間に基づく流動性食品の選択方法が例示できる。
例えば、本技術に従う流動性食品の選択方法において、或る食品を製造するための材料のうち、特定の材料(例えば増粘剤又はゲル化剤など)のみを変更した複数の食品を用意し、そして、当該複数の食品を用いて上記選択方法が行われる。これにより、例えば食べ易い又は飲み込み易い食品を選択することができる。
キサンタンガム、澱粉、グァガムの3品を水に溶解させ、E型回転粘度計(TOKI産業 TPE-100型粘度計)における20℃、ずり速度50sec-1の粘度を所定の値に調製した溶液を被験食品とした。
健常有歯顎者の口腔内に、図2に示されるとおりに、舌圧センサ(Swallow Scan、ニッタ株式会社製)を装着した。すなわち、舌圧センサのch1〜ch5の位置で舌圧が測定されるように、当該舌圧センサは装着された。
上記7種の試料それぞれを3ml又は15mlずつ20℃で上記健常有歯顎者に口内に含ませ、そして、指示を与えることで当該試料を嚥下させた。当該試料を嚥下した際のch1〜ch5の舌圧を測定した。舌圧の単位はkPaで示す。
以上の舌圧測定を合計10人の健常有歯顎者に対して行った。
上記舌圧測定の際に、被験者の鼻から内視鏡(鼻咽頭喉頭ファイバースコープ)を10cm程度入れて、食塊の動態、試料の挙動及び嚥下諸器官の動作を観察した。
1)嚥下時咽頭収縮時間の測定
当該嚥下諸器官の動作として、嚥下時咽頭収縮時間の持続時間を測定した。また、嚥下時に内視鏡視野が咽頭収縮によって遮られる時間を、嚥下時咽頭収縮時間の持続時間とした。
2)早期咽頭流入の測定
嚥下反射が生じる前に内視鏡視野内に侵入した試料があった場合に、早期咽頭流入が起こったと判定した。
上記舌圧測定の際に咽頭マイク(Voice Touch、有限会社南豆無線電機製)を装着し、当該嚥下諸器官の動作として嚥下音持続時間を測定した。図3に示されるとおり、咽頭マイク2は被験者の喉頭蓋の位置に装着された。
試料として、粘度が400mPa・sであるキサンタンガム水溶液、澱粉水溶液、グァガム水溶液の3品を用い、被験者10人に3mLをそれぞれ3回ずつ摂取させた。以下表1に、被験者10人における早期咽頭流入が観察された人数及び観察されなかった人数、及び早期咽頭流入が起こった人数の割合(早期流入出現率)を示す。図4に、早期流入出現率に関するグラフを示す。
以上より、早期流入のしやすさと(ch3における舌圧値−ch1における舌圧値)の値との間には関連性があることが確認された。従って、早期流入のしやすさと(ch3における舌圧値−ch1における舌圧値)の値との間の関連性に基づき、食品の口腔咽頭機能に対する影響を評価することができる。
試料として、粘度が200mPa・sであるキサンタンガム水溶液及び澱粉水溶液の2品を用い、被験者に15mL摂取させた。以下表3に、被験者10人における舌圧と嚥下時咽頭収縮時間の関係を示す。表3に示すとおり、当該10人の嚥下時咽頭収縮時間の平均値とch3に圧力信号が入力された持続時間の平均値の間に正の相関(0.39)が認められた。また、デンプン水溶液とキサンタンガム水溶液のch3に圧力信号が入力された持続時間の間に有意差(p=0.047)が確認され、ch3における舌圧値持続時間が短いデンプン水溶液がより嚥下時咽頭収縮時間が短いことが明らかになった。
以上より、嚥下時咽頭収縮時間とch3における舌圧値持続時間との間に関連性があることが確認された。従って、嚥下時咽頭時間収縮とch3の舌圧値持続時間との間の関連性に基づき、食品の口腔咽頭機能に対する影響を評価することができる。
試料として、粘度が400mPa・sであるキサンタンガム水溶液、澱粉水溶液、グァガム水溶液の3品を用い、被験者に3mL摂取させた。以下表4に、被験者10人における舌圧と嚥下音持続時間の関係を示す。表4に示すとおり、当該10人の嚥下時の流動音継続時間の平均値とch3の舌圧最大値の平均値の間に負の相関(-0.27)が認められた。また、デンプン水溶液とキサンタンガム水溶液のch3の舌圧最大値の間に有意差(p=0.043)、及びデンプン水溶液とグァガム水溶液のch3の舌圧最大値の間に有意差(p=0.017)が認められ、ch3における舌圧最大値が大きいグァガム水溶液が嚥下音持続時間が短いことが明らかになった。
以上より、嚥下時の流動音継続時間とch3における舌圧最大値との間に関連性があることが確認された。従って、嚥下時の流動音継続時間とch3の舌圧値持続時間との間の関連性に基づき、食品口腔咽頭機能に対する影響を評価することができる。
Claims (9)
- 流動性食品の評価方法であって、
複数の流動性食品について、口蓋正中部の咽頭側の位置で測定される舌圧と口蓋正中部の前歯側で測定される舌圧の圧力差を測定すること、及び
前記複数の流動性食品のうちから、前記圧力差がより小さいものを、早期咽頭流入がより起こりにくいものであるとして選択すること、
を含む、前記評価方法。 - 流動性食品の評価方法であって、
複数の流動性食品について、口蓋正中部の咽頭側の位置で測定される舌圧の継続時間を測定すること、及び、
当該複数の流動性食品のうちから、前記継続時間がより短いものを、嚥下時の咽頭収縮時間がより短いものであるとして選択すること、
を含む、前記評価方法。 - 流動性食品の評価方法であって、
複数の流動性食品について、口蓋正中部の咽頭側の位置で測定される舌圧を測定すること、及び、
当該複数の流動性食品のうちから、前記舌圧がより大きいものを、嚥下音持続時間がより短いものであるとして選択すること、
を含む、前記評価方法。 - 流動性食品の製造方法であって、
複数の流動性食品について、口蓋正中部の咽頭側の位置で測定される舌圧と口蓋正中部の前歯側で測定される舌圧の圧力差を測定すること、及び
前記複数の流動性食品のうちから、前記圧力差がより小さいものを、早期咽頭流入がより起こりにくいものである、前記製造方法における製造対象として選択すること、
を含む、前記製造方法。 - 流動性食品の製造方法であって、
複数の流動性食品について、口蓋正中部の咽頭側の位置で測定される舌圧の継続時間を測定すること、及び、
当該複数の流動性食品のうちから、前記継続時間がより短いものを、嚥下時の咽頭収縮時間がより短いものである、前記製造方法における製造対象として選択すること、
を含む、前記製造方法。 - 流動性食品の製造方法であって、
複数の流動性食品について、口蓋正中部の咽頭側の位置で測定される舌圧を測定すること、及び、
当該複数の流動性食品のうちから、前記舌圧がより大きいものを、嚥下音持続時間がより短いものである、前記製造方法における製造対象として選択すること、
を含む、前記製造方法。 - 流動性食品の選択方法であって、
複数の流動性食品について、口蓋正中部の咽頭側の位置で測定される舌圧と口蓋正中部の前歯側で測定される舌圧の圧力差を測定すること、及び
前記複数の流動性食品のうちから、前記圧力差がより小さいものを、早期咽頭流入がより起こりにくいものであるとして選択すること、
を含む、前記選択方法。 - 流動性食品の選択方法であって、
複数の流動性食品について、口蓋正中部の咽頭側の位置で測定される舌圧の継続時間を測定すること、及び、
当該複数の流動性食品のうちから、前記継続時間がより短いものを、嚥下時の咽頭収縮時間がより短いものであるとして選択すること、
を含む、前記選択方法。 - 流動性食品の選択方法であって、
複数の流動性食品について、口蓋正中部の咽頭側の位置で測定される舌圧を測定すること、及び、
当該複数の流動性食品のうちから、前記舌圧がより大きいものを、嚥下音持続時間がより短いものであるとして選択すること、
を含む、前記選択方法。
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JP2019032252A (ja) | 2019-02-28 |
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